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JP2013107458A - 車両用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】異音発生を極力回避しつつ、フレーム部材にパッド部材を組付けることにある。
【解決手段】フレーム部材6F上にパッド部材6Pを配置して、繊維弾性体10を、フレーム部材6Fに当接させる車両用シートにおいて、繊維弾性体10が、フレーム部材6F側に突出する凸部12と、凸部12よりもパッド部材6P側に近接する凹部14を有するとともに、凸部12によってフレーム部材6Fに対して点状又線状に接触可能である。
【選択図】図3

Description

本発明は、フレーム部材と、パッド部材と、繊維弾性体(パッド部材裏面に配設された面状の部材)を備えた車両用シートに関する。
この種の車両用シートとして、シートクッションとシートバック(シート構成部材)を備えた車両用シートが公知である(特許文献1を参照)。
これらシート構成部材は、各々、フレーム部材と、パッド部材と、繊維弾性体を有する。フレーム部材は、シート骨格をなす部材(典型的に金属製の枠体)である。またパッド部材は、シート外形をなして乗員を弾性的に支持可能な部材であり、ポリウレタンフォームなどの発泡樹脂にて構成できる。そして繊維弾性体は、平坦な面状部材(不織布等)であり、パッド部材の裏面に配設される。
公知技術では、フレーム部材上にパッド部材を配置しつつ、パッド部材裏面(繊維弾性体)をフレーム部材に当接させて、フレーム部材にパッド部材を組付ける。
特開2011−130899号公報
ところで公知技術では、繊維弾性体が平坦な面状部材であることから、フレーム部材に対して面接触する。このためシート着座時等において、フレーム部材と繊維弾性体が擦れ合うなどして異音(擦れ音等)が発生することがあった。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、異音発生を極力回避しつつ、フレーム部材にパッド部材を組付けることにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の車両用シートは、シートクッションやシートバック等のシート構成部材を有する。そしてシート構成部材が、シート骨格をなすフレーム部材と、シート外形をなして乗員を弾性的に支持可能なパッド部材と、パッド部材の裏面に配設される面状の繊維弾性体とを有する。
本発明では、フレーム部材上にパッド部材を配置しつつ、繊維弾性体を、フレーム部材に当接させる。この種のシート構成では、異音発生を極力回避して、フレーム部材にパッド部材を組付けられることが望ましい。
そこで本発明では、上述の繊維弾性体が、フレーム部材側に突出する凸部と、凸部よりもパッド部材側に近接する凹部を有するとともに、凸部によってフレーム部材に対して点状又は線状に接触可能である。
本発明では、フレーム部材と繊維弾性体が点接触又は線接触しつつ、フレーム部材にパッド部材が組付けられるため、フレーム部材と繊維弾性体の接触が原因の異音発生を防止又は低減できる。
第2発明の車両用シートは、第1発明の車両用シートであって、上述の繊維弾性体が、パッド部材の発泡成形時においてパッド部材に一体化される構成である。
そこで本発明では、上述の凸部と凹部を、パッド部材の成形材料の発泡方向に沿った線状に形成した。このように繊維弾性体により、パッド部材の成形をスムーズに行うことで、パッド部材の性能(着座性や強度等)を向上させることができる。
第3発明の車両用シートは、第1発明又は第2発明の車両用シートにおいて、上述の凸部における繊維弾性体の厚み寸法と、凹部における繊維弾性体の厚み寸法が同一に設定される。
本発明では、凸部と凹部の厚み寸法が同一であるため(繊維弾性体の厚み寸法を部分的に変更する必要がないため)、繊維弾性体の製造コスト増加を抑えることができる。
