JP7063280B2 - 側突用エアバッグ装置 - Google Patents

Description

本発明は、車両等の乗物の側壁部に対し、側突により側方から衝撃が加わった場合に、隣り合う乗物用シート間でエアバッグを展開及び膨張させることで、衝撃の加わった側壁部から遠い側の乗物用シートに着座している乗員を保護する側突用エアバッグ装置に関する。

車幅方向に複数の車両用シートが並設された車両の中には、側突用エアバッグ装置が搭載されたものがある。このタイプのエアバッグ装置は、バッグ本体を有するエアバッグと、そのバッグ本体内に配置されたガス発生器とを備え、車両用シートのうち、隣の車両用シートに近い側の側部内に組み込まれる。ガス発生器はバッグ本体の後下部に配置され、そのバッグ本体と一緒に車両用シートに固定される。

そして、車両のサイドドア等の側壁部に対し、側突により側方から衝撃が加わると、ガス発生器から膨張用ガスが噴出される。この膨張用ガスにより、バッグ本体が車両用シートの側部から出て、隣り合う車両用シート間で、斜め前上方へ向けて展開及び膨張される。衝撃の加わった側壁部から遠い側の車両用シートに着座している乗員の上半身は、慣性により、その側壁部側へ倒れ込もうとするが、上記バッグ本体によって受け止められ、衝撃から保護される。

上記側突用エアバッグ装置では、バッグ本体を、予め定められた展開領域で展開及び膨張させることが、乗員を衝撃から保護するうえで重要である。
しかし、バッグ本体は、その後下部においてのみ固定されていることから、斜め前上方へ展開及び膨張する際に、勢いにより、車両用シートとの固定部分を中心として前後方向へ回転するように倒れようとし、上記展開領域から前後方向へ飛び出すおそれがある。

そこで、例えば、特許文献１には、上ストラップ部及び下ストラップ部を設け、これらを、展開及び膨張するバッグ本体によって緊張状態にさせることで、同バッグ本体の前後方向の不要な動きを抑制する技術が記載されている。

特許第６３２７１１０号公報

上記特許文献１によれば、バッグ本体を、予め定められた展開領域で展開及び膨張させて、乗員を衝撃から保護する性能を高めることが可能である。
ところが、上記特許文献１には、側突により乗員が、衝撃の加わった側壁部側へ倒れ込もうとした場合に、その乗員をバッグ本体によって受け止める性能を高めることに関しては、特に開示されていない。

本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、バッグ本体の不要な動きを少なくして、乗員を衝撃から保護する性能を一層高めることのできる側突用エアバッグ装置を提供することにある。

上記課題を解決する側突用エアバッグ装置は、複数の乗物用シートが幅方向に並設された乗物に対し、自身の後下部に設定した固定部において固定されるバッグ本体を有するエアバッグを備え、前記乗物の側壁部に対し側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより、隣り合う乗物用シート間で前記バッグ本体を、前記固定部から斜め前上方へ向けて展開及び膨張させ、前記側壁部から遠い側の乗物用シートに着座している乗員を衝撃から保護する側突用エアバッグ装置であり、前記バッグ本体の展開及び膨張に伴い同バッグ本体よりも乗員側で緊張状態になる第１外テザー及び第２外テザーをさらに備え、前記第１外テザー及び前記第２外テザーの各一端部は前記固定部に取り付けられ、前記第１外テザーの他端部は、前記バッグ本体のうち、前記乗員の肩部と当接する箇所に取り付けられ、前記第２外テザーの他端部は前記バッグ本体の前端部に取り付けられ、前記バッグ本体には、前記第１外テザーの前記他端部が取り付けられた箇所での膨張厚みを規制する第１膨張厚み規制部と、前記第１膨張厚み規制部及び前記固定部の間での膨張厚みを規制する第２膨張厚み規制部とが設けられており、前記第１膨張厚み規制部及び前記第２膨張厚み規制部の間での膨張厚みが、前記第２膨張厚み規制部及び前記固定部の間での膨張厚みよりも大きく設定されている。

上記の構成によれば、側突により、乗物の一方の側壁部に対し側方から衝撃が加わると、乗員は、慣性により衝撃の加わった側壁部側へ移動しようとする。一方で、膨張用ガスがエアバッグのバッグ本体に供給されて、同バッグ本体が、隣り合う乗物用シート間で展開及び膨張する。展開及び膨張するバッグ本体によって第１外テザー及び第２外テザーがそれぞれ引っ張られる。第２外テザーは、バッグ本体の固定部に取り付けられた一端部と、バッグ本体の前端部に取り付けられた他端部との間で緊張状態となる。

そのため、後下部に設定された固定部において乗物に固定されているバッグ本体が斜め前上方へ展開及び膨張する際に、同固定部を中心として後方へ回転しようとしても、その回転は、緊張状態の第２外テザーによって規制され、バッグ本体が後方へ倒れることが抑制される。

また、第１外テザーは、固定部に取り付けられた一端部と、バッグ本体のうち乗員の肩部と当接する箇所に取り付けられた他端部との間で緊張状態となる。バッグ本体のうち、第１膨張厚み規制部と第２膨張厚み規制部との間の領域は、第２膨張厚み規制部と固定部との間の領域よりも乗物の幅方向へ大きく膨張し、第１外テザーを乗員側へ押圧する。バッグ本体に対しては、これを固定部側へ引っ張ろうとする張力が、第１外テザーを通じて加わるところ、第１膨張厚み規制部に対し第２膨張厚み規制部側の近傍となる箇所では、曲面状の膨張部分に沿う方向、この場合、後ろ側ほど乗員に近づく側（斜め後乗員側）へ引っ張ろうとする張力が加わる。バッグ本体のうち、第１膨張厚み規制部に対し第２膨張厚み規制部側の近傍となる箇所には、乗物の幅方向のうち乗員側に向かう分力が発生する。この分力は、衝撃の加わった側壁部側へ移動しようとする乗員からバッグ本体が受ける外力を打ち消す反力として作用する。その結果、乗員から外力を受けてもバッグ本体が動きにくく、衝撃の加わった側壁部側への乗員の上記移動が抑制される。

