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JP2014187754A - 電動機の回転子、電動機、空気調和機、および電動機の回転子の製造方法 - Google Patents

電動機の回転子、電動機、空気調和機、および電動機の回転子の製造方法 Download PDF

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JP2014187754A JP2013059620A JP2013059620A JP2014187754A JP 2014187754 A JP2014187754 A JP 2014187754A JP 2013059620 A JP2013059620 A JP 2013059620A JP 2013059620 A JP2013059620 A JP 2013059620A JP 2014187754 A JP2014187754 A JP 2014187754A
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Hiroyuki Ishii
博幸 石井
Mamoru Kawakubo
守 川久保
Mineo Yamamoto
峰雄 山本
Hiroki Aso
洋樹 麻生
Junichiro Oya
隼一郎 尾屋
Yuto Urabe
優人 浦辺
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Abstract

【課題】電動機のコストを増加させることなく、かつ、性能および品質を低下させることなく転がり軸受を流れる軸電流を防止し、電食を抑止すると共に異常音の発生を防止することが可能な電動機の回転子、電動機、空気調和機、および電動機の回転子の製造方法を得ること。
【解決手段】電動機の回転子20は、回転子のマグネット(樹脂マグネット22)およびシャフト23が樹脂部24により一体化され、シャフト23に転がり軸受21a、21bが取り付けられた電動機100の回転子20であって、金属製のブラケット30で支持される反負荷側転がり軸受21bとシャフト23との間に絶縁スリーブ26と空洞28を介在するよう構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、電動機の回転子、電動機、空気調和機、および電動機の回転子の製造方法に関する。
従来の電動機は、パワー回路内のトランジスタのスイッチングに伴って発生する電動機の騒音の低減を図るため、インバータのキャリア周波数が高い値に設定されている。ただし、キャリア周波数が高くなるに従って、電動機のシャフトへの高周波誘導により発生する軸電圧が増大し、シャフトを支持している転がり軸受の内輪と外輪との間の電位差が大きくなり、転がり軸受に電流が流れ易くなる。この転がり軸受に流れる電流は、内輪、外輪両軌道並びに転動体(内外輪の間を転がる玉やころ)の転動面に電食と呼ばれる腐食を発生させて、転がり軸受の耐久性を悪化させるという課題があった。
従来の電動機では、上記軸受の電食が発生するのを防止するため、コイルが巻回されてなる固定子と、この固定子を固定するフレームと、前記固定子とわずかな空隙を介して対向する回転子と、この回転子が固着される回転軸と、Oリングを介してこの回転軸を回転自在に支承する転がり軸受と、この転がり軸受を支持する軸受ブラケットと、を有する回転電機において、前記回転軸の前記転がり軸受を支持する側または前記転がり軸受の内輪の内周面に前記Oリングを挿入する凹部を設けるとともに、前記転がり軸受の内輪の側面と前記回転軸の段部との間に絶縁ワッシャーを設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、回転子のマグネットおよびシャフトが樹脂部により一体化され、シャフトの外周に形成される樹脂部の軸方向両端面に転がり軸受けが配置される電動機の回転子において、転がり軸受けの少なくともいずれか一方と、シャフトとの間に設けられ、樹脂部により一体化される絶縁スリーブと、絶縁スリーブの樹脂部に埋設される側の端面付近に周方向に略等間隔に形成され、端面付近に頂点を有する複数の凸部と、を備えた電動機が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−156952号公報 特開2011−239508号公報
しかしながら、上記特許文献1に示される電動機の回転子のようにOリングを用いて電食を防止すると、一般的にゴム等の弾性体であるOリングは組付け時に変形をするため、Oリングを介して転がり軸受を回転軸に圧入固定した際にOリングが変形し、転がり軸受と回転軸間の空隙がばらつき易く、またこれらが接触する可能性もあり、電食の防止効果を確実に得られにくいという問題がある。また、電動機運転中の外力や、電動機運転による振動によりOリングが変形し、固定子と回転子との間のギャップが不均一になり、電動機の効率が低下する懸念がある。
上記特許文献2に示される電動機の回転子では、電動機の高効率化、低騒音化が進むにつれ増大する軸電圧、電食に対して、より効果を高めるためには、コスト増加を伴うという問題がある。例えば、電食防止効果を高めるためには絶縁スリーブの肉厚を厚くすることが挙げられるが、肉厚を厚くすると材料コストが増加するだけでなく、シャフトが細くなるので強度が低下し、品質低下も懸念される。また、より絶縁性のある、すなわち誘電率の小さい材料の絶縁スリーブを用いることでも電食防止効果は高められるが、絶縁スリーブに要求される寸法精度、強度物性から選択できる材料は少なく、コストの増加が懸念される。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電動機のコストを増加させることなく、かつ、性能および品質を低下させることなく転がり軸受を流れる軸電流を防止し、電食を抑止すると共に、異常音の発生を防止することが可能な電動機の回転子、電動機、空気調和機、および電動機の回転子の製造方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電動機の回転子は、回転子のマグネットおよびシャフトが樹脂部により一体化され、前記シャフトに一対の転がり軸受が取り付けられた電動機の回転子であって、少なくとも前記一対の転がり軸受の一方と前記シャフトとの間には、絶縁スリーブと空洞が設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、シャフトと転がり軸受との間に絶縁スリーブと空洞を設けたので、電動機のコストを増加させることなく、かつ、性能および品質を低下させることなく転がり軸受を流れる軸電流を防止し、電食を抑止すると共に、異常音の発生を防止できるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる電動機の側面断面図である。 図2は、モールド固定子の側面断面図である。 図3は、モールド固定子に回転子が挿入された状態を示す側面断面図である。 図4は、ブラケットの側面断面図である。 図5は、固定子の斜視図である。 図6は、回転子の側面断面図である。 図7は、負荷側転がり軸受および反負荷側転がり軸受を取り外した回転子の断面図である。 図8は、負荷側から見た回転子の側面図である。 図9は、シャフト組立の側面図である。 図10は、回転子の反負荷側端部の拡大断面図である。 図11は、回転子の樹脂マグネットを示す図である。 図12は、位置検出用樹脂マグネットを示す図である。 図13は、変形例1の絶縁スリーブの斜視図である。 図14は、変形例2の絶縁スリーブの斜視図である。 図15は、変形例3の絶縁スリーブの斜視図である。 図16は、変形例4の絶縁スリーブの斜視図である。 図17は、変形例5の回転子の断面図である。 図18は、変形例6の回転子の断面図である。 図19は、電動機を駆動する駆動回路の回路図である。 図20は、回転子の製造工程を示す図である。 図21は、空気調和機の構成図である。
以下に、本発明にかかる電動機の回転子、電動機、空気調和機、および電動機の回転子の製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態にかかる電動機100の側面断面図である。図1に示される電動機100は、モールド固定子10、モールド固定子10の内周部10aの内側に回転自在に配置された回転子20(電動機の回転子)、およびモールド固定子10の軸方向一端部に取り付けられる金属製のブラケット30を備える。ここで、モールド固定子10は、固定子40および固定子40を覆うモールド樹脂50を備えており、モールド固定子10の軸方向は回転子20のシャフト23の軸方向と一致している。電動機100は、例えば、回転子20に永久磁石を有し、インバータで駆動されるブラシレスDCモータである。
