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JP2013234896A - ガスセンサ素子およびガスセンサ - Google Patents

ガスセンサ素子およびガスセンサ Download PDF

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Nobuo Furuta
暢雄 古田
Ai Igarashi
愛 五十嵐
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Abstract

【課題】 低温期間において保護層に水が付着した場合であっても、多孔質部(拡散律速部)の目詰まりを抑制するガスセンサ素子およびガスセンサを提供する。
【解決手段】 空燃比センサ1におけるガスセンサ素子7は、保護層17と拡散律速部95との間に空間部18が存在しており、保護層17が拡散律速部95から離間して形成されるため、保護層17と拡散律速部95とが接しておらず、いわゆる毛細管現象によって保護層17から拡散律速部95に対して水が浸透することを抑制できる。よって、ガスセンサ素子7によれば、低温期間に保護層17に水が付着した場合であっても、保護層17を介して拡散律速部95に水が浸透するのを抑制できるため、拡散律速部95の目詰まりを抑制できる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、測定対象ガスに含まれる特定ガスを検出するガスセンサ素子、およびそのようなガスセンサ素子を備えるガスセンサに関する。
従来、測定対象ガスに含まれる特定ガスを検出するガスセンサ素子を備えるガスセンサの一例としては、内燃機関の排気系に設置されて、排気ガス中の酸素濃度を検出して内燃機関の燃焼制御に利用される酸素センサが知られている。この酸素センサは、例えば、筒状の主体金具と、その主体金具に保持された板状のガスセンサ素子を有している。
ガスセンサ素子は、測定対象ガスが導入される測定室を有する素子本体部を備える。そして、素子本体部は、導入部から測定室に至る測定対象ガスの導入経路に配置されて測定室に導入される測定対象ガスの拡散を律速する多孔質部(拡散律速部)と、測定室に面して特定ガスを検知するガス検知部と、を備えている。
ところで、一般に自動車エンジン等の内燃機関に使用される燃料やエンジンオイル中にはリンやシリコンを含むものが存在している。このような燃料やエンジンオイルを使用すると、このリンやシリコンが多孔質部(拡散律速部)の表面に付着して多孔質部(拡散律速部)の孔を塞いでしまい、多孔質部(拡散律速部)が目詰まりを起こしてしまう問題がある。その問題が生じると、多孔質部(拡散律速部)の拡散抵抗が変化してしまい、ガスセンサの空燃比の検出の精度が低下する虞がある。
そこで、この多孔質部(拡散律速部)の目詰まりの発生に対しては、例えば、多孔質部(拡散律速部)と外部との間にリンやシリコンからの被毒を防止する多孔質の保護層を備えることが知られている(特許文献1)。
つまり、特許文献1に記載のガスセンサ素子においては、保護層(多孔質部30)を備えてリンやシリコンが多孔質部(拡散律速部115)に到達するのを抑制することで、多孔質部(拡散律速部115)での目詰まりの発生を抑制できる。これにより、多孔質部(拡散律速部)の拡散抵抗の変化を抑制し、ガスセンサの空燃比の検出の精度が低下するのを抑制することができる。
特開2007−139749号公報
しかし、上記のように、多孔質部(拡散律速部)が保護層に接する構成のガスセンサ素子においては、常温時に保護層に水が付着すると、いわゆる毛細管現象によって保護層を介して多孔質部(拡散律速部)まで水が浸透してしまい、その後に水が蒸発して析出した成分によって多孔質部(拡散律速部)の目詰まりが発生する虞がある。
つまり、多孔質部(拡散律速部)に浸透した水にMgやSiなどの成分が含まれている場合には、ガスセンサ素子が活性化状態(高温状態)となり多孔質部(拡散律速部)に浸透した水が蒸発すると、MgやSiなどの成分が析出して多孔質部(拡散律速部)の目詰まりを誘発する可能性がある。
このような多孔質部(拡散律速部)の目詰まりが発生すると、多孔質部(拡散律速部)の拡散抵抗が変化してしまい、ガスセンサ素子のガス検出精度が低下する虞がある。
なお、ガスセンサ素子が活性化状態(高温状態)であれば、保護層に付着した水は多孔質部(拡散律速部)に到達する前に高温によって蒸発するため、多孔質部(拡散律速部)まで水が浸透することを抑制できる。しかし、内燃機関の始動時からガスセンサ素子が活性化状態となるまでの期間や内燃機関の停止後から次の内燃機関の始動までの期間(以下、低温期間という)には、保護層では水が蒸発しないため、上述のように多孔質部(拡散律速部)まで水が浸透することがある。
そこで、本発明は、低温期間において保護層に水が付着した場合であっても、多孔質部(拡散律速部)の目詰まりを抑制するガスセンサ素子およびガスセンサを提供することを目的とする。
本発明は、長手方向に延びる板形状を有し、測定対象ガスに含まれる特定ガスを検出するガスセンサ素子であって、前記長手方向の先端側に設けられ、測定対象ガスの導入部と、該導入部を介して測定対象ガスが導入される測定室と、を有する素子本体部と、素子本体部の表面に設けられ、少なくとも測定対象ガスの導入部を覆う多孔質材料からなる保護層と、を備える。
素子本体部は、導入部から測定室に至る測定対象ガスの導入経路に配置されて、測定室に導入される測定対象ガスの拡散を律速する多孔質部と、測定室に面して特定ガスを検知するガス検知部と、を備える。
多孔質部は、少なくとも一部が素子本体部の導入部から露出しており、保護層は、多孔質部から離間した状態で導入部を覆う。
このように構成されたガスセンサ素子は、保護層が多孔質部から離間して形成されるため、保護層と多孔質部とが接しておらず、いわゆる毛細管現象によって保護層から多孔質部に対して水が浸透することを抑制できる。
また、多孔質部は、少なくとも一部が素子本体部の導入部から露出しているため、素子本体部の焼成後における多孔質部の拡散律速特性の調整作業が容易となる。つまり、多孔質部の少なくとも一部が導入部から露出している構成は、多孔質部が素子本体部から露出していない構成に比べて、多孔質部のトリミング作業(多孔質部へのトリミング液の塗布作業や多孔質部の削り取り作業など)が容易となる。
