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JP2014209246A - トナー用ポリエステル樹脂を含むトナー - Google Patents

トナー用ポリエステル樹脂を含むトナー Download PDF

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JP2014209246A
JP2014209246A JP2014109715A JP2014109715A JP2014209246A JP 2014209246 A JP2014209246 A JP 2014209246A JP 2014109715 A JP2014109715 A JP 2014109715A JP 2014109715 A JP2014109715 A JP 2014109715A JP 2014209246 A JP2014209246 A JP 2014209246A
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匡弘 小澤
Tadahiro Ozawa
匡弘 小澤
真哉 大和
Masaya Yamato
真哉 大和
陽子 田村
Yoko Tamura
陽子 田村
藤井 秀幸
Hideyuki Fujii
秀幸 藤井
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Abstract

【課題】トナーの耐久性と粉砕性を両立できるトナー用ポリエステル樹脂を含むトナーを提供する。
【解決手段】不飽和二重結合を有するトナー用ポリエステル樹脂を含むトナー。前記トナー用ポリエステル樹脂が、多価カルボン酸と多価アルコールを含む単量体混合物を重縮合したものであって、前記単量体混合物が、不飽和二重結合を有する多価カルボン酸および不飽和二重結合を有する多価アルコールの少なくとも一方と、式(2)で表される多価アルコールを多価カルボン酸100モル部に対して0.5モル部以上含む混合物であるトナー用ポリエステル樹脂を含むトナー。

【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像または磁気潜像の現像に用いられるトナー用ポリエステル樹脂を含むトナーに関する。
電子写真印刷法および静電荷現像法により画像を得る方法においては、感光体上に形成された静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナーによって現像したのち、定着が行われる。定着方式については、現像によって得られたトナー像を加圧および加熱されたローラーを用いて定着するヒートローラー方式と、電気オーブンまたはフラッシュビーム光を用いて定着する非接触定着方式とがある。これらのプロセスを問題なく通過するためには、トナーは、まず安定した帯電量を保持することが必要であり、次に紙への定着性が良好である必要がある。また、装置は加熱体である定着部を有し、装置内での温度が上昇するため、トナーがブロッキングしないことが必要である。
さらに、連続印刷時においても装置の汚れや印刷面へのカブリなどが見られないこと、すなわちトナーの耐久性が必要である。また、トナー製造時の樹脂の粉砕性が良好であることも求められている。このため、耐久性、粉砕性に優れたトナー用バインダー樹脂として、ポリエステル樹脂が使用されている。
例えば、特許文献1には不飽和二重結合を有するトナー用ポリエステル樹脂を架橋反応させて樹脂の耐久性を向上させる方法が記載されている。
さらに環境対応の点から、トナー用ポリエステル樹脂にバイオマス原料成分を用いる検討も行われ、例えば特許文献2にはイソソルバイドを原料として用いたトナー用ポリエステル樹脂が記載されている。
WO2007/034813号公報 特表2008−537786号公報
しかしながら、特許文献1記載の方法では、耐久性は向上するが、樹脂が割れにくく粉砕性が不十分であった。
また、特許文献2記載の方法では、イソソルバイド含有量に比例して樹脂の分子量が小さくなり、トナー用樹脂としての耐久性が不十分であった。
本発明の第1の要旨は、式(1)で表される繰り返し単位と、不飽和二重結合を有するトナー用ポリエステル樹脂を含むトナーにある。
また、本発明の第2の要旨は、前記トナー用ポリエステル樹脂が、多価カルボン酸と多価アルコールを含む単量体混合物を重縮合したものであって、前記単量体混合物が、不飽和二重結合を有する多価カルボン酸および不飽和二重結合を有する多価アルコールの少なくとも一方と、式(2)で表される多価アルコールを多価カルボン酸100モル部に対して0.5モル部以上含む混合物であるトナー用ポリエステル樹脂を含むトナーにある。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂を用いることによって、耐久性と粉砕性に優れたトナーを提供することができる。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、式(1)で表される繰り返し単位と、不飽和二重結合を有する。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、式(1)で表される繰り返し単位を有することで、粉砕性が良好となる。式(1)で表される繰り返し単位を有するポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールを含む単量体混合物を重縮合する際に、式(2)で表される多価アルコールを単量体として用いれば良い。
