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JP2015224155A - 化学強化可能なガラス - Google Patents

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JP2015224155A
JP2015224155A JP2014109058A JP2014109058A JP2015224155A JP 2015224155 A JP2015224155 A JP 2015224155A JP 2014109058 A JP2014109058 A JP 2014109058A JP 2014109058 A JP2014109058 A JP 2014109058A JP 2015224155 A JP2015224155 A JP 2015224155A
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昭男 大垣
Akio Ogaki
昭男 大垣
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Konica Minolta Inc
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Abstract

【課題】プレス成形においてガラスと金型との融着が発生したりガラスの揮発により上金型へ堆積物が発生したりすることがなく、化学強化処理で十分な強度が得られる組成のガラス、そのガラスに化学強化処理を施してなる化学強化ガラスを提供する。
【解決手段】化学強化可能なガラスは、モル%表示で、SiO2:55〜69%、Al23:3〜8%、ZrO2:0〜3%、SiO2+Al23+ZrO2:57〜71%、Al23/SiO2:0.12以下、B23:0.5〜1.5%、Na2O:11〜20%、K2O:0〜1%(ただし、1%は含まない。)、CaO:1〜8%、MgO:0〜5%、SrO:0〜2%、BaO:0〜2%、MgO+SrO+BaO:0〜5%、MgO+CaO+SrO+BaO:2〜12%(ただし、12%は含まない。)、ZnO:0〜4%、TiO2:0〜8%、Sb23:0〜0.5%、CeO2:0〜0.5%、を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は化学強化可能なガラスに関するものであり、例えば、ダイレクトプレスに適した化学強化用ガラス、そのガラスに化学強化処理を施してなる化学強化ガラスに関するものである。
画像表示機能を有するデジタル機器(例えば、携帯電話,スマートフォン,タブレット端末,モバイルコンピューター等)には、その画像表示面の保護用及びタッチパネル用として、カバーガラスが通常設けられる。カバーガラスは、例えば平板形状や立体形状を有する板状のガラス部品であって、画像表示面の保護用及びタッチパネル用としてだけではなく、外装用としても用いられる。そのため、カバーガラスには強化処理が施されることが多い。ガラスの強化処理としては、アルカリ金属のイオン交換によりガラス表面に圧縮応力を形成する「化学強化処理」が広く知られている。
また、携帯端末用カバーガラスの外形形状としては、従来より知られている四角様形状に限らず、機器の表示画面形状に合わせた立体形状(例えば、カバーガラスを構成するある辺において内側に大きく凹んだ負の曲率を持った形状等、厚みが一定でなく薄厚部分がある形状)、カバーガラスの主表面にホールを形成した形状等、複雑な形状のカバーガラスが求められている。これらの小型のガラス板を効率良く製造するには、プレス法による成形方法が最適である。プレス法では、ノズルより流出させた高温のガラス塊を下金型に受けた後、上金型をその上部に位置させ、上金型,下金型又は上下の金型を移動させて同時にガラスに圧力が加わるようにプレスすることにより、所望の形状が形成される。例えば、特許文献1,2に記載のガラス組成は、粘度logη=4(すなわち、η=104dPa・s)における温度が1150℃以下であるため、上記プレス成形に好適である。
