JP2016041859A - 透明性に優れた織物を側地とするダウンジャケット - Google Patents
透明性に優れた織物を側地とするダウンジャケット Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明では、従来にない中綿が透けて見える衣服や布団を提供するために、中綿が透けて見える程透明度が高く、衣服や布団の側地として必要な強度を有し、更に通気度の低い織物を提供する。【解決手段】本発明に係る織物は、単糸繊度が0.5〜3.0dtexであり、総繊度が3〜25dtexのマルチフィラメントから構成されるカバーファクターが1300〜2500の織物であって、可視光透過率が25〜80%であり、且つL*値が37以上であることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、透明性を有する織物に関するものであり、特にダウンウエア、ダウンジャケット、ふとん、寝袋等の側地に好適に用いられる織物に関するものである。
ダウンウエアや羽毛ふとんの側地に用いられる生地としては、破断を防ぎつつワタやダウンの吹き出しを抑制するために、織物強度が高く、通気性の低い生地が要求される。また最近では、単に通気性が低いだけでなく、より軽量なものや、風合いがやわらかく、意匠性やファッション性の高い生地が求められている。
しかし、生地を軽量化するためには、生地の厚さを薄くしたり、織物を構成するマルチフィラメントの繊度を小さくしなければならず、生地の強度を維持することが難しかった。
この様な問題に対処した例として、例えば、合成繊維からなるベース糸と補強糸から構成される織物であって、前記ベース糸の繊度が10dtex〜30dtexであり、前記補強糸の繊度が繊度20dtex〜60dtexである織物が知られている(特許文献1)。当該織物では、補強糸を一定の間隔で経糸及び/又は緯糸の配列に組み込むことにより、引裂き強度の低下を防止している。
また別の例として、繊度が15〜40dtexである合成繊維マルチフィラメントから構成される織物であって、充分な引裂き強度を与えるためにシリコーン系の樹脂加工を施した薄地織物等も知られている(特許文献2)。
特にダウンジャケットの側地に好適に用いることのできる織物としては、例えば、糸条繊度が30dtex以下であり、単糸繊度が1.2dtex以下のポリアミドマルチフィラメントを用いて製織される織物であって、一定の引裂き強力を有する織物も提供されている(特許文献3)。
ところで、ダウンジャケット等に使用されるダウンやワタ、フェザー等は、通常意匠性を高めるための加工がされておらず、これらは決して見た目に美しいとは言えなかった。そのため、従来のダウンジャケットでは、ダウン等の中綿を極力見せないように縫製デザインや使用する側地の色や柄を変えることで、衣服のファッション性を高めてきた。
本発明者らは、従来の考え方とは逆に、側地の透明度を高めて中綿を積極的に見せることで衣類の意匠性を高めることに思い至った。そこで、本発明者らは、透明性を有する生地の提供を試みるべく、先に例示した技術を検討した。
しかし、特許文献1の織物は、補強糸が経筋や緯糸斑状に見えるため審美性に欠けるものであり、中綿の美しさを充分に表現できるものではなかった。また、特許文献2及び3の織物は、繊度が充分に小さいとは言えず、所望の透明性を有していなかった。
この様な状況下、本発明では、従来にない中綿が透けて見える衣服や布団を提供するために、中綿が透けて見える程透明度が高く、衣服や布団の側地として必要な強度を有し、更に通気度の低い織物を提供することを課題として掲げた。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、織物を構成するマルチフィラメントとして、単糸繊度が0.5〜3.0dtexであり、且つ、総繊度が3〜25dtexのマルチフィラメントを使用し、且つ織物のカバーファクターを1300〜2500となる織物構成とした上で、染色加工において織物のL*値を37以上の明度に制御すれば、織物に必要な強度と低い通気度を維持しながら、可視光透過率が25〜80%であるという非常に高い透明度を有する織物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る織物は、単糸繊度が0.5〜3.0dtexであり、総繊度が3〜25dtexのマルチフィラメントから構成されるカバーファクターが1300〜2500の織物であって、可視光透過率が25〜80%であり、且つL*値が37以上であることを特徴とする。また、前記マルチフィラメントの繊維断面方向の屈折率は1.47〜1.57であることが好ましい。更に、前記マルチフィラメントが酸化チタンを0〜0.5質量%含有しており、前記マルチフィラメントの破断強度が3.5〜10cN/dtexであることがより好ましい態様である。加えて、前記織物の少なくとも一方の面にカレンダー処理が施されており、前記織物の表面にはフッ素系樹脂被膜が形成されていることが望ましい。
また、本発明には前記織物を側地として用い、有色の中綿を使用することを特徴とするダウンジャケットも包含される。
また、本発明には前記織物を側地として用い、有色の中綿を使用することを特徴とするダウンジャケットも包含される。
本発明によれば、透明度が高く審美性に優れる織物が得られる。またこの織物は、所定の引裂き強力を有しており、薄くて軽量である。しかもこの織物は通気性が低いため、ダウンウエア、ダウンジャケット、ふとん、寝袋等の側地として好適に用いることができる。
1.マルチフィラメント
本発明の織物はマルチフィラメントを製織することにより製造される。まず、マルチフィラメントについて具体的に説明する。
本発明の織物はマルチフィラメントを製織することにより製造される。まず、マルチフィラメントについて具体的に説明する。
本発明のマルチフィラメントは、繊維(以下、「モノフィラメント」と称することもある)を複数撚り合わせることで形成される。得られる織物に、ある程度の強度を持たせつつ透明性を発現させるためには、マルチフィラメントの繊度(総繊度)が、例えば、3dtex以上であり、5dtex以上であることがより好ましく、7dtex以上が更に好ましい。また、マルチフィラメントの繊度は、25dtex以下であり、16dtex以下であることがより好ましく、更に好ましくは12dtex以下である。マルチフィラメントの繊度が前記範囲であれば、透明度が高く、且つ、軽量薄地で所定の強度を有する織物が得られる。一方、前記マルチフィラメントの繊度が、3dtexより小さいと織物が充分な強度を発現し難くなる。また、25dtexより大きいと織物の透明度が低くなる場合がある。