よって、本発明によれば、低温期間に保護層に水が付着した場合であっても、保護層を介して多孔質部に水が浸透するのを抑制できるため、多孔質部の目詰まりを抑制できる。また、多孔質部のトリミング作業が容易となるため、用途に応じた適切な拡散律速特性の多孔質部を備えるガスセンサ素子を得ることができる。
なお、保護層は、例えば、多孔質部よりも拡散抵抗が小さい多孔質材料で構成すると良い。
本発明のガスセンサ素子においては、ガス検知部は、一対の電極と固体電解質体とを有するセルを備えており、固体電解質体は、少なくとも前記導入部に隣接する導入部隣接領域にて素子本体部の前記表面に露出しており、保護層は、少なくとも導入部隣接領域の前記固体電解質体と離間した状態で導入部を覆う、という構成を採ることができる。
このような構成のガスセンサ素子は、保護層が導入部隣接領域の前記固体電解質体と離間して形成されるため、保護層に浸透した水が毛細管現象によって固体電解質体の導入部隣接領域に到達しがたくなり、水の付着による熱衝撃によって固体電解質体の導入部隣接領域が破損するのを抑制できる。
本発明のガスセンサ素子においては、導入部は、素子本体部の表面において少なくとも異なる2方向に向けて形成されており、多孔質部は、少なくとも異なる2方向に向けて露出する、という構成を採ることができる。
このように少なくとも異なる2方向に向けて多孔質部が露出する場合、その素子本体部は、異なる2方向から測定対象ガスを導入できるため、1方向のみから測定対象ガスを導入する構成に比べて、測定対象ガスを導入し易い構成となる。
よって、本発明によれば、適切に測定対象ガスを測定室に導入できるため、ガス検出精度の低下を抑制できる。
また、本発明のガスセンサ素子においては、導入部は、素子本体部の表面において少なくとも異なる4方向に向けて形成されており、多孔質部は、少なくとも異なる4方向に向けて露出する、という構成を採ることができる。
このように少なくとも異なる4方向に向けて多孔質部が露出する場合、その素子本体部は、異なる4方向から測定対象ガスを導入できるため、より一層、測定対象ガスを導入し易くなり、測定対象ガスの流通方向が頻繁に変化する環境下であっても、適切に測定対象ガスを測定室に導入することができる。
よって、本発明によれば、様々な環境下でも適切に測定対象ガスを測定室に導入できるため、より一層、ガス検出精度の低下を抑制できる。
本発明のガスセンサ素子においては、保護層は、素子本体部の表面のうち少なくとも導入部および導入部よりも先端側の領域を覆う、という構成を採ることができる。
このように保護層が素子本体部の表面のうち少なくとも「導入部および導入部よりも先端側の領域」を覆う場合には、測定対象ガスに含まれる水が素子本体部のうち「導入部および導入部よりも先端側の領域」に直接付着するのを防止できる。
よって、本発明によれば、水の付着による熱衝撃によって素子本体部が破損するのを抑制できる。
また、本発明は、測定対象ガスに含まれる特定ガスを検出するガスセンサであって、円筒状の主体金具と、この主体金具に保持されるガスセンサ素子と、を備えており、ガスセンサ素子は、上述のいずれかのガスセンサ素子である。
このように、上述のいずれかのガスセンサ素子を備えるガスセンサは、低温期間にガスセンサ素子(詳細には、保護層)に水が付着した場合であっても、保護層を介して多孔質部に水が浸透するのを抑制できるため、多孔質部の目詰まりを抑制することができる。
よって、本発明によれば、多孔質部の目詰まりが生じがたくなり、適切に測定対象ガスを測定室に導入できるため、ガス検出精度の低下を抑制できる。
実施形態の空燃比センサを軸方向に沿って破断した状態を示す断面図である。 ガスセンサ素子を示す斜視図である。 ガスセンサ素子を分解して示す斜視図である。 ガスセンサ素子の図2におけるA−A視端面を表す端面図である。 ガスセンサ素子の母材の製造方法に関する説明図である。 ガスセンサ素子の製造途中段階を示す説明図である。 第2ガスセンサ素子の外観を表す斜視図である。 第2ガスセンサ素子を分解して示す斜視図である。 第2ガスセンサ素子の図7におけるB−B視端面を表す端面図である。 第2ガスセンサ素子の図7におけるC−C視端面のうち素子本体部を表す端面図である。 第3ガスセンサ素子のうち素子本体部の外観を示す説明図である。 第3ガスセンサ素子の図11におけるD−D視端面を表した端面図である。
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
なお、以下に示す実施形態では、ガスセンサの一種である酸素センサのうち全領域空燃比センサ(以下単に、空燃比センサともいう)を例に挙げる。具体的には、自動車や各種内燃機関における空燃比フィードバック制御に使用するために、測定対象となる排ガス中の特定ガス(酸素)を検出するガスセンサ素子(検出素子)が組み付けられるとともに、内燃機関の排気管に装着される空燃比センサを例に挙げて説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.全体構成]
本実施形態のガスセンサ素子が使用される空燃比センサの全体の構成について、図1に基づいて説明する。図1は、空燃比センサの内部構成を表す断面図である。
図1に示す様に、本実施形態における空燃比センサ1は、排気管に固定するためのネジ部3が外表面に形成された筒状の主体金具5と、軸線方向(空燃比センサ1の長手方向:図1の上下方向)に延びる板状形状のガスセンサ素子7と、ガスセンサ素子7の径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ9と、軸線方向に貫通する挿通孔11の内壁面がガスセンサ素子7の後端部の周囲を取り囲む状態で配置される絶縁コンタクト部材13(セパレータ13)と、ガスセンサ素子7とセパレータ13との間に配置される5個(図1には2個のみ図示)の接続端子15と、を備えている。
ガスセンサ素子7は、後に詳述する様に、長手方向に伸びる板状の素子部71と、同じく長手方向に延びる板状のヒータ73と、素子部71およびヒータ73の先端側(図2における下側)を覆う保護層17と、を備える。素子部71およびヒータ73の先端側は、測定対象となるガスに向けられる素子本体部70である。また、ガスセンサ素子7は、後端側(図1の上方:長手方向後端部)の外表面のうち表裏の位置関係となる第1主面21および第2主面23に、電極パッド25,27,29,31,33(詳細は、図2,図3参照)が形成されている。