しかし、上記複雑な形状のカバーガラスには精密な面形状が求められるため、成形作業を開始するときの粘度をlogη=3〜7(すなわち、η=10n(n=3〜7)dPa・s)とし、成形作業を終了するときの粘度をlogη=11〜15(すなわち、η=10n(n=11〜15)dPa・s)とする、ガラスのかなり硬い領域を利用するプレス成形の条件が採用される。したがって、広範囲の面を精密な面とするため、ガラスが硬くなる領域まで金型内にガラスをとどめることになる。
特開2008−195602号公報 特開2009−57271号公報
本発明者は種々のガラスを用いて上記粘度範囲での成形を試みた結果、成形を開始するガラスの粘度logη=4(すなわち、η=104dPa・s)における温度がおおむね1150℃を超えると、ガラスが高温であるため、金型(特に下金型)とガラスとの融着が発生し易くなり、安定した成形作業が困難になるという所見を得た。さらに、ガラスの粘度logη=4における温度がおおむね1150℃以下のガラスを用いて上記粘度範囲で成形を試みた結果、金型とガラスとの融着の発生は抑制できたものの、精密な面の転写のためプレス時間を長くすると、ガラスと金型とが部分的に融着してしまい、その発生を完全に無くすことはできなかった。また、長時間に渡りプレス成型を行うと、下金型に受けたガラス塊からごく僅かではあるが揮発が発生し、徐々に上金型に付着物が堆積していく。この堆積物がガラス面に転写されて、点状,斑点状等の欠点として現れ所望の面が得られなかった。
特許文献1に開示されているガラス組成は、粘度logη=4における温度がおおむね1150℃以下であるため、プレス成形に好適と思われたが、実際に長時間に渡りプレス成型を行ったところ、上金型に徐々に揮発物が堆積し、ガラス面に転写され、斑点状の欠点として現れてしまい、所望の面が得られなかった。また、特許文献2に開示されているガラス組成も、粘度logη=4における温度がおおむね1150℃以下であるため、プレス成形に好適と思われたが、実際に精密な面の転写のためプレス時間を長くして成形を試みたところ、金型とガラスとが融着し、融着部分を起点にヒビが発生するという不具合に至った。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、プレス成形においてガラスと金型との融着が発生したりガラスの揮発により上金型へ堆積物が発生したりすることがなく、かつ、化学強化処理で十分な強度が得られる組成のガラス、そのガラスに化学強化処理を施してなる化学強化ガラスを提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明の化学強化可能なガラスは、モル%表示で、
SiO2:55〜69%、
Al23:3〜8%、
ZrO2:0〜3%、
SiO2+Al23+ZrO2:57〜71%、
Al23/SiO2:0.12以下、
23:0.5〜1.5%、
Na2O:11〜20%、
2O:0〜1%(ただし、1%は含まない。)、
CaO:1〜8%、
MgO:0〜5%、
SrO:0〜2%、
BaO:0〜2%、
MgO+SrO+BaO:0〜5%、
MgO+CaO+SrO+BaO:2〜12%(ただし、12%は含まない。)、
ZnO:0〜4%、
TiO2:0〜8%、
Sb23:0〜0.5%、
CeO2:0〜0.5%、
を含有することを特徴とする。以下、特に断りのない限り「%」は「モル%」を意味するものとする。
第2の発明のガラスは、上記第1の発明において、Li2Oを含有しないことを特徴とする。
第3の発明のガラスは、上記第1又は第2の発明において、As23,PbO,フッ素又はフッ素化合物を含まないことを特徴とする。
第4の発明のガラスは、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、ガラス転移温度(Tg)が500℃以上、600℃未満であることを特徴とする。
第5の発明のガラスは、上記第1〜第4のいずれか1つの発明において、30〜400℃の平均線膨張係数(α)が100×10-7/℃以下であることを特徴とする。
第6の発明の化学強化ガラスは、上記第1〜第5のいずれか1つの発明に係るガラスに化学強化処理を施してなる化学強化ガラスであって、ガラス表面の圧縮応力が600MPa以上であり、ガラス表面の圧縮応力層の厚みが5μm以上、20μm未満であることを特徴とする。