マルチフィラメントの破断強度は高い程良い。マルチフィラメントの破断強度は、例えば、3.5cN/dtex以上であることが好ましく、4.0cN/dtex以上であることがより好ましく、更に好ましくは4.5cN/dtex以上であり、10cN/dtex以下であることが好ましく、より好ましくは6cN/dtex以下であり、更に好ましくは5.5cN/dtex以下である。前記マルチフィラメントの強度が3.5cN/dtex以上であれば、扁平度の高いフィラメントを用いる場合であっても適度な引裂き強力を有する織物が得られる。
マルチフィラメントの破断伸度は、特に限定されないが、35%以上であることが好ましく、38%以上であることがより好ましく、50%以下であることが好ましく、48%以下であることがより好ましい。破断伸度が35%より小さいと、織物に所定の力がかかるときに、この力に対する応力が1本のモノフィラメントに集中するため、織物が簡単に引き裂かれてしまう。また、破断伸度が50%よりも高いと、各種接糸部品(例えば、製織の高速化及び織物の高密度化を達成するための装置等)との摩擦に起因する強い張力によって原糸が伸びきってしまい、断糸しやすくなる。更に、破断強度も低くなるため、織物にしたときの引裂き強力が低下するという問題が生じやすい。
1本のマルチフィラメントを構成するモノフィラメントの数は、マルチフィラメントの繊度(総繊度)と、モノフィラメントの繊度の関係により適宜選定できるが、例えば、2本以上であることが好ましく、3本以上であることがより好ましく、更に好ましくは5本以上であり、35本以下であることが好ましく、25本以下であることがより好ましく、更に好ましくは15本以下である。フィラメント数が前記範囲内であれば、織物に所定の力がかかるときに、この力に対する応力が1本のモノフィラメントに集中することなく、複数のモノフィラメントに応力が分散する。これにより、1本のモノフィラメントにかかる応力を軽減することができるため、引裂き強力が向上する。
本発明では、ダル化剤としての酸化チタンは極力使用しないほうが好ましい。しかし、製糸性を向上させる目的から、酸化チタンを適宜添加してフィラメントを形成することもできる。酸化チタンは、例えば、マルチフィラメントを構成する樹脂全量100質量%中、0〜0.5質量%含有されていることが好ましく、より好ましくは0〜0.1質量%であり、更に好ましくは0〜0.05質量%であり、0質量%が最適である。酸化チタンの含有量が前記範囲内であれば、織物の透明性を維持することができるため好適である。
織物の透明度を高めるためには、繊維内部での光の吸収、屈折、乱反射を抑えることが肝要である。そのため本発明のマルチフィラメントの屈折率(繊維断面方向)は、織物表面での光の反射や屈折を抑えるため、空気の屈折率に近い程よい。マルチフィラメントの屈折率(繊維断面方向)は、例えば1.47以上であることが好ましく、より好ましくは1.48以上であり、更に好ましくは1.49以上であり、1.57以下であることが好ましく、より好ましくは1.55以下であり、更に好ましくは1.52以下である。樹脂の屈折率が前記範囲内であれば、光の反射や屈折が生じにくくなるため、より透明性に優れる織物を製造することができる。なお、マルチフィラメントの屈折率の測定方法は、実施例の欄で詳述する。
次に、前記マルチフィラメントを構成するモノフィラメントについて具体的に説明する。
モノフィラメントの繊度(単糸繊度)は、0.5dtex以上であり、1.0dtex以上であることがより好ましく、更に好ましくは1.2dtex以上であり、3.0dtex以下であり、2.5dtex以下であることがより好ましい。モノフィラメントの繊度が前記範囲であれば、適当な引裂き強力を有し、且つ、通気性の低い織物が得られる。一方、前記モノフィラメントの繊度が0.5dtexより小さいと、透明度が低下したり、引裂き強力を充分に発現できない虞もある。また、モノフィラメントの繊度が3.0dtexを超えると、織物の通気性が悪くなったり、風合が硬くなったりする場合もある。
前記モノフィラメントの原料となる樹脂の極限粘度は、ポリエステルを用いる場合は、0.58以上であることが好ましく、0.60以上であることがより好ましく、1.00以下であることが好ましく、0.90以下であることがより好ましい。樹脂の極限粘度が前記範囲であれば、適当な破断強度を有するモノフィラメントが得られ、且つ、製造コストを低く抑えることができる。また、樹脂の極限粘度が0.58以上であれば、繊維断面を扁平にする場合において、均一な断面形状を安定的に生産できるため好ましい。一方、樹脂の極限粘度が0.58未満であると、繊維断面を扁平にする場合において、扁平断面繊維は丸断面繊維に比べて破断強度が弱いため、製品の引裂き強力や破断強度の低下、破断伸度不足による加工操業性の悪化、並びに製品耐久性の悪化等の不具合が生じやすい。また、極限粘度が1.00を超えると、織物の製造コストが高くなるため、実用性に欠ける。
前記モノフィラメントの原料となる樹脂の相対粘度は、例えばナイロンの場合、2.0以上であることが好ましく、3.0以上であることがより好ましく、4.5以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましい。樹脂の相対粘度が2.0以上であれば、得られるモノフィラメントが適当な破断強度を有する。また、樹脂の相対粘度が3.0以上であれば扁平率の高い断面を安定的に紡糸できる。一方、樹脂の相対粘度が2.0未満であると、繊維断面を扁平にする場合において、扁平断面糸は丸断面糸に比べて破断強度が弱いこともあり、製品の引裂き強力や破断強度の低下、破断伸度不足による加工操業性の悪化、並びに製品耐久性の悪化が起りやすい。加えて、樹脂の相対粘度が4.5を超えると、製糸操業性が悪くなり、製造コストが嵩むため好ましくない。
モノフィラメントの原料樹脂は、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612若しくはその共重合体等のポリアミド類;ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、セルロース等の各種ポリマー;等が例示できる。中でも、ポリアミド類は、モノフィラメントを異型断面にしても、柔らかな風合いを発現できるため好ましい。
