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JP2015006719A - アルミ基材の表面加工方法 - Google Patents

アルミ基材の表面加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鏡面加工により形成されたアルミ基材の被加工面(鏡面)に、その高度な平坦度や真円度を損なうことなく、微細粗面加工を施して微細な凹凸が均一に付与された微細粗面を形成することができるアルミ基材の表面加工方法を提供する。
【解決手段】アルミ基材1aの表面に鏡面加工を施し、この鏡面加工後のアルミ基材の鏡面(被加工面)に球状微粒子が分散した加工液を噴射し、アルミ基材に微細粗面を形成する方法であり、加工液中の球状微粒子の目標粒径を3〜30μmとし、加工液の噴射圧力を0.1〜0.4MPaとし、かつ、被加工面に噴射する球状微粒子の粒子総数を1×104〜5×108個/mm2としたアルミ基材の表面加工方法である。
【選択図】図1

Description

この発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成され、鏡面又は鏡面に近い状態に鏡面加工された鏡面加工後のアルミ基材の表面に、球状微粒子を含む粒子分散液を噴射する微細粗面加工を施し、アルミ基材の表面に微細な凹凸が均一に付与された微細粗面を形成するアルミ基材の表面加工方法に関し、特に限定するものではないが、液晶表示装置、CRTディスプレイ、ELディスプレイ等の画像表示装置の視認性を向上させる防眩フィルムを製造するためのエンボスロール等の金型を始めとして、印刷用ロール、陽極酸化用ロール、光学部品用ロール等の用途に用いるロール材などを製造する上で有用なアルミ基材の表面加工方法に関する。
アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されたアルミ基材の表面に、微細な凹凸が付与された微細粗面を形成する微細粗面加工の方法としては、酸性溶液又はアルカリ性溶液でのエッチング処理等の化学的な方法が知られており、この方法はエッチング液を用いてアルミ基材の表面を化学的に溶解することによりその表面に凹凸を付与するものである。
しかしながら、この化学的な方法においては、酸性溶液又はアルカリ性溶液を用いてアルミ基材の表面を溶解することから、アルミ基材中に含まれる第二相化合物に起因する表面欠陥が生じたり、局所的に過剰な溶解が生じて表面処理が不均一になる等の問題があるほか、溶解によってアルミ基材の表面に減肉が発生し、板材では平坦度が低下し、また、ロール材では真円度が低下し、所望の規定形状を維持できないという問題もある。
また、アルミ基材の表面に微細粗面を形成する微細粗面加工の方法として、液体ホーニングやドライブラスト等の物理的・機械的な手法も知られており、この手法はアルミ基材の表面に研磨材を吹き付け、この吹き付けられた研磨材により表面を削りながら凹凸を付与するものである。このような物理的・機械的な手法としては、例えば以下のような方法が提案されている。
特許文献1〜3においては、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等からなる粒径20〜80μmの研磨材(特許文献1)、ポリマー微粉末からなる粒径20〜200μmの研磨材(特許文献2)、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等からなる平均粒径10〜50μmの研磨材(特許文献3)を用い、湿式ホーニング法により電子写真感光体用導電性基体(アルミニウムパイプ)の表面を粗面化することが開示されている。
また、特許文献4においては、鉄やアルミニウム等の金属製円筒ロールの表面に、ニッケル及び/又はクロムの金属メッキ層を設け、この金属メッキ層の表面を鏡面研磨した後に、炭化珪素、アルミナ、酸化クロム、酸化ジルコニウム等(セラミックビース)からなる平均粒径1〜100μmの研磨材を用いてブラスト処理し、表面に微細な凹凸を有するエンボスロールを製造することが開示されている。
更に、特許文献5においては、鉄製ベースロールの表面に銅めっき層を設け、この銅めっき層を鏡面研磨した後、鏡面研磨後の銅めっき層にエッチング液と砥粒を含んだウエットブラスト処理を施して、銅めっき層の表面に凹凸が形成されたエンボスロールを製造することが開示されている。
更にまた、特許文献6には、研磨された金属(アルミニウム板等)の表面にジルコニアやアルミナ等のセラミック系ビーズ、スチール製等の金属系ビーズ等の微粒子をぶつけて凹凸を形成し、その凹凸面に無電解ニッケルメッキを施して防眩フィルム製造用の金型とすることが記載されており、また、特許文献7には、アルミニウムロール等の金属の表面に銅めっき又はニッケルめっきを施し、そのめっき面を研磨した後、その研磨面にジルコニアやアルミナ等のセラミック系ビーズ、スチール製等の金属系ビーズ等の微粒子をぶつけて凹凸を形成し、その凹凸面にクロムめっきを施して防眩フィルム製造用の金型とすることが記載されている。
