JP2012198879A - 抵抗膜式マルチタッチパネル及び抵抗膜式マルチタッチパネルに用いる電極シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上部透明基板に形成され略X方向に導通する上部電極群(X電極群という)と、下部透明基板に形成され略Y方向に導通する下部電極群(Y電極群という)とが、スペーサを介して向かい合わせとなるように配置され、該X方向とY方向は略直行状態にあるマトリックス抵抗膜方式のタッチパネルにおいて、
該上部および下部電極群のそれぞれの電極は、電極の導通方向または電極の導通方向から傾斜した方向に延びる複数の導電性細線と、これらの導電性細線の方向とは直交する方向または傾斜した方向に延びる複数の導電性連絡線とからなるセンサー部と、配線部とからなり、該導電性細線または導電性連絡線は、隣接電極の導電性細線または連絡線とは断線部により導通を遮断されていることを特徴とするマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
【選択図】図1
Description
抵抗膜式でマルチタッチ操作を可能とするために、従来の抵抗膜式タッチパネルは特許文献1の図1〜図3に示されるように均一な透明導電膜にバスバーを付与した上部電極、下部電極を有する構造であるのに対し、透明導電膜を複数の区画に分割することによりマルチタッチを可能とする試みがなされている。特許文献2では、上記の区画分割を上下の電極で行うマトリックス方式と、区画分割は上部、下部のいずれか一方のみで行う方式が開示され、更に入力エリアの分割電極にそれぞれ異なる電圧値を印加して検出精度を向上させる技術などが記載されている。
これらの従来の抵抗膜式タッチパネルの電極材料には以前からITOなどの透明導電膜が用いられてきたが、ITOなどの透明導電膜は、抵抗値が高いため、大画面化するには応答性が遅くなる問題があり、抵抗値を下げるために膜厚を上げるとその着色により画面の視認性が悪くなる問題が発生する。またアナログ抵抗膜方式では、検出電圧を入力位置に比例させる必要があるが、ITO膜の直線性が必ずしも高くないことも大画面化には問題となっている。
このため、ITOなどの透明導電膜の代わりに導電性粒子を樹脂中に分散させた異方導電樹脂を印刷して導電性細線としたマトリックス方式の抵抗膜式タッチパネルが特許文献3に記載されているが、細線の線幅が10〜500μm程度、実施例では50μmと記載され、細線の視認性の問題は解決されていない。
静電容量方式で開発の進んでいる不透明な金属細線を用いて電極を形成する技術を抵抗膜式タッチパネルの電極に応用すると、低抵抗電極の形成には有利である反面、上下電極をタッチ面から透視したときに金属細線が視認されてしまう問題や、タッチパネルを積層する画像表示装置と金属細線とが干渉してモアレが発生するなどの問題がある。
[1]上部透明基板に形成され略X方向に導通する上部電極群(X電極群ともいう)と、下部透明基板に形成され略Y方向に導通する下部電極群(Y電極群ともいう)とが、スペーサを介して向かい合わせとなるように配置され、該X方向とY方向は略直行状態にあるマトリックス抵抗膜方式のタッチパネルにおいて、
該上部及び下部電極群のそれぞれの電極は、電極の導通方向又は電極の導通方向から傾斜した方向に延びる複数の導電性細線と、これらの導電性細線の方向とは直交する方向又は傾斜した方向に延びる複数の導電性連絡線とからなるセンサー部と、配線部とからなり、該導電性細線又は導電性連絡線は、隣接電極の導電性細線又は連絡線とは断線部により導通を遮断されていることを特徴とするマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[2]該導電性細線は電極の導通方向に対し30°〜60°傾斜し、該導電性連絡線は電極の導通方向に対し−30°〜−60°傾斜していることを特徴とする項1に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[3] 該上部電極と下部電極を重ねてタッチ面側から透視したとき、略均一な格子模様が形成されていることを特徴とする項1又は2に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[4] 該センサー部の抵抗値をRi(Ω)、該配線部の抵抗値をri(Ω)としたとき、その比Ri/riが4以上、50以下であることを特徴とする項1〜3のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[5] 該センサー部の抵抗値をRi(Ω)、該配線部の抵抗値をri(Ω)としたとき、その比Ri/riが5以上、30以下であることを特徴とする項1〜3のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[6] 該上部電極群及び該下部電極群は、それぞれの電極の間隔は、1mm以上8mm以下であることを特徴とする項1〜5のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[7] 該上部電極群及び該下部電極群は、それぞれの電極の間隔は、3mm以上6mm以下であることを特徴とする項1〜5のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[9] 該電極は、上部若しくは下部透明基板上に形成された易接着層の上に形成されていることを特徴とする項1〜8のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[10] 該電極の導電性細線の一電極あたりの結合細線本数は、3本から80本であることを特徴とする項1、3〜9のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[11] 該センサ部の導電性細線と導電性連絡線の線幅が1μm以上10μm以下であることを特徴とする項1〜10のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[12] 該センサ部の導電性細線と導電性連絡線の線幅が1μm以上5μm以下であることを特徴とする項1〜11のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[13] 該センサ部の導電性細線と導電性連絡線の厚みが0.5μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[14] 