本発明の第1発明によれば、異音発生を極力回避しつつ、フレーム部材にパッド部材を組付けることができる。また第2発明によれば、パッド部材の性能を向上させることができる。そして第3発明によれば、パッド部材の製造コストを極力抑えることができる。
車両用シートの斜視図である。 (a)は、シートバックの正面図であり、(b)は、シートバックの後面図である。 図2(a)のIII−III線断面図である。 図2(a)のIV−IV線断面図である。 (a)は、実施例にかかる繊維弾性体一部の側面図であり、(b)は、変形例にかかる繊維弾性体一部の側面図である。 繊維弾性体の作製手順を示す図であり、(a)は、加工前の繊維弾性体の正面図であり、(b)は、プレス装置一部の正面図であり、(c)は、加工後の繊維弾性体の正面図である。 パッド部材の作製手順を示す図であり、(a)は、成形装置と繊維弾性体の断面図であり、(b)は、成形途中の成形装置の概略断面図であり、(c)は、形成後のパッド部材の断面図である。 図2(a)のVIII−VIII線断面で示すパッド部材一部の成形工程を示す成形装置の断面図であり、(a)は、成形材料射出時の図であり、(b)は、成形材料の発泡途中の図であり、(c)は、発泡途中の別の図である。 図2(a)のIV−IV線断面で示すパッド部材他部の成形工程を示す成形装置の断面図であり、(a)は、成形材料射出時の図であり、(b)は、成形材料の発泡途中の図であり、(c)は、発泡途中の別の図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図9を参照して説明する。各図には、適宜、部材の前方に符号F、部材の後方に符号B、部材の上方に符号UP、部材の下方に符号DWを付す。
図1の車両用シート2は、シートクッション4と、シートクッション4に対して起倒可能に連結するシートバック6と、シートバック6上のヘッドレスト8を有する。
これらシート構成部材(4,6,8)は、シート骨格をなすフレーム部材(4F,6F,8F)と、シート外形をなすパッド部材(4P,6P,8S)と、パッド部材に被覆の表皮材(4S,6S,8S)とを有する。
本実施例では、例えばフレーム部材6Fにパッド部材6Pを組付けたのち、パッド部材6Pを表皮材6Sで被覆する。
このときフレーム部材6F上にパッド部材6Pを配置しつつ、パッド部材6Pの裏面側(後述の繊維弾性体10)をフレーム部材6Fに当接させる(図2及び図3を参照)。この種のシート構成では、フレーム部材6Fと繊維弾性体10の接触が原因の異音発生を極力回避しつつ、フレーム部材6Fにパッド部材6Pを組付けられることが望ましい。
そこで本実施例では、後述の構成により、異音発生を極力回避しつつフレーム部材6Fにパッド部材6Pを組付けることとした。なお本実施例の主構成は、各シート構成部材でほぼ同一である。そこで本実施例では、シートバック6を一例として各構成について詳述する。
[フレーム部材]
フレーム部材6F(アーチ状の枠部材)は、上部フレーム6aと、一対の側部フレーム6bと、下部フレーム6cを有する(図2〜図4を参照)。
上部フレーム6aは、シート上部をなす部材(正面視で略逆U字状)である。また一対の側部フレーム6bは、それぞれシート側部をなす平板部材であり、上部フレーム6aの下端に取付けられる。側部フレーム6bには、例えばエアバックを収納可能な筐体6dを取付けることができる。そして下部フレーム6cは、シート下部において一対の側部フレーム6b間に橋渡しされた平板部材である。
ここでフレーム部材6Fの材質は特に限定しないが、典型的に剛性を有する材質(金属や硬質樹脂等)にて構成される。
[パッド部材]
パッド部材6Pは、シート外形をなして乗員を弾性的に支持可能な部材(略長方形状)であり、着座部6Aと、一対の土手部6Bと、後述の繊維弾性体10を有する(図2〜図4を参照)。
着座部6Aは、乗員の着座可能な平坦部位(正面視で略長方形)であり、シートバック6中央に形成できる。また一対の土手部6Bは、シートバック6両側の凸部位であり、車両のコーナリング時などに乗員の側方を支持できる。
