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JP2011523769A - 水トリー耐性、trxlpe型ケーブルシースを製造する方法 - Google Patents

水トリー耐性、trxlpe型ケーブルシースを製造する方法 Download PDF

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Abstract

薬剤添加又は直接注入のいずれかによって、固体ポリマーを液体水トリー防止剤と混合する方法によって、TRXLPE型ケーブルシースを調製する。薬剤添加法においては、噴霧又は別の方法で固体ポリマー、例えば、高圧LDPEを液体薬剤、例えば、PEGと接触させ、薬剤をポリマー中に吸収させ、次いで、吸収された薬剤を含むポリマーを押出装置に送り、被覆又は非被覆ワイヤ又は光ファイバー上に押し出す。直接注入法においては、最初に固体ポリマーを押出装置に送り、噴霧又は別の方法で液体薬剤をポリマーと接触させた後、上記装置の混合要素の作用によって前二者を互いにブレンドする。

Description

関連出願への相互参照
本出願は、その内容全体を参照により本明細書に組み込んでいる2008年6月5日に出願された米国特許出願第61/059,018号に対する優先権を主張する。
本発明はケーブルシースに関する。一態様において、本発明はトリー耐性ケーブル絶縁物及び保護ジャケットに関し、別の態様において、本発明はトリー耐性、架橋ポリオレフィン、特にポリエチレン(TRXLPE)、ケーブルシースに関する。さらに別の態様において、本発明はTRXLPE型ケーブルシースの製造の薬剤添加(dosing)方法に関し、さらに別の態様において、本発明はTRXLPE型ケーブルシースの製造の直接注入方法に関する。
多くのポリマー材料が、電力ケーブル及び他の多数の用途のための電気絶縁及び半導体シールド材料として使用されている。長期性能が望ましい又は求められる用役又は製品に使用されるために、このようなポリマー材料は、好適な誘電特性を有することに加えて、耐久性がなければならず、長年の用役にわたって有効且つ安全な性能のためのそれらの初期の特性を実質的に保持しなければならない。例えば、建築用ワイヤ、電動機又は機械用電力線、又は地下送電ケーブルに使用されるポリマー絶縁は、安全性のためのみならず経済的必要性及び実用性からも耐久性がなければならない。
ポリマーケーブルシースが被ることがある破損の1つの主要なタイプはトリーイングとして知られている現象である。トリーイングは一般的に電気的ストレス下の誘電部分を通して進行するので、目に見える場合、その経路は木のようなものに見える。トリーイングは周期的な部分放電によってゆっくりと発生し進行することがあり、いかなる部分放電にもよらず水分の存在下でゆっくりと発生することがあり、又はインパルス電圧の結果として急速に発生することがある。トリーは、絶縁−半導体スクリーン界面の本体における汚染物質又は空隙などの高い電気的ストレスの部位に形成することがある。
電気トリーイングは誘電体を分解する内部放電に起因する。高電圧インパルスは電気トリーを生じることがあり、内部空隙及び汚染物質の存在は望ましくないが、中程度のA/C電圧の印加に起因する欠陥を含む電極/絶縁物界面への損害はより商業的に重大である。この場合、非常に高い、局在化したストレス勾配が存在することがあり、十分な時間によって、その後に破壊が生じることがあるトリーの開始及び成長をもたらすことがある。
電気トリーイングと対照的に、水トリーイングは、水分及び電界に同時に曝される固体誘電体の劣化である。それは埋設電力ケーブルの耐用年数の決定における重要な要素である。水トリーイングは、粗い界面、突出した導電点、空隙、又は埋め込まれた汚染物質などの高い電気的ストレスの部位から、ただし電気トリーに必要な電界よりも低い電界において起こる。電気トリーと対照的に、水トリーは以下を特徴とする。(a)それらの成長に水の存在は不可欠であり、(b)それらは何年もかかって成長した後に破壊の原因となり得るサイズに到達することがあり、(c)ゆっくり成長するが、それらは電気トリーの成長に必要な電界より格段に低い電界で起こり成長する。
電気絶縁用途は、一般的に5Kボルト未満の絶縁である低電圧絶縁、5Kボルトから60Kボルトまでの範囲にわたる中電圧絶縁、及び60Kボルトを上回る用途向けの絶縁である高電圧絶縁に分類される。低電圧用途において、電気トリーイングは一般的に行き渡った問題ではなく、しばしば問題である水トリーイングに比べてずっとまれである。
中電圧用途について、最も一般的なポリマー絶縁体は、ポリオレフィン、典型的にポリエチレン又は別にエチレン−プロピレン−ゴム(EPR)として知られているエチレン−プロピレンエラストマーから作られる。ポリエチレンは、任意の1種又は複数の多くの種々のポリエチレン、例えば、ホモポリマー、高密度ポリエチレン(HDPE)、高圧低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)などであり得る。ポリエチレンは典型的に、通常、過酸化物の作用によって架橋されているが、それでもなおトリーイング、特に水トリーイングをこうむりやすい。
この水トリーイングをこうむりやすい傾向に対抗するために、ポリマーは典型的に水トリー防止剤で処理され、例えば、ポリマーがポリエチレンである場合、典型的な水トリー防止剤はポリエチレングリコールである。他の水トリー防止剤は、米国特許第4,144.202号、4,212,756号、4,263,158号、4,376,180号、4,440,671号及び5,034,278号に記載されており、それだけには限らないが、エポキシ−又はアゾメチン含有オルガノ−シラン、N−フェニル置換アミノシランを含むオルガノ−シラン、及び炭化水素置換ジフェニルアミンを含む。これらの薬剤は通常ポリマーと混合された後に、架橋剤が添加され、ポリマーがケーブル上に押し出される。この混合は典型的に、それからペレット又は他の形状が形成されるポリマー及び薬剤の溶融ブレンドとして実施される。しかし、これらのブレンド技術は、重要であり且つ/又は時間集約的であり、ポリマーが固体で薬剤が液体である場合、ポリマー中の薬剤の均一な分散を常には生じない。
