JP2014085005A - 油圧制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低コスト化や小型化を図り、同時にアキュムレータの使用範囲を増大させることの可能な油圧制御装置を提供する。
【解決手段】アキュムレータ8と制御回路1との間に設けられた切替バルブ9と、信号圧を前記切替バルブ9の信号圧ポート15に供給し、その信号圧に応じて切替バルブ9を開閉動作させる信号圧用連通路16と、切替バルブ9がアキュムレータ8を制御回路1に対して遮断するように動作している状態でアキュムレータ8を制御回路1に連通させるバイパス油路17とを備え、そのバイパス油路17の最小開孔径が切替バルブ9がアキュムレータ8を制御回路1に連通させている状態におけるアキュムレータ8と制御回路1との間の切替バルブ9を経由する油路の最小開孔径より小さく設定されている。
【選択図】図1
【解決手段】アキュムレータ8と制御回路1との間に設けられた切替バルブ9と、信号圧を前記切替バルブ9の信号圧ポート15に供給し、その信号圧に応じて切替バルブ9を開閉動作させる信号圧用連通路16と、切替バルブ9がアキュムレータ8を制御回路1に対して遮断するように動作している状態でアキュムレータ8を制御回路1に連通させるバイパス油路17とを備え、そのバイパス油路17の最小開孔径が切替バルブ9がアキュムレータ8を制御回路1に連通させている状態におけるアキュムレータ8と制御回路1との間の切替バルブ9を経由する油路の最小開孔径より小さく設定されている。
【選択図】図1
Description
この発明は、油圧アクチュエータを動作させるための作動油圧を制御する装置に関し、油圧を蓄えるとともにその油圧を作動油圧としてアクチュエータに供給するアキュムレータを備えた油圧制御装置に関するものである。
従来、各種の産業用機器や車両などにおいて、油圧によって動作させ、またその動作を油圧によって制御する装置が用いられている。例えば車両用の自動変速機は、油圧によって動作状態を変化させて変速比を切り替え、あるいは油圧の高低に応じて伝達トルク容量が変化するように構成されている。その油圧は、車両の駆動力源によってオイルポンプを駆動して発生させ、かつその発生した油圧を調圧バルブによってライン圧と称される元圧に調圧し、そのライン圧を要求に応じて調圧して変速機構やクラッチあるいはブレーキなどにおけるアクチュエータに供給している。その一例が特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載された油圧制御装置の一例は、ベルト式無段変速機を対象とする装置であって、ベルトが巻き掛けられて変速を行うプーリの油圧を制御するための高圧油圧回路と、トルクコンバータや各種の潤滑箇所に供給するべき油圧を制御するための低圧油圧回路とを備え、エンジンによって駆動される油圧ポンプで発生した油圧を第1のレギュレータバルブによって高圧油圧回路で必要とする油圧に調圧する一方、その第1のレギュレータバルブで調圧された油圧を第2のレギュレータバルブによって更に低圧に調圧してトルクコンバータに供給し、また第1のレギュレータバルブから生じるドレイン油圧を潤滑箇所に供給するように構成されている。
また、高圧油圧回路にはその高圧油圧回路で使用することのできる程度に高圧の油圧を蓄圧するアキュムレータが設けられ、その入力側に接続された電磁バルブである切替バルブによってオイルポンプをアキュムレータに接続し、あるいはオイルポンプを高圧油圧回路に接続するように構成されている。なお、その切替バルブの流入側には、高圧を発生することのできる電動オイルポンプが接続されている。そして、上記の第1のレギュレータバルブや第2のレギュレータバルブとして、所定の電磁バルブから発生される信号圧に応じて調圧レベルが設定されるバルブを使用することができる。また、特許文献1に記載された構成では、切替バルブがソレノイドの電磁力によって動作するように構成され、また駆動側および従動側の各プーリにおける油圧を、それぞれのプーリに対応して設けられた供給用の電磁バルブおよび排出用の電磁バルブによって制御するように構成されている。
上記の特許文献1に記載されている切替バルブは、急変速などの際に高圧かつ多量の油圧をプーリに迅速に供給することを可能にするために、電気的に制御できるソレノイドバルブによって構成されている。したがって、プーリなどの制御対象物における油圧の制御応答性が良好になる。しかしながら、特許文献1に記載されている各レギュレータバルブによる調圧および各プーリに対する油圧の供給・排出に加えて、アキュムレータとオイルポンプとの連通とその遮断とをソレノイドによって行うように構成されているために、電気的に制御するべき箇所やソレノイドの数が多くなって、装置の全体としてのコストが高くなり、また装置の全体としての構成が大型化する可能性がある。
なお、上記の切替バルブの切替動作を、電磁力に替えて、所定の信号圧によって行わせるように構成することが考えられる。例えば、高圧油圧回路で多量の圧油を必要とするときは、急加速などのアクセルペダルが大きく踏み込まれるときであるから、アクセル開度に連動するスロットル圧(プライマリーレギュレータバルブの調圧レベルを設定する油圧)によって、上記の切替バルブを動作させるように構成することが考えられる。しかしながら、このような構成では、ソレノイドを必要としないものの、スロットル圧などの信号圧によって切替バルブをいわゆるオン・オフに切り替えることになるので、蓄圧できる状態が、その信号圧が所定値以下の場合に限られてしまう。そのため、アキュムレータが高圧油圧回路あるいはライン圧油路に連通される圧力範囲が狭くなり、アキュムレータを有効に使用することができないなどの課題が生じる。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、低コスト化や小型化を図り、同時にアキュムレータの使用範囲を増大させることの可能な油圧制御装置を提供することを目的とするものである。