また上述した屈折率を有する汎用繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維;ポリスチレン系繊維;ポリエチレンテレフタレート繊維等のポリエステル系繊維;ナイロン6繊維、ナイロン66繊維等のポリアミド系繊維;アクリル系繊維;トリ(ジ)アセテート繊維、キュプラ、レーヨン等のセルロース系繊維;等が例示できる。中でも、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維が好適である。とりわけ、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維は、繊維強度と透明性の発現という両方の効果を同時に発揮できるため、本発明にはより好適である。
また、前記モノフィラメントには、必要に応じて、吸湿性物質、酸化防止剤、つや消し剤、紫外線吸収剤、抗菌剤等を単独または混合して添加しても良い。ただし、透明度を低下させないよう添加剤の種類や添加濃度に注意する必要がある。加えて、織物の破断伸度を向上させるために、モノフィラメントの伸度を高くすることも好ましい態様である。
前記マルチフィラメントは、例えば、ポリアミド系マルチフィラメントやポリエステル系マルチフィラメントであれば、スピンドロー方式による紡糸延伸連続装置、または紡糸装置と延伸装置を用いて2工程で行うことによって製糸できる。例えばスピンドロー方式を採用するときは、紡糸引取りゴデットローラの速度を1500m/分〜4000m/分に設定するとよい。
2.織物
本発明の織物は、前記マルチフィラメントが50%以上の割合で構成された織物であり、前記マルチフィラメントの配合量が多い程好ましい。
本発明の織物は、前記マルチフィラメントが50%以上の割合で構成された織物であり、前記マルチフィラメントの配合量が多い程好ましい。
織組織は特に限定されず、平組織、綾組織、朱子組織等任意の組織を用いることができる。中でも通気度を抑えることができることから、織組織としては平組織を採用することが好ましい。一方、織物の引裂き強力を上げるためには、リップストップタフタ、特にダブルリップが好適に採用される。例えば、図2や図3に示す織組織が好適である。
前記織物の製造に使用する織機も特に限定されず、ウォータージェットルーム織機、エアージェット織機、レピア織機を適宜使用することができる。
織物の経糸密度は、140〜380本/inchであることが好ましく、より好ましくは200〜250本/inchである。また、織物の緯糸密度は、100〜350本/inchであり、より好ましくは140〜250本/inchである。なお、生機密度と仕上げ密度は同一であっても、異なっていてもよい。
得られる織物のカバーファクター(CF)は、1300〜2500である。カバーファクター(CF)は、1450以上であることが好ましく、より好ましくは1550以上であり、2000以下であることが好ましく、より好ましくは1700以下である。得られる織物のカバーファクターが前記範囲であれば、軽量薄地で通気度の低い織物が得られる。織物のカバーファクターが1300より小さいと、所望の通気度を有する織物が得難くなる。また、カバーファクターが2500を超えると、織物の通気度を低く制御できるものの、織物が重くなりやすく透明度も低下してしまう。
なお、織物のカバーファクター(CF)は、下記の式により計算される。
CF=T×(DT)1/2+W×(DW)1/2
式中、T及びWは織物の経密度及び緯密度(本/inch)を示し、DT及びDWは織物を構成する経糸及び緯糸の繊度(dtex)を示す。
なお、織物のカバーファクター(CF)は、下記の式により計算される。
CF=T×(DT)1/2+W×(DW)1/2
式中、T及びWは織物の経密度及び緯密度(本/inch)を示し、DT及びDWは織物を構成する経糸及び緯糸の繊度(dtex)を示す。
前記織物の目付けは、10g/m2以上であることが好ましく、15g/m2以上であることがより好ましい。また60g/m2以下であることが好ましく、45g/m2以下であることがより好ましく、30g/m2以下であることが更に好ましい。得られる織物の目付けが前記範囲であれば、薄地軽量で通気度の低い織物が得られるため好ましい。一方、織物の目付けが10g/m2より小さいと、通気度の低い織物を得難くなるため好ましくない。また、織物の目付けが60g/m2を超えると、通気度を低く抑えることはできるものの、生地が厚くなるため好ましくない。
3.各種加工について
以下に、織物を加工する各種方法について説明する。
以下に、織物を加工する各種方法について説明する。
本発明では製織後の織物を染色することも可能である。色は用途に応じて適宜選定するとよい。濃色になると織物の可視光透過性が低下して、中綿が外から見えにくくなることも懸念されるため、特に織物の透明性を生かすには、白系;ベージュ系;グレー系;ピンク系;等の明度の明るい色で織物を染色するとよい。織物の染色方法としては、例えば製織した織物を、加工機械等を用い、精練、リラックス、プリセット、染色、仕上げ加工する方法が挙げられる。
本発明では、織物の少なくとも片面にカレンダー加工を施すことが好適である。織物の少なくとも片面にカレンダー加工を施すことにより、カレンダー加工面においてモノフィラメントが配列し、圧縮・固定化されるため、通気度の低い織物が得られる。また、扁平繊維を用いる場合には、織物にカレンダー加工を施すと、織物断面と平行する方向に扁平断面繊維が配列する上、この扁平繊維同士の距離が密になるため、織物の透明性を格段に向上できる。
カレンダー加工は織物の片面のみ或いは両面に施しても良く、本発明では特に片面のみにカレンダー加工を施すことが好適である。カレンダー加工を施すことにより、織物表面のマルチフィラメントを圧縮して表面を平滑にすることができる。この平滑面は織物の透明度向上に寄与する。
カレンダー加工面は、ダウンジャケットの外気側(外側)及び/または綿側(内側)のいずれにも使用することができる。織物表面における入射光の反射を抑制するため、特にカレンダー加工面がダウンジャケットの綿側(内側)になるように衣服を縫製することが好ましい態様である。織物の両面にカレンダー加工を施す場合は、いずれの面を綿側(内側)にしてもよく、カレンダー加工を施した回数が異なるようであれば、カレンダー加工回数の多い面を綿側(内側)にするとよい。
カレンダー加工の温度は、モノフィラメントの原料樹脂が有するガラス転移温度より、50℃以上高いことが好ましく、80℃以上高いことがより好ましい。また、原料樹脂の融点より20℃以上低いことが好ましく、30℃以上低いことがより好ましい。カレンダー加工の温度を前記範囲に設定することにより、通気度が低く、大きな引裂き強力を有する織物が得られる。前記カレンダー加工の温度が原料樹脂のガラス転移温度に比べ+50℃より低いと、モノフィラメントの圧縮度合が弱く、通気度の低い織物を製造し難くなる。また、原料樹脂の融点−20℃より高いと、モノフィラメントの圧縮度合は高まるが、織物の引裂き強力が低下する虞がある。例えば、モノフィラメントをポリアミド類の樹脂から形成する場合、カレンダー加工の温度は、130℃〜200℃であることが好ましく、120℃〜190℃であることがより好ましい。また、ポリエステルを素材とする場合、カレンダー加工の温度は140℃〜240℃であることが好ましい。
