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JP2016060481A - サイドエアバッグ装置 - Google Patents

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JP2016060481A JP2015035392A JP2015035392A JP2016060481A JP 2016060481 A JP2016060481 A JP 2016060481A JP 2015035392 A JP2015035392 A JP 2015035392A JP 2015035392 A JP2015035392 A JP 2015035392A JP 2016060481 A JP2016060481 A JP 2016060481A
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Abstract

【課題】乗員の胸部を保護する性能をさらに高める。
【解決手段】エアバッグ本体41内を横区画部60により上膨張室73と下膨張室72とに区画し、上膨張室73を乗員Pの腰部PPよりも上側部分の側方で膨張させ、下膨張室72を乗員Pの腰部PPの側方で、上膨張室73よりも高い内圧で膨張させる。上膨張室73のうち、乗員Pにおける胸部PTの少なくとも一部の側方で膨張する部位の内部に、同部位の前後方向の周長よりも短い前後長を有し、かつ上膨張室73の膨張に伴い前後方向に緊張した状態となるシート状の膨張厚み規制部90を架設する。この膨張厚み規制部90により、エアバッグ本体41が膨張を完了したとき、車幅方向における上記部位での上膨張室73の膨張厚みが下膨張室72の膨張厚みよりも大きくなるように、上膨張室73の前後方向の膨張厚みを規制する。
【選択図】図9

Description

本発明は、乗物に対し、乗物用シートの側方から衝撃が加わった場合に、その乗物用シートに着座している乗員の側方でエアバッグ本体を展開及び膨張させて、乗員を衝撃から保護するサイドエアバッグ装置に関する。
側突等により車両に対し、車両用シートの側方から衝撃が加わった場合に、その車両用シートに着座している乗員を保護する装置として、エアバッグ及びインフレータを備えたサイドエアバッグ装置が有効である。このサイドエアバッグ装置の一形態として、エアバッグが、その外殻部分を構成するエアバッグ本体と、エアバッグ本体の内部に架設された横区画部とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このサイドエアバッグ装置では、横区画部がエアバッグ本体の内部を、その横区画部よりも上側の上膨張室と、同横区画部よりも下側の下膨張室とに区画している。
そして、車両のボディサイド部、例えばサイドドア等に対し側方から衝撃が加わると、インフレータから膨張用ガスが上膨張室に供給されるとともに、同上膨張室に対するよりも多くの膨張用ガスが下膨張室に供給される。上膨張室が、乗員の腰部よりも上側部分と、車内側へ進入してくるボディサイド部との間で展開及び膨張する。また、下膨張室が、乗員の腰部とボディサイド部との間で、上膨張室よりも高い内圧で展開及び膨張する。そのため、胸部よりも耐衝撃性の高い腰部が、高い内圧で膨張した下膨張室によって押圧される。また、腰部よりも耐衝撃性の低い胸部が、下膨張室よりも低い内圧で膨張した上膨張室によって押圧される。その結果、腰部及び胸部が、上記の耐衝撃性に即した圧力分布で膨張した下膨張室及び上膨張室によって拘束され、ボディサイド部を通じて乗員に伝わる側方からの衝撃が緩和される。
特開2011−126497号公報
ところで、サイドエアバッグ装置では、エアバッグによるエネルギー吸収量が多いことが、乗員を衝撃から保護するうえで重要である。そのためには、上下の各膨張室の内圧が高いことや、各膨張室が車両用シートの幅方向に大きく膨張すること(膨張厚みが大きいこと)が有効である。
この点、上記特許文献1に記載されたサイドエアバッグ装置によれば、下膨張室は、上記のように上膨張室よりも高い内圧で展開及び膨張するため、エネルギー吸収量を確保し、腰部を衝撃から有効に保護することが可能である。しかし、上膨張室は下膨張室よりも低い内圧で展開及び膨張するため、上記下膨張室のような効果は得られにくい。しかも、車両用シートの幅方向における上膨張室の膨張厚みが、横区画部によって規制される。そのため、上膨張室によるエネルギー吸収量を多くして、胸部の保護性能の向上を図るうえで改善の余地がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、乗員の胸部を保護する性能をさらに高めることのできるサイドエアバッグ装置を提供することにある。
上記課題を解決するサイドエアバッグ装置は、乗物用シートの側方から乗物に加わる衝撃に応じてインフレータから供給される膨張用ガスにより、前記乗物用シートに着座した乗員の側方で展開及び膨張して同乗員を拘束するエアバッグ本体を備え、前記エアバッグ本体内の少なくとも一部は、横区画部により、同横区画部よりも上側の上膨張室と、同横区画部よりも下側の下膨張室とに区画され、前記上膨張室は、前記乗員の腰部よりも上側部分の側方で膨張し、前記下膨張室は、前記乗員の腰部の側方で、前記上膨張室よりも高い内圧で膨張するものであり、前記上膨張室のうち、乗員における胸部の少なくとも一部の側方で膨張する部位の内部には、同部位の前後方向の周長よりも短い前後長を有し、かつ前記上膨張室の膨張に伴い前後方向に緊張した状態となるシート状の膨張厚み規制部が架設されており、前記膨張厚み規制部は、前記エアバッグ本体が膨張を完了したとき、前記乗物用シートの幅方向における前記部位での上膨張室の膨張厚みが前記下膨張室の膨張厚みよりも大きくなるように、前記上膨張室の前後方向の膨張厚みを規制するものである。
上記の構成によれば、乗物用シートの側方から乗物に衝撃が加わると、インフレータから膨張用ガスが上膨張室及び下膨張室にそれぞれ供給される。上膨張室が、乗員の腰部よりも上側部分(胸部を含む)の側方で展開及び膨張し、下膨張室が、乗員の腰部の側方で、上膨張室よりも高い内圧で展開及び膨張する。
そのため、胸部よりも耐衝撃性の高い腰部が、高い内圧で膨張した下膨張室によって押圧される。また、腰部よりも耐衝撃性の低い胸部が、下膨張室よりも低い内圧で膨張した上膨張室によって押圧される。その結果、腰部及び胸部が、上記の耐衝撃性に即した圧力分布で膨張した下膨張室及び上膨張室によって拘束され、乗員に伝わる側方からの衝撃が緩和される。
ところで、乗物用シートの幅方向における上膨張室の膨張厚みは、横区画部によって規制される。しかし、上膨張室の展開及び膨張に伴い、乗員における胸部の少なくとも一部の側方では、膨張厚み規制部が前後方向に緊張した状態となる。この膨張厚み規制部の前後長は、上膨張室のうち、胸部の少なくとも一部の側方で膨張する部位の前後方向の周長よりも短い。そのため、上膨張室は、膨張厚み規制部により、前後方向の膨張厚みを規制される。上膨張室は、上記膨張厚み規制部により膨張厚みを規制されていない乗物用シートの幅方向へ膨張しようとする。そして、エアバッグ本体が膨張を完了したときには、乗物用シートの幅方向における上記部位での上膨張室の膨張厚みが下膨張室の膨張厚みよりも大きくなる。
従って、上膨張室の上記部位は、下膨張室よりも低い内圧で膨張及び展開するものの、乗物用シートの幅方向へ大きく膨張する(同幅方向の膨張厚みが大きい)ことから、上膨張室の上記部位によるエネルギー吸収量が多くなり、胸部を保護する性能が高まる。
上記サイドエアバッグ装置において、前記インフレータからの膨張用ガスは、前記上膨張室に対するよりも前記下膨張室に対し多く供給され、前記横区画部には、前記インフレータから供給されて前記下膨張室に流入した膨張用ガスの前記上膨張室への流出を規制する逆止弁が設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、乗物用シートの側方から乗物に衝撃が加わると、その衝撃に応じ、インフレータから膨張用ガスが上膨張室に対するよりも下膨張室に対し多く供給される。インフレータから供給されて下膨張室に流入した膨張用ガスが、上膨張室へ流出(逆流)することは、逆止弁によって規制される。そのため、下膨張室の内圧は上膨張室の内圧よりも高くなる。
上記サイドエアバッグ装置において、前記上膨張室は、連通部を有する縦区画部により、同縦区画部よりも後側に位置し、かつ前記インフレータからの膨張用ガスが供給される上後膨張室と、同縦区画部よりも前側に位置し、かつ前記連通部を経由した膨張用ガスが供給される上前膨張室とに区画されており、前記膨張厚み規制部は前記上後膨張室内に架設されていることが好ましい。
上記の構成によれば、上膨張室では、インフレータからの膨張用ガスは、まず上後膨張室に供給される。この膨張用ガスにより、上後膨張室が、乗員の腰部よりも上側部分の後半部の側方で展開及び膨張する。
ここで、上膨張室が縦区画部によって上後膨張室及び上前膨張室に区画されていることから、上後膨張室の容積は、上膨張室が区画されていない場合のその上膨張室の容積よりも小さい。そのため、上後膨張室の内圧は、上膨張室が区画されていない場合よりも早く上昇を開始し、しかも高くなる。従って、乗員の腰部よりも上側部分の後半部が上後膨張室によって迅速に拘束及び保護される。
また、上後膨張室の展開及び膨張に伴い、乗員の胸部の後半部の側方では、膨張厚み規制部が前後方向に緊張した状態となり、上後膨張室の前後方向の膨張厚みが、膨張厚み規制部によって規制される。上後膨張室は、上記膨張厚み規制部により膨張厚みを規制されていない乗物用シートの幅方向へ膨張する。そして、エアバッグ本体が膨張を完了したときには、乗物用シートの幅方向における上記部位(胸部の後半部の側方で膨張する部位)での上後膨張室の膨張厚みが下膨張室の膨張厚みよりも大きくなる。