しかしながら、上記の特許文献1〜3及び5〜7に記載されている液体ホーニングの方法は、研磨材を含んだ液体(加工液)を吹き付けることにより、アルミ基材の表面を削り落しながら凹凸を付与する方法であり、不可避的にアルミ基材の減肉が発生し、化学的な方法の場合と同様に、板材では平坦度が低下し、また、ロール材では真円度が低下し、所望の規定形状を維持できないという問題がある。
しかも、このような研磨材を含む液体(加工液)をアルミ基材の表面に吹き付けて凹凸を付与する液体ホーニングの方法においては、アルミ基材表面の被加工面が噴射ノズルの幅寸法を超えて大きくなると、この被加工面の全面を微細粗面に加工するためには、被加工面に向けて加工液を噴射する噴射ノズル走査を複数回に分けて実施しなければならなくなり、各噴射ノズル走査を行った際に、噴射された加工液中の研磨材が被加工面に衝突して形成され、噴射ノズルの幅寸法に応じて生じる走査処理後の走査処理面の走査方向両端(最初の噴射ノズル走査と最後の噴射ノズル走査では片端)において、加工液が重複して噴射され、重複して加工処理される部分(以下、「処理継ぎ目」という。)が不可避的に発生する。また、このような処理継ぎ目は、単に加工液が被加工面に衝突して形成される処理面の走査方向両端(又は片端)において発生するだけでなく、例えばエンボスロールの製造時においては各噴射ノズル走査の開始部分と終了部分においても不可避的に発生する。そして、このような複数回の噴射ノズル走査により発生した処理継ぎ目は、アルミ基材の表面に形成された微細粗面において帯状に観察され、加工後に得られたエンボスロール等の金型を始めとする製品の美観を損ねるだけでなく、エンボスロール等の金型を用いて製造される防眩フィルムにも転写され、特に高画質が求められる画像表示装置で用いられるとその視認性を低下させる原因にもなる。
また、特許文献4に記載されているドライブラストの方法においては、ブラスト装置から噴霧された気体に乗せて研磨材のセラミックビーズを飛ばす必要があることから、使用するビーズはそのサイズや比重が必然的に大きくなり、また、球状でないものも含まれ、均一で微細な凹凸面の加工には不向きである。このドライブラストの方法で数μm〜数十μmの微小なサイズの研磨材を使用すると、ブラスト装置から噴射した微小な研磨材は大気の抵抗を受けて拡散してしまい、広い範囲のアルミ基材を均一に処理することは困難である。
なお、アルミ基材の表面に微細な凹凸を形成する方法として、エキシマレーザー等による加工方法もあるが、この方法ではその加工限界が最小径については20μmφ程度であって、最小深さについては10μm程度であり、加工時間が長くなるほか加工コストも高く、例えば300mm×300mmを超える大面積への加工は不得意である。
特開平04-300,163号公報 特開平09-054,444号公報 特開平09-179,324号公報 特開2004-090,187号公報 特開2008-221,562号公報 特開2006-053,371号公報 特開2007-187,952号公報
そこで、本発明者らは、鏡面加工後のアルミ基材の被加工面(鏡面)に微細粗面加工を施して微細粗面を形成するに際し、微細粗面加工前に形成された硬度の平坦度や真円度を損なうことがなく、被加工面(鏡面)に微細な凹凸が均一に付与された微細粗面を形成することができるアルミ基材の表面加工方法について鋭意検討した結果、微細粗面加工の際に用いる加工液中の球状微粒子の目標粒径と、微細粗面加工の際の加工液の噴射圧力と、微細粗面加工時にアルミ基材の被加工面に衝突する球状微粒子の粒子総数(目標粒径換算)を所定の範囲に調整することにより、目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、鏡面加工後のアルミ基材の被加工面(鏡面)に微細粗面加工を施して微細粗面を形成するに際し、微細粗面加工前に形成された高度の平坦度や真円度を損なうことがなく、被加工面(鏡面)に微細な凹凸が均一に付与された微細粗面を形成することができるアルミ基材の表面加工方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されたアルミ基材の表面に、この表面を鏡面状態又は鏡面に近い状態の被加工面に加工する鏡面加工を施し、次いで前記鏡面加工後のアルミ基材の被加工面に球状微粒子を分散させて調製した加工液を噴射してこの被加工面を微細な凹凸を有する微細粗面に加工する微細粗面加工を施し、アルミ基材の表面に微細粗面を形成するアルミ基材の表面加工方法であって、前記微細粗面加工の際に用いられる加工液中の球状微粒子の目標粒径が3〜100μmであり、また、前記微細粗面加工の際における加工液の噴射圧力が0.1〜0.4MPaであると共に、この微細粗面加工時に微細粗面が形成されるまでの間にアルミ基材の被加工面に噴射する球状微粒子の粒子総数(目標粒径換算)が1×104〜5×108個/mm2であり、前記微細粗面加工後の微細粗面において、鏡面加工後で微細粗面加工前のアルミ基材の被加工面における平坦度及び/又は真円度が実質的に維持されることを特徴とするアルミ基材の表面加工方法である。