接続端子15は、ガスセンサ素子7の電極パッド25,27,29,31,33にそれぞれ電気的に接続されるとともに、外部からセンサの内部に配設されるリード線35にも電気的に接続されており、リード線35が接続される外部機器と電極パッド25,27,29,31,33との間に流れる電流の電流経路を形成する。
主体金具5は、軸線方向に貫通する貫通孔37を有し、貫通孔37の径方向内側に突出する棚部39を有する略筒状形状に構成されている。この主体金具5は、ガス導入部94を貫通孔37の先端よりも先端側に配置し、電極パッド25,27,29,31,33を貫通孔37の後端よりも後端側に配置する状態で、貫通孔37に挿通されたガスセンサ素子7を保持するよう構成されている。
また、主体金具5の貫通孔37の内部には、ガスセンサ素子7の径方向周囲を取り囲む状態で、環状形状のセラミックホルダ41、滑石リング43、滑石リング45、及び上述のセラミックスリーブ9が、この順に先端側から後端側にかけて積層されている。
このセラミックスリーブ9と主体金具5の後端部47との間には、加締パッキン49が配置され、一方、セラミックホルダ41と主体金具5の棚部39との間には、滑石リング43やセラミックホルダ41を保持するための金属ホルダ51が配置されている。なお、主体金具5の後端部47は、加締パッキン49を介してセラミックスリーブ9を先端側に押し付けるように、加締められている。
更に、主体金具5の先端部53の外周には、ガスセンサ素子7の突出部分を覆う金属製(例えば、ステンレスなど)の二重構造とされたプロテクタ55が溶接等によって取り付けられている。
一方、主体金具5の後端側外周には、外筒57が固定されている。また、外筒57の後端側の開口部には、各電極パッド25,27,29,31,33とそれぞれ電気的に接続される5本のリード線35(図1では3本が図示)が挿通されるリード線挿通孔59が形成されたグロメット61が配置されている。
なお、セパレータ13の外周には、突出部63が形成されており、突出部63は、保持部材65を介して外筒57に固定されている。
[1−2.ガスセンサ素子の構成]
次に、本実施形態の要部であるガスセンサ素子7の構成について、図2〜図4に基づいて詳細に説明する。
図2は、ガスセンサ素子7の外観を表す斜視図である。
図2に示す様に、ガスセンサ素子7は、長手方向(Y軸方向)に延びる長尺の板材である。なお、図2において、長手方向がガスセンサの軸線方向に沿う形態となる。また図2のZ軸方向は、長手方向に垂直な積層方向であり、X軸方向は、長手方向及び積層方向に垂直な幅方向である。
このガスセンサ素子7は、長手方向に伸びる板状の素子部71と、同じく長手方向に延びる板状のヒータ73と、素子部71およびヒータ73の先端側を覆う保護層17と、を備える。素子部71およびヒータ73の先端側(図2における下側)は、測定対象となるガスに向けられる素子本体部70である。
図3に、ガスセンサ素子7を分解した斜視図を示す。なお、図3では、保護層17の図示を省略している。
ガスセンサ素子7は、図3に分解して示す様に、積層方向の一方の側(図3の上側)に配置されて、長手方向に伸びる板状の素子部71と、素子部71の反対側(裏側)に配置されて、同じく長手方向に延びる板状のヒータ73と、を備える。
このうち、素子部71は、固体電解質体75の両側に多孔質電極77、79を形成した酸素濃淡電池セル81と、同じく固体電解質体83の両側に多孔質電極85、87を形成した酸素ポンプセル89と、これらの両セル81、89の間に積層され、中空のガス測定室91(ガス検出室91)を形成するための絶縁スペーサ93と、を備えて構成される。なお、固体電解質体75,83は、イットリアを安定化剤として固溶させたジルコニアから形成され、多孔質電極77,79,85,87は、Ptを主体に形成される。
また、ガス測定室91を形成する絶縁スペーサ93は、アルミナを主体に構成されており、中空のガス測定室91の内側には、酸素濃淡電池セル81の一方の多孔質電極77と、酸素ポンプセル89の一方の多孔質電極87が露出するように配置されている。
素子部71の側面(絶縁スペーサ93の側面)には、排ガス(測定対象ガス)の取り込み口となる2つのガス導入部94が形成されており、ガス導入部94は、ガス測定室91に連通している。2つのガス導入部94からガス測定室91までの各経路には、拡散律速部95が形成されている。拡散律速部95は、例えば、アルミナ等からなる多孔質体で構成されており、測定対象ガスがガス測定室91へ流入する際の律速を行う。拡散律速部95は、その一部がガス導入部94から露出する状態で備えられている。
つまり、このガスセンサ素子7においては、ガス導入部94は、素子本体部70の最外面において異なる2方向に向けて形成されており、拡散律速部95は、異なる2方向に向けて露出している。
更に、素子部71の第1主面21側(図3上方)にはアルミナを主体とする絶縁基板97が積層されており、この絶縁基板97には、拡散律速部95と同様に、多孔質体で構成された通気部99が形成されている。この通気部99は、酸素ポンプセル89の駆動により移動する酸素を通過させるために使用される。
なお、ガス測定室91は、素子部71のうち先端側の素子本体部70(図3における左側)に位置するように形成されており、このガス測定室91に面する酸素濃淡電池セル81,酸素ポンプセル89は、酸素を検知するためのガス検知部として備えられる。
一方、ヒータ73は、アルミナを主体とする絶縁基板101、103の間に、Ptを主体とする発熱抵抗体パターン105が挟み込まれて形成されている。
このようなガスセンサ素子7では、第1主面21の後端側(図3における右側)に3個の電極パッド27〜29が形成され、第2主面23の後端側に2個の電極パッド31、33が形成されている。
このうち、第1主面21の1つの電極パッド29(図2の右側電極パッド)は、図3に示すように、絶縁基板97に設けられるスルーホール161、固体電解質体83に設けられるスルーホール165、絶縁スペーサ93に設けられるスルーホール171を介して、ガス測定室91の内側に露出する酸素濃淡電池セル81の一方の多孔質電極77に電気的に接続される。また、この電極パッド29は、絶縁基板97に設けられるスルーホール161、固体電解質体83に設けられるスルーホール165を介して、ガス測定室91の内側に露出する酸素ポンプセル89の一方の多孔質電極87にも電気的に接続される。よって、多孔質電極77と多孔質電極87とは、共用する形で電気的に接続される。
