本実施形態の画像表示装置によれば、出射手段は、レーザ光を出射する。レーザ光は、画像を表示する(言い換えれば、投影する又は描画する)ために用いられるレーザ光である。出射手段が出射したレーザ光は、拡散手段の走査面を走査するように、走査面に照射される。尚、レーザ光は、走査面を走査することで走査面上に中間像を描画している。走査面に照射されたレーザ光は、複数の光学素子の夫々によって拡散される。拡散されたレーザ光は、観察者に到達する。その結果、観察者は、レーザ光が走査面上に描画した中間像に応じた画像を、虚像として(或いは、場合によっては実像として)観察することができる。
本実施形態では特に、調整手段は、走査面上における光スポットの形成位置を調整することができる。より具体的には、調整手段は、複数の光学素子の夫々に対する光スポットの形成位置(言い換えれば、複数の光学素子の夫々と光スポットの形成位置との間の相対的な位置関係)を調整する。
ここで、各光学素子に対する光スポットの形成位置が変わると、各光学素子が拡散するレーザ光の拡散方向が変わる。レーザ光の拡散方向が変わると、当該レーザ光が表示する画像を観察可能な視点位置が変わる。逆に言えば、各光学素子が拡散するレーザ光の拡散方向が調整されることで、所望の視点位置(例えば、観察者にとっての視認性が良好となる視点位置)において画像が観察可能となるように画像が表示されると推定される。
このように、走査面上における光スポットの形成位置の調整は、レーザ光の拡散方向の調整につながる。更に、レーザ光の拡散方向の調整は、レーザ光によって表示される画像を観察可能な視点位置の調整に繋がる。従って、調整手段は、走査面上における光スポットの形成位置を調整することで、レーザ光の拡散方向を調整することができる。その結果、調整手段は、当該レーザ光によって表示される画像を観察可能な視点位置を調整することができる。例えば、調整手段は、拡散手段によってレーザ光が所望の拡散方向に向かって拡散されるように走査面上における光スポットの形成位置を調整することで、所望の視点位置において画像が観察可能となるように、画像を観察可能な視点位置を調整することができる。その結果、画像表示装置は、所望の視点位置(例えば、観察者にとっての視認性が良好となる視点位置)において画像が観察可能となるように画像を表示することができる。
この態様によれば、調整手段は、拡散手段によってレーザ光が所望の拡散方向に向かって拡散されるように走査面上における光スポットの形成位置を調整することで、所望の視点位置において画像が観察可能となるように、画像を観察可能な視点位置を調整することができる。
この態様によれば、調整手段は、レーザ光の走査方向に交わる方向に沿って光スポットが移動するように光スポットの形成位置を調整することで、所望の視点位置において画像が観察可能となるように、画像を観察可能な視点位置を調整することができる。
この態様によれば、調整手段は、第1の画像部分と第2の画像部分とを組み合わせることで構成される画像が所望の視点位置において観察可能となるように、画像を観察可能な視点位置を調整することができる。
隣り合う2つの光学素子の配列間隔よりも光スポットの径が小さくなる場合には、走査面上における光スポットの形成位置の調整は、レーザ光の拡散方向の調整(更には、レーザ光によって表示される画像を観察可能な視点位置の調整)に繋がる又は繋がりやすくなる。従って、この態様によれば、調整手段は、隣り合う2つの光学素子の配列間隔よりも小さい径を有する光スポットの形成位置を調整することで、レーザ光によって表示される画像を観察可能な視点位置を調整することができる。
更に、この態様によれば、光スポットの径が相対的に小さくなるがゆえに、光スポットの径が隣り合う2つの光学素子の配列間隔よりも小さくない場合と比較して、レーザ光によって表示される画像の輝度が大きくなる。その結果、画像表示装置は、相対的に大きな輝度の画像を、所望の視点位置において観察可能となるように表示することができる。つまり、画像表示装置は、画像の輝度と画像を観察可能な視点位置との双方の要求を相応に満たすことができる。
この態様によれば、調整手段は、隣り合う2つの光学素子の配列間隔に対してβ/αを掛け合わせることで得られる値に相当する径を有する光スポットの形成位置を調整することで、レーザ光によって表示される画像を観察可能な視点位置を調整することができる。更には、光スポットの径が隣り合う2つの光学素子の配列間隔よりも小さくない場合と比較して、レーザ光によって表示される画像の輝度がα/β倍になる。その結果、画像表示装置は、相対的に大きな輝度の画像を、所望の視点位置において観察可能となるように表示することができる。
以上説明したように、本実施形態の画像表示装置は、出射手段と、拡散手段と、調整手段とを備える。従って、比較的容易に所望の視点位置(例えば、観察者にとっての視認性が良好となる視点位置)において画像が観察可能となるように画像を表示することができる。
以下、図面を参照しながら、画像表示装置の実施例について説明する。尚、本実施例では、画像表示装置がヘッドアップディスプレイである例を用いて説明を進める。ヘッドアップディスプレイは、画像を虚像としてユーザに観察させることができる。言い換えれば、ヘッドアップディスプレイは、画像を、ユーザの目の位置(いわゆる、アイポイント)から虚像として観察させることができる。但し、画像表示装置は、ヘッドアップディスプレイ以外の任意の画像表示装置(例えば、MEMSディスプレイや、プロジェクタ等)であってもよい。
(1)画像表示装置1の構成
はじめに、図1を参照しながら、本実施例の画像表示装置1の構成について説明する。図1は、本実施例の画像表示装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、画像表示装置1は、「出射手段」の一具体例であるレーザ光源ユニット11と、集光レンズ13と、「調整手段」の一具体例であるMEMSミラー14と、「拡散手段」の一具体例であるスクリーン15と、走査位置検出板16と、コンバイナ17と、コントローラ18とを備える。
レーザ光源ユニット11は、後述するレーザ制御部181の制御の下で、画像表示装置1が表示するべき画像を示す画像信号に基づいて、レーザ光LBを出射する。レーザ光源ユニット11は、集光レンズ13を介して、レーザ光LBをMEMSミラー14に向けて出射する。
