JP2012243856A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】静電容量の高い固体電解コンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】酸化皮膜13が表面に形成されている弁作用金属基体11を準備する第1の工程と、酸化皮膜13の表面に未乾燥導電性高分子膜を形成する第2の工程と、未乾燥導電性高分子膜を超臨界流体108中で乾燥して導電性高分子膜15を形成する第3の工程とを備える。
【選択図】図4
【解決手段】酸化皮膜13が表面に形成されている弁作用金属基体11を準備する第1の工程と、酸化皮膜13の表面に未乾燥導電性高分子膜を形成する第2の工程と、未乾燥導電性高分子膜を超臨界流体108中で乾燥して導電性高分子膜15を形成する第3の工程とを備える。
【選択図】図4
Description
本発明は固体電解コンデンサの製造方法に関するものである。
従来の固体電解コンデンサとして、例えば特許文献1に記載の積層型固体電解コンデンサが知られている。この積層型固体電解コンデンサは、弁作用金属基体と、酸化皮膜と、固体電解質層と、を備えている。この酸化皮膜は弁作用金属基体の表面に形成されている。また、固体電解質層は酸化皮膜の表面に形成されている。この積層型固体電解コンデンサでは、酸化皮膜が誘電体層、弁作用金属基体が陽極側の電極、固体電解質層が陰極側の電極としてそれぞれ機能する。
固体電解質層としては、導電性高分子膜からなるものが挙げられる。この場合、導電性高分子膜の形成方法としては、モノマーと酸化剤が溶解している溶液に弁作用金属基体を浸漬し、引き上げた後に大気中で乾燥させ、この浸漬と乾燥を繰り返して形成する方法が一般的である。
特許文献1の積層型固体電解コンデンサの静電容量は、酸化皮膜からなる誘電体層の表面積に対する導電性高分子膜の被覆率に依存する。すなわち、酸化皮膜の表面を導電性高分子膜が十分に被覆している場合には、静電容量が高くなる。ところが、特許文献1に記載の導電性高分子膜の製造方法では、近年の電子部品の高性能化の要求に対して静電容量が未だ不十分であるという問題が生じていた。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、静電容量の高い固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、酸化皮膜が表面に形成されている弁作用金属基体を準備する第1の工程と、酸化皮膜の表面に未乾燥導電性高分子膜を形成する第2の工程と、前記未乾燥導電性高分子膜を超臨界流体中で乾燥して導電性高分子膜を形成する第3の工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法では、超臨界流体が二酸化炭素であることが好ましい。
本発明では、固体電解コンデンサに形成された未乾燥導電性高分子膜の乾燥を超臨界流体中で行うため、従来の固体電解コンデンサに比べて、静電容量の高い固体電解コンデンサが得られる。
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
(第1の実施形態)
最初に、固体電解コンデンサについて説明する。図1は、固体電解コンデンサを示す平面図と断面図である。図1(a)は全体の平面図であり、図1(b)は(a)のA−A断面図である。なお、理解をしやすくするために、図の縮尺は一部変更して記載している。
最初に、固体電解コンデンサについて説明する。図1は、固体電解コンデンサを示す平面図と断面図である。図1(a)は全体の平面図であり、図1(b)は(a)のA−A断面図である。なお、理解をしやすくするために、図の縮尺は一部変更して記載している。
固体電解コンデンサ10は、図1(b)のように、弁作用金属基体11と、酸化皮膜13と、導電性高分子膜15と、カーボン含有層17と、銀含有層19と、保護マスク21と、を備えている。
弁作用金属基体11は、シート状の弁作用金属箔が複数積み重ねられ、接合されて形成されている。弁作用金属箔の幅及び厚さは、製造する固体電解コンデンサのサイズや静電容量によって適宜選択される。弁作用金属箔の材質としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム及びこれらの合金が挙げられる。
弁作用金属基体11は、引出部11aと容量部11bと保護マスク形成部11cとを有している。引出部11aは陽極リード部として用いられ、例えば外部回路の陽極端子(図示せず)に接続される。そのため、引出部11aの表面には酸化皮膜が形成されておらず、弁作用金属基体の表面は露出している。一方、容量部11bの表面には酸化皮膜13が形成されている。また、保護マスク形成部11cは引出部11aと容量部11bとを分画する位置にあり、保護マスク形成部11cの表面には保護マスク21が形成されている。