また、他の電極パッド27(図2の中央電極パッド)は、図3に示すように、絶縁基板97に設けられるスルーホール162、固体電解質体83に設けられるスルーホール166、絶縁スペーサ93に設けられるスルーホール172、固体電解質体75に設けられるスルーホール176を介して、酸素濃淡電池セル81の他方の多孔質電極79と電気的に接続される。更に他の電極パッド25(図2の左側電極パッド)は、図3に示すように、絶縁基板97に設けられるスルーホール163を介して、酸素ポンプセル89の他方の多孔質電極85と電気的に接続されている。
また、電極パッド31、33は、図3に示すように、絶縁基板103に設けられたスルーホール181,182を介して、発熱抵抗体パターン105の両端に、各々電気的に接続されている。
上述した構成のガスセンサ素子7は、長尺の略直方体形状の板材であるので、その径方向の外周側の角部には、その長手方向(図2のY方向)に沿って伸びる4つの辺(長手稜線)H1、H2、H3、H4を備えている。
詳しくは、ガスセンサ素子7は、ガスセンサ素子7の長手方向に沿って延びる4つの外周壁として、第1主面21および第2主面23と、第1主面21および第2主面23に連接された第1側面111および第2側面113と、を備えている。また、第1主面21と第1側面111との間の稜線である第1辺H1と、第1主面21と第2側面113との間の稜線である第2辺H2と、第2主面23と第2側面113との間の稜線である第3辺H3と、第2主面23と第1側面111との間の稜線である第4辺H4とを備えている。
第1辺H1,第2辺H2,第3辺H3,第4辺H4には、それぞれC面取り量0.2mmのC面取りが施されて形成された第1長辺面取り部121,第2長辺面取り部123,第3長辺面取り部,第4長辺面取り部が設けられている。なお、図2では、第3長辺面取り部および第4長辺面取り部が現れないため、これらについての符号による図示は省略している。
ガスセンサ素子7の後端側(図2の上方)は、その中央に(長手方向と垂直な)後端面129を残す様にして、後端面129の周囲の四方の稜線に対してC面取りを施すことで、後端側C面取り部131が形成されている。
さらに、本実施形態では、ガスセンサ素子7の第1側面111と第2側面113を覆う様に、ガラス製の第1側面被覆部133および第2側面被覆部135が形成されている。詳しくは、ガスセンサ素子7のうち、素子部71およびヒータ73における幅方向の両側面(即ち、固体電解質体75、83の側方の端面が露出する部分)の一部を覆う様に、第1側面被覆部133および第2側面被覆部135が形成されている。
次に、ガスセンサ素子7のうち素子本体部70の内部構成について説明する。
図4に、ガスセンサ素子7の図2におけるA−A視端面を表す端面図を示す。
図4に示すように、ガスセンサ素子7の素子本体部70は、排ガス(測定対象ガス)が導入されるガス測定室91を有しており、素子本体部70の表面に設けられたガス導入部94から排ガスを導入し、その排ガスを拡散律速部95を介してガス測定室91に取り込むように構成されている。このうち拡散律速部95は、少なくとも一部が素子本体部70のガス導入部94から露出する状態で備えられる。
保護層17は、多孔質状のアルミナで構成されており、拡散律速部95から離間した状態でガス導入部94を覆うように形成されている。具体的には、保護層17は、素子本体部70に対向する内面のうちガス導入部94に対向する部分に、空間部18を備えている。これにより、保護層17と拡散律速部95との間に空間部18が存在することになり、保護層17と拡散律速部95とは互いに離間した状態となる。
このような構成のガスセンサ素子7は、排ガス(測定対象ガス)が保護層17および空間部18を介してガス導入部94に到達したあと、その排ガスが拡散律速部95を介してガス測定室91に導入されるよう構成されている。
ガスセンサ素子7は、保護層17と拡散律速部95とが互いに離間した状態で構成されるため、保護層17に水が付着した場合に、いわゆる毛細管現象によって保護層17から拡散律速部95に対して水が浸透することを抑制できる。
なお、保護層17は、拡散律速部95よりも拡散抵抗が小さい多孔質材料で構成されている。
また、保護層17は、素子本体部70の表面のうち少なくとも「ガス導入部94およびガス導入部94よりも先端側の領域」を覆う、という構成である。より詳しくは、保護層17は、素子本体部70の最外面のうち「ガス測定室91の形成領域、ガス導入部94およびガス導入部94よりも先端側の領域」を覆うように形成されている。
[1−3.ガスセンサの製造方法]
本実施形態の空燃比センサ1の製造方法について、図5〜図6に基づいて説明する。
図5は、ガスセンサ素子の母材の製造方法に関する説明図であり、図6は、ガスセンサ素子の製造途中段階を示す説明図である。
ガスセンサ素子7を製造する場合、まず、ガスセンサ素子7の材料となる各種積層材料、即ち、素子部71の固体電解質体75、83となる未焼成固体電解質シートや、ヒータ73などの絶縁基板97、101、103となる未焼成絶縁シートなどを積層状態とし、未圧着積層体を得る。なお、この未圧着積層体には、電極パッド25,27,29,31,33となる未焼成電極パッドなどが形成されている。
これらのうち、例えば、未焼成固体電解質シートを形成する場合、まず、ジルコニアを主体とするセラミック粉末に対して、アルミナ粉末やブチラール樹脂などを加えて、さらに混合溶媒(トルエン及びメチルエチルケトン)を混合して、スラリーを生成する。そして、このスラリーをドクターブレード法によりシート状とし、混合溶媒を揮発させることで未焼成固体電解質シートが作製される。
また、未焼成絶縁シートを形成する場合、まず、アルミナを主体とするセラミック粉末に対して、ブチラール樹脂とジブチルフタレートとを加えて、更に混合溶媒(トルエン及びメチルエチルケトン)を混合して、スラリーを生成する。そして、このスラリーをドクターブレード法によりシート状とし、混合溶媒を揮発させることで未焼成絶縁シートが作製される。