カレンダー加工の圧力は、0.98MPa(10kgf/cm2)以上であることが好ましく、1.96MPa(20kgf/cm2)以上であることがより好ましく、5.88MPa(60kgf/cm2)以下であることが好ましく、4.90MPa(50kgf/cm2)以下であることがより好ましい。カレンダー加工の圧力を前記範囲にすることにより、低通気度と引裂き強力を両立する織物が得られる。一方、前記カレンダー加工の圧力が0.98MPa(10kgf/cm2)より小さいと、モノフィラメントの圧縮度合が弱く、低通気度を有する織物が得られないことがある。また、5.88MPa(60kgf/cm2)より大きいと、モノフィラメントは過度に圧縮されて、織物の引裂き強力が低下する虞がある。
カレンダーロールの材質は特に限定されないが、片方のロールは金属製であることが好ましい。金属ロールはそれ自身の温度を調節することができ、かつ生地表面を均一に圧縮することができる。もう一方のロールは特に限定されないが、金属製または樹脂製が好ましく、樹脂製の場合はナイロン製が好ましい。
なお、カレンダー加工の回数は特に限定されず、1回のみでもよいし、複数回行うことも可能である。
本発明では、製織された織物の表面に撥水加工を施すことも可能である。撥水剤は一般的な繊維用撥水加工剤でよく、例えば、シリコーン系撥水剤、パーフルオロアルキル基を有するポリマーからなるフッ素系撥水剤、パラフィン系撥水剤が好適に用いられる。中でもフッ素系撥水剤(特に、パーフルオロアルキル酸のアクリレート重合物)を用いると、被膜の屈折率を低く抑えることができ、更に、繊維表面における光の反射を低減できるため特に好適である。撥水加工の方法はパディング法、スプレー法、プリント、コーティング、グラビア法等一般的な方法を用いることができる。
なお、前記フッ素系撥水剤にはフッ素系の濃染化剤や撥水・撥油剤も包含される。
なお、前記フッ素系撥水剤にはフッ素系の濃染化剤や撥水・撥油剤も包含される。
また、前記織物には、必要に応じて、コーティング加工、ラミネート加工等の各種機能加工や、風合いや織物の強力を調整するための柔軟仕上げや樹脂加工を併用することができる。例えば、柔軟剤として、アミノ変性シリコーンや、ポリエチレン系、ポリエステル系、パラフィン系柔軟剤等が使用できる。また、柔軟加工、シリコーン加工等の仕上げのための後加工を行うことができる。樹脂加工剤としては、メラミン樹脂、グリオキザール樹脂、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系等の各種樹脂が使用できる。
4.各種特性について
本発明の織物が所望の透明性を有していることは、可視光透過率の値によって確認することができる。本発明では、織物の可視光透過率は25%以上であり、好ましくは30%以上であり、より好適には40%以上である。また、可視光透過率は80%以下であり、好ましくは70%以下であり、より好適には55%以下である。可視光透過率を80%より高くすると、織物の透明度は向上する。しかしこのように高い可視光透過率を有する織物を製造するには、フィラメントの密度を下げることを要求されることも考えられ、この様な織物では中綿が吹き出す虞があるため好ましくない。また可視光透過率が25%未満の織物では、所望の透明性を発現することが難しい。
本発明の織物が所望の透明性を有していることは、可視光透過率の値によって確認することができる。本発明では、織物の可視光透過率は25%以上であり、好ましくは30%以上であり、より好適には40%以上である。また、可視光透過率は80%以下であり、好ましくは70%以下であり、より好適には55%以下である。可視光透過率を80%より高くすると、織物の透明度は向上する。しかしこのように高い可視光透過率を有する織物を製造するには、フィラメントの密度を下げることを要求されることも考えられ、この様な織物では中綿が吹き出す虞があるため好ましくない。また可視光透過率が25%未満の織物では、所望の透明性を発現することが難しい。
本発明の織物は白〜中色域の色であることが好ましい。例えば、織物のL*値は37以上であり、より好ましくは45以上であり、更に好ましくは70以上である。またL*値は、95以下であることが好ましく、より好ましくは90以下である。
なおL*値とは、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化され、日本でもJIS Z 8729に採用される値である。また、(L*a*b*)は、(CIE)1976(L*a*b*)表色系と呼ばれ、係る表色系における明度をL*で表す。
なおL*値とは、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化され、日本でもJIS Z 8729に採用される値である。また、(L*a*b*)は、(CIE)1976(L*a*b*)表色系と呼ばれ、係る表色系における明度をL*で表す。
本発明の織物は、目視透明性で3級以上であることが好ましく、より好ましくは3.5級以上であり、更に好ましくは4級以上である。目視透明性が前記範囲内であれば、織物の透明度がより高まり、中綿がより外側に見える織物が得られる。
前記織物のフラジール形法による通気度は、1.5cc/cm2/s以下であることが好ましく、1.0cc/cm2/s以下であることがより好ましい。また、通気度の下限は好ましくは、0.01cc/cm2/s以上であり、より好ましくは0.1cc/cm2/s以上である。織物の通気度が前記範囲内であれば、織物から中綿等が抜けにくいため好ましい。
前記織物のペンジュラム法による引裂き強力は必ずしも限定されるべきものではないが、衣料用や羽毛製品の側地としての要求性能から、経方向及び緯方向のいずれも5N以上であることが好ましく、6N以上であることがより好ましく、7N以上であることがさらに好ましい。また50N以下であることが好ましく、より好ましくは40N以下であり、更に好ましくは25N以下である。織物の引裂き強力が前記範囲であれば、軽量薄地で必要な引裂き強力を有する織物が得られる。一方、引裂き強力が5Nより小さいと、用途によっては織物の引裂き強力が不足する場合がある。また、50Nを超えると、繊度を大きくする必要があり、それに伴って生地が分厚く硬いものとなりやすいため好ましくない。