また、本発明は、前記微細粗面加工において、微細粗面加工時にアルミ基材の表面に噴射する球状微粒子の粒子総数をN画に分割し、この分画された各画の粒子数の球状微粒子を含むN画の分割加工液を調製し、微細粗面加工時には前記鏡面加工後のアルミ基材の被加工面の全面に亘って各分割加工液を噴射する加工液噴射操作をN回繰り返して実施するアルミ基材の表面加工方法である。
本発明において、上記アルミ基材の材質や形状については、それがアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されており、また、全体的にあるいは部分的に所望の平坦度や真円度を付与するために鏡面加工を適用することができる形状であれば、特に制限されるものではなく、本発明で提供されるアルミ基材の用途に応じて要求される強度、耐食性、加工性等の種々の物性や形状に基づいて、適宜選択して使用することができる。
また、アルミ基材に所定の平坦度や真円度を付与する鏡面加工についても、機械的な又は化学的な種々の加工を適用することができ、例えばNC旋盤やマシニングセンタ等を用いた切削加工、超硬ツール等を用いたバニッシング加工等の機械的な加工や、ダイヤモンドペースト、酸化マグネシウム等を用いた化学研磨や電解研磨等の化学的な加工や、機械的な加工の後に化学的な加工を行う併用方法等を例示できる。特に、低コストで広い面積の表面を鏡面状態又は鏡面に近い状態に加工するためには、切削加工やバニッシング加工あるいはこれら切削加工とバニッシング加工の組合せにより鏡面加工を行うのがよい。この鏡面加工により、鏡面であって引き続いて実施される微細粗面加工の被加工面となる高い平坦度又は真円度の表面を有するアルミ基材が得られる。
本発明においては、前記鏡面加工後のアルミ基材の被加工面に、球状微粒子を分散させて調製した加工液を噴射する微細粗面加工を施し、前記被加工面を微細な凹凸を有する微細粗面に加工する。
ここで、鏡面加工後のアルミ基材の被加工面に微細粗面加工を施すための加工液については、球状微粒子を分散させて調製した球状微粒子分散液が用いられるが、この加工液を調製するための球状微粒子としては、例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、ジルコニア、酸化クロム等のセラミック系ビーズ、スチール製等の金属系ビーズ、ホウケイ酸ガラス等のガラス系ビーズ等を挙げることができるが、好ましくは比較的低比重で容易に入手し得るホウケイ酸ガラスビーズの使用が好ましく、また、加工液を調製するための溶剤としては、低粘度で前記球状微粒子と反応せず、加工液中で球状微粒子の凝集を防止し得るものであるのがよく、加工液噴射装置で使用できるものであれば特に限定されないが、好ましくは安価で入手し易い水道水、蒸留水、脱イオン水等を例示することができる。
本発明において、加工液の調製に使用する球状微粒子については、目標粒径(形状を付けるための粒径の狙い値)が、3μm以上100μm以下の範囲中の特定の数値であり、狙い値は適宜選択される。また、目標粒径を最頻粒子径とした粒子を使用するのが好ましい。更に、噴射される粒子が粒度分布の分布幅が狭い粒子である程、小粒子の基材への埋め込みを低減することができる。すなわち、その目標粒径を中心に分布が±30%以内、好ましくは20%以内であるのがよい。粒子径分布が目標粒径の±30%を超えて広がると、加工液噴射操作の際に、アルミ基材の被加工面に対して先に衝突した比較的小粒径の小粒子に比較的大粒径の大粒子が追突し、小粒子が被加工面に埋め込まれ、形成された微細粗面に埋没粒子が残存し、例えばその後に陽極酸化処理や脱脂処理等を行うとその処理条件によっては皮膜欠陥等の問題が生じる虞がある。
なお、本発明において、「球状」とは粒子の電子顕微鏡写真から短径と長径とを測定し、短径/長径比を真球度としたとき、測定された粒子の真球度が0.7以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上であることを意味する。また、「目標粒径」とは微細粗面を形成する微細な凹凸について目標とする大きさの凹みを形成するのに必要な球状微粒子の粒径であり、目標とする粒径の狙い値である。更に、微細粗面加工の加工液噴射操作の際に、アルミ基材の被加工面に埋め込まれ、微細粗面に残存した埋没粒子は、走査型電子顕微鏡による表面観察、GD-OES(グロー放電発光分析法)等の方法でアルミ基材表面の元素を分析し、例えば球状微粒子がホウケイ酸ガラスビーズであれば、SiやBの元素を調べることにより、容易に判定できる。