また、第１膨張厚み規制部と第２膨張厚み規制部との間の領域は、上記のように大きな膨張厚みで膨張するが、この領域は、バッグ本体のうち乗員の肩部と当接する箇所よりも固定部側に位置する。そのため、乗員の上半身のうち、最も幅方向の寸法の大きな箇所である肩部と、乗物の幅方向に大きく膨張するバッグ本体の上記領域との干渉が抑制される。

上記側突用エアバッグ装置において、前記第１外テザーにおける前記一端部と前記他端部との間の長さは、前記バッグ本体のうち前記第１外テザーの前記他端部が取り付けられた箇所と前記固定部との間の周長よりも短く設定され、前記第２外テザーにおける前記一端部と前記他端部との間の長さは、前記バッグ本体のうち前記第２外テザーの前記他端部が取り付けられた前端部と前記固定部との間の周長よりも短く設定されていることが好ましい。

第１外テザーの長さが、バッグ本体の周長との関係で上記の条件を満たすように設定されると、同第１外テザーは、展開及び膨張するバッグ本体によって引っ張られ、一端部と他端部との間で緊張状態となる。

また、第２外テザーの長さが、バッグ本体の周長との関係で上記の条件を満たすように設定されると、同第２外テザーは、展開及び膨張するバッグ本体によって引っ張られ、一端部と他端部との間で緊張状態となる。

上記側突用エアバッグ装置において、前記バッグ本体は、前記乗員に近い側の乗員側布部と、同乗員から遠い側の反乗員側布部とを備え、前記第１膨張厚み規制部は、前記乗員側布部及び前記反乗員側布部を互いに接触させた状態で結合しており、前記第１外テザーの前記他端部は、前記第１膨張厚み規制部により前記乗員側布部に結合されていることが好ましい。

上記の構成によれば、第１膨張厚み規制部が設けられた箇所では、バッグ本体における乗員側布部及び反乗員側布部が互いに接触させられ、両布部の間隔が、取り得る最小となる。

また、第１膨張厚み規制部が設けられることで、乗員側布部及び反乗員側布部の結合と、第１外テザーの他端部のバッグ本体に対する結合とが同時に行われ、別々に行われる場合に比べ、製造工数が少なくてすむ。

上記側突用エアバッグ装置において、前記バッグ本体は、前記乗員に近い側の乗員側布部と、同乗員から遠い側の反乗員側布部とを備え、前記第１膨張厚み規制部は、前記バッグ本体内に配置されて、前記乗員側布部及び前記反乗員側布部の間に架け渡された内テザーにより構成され、前記内テザーの前記乗員側布部側の端部と、前記第１外テザーの前記他端部とは、共通の結合部により前記乗員側布部に結合されていることが好ましい。

上記の構成によれば、バッグ本体の展開及び膨張に伴い、内テザーが乗物の幅方向の両側へ引っ張られて緊張状態となる。内テザーが架け渡された箇所では、バッグ本体の膨張厚みが、緊張状態の内テザーによって規制される。

また、内テザーの乗員側布部に対する結合と、第１外テザーの他端部の乗員側布部に対する結合とが、共通の結合部によって行われる。そのため、両結合が別々の結合部によって行われる場合に比べ、製造工数が少なくてすむ。

上記側突用エアバッグ装置において、前記バッグ本体は、前記乗員に近い側の乗員側布部と、同乗員から遠い側の反乗員側布部とを備え、前記バッグ本体内の前記第１膨張厚み規制部よりも上方には第１内テザーが配置されており、前記第１内テザーの上下方向における両端部は、前記反乗員側布部において上下方向に離間した箇所に結合され、前記第１内テザーの上下方向における中間部は前記乗員側布部に結合されており、前記第１内テザーの上端部が結合された箇所と、下端部が結合された箇所との間における前記反乗員側布部の周長は、前記第１内テザーの中間部が結合された箇所における前記乗員側布部の上下方向の周長よりも長く設定されていることが好ましい。

上記の構成によれば、バッグ本体内の第１膨張厚み規制部よりも上方部分が、供給された膨張用ガスにより展開及び膨張するときには、第１内テザーは、緊張状態となることで、乗物の幅方向における同上方部分の膨張厚みを規制する。

乗員側布部及び反乗員側布部に対する第１内テザーの結合位置の関係で、乗員側布部の周長と反乗員側布部の周長とが上記条件を満たすように設定されることで、第１内テザーの乗員側布部との結合箇所を支点として、バッグ本体のうち第１内テザーよりも上方部分が、上側ほど乗員側に位置するように屈曲（傾斜）した状態となる。上記上方部分は乗員の頭部に近づき、衝撃の加わった側壁部側への同頭部の動きをより一層規制する。

上記側突用エアバッグ装置によれば、バッグ本体の不要な動きを少なくして、乗員を衝撃から保護する性能を一層高めることができる。

車両用の側突用エアバッグ装置に具体化した一実施形態を示す図であり、同エアバッグ装置が搭載された車両の部分平面図。 一実施形態において、車両用シート、エアバッグ、乗員、センターコンソールボックス及び側壁部の位置関係を車両前方から見た断面図。 一実施形態において、エアバッグモジュールが組み込まれたシートバックの側部の内部構造を示す部分平断面図。 一実施形態において、側突用エアバッグ装置が設けられた車両用シートを乗員等とともに示す側面図。 一実施形態において、バッグ本体が非膨張展開状態にされたエアバッグモジュールを反乗員側から見た側面図。 図５におけるエアバッグモジュールの内部構造を示す側断面図。 一実施形態におけるエアバッグモジュールの展開図。 一実施形態において、バッグ本体が非膨張展開状態にされたエアバッグモジュールを乗員側から見た側面図。 図８のＸ部を拡大して示す部分側面図。 図５の１０－１０線に沿った部分断面図。 図１０のバッグ本体が膨張した状態を示す部分断面図。 一実施形態におけるバッグ本体の上部が展開及び膨張した状態を示す部分断面図。 側突用エアバッグ装置の変形例を示す図であり、図１０に対応する部分断面図。

