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JP2013210493A - 光反射部材及びその製造方法 - Google Patents

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JP2013210493A JP2012080720A JP2012080720A JP2013210493A JP 2013210493 A JP2013210493 A JP 2013210493A JP 2012080720 A JP2012080720 A JP 2012080720A JP 2012080720 A JP2012080720 A JP 2012080720A JP 2013210493 A JP2013210493 A JP 2013210493A
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真 大矢
Akira Tanaka
彰 田中
Satoshi Naka
聡志 仲
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Abstract

【課題】高い耐熱性を有し、潰れに強い光反射部材を提供する。
【解決手段】光反射部材はフィルムもしくはシート状の基材1の上に、ガラス転移温度が180℃以上で、内部に平均気泡径が0.1〜10μmの独立気泡5を有する光反射層である熱硬化性樹脂層2が塗布されて製造される。前記熱硬化性樹脂層は、フッ素化ポリイミド樹脂からなり、気泡を含まない前記熱硬化性樹脂層18〜20μm厚の、波長500nmにおける光透過率が60%以上である。
【選択図】図2

Description

本発明は、液晶表示装置のライトボックス、蛍光灯、白熱灯、LED、ハロゲンランプなどの照明器具に適用される光反射部材とその製造方法に関する。
サイドライト方式の液晶表示装置では、面光源としての機能を得るために、一般的に図1に示すように、光反射板(10)、導光板(11)及び光透過拡散板(12)を積層して設け、側面にランプ(14)を設けた構造のライトボックスが用いられている。ランプ(13)の光は、導光板(11)に導かれ、導光板(11)と光反射板(10)との界面において拡散反射を繰り返しながら最終的に光透過拡散板(12)を通って矢印の方向にディスプレイ面へ出射する。ここで導光板(11)と光反射板(10)との界面において拡散反射を起こさせるためには、例えば、導光板(11)の下面(光反射板(10)との境界面)に拡散反射を起こさせるパターンを印刷する方法、導光板(11)と光反射板(10)との間に所定のパターンが印刷された別のフィルムを挿入する方法、導光板(11)の下面に微細な凹凸を形成する方法などが用いられている。
また、光反射板(10)には高い光反射率が要求される。そのため、従来、例えば熱可塑性樹脂に対して酸化チタンなどの白色顔料を含有させたフィルムからなる光反射板が用いられている。この光反射板では、背面への光の漏洩を抑制するために、顔料の添加量を多くする必要がある。しかし、フィルムに添加される白色顔料は特定波長の光を吸収するために、その添加量が多くなると光損失の増大が無視できなくなり、酸化チタンの添加のみでは反射率が低下するという問題があった。
特開平04−296819号公報(特許文献1)には、微細気泡を含有するポリエステルフィルムからなる光反射板が開示されている。また、この微細気泡を含有するポリエステルフィルムと、光吸収のない炭酸カルシウムやシリカの粒子を分散させた別のポリエステルフィルムとをラミネートしたフィルムからなる光反射板も開示されている。この場合、微細気泡を含有するポリエステルフィルムは、ポリエステル中に非相溶性ポリマーを分散させ、これを1軸または2軸延伸する際に非相溶性ポリマー粒子の周りにボイド(気泡)を形成させることにより製造されている。
しかし、ポリエステル中に非相溶性ポリマーを均一に分散させることは困難性が大きい。このため、ポリエステル中における気泡の分散が不均一になり、光を十分に拡散反射させることはできないこととなる。また、延伸された熱可塑性樹脂のフィルムは厚さが200μm未満と薄くなるため、フィルム背面へ漏洩する光も多くなる。この結果、特許文献1に記載されたフィルムは満足な反射率を達成することができない。そこで、熱処理後に十分な反射率を得るためには、フィルムの背面に金属鏡面を有する他の光反射板を配置する必要が生じるという問題があった。