パッド部材6Pの材質は特に限定しないが、弾性的に伸縮可能な発泡樹脂を用いることが望ましい。この種の樹脂として、ポリウレタンフォーム(密度:10kg/m〜60kg/m)を用いることができる。
(繊維弾性体)
繊維弾性体10は、パッド部材6Pを補強可能な面状部材であり、凸部12と、凹部14を有する(図3〜図5を参照)。
繊維弾性体10の材質は特に限定しないが、例えば天然繊維(動物系天然繊維、植物系天然繊維など)、合成繊維(ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維など)及びこれらの混紡繊維を例示できる。
ここで繊維弾性体10は、原料段階(例えば繊維の状態)まで比較的戻しやすいことから、ポリウレタンフォームよりもリサイクル性に優れる。なかでもポリプロピレン繊維やポリエステル繊維などの熱可塑性の樹脂繊維は加熱により溶融するため、原料である樹脂段階に容易に戻すことができる。
そして繊維弾性体10は、上記繊維を積層したのち、ニードルパンチやスパンレース等の手法によって三次元的に交絡させるなどして形成できる。また繊維弾性体10として、上記繊維を編織性してなるファブリックを使用できる。
本実施例では、パッド部材6P裏面側(フレーム部材6Fを臨む側)に繊維弾性体10を配設して、フレーム部材6Fに当接可能な構成とする。
(凸部・凹部)
凸部12は、繊維弾性体10の突出部位であり、フレーム部材6F側に突出する(図3〜図5を参照)。また凹部14は、繊維弾性体10の凹み部位であり、凸部12よりもパッド部材6P側に近接する。
本実施例では、繊維弾性体10の一部又は全部を、厚み方向にジグザグな折返し状態とすることで、凸部12と凹部14を交互に形成できる。凸部12は、略三角状の突出部位であり、繊維弾性体10と同一の厚み寸法を有する。また凹部14は、略三角状の凹み部位であり、繊維弾性体10と同一の厚み寸法を有する。
そして本実施例では、凸部12と凹部14を、パッド部材6Pの成形時において成形材料FMの流れ方向に沿った線状に形成できる(図5、図7〜図9を参照)。
例えば着座部6Aにおいて、凸部12と凹部14を、成形装置30(後述)の長尺方向(シートバックではシート上下方向)に向けて線状に形成できる。また土手部6Bにおいて、凸部12と凹部14を、成形装置30の上下方向(シートバックではシート幅方向)に向けて線状に形成できる。
ここで凸部12の高さ寸法L1と幅寸法L2は特に限定しない(図5及び[表1]を参照)。
例えば凸部12の高さ寸法L1と幅寸法L2を、それぞれ独立に10mm以上に設定することで、成形材料FMの繊維弾性体10への過度の含浸を好適に抑制できる(良好な含浸性を有することができる)。また凸部12の高さ寸法L1と幅寸法L2を、それぞれ独立に20mm以下に設定することで、パッド部材6Pの肉欠けを好適に抑制できる(良好な成形性を有することができる)。
そして凸部12の高さ寸法L1と幅寸法L2を、それぞれ独立に10mm以上20mm以下に設定することで、繊維弾性体10が、良好な性能(含浸性、成形性、異音発生の抑制)を備えることとなる。
(変形例)
凸部と凹部の構成は、上述の構成のほか各種の構成をとることができる。例えば図2(b)を参照して、繊維弾性体10Aの一部又は全部を、厚み方向にデコボコな折返し状とすることができる。
凸部12Aは、略矩形状の突出部位であり、繊維弾性体10Aと同一の厚み寸法を有する。また凹部14Aは、略矩形状の凹み部位であり、繊維弾性体10Aと同一の厚み寸法を有する。
[パッド部材の作成作業]
本実施例では、下記の工程により、パッド部材6Pを成形しつつ繊維弾性体10に一体化する(図6〜図9を参照)。
第一工程:繊維弾性体10に、凸部12と凹部14を形成する。
第二工程:パッド部材6Pを成形しつつ、繊維弾性体10に一体化する。
(第一工程)
第一工程では、プレス装置20(略矩形の部材)を用いて、凸部12と凹部14を繊維弾性体10に形成する(図6を参照)。プレス装置20の裏面には、凹凸状(凸部12と凹部14に倣った形状の凹凸)の加工部22が設けられる。