以下、車両用の側突用エアバッグ装置に具体化した一実施形態について、図１～図１２を参照して説明する。
なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方とし、後進方向を後方として説明する。また、上下方向は車両の上下方向を意味し、左右方向は車幅方向であって車両の前進時の左右方向と一致する。また、車幅方向を規定するために、乗員を基準として、乗員に近づく側を「乗員側」といい、乗員から遠ざかる側を「反乗員側」という場合がある。さらに、車両用シートには、衝突試験用のダミーと同様の体格を有する乗員が正規の姿勢で着座しているものとする。

図１に示すように、乗物としての車両１０の車幅方向における両側部は、ドア、ピラー等からなる側壁部１１，１２によって構成されている。車両１０の車室内には、一対の車両用シート１３，１４が乗物用シートとして、車幅方向に並べられた状態で配置されている。側壁部１１に近い側の車両用シート１３は運転席として機能するものであり、ここに乗員（運転者）Ｐ１が着座している。側壁部１２に近い側の車両用シート１４は助手席として機能するものであり、ここに乗員Ｐ２が着座している。車室内における両車両用シート１３，１４の間には、センターコンソールボックス１５が配置されている。車両用シート１３，１４は互いに同様の構成を有している。そのため、ここでは一方の車両用シート１３についてのみ説明し、車両用シート１４については説明を省略する。この点は、車両用シート１３，１４毎に設けられる側突用エアバッグ装置についても同様である。

図２及び図４に示すように、車両用シート１３は、シートクッション１６と、そのシートクッション１６の後側から起立し、かつ傾斜角度を調整可能に構成されたシートバック１７と、シートバック１７の上に配置されたヘッドレスト１８とを備えている。

次に、車両用シート１３のシートバック１７のうち、隣の車両用シート１４に近い側の側部の内部構造について説明する。
シートバック１７の内部には、その骨格をなすシートフレームが配置されている。シートフレームの一部は、図３に示すように、シートバック１７のうち、隣の車両用シート１４に近い側の側部内に配置されており、この部分（以下「サイドフレーム部２１」という）は、金属板を曲げ加工等することによって形成されている。

サイドフレーム部２１を含むシートフレームの前側には、ウレタンフォーム等の弾性材からなるシートパッド２２が配置されている。また、シートフレームの後側には、合成樹脂等によって形成されたバックボード２３が配置されている。なお、シートパッド２２は表皮によって被覆されているが、図３ではその表皮の図示が省略されている。

シートパッド２２内において、サイドフレーム部２１よりも隣の車両用シート１４に近い側には、収納部２４が設けられている。収納部２４には、側突用エアバッグ装置の主要部をなすエアバッグモジュールＡＢＭが組み込まれている。

収納部２４の前部であって隣の車両用シート１４に近い側の角部からは、斜め前方であって同車両用シート１４に近づく側に向けてスリット２５が延びている。シートパッド２２の前部であって、車両用シート１４に近い側の角部２２ｃとスリット２５とによって挟まれた箇所（図３において二点鎖線の枠で囲んだ箇所）は、エアバッグ４０によって破断される破断予定部２６を構成している。

図３、図５及び図６に示すように、エアバッグモジュールＡＢＭは、ガス発生器３０及びエアバッグ４０を主要な構成部材として備えている。次に、これらの構成部材の各々について説明する。

＜ガス発生器３０＞
ガス発生器３０は、インフレータ３１及びリテーナ３２を備えている。インフレータ３１は略円柱状をなしており、その内部には、膨張用ガスＧ１を発生するガス発生剤（図示略）が収容されている。インフレータ３１は、その上端部にガス噴出部３１ａを有している。また、インフレータ３１の下端部には、同インフレータ３１への作動信号の入力配線となるハーネス（図示略）が接続されている。

一方、リテーナ３２は、膨張用ガスＧ１の噴出する方向を制御するディフューザとして機能するとともに、インフレータ３１を、エアバッグ４０と後述するインナチューブ６０と一緒にサイドフレーム部２１に締結する機能を有する部材である。リテーナ３２の大部分は、金属板等の板材を曲げ加工等することによって略筒状に形成されている。

リテーナ３２の１箇所又は互いに上下方向へ離間した複数箇所には、同リテーナ３２をサイドフレーム部２１に取付けるための部材として、乗員側（運転席側）へ延びるボルト３３が固定されている。

＜エアバッグ４０＞
図６に示すようにエアバッグ４０は、バッグ本体４１、第１膨張厚み規制部、第２膨張厚み規制部５０、インナチューブ６０、第１内テザー７０、第１外テザー８１及び第２外テザー８２を備えている。

＜バッグ本体４１＞
図５、図６及び図８は、バッグ本体４１が膨張用ガスＧ１を充填させることなく平面状に展開させられた状態（以下「非膨張展開状態」という）のエアバッグモジュールＡＢＭを示している。ただし、図５は、エアバッグモジュールＡＢＭを反乗員側（助手席側）から見た状態で示し、図８は、乗員側（運転席側）から見た状態で示している。また、図６は、図５のバッグ本体４１が車幅方向の中央部分で切断されたエアバッグモジュールＡＢＭを示している。さらに、図７は、エアバッグモジュールＡＢＭを展開させた状態で示している。

図７に示すように、バッグ本体４１は、エアバッグ４０の外殻部分を構成する部材であり、１枚の布片（基布、パネル布等とも呼ばれる）を、その中央部分に設定した折り線４２に沿って二つ折りして車幅方向に重ね合わせ、その重ね合わされた部分（一対の布部）を袋状となるように結合させることにより形成されている。ここでは、バッグ本体４１の上記の重ね合わされた２つの布部を区別するために、乗員Ｐ１に近い側に位置するものを乗員側布部４３といい、乗員Ｐ１から遠い側に位置するものを反乗員側布部４４というものとする。