また、前記鏡面加工後のアルミ基材の被加工面に微細粗面加工を施すための加工液については、噴射されてアルミ基材の被加工面に衝突させる際の噴射圧力が0.1MPa以上0.4MPa以下、好ましくは0.15以上0.25MPa以下であって、微細粗面加工を開始して終了するまでに被加工面に噴射する微細粒子の粒子総数が目標粒径に換算して1mm2当り1×104個以上5×108個以下、好ましくは1×105個以上1×108個以下である必要がある。噴射圧力が0.1MPaより低いと、アルミ基材の被加工面における塑性変形が不十分になって、目標粒径に応じて設定される目標の大きさの凹みを有する凹凸の形成が難しくなり、反対に、0.4MPaを超えて高くすると、この微細粗面加工で形成された微細粗面に球状微粒子が埋め込まれる粒子埋没現象が発生し、連続的で均一な微細粗面の形成が難しくなるほか、その後に陽極酸化や脱脂処理を行う場合にその条件によっては皮膜欠陥等の問題を引き起こす虞がある。また、被加工面に噴射する微細粒子の粒子総数(目標粒径換算)が1×104個/mm2より少ないと、被加工面に微細粗面が形成されない領域が残る虞があり、反対に5×108個/mm2より多くなると、被加工面に必要以上の多数の球状微粒子が衝突することになり、初めにできた連続的で均一な微細粗面の凹凸形状が次に衝突する球状微粒子によって潰され、結果として連続的で均一な微細粗面の形成が困難になる。
ところで、鏡面加工後のアルミ基材の被加工面に加工液を吹き付けて微細粗面を形成する微細粗面加工の加工液噴射操作においては、図1に示すように、アルミ基材が板材1aでその被加工面2が広くて1回の噴射ノズル3による走査では被加工面2の全面をカバーしきれない場合、複数回の噴射ノズル走査を実施することになるが、この際には各噴射ノズル走査において噴射された加工液4中の球状微粒子が板材1aの被加工面2に噴射して形成され、噴射ノズル3の幅寸法に応じて生じる走査処理後の走査処理面5の走査方向両端(最初の噴射ノズル走査と最後の噴射ノズル走査では片端)において、加工液4が重複して噴射され、この噴射された加工液が被加工面2に到達する間に僅かに拡がり、この広がった部分で重複して加工処理される処理継ぎ目6の領域が不可避的に生じる。また同様に、図2に示すように、アルミ基材がロール材1bの場合には、少なくとも加工液4の噴射ノズル走査の開始部分と終了部分において重複して噴射される処理継ぎ目6の領域が不可避的に生じる。そして、このような処理継ぎ目6は、アルミ基材の表面に形成された微細粗面において薄い帯状に観察され、加工後に得られたエンボスロール等の金型を始めとする製品の美観を損ねるだけでなく、エンボスロール等の金型を用いて製造される防眩フィルムにも転写され、特に高画質が求められる画像表示装置で用いられるとその視認性を低下させる原因にもなる。また、このような問題は、アルミ基材が板材の場合でもまたロール材の場合でも、その被加工面が広ければ広いほど発生し易くなる。これは、微細粗面加工の際に、処理継ぎ目の領域において衝突する球状微粒子の粒子数が他の領域よりも多くなることに起因する。
そこで、本発明においては、この問題を解決するために、前記微細粗面加工において、鏡面加工後のアルミ基材の被加工面に噴射する球状微粒子の粒子総数をN画に分割し、この分画された各画の粒子数の球状微粒子を含むN画の分割加工液を調製し、微細粗面加工時には複数回の噴射ノズル走査により被加工面全面に各分割加工液を噴射する加工液噴射操作をN回繰り返して実施する。すなわち、微細粗面加工時に鏡面加工後のアルミ基材の被加工面に向けて噴射する加工液中の球状微粒子の粒子総数については微細粗面加工を1回の加工液噴射操作で行う場合の粒子総数と実質的に同じに設計するが、この球状微粒子の粒子総数をN画に分割し、この分画された各画の粒子数の球状微粒子を含むN画の分割加工液を調製し、微細粗面加工時には調製した各分割加工液を用いて複数回の噴射ノズル走査で被加工面全面に各分割加工液を噴射する加工液噴射操作をN回繰り返すものであり、好ましくは、各分割加工液の粒子濃度を、1回の加工液噴射操作で微細粗面加工を行う場合に使用する加工液の粒子濃度よりも、低い濃度に調整するのがよい。
ここで、球状微粒子の粒子総数を分画して形成される分割加工液のN画については、その数が増加すればするほど、アルミ基材の表面に形成された微細粗面において処理継ぎ目が帯状に観察されるのを防止することができるが、特に視認性の向上が求められる高画質ディスプレイの如き画像表示装置の防眩フィルムを製造するエンボスロール等の金型を製造するためには、好ましくは球状微粒子の粒子総数を3画以上20画以下、より好ましくは5画以上15画以下の画数に分割し、画数に応じて調製された分割加工液を用いて加工液噴射操作を繰り返すのがよい。なお、各分割加工液の粒子濃度については、使用する加工液噴射装置の噴射条件等を考慮して設定され、各分割加工液において同じ濃度であっても、また、必要により互いに異なる濃度であってもよい。