尚、図面の簡略化のために図示していないものの、レーザ光源ユニット11は、赤色レーザ光を出射するレーザダイオードと、緑色レーザ光を出射するレーザダイオードと、青色レーザ光を出射するレーザダイオードとを備えていてもよい。この場合、3つのレーザダイオード111が出射した3つのレーザ光は、レーザ光源ユニット11が備える光学素子によって1つのレーザ光LBに合波されることが好ましい。その結果、画像表示装置1は、フルカラーの画像を表示することができる。
集光レンズ13は、レーザ光源ユニット11とMEMSスキャナ14との間におけるレーザ光LBの光路上に配置されている。集光レンズ13は、レーザ光源ユニット11が出射したレーザ光LBを、MEMSスキャナ14の反射面に集光する。
MEMSスキャナ14は、集光レンズ13によって集光されたレーザ光LBをスクリーン15に向けて反射する。このため、MEMSスキャナ14は、レーザ光LBをスクリーン15に向けて反射可能な反射面を含んでいる。MEMSスキャナ14が含む反射面は、後述するMEMS制御部183の制御の下で、レーザ光LBがスクリーン15の走査面153(図2(a)及び図2(b)参照)を走査するように遥動する。その結果、MEMSスキャナ14によって反射されたレーザ光LBは、スクリーン15上に画像(例えば、中間像)を描画することができる。
スクリーン15は、MEMSスキャナ14によって反射されたレーザ光LBが透過する透過型のスクリーンである。ここで、図2(a)及び図2(b)を参照しながら、スクリーン15の構成について説明する。図2(a)は、レーザ光LBの光路に沿った方向(Z軸方向)から観察されるスクリーン15を示す平面図である。図2(b)は、図2(a)に示すスクリーンのII−II’断面図である。尚、図2(a)及び図2(b)では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から構成されるXYZ座標系を用いて、スクリーン15の説明を進める。
図2(a)及び図2(b)に示すように、スクリーン15は、レーザ光LBが照射される(言い換えれば、レーザ光LB1が走査する)板状の部材である。但し、スクリーン15は、板状の形状とは異なる形状(例えば、円盤状)の部材であってもよい。
スクリーン15は、複数のマイクロレンズ152が配列されているマイクロレンズアレイ151を含んでいる。図2(b)に示すように、各マイクロレンズ152は、当該マイクロレンズ152のレンズ面に入射するレーザ光LBを拡散する(言い換えれば、分散させる)。従って、マイクロレンズアレイ151は、当該マイクロレンズアレイ151を構成するマイクロレンズ152の曲率等に応じて定まる拡散角度でレーザ光LBを拡散する。
マイクロレンズアレイ151は、図2(a)中に点線の矢印で示すレーザ光LBの走査方向(図2では、Y軸方向)に沿って規則的に(言い換えれば、周期的に)配列される複数のマイクロレンズ152を含んでいる。レーザ光LBの走査方向に沿って規則的に配列される複数のマイクロレンズ152からなるレンズ群は、レーザ光LBの走査方向に交わる方向(図2(a)及び図2(b)では、X軸方向)に沿って配列されている。つまり、複数のマイクロレンズ152は、マトリクス状に又は格子状に配列されている。
複数のマイクロレンズ152の夫々のレンズ面の外形は、平面視において(つまり、XY平面上において)正六角形である。但し、複数のマイクロレンズ152のうちの少なくとも一つレンズ面の外形は、平面視において正六角形以外の任意の形状(例えば、円形や、四角形や、任意の矩形や、その他任意の形状等)であってもよい。
複数のマイクロレンズ152の特性(例えば、レンズ面の外形や曲率等)は同一である。但し、複数のマイクロレンズ152の少なくとも一部の特性は、複数のマイクロレンズ152の少なくとも他の一部の特性と異なっていてもよい。
各マイクロレンズ152の一方のレンズ面の形状は、凸レンズ状である。各マイクロレンズ152の他方のレンズ面の形状は、平面状である。
複数のマイクロレンズ152は、各マイクロレンズ152のレンズ面がレーザ光LBの光路に交わるように配列されている。従って、複数のマイクロレンズアレイ152のレンズ面(特に、レーザ光LBが照射されるレンズ面)は、レーザ光LBが走査する走査面153を構成している。このため、走査面153は、レーザ光LBの光路に交わる面となる。
走査面153に照射されるレーザ光LBは、走査面153上でレーザスポットLSを形成する。レーザスポットLSは、レーザ光LBの走査に伴って移動する。例えば、レーザ光LBは、複数のマイクロレンズ152によって順番に拡散されるように、走査面153を走査する。この場合、レーザスポットLSは、レーザ光LBの走査に伴って、複数のマイクロレンズ152のレンズ面上に順に位置することになるように移動する。
レーザスポットLSのスポット径は、隣り合う2つのマイクロレンズ152の配列間隔よりも小さい。従って、レーザ光源ユニット11は、レーザスポットLSのスポット径が隣り合う2つのマイクロレンズ152の配列間隔よりも小さくなるように、適切なレーザ光LBを出射してもよい。或いは、画像表示装置1は、レーザスポットLSのスポット径が隣り合う2つのマイクロレンズ152の配列間隔よりも小さくなるように、レーザ光源ユニット11が出射したレーザ光LBのビーム径を調整する光学素子(例えば、ビームエキスパンダ)を備えていてもよい。
再び図1において、走査位置検出板16は、レーザ光LBの光路に沿ってスクリーン15と隣接するように配置される部材である。走査位置検出板16は、スクリーン15上におけるレーザ光LBの走査位置を検出する部材である。つまり、走査位置検出板16は、スクリーン15の走査面153上におけるレーザスポットLSの形成位置を検出する部材である。