酸化皮膜13は、固体電解コンデンサ10の誘電体層として機能する。この酸化皮膜13は弁作用金属基体11の酸化膜であり、陽極酸化処理等で形成されている。
導電性高分子膜15は、酸化皮膜13の表面を覆い、容量部11bの隙間を充填するように形成されている。導電性高分子膜15の材質の例としては、チオフェン化合物、多環状スルフィド化合物、ピロール化合物、フラン化合物、アニリン化合物等を繰り返し単位として含むものが挙げられる。
カーボン含有層17は、導電性高分子膜15の表面を覆うように形成されている。また、銀含有層19は、カーボン含有層17の表面を覆うように形成されている。銀含有層19は、例えば外部回路の陰極端子(図示せず)に接続される。
なお、弁作用金属基体11の引出部11aは、折り曲げられていてもよい。また、固体電解コンデンサ10は、引出部11aの一部が少なくとも露出した状態で、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂により封止されていてもよい。
次に、本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法を説明する。図2〜図6は、本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法を示す平面図と断面図である。
まず、図2のような弁作用金属基体11を複数積み重ねた積層体を準備する。積層体は、図2(b)のように、1つの弁作用金属基体からなる引出部11aと複数の弁作用金属基体が互いに接合された容量部11bと保護マスク形成部11cとを有している。保護マスク21は、保護マスク形成部11cの表面に形成されている。また、酸化皮膜13は容量部11bの表面に形成されている。酸化皮膜13は、例えば、容量部11bを電解液に浸漬して陽極酸化処理を行うことにより形成される。このとき、保護マスク21の存在により、引出部11aと保護マスク形成部11cは電解液に浸漬されない。そのため、引出部11aの表面には酸化皮膜13が形成されない状態となる。
次に、図3のように、酸化皮膜13の表面に未乾燥導電性高分子膜14を形成する。具体的には、図3(a)のように、弁作用金属基体11をホルダ100に保持する。その後、弁作用金属基体11の容量部11bを容器102中の溶液104に浸漬して、未乾燥導電性高分子膜14を形成する。導電性高分子膜がポリエチレンジオキシチオフェンからなる場合、溶液104にはエチレンジオキシチオフェンとパラトルエンスルホン酸鉄とを含むエタノール溶液が用いられる。エチレンジオキシチオフェンは導電性高分子膜のモノマーである。また、パラトルエンスルホン酸鉄は、溶液中でパラトルエンスルホン酸イオンと鉄イオンに分離する。このうち、パラトルエンスルホン酸イオンは、導電性高分子膜の形成の際にドーパントとして機能する。また、鉄イオンは酸化剤として機能する。
このような溶液104に浸漬することにより、エチレンジオキシチオフェンからなるモノマーが重合反応により、ポリエチレンジオキシチオフェンからなる未乾燥導電性高分子膜となる。
次に、図4のように、未乾燥導電性高分子膜を超臨界流体108中で乾燥して導電性高分子膜15を形成する。具体的には、図4(a)のように、未乾燥導電性高分子膜が形成された弁作用金属基体11を、ホルダ100に保持した状態で圧力容器106にセットする。その後、圧力容器106内に二酸化炭素を注入しながら、圧力容器106内を、例えば温度40℃、圧力20MPaの条件にする。この条件下で、二酸化炭素は気体から超臨界流体108へと変化する。そして、超臨界流体108により未乾燥導電性高分子膜14中に残存している溶剤成分を抽出し、乾燥することにより導電性高分子膜15を形成する。このとき、エチレンジオキシチオフェンのモノマーが、重合反応によりポリエチレンジオキシチオフェンとなる。
次に、図示していないが、弁作用金属基体11を圧力容器106から取り出して水洗する。この未乾燥導電性高分子膜の形成から水洗までの工程を繰り返すことで、導電性高分子膜15の厚さを適宜調整することが可能である。
ここで、従来の固体電解コンデンサにおける未乾燥導電性高分子膜の乾燥は大気中で行われている。このとき、未乾燥導電性高分子膜自身が有する表面張力の影響により、未乾燥導電性高分子膜の体積が収縮する現象が生じる。未乾燥導電性高分子膜の体積が収縮すると、最終的に酸化皮膜に対する導電性高分子膜の被覆率が低下し、静電容量の低下につながる。
一方、本発明のように未乾燥導電性高分子膜の乾燥を超臨界流体中で行うことにより、未乾燥導電性高分子膜の水素結合が切断され、表面張力を減少させることができる。その結果、未乾燥導電性高分子膜の収縮が抑制でき、酸化皮膜に対しる導電性高分子の被覆率が上昇し、静電容量を高めることができる。