また、近年、宇宙産業や自動車用途など、より高温環境で照明器具を連続使用する必要性も出てきており、その使用に耐えられることが求められている。この点において、使用される光反射部材が熱可塑性樹脂では、ガラス転移温度以上となった場合に変形が起こりやすい。これによって常温で発現していた光特性を失ったり、または低下したりする問題があった。例えば、特許第2925745号明細書(特許文献2)では熱可塑性樹脂であるポリエチレンテレフタレートの高効率反射板に関する発明がなされている。しかし材料が熱可塑性樹脂であり、200℃程度の高温環境では樹脂の熱分解や融解が発生するために使用することができないという問題がある。
さらに、熱可塑性樹脂の場合にはガラス転移温度以下において、極端に脆くなる問題があり、照明器具の、振動環境での使用が難しい場合がある。
また、特開2004−250596公報(特許文献3)には、熱硬化性樹脂ワニスを高速で撹拌することで樹脂ワニス中に機械的に気泡を取り込み、これを焼付けすることで発泡体を得る手法が明記されている。しかし、この手法の場合には機械的な撹拌であるため気泡の不均一化の問題及び気泡粒径が大きい(数十μm以上となる)という問題があった。
特開平04−296819号公報 特許第2925745号明細書 特開2004−250596公報
近年、光反射に使用されるシートもしくはフィルムなど(本明細書では、これを光反射部材という。)はその光反射の効率化だけでなく、より高温ないしは低温条件、あるいは薬品中での耐性など、より過酷な環境で使用できる性能の一層の向上が要求されている。これを解決するにはこれまでに使用されてきた熱可塑性樹脂の発泡体では限界があった。
本発明の課題は、高い耐熱性を有し、潰れに強い光反射部材と、その製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、熱硬化性樹脂を硬化反応させて、特定の孔径の微細な独立気泡を含有させたフィルムが光の拡散反射性能が優れること、またこの場合、熱硬化性樹脂の焼付硬化後のTg(ガラス転移温度)を制御することにより上記の過酷な使用環境に対する反射部材の耐性が向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
<1>ガラス転移温度が180℃以上で、内部に平均気泡径が0.1〜10μmの独立気泡を有する熱硬化性樹脂層を有することを特徴とする光反射部材、
<2>前記熱硬化性樹脂層が、樹脂骨格中にイミド基を有する<1>記載の光反射部材、
<3>前記熱硬化性樹脂層が、フッ素化ポリイミド樹脂からなる<2>記載の光反射部材、
<4>気泡を含まない前記熱硬化性樹脂層の20μm厚、波長500nmにおける光透過率が60%以上である<1>または<2>記載の光反射部材、
<5>基材上に内部に平均気泡径が0.1〜10μmの独立気泡を有する熱硬化性樹脂層が積層されているシート状の<1>〜<4>のいずれかに記載の光反射部材、
<6>さらに、光拡散層が積層されている<1>〜<5>のいずれかに記載の光反射部材、
<7>最外層として保護層を有する<1>〜<6>のいずれかに記載の光反射部材、
<8><1>〜<7>のいずれかに記載の光反射部材の製造方法であって、独立気泡を有するガラス転移温度が180℃以上の熱硬化性樹脂フィルムと基材とを張り合わせることを特徴とする方法、
<9><1>〜<7>のいずれかに記載の光反射部材の製造方法であって、基材表面にガラス転移温度が180℃以上の熱硬化性樹脂のワニスを塗布後、焼付けることを特徴とする方法、
<10><1>〜<7>のいずれかに記載の光反射部材の製造方法であって、基材表面上に熱硬化性樹脂のワニスを塗布後、焼付けをし、その後、基材から熱硬化性樹脂層を剥離することを特徴とする方法、
を提供するものである。
本発明の光反射シート部材は、高温ないしは低温条件下などの過酷な環境においても、高い耐熱性や潰れに強い強度を示すので、液晶表示装置のライトボックス、蛍光灯、白熱灯、LED、ハロゲンランプなどの照明器具など、高温環境での連続使用が必要とされる場合に好適に用いられる。また、本発明の製造方法によれば、上記のような過酷な環境においても使用できる、照明器具などの光反射部材を製造できる。
サイドライト方式の液晶表示装置で用いられるバックライト方式面光源の構造を示す断面図である。 本発明の光反射シート部材の実施形態を示す概略断面図である。 本発明の光反射シート部材の他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明の実施形態の光反射シート部材を構成する熱硬化性樹脂層のSEM写真(倍率5000)である。 本発明の光反射シート部材を用いた照明器具の実施形態を示す概略断面図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態の光反射部材について説明する。
本発明の光反射部材はフィルムもしくはシート状であるのが好ましい。この光反射部材は、ガラス転移温度が180℃以上で、内部に平均気泡径が0.1〜10μmの独立気泡を有する熱硬化性樹脂層を少なくとも1層有する。