該センサ部の導電性細線と導電性連絡線の厚みが1.0μm以上1.5μm以下であることを特徴とする項1〜12のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[16] 該センサ部の抵抗値は、30Ω/□〜100Ω/□であることを特徴とする項1〜14のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[17] 該配線部の導線の線幅が50μm〜1mmであることを特徴とする項1〜16のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[18] 該配線部の導線の線幅が60μm〜750μmであることを特徴とする項1〜16のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[19] 該上部電極及び下部電極の、それぞれ隣り合う電極間に設けられている導電性細線又は導電性連絡線の断線部の平均長さは、10μm以上、200μm以下であることを特徴とする項1〜10のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[20] 該上部電極及び下部電極の、それぞれ隣り合う電極間に設けられている導電性細線又は導電性連絡線の断線部の平均長さは、20μm以上、120μm以下であることを特徴とする項1〜10のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[21] 該導電性細線又は導電性連絡線の断線部の設けられる位置はランダムに形成されていることを特徴とする項20に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[22] 該上部電極と下部電極とが、該電極表面が向かい合わせとなるようにスペーサである貼合材により空間を介して積層され、該貼合材の厚みが100μm〜300μmであることを特徴とする項1〜21のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[23] 該貼合剤により形成された下部電極上の空間にドットスペーサが配置され、その間隔Lが2mm以上、8mm以下であり、高さHDが以下の式(1)を満たすことを特徴とする項1〜22のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
0.7HD≦2Hd+V≦1.3HD 式(1)
ここで、Hdは上下電極群の細線の透明基材の最表面からの突出高さ
Vは、上部透明基板のたわみ量を表す。
たわみ量Vは、 V=W×L3/(48×E×I)でもとめられ、
Wはタッチの押し圧(目安として200gの力で押すとする)
Lはドットスペーサの配置間隔(m)
Eは透明基板の材料のヤング率(GPa)
Iは透明基板の断面二次モーメントである。
[24]該貼合剤により形成された下部電極上の空間にドットスペーサが配置され、その間隔Lが2mm以上、8mm以下であり、ドットスペーサの高さが1μm以上、15μm以下であることを特徴とする項23に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[25]該上部電極群及び該下部電極群は、それぞれ導電性金属薄膜又は、ハロゲン化銀写真感光材料膜から形成されることを特徴とする項1〜24のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[26]該上部電極群及び該下部電極群の該センサ部と該配線部とは、同時にパターン形成されることを特徴とする項1〜25のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
[27]項1〜26のいずれかに記載の上部電極を構成する電極群が、電極に接続する配線部を介して1本の電極線となるように、外部接続端子内でスイッチされ、上部電極と同様に下部電極も1本の電極線となるように、外部接続端子内でスイッチされたことを特徴とするアナログ抵抗膜方式のタッチパネル。
本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
抵抗膜方式のタッチパネルでは、入力者による指やペンによるタッチにより透明基板がたわみ、その結果、上部電極群21と下部電極群22の押圧部が接触して短絡する。そのため一方の電極を可動電極、他方を固定電極とするのが通常である。本発明においては、上部電極を可動電極、下部電極を固定電極としている。可動電極を構成する上部透明基板11は可撓性の透明基板である。
必要に応じて設けられるハードコート層は、タッチ面となる上部透明基板11を保護、強化するための層であり、上部透明基板11の耐傷性のためのハードコート機能だけでなく、汚れ防止、帯電防止、反射防止などの機能を有する層である。必要に応じて設けられる易接着層41、42は、電極群21、22がタッチによる応力により透明基板11、12から剥離して断線するなどのトラブルを避けるための層である。貼合剤31は、タッチの無い状態では上部電極群21と下部電極群22が接触しないように、上部電極群21と下部電極群22との間に空間(空気層32)を保つ機能を持つ材料で、一般にはスペーサと呼ばれる。本発明においては、パネルの周縁部(タッチ面の外側)で用いられ空間保持機能と上部電極群21と下部電極群22との貼り合わせ機能を持つ材料を貼合剤31と呼び、タッチ面内で上部電極群21と下部電極群22の接触を防止する機能を持つ材料をドットスペーサと呼ぶ。ここで、周縁部とは、タッチパネルのタッチ部(図3、5、7で点線60で表された矩形部分)を構成するセンサ部を除く配線部、外部接続端子、枠などを含む部分を指す。
図1には記載していないが、下部透明基板12の下側に、下部透明基板12の強度を補強するために更に透明基板があってもよい。ハードコート層と上部透明基板11など、各種の層を積層するためには接着剤が用いられるが、煩雑になるため図1では例示していない。
本発明のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネルは、上部透明基板に形成され略X方向に導通する上部電極群(X電極群ともいう)と、下部透明基板に形成され略Y方向に導通する下部電極群(Y電極群ともいう)とが、スペーサを介して向かい合わせとなるように配置され、該X方向とY方向は略直行状態にあるマトリックス抵抗膜方式のタッチパネルにおいて、該上部及び下部電極群のそれぞれの電極は、電極の導通方向又は電極の導通方向から傾斜した方向に延びる複数の導電性細線と、これらの導電性細線の方向とは直交する方向又は傾斜した方向に延びる複数の導電性連絡線とからなるセンサー部と、配線部とからなり、該導電性細線又は導電性連絡線は、隣接電極の導電性細線又は連絡線とは断線部により導通を遮断されていることを特徴とするマトリックス抵抗膜方式のタッチパネルである。