なお、詳細は順次説明するが、図1では、固定子40の構成要素として、固定子鉄心41、固定子鉄心41に巻回されたコイル42、固定子鉄心41に設けられた絶縁部43、絶縁部43に設けられた中性点端子44b、絶縁部43に取り付けられた基板45、基板45に組み付けられたリード線口出し部品46、リード線口出し部品46から口出しされるリード線47、基板45上に実装されたIC(Integrated Circuit)49a、基板45の回転子20側の面上に実装されたホールIC49b等が示されている。また、回転子20は、シャフト組立27、回転子本体とシャフト組立27とを一体にする樹脂部24、シャフト23に取り付けられると共にモールド固定子10の軸受支持部11により支持された負荷側転がり軸受21a、およびシャフト23に取り付けられると共にブラケット30により支持された反負荷側転がり軸受21bを備えている。シャフト組立27は、例えば一対の絶縁スリーブ26−1,26−2から成る絶縁スリーブ26を備え、反負荷側転がり軸受21bとシャフト23との間に絶縁スリーブ26および空洞28が配置されている。
図2は、モールド固定子10の側面断面図である。なお、図2では、図1と同一の構成要素には同一の符号を付している。モールド固定子10には、軸方向一端部(図2の右側)に開口部10bが形成され、回転子20がこの開口部10bに挿入される。モールド固定子10の軸方向他端部(図2の左側)には、回転子20のシャフト組立27(図1)の径より若干大きい孔11aが開けられている。モールド固定子10のその他の構成については、後述する。
図3は、モールド固定子10に回転子20が挿入された状態を示す側面断面図である。なお、図3では、図1と同一の構成要素には同一の符号を付している。モールド固定子10の開口部10b(図2参照)から挿入された回転子20は、シャフト組立27の負荷側(図3の左側)が孔11a(図2参照)を貫通して外部(図3の左側)に引出されるよう配置される。この際、シャフト23に取り付けられた負荷側転がり軸受21aは、モールド固定子10の軸受支持部11に当接するまで押し込まれて、軸受支持部11により支持される。ここで、軸受支持部11は、モールド固定子10の軸方向端部でかつ反開口部側に設けられている。また、シャフト組立27の反負荷側(図3の右側)には、反負荷側転がり軸受21bが取り付けられている(一般的には、圧入による)。なお、詳細は後述するが、反負荷側転がり軸受21bとシャフト23との間には、シャフト23に取り付けられた絶縁スリーブ26および絶縁スリーブ26−1,26−2間の空洞28が設けられる。
図4は、ブラケット30の側面断面図である。ブラケット30は、モールド固定子10の開口部10bを閉塞するとともに、反負荷側転がり軸受21bを支持するものであり、モールド固定子10に圧入される。ブラケット30は、軸受支持部30aおよびこの軸受支持部30aと一体に形成された圧入部30bを備えている。軸受支持部30aは、反負荷側転がり軸受21bを支持する。ブラケット30のモールド固定子10への圧入は、リング状でかつ断面が略コの字状の圧入部30bを、モールド固定子10の内周部10aの開口部10b側に圧入することでなされる。圧入部30bの外径は、内周部10aの内径よりも、圧入代の分だけ大きくなっている。ブラケット30は、金属製(導電性を有する)で、例えば、亜鉛メッキ鋼板から形成される。但し、これに限定されず、ブラケット30を亜鉛メッキ鋼板以外の材料から形成することもできる。
以下、モールド固定子10の構成を説明する。図2に示されるモールド固定子10は、固定子40と、モールド成形用のモールド樹脂50とを備える。モールド樹脂50には、例えば、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される。固定子40は、後述する基板45等が取り付けられ、強度的に弱い構造であるため低圧成形が望ましい。そのため、モールド樹脂50には不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられる。
図5は、固定子40の斜視図である。図5に示される固定子40は、以下に示される構成である。
(1)厚さが例えば0.1〜0.7mm程度の電磁鋼板が帯状に打ち抜かれ、かしめ、溶接、接着等で積層された帯状の固定子鉄心41を製作する。固定子鉄心41は、複数個のティース(図示せず)を備える。ティースは、固定子鉄心41の内側に設けられている。
(2)ティースには、絶縁部43が施される。絶縁部43は、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂を用いて、固定子鉄心41と一体にまたは別体で成形される。
(3)絶縁部43が施されたティースに例えば集中巻のコイル42が巻回される。複数個の集中巻のコイル42を接続して、例えば、三相のシングルY結線の巻線を形成する。但し、分布巻でもよい。
(4)三相のシングルY結線であるので、絶縁部43の結線側には、各相(U相、V相、W相)のコイル42が接続される端子44(電源が供給される電源端子44aおよび中性点端子44b)が組付けられる。電源端子44aは3個、中性点端子44bは3個である。
(5)基板45が結線側の絶縁部43(端子44を組付けられる側)に取り付けられる。さらに、リード線47を口出しするリード線口出し部品46が取り付けられた基板45を絶縁部43に組み付け、固定子40とする。絶縁部43の面取りされた角柱48が、基板45が備える角柱挿入穴(図示せず)に挿入されることにより、回転方向の位置決めがなされ、かつ、絶縁部43の基板設置面(図示せず)に基板45が設置されることにより軸方向の位置決めがなされる。また、基板45より突出する角柱48を熱溶着することで基板45と絶縁部43とが固定され、さらに、端子44の基板45より突出した部分に半田付けを施すことにより電気的にも接合される。基板45には、電動機100(例えば、ブラシレスDCモータ)を駆動するIC49a(駆動素子)、回転子20の位置を検出するホールIC49b(位置検出素子)等の電子部品が実装されている。
次に、回転子20の構成を説明する。図6は回転子20の側面断面図、図7は負荷側転がり軸受21aおよび反負荷側転がり軸受21bを取り外した回転子20−1の断面図、図8は負荷側から見た回転子20−1の側面図、図9はシャフト組立27の側面図であり、図10は回転子20の反負荷側端部の拡大断面図である。
図6、図7に示されるように、回転子20(または回転子20−1)は、ローレット23a−1が施されたシャフト組立27(図9参照)と、回転子本体を構成する回転子の樹脂マグネット22(回転子のマグネット)と、同じく回転子本体を構成する位置検出用樹脂マグネット25(位置検出用マグネット)と、これらを一体成形する樹脂部24とを備えて構成される。回転子の樹脂マグネット22および位置検出用樹脂マグネット25は、それぞれシャフト23を中心にリング状である。樹脂部24は、シャフト組立27の基部23e(図9)におけるローレット23a−1を中心とした外周に形成される。なお、樹脂部24には、位置検出用樹脂マグネット25の内径を保持する金型の内径押さえ部24a、位置検出用樹脂マグネット25を金型(下型)にセットしやすくするためのテーパ部24b、および樹脂成形時の樹脂注入部24cが設けられている。
回転子の樹脂マグネット22、シャフト組立27、および位置検出用樹脂マグネット25は、縦型成形機により射出された樹脂部24で一体化される。このとき、樹脂部24は、図8に示されるように、シャフト組立27の外周に形成される中央筒部24g(回転子の樹脂マグネット22の内側に形成される)と、回転子の樹脂マグネット22を中央筒部24gに連結し、かつ、シャフト組立27を中心として半径方向に放射状に形成されると共に軸方向に延伸する複数のリブ24jとを有する。リブ24j間には、軸方向に貫通した空洞24kが形成される。なお、樹脂部24に使用される樹脂には、例えばPBT (ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の熱可塑性樹脂が用いられる。これらの樹脂に、ガラス充填剤を配合したものも好適である。