ここで図3(a)から図3(e)を参照しながら、走査位置検出板16の構成について説明する。図3(a)は、レーザ光LBの光路に沿った方向から観察される走査位置検出板16を示す平面図である。図3(b)は、スクリーン15が備えるマイクロレンズ152と走査位置検出板16が備える受光素子162との位置関係を示す、マイクロレンズ152及び受光素子162の断面図である。図3(c)は、マイクロレンズ152のレンズ面の中心に対してレーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿ってレーザスポットLSの中心がずれていない場合の、マイクロレンズ152を透過したレーザ光LBの受光素子162による受光の様子を示す、マイクロレンズ152及び受光素子162の断面図である。図3(d)は、各マイクロレンズ152のレンズ面の中心に対してレーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿ってレーザスポットLSの中心がずれている場合の、マイクロレンズ152を透過したレーザ光LBの受光素子162による受光の様子を示す、マイクロレンズ152及び受光素子162の断面図である。図3(e)は、一対の受光素子162から出力される差分信号と、マイクロレンズ152のレンズ面の中心に対するレーザスポットLSの中心のシフト量(ずれ量)との関係を示すグラフである。尚、図3では、スクリーン15の説明と同様に、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から構成されるXYZ座標系を用いて、走査位置検出板16の説明を進める。
図3(a)に示すように、走査位置検出板16は、板状の部材である。但し、走査位置検出板16は、板状の形状とは異なる形状(例えば、円盤状)の部材であってもよい。
走査位置検出板16は、走査位置検出板16の表面のうちスクリーン15に対向する表面である検出面161がスクリーン15の走査面153と平行になるように配置される。走査位置検出板16の検出面161のうちの少なくとも一部の領域には、レーザ光LBの走査方向に交わる方向(X軸方向)に沿って配列されている複数の受光素子162が配置されている。図2に示す例では、レーザ光LBの走査方向(Y軸方向)に沿ったマイクロレンズアレイ151(走査面153)の両端部の夫々とレーザ光LBの光路(Z軸方向)に沿って重なる検出面161の一部の領域に、レーザ光LBの走査方向に交わる方向(X軸方向)に沿って配列されている複数の受光素子162が配置されている。
複数の受光素子162は、複数のマイクロレンズ152と所定の位置関係を有するように配置されている。具体的には、図3(b)に示すように、レーザ光LBの走査方向に交わる方向(X軸方向)に沿って隣接する一対の受光素子162が1つのマイクロレンズアレイ152に対応するように、複数の受光素子162が配置されている。言い換えれば、図3(b)に示すように、レーザ光LBの走査方向に交わる方向(X軸方向)に沿って隣接する一対の受光素子162と1つのマイクロレンズアレイ152とがレーザ光LBの光路(Z軸方向)に沿って隣接するように、複数の受光素子162が配置されている。特に、レーザ光LBの光路に沿って、各マイクロレンズ152のレンズ面の中心と一対の受光素子162の境界線とが並ぶように、複数の受光素子162が配置されている。
複数の受光素子162が複数のマイクロレンズ152と所定の位置関係を有するように配置されているがゆえに、各マイクロレンズ152に対応する一対の受光素子162の受光結果に基づいて、レーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿った各マイクロレンズ152に対するレーザスポットLSの形成位置が検出される。具体的には、図3(c)に示すように、各マイクロレンズ152のレンズ面の中心に対してレーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿ってレーザスポットLSの中心がずれていない場合には、レーザ光LBは、各マイクロレンズ152に対応する一対の受光素子162に均等に照射される。従って、各マイクロレンズ152に対応する一対の受光素子162の受光結果の差分信号(いわゆる、プッシュプル信号)の信号レベルはゼロになる。一方で、図3(d)に示すように、各マイクロレンズ152のレンズ面の中心に対してレーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿ってレーザスポットLSの中心がずれている場合には、レーザ光LBは、各マイクロレンズ152に対応する一対の受光素子162に均等に照射されない。従って、各マイクロレンズ152に対応する一対の受光素子162の受光結果の差分信号の信号レベルはゼロにならない。
このため、図3(e)に示すように、差分信号の信号レベルは、各マイクロレンズ152のレンズ面の中心を基準とする、レーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿ったレーザスポットLSの中心のシフト量(ずれ量)に応じた信号レベルとなる。つまり、差分信号の信号レベルは、レーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿った各マイクロレンズ152に対するレーザスポットLSの形成位置に応じた信号レベルとなる。従って、各マイクロレンズ152に対応する一対の受光素子162の受光結果の差分信号の信号レベルに基づいて、レーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿った各マイクロレンズ152に対するレーザスポットLSの形成位置が検出される。逆に言えば、差分信号の信号レベルを所望の信号レベルに一致させる制御が行われると、レーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿ってレーザスポットLSの形成位置が調整される。
尚、図3(a)から図3(e)では、レーザ光LBの走査方向に交わる方向(X軸方向)に沿って隣接する一対の受光素子162が1つのマイクロレンズアレイ152に対応するように、複数の受光素子162が配置されている。この場合、上述したように、差分信号の信号レベルに基づいて、各マイクロレンズ152のレンズ面の中心を基準とするレーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿ったレーザスポットLSの中心のシフト量が検出される。一方で、レーザ光LBの走査方向及び当該走査方向に交わる方向に沿って格子状に隣接する4つの受光素子162が1つのマイクロレンズアレイ152に対応するように、複数の受光素子162が配置されていてもよい。この場合、差分信号の信号レベルに基づいて、各マイクロレンズ152のレンズ面の中心を基準とする任意の方向に沿ったレーザスポットLSの中心のシフト量が検出される。