図4では、センサー部のパターンが、電極の導通方向に延びる複数の導電性細線と、これらの導電性細線の方向とは直交する方向に延びる複数の導電性連絡線とからなる格子構造のセンサー部を形成し、図6ではセンサー部のパターンが菱型の格子構造となっている。以下に、図4及び図6の本発明のタッチパネルについて詳しく説明する。
図5のタッチ面透視図は、図3の従来例と同様に、規則的な格子配列に見えるが、それぞれの格子が重ならないように、半格子分だけずらして積層したため、図3の格子に対し、1/4の大きさの格子となっている。このようにすることにより、格子の線幅を図3の格子より狭くすることができ、金属細線の格子そのものの視認をしにくくすることができる。更には、図3の格子の空間にも電極細線があり、かつ断線部があるため、導電体のある部分と無い部分の屈折率差による反射ムラなどが認識されにくくすることが可能である。
一方、上記の導電性細線及び導電性連絡線を、電極の導通方向に傾斜させ、電極のセンサー部のパターンを菱型の格子構造とした電極を図6に例示した。図4と図6の違いは、図4の発明のセンサー部の構造が矩形格子のパターンであるのに対し、図6は菱型格子のパターンであることである。菱型格子のパターンは前記の画素電極の辺と平行となる導線の配置がないため、モアレを発生しにくい。
モアレの防止のためには、タッチパネルのタッチ面内の電極細線の方向を、画像表示装置内の電極や画素のラインと平行にならない様に配置することが有効である。図6では、タッチパネルの略矩形のタッチ面の辺に対し細線の方向が約45°傾斜するように配置している。傾斜角は10°以上が好ましく、30°以上がより好ましい。モアレとタッチ検出の確度向上のためには、45°付近が最も好ましい。
なお、これまで上部電極群と下部電極群を直交配置したときの説明をしてきたが、直交している必要は無く、モアレが解消していれば良く、交差角が30°〜150°であっても良い。図7では、ドットスペーサー33を上下電極群の断線部の交点に配置した例を示している。
図8は上部電極群図4Aをタッチパネル外の演算装置MCUを含めて記載した図である。演算装置MCUと接続する2つの外部接続端子57fiと57biとの間の抵抗値RTiは、センサ部である格子状電極の抵抗値Riと、センサ部と外部接続端子間の2つの配線部の抵抗値rfiとrbiの和、即ち、RTi=rfi+Ri+rbiと記載することができる。ここで、iは電極の番号を示し、rfiは、一方の配線部抵抗値を表し、rbiは他方の配線部抵抗値を表す。
上部電極群図4Aの電極21−iを例として説明する。電極21−iの両端にある外部接続端子57f1と57b1との間の端子間抵抗RT(21−i)は、rf(55−i)+R(21−i)+rb(55−i)と記載される。ここで、()内は電極の番号を表している。本発明においては、端子間抵抗値RTiは、iにより異なっても良いし、同一であってもよく、検知する電圧範囲の制御のしやすさにより選択することができる。
本発明において、特に好ましい態様では、センサ部の抵抗Riと、配線部の抵抗rfi+rbiとの比であるR(ratio)=Ri/(rfi+rbi)を特定の範囲に設定することにより応答精度を高めることができる。比R(ratio)の変更は、センサ部と周縁部である配線部の導線の抵抗値を何らかの手段により変更することにより可能である。例えば配線部の導線の線幅を変えることにより変更することができる。ここでセンサー部の抵抗値Riは、図中の点線60で囲まれるタッチ部のみならず、電極の格子を形成している部分の抵抗値を表わす。比R(ratio)は4以上、50以下であることが好ましく、5以上、30以下であることがより好ましい。比R(ratio)を4以上、50以下とすることにより、タッチに対する応答精度を高める(検出の確実性の向上)ことができる。
上部電極群及び下部電極群のそれぞれの電極の間隔dは、1mm以上、8mm以下が好ましく、2mm以上、7mm以下がより好ましく、3mm以上、6mm以下が特に好ましい。上記の範囲とすることで、大画面にしても迅速な処理が可能となる。電極を構成するセンサ部の細線間距離d1は100μm以上600μm以下が好ましく、150μm以上350μm以下が更に好ましい。100μm以上600μm以下とすることで、光の透過性と抵抗値を下げることの両立を図ることができる。
電極の一電極あたりの結合細線数は、3本から80本が好ましく、4本から50本がより好ましく、5本から20本が特に好ましい。このような範囲の導電性細線を結合することにより、安定な測定が可能となる。
センサ部の導電性連絡線の間隔d3は、100μm以上600μm以下が好ましく、150μm以上350μm以下が更に好ましい。100μm以上600μm以下とすることで、断線などの故障が発生したときにも安定な測定が可能となる。
センサ部の導電性細線と導電性連絡線の厚みは、低い抵抗値を得るためには厚膜化が望ましいが、タッチによる電極のたわみ耐性のためには適度な厚み範囲とすることが好ましく、0.5μm以上、5μm以下であることがより好ましく、1.0μm以上、1.5μm以下であることが特に好ましい。
センサ部の抵抗値(通常は表面抵抗率で表し、単位はΩ/□またはΩ/sq.で表す)は、10Ω/□〜500Ω/□が好ましく、30Ω/□〜100Ω/□が更に好ましい。10Ω/□〜500Ω/□の範囲であると、良好な導通性が得られる。
配線部の導線の線幅は50μm〜1mmであることが好ましく、60μm〜750μmが更に好ましい。
本発明では図4A、4Bのように上部電極、下部電極のそれぞれを均一な格子とし、更に隣接電極との導通を避けるために断線部53を設けている。この断線部の長さd4の平均値は10μm以上、100μm以下であることが好ましく、20μm以上、50μm以下がより好ましい。