シャフト組立27の反負荷側(図6の右側)には、反負荷側転がり軸受21bが取り付けられる(一般的には、圧入による)。また、ファン等が取り付けられるシャフト組立27の負荷側(図6で左側)には、負荷側転がり軸受21aが取り付けられる。負荷側転がり軸受21aは、シャフト組立27に圧入される内輪21a−1と、モールド固定子10の軸受支持部11で支持される外輪21a−2と、内輪21a−1と外輪21a−2との間で転動する転動体21a−3とを備える。転動体21a−3には、球またはころが用いられる。反負荷側転がり軸受21bは、シャフト組立27の絶縁スリーブ26を介して圧入される内輪21b−1と、ブラケット30の軸受支持部30aで支持される外輪21b−2と、内輪21b−1と外輪21b−2との間で転動する転動体21b−3とを備える。転動体21b−3には、球またはころが用いられる。
本実施の形態にかかるシャフト組立27は、ブラケット30で支持される反負荷側転がり軸受21bとシャフト23との間に絶縁スリーブ26を介在させると共に、空洞28が設けられるように構成されている。このように構成することにより、反負荷側転がり軸受21bとシャフト23との間が絶縁スリーブ26および空洞28で絶縁される。シャフト23と反負荷側転がり軸受21bとの絶縁は、絶縁スリーブ26と空洞28によるコンデンサの並列接続によるため、従来のような絶縁スリーブ単体による絶縁に比べて、コンデンサ容量を小さくできる。すなわち、絶縁抵抗が大きく、絶縁性能が向上されるので、反負荷側転がり軸受21bとシャフト23との間における軸電流の抑制効果が向上する。従って負荷側転がり軸受21aおよび反負荷側転がり軸受21bの電食の発生がさらに抑制される。
図9において、シャフト組立27は、シャフト23と絶縁スリーブ26とを備えて構成される。絶縁スリーブ26は、絶縁性を有する樹脂材料から成り、シャフト23の反負荷側に嵌め込まれている。絶縁スリーブ26は、例えば、絶縁スリーブ26−1(第一の絶縁スリーブ)と絶縁スリーブ26−2(第二の絶縁スリーブ)とから成り、絶縁スリーブ26−1,26−2間には間隔が設けられている。本実施の形態にかかる回転子20は、このように構成されたシャフト組立27と、回転子の樹脂マグネット22と、位置検出用樹脂マグネット25とが熱可塑性樹脂である樹脂部24によって一体成形されて成る。また、シャフト23の外周には、基部23eの中央近傍に、シャフト23と樹脂部24との回り止めおよび抜け止めとして機能するローレット23a−1が施される。
図10において、シャフト23の反負荷側端部23dでは、その外周が絶縁スリーブ26の肉厚分(すなわちシャフト23の基部23eの外径d1と絶縁スリーブ26の内径との差分)切削されている。詳細には、反負荷側端部23dは、例えば、段差23c−1,23c−2により二段に絞られ、基部23eの外径d1よりも小径の外径d2−1を有する小径部23d−1(第一の小径部)と、小径部23d−2よりも反負荷側に設けられ、小径部23d−2の外径d2−1よりも小径の外径d2−2を有する小径部23d−2(第二の小径部)とを備えており、絶縁スリーブ26−1は小径部23d−1に組み付けられ、絶縁スリーブ26−2は小径部23d−2に組み付けられている。すなわち、絶縁スリーブ26−1が組み付けられる小径部23d−1の外径d2−1は、シャフト23の基部23eの外径d1より細く、従って、基部23eと小径部23d−1との間には、段差23c−1が形成される。また、絶縁スリーブ26−2が組み付けられる小径部23d−2の外径d2−2は、外径d2−1より細く、従って、小径部23d−1と小径部23d−2との間には、段差23c−2が形成される。後述するように、段差23c−1,23c−2は、絶縁スリーブ26−1,26−2間に一定の距離を確保するための位置決めに利用される。また、反負荷側端部23dの外周、具体的には、例えば小径部23d−1の外周の一部および小径部23d−2の外周には、反負荷側端部23dと絶縁スリーブ26との回り止めおよび抜け止めとして機能するローレット23a−2が施される。なお、図10の例では、シャフト23の反負荷側端面23fが露出している。
絶縁スリーブ26は、絶縁性を有する樹脂で成形され、所定の肉厚t1および軸方向長さで形成され、かつ、外径d3のリング状に形成される。肉厚t1(図10では、絶縁スリーブ26−1についてのみ示しているが、絶縁スリーブ26−2についても同様。)は、例えば、1〜2mmであるが、この範囲に限定されるものではない。軸方向長さは、絶縁スリーブ26−1のうち樹脂部24から露出した部分の軸方向長さL1と、絶縁スリーブ26−2の軸方向長さL2との和が、反負荷側転がり軸受21bの厚み(軸方向長さ)より短い寸法となるものであればよい。外径d3は、シャフト23の基部23eの外径d1と概略同一である。絶縁スリーブ26−1の内径は小径部23d−1の外径d2−1と略同一であり、絶縁スリーブ26−2の内径は小径部23d−2の外径d2−2と略同一である。絶縁スリーブ26−1は段差23c−1に当接するまで小径部23d−1に挿入されて組付けられ、また、絶縁スリーブ26−2は段差23c−2に当接するまで小径部23d−2に挿入されて組付けられ、シャフト組立27となる。絶縁スリーブ26−1,26−2は段差23c−1,23c−2により位置決めされ、軸方向に一定の距離を隔てて設けられるため、絶縁スリーブ26−1,26−2が組み付けられた反負荷側端部23dにさらに反負荷側転がり軸受21bを組付けることで、シャフト23と反負荷側転がり軸受21bの間に、絶縁スリーブ26と共に空洞28が設けられる(図6)。
絶縁スリーブ26−1の外周面26aには、シャフト23の段差23c−1付近にて、幅t2で軸方向に伸び、かつ、高さhの樹脂注入口が設けられる。この樹脂注入口は、成形後に切断され、シャフト23の軸中心から樹脂部24に向けて突状のゲート切断部26bとして外周面26aに残る。但し、このゲート切断部26bは樹脂部24に埋設され、絶縁スリーブ26−1の外周面26aのうち樹脂部24から反負荷側に露出した部分に、反負荷側転がり軸受21bが挿入される。
なお、絶縁スリーブ26−1の外周面26aのうち樹脂部24から露出した部分にゲート切断部26bが残った場合、反負荷側転がり軸受21bの挿入時に反負荷側転がり軸受21bの内径部とゲート切断部26bとが接触して、想定外の応力が発生し、またゲート切断部26bが切断されてゴミとして付着することよる品質の低下が予想される。しかしながら、樹脂注入口を樹脂部24に埋設される部分に設けることにより、このような問題を解消できる。また、ゲート切断部26bが、シャフト23の軸中心から樹脂部24に向けて突状(あるいは樹脂部24からシャフト23の軸中心に向けて突状)に設けられている場合でも、樹脂が注入されることにより、ゲート切断部26bが絶縁スリーブ26の回り止めとして機能するため、品質の向上を図ることができる。
絶縁スリーブ26−2の樹脂注入口は反負荷側の面取り部に設けられる(図示しない)。面取り部に設けることで、ゲート切断後に外周側への突出を防止できるため、反転がり軸受21b挿入時に反負荷側転がり軸受21bの内径部とゲート切断部とが接触することなく、品質低下が防止される。
絶縁スリーブ26の材料には、シャフト23の材料とほぼ同じ線膨張係数の樹脂材料を使用することが好ましい。シャフト23は例えば鉄を材料とする。そのような樹脂材料として、例えば、熱硬化性樹脂のBMC(バルクモールディングコンパウンド)樹脂が挙げられる。BMC樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂に各種の添加剤が加えられた塊粘土状の熱硬化性樹脂である。BMC樹脂は、以下に示される特徴がある。
(1)エポキシ樹脂に比べ硬化時間が短いため生産性が良い。
(2)材料のコストと特性のバランスが良い。
(3)低圧での成形が可能。
(4)寸法の安定性が高い。
(5)表面硬さが高く、キズが付きにくい。
(6)金属に比べ軽く、複雑形状の成形性に優れ、かつ、吸振性にも優れている。
電動機の回転子において、熱の上昇、下降の熱履歴を受ける場合、シャフト23と樹脂の線膨張係数が異なる場合には、応力が発生する。そのため、樹脂にはクリープ現象(一定の荷重のもとで、材料の変形が時間とともに増加していく現象)が発生し、軸受が挿入される部分は、初期の寸法を維持できなくなることがある。その場合、軸受の内輪のクリープ(内輪と軸とに微小隙間が発生し1回転ごとに円周の差だけ接触位置がずれる現象)を引き起こす可能性があり、品質の低下が懸念される。これに対し、耐クリープ性の高い熱硬化性樹脂を使用することと、シャフト23と線膨張係数が近い熱硬化性樹脂のBMC樹脂を使用することで品質の向上を図ることができる。
