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JP2011502823A - インクジェット記録要素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

インクジェット記録要素の製法を開示する。インクジェット記録要素は、支持体、支持体上に、(a)フュームドシリカの粒子および親水性バインダーを含有する多孔質ベース層、(b)ベース上に形成され、コロイダルシリカ粒子および親水性バインダーを含有する任意の多孔質光沢層を有し、フュームドシリカおよびコロイダルシリカはアニオン性であるものである。上記方法は改良された画像特性、特に凝集の減少と高い光沢を有するインクジェット記録要素を提供することができる。

Description

本発明はインクジェット記録要素を製造する方法に関する。より好ましくは、本発明はアニオン性フュームドシリカおよび親水性ヒロドキシル含有ポリマーを含有するインク受容層を有する多孔質記録要素であって、該インク受容層がその層に下層から拡散するホウ素含有架橋剤で架橋されるものである、多孔質記録要素を製造する方法に関する。
典型的なインクジェット記録又は印刷システムでは、インク滴がノズルから高速で記録要素または媒体に放出されて、媒体上に画像を形成する。このインク滴、即ち記録液は一般に記録剤(例えば、染料や顔料)および多量の溶媒を含有する。溶媒、即ちキャリアー液は、典型的には水、有機材料、例えば1価アルコール、多価アルコール、又はそれらの混合物から形成されている。
インクジェト記録要素は典型的には少なくとも一面に少なくとも一つのインク受容層を有する基材を包含する。一般に2種類のインク受容層(IRL)が存在する。IRLの第一のものは分子拡散によってインクを膨潤及び吸収する高い性能を有するポリマーの非多孔質被膜を含有する。カチオン性やアニオン性物質は典型的には被膜中に添加されて、アニオン性やカチオン性染料用の染料固定剤や媒染剤として作用する。この塗膜は典型的には透明かつ非常に平坦で、高い光沢の「写真グレード」の受容体になる。しかしながら、この型のIRLでは、インクが通常IRLにゆっくりと吸着され、印刷が直ぐに触れる程の速乾性でない。
第2のIRLは、無機性、ポリマー性、または有機無機性コンポジット粒子、ポリマー性バインダーおよび添加剤(例えば、染料固定剤または媒染剤)を含有する多孔質被膜を包含する。これらの粒子は化学組成、大きさ、形状および内部/粒子間−粒子多孔性が変化しうる。この場合、印刷液は実質的にIRLの開口孔に吸着されて直ぐに触れることができるほど速乾性の印刷が得られる。
多孔質層中の有機及び/又は無機粒子は粒子間の空間によって空隙部分を形成する。バインダーは粒子を保持するために用いられる。しかしながら、高い空隙容積を維持するために、バインダーの量には限界がある。バインダーの量が多くなれば、粒子やビーズの間に形成された空隙を埋めてしまって、インクの吸着量を低下する。一方、バイダーの量が少ないと被膜の一体性が減少して、クラックの原因となる。
インクジェット印刷の品質と濃度が向上すると、インクジェット記録要素(以下、「受容体」ということもある)へ塗着するインクの量も増大する。これにより、粘性向上(puddling)、凝集(coalescence)およびにじみ(inter-color bleed)を防止するために媒体中の十分な空隙容積を提供することが重要である。同時に、ユーザーの便利を考えて印刷速度を増大する。従って、インクの量の増加に十分な容積が必要なだけでなく、媒体はインク容積/単位面積時間による大きなインクフラックスを処理できなければならない。
多孔質インクジェット記録要素は通常少なくとも二つの層:下層(時々、塗着したインクジェットインク中の液体の主たる液溜めとしてベース層とも呼ばれる。)および任意の上層(時々、光沢層、更に画像受容層)があり、支持体上にその順に塗布されている。これらの層は分割したり、追加の層を支持体と最上層の光沢層との間に設けても良い。これらの層は、樹脂被覆したまたは樹脂被覆していない支持体上に塗布されて良い。これらの層は公知の塗装技術、例えばロール塗装、プリメータード塗装(スロットまたは押出塗装、スライド又はカスケード塗装、またはカーテン塗装)またはエアーナイフ塗装を用いて1回以上塗りで塗装されても良い。樹脂被覆されていない紙に塗装するときは、平滑で光沢のある表面を提供するために、特定の塗装方法、例えばキャスト塗装やフィルム転写塗装を用いても良い。圧力や要すれば熱によるカレンダーを用いて、光沢をある程度増大してもよい。
最近、より高速の印刷がインクジェット印刷で要求されている。複数のインク滴が短時間に近接して塗着するときに問題が生じる。もし受容体の多孔性が不十分であれば、液滴は凝集して、印刷品質が極端に悪くなる。塗装層中のバインダーの量はインク記録要素の性能に非常に重要である。もしバインダーの量が多いと、受容体の多孔性が減少して、凝集が起こり、逆に非常に少ないと、許容できないクラックが発生する。