断線部は、図4A、4Bに例示したように、隣接する電極の外側の導電性細線間に、上記の長さで断線部を設けるが、導電性細線間にランダムに断線部を設けることが好ましい。ランダムに形成することにより、上記の光学ムラの発生が防止できる。 導電性細線間にランダムな断線部を設けるためには、断線部の長さ及び、断線部の位置を一定ではなく、ランダムとすることが望ましい。具体的には、導線部の長さd4の平均値は上記の10μm以上、100μm以下としつつ、断線部長さの標準偏差と平均値の比(断線部長さの標準偏差/断線部長さの平均値)は、0.20〜0.65とすることが好ましい。0.2未満であると断線部領域が矩形に近づきムラの視認の可能性があり、0.65を超えると隣接の電極の導電性細線と導通する危険性が発生する。断線部は通常、隣接電極間の中央部(図4Aでは、dで表される矢印の中央部)に設けられるが、断線部の中点が、隣接電極間の中点と一致しないように設けることが好ましい。
以下では、上記の電極に用いられる材料及び電極の製造方法について順次説明する。
上記のタッチ面を構成する可撓性上部透明基板11、下部透明基板12に用いられる透明な材料は同じ材料でもよいし、それぞれ別々の材料を用いてもよく、プラスチックフィルム、プラスチック板、ガラス板等が用いられる。層の厚みはそれぞれの用途に応じて適宜選択することが望ましい。これらの材料は可撓性を持つことが好ましい。
〔易接着層に用いられる材料と層の形成方法〕
本発明の易接着層41、42は透明基板上に一層若しくは二層の易接着層を有し、該層にバインダー樹脂、架橋剤及び添加剤を含有する。
本発明に用いられるバインダー樹脂としては、特に制限されるものではないが、(a)アクリル樹脂、(b)ポリウレタン樹脂、(c)ポリエステル樹脂、(d)ゴム系樹脂等のポリマーを好ましく用いることができ、これらの具体的な化合物については、特開2007−203635号の[0020]〜[0023]に記載の化合物を用いることができる。
二層構成の場合、可撓性透明基板に接する第一の易接着層がポリエステルからなり、第二の易接着層がアクリル樹脂あるいはウレタン樹脂からなる構成とすると易接着性を発現させやすい。第一と第二の易接着層に用いる架橋剤は、オキサゾリジン化合物、エポキシ化合物、あるいはイソシアネート化合物であることが好ましい。第二の易接着層は最外層となるためすべり剤を用いることが好ましい。
(図示せず)。粘着層には、導電性を有さない接着剤を用いることができる。接着剤には多数のものがあり、これらの中で、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、フェノール樹脂系、ビニル樹脂系などが用いられる。層形成のための方法に特に制約はないが、スクリーン印刷法などを用いることができる。
以下では、上記の電極に用いられる材料及び電極の製造方法について順次説明する。
本発明の上部電極群及び下部電極群を形成することのできる導電性材料について以下に説明する。
従来、タッチパネルの電極を構成する材料として、ITOなどの光透過性のある導電性材料が用いられてきたが、本発明のタッチパネルの電極は、10μm以下の導電性細線を利用するため、従来のITOなどよりも低抵抗の材料を用いる必要があり、導電性の高い金属又は合金を用いることが好ましい。このような金属としては、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、アルミニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛などをあげることができる。これらの中で導電性に優れる点で、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、アルミニウム、及びこれらとの合金が好ましい。
これらの金属あるいは合金での電極形成には、以下のA)〜C)に記載の材料と方法の利用ができる。本発明で特に好ましいのは、A)とC)の材料と方法の利用である。
薄膜として利用するには、まず、基材上に上記の金属あるいは合金を、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法などによって、あるいは鍍金法や金属箔の貼り合わせなどで金属薄膜を形成する。次いでこの金属薄膜に以下のパターニングを施して格子状電極(メッシュ電極ともいう)を形成する。上記メッシュパターンをフォトエッチングにより形成する場合、金属薄膜上にフォトレジスト膜を形成しフォトマスクを用いて露光し、現像液で現像することによりレジスト膜のメッシュパターンを形成する。これをエッチング液によりエッチングし、レジスト膜を剥離除去することにより細線金属線からなるメッシュパターンを形成する。あるいは、印刷レジストにより形成する場合は、金属薄膜上にスクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット等の方法でレジスト膜のメッシュパターンを印刷し、エッチング液により金属薄膜におけるレジスト被覆部以外をエッチングし、レジスト膜を剥離することにより金属細線のメッシュパターンを形成する。
導電性ナノ粒子は、上記の金属の微粒子の他にカーボンを用いてもよい。導電性ナノ粒子は金、銀、パラジウム、白金、銅、カーボン、又はそれらの混合物を含む粒子が好ましい。ナノ粒子の平均粒径は2μm以下、好ましくは200nmから500nmであり、従来のミクロン粒子よりも粒径が小さいものがメッシュパターンを形成する上で好ましい。メッシュパターン印刷には、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法が用いられる。
インク(又はペースト)が含む導電材料は、金属粒子でなく、導電性繊維であってもよい。本件においては、導電性繊維には、金属ワイヤー、ナノワイヤーと呼ばれる繊維状の物質、中空構造のチューブ、ナノチューブを含めて呼称する。金属ナノワイヤーの平均短軸長さ(「平均短軸径」、「平均直径」と称することがある)としては、100nm以下が好ましく、1nm〜50nmがより好ましく、10nm〜40nmが更に好ましく、15nm〜35nmが特に好ましい。導電性繊維を用いて導電層を形成する場合には、例えば、特開2009−215594、特開2009−242880、特開2009−299162、特開2010−84173、特開2010−87105、特開2010−86714に開示の技術を組み合わせて形成することができる。
本発明における導電性の細線パターンを得る方法には、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面の小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
また、本発明に用いる材料と導電性パターンの製法については、メッシュ状の電磁波シールド膜の発明である特開2006−352073号の記載と技術、静電容量方式のタッチパネルの発明である特願2009−265467号の記載と技術を用いることができる。