この目的を達成するために、請求項1の発明は、オイルポンプで発生した油圧を制御回路で要求される作動油圧に調圧する調圧バルブと、その調圧バルブによって設定すべき油圧を決める信号圧を前記調圧バルブに供給する信号圧発生用バルブと、前記制御回路に供給するべき作動油圧を蓄えるアキュムレータとを備えた油圧制御装置において、前記アキュムレータと制御回路との間に設けられ、かつ開閉動作することにより前記アキュムレータを前記制御回路に連通させ、また前記アキュムレータを前記制御回路に対して遮断する切替バルブと、前記信号圧発生用バルブで発生された前記信号圧を前記切替バルブの信号圧ポートに供給し、その信号圧に応じて前記切替バルブを開閉動作させる信号圧用連通路と、前記切替バルブが前記アキュムレータを前記制御回路に対して遮断するように動作している状態で前記アキュムレータを前記制御回路に連通させるバイパス油路とを備え、そのバイパス油路の最小開孔径が前記切替バルブが前記アキュムレータを前記制御回路に連通させている状態における前記アキュムレータと前記制御回路との間の前記切替バルブを経由する油路の最小開孔径より小さく設定されていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記バイパス油路は、前記アキュムレータと前記制御回路とを連通させる連通路と、その連通路の途中に設けられて前記バイパス油路の前記最小開孔径を設定しているオリフィスとを含むことを特徴とする油圧制御装置である。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記切替バルブは、前記制御回路に連通された第一ポートと、前記アキュムレータに連通された第二ポートと、閉弁位置で前記第一ポートと第二ポートとのいずれか一方を遮断しかつ開弁位置で前記第一ポートと前記第二ポートとを連通させる弁体とを有し、前記バイパス油路は、前記弁体が閉弁位置にある状態で前記第一ポートと第二ポートとを連通させるように前記弁体に形成されていることを特徴とする油圧制御装置である。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記アキュムレータと前記制御回路との間に前記バイパス油路に対して並列に設けられ、かつ前記アキュムレータから前記制御回路に向けた油圧の供給を許容するとともに前記制御回路から前記アキュムレータに向けた油圧の供給を遮断する逆止弁を更に備えていることを特徴とする油圧制御装置である。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記切替バルブは、前記制御回路における作動油圧を高くする前記信号圧を前記信号圧発生用バルブが発生している場合にその信号圧によって閉動作して前記アキュムレータを前記制御回路に対して遮断し、かつ前記制御回路における作動油圧を低くする前記信号圧を前記信号圧発生用バルブが発生している場合にその信号圧によって開動作して前記アキュムレータを前記制御回路に対して連通させるように構成されていることを特徴とする油圧制御装置である。
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記制御回路で必要とする前記作動油圧についての要求圧力が前記アキュムレータの油圧より高い場合に、前記要求圧力を前記調圧バルブが発生しかつ前記切替バルブを閉弁動作させて前記アキュムレータを前記制御回路から遮断する第一の信号圧を前記信号圧発生用バルブから出力させるように構成されていることを特徴とする油圧制御装置である。
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記制御回路で必要とする前記作動油圧についての要求圧力が前記アキュムレータの油圧以下の場合に、前記アキュムレータの油圧以下の要求圧力を前記調圧バルブが発生しかつ前記切替バルブを開弁動作させて前記アキュムレータを前記制御回路に連通させる信号圧を前記信号圧発生用バルブから出力させるように構成されていることを特徴とする油圧制御装置である。
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記信号圧は、前記要求圧力が前記アキュムレータの油圧以下でかつ前記アキュムレータの圧力が蓄圧を行うべき予め定めた圧力に低下している場合に、前記調圧バルブが前記アキュムレータの油圧より高い油圧を発生しかつ前記切替バルブを開弁状態にする圧力の第二の信号圧を含むことを特徴とする油圧制御装置である。
請求項9の発明は、請求項7または8の発明において、前記信号圧は、前記要求圧力が前記アキュムレータの油圧以下でかつ前記アキュムレータの圧力が蓄圧を行うべき予め定めた範囲の圧力以上の場合に、前記調圧バルブが前記アキュムレータの油圧以下の油圧を発生しかつ前記切替バルブを開弁状態にする圧力の第三の信号圧を含むことを特徴とする油圧制御装置である。
この発明に係る油圧制御装置によれば、信号圧発生用バルブが信号圧を出力すると、制御回路における作動油圧がその信号圧に応じた油圧に制御され、それと同時に、その信号圧が信号圧用連通路を介して切替バルブの信号圧ポートに導かれ、信号圧に応じて切替バルブが開弁状態もしくは閉弁状態に設定される。したがって、この発明によれば、同時並行的に実施する作動油圧の調圧制御と切替バルブの開閉制御とを、信号圧発生用バルブから出力される信号圧に基づいて実行することができる。すなわち、信号圧発生用バルブを作動油圧の調圧制御と切替バルブの開閉制御とに共用することができるので、必要なバルブの数を少なくして、油圧制御装置の低コスト化や小型化を図ることができる。また、切替バルブによってアキュムレータと制御回路とが遮断されている場合、オイルポンプで発生した油圧は主として制御回路に供給されるが、その制御回路とアキュムレータとが開孔径の小さいバイパス油路を介して連通しているので、オイルポンプで発生した油圧の一部がアキュムレータに供給され、蓄圧を行うことができる。あるいはアキュムレータの油圧を制御回路に供給することができる。したがって、この発明では、切替バルブがアキュムレータと制御回路とを遮断する状態であっても、バイパス油路によってアキュムレータと制御回路とを連通させて僅かであっても両者の間の油圧の流通を生じさせるので、アキュムレータの使用範囲あるいは使用の機会を増大させることができる。