また、本発明において、アルミ基材の被加工面に対して加工液を噴射する加工液噴射操作の噴射方法については、液体ホーニングやウエットブラスト処理等の方法等で採用されている通常の高圧ポンプや圧縮空気による方法等を採用することができる。そして、加工液噴射装置の噴射ノズルの幅寸法と被加工面の幅寸法との関係で、噴射ノズルの幅寸法が被加工面の幅寸法より大きい場合には、加工液噴射操作を1回の噴射ノズル走査で実施してもよいほか、必要により複数回の噴射ノズル走査で実施してもよく、また、噴射ノズルの幅寸法が被加工面の幅寸法より小さい場合(アルミ基材の被加工面が広い面積を有する場合)には、必然的に加工液噴射操作を複数回の噴射ノズル走査で実施することになるが、この際には、加工液をN画に分割し、N画の分割加工液を調製してN回の加工液噴射操作を実施するのがよい。
更に、本発明の加工液噴射操作において、微細粗面が形成されるまでの間にアルミ基材の被加工面に噴射する球状微粒子の粒子総数(目標粒径換算)を調整する方法についても、例えば、アルミ基材がロール材であって、ロール材を回転させながら、かつ、噴射ノズルをロール材の軸方向に移動させながら噴射ノズル走査を行う場合には、ロール材の回転速度や噴射ノズルの走査速度を調整することにより、被加工面に噴射する球状微粒子の粒子総数(目標粒径換算)を目標とする範囲内に調整することができる。
ところで、微細粗面加工の加工液噴射操作によりアルミ基材が塑性変形を起こし、微細粗面の凹みが隣接する箇所でエッジ部が盛り上がり、一般面に比べて著しく高い隆起箇所が生じることがある。そこで、微細粗面加工の際に形成された微細粗面に隆起箇所が生じている場合には、化学的溶解法や電解研磨法で隆起箇所を除去し、実質的に隆起箇所の無い微細粗面を形成するようにしてもよい。
ここで、隆起箇所が存在するか否かの確認や隆起箇所が除去されたか否かの確認は、微細粗面の表面粗さをレーザー顕微鏡等で測定し、表面粗さのパラメーターである十点平均粗さ(Rzjis:JIS B0601-2001)と算術平均粗さ(Ra:JIS B0601-2001)を求め、その比(Rzjis/Ra)がRzjis/Ra<5であるか否かで判断するのがよく、このRzjis/Raが5以上であると微細粗面に局所的に凸な箇所(隆起箇所)が存在すると判定する。
また、微細粗面の隆起箇所を除去するための化学的溶解法や電解研磨法は、アルミニウム又はアルミニウム合金で一般的に採用されている方法でよく、例えば、化学的溶解法についてはリン酸やアルカリによる化学的研磨が、また、電解研磨法については過塩素酸−エタノール溶液やリン酸−硫酸浴中での短時間の電解研磨がある。この微細粗面の隆起箇所を除去するための処理は、微細粗面の視認性や平坦度又は真円度を損なうことなく隆起箇所を除去する必要があり、処理条件については、例えば、採用する化学的溶解法や電解研磨法に応じて予め実験的に求めることができる。
本発明の方法によれば、鏡面加工後のアルミ基材の被加工面(鏡面)に微細粗面加工を施して微細粗面を形成するに際し、微細粗面加工前に形成された高度の平坦度や真円度を損なうことがなく、被加工面(鏡面)に微細な凹凸が均一に付与された微細粗面を容易に形成することができる。
図1は、板材からなるアルミ基材の被加工面に対して複数回の噴射ノズル走査で微細粗面加工を行う場合に、処理継ぎ目が発生する状況を説明するための説明図である。
図2は、ロール材からなるアルミ基材の被加工面に対して複数回の噴射ノズル走査で微細粗面加工を行う場合に、処理継ぎ目が発生する状況を説明するための説明図である。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
〔実施例1〕
厚さ10mm及び純度99.99%のアルミニウム製のアルミロールに切削用バニッシングロールを押し付け、このアルミロールから繰り出される板状アルミニウム材の表面に機械的鏡面加工を施し、この鏡面加工後の板状アルミニウム材から厚さ10mm×幅25mm×長さ50mmのアルミ板材(アルミ基材)を切り出した。得られた鏡面加工後のアルミ板材の表面(微細粗面加工の被加工面)は、その最大断面高さ(Rt)がをRt<0.2μmに鏡面加工されていた。
次に、調製された鏡面加工後のアルミ板材の被加工面に対して、加工液噴霧装置として幅寸法25mmの噴射ノズルを備えた噴射装置(マコー社製:Baby BlastII)を用い、また、目標粒径5μmのガラスビーズ(球状微粒子、ポッターズ・バロティーニ社製商品名:EMB-10、真球度0.8以上、比重2.6、粒径範囲0.5〜11μm)を常温の水道水に80g/Lの粒子濃度で分散させた加工液を用い、噴射ノズル走査幅25mm、噴射圧力0.1MPa、及び同じ面に対する加工液噴射操作回数1回の条件で、また、被加工面に噴射するガラスビーズの粒子総数(目標粒径換算)が5×107個/mm2となるように微細粗面加工を実施し、アルミ板材に微細粗面を形成した。
〔アルミ板材微細粗面の均一性評価〕
この実施例1で得られたアルミ板材の微細粗面について、照度2000Lux以上の蛍光灯下で目視観察を行い、以下に示す評価基準に基づいて微細粗面の均一性を評価した。◎:未処理部が無く全体が均一である、○:未処理部が殆ど認められず全体が概ね均一である、△:未処理部が僅かに認められる、×:未処理部が明確に認められる。
このアルミ板材の微細粗面の均一性評価の結果を表1に示す。