次に本発明の上部電極群及び下部電極群の形成方法について説明する。
はじめに電極を形成する材料として、金属箔、あるいは薄膜としての利用(上記A))の場合の形成方法を図9を参照しながら説明する。図9の(a)はタッチ面を兼ねる上部透明基板11であり、たとえば約100μmのPETフィルムである。このフィルムの表面を清浄化し、次いでこのフィルムの表面に、金属あるいは合金の薄層21を設ける(図9の(b))。金属あるいは合金の薄層21を設ける前に、前述の易接着層を設けることが好ましいが、本図面では省略した。
金属あるいは合金の薄層を設ける方法には真空製膜法と化学的製膜法とがあるが、膜が薄い場合は蒸着法などの真空製膜法が用いられる。スパッタ法やイオンプレーティング法は蒸着法よりも導電性のよい膜が得られやすく好ましい方法である。膜厚が500nmを超える場合には電解メッキ法や無電解メッキ法を用いることができ、低コストで製膜でき好ましい。
次に上記で形成した金属薄膜上にフォトレジスト膜を形成しフォトマスク(図4a、図6などからマスクを起こしたもの)を用いて露光し、現像液で現像することにより硬化したレジスト膜のパターンを形成する。これをエッチング液によりエッチングして電極細線以外の部分を除去し、残った電極際線上の硬化したレジスト膜を剥離除去することにより金属細線からなる電極パターンを形成する(図9の(c))。図9の(c)の51が形成された電極の導電性細線51を表している。
次に上記で形成されたセンサー電極に必要に応じて黒化層45を設ける(図9の(d))。黒化層(被覆層)の厚みは、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、0.2μm以上2μm以下が特に好ましい。次にこの黒化層(被覆層)の電極細線を被覆していない視認部上の黒化層をフォトリソグラフィー法により除去することにより、視認性、耐久性に優れたパターンの電極パターンを形成することができる(図9の(e))。
なお、本発明に用いるハロゲン化銀写真感光材料については、現像銀による細線パターンを用いた電磁波シールド膜の発明である特開2006−352073号に詳細に説明されている。
図10の(a)はタッチ面を兼ねる上部透明基板11であり、たとえば約100μmのPETフィルムである。このフィルムの表面を清浄化し、次いでこのフィルムの表面に、ハロゲン化銀写真感光材料の薄層70を設ける(図10の(b))。この薄層70はまだ電極が形成されておらず、電極の前駆体層である。図では示していないが、透明基板と薄層70の間には、易接着層となる下塗り層を設けるのが通常である。ハロゲン化銀写真感光材料には、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀、ゼラチンなどのバインダー、塗布助剤や感度調整用の各種添加剤が含まれる。塗布銀量(銀塩の塗布量)は、銀に換算して1〜30g/m2が好ましく、1〜25g/m2がより好ましく、5〜20g/m2が更に好ましい。現像処理により形成される銀像に導電性を付与するためには、銀とバインダーの体積比を0.1〜10とすることが好ましく、0.5〜8とすることがより好ましく、0.7〜5.0とすることが特に好ましい。塗布銀量とバインダーの量を上記範囲とすることで、露光、現像処理後の導電シートが所望の表面抵抗を得ることができる。薄膜の形成は、写真材料の製造に用いられる多層塗布機を用いることが好ましい。
上記の貼合材は、厚みが50μm以上、300μm以下であることが好ましく、100μm以上、250μm以下であることがより好ましく、120μm以上、200μm以下が特に好ましい。貼合材は、タッチ面に入らないように配置するため、透明な材料である必要はなく、上記の厚みを満たせば任意の高分子材料を用いることができる。加工のしやすさからは市販のプラスチックフィルムを使用することができ、本発明の電極の透明基板11、12に用いられる材料に記載したフィルムを用いることができる。本発明の貼合材は、これらのフィルムの両面に粘着剤層を設けて使用される。
図13は、ドットスペーサが形成される面の違いを示し、図13aは易接着層上に電極細線とドットスペーサとが形成されている場合の例であり、図13bは易接着層上に現像方式による銀像の電極が形成され、ドットスペーサは感光性層の感光しなかった部分の現像定着処理後の膜の上に形成されている。
本発明の抵抗膜式タッチパネルは、3箇所あるいは4箇所のドットスペーサに支持される可動電極(本願では上部電極)がタッチ(押圧)によりたわむことを利用して導通させているため、押圧によるたわみ量と、ドットスペーサの高さと電極細線の高さの差との関係によっては、タッチ検出の誤作動を起こす。図12においては、押圧によるたわみ量に対し、ドットスペーサの高さと電極細線の高さの差を適切に設定する必要がある。
ドットスペーサは、電極の上を避けて電極間の隙間に配置されることが好ましくかつタッチされた時に対抗電極の電極細線を押さないように配置することが望ましい。ドットスペーサが電極細線を押すことにより電極細線の耐久性を損なうことを避けるためである。ドットスペーサの配置間隔Lは、2mm以上、8mm以下で配置(本件の電極の間隔2mm以上、8mm以下に対応させた場合)することが好ましく、3mm以上、7mm以下がより好ましく、4mm以上、6mm以下が特に好ましい。
ここで、たわみ量Vは、
V=W×L3/(48×E×I)
でもとめられ、
Wはタッチの押し圧(目安として200gの力で押すとする)
Lはドットスペーサの配置間隔(m)
Eは透明基板の材料のヤング率(GPa)
Iは透明基板の断面二次モーメント
である。
本発明においては、
0.7HD≦2Hd+V≦1.3HD 式(1) を満たすことが好ましく、
0.8HD≦2Hd+V≦1.2HD 式(2) を満たすことがより好ましく、
0.9HD≦2Hd+V≦1.1HD 式(3) を満たすことが更に好ましい。
ドットスペーサの形状は半球状であっても高さ方向に伸ばした半球状、柱状で上部が曲面を持つ形状であってもよく、底面の大きさは円の場合は直径、方形の場合は一辺の長さが、10μm以上、100μm以下が好ましく、30μm以上、80μm以下がより好ましい。
ドットスペーサーに用いる材料は、メラミンアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、メタアクリルアクリレート樹脂、アクリルアクリレート樹脂などのアクリレート樹脂、ポリビニールアルコール樹脂などの透明な光硬化型樹脂を用いることができ、これらの樹脂をフォトプロセスで微細なドット状に形成して得ることができる。また、印刷法により微細なドットを多数形成してスペーサーとすることもできる。