本発明の光反射部材は、シート状の熱硬化性樹脂でも、熱硬化性樹脂をシート状の基材に塗布し焼付けしたものでもよい。
図2は本発明の光反射部材の好ましい実施形態を示す概略断面図であり、図3は本発明の光反射部材の他の好ましい実施態様を示す概略断面図である。図2及び図3に示す光反射シート部材は、基材(1)の表面に光反射に寄与する熱硬化性樹脂層(2)が塗布されている。基材(1)としては、例えば、銅、銅合金、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、それらを組み合わせて複合化したシートあるいは条などを用いることできる。なお、光反射に寄与する熱硬化性樹脂層(2)は基材(1)がなくても光反射効果を発揮するので、前記熱硬化性樹脂層のみをシートとして使用することも可能である。
本発明の光反射部材を構成する熱硬化性樹脂層の樹脂は、樹脂自体のガラス転移温度が180℃以上であり、内部に平均気泡径が0.1〜10μmの独立気泡を有するものである。上記の平均気泡径(気泡の平均直径)の測定は走査電子顕微鏡(日本電子社製;高性能汎用型走査電子顕微鏡JSM−6390LV)観察により行い、倍率5000の時に20個を無作為に選び熱硬化性樹脂の内部に形成した直径を測定した。気泡20個について球形ではなく、角の取れた方形の場合には気泡の最長部分を気泡径とした。平均気泡径はこれら測定した値を平均化した値である。
熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂を溶剤に溶解した塗料(ワニス)を発泡処理して内部に気泡を有するものとして使用される。
[熱硬化性樹脂と樹脂層]
本発明で用いられるガラス転移温度180℃以上の熱硬化性樹脂としては特に限定されるものではなく、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などを使用することができる。
本発明で使用される熱硬化性樹脂は熱硬化後に透明性が高い方が、入射光が吸収されず光反射の効率が向上するためより好ましい。光透過率は、厚さ20μmの熱硬化性樹脂シートでの測定波長550nmにおける値が60%以上であれば耐熱性反射部材としての効果が得られるが、75%以上がより好ましい。
熱硬化性樹脂層の厚さは特に制限するものではないが、1μm以上が好ましく、10〜40μmがさらに好ましい。
上記の熱硬化性樹脂群の中でも、ポリイミド樹脂用いた場合に耐寒性、耐熱性ともに優れるので好ましい。さらにフッ素化されているポリイミド樹脂が、光反射及び光拡散効率に優れており特に好ましい。
ポリイミド樹脂としては、熱硬化性芳香族ポリイミドなどの従来のポリイミド樹脂を用いることができる。例えば、市販品(ユニチカ社製,商品名Uイミド、東レ・デュポン社製,商品名#3000、宇部興産社製,商品名U−ワニスなど)、あるいは透明ポリイミドを用いるか、従来の方法により、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン類を極性溶媒中で反応させて得られるポリアミド酸溶液を用い、被覆を形成する焼付け時の加熱処理によってイミド化し熱硬化させたものを用いることができる。焼付け温度は、熱硬化性樹脂の種類などにより異なり、一義的に定まらないが、350〜600℃が好ましく、450〜550℃がより好ましい。焼付け時間は硬化反応が完了するまで、適宜に設定できる。
上記の熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
[溶剤]
熱硬化性樹脂ワニスの溶剤として用いられる有機溶媒としては、特に制限はなく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、N,N−ジメチルエチレンウレア、N,N−ジメチルプロピレンウレア、テトラメチル尿素等の尿素系溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン等のラクトン系溶媒、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート等のエステル系溶媒、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム系溶媒、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、スルホラン等のスルホン系溶媒などが挙げられる。これらのうちでは高溶解性、高反応促進性等の点でアミド系溶媒、尿素系溶媒が好ましく、加熱による架橋反応を阻害しやすい水素原子をもたない等の点で、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルエチレンウレア、N,N−ジメチルプロピレンウレア、テトラメチル尿素がより好ましく、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