また織物の厚さは、例えば0.001〜0.1mmであることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.06mmである。織物の厚さが薄いほど、織物がより透明になるため好ましい。
本発明の織物は、例えば、ダウンジャケット等の側地として用いることができる。本発明の織物は透明性に優れるため、従来のダウンジャケットとは異なり、中綿を見せることができる。そこで、側地に本発明の織物を用い、有色の中綿を詰め、敢えてこの中綿を見せることにより、これまでにはない斬新で且つ審美性に優れた衣服を提供できるようになる。使用される中綿は、特に限定されないが、例えば、羽毛(ダウン)、羽根(フェザー、スモールフェザー)、綿、ポリエステル等の合成樹脂を原料とする繊維等を好適に使用でき、これらの中綿を混合して使用することもできる。また、衣服の審美性を高める点から、有色の中綿を少なくとも一部に使用していることが望ましく、着色加工が施された中綿を使用することも可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
<極限粘度>
極限粘度(IV)には、p−クロルフェノールとテトラクロルエタンからなる混合溶媒(p−クロルフェノール/テトラクロルエタン=75/25)を用いて、30℃で測定した極限粘度〔η〕を、下記式により、フェノールとテトラクロルエタンからなる混合溶媒(フェノール/テトラクロルエタン=60/40)の極限粘度(IV)に換算したものを用いた。
極限粘度(IV)=0.8325×〔η〕+0.005
極限粘度(IV)には、p−クロルフェノールとテトラクロルエタンからなる混合溶媒(p−クロルフェノール/テトラクロルエタン=75/25)を用いて、30℃で測定した極限粘度〔η〕を、下記式により、フェノールとテトラクロルエタンからなる混合溶媒(フェノール/テトラクロルエタン=60/40)の極限粘度(IV)に換算したものを用いた。
極限粘度(IV)=0.8325×〔η〕+0.005
<相対粘度>
96.3±0.1%の試薬特級濃硫酸中にポリマー濃度が10mg/mlになるように試料を溶解させてサンプル溶液を調製した。相対粘度の測定には、20℃±0.05℃の温度で水落下秒数が6秒から7秒のオストワルド粘度計を使用し、測定は20℃±0.05℃の温度条件下で行った。サンプル溶液20mlの落下時間T1(秒)、及び、溶媒に使用した前記試薬特級濃硫酸20mlの落下時間T0(秒)を、それぞれ測定した後、下記式に基づき、素材の相対粘度(RV)を求めた。
RV=T1/T0
96.3±0.1%の試薬特級濃硫酸中にポリマー濃度が10mg/mlになるように試料を溶解させてサンプル溶液を調製した。相対粘度の測定には、20℃±0.05℃の温度で水落下秒数が6秒から7秒のオストワルド粘度計を使用し、測定は20℃±0.05℃の温度条件下で行った。サンプル溶液20mlの落下時間T1(秒)、及び、溶媒に使用した前記試薬特級濃硫酸20mlの落下時間T0(秒)を、それぞれ測定した後、下記式に基づき、素材の相対粘度(RV)を求めた。
RV=T1/T0
<屈折率>
マルチフィラメントの原料となる樹脂を用い、厚み20μmの2軸延伸フィルムを作製した。このフィルムを用いて、JIS K7142−1996 5.1(A法)に準じ、ナトリウムD線を光源とし、アッベ屈折計(アタゴ社製4T型)を使用して、フィルム厚み方向の屈折率を求め、これをマルチフィラメントの繊維断面方向の屈折率とした。測定条件は、温度:23℃、湿度:50%RHであり、樹脂の種類に応じて接触液にはJISに例示されるものを使用した。
マルチフィラメントの原料となる樹脂を用い、厚み20μmの2軸延伸フィルムを作製した。このフィルムを用いて、JIS K7142−1996 5.1(A法)に準じ、ナトリウムD線を光源とし、アッベ屈折計(アタゴ社製4T型)を使用して、フィルム厚み方向の屈折率を求め、これをマルチフィラメントの繊維断面方向の屈折率とした。測定条件は、温度:23℃、湿度:50%RHであり、樹脂の種類に応じて接触液にはJISに例示されるものを使用した。
<繊度(総繊度・単糸繊度)>
マルチフィラメントの繊度(総繊度)には、100m長のマルチフィラメントのカセを3つ作製し、各々の質量(g)を測定し、算出される平均値を用いた。この平均値を100倍し、10000m当りに換算することにより、総繊度(dtex)を求めた。
またモノフィラメント(単糸繊度)の繊度は、前記マルチフィラメントの繊度をフィラメント数で除した値とした。
マルチフィラメントの繊度(総繊度)には、100m長のマルチフィラメントのカセを3つ作製し、各々の質量(g)を測定し、算出される平均値を用いた。この平均値を100倍し、10000m当りに換算することにより、総繊度(dtex)を求めた。
またモノフィラメント(単糸繊度)の繊度は、前記マルチフィラメントの繊度をフィラメント数で除した値とした。
<破断強度・破断伸度>
インストロンジャパン社製の4301型万能材料試験機を使用し、マルチフィラメントの総繊度(dtex)に対し1/33の荷重(g)を加え、マルチフィラメントの試料長(糸長)20cm、引張速度20cm/分の条件下でS−Sチャートを作成した。1試料に対し測定を3回実施して、破断強度及び破断伸度の値をそれぞれのチャートより読み取った。得られた値を平均することにより、破断強度・破断伸度を求めた。
インストロンジャパン社製の4301型万能材料試験機を使用し、マルチフィラメントの総繊度(dtex)に対し1/33の荷重(g)を加え、マルチフィラメントの試料長(糸長)20cm、引張速度20cm/分の条件下でS−Sチャートを作成した。1試料に対し測定を3回実施して、破断強度及び破断伸度の値をそれぞれのチャートより読み取った。得られた値を平均することにより、破断強度・破断伸度を求めた。
<カバーファクター>
織物のカバーファクター(CF)は、下記式に基づき計算した。
CF=T×(DT)1/2+W×(DW)1/2
なお式中、T及びWは織物の経密度及び緯密度(本/inch)を示し、DT及びDWは織物を構成する経糸及び緯糸の繊度(dtex)を示す。
織物のカバーファクター(CF)は、下記式に基づき計算した。
CF=T×(DT)1/2+W×(DW)1/2
なお式中、T及びWは織物の経密度及び緯密度(本/inch)を示し、DT及びDWは織物を構成する経糸及び緯糸の繊度(dtex)を示す。
<目付け>
織物の目付けは、JIS L 1096 8.4に規定されている単位面積あたりの質量に準拠して測定した。
なお、実施例1〜5、7及び比較例1〜2では、撥水加工後の織物の目付を測定した。また、実施例6及び8では、撥水加工無しの生地の目付を測定した。