本発明の一実施形態において、トリー耐性ケーブルシースを調製するために薬剤添加法を使用する。本方法は、水トリー防止剤をポリマー化合物とブレンドし、以下のステップを含む。
A.押出装置の外で25℃から100℃の間の温度において液体トリー防止剤を固体ポリマーと接触させるステップ、
B.薬剤を固体ポリマー中に吸収させるステップ、
C.吸収された薬剤を含む固体ポリマーを押出装置に移すステップ、並びに
D.吸収された薬剤を含むポリマーを被覆又は非被覆ワイヤ又は光ファイバー上に押し出すステップ。
ペレット又は類似の固体形態のポリマー化合物、典型的にポリオレフィン及び特にポリエチレンを、薬剤の少なくとも一部がポリマー化合物中に吸収されるように液体トリー防止剤と噴霧又は別の方法で接触させる。薬剤は、室温、例えば、23℃で液体であるか、又は室温で固体の場合、固体ポリマーへのその適用前に、それが液体である温度に加熱するかのいずれかである。次いで、吸収されたトリー防止剤を含むポリマー化合物を押出装置に送り、この押出装置からケーブル上のシースとして押し出す。
別の実施形態において、本発明は、トリー耐性ケーブルシースを調製するための直接注入法である。この方法もトリー防止剤をポリマー化合物とブレンドし、以下のステップを含む。
A.固体ポリマーを押出装置に送るステップ、
B.固体ポリマーを溶解する前にポリマーを液体トリー防止剤と接触させるステップ、
C.押出装置内でポリマー及び薬剤をブレンドするステップ、並びに
D.ブレンドされた薬剤を含むポリマーを被覆又は非被覆ワイヤ又は光ファイバー上に押し出すステップ。
この実施形態において、ポリマー化合物は、押出機又は類似の装置に送られ、ポリマー化合物の溶解の前、それと同時又はその後に液体トリー防止剤と混合される。ポリマー化合物及びトリー防止剤を混合して実質的に均一なブレンドを形成し、次いで、このブレンドをケーブル上のシースとして押し出す。
一実施形態において、水トリー防止剤を、マスターバッチ、すなわち、ポリマー中に溶解された又は別の方法で分散された(ポリマーがケーブル上に押し出される時点におけるポリマー中の薬剤の目標量に対して)高い割合の薬剤を含む濃縮物の形態でポリマーに添加する。この実施形態において、本方法は、以下のステップを含む。
A.固体ポリマー及び水トリー防止剤を含むマスターバッチを形成するステップ、
B.(A)の固体ポリマー及びマスターバッチを押出装置に送るステップ、
C.マスターバッチ中の薬剤が固体ポリマー中に少なくとも実質的に分散されるように、固体ポリマー及びマスターバッチを押出機内で溶融ブレンドするステップ、並びに
D.ブレンドされた薬剤を含むポリマーを被覆又は非被覆ワイヤ又は光ファイバー上に押し出すステップ。
この開示における数値範囲は近似であり、したがって、特に示されない限り範囲の外の値を含み得る。数値範囲は、下限値及び上限値を含めて、ある下限値とある上限値との間が少なくとも2単位離れているとして、1単位ずつの増加で、下限値から上限値の全ての値を含む。一例として、例えば、分子量、粘度、メルトインデックスなどの組成的、物理的又は他の特性が100から1,000までである場合、100、101、102などの全ての個別の値、及び100から144、155から170、197から200などの従属範囲は明白に列挙される。1未満である数値を含む又は1を超える分数(例えば、1.1、1.5)を含む範囲について、1単位は必要に応じて0.0001、0.001、0.01又は0.1であるとみなされる。10未満の1桁の数(例えば、1から5)を含む範囲について、1単位は典型的に0.1であるとみなされる。これらは具体的に意図されているものの例にすぎず、挙げられる最低値と最高値の間の数値の全ての可能な組合せは、本開示に明白に記載されているとみなされるべきである。特に、ポリマーに対するトリー防止剤の量、加工条件、添加剤量及び分子量についての数値範囲が本開示内に提供される。
「ケーブル」、「電力ケーブル」などの用語は、保護ジャケット又はシース内の少なくとも1本のワイヤ又は光ファイバーを意味する。典型的に、ケーブルは、典型的に共通の保護ジャケット又はシース中の一緒に束ねられた2本以上のワイヤ又は光ファイバーである。ジャケット内の個別のワイヤ又はファイバーは、裸であることも、被覆されている又は絶縁されていることもある。組合せケーブルは電気ワイヤ及び光ファイバーの両方を含み得る。ケーブル等は低、中及び高電圧用途のために設計し得る。典型的なケーブル設計は米国特許第5,246,783号、6,496,629号及び6,714,707号に示されている。
「ポリマー」は、同一又は異なるタイプに関わらずモノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を意味する。したがって、ポリマーという総称は、1タイプのモノマーのみから調製されるポリマーを意味するのに通常使用されるホモポリマーという用語を包含し、コポリマーという用語は以下に定義されるとおりである。
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されたポリマーを意味する。この総称には、2つの異なるタイプのモノマーから調製されたポリマー、及び3つ以上の異なるタイプのモノマーから調製されたポリマー、例えば、ターポリマー、テトラポリマーなどを意味するために通常使用されるコポリマーが含まれる。