ビー(Bi)等によるEP特許公開1,464,511号(特許文献1)には、樹脂被覆支持体上の2層インクジェット受容体が開示されている。下層はアルミニウムクロロハイドレートで処理してシリカ粒子をカチオン型に変更して、処理後のゼーター電位+27mv以上を示すフュームドシリカの分散体を含有する。カチオン性シリカ粒子分散体をホウ酸とポリ(ビニルアルコール)と混合して下層用の被覆組成物を形成する。上層の被覆組成物は、カチオン性コロイダルシリカ、グリセロールおよび少量の被膜助剤の分散体からなる。上層及び下層は同時に一回塗装でカスケード塗装されるので、この明細書には同時塗装が記載されている。下層の被膜量は28〜30g/mであり、上層のそれは0.2g/mであった。しかしながら、この種のインクジェット受容体では、画像品質が、高いインクレベルの印刷時に、凝集により低下するという問題がある。
上記EP特許公開1,464,511号の比較例4では、カチオン性フュームドシリカベース層およびアニオン性コロイダルシリカ上層を用いる比較インクジェット記録要素を形成し、テストを行っている。
ミヤチ等による米国特許公開2003/0224129号(特許文献2)には、上記EP特許公開1,464,511号に似たインクジェット記録要素で、カチオン性コロイダルシリカを主として含有する層がフュームドシリカであり得るカチオン化アニオン性無機粒子を含有するベース層上に存在するものが開示されている。
スチャーフェ(Scharfe)等による米国特許7,015,270号(特許文献3)には、フュームドシリカおよびカチオン性ポリマーを含有するインクジェット記録要素であって、インクジェット記録要素を形成するのに用いられる分散液がプラスのゼーター電位を有するものが開示されている。
インク受容層中のバインダー用の架橋剤であって、この架橋剤がインク受容層に拡散するものを提供することは知られている。例えば、リオウ(Riou)等による米国特許4,877,686号(特許文献4)にはインクジェット印刷用記録シートおよびその調製方法が記載されている。被覆組成物は、フィラー(例えば、無機粒子)、および多価ヒドロキシルポリマーバインダー(例えば、ポリ(ビニルアルコール))を含有する。この塗装方法において、PVAはボラックス(borax)によってゲル化または凝集する。ゲル化剤は塗装前にベース材料上に付着させてもよい。また、ゲル化剤を被覆組成物中に導入してもよいが、適宜不活性化されるべきである。例えば、ホウ酸は被覆組成物中に使用してもよく、高いpHのベース層に接触することによって活性化する。この導入型架橋剤法の欠点は、ホウ酸がPVA被覆組成物を完全にゲル化しないけれども、粘度上昇が起こる傾向にあり、粘度上昇は塗装作業においては塗膜品質に悪影響を与える可能性があることである。リオウの開示はより標準化された形のドットを提供することに関している。写真品質印刷に要求されている高い印刷濃度と光沢はリオウには言及されていない。
クロヤマ等によるEP特許公開493,100号(特許文献5)には、ホウ酸又はボレートで被覆された基材と、ボラックス被膜上形成されたインクジェット記録層であって、合成シリカとポリ(ビニルアルコール)を含有するものとを包含するインクジェット記録紙が記載されている。シリカは、湿式法シリカ、シリカゲルまたは乾燥法で形成される極微細シリカであってよい。例示的シリカは高い表面積を有するシリカゲルであるが、それらは数ミクロン以上の大きさの大きな二次粒子の大きさである。これらの材料は写真品質の印刷に必要とする高い光沢が得られない。カチオン性ポリエレクトロライトを耐水性を改良するために添加してもよいが、カチオン種に適合する組成物が考えられる。
リー(Liu)等による特許公開2004/0022968号(特許文献6)には、基材を、その上の、(a)バインダーおよびボレート誘導体のサビング層、および(b)架橋性ポリマーおよび例えばカチオン変性フュームドシリカまたはカチオン性フュームドアルミナである無機粒子を含む画像受容層を包含するインクジェット記録要素を開示する。
EP特許公開1,464,511号 米国特許公開2003/0224129号 米国特許7,015,270号 米国特許4,877,686号 EP特許公開493,100号 特許公開2004/0022968号
本発明の目的は、種々の態様において、受容体中の一層以上のインク受容層の過剰なクラッキングを避けるのみならず、改良された着色印刷濃度、凝集の減少および光沢の改良を提供するインクジェット受容層を製造する方法を提供する。
本発明は上記の1以上の問題点を解決することに関する。要するに、本発明の一つの観点によれば、インクジェット記録要素を製造する方法は、
(a)支持体を提供する工程、
(b)該支持体を、ホウ素含有架橋化合物を含有するサビング組成物(subbing composition)で処理する工程、および
(c)該支持体上にインク受容層用第1の被覆組成物(i)および要すれば光沢層用第2の被覆組成物(ii)をこの順に塗布する工程からなり、