さらに、未焼成の拡散律速部を形成する場合、まず、アルミナ粉末100質量%及び可塑剤を湿式混合により分散したスラリーを生成する。可塑剤はブチラール樹脂及びDBPからなる。このスラリーを用い、焼成後に拡散律速部95や通気部99となる部位に、未焼成の拡散律速部を形成する。
そして、この未圧着積層体を1MPaで加圧することにより、図5に示す様な圧着された成形体141を得る。なお、加圧前の未圧着積層体を得るまでの製造方法については、一般的なガスセンサ素子の製造方法と同様であるため詳細な説明は省略する。
そして、加圧により得られた成形体141を、所定の大きさで切断することにより、ガスセンサ素子7の素子部71およびヒータ73と大きさが略一致する複数(例えば10個)の未焼成積層体を得る。
その後、この未焼成積層体を樹脂抜きし、さらに焼成温度1500℃にて、1時間で本焼成して、図6に示す様な焼成積層体143を得る。この焼成積層体143が、ガスセンサ素子7の素子部71およびヒータ73である。
このようにして焼成積層体143を得た後、拡散律速部95の拡散抵抗(拡散律速特性)を所定の目標値となるように調整するためのトリミング作業を行う。トリミング作業としては、具体的には、多孔質部へのトリミング液の塗布作業や多孔質部の削り取り作業などを行う。
次に、この焼成積層体143の長手方向に伸びる4辺(第1辺H1,第2辺H2,第3辺H3,第4辺H4)に対して面取りを行い、第1長辺面取り部121,第2長辺面取り部123,第3長辺面取り部,第4長辺面取り部を形成する(図2参照)。具体的には、焼成積層体143の長手方向に伸びる4辺(第1辺H1,第2辺H2,第3辺H3,第4辺H4)を回転砥石に当接して、周知のC面取りを行う。
このあと、焼成積層体143の側面に、第1側面被覆部133および第2側面被覆部135を形成する。具体的には、CaO−Al23−SiO2 からなるガラス材料に、バインダ及び溶剤等を加えて絶縁ペーストを作成し、この絶縁ペーストを、C面取り後の焼成積層体143の側面に塗布する。
その後、絶縁ペーストを塗布したC面取り後の焼成積層体143を、ガラスの軟化点(例えば950℃)以上かつ焼成温度以下の1050℃で加熱して焼き付けする。これにより、C面取り後の焼成積層体143の側面に、第1側面被覆部133および第2側面被覆部135を形成した積層体が得られる。
このようにして焼成積層体143を得た後、この焼成積層体143の先端側の周囲に、焼成後に空間部18を有する保護層17(図2,図4参照)となる未焼成保護層を形成する。
具体的には、まず、拡散律速部95が露出するガス導入部94を覆うように、カーボンを主体とするペーストを印刷する。つまり、焼成後に空間部18となる部位に対して、カーボンを主体とするペーストを印刷する。
そのあと、スピネル粉末とチタニアと残部がアルミナゾルで作成されたスラリーを作製し、そのスラリーを用いて、未焼成保護層を焼成積層体143の先端側に全周に渡って形成する。このときの形成手段としては、スプレーや塗布等を用いる。
その後、この未焼成保護層が形成された焼成積層体143を、焼成温度1000℃、焼成時間3時間で熱処理を行い、カーボンが揮発することで、空間部18を有する保護層17が形成されたガスセンサ素子7を得る。
このようにしてガスセンサ素子7を得た後、ガスセンサ素子7を主体金具5に組み付ける組付工程を行う。
即ち、この工程では、上記製造方法で作製されたガスセンサ素子7を金属ホルダ51に挿入し、さらにガスセンサ素子7をセラミックホルダ41、滑石リング43で固定し、組み立て体を作製する。その後、この組み立て体を主体金具5に固定し、ガスセンサ素子7の軸線方向後端部側を滑石リング45、セラミックスリーブ9に挿通させつつ、これらを主体金具5に挿入する。
そして、主体金具5の後端部47にてセラミックスリーブ9を加締め、下部組立体を作製する。なお、下部組立体には、あらかじめプロテクタ55が取付けられている。
一方、外筒57、セパレータ13、グロメット61などを組みつけ、上部組立体を作製する。そして、下部組立体と上部組立体と接合し、空燃比センサ1を得る。
[1−4.効果]
以上説明したように、本実施形態の空燃比センサ1におけるガスセンサ素子7は、保護層17と拡散律速部95との間に空間部18が存在しており、保護層17が拡散律速部95から離間して形成されるため、保護層17と拡散律速部95とが接しておらず、いわゆる毛細管現象によって保護層17から拡散律速部95に対して水が浸透することを抑制できる。
また、拡散律速部95は、少なくとも一部が素子本体部70のガス導入部94から露出しているため、素子本体部70の焼成後における拡散律速部95の拡散律速特性の調整作業が容易となる。つまり、拡散律速部95の少なくとも一部がガス導入部94から露出している構成は、拡散律速部95が素子本体部70から露出していない構成に比べて、拡散律速部95のトリミング作業(拡散律速部95へのトリミング液の塗布作業や多孔質部の削り取り作業など)が容易となる。
よって、本実施形態のガスセンサ素子7によれば、低温期間に保護層17に水が付着した場合であっても、保護層17を介して拡散律速部95に水が浸透するのを抑制できるため、拡散律速部95の目詰まりを抑制できる。また、拡散律速部95のトリミング作業が容易となるため、用途に応じた適切な拡散律速特性の拡散律速部95を備えるガスセンサ素子を得ることができる。
また、保護層17は、拡散律速部95よりも拡散抵抗が小さい多孔質材料で構成されている。これにより、排ガス(測定対象ガス)のガス測定室91への導入量が、保護層17によって制限されるのを抑制できる。
本実施形態のガスセンサ素子7は、ガス導入部94が素子本体部70の表面において少なくとも異なる2方向に向けて形成されており、拡散律速部95が少なくとも異なる2方向に向けて露出する、という構成である。
このように少なくとも異なる2方向に向けて拡散律速部95が露出する場合、その素子本体部70は、排ガス(測定対象ガス)を異なる2方向から導入できるため、1方向のみから排ガス(測定対象ガス)を導入する構成に比べて、排ガス(測定対象ガス)を導入し易い構成となる。
よって、本実施形態のガスセンサ素子7によれば、適切に排ガス(測定対象ガス)をガス測定室91に導入できるため、ガス検出精度の低下を抑制できる。
本実施形態のガスセンサ素子7は、保護層17が、素子本体部70の表面のうち「ガス導入部94およびガス導入部94よりも先端側の領域」を覆う、という構成である。