従って、上後膨張室の上記部位によるエネルギー吸収量が多くなり、胸部の後半部を保護する性能が高まる。
上記サイドエアバッグ装置において、前記縦区画部の上部は、上側ほど前方に位置するように傾斜する傾斜部により構成されており、前記上後膨張室のうち前記傾斜部よりも後方部分は、乗員の肩部の側方で膨張するものであり、前記膨張厚み規制部は、前記上後膨張室のうち前記傾斜部よりも低い箇所に配置されていることが好ましい。
上記の構成によれば、上後膨張室のうち、縦区画部上部の傾斜部よりも後方部分は、乗員の肩部の側方で膨張することで同肩部を拘束し、衝撃から肩部を保護する。
ここで、乗物用シートに着座した乗員と、その乗物用シートの側方に位置する乗物構成部材との間隙は、同乗員の肩部において他の箇所、例えば胸部よりも狭い。そのため、このように間隙の狭い箇所でも上後膨張室を展開及び膨張させるうえでは、乗員の肩部の側方では、上後膨張室を乗物用シートの幅方向に小さな膨張厚みとなるように膨張させることが望ましい。
この点、膨張厚み規制部が、上後膨張室のうち傾斜部よりも低い箇所に配置されている。そのため、上後膨張室は、乗員の肩部よりも低い箇所(胸部の後半部の側方)で、乗物用シートの幅方向に大きな膨張厚みで膨張する。上後膨張室は、乗員の肩部の側方では、乗物用シートの幅方向に小さな膨張厚みで膨張する。従って、上後膨張室により胸部の後半部を保護する性能を高めつつ、同上後膨張室を乗員の肩部と乗物構成部材との狭い間隙で展開及び膨張させることが可能となる。
上記サイドエアバッグ装置において、前記エアバッグ本体は、前記乗物用シートの幅方向に重ね合わされた一対の本体布部の周縁部同士を結合することにより形成されており、前記膨張厚み規制部は、その前縁部及び後縁部において前記本体布部に結合されていることが好ましい。
上記の構成によれば、上膨張室の展開及び膨張に伴い膨張厚み規制部が前後方向に緊張した状態になると、上膨張室がそれ以上前後方向へ膨張することが規制される。また、本体布部のうち、膨張厚み規制部の前縁部が結合された箇所と、後縁部が結合された箇所とによって挟まれた部分が、乗物用シートの幅方向外側へ膨張する。この膨張により、乗物用シートの幅方向における上膨張室の上記部位(胸部の少なくとも一部の側方で膨張する部位)の膨張厚みが下膨張室の膨張厚みよりも大きくなる。
上記サイドエアバッグ装置において、前記膨張厚み規制部は、前記本体布部毎に設けられていることが好ましい。
上記の構成によるように、膨張厚み規制部が、エアバッグ本体を形成し、かつ乗物用シートの幅方向に重ね合わされた一対の本体布部毎に設けられることで、上膨張室のうち、乗員における胸部の少なくとも一部の側方で膨張する部位の膨張厚みが、同方向の両側へ増加する。従って、上膨張室の上記部位は、膨張厚み規制部が一方の本体布部にのみ設けられた場合よりも多く乗物用シートの幅方向へ膨張する。同方向における上記部位での上膨張室の膨張厚みがより大きくなる。
上記サイドエアバッグ装置において、前記エアバッグ本体は、同エアバッグ本体の後端部において前記乗物に固定されており、前記膨張厚み規制部の後縁部は、前記エアバッグ本体の前記乗物に対する固定箇所に接近した箇所で、前記本体布部に対し結合されていることが好ましい。
上記の構成によれば、上膨張室が展開及び膨張すると、それに伴い膨張厚み規制部が前後方向に緊張する。膨張厚み規制部の後縁部は、エアバッグ本体の乗物に対する固定箇所に接近した箇所で本体布部に結合されている。表現を変えると、膨張厚み規制部の後縁部は、エアバッグ本体の後端部を介して乗物に固定されている。これに対し、膨張厚み規制部の前縁部は、エアバッグ本体の乗物に対する固定箇所から前方へ遠ざかった箇所で本体布部に結合されている。そのため、上膨張室の前方への展開及び膨張が、上記のように前後方向に緊張した膨張厚み規制部により規制される。
従って、エアバッグ本体の乗物との固定箇所の前方にたとえ障害物があったとしても、エアバッグ本体が展開及び膨張した場合に、その障害物を強く押圧することが抑制される。
上記サイドエアバッグ装置において、前記下膨張室の内部には、同下膨張室の膨張に伴い前後方向に緊張した状態となるシート状の下膨張厚み規制部が架設されており、前記下膨張厚み規制部は、前記下膨張室のうち同下膨張厚み規制部が架設された部位の前後方向の周長よりも短い前後長を有していることが好ましい。
上記の構成によれば、乗物用シートの幅方向における下膨張室の膨張厚みは、横区画部によって規制される。しかし、下膨張室の展開及び膨張に伴い、乗員の腰部の側方では、下膨張厚み規制部が前後方向に緊張した状態となる。この下膨張厚み規制部の前後長は、下膨張室のうち、下膨張厚み規制部が架設された部位の前後方向の周長よりも短い。そのため、下膨張室は、下膨張厚み規制部により、前後方向の膨張厚みを規制される。下膨張室は、上記下膨張厚み規制部により膨張厚みを規制されていない乗物用シートの幅方向へ膨張しようとする。そして、エアバッグ本体が膨張を完了したときには、乗物用シートの幅方向における上記部位での下膨張室の膨張厚みは、下膨張厚み規制部が設けられない場合よりも大きくなる。従って、下膨張室の上記部位によるエネルギー吸収量が多くなり、腰部を保護する性能が高まる。
上記サイドエアバッグ装置によれば、乗員の胸部を保護する性能をさらに高めることができる。
車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した第1実施形態を示す図であり、同装置が設けられた車両用シートを乗員とともに示す側面図。 第1実施形態において、車両用シート、エアバッグ、乗員及びボディサイド部の位置関係を示す平断面図。 第1実施形態において、車両用シート、エアバッグ、乗員及びボディサイド部の位置関係を示す正断面図。 第1実施形態において、エアバッグモジュールが組み込まれたシートバックにおける車外側の側部の内部構造を示す部分平断面図。 第1実施形態において、エアバッグ本体が非膨張展開状態にされたエアバッグモジュールを示す側面図。 図5における6−6線断面図。 図5における7−7線断面図。 第1実施形態において、エアバッグの各構成部材をそれぞれ展開させた状態で示す分解斜視図。 図5のエアバッグモジュールの内部構造を乗員及び車両用シートとともに示す側断面図。 第1実施形態において、平面状に展開されたエアバッグのうち、エアバッグ本体の折り線付近の構造を示す部分展開図。 第1実施形態において、モジュール前駆体の製造工程のうちの第1工程を説明する工程図。 第1実施形態において、モジュール前駆体の製造工程のうちの第2工程を説明する工程図。 (a)は第1実施形態において、モジュール前駆体の製造工程のうちの第3工程を説明する工程図であり、(b)は図13(a)における13b−13b線断面図。 第1実施形態において、モジュール前駆体の製造工程のうちの第4工程を説明する工程図。 第1実施形態において、モジュール前駆体の製造工程のうちの第4工程を説明する工程図。 第1実施形態において、モジュール前駆体の製造工程のうちの第5工程を説明する工程図。 (a)は第1実施形態において、モジュール前駆体の製造工程のうちの第6工程を説明する工程図、(b)は図17(a)における17b−17b線断面図。 (a)は第1実施形態において、モジュール前駆体の製造工程のうちの第7工程を説明する工程図、(b)は図18(a)における18b−18b線断面図。 (a)は図5における19a−19a線断面図、(b)は図19(a)中の横区画部が緊張したときのエアバッグ下部の内部状態を示す部分断面図。 図4のエアバッグ本体がその一部をシートバック内に残して車両用シートから飛び出して展開及び膨張した状態を示す部分平断面図。 第1実施形態において、上膨張室の前後方向の膨張厚みが膨張厚み規制部によって規制された状態を示す概略平断面図。 車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した第2実施形態を示す図であり、エアバッグ本体が非膨張展開状態にされたエアバッグモジュールを示す側面図。 第2実施形態において、上後膨張室の前後方向の膨張厚みが膨張厚み規制部によって規制された状態を示す概略平断面図。 図22のエアバッグモジュールの内部構造を乗員及び車両用シートとともに示す側断面図。 第2実施形態において、車両用シート、エアバッグ、乗員及びボディサイド部の位置関係を示す正断面図。 車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した第3実施形態において、下膨張室の前後方向の膨張厚みが下膨張厚み規制部によって規制された状態を示す概略平断面図。 第3実施形態において、エアバッグ本体が非膨張展開状態にされたエアバッグモジュールを乗員及び車両用シートとともに示す側面図。
(第1実施形態)
以下、車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した第1実施形態について、図1〜図21を参照して説明する。
なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方として説明し、車両の後進方向を後方として説明する。また、車両の幅方向(車幅方向)についての中央部を基準とし、その中央部に近づく側を「車内側」とし、中央部から遠ざかる側を「車外側」とするものとする。また、車両用シートには、乗員として、標準的な体格を有する大人が、予め定められた姿勢(正規の姿勢)で着座しているものとする。
図1〜図3に示すように、乗物としての車両10においてボディサイド部11の車内側の近傍には、乗物用シートとして車両用シート12が配置されている。ここで、ボディサイド部11とは、車両10の側部に配置された車両構成部材を指し、主としてドア、ピラー等がこれに該当する。例えば、前席に対応するボディサイド部11は、フロントドア、センターピラー(Bピラー)等である。また、後席に対応するボディサイド部11は、サイドドア(リヤドア)の後部、Cピラー、タイヤハウスの前部、リヤクォータ等である。