そのバイパス油路は切替弁とは別に設けた連通路とその途中のオリフィスとによって構成することができる。これに替えて、そのバイパス油路を切替バルブの弁体に形成すれば、油路の数が少なくなって装置の全体としての構成を簡素化もしくは小型化することができる。
さらに、上記の逆止弁を設けた構成とすれば、制御回路での油圧の要求量が多い場合、オイルポンプで発生した油圧がアキュムレータに流れることを制限し、制御回路での要求を確実に充足することができるだけでなく、アキュムレータから制御回路に対する圧油の流量を増大させることができるので、この点でもアキュムレータに蓄えた油圧を有効に使用し、その使用範囲を増大させることができる。
また一方、この発明では、前記切替バルブは、調圧値が大きい場合、すなわち作動油圧を高くする場合には閉じられ、反対に調圧値が小さい場合、すなわち作動油圧を低くする場合には開かれるように構成することができる。このような構成であれば、作動油圧を高くする場合に圧油の一部がアキュムレータに送られて制御回路の作動油圧の上昇に遅れが生じることを防止もしくは抑制することができる。言い換えれば、作動油圧を高くする場合の制御応答性を向上させることができる。
より具体的には、作動油圧についての要求圧力が、その時点のアキュムレータの油圧より高い場合、アキュムレータに蓄えている油圧では要求を満たすことができず、オイルポンプで発生させた油圧を、要求を満たす高い油圧に調圧することになるが、その場合に制御回路の圧油がアキュムレータに流れてしまうことが防止もしくは抑制されるために制御回路における作動油圧、あるいは制御回路に連通されている所定のアクチュエータの作動油圧が迅速に上昇する。すなわち、圧力の増大要求に対する応答性が向上する。
この発明を図に示す具体例に基づいて以下に説明する。図1は、作動油圧が相対的に高い圧力の制御回路1と作動油圧が相対的に低い圧力の低圧回路2とを備えた油圧制御装置にこの発明を適用した例を模式的に示しており、エンジンや電気モータ(それぞれ図示せず)によって駆動されて油圧を発生するオイルポンプ3を備えており、そのオイルポンプ3と制御回路1とは油路4によって連通されている。オイルポンプ3が吐出した油圧もしくは油路4の油圧を、所定の作動油圧に調圧する調圧バルブ5が油路4に連通されている。その作動油圧の一例は、油圧制御装置の全体としての元圧になるライン圧である。また、調圧バルブ5は、油路4における油圧(すなわち作動油圧)を信号圧に応じた圧力に設定するためのバルブであって、例えば、従来、車両用の自動変速機のライン圧を設定するために用いられているプライマリレギュレータバルブや前掲の特開2010−151240号公報に記載されているレギュレータバルブが上記の調圧バルブ5に相当する。
その調圧バルブ5の具体的な構成を説明すると、油路4に連通された入力ポートとドレインポートとを連通させ、またこれらのポートを遮断するランドを有するスプールを備え、そのスプールの一端部にはスプールをその軸線方向に押圧する弾性体と信号圧ポートとが設けられ、これとは反対側の端部に、油路4の油圧をスプールに作用させるフィードバックポートが設けられている。したがって、スプールには、弾性体による弾性力と信号圧ポートに入力された信号圧による押圧力とを合算した荷重が作用し、これに対抗するようにフィードバックポートに作用する作動油圧に基づく荷重が作用する。そして、これらの荷重に応じてスプールが移動し、ドレインポートが開くと油路4の油圧がドレインポートに排出されて低下し、それに伴ってスプールが移動してドレインポートが閉じられると油路4の作動油圧が増大する。結局、調圧バルブ5は、上記の各荷重がバランスするように動作し、油路4の作動油圧は信号圧に応じた圧力に設定される。このような構成であれば、信号圧を高くすることにより油路4の作動油圧が高くなり、これとは反対に信号圧を低下させれば、油路4の作動油圧が低くなる。
変速などを行う制御回路1で要求される作動油圧は、油圧制御装置の動作状態や外部からの要求などによって変化させる必要があるので、調圧バルブ5に供給される信号圧は適宜に変化させることができるように構成されている。具体的には、信号圧発生用バルブ6が設けられている。この信号圧発生用バルブ6は、例えばリニアソレノイドバルブによって構成されており、ソレノイドに流す電流などの電気信号に応じた信号圧を出力するように構成されている。そして、その信号圧が上記の調圧バルブ5に供給されており、したがって調圧バルブ5の調圧レベルが信号圧によって設定されるように構成されている。
また、その信号圧発生用バルブ6を制御するための電子制御装置(ECU)7が設けられている。その電子制御装置7は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、入力されたデータや予め記憶しているデータなどに基づいて演算を行って、信号圧発生バルブ6に制御信号を出力するように構成されている。図1に示す油圧制御回路が車両に搭載されたものであれば、電子制御装置7に入力されるデータは、アクセル開度や車速、油温などである。
上記の調圧バルブ5は、オイルポンプ3から吐出された油圧の一部をドレインポートから排出することにより調圧を行うので、調圧バルブ5から所定の圧力のドレイン油圧が生じる。そのドレイン油圧が低圧回路2に元圧もしくは低圧作動油圧として供給されている。
また、制御回路1には、油圧を蓄えるためのアキュムレータ8が油路4を介して連通されている。より具体的には、油路4の途中に切替バルブ9を介してアキュムレータ8が接続されている。アキュムレータ8は、スプリングなどの弾性体によって保持したピストン、あるいは気体が封入されて弾性的に膨張・収縮する部材などを容器の内部に収納し、その容器の内容積が弾性的に増減するように構成された周知の構成のものであり、圧油が押し込められることにより、その圧油を所定の圧力で蓄えるように構成されている。