本発明に係るガラス組成であれば、プレス成型の際、ガラスと金型との融着の発生がなく、かつ、ガラスの揮発による上金型への堆積がない安定したプレス成形が可能である。また、化学強化することにより十分な強度をもつカバーガラスを提供することができる。したがって、プレス成形においてガラスと金型との融着が発生したりガラスの揮発により上金型へ堆積物が発生したりすることがなく、かつ、化学強化処理で十分な強度が得られる組成のガラス、そのガラスに化学強化処理を施してなる化学強化ガラスを実現することができる。
融着評価方法を説明するための模式図。
以下、本発明に係る化学強化可能なガラスを説明する。本発明に係る化学強化可能なガラスは、モル%表示で、SiO2:55〜69%、Al23:3〜8%、ZrO2:0〜3%、SiO2+Al23+ZrO2:57〜71%、Al23/SiO2:0.12以下、B23:0.5〜1.5%、Na2O:11〜20%、K2O:0〜1%(ただし、1%は含まない。)、CaO:1〜8%、MgO:0〜5%、SrO:0〜2%、BaO:0〜2%、MgO+SrO+BaO:0〜5%、MgO+CaO+SrO+BaO:2〜12%(ただし、12%は含まない。)、ZnO:0〜4%、TiO2:0〜8%、Sb23:0〜0.5%、CeO2:0〜0.5%、を含有することを特徴としている。このガラスに化学強化処理を施すと、化学強化ガラスが得られる。例えば、このガラスからなるガラス板等の光学部材・光学部品に化学強化処理を施すと、化学強化ガラス板(例えば、化学強化カバーガラス)が得られる。
本発明者は、揮発と融着の発生の原因追究及び好適組成の探索の結果、特定成分の使用範囲を限定することで前記課題を解決するに至った。ガラスと金型との融着に関してはK2O成分が大きく関与していることをつきとめ、これを一定量に制限することでほぼ融着を防止するに至った。また、揮発に関しては本発明に係るガラス組成領域ではB23成分が支配的役割をしていることをつきとめた。つまり、このB23成分の増加に伴い臨界的に揮発量が増えることをつきとめ、臨界量を特定し、臨界域以下に使用を制限することで揮発をほぼ無くすことができた。したがって、本発明に係るガラス組成であれば、プレス成型の際、ガラスと金型との融着の発生がなく、かつ、ガラスの揮発による上金型への堆積がない安定したプレス成形が可能であり、また、化学強化することにより十分な強度をもつカバーガラスを実現することが可能である。
本発明に係るガラスは、カバーガラス等の精密プレス成形に好適に使用され、かつ、イオン交換による化学強化が可能なガラスであって、ガラス板とした場合、その厚みは1.2mm以下が好ましい。ガラス板の厚みが薄いほど軽量化できるため、1.0mm以下がより好ましく、0.8mm以下が更に好ましく、0.5mm以下が最も好ましい。
本発明に係るガラスは、ガラス転移温度(Tg)が500℃以上、600℃未満であることが好ましい。ガラス転移温度(Tg)が高いとイオン交換中に応力緩和が起こりにくくなるため、ガラス転移温度(Tg)が500℃以上であれば、高い表面圧縮応力を得ることが容易になる。また、本発明に係るガラスはプレス成形に好適に用いられるものであるため、ガラス転移温度(Tg)は600℃未満であることが望ましく、590℃以下であることが更に望ましく、580℃以下であることがより望ましい。プレス成形時の金型の温度は、通常、ガラス転移温度(Tg)付近に設定されるため、ガラス転移温度(Tg)が低いと金型温度を低くすることができる。その結果、プレス成形型の寿命を延ばすこともできる。
本発明に係るガラスは、30〜400℃の平均線膨張係数(α)が100×10-7/℃以下であることが好ましい。100×10-7/℃以下にすることにより、金型とガラスとの線膨張係数差に起因するガラスのひずみ,割れ等の発生を抑制することができる。
本発明に係る化学強化ガラスでは、ガラス表面の圧縮応力が600MPa以上であり、ガラス表面の圧縮応力層の厚みが5μm以上、20μm未満であることが好ましい。化学強化後のガラス表面の圧縮応力層の厚みが20μm以上になると、化学強化後にカバーガラスの一部を切断,穴あけ等の加工を行うとき、表面から割れが発生し易くなるので圧縮応力層の厚みは20μm未満が好ましく、18μm以下がより好ましく、15μm以下が最も好ましい。また、5μm未満では十分な表面圧縮応力が得難いので、5μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましい。表面圧縮応力は600MPa未満ではカバーガラスとしての十分な強度が得られないため、600MPa以上が好ましく、700MPa以上がより好ましく、800MPa以上が更に好ましく、900MPa以上が最も好ましい。