再び図1において、コンバイナ17は、スクリーン15を透過したレーザ光LB(つまり、拡散光)を観察者に向けて反射する。その結果、観察者は、スクリーン15を透過したレーザ光LBによって表示される画像(言い換えれば、レーザ光LBがスクリーン15上に形成する画像)を、虚像として観察することができる。
コントローラ18は、画像表示装置1を制御する中央処理装置である。本実施例では特に、コントローラ18は、その内部に実現される論理的な処理ブロックとして、レーザ制御部181と、「調整手段」の一具体例であるMEMS制御部183とを備えている。
レーザ制御部181は、レーザ光源ユニット11を制御する。具体的には、レーザ制御部181は、画像信号に基づいて、レーザ光源ユニット11によるレーザ光LBの出射パターンを決定する。その後、レーザ制御部181は、MEMS制御部183の制御下で遥動するMEMSスキャナ14の遥動タイミングに同期しながら、決定した出射パターンでレーザ光LBを出射するようにレーザ光源ユニット11を制御する。
MEMS制御部183は、MEMSスキャナ14を制御する。具体的には、MEMS制御部183は、レーザ光源ユニット11によるレーザ光LBの出射パターンに同期しながらMEMSスキャナ14が遥動するように、MEMSスキャナ14を制御する。つまり、MEMS制御部183は、MEMSスキャナ14が反射したレーザ光LBがスクリーン15の走査面153を適切に走査するように、MEMSスキャナ14を制御する。
加えて、MEMS制御部183は、走査位置検出部16の検出結果に基づいて、走査面153上におけるレーザスポットLSの形成位置を調整するようにMEMSスキャナ14を制御する。より具体的には、MEMS制御部183は、走査位置検出部16の検出結果に基づいて、レーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿ったレーザスポットLSの形成位置(例えば、レーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿った各マイクロレンズ152に対するレーザスポットLSの形成位置)を調整するようにMEMSスキャナ14を制御する。この場合、MEMS制御部183は、例えば、MEMSスキャナ14の遥動態様(例えば、遥動タイミングや、遥動角度や、遥動量等)を調整することで、レーザスポットLSの形成位置を調整するようにMEMSスキャナ14を制御する。尚、MEMS制御部182の制御下で行われるレーザスポットLSの形成位置の調整動作は、後に詳述する(図5(a)から図5(e)参照)。
(2)画像の輝度と画像を観察可能な視点位置との関係について
続いて、図4を参照しながら、スクリーン15によって拡散されたレーザ光LBによって表示される画像の輝度と当該画像を観察可能な視点位置との関係について説明する。図4(a)は、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散角度が相対的に小さい場合のスクリーン15によるレーザ光LBの拡散の様子を示す説明図である。図4(b)は、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散角度が相対的に大きい場合のスクリーン15によるレーザ光LBの拡散の様子を示す説明図である。
図4(a)に示すように、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散角度が相対的に小さい場合には、各マイクロレンズ152は、レーザ光LBを相対的に狭い範囲に向けて拡散する。レーザ光LBの拡散角度が相対的に小さい(つまり、各マイクロレンズ152がレーザ光LBを相対的に狭い範囲に向けて拡散する)と、ある視点位置に位置する観察者に到達するレーザ光LBの光量が相対的に多くなる。観察者に到達するレーザ光LBの光量が相対的に多くなると、当該観察者は、当該レーザ光LBによって表示される画像の輝度が相対的に大きい(つまり、相対的に高い)と認識する。
しかしながら、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散角度が相対的に小さい場合には、スクリーン15が備える複数のマイクロレンズ152によって拡散されたレーザ光の全てが到達する領域が相対的に狭くなる。つまり、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散角度が相対的に小さい場合には、スクリーン15によって拡散されたレーザ光LBによって表示される画像全体を観察可能な視点位置は、相対的に狭い範囲に分布することになる。例えば、図4(a)に示す例では、視点位置A1では、スクリーン15が備える複数のマイクロレンズ152によって拡散されたレーザ光の全てが到達するがゆえに、スクリーン15によって拡散されたレーザ光LBによって表示される画像全体が観察可能である。一方で、視点位置A2では、スクリーン15が備える複数のマイクロレンズ152のうち画素D及び画素Eに対応する一部のマイクロレンズ152によって拡散されたレーザ光LBが到達しない。言い換えれば、視点位置A2では、画素D及び画素Eに対応する一部のマイクロレンズ152をレーザ光LBが走査している間は、当該レーザLBが到達しない。このため、視点位置A2では、スクリーン15によって拡散されたレーザ光LBによって表示される画像全体が観察可能ではない。典型的には、視点位置A2では、スクリーン15によって拡散されたレーザ光LBによって表示される画像の一部(例えば、画素D及び画素Eが欠けた画像)が観察される。
このように、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散角度が相対的に小さくなると、レーザ光LBによって表示される画像の輝度が相対的に大きくなるものの、レーザ光LBによって表示される画像を観察可能な視点位置が相対的に狭い範囲に分布する。従って、画像表示装置1が表示する画像を観察する観察者は、当該観察者の視点を相対的に狭い範囲に分布する視点位置(つまり、画像を観察可能な視点位置)に合わせる必要があるという制約を受ける。言い換えれば、画像表示装置1が表示する画像を観察する観察者は、所望の視点位置から画像を観察することが困難になる可能性がある。
そこで、レーザ光LBによって表示される画像を観察可能な視点位置の分布範囲を広げるべく、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散角度を相対的に大きくする対応策が想定される。尚、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散角度は、レーザスポットLSのスポット径が大きくなるほど大きくなる。