このように、本実施の形態の回転子20では、絶縁スリーブ26−1,26−2を軸方向に離隔した態様で反負荷側端部23dに組み付けてシャフト組立27を構成し、反負荷側転がり軸受21bとシャフト23との間に絶縁スリーブ26−1,26−2を配置するようにしたので、反負荷側転がり軸受21bとシャフト23との間に絶縁スリーブ26と共に空洞28が設けられる。このような構成によれば、絶縁スリーブ26と空洞28とにより、反負荷側転がり軸受21bとシャフト23とが絶縁されることになるので、絶縁スリーブ26単体で絶縁する場合に比べて絶縁抵抗が大きくなり、軸電流の抑制効果が向上し、負荷側転がり軸受21aおよび反負荷側転がり軸受21bの電食の発生がさらに抑制される。なお、本実施の形態では、位置検出用樹脂マグネット25が用いられているが、本実施の形態の構造は、位置検出用樹脂マグネット25が用いられていない回転子20にも適用可能である。
なお、ゲート切断部26bは、一つに限定されるものではなく、絶縁スリーブ26の外周面26aにおいて、樹脂部24に埋設される部分に複数設けてもよい。また、絶縁スリーブ26の外周面26aのうち樹脂部24に埋設される部分にゲート切断部26bと異なる複数の突起をつけてもよい。このことにより、回り止め、抜け止めがさらに確実になり、品質の向上を図ることができる。
また、絶縁スリーブ26を設けることによって反負荷側転がり軸受21bを流れる軸電流が小さくなり、これに伴い負荷側転がり軸受21aを流れる軸電流も小さくなる。そのため、負荷側転がり軸受21a側におけるシャフト23の絶縁は不要である。
また、図10において、樹脂部24の中央筒部24gの反負荷側端部には、反負荷側転がり軸受21bをシャフト組立27に組み付ける際の軸方向の位置決めとなる軸受当接面24dが形成されている。また、中央筒部24gの外周面と軸受当接面24dとの間には、段差部24eが設けられる。段差部24eは、中央筒部24gの外周面よりも一段内径側に下がった外周面24fと、軸受当接面24dと平行な反負荷側端面24hとから構成される。外周面24fの直径d4は、反負荷側転がり軸受21bの外輪21b−2の内径よりも小さく形成することができ、例えば、図6に示されるように、反負荷側転がり軸受21bの内輪21b−1の外径と略同じか、若干小さく形成することが望ましい。
一般的に、転がり軸受は、転がり軸受の内部からグリースが外に漏れないように、もしくは外部からごみ等が浸入しないように外輪と内輪との間にカバーを設けている。このカバーは、転がり軸受の両端面より内側に位置する。そのため、直径d4を、反負荷側転がり軸受21bの内輪21b−1の外径よりも大きくしても、内輪21b−1の外径よりも大きい部分は、反負荷側転がり軸受21bに接触しない。従って、直径d4は、反負荷側転がり軸受21bの内輪21b−1の外径と略同じか、若干小さくする程度が実用的である。
また、この段差部24eを設けることにより、シャフト組立27、回転子の樹脂マグネット22、および位置検出用樹脂マグネット25を樹脂で一体成形する際に、樹脂部24の中央筒部24gの軸受当接面24dをイレコ(入れ子)で形成する場合、段差部24eまで前記イレコで形成する。そのため、金型の合わせ面は中央筒部24gの反負荷側端面24hに位置する。そうすると、金型の合わせ面にバリが発生した場合でも、反負荷側転がり軸受21bは金型の合わせ面となる反負荷側端面24hに対して段差部24eの軸方向長さ分だけ離れるため、このバリは、反負荷側転がり軸受21bに当接しない。従って、このバリが反負荷側転がり軸受21bに悪影響を及ぼす虞が少ない。
また、回転子20が、熱衝撃を受けると樹脂部24の中央筒部24gが割れる場合もある。そのような場合でも、中央筒部24gの両端(負荷側と反負荷側)にそれぞれ段差部24eを設け、段差部24eの径方向の寸法はそれぞれ一定とし、両端の段差部24e間の中央筒部24gの径方向の厚さを大きくして対処することができる。
また、段差部24eを中央筒部24gの両端(負荷側と反負荷側)に設けた場合、段差部24eを構成する外周面24fの直径d4が、負荷側転がり軸受21aの外輪21a−2の内径よりも小さく、かつ、反負荷側転がり軸受21bの外輪21b−2の内径よりも小さく形成することができる。この場合、段差部24e間の中央筒部24gの径方向の厚さは、外輪21a−2,21b−2の内径よりも大きくすることも可能である。
図11は回転子の樹脂マグネット22を示す図であり、図11(a)は左側面図、図11(b)は(a)のC−C断面図、図11(c)は右側面図である。図11を参照しながら、回転子の樹脂マグネット22の構成を説明する。回転子の樹脂マグネット22には、その内径側の軸方向一端部(図11(b)では右側)に、樹脂成形時の型締め時にシャフト組立27と回転子の樹脂マグネット22との同軸を確保するための切欠き22aが形成されている。図11(c)の例では、切欠き22aは例えば周方向に略等間隔で8箇所に形成されている。
また、回転子の樹脂マグネット22には、軸方向他端部(図11(b)では左側)の端面に、位置検出用樹脂マグネット25を据える台座22bが、例えば周方向に略等間隔で形成されている。台座22bは、回転子の樹脂マグネット22の内径側に形成され、位置決め用突起22cが台座22bから回転子の樹脂マグネット22の外径側に向かって延びている。位置決め用突起22cは、樹脂部24による回転子の樹脂マグネット22、位置検出用樹脂マグネット25およびシャフト組立27の一体成形時に、回転子の樹脂マグネット22の周方向(回転方向)の位置決めに利用される。
図12を参照しながら、位置検出用樹脂マグネット25の構成を説明する。図12は、位置検出用樹脂マグネット25を示す図であり、図12(a)は左側面図、図12(b)は正面図、図12(c)は(b)のD部拡大図である。位置検出用樹脂マグネット25は、内径側の軸方向両端部に段差25bを備える。回転子20の軸方向端部側となる段差25bには、樹脂部24の一部が充填され、この段差25bは位置検出用樹脂マグネット25の軸方向の抜け止めとして機能する。
図12には、一例として軸方向両端部に段差25bを備えた位置検出用樹脂マグネット25が示されているが、いずれか一方の軸方向端部に段差25bが設けられ、それが回転子20の軸方向端部側に位置すればよい。但し、軸方向両端部に段差25bを備えるものは、回転子20の樹脂部24による一体成形時に、金型(下型)に位置検出用樹脂マグネット25をセットする際に、裏表を気にせずにセットできるので作業性に優れる。
また、位置検出用樹脂マグネット25は、樹脂部24に埋設されたときに周方向の回り止めとなるリブ25a(断面が略三角)を周方向に略等間隔に8個備える。リブ25aは段差25bの形成箇所に配置されている。但し、リブ25aの数、形状、配置間隔は図示例に限定されず任意でよい。
なお、図6に示されるように、樹脂部24には、位置検出用樹脂マグネット25の内径を保持する金型の内径押さえ部24a、位置検出用樹脂マグネット25を金型(下型)にセットしやすくするためのテーパ部24b、樹脂成形時の樹脂注入部24cが樹脂成形後に形成される。
回転子の樹脂マグネット22は、熱可塑性樹脂に磁性材が混合されて成形されたもので、図11に示される通り、内径側に軸方向一端面からテーパ状に切欠き22aを設け、また、切欠き22aのある軸方向一端面の反対側の軸方向他端面に、位置検出用樹脂マグネット25を据える台座22bを備えている。シャフト組立27と一体に成形される回転子の樹脂マグネット22の台座22bによって、位置検出用樹脂マグネット25を回転子の樹脂マグネット22の端面から離すことが可能となり、位置検出用樹脂マグネット25の肉厚を最小、かつ、任意の位置に配置することが可能となり、回転子の樹脂マグネット22より安価な熱可塑性樹脂を充填することで、コストの低減が可能となる。
位置検出用樹脂マグネット25は、図12に示される通り、厚み方向の両側に段差25bを備え、かつ、樹脂で埋設されたとき回り止めとなるリブ25aを両側の段差25bに備えている。また、位置検出用樹脂マグネット25の内径と位置検出用樹脂マグネット25の外径との同軸度は精度良く作られている。