[添加成分]
本発明においては、光反射特性に影響を及ぼさない範囲で、発泡処理前の塗料(ワニス)に、気泡化核剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、顔料、染料、相溶化剤、滑剤、強化剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、増粘剤、減粘剤、及びエラストマーなどの各種添加剤を配合してもよい。また、発泡後の樹脂層にこれらの添加剤を塗布するか、これらの添加剤を含有する他の樹脂をラミネートしてもよい。
本発明では、界面活性剤、シリコン整泡剤のような整泡剤などを添加して気泡を安定化することができるが、これらは任意成分であり、必ずしもこれらの成分を添加する必要はない。
[光反射部材層の製造方法]
本発明の光反射部材を製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、基材上に前述の樹脂ワニスを塗布したものを、熱風炉もしくは電気炉に通して焼付けることにより連続的に樹脂内部に気泡が形成され、内部に気泡を有する熱硬化性樹脂層を形成する方法が挙げられる。
樹脂ワニスの溶剤の沸点を変化させることによって独立気泡の粒径を制御することができる。焼付けに要する時間などのコスト面等を考慮して、使用する溶剤は沸点200〜300℃のグライム系溶剤またはアルコール系溶剤が好ましく、発泡化した絶縁層(樹脂層)の強度を考慮すると沸点230〜280℃のグライム系溶剤がより好ましい。
ワニスの塗布方法では、ディップコーター、バーコーター、スピンコーター、ダイコーター、スプレーコーターなどを用いることができる。連続生産する場合の塗布厚さの安定性を考慮すると、バーコーター及びダイコーターが好ましい。
本発明を構成する熱硬化性樹脂(発泡体)層の光拡散効果を向上させるために、シート状樹脂の表面を削るなど表面粗さを増大させる工程を経てもよい。
本発明の光反射部材を構成する熱硬化性樹脂層に含有される独立気泡の平均直径は10μm以下である。これにより、樹脂層の絶縁破壊電圧を高い値に維持することができる。気泡の平均直径は、さらに好ましくは、5μm以下である。特に好ましくは、独立気泡の平均直径は、0.1〜4μmである。気泡径が大きすぎると、全反射率が低下する。気泡径の平均直径は走査電子顕微鏡(SEM)観察により、測定することができる。熱硬化樹脂層中の気泡の密度は、目的とする反射率で決まり、1×10〜1×1015個/cmが好ましく、8×10〜5×1015個/cmがより好ましい。この密度が大きすぎるとフィルムの透過率が上昇してくるため設計どおりの反射率が得られないという問題を生じ、小さすぎると反射材としての効果が得られないという問題が生じる。
本発明の光反射部材では、光の拡散に寄与する光拡散層を設けてもよい。
光拡散層は基材上に直接形成してもよいし、他の層の外層に焼付けてもよい。光拡散反射の効果が顕著に現れることから、光拡散層は最外層に焼付けるのが好ましい。光拡散反射層は材料として樹脂からなり、入射光に対する拡散反射光の割合を増加させるという機能を有し、光源に近い部分で発生する輝線や輝点を抑制することができる。
本発明において、気泡を含む層の外側の最外層に保護層としてのトップコートを設けてもよい。トップコートによって反射率に影響はないが、トップコートに使用される樹脂としては透明性が高い方がより好ましい。トップコートに使用される樹脂としては特に限定されるものはなく、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などを使用することができる。
トップコートに使用する樹脂には耐候性や機械特性補強のために、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、気泡化核剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、顔料、染料、相溶化剤、滑剤、強化剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、増粘剤、減粘剤、及びエラストマーなどの各種添加剤を配合してもよい。
図5は本発明の実施態様の1例の反射シート部材を用いた照明器具の実施形態を示す概略断面図である。光反射シート部材20が光源21の一端に接し、反射カバーとして使用されている。矢印は光源からの光の反射方向、照射光方向を示す。