〔アルミ板材微細粗面の埋没粒子評価〕
この実施例1で得られたアルミ板材について、その微細粗面の凡そ50μm×50μmの範囲(3000倍程度の視野に相当)を走査型顕微鏡で観察し、微細粗面に埋め込まれて残留したガラスビーズが存在するか否かを調べ、以下に示す評価基準に従って埋没粒子評価を行った。◎:殆ど埋没粒子が観察されない、○:視野中に1〜2個の埋没粒子が観察される、△:視野中に3〜10個の埋没粒子が観察されるが用途によって使用可能である、×:視野中に10個を超える埋没粒子が観察される。
このアルミ板材の微細粗面の埋没粒子評価の結果を表1に示す。
〔実施例2〕
噴射圧力を0.2MPaとした以外は実施例1と同様にしてアルミ板材(アルミ基材)に微細粗面を形成し、実施例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
噴射圧力を0.3MPaとした以外は実施例1と同様にしてアルミ板材(アルミ基材)に微細粗面を形成し、実施例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
微細粗面加工時の粒子総数(目標粒径換算)を2×106個/mm2とし、また、噴射圧力を0.2MPaとした以外は実施例1と同様にしてアルミ板材(アルミ基材)に微細粗面を形成し、実施例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
微細粗面加工時の粒子総数(目標粒径換算)を2×108個/mm2とし、また、噴射圧力を0.2MPaとした以外は実施例1と同様にしてアルミ板材(アルミ基材)に微細粗面を形成し、実施例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
〔実施例6〕
目標粒径5μmのガラスビーズ(球状微粒子、ブライト標識工業(株)製商品名:E2-10、真球度0.8以上、比重2.6、粒径範囲4〜6μm)を用い、噴射圧力を0.2MPaとした以外は実施例1と同様にしてアルミ板材(アルミ基材)に微細粗面を形成し、実施例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
〔実施例7〕
目標粒径20μmのガラスビーズ(球状微粒子、ブライト標識工業(株)製商品名:E2-20、真球度0.8以上、比重2.6、粒径範囲15〜25μm)を用い、噴射圧力を0.2MPaとした以外は実施例1と同様にしてアルミ板材(アルミ基材)に微細粗面を形成し、実施例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
〔実施例8〕
実施例2と同様にして得られたアルミ板材(アルミ基材)の微細粗面に対して、エタノール80質量%、過塩素酸14質量%、及び水6質量%の組成を有する電解浴を用い、電解電圧30V、初期電流密度12000A/m2、定常期電流密度400A/m2、電流制御:無し、浴温度0℃、及び処理時間10秒の処理条件で陽極電解処理を施し、微細粗面の表面粗さをRzjis/Ra<5に調整した。調整されたアルミ板材の微細粗面について、実施例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
〔実施例9〕
実施例2と同様にして得られたアルミ板材(アルミ基材)の微細粗面に対して、硫酸10質量%、リン酸70質量%、及び水20質量%の組成を有する電解浴を用い、浴温度70℃、及び処理時間20秒の処理条件とした以外は実施例8と同様にして陽極電解処理を施し、微細粗面の表面粗さをRzjis/Ra<5に調整した。調整されたアルミ板材の微細粗面について、実施例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
〔実施例10〕
実施例2と同様にして得られたアルミ板材(アルミ基材)の微細粗面に対して、リン酸80質量%、硝酸5質量%及び水15質量%の組成を有する浸漬液を用い、浸漬温度90℃及び処理時間15秒の条件で化学研磨を行った以外は実施例8と同様にして微細粗面の表面粗さをRzjis/Ra<5に調整した。調整されたアルミ板材の微細粗面について、実施例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
〔実施例11〕
実施例1と同様にして得られた厚さ10mm×幅50×長さ50mmのアルミ板材(アルミ基材)を用い、また、目標粒径5μmのガラスビーズ(球状微粒子、ポッターズ・バロティーニ社製商品名:EMB-10、真球度0.8以上、比重2.6、粒径範囲0.5〜11μm)を常温の水道水に16g/Lの粒子濃度で分散させた加工液(分割加工液)を用い、アルミ板材の加工面に対して、2回の噴射ノズル走査で加工面全面にガラスビーズを衝突させる加工液噴射操作を5回繰り返して実施し、加工面に噴射したガラスビーズの粒子総数を5×107個/mm2に調整した以外は実施例2と同様にしてアルミ板材に微細粗面を形成し、以下のようにして微細粗面の均一性評価を行うと共に、実施例1と同様にして微細粗面の埋没粒子評価を行った。結果を表1に示す。