なお、シャフト組立27と一体に成形される際、位置検出用樹脂マグネット25の外周にはテーパ状に樹脂(樹脂部24)が充填され、位置検出用樹脂マグネット25の外径のばらつきにも対応し、充填される樹脂は位置検出用樹脂マグネット25の片側の軸方向端面(外側)と回転子の樹脂マグネット22の軸方向両端面でせき止めるため、回転子の樹脂マグネット22の外径にバリが発生するのを抑えることが可能となり、品質の向上が図られている。
また、シャフト組立27との一体成形時のゲート口を回転子の樹脂マグネット22の内径よりもさらに内側に配置し、樹脂注入部24cを凸形状で配置することで、圧力の集中を緩和し、樹脂の充填が容易に、また、樹脂注入部24cの凸部を位置決めに利用することも可能となっている。
図13は、本実施の形態の変形例1の絶縁スリーブの斜視図である。図13(a)は、絶縁スリーブ26−1,26−2をシャフト23に組み付ける前の状態を示し、図13(b)は、絶縁スリーブ26−1,26−2をシャフト23に組み付けた後の状態を示している。図13において、図6で示される絶縁スリーブ26と異なる点は、絶縁スリーブ26−1,26−2の端面に軸方向に突出した支持部26−1a,26−2aを設け、互いに支持するよう組付けることで、絶縁スリーブ26−1,26−2を一定の間隔に位置決めする点である。すなわち、絶縁スリーブ26−1の反負荷側端面は円環状に形成され、この反負荷側端面には軸方向に伸びる支持部26−1aが設けられている。また、絶縁スリーブ26−2の負荷側端面は円環状に形成され、この負荷側端面には軸方向に伸びる支持部26−2aが設けられている。絶縁スリーブ26−1,26−2の軸方向の長さは等しい。絶縁スリーブ26−1,26−2は、互いの支持部26−1a,26−2aが干渉しないよう周方向に位相をずらして配置される。図示例では、支持部26−1a、26−2aは周方向に例えば180°位相をずらして配置されている。絶縁スリーブ26−1の支持部26−1aが絶縁スリーブ26−2の負荷側端面に当接すると共に、絶縁スリーブ26−2の支持部26−2aが絶縁スリーブ26−1の反負荷側端面に当接することにより、絶縁スリーブ26−1,26−2の位置決めがなされて、絶縁スリーブ26−1,26−2がシャフト23の反負荷側端部23dに組付けられる。なお、絶縁スリーブ26−1の負荷側の外周面上には、ゲート切断部26bおよび周方向に複数の突起26eが設けられている。
なお、支持部26−1a,26−2aはそれぞれ一つずつ絶縁スリーブ26−1,26−2に設けられているとしたが、少なくとも一方に一つ以上設ける構成も可能である。
図13に示されるように、本変形例では、絶縁スリーブ26−1,26−2の内径が同一である。すなわち、支持部26−1a,26−2aにより絶縁スリーブ26−1,26−2の位置決めがなされるので、シャフト23の反負荷側端部23dに段差23c−2を設ける必要がなく、反負荷側端部23dの外径は一定d2(=d2−1=d2−2)であり、絶縁スリーブ26−1,26−2の内径も同一とすることができる。よって、シャフト加工が簡略化され、コスト低減を図ることができる。
図14は、変形例2の絶縁スリーブの斜視図である。図14において、図6で示される絶縁スリーブ26と異なる点は、絶縁スリーブ26を二つに分離せずに一体構造とし、略円筒状の絶縁スリーブ26の側面に軸方向に伸びるスリット26cが入った点である。スリット26cは、例えば、反負荷側転がり軸受21bの軸方向長さと同じ長さで、一定の幅となっている。また、スリット26cは、例えば、絶縁スリーブ26の反負荷側端面から軸方向に一定の長さで設けられている。
本変形では、変形例1と同様、シャフト23の反負荷側端部23dに段差23c−2を設けなくてもよく、シャフト加工が簡略化される。また、絶縁スリーブ26を一体構造にしたので、絶縁スリーブ26の製作コストを低減することができる。さらに、絶縁スリーブ26は一体構造で、樹脂部24で一体に成形されるため、ゲート切断部26bおよび突起26eで回り止め、抜け止めされ、簡便な方法で確実に固定でき、品質が向上する。また、シャフト23の反負荷側端部23dのローレット23a−2を廃止でき、かつ組立も簡略化されるので、さらにコスト低減を図ることができる。なお、図14では、スリット26cを1本としたが、複数本でもよい。これにより、より絶縁性能が高められ、電食抑制効果を高められる。
図15は、変形例3の絶縁スリーブの斜視図である。図15において、図6で示される絶縁スリーブ26と異なる点は、絶縁スリーブ26を二つに分離せずに一体構造とし、略円筒状の絶縁スリーブ26の側面に軸方向に伸びる複数のスリット26cを設けると共に、これらの複数のスリット26cを、絶縁スリーブ26の反負荷側端面から軸方向に伸びるものと絶縁スリーブ26の負荷側端面から軸方向に伸びるものとが周方向に交互に配置されるように形成した点である。図示例では、絶縁スリーブ26の反負荷側端面から軸方向に伸びるスリット26c−1と、絶縁スリーブ26の負荷側端面から軸方向に伸びるスリット26c−2とが周方向に交互に4個ずつ形成されている。このような構成によれば、絶縁スリーブ26の各端部でのスリット26cの個数を減らすことができ、絶縁スリーブ26の外径寸法の精度が保たれやすい。なお、絶縁スリーブ26の負荷側の外周面上には、ゲート切断部26bおよび周方向に複数の突起26eが設けられている。
本変形では、変形例1と同様、シャフト23の反負荷側端部23dに段差23c−2を設けなくてもよく、シャフト加工が簡略化される。また、絶縁スリーブ26を一体構造にしたので、絶縁スリーブ26の製作コストを低減することができる。さらに、絶縁スリーブ26は一体構造で、樹脂部24で一体に成形されるため、ゲート切断部26bおよび突起26eで回り止め、抜け止めされ、簡便な方法で確実に固定でき、品質が向上する。また、シャフト23の反負荷側端部23dのローレット23a−2を廃止でき、かつ組立も簡略化されるので、さらにコスト低減を図ることができる。
図16は、変形例4の絶縁スリーブの斜視図である。図16において、図6で示される絶縁スリーブ26と異なる点は、絶縁スリーブ26を構成する絶縁スリーブ26−1,26−2を別体とせずに、連結部26dにより一体構造とした点である。すなわち、絶縁スリーブ26−1の円環状の負荷側端面の一部と絶縁スリーブ26−2の円環状の反負荷側端面の一部とが軸方向に伸びる連結部26dで連結されている。本変形例では、同様に絶縁スリーブ26が一体の構成である変形例2,3に比べ、空洞28を大きくできるため、電食抑制効果も高められている。なお、図16では、絶縁スリーブ26−1の負荷側の外周面上には、ゲート切断部26bおよび周方向に複数の突起26eが設けられている。
また、本変形では、変形例1と同様、シャフト23の反負荷側端部23dに段差23c−2を設けなくてもよく、シャフト加工が簡略化される。また、絶縁スリーブ26を一体構造にしたので、絶縁スリーブ26の製作コストを低減することができる。さらに、絶縁スリーブ26は一体構造で、樹脂部24で一体に成形されるため、ゲート切断部26bおよび突起26eで回り止め、抜け止めされ、簡便な方法で確実に固定でき、品質が向上する。また、シャフト23の反負荷側端部23dのローレット23a−2を廃止でき、かつ組立も簡略化されるので、さらにコスト低減を図ることができる。
図17は、変形例5の回転子20aの断面図である。図17において、図6に示される回転子20と異なる点は、シャフト組立27の反負荷側端面にセンタ穴23bが形成されている点である。金型(上型)には、センタ穴23bの中心との同軸度が合わされた突起(図示せず)が設けられ、シャフト組立27、回転子の樹脂マグネット22、および位置検出用樹脂マグネット25を樹脂部24で一体化(成形)する際に、金型が閉じられたとき、金型の突起がシャフトのセンタ穴23bに嵌まり込むことにより、回転子の樹脂マグネット22とシャフト組立27との同軸度が向上する。なお、センタ穴23bは、シャフト23の両端部に形成してもよい。
図18は、変形例6の回転子20bの断面図である。図18において、図6に示される回転子20と異なる点は、負荷側転がり軸受21aとシャフト23との間にも絶縁スリーブ26が設けられ、絶縁スリーブ16−1,26−2間に空洞28が設けられている点である。このように、負荷側転がり軸受21aとシャフト23との間にも絶縁スリーブ26を設けることにより、負荷側転がり軸受21aにおける軸電流をさらに低減できる。さらに、外郭にモールド以外の材質(例えば外郭に鋼板フレーム)が使用され、かつ、負荷側および反負荷側に金属製のブラケットが使用された電動機の場合でも、その軸電流を低減することができる。