(タッチ画面の視認性1 画面の見易さ)
画面の見易さで評価。パターンの一部が感知される極端な場合から、形状の認識はされないが画面にザラツキを感じる場合までを含む。
×評価 画像以外の形状が認識される。又は画面に線太り感又は反射光のムラなどザラツキ感がある。
△評価 見る方向により線太り、若しくは反射光のムラなどザラツキを感じることがある。
○評価 画面が均一に見える。
A4サイズの上部電極を液晶表示装置に、電極の長さ方向と画面の横方向が平行となるように貼り付け、ベタ表示で明るさをかえてモアレが検出できるかどうかを調べた。
×評価 容易にモアレが観察される。
△評価 画面の明るさ、彩色の変化、見る角度の変化など評価条件によってモアレが観察されることがある。
○評価 条件を変えてもモアレが観察されない。
×評価 タッチを繰り返した場合に、位置を誤認する場合がある。
△評価 タッチを繰り返した場合に、稀に位置を誤認する場合がある。
○評価 タッチを繰り返しても精度よく検出できる。
×評価 タッチを1万回繰り返すと、電極細線の断線や浮き上がりが検出される。
△評価 タッチを5万回繰り返すと、電極細線の断線や浮き上がりが検出される。
○評価 タッチを5万回繰り返しても異常は検出されない。
作成したタッチパネルの外部接続端子(57f、57b)間の抵抗値RTを各電極ごとに直読しRTiとする。次に配線部の配線、例えば図4Aの55−1などの抵抗を直読し、これを配線部抵抗ri(ri=rfi+rbi)とする。センサ部の抵抗値Riは、Ri=RTi−riにより求め、抵抗比をRi/riから計算する。
〔易接着層を有する上部及び下部透明基板の製造〕
厚さが100μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記載)フィルム支持体の両面にコロナ放電処理を行った後、この両面に下記の第1層塗布液をバーコート法により塗布、乾燥して第1層を形成した。その後、形成した第1層の表面に下記の第2層塗布液をバーコート法により塗布、乾燥することにより、フィルムの片面に2層構成の易接着層を有するPETフィルムを製造した。なお、第1層、第2層の乾燥後の厚みは、それぞれ0.08μm、0.09μmであった。
・ポリエステル樹脂バインダ(大日本インキ化学工業(株)製、ファインテックスES650、固形分29質量%)
49.7質量部
・架橋剤としてエポキシ系化合物(ナガセ化成(株)製、ディナコールEX−314)
樹脂バインダに対し6質量%
・界面活性剤A(三洋化成工業(株)、サンデットBL、固形分10質量%、アニオン性)
2.3質量部
・界面活性剤B(三洋化成工業(株)、ナロアクティー HN−100、固形分5質量%、ノニオン性)
5.36質量部
・マット剤Aとしてシリカ微粒子分散液(日本アエロジル(株)製、OX−50の水分散物、固形分10質量%)
2.4質量部
・マット剤Bとしてコロイダルシリカ分散液(日産化学(株)製、スノーテックス−XL、固形分10質量%)
4.6質量部
全体が1000質量部となるように蒸留水を添加して調製。
・アクリル樹脂バインダ(MMA59モル%、St9モル%、2EHA26モル%、HEMA5モル%、AA1モル%のラテックス、固形分濃度28質量%)
62.7質量部
・架橋剤としてエポキシ系化合物(ナガセ化成(株)製、ディナコール
EX−314)
上記の樹脂バインダに対し6質量%
・第1層塗布液のマット剤A 2.7質量部
・第1層塗布液のマット剤B 4.6質量部
・第1層塗布液の界面活性剤A 1.9質量部
・第1層塗布液の界面活性剤B 5.36質量部
・すべり剤(中京油脂(株)、カルナバワックス分散物 セロゾール524 固形分3質量%) 7.6質量部
全体が1000質量部となるように蒸留水を添加して調製した。なお、上記において、MMAはメチルメタアクリレートを、Stはスチレンを、2EHAは2−エチルヘキシルアクリレートを、HEMAはヒドロキシエチルメタアクリレートを、AAはアクリル酸を表す。
なお、下部電極群22を有するシートは上部電極群を有するシートと同様にして作成できるので、同一部分の説明は省略した。
上記で作成した、片面に2層構成の易接着層を有する100μm厚みのPETフィルムの易接着層の表面に、スパッタ法を用いて金属銅の厚み2μmの薄層を設けた。
次に上記で形成した銅薄膜上に、フォトレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜に、下記のフォトマスク1を重ねて露光し、現像液で現像することにより、露光部が硬化したレジスト膜のメッシュパターンを形成した。これを塩化第二鉄エッチング液によりエッチングし、更に硬化したレジスト膜を剥離除去することにより、略格子状パターンの導電性細線からなる上部電極群と配線部(図4Aの55)を有する上部電極シート1を形成した。なお、フォトマスク1として用いたパターンのパラメータは、図4Aにおいて、配線部の導線55-iの線幅を1.45mm、電極間距離(d)が3mm、略格子状電極の導電性細線51−iの幅が3μm、導電性細線51間の距離(d1)が500μm、導電性細線の連絡線52-iの幅が3μm、連絡線52間の距離(d3)が500μmとし、一電極あたり6本の導電性細線を両端で連結し一電極とした。連絡線にある断線部の長さ(d4)は50μm、位置は電極間でランダムにずらしたパターンとし、A4サイズの上部透明基板である易接着層付のPETシート上にこの電極を20本形成するパターンとした。
上部電極シート8は上部電極シート7の電極センサ部の導電性細線の線幅を100μmとする以外は、上部電極シート7と同様にして作成した。
を除くことにより、ドットスペーサ付の下部電極を作成した。ドットスペーサの位置は、電極の間とし、約3mm間隔で、高さが約8μm、底面は約20μmの円となるようにした。
下部電極は固定電極とするため、透明基板であるPETの電極群とは反対側に3mm厚さのガラス板を接着し下部電極シート1〜10とした。
(実施例1〜10、及び比較例1〜4)
下部電極シート1の外部接続端子の部分を除く周縁部を囲み、タッチ面よりは広い開口を有する厚みが100μmのPETフィルムの両面に粘着材層を設けた貼合材31を下部電極シート1に積層した。貼合材31の上に上部電極シート1を、上下の電極の向きが直行して電極が相互に対向するように重ね、圧着して約150μmの空間ができるようにした。上部電極シート1の上部透明基板上に、タッチ面部分のみが露出し、他の部分は隠されるカバーを取り付け、実施例1のタッチパネルとした。