次に、図5のように、導電性高分子膜15の表面にカーボン含有層17を形成する。具体的には、図5(a)のように、弁作用金属基体11をホルダ100で保持した状態で、容器112中のカーボンペースト114に浸漬して、カーボン含有層17を形成する。
次に、図6のように、カーボン含有層17の表面に銀含有層19を形成する。具体的には、図6(a)のように、弁作用金属基体11をホルダ100で保持した状態で、容器116中の銀ペースト118に浸漬して、銀含有層19を形成する。
以上の工程で、固体電解コンデンサは作製される。
なお、本実施形態では、未乾燥導電性高分子膜は大気中で形成されているが、超臨界流体中で形成されていてもよい。
また、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
次に、この発明に基づいて実施した実験例について説明する。
(実験例)
実験例として、導電性高分子膜の乾燥を超臨界流体中で行った固体電解コンデンサを作製した。
実験例として、導電性高分子膜の乾燥を超臨界流体中で行った固体電解コンデンサを作製した。
最初に、弁作用金属基体を用意した。この弁作用金属基体は、長さ9mm、幅3.5mm、厚さ0.1mmのアルミニウム箔が4枚積層され、抵抗溶接により接合されたものである。また、容量部に相当する部分の表面には、厚さ0.01μmのアルミニウム酸化皮膜が形成されている。酸化皮膜は陽極酸化処理により形成される。
次に、エチレンジオキシチオフェンと、20重量%のパラトルエンスルホン酸鉄のエタノール溶液と、水とが、1:20:2の重量比になるように混合した。そして、この混合液に弁作用金属基体の容量部に相当する部分を浸漬して、未乾燥導電性高分子膜を形成した。
次に、圧力容器に弁作用金属基体をセットした。そして、圧力容器内に二酸化炭素を注入しながら、容器内の圧力を20MPa、温度を40℃、の条件にして二酸化炭素を超臨界流体状態にした。そして、超臨界流体状態になった二酸化炭素を1cc/分の流速で30分間フローさせた。その後、圧力容器内の圧力を大気圧まで下げて、弁作用金属基体を取り出した。その後、得られた試料を水洗した。この未乾燥導電性高分子膜の形成から水洗までの工程を10回繰り返して、導電性高分子膜を形成した。
次に、導電性高分子膜の表面にカーボン含有層と銀含有層とを順次形成した。
次に、アルミニウム箔の引出部と銀含有層にそれぞれリードフレームを接続した。そして、リードフレームの一部が露出するようにエポキシ樹脂で封止した。以上のようにして、外形寸法が4.3mm×7.3mm ×1.9mmの固体電解コンデンサを作製した。
(比較例)
導電性高分子膜の乾燥を120℃の大気中で20分間行った以外は実験例と同様の条件で、比較例の固体電解コンデンサを作製した。
導電性高分子膜の乾燥を120℃の大気中で20分間行った以外は実験例と同様の条件で、比較例の固体電解コンデンサを作製した。
得られた実験例と比較例の固体電解コンデンサの静電容量を測定したところ、実験例の固体電解コンデンサの静電容量は250.0μFであるのに対して、比較例の固体電解コンデンサの静電容量は242.4μFであった。すなわち、導電性高分子膜の乾燥を二酸化炭素からなる超臨界流体中で行うことにより、静電容量が約3%増加する結果となった。
10 固体電解コンデンサ
11 弁作用金属基体
11a 引出部
11b 容量部
11c 保護マスク形成部
13 酸化皮膜
14 未乾燥導電性高分子膜
15 導電性高分子膜
17 カーボン含有層
19 銀含有層
21 保護マスク
100 ホルダ
102、112、116 容器
104 溶液
106 圧力容器
108 超臨界流体
114 カーボンペースト
118 銀ペースト
11 弁作用金属基体
11a 引出部
11b 容量部
11c 保護マスク形成部
13 酸化皮膜
14 未乾燥導電性高分子膜
15 導電性高分子膜
17 カーボン含有層
19 銀含有層
21 保護マスク
100 ホルダ
102、112、116 容器
104 溶液
106 圧力容器
108 超臨界流体
114 カーボンペースト
118 銀ペースト
Claims (2)
- 酸化皮膜が表面に形成されている弁作用金属基体を準備する第1の工程と、
前記酸化皮膜の表面に未乾燥導電性高分子膜を形成する第2の工程と、
前記未乾燥導電性高分子膜を超臨界流体中で乾燥して導電性高分子膜を形成する第3の工程と、
を備える固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記超臨界流体が二酸化炭素であることを特徴とする、請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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