車両用シート12は、シートクッション13と、そのシートクッション13の後側から起立し、かつ傾斜角度を調整可能に構成されたシートバック14とを備えている。車両用シート12は、シートバック14が前方を向く姿勢で車室内に配置されている。このように配置された車両用シート12の幅方向は、車幅方向と合致する。
次に、シートバック14における車外側の側部の内部構造について説明する。
シートバック14の内部には、その骨格をなすシートフレームが配置されている。シートフレームの一部は、図4に示すように、シートバック14内の車外側部分に配置されており、この部分(以下「サイドフレーム部15」という)は、金属板を曲げ加工等することによって形成されている。サイドフレーム部15を含むシートフレームの前側には、ウレタンフォーム等の弾性材からなるシートパッド16が配置されている。また、シートフレームの後側には、合成樹脂等によって形成された硬質のバックボード17が配置されている。なお、シートパッド16は表皮によって被覆されているが、図4ではその表皮の図示が省略されている。後述する図20についても同様である。
シートパッド16内において、サイドフレーム部15の車外側近傍には収納部18が設けられている。この収納部18には、サイドエアバッグ装置の主要部をなすエアバッグモジュールAMが組み込まれている。
収納部18の角部からは、斜め前かつ車外側に向けてスリット19が延びている。シートパッド16の前側の角部16cとスリット19とによって挟まれた箇所(図4において二点鎖線の枠で囲んだ箇所)は、後述するエアバッグ40によって破断される破断予定部21を構成している。
エアバッグモジュールAMは、ガス発生器30及びエアバッグ40を主要な構成部材として備えている。次に、これらの構成部材の各々について説明する。
<ガス発生器30>
図4及び図9に示すように、ガス発生器30は、インフレータ31と、そのインフレータ31を覆うリテーナ32とを備えている。ここでは、インフレータ31として、パイロタイプと呼ばれるタイプが採用されている。インフレータ31は略円柱状をなしており、その内部には、膨張用ガスを発生するガス発生剤(図示略)が収容されている。インフレータ31は、その下端部にガス噴出部(図示略)を有している。また、インフレータ31の上端部には、同インフレータ31への作動信号の入力配線となるハーネス(図示略)が接続されている。
なお、インフレータ31としては、上記ガス発生剤を用いたパイロタイプに代えて、高圧ガスの充填された高圧ガスボンベの隔壁を火薬等によって破断して膨張用ガスを噴出させるタイプ(ハイブリッドタイプ)が用いられてもよい。
一方、リテーナ32は、膨張用ガスの噴出する方向を制御するディフューザとして機能するとともに、インフレータ31をエアバッグ40と一緒にサイドフレーム部15に締結する機能を有する部材である。リテーナ32の大部分は、金属板等の板材を曲げ加工等することによって略筒状に形成されている。リテーナ32には、これをサイドフレーム部15に取付けるための係止部材として、複数本のボルト33が固定されている。なお、ガス発生器30は、インフレータ31とリテーナ32とが一体になったものであってもよい。
<エアバッグ40>
図1〜図3に示すように、エアバッグ40の外殻部分はエアバッグ本体41によって構成されている。
<エアバッグ本体41>
図5は、エアバッグ本体41が膨張用ガスを充填させることなく平面状に展開させられた状態(以下「非膨張展開状態」という)のエアバッグモジュールAMを示している。また、図8は、エアバッグ本体41をはじめとする、エアバッグ40の各構成部材をそれぞれ展開させた状態で示している。さらに、図9は、エアバッグモジュールAMの内部構造を示すべく、図5のエアバッグ本体41が車幅方向の中央部分で切断されたエアバッグモジュールAMを車両用シート12及び乗員Pとともに示している。
図5、図8及び図9に示すように、エアバッグ本体41は、1枚の布片(基布、パネル布等とも呼ばれる)を、その中央部分に設定した折り線42に沿って前方へ二つ折りして車幅方向に重ね合わせ、その重ね合わされた部分を袋状となるように結合させることにより形成されている。ここでは、エアバッグ本体41について上記の重ね合わされた2つの部分を区別するために、車内側に位置するものを本体布部43といい、車外側に位置するものを本体布部44というものとする。
なお、第1実施形態では、折り線42がエアバッグ本体41の後端部に位置するように布片が二つ折りされているが、折り線42が他の端部、例えば前端部、上端部、下端部等に位置するように布片が二つ折りされてもよい。また、エアバッグ本体41は折り線42に沿って分割された2枚の布片からなるものであってもよい。この場合には、エアバッグ本体41は、2枚の布片を車幅方向に重ね合わせ、両布片を、袋状となるように結合させることにより形成される。さらに、本体布部43,44の少なくとも一方は、2枚以上の布片によって構成されてもよい。
図8及び図9に示すように、エアバッグ本体41においては、両本体布部43,44の外形形状が、折り線42を対称軸として互いに線対称の関係にある。各本体布部43,44は、エアバッグ本体41が車両用シート12とボディサイド部11との間で展開及び膨張したときに、乗員Pの上半身の多くの部分(胸部PTから腰部PPにかけての部位)に対応する領域を占有し得る形状及び大きさに形成されている。
両本体布部43,44としては、強度が高く、かつ可撓性を有していて容易に折り畳むことのできる素材、例えばポリエステル糸、ポリアミド糸等を用いて形成した織布等が適している。
両本体布部43,44の上記結合は、それらの周縁部に設けられた周縁結合部45においてなされている。第1実施形態では、周縁結合部45の大部分は、両本体布部43,44の周縁部のうち、後端部(折り線42の近傍部分)を除く部分を、縫製(縫糸で縫合)することにより形成されている。この点は、後述する横結合部64,65、前結合部68、後結合部69、縦結合部81,91,92,111,112、囲み結合部86、側縁結合部102〜104についても同様である。
上記縫製に関し、図5、図9〜図18では、3つの線種によって縫製部分が表現されている。第2実施形態の説明に用いられる図22及び図24についても同様である。また、第3実施形態の説明に用いられる図27についても同様である。1つ目の線種は、一定長さの太線を断続的に並べて表現した線であり、これは、縫糸を側方から見た状態を示している(図5における周縁結合部45等参照)。2番目の線種は、一定長さ(一般的な破線よりも長い長さ)の細線を断続的に並べて表現した線であり、これは、例えば布片の奥に位置していて直接は見えない(隠れている)縫糸の状態を示している(図5における下側の横結合部65等参照)。3番目の線種は、点を一定間隔おきに並べて表現した線であり、これは、縫製部分を通る断面に沿った縫糸の断面を示している(図9における周縁結合部45等参照)。
なお、周縁結合部45は、上記縫糸を用いた縫合とは異なる手段、例えば接着剤を用いた接着によって形成されてもよい。この点は、後述する横結合部64,65、前結合部68、後結合部69、縦結合部81,91,92,111,112、囲み結合部86、側縁結合部102〜104についても同様である。
図5及び図9に示すように、両本体布部43,44間であって、周縁結合部45及び折り線42によって囲まれた空間は、膨張用ガスによって展開及び膨張する膨張部46となっている。
二つ折りされたエアバッグ本体41の後端上部には、折り線42に直交又は略直交する方向へ延びるスリット47が形成されている(図8参照)。図6に示すように、両本体布部43,44においてスリット47よりも上側部分は、他の部分の内側へ折り曲げた状態で入り込ませられた内折り部48となっている。図5及び図9に示すように、内折り部48の上端部は、上記周縁結合部45によって両本体布部43,44の他の部分に対し、共縫いにより結合されている。また、内折り部48の形成に伴いスリット47が開かれて、ガス発生器30の挿入口49が形成されている。
また、図8に示すように、車内側の本体布部43においてスリット47の下方となる複数箇所(2箇所)には、ガス発生器30のボルト33(図4参照)を挿通させるためのボルト孔51があけられている。
膨張部46内は、横区画部60によって2つに区画されている。横区画部60は、一般にテザーと呼ばれるものと同様の構成を有しており、両本体布部43,44の間に配置されている。
<横区画部60>
図8、図9及び図19(a)に示すように、横区画部60は、本体布部43,44と同様の素材からなる1枚の布片を、その中央部分に設定した折り線61に沿って前方へ二つ折りして車幅方向に重ね合わせ、その重ね合わされた部分を両本体布部43,44の下部間に架設することにより形成されている。なお、横区画部60は、折り線61に沿って分割された2枚の布片からなるものであってもよい。横区画部60の上記の重ね合わされた2つの部分を区別するために、車内側に位置する部分を構成布部62といい、車外側に位置するものを構成布部63というものとする。
二つ折りされた横区画部60における各構成布部62,63は、自身の後部に、下方へ膨らむ膨出部62a,63aを有している。そして、二つ折りされた横区画部60は、折り線61をエアバッグ本体41の折り線42に合致させた状態で両本体布部43,44間に配置されている。二つ折りされた横区画部60の各構成布部62,63は、自身の上側の周縁部に沿って設けられた横結合部64によって、対応する本体布部43,44に結合されている。両構成布部62,63は、それらの下側の周縁部に沿って設けられた横結合部65によって相互に結合されている。さらに、二つ折りされた横区画部60の両構成布部62,63の前端部は、上記周縁結合部45によって両本体布部43,44の前端部に対し、共縫いにより結合されている。