なお、図1には、モールド固定子10側が負荷側となり、ブラケット30側が反負荷側となるように構成された電動機100が示されているが、電動機100は、負荷側と反負荷側とが逆となるように構成した場合でも、同様の効果を得ることができる。従って、一般に、絶縁スリーブ26は、負荷側転がり軸受21aとシャフト23との間もしくは反負荷側転がり軸受21bとシャフト23との間、または負荷側転がり軸受21aおよび反負荷側転がり軸受21bの双方とシャフト23との間に設ける構造が可能である。また、図6、図17、図18に示される回転子20,20a,20bは、永久磁石として熱可塑性樹脂に磁性材を混合して成形された回転子の樹脂マグネット22を使用したが、その他の永久磁石(希土類磁石(ネオジム、サマリウム鉄)、フェライト焼結等)を用いてもよい。また、位置検出用樹脂マグネット25も同様に、その他の永久磁石(希土類磁石(ネオジム、サマリウム鉄)、フェライト焼結等)を用いてもよい。
既に述べたように、インバータを用いて電動機の運転を行なう場合、パワー回路内のトランジスタのスイッチングに伴って発生する電動機の騒音の低減を図るため、インバータのキャリア周波数が高い値に設定される。キャリア周波数を高く設定するに伴って、電動機のシャフトへの高周波誘導により発生する軸電圧が増大し、シャフトを支持している転がり軸受の内輪と外輪との間に存在する電位差が大きくなるので、転がり軸受に電流が流れ易くなる。この転がり軸受に流れる電流は、内輪、外輪両軌道並びに転動体(内外輪の間を転がる玉やころ)の転動面に電食と呼ばれる腐食を発生させて、転がり軸受の耐久性を悪化させる。
本実施の形態の回転子20では、絶縁スリーブ26と空洞28により、負荷側転がり軸受21aおよび反負荷側転がり軸受21bの少なくとも一方とシャフト23との間が絶縁され、軸電流が抑制される。このように本実施の形態の回転子20は、インバータを用いて電動機100の運転を行う場合に発生する軸電流の低減に特に有効である。
図19は、電動機100に内蔵される駆動回路1の回路図である。図19に示されるように、電動機100の外部に設けられた商用交流電源2から交流の電力が駆動回路1に供給される。商用交流電源2から供給される交流電圧は、整流回路3で直流電圧に変換される。整流回路3で変換された直流電圧は、インバータ主回路4で可変周波数の交流電圧に変換されて電動機100に印加される。電動機100は、インバータ主回路4から供給される可変周波数の交流電力により駆動される。なお、整流回路3には、商用交流電源2から印加される電圧を昇圧するチョッパー回路や整流した直流電圧を平滑にする平滑コンデンサなどが設けられている。
インバータ主回路4は、三相ブリッジのインバータ回路であり、インバータ主回路4のスイッチング部は、インバータ主素子となる6つのIGBT6a〜6f(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)と6つのフライホイルダイオード(FRD)としてシリコンカーバイド(SiC)を用いたSiC−SBD7a〜7f(ショットキーバリアダイオード)を備えている。FRDであるSiC−SBD7a〜7fは、IGBT6a〜6fが電流をONからOFFする時に生じる逆起電力を抑制する逆電流防止手段である。
なお、本実施の形態では、IGBT6a〜6fとSiC−SBD7a〜7fが同一リードフレーム上に実装されエポキシ樹脂でモールドされてパッケージされたICモジュールが用いられているものとする。IGBT6a〜6fは、シリコンを用いたIGBT(Si-IGBT)に代えてSiC、GaNを用いたIGBTであってもよい。また、IGBTに代えて、SiもしくはSiC、GaNを用いたMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などの他のスイッチング素子を使用してもよい。
整流回路3とインバータ主回路4との間には、直列に接続された2つの分圧抵抗8a、8bが設けられており、分圧抵抗8a,8bによる分圧回路によって高圧直流電圧が低圧化される。駆動回路1には、この低圧化された電気信号をサンプリングし保持する直流電圧検出部8が設けられている。
また、電動機100には、本実施の形態にかかる回転子20(図6)およびモールド固定子10(図2)が用いられ、固定子10は、インバータ主回路4から供給される交流電力により回転子20を回転する。モールド固定子10には、回転子20の近傍に位置検出用樹脂マグネット25を検出するためのホールIC49bと、ホールIC49bからの電気信号を処理して回転子20の位置情報に変換する回転子位置検出部110とが設けられている。
回転子位置検出部110で検出される回転子20の位置情報は、出力電圧演算部120に出力される。この出力電圧演算部120は、駆動回路1の外部から与えられる目標回転数Nの指令(回転子20の回転速度を指令する速度指令信号)若しくは装置の運転条件の情報と、回転子20の位置情報とに基づいて、電動機100に加えられるべき最適なインバータ主回路4の出力電圧を演算する。出力電圧演算部120は、この出力電圧をPWM(Pulse Width Modulation)信号生成部130に出力する。PWM信号生成部130は、出力電圧演算部120から与えられた出力電圧となるようなPWM信号を、インバータ主回路4のそれぞれのIGBT6a〜6fを駆動する主素子駆動回路4aに出力し、インバータ主回路4のIGBT6a〜6fはそれぞれ主素子駆動回路4aによってスイッチングされる。なお、本実施の形態ではインバータ主回路4を三相ブリッジとしているが単相など他のインバータ回路でもよい。
ここでワイドバンドギャップ半導体について説明する。ワイドバンドギャップ半導体はSiよりもバンドギャップが大きい半導体の総称であって、SiC−SBD7a〜7fに使用しているSiCはワイドバンドギャップ半導体の一つであり、その他には窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンドなどがある。さらにワイドバンドギャップ半導体、特にSiCはSiに比べて耐熱温度や絶縁破壊強度や熱伝導率が大きい。なお、本実施の形態ではSiCをインバータ回路のFRDに用いる構成としているが、SiCに代えてその他のワイドバンドギャップ半導体を用いてもよい。
図20は回転子20の製造工程を示す図である。図20により、回転子20の製造工程の一例について説明する。
(1)BMC樹脂で絶縁スリーブ26の成形を行う。また、位置検出用樹脂マグネット25および回転子の樹脂マグネット22の成形を行った後、脱磁を行う。また、シャフト23の加工を行う。シャフト23には、基部23eの中央付近と反負荷側端部23dにローレット23a−2が施される。また、反負荷側端部23dに段差23c−1,23c−2が形成される(ステップ1)。
(2)シャフト23に絶縁スリーブ26を組付け、シャフト組立27とする。詳細には、シャフト23の反負荷側端部23dに絶縁スリーブ26−1,26−2をそれぞれ段差23−1,23−2に当接するまで挿入することで、絶縁スリーブ26−1,26−2をシャフト23に組付ける(ステップ2)。
(3)位置検出用樹脂マグネット25を、段差25bを有する端部を下にして下型にセットし、下型に設けられた内径押え部24aに位置検出用樹脂マグネット25の内径を保持させる(ステップ3)。
(4)回転子の樹脂マグネット22の位置決め用突起22cを下型に設けられた位置決め用突起挿入部に嵌め合わせて下型にセットする(ステップ4)。
(5)シャフト組立27を下型にセットし、回転子の樹脂マグネット22の切欠き22aを、上型の切欠き押さえ部で押し当てるように型締めする(ステップ5)。
(6)樹脂(樹脂部24)成形する(ステップ6)。回転子の樹脂マグネット22、位置検出用樹脂マグネット25、およびシャフト組立27を樹脂部24により一体に成形する際に、シャフト組立27と負荷側転がり軸受21aまたは反負荷側転がり軸受21bの少なくとも一つとの間に、絶縁スリーブ26が介在するように一体成形を行う。
(7)位置検出用樹脂マグネット25および回転子の樹脂マグネット22の着磁を行う(ステップ7)。
(8)シャフト組立27に、負荷側転がり軸受21aおよび反負荷側転がり軸受21bを組付ける(ステップ8)。
上述の製造工程によれば、回転子の樹脂マグネット22、絶縁スリーブ26が組付けられたシャフト組立27と位置検出用樹脂マグネット25とを樹脂(樹脂部24)にて一体にする際、全ての部品を金型にセットして樹脂成形することから、作業工程の低減により回転子20のコストの低減が図られる。