この場合、図4(b)に示すように、スクリーン15が備える複数のマイクロレンズ152によって拡散されたレーザ光の全てが到達する領域が相対的に広くなる。つまり、つまり、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散角度が相対的に大きい場合には、スクリーン15によって拡散されたレーザ光LBによって表示される画像全体を観察可能な視点位置は、相対的に広い範囲に分布することになる。例えば、図4(b)に示す例では、視点位置B1では、スクリーン15が備える複数のマイクロレンズ152によって拡散されたレーザ光の全てが到達するがゆえに、スクリーン15によって拡散されたレーザ光LBによって表示される画像全体が観察可能である。図4(a)及び図4(b)を比較して分かるように、視点位置B1の分布範囲は、視点位置A1の分布範囲よりも広くなっている。
しかしながら、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散角度が相対的に大きい場合には、各マイクロレンズ152は、レーザ光LBを相対的に広い範囲に向けて拡散する。レーザ光LBの拡散角度が相対的に大きい(つまり、各マイクロレンズ152がレーザ光LBを相対的に広い範囲に向けて拡散する)と、ある視点位置に位置する観察者に到達するレーザ光LBの光量が相対的に少なくなる。観察者に到達するレーザ光LBの光量が相対的に少なくなると、当該観察者は、当該レーザ光LBによって表示される画像の輝度が相対的に小さい(つまり、相対的に低い)と認識する。
このように、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散角度が相対的に大きくなると、レーザ光LBによって表示される画像を観察可能な視点位置が相対的に広い範囲に分布するものの、レーザ光LBによって表示される画像の輝度が相対的に小さくなってしまう。従って、観察者が相対的に暗い画像を観察することになってしまうおそれがある。
つまり、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散角度を調整するだけでは、画像表示装置1は、輝度が相対的に大きく、且つ、所望の視点位置から観察可能な画像を表示することが困難であると推定される。
そこで、本実施例の画像表示装置1は、まず、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散角度が相対的に小さい状態を維持する(例えば、レーザスポットLSのスポット径を隣り合う2つのマイクロレンズ152の配列ピッチ(或いは、各マイクロレンズ152のレンズ面の径)よりも小さくする)ことで、表示される画像の輝度を大きくする。その上で、画像表示装置1は、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散方向を調整することで、所望の視点位置から観察可能な画像を表示する。その結果、画像表示装置1は、輝度が相対的に大きく、且つ、所望の視点位置から観察可能な画像を表示することができる。
画像表示装置1は、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散方向を調整するために、レーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿ったレーザスポットLSの形成位置(例えば、レーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿った各マイクロレンズ152に対するレーザスポットLSの形成位置)を調整する。
以下、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散方向を調整するために行われるレーザスポットLSの形成位置の調整動作について更に説明する。
(3)MEMS制御部183によるレーザスポットLSの形成位置の調整動作
続いて、図5(a)から図5(b)並びに図6及び図7を参照して、MEMS制御部183によるレーザスポットLSの形成位置の調整動作について説明する。図5(a)から図5(e)は夫々、マイクロレンズ152のレンズ面の中心に対するレーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿ったビームスポットLSの形成位置のシフト量と、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散方向との関係を示す説明図である。図6は、所望の視点位置#6から観察可能な画像を画像表示装置1が表示する場合のマイクロレンズ152のレンズ面の中心に対するビームスポットLSの形成位置を示す説明図である。図7は、所望の視点位置#7から観察可能な画像を画像表示装置1が表示する場合のマイクロレンズ152のレンズ面の中心に対するビームスポットLSの形成位置を示す説明図である。
図5(a)から図5(e)に示すように、レーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿った各マイクロレンズ152に対するレーザスポットLSの形成位置に応じて、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散方向が変わる。より具体的には、あるマイクロレンズ152にレーザ光LBが照射されている場合には、当該あるマイクロレンズ152に対するレーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿ったレーザスポットLSの形成位置に応じて、当該あるマイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散方向が変わる。以下、マイクロレンズ152#5にレーザ光LBが照射されている場合を例にあげて説明を進める。