そして加工前の繊維弾性体10a(平坦)をプレス装置20に配置しつつ、圧力をかけることで、繊維弾性体10に凸部12と凹部14を形成する(断面視でジグザグ状のパターンを形成する)。こうして作成された繊維弾性体10では、凸部12の厚み寸法と、凹部14の厚み寸法が同一となる。
(第二工程)
第二工程では、成形装置30を用いて、パッド部材6Pを形成しつつ繊維弾性体10に一体化する(図7〜図9を参照)。
ここで成形装置30は、略長方形状(上方視)の部材であり、第一型31と、第二型32と、これら両型の間に形成されるキャビティ34を有する。
第一型31の表面は、専らパッド部材6Pの着座面形状に倣った形状を有する。また第二型32は、側方型32Lと中央型32Cに分離可能であり、これらの裏面が、パッド部材6Pの裏面形状に倣った形状を有する(図8及び図9を参照)。第二型32には、キャビティ34内のエアを外部に排出する排出孔(図示省略)を形成できる。そして本実施例では、側方型32Lの中央に貫通孔を形成して、中央型32Cを嵌合せ可能とする。
そしてキャビティ34は、パッド部材6Pの外形に倣った空間部であり、成形材料FMを発泡させてバッド部材6Pを成形可能である。
(成形材料の発泡)
本実施例では、第二型32裏面に繊維弾性体10を配置しつつ、キャビティ34内に成形材料FMを射出する(図7〜図9を参照)。つぎに第一型31と第二型32を互いに閉じ合せたのち、キャビティ34内で成形材料FMを発泡させる。
そして成形材料FMが、成形装置30の中央(着座部6Aに対応する部分)において、専ら成形装置30の長尺方向に向けて発泡する(図8の矢線X1,X2を参照)。このとき成形材料FMが、同長尺方向に延びる凸部12と凹部14(線状)に沿ってスムーズに発泡できる。
また成形材料FMが、成形装置30の端部(土手部6Bに対応する部分)において上下方向に向けて発泡する(図9の矢線X3,X4を参照)。このとき成形材料FMが、上下方向に延びる凸部12と凹部14に沿ってスムーズに発泡できる。
このように本実施例では、成形材料FMをスムーズに発泡させることで(流れ性を向上させることで)、キャビティ14内におけるエアの滞留(パッド部材の肉欠の原因)を防止又は低減できる。
また第二工程では、繊維弾性体10が、成形材料FMの発泡圧により第二型32の裏面に押し当てられる(図5を参照)。このとき繊維弾性体10(凹部14)と、第二型32の間に隙間(空気層AL)が形成される。
そして繊維弾性体10に成形材料FMが含浸して固化することにより、パッド部材6Pに繊維弾性体10を一体化できる。本実施例では、繊維弾性体10の一部(凸部12)において、成形材料FMが含浸して硬化した(リベット状に硬化した)状態となる。また繊維弾性体10の凹部14では、第二型32との間に空気層ALが形成されるため、成形材料FMがほとんど含浸しない状態で維持される(図5を参照)。
[パッド部材の組付け作業]
図1、図3及び図4を参照して、パッド部材6Pを、フレーム部材6F上に組付けたのち表皮材6Sで被覆する。
本実施例では、繊維弾性体10が、凸部12によってフレーム部材6F(6a〜6c)に対して線状に接触する。このため本実施例によれば、(両部材が面接触した場合と比較して)フレーム部材6Fと繊維弾性体10の接触が原因の異音発生をより低減又は防止できる。
さらに繊維弾性体10一部(凸部12)に、成形材料FMが含浸して硬化する(リベット状に硬化する)。これによりパッド部材6Pと繊維弾性体10の取付け安定性を向上させることができる。
以上説明したとおり本実施例によれば、繊維弾性体10が、凸部12によってフレーム部材6Fに対して線状に接触する。これによりフレーム部材6Fと繊維弾性体10の接触が原因の異音発生を防止又は低減できる。