上記の切替バルブ9は、アキュムレータ8と制御回路1とを連通させ、また遮断するためのいわゆる開閉弁であり、信号圧として供給される油圧に応じて開閉動作するように構成されている。したがって切替バルブ9は、ポペット型のバルブやニードルバルブ、バタフライバルブなどの適宜な構成のバルブであってよく、図1にはスプールタイプのバルブを示してある。その構造について説明すると、ランド部とバリー部とが一体に形成されたスプール10がシリンダ部11の内部に軸線方向に移動できるように収容されており、そのシリンダ部11にはいずれかのランド部によって開閉される入力ポート(第一ポート)12と、その入力ポート12に対して連通され、また遮断される出力ポート(第二ポート)13とが形成されている。
さらに、弁体であるスプール10の一方の端部側には、スプール10をその軸線方向(図1では下側)に向けて押圧するスプリング14が配置されている。また、スプール10の他方の端部には、スプール10に対してスプリング14を圧縮する方向に油圧を作用させるための信号圧ポート15が形成されている。そして、入力ポート12に前述した油路4もしくは制御回路1が連通され、また出力ポート13に上記のアキュムレータ8が連通されている。さらに、信号圧ポート15は、前述した信号圧発生用バルブ6が出力した信号圧を供給するように、信号圧用連通路16を介して信号圧発生用バルブ6に接続されている。これらスプリング14の弾性力や信号圧を受けるフェースの面積は、信号圧の高低に応じて、スプール10が後述するように動作して切替バルブ9が開閉動作するように設定されている。
そして、アキュムレータ8と制御回路1との間には、上記の切替バルブ9と並列にバイパス油路17が設けられている。図1に示す例におけるバイパス油路17は、アキュムレータ8と制御回路1とを連通させる連通路18と、その連通路18の途中に設けられたオリフィス19とによって構成されている。そのオリフィス19は、アキュムレータ8と制御回路1との間のバイパス油路17を介した経路の最小開孔径を設定するためのものであり、その開孔径は、開弁状態になっている上記の切替バルブ9を経由する制御回路1とアキュムレータ8との間の経路における最小開孔径より小さく設定されている。すなわち、オリフィス19は、制御回路1とアキュムレータ8との間の油圧の流通を、切替バルブ9を介した流通よりも制限するように構成されている。
図1に示す構成では、アキュムレータ8に蓄えられている油圧を検出して信号を出力する油圧センサ20が設けられている。また、油路4のうちアキュムレータ8を接続してある箇所とオイルポンプ3との間に、アキュムレータ8の油圧がオイルポンプ3側に逆流することを阻止するための逆止弁21が設けられている。
前述したようにこの発明は車両用の変速機における油圧制御回路に適用することができるのであって、上述した制御回路1は、図2に示す構成の油圧回路とすることができる。図2は、ベルト式無段変速機における制御回路1の一例を模式的に示しており、ここに示す無段変速機30は、ベルトが巻き掛けられる駆動プーリ(プライマリプーリ)31と従動プーリ(セカンダリプーリ)32とを備えており、これらのプーリ31,32の溝幅を広狭に変化させることにより、それぞれのプーリ31,32に対するベルトの巻き掛け半径を大小に変化させて所定の変速比を設定し、またその変速比を変更するように構成されている。すなわち、各プーリ31,32は、回転軸と一体の固定シーブと、その回転軸上を軸線方向に移動して固定シーブに対して接近し、また離隔する可動シーブとによって構成され、その可動シーブを固定シーブに向けて押圧するための油圧を供給する油圧室(もしくは油圧アクチュエータ)31A,32Aを備えている。したがって、いずれか一方のプーリ31(もしくは32)に供給する油圧(もしくは圧油の量)によって溝幅を変化させ、また他方のプーリ32(もしくは31)に供給する油圧によってベルト挟圧力を設定し、その油圧に応じた伝達トルク容量となるように構成されている。そして、その従動プーリ32から図示しない駆動輪にトルクを伝達するように構成されている。
ライン圧油路に相当する前述した油路4から分岐した油路33が駆動プーリ31の油圧室31Aに連通されており、その油路33に供給用ソレノイドバルブ34が設けられており、この供給用ソレノイドバルブ34により油路33を開閉して駆動プーリ31における油圧室31Aに対する圧油の供給を選択的に行うようになっている。また、駆動プーリ31における油圧室31Aには、その油圧室31Aの油圧をオイルパン35などのドレイン箇所に排出する排圧用ソレノイドバルブ36が連通されている。なお、図2に示す例では、この排圧用ソレノイドバルブ36は、上記の供給用ソレノイドバルブ34と油圧室31Aとの間の油路33に接続されている。これらの供給用ソレノイドバルブ34および排圧用ソレノイドバルブ36は、電気的に制御されてポートを開閉するバルブであって、非通電状態(オフ状態)では油圧の漏れを殆ど生じさせることなくポートを閉じるように構成されている。これは、通電が遮断された場合であっても、油圧室31Aに油圧を閉じ込んで所定の変速比および伝達トルク容量を確保するためである。
ベルトを挟み付ける挟圧力を設定する従動プーリ32における油圧室32Aについての油圧の給排機構も、上記の入力プーリ31における油圧室31Aについての油圧の給排機構と同様に構成されている。すなわち、前記油路4から分岐して従動プーリ32の油圧室32Aに到る油路37に供給用ソレノイドバルブ38が設けられており、この供給用ソレノイドバルブ38により油路37を開閉して従動プーリ32における油圧室32Aに対する油圧の供給を選択的に行うようになっている。また、従動プーリ32における油圧室32Aには、その油圧室32Aの油圧をオイルパン35などのドレイン箇所に排出する排圧用ソレノイドバルブ39が連通されている。なお、図2に示す例では、この排圧用ソレノイドバルブ39は、上記の供給用ソレノイドバルブ38と油圧室32Aとの間の油路37に接続されている。
これらの供給用ソレノイドバルブ38ならびに排圧用ソレノイドバルブ39は、電気的に制御されてポートを開閉するバルブであって、非通電状態(オフ状態)では油圧の漏れを殆ど生じさせることなくポートを閉じるように構成されている。これは、通電が遮断された場合であっても、油圧室32Aに油圧を閉じ込んで所定の変速比および伝達トルク容量を確保するためである。