このように保護層17が素子本体部70の最外面のうち「ガス導入部94およびガス導入部94よりも先端側の領域」を覆う場合には、排ガス(測定対象ガス)に含まれる水が素子本体部70のうち「ガス導入部94およびガス導入部94よりも先端側の領域」に直接付着するのを防止できる。
よって、本実施形態によれば、水の付着による熱衝撃によって素子本体部70が破損するのを抑制できる。
また、本実施形態の空燃比センサ1は、低温期間にガスセンサ素子7(詳細には、保護層17)に水が付着した場合であっても、保護層17を介して拡散律速部95に水が浸透するのを抑制できるため、拡散律速部95の目詰まりを抑制することができる。
よって、本実施形態の空燃比センサ1によれば、拡散律速部95の目詰まりが生じがたくなり、適切に測定対象ガスをガス測定室91に導入できるため、ガス検出精度の低下を抑制できる。
[1−5.特許請求の範囲との対応関係]
ここで、特許請求の範囲と本実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
ガス導入部94が導入部の一例に相当し、ガス測定室91が測定室の一例に相当し、拡散律速部95が多孔質部の一例に相当し、酸素濃淡電池セル81および酸素ポンプセル89がガス検知部の一例に相当する。
[2.第2実施形態]
第2実施形態として、4方向から測定対象ガスを取り入れる拡散律速部を有する第2ガスセンサ素子204を備えて構成される空燃比センサについて説明する。
第2実施形態の空燃比センサは、第1実施形態の空燃比センサ1におけるガスセンサ素子7を第2ガスセンサ素子204に置き換えて構成される。
なお、以下の説明では、第2実施形態の構成のうち第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同一を付して説明を省略し、第2実施形態の構成のうち第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図7は、第2ガスセンサ素子204の外観を表す斜視図である。なお、図7では、保護層330の内部構成を点線で表している。
図8は、第2ガスセンサ素子204を分解して示す斜視図である。なお、下記説明の関係上、図8では、保護層330の図示を省略している。
図9は、第2ガスセンサ素子204の図7におけるB−B視端面を表す端面図であり、図10は、第2ガスセンサ素子204の図7におけるC−C視端面のうち素子本体部501を表す端面図である。
第2ガスセンサ素子204は、図7に示すように、軸線方向(図7の左右方向)に延びる板状形状の酸素ポンプセル500と、同じく軸線方向に延びる板状形状のヒータ400と、酸素ポンプセル500およびヒータ400の先端側(図7の左方:長手方向先端部)を覆う保護層330と、を備えている。酸素ポンプセル500およびヒータ400の先端側は、測定対象となるガスに向けられる素子本体部501である。
素子本体部501は、排ガス(測定対象ガス)を導入するためのガス導入部322(図9、10参照)を備える。素子本体部501は、その内部に、ガス導入部322を介して排ガスが導入されるガス測定室316(図9,図10参照)を備えている。
第2ガスセンサ素子204は、図8に示すように、遮蔽層312,拡散律速部315,酸素ポンプセル500,絶縁層307,ヒータ400が積層されて構成されている。
ヒータ400は、アルミナを主体とする第1基体301および第2基体303と、第1基体301と第2基体303とに挟まれた白金を主体とする発熱体302と、を有している。発熱体302は、先端側に位置する発熱部302aと、発熱部302aから第1基体301の長手方向に沿って延びる一対のヒータリード部302bと、を有している。そして、ヒータリード部302bの端末は、第1基体301に設けられるヒータ側スルーホール301aを介して電極端子部320と電気的に接続している。
酸素ポンプセル500は、第1固体電解質体309と、その第1固体電解質体309の両面に形成された第1電極308,第2電極310と、を備えて形成されている。第1電極308は、第1電極部308aと、この第1電極部308aから第1固体電解質体309の長手方向に沿って延びる第1リード部308bと、を備えて形成されている。第2電極310は、第2電極部310aと、この第2電極部310aから第1固体電解質体309の長手方向に沿って延びる第2リード部310bと、を備えて形成されている。そして、第1リード部308bの端末は、第1固体電解質体309に設けられる第1スルーホール309aを介して電極端子部321と電気的に接続する。
第1固体電解質体309は、ジルコニア(ZrO2 )に安定化剤としてイットリア(Y23)又はカルシア(CaO)を添加してなる部分安定化ジルコニア焼結体から構成されている。
発熱体302、第1電極308、第2電極310、電極端子部320および電極端子部321は、白金族元素で形成することができる。これらを形成する好適な白金族元素としては、Pt、Rh、Pd等を挙げることができ、これらはその一種を単独で使用することもできるし、又二種以上を併用することもできる。
そして、ヒータ400と酸素ポンプセル500との間に、絶縁層307が形成されている。絶縁層307は、絶縁部307aと大気導入部307bとからなる。この大気導入部307bは、絶縁層307の後端側で外部と連通している。絶縁層307は、絶縁性を有するセラミック焼結体であれば特に限定されなく、例えば、アルミナやムライト等の酸化物系セラミックを挙げることができる。
また、第1固体電解質体309の表面には、第2電極310の第2電極部310aを覆うにしてガス測定室316(図9,図10参照)が設けてあり、ガス測定室316は、拡散律速部315により覆われている。さらに、拡散律速部315の表面のうち第1固体電解質体309とは反対側の面には遮蔽層312が積層されている。
拡散律速部315は、アルミナからなる多孔質体であり、遮蔽層312および第1固体電解質体309には接しない4つの側面が外部に露出している。拡散律速部315におけるこの露出部分が、第2ガスセンサ素子204の素子本体部501のうち排ガス(測定対象ガス)を導入するためのガス導入部322となる。
つまり、第2ガスセンサ素子204の素子本体部501におけるガス導入部322は、異なる4方向に向けて形成されている。