本発明に係る化学強化用ガラス板を製造するには、ガラス原料を溶融した後、プレス法により所望の形状に成型するか、又は1面以上をプレス法により所望の形状に成型した後、残りの5面以下を研削・研磨加工により形成するのが好ましい。また、プレス法での成形により得られた成形体を徐冷して室温に冷却した後、所望の部分を残して切断及び研磨加工を施してもよい。
上記のような方法で所望の形状にした後、化学強化処理としてイオン交換処理を行うと、化学強化ガラス板(例えば、化学強化カバーガラス)が得られる。イオン交換処理は、例えば、400℃〜490℃の硝酸カリウムの溶融塩中にガラス板を2〜4時間浸漬することによって行うことができる。浸漬液として硝酸カリウムの一部を硝酸ナトリウムに置き換えてもよい。また、イオン交換後にガラス板の一部分に、切断,研削,エッチング等を施してもよい。
次に、本発明に係る化学強化可能なガラスにおける各成分の組成範囲(モル%表記)について、前記のように限定した理由等を説明する。
SiO2はガラスを構成する主要成分であり、その含有量は55〜69%である。ガラス転移温度(Tg)を500℃以上に維持するためには、SiO2の含有量は55%以上が好ましい。一方、SiO2が69%を超えると、ガラス転移温度(Tg)が600℃を超えやすくなる。このため、SiO2の含有量は55〜69%の範囲であり、58〜68%の範囲が好ましく、60〜67%の範囲が更に好ましい。
Al23は化学強化に大きな影響を及ぼす成分でもあり、その含有量は3〜8%である。網目形成酸化物として働き、イオン交換を促進する作用がある。3%未満ではその効果が十分でなく、8%を超えるとガラスが白金ノズル内で結晶化しやすくなる。したがって、Al23の含有量は3〜8%の範囲であり、5〜7%(5%は含まない。)が好ましく、5〜6%(5及び6%は含まない。)が更に好ましい。
ZrO2の含有量は0〜3%である。ZrO2は、ガラス転移温度(Tg)を高め耐候性を良くする作用もある。しかし、3%を超えて使用すると著しく失透しやすくなる。したがって、その含有量は3%以下の範囲であり、2%以下が好ましく、1%以下が更に好ましい。
SiO2とAl23とZrO2との合量(SiO2+Al23+ZrO2)は、57〜71%である。この合量を57〜71%に保つと、金型に所定量のガラス塊を受けてからプレスするまで、ガラスが固まっていく速さを適切に保つことができる。このため、所望の形状が得やすくなる。71%を超えると、金型上でのガラス塊が速く固まるため、プレスで形状の先端部分が不伸びとなりやすくなる。また、プレス圧力等を変更して不伸びを解消しようとしても、成形品にカケ等が発生しやすくなり好ましくない。57%未満では、安定なガラスが得られにくくなったり、耐候性が悪化するおそれがある。
Al23/SiO2≦0.12である。Al23は、特に金型上のガラス塊が固まっていく速度を速くする作用が大きく、Al23/SiO2の値が0.12以下となるように使用を抑えると、プレス成型に好適な固化速度を維持することができる。0.12を超えると金型上でのガラス塊が速く固まるため、プレス成型で形状の先端部分が不伸びとなりやすくなる。
23の含有量は0.5〜1.5%である。B23は揮発を引き起こす起点となる成分であり、その使用量が増すにつれ揮発は臨界的に増加する。B23が1.5%を超えると揮発量が急激に多くなり、肉眼で観察できるようになる。また、ガラスの溶剤としての作用が大きいため、0.5%未満ではガラスが溶けにくくなり、1500℃未満で未溶なくガラス化するのが困難になる。したがって、B23の含有量は0.5〜1.5%の範囲であり、0.5〜1.2%が好ましく、0.5〜1.0%が更に好ましい。
本発明に係るガラスでは、Li2Oを含有しないことが好ましい。Li2Oはアルカリ成分であるLiを含むため揮発しやすい性質があり、揮発の抑制という観点から使用しないことが好ましい。また、Li2Oは化学強化中にリチウムイオンとして溶融塩中に溶け出し、必要とするナトリウムイオンとカリウムイオンとのイオン交換を阻害する。このため、安定した化学強化を継続して行うことが困難になるので使用しないのが好ましい。