なお、式(2)で表される多価アルコールは、単量体混合物中の多価カルボン酸100モル部に対して0.5モル部以上が必要である。0.5モル部以上あれば、樹脂の粉砕性が向上する。さらに、樹脂の耐久性が向上する点から、50モル部以上が好ましい。
式(2)で表される多価アルコールとしては、D−イソソルバイド、L−イソソルバイド、イソマンニドの立体異性体のいずれでも良く2種以上を組み合わせて使用することもできる。これらの多価アルコールは、環境対応の点から植物を原料とするものが好ましい。
さらに本発明のトナー用ポリエステル樹脂は不飽和二重結合を、ポリエステル樹脂の主鎖および/または側鎖に有している。本発明では樹脂中の不飽和二重結合を架橋反応させることにより分子鎖間の架橋が起こり、樹脂の耐久性が向上する。
なお、不飽和二重結合とは、炭素間二重結合であり、不飽和二重結合を有する多価カルボン酸および不飽和二重結合を有する多価アルコールの少なくとも一方を含む単量体混合物を重縮合することで得られる。
不飽和二重結合を有する多価カルボン酸は、前記単量体混合物中の多価カルボン酸100モル部中、1〜50モル部が好ましく、不飽和二重結合を有する多価アルコールは、前記単量体混合物中の多価カルボン酸100モル部に対して、1〜50モル部が好ましい。また、両者を併用する場合には、両者の合計が1〜50モル部であることが好ましい。
不飽和二重結合を有する単量体の含有量が1モル部以上の場合、トナーの耐高温オフセット性が良好になる傾向にあり、不飽和二重結合の含有量が50モル部以下の場合に、トナーの保存安定性が良好となる傾向にある。
不飽和二重結合を有する多価カルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸およびこれらのエステル誘導体が挙げられる。
また、不飽和二重結合を有する多価アルコールとしては、例えば、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテンが挙げられる。
なお、これらの中では、反応性の点から、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸好ましい。
また本発明トナー用ポリエステル樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるピーク分子量が3000以上、8,000以下であることが好ましい。ピーク分子量が3,000以上あれば、本発明のトナー用ポリエステル樹脂の耐久性が良好となり、8,000以下であれば、粉砕性が良好となりやすい。
さらに本発明のトナー用ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜85℃が好ましい。Tgが40℃以上の場合に、トナーの保存性が良好となる傾向にあり、80℃以下の場合に、トナーの低温定着性が良好となる傾向にある。
また本発明のトナー用ポリエステル樹脂の酸価は、50mgKOH/g以下が好ましい。酸価が50mgKOH/g以下の場合に、トナー用ポリエステル樹脂としての耐湿性が良好となる傾向にある。
次に、本発明のトナー用ポリエステル樹脂を製造する方法の一例について説明する。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、不飽和二重結合を有する多価カルボン酸および不飽和二重結合を有する多価アルコールの少なくとも一方と、式(2)で表される多価アルコールを含む単量体混合物を重縮合して得られる。
不飽和二重結合を有する多価カルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸およびこれらのエステル誘導体が挙げられる。
また、不飽和二重結合を有する多価アルコールとしては、例えば、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテンが挙げられる。
なお、これらの中では、反応性の点から、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸好ましい。
不飽和二重結合を有する多価カルボン酸は、前記単量体混合物中の多価カルボン酸100モル部中、1〜50モル部が好ましく、不飽和二重結合を有する多価アルコールは、前記単量体混合物中の多価カルボン酸100モル部に対して、1〜50モル部が好ましい。また、両者を併用する場合には、両者の合計が1〜50モル部であることが好ましい。
式(2)で表される多価アルコールとしては、D−イソソルバイド、L−イソソルバイド、イソマンニドの立体異性体のいずれでも良く、2種以上を組み合わせて使用することもできる。これらの多価アルコールは、環境対応の点から植物を原料とするものが好ましい。
式(2)で表される多価アルコールは、単量体混合物中の多価カルボン酸100モル部に対して0.5モル部以上が必要である。0.5モル部以上あれば、樹脂の粉砕性が向上する。さらに樹脂の耐久性が向上する点から50モル部以上が好ましい。
なお、前記単量体混合物は、不飽和二重結合を有さない多価カルボン酸、不飽和二重結合を有さない多価アルコール、1価のカルボン酸、1価のアルコール等を含有してもよい。
不飽和二重結合を有さない多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸等のジカルボン酸;これらのアルキルエステル(モノメチルエステル、ジメチルエステル、モノエチルエステル、ジエチルエステル、モノブチルエステル、またはジブチルエステル)、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