さらに図2に示す例ではクラッチ40が設けられている。このクラッチ40は、エンジンから駆動輪にトルクを伝達するパワートレーンの途中に設けられ、係合することによりトルクを伝達し、かつ解放することによりトルクの伝達を遮断するものであり、車両の走行のための駆動トルクが掛かるために、高い油圧で係合するように構成されている。前述した油路4から分岐してクラッチ40に到る油路41に供給用ソレノイドバルブ42が設けられており、その供給用ソレノイドバルブ42により油路41を開閉してクラッチ40における油圧室に対する油圧の供給を選択的に行うようになっている。また、クラッチ40の油圧室には排圧用ソレノイドバルブ43が接続されている。この排圧用ソレノイドバルブ43は、電気的に制御されてクラッチ40からドレイン箇所などに排圧するように構成されており、これら供給用ソレノイドバルブ42,43は非通電状態(オフ状態)では油圧の漏れを殆ど生じさせることなくポートを閉じるように構成されている。これは、通電が遮断された場合であっても、クラッチ40を係合させて所定の伝達トルク容量を確保するためである。
一方、低圧回路2は、上述した制御回路1よりも低い油圧で動作するように構成されており、この低圧回路2には、前述した調圧バルブ5からのドレイン油圧を調圧するバルブやトルクコンバータ、滑りが生じることにより潤滑を必要とする潤滑箇所、これらトルクコンバータや潤滑箇所に至る油路を開閉しあるいは切り替えるバルブなどが含まれている。なお、トルクコンバータは従来の車両用自動変速機におけるのと同様に、エンジンと変速機構との間に設けられている。そして、図2に示す各ソレノイドバルブ34,36,38,39,42,43や低圧回路2における各バルブなどは、前述した電子制御装置7によって制御されるように構成されており、前記油圧センサ20はその電子制御装置7に検出信号を入力するように構成されている。
上記の油圧制御装置では、アクセル開度で表される駆動要求量や車速などに応じて作動油圧の調圧が行われ、同時に切替バルブ9の開閉制御が行われる。その作動油圧の調圧は、信号圧発生用バルブ6から出力される信号圧に応じて調圧バルブ5の調圧レベルを設定することにより行われる。具体的には、信号圧が高くなると、それに伴って調圧レベルが高くなるので、油路4の作動油圧が高くなる。したがって、例えばアクセル開度が増大すると、電子制御装置7からの指令信号によって信号圧発生用バルブ6がアクセル開度に応じた信号圧を出力し、その結果、油路4の作動油圧すなわち制御回路1での制御油圧が、アクセル開度(言い換えればエンジン負荷もしくはエンジントルク)に応じた油圧に設定される。その場合、信号圧は調圧バルブ5に供給されるだけでなく、信号圧用連通路16を介して切替バルブ9の信号圧ポート15に供給される。したがって切替バルブ9は信号圧によって開弁動作させられ、あるいは閉弁動作させられる。信号圧発生用バルブ6が出力する信号圧は、このように作動油圧の調圧に加えて切替バルブ9を開閉制御する作用を行うので、以下に説明するように電子制御装置7によって制御される。
図3にその制御例の一例をフローチャートで示してあり、ここに示すルーチンは上記の電子制御装置7において所定の短時間ごとに繰り返し実行される。図3に示す制御例では、先ず、制御回路1で必要とする油圧(必要油圧もしくは要求圧力)Ptがアキュムレータ圧Paより高いか否かが判断される(ステップS1)。制御回路1が例えば図2に示すプーリ31,32を含んでいる場合には、アクセル開度が増大することにより無段変速機30は大きいトルクを伝達する必要があるので、その伝達トルク容量を決める作動油圧(制御圧)の要求値は大きくなる。したがって、制御回路1で必要とする油圧Ptは、アクセル開度や車速などの車両の走行状態を表すデータに基づいて求めることができる。より具体的には、これらのデータに応じた要求油圧をマップとして予め用意しておき、そのマップから要求油圧Ptを求めればよい。また、アキュムレータ圧Paは、アキュムレータ8に蓄えられている圧油の圧力であり、前述した油圧センサ20によって求めることができる。
前述した制御回路1での要求圧力Ptがアキュムレータ圧Paより高いことによりステップS1で肯定的に判断された場合には、信号圧発生用バルブ6による信号圧が第一の信号圧P1 に設定される(ステップS2)。その後、図3のルーチンを一旦終了する。この第一の信号圧P1 は、上述した切替バルブ9を閉弁状態にすることのできる最小圧力(言い換えれば、開弁状態にすることのできる最大圧力)Pclose より高い圧力であり、かつ制御回路1での作動油圧すなわち調圧バルブ5で発生させる油圧が前記要求圧力Ptになるように調圧バルブ5の調圧レベルを設定する圧力の信号圧である。
したがって、要求圧力Ptが高い場合には、作動油圧(ライン圧)が高い圧力に上昇するとともに、切替バルブ9が閉弁状態に切り替わってアキュムレータ8が油路4もしくは制御回路1から遮断される。一方、制御回路1もしくは油路4は、オリフィス19を備えている連通路18であるバイパス油路17によってアキュムレータ8に連通されているから、高い圧力に調圧された油路4の油圧がそのバイパス油路17を介してアキュムレータ8に供給され、蓄圧される。すなわち、切替バルブ9によって油路4とアキュムレータ8とが遮断されている高圧状態であっても、アキュムレータ8に蓄圧を行うことができ、アキュムレータ8の使用範囲あるいは使用する機会を増大させることができる。またその場合、バイパス油路17の最小開孔径は油路4から切替バルブ9を経由してアキュムレータ8に到る経路の最小開孔径より小さいから、バイパス油路17を介してアキュムレータ8に供給される油圧の量は大きく制限される。そのため、油路4からアキュムレータ8に流れ込む圧油の量が少ないので、調圧バルブ5における調圧レベルの増大に応じて作動油圧が迅速に上昇し、制御回路1における油圧の制御応答性が良好になる。なお、図3に示す制御では、アキュムレータ圧Paの高低に関わらず、要求圧力Ptがアキュムレータ圧Paより高ければ、調圧バルブ5における調圧レベルの増大とともに切替バルブ9が閉弁状態になって切替バルブ9を経由する油路4からアキュムレータ8への経路を遮断するので、アキュムレータ圧Paの高低に関わらず、制御回路1での作動油圧を上昇させる際の制御応答性が良好になる。