Na2Oの含有量は11〜20%である。Na2Oは、溶融塩中でKイオン等の他の陽イオンと置換されることにより、ガラスの強度を向上させる必須成分である。大量に使用すると耐候性が悪化する。その量が11%未満では、イオン交換が不足し十分な効果が得られない。B23が1.5%以下の領域であれば、Na2Oの揮発はその量が20%を超えるまではほとんど発生しない。一方、20%を超えると耐候性が悪化する。したがって、Na2Oの含有量は11〜20%の範囲であり、12〜20%が好ましく、12〜18%が更に好ましく、13〜17%が最も好ましい。
2Oの含有量は0〜1%(ただし、1%は含まない。)である。K2Oは、ガラスと金型との融着に関してもっとも大きく作用する成分である。1%以上で顕著に融着が発生するため1%未満の使用に抑える必要があり、0.8%以下が好ましく、0.5%以下が更に好ましく、含有しないことが最も好ましい。
CaOの含有量は1〜8%である。CaOには、ガラスの液相温度、高温粘度を大きく下げ、溶融性を良くする作用がある。1%未満ではその効果が十分でなく、8%を超えて使用するとイオン交換を阻害する作用が大きくなる。したがって、CaOの含有量は1〜8%の範囲であり、2〜6%が好ましく、3〜6%が更に好ましい。
MgOの含有量は0〜5%である。MgOは、CaOほど強くはないが、ガラスの高温粘度を下げて溶融性を良くする作用がある。しかし、5%を超えて使用すると失透しやすくなる。したがって、MgOの含有量は0〜5%の範囲であり、0〜4%が好ましい。
SrOの含有量は0〜2%である。SrOも溶融性を良くする作用があるが、大量に用いるとガラスが失透しやすくなったり、比重が大きくなったりする。したがって、2%以下の使用に止める必要がある。
BaOの含有量は0〜2%である。BaOも溶融性を良くする作用があるが、大量に用いるとガラスが失透しやすくなったり、比重が大きくなったりする。したがって、2%以下の使用に止める必要がある。
MgOとSrOとBaOとの合量(MgO+SrO+BaO)は、0〜5%である。MgO,SrO,BaOには、それぞれ金型上でガラス塊が固まっていく速度を速くする作用があり、MgOとSrOとBaOとの合量が5%を超えると、プレスを行っても必要形状の先端部分が不伸びとなりやすくなる。
MgOとCaOとSrOとBaOとの合量(MgO+CaO+SrO+BaO)は、2〜12%(ただし、12%は含まない。)である。MgOとCaOとSrOとBaOには共に溶融性を良くする作用があるため、その合量で2%以上使用することが好ましい。しかし12%以上使用するとガラスの構造が弱くなり、プレス成形後にプレス品の一部を切断する必要が生じた場合、切断面に裂け等が発生しやすくなる。したがって、MgO+CaO+SrO+BaOの含有量は2〜12%(ただし、12%は含まない。)の範囲であり、3〜11%が好ましく、5〜10%が更に好ましい。
ZnOの含有量は0〜4%である。ZnOにはガラスが固まっていく速度を遅くする作用があるが、ZnOを含有すると化学強化を施してもガラスの強度を強く保つのが困難になる。このため、ZnOの含有量は0〜4%の範囲であり、0〜2%が好ましく、0〜1%が更に好ましく、含有しないのが最も好ましい。
TiO2の含有量は0〜8%である。TiO2はガラス転移温度Tgを高め、また高温粘度を下げて溶融性を良くする。大量に使用するとガラスが着色しやすくなったりする。このため、TiO2の含有量は0〜8%の範囲であり、0〜4%が好ましく、0〜3%が更に好ましく、1.5〜3%が最も好ましい。
Sb23の含有量は0〜0.5%であり、CeO2の含有量は0〜0.5%である。Sb23やCeO2は脱泡剤として使用できるが、それぞれ0.5%以下の使用でその効果は十分である。その他の脱泡剤として公知であるSO3、塩化物、SnO2の群から1種以上選択し、0.001〜3%の範囲で使用してもよい。
As23,PbO,フッ素(F2)又はフッ素化合物(CaF2等)を含まないことが好ましい。As23,PbOは人体に有害な成分であるため不含有とするのが好ましい。フッ素,フッ素化合物(F2,CaF2等)は溶融時に揮発しやすい成分である。したがって、製造時の作業環境に配慮して、作業者の安全性を確保するという観点から、何れの成分も含有しないことが好ましく不含有とするのが好ましい。