〔アルミ板材微細粗面の均一性評価〕
この実施例11で得られたアルミ板材の微細粗面については、実施例1の場合と同様に、照度2000Lux以上の蛍光灯下で目視観察を行い、以下に示す評価基準に基づいて微細粗面の均一性を評価した。◎:処理継ぎ目が全く認められない/未処理部が無く全体が均一である、○:処理継ぎ目が殆ど認められない/未処理部が殆ど認められず全体が概ね均一である、△:処理継ぎ目が僅かに認められる/未処理部が僅かに認められる、×:処理継ぎ目が明確に認められる/未処理部が明確に認められる。
〔実施例12〕
粒子濃度8g/Lの加工液を用い、加工液噴射操作を10回繰り返してアルミ板材(アルミ基材)に微細粗面を形成した以外は実施例11と同様にしてアルミ板材に微細粗面を形成し、実施例11と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
〔実施例13〕
アルミ基材として純度99.99%のアルミニウム製のアルミロールに切削用のバニッシングロールを押し付け、このアルミロールから繰り出されるアルミロールの表面の凹凸を押しこみながら切削刃を送り、アルミロール表面の最大断面高さ(Rt)をRt<0.2μmにする機械的鏡面加工を施し、機械的鏡面加工後の直径20mmのアルミロール材(アルミ基材)を作製した。
得られた機械的鏡面加工後のアルミロール材の被加工面に対して、加工液噴霧装置として幅寸法25mmの噴射ノズルを備えたマコー(株)社製噴射装置:Baby blast IIを用い、また、目標粒径5μmのガラスビーズ(球状微粒子、ブライト標識工業(株)製商品名:E2-10、真球度0.8以上、比重2.6、粒径範囲0.5〜11μm)を常温の水道水に160g/Lの粒子濃度で分散させた加工液を用い、噴射ノズル走査幅25mm、噴射圧力0.2MPa、アルミロール材の回転数130rpm、及び同じ面に対する加工液噴射操作回数5回の条件で、また、被加工面に噴射するガラスビーズの粒子総数(目標粒径換算)が1×107個/mm2となるようにアルミロール材の被加工面に微細粗面加工を施し、表面に微細粗面を有するアルミロール材を作製した。
この実施例13で得られたアルミロール材の微細粗面について、実施例11と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
〔実施例14〕
実施例13と同様にして得られたアルミロール材を用い、加工液の粒子濃度を80g/Lとし、アルミロール材の回転数を260rpmとし、また、同じ面に対する加工液噴射操作回数10回とした以外は実施例13と同様にしてアルミロール材に微細粗面を形成し、実施例11と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
〔実施例15〕
実施例13と同様にして得られたアルミロール材を用い、目標粒径5μmのガラスビーズ(球状微粒子、ブライト標識工業(株)製 商品名:E2-10、真球度0.8以上、比重2.6、粒径範囲4〜6μm)を用いた以外は実施例13と同様にしてアルミロール材に微細粗面を形成し、実施例11と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
〔実施例16〕
実施例13と同様にして得られたアルミロール材の微細粗面に対して、エタノール80質量%、過塩素酸14質量%、及び水6質量%の組成を有する電解浴を用い、電解電圧30V、初期電流密度12000A/m2、定常期電流密度400A/m2、電流制御:無し、浴温度0℃、及び処理時間10秒の処理条件で陽極電解処理を施し、微細粗面の表面粗さをRzjis/Ra<5に調整した。調整されたアルミ板材の微細粗面について、実施例11と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
Figure 2015006719
〔比較例1〕
噴射圧力を0.05MPaとし、加工液の粒子濃度を80g/Lとし、被加工面に噴射させる粒子総数を1×107個/mm2として処理した以外は実施例1と同様にしてアルミ板材の微細粗面を形成し、実施例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
噴射圧力を0.5MPaとした以外は比較例1と同様にしてアルミ板材の微細粗面を形成し、実施例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表2に示す。
〔比較例3〕
噴射圧力を0.2MPaとし、加工液の粒子濃度を0.04g/Lとし、被加工面に噴射させる粒子総数を5×103個/mm2として処理した以外は比較例1と同様にしてアルミ板材の微細粗面を形成し、実施例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表2に示す。
〔比較例4〕