素子本体部501のうち遮蔽層312やガス導入部322(拡散律速部315)の外側には、多孔質状のアルミナで形成された保護層330が設けられている。
保護層330は、拡散律速部315から離間した状態でガス導入部322を覆うように形成されている。具体的には、保護層330は、素子本体部501に対向する内面のうちガス導入部322に対向する部分に、空間部323を備えている。これにより、保護層330と拡散律速部315との間に空間部323が存在することになり、保護層330と拡散律速部315とは互いに離間した状態となる。
つまり、第2ガスセンサ素子204は、排ガス(測定対象ガス)が保護層330および空間部323を介してガス導入部322に到達した後、その排ガスが拡散律速部315を介してガス測定室316に導入されるよう構成されている。
また、第2ガスセンサ素子204は、保護層330と拡散律速部315との間に空間部323が存在しており、保護層330と拡散律速部315とが互いに離間した状態で構成されるため、保護層330に水が付着した場合に、いわゆる毛細管現象によって保護層330から拡散律速部315に対して水が浸透することを抑制できる。
なお、保護層330は、拡散律速部315よりも拡散抵抗が小さい多孔質材料で構成されている。
また、保護層330は、素子本体部501の表面のうち少なくとも「ガス導入部322およびガス導入部322よりも先端側の領域」を覆う、という構成である。より詳しくは、保護層330は、素子本体部501の最外面のうち「ガス測定室316の形成領域、ガス導入部322およびガス導入部322よりも先端側の領域」を覆うように形成されている。
以上説明したように、第2実施形態の空燃比センサにおける第2ガスセンサ素子204は、保護層330と拡散律速部315との間に空間部323が存在しており、保護層330が拡散律速部315から離間して形成される。このため、保護層330と拡散律速部315とが接しておらず、いわゆる毛細管現象によって保護層330から拡散律速部315に対して水が浸透することを抑制できる。
また、拡散律速部315は、少なくとも一部が素子本体部501のガス導入部322から露出しているため、素子本体部501の焼成後における拡散律速部315の拡散律速特性の調整作業が容易となる。つまり、拡散律速部315の少なくとも一部がガス導入部322から露出している構成は、拡散律速部315が素子本体部501から露出していない構成に比べて、拡散律速部315のトリミング作業(拡散律速部315へのトリミング液の塗布作業や多孔質部の削り取り作業など)が容易となる。
よって、第2実施形態の第2ガスセンサ素子204によれば、低温期間に保護層330に水が付着した場合であっても、保護層330を介して拡散律速部315に水が浸透するのを抑制できるため、拡散律速部315の目詰まりを抑制できる。また、拡散律速部315のトリミング作業が容易となるため、用途に応じた適切な拡散律速特性の拡散律速部315を備えるガスセンサ素子を得ることができる。
また、保護層330は、拡散律速部315よりも拡散抵抗が小さい多孔質材料で構成されている。これにより、排ガス(測定対象ガス)のガス測定室316への導入量が、保護層330によって制限されるのを抑制できる。
第2実施形態の第2ガスセンサ素子204は、ガス導入部322が素子本体部501の最外面において少なくとも異なる4方向に向けて形成されており、拡散律速部315が少なくとも異なる4方向に向けて露出する、という構成である。
このように少なくとも異なる4方向に向けて拡散律速部315が露出する場合、その素子本体部501は、排ガス(測定対象ガス)を異なる4方向から導入できるため、1方向あるいは2方向から排ガス(測定対象ガス)を導入する構成に比べて、排ガス(測定対象ガス)を導入し易い構成となる。
よって、第2実施形態の第2ガスセンサ素子204によれば、適切に排ガス(測定対象ガス)をガス測定室316に導入できるため、ガス検出精度の低下を抑制できる。
ここで、特許請求の範囲と第2実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
ガス導入部322が導入部の一例に相当し、ガス測定室316が測定室の一例に相当し、拡散律速部315が多孔質部の一例に相当し、酸素ポンプセル500がガス検知部の一例に相当する。
[3.その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、ガスセンサ素子の保護層の内側における空間部については、上記実施形態におけるガスセンサ素子の空間部よりも大きく形成しても良い。
そこで、第1実施形態のガスセンサ素子7よりも大きい空間部718を備える第3ガスセンサ素子707について説明する。
図11は、第3ガスセンサ素子707のうち、先端部分である素子本体部70の外観を示す説明図である。なお、図11では、第3ガスセンサ素子707のうち、保護層17および空間部718を点線で示している。
図12は、第3ガスセンサ素子707の内部構造を表した端面図であり、第3ガスセンサ素子707の図11におけるD−D視端面を表した端面図である。
なお、以下の説明では、第3実施形態の構成のうち第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同一を付して説明を省略し、第3実施形態の構成のうち第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第3実施形態の空燃比センサは、第1実施形態の空燃比センサ1におけるガスセンサ素子7を第3ガスセンサ素子707に置き換えて構成されている。
図11および図12に示すように、第3ガスセンサ素子707の保護層17の内部に備えられる空間部718は、素子本体部70の積層方向における長さ寸法L1が、第1実施形態のガスセンサ素子7の空間部18に比べて大きく形成されている。具体的には、空間部718は、ガス導入部94(拡散律速部95)を覆うとともに、さらに、固体電解質体75,83も覆うように形成されている。
図11および図12に示すように、第3ガスセンサ素子707の固体電解質体75,83は、素子本体部70の表面で露出している。そして、素子本体部70の表面から露出する固体電解質体75,83のうち、ガス導入部94に隣接する導入部隣接領域X1において、保護層17と固体電解質体75,83とが離間した状態でガス導入部94を覆う。なお、この導入部隣接領域X1は、素子本体部70の長手方向におけるガス導入部94と同位置の領域である。