以下、本発明を実施したガラスの構成等を、実施例1〜8及び比較例1〜5を挙げて更に具体的に説明する。なお、比較例1は前記特許文献2記載の実施例7に相当し、比較例3は前記特許文献1の実施例1に相当する。
表1に示す実施例及び表2に示す比較例を、次のように作製した。まず、表1,表2に示すガラス組成(モル%)となるように、酸化物,水酸化物,炭酸塩,硝酸塩等、一般に使用されているガラス原料を選択し、ガラスとして1kgとなるように秤量した後混合した。ついで、白金坩堝に入れて、1400〜1600℃の電気炉に投入し、3〜8時間溶融し、脱泡・撹拌により均質化した。その後、金型に流し込みガラス転移温度付近での温度で徐冷し、ガラスブロックを得た。このガラスブロックを切断・研削後、両面を鏡面に研磨して、厚さ0.70mm,幅60mm,長さ110mmの形状のガラス板を得た。
上記のようにして得られたガラス板を400〜490℃のKNO3塩に2〜4時間浸漬した後、洗浄し、乾燥後、表面圧縮応力(単位:MPa)と圧縮応力層の厚み(単位:μm)を、折原製作所社製のFSM−6000LEにて測定した。ガラス転移温度Tgと、ガラス屈伏点Atと、30〜400℃間の平均線膨張係数α(×10-7/℃)とを、セイコーインスツルメンツ社製の熱機械的分析装置「TMA/SS6000」を用いて、毎分4℃の昇温条件で測定した。表1,表2に、各測定結果を合わせて示す。
揮発の評価は、以下のようにして行った。まず、表1,表2に示すガラス組成(モル%)となるように、酸化物,水酸化物,炭酸塩,硝酸塩等、一般に使用されているガラス原料を選択し、ガラスとして1kgとなるように秤量した後混合した。ついで、白金坩堝に入れて、1400〜1600℃の電気炉に投入し、3〜8時間溶融し、脱泡・撹拌により均質化した。その後、1400℃,1350℃,1300℃,1250℃,1200℃の各温度で1時間保持した後、肉眼で揮発の有無を確認し、揮発が確認できたものを×、確認できなかったものを○と記した。揮発の有無は、電気炉側面の透明石英窓からガラス表面を肉眼で観察して、水蒸気の湯気のように白く揮発が見られたか否かで確認した。
金型とガラスとの融着の評価は、以下のようにして行った。まず、表1,表2に示すガラス組成(モル%)となるように、酸化物,水酸化物,炭酸塩,硝酸塩等、一般に使用されているガラス原料を選択し、ガラスとして1kgとなるように秤量した後混合した。ついで、白金坩堝に入れて、1400〜1600℃の電気炉に投入し、3〜8時間溶融し、脱泡・撹拌により均質化した。その後、ガラス温度を1400℃又は1360℃に1時間保持した。
次に、図1(C)に示すように、白金坩堝2から溶融ガラス3を下金型1に流し込んだ。ここで、図1(A)は下金型1の縦断面図であり、図1(B)は下金型1の上面図である。溶融ガラス3を下金型1に流し込んだら、図1(D)に示すように、上金型4を用いてプレス(プレス圧力:4MPa,プレス時間:15秒間)を行った。その後、プレスの圧力を解除して、プレス成形されたガラス成形品5を下金型1及び上金型4と接触させたままの状態で、ガラスの粘度がlogηで約12になる温度まで冷却した。その後、図1(E)に示すように、ガラス成形品5を成形金型1,4から取り出し、アニール室にガラス成形品5を移動して、室温まで3時間で冷却し、融着の有無を確認した。融着が無くガラス成形品5が金型1,4からスムーズに離型したものを○、一部でも融着がありガラス成形品5が金型1,4からスムーズに離型できなかったものを×と記した。
表1に示すように、実施例1〜8は揮発,融着の発生がなく、すべて良好でありプレス成型に好適であることが分かる。また、圧縮応力層の厚みは7.7〜16.9μmの範囲であり、表面圧縮応力は729〜1005MPaで650MPaを超えていて、必要な強度を示すことがわかる。
これに対し、表2に示す比較例1のガラス(特許文献2の実施例7)は、揮発及び融着が発生しているためプレス成型に適していない。B23成分を1.84%含有していて、揮発が多くなる領域にあるためと推測される。また、K2O成分を1.36%含有していて、1%を超えたことが融着の発生原因であると推測される。比較例2のガラスは融着が発生しており、K2O成分を2%含有しているためと推測される。