一方、ステップS1で否定的に判断された場合すなわち制御回路1での必要圧力Ptがアキュムレータ圧Pa以下の場合、アキュムレータ8に蓄圧を行う必要があるか否か、すなわちアキュムレータ8の圧力Paが蓄圧を行うべき予め定めた圧力に低下しているか否かが判断される(ステップS3)。具体的には、油圧センサ20で検出されたアキュムレータ圧Paが、予め定めた範囲の上限圧力Pa0より低圧か否かが判断される。アキュムレータ8による蓄圧は、エンジンを停止させるなどのことによってオイルポンプ3が油圧を発生しなくなった場合であっても所定の変速比を維持し、あるいは変速を実行できる程度の油圧を確保するために行うから、蓄圧上限圧力Pa0はこのような変速比の維持あるいは変速の実行を可能にするように、実験あるいはシミュレーションなどによって予め決められている。
アキュムレータ圧Paが上記の蓄圧上限圧力Pa0未満であることによりステップS3で肯定的に判断された場合には、信号圧発生用バルブ6による信号圧が第二の信号圧P2 (<P1 )に設定され(ステップS4)、その後に図3のルーチンが一旦終了される。この第二の信号圧P2 は、上述した切替バルブ9を閉弁状態にすることのできる上記の最小圧力Pclose より低い圧力であり、かつ制御回路1での作動油圧すなわち調圧バルブ5で発生させる油圧が、アキュムレータ圧Paより高くなるように調圧バルブ5の調圧レベルを設定する圧力の信号圧である。したがってこの場合は、切替バルブ9は、その信号圧ポート15に供給される第二の信号圧P2 が上記の最小圧力Pclose より低圧であることにより開弁状態になり、かつ油路4での作動油圧がアキュムレータ圧Paより高くなるので、オイルポンプ3で発生させかつ調圧バルブ5によって調圧した油圧が、制御回路1に供給される一方でアキュムレータ8に供給されて、蓄圧が行われる。すなわち、信号圧発生用バルブ6で発生させた信号圧によって作動油圧の調圧を行うと同時に、蓄圧のための制御が実行される。なお、アキュムレータ8は上記のバイパス油路17を介して油路4もしくは制御回路1に常時連通されているから、油路4もしくは制御回路1の油圧がアキュムレータ8の油圧より高ければ、バイパス油路17を介してアキュムレータ8に油圧が供給され、蓄圧が行われる。
これとは反対に、上記のステップS3で否定的に判断されると、すなわち油圧センサ20によって検出されたアキュムレータ8の油圧Paが蓄圧を行うことが必要な圧力以上であるのであれば、アキュムレータ圧Paが制御回路1での要求圧力以上でかつ蓄圧を行う必要がない程度に高い圧力となっていることになる。この場合、アキュムレータ8に蓄えた油圧が制御回路1に供給される。すなわち、信号圧発生用バルブ6による信号圧が第三の信号圧P3 (<P2 )に設定され(ステップS5)、その後に図3のルーチンが一旦終了される。この第三の信号圧P3 は、上記の第二の信号圧P2 より低圧の信号圧であって、上述した切替バルブ9を閉弁状態にすることのできる上記の最小圧力Pclose より十分に低い圧力、すなわち切替バルブ9を開弁状態にすることのできる圧力である。この場合、制御回路1で必要とする油圧がアキュムレータ圧Paより低圧であって、アキュムレータ8を制御回路1の油圧源とすることができるから、第三の信号圧P3 は、制御回路1で必要とする油圧によらずに、低圧回路2で必要とする油圧に基づいて決められた圧力とされる。具体的には、調圧バルブ5からのドレイン油圧が低圧回路2で必要とする圧力となる調圧レベルを設定するように第三の信号圧P3 の圧力が決められる。
したがって、この場合は、切替バルブ9は、その信号圧ポート15に供給される第三の信号圧P3 が上記の最小圧力Pclose より十分に低圧であることにより開弁状態になり、かつ油路4での作動油圧がアキュムレータ圧Paより低くなるので、アキュムレータ8に蓄えられている油圧が、切替バルブ9およびバイパス油路17を介して制御回路1に供給される。そのため、調圧バルブ5で調圧された作動油圧はかなり低圧になるが、調圧に伴うドレイン油圧が低圧回路2で必要とする圧力以上となるように調圧バルブ5の調圧レベルが第三の信号圧P3 によって設定され、作動油圧はその調圧レベルに応じた圧力になる。すなわち、この場合も、信号圧発生用バルブ6で発生させた信号圧によって、作動油圧の調圧が行われると同時に、アキュムレータ8に蓄えた油圧を使用する制御が実行される。
上述した第一ないし第三の信号圧P1 ,P2 ,P3 の相互の関係および切替バルブ9の開閉状態ならびに蓄圧範囲を図に示すと図4のとおりである。図4に示すように、切替バルブ9は、その信号圧ポート15に供給される信号圧が、閉弁状態とするための最小圧力Pclose 以上の圧力であれば、閉弁状態になる。したがって信号圧発生用バルブ6が上述した第一の信号圧P1 を出力することにより、切替バルブ9が閉じてアキュムレータ8が油路4もしくは制御回路1に対して遮断される。その結果、第一の信号圧P1 に応じて調圧された相対的に高い油圧が迅速に発生し、かつ制御回路1に供給される。すなわち、油路4や制御回路1での作動油圧を増大させる際の制御応答性を良好なものにすることができる。また、この状態でも油路4の油圧がバイパス油路17を介してアキュムレータ8に供給され、蓄圧される。
また、信号圧が上述した最小圧力Pclose より低圧であれば、切替バルブ9におけるスプール10がスプリング14に押されて信号圧ポート15側に移動し、入力ポート12と出力ポート13とが連通する。すなわち、切替バルブ9は開弁状態になる。この状態ではアキュムレータ8と油路4もしくは制御回路1とが連通するので、アキュムレータ圧Paや油路4もしくは制御回路1での油圧の高低に応じて蓄圧が行われ、あるいはアキュムレータ8から油圧が出力される。すなわち、信号圧が前述した第二の信号圧P2 に設定されると、油路4あるいは制御回路1での作動油圧がアキュムレータ圧Paより高い圧力になるので、蓄圧が行われる。また、同時にバイパス油路17を介してアキュムレータ8に油圧が供給されて蓄圧される。したがって、上述したバイパス油路17を備えた構成では、油路4の油圧(いわゆるライン圧)がアキュムレータ8の油圧より高ければ、切替バルブ9の開閉の状態に関わらずアキュムレータ8に蓄圧することができ、図4にはその範囲を信号圧の最大値Pmax に到る「アキュムレータ蓄圧範囲」として記載してある。