「ポリオレフィン」、「PO」などの用語は、単純なオレフィンから誘導されたポリマーを意味する。多くのポリオレフィンは熱可塑性であり、本発明の目的のために、ゴム相を含み得る。代表的なポリオレフィンには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン及びそれらの種々のインターポリマーが含まれる。
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」などの用語は、2種以上の材料、例えば、2種以上のポリマー、少なくとも1種のポリマー及び少なくとも1種の水トリー防止剤などの混合物を意味する。このようなブレンドは混和性であることがあり、又は混和性でないことがある。このようなブレンドは相分離されていることがあり、又は相分離されていないことがある。このようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、及び当技術分野で知られている任意の他の方法で測定される1つ又は複数のドメイン形態を含むことがあり、又は含まないことがある。
「水トリー防止剤」などの用語は、ポリマー中に混合された場合にポリマーに水トリーイング耐性を付与する物質を意味する。ASTM D−6097−97は、水トリーイングの試験であり、許容されるトリー防止剤は、水トリー防止剤を含まない試験片に対して水トリーサイズを25、好ましくは50及びより好ましくは75パーセントだけ減少させるものとして特定される。代表的な条件には、90日にわたる23℃及び0.01Mの塩(NaCl)溶液が含まれる。水トリー耐性をもたらすためにポリマー中に混合される薬剤の量は、ポリマー及び薬剤によって変化するが、ポリマーの重量に対して少なくとも0.0001重量パーセント(wt%)である。
ポリオレフィン
本発明の実施において使用されるポリマーは、好ましくはポリオレフィンであり、これらは従来のポリオレフィン重合技術、例えば、チーグラー−ナッタ、高圧、メタロセン又は拘束幾何触媒(constrained geometry catalysis)を用いて生成することができる。ポリオレフィンは、溶液、スラリー、又は気相重合法において活性化剤と組み合わせてモノ−若しくはビス−シクロペンタジエニル、インデニル、若しくはフルオレニル遷移金属(好ましくは4属)触媒又は拘束幾何触媒(CGC)を用いて製造することができる。好ましくは、ポリオレフィンは、高圧及び遊離基重合条件下で製造された低密度ポリエチレンである。モノ−シクロペンタジエニル、モノ−インデニル又はモノ−フルオレニルCGCを用いて調製されたポリオレフィンも本発明の実施において使用することができる。米国特許第5,064,802号、国際公開第93/19104号及び国際公開第95/00526号は拘束幾何金属錯体及びそれらの調製のための方法を開示している。金属錯体を含む様々に置換されたインデニルは国際公開第95/14024号及び国際公開第98/49212号に教示されている。ポリマーの形態又は形状は都合により、例えば、ペレット、顆粒及び粉末に変化し得る。
一般に、重合は、チークラー−ナッタ又はカミンスキー−シン型の重合反応について当技術分野でよく知られている条件、すなわち、0〜250℃、好ましくは30〜200℃の温度で、大気圧から10,000気圧(1013メガパスカル(MPa))の圧力で達成することができる。懸濁液、溶液、スラリー、気相、固相粉末重合又は他のプロセス条件を必要に応じて使用することができる。触媒は支持されていることがあり、又は支持されていないことがあり、支持体の組成は広く変わり得る。シリカ、アルミナ又はポリマー(特にポリ(テトラフルオロエチレン)若しくはポリオレフィン)は代表的な支持体であり、好ましくは、触媒が気相重合プロセスにおいて使用される場合に支持体を使用する。支持体は、1:100,000から1:10、より好ましくは1:50,000から1:20、及び最も好ましくは1:10,000から1:30の範囲内の支持体に対する触媒(金属に基づく)の重量比を提供するのに十分な量で使用することが好ましい。大部分の重合反応において、使用される重合性化合物に対する触媒のモル比は10−12:1から10−1:1、より好ましくは10−9:1から10−5:1である。
不活性液体は重合用の好適な溶媒として役立つ。例として、イソブタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、及びこれらの混合物などの直鎖及び分枝鎖炭化水素;シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、及びこれらの混合物などの環式及び脂環式炭化水素;ペルフルオロC4〜10アルカンなどのペルフルオロ炭化水素;並びにベンゼン、トルエン、キシレン、及びエチルベンゼンなどの芳香族及びアルキル置換芳香族化合物が挙げられる。
中電圧(5から60kv)及び高電圧(>60kv)絶縁用のポリオレフィンは、物理的設計において、しばしば、管状、又はオートクレーブである反応器中で高圧において製造される。ポリオレフィンポリマーは、10分あたり0.1から約50グラム(g/10分)のメルトインデックス(MI、I)及び1立方センチメートルあたり0.85から0.95グラム(g/cc)の密度を有する少なくとも1種の樹脂又はそのブレンドを含むことができる。好ましいポリオレフィンは、1.0から5.0g/10分のMI及び0.918から0.928g/ccの密度を有するポリエチレンである。典型的なポリオレフィンには、高圧低密度ポリエチレン(HPLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン直鎖低密度ポリエチレン、及び拘束幾何触媒(CGC)エチレンポリマーが含まれる。密度はASTM D−792の手順によって測定し、メルトインデックスはASTM D−1238(190C/2.16kg)によって測定する。
