JP2012204079A - オリビン型リチウム遷移金属酸化物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明にかかるオリビン型リチウム遷移金属酸化物は、組成がLix(Mn1−yM1y)1−zM2zPO4(ただし、式中x、y、zは、0.9<x<1.3、0≦y<1、0<z<0.3であり、M1は、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素であり、M2は、Zn、Mo、およびAlからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素である。)であるオリビン型リチウム遷移金属酸化物において、上記金属元素M2の添加量が、上記組成のMn(マンガン)およびM1に対し、元素比で0.1mol%以上10mol%以下である。
【選択図】 なし
Description
(オリビン型リチウム遷移金属酸化物)
先ず、本発明に係るオリビン型リチウム遷移金属酸化物について述べる。本発明に係るオリビン型リチウム遷移金属酸化物の組成は、Lix(Mn1−yM1y)1−zM2zPO4である。ただし、式中のx、yおよびzは、0.9<x<1.3、0≦y<1、0<z<0.3である。また、M1は、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素であり、M2は、Zn、Mo、Mg、Zr、Ti、Al、Ce、Cr、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素である。
(オリビン型リチウム遷移金属酸化物の物性の測定方法)
本形態におけるオリビン型リチウム遷移金属酸化物の物性は、以下の方法によって測定したものである。
(オリビン型リチウム遷移金属酸化物の製造方法)
本発明に係るオリビン型リチウム遷移金属酸化物の製造方法は、少なくとも、以下の(1)から(4)の工程を含むことを特徴とする。
(1)リン酸化物と、リチウム源と、炭素源と、Zn、Mo、Mg、Zr、Mn、Ti、Co、Ni、Al、CeおよびCrからなる群より選択された少なくとも一種の金属元素の酸化物、リン酸化物または水酸化物と、溶媒とを含有するスラリーを作製する工程、
(2)スラリーに含まれる粒子を粉砕処理して微細化する工程、
(3)粉砕処理したスラリーを噴霧乾燥して前駆体とする工程、
(4)前駆体を不活性雰囲気下で焼成する工程。
<スラリー作製>
目的とするオリビン型リチウム遷移金属酸化物の組成の化学量論比となるように、各原料を秤量した後、リン酸化物と分散媒に、さらに、リチウム源と、炭素源と、Zn、Mo、Mg、Zr、Mn、Ti、Co、Ni、Al、Ce、Crからなる群より選択された少なくとも一種の金属元素の酸化物、リン酸化物または水酸化物とを含有させてスラリーとする。
スラリー状態で、スラリーに含まれる粒子を粉砕処理して微細化する。上述の原料は、通常、粒子状の原料として供給されるので、これらの粒子状の原料を細かく粉砕して混合する粉砕処理の方法として、湿式粉砕混合と乾式粉砕混合とから選択することができる。湿式粉砕混合とは、粉砕する目的物を分散媒(例えば、水)に入れ1mm前後のメディアを使用しローラー台で回すことによる粉砕方法であり、乾式粉砕混合より細かく粉砕できることができる。
粉砕処理したスラリーを噴霧乾燥して前駆体とする。噴霧乾燥とは、乾燥させたいスラリーをシャワー状に噴霧して、この噴霧されたスラリーに熱風を吹きつけることにより乾燥させる方法である。これにより、一次粒子の集合体である二次粒子(球形)を前駆体として形成することができる。
噴霧乾燥した前駆体を不活性雰囲気下で焼成する。不活性雰囲気下での焼成工程において、不活性雰囲気は、窒素あるいは、水素またはアンモニアを含む還元雰囲気であることが好ましく、水素および窒素を含む雰囲気であることが、より好ましい。焼成温度は、500℃以上800℃以下が好ましく、より好ましくは、600℃以上700℃以下である。
Mn3(PO4)2として177g(Mnとして1.5mol)と、リン酸リチウム(Li3PO4)と、ショ糖を27g(1gのMnに対して0.325g)と、一酸化亜鉛を1g(Mnに対して1mol%)と、分散媒として純水1700mlと、を混合しスラリーとする。そのスラリーを容量が5000mlのボールミルにいれ、アルミナボールを用いて、40時間粉砕処理して微細化する。