また、シャフト23の反負荷側端部23dにローレット23a−2を施し絶縁スリーブ26を圧入しシャフト組立27としたので、絶縁スリーブ26の軸方向および周方向の移動を抑制することができる。
また、回転子の樹脂マグネット22の台座22bにより、位置検出用樹脂マグネット25を回転子の樹脂マグネット22の端面から離すことができ、位置検出用樹脂マグネット25の肉厚を最小、かつ、任意の位置に配置することが可能となり、回転子の樹脂マグネット22より安価な熱可塑性樹脂を充填することで、コストの低減が可能となる。
また、位置検出用樹脂マグネット25は厚み方向に対称であるため、向きを合わせることなく金型にセットすることが可能である。
また、下型の位置検出用樹脂マグネット25をセットする際、外径が通過する部分を開口部が広くなるテーパにしているため(樹脂部24のテーパ部24b)、下型に引っ掛かることなくセットが可能なため、作業工程が簡素化により生産性の向上に伴いコストの低減が可能となっている。
また、位置検出用樹脂マグネット25は下型にセットされた時、下型に備える内径押え部に内径を保持されることにより、シャフト組立27および回転子の樹脂マグネット22との同軸度の精度が確保される。
また、上型に備える切欠き押さえ部が、回転子の樹脂マグネット22の内径に備える切欠き22aを押し当てることにより、シャフト組立27と回転子の樹脂マグネット22との同軸度の精度が確保される。
図21は、空気調和機300の構成図である。空気調和機300は、室内機310と、室内機310と接続される室外機320とを備える。室内機310には室内機用送風機(図示せず)が搭載され、室外機320には室外機用送風機330が搭載されている。そして、室外機用送風機330および室内機用送風機には、その駆動源として本実施の形態の電動機100が使用されている。空気調和機300の主用部品である室外機用送風機330および室内機用送風機に電動機100を用いることにより、空気調和機300の耐久性を向上させることが可能である。
なお、本実施の形態にかかる電動機100は、空気調和機300以外の電気機器(例えば換気扇、家電機器、工作機など)に搭載して利用することができる。
以上に説明したように、本実施の形態にかかる電動機の回転子20は、回転子のマグネット(樹脂マグネット22)およびシャフト23が樹脂部24により一体化され、シャフト23に転がり軸受21a、21bが取り付けられた電動機100の回転子20であって、金属製(導電性を有する)のブラケット30で支持される反負荷側転がり軸受21bとシャフト23との間に絶縁スリーブ26と空洞28を介在するようにしたので、絶縁スリーブ26と空洞28によって反負荷側転がり軸受21bとシャフト23とが絶縁され、軸電流の抑制効果が高められるだけでなく、コスト増加も抑制でき、より高効率、低騒音化の電動機の電食を防止することができる。その結果、電動機100の品質、性能の向上および低コスト化を図ることが可能である。
また、絶縁スリーブ26の樹脂注入口を樹脂部24に埋設される部分に備えることで、樹脂注入口が絶縁スリーブ26の外周面のうち樹脂部24から露出した部分にあり、ゲート切断部26bが凸(突出部)として残る場合の懸念が払拭される。
また、絶縁スリーブ26の樹脂注入口を面取り部に備えることで、ゲート切断後に外周側への突出を防止できるため、ゲート切断部が突出部として残る場合の懸念が払拭される。
また、絶縁スリーブ26の外周面のうち樹脂部24に埋設される部分に複数の突起26eを備えることで、絶縁スリーブ26の軸方向および周方向の移動をさらに抑制することができる。
また、絶縁スリーブ26を、負荷側転がり軸受21aおよび反負荷側転がり軸受21bとシャフト23との間に介在するようにした場合、負荷側転がり軸受21aおよび反負荷側転がり軸受21bにおける軸電流をさらに低減できる。外郭にモールド以外の材質(例えば外郭に鋼板フレーム)が使用され、かつ、負荷側および反負荷側に金属製のブラケット30が使用された電動機の場合は、その軸電流を低減することができる。
また、絶縁スリーブ26の材料には、シャフト23と略同じ線膨張係数の樹脂材料が用いられているので、軸受内輪と絶縁スリーブ26との間におけるクリープの発生が抑制され、電動機100の品質の向上を図ることができる。
また、絶縁スリーブ26の材料には、例えば熱硬化性樹脂のBMC(バルクモールディングコンパウンド)樹脂が用いられているので、軸受内輪と絶縁スリーブ26との間におけるクリープの発生が抑制され、電動機100の品質の向上を図ることができる。
また、本実施の形態にかかる電動機の回転子20は、シャフト23の基部23eの外周面に形成される樹脂部24の中央筒部24gと軸受当接面24dとの間に、段差部24eを設けることにより、シャフト23、回転子の樹脂マグネット22、および位置検出用樹脂マグネット25を樹脂で一体成形する際に、樹脂部24の中央筒部24gの軸受当接面24dをイレコで形成する場合、段差部24eまで前記イレコで形成する。そのため、金型の合わせ面は中央筒部24gの反負荷側端面24hになるので、金型の合わせ面にバリが発生しても反負荷側転がり軸受21bは金型の合わせ面となる反負荷側端面24hに対して段差部24eの軸方向長さ分離れているので、バリは反負荷側転がり軸受21bに当接しない。そのため、反負荷側転がり軸受21bに悪影響を及ぼす虞が少ない。
また、回転子20が、熱衝撃を受けると樹脂部24の中央筒部24gが割れる場合もあるが、中央筒部24gの両端に段差部24eを設け、段差部24e間の中央筒部24gの径方向の厚さを大きくして対処することができる。
また、絶縁スリーブ26は、絶縁スリーブ26−1,26−2の端面に軸方向に突出した支持部26−1a,26−2aを設け、これらの支持部26−1a,26−2aで互いに支持するよう組付け、絶縁スリーブ26−1,26−2を一定の間隔に位置決めして組付けてもよい。この場合、絶縁スリーブ26−1,26−2の内径を同一とすることができ、シャフト23の段差23c−2は設けなくてもよく、シャフト加工が簡略化され、コスト低減を図ることができる。
また、絶縁スリーブ26は、二つに分離せずに一体で構成し、略円筒状のその側面に軸方向に延伸するスリット26cを入れるようにしてもよい。この場合、シャフト23の反負荷側端部23dに段差23c−2を設けなくてもよく、シャフト加工が簡略化される。また、絶縁スリーブ26を一体にしたので、絶縁スリーブ26の製作コストが低減され、組立も簡略化され、さらにコスト低減を図ることができる。なお、スリット26cは複数設けてもよい。これにより、より絶縁性能が高められ、電食抑制効果を高められる。
また、絶縁スリーブ26は、二つに分離せずに一体で構成し、略円筒状の絶縁スリーブ26の側面に軸方向に伸びる複数のスリット26cを設けると共に、これらの複数のスリット26cを、絶縁スリーブ26の反負荷側端面から軸方向に伸びるものと絶縁スリーブ26の負荷側端面から軸方向に伸びるものとが周方向に交互に配置することで、軸方向に互い違いにスリット26cを入れてもよい。これにより、絶縁スリーブ26の各端部でスリット26cの個数を減らすことができ、絶縁スリーブ26の外径寸法の精度が保たれやすい。また、シャフト23の段差23c−2を設けなくてもよく、シャフト加工が簡略化される。また、絶縁スリーブ26を一体にしたので、絶縁スリーブ26の製作コストが低減し、組立も簡略化され、さらにコスト低減を図ることができる。
また、絶縁スリーブ26は、絶縁スリーブ26を構成する絶縁スリーブ26−1,26−2を別体とせずに、連結部26dで連結し、一体の構成としてもよい。この場合、空洞28が大きくできるため、電食抑制効果も高められる。また、シャフト23に段差23c−2を設けなくてもよく、シャフト加工が簡略化される。また、絶縁スリーブ26を一体にしたので、絶縁スリーブ26の製作コストが低減し、組立も簡略化され、さらにコスト低減を図ることができる。
また、図17に示される回転子20aのように、シャフト23の反負荷側端面にセンタ穴23bを形成することにより、シャフト組立27、回転子の樹脂マグネット22および位置検出用樹脂マグネット25を樹脂で一体成形する際に、シャフト23のセンタ穴23bに、金型(上型、および、下型)に備えた突起を嵌め合わせることで、シャフト組立27を同軸が確保された状態で保持することが可能となり、回転子の樹脂マグネット22とシャフト組立27との同軸度が向上する。