別の実施形態において、ポリオレフィンポリマーには、それだけには限らないが、コポリマーの重量に対して少なくとも約5wt%のエステル含有量を有するエチレン及び不飽和エステルのコポリマーが含まれる。エステル含有量は、しばしば80wt%のように高く、これらのレベルにおいて、主なモノマーはエステルである。
さらに別の実施形態において、エステル含有量の範囲は10から約40wt%である。重量パーセントはコポリマーの総重量に基づく。不飽和エステルの例は、ビニルエステル並びにアクリル及びメタクリル酸エステルである。エチレン/不飽和エステルコポリマーは、通常、従来の高圧プロセスによって製造される。コポリマーは約0.900から0.990g/ccの範囲の密度を有し得る。さらに別の実施形態において、コポリマーは0.920から0.950g/ccの範囲の密度を有する。コポリマーは、約1から約100g/10分の範囲のメルトインデックスも有し得る。さらに別の実施形態において、コポリマーは、約5から約50g/10分の範囲のメルトインデックスを有し得る。
エステルは4から約20個の炭素原子、好ましくは4から約7個の炭素原子を有し得る。ビニルエステルの例は、酢酸ビニル、酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、ネオノナン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、及び2−エチルヘキサン酸ビニルである。アクリル酸及びメタクリル酸エステルの例は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ミリスチル、メタクリル酸パルミチル、メタクリル酸ステアリル、3−メタクリルオキシ−プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソオクチル、及びメタクリル酸オレイルである。アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、及びアクリル酸n−又はt−ブチルが好ましい。アクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキルの場合、アルキル基は1から約8個の炭素原子を有することができ、好ましくは1から4個の炭素原子を有する。アルキル基はオキシアルキルトリアルコキシシランで置換されていてよい。
ポリオレフィンポリマーの他の例は、ポリプロピレン、ポリプロピレンコポリマー、ポリブテン、ポリブテンコポリマー、約50モルパーセント未満であるが0モルパーセントを上回るエチレンコモノマーとの非常に短い鎖の分枝α−オレフィンコポリマー、ポリイソプレン、ポリブタジエン、EPR(プロピレンと共重合したエチレン)、EPDM(プロピレン及びヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、若しくはエチリデンノルボルネンなどのジエンと共重合したエチレン)、エチレン及びエチレン/オクテンコポリマーなどの3から20個の炭素原子を有するα−オレフィンのコポリマー、エチレン、α−オレフィン、及びジエン(好ましくは非共役)のターポリマー、エチレン、α−オレフィン、及び不飽和エステルのターポリマー、エチレン及びビニル−トリ−アルキルオキシシランのコポリマー、エチレン、ビニル−トリ−アルキルオキシシラン及び不飽和エステルのターポリマー、又はエチレン及び1種若しくは複数のアクリロニトリル若しくはマレイン酸エステルのコポリマーである。
本発明のポリオレフィンポリマーには、エチレンエチルアクリレート、エチレンビニルアセテート、ビニルエーテル、エチレンビニルエーテル、メチルビニルエーテル、及びシランインターポリマーも含まれる。市販されているエチレンエチルアクリレート(EEA)の一例はThe Dow Chemical Company製のAMPLIFYである。市販されているエチレンビニルアセテート(EVA)の一例は、E.I.du Pont Nemours and Company製のDuPont(商標)ELVAX(登録商標)EVA樹脂である。
本発明のポリオレフィンポリマーには、それだけには限らないが、少なくとも約50モルパーセント(mol%)のプロピレンから誘導される単位及び最大約20、好ましくは最大12及びより好ましくは最大8個の炭素原子を有する少なくとも1種のα−オレフィンからの単位からの残りの部分を含むポリプロピレンコポリマー、並びに少なくとも50mol%のエチレンから誘導される単位及び最大約20、好ましくは最大12及びより好ましくは最大8個の炭素原子を有する少なくとも1種のα−オレフィンから誘導される単位からの残りの部分を含むポリエチレンコポリマーが含まれる。
本発明の実施において有用なポリオレフィンコポリマーには、インターポリマーの重量に対して約15、好ましくは少なくとも約20及びさらにより好ましくは少なくとも約25wt%の間のα−オレフィン含有量を有するエチレン/α−オレフィンインターポリマーが含まれる。これらのインターポリマーは、典型的に、インターポリマーの重量に対して約50未満、好ましくは約45未満、より好ましくは約40未満及びさらにより好ましくは約35未満wt%のα−オレフィン含有量を有する。α−オレフィン含有量は、Randall(Rev.Macromol.Chem.Phys.、C29(2&3))に記載された手順を用いて13C核磁気共鳴(NMR)分光法によって測定する。一般的に、インターポリマーのα−オレフィン含有量が大きければ大きいほど、密度はより低く、より非晶質なインターポリマーであり、これは保護絶縁層にとって望ましい物理的及び化学的特性につながる。