乗員側布部４３及び反乗員側布部４４は、図２及び図４に示すように、バッグ本体４１が、乗員Ｐ１の上半身の多くの部分、この場合、胸部ＰＴから頭部ＰＨにかけての部位の側方で展開及び膨張し得る形状及び大きさに形成されている。バッグ本体４１の下端部は、同バッグ本体４１が展開及び膨張したとき、センターコンソールボックス１５の上端よりも下方に位置する（図２参照）。

乗員側布部４３及び反乗員側布部４４としては、強度が高く、伸びにくく、しかも可撓性を有していて容易に折り畳むことのできる素材、例えばポリエステル糸、ポリアミド糸等を用いて形成した織布等が適している。

図５及び図７に示すように、乗員側布部４３及び反乗員側布部４４の上記結合は、それらの周縁部に沿って設けられた周縁結合部４５においてなされている。周縁結合部４５は、乗員側布部４３及び反乗員側布部４４の周縁部のうち、後端部（折り線４２の近傍部分）を除く部分を、縫製（縫糸で縫合）することにより形成されている。この点は、後述する各種結合部４９，５２，５３，５４，６４，６５，７２，７４，７６，７７，７８，８８，８９，９１についても同様である。

上記縫製に関し、図５～図９では、３つの線種によって縫製部分が表現されている。１つ目の線種は、一定長さの太線を断続的に並べて表現した線であり、これは、縫糸を側方から見た状態を示している（図５における周縁結合部４５等参照）。２番目の線種は、一定長さ（一般的な破線よりも長い長さ）の細線を断続的に並べて表現した線であり、これは、例えば布片の奥に位置していて直接は見えない（隠れている）縫糸の状態を示している（図５における結合部５４等参照）。３番目の線種は、点を一定間隔おきに並べて表現した線であり、これは、縫製部分を通る面における縫糸の断面を示している（図６における周縁結合部４５等参照）。

なお、周縁結合部４５は、上記縫糸を用いた縫合とは異なる手段、例えば接着剤を用いた接着によって形成されてもよい。この点は、上記各種結合部４９，５２，５３，５４，６４，６５，７２，７４，７６，７７，７８，８８，８９，９１についても同様である。

乗員側布部４３及び反乗員側布部４４の間であって、周縁結合部４５及び折り線４２によって囲まれた空間は、膨張用ガスＧ１によって展開及び膨張させられる膨張部となっている。

上記バッグ本体４１では、その後下部が、サイドフレーム部２１に固定される固定部４６として設定されている。図５及び図６に示すように、バッグ本体４１の後下端部には、ガス発生器３０の挿入口４７が形成されている。

＜第１膨張厚み規制部＞
第１膨張厚み規制部は、バッグ本体４１において、乗員Ｐ１の肩部ＰＳと接触する箇所に設けられており、同箇所でのバッグ本体４１の膨張厚みを規制する。この箇所は、後述する第１外テザー８１の他端部である前上端部が取り付けられる箇所である。第１膨張厚み規制部は、乗員側布部４３及び反乗員側布部４４を互いに接触させた状態で結合する結合部４９によって構成されている（図１０参照）。結合部４９は、後ろ側ほど高くなるように傾斜している。結合部４９が設けられた箇所では、乗員側布部４３及び反乗員側布部４４の間隔が、取り得る最小（ゼロ）となっている。

＜第２膨張厚み規制部５０＞
図６、図７及び図１０に示すように、第２膨張厚み規制部５０は、ガス発生器３０に対し斜め前上方に離間した箇所に配置されている。第２膨張厚み規制部５０は、結合部４９と固定部４６との間に位置し、両者の間の領域におけるバッグ本体４１の膨張厚みを規制する。第２膨張厚み規制部５０は、バッグ本体４１と同様の素材からなり、かつ互いに独立した帯状の一対の布部５１を備えている。

乗員側（運転席側）の布部５１は、これに隣接する乗員側布部４３に対し、結合部５２によって結合されている。結合部５２は、乗員側（運転席側）の布部５１の後縁部に沿って略上下方向へ延びている。結合部５２の両端部は周縁結合部４５に交差している。同様に、反乗員側（助手席側）の布部５１は、これに隣接する反乗員側布部４４に対し、結合部５３によって結合されている。この結合部５３は、反乗員側（助手席側）の布部５１の後縁部に沿って略上下方向へ延びている。結合部５３の両端部は周縁結合部４５に交差している。両布部５１は、それらの前縁部に沿って略上下方向へ延びる結合部５４によって相互に結合されている。結合部５４の両端部は、周縁結合部４５からそれぞれ離間している。

こうした結合態様により、第２膨張厚み規制部５０は、乗員側布部４３と反乗員側布部４４との間に架け渡されている。第２膨張厚み規制部５０では、バッグ本体４１が非膨張展開状態にあるとき、両布部５１が車幅方向に重ねられた状態となる（図１０参照）。また、第２膨張厚み規制部５０は、バッグ本体４１の展開及び膨張に伴い緊張状態になることで、同バッグ本体４１における同第２膨張厚み規制部５０の近傍部分の車幅方向の膨張厚みを規制する（図１１参照）。さらに、第２膨張厚み規制部５０は、バッグ本体４１の膨張部を、ガス発生器３０が配置される後下膨張部５５と、同第２膨張厚み規制部５０を介して後下膨張部５５の前上側に位置する前上膨張部５６とに区画している。

図６に示すように、結合部５４の前下端部と周縁結合部４５の前下部との間の空間は、前下連通路５７を構成している。この前下連通路５７により、後下膨張部５５及び前上膨張部５６が、第２膨張厚み規制部５０の前下端部において連通されている。結合部５４の後上端部と周縁結合部４５の後上部との間の空間は、後上連通路５８を構成している。この後上連通路５８により、後下膨張部５５及び前上膨張部５６が、第２膨張厚み規制部５０の後上端部において連通されている。

さらに、本実施形態では、図１１に示すように、バッグ本体４１のうち、結合部４９及び第２膨張厚み規制部５０の間の領域における膨張厚みが、第２膨張厚み規制部５０及び固定部４６の間の領域における膨張厚みよりも大きくなるように、第２膨張厚み規制部５０の前後位置、車幅方向における寸法等が設定されている。