膨張部46において横区画部60よりも下側部分は、乗員Pの腰部PPの側方で展開及び膨張する下膨張室72を構成し、同横区画部60よりも上側部分は、乗員Pの上記腰部PPよりも上側部分(胸部PTを含む)の側方で展開及び膨張する上膨張室73を構成している。
図7〜図9に示すように、横区画部60には連通部66及び逆止弁67が設けられている。
<連通部66及び逆止弁67>
連通部66は、上膨張室73と下膨張室72とを連通させるためのものである。二つ折りされた横区画部60における下側の横結合部65は、各構成布部62,63の後部において結合を解除されている。表現を変えると、折り線61を跨ぐ部分では、両構成布部62,63を結合させる横結合部65が設けられていない。このように、横結合部65が設けられていない部分である、結合を解除された箇所によって連通部66が構成されている。
逆止弁67は、連通部66での膨張用ガスの流通を制御する弁であり、上膨張室73から下膨張室72への膨張用ガスの流通(流入)を許容するが、その逆の流通(流出)を規制する。
二つ折りされた横区画部60における両膨出部62a,63aの前側の周縁部は、それらの周縁部に沿って設けられた前結合部68によって相互に結合されている。前結合部68は、前側ほど低くなるように傾斜しており、その後端部は、横結合部65の後端部に繋がっている。
二つ折りされた横区画部60における両膨出部62a,63aの後部は、前側ほど低くなるように傾斜した状態で延びる後結合部69によって相互に結合されている。さらに、両膨出部62a,63aにおいて後結合部69よりも後側部分は、上記周縁結合部45によって両本体布部43,44の後下端部に対し、共縫いにより結合されている。
各膨出部62a,63aにおいて、前結合部68と後結合部69とによって挟まれた箇所は、逆止弁67の弁体部71を構成している。そして、逆止弁67は、両弁体部71の一方が他方から離間することで膨張用ガスの流通を許容する。このときの逆止弁67の動作態様を「開弁」という。また、逆止弁67は、両弁体部71が、それらの少なくとも一部において互いに接触することで、膨張用ガスの流通を規制する。このときの逆止弁67の動作態様を「閉弁」という。なお、逆止弁67は、横区画部60とは別部材によって形成されてもよい。
非膨張展開状態のエアバッグ本体41内の後部であって、挿入口49よりも下方には、インナチューブ80が配置されている。
<インナチューブ80>
インナチューブ80は、インフレータ31下部のガス噴出部から噴出された膨張用ガスを、上膨張室73よりも下膨張室72へ多く供給されるように分配するためのものである。
図8及び図10に示すように、インナチューブ80は、本体布部43,44と同様の素材によって矩形状に形成された1枚の布片を、エアバッグ本体41及び横区画部60に結合することにより形成されている。インナチューブ80の内側の面には、シリコーン樹脂がコーティングされてもよい。インナチューブ80のエアバッグ本体41及び横区画部60に対する結合は、展開させられた状態のインナチューブ80の車幅方向の両側部において上下方向へ延びるように設けられた一対の縦結合部81によってなされている。両縦結合部81の一方は、インナチューブ80を車内側の本体布部43及び構成布部62に結合し、他方は、同インナチューブ80を車外側の本体布部44及び構成布部63に結合している。なお、インナチューブ80は、複数の布片によって構成されてもよい。
そして、図9に示すように、ガス発生器30の大部分は、略上下方向へ延びる姿勢にされて、非膨張展開状態のエアバッグ本体41内の後端部に収容されている。ガス発生器30の上端部は、挿入口49を通じエアバッグ本体41の外部に露出している。ガス発生器30の下部は、インナチューブ80において両縦結合部81によって挟まれた箇所と、エアバッグ本体41との間に挿入されている。なお、ガス発生器30の下部は、上記インナチューブ80と横区画部60との間に挿入されてもよい。
図4及び図8に示すように、リテーナ32のボルト33が本体布部43のボルト孔51に挿通されることにより、ガス発生器30が、エアバッグ本体41に対し位置決めされた状態で係止されている。この状態では、ガス発生器30の下部に位置するガス噴出部が、上膨張室73の後端部であって横区画部60の上側の横結合部64に接近している。
さらに、図5及び図9に示すように、エアバッグ本体41には、膨張用ガスを排出するための排気孔(ベントホールとも呼ばれる)85が設けられている。
<排気孔85>
排気孔85は、下膨張室72の前下部に設けられている。周縁結合部45には、その前下端部において両本体布部43,44の結合を解除されることにより、互いに離間した一対の端末部45aが形成されている。エアバッグ本体41には、各端末部45aを囲んだ状態で両本体布部43,44を結合する囲み結合部86が設けられている。両本体布部43,44間であって両囲み結合部86によって挟まれた箇所は、両本体布部43,44の周縁部同士を結合する機能を有していない。この箇所は、下膨張室72の内部と外部とを連通させて、その下膨張室72内の膨張用ガスを外部へ排出させるための排気孔85となっている。
なお、上膨張室73の前端部にも、同上膨張室73内の膨張用ガスを排出するための排気孔(図示略)が設けられている。
上記上膨張室73のうち、乗員Pにおける胸部PTの少なくとも一部の側方で膨張する部位の内部には、上膨張室73の前後方向の膨張厚みを規制して、車幅方向の膨張厚みを増加させるための一対の膨張厚み規制部90が架設されている。
<膨張厚み規制部90>
各膨張厚み規制部90は、本体布部43,44と同様のシート状素材によって矩形状に形成された布片を、エアバッグ本体41の各本体布部43,44のうち胸部PTの少なくとも一部の側方となる部位に結合することにより形成されている。図21に示すように、各膨張厚み規制部90としては、各本体布部43,44のうち、上記胸部PTの少なくとも一部の側方で膨張する部位の前後方向の周長L2Uよりも前後長L1Uの短いものが用いられている。
図8〜図10に示すように、各膨張厚み規制部90は、本体布部43,44の上部であって、インナチューブ80から上方へ離れた箇所に配置されている。
各膨張厚み規制部90の本体布部43,44に対する結合は、同膨張厚み規制部90の前縁部及び後縁部のそれぞれにおいて略上下方向へ延びるように設けられた一対の縦結合部91,92によってなされている。前側の縦結合部91は、各膨張厚み規制部90の前縁部を、対応する本体布部43,44の前縁部に結合している。また、後側の縦結合部92は、各膨張厚み規制部90の後縁部をスリット47よりもわずかに前方で本体布部43,44に結合している。表現を変えると、各膨張厚み規制部90の後縁部は、エアバッグ本体41の車両10(サイドフレーム部15)に対する固定箇所に接近した箇所で、本体布部43,44に対し結合されている。このように、本体布部43,44毎の膨張厚み規制部90が、同本体布部43,44のうち上膨張室73を構成する部分において、前後方向へ離れた2箇所の間に架設されている。各本体布部43,44のうち前後の両縦結合部91,92によって挟まれた領域は、たるませられている。
上述したように、各膨張厚み規制部90の前後長L1Uが、上膨張室73のうち、乗員Pの胸部PTの少なくとも一部の側方で膨張する部位の前後方向の周長L2Uよりも短いことから、各膨張厚み規制部90は、上膨張室73の膨張に伴い緊張状態となることで、本体布部43,44の前後方向の膨張厚みを規制する。この規制により、図21に示すように、上記部位では上膨張室73の車幅方向の膨張厚みTUが、膨張厚み規制部90がない場合の膨張厚みT0Uよりも大きくなる。
図21及び図3に示すように、上記膨張厚みの増大量ΔTU(=TU−T0U)は、周長L2Uと前後長L1Uとの差が大きくなるに従い多くなる。第1実施形態では、エアバッグ本体41が膨張を完了したとき、膨張厚みTUが下膨張室72の膨張厚みTLよりも大きくなるように、上記差が設定されている。
次に、上記の構成を有するエアバッグモジュールAMを製造する方法について図11〜図18を参照して説明する。この製造に際しては、エアバッグモジュールAMは、異なる2つの製造拠点(第1の製造拠点、第2の製造拠点)で製造される。
第1の製造拠点では、図18(a)に示すように、エアバッグ本体41内にリテーナ32が配置されてなる流通用中間形態のエアバッグモジュール(以下「モジュール前駆体AM′」という)が製造される。この段階では、リテーナ32内にインフレータ31が挿入されていない。上記モジュール前駆体AM′は、第1の製造拠点から第2の製造拠点へ輸送される。第2の製造拠点では、モジュール前駆体AM′におけるリテーナ32内にインフレータ31が挿入及び係止される。
ここでは、主として、第1の製造拠点でモジュール前駆体AM′を製造する際に行なわれる作業について説明する。
<第1工程>
図11に示すように、第1工程では、エアバッグ本体41及び横区画部60がともに展開させられる。エアバッグ本体41としては、スリット47、ボルト孔51等が予め形成されたものが用いられてもよい。
折り線61を折り線42に合致させた状態で、横区画部60がエアバッグ本体41の下部上に重ねられる。横区画部60が、その上側の周縁部に沿ってエアバッグ本体41に縫合されることで、横結合部64が設けられる。
なお、スリット47、ボルト孔51等は、横結合部64が設けられた後にエアバッグ本体41に形成されてもよい。
<第2工程>
図12に示すように、第2工程では、横区画部60及びエアバッグ本体41がともに展開させられる。また、インナチューブ80及び一対の膨張厚み規制部90がそれぞれ展開させられる。
インナチューブ80が折り線42,61上であって、エアバッグ本体41と横区画部60とに跨るように重ねられる。インナチューブ80が、その左右方向の両側縁部に沿って本体布部43,44及び横区画部60に縫合されることで一対の縦結合部81が設けられる。インナチューブ80は、両縦結合部81によってエアバッグ本体41及び横区画部60に結合された状態となる。