また本実施例では、凸部12と凹部14を、成形材料FMの発泡方向に沿った線状に形成したことで、成形材料FMをスムーズに発泡させることができる。これによりパッド部材6Pの肉欠(キャビティ内のエア滞留により生じた凹み箇所)の発生を極力抑えるなどして、パッド部材6Pの性能(着座性や強度等)を向上させることができる。
そして本実施例では、凸部12と凹部14の厚み寸法が同一であるため(繊維弾性体の厚み寸法を部分的に変更する必要がないため)、繊維弾性体10の製造コストの増加を抑えることができる。
このため本実施例によれば、異音発生を極力回避しつつ、フレーム部材6Fにパッド部材6Pを組付けることができる。
[試験例]
以下、本実施例を試験例に基づいて説明するが、本発明は試験例に限定されない。
本試験例では、車両用シートのパッド部材(一人乗り)を成形した。キャビティの容量(体積)は0.018mに設定した。
またキャビティ内に注入するポリウレタン原料(成形材料)量は1.26kgに設定した。ポリウレタン原料として、ポリオール(旭硝子(株)社製、「TLB−213」)と、イソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)社製、「コロネートC1021」)を使用した。
そして発泡形成時の金型温度(時間)を65±3℃(5分)に設定し、硬化時の金型温度(時間)を65±3℃(5分)に設定した。この条件におけるウレタンの発泡圧は0.8〜1.0Kg/cmであった。
(実施例)
実施例1〜3のパッド部材として、凸部の高さ寸法及び幅寸法を適宜設定した繊維弾性体を使用した([表1]を参照)。
各実施例の繊維弾性体として、ポリエステル繊維の不織布(厚み寸法10mm)を使用した。また各実施例のパッド部材(ポリウレタンフォーム)の密度を57kg/mに設定した。
(比較例)
比較例では、平坦状の繊維弾性体(凸部と凹部を備えない繊維弾性体)を有するパッド部材を製造した。その他の成形条件は実施例と同一条件とした。
(試験方法及び評価方法)
(1)含浸性試験として、繊維弾性体に対する成形材料の染み出し具合を見た目で判定した。このとき比較例の染み出し具合を「3」とした。そして成形材料の染み出し具合が、見た目で比較例よりも少ない場合を「4」と評価し、極めて少ない場合を「5」と評価した。
(2)成形性試験として、パッド部材の欠肉(凹み部分)の有無を見た目で判定した。本試験では、1000個の製品を形成した場合において、2〜3個のパッド部材に欠肉(凹み部分)が生じた場合を「3」と評価した。また3〜6個のパッド部材に欠肉(凹み部分)が生じた場合を「2」と評価した。そして1〜2個のパッド部材に欠肉(凹み部分)が生じた場合を「4」と評価し、1個未満のパッド部材に欠肉(凹み部分)が生じた場合を「5」と評価した。
(3)異音の発生試験では、フレーム部材上にパッド部材を組付けたのち、65kgfの加重をかけつつパッド部材をシート前後に揺動させた。このとき比較例において発生した異音の大きさ(明らかに異音が発生した場合)を「3」と評価した。そして比較例よりも異音が小さい場合(かすかに異音が発生した場合)を「4」と評価し、異音がほとんど発生しなかった場合を「5」と評価した。
(4)コスト(製造コスト)は、パッド部材の材料費及び製作費の総コストであり、比較例のコストを「3」とした。
各試験の結果を下記の[表1]に示す。
Figure 2013107458
[結果及び考察]
[表1]を参照して、実施例1〜実施例3のパッド部材は、比較例1のパッド部材と比較して、異音の発生を好適に阻止できることがわかった。
また実施例1〜実施例3のパッド部材は、比較例1と比較して繊維弾性体への含浸度合いが少なかった。すなわち比較例1では、繊維弾性体のほぼ全面に成形材料が含浸した。これに対して実施例1〜実施例3では、繊維弾性体の一部(凸部)にのみ成形材料が含浸した。このため実施例1〜実施例3のパッド部材によれば、パッド部材(繊維弾性体)本来の柔軟性等を好適に維持できることがわかった。
また実施例1及び実施例2のパッド部材は、比較例1と比較して優れた成形性を有することがわかった。また実施例1〜実施例3のパッド部材は、比較例1のパッド部材と遜色のない製造コストで作成できることがわかった。