α−オレフィンは、C3〜20直鎖、分枝又は環式α−オレフィンであることが好ましい。C3〜20α−オレフィンの例には、プロペン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、及び1−オクタデセンが含まれる。α−オレフィンは、シクロヘキサン又はシクロペンタンなどの環式構造も含むことができ、3−シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキサン)及びビニルシクロヘキサンなどのα−オレフィンを生じる。用語の古典的な意味においてはα−オレフィンではないが、本発明の目的について、ノルボルネン及び関連したオレフィン、特に5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの特定の環式オレフィンは、α−オレフィンであり、上述のα−オレフィンのいくつか又は全ての代わりに使用され得る。同様に、スチレン及びその関連したオレフィン(例えば、α−メチルスチレンなど)は、本発明の目的についてα−オレフィンである。例示的なポリオレフィンコポリマーには、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/スチレンなどが含まれる。例示的なターポリマーには、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、エチレン/ブテン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)及びエチレン/ブテン/スチレンが含まれる。コポリマーはランダムであることがあり又はブロック状であることがある。
本発明の実施において使用されるポリオレフィンは、単独で又は1種若しくは複数の他のポリオレフィン、例えば、モノマー組成及び含有量、触媒的な調製方法などが互いに異なる2種以上のポリオレフィンポリマーのブレンドと組み合わせて使用することができる。ポリオレフィンが2種以上のポリオレフィンのブレンドである場合、このポリオレフィンは、任意の反応器内プロセス又は反応器から出た後のブレンドプロセスによってブレンドすることができる。反応器内ブレンドプロセスは、反応器から出た後のプロセスより好ましく、直列に接続された複数の反応器を用いるプロセスは、好ましい反応内ブレンドプロセスである。これらの反応器は、同じ触媒を装入することができるが、異なる条件、例えば、異なる反応物濃度、温度、圧力などで操作することができ、又は同一の条件で操作できるが、異なる触媒を装入することができる。本発明の実施において使用されるポリマー及びブレンドは、典型的に0.86から0.935g/ccの密度を有する。
本発明の実施において有用なオレフィンインターポリマーの例には、超低密度ポリエチレン(VLDPE)(例えば、The Dow Chemical Company製のFLEXOMER(登録商標)エチレン/1−ヘキセンポリエチレン)、均一に分枝した、直鎖エチレン/α−オレフィンコポリマー(例えば、Mitsui Petrochemicals Company Limited製のTAFMER(登録商標)及びExxon Chemical Company製のEXACT(登録商標))、及び均一に分枝した、実質的に直鎖のエチレン/α−オレフィンポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyより市販されているAFFINITY(登録商標)及びENGAGE(登録商標)ポリエチレン)が含まれる。実質的に直鎖のエチレンコポリマーは、米国特許第5,272,236号、5,278,272号及び5,986,028号により完全に記載されている。HPLDPEは、本発明における使用のために特に好ましいポリオレフィンである。
本発明の実施において有用な例示的なポリプロピレンには、The Dow Chemical Companyから市販されているVERSIFY(登録商標)ポリマー、及びExxonMobil Chemical Companyから市販されているVISTAMAXX(登録商標)ポリマーが含まれる。種々のポリプロピレンポリマーの完全な考察は、Modern Plastics Encyclopedia/89、1988年10月中旬版、65巻、11号、6〜92頁に含まれている。
本発明に使用されるポリマーは、化学的又は放射線により架橋することができる。好適な架橋剤には、遊離基開始剤、好ましくは有機過酸化物、より好ましくは120℃を超える温度で1時間の半減期を有するものが含まれる。有用な有機過酸化物の例には、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンが含まれる。ジクミルペルオキシドは好ましい架橋剤である。有機過酸化物架橋剤に関するさらなる教示は、the Handbook of Polymer Foams and Technology、198〜204頁(前出)において入手できる。過酸化物は、それだけには限らないが、単独で又は水トリー防止剤を含めた1種若しくは複数の他の添加剤と一緒での、それからポリマーがケーブル状に最終的に押し出される押出機への過酸化物の直接添加、又は押出機の外側で固体ポリマー中へ吸収される過酸化物の添加を含む多くの様々な技術のいずれか1つによってポリマーに添加することができる。
電子線、又はベータ線、ガンマ線、X線又は中性子線による遊離基架橋開始も使用することができる。放射線は、ポリマーラジカルを生成し、これらのポリマーラジカルが結合し架橋し得ることによって架橋に影響を及ぼすと考えられる。The Handbook of Polymer Foams and Technology(前出)は、198〜204頁で、さらなる教示を提供している。
トリー防止剤