これらの中で、ハンドリング性およびコストの点で、テレフタル酸、イソフタル酸、またはこれらのアルキルエステルが好ましい。特に、不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物との反応性が高く、樹脂の耐久性が良好となる傾向にあることから、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
不飽和二重結合を有さない多価アルコールとしては、アルコールポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の2価の芳香族アルコール;エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールなど2価の脂肪族アルコール;1,2‐シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、スピログリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロデカンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等が挙げられる。
さらに1価のカルボン酸としては、安息香酸、p−メチル安息香酸等の炭素数30以下の芳香族カルボン酸や、ステアリン酸、ベヘン酸等の炭素数30以下の脂肪族カルボン酸等や、桂皮酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
また、1価のアルコールとしては、ベンジルアルコール等の炭素数30以下の芳香族アルコールや、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の炭素数30以下の脂肪族アルコールが挙げられる。
また重縮合は公知の方法で行えばよく、重合触媒としては、アルコキシド、酸化チタン、ジブチル錫オキシド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム、酢酸マグネシウム等を用いることができる。
重合温度は、180℃〜280℃が好ましい。重合温度が180℃以上の場合に、生産性が良好となる傾向にあり、280℃以下の場合に、樹脂の分解や、臭気の要因となる揮発分の副生成を抑制できる傾向にある。
さらに本発明においては、必要に応じて、離型剤を添加してポリエステル樹脂を重縮合することもできる。離型剤を添加して重合することにより、トナーの定着性、ワックス分散性が向上する傾向にある。離型剤としては、後述するトナーの配合物として使用するワックスと同様のものが使用でき、例えばカルナバワックス、ライスワックス、蜜蝋、合成エステル系ワックス、パラフィンワックス、各種ポリオレフィンワックスまたはその変性品、脂肪酸アミド、シリコーン系ワックス等を挙げることができる。
さらに重合安定性を得る目的で、安定剤を添加してもよい。安定剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ヒンダードフェノール化合物などが挙げられる。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、トナー用バインダー樹脂として単独で用いてもよいが、本発明のトナー用ポリエステル樹脂と他のポリエステル樹脂を混合した後、本発明のトナー用ポリエステル樹脂の不飽和二重結合を架橋反応させてトナー用バインダー樹脂とすることが好ましい。
本発明では、不飽和二重結合を架橋反応させることで、トナーとしての耐久性が向上するが、他のポリエステル樹脂と併用することで、低温定着性が良好となる。なお本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、60質量%以上混合されていることが好ましい。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂と混合する他のポリエステル樹脂としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるピーク分子量が10,000以上、100,000以下であるポリエステル樹脂が好ましい。
また、Tgは40〜80℃が好ましい。40℃以上の場合に、トナーの保存性が良好となる傾向にあり、80℃以下の場合に、トナーの低温定着性が良好となる傾向にある。さらに酸価は、50mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が50mgKOH/g以下の場合に、トナーの定着画像濃度が良好となる傾向にある。
なお、前記の他のポリエステル樹脂は、公知の多価カルボン酸と多価アルコールを含む単量体混合物を重縮合することで得られる。
また架橋反応の方法は、例えば、不飽和二重結合をラジカル付加反応、カチオン付加反応、またはアニオン付加反応等によって反応させ、分子間炭素−炭素結合を生成させる反応が挙げられ、ラジカル反応開始剤を使用するラジカル付加反応が特に好ましい。