例えば、図5(a)の左側に示すように、マイクロレンズ152#5のレンズ面の中心に対するレーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿ったビームスポットLSの形成位置のシフト量が−d1となっている場合を想定する。尚、図5(a)から図5(e)では、レーザ光LBの進行方向(図5(a)から図5(e)では、図面左側から右側に向かう方向)に対して右側に向かうシフト量(図5(a)から図5(e)では、図面下側に向かうシフト量)を正のシフト量と定義する。この場合、図5(a)の中央に示すように、マイクロレンズ152#5におけるレーザ光LBの拡散方向は、第1の方向D1となる。
尚、図5(a)の右側は、ビームスポットLSの形成位置のシフト量が−d1となる状況下で走査面153上のある1つの走査ラインに沿って走査しているレーザ光LBの拡散角度の分布(つまり、スクリーン15によるレーザ光LBの拡散分布)を示す。つまり、図5(a)の右側は、ビームスポットLSの形成位置のシフト量が−d1となる状況下で走査面153上のある1つの走査ラインに沿って走査しているレーザ光LBがスクリーン15によって拡散された後に仮想的な投影面に投影された場合の、当該投影面上でのレーザ光LBの投影分布を示す。従って、図5(a)の右側において、レーザ光LBが到達している領域(相対的に明るい領域)は、当該レーザ光LBによって表示される画像を観察可能な視点位置を示している。以下の図5(b)から図5(e)の夫々の右側も、ビームスポットLSの形成位置のシフト量が異なると言う点を除いて、図5(a)の右側と同様のレーザ光LBの拡散角度の分布を示している。
続いて、図5(b)の左側に示すように、MEMS制御部183が、ビームスポットLSの形成位置のシフト量が−d1から−d2(但し、d1>d2)へと変わるようにMEMSスキャナ14の遥動態様を調整した場合を想定する。この場合、図5(b)の中央に示すように、マイクロレンズ152#5におけるレーザ光LBの拡散方向は、第1の方向D1とは異なる第2の方向D2に変わる。その結果、図5(b)の右側に示すように、マイクロレンズ152#5によって拡散されたレーザ光が到達している領域(つまり、当該レーザ光LBによって表示される画像を観察可能な視点位置)もまた変わる。
続いて、図5(c)の左側に示すように、MEMS制御部183が、ビームスポットLSの形成位置のシフト量が−d2から0へと変わるようにMEMSスキャナ14の遥動態様を調整した場合を想定する。この場合、図5(c)の中央に示すように、マイクロレンズ152#5におけるレーザ光LBの拡散方向は、第1の方向D1及び第2の方向D2とは異なる第3の方向D3に変わる。その結果、図5(c)の右側に示すように、マイクロレンズ152#5によって拡散されたレーザ光が到達している領域(つまり、当該レーザ光LBによって表示される画像を観察可能な視点位置)もまた変わる。
続いて、図5(d)の左側に示すように、MEMS制御部183が、ビームスポットLSの形成位置のシフト量が0から+d2へと変わるようにMEMSスキャナ14の遥動態様を調整した場合を想定する。この場合、図5(d)の中央に示すように、マイクロレンズ152#5におけるレーザ光LBの拡散方向は、第1の方向D1から第3の方向D3とは異なる第4の方向D4に変わる。その結果、図5(d)の右側に示すように、マイクロレンズ152#5によって拡散されたレーザ光が到達している領域(つまり、当該レーザ光LBによって表示される画像を観察可能な視点位置)もまた変わる。
続いて、図5(e)の左側に示すように、MEMS制御部183が、ビームスポットLSの形成位置のシフト量が+d2から+d1へと変わるようにMEMSスキャナ14の遥動態様を調整した場合を想定する。この場合、図5(e)の中央に示すように、マイクロレンズ152#5におけるレーザ光LBの拡散方向は、第1の方向D1から第4の方向D4とは異なる第5の方向D5に変わる。その結果、図5(e)の右側に示すように、マイクロレンズ152#5によって拡散されたレーザ光が到達している領域(つまり、当該レーザ光LBによって表示される画像を観察可能な視点位置)もまた変わる。
このように、レーザ光LBの走査方向に交わる方向に沿った各マイクロレンズ152に対するレーザスポットLSの形成位置に応じて、各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散方向が変わることが分かる。そうすると、逆に、レーザスポットLSの形成位置をマイクロレンズ152毎に調整すれば、各マイクロレンズ152は、レーザ光LBを所望の視点位置に対応する所望の拡散方向に向けて拡散することができると想定される。
例えば、図6に示すように、画像表示装置1が視点位置#6から観察可能な画像を表示する場合を想定する。
この場合、MEMS制御部183は、画素Aに対応するマイクロレンズ152#Aに対するビームスポットLSの形成位置のシフト量が−d61となるようにMEMSスキャナ14の遥動態様を調整する。この場合、マイクロレンズ152#Aは、視点位置#6に対応する拡散方向#6A(つまり、視点位置#6にレーザ光LBを到達させることが可能な拡散方向#6A)に向けてレーザ光LBを拡散する。
同様に、MEMS制御部183は、画素Bに対応するマイクロレンズ152#Bに対するビームスポットLSの形成位置のシフト量が−d62となるようにMEMSスキャナ14の遥動態様を調整する。この場合、マイクロレンズ152#Bは、視点位置#6に対応する拡散方向#6B(つまり、視点位置#6にレーザ光LBを到達させることが可能な拡散方向#6B)に向けてレーザ光LBを拡散する。
同様に、MEMS制御部183は、画素Cに対応するマイクロレンズ152#Cに対するビームスポットLSの形成位置のシフト量が0となるようにMEMSスキャナ14の遥動態様を調整する。この場合、マイクロレンズ152#Cは、視点位置#6に対応する拡散方向#6C(つまり、視点位置#6にレーザ光LBを到達させることが可能な拡散方向#6C)に向けてレーザ光LBを拡散する。
同様に、MEMS制御部183は、画素Dに対応するマイクロレンズ152#Dに対するビームスポットLSの形成位置のシフト量が+d62となるようにMEMSスキャナ14の遥動態様を調整する。この場合、マイクロレンズ152#Dは、視点位置#6に対応する拡散方向#6D(つまり、視点位置#6にレーザ光LBを到達させることが可能な拡散方向#6D)に向けてレーザ光LBを拡散する。