これに対して第三の信号圧P3 に設定されると、油路4あるいは制御回路1での作動油圧がアキュムレータ圧Paより低圧になるので、アキュムレータ8から油圧が、切替バルブ9およびバイパス油路17を介して油路4もしくは制御回路1に供給される。言い換えれば、アキュムレータ8が制御回路1に対する油圧源として機能する。また同時に、低圧回路2での必要油圧が調圧バルブ5から低圧回路2に供給される。
この発明に係る上記の油圧制御装置では、上述したように、信号圧発生用バルブ6から出力される信号圧によって、油路4または制御回路1での作動油圧が設定され、それと併せてアキュムレータ8を制御回路1に連通もしくは遮断する制御が実行される。したがって、信号圧発生用バルブ6は、作動油圧の調圧のための制御とアキュムレータ8の制御回路1に対する連通・遮断の切り替え制御とを同時並行的に実行する制御手段となっていて、信号圧発生用バルブ6が、同時並行的に実行される制御で共用されている。そのため、この発明に係る油圧制御装置では、構成部品の共用化、特に同時並行的に実行される制御での必要部品の共用化を図り、それに伴って必要部品の数を少なくして低コスト化を図ることができ、また装置の全体としての構成を小型化することが可能になる。また、切替バルブ9を経由するアキュムレータ8への油圧の供給および蓄圧は、切替バルブ9を開弁状態に設定する場合に限られるが、バイパス油路17は圧油の流量を制限するものの油路4をアキュムレータ8に常時連通させるので、油路4の油圧がアキュムレータ8の油圧より高ければ、バイパス油路17を介して常時蓄圧を行うことができる。したがって、アキュムレータ8の使用範囲あるいは使用する機会を増大させることができる。
上述したようにこの発明に係る油圧制御装置は、切替バルブ9の開閉の状態に関わらず、アキュムレータ8を油路4もしくは制御回路1に、流路断面積を絞って常時連通させるバイパス油路17を備えている。そのバイパス油路17は、図1に示す構成に限られないのであって、例えば図5の(a)および(b)に示すように、切替バルブ9の内部に設けてもよい。その構成を説明すると、切替バルブ9におけるスプール10には、下降位置で入力ポート12を開き、上昇位置で入力ポート12を閉じるランド部10Aが設けられており、その外周面に、軸線方向に沿って形成された溝部10Bを備えている。
この溝部10Bは、ランド部10Aの図5における上側のフェースからランド部10Aの軸線方向での中間部に到るように形成され、その長さは、スプール10(すなわちランド部10A)が閉弁位置に上昇した場合であっても、入力ポート12に対して連通する長さに設定されている。また、その溝部10Bの断面積(すなわち最小開孔径)あるいはスプール10が閉弁位置に上昇している状態で溝部10Bが入力ポート12に対して開口する面積は、開弁状態の切替バルブ9を経由して油路4とアキュムレータ8とを連通させる経路における最小開孔径より小さく設定されている。したがって、この溝部10Bがバイパス油路17を構成している。
図6は、上記の図5に示す構成を採用した場合のスプール10のストローク量と、油路4からアキュムレータ8に到る経路の開口面積との関係を示している。この図6は開弁状態にあるスプール10のストローク量を「0」としており、この状態からスプール10が次第にストローク(上昇)すると(閉弁方向にストロークすると)、ランド部10Aが入力ポート12を次第に塞ぐので、開口面積が徐々に減少する。そして、ランド部10Aが入力ポート12の開口端を完全に覆った状態になると、溝部10B(バイパス油路17)によって入力ポート12と出力ポート13とが連通した状態になる。その場合、溝部10Bのうち入力ポート12に対して開口している部分の長さが長いので、その長さと溝部10Bの幅とを掛けた面積が開口面積となる。スプール10が更に上昇すると、入力ポート12に対して開口する溝部10Bの長さが短くなるので開口面積が減少し、最終的には溝部10Bが僅かに入力ポート12に対して開口し、その開孔径(開口面積)は、前述したオリフィス19の開孔径程度に小さくなる。したがって、バイパス油路17を図5に示すように構成した場合であっても、アキュムレータ8の使用範囲を増大させることができるとともに、高い油圧あるいは多量の油圧が制御回路1で要求される場合の制御応答性を良好なものにすることができる。
ところで流路断面積が絞られた上記のバイパス油路17を備えた構成では、アキュムレータ8から制御回路1に対して油圧を供給する場合にもその流量が制限される。そのような制限を解消もしくは緩和するためには、図7に示すように、アキュムレータ8と油路4もしくは制御回路1との間に、前述したオリフィス19と並列に、逆止弁50を設ければよい。その逆止弁50は、アキュムレータ8の油圧が油路4の油圧もしくは制御回路1の油圧より高い場合に開き、これとは反対にアキュムレータ8の油圧が油路4もしくは制御回路1の油圧に対して低い場合に閉じるバルブである。したがって、図7に示す構成では、アキュムレータ8から制御回路1には、オリフィス19を備えたバイパス油路17と、開弁している場合には切替バルブ9とに加えて、逆止弁50を介して油圧が供給される。そのため、アキュムレータ8から制御回路1に対する油圧の供給量を、逆止弁50が設けられている油路の分、増大させて制御回路1での制御応答性を向上させることができる。
なお、この発明は上述した具体例に限定されないのであって、切替バルブはスプールタイプのバルブに替えて他の型式のバルブを用いてもよい。また、前述した逆止弁を採用する場合、バイパス油路はその逆止弁の中に形成してもよい。例えば逆止弁における弁体を貫通させてバイパス油路を設けてもよい。