＜インナチューブ６０＞
図６及び図７に示すように、インナチューブ６０は、ガス発生器３０の少なくともガス噴出部３１ａを取り囲んだ状態で後下膨張部５５内に配置されている。インナチューブ６０の形成のために、バッグ本体４１と同様の素材によって形成された１枚の布片が用いられている。布片は、その車幅方向の中央部に設定された折り線６１に沿って二つ折りされて車幅方向に重ね合わされている。ここでは、布片の上記の重ね合わされた２つの部分を区別するために、乗員側（運転席側）に位置する部分を布部６２といい、反乗員側（助手席側）に位置する部分を布部６３というものとする。

インナチューブ６０は、折り線６１に沿って設けられた結合部６４によってバッグ本体４１に結合されている。二つ折りされた状態の両布部６２，６３は、それらの前縁部に沿って略上下方向へ延びる結合部６５によって相互に結合されている。結合部６５の後上端部は、周縁結合部４５の後上端部に交差している。両布部６２，６３の下端部は相互に結合されていない。この結合されていない箇所は、インナチューブ６０の下側の開口６６を構成している。

インナチューブ６０の上端部は、バッグ本体４１の後上端部まで延びており、上記周縁結合部４５によって同後上端部に対し結合（共縫い）されている。
また、各布部６２，６３の上記開口６６よりも上方となる箇所には、孔からなる開口６７が形成されている。これらの開口６６，６７によって、後下膨張部５５内において、インナチューブ６０の内部と外部とが連通されている。

そして、ガス発生器３０の多くの部分が、挿入口４７を通じて挿入されることで、後下膨張部５５内の後端部であって、インナチューブ６０内の後端部に配置されている。さらに、各ボルト３３がインナチューブ６０及び乗員側布部４３に挿通されている。これらの挿通により、ガス発生器３０がインナチューブ６０及びバッグ本体４１に対し位置決めされた状態で係止されている。

＜第１内テザー７０＞
第１内テザー７０は、バッグ本体４１内の結合部４９よりも上方に配置されている。第１内テザー７０は、乗員Ｐ１の頭部ＰＨの下部（ヘッドレスト１８の下部）よりも低い箇所に配置されている（図２参照）。

図７及び図１２に示すように、第１内テザー７０は、２枚の反乗員側布片７１，７３と、１枚の乗員側布片７５とを備えている。両反乗員側布片７１，７３及び乗員側布片７５は、いずれもバッグ本体４１と同様の素材によって、上下方向よりも前後方向に細長い長方形状に形成されている。

両反乗員側布片７１，７３は、互いに上下方向に接近した状態で配置されている。上側の反乗員側布片７１は、自身の上端部において、略前後方向に延びる長円状の結合部７２によって反乗員側布部４４に結合されている。下側の反乗員側布片７３は、自身の下端部において、略前後方向に延びる長円状の結合部７４によって反乗員側布部４４に結合されている。

乗員側布片７５は、上下方向における自身の中央部分において略前後方向に延びる長円状の結合部７６によって乗員側布部４３に結合されている。結合部７６は、上下方向については、両結合部７２，７４間の中間部分に位置している。

上側の反乗員側布片７１の下端部と、乗員側布片７５の上端部とは、略前後方向に延びる結合部７７によって相互に結合されている。下側の反乗員側布片７３の上端部と、乗員側布片７５の下端部とは、略前後方向に延びる結合部７８によって相互に結合されている。

このように、上下２枚の反乗員側布片７１，７３と１枚の乗員側布片７５とが、結合部７７，７８によって結合されることで、第１内テザー７０が構成されている。また、第１内テザー７０の上下方向における両端部が、結合部７２，７４によって反乗員側布部４４において上下方向に離間した箇所に結合されている。第１内テザー７０の上下方向における中間部が、結合部７６によって乗員側布部４３に結合されている。

こうした結合態様により、第１内テザー７０の上部及び下部は、それぞれ、乗員側布部４３と反乗員側布部４４との間に架け渡されている。
第１内テザー７０の上端部が結合部７２によって結合された箇所と、下端部が結合部７４によって結合された箇所との間における反乗員側布部４４の周長Ｌ１は、第１内テザー７０の中間部が結合部７６によって結合された箇所における乗員側布部４３の上下方向の周長Ｌ２よりも長く設定されている。前者の周長Ｌ１は、結合部７２の下端部と結合部７４の上端部との間における反乗員側布部４４の寸法である。後者の周長Ｌ２は、結合部７６によって囲まれた領域における乗員側布部４３の上下方向の寸法である。

＜第１外テザー８１＞
図７及び図８に示すように、第１外テザー８１は、バッグ本体４１と同様の素材によって形成されており、前側ほど高くなるように傾斜している。第１外テザー８１は、乗員側布部４３よりも乗員側（運転席側）に配置され、バッグ本体４１とガス発生器３０との間に架け渡されている。より詳しくは、第１外テザー８１の一端部としての後下端部は、ガス発生器３０のボルト３３に係止されることで、バッグ本体４１の固定部４６に取り付けられている。第１外テザー８１の他端部として前上端部は、上述した結合部４９により、乗員側布部４３のうち、乗員Ｐ１の肩部ＰＳと当接する箇所に結合されている。なお、第１外テザー８１の後下端部は、上記ボルト３３とは異なるボルト３３に係止されてもよいし、ボルト３３に代えて、シートフレーム、例えばサイドフレーム部２１に係止されてもよい。この点は、後述する第２外テザー８２の後端部についても同様である。

図９に示すように、第１外テザー８１における後下端部及び前上端部の間の長さＬ３は、バッグ本体４１のうち第１外テザー８１の前上端部が取り付けられた箇所と固定部４６（ボルト３３）との間の周長Ｌ４よりも短く設定されている。

＜第２外テザー８２＞
第２外テザー８２は、バッグ本体４１と同様の素材によって形成されており、第１外テザー８１よりも下方において前後方向に延びている。第２外テザー８２は、乗員側布部４３よりも乗員側（運転席側）に配置され、バッグ本体４１とガス発生器３０との間に架け渡されている。より詳しくは、第２外テザー８２の一端部としての後端部は、ガス発生器３０のボルト３３に係止されることで、固定部４６に取り付けられている。第２外テザー８２の他端部としての前端部は、上述した周縁結合部４５の一部により、バッグ本体４１の前端部に取り付けられている。