噴射圧力を0.2MPaとし、被加工面に噴射させる粒子総数を1×1010個/mm2とした以外は比較例1と同様にしてアルミ板材の微細粗面を形成し、実施例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表2に示す。
〔比較例5〕
加工液の粒子濃度を80g/Lとし、被加工面に噴射させる粒子総数を1×10個/mm2をとし、同じ面に対する加工液噴射操作回数を1回とした以外は実施例11と同様にしてアルミ板材の微細粗面を形成し、実施例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表2に示す。
〔比較例6〕
加工液の粒子濃度を40g/Lとし、被加工面に噴射させる粒子総数を1×10個/mm2をとし、同じ面に対する加工液噴射操作回数を2回とした以外は実施例11と同様にしてアルミ板材の微細粗面を形成し、実施例11と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表2に示す。
〔比較例7〕
実施例13と同様にして得られたアルミロール材の被加工面に対して、アルミロール材の回転数を40rpmとし、同じ面に対する加工液噴射操作回数を1回とした以外は実施例13と同様にしてアルミロール材に微細粗面を形成し、実施例11と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表2に示す。
〔比較例8〕
実施例13と同様にして得られたアルミロール材の被加工面に対して、目標粒径が6μmのガラスビーズ(球状微粒子、ブライト標識工業(株)製商品名:E2-10、真球度0.8以上、比重2.6、粒径範囲0.5〜11μm)を用いて調製した加工液を使用し、アルミロール材の回転数を128rpmとし、被加工面に噴射させる粒子総数を1×108個/mm2をとし、同じ面に対する加工液噴射操作回数を3回とした以外は実施例13と同様にしてアルミロール材に微細粗面を形成し、実施例11と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表2に示す。
Figure 2015006719
本発明のアルミ基材の表面加工方法は、鏡面加工後のアルミ基材における鏡面(被加工面)の高度な平坦度や真円度を損なうことなく、この鏡面(被加工面)に微細粗面加工を施して微細な凹凸が均一に付与された微細粗面を形成することができるので、画像表示装置の視認性を向上させる防眩フィルムを製造するためのエンボスロール等の金型を始めとして、印刷用ロール、陽極酸化用ロール、光学部品用ロール等の用途に用いるロール材等を製造する上で、工業的に極めて有用である。
1a…板材(アルミ基材)、1b…ロール材(アルミ基材)、2…被加工面、3…噴射ノズル、4…加工液、5…走査処理面、6…処理継ぎ目。

Claims (5)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されたアルミ基材の表面に、この表面を鏡面状態又は鏡面に近い状態の被加工面に加工する鏡面加工を施し、次いで前記鏡面加工後のアルミ基材の被加工面に、球状微粒子を分散させて調製した加工液を噴射してこの被加工面を微細な凹凸を有する微細粗面に加工する微細粗面加工を施し、アルミ基材の表面に微細粗面を形成するアルミ基材の表面加工方法であって、
    前記微細粗面加工の際に用いられる加工液中の球状微粒子の目標粒径は3〜100μmの中にある特定の数値であり、また、前記微細粗面加工の際における加工液の噴射圧力が0.1〜0.4MPaであると共に、この微細粗面加工時に微細粗面が形成されるまでの間にアルミ基材の被加工面に噴射する球状微粒子の粒子総数(目標粒径換算)が1×104〜5×108個/mm2であることを特徴とするアルミ基材の表面加工方法。
  2. 前記微細粗面加工において、鏡面加工後のアルミ基材の被加工面に噴射する球状微粒子の粒子総数をN画に分割し、この分画された各画の粒子数の球状微粒子を含むN画の分割加工液を調製し、微細粗面加工時には前記アルミ基材の被加工面の全面に亘って各分割加工液を噴射する加工液噴射操作をN回繰り返して実施する請求項1に記載のアルミ基材の表面加工方法。
  3. 前記各分割加工液の粒子濃度は、前記微細粗面加工を1回の加工液噴射操作で行う際に使用される加工液の粒子濃度よりも低い請求項2に記載のアルミ基材の表面加工方法。
  4. 前記加工液を形成する球状微粒子は、その目標粒径から±30%以内の分布を有する請求項1〜3のいずれかに記載のアルミ基材の表面加工方法。
  5. 前記微細粗面加工で形成された微細粗面に対し、化学的溶解処理又は電解研磨処理を施し、算術平均粗さRa(JIS B0601:2001)に対する十点平均粗さRzjis(JIS B0601:2001)の比(Rzjis/Rz)がRzjis/Ra<5となるように調整する請求項1〜4のいずれかに記載のアルミ基材の表面加工方法。
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