同様に、MEMS制御部183は、画素Eに対応するマイクロレンズ152#Eに対するビームスポットLSの形成位置のシフト量が+d61となるようにMEMSスキャナ14の遥動態様を調整する。この場合、マイクロレンズ152#Eは、視点位置#6に対応する拡散方向#6E(つまり、視点位置#6にレーザ光LBを到達させることが可能な拡散方向#6E)に向けてレーザ光LBを拡散する。
MEMS制御部183は、その他全てのマイクロレンズ152についても、その他のマイクロレンズ152が視点位置#6に対応する拡散方向に向けてレーザ光LBを拡散するように、その他のマイクロレンズ152に対するビームスポットLSの形成位置のシフト量が所定量となるようにMEMSスキャナ14の遥動態様を調整する。
その結果、スクリーン15が備える複数のマイクロレンズ152によって拡散されたレーザ光の全てが、視点位置#6に到達する。従って、視点位置#6に位置する観察者は、スクリーン15によって拡散されたレーザ光LBによって表示される画像全体を観察することができる。つまり、画像表示装置1は、視点位置#6から観察可能な画像を表示することができる。
一方で、例えば、図7に示すように、画像表示装置1が、視点位置#6から観察可能な画像に代えて、視点位置#6とは異なる視点位置#7から観察可能な画像を新たに表示する場合を想定する。
この場合、MEMS制御部183は、画素Aに対応するマイクロレンズ152#Aに対するビームスポットLSの形成位置のシフト量が−d61から−d71に変わるようにMEMSスキャナ14の遥動態様を調整する。この場合、マイクロレンズ152#Aは、視点位置#7に対応する拡散方向#7A(つまり、視点位置#7にレーザ光LBを到達させることが可能な拡散方向#7A)対応するに向けてレーザ光LBを拡散する。
同様に、MEMS制御部183は、画素Bに対応するマイクロレンズ152#Bに対するビームスポットLSの形成位置のシフト量が−d62から−d72に変わるようにMEMSスキャナ14の遥動態様を調整する。この場合、マイクロレンズ152#Bは、視点位置#7に対応する拡散方向#7B(つまり、視点位置#7にレーザ光LBを到達させることが可能な拡散方向#7B)に向けてレーザ光LBを拡散する。
同様に、MEMS制御部183は、画素Cに対応するマイクロレンズ152#Cに対するビームスポットLSの形成位置のシフト量が0から−d73に変わるようにMEMSスキャナ14の遥動態様を調整する。この場合、マイクロレンズ152#Cは、視点位置#7に対応する拡散方向#7C(つまり、視点位置#7にレーザ光LBを到達させることが可能な拡散方向#7C)に向けてレーザ光LBを拡散する。
同様に、MEMS制御部183は、画素Dに対応するマイクロレンズ152#Dに対するビームスポットLSの形成位置のシフト量が+d62から−d74に変わるようにMEMSスキャナ14の遥動態様を調整する。この場合、マイクロレンズ152#Dは、視点位置#7に対応する拡散方向#7D(つまり、視点位置#7にレーザ光LBを到達させることが可能な拡散方向#7D)に向けてレーザ光LBを拡散する。
同様に、MEMS制御部183は、画素Eに対応するマイクロレンズ152#Eに対するビームスポットLSの形成位置のシフト量が+d61から−d75に変わるようにMEMSスキャナ14の遥動態様を調整する。この場合、マイクロレンズ152#Eは、視点位置#7に対応する拡散方向#7E(つまり、視点位置#7にレーザ光LBを到達させることが可能な拡散方向#7E)に向けてレーザ光LBを拡散する。
MEMS制御部183は、その他全てのマイクロレンズ152についても、その他のマイクロレンズ152が視点位置#7に対応する拡散方向に向けてレーザ光LBを拡散するように、その他のマイクロレンズ152に対するビームスポットLSの形成位置のシフト量が所定量となるようにMEMSスキャナ14の遥動態様を調整する。
その結果、スクリーン15が備える複数のマイクロレンズ152によって拡散されたレーザ光の全てが、視点位置#7に到達する。従って、視点位置#7に位置する観察者は、スクリーン15によって拡散されたレーザ光LBによって表示される画像全体を観察することができる。或いは、観察者の視点が視点位置#6から視点位置#7に移動した場合であっても、観察者は、依然として、スクリーン15によって拡散されたレーザ光LBによって表示される画像全体を観察することができる。
このように、本実施例の画像表示装置1は、主として各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散角度が相対的に小さい状態を維持することで、表示される画像の輝度を大きくすることができる。更に、本実施例の画像表示装置1は、主として各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散方向を調整することで、所望の視点位置から観察可能な画像を表示することができる。つまり、本実施例の画像表示装置1は、主として各マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散方向を調整することで、実質的には、画像を観察可能な視点位置を相対的に広い範囲に分布させることができる。その結果、画像表示装置1は、輝度が相対的に大きく、且つ、所望の視点位置から観察可能な画像を表示することができる。
尚、レーザスポットLSの形成位置の調整がマイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散方向の調整に繋がるのは、典型的には、レーザスポットLSのスポット径がマイクロレンズ152の配列ピッチよりも小さい場合である。つまり、レーザスポットLSのスポット径がマイクロレンズ152の配列ピッチよりも大きい場合には、レーザスポットLSの形成位置の調整がマイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散方向の調整に繋がらない又は繋がりにくい。従って、画像の輝度を大きくする目的に加えて又は代えて、レーザスポットLSの形成位置の調整によってマイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散方向の調整を実現するという目的のためにも、レーザスポットLSのスポット径はマイクロレンズ152の配列ピッチよりも小さいことが好ましい。