第２外テザー８２の後端部及び前端部の間の長さＬ５は、バッグ本体４１のうち第２外テザー８２の前端部が取り付けられた箇所と固定部４６（ボルト３３）との間の周長Ｌ６よりも短く設定されている。

ところで、上記エアバッグモジュールＡＢＭは、バッグ本体４１が非膨張展開状態にされたエアバッグ４０（図５参照）が折り畳まれることにより、図３に示すように、コンパクトな形態にされて、収納部２４に収容されている。

図３及び図５に示すように、ガス発生器３０のボルト３３が、サイドフレーム部２１に対し反乗員側（助手席側）から挿通されている。各ボルト３３にナット３４が乗員側（運転席側）から締付けられることにより、バッグ本体４１の固定部４６と、インナチューブ６０の後下部とがガス発生器３０とともに、サイドフレーム部２１に固定されている。

なお、ガス発生器３０は、上述したボルト３３及びナット３４とは異なる部材によってサイドフレーム部２１に固定されてもよい。また、リテーナ３２が用いられることなくインフレータ３１がサイドフレーム部２１に固定されてもよい。

側突用エアバッグ装置は、上述したエアバッグモジュールＡＢＭのほかに、図４に示す衝撃センサ８４及び制御装置８５を備えている。衝撃センサ８４は加速度センサ等からなり、車両１０に対し側方から加えられる衝撃を検出する。制御装置８５は、衝撃センサ８４の検出信号に基づきインフレータ３１の作動を制御する。

さらに、車両１０には、乗員Ｐ１，Ｐ２を車両用シート１３，１４に拘束するためのシートベルト装置（図示略）が設けられている。
次に、上記のように構成された本実施形態の作用及び効果について説明する。

図１に示すように、側突による衝撃が一方の側壁部１２に対し側方から加わると、衝撃の加わった側壁部１２から遠い側（運転席側）の乗員Ｐ１の上半身が、慣性により側壁部１２側へ倒れ込もうとする。

また、側壁部１２に対し側方から所定値以上の衝撃が加わったことが衝撃センサ８４によって検出されると、その検出信号に基づき制御装置８５からインフレータ３１に対し作動信号が出力される。この作動信号に応じて、図６に示すように、インフレータ３１のガス噴出部３１ａから膨張用ガスＧ１が噴出されると、その膨張用ガスＧ１はまずインナチューブ６０に供給され、同インナチューブ６０が膨張を開始する。

膨張用ガスＧ１の一部は、開口６６，６７から、後下膨張部５５であってインナチューブ６０の外部へ流出する。後下膨張部５５では、膨張用ガスＧ１が供給されることで内圧が上昇し、同後下膨張部５５が折り状態を解消（展開）しながら膨張を開始する。後下膨張部５５の展開及び膨張に伴い第２膨張厚み規制部５０が車幅方向の両側へ引っ張られる。

後下膨張部５５に供給された膨張用ガスＧ１の一部は、前下連通路５７及び後上連通路５８を通って、前上膨張部５６に流入する。前上膨張部５６は、後下膨張部５５に遅れて折り状態を解消（展開）しながら膨張を開始する。前上膨張部５６の展開及び膨張に伴い第１内テザー７０が車幅方向の両側へ引っ張られる。

上記のように、後下膨張部５５及び前上膨張部５６が展開及び膨張する過程で、図３における収納部２４の近傍部分ではシートパッド２２が押圧され、破断予定部２６において破断される。バッグ本体４１は、ガス発生器３０の近傍部分を収納部２４内に残した状態で、同収納部２４から飛び出す。その後も、図２及び図４に示すように、バッグ本体４１は、隣り合う車両用シート１３，１４間で、固定部４６から斜め前上方へ向けて展開及び膨張する。

ここで、側突用エアバッグ装置では、バッグ本体４１を、予め定められた展開領域で展開及び膨張させることが、乗員Ｐ１を衝撃から保護するうえで重要である。
この点、本実施形態では、展開及び膨張するバッグ本体４１によって第１外テザー８１及び第２外テザー８２がそれぞれ引っ張られる。

図９に示すように、第２外テザー８２の長さＬ５が、同第２外テザー８２が取り付けられるバッグ本体４１の周長Ｌ６よりも短い。このことから、展開及び膨張するバッグ本体４１によって引っ張られた第２外テザー８２は、固定部４６に取り付けられた後端部と、バッグ本体４１の前端部に取り付けられた前端部との間で緊張状態となる。従って、固定部４６においてサイドフレーム部２１に固定されているバッグ本体４１が斜め前上方へ展開及び膨張する際に、図８において矢印Ａで示すように、固定部４６を中心として後方へ回転しようとしても、その回転は、バッグ本体４１の前端部を矢印Ｂで示すように引っ張る第２外テザー８２によって規制される。その結果、バッグ本体４１が後方へ倒れるのを抑制することができる。

また、図９に示すように、第１外テザー８１の長さＬ３が、同第１外テザー８１が取り付けられるバッグ本体４１の周長Ｌ４よりも短い。このことから、展開及び膨張するバッグ本体４１によって引っ張られた第１外テザー８１は、固定部４６に取り付けられた後下端部と、バッグ本体４１に取り付けられた前上端部との間で緊張状態となる。従って、バッグ本体４１が斜め前上方へ展開及び膨張する際に、固定部４６を中心として前方へ回転しようとしても、その回転は、上記緊張状態の第１外テザー８１によって規制される。その結果、バッグ本体４１が前方へ倒れるのを抑制することができる。