亜鉛の添加量をMnに対して3mol%に変更する以外は、実施例1と同様にオリビン型リチウム遷移金属酸化物を作製した。得られた焼成物は、組成がLiMn0.97Zn0.03PO4、結晶子径が351Å(35.1nm)、炭素含有量が3.0重量%、平均二次粒子径が4.7μmであった。
亜鉛の添加量をMnに対して7mol%に変更する以外は、実施例1と同様にオリビン型リチウム遷移金属酸化物を作製した。得られた焼成物は、組成がLiMn0.93Zn0.07PO4、結晶子径が341Å(34.1nm)、炭素含有量が3.1重量%、平均二次粒子径が4.8μmであった。
Mn0.7Fe0.3PO4として178g(Feとして1.5mol)と、リン酸リチウム(Li3PO4)と、ショ糖を27g(1gのMnに対して0.325g)と、一酸化亜鉛を5g(Mn、Feに対して5mol%)と、分散媒として純水1700mlと、を混合しスラリーとする。そのスラリーを容量が5000mlのボールミルにいれ、アルミナボールを用いて、40時間粉砕処理して微細化する。
亜鉛を添加量しない以外は、実施例1と同様にオリビン型リチウム遷移金属酸化物を作製した。得られた焼成物は、結晶子径が372Å(37.2nm)、炭素含有量が2.4重量%、平均二次粒子径が4.5μmであった。
亜鉛を添加量しない以外は、実施例4と同様にオリビン型リチウム遷移金属酸化物を作製した。得られた焼成物は、結晶子径が328Å(32.8nm)、炭素含有量が2.7重量%、平均二次粒子径が4.8μmであった。
上述したオリビン型リチウム遷移金属酸化物を、正極活物質として用いたときの体積抵抗率は、四探針法により評価した。すなわち、8KNの圧力をかけた試料に4本の針状の電極を直線上に置き、外側の二探針間に一定電流を流し、内側の二探針間に生じる電位差を測定し抵抗を求め、この求めた抵抗の値に試料の厚さ及び補正係数をかけて体積抵抗率を算出している。
Claims (5)
- 組成がLix(Mn1−yM1y)1−zM2zPO4(ただし、式中x、y、zは、0.9<x<1.3、0≦y<1、0<z<0.3であり、M1は、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素であり、M2は、Zn、Mo、およびAlからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素である。)であるオリビン型リチウム遷移金属酸化物において、
前記金属元素M2の添加量が、前記組成のMnおよびM1に対し、元素比で0.1mol%以上10mol%以下であることを特徴とするオリビン型リチウム遷移金属酸化物。 - 前記金属元素M2がZnであり、前記組成のMnおよびM1に対し、Znが元素比で0.1mol%以上5mol%未満の量で添加されている請求項1に記載のオリビン型リチウム遷移金属酸化物。
- 組成がLix(Mn1−yM1y)1−zM2zPO4(ただし、式中x、y、zは、0.9<x<1.3、0≦y<1、0<z<0.3であり、M1は、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素であり、M2は、Zn、Mo、およびAlからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素である。)であるオリビン型リチウム遷移金属酸化物の製造方法において、
リン酸化物と、リチウム源と、炭素源と、前記金属元素M2の酸化物、リン酸化物または水酸化物と、溶媒とを含有するスラリーを調整する工程と、
前記スラリーに含まれる粒子を粉砕処理する工程と、
前記粉砕処理したスラリーを噴霧乾燥して前駆体とする工程と、
前記前駆体を不活性雰囲気のもとで熱処理する工程と、
を有し、前記スラリーを調整する工程において、前記組成のMnおよびM1に対し、前記金属元素M2を元素比で0.1mol%以上10mol%以下の量で添加することを特徴とするオリビン型リチウム遷移金属酸化物の製造方法。 - 前記熱処理の温度は、500℃以上800℃以下である請求項3に記載のオリビン型リチウム遷移金属酸化物の製造方法。
- 前記金属元素M2がZnであり、前記組成のMnおよびM1に対し、Znを元素比で0.1mol%以上5mol%未満の量で添加する請求項3または4に記載のオリビン型リチウム遷移金属酸化物の製造方法。
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