その最終用途条件下の架橋ポリオレフィンにおける水トリーイングの形成を阻害する任意の化合物は、本発明の水トリー防止剤として使用することができる。ポリオレフィン中に染み通る又は拡散するために、低融点、例えば、70℃未満、好ましくは50℃未満及びより好ましくは35℃未満の水トリー防止剤が好ましい。さらに、23℃で固体である高分子量、例えば、最高1,000,000まで、好ましくは最高100,000及びより好ましくは最高50,000重量平均モル質量グラム/モル(g/mol)、並びに23℃で液体である低分子量、例えば、2,000未満、好ましくは1,000未満及びより好ましくは500未満g/molの共融混合物を使用することができる。代表的な水トリー防止剤には、6から24個の炭素原子のアルコール(米国特許第4,206,260号)、オルガノ−シラン、例えば、エポキシ含有基を含むシラン(米国特許第4,144,202号)、強酸及び強い双性イオン化合物の無機イオン性塩(米国特許第3,499,791号)、フェロセン化合物及び置換キノリン化合物(米国特許第3,956,420号)、多価アルコール、並びにシリコーン液(米国特許第3,795,646号)が含まれる。ポリグリコールは水トリー防止剤の1つの好ましいクラスである。2,000未満、好ましくは1,200未満及びより好ましくは800未満の重量平均モル質量を有するポリエチレングリコール(PEG)は、特にポリエチレン、特にLDPEとの使用のために特に好ましいトリー防止剤である。ビニル末端封止PEGは特に好ましいトリー防止剤である。
PEGの分子量は、押出機中で又は後のケーブル加工中に増加させることができる。これは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸又は関連の酸のいずれか1種とモノ−又はジヒドロキシ官能性エチレンオキシドオリゴマー又はポリマーとの反応を通して達成することができる。さらに、他のエポキシ官能性モノマーを含むエチレンオキシドコポリマーを使用することができる。別法として、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)及びヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)などのようなヒドロキシ官能性ビニルモノマーを使用してエチレンオキシド重合又は共重合を開始することができる。さらに別の代替方法は、ビニル末端封止剤を製造するためのビニル又は関連の不飽和エステル、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどとヒドロキシ官能性エチレンオキシドポリマー又はコポリマーとのエステル交換である。
23℃で固体である高分子量水トリー防止剤は、薬剤をポリマーマスターバッチに予備コンパウンディングし、次いでこのポリマーマスターバッチをペレット化することによってポリマー、例えば、LDPE中に導入することができる。次いで、ペレットを押出機中でポリマーに直接添加して、押出効率、例えば、スクリュー滑り(screw slippage)への影響を低減させつつ薬剤の混合を促進することができる。1,000,000未満、好ましくは50,000未満及びより好ましくは25,000g/mol未満の重量平均モル質量を有するPEGは、特にポリエチレン、とりわけLDPEを含むこのマスターバッチ手順における使用のために好ましい薬剤である。
本発明の水トリー防止剤は、最終用途条件下でポリマーの水トリーイングを低減する任意の量で使用することができる。これらの薬剤は、組成物の重量に対して少なくとも0.0001、好ましくは少なくとも0.01、より好ましくは少なくとも0.1及びさらにより好ましくは少なくとも0.4wt%の量で使用することができる。組成物中のトリー防止剤の最大量に対する唯一の制限は、経済性及び実用性(例えば、収穫逓減)によって負わされるものであるが、典型的に、全般的な最大量は、組成物の20未満、好ましくは3未満及びより好ましくは2wt%未満を含む。
他の添加剤
上記組成物は、それだけには限らないが、酸化防止剤、硬化剤、架橋助剤、促進剤及び遅緩剤、加工助剤、充てん剤、カップリング剤、紫外線吸収剤又は安定剤、帯電防止剤、核剤、スリップ剤、可塑剤、潤滑剤、粘度調整剤、粘着付与剤、粘着防止剤、界面活性剤、エクステンダー油、酸掃去剤、並びに金属不活性化剤を含めたさらなる添加剤を含むことができる。組成物の重量に対して約0.01未満から約10wt%を上回る範囲に及ぶ量で、添加剤を使用することができる。
酸化防止剤の例は、それだけには限らないが、以下の通りである。テトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シンナメート)]メタンなどのヒンダードフェノール;ビス[(ベータ−(3、5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−メチルカルボキシエチル)]スルフィド、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、及びチオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート;トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト及びジ−tert−ブチルフェニル−ホスホナイトなどのホスファイト及びホスホナイト;ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、及びジステアリルチオジプロピオネートなどのチオ化合物;種々のシロキサン;重合した2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、n,n’−ビス(1,4−ジメチルペンチル−p−フェニレンジアミン)、アルキル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(アルファ,アルファ−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、混合されたジ−アリール−p−フェニレンジアミン、及び他のヒンダードアミン劣化防止剤又は安定剤。酸化防止剤は、組成物の重量に対して約0.1から約5wt%の量で使用することができる。