織物の目付けは、JIS L 1096 8.4に規定されている単位面積あたりの質量に準拠して測定した。
なお、実施例1〜5、7及び比較例1〜2では、撥水加工後の織物の目付を測定した。また、実施例6及び8では、撥水加工無しの生地の目付を測定した。
<可視光透過率>
分光光度計(島津 UV−3100PC)により、380nm〜780nmの波長域の可視光透過率を測定した。光度計に取付けた積分球付属装置にはISR−3100積分球内径60mmφ、標準白板は硫酸バリウムを使用した。試料を積分球付属のサンプルホルダーに取付けるために、タテ6cm×ヨコ3cmの長方形の中央にタテ2.5cm×ヨコ1cmの長方形スリットを切り抜いた厚紙を2枚用意した。シートサンプルをタテ6cm×ヨコ3cmに切り取って、用意した2枚の厚紙に挟み込んでからサンプルホルダーに取り付けた。そのサンプルホルダーを積分球の入射光側の透過率測定用の取付け位置に、シートの金属層形成面を分光光度計の光源側に向けて取付けて測定を行った。尚、このスリットを切り抜いた厚紙を使う目的は、サンプルにシワがよって測定値の精度低下を防ぐためである。同じ試料からサンプルを3個作製し、3個の測定データの平均値で評価した。
分光光度計(島津 UV−3100PC)により、380nm〜780nmの波長域の可視光透過率を測定した。光度計に取付けた積分球付属装置にはISR−3100積分球内径60mmφ、標準白板は硫酸バリウムを使用した。試料を積分球付属のサンプルホルダーに取付けるために、タテ6cm×ヨコ3cmの長方形の中央にタテ2.5cm×ヨコ1cmの長方形スリットを切り抜いた厚紙を2枚用意した。シートサンプルをタテ6cm×ヨコ3cmに切り取って、用意した2枚の厚紙に挟み込んでからサンプルホルダーに取り付けた。そのサンプルホルダーを積分球の入射光側の透過率測定用の取付け位置に、シートの金属層形成面を分光光度計の光源側に向けて取付けて測定を行った。尚、このスリットを切り抜いた厚紙を使う目的は、サンプルにシワがよって測定値の精度低下を防ぐためである。同じ試料からサンプルを3個作製し、3個の測定データの平均値で評価した。
<L*値>
測定生地を4枚重ねにし、下記条件で同じ場所を3回測定して平均値を算出した。
測色機:ミノルタ社製CM−3700d、測定径:8mmφ、光源:D65、視野:2°
測定生地を4枚重ねにし、下記条件で同じ場所を3回測定して平均値を算出した。
測色機:ミノルタ社製CM−3700d、測定径:8mmφ、光源:D65、視野:2°
<目視透明性>
標準光源装置の奥壁面中央部にJIS染色堅牢度試験用グレースケールを上側に45°で立て掛け、グレースケール面に測定サンプルを接触させるように覆って、測定サンプルより更に50cm前面からグレースケールをのぞき込み、グレースケールの白/グレーの境界線が視認できるかどうかを視認性の評価とした。視認できた最低のグレースケール級数で級判定した。本発明では、測定箇所を変えて3回測定を行い、得られた級数を平均し、これを目視透明性の評価に用いた。
標準光源装置:Leslie Hubble Limited社製 Verivide CAC60 (Apparatus for Standard Visual Assessment of Collour by Reflectance & Transmission)を使用。
光源:Artificial Daylight BS950PEL、F20T12/D65(Verivide製)
標準光源装置の奥壁面中央部にJIS染色堅牢度試験用グレースケールを上側に45°で立て掛け、グレースケール面に測定サンプルを接触させるように覆って、測定サンプルより更に50cm前面からグレースケールをのぞき込み、グレースケールの白/グレーの境界線が視認できるかどうかを視認性の評価とした。視認できた最低のグレースケール級数で級判定した。本発明では、測定箇所を変えて3回測定を行い、得られた級数を平均し、これを目視透明性の評価に用いた。
標準光源装置:Leslie Hubble Limited社製 Verivide CAC60 (Apparatus for Standard Visual Assessment of Collour by Reflectance & Transmission)を使用。
光源:Artificial Daylight BS950PEL、F20T12/D65(Verivide製)
<通気度>
織物の通気度は、JIS L 1096 8.27.1に規定されている通気性A法(フラジール形法)に準拠して測定した。
織物の通気度は、JIS L 1096 8.27.1に規定されている通気性A法(フラジール形法)に準拠して測定した。
<引裂き強力>
織物の引裂き強力は、JIS L 1096 8.15.5に規定されている引裂き強さD法(ペンジュラム法)に準拠して、経緯の両方向において測定した。
織物の引裂き強力は、JIS L 1096 8.15.5に規定されている引裂き強さD法(ペンジュラム法)に準拠して、経緯の両方向において測定した。
<厚さ>
織物の厚さは、JIS L 1096 8.5.1に規定されている織物の厚さに準拠して測定した。
織物の厚さは、JIS L 1096 8.5.1に規定されている織物の厚さに準拠して測定した。
<織物の染色方法>
製織された織物を、オープンソーパーを用いて精練し、ピンテンターを用いて190℃で30秒間熱セット(プレセット)し、液流染色機(日阪製作所社製:サーキュラーNS)を用いて、ナイロンを主成分とする織物は酸性染料で、ポリエステルを主成分とする織物は分散染料で、常法にて染色した。表1に記載の染料濃度にて、織物をベージュ、グレー、または濃いグレーに染色した後、180℃で30秒間熱セット(中間セット)を行った。その後、カレンダー加工、フッ素系樹脂による撥水加工を、必要に応じて順次行った。
なお、表中に示す染料濃度の単位は、%owf(on the weight of fiber)である。
ポリエステル織物の分散染料による染色処方
・染料(種類、添加量は表1に記載)
・均染剤(ディスパーTL、明成化学工業社製) 1g/L
・pH調整剤 酢酸/酢酸アンモニウムでpH5に調整
染色条件:130℃・45分間,浴比=1:12
ナイロン織物の酸性染料による染色処方
・染料(種類、添加量は表1に記載)
・均染剤(レベロンNT、一方社油脂工業社製) 1g/L
・pH調整剤 酢酸/酢酸アンモニウムでpH5に調整
染色条件:95℃・45分間,浴比=1:12
製織された織物を、オープンソーパーを用いて精練し、ピンテンターを用いて190℃で30秒間熱セット(プレセット)し、液流染色機(日阪製作所社製:サーキュラーNS)を用いて、ナイロンを主成分とする織物は酸性染料で、ポリエステルを主成分とする織物は分散染料で、常法にて染色した。表1に記載の染料濃度にて、織物をベージュ、グレー、または濃いグレーに染色した後、180℃で30秒間熱セット(中間セット)を行った。その後、カレンダー加工、フッ素系樹脂による撥水加工を、必要に応じて順次行った。