また、第2工程では、各膨張厚み規制部90が、本体布部43,44の上部であって、インナチューブ80から上方へ離れ、かつスリット47からわずかに離れた箇所に重ねられる。各膨張厚み規制部90の左右の縁部のうち、スリット47に近い側の縁部が本体布部43,44に縫合されることで縦結合部92が設けられる。各膨張厚み規制部90は、縦結合部92によって本体布部43,44に結合された状態となる。
<第3工程>
第3工程では、展開状態のエアバッグ本体41の左右の縁部が、図13(a)に示すように折り線42に近づけられる。これに伴い、各本体布部43,44がたるませられる(図13(b)参照)。そして、エアバッグ本体41の左右の縁部が各膨張厚み規制部90の対応する縁部に重ねられる。この状態で、各膨張厚み規制部90が、上記縁部に沿って本体布部43,44に縫合されることで、縦結合部91が設けられる。各膨張厚み規制部90は、縦結合部92に加え縦結合部91によって本体布部43,44に結合された状態となる。
<第4工程>
第4工程では、図14に示すように、本体布部43,44において横結合部64及び両縦結合部81よりも下側部分が上外方(図14において矢印で示す方向)へ折り返される。この折り返しにより、横区画部60の少なくとも下側の周縁部が露出させられる。
続いて、図15において矢印で示すように、エアバッグ本体41が折り線42に沿って二つ折りされる。これに伴い横区画部60の両構成布部62,63が互いに重ね合わされる。
この状態で、両構成布部62,63のうち、下側の周縁部同士が縫合されることによって、下側の横結合部65と連通部66とが形成される。両膨出部62a,63aにおいて折り線42,61から遠い側の周縁部同士が縫合されることで前結合部68が形成され、折り線42,61に近い側の周縁部同士が縫合されることで後結合部69が形成される。前結合部68及び後結合部69の形成により、横区画部60に、一対の弁体部71を有する逆止弁67が形成される。
<第5工程>
図16に示すように、第5工程では、折り返されていた両本体布部43,44の下部が折り返しを解消される。このときには、各膨張厚み規制部90が、非膨張展開状態のエアバッグ本体41における本体布部43,44の前後方向の動きを規制する。各本体布部43,44のうち膨張厚み規制部90に対応する部分(上部)がたるんだ状態となり(図13(b)参照)、本体布部43,44の上記部分(上部)の前端部は、図16に示すように、いびつな形状となる。
また、両本体布部43,44においてスリット47よりも上側部分が、他の部分の内側へ折り曲げた状態で入り込ませられて、内折り部48が形成される。
この状態で、本体布部43,44の下端部となる2箇所で、本体布部43,44の周縁部同士が縫合されることで、一対の囲み結合部86が設けられる。このようにして、両本体布部43,44間であって隣り合う囲み結合部86によって挟まれた箇所に排気孔85が形成される。
続いて、本体布部43,44の下側の周縁部同士が縫合されることで、周縁結合部45の一部が形成される。この際、周縁結合部45が囲み結合部86内において結合を解除されることにより、互いに離間した一対の端末部45aが形成される。
<第6工程>
第5工程を経た段階では、上述したように、各本体布部43,44のうち膨張厚み規制部90に対応する部分(上部)がたるんでいるため、本体布部43,44の周縁部の未縫合部分である前端部及び上端部を平面状に重ねて縫合することが難しい。
そのため、第6工程では、図17(a),(b)に示すように、非膨張展開状態のエアバッグ本体41における両本体布部43,44の後端部が、他の部分の内側へ折り曲げた状態で入り込ませられる。この際、上記各本体布部43,44のたるんだ部分が後方へ引っ張られて平らに近い状態になる。エアバッグ本体41の見かけ上の前後寸法が一旦小さくなる。
続いて、両本体布部43,44における前側の周縁部同士が縫合されるとともに、両本体布部43,44における上側の周縁部のうち、後半部を残した部分同士が縫合されることで、周縁結合部45の一部が形成される。
この第6工程を経た段階では、両本体布部43,44の上端部の後半部が縫合されていない。この未縫合部分を通じ、両本体布部43,44の内外が連通されている。
<第7工程>
第7工程では、図18(a),(b)に示すように、他の部分の内側へ折り曲げた状態で入り込ませられていた両本体布部43,44の後端部が後方へ引き出される。
図18(a)において二点鎖線で示されるリテーナ32が、両本体布部43,44の上端部の未縫合部分を通じて両本体布部43,44間(エアバッグ本体41内)の後端部に挿入される。
リテーナ32の上端部が挿入口49を通じエアバッグ本体41の外部に露出されるとともに、同リテーナ32の下部が、インナチューブ80とエアバッグ本体41との間に挿入される。リテーナ32のボルト33が本体布部43のボルト孔51に挿通される。すると、図18(a)において実線及び破線で示すように、リテーナ32がエアバッグ本体41に対し位置決めされた状態で係止される。
その後、両本体布部43,44における上側の周縁部同士が縫合されることで、周縁結合部45の残部が形成される。
このようにして、エアバッグ40内にリテーナ32が配置されてなるモジュール前駆体AM′が得られる。
なお、上記モジュール前駆体AM′は、エアバッグ本体41が折り畳まれることにより、コンパクトな形態にされて、第2の製造拠点へ輸送される。
第2の製造拠点では、上記モジュール前駆体AM′におけるリテーナ32内にインフレータ31が挿入される。リテーナ32がインフレータ31にかしめられることで、インフレータ31がリテーナ32に係止される。シートバック14における限られた大きさの収納部18(図4参照)に収納しやすいコンパクトな形態(以下「収納用形態」という)のエアバッグモジュールAMが得られる。
上記エアバッグモジュールAMの車両用シート12への組付けに際しては、図4に示すように、エアバッグモジュールAMが収納部18に収容される。ガス発生器30から延びて本体布部43のボルト孔51に挿通されたボルト33がサイドフレーム部15に挿通され、その挿通状態のボルト33にナット34が締付けられる。この締付けにより、ガス発生器30がエアバッグ本体41と一緒にサイドフレーム部15に取付けられる。このようにして、ガス発生器30がサイドフレーム部15を通じて車両10に固定される。この作業は、上記第2の製造拠点で行なわれてもよいし、別の拠点で行なわれてもよい。
なお、ガス発生器30は、上述したボルト33及びナット34とは異なる部材によってサイドフレーム部15に取付けられてもよい。また、リテーナ32が用いられることなくインフレータ31がサイドフレーム部15に直接取付けられてもよい。
サイドエアバッグ装置は、上述したエアバッグモジュールAMのほかに、図1に示す衝撃センサ95及び制御装置96を備えている。衝撃センサ95は加速度センサ等からなり、車両10のボディサイド部11に設けられており、同ボディサイド部11に外側方から加えられる衝撃を検出する。制御装置96は、衝撃センサ95の検出信号に基づきインフレータ31の作動を制御する。
さらに、車室内には、車両用シート12に着座している乗員Pをその車両用シート12に拘束するためのシートベルト装置が装備されているが、図1〜図3等ではこのシートベルト装置の図示が省略されている。
上記のようにして、第1実施形態のサイドエアバッグ装置が構成されている。次に、このサイドエアバッグ装置の作用について説明する。
サイドエアバッグ装置では、ボディサイド部11に対し側方から衝撃が加わったことが衝撃センサ95によって検出されないときには、制御装置96からインフレータ31に対し、これを作動させるための作動信号が出力されず、膨張用ガスが噴出されない。エアバッグ本体41は、収納用形態で収納部18に収納され続ける。
これに対し、車両10の走行中等に、側突等によりボディサイド部11に所定値以上の衝撃が加わり、そのことが衝撃センサ95によって検出されると、その検出信号に基づき制御装置96からインフレータ31に対し、これを作動させるための作動信号が出力される。この作動信号に応じて、インフレータ31のガス噴出部から膨張用ガスが噴出される。噴出された膨張用ガスは、インナチューブ80により、上方へ向かうものと下方へ向かうものとに分配される。分配されて下方へ向かう膨張用ガスは、上方へ向かう膨張用ガスよりも多い。上方へ分配された膨張用ガスは、インナチューブ80の上端から上膨張室73に供給される。この膨張用ガスにより、上膨張室73の内圧が上昇し、同上膨張室73が膨張を開始する。
また、下方へ分配された膨張用ガスは、インナチューブ80の下端から逆止弁67に供給される。膨張用ガスが逆止弁67に供給されている期間には、両弁体部71には、これを筒状にさせようとする力が発生する。そのため、膨張用ガスが連通部66及び両弁体部71間を通り、下膨張室72へ流入する。膨張用ガスにより下膨張室72の内圧が上昇し、同下膨張室72が膨張を開始する。
インフレータ31からの膨張用ガスの供給が続くことで、上膨張室73及び下膨張室72の各内圧が上昇していく。ただし、下膨張室72には上膨張室73よりも多くの膨張用ガスが供給されることから、同下膨張室72の内圧が上膨張室73の内圧よりも高くなる。上膨張室73及び下膨張室72が膨張することで、横区画部60が車幅方向の両側へ引っ張られる。
これらの上膨張室73及び下膨張室72の各膨張は、折り畳まれた順とは逆の順に、折り状態の解消を伴いながらなされる。これは、エアバッグ40において後から折り畳まれた部分が、先に折り畳まれた部分の折り状態の解消を規制するからである。このように展開及び膨張するエアバッグ40によってシートバック14のシートパッド16が押圧され、破断予定部21(図4参照)において破断される。図20に示すように、エアバッグ本体41は、その一部を収納部18に残した状態で、破断された箇所を通じてシートバック14から、前方へ飛び出す。