硬化剤の例は、次の通りである。ジクミルペルオキシド;ビス(アルファ−t−ブチル−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン;イソプロピルクミルt−ブチルペルオキシド;t−ブチルクミルペルオキシド;ジ−t−ブチルペルオキシド;2,5−ビス(t−ブチルペロキシ)−2,5−ジメチルヘキサン;2,5−ビス(t−ブチルペロキシ)−2,5−ジメチルヘキシン−3;1,1−ビス(t−ブチルペロキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;イソプロピルクミルクミルペルオキシド;ジ(イソプロピルクミル)ペルオキシド;又はこれらの混合物。過酸化物硬化剤は、組成物の重量に対して約0.1から5wt%の量で使用することができる。様々な他の既知の硬化助剤、促進剤、及び遅緩剤、例えばトリアリルイソシアヌレート;エチオキシル化ビスフェノールAジメタクリレート;α−メチルスチレン二量体;並びに米国特許第5,346,961号及び4,018,852号に記載された他の助剤を使用することができる。
加工助剤の例には、それだけには限らないが、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウムなどのカルボン酸の金属塩;ステアリン酸、オレイン酸、又はエルカ酸などの脂肪酸;ステアラミド、オレアミド、エルカミド又はn,n’−エチレンビスステアラミドなどの脂肪酸アミド;ポリエチレンワックス;酸化ポリエチレンワックス;エチレンオキシドのポリマー;エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー;植物蝋;石油蝋;非イオン性界面活性剤;並びにポリシロキサンが含まれる。加工助剤は、組成物の重量に対して約0.05から約5wt%の量で使用することができる。
充てん剤の例には、それだけには限らないが、15ナノメートルより大きな算術平均粒径を有するクレイ、沈降シリカ及びシリケート、ヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、粉砕鉱物、及びカーボンブラックが含まれる。充てん剤は、組成物の重量に対して約0.01未満から約50wt%を上回る範囲に及ぶ量で使用することができる。
薬剤添加法
本発明のこの実施形態において、典型的にペレットの形態であるが、それだけには限らないが顆粒及びフレークを含めて他の形態が可能である固体ポリマーを、ワイヤ又は光ファイバーのまわりのシースとしての押出のためにポリマーが押出装置に送られる前に低分子量の水トリー防止剤と噴霧又は他の方法で接触させる。ポリマーがペレットの形態である場合、ペレット、例えば、HPLDPEペレットは、任意のサイズ及び形態のものであってよく、典型的に従来のペレット技術を使用して作られる。典型的に、ペレットは室温を上回る温度、例えば、25〜100℃に加熱して、液体トリー防止剤を噴霧する。薬剤は室温で液体であるか、又はその温度において、それがペレット上に噴霧されるのに十分に液状である温度に加熱する。噴霧プロセスの間、ペレットを典型的にかきまぜ、例えば、撹拌、混転して薬剤のペレットへの均一な適用を確実にする。薬剤は一度に又は漸進的に、例えば、連続した別々の噴霧操作で適用することができる。薬剤は単独で又は1種若しくは複数の他の添加剤と一緒に提供することができ、又は1種若しくは複数の添加剤は、水トリー防止剤が適用される前又はその後に適用することができる。
噴霧又は他の方法で薬剤と接触させると、固体ポリマーは押出装置に応じて湿ったままで又は乾いた後に使用することができる。平滑なバレルの押出装置は、固体ポリマーが乾いている場合、より効率的に作動するが、溝付きバレルの押出装置は、湿ったままの又は乾いた固体ポリマーのいずれでも有効に働く。
典型的且つ好ましくは、薬剤がペレット中に吸収されるまで、固体ポリマー(ペレットの形態)を静置する。それがペレット中に吸収され得る前に、いくらかの量の薬剤はペレットの表面上で乾燥することがあるが、通常、薬剤についてのペレットの吸収能力を下回る量の薬剤をペレットに噴霧する。この吸収についての時間は、試薬及び条件、例えば、温度、圧力、ペレット上の空気又は気体流などで変化するが、ペレットが手で触れることができるくらいに乾いている場合、吸収は通常完結したとみなされる。典型的な吸収時間は10から480分の範囲である。ペレットへの他の添加剤、例えば、酸化防止剤、架橋剤などの適用の前、その後又はそれと同時に、薬剤をペレットと接触させることができる。
次いで、噴霧された固体ポリマーは、湿ったまま又は乾いてからのいずれでもよいが好ましくは乾いてから、押出装置に送られ、ここで溶解され、シース組成物の任意の他の成分とブレンドされ、次いでワイヤ、光ファイバー及び/又は別のシース上のシースとして押し出される。ポリマーの架橋は典型的に押出装置内で開始するが、しばしば押出し後に完結される。
別法として、マスターバッチを作るのに使用される薬剤が、任意の物理的形態であり、ペレット表面への「しみ出し」を低減させるのに十分高い分子量であり得る、水トリー防止剤を含むマスターバッチを添加することができる。一般的に、1500を超える分子量は、1種又は複数のポリマーがポリエチレン、特にLDPE、LLDPE、VLDPE又はEEAである例において十分である。
直接注入法