以下、本発明を光反射シート部材の実施例、比較例及びそれらの物性評価試験結果に基づき詳細に説明するが、本発明はこれら記載により限定されるものではない。
[光反射シート部材の作製]
実施例1:
熱硬化性樹脂PI(ポリイミド)ワニスとして、Uイミド(商品名,ユニチカ社製,樹脂成分25質量%のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液)を用いた。2L容セパラブルフラスコに、Uイミドを1000g入れ、溶剤としてNMP75g,トリエチレングリコールモノメチルエーテル50g、テトラエチレングリコールジメチルエーテル150gを添加することによりPI樹脂ワニスを得た。圧延純アルミ条(200μm)の上に上記樹脂ワニスを炉温520℃で焼付けを実施することにより、基材のアルミ条の上に平均気泡径2μmの独立気泡を有する(気泡密度1.3×1014個/cm)反射率68%の熱硬化性樹脂層(厚さ20.0μm)が塗布された高耐熱光反射シート部材を得た。
図4に反射部材と基材であるアルミ条を積層したシートの高耐熱反射部材の断面SEM写真(倍率1000)を示す。写真中15は反射部材を断面で示し、図中17はアルミ条の断面であり、この上に形成された熱硬化性樹脂であるポリアミドイミド樹脂はその内部に気泡を有して、符号16にとして示される。発泡ポリアミドイミド樹脂の気泡の大部分が気泡と気泡とが熱硬化性樹脂の壁で隔たっている状態の均一な独立気泡として形成されていることがわかる。
実施例2:
熱硬化性樹脂PAI(ポリアミドイミド)ワニスとして、HI−406シリーズ(商品名,日立化成社製,樹脂成分32質量%)を用いた。2L容セパラブルフラスコに、HI−406シリーズを1000g入れ、溶剤としてNMP75g,トリエチレングリコールジメチルエーテル50g、テトラエチレングリコールジメチルエーテル150gを添加することによりPAI樹脂ワニスを得た。ガラス板上に上記樹脂ワニスを炉温520℃で焼付けることにより形成されたフィルム状の樹脂を、ガラス板より剥離することにより平均気泡径5μmの独立気泡を有する(気泡密度 8×1012個/cm)反射率70%の熱硬化性樹脂の高耐熱反射シート部材(厚さ19.5μm)を得た。
実施例3:
熱硬化性樹脂PEsI(ポリエステルイミド)ワニスとして、ネオヒート(Neoheat)(商品名,東特塗料社製,樹脂成分25質量%)を用いた。2L容セパラブルフラスコに、Neoheatを1000g入れ、溶剤としてキシレン50g,トリエチレングリコールジメチルエーテル50g、ポリグライム(イワキ社製)50gを添加することによりPEsI樹脂ワニスを得た。SUS303板上に上記樹脂ワニスを炉温520℃で焼付け、さらに添加剤を加えていない熱硬化性樹脂PEsIワニスを塗布し、焼付けて、基材のSUS303板上に平均気泡径8μmの独立気泡を有する(気泡密度3.7×1010個/cm)反射率71%の熱硬化性樹脂を塗布した光反射シート部材(厚さ20.2μm)を得た。
実施例4:
透明なポリイミドは合成することでワニスを得て、光反射部材を作製した。
2L容セパラブルフラスコに、NMP800g、2,2-ビス[4-[4-アミノフェノキシ]フェニル]プロパン94g及び5,5'-[1-メチル-1,1-エタンジイルビス(1,4-フェニレン)ビスオキシ]ビス(イソベンゾフラン-1,3-ジオン)116gを加え、室温、窒素雰囲気下で12時間攪拌した。前記のようにして得られた、透明なポリイミドワニス1000gを2L容セパラブルフラスコに移し、溶剤としてNMP75g、トリエチレングリコールモノメチルエーテル50g、ジエチレングリコールジブチルエーテル150gを添加することにより透明PI樹脂ワニスを得た。ガラス板上に上記樹脂ワニスを炉温520℃で焼付けを実施し、さらに透明なポリイミドワニスをそのまま塗布して炉温520℃で焼付けすることにより、ガラス板上にフィルム状の樹脂が形成された。フィルム状の樹脂をガラス板より剥離することにより平均気泡径3μmの独立気泡を有する(気泡密度 9×1011個/cm)反射率85%の熱硬化性樹脂層(厚さ19.9μm)の高耐熱反射部材を得た。
比較例1:
熱硬化性樹脂PIワニス(商品名:U−ワニス,宇部興産社製,樹脂成分20質量%)をそのまま圧延純アルミ条(200μm)の上に塗布し、炉温520℃で焼付けすることにより、反射率11%の光反射シート部材を得た。
比較例2:
熱硬化性樹脂PAIワニス(商品名;HI−406シリーズ,日立化成社製,樹脂成分32質量%)をガラス板上に塗布し、炉温520℃で焼付けた。硬化したフィルム状の熱硬化PAI樹脂をガラス板上から剥離して、反射率13%の光反射シート部材を得た。
比較例3:
ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂(DIC社製)を300℃の熱プレスを用いて10MPaの圧力でシート成型した。得られたシート状の樹脂を圧力容器に入れ、炭酸ガス雰囲気下で、35℃、5.4MPaで、24時間加圧することにより、炭酸ガスを飽和するまで浸透させた。次に、樹脂を圧力容器から取り出し、220℃に設定した熱風循環式発泡炉に1分間、投入することにより発泡させ、独立気泡を有する反射率85%の光反射シート部材を得た。
[光反射シート部材の物性評価]
実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた光反射シート部材について、独立気泡の有無、気泡の大きさ、ガラス転移温度(Tg)、全反射率(加熱前後)、及び透過率を以下の方法により測定した。その評価結果を表1に示す。
ガラス転移温度(Tg):示差走査熱量計DSC(島津製作所社製)により測定した。1回目昇温過程(1st-run)で150℃まで加熱して、残留する液体成分を蒸発させ、2回目昇温過程(2nd-run)でガラス転移温度を測定した。昇温速度は40℃/minである。
全反射率:分光光度計(UV−4100:日立ハイテク社製)を用い、550nmの波長にて測定した。なお、表1中の反射率は、酸化アルミニウムの微粉末を固めた白板の全反射率を100%として、各々の光反射シート部材の全反射率を相対値で示した値である。
加熱後全反射率:恒温槽にて300℃の環境を作り、ここにサンプルを30分間静置して、加熱処理したサンプルを常温に戻し、再度分光光度計で測定して加熱後の全反射率を上記と同様に相対値で示した値である。
独立気泡:光反射シート部材の厚み方向断面を走査電子顕微鏡(SEM)像で、独立気泡の有無を確認した。独立気泡ある場合を○とした。
気泡径:光反射シート部材の厚み方向断面の走査電子顕微鏡(SEM)像において、20個の気泡を無作為に選び、画像寸法計測ソフト(inotech製Pixs2000_Pro)を用い、径測定モードにて平均の気泡径を算出し、得られた値を気泡径とした。
透過率:気泡を含まない当該樹脂成型膜基材の透過率は、紫外可視分光光度計(日立ハイテク社製、型式:U−4100)を用い、500nmの波長にて樹脂層厚18〜20μmで焼付けたサンプルについて測定した。
表1より、本発明で規定する条件のいずれかを満たさない比較例1〜3では、加熱後の反射率がもともと低いか、加熱前に比べ著しく劣ることがわかる。これに対し、本発明で規定する要件を満たす実施例1〜4では、いずれも反射率が高く、かつ加熱後も反射率を高く維持することが確認でき、高耐熱性の光反射材を実現できることがわかる。
1 基材
2 光反射(熱硬化性樹脂)層
3 光拡散層
4 トップコート
5 気泡
10 光反射板
11 導光板
12 光透過拡散板
13 ランプ
15 光反射(熱硬化性樹脂層)部材
16 気泡入り熱硬化性樹脂
17 アルミ条
20 光反射シート部材
21 光源

Claims (10)

  1. ガラス転移温度が180℃以上で、内部に平均気泡径が0.1〜10μmの独立気泡を有する熱硬化性樹脂層を有することを特徴とする光反射部材。
  2. 前記熱硬化性樹脂層が、樹脂骨格中にイミド基を有する請求項1記載の光反射部材。
  3. 前記熱硬化性樹脂層が、フッ素化ポリイミド樹脂からなる請求項2記載の光反射部材。
  4. 気泡を含まない前記熱硬化性樹脂層18〜20μm厚の、波長500nmにおける光透過率が60%以上である請求項1または2記載の光反射部材。
  5. 基材上に内部に平均気泡径が0.1〜10μmの独立気泡を有する熱硬化性樹脂層が積層されているシート状の請求項1〜4のいずれかに記載の光反射部材。
  6. さらに、光拡散層が積層されている請求項1〜5のいずれかに記載の光反射部材。
  7. さらに、最外層として保護層を有する請求項1〜6のいずれかに記載の光反射部材。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の光反射部材の製造方法であって、独立気泡を有するガラス転移温度が180℃以上の熱硬化性樹脂フィルムと基材とを張り合わせることを特徴とする方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の光反射部材の製造方法であって、基材表面にガラス転移温度が180℃以上の熱硬化性樹脂のワニスを塗布した後、焼付けをすることを特徴とする方法。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の光反射部材の製造方法であって、基材表面上に熱硬化性樹脂のワニスを塗布した後、焼付けをし、その後、基材から熱硬化性樹脂層を剥離することを特徴とする方法。
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