ここで、ある視点位置から観察可能な画像を画像表示装置1が表示する場合の、マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散角度をβと定義する。一方で、レーザスポットLSの形成位置を調整しない比較例の画像表示装置が同一の視点位置から観察可能な画画像を表示する場合の、マイクロレンズ152におけるレーザ光LBの拡散角度をαと定義する。この場合、レーザスポットLSのスポット径及びマイクロレンズ152の配列ピッチは、レーザスポットLSのスポット径=マイクロレンズ152の配列ピッチ×(β/α)という関係を有することが好ましい。この場合、画像表示装置1及び比較例の画像表示装置は、共にある視点位置から観察可能な画像を表示可能である。一方で、画像表示装置1が表示する画像の輝度は、比較例の画像表示装置が表示する画像の輝度の(α/β)倍となる。従って、画像表示装置1は、比較例の画像表示装置と比較して、ある視点位置から観察可能な画像を相対的に大きな輝度で表示することができる。
加えて、本実施例では、画像表示装置1は、MEMSスキャナ14の遥動態様を調整することで、所望の視点位置から観察可能な画像を表示することができる。つまり、画像表示装置1は、比較的サイズの大きいコンバイナ17(或いは、その他の物理的な構成要素)を移動させることなく、所望の視点位置から観察可能な画像を表示することができる。従って、画像表示装置1の相対的な低コスト化及び相対的な小型化が実現される。
尚、図1から図7を用いて説明した画像表示装置1の構成及び動作は一例である。従って、画像表示装置1の構成及び動作の少なくとも一部が適宜改変されてもよい。以下、画像表示装置1の構成及び動作の少なくとも一部の改変の例について説明する。
MEMS制御部183は、観察者の視点位置に応じて、いわば自動的にMEMSスキャナ14の遥動態様を調整してもよい。例えば、MEMS制御部183は、観察者の視点位置から観察可能な画像を表示するように、自動的にMEMSスキャナ14の遥動態様を調整してもよい。この場合、画像表示装置1は、観察者の視点位置を検出する又は観察者の視点位置に関する情報を取得することが好ましい。或いは、MEMS制御部183は、視点位置を指定する観察者の指示内容に応じて、MEMSスキャナ14の遥動態様を調整してもよい。例えば、MEMS制御部183は、観察者が指定した視点位置から観察可能な画像を表示するように、MEMSスキャナ14の遥動態様を調整してもよい。
上述したスクリーン15は、レーザ光LBを透過する透過型のスクリーンである。しかしながら、レーザ光LBを反射する反射型のスクリーンが、スクリーン15として用いられてもよい。
スクリーン15は、マイクロレンズアレイ151に加えて又は代えて、レーザ光LBを拡散可能な素子部分又は素子領域が周期的に配列されている任意の光学素子を含んでいてもよい。スクリーン15は、マイクロレンズアレイ151に加えて又は代えて、レーザ光LBを拡散可能な素子部分又は素子領域が周期的に配列されている任意の光学素子であってもよい。このような光学素子として、例えば、回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)が一例としてあげられる。
画像表示装置1は、単一の視点位置に画像を表示することに加えて又は代えて、複数の視点位置に同一の又は異なる画像を表示してもよい。以下、図8及び図9を参照しながら、複数の視点位置に画像を表示する例について説明する。図8及び図9は、夫々、複数の視点位置に画像を表示する例を示す説明図である。
図8に示すように、MEMS制御部183は、スクリーン15の相対的に一方側(図8では、上側)に位置するマイクロレンズ152#A及び152#Bが視点位置#8−1に対応する拡散方向#8−1に向けてレーザ光LBを拡散するように、マイクロレンズ152#A及び152#Bの夫々に対するビームスポットLSの形成位置のシフト量を調整してもよい。一方で、MEMS制御部183は、スクリーン15の相対的に他方側(図8では、下側)に位置するマイクロレンズ152#C、152#D及び152#Eが視点位置#8−2に対応する拡散方向#8−2に向けてレーザ光LBを拡散するように、マイクロレンズ152#C、152#D及び152#Eの夫々に対するビームスポットLSの形成位置のシフト量を調整してもよい。MEMS制御部183は、その他全てのマイクロレンズ152についても、その他のマイクロレンズ152が視点位置#8−1及び#8−2のいずれかに対応する拡散方向に向けてレーザ光LBを拡散するように、その他のマイクロレンズ152に対するビームスポットLSの形成位置のシフト量を調整してもよい。その結果、画像表示装置#1は、視点位置#8−1から観察可能な第1の画像及び視点位置#8−2から観察可能な第2の画像(但し、第2の画像は、第1の画像と同じであってもよいし、異なっていてもよい)を実質的に同時に表示することができる。例えば、画像表示装置#1が車両に搭載されている場合には、画像表示装置#1は、運転席に対応する視点位置#8−1及び助手席に対応する視点位置#8−2の双方から観察可能なナビゲーション用の画像を実質的に同時に表示することができる。或いは、例えば、画像表示装置#1が車両に搭載されている場合には、画像表示装置#1は、相対的に上方から見下ろす視点位置#8−1から観察可能な速度計に相当する画像及び相対的に下方から見上げる視点位置#8−2から観察可能なナビゲーション用の画像を実質的に同時に表示することができる。
図9に示すように、MEMS制御部183は、レーザ光LBの走査方向に交わる方向(図9では、上下方向)に沿って隣り合う2つのマイクロレンズ152が夫々異なる視点位置に対応する拡散方向に向けてレーザ光LBを拡散するように、マイクロレンズ152に対するビームスポットLSの形成位置のシフト量を調整してもよい。例えば、MEMS制御部183は、マイクロレンズ152#B及び152#Dが視点位置#8−1に対応する拡散方向#8−1に向けてレーザ光LBを拡散するように、マイクロレンズ152#B及び152#Dの夫々に対するビームスポットLSの形成位置のシフト量を調整してもよい。一方で、例えば、MEMS制御部183は、マイクロレンズ152#A、152#C及び152#Eが視点位置#8−2に対応する拡散方向#8−2に向けてレーザ光LBを拡散するように、マイクロレンズ152#A、152#C及び152#Eの夫々に対するビームスポットLSの形成位置のシフト量を調整してもよい。
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う画像表示装置もまた本発明の技術思想に含まれる。