なお、電動機をインバータ駆動する場合、電動機の騒音の低減を図る目的から、インバータのキャリア周波数を高く設定するようにしているが、キャリア周波数を高く設定するに伴って、電動機のシャフトへの高周波誘導により発生する軸電圧が増大し、シャフトを支持している転がり軸受の内輪と外輪との間に存在する電位差が大きくなるので、転がり軸受に流れる電流も増加する。従って、本実施の形態の回転子20は、電動機100をインバータを用いて運転を行う場合の軸電流の低減に特に有効である。ここでは回転子20の位置検出用樹脂マグネット25の磁極を検出するためのセンサであるホールIC49bを用いて検出する方法を述べたが、位置検出用樹脂マグネット25およびホールIC49bを用いず、コイルを流れる電流を電流検出器(図示せず)にて検出し、波形生成回路にマイコンなどを用いて電動機を運転するセンサレス駆動方式においても同様の効果があることは言うまでもない。
なお、本発明の実施の形態にかかる電動機の回転子、電動機、空気調和機、および電動機の回転子の製造方法は、本発明の内容の一例を示すものであり、更なる別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略するなど、変更して構成することも可能であることは無論である。
以上のように、本発明は、電動機の回転子に適用可能であり、特に、電動機の性能、品質の低下、およびコストを増加させることなく軸受の電食を抑制することができる発明として有用である。
1 駆動回路、2 商用交流電源、3 整流回路、4 インバータ主回路、4a 主素子駆動回路、6a〜6f IGBT、7a〜7f SiC−SBD、8 直流電圧検出部、8a 分圧抵抗、8b 分圧抵抗、10 モールド固定子、10a 内周部、10b 開口部、11 軸受支持部、11a 孔、20,20a,20b,20−1 回転子、21a 負荷側転がり軸受、21a−1 内輪、21a−2 外輪、21a−3 転動体、21b 反負荷側転がり軸受、21b−1 内輪、21b−2 外輪、21b−3 転動体、22 回転子の樹脂マグネット、22a 切欠き、22b 台座、22c 位置決め用突起、23 シャフト、23a−1,23a−2 ローレット、23b センタ穴、23c−1,23c−2 段差、23d 反負荷側端部、23d−1,23d−2 小径部、23e 基部、23f 反負荷側端面、24 樹脂部、24a 内径押さえ部、24b テーパ部、24c 樹脂注入部、24d 軸受当接面、24e 段差部、24f 外周面、24g 中央筒部、24h 反負荷側端面、24j リブ、24k 空洞、25 位置検出用樹脂マグネット、25a リブ、25b 段差、26,26−1,26−2 絶縁スリーブ、26−1a,26−2a 支持部、26a 外周面、26b ゲート切断部、26c スリット、26d 連結部、26e 突起、27 シャフト組立、28 空洞、30 ブラケット、30a 軸受支持部、30b 圧入部、40 固定子、41 固定子鉄心、42 コイル、43 絶縁部、44 端子、44a 電源端子、44b 中性点端子、45 基板、46 リード線口出し部品、47 リード線、48 角柱、49a IC、49b ホールIC、50 モールド樹脂、100 電動機、110 回転子位置検出部、120 出力電圧演算部、130 PWM信号生成部、300 空気調和機、310 室内機、320 室外機、330 室外機用送風機。

Claims (16)

  1. 回転子のマグネットおよびシャフトが樹脂部により一体化され、前記シャフトに一対の転がり軸受が取り付けられた電動機の回転子であって、
    少なくとも前記一対の転がり軸受の一方と前記シャフトとの間には、絶縁スリーブと空洞が設けられていることを特徴とする電動機の回転子。
  2. 前記絶縁スリーブの材料には、前記シャフトと略同じ線膨張係数の樹脂材料が用いられていることを特徴とする請求項1に記載の電動機の回転子。
  3. 前記絶縁スリーブは、前記シャフトの軸方向に一定の距離で配置される第一および第二の絶縁スリーブから成り、前記第一の絶縁スリーブと前記第二の絶縁スリーブとの間に前記空洞が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電動機の回転子。
  4. 前記第一および第二の絶縁スリーブは互いに分離しており、前記シャフトの軸方向の一端部には前記軸方向に離隔して二つの段差が設けられており、一方の段差に前記第一の絶縁スリーブを当接し、他方の段差に前記第二の絶縁スリーブを当接することで、前記第一および第二の絶縁スリーブの軸方向の位置決めがされていることを特徴とする請求項3に記載の電動機の回転子。
  5. 前記第一および第二の絶縁スリーブは互いに分離しており、前記第一および第二の絶縁スリーブの端面にはそれぞれ軸方向に伸びる同じ長さの支持部が設けられており、前記第一の絶縁スリーブの支持部が前記第二の絶縁スリーブの前記端面に当接すると共に前記第二の絶縁スリーブの支持部が前記第一の絶縁スリーブの前記端面に当接することで、前記第一および第二の絶縁スリーブの軸方向の位置決めがされていることを特徴とする請求項3に記載の電動機の回転子。
  6. 前記第一の絶縁スリーブと前記第二の絶縁スリーブとが前記軸方向に伸びる連結部により連結されて一体に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の電動機の回転子。
  7. 前記絶縁スリーブには、前記空洞として、前記軸方向に伸びる一または複数のスリットが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電動機の回転子。
  8. 前記絶縁スリーブは略円筒状であり、前記絶縁スリーブの側面には前記軸方向に伸びる複数のスリットが設けられており、これらの複数のスリットは、前記絶縁スリーブの一端面から軸方向に伸びるものと前記絶縁スリーブの他端面から軸方向に伸びるものとが周方向に交互に配置されたものであることを特徴とする請求項7に記載の電動機の回転子。
  9. 前記絶縁スリーブは、前記樹脂部で一体に成形されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電動機の回転子。
  10. 前記絶縁スリーブの材料には、熱硬化性樹脂であるBMC(バルクモールディングコンパウンド)樹脂が用いられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電動機の回転子。
  11. 前記シャフトには、前記絶縁スリーブが配置される部分の少なくとも一部にローレットが施されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電動機の回転子。
  12. 前記シャフトには、少なくとも一方の端面にセンタ穴が設けられていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電動機の回転子。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の電動機の回転子を用いることを特徴とする電動機。
  14. 絶縁部が施された固定子鉄心の複数のティースに巻線してコイルが形成された固定子と、
    この固定子に組付けられ、電子部品が実装されると共にリード線を口出しするリード線口出し部品が取り付けられた基板と、
    前記固定子と前記基板とを熱硬化性樹脂でモールド成形してなるモールド固定子と、
    前記モールド固定子の開口部に嵌め込まれ、一方の前記転がり軸受を支持するブラケットと、
    を備えたことを特徴とする請求項13に記載の電動機。
  15. 請求項13または14に記載の電動機を送風機用電動機として用いることを特徴とする空気調和機。
  16. 回転子のマグネットおよびシャフトを樹脂部により一体に成形し、前記シャフトに一対の転がり軸受を取り付けて成る電動機の回転子の製造方法において、
    前記回転子のマグネットを成形し、前記シャフトを加工し、かつ、絶縁スリーブを成形するステップと、
    少なくとも前記一対の転がり軸受の一方と前記シャフトとの間に前記絶縁スリーブと空洞が設けられるようにして前記絶縁スリーブを前記シャフトに組付けるステップと、
    少なくとも前記回転子のマグネットおよび前記絶縁スリーブが組付けられた前記シャフトを熱可塑性樹脂で一体成形して回転子を製造するステップと、
    前記シャフトに前記一対の転がり軸受を組付けるステップと、
    を含むことを特徴とする電動機の回転子の製造方法。
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