そして実施例1〜実施例3のパッド部材では、異音の発生、含浸性、成形性及びコストを総合的に判断して、比較例1よりも優れた評価を得ることができた。特に実施例2のパッド部材では、異音の発生、含浸性、成形性及びコストのいずれにおいても優れた評価を得ることができた。
以上の結果により、実施例1〜実施例3のパッド部材によれば、異音発生を極力回避しつつ、フレーム部材にパッド部材を組付けることができることがわかった。
本実施形態の車両用シートは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(1)本実施形態では、線状の凸部12と線状の凹部14を例示したが、これら両部の構成(形状、個数、形成位置、厚み寸法等)を限定する趣旨ではない。例えば凸部と凹部は、ドット状(点接触可能な構成)、格子状、同心円状等の各種形状をとることができる。また繊維弾性体の断面形状は、上述のジグザグやデコボコ状のほか、波形などの各種の形状をとることができる。
(2)また本実施形態では、線状の凸部12と線状の凹部14を、成形材料FMの発泡方向に倣って形成したが、同発泡方向とは無関係に形成することもできる。例えばシートの位置(着座部や土手部等)とは無関係に、凸部と凹部(線状)を、シート前後方向又は幅方向に直線状に形成してもよく、同方向に対して傾斜した線状に形成してもよく、波形やジグザグ状の線状に形成することもできる。
(3)また繊維弾性体において、凸部の厚み寸法と、凹部の厚み寸法を異ならせることもできる。
(4)また本実施形態では、成形装置30の構成を例示したが、同装置の構成を限定する趣旨ではない。例えば第二型を、一つの部材にて構成することもできる。
(5)また本実施形態では、凸部12と凹部14をプレス装置20にて形成する例を説明したが、各部の形成方法を限定する趣旨ではない。例えば一対のロール(円筒部材)の周面に凹凸加工を施したのち、両ロールの間に繊維弾性体を通すことで凸部と凹部を形成することもできる。
(6)また本実施形態では、繊維弾性体10を、パッド部材6Pの成形時に一体化する例を説明した。これとは異なりパッド部材を予め成形したのち、繊維弾性体10を接着又は融着により取付けることができる。
(7)また本実施形態では、シートバック6のパッド部材6Pを一例として説明した。本
実施形態の構成は、シートクッション4のパッド部材4Pなどの各種シート構成のパッド部材に適用することができる。
2 車両用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
10 繊維弾性体
12 凸部
14 凹部
20 プレス装置
30 成形装置
FM 成形材料
6P パッド部材
6F フレーム部材
6S 表皮材

Claims (3)

  1. シートクッションやシートバック等のシート構成部材を有するとともに、前記シート構成部材が、シート骨格をなすフレーム部材と、シート外形をなして乗員を弾性的に支持可能なパッド部材と、前記パッド部材の裏面に配設される面状の繊維弾性体とを有し、前記フレーム部材上に前記パッド部材を配置して、前記繊維弾性体を、前記フレーム部材に当接させる車両用シートにおいて、
    前記繊維弾性体が、前記フレーム部材側に突出する凸部と、前記凸部よりもパッド部材側に近接する凹部を有するとともに、前記凸部によって前記フレーム部材に対して点状又は線状に接触可能である車両用シート。
  2. 前記繊維弾性体が、前記パッド部材の発泡成形時において前記パッド部材に一体化される構成であり、
    前記凸部と前記凹部を、前記パッド部材の成形材料の発泡方向に沿った線状に形成した請求項1に記載の車両用シート。
  3. 前記凸部における前記繊維弾性体の厚み寸法と、前記凹部における前記繊維弾性体の厚み寸法が同一に設定される請求項1に記載の車両用シート。
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