その後も膨張用ガスが供給されるエアバッグ40は、図2及び図3において二点鎖線で示すように、ボディサイド部11と、車両用シート12に着座している乗員Pの上半身との間で前方へ向けて折り状態を解消しながら展開する。図9に示すように、上膨張室73が、乗員Pの腰部PPよりも上側部分(胸部PTを含む)の側方で展開及び膨張する。また、下膨張室72が、乗員Pの腰部PPの側方で、上膨張室73よりも高い内圧で展開及び膨張する。
そのため、胸部PTよりも耐衝撃性の高い腰部PPが、高い内圧で膨張した下膨張室72によって押圧される。また、腰部PPよりも耐衝撃性の低い胸部PTが、下膨張室72よりも低い内圧で膨張した上膨張室73によって押圧される。その結果、腰部PP及び胸部PTが、上記の耐衝撃性に即した圧力分布で膨張した下膨張室72及び上膨張室73によって拘束される。ボディサイド部11を通じて伝わる側方からの衝撃が、下膨張室72及び上膨張室73によって緩和されて、腰部PP及び胸部PTが保護される。
ここで、図19(b)に示すように、車幅方向の両側へ引っ張られた横区画部60は緊張した状態となる。この緊張状態の横区画部60により、下膨張室72及び上膨張室73の車幅方向の膨張厚みが規制される。
しかし、上膨張室73の展開及び膨張に伴い、乗員Pの胸部PTの側方では、図21に示すように、一対の膨張厚み規制部90がそれぞれ前後方向に緊張した状態となる。各膨張厚み規制部90の前後長L1Uは、上述したように上膨張室73のうち、乗員Pにおける胸部PTの少なくとも一部の側方で膨張する部位の前後方向の周長L2Uよりも短い。
しかも、各膨張厚み規制部90の後縁部は、エアバッグ本体41の後端部であって、車両10(サイドフレーム部15)に対する固定箇所に接近した箇所で本体布部43,44に結合されている。表現を変えると、各膨張厚み規制部90の後縁部は、エアバッグ本体41の後端部を介して車両10(サイドフレーム部15)に固定されている。これに対し、各膨張厚み規制部90の前縁部は、上記固定箇所から前方へ遠ざかった箇所で本体布部43,44に結合されている。
そのため、上膨張室73の前方への展開及び膨張が、上記のように前後方向に緊張した膨張厚み規制部90により規制される。このようにして、上膨張室73の前後方向の膨張厚みが規制される。
また、本体布部43,44のうち、各膨張厚み規制部90の前縁部が結合された箇所と、後縁部が結合された箇所とによって挟まれた部分は、各膨張厚み規制部90により膨張厚みを規制されていない車幅方向へ膨張しようとする。この膨張により、エアバッグ本体41が膨張を完了したときには、車幅方向における上膨張室73の上記部位(胸部PTの側方で膨張する部位)の膨張厚みTUが下膨張室72の膨張厚みTL(図3)よりも大きくなる。
特に、一対の本体布部43,44毎に膨張厚み規制部90が設けられた第1実施形態では、上膨張室73のうち、乗員Pの胸部PTの側方で膨張する部位の車幅方向の膨張厚みTUが、同車幅方向の両側へ増加する。従って、上膨張室73の上記部位は、膨張厚み規制部90が本体布部43,44の一方のみに設けられた場合よりも多く車幅方向へ膨張する。車幅方向における上記部位での上膨張室73の膨張厚みTUがより大きくなる。
その結果、上膨張室73の上記部位は、下膨張室72よりも低い内圧で膨張及び展開するものの、車幅方向へ大きく膨張する(車幅方向の膨張厚みTUが大きい)ことから、より多くのエネルギーを吸収することが可能となる。
ところで、図9に示すように、インフレータ31からの膨張用ガスの噴出が停止し、下膨張室72内の膨張用ガスが、上膨張室73側へ流れようとすると、逆止弁67における一対の弁体部71が、下膨張室72内の高い圧力を受けて押圧され、互いに接触する。逆止弁67が閉弁された状態となり、下膨張室72の膨張用ガスが、両弁体部71間及び連通部66を順に通って上膨張室73へ流出(逆流)することを規制される。従って、乗員Pの腰部PPを保護するのに適切な内圧(上膨張室73よりも高い内圧)にまで高められた下膨張室72の内圧が逆流により低下することが抑制される。
また、下膨張室72内の余剰の膨張用ガスは、排気孔85を通じてエアバッグ40の前下方へ排出される。また、上膨張室73内の余剰の膨張用ガスは、排気孔(図示略)を通じてエアバッグ40の前方へ排出される。これらの排出により、乗員Pのエアバッグ40による拘束時には、下膨張室72及び上膨張室73の内圧がそれぞれ低下し、乗員Pが適切な押圧力で押圧される。
以上詳述した第1実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)第1実施形態は、エアバッグ本体41内を横区画部60により上膨張室73と下膨張室72とに区画し、上膨張室73を乗員Pの腰部PPよりも上側部分の側方で膨張させ、下膨張室72を乗員Pの腰部PPの側方で、上膨張室73よりも高い内圧で膨張させるようにしたエアバッグ40を前提とする(図9)。
上膨張室73のうち、乗員Pにおける胸部PTの少なくとも一部の側方で膨張する部位の内部に、同部位の前後方向の周長L2Uよりも短い前後長L1Uを有し、かつ上膨張室73の膨張に伴い緊張状態となるシート状の膨張厚み規制部90を架設する。この膨張厚み規制部90により、エアバッグ本体41が膨張を完了したとき、車幅方向における上膨張室73の膨張厚みTUが下膨張室72の膨張厚みTLよりも大きくなるように、上記部位での上膨張室73の前後方向の膨張厚みを規制するようにしている(図3、図21)。
そのため、上膨張室73のうち、乗員Pの胸部PTの少なくとも一部の側方で膨張する部位を車幅方向へ大きく膨張させることで、同上膨張室73によるエネルギー吸収量を多くし、胸部PTを保護する性能をさらに高めることができる。
(2)エアバッグ本体41の膨張部46の容量を多くすることによっても、すなわち、膨張部46を大型化することによっても、車幅方向における上膨張室73の膨張厚みを増大して、上膨張室73が乗員Pの胸部PTを保護する性能を高めることは可能である。ただし、この場合には、エアバッグ本体41として大きなものが用いられる。また、膨張用ガスを多く噴出する大型のインフレータ31が用いられる。そのため、エアバッグモジュールAMの重量が増加することとなり、車両等の軽量化の点で望ましくない。
この点、第1実施形態では、エアバッグ本体41の膨張部46の容量を変えずに、膨張厚み規制部90を追加することのみをもって車幅方向における上記部位(胸部PTの側方で膨張する部位)での上膨張室73の膨張厚みTUを増大させている(図21)。
そのため、エアバッグ本体41として大きなものを用いたり、インフレータ31として大型のものを用いたりしなくてもすみ、エアバッグモジュールAMの重量増加をさほど伴わずに、上記胸部PTを保護する性能の向上効果を得ることができる。
(3)インフレータ31からの膨張用ガスを、上膨張室73に対するよりも下膨張室72に対し多く供給する。横区画部60には、インフレータ31から供給されて下膨張室72に流入した膨張用ガスの上膨張室73への流出を規制する逆止弁67を設けている(図7、図9)。
そのため、上記(1)で前提とされたエアバッグ40において、下膨張室72の内圧を上膨張室73の内圧よりも高くすることができる。
(4)車幅方向に重ね合わされた一対の本体布部43,44の周縁部同士を周縁結合部45で結合することによりエアバッグ本体41を形成する。膨張厚み規制部90を、その前縁部及び後縁部において本体布部43,44に結合している(図21)。
そのため、本体布部43,44のうち、膨張厚み規制部90の前縁部が結合された箇所と、後縁部が結合された箇所とによって挟まれた部分を、車幅方向外側へ膨張させることで、車幅方向における上膨張室73の上記部位(胸部PTの側方で膨張する部位)の膨張厚みTUを増大させることができる。
(5)膨張厚み規制部90のエアバッグ本体41に対する結合を、一対の本体布部43,44のそれぞれに対し行なっている(図21)。
そのため、上膨張室73のうち胸部PTの側方で膨張する部位を、膨張厚み規制部90が一方の本体布部43,44にのみ設けられた場合よりも多く車幅方向へ膨張させる(膨張厚みTUを大きくする)ことができる。
(6)各膨張厚み規制部90の後縁部の本体布部43,44に対する結合を、エアバッグ本体41の車両10(サイドフレーム部15)に対する固定箇所に接近した箇所で行なっている(図21)。
そのため、上膨張室73の前方への展開及び膨張を、前後方向に緊張した膨張厚み規制部90によって規制することができる。その結果、収納部18の前方にたとえ障害物があったとしても、その障害物が上膨張室73によって強く押圧されるのを抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した第2実施形態について、図22〜図25を参照して説明する。
第2実施形態では、膨張部46内に上記横区画部60に加え、縦区画部100が設けられている。縦区画部100も横区画部60と同様、テザーと呼ばれるものと同様の構成を有している。
<縦区画部100>
図23及び図24に示すように、縦区画部100は、上膨張室73を前後2つの部分に区画するためのものであり、本体布部43,44と同様の素材からなる一対の布片101を備えている。各布片101の上部は、上側ほど前方に位置するように傾斜する傾斜部101aにより構成されている。両布片101は、後側の側縁部に沿って設けられた側縁結合部102によって相互に結合されている。
各布片101における傾斜部101aの上端部は、上述した周縁結合部45によって両本体布部43,44の前上端部に対し、共縫いにより結合されている。各布片101の下部は、横区画部60の両構成布部62,63上に重ねられている。各布片101の下端部は、上述した下側の横結合部65によって両構成布部62,63に対し、共縫いにより結合されている。
各布片101は、両構成布部62,63に重ならない箇所では、前側の側縁部に沿って設けられた側縁結合部103によって本体布部43,44に結合されている。また、各布片101は、両構成布部62,63に重なる箇所では、上記側縁結合部103の下側に設けられた側縁結合部104によって、構成布部62,63にのみ結合されている。