なお、表中に示す染料濃度の単位は、%owf(on the weight of fiber)である。
ポリエステル織物の分散染料による染色処方
・染料(種類、添加量は表1に記載)
・均染剤(ディスパーTL、明成化学工業社製) 1g/L
・pH調整剤 酢酸/酢酸アンモニウムでpH5に調整
染色条件:130℃・45分間,浴比=1:12
ナイロン織物の酸性染料による染色処方
・染料(種類、添加量は表1に記載)
・均染剤(レベロンNT、一方社油脂工業社製) 1g/L
・pH調整剤 酢酸/酢酸アンモニウムでpH5に調整
染色条件:95℃・45分間,浴比=1:12
実施例1
相対粘度2.2で酸化チタンを含まないナイロン6(NY6、スーパーブライト)ポリマーチップ(東洋紡績社製)を、固相重合を行うことにより相対粘度を3.5に高めたポリマーチップを用い、紡糸温度288℃で丸孔を7個有する口金から溶融紡糸した。備えられる3つのゴデットローラの速度を、上流のものから順に、第1ゴデットローラ:2000m/分、第2ゴデットローラ:3500m/分、第3ゴデットローラ:3500m/分に設定し、第2ゴデットローラの温度を153℃に加熱して糸条を延伸した。このようにして、丸型断面のモノフィラメント7本からなる、繊度11dtexのマルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントについて、前述した方法により、破断強度及び破断伸度を評価した。結果を表2に示す。
相対粘度2.2で酸化チタンを含まないナイロン6(NY6、スーパーブライト)ポリマーチップ(東洋紡績社製)を、固相重合を行うことにより相対粘度を3.5に高めたポリマーチップを用い、紡糸温度288℃で丸孔を7個有する口金から溶融紡糸した。備えられる3つのゴデットローラの速度を、上流のものから順に、第1ゴデットローラ:2000m/分、第2ゴデットローラ:3500m/分、第3ゴデットローラ:3500m/分に設定し、第2ゴデットローラの温度を153℃に加熱して糸条を延伸した。このようにして、丸型断面のモノフィラメント7本からなる、繊度11dtexのマルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントについて、前述した方法により、破断強度及び破断伸度を評価した。結果を表2に示す。
該マルチフィラメントを経糸及び緯糸に用い、経密度を254本/2.54cmに、緯密度を225本/2.54cmに設定し、図2に示すミニリップ組織(リップストップタフタ組織)で製織した。
得られた生地を常法に従って、オープンソーパーを用いて精練、ピンテンターを用いて190℃で30秒間熱セットした。その後、カレンダー加工(加工条件:温度150℃、圧力2.45MPa(25kgf/cm2)、速度20m/分)を織物の片面(裏面)に2回施した後、パーフルオロオクタン酸(PFOA)を実質含まないパーフルオロアルキル基を有するフッ素系撥水剤(旭硝子社製「アサヒガード(登録商標)AG−E061」)1%soln.及びシリコーン系柔軟剤(日華化学社製「ニッカシリコン(登録商標)DM−100」)1%soln.を、ウエットピックアップ50%になるようマングル圧を調整して付与し、乾燥させた後、190℃で1分間キュアして仕上げた。この得られた織物は、密度が経方向で275本/2.54cm、緯方向で244本/2.54cmであり、カバーファクター(CF)が1589である織物であった。得られた織物について、可視光透過率、L*値、目視透明性、通気度、引裂き強力、厚さを前記の方法で評価した。結果を表2に示す。
実施例2
相対粘度が2.2であるナイロン6ポリマーチップを用い、総繊度22dtex、フィラメント数20の糸条を製糸した。実施例2では、組織を平織に変えたこと、及び上述した方法により織物をベージュに染色したこと以外は、実施例1と同様の方法で織物を作製した。得られた織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
相対粘度が2.2であるナイロン6ポリマーチップを用い、総繊度22dtex、フィラメント数20の糸条を製糸した。実施例2では、組織を平織に変えたこと、及び上述した方法により織物をベージュに染色したこと以外は、実施例1と同様の方法で織物を作製した。得られた織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
実施例3
実施例1に記載される織物をグレーに染色した以外は、実施例1と同様の方法で織物を作製した。得られたマルチフィラメント及び織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1に記載される織物をグレーに染色した以外は、実施例1と同様の方法で織物を作製した。得られたマルチフィラメント及び織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
実施例4
極限粘度0.62のポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマーチップ(東洋紡績社製)を、固相重合を行うことにより極限粘度(IV)を0.75に高め、酸化チタンを0.01%添加したポリマーチップを用い、総繊度16dtex、フィラメント数24のマルチフィラメントを得た。このマルチフィラメントを用い、生機密度を変えたこと、及び織物をベージュに染色した以外は、実施例1と同様の方法で織物を作製した。得られたマルチフィラメント及び織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
極限粘度0.62のポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマーチップ(東洋紡績社製)を、固相重合を行うことにより極限粘度(IV)を0.75に高め、酸化チタンを0.01%添加したポリマーチップを用い、総繊度16dtex、フィラメント数24のマルチフィラメントを得た。このマルチフィラメントを用い、生機密度を変えたこと、及び織物をベージュに染色した以外は、実施例1と同様の方法で織物を作製した。得られたマルチフィラメント及び織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
実施例5