本発明のこの実施形態において、ポリマー及び水トリー防止剤を押出装置内で互いに接触させる。典型的に、ペレットの形態のポリマーを押出機に送り、ポリマーが溶融される前に、液体の薬剤を滴下、噴霧又は他の方法で固体ポリマーに適用する。この接触は押出装置の供給口において通常行われる。次いで、ポリマー及び薬剤を、押出機の混合器具、例えば、スクリューの作用下で高温において押出機内で溶融ブレンドする。別法として、最初に、固体ポリマーを押出装置内で溶融し、次いで、液体トリー防止剤を装置中に注入する、例えば、被覆又は非被覆ワイヤ又は光ファイバー上に押し出す前に溶融したポリマーの塊に噴霧する。薬剤のポリマーへの適用は、1つ又は複数の段階で、単独又は添加剤の適用と一緒に、押出装置内の様々な部分において起こり得る。
ケーブル絶縁材料のコンパウンディングは、当業者に知られている標準の装置によって実施することができる。コンパウンディング装置の例は、Banbury(商標)又はBolling(商標)密閉式混合機などの密閉式バッチ混合機である。別法として、連続式単軸、又は二軸スクリュー混合機、例えばFarrel(商標)連続混合機、Werner and Pfleiderer(商標)二軸スクリュー混合機、又はBuss(商標)混練連続押出機を使用することができる。使用される混合機のタイプ、及び混合機の操作条件は、粘度、体積抵抗率、及び押出表面平滑度などの半導体材料の特性に影響を及ぼす。
ポリオレフィンポリマー及び水トリー防止剤の組成物を含む絶縁層を含むケーブルは、種々のタイプの押出機、例えば、単軸又は二軸スクリュータイプを用いて調製することができる。従来の押出機の説明は米国特許第4,857,600号に見出すことができる。共押出及びそのための押出機の一例は、米国特許第5,575,365号に見出すことができる。典型的な押出機は、その上流端にホッパー及びその下流端にダイを有する。ホッパーはバレルに送り込み、バレルはスクリューを収容している。下流端において、スクリューの端部とダイとの間に、スクリーンパック及びブレーカープレートがある。押出機のスクリュー部分は、3つのセクション、供給セクション、圧縮セクション、及び計量セクション、及び2つのゾーン、後部加熱ゾーン及び前部加熱ゾーンに分かれると考えられ、これらのセクション及びゾーンは上流から下流に及ぶ。別法として、軸に沿って上流から下流に及ぶ多重加熱ゾーン(3以上)があり得る。押出機が2つ以上のバレルを有する場合、これらのバレルは直列に接続されている。各バレルの長さと直径の比は約15:1から約30:1の範囲にある。ポリマー絶縁物が押出し後に架橋されるワイヤ被覆において、ケーブルは、しばしば、押出ダイの下流の加熱された加硫ゾーンを即座に通る。加熱硬化ゾーンは、約200から約350℃の範囲、好ましくは約170から約250℃の範囲の温度に維持することができる。加熱ゾーンは、加圧蒸気、又は誘導加熱された加圧窒素ガスによって加熱することができる。
本発明が上記の明細書によってかなり詳細に記載されているが、この詳細は例示の目的のためであり、以下の添付の特許請求の範囲に対する制限として解釈されるべきではない。全ての引用された報告書、参考文献、米国特許、許可された米国特許出願及び米国特許出願公開は、参照によって本明細書に組み込まれている。

Claims (10)

  1. 水トリー耐性ケーブルシースを調製する方法であって、
    A.押出装置の外で25℃から100℃の間の温度において液体水トリー防止剤を固体ポリマーと接触させるステップ、
    B.前記薬剤を前記固体ポリマーに吸収させるステップ、
    C.前記吸収された薬剤を含む前記固体ポリマーを押出装置に移すステップ、並びに
    D.前記吸収された薬剤を含む前記ポリマーを被覆又は非被覆ワイヤ又は光ファイバー上に押し出すステップ
    を含む方法。
  2. 水トリー耐性ケーブルシースを調製する方法であって、
    A.固体ポリマーを押出装置に送るステップ、
    B.前記固体ポリマーを溶解する前に前記ポリマーを液体水トリー防止剤と接触させるステップ、
    C.前記押出装置内で前記ポリマー及び前記薬剤をブレンドするステップ、並びに
    D.前記ブレンドされた薬剤を含む前記ポリマーを被覆又は非被覆ワイヤ又は光ファイバー上に押し出すステップ
    を含む方法。
  3. 水トリー耐性ケーブルシースを調製する方法であって、
    A.固体ポリマー及び水トリー防止剤を含むマスターバッチを形成するステップ、
    B.(A)の前記固体ポリマー及び前記マスターバッチを押出装置に送るステップ、
    C.前記マスターバッチ中の前記薬剤が前記固体ポリマー中に少なくとも実質的に分散されるように、前記固体ポリマー及び前記マスターバッチを前記押出機内で溶融ブレンドするステップ、並びに
    D.ブレンドされた薬剤を含む前記ポリマーを被覆又は非被覆ワイヤ又は光ファイバー上に押し出すステップ
    を含む方法。
  4. 前記ポリマーが、ペレット、顆粒又は粉末の形態である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記水トリー防止剤が23℃で液体である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記ポリマーがポリオレフィンである、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記ポリマーがポリエチレンである、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記薬剤がポリエチレングリコールである、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記薬剤がビニル末端封止ポリエチレングリコールである、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の方法によって製造されたケーブル。
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