上膨張室73において縦区画部100よりも後側の部分は上後膨張室74を構成している。上後膨張室74内の後端部にはガス発生器30が配置されている。上後膨張室74は、インフレータ31からの膨張用ガスが供給されて、乗員Pの上半身のうち、胸部PTの後半部の側方と、肩部PSの側方とで展開及び膨張する。この上後膨張室74のうち、乗員Pの肩部PSの側方で膨張するのは、傾斜部101aよりも後方部分である。
また、上膨張室73において縦区画部100よりも前側の部分は、上後膨張室74及び縦区画部100を経由した膨張用ガスが供給されて、乗員Pの上半身のうち、胸部PTの前半部の側方で展開及び膨張する上前膨張室75を構成している。上後膨張室74及び上前膨張室75は、縦区画部100を介して互いに前後に隣接している。
縦区画部100には、上後膨張室74と上前膨張室75とを連通させる連通部105が設けられている。第2実施形態では、連通部105として孔が布片101毎に1つずつあけられている。
なお、連通部105は、布片101毎に複数設けられてもよい。また、連通部105は、両布片101の片方にのみ設けられてもよい。また、縦区画部100が1枚の布片を折り線に沿って二つ折りしたものである場合には、連通部105は、縦区画部100の折り線上に設けられてもよい。この場合、連通部105は、1箇所にのみ設けられてもよいし、複数箇所に設けられてもよい。
また、上前膨張室75の前端部には、下膨張室72の前下部に設けられた排気孔85と同様の構造を有し、かつ同上前膨張室75内の膨張用ガスを排出するための排気孔85が設けられている。
各膨張厚み規制部90は、本体布部43,44の上部であって、インナチューブ80から上方へ離れた箇所に配置されている。各膨張厚み規制部90の前縁部は、縦結合部91により、縦区画部100の側縁結合部103の近傍で、同縦区画部100及び本体布部43,44の少なくとも一方に結合されている。
各膨張厚み規制部90の後縁部は、第1実施形態と同様に、縦結合部92により、スリット47よりもわずかに前方で、すなわち、エアバッグ本体41の車両10(サイドフレーム部15)に対する固定箇所に接近した箇所で、本体布部43,44に対し結合されている。このように、本体布部43,44毎の膨張厚み規制部90が、同本体布部43,44のうち上後膨張室74を構成する部分において、前後方向へ離れた2箇所の間に架設されている。各本体布部43,44のうち上記両縦結合部91,92によって挟まれた領域は、たるませられている。
上記以外の構成は第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第2実施形態のサイドエアバッグ装置では、車両用シート12の側方からボディサイド部11に衝撃が加わり、インフレータ31から膨張用ガスが噴出されると、その膨張用ガスは、インナチューブ80により、上方へ向かうものと下方へ向かうものとに分配される。上方へ分配された膨張用ガスは、インナチューブ80の上端から上後膨張室74に供給される。この膨張用ガスにより、上後膨張室74が、乗員Pの肩部PSの側方と胸部PTの後半部の側方とで展開及び膨張する。
上後膨張室74の膨張が進むにつれて、同上後膨張室74内の膨張用ガスが連通部105を通じて上前膨張室75へ流出し、上後膨張室74に遅れて上前膨張室75が膨張を開始する。上後膨張室74よりも内圧の低い上前膨張室75は、肩部PSや胸部PTの後半部よりも耐衝撃性の低い胸部PTの前半部の側方で展開及び膨張する。
ここで、上膨張室73が縦区画部100によって上後膨張室74及び上前膨張室75に区画されていることから、上後膨張室74の容積は、上膨張室73が区画されていない場合のその上膨張室73の容積よりも小さい。そのため、上後膨張室74の内圧は、上膨張室73が区画されていない場合よりも早く上昇を開始し、しかも高くなる。従って、乗員Pの腰部PPよりも上側部分の後半部が上後膨張室74によって迅速に拘束及び保護される。
また、上記上後膨張室74の展開及び膨張に伴い、乗員Pの胸部PTの後半部の側方では、一対の膨張厚み規制部90がそれぞれ前後方向に緊張した状態となる。上後膨張室74の前方への展開及び膨張、ひいては上後膨張室74の前後方向の膨張厚みが、第1実施形態と同様にして両膨張厚み規制部90により規制される。
上後膨張室74は、両膨張厚み規制部90により膨張厚みを規制されていない車幅方向へ膨張する。そして、エアバッグ本体41が膨張を完了したときには、上後膨張室74のうち、胸部PTの後半部の側方で膨張する部位での車幅方向の膨張厚みTU(図23参照)が下膨張室72の膨張厚みTL(図25参照)よりも大きくなる。従って、上後膨張室74の上記部位によるエネルギー吸収量が多くなり、胸部PTの後半部を保護する性能が高まる。
また、上後膨張室74のうち、縦区画部100上部の傾斜部101aよりも後方部分は、乗員Pの肩部PSの側方で膨張することで同肩部PSを拘束し、衝撃から肩部PSを保護する。
ここで、車両用シート12に着座した乗員Pとボディサイド部11との間隙は、同乗員Pの肩部PSにおいて他の箇所、例えば胸部PTよりも狭い(図25参照)。そのため、このように間隙の狭い箇所でも上後膨張室74を展開及び膨張させるうえでは、乗員Pの肩部PSの側方では、上後膨張室74を車幅方向に小さな膨張厚みで膨張させることが望ましい。
この点、第2実施形態では、両膨張厚み規制部90が、上後膨張室74のうち傾斜部101aよりも低い箇所に配置されている。そのため、上後膨張室74は、乗員Pの肩部PSよりも低い箇所(胸部PTの後半部の側方)で、車幅方向に大きな膨張厚みTUで膨張する。上後膨張室74は、乗員Pの肩部PSの側方では、車幅方向に小さな膨張厚みで膨張する。
従って、第2実施形態によると、上記(1)〜(6)と同様の効果が得られるほか、次の効果が得られる。
(7)上膨張室73を、連通部105を有する縦区画部100により、インフレータ31からの膨張用ガスが供給される上後膨張室74と、連通部105を経由した膨張用ガスが供給される上前膨張室75とに区画する。そして、膨張厚み規制部90を上後膨張室74内に架設している(図23、図24)。
そのため、上後膨張室74のうち胸部PTの後半部の側方で膨張する部位によるエネルギー吸収量を多くし、同胸部PTの後半部を保護する性能を高めることができる。
(8)縦区画部100の上部を、上側ほど前方に位置するように傾斜する傾斜部101aにより構成し、上後膨張室74のうち傾斜部101aよりも後方部分を、乗員Pの肩部PSの側方で膨張させる。そして、膨張厚み規制部90を、上後膨張室74のうち傾斜部101aよりも低い箇所に配置している(図22、図24)。
そのため、上後膨張室74により乗員Pの胸部PTの後半部を保護する性能を高めつつ、同上後膨張室74を、乗員Pの肩部PSとボディサイド部11との間の狭い間隙で展開及び膨張させることができる。
(第3実施形態)
次に、車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した第3実施形態について、図26及び図27を参照して説明する。
第3実施形態では、上膨張室73内の膨張厚み規制部90に加え、下膨張室72内に一対の下膨張厚み規制部110が設けられている。両下膨張厚み規制部110は、乗員Pの腰部PPの側方で膨張する下膨張室72の前後方向の膨張厚みを規制して、車幅方向の膨張厚みを増加させるためのものである。
両下膨張厚み規制部110は、本体布部43,44と同様のシート状素材によって矩形状に形成された布片を、各本体布部43,44のうち下膨張室72を構成する部位に架設することにより形成されている。
図26に示すように、各下膨張厚み規制部110としては、各本体布部43,44のうち、同下膨張厚み規制部110が架設された部位の前後方向の周長L2Lよりも前後長L1Lの短いものが用いられている。
図26及び図27に示すように、各下膨張厚み規制部110は、本体布部43,44の下部に配置されている。
各下膨張厚み規制部110の本体布部43,44に対する結合は、一対の縦結合部111,112によってなされている。各縦結合部111は、下膨張厚み規制部110の前縁部において略上下方向へ延びるように設けられており、同前縁部を、対応する本体布部43,44の前部に結合している。各縦結合部112は、下膨張厚み規制部110の後縁部において略上下方向へ延びるように設けられており、同後縁部を、対応する本体布部43,44の後部に結合している。表現を変えると、各下膨張厚み規制部110の後縁部は、エアバッグ本体41の車両10(サイドフレーム部15)に対する固定箇所に接近した箇所で、本体布部43,44に結合されている。このように、本体布部43,44毎の下膨張厚み規制部110が、同本体布部43,44のうち下膨張室72を構成する部分において、前後方向へ離れた2箇所の間に架設されている。各本体布部43,44のうち前後の両縦結合部111,112によって挟まれた領域は、たるませられている。
上述したように、各下膨張厚み規制部110の前後長L1Lが下膨張室72の周長L2Lよりも短いことから、各下膨張厚み規制部110は、下膨張室72の膨張に伴い緊張状態となることで、本体布部43,44の前後方向の膨張厚みを規制する。この規制により、図26に示すように、上記部位では下膨張室72の車幅方向の膨張厚みTLが、下膨張厚み規制部110による規制のない場合の膨張厚みT0Lよりも大きくなる。
上記膨張厚みの増大量ΔTL(=TL−T0L)は、周長L2Lと前後長L1Lとの差が大きくなるに従い多くなる。第3実施形態では、エアバッグ本体41が膨張を完了したとき、下膨張室72の膨張厚みTLが上膨張室73の膨張厚みTU(図21参照)よりも小さくなるように、上記差が設定されている。
上記以外の構成は第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、図27では、インナチューブ80、排気孔85の図示が省略されている。