織物をベージュに染めて中間セットを行った後、カレンダー処理を裏面に2回・表面に1回施したこと以外は、実施例1と同様の方法でマルチフィラメント及び織物を作製した。得られたマルチフィラメント及び織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
織物をベージュに染めて中間セットを行った後、カレンダー処理を裏面に2回・表面に1回施したこと以外は、実施例1と同様の方法でマルチフィラメント及び織物を作製した。得られたマルチフィラメント及び織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
実施例6
実施例1で用いたナイロン6ポリマーチップに酸化チタンを0.2%添加したこと(セミダル)、織物をベージュに染めたこと、及び仕上工程で撥水加工(フッ素系樹脂による処理)を行わないこと以外は、実施例1と同様の方法で、マルチフィラメント及び織物を作製した。織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1で用いたナイロン6ポリマーチップに酸化チタンを0.2%添加したこと(セミダル)、織物をベージュに染めたこと、及び仕上工程で撥水加工(フッ素系樹脂による処理)を行わないこと以外は、実施例1と同様の方法で、マルチフィラメント及び織物を作製した。織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
実施例7
マルチフィラメントの繊度を、総繊度22dtex、フィラメント数20に変えたこと、及び織物をグレーに染めたこと以外は、実施例1と同様の方法で、マルチフィラメント及び織物を作製した。織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
マルチフィラメントの繊度を、総繊度22dtex、フィラメント数20に変えたこと、及び織物をグレーに染めたこと以外は、実施例1と同様の方法で、マルチフィラメント及び織物を作製した。織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
実施例8
織物をベージュに染めたこと、及び仕上工程でカレンダー処理と撥水加工の両方を行わないこと以外は、実施例7と同様の方法で、マルチフィラメント及び織物を作製した。織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
織物をベージュに染めたこと、及び仕上工程でカレンダー処理と撥水加工の両方を行わないこと以外は、実施例7と同様の方法で、マルチフィラメント及び織物を作製した。織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
比較例1
織物を濃グレーに染めたこと以外は、実施例7と同様の方法で、マルチフィラメント及び織物を作製した。織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
織物を濃グレーに染めたこと以外は、実施例7と同様の方法で、マルチフィラメント及び織物を作製した。織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
比較例2
酸化チタンを0.01%添加した極限粘度0.62のポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマーチップ(東洋紡績社製)を用い、総繊度33dtex、フィラメント数24のマルチフィラメントを得た。織物をグレーに染色したこと以外は、実施例1と同様の方法で織物を作製した。得られた織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
酸化チタンを0.01%添加した極限粘度0.62のポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマーチップ(東洋紡績社製)を用い、総繊度33dtex、フィラメント数24のマルチフィラメントを得た。織物をグレーに染色したこと以外は、実施例1と同様の方法で織物を作製した。得られた織物について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1〜8の織物は透明度が高く、軽量薄地で引裂き強力が大きかった。
一方、比較例1では濃色グレーに染色したことにより透明度が低下した。また、比較例2では織物自体の色は中間色であったが、マルチフィラメントの繊度が大きいため、得られた織物は透明性に劣るものであった。
一方、比較例1では濃色グレーに染色したことにより透明度が低下した。また、比較例2では織物自体の色は中間色であったが、マルチフィラメントの繊度が大きいため、得られた織物は透明性に劣るものであった。
本発明は、ダウンウエア、ダウンジャケット、ふとん、寝袋等の側地に好適に用いられる。
Claims (5)
- 単糸繊度が0.5〜3.0dtexであり、総繊度が3〜25dtexのマルチフィラメントから構成されるカバーファクターが1300〜2500の織物であって、
可視光透過率が25〜80%であり、且つL*値が37以上であることを特徴とする透明性に優れた織物。 - 前記マルチフィラメントの繊維断面方向の屈折率が1.47〜1.57である請求項1に記載の織物。
- 前記マルチフィラメントが酸化チタンを0〜0.5質量%含有しており、
前記マルチフィラメントの破断強度が3.5〜10cN/dtexである請求項1または2に記載の織物。 - 前記織物の少なくとも一方の面にカレンダー処理が施されており、前記織物の表面にはフッ素系樹脂被膜が形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の織物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の織物を側地として用い、有色の中綿を使用することを特徴とするダウンジャケット。
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WO2020067224A1 (ja) | 2018-09-27 | 2020-04-02 | 東レ株式会社 | スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントおよびダイレクトデジタル製版用メッシュ織物 |
-
2015
- 2015-10-29 JP JP2015212607A patent/JP2016041859A/ja not_active Withdrawn
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