上部電極シート2〜4、9、10と、それぞれ対応する下部電極シート2〜4、9、10とを組み合わせて、実施例1と同様にして実施例2〜6のタッチパネルを作成した。また、上部電極には上部電極シート10を用い、下部電極シート11〜14を組み合わせて実施例7〜10のタッチパネルを作成した。
また、下部及び上部電極シート5〜8をそれぞれ用い、実施例1と同様にして比較例1〜4のタッチパネルを作成した。
はじめに、上部電極群21を有するシートの作り方について説明する。
なお、下部電極群22を有するシートは上部電極群を有するシートと同様にして作成できるので、同一部分の説明は省略した。
幅30cmのロールから引き出したPETフィルムに清浄化処理を施した後、その表面にコロナ放電処理を施し、易接着層41として、ゼラチンを含む下塗り液を0.2μm厚みの固形分量となるように塗布した。
この下塗り層の表面上に、下記のハロゲン化銀感光材料を含む塗布液を銀の塗布量が8g/m2となるように塗布し、図9(b)の試料を作成した。なお、このときの塗布幅は25cmで塗布長は20mであり、塗布から現像定着処理が完了するまで、塗布層を有するフィルムは暗室下で扱われる。
水媒体中のAg150gに対してゼラチン10.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する乳剤を調製した。この乳剤中には、K3〔Rh2Br9〕及びK2〔IrCl6〕を、濃度が10−7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNa2PdCl4を添加し、更に塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤を加えて塗布液とした。なお、Ag/ゼラチン体積比は1/1とした。
このパターンのフォトマスクを上記で作成した図10(b)の感光材料21の表面に密着させ、高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて面露光し、パターン状に感光した部分と非感光部分を有する試料(図10(c))を作成した。この試料に、以下の現像処理を施し、導電性の細線構造を有するセンサー電極を配列した上部電極シートを得た。なお、現像処理では感光した部分に形成された乳剤中の潜像を核として現像銀の集合体が形成され導電性の細線となる。
ハイドロキノン 20 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール2000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.3に調整
〔定着液処方〕 1リットルあたりの含有量で水量は省略
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300 ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
1,3−ジアミノプロパン・四酢酸 8 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
処理機:富士フイルム社製自動現像機(FG−710PTS)
処理条件:現像が35℃ 30秒、
定着が34℃ 23秒、
水洗が流水(5L/分)の20秒処理。
但し、本発明の実施例では、ドットスペーサを下部電極シートのみに形成する。具体的には、上部電極シート15を作成後、上部電極シート15上に紫外線硬化性のアクリル樹脂を塗布し、フォトリソグラフィー法を用いて所望の位置のみが紫外線により硬化するようにし、未硬化樹脂を除くことにより、ドットスペーサ付の下部電極シート15を作成した。ドットスペーサの位置は、電極の間とし、約3mm間隔で、高さが約8μm、底面は直径が約20μmの円となるようにした。
また、下部電極は固定電極とするため、透明基板であるPETの電極群とは反対側に3mm厚さのガラス板を接着し下部電極シート15とした。
電極シート15に対し、易接着層(下塗り層)を設けないこと以外は電極シート15と同様にして、電極シート16を作成した。
電極シート17は、フォトマスク9を用いて導電性細線が45°傾斜したパターンを有する電極シートを作成した。
電極シート18は、フォトマスク9を用いるほかに、ドットスペーサの高さを8μmから15μmに変更して電極シートを作成した。
電極シート19〜21は、フォトマスク9を用いるほかに、それぞれドットスペーサの高さを30μmに、ドットスペーサの間隔を3mmから6mmに、3mmから1mmに、変更して電極シート19〜21を作成した。
電極シート22は、フォトマスク6を用いて断線部及び連絡線をもたないパターンの電極シートを作成した。
(実施例11〜17、及び比較例5)
タッチパネルの作成方法は、上記実施例1と同様である。下部及び上部電極シート15〜21を用いて実施例11〜17のタッチパネルを、電極シート22を用いて比較例5のタッチパネルを作成した。
以上で作成したタッチパネルの評価を行った結果を表1に示した。
実施例3と比較例1とは、隣接する電極間の断線部の長さが異なるため、タッチパネルを構成したときに実施例3は、センサ部と電極間スペースが均一に見えて見易いのに対し、比較例1では電極間スペースが浮き上がって見える。
上記比較例1に対し、連絡線を設けず6本の単線で電極を構成した比較例2はキズなどによるタッチ検出の精度が劣った。
上記比較例1に対し、1本の単線で電極を構成した比較例3及び4はキズなどによるタッチ検出の精度が上記比較例2よりも更に劣った。また、比較例4はタッチパネルを観察したときに上下電極の交点が視認される欠点があった。
電極のセンサ部を正方格子とした実施例3、11、12のタッチパネルを液晶表示装置に装着したときにモアレが観察されるのに対し、45°傾斜した菱形の格子とした実施例6〜10、13〜17のパネルは、モアレが観察されなかった。
実施例5及び実施例12のタッチパネルは、易接着層を設けない構成であり、耐久試験により電極の浮き上がり、断線などの故障を起こした。
実施例中で、ドットスペーサの高さが8μである実施例6及び13に対し、高さが15μmである実施例7及び14は、タッチ検出の確実性がやや劣り、高さが30μmである実施例8及び15は、タッチ検出の確実性が劣り、耐久性もやや劣をる結果となり、5μm〜10μmがより好ましいことがわかった。