ラジカル反応開始剤としては、特に制限されず、アゾ化合物や有機過酸化物が用いられる。中でも開始剤効率が高く、シアン化合物副生成物を生成しないことから、有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン、ジ−t−へキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシへキシン−3、アセチルパーオキシド、イソブチリルパーオキシド、オクタニノルパーオキシド、デカノリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、m−トルイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンソエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
これらの中でも、架橋反応が効率よく進行し、使用量が少なくて済むことから、水素引抜き能の高いラジカル反応開始剤が特に好ましい。水素引抜き能の高いラジカル反応開始剤の好ましい例としては、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン、ジ−t−へキシルパーオキシド等が挙げられる。
ラジカル反応開始剤の使用量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。ラジカル反応開始剤の使用量が、0.01質量部以上の場合に架橋反応が進行し易くなる傾向にあり、10質量部以下の場合に、臭気が良好となる傾向にある。
また、架橋反応開始剤は希釈剤により薄めて使用することが好ましい。ラジカル反応開始剤を希釈剤で希釈して添加することによって、ラジカル反応開始剤の自己誘発分解を抑制できる傾向にあり、ポリエステル樹脂製造時に安全性が確保できることと、自己誘発分解によるラジカル反応開始剤の無駄な消費が抑えられ、ラジカル反応開始剤の使用量を低減させることが可能となる。
希釈剤としては、離型剤が好ましく不飽和二重結合の架橋反応を阻害しないものを用いることが好ましい。不飽和二重結合の架橋反応を阻害しないもとのしては、炭化水素系の離型剤が好ましく、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;またはこれらのブロック化合物などが挙げられる。
なお、架橋反応開始剤との混合が容易であり、トナーの低温定着性をさらに高めることができることから、離型剤の融点は120℃以下であることが好ましい。融点が120℃以下の離型剤としては、パラフィンワックスが最も好ましい。
架橋反応開始剤を離型剤で希釈する方法は、加熱により液化した離型剤に液体の架橋反応開始剤を混合する方法、液体の離型剤に固体の架橋反応開始剤を溶解させ混合する方法、固体の離型剤に液体の架橋反応開始剤を染み込ませる方法などが挙げられる。その中でも、架橋反応開始剤の均一性、分散性の観点から、液化した離型剤に液体である架橋反応開始剤を混合する方法や、液化した離型剤に固体である架橋反応開始剤を溶解させる方法などが好ましい。
架橋反応を行う装置については、ポリエステル樹脂と架橋反応開始剤を短時間で均一に混合するという観点から、溶融混合装置が好ましい。
溶融混合装置としては、単軸押出機、二軸押出機、連続密閉式混合機、ギア押出機、ディスク押出機及びロールミル押出機、スタティックミキサー等の連続溶融混合装置、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー及びハーケミキサー等のバッチ密閉式溶融混合装置が挙げられる。
これらの中でも、短時間で効率よくポリエステル樹脂中に架橋反応開始剤を分散させることが可能なことから、連続溶融混合装置が好ましい。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂を含有するトナーは、公知の着色剤、荷電制御剤、離型剤、流動改質剤等の添加剤、磁性体等を配合して得られる。なお必要に応じて、本発明のポリエステル樹脂以外のバインダー樹脂を含んでいても良い。
本発明のポリエステル樹脂以外のバインダー樹脂としては、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、環状オレフィン樹脂、メタクリル酸系樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
以下に本発明の実施例を示す。また、評価方法は以下の方法で行った。
(1)ガラス転移温度(Tg)
島津製作所(株)製示差走差熱量計DSC−60を用い、昇温速度5℃/分で測定した時のチャートの低温側のベースラインとガラス転移温度近傍にある吸熱カーブの接線との交点の温度を求めた。
(2)酸価
サンプル約0.2gを枝付き三角フラスコ内に精秤し(A(g))、ベンジルアルコール10mlを加え、窒素雰囲気下として230℃のヒーターにて15分加熱し樹脂を溶解した。室温まで放冷後、ベンジルアルコール10ml、クロロホルム20ml、フェノールフタレイン溶液数滴を加え、0.02規定のKOH溶液にて滴定した(滴定量=B(ml)、KOH溶液の力価=p)。ブランク測定を同様に行い(滴定量=C(ml))、以下の式に従って算出した。
酸価(mgKOH/g)=(B−C)×0.02×56.11×p÷A
(3)ピーク分子量(Mp)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、得られた溶出曲線のピーク値に相当する保持時間から、ピーク分子量(Mp)を標準ポリスチレン換算により求めた。なお、溶出曲線のピーク値とは、溶出曲線が極大を示す点であり、極大値が2点以上ある場合は、溶出曲線が最大値を与える点のことである。