表2に示す比較例3のガラス(特許文献1の実施例1)は、揮発が発生している。これはB23成分の含有量が9.9%であり、大量に含有していることが原因と推測される。比較例4のガラスは、1400℃〜1250℃で揮発が発生し、1200℃では発生がおさまっている。このことから、B23の含有量1.7%が揮発発生の臨界近辺であると推測される。比較例5のガラスは融着が発生している。K2O成分の含有量が1.2%であり、1%を超えて含有しているためと推測される。
次に、カバーガラスの製造方法を説明する。実施例1,6及び比較例1,3に相当する清澄・均質化した溶融ガラスを、ガラスが失透することなく、安定した流出が可能な温度域に温度調整された白金合金製のノズルから一定流量で流出させた。それを切断することにより、目的とするカバーガラスの質量の溶融ガラス塊を分離し、このガラス塊を下金型に受け、上金型により精密プレス成形した。プレスの圧力は4MPa、プレス時間は15秒、プレスサイクルは3ショット/分で24時間の連続成型を行った。15秒のプレスの後、プレスの圧力を解除し、プレス成形されたガラス成形品を下金型及び上金型と接触させたままの状態で、ガラスの粘度がlogηで約12になる温度まで冷却させた。冷却後、ガラス成形品を成形型から取り出し、順次隣接するアニール室にガラス成形品を自動搬送し、室温まで3時間で冷却してカバーガラスを得た。
実施例1,6のガラスを用いた場合には、精密プレス成形時にガラスと金型との融着は発生しなかった。また、アニール後取り出したガラス成形品には揮発物由来の斑点等は見られなかった。それに対し比較例1のガラスでは、精密プレス成形時にガラスと金型との融着がごく初期の段階で発生し、その後のプレス成型が困難になった。そのため、ガラス成形品の揮発物由来の斑点等の確認に至らなかった。比較例3のガラスでは、精密プレス成型時のガラスと金型との融着は発生しなかったが、アニール後取り出した後半からのガラス成形品の表面の一部には揮発物由来の点状の欠陥が発生していた。
以上の結果から明らかなように、実施例1,6のガラスはいずれも、プレス成形型を用いて精密プレス成形する際にもガラスと金型との融着の発生がなく、かつ、揮発物が上金型へ堆積することによるガラス面への転写による点状,斑点状等の欠点の発生がなく、安定した成形が可能な優れた成形性を有するものであった。
Figure 2015224155
Figure 2015224155
1 下金型
2 白金坩堝
3 溶融ガラス
4 上金型
5 ガラス成形品

Claims (6)

  1. モル%表示で、
    SiO2:55〜69%、
    Al23:3〜8%、
    ZrO2:0〜3%、
    SiO2+Al23+ZrO2:57〜71%、
    Al23/SiO2:0.12以下、
    23:0.5〜1.5%、
    Na2O:11〜20%、
    2O:0〜1%(ただし、1%は含まない。)、
    CaO:1〜8%、
    MgO:0〜5%、
    SrO:0〜2%、
    BaO:0〜2%、
    MgO+SrO+BaO:0〜5%、
    MgO+CaO+SrO+BaO:2〜12%(ただし、12%は含まない。)、
    ZnO:0〜4%、
    TiO2:0〜8%、
    Sb23:0〜0.5%、
    CeO2:0〜0.5%、
    を含有することを特徴とする化学強化可能なガラス。
  2. Li2Oを含有しないことを特徴とする請求項1記載のガラス。
  3. As23,PbO,フッ素又はフッ素化合物を含まないことを特徴とする請求項1又は2記載のガラス。
  4. ガラス転移温度(Tg)が500℃以上、600℃未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス。
  5. 30〜400℃の平均線膨張係数(α)が100×10-7/℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラスに化学強化処理を施してなる化学強化ガラスであって、ガラス表面の圧縮応力が600MPa以上であり、ガラス表面の圧縮応力層の厚みが5μm以上、20μm未満であることを特徴とする化学強化ガラス。
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