1…制御回路、 2…低圧回路、 3…オイルポンプ、 4…油路、 5…調圧バルブ、 6…信号圧発生用バルブ、 7…電子制御装置(ECU)、 8…アキュムレータ、 9…切替バルブ、 10…スプール、 12…入力ポート、 13…出力ポート、 15…信号圧ポート、 16…信号圧用連通路、 17…バイパス油路、 18…連通路、 19…オリフィス、 21…逆止弁、 30…無段変速機、 50…逆止弁、 Pt…油圧(必要油圧もしくは要求圧力)、 Pa…アキュムレータ圧、 P1…第一の信号圧、 Pclose …最小圧力(言い換えれば、開弁状態にすることのできる最大圧力)、 P2 …第二の信号圧、 P3 …第三の信号圧。
Claims (9)
- オイルポンプで発生した油圧を制御回路で要求される作動油圧に調圧する調圧バルブと、その調圧バルブによって設定すべき油圧を決める信号圧を前記調圧バルブに供給する信号圧発生用バルブと、前記制御回路に供給するべき作動油圧を蓄えるアキュムレータとを備えた油圧制御装置において、
前記アキュムレータと制御回路との間に設けられ、かつ開閉動作することにより前記アキュムレータを前記制御回路に連通させ、また前記アキュムレータを前記制御回路に対して遮断する切替バルブと、
前記信号圧発生用バルブで発生された前記信号圧を前記切替バルブの信号圧ポートに供給し、その信号圧に応じて前記切替バルブを開閉動作させる信号圧用連通路と、
前記切替バルブが前記アキュムレータを前記制御回路に対して遮断するように動作している状態で前記アキュムレータを前記制御回路に連通させるバイパス油路と
を備え、
そのバイパス油路の最小開孔径が前記切替バルブが前記アキュムレータを前記制御回路に連通させている状態における前記アキュムレータと前記制御回路との間の前記切替バルブを経由する油路の最小開孔径より小さく設定されている
ことを特徴とする油圧制御装置。 - 前記バイパス油路は、前記アキュムレータと前記制御回路とを連通させる連通路と、その連通路の途中に設けられて前記バイパス油路の前記最小開孔径を設定しているオリフィスとを含むことを特徴とする請求項1に記載の油圧制御装置。
- 前記切替バルブは、前記制御回路に連通された第一ポートと、前記アキュムレータに連通された第二ポートと、閉弁位置で前記第一ポートと第二ポートとのいずれか一方を遮断しかつ開弁位置で前記第一ポートと前記第二ポートとを連通させる弁体とを有し、
前記バイパス油路は、前記弁体が閉弁位置にある状態で前記第一ポートと第二ポートとを連通させるように前記弁体に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の油圧制御装置。 - 前記アキュムレータと前記制御回路との間に前記バイパス油路に対して並列に設けられ、かつ前記アキュムレータから前記制御回路に向けた油圧の供給を許容するとともに前記制御回路から前記アキュムレータに向けた油圧の供給を遮断する逆止弁を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の油圧制御装置。
- 前記切替バルブは、前記制御回路における作動油圧を高くする前記信号圧を前記信号圧発生用バルブが発生している場合にその信号圧によって閉動作して前記アキュムレータを前記制御回路に対して遮断し、かつ前記制御回路における作動油圧を低くする前記信号圧を前記信号圧発生用バルブが発生している場合にその信号圧によって開動作して前記アキュムレータを前記制御回路に対して連通させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の油圧制御装置。
- 前記制御回路で必要とする前記作動油圧についての要求圧力が前記アキュムレータの油圧より高い場合に、前記要求圧力を前記調圧バルブが発生しかつ前記切替バルブを閉弁動作させて前記アキュムレータを前記制御回路から遮断する第一の信号圧を前記信号圧発生用バルブから出力させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の油圧制御装置。
- 前記制御回路で必要とする前記作動油圧についての要求圧力が前記アキュムレータの油圧以下の場合に、前記アキュムレータの油圧以下の要求圧力を前記調圧バルブが発生しかつ前記切替バルブを開弁動作させて前記アキュムレータを前記制御回路に連通させる信号圧を前記信号圧発生用バルブから出力させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の油圧制御装置。
- 前記信号圧は、前記要求圧力が前記アキュムレータの油圧以下でかつ前記アキュムレータの圧力が蓄圧を行うべき予め定めた圧力に低下している場合に、前記調圧バルブが前記アキュムレータの油圧より高い油圧を発生しかつ前記切替バルブを開弁状態にする圧力の第二の信号圧を含むことを特徴とする請求項7に記載の油圧制御装置。
- 前記信号圧は、前記要求圧力が前記アキュムレータの油圧以下でかつ前記アキュムレータの圧力が蓄圧を行うべき予め定めた範囲の圧力以上の場合に、前記調圧バルブが前記アキュムレータの油圧以下の油圧を発生しかつ前記切替バルブを開弁状態にする圧力の第三の信号圧を含むことを特徴とする請求項7または8に記載の油圧制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2012236930A JP2014085005A (ja) | 2012-10-26 | 2012-10-26 | 油圧制御装置 |
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Cited By (1)
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JP2017003095A (ja) * | 2015-06-16 | 2017-01-05 | 日本精工株式会社 | トロイダル型無段変速機 |
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2012
- 2012-10-26 JP JP2012236930A patent/JP2014085005A/ja active Pending
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