装置:東洋ソーダ工業(株)製、HLC8020
カラム:東洋ソーダ工業(株)製、TSKgelGMHXL(カラムサイズ:7.8mm(ID)×30.0cm(L))を3本直列に連結
オーブン温度:40℃
溶離液:THF
試料濃度:4mg/10mL
濾過条件:0.45μmテフロン(登録商標)メンブレンフィルターで試料溶液を濾過
流速:1mL/分
注入量:0.1mL
検出器:RI
(4)耐久性
耐久性は回転型レオメーター(REOLOGICA製 DAR−100)を用いて貯蔵弾性率により評価した。
測定モード:Oscillation strain control
ジオメトリー:25mmφパラレルプレート
GAP:1mm
周波数:1Hz
Strain:0.001
測定温度:80〜240℃(3℃/minで昇温)
貯蔵弾性率(G’)を用いて、評価基準を以下の通りとした。
◎(非常に良好) :1000mPa以上のG’
○(良好) :100mPa以上1000mPa未満のG’
△(使用可能) :60mPa以上100mPa未満のG’
×(劣る) :60mPa未満のG’
(5)粉砕性
粉砕性は、メッシュ上に残る樹脂残存率を求めることで評価した。ここで樹脂残存率とは、通常の粉砕工程を終わった樹脂を篩いにかけ、16メッシュを通過し22メッシュを通過しない樹脂粉体を得、この分級された樹脂粉末を10.00g精秤し、トリオブレンダー粉砕器(トリオサイエンス社製)にて10秒間粉砕後、30メッシュの篩いにかけ、通過しない樹脂の重量(A)gを精秤し、次式により、Aの値から残存率を求め、この操作を3回行い平均して求めた値である。
{(A)g/粉砕前の樹脂重量(10.00g)}×100=樹脂残存率(%)
得られた樹脂残存率より、粉砕性を以下の様に評価した。
◎(非常に良好) :55%未満の樹脂残存率
○(良好) :55%以上65%未満の樹脂残存率
△(使用可能) :65%以上75%未満の樹脂残存率
×(劣る) :75%以上の樹脂残存率
製造例1
表1に示す組成の多価カルボン酸、多価アルコールと、全多価カルボン酸に対して1500ppmの三酸化アンチモンを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。なお、なお、表1にモル部として記載した仕込み組成は、全酸成分100モル部に対する各成分のモル部である。
次いで昇温を開始し、反応系内の温度が265℃になるように加熱し、この温度を保持し、反応系からの水の留出がなくなるまでエステル化反応を継続した。次いで、反応系内の温度を280℃とし、反応容器内を減圧し、反応系からジオール成分を留出させながら縮合反応を実施した。攪拌翼のトルクが所定のトルクを示した時点で反応物を取り出し冷却して樹脂1を得た。樹脂1の特性値を表1に示す。
実施例1〜3、比較例1、2
表1に示す組成の多価カルボン酸、多価アルコールと、全多価カルボン酸に対して1000ppmのジブチル錫オキサイドを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで昇温を開始し、反応系内の温度が260℃になるように加熱し、この温度を保持し、反応系からの水の留出がなくなるまでエステル化反応を行った。次いで、反応系内の温度を220℃とし、反応容器内を減圧し、反応系からジオール成分を留出させながら縮合反応を実施した。攪拌翼のトルクが所定のトルクを示した時点で反応物を取り出し冷却して樹脂2〜6を得た。各樹脂の特性値を表1に示す。
なおイソソルバイドは、Polysorb−P(登録商標)(Roquette America,Inc)を用いた。
実施例4
離型剤(日本精鑞(株)製SP−0160)90質量部を75℃に加熱し溶融させ、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン10質量部を添加し、得られた混合物を冷却、粉砕して、離型剤で希釈された架橋反応開始剤Iを調製した。
二軸押出機((株)池貝製PCM−29:L/D=30)を用い、樹脂1を15質量部と樹脂2を85質量部を溶融混練した後、離型剤で希釈された架橋反応開始剤I0.2質量部を押出機に供給し、外温設定180℃、滞在時間3分で架橋反応を行い樹脂Aを得た。樹脂Aの評価結果を表2に示す。
実施例5、6、比較例3
樹脂1と混合する樹脂を表2に示すように変更した以外は、実施例4と同様にして樹脂B〜Dを得た。各樹脂の評価結果を表2に示す。
比較例4
樹脂1と樹脂6を溶融混練した後に、離型剤で希釈された架橋反応開始剤を供給しない以外は、実施例4と同様にして樹脂Eを得た。樹脂Eの評価結果を表2に示す。
比較例3では、樹脂5に(1)式で表される繰り返し単位が含まれていないために、粉砕性が劣るものとなった。
比較例4では、不飽和二重結合による架橋構造を有していないために、耐久性に劣るものとなった。

Claims (2)

  1. 式(1)で表される繰り返し単位と、不飽和二重結合を有するトナー用ポリエステル樹脂を含むトナー。
  2. 前記トナー用ポリエステル樹脂が、多価カルボン酸と多価アルコールを含む単量体混合物を重縮合したものであって、前記単量体混合物が、不飽和二重結合を有する多価カルボン酸および不飽和二重結合を有する多価アルコールの少なくとも一方と、式(2)で表される多価アルコールを多価カルボン酸100モル部に対して0.5モル部以上含む混合物である、請求項1に記載のトナー用ポリエステル樹脂を含むトナー。

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