上記の構成を有する第3実施形態のサイドエアバッグ装置では、上膨張室73及び下膨張室72の膨張に伴い横区画部60が車幅方向の両側へ引っ張られる。横区画部60が緊張状態になることで、下膨張室72及び上膨張室73の車幅方向の膨張厚みが規制される。
しかし、下膨張室72の展開及び膨張に伴い、乗員Pの腰部PPの側方では、両下膨張厚み規制部110が前後方向に緊張した状態となる。各下膨張厚み規制部110の前後長L1Lは、下膨張室72のうち、下膨張厚み規制部110が架設された部位の前後方向の周長L2Lよりも短い。
しかも、各下膨張厚み規制部110の後縁部は、エアバッグ本体41の車両10(サイドフレーム部15)に対する固定箇所に接近した箇所で本体布部43,44に結合されている。これに対し、各下膨張厚み規制部110の前縁部は、上記固定箇所から前方へ遠ざかった箇所で本体布部43,44に結合されている。
そのため、下膨張室72の前方への展開及び膨張が、上記のように前後方向に緊張した下膨張厚み規制部110により規制される。このようにして、下膨張室72の前後方向の膨張厚みが規制される。
また、本体布部43,44のうち、各下膨張厚み規制部110の前縁部が結合された箇所と、後縁部が結合された箇所とによって挟まれた部位は、下膨張厚み規制部110により膨張厚みを規制されていない車幅方向へ膨張しようとする。そして、エアバッグ本体41が膨張を完了したときには、下膨張室72の上記部位での膨張厚みTLは、上膨張室73の膨張厚みTU(図21参照)よりも大きくならない範囲で、下膨張厚み規制部110が設けられない場合の膨張厚みT0Lよりも大きくなる。
第3実施形態でも、第1実施形態と同様に、一対の本体布部43,44毎に下膨張厚み規制部110が設けられている。そのため、下膨張室72のうち、下膨張厚み規制部110が架設された部位の膨張厚みTLが、同車幅方向の両側へ増加する。従って、下膨張室72の上記部位は、下膨張厚み規制部110が本体布部43,44の一方のみに設けられた場合よりも多く車幅方向へ膨張する。車幅方向における上記部位での下膨張室72の膨張厚みTLがより大きくなる。その結果、下膨張室72の上記部位によるエネルギー吸収量がさらに多くなる。
従って、第3実施形態によると、上記(1)〜(6)と同様の効果が得られるほか、次の効果が得られる。
(9)乗員Pの腰部PPの側方で展開及び膨張する下膨張室72の内部に、同下膨張室72の膨張に伴い前後方向に緊張した状態となるシート状の下膨張厚み規制部110を架設する。下膨張厚み規制部110として、前後長L1Lが、下膨張室72のうち同下膨張厚み規制部110が架設された部位の前後方向の周長L2Lよりも短いものを用いている(図26、図27)。
そのため、下膨張室72のうち、下膨張厚み規制部110が架設された部位を車幅方向へ大きく膨張させることで、同下膨張室72によるエネルギー吸収量をさらに多くし、腰部PPを保護する性能をさらに高めることができる。
なお、上記各実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<膨張部46について>
・エアバッグ本体41は、その略全体が上記各実施形態のように膨張部46からなるものであってもよいが、膨張用ガスが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
<インナチューブ80について>
・インナチューブ80の形状は、次の条件を満たす範囲内で変更可能である。
条件1:インフレータ31の少なくともガス噴出部を取り囲んでいること。
条件2:略上下方向に延び、上膨張室73(上後膨張室74)及び下膨張室72に跨っていること。
従って、例えば、インナチューブ80はインフレータ31の全体を取り囲むものであってもよい。
<膨張厚み規制部90及び下膨張厚み規制部110について>
・膨張厚み規制部90及び下膨張厚み規制部110の少なくとも一方は、一対の本体布部43,44の一方にのみ架設されてもよい。
・第1及び第2の各実施形態において、膨張厚み規制部90は、上膨張室73のうち、乗員Pの胸部PTの一部の側方で膨張する部位に設けられてもよいし、胸部PTの全体の側方で膨張する部位に設けられてもよい。
<エアバッグモジュールAMの収納部18について>
・車両用シート12のシートバック14に代えてボディサイド部11に収納部18が設けられ、ここにエアバッグモジュールAMが組み込まれてもよい。
<その他>
・第2実施形態において、連通部105の開き具合を調整することにより、上後膨張室74及び上前膨張室75の各内圧を調整する調圧弁が設けられてもよい。
この場合、調圧弁としては、例えば上後膨張室74による乗員Pの拘束前、又は上後膨張室74への膨張用ガスの供給初期には、上後膨張室74から上前膨張室75への膨張用ガスの流通を制限するものが用いられてもよい。さらに、上記調圧弁は、上後膨張室74による乗員Pの拘束に伴い加わる外力に応じて、又は上後膨張室74の内圧上昇に応じて、上記流通制限を解除するものであってもよい。
・上記サイドエアバッグ装置は、シートバック14が車両の前方とは異なる方向、例えば側方を向く姿勢で車両用シート12が配置された車両において、その車両用シート12に対し側方(車両の前後方向)から衝撃が加わった場合に、同衝撃から乗員Pを保護するタイプのサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
・上記サイドエアバッグ装置が適用される車両には、自家用車に限らず各種産業車両も含まれる。
・上記サイドエアバッグ装置は、車両以外の乗物、例えば航空機、船舶等に装備されて、乗物用シートに着座している乗員を衝撃から保護するサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
10…車両(乗物)、12…車両用シート(乗物用シート)、31…インフレータ、41…エアバッグ本体、43,44…本体布部、60…横区画部、66,105…連通部、67…逆止弁、72…下膨張室、73…上膨張室、74…上後膨張室、75…上前膨張室、90…膨張厚み規制部、100…縦区画部、101a…傾斜部、110…下膨張厚み規制部、L1L,L1U…前後長、L2L,L2U…周長、P…乗員、PP…腰部、PS…肩部、PT…胸部、T0L,TL,T0U,TU…膨張厚み。

Claims (8)

  1. 乗物用シートの側方から乗物に加わる衝撃に応じてインフレータから供給される膨張用ガスにより、前記乗物用シートに着座した乗員の側方で展開及び膨張して同乗員を拘束するエアバッグ本体を備え、
    前記エアバッグ本体内の少なくとも一部は、横区画部により、同横区画部よりも上側の上膨張室と、同横区画部よりも下側の下膨張室とに区画され、
    前記上膨張室は、前記乗員の腰部よりも上側部分の側方で膨張し、前記下膨張室は、前記乗員の腰部の側方で、前記上膨張室よりも高い内圧で膨張するものであり、
    前記上膨張室のうち、乗員における胸部の少なくとも一部の側方で膨張する部位の内部には、同部位の前後方向の周長よりも短い前後長を有し、かつ前記上膨張室の膨張に伴い前後方向に緊張した状態となるシート状の膨張厚み規制部が架設されており、
    前記膨張厚み規制部は、前記エアバッグ本体が膨張を完了したとき、前記乗物用シートの幅方向における前記部位での上膨張室の膨張厚みが前記下膨張室の膨張厚みよりも大きくなるように、前記上膨張室の前後方向の膨張厚みを規制するものであるサイドエアバッグ装置。
  2. 前記インフレータからの膨張用ガスは、前記上膨張室に対するよりも前記下膨張室に対し多く供給され、
    前記横区画部には、前記インフレータから供給されて前記下膨張室に流入した膨張用ガスの前記上膨張室への流出を規制する逆止弁が設けられている請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
  3. 前記上膨張室は、連通部を有する縦区画部により、同縦区画部よりも後側に位置し、かつ前記インフレータからの膨張用ガスが供給される上後膨張室と、同縦区画部よりも前側に位置し、かつ前記連通部を経由した膨張用ガスが供給される上前膨張室とに区画されており、
    前記膨張厚み規制部は前記上後膨張室内に架設されている請求項1又は2に記載のサイドエアバッグ装置。
  4. 前記縦区画部の上部は、上側ほど前方に位置するように傾斜する傾斜部により構成されており、
    前記上後膨張室のうち前記傾斜部よりも後方部分は、乗員の肩部の側方で膨張するものであり、
    前記膨張厚み規制部は、前記上後膨張室のうち前記傾斜部よりも低い箇所に配置されている請求項3に記載のサイドエアバッグ装置。
  5. 前記エアバッグ本体は、前記乗物用シートの幅方向に重ね合わされた一対の本体布部の周縁部同士を結合することにより形成されており、
    前記膨張厚み規制部は、その前縁部及び後縁部において前記本体布部に結合されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のサイドエアバッグ装置。
  6. 前記膨張厚み規制部は、前記本体布部毎に設けられている請求項5に記載のサイドエアバッグ装置。
  7. 前記エアバッグ本体は、同エアバッグ本体の後端部において前記乗物に固定されており、
    前記膨張厚み規制部の後縁部は、前記エアバッグ本体の前記乗物に対する固定箇所に接近した箇所で、前記本体布部に対し結合されている請求項5又は6に記載のサイドエアバッグ装置。
  8. 前記下膨張室の内部には、同下膨張室の膨張に伴い前後方向に緊張した状態となるシート状の下膨張厚み規制部が架設されており、
    前記下膨張厚み規制部は、前記下膨張室のうち同下膨張厚み規制部が架設された部位の前後方向の周長よりも短い前後長を有している請求項1〜7のいずれか1項に記載のサイドエアバッグ装置。
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