このように、バッグ本体４１を、予め定められた展開領域で展開及び膨張させ、同バッグ本体４１が同展開領域から前後方向へ飛び出すのを抑制することができる。
そして、展開及び膨張を完了したときには、バッグ本体４１は、両車両用シート１３，１４に着座している乗員Ｐ１，Ｐ２間に位置する。後下膨張部５５の後下端部は、車両用シート１３に着座している乗員Ｐ１とセンターコンソールボックス１５との間に位置する（図２参照）。そのため、後下膨張部５５の後下端部は、バッグ本体４１が、衝撃の加わった側壁部１２側へ倒れ込む乗員Ｐ１の上半身を受け止める際に、同側壁部１２側へ動きにくい。

また、図１１に示すようにバッグ本体４１のうち、結合部４９と第２膨張厚み規制部５０との間の領域は、同第２膨張厚み規制部５０と固定部４６との間の領域よりも大きな膨張厚みで膨張し、第１外テザー８１を乗員側（運転席側）へ押圧する。バッグ本体４１に対しては、これを固定部４６側へ引っ張ろうとする張力が、第１外テザー８１を通じて加わるところ、バッグ本体４１のうち、結合部４９に対し第２膨張厚み規制部５０側の近傍となる箇所では、曲面状の膨張部分に沿う方向、この場合、後ろ側ほど乗員Ｐ１に近づく側（斜め後乗員側）へ引っ張ろうとする張力Ｆが加わる。バッグ本体４１のうち、結合部４９に対し第２膨張厚み規制部５０側の近傍となる箇所には、車幅方向のうち乗員側（運転席側）に向かう分力Ｆａが発生する。この分力Ｆａは、衝撃の加わった側壁部１２側へ移動しようとする乗員Ｐ１からバッグ本体４１が受ける外力Ｆ１を打ち消す反力として作用する。その結果、乗員Ｐ１から外力Ｆ１を受けてもバッグ本体４１を動きにくくし、衝撃の加わった側壁部１２側への乗員Ｐ１の移動を抑制し、同乗員Ｐ１の上半身に伝わる側方からの衝撃を緩和することができる。

また、結合部４９と第２膨張厚み規制部５０との間の領域は、上記のように大きな膨張厚みで膨張するが、この領域は、バッグ本体４１のうち乗員Ｐ１の肩部ＰＳと当接する箇所よりも固定部４６側に位置する。そのため、乗員Ｐ１の上半身のうち、最も幅方向の寸法の大きな箇所である肩部ＰＳと、バッグ本体４１の膨張厚みの大きな上記領域との干渉を抑制することができる。

さらに、前上膨張部５６内の結合部４９よりも上方部分が展開及び膨張するときには、図１２に示すように第１内テザー７０が、同上方部分の車幅方向における膨張厚みを規制する。

乗員側布部４３及び反乗員側布部４４に対する第１内テザー７０の結合位置の関係で、乗員側布部４３の周長Ｌ２が反乗員側布部４４の周長Ｌ１よりも短く設定されている（図７参照）。このことから、第１内テザー７０の乗員側布部４３との結合箇所である結合部７６を支点として、上記上方部分が、図２及び図１２に示すように、上側ほど乗員側（運転席側）に位置するように屈曲（傾斜）した状態となる。前上膨張部５６の上記上方部分が頭部ＰＨに近づき、衝撃の加わった側壁部１２側への頭部ＰＨの動きをより一層規制し、乗員Ｐ１を衝撃から保護する性能を高めることができる。

本実施形態によると、上記以外にも、次の効果が得られる。
・乗員側布部４３及び反乗員側布部４４が、結合部４９によって、互いに接触させられた状態で結合される本実施形態にあって、第１外テザー８１の前上端部が、結合部４９によって乗員側布部４３に結合されている。

そのため、結合部４９が設けられることで、乗員側布部４３及び反乗員側布部４４の結合と、第１外テザー８１の前上端部の乗員側布部４３に対する結合とが同時に行われる。従って、これらの結合が別々に行われる場合に比べ、エアバッグ４０、ひいては側突用エアバッグ装置の製造工数が少なくてすむ。

なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
＜第１膨張厚み規制部について＞
・第１膨張厚み規制部が、上記実施形態の結合部４９に代えて、図１３に示すように、バッグ本体４１内に配置されて、乗員側布部４３及び反乗員側布部４４の間に架け渡された内テザー８６によって構成されてもよい。図１３の変形例では、内テザー８６が、バッグ本体４１と同様の素材からなり、かつ互いに独立した一対の布部８７を備えている。乗員側（運転席側）の布部８７は、これに隣接する乗員側布部４３に対し、同布部８７の一方の端部に設けられた結合部８８によって結合されている。同様に、反乗員側（助手席側）の布部８７は、これに隣接する反乗員側布部４４に対し、同布部８７の一方の端部に設けられた結合部８９によって結合されている。両布部８７は、結合部８８，８９の設けられた端部とは反対側の端部において結合部９１によって相互に結合されている。こうした結合態様により、第１膨張厚み規制部によって規制されるバッグ本体４１の膨張厚みは、上記実施形態よりも大きくなる。

この場合、第１外テザー８１の前上端部は、上記結合部８８によって乗員側布部４３に結合されてもよい。
なお、図１３では、上記実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号が付されている。

このようにすると、バッグ本体４１が展開及び膨張したとき、内テザー８６が緊張状態となる。内テザー８６が架け渡された箇所では、バッグ本体４１の膨張厚みが規制される。

また、内テザー８６の乗員側布部４３に対する結合と、第１外テザー８１の前上端部の乗員側布部４３に対する結合とが、共通の結合部８８によって行われる。そのため、両結合が別々の結合部によって行われる場合に比べ、製造工数が少なくてすむ効果がある。

＜バッグ本体４１について＞
・バッグ本体４１の後下部に設定される固定部４６は、車両用シート１３，１４のうち隣の車両用シート１４，１３に近い側の側部であることを前提とし、サイドフレーム部２１と同様に強度の高い部材に固定されてもよい。また、固定部４６は、車両用シート１３，１４の上記側部の近傍に位置する部材、例えばセンターコンソールボックス１５に固定されてもよい。

・バッグ本体４１は、上記実施形態のようにその略全体が膨張するものであってもよいが、膨張用ガスＧ１が供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。