なお、図11に示す素子本体部70における長手方向(図11の左右方向)の領域のうち、ガス測定室91の形成領域が測定室領域X2であり、保護層17の形成領域が保護層領域X3であり、空間部18の形成領域が空間部領域X4である。また、図11に示す素子本体部70における長手方向(図11の左右方向)の領域のうち、「ガス導入部94およびガス導入部94よりも先端側の領域」が導入部先端側領域X5であり、「ガス測定室91およびガス測定室よりも先端側の領域」が測定室先端側領域X6である。
このような構成の第3ガスセンサ素子707は、保護層17が少なくとも固体電解質体75,83の露出部分のうち、導入部隣接領域X1の前記固体電解質体75,83と離間して形成される。このため、保護層17に浸透した水が毛細管現象によって固体電解質体75,83の露出部分のうち導入部隣接領域X1の前記固体電解質体75,83には到達しがたくなり、水の付着による熱衝撃によって固体電解質体75,83の露出部分のうち導入部隣接領域X1の前記固体電解質体75,83が破損するのを抑制できる。
また、第3ガスセンサ素子707は、空間部領域X4が導入部隣接領域X1のみならず測定室領域X2も包含する構成であるため、水の付着による熱衝撃によって固体電解質体75,83の露出部分のうち測定室領域X2の前記固体電解質体75,83が破損するのを抑制できる。つまり、固体電解質体75,83のうちガス測定室91の近傍領域が、水の付着による熱衝撃によって破損するのを抑制できる。
さらに、第3ガスセンサ素子707は、空間部領域X4が導入部隣接領域X1のみならず導入部先端側領域X5も包含する構成であることから、水の付着による熱衝撃によって固体電解質体75,83の導入部先端側領域X5が破損するのを抑制できる。つまり、固体電解質体75,83のうち「ガス導入部94およびガス導入部94よりも先端側」の近傍領域が、水の付着による熱衝撃によって破損するのを抑制できる。
なお、保護層17の形成領域は、図11に示す空間部領域X4に限られることはなく、例えば、「ガス測定室91およびガス測定室よりも先端側の領域」である測定室先端側領域X6としてもよい。あるいは、保護層17の形成領域は、測定室先端側領域X6に加えて、素子本体部70の先端側領域まで拡張してもよい。
ここで、特許請求の範囲と第3実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。導入部隣接領域X1が導入部隣接領域の一例に相当する。
1…空燃比センサ、5…主体金具、7…ガスセンサ素子、17…保護層、18…空間部、70…素子本体部、71…素子部、73…ヒータ、75…固体電解質体、77…多孔質電極、79…多孔質電極、81…酸素濃淡電池セル、83…固体電解質体、85…多孔質電極、87…多孔質電極、89…酸素ポンプセル、91…ガス測定室(ガス検出室)、94…ガス導入部、95…拡散律速部、204…第2ガスセンサ素子、308…第1電極、309…第1固体電解質体、310…第2電極、315…拡散律速部、316…ガス測定室、322…ガス導入部、323…空間部、330…保護層、500…酸素ポンプセル、501…素子本体部、707…第3ガスセンサ素子、718…空間部、X1…導入部隣接領域。

Claims (6)

  1. 長手方向に延びる板形状を有し、測定対象ガスに含まれる特定ガスを検出するガスセンサ素子であって、
    前記長手方向の先端側に設けられ、前記測定対象ガスの導入部と、該導入部を介して前記測定対象ガスが導入される測定室と、を有する素子本体部と、
    前記素子本体部の表面に設けられ、少なくとも前記測定対象ガスの導入部を覆う多孔質材料からなる保護層と、
    を備えており、
    前記素子本体部は、
    前記導入部から前記測定室に至る前記測定対象ガスの導入経路に配置されて、前記測定室に導入される前記測定対象ガスの拡散を律速する多孔質部と、
    前記測定室に面して前記特定ガスを検知するガス検知部と、
    を備えており、
    前記多孔質部は、少なくとも一部が前記素子本体部の前記導入部から露出しており、
    前記保護層は、前記多孔質部から離間した状態で前記導入部を覆うことを特徴とするガスセンサ素子。
  2. 請求項1に記載のガスセンサ素子であって、
    前記ガス検知部は、一対の電極と固体電解質体とを有するセルを備えており、
    前記固体電解質体は、少なくとも前記導入部に隣接する導入部隣接領域にて前記素子本体部の前記表面に露出しており、
    前記保護層は、少なくとも前記導入部隣接領域の前記固体電解質体と離間した状態で前記導入部を覆うことを特徴とするガスセンサ素子。
  3. 請求項1または請求項2に記載のガスセンサ素子であって、
    前記導入部は、前記素子本体部の表面において少なくとも異なる2方向に向けて形成されており、
    前記多孔質部は、少なくとも異なる2方向に向けて露出することを特徴とするガスセンサ素子。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガスセンサ素子であって、
    前記導入部は、前記素子本体部の表面において少なくとも異なる4方向に向けて形成されており、
    前記多孔質部は、少なくとも異なる4方向に向けて露出することを特徴とするガスセンサ素子。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のガスセンサ素子であって、
    前記保護層は、前記素子本体部の表面のうち少なくとも前記導入部および前記導入部よりも先端側の領域を覆うことを特徴とするガスセンサ素子。
  6. 測定対象ガスに含まれる特定ガスを検出するガスセンサであって、
    円筒状の主体金具と、
    該主体金具に保持されるガスセンサ素子と、
    を備えており、
    前記ガスセンサ素子は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のガスセンサ素子であることを特徴とするガスセンサ。
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