図8の回路図において、MCU演算装置には57f1と57f20のみが接続され、そのほかは隣接電極を接続した(図には記載せず)。即ち、20本の電極では、MCU演算装置には電極シートの左端の電極の接続部57f1が接続され、この電極の他端の57b1は隣接電極の57b2と接続され、次に57f2と57f3を接続、次に57b3と57b4を接続することを繰り返して、20本目の電極の57f20をMCU演算装置に接続した。この両末端を57f1と57f20とする一本の抵抗線とするアナログ電極を有する電極シートを、上記実施例1〜17の電極シートを用いて作成し、それぞれ上部電極シート、下部電極シートとしたタッチパネルを作成した。これらのタッチパネルを評価したところ、抵抗比が5〜50の範囲にあるタッチパネルは線画の表現に優れていることがわかり、本発明の電極シートはアナログ方式のタッチパネル適性も有することがわかった。
10 タッチパネルカバー
11 上部透明基板(可撓性透明基板)
12 下部透明基板
20 タッチ面用の透明基板
21 上部電極群
22 下部電極群
31 貼合剤(周縁部スペーサ)
32 空間(空気層)
33 ドットスペーサ
41 上部易接着層
42 下部易接着層
45 黒化層(被覆層)
51 電極を構成する導電性細線
52 導電性細線の連結線
53 導電性細線の連結線の断線部
54 電極の略格子状(メッシュ状)センサ部
55 配線部の配線(外部接続端子までの引き出し回路)
57 外部接続端子(57f、57b)
60 タッチ画面を示す範囲
70 ハロゲン化銀感光層
71 ハロゲン化銀感光層に露光により生成した感光核を有するハロゲン化銀粒子
72 現像処理により感光核の周囲に形成された銀粒子の集合体
73 感光しなかった部分の現像定着処理後の膜
80 補強用のガラス板
d 電極間距離
d1 導電性細線間の距離
d2 電極の外側細線間の距離
d3 導電性細線の連結線間の距離
d4 導電性細線の連結線の断線部の長さ
d11 現像銀利用方式の非感光部の現像定着処理後の膜厚
d12 現像銀利用方式の感光部の現像定着処理後の膜厚
HD ドットスペーサの高さ
Hd 電極細線の透明基板の最表面からの高さ(表面からの電極の突出高さ)
L ドットスペーサの間隔
Ri 電極のセンサ部の抵抗値
ri、rfi、rbi 電極のセンサ部と外部接続端子を結ぶ配線部の抵抗値
MCU 演算装置
Claims (15)
- 上部透明基板に形成され略X方向に導通する上部電極群(X電極群という)と、下部透明基板に形成され略Y方向に導通する下部電極群(Y電極群という)とが、スペーサを介して向かい合わせとなるように配置され、該X方向とY方向は略直行状態にあるマトリックス抵抗膜方式のタッチパネルにおいて、
該上部及び下部電極群のそれぞれの電極は、電極の導通方向又は電極の導通方向から傾斜した方向に延びる複数の導電性細線と、これらの導電性細線の方向とは直交する方向又は傾斜した方向に延びる複数の導電性連絡線とからなるセンサー部と、配線部とからなり、該導電性細線又は導電性連絡線は、隣接電極の導電性細線又は連絡線とは断線部により導通を遮断されていることを特徴とするマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。 - 該導電性細線は電極の導通方向に対し30°〜60°傾斜し、該導電性連絡線は電極の導通方向に対し−30°〜−60°傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
- 該上部電極と下部電極を重ねてタッチ面側から透視したとき、略均一な格子模様が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
- 該センサー部の抵抗値をRi(Ω)、該配線部の抵抗値をri(Ω)としたとき、その比Ri/riが4以上、50以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
- 該上部電極群及び該下部電極群は、それぞれの電極の間隔は、1mm以上8mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
- 該電極を構成するセンサ部の導電性細線の間隔又は導電性連絡線の間隔は100μm以上600μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
- 該電極は、上部若しくは下部透明基板上に形成された易接着層の上に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
- 該センサ部の導電性細線と導電性連絡線の線幅が1μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
- 該センサ部の導電性細線と導電性連絡線の厚みが0.5μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
- 該配線部の導線の線幅が50μm〜1mmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
- 該上部電極及び下部電極の、それぞれ隣り合う電極間に設けられている導電性細線又は導電性連絡線の断線部の平均長さは、10μm以上、200μm以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のタッチパネル。
- 該上部電極と下部電極とが、該電極表面が向かい合わせとなるようにスペーサである貼合材により空間を介して積層され、該貼合材の厚みが100μm〜300μmであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
- 該貼合剤により形成された下部電極上の空間にドットスペーサが配置され、その間隔Lが2mm以上、8mm以下であり、ドットスペーサの高さが1μm以上、15μm以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
- 該上部電極群及び該下部電極群は、それぞれ導電性金属薄膜又は、ハロゲン化銀写真感光材料膜から形成されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
- 該上部電極群及び該下部電極群の該センサ部と該配線部とは、同時にパターン形成されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のマトリックス抵抗膜方式のタッチパネル。
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