＜第２膨張厚み規制部５０について＞
・第２膨張厚み規制部５０は、布部５１を用いることなく、上記実施形態における結合部４９と同様に、乗員側布部４３及び反乗員側布部４４を互いに接触させた状態で縫合等の手段で結合することにより構成されてもよい。

＜第１外テザー８１、第２外テザー８２について＞
・第１外テザー８１の他端部としての前上端部は、第１膨張厚み規制部としての結合部４９とは異なる結合部によって乗員側布部４３のうち、乗員Ｐ１の肩部ＰＳに当接する箇所に結合されてもよい。

・第２外テザー８２の他端部としての前端部は、周縁結合部４５とは異なる結合部によってバッグ本体４１の前端部に結合されてもよい。
・第１外テザー８１の後下端部と、第２外テザー８２の後端部とは、上記実施形態のように、バッグ本体４１における固定部４６の同一の箇所（上側のボルト３３）に取り付けられてもよいが、同固定部４６の互いに異なる箇所に取り付けられてもよい。

＜その他＞
・制御装置８５は、車両１０に対し、側方からの衝撃が加わることを予測した場合に、インフレータ３１に作動信号を出力する仕様に変更されてもよい。

・上記側突用エアバッグ装置は、３つ以上の車両用シートが車幅方向に並設された車両にも適用可能である。この場合、車両の側方から側壁部に加わる衝撃に応じ、隣り合う車両用シート間でエアバッグ本体を展開及び膨張させる。

・上記側突用エアバッグ装置が適用される車両には、自家用車に限らず各種産業車両も含まれる。
・上記側突用エアバッグ装置は、車両以外の乗物、例えば航空機、船舶等に装備されて、乗物用シートに着座している乗員を側突による衝撃から保護する側突用エアバッグ装置にも適用可能である。

１０…車両（乗物）、１１，１２…側壁部、１３，１４…車両用シート（乗物用シート）、４０…エアバッグ、４１…バッグ本体、４３…乗員側布部、４４…反乗員側布部、４６…固定部、４９…結合部（第１膨張厚み規制部）、５０…第２膨張厚み規制部、７０…第１内テザー、８１…第１外テザー、８２…第２外テザー、８６…内テザー（第１膨張厚み規制部）、Ｇ１…膨張用ガス、Ｐ１，Ｐ２…乗員、ＰＳ…肩部、Ｌ１，Ｌ２，Ｌ４，Ｌ６…周長、Ｌ３，Ｌ５…長さ。

Claims (5)

1. 複数の乗物用シートが幅方向に並設された乗物に対し、自身の後下部に設定した固定部において固定されるバッグ本体を有するエアバッグを備え、前記乗物の側壁部に対し側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより、隣り合う乗物用シート間で前記バッグ本体を、前記固定部から斜め前上方へ向けて展開及び膨張させ、前記側壁部から遠い側の乗物用シートに着座している乗員を衝撃から保護する側突用エアバッグ装置であり、
   前記バッグ本体の展開及び膨張に伴い同バッグ本体よりも乗員側で緊張状態になる第１外テザー及び第２外テザーをさらに備え、
   前記第１外テザー及び前記第２外テザーの各一端部は前記固定部に取り付けられ、前記第１外テザーの他端部は、前記バッグ本体のうち、前記乗員の肩部と当接する箇所に取り付けられ、前記第２外テザーの前記他端部は前記バッグ本体の前端部に取り付けられ、
   前記バッグ本体には、前記第１外テザーの前記他端部が取り付けられた箇所での膨張厚みを規制する第１膨張厚み規制部と、前記第１膨張厚み規制部及び前記固定部の間での膨張厚みを規制する第２膨張厚み規制部とが設けられており、前記第１膨張厚み規制部及び前記第２膨張厚み規制部の間での膨張厚みが、前記第２膨張厚み規制部及び前記固定部の間での膨張厚みよりも大きく設定されている側突用エアバッグ装置。
2. 前記第１外テザーにおける前記一端部と前記他端部との間の長さは、前記バッグ本体のうち前記第１外テザーの前記他端部が取り付けられた箇所と前記固定部との間の周長よりも短く設定され、
   前記第２外テザーにおける前記一端部と前記他端部との間の長さは、前記バッグ本体のうち前記第２外テザーの前記他端部が取り付けられた前端部と前記固定部との間の周長よりも短く設定されている請求項１に記載の側突用エアバッグ装置。
3. 前記バッグ本体は、前記乗員に近い側の乗員側布部と、同乗員から遠い側の反乗員側布部とを備え、
   前記第１膨張厚み規制部は、前記乗員側布部及び前記反乗員側布部を互いに接触させた状態で結合しており、
   前記第１外テザーの前記他端部は、前記第１膨張厚み規制部により前記乗員側布部に結合されている請求項１又は２に記載の側突用エアバッグ装置。
4. 前記バッグ本体は、前記乗員に近い側の乗員側布部と、同乗員から遠い側の反乗員側布部とを備え、
   前記第１膨張厚み規制部は、前記バッグ本体内に配置されて、前記乗員側布部及び前記反乗員側布部の間に架け渡された内テザーにより構成され、
   前記内テザーの前記乗員側布部側の端部と、前記第１外テザーの前記他端部とは、共通の結合部により前記乗員側布部に結合されている請求項１又は２に記載の側突用エアバッグ装置。
5. 前記バッグ本体は、前記乗員に近い側の乗員側布部と、同乗員から遠い側の反乗員側布部とを備え、
   前記バッグ本体内の前記第１膨張厚み規制部よりも上方には第１内テザーが配置されており、
   前記第１内テザーの上下方向における両端部は、前記反乗員側布部において上下方向に離間した箇所に結合され、
   前記第１内テザーの上下方向における中間部は前記乗員側布部に結合されており、
   前記第１内テザーの上端部が結合された箇所と、下端部が結合された箇所との間における前記反乗員側布部の周長は、前記第１内テザーの中間部が結合された箇所における前記乗員側布部の上下方向の周長よりも長く設定されている請求項１～４のいずれか１項に記載の側突用エアバッグ装置。

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