インク受容層用第1の被覆組成物(i)がアニオン性フュームドシリカ粒子および第1の組成物に含まれていない架橋化合物によって実質的に架橋されうる主バインダーとしての親水性ヒドロキシル含有ポリマーを含有し、かつ
光沢層用第2の被覆組成物(ii)がアニオン性コロイダルシリカの粒子およびバインダーを含有するものであるインクジェット記録要素を製造する方法において、
該アニオン性ヒュームドシリカおよびアニオン性コロイダルシリカの粒子がゼーター電位−15mv以下を示し、第1及び第2被覆組成物中の総固形分に対するバインダーの量が5〜30%であり、それによりホウ素含有架橋化合物が少なくともインク受容層に拡散して少なくともインク受容層中で親水性バインダーを架橋することを特徴とするインクジェット記録要素を製造する方法を包含する。
換言すると、インク受容層中のフュームドシリカおよび任意の光沢層中のコロイダルシリカは共にアニオン性粒子である。一つの態様では、光沢層のコロイダルシリカは架橋成分と架橋する親水性ヒドロキシル含有ポリマーバインダーを包含することもある。
別の態様では、染料ベースのインクを用いるように設計されたインクジェット記録要素を製造するために、コロイダルシリカ光沢層は存在し、コロイダルシリカのメジアン粒径が45nm以下である。別の好ましい態様では、顔料ベースのインクを用いるように設計されたインクジェット記録要素を製造するために、支持体は樹脂被覆紙であり、光沢層が無く、インク受容層中の総バインダーの重量は15%以下である。
本発明の方法はインクジェット記録要素において、改良された画像品質(改良された凝集)および高い染料インク光学濃度を有するインクジェット受容体を製造することができる。本発明の方法は、また、プレカーサー分散液の取扱いが容易になり、得られたインクジェット記録要素の特性の改善、例えば要素の1以上の層中における高い多孔質性を有する要素のクラッキングの減少および改良された光沢を有している。
インクジェット記録要素中のインク受容層用のアニオン性組成物が比較のカチオン性配合よりより高い染料濃度を提供する傾向にあることは、全く予想外である。なぜならば、カチオン性材料はインク受容層用のアニオン性組成物よりも典型的に使用されるアニオン性染料をより容易に媒染すると思われていたからである。また、驚くべきことには、アニオン性フュームドシリカを含有するアニオン性組成物が、実施例に示すように、比較のカチオン性フュームドシリカよりバインダーを多く必要としない傾向にある。
本発明を説明するのに、以下の用語をまず説明する:
「多孔質層」とは、液体の拡散よりもキャピラリー作用によって付着インクを吸収することを特徴としている層を意味する。多孔質性は粒子間の空間によって形成される空隙に基づくものであるが、多孔質性は粒子:バインダー比によって影響を受けうる。層の多孔質性は、限定的な顔料容積濃度(CPVC)に基づいて、予測しうる。支持体上に1以上の多孔質層、好ましくは実質上全ての層が多孔質層であるインクジェット記録要素が、例え支持体が多孔質でないとしても、「多孔質インクジェット記録要素」として好ましい。
本明細書中において「粒径」は、他に指示しない限り、数重量メジアン粒径(number weighted median particle size)である。特に、コロイダルシリカの場合、メジアン粒径は、当業者に認識されているように、高解像度TEM(transmission electron microscopy)画像を用いる電子顕微鏡によって測定された数重量メジアン(number weighted median)である。ここで個々の粒子直径は、各粒子の等価投影面積と同じ面積を有する円の直径である。コロイダルシリカの場合、フュームドシリカと比べて、コロイダル粒子が一次粒子径の平均2倍まで凝集してもよいが、それは一次粒子径の測定に悪影響を与えない。
粒子の2種のものの混合の場合、混合物のメジアン粒径は単に混合物のメジアン粒径を意味する。典型的には、混合物中の二つのメジアン粒径の等しい重量にとって、混合物のメジアン粒径は小さい方のメジアン粒径を有する成分のメジアン粒径に比較的近くなる。
フュームド金属酸化物粒子の二次サイズを測定することは、一般に使用されている方法が球として粒子を扱い、それに基づいて計算されているので、難しい。(分散体中のフュームドシリカの一次粒子径はコロイダルシリカと同様にTEMで測定されうる。)フュームドシリカ粒子は球ではなく、一次粒子の凝集体から構成されている。フュームドシリカの場合、メジアン二次粒子径が水に分散された希釈粒子の光散乱測定によって測定されるか、NANOTRAC(Microtac Inc.)、MALVERNまたはCILAS装置もしくは本質的に同様の手段を用いるレーザー回折またはフォトン相関スペクトロスコピー(PCS)を用いて測定する。特に指示しない限りは、粒径は二次粒径を言う。商業的に生産者から販売される種々の製品における無機粒子のメジアン粒径は製品文献に通常記載されている。しかしながら、製品の正確な比較を行う目的では、特定の測定技術を考慮に入れる必要があるかもしれない。一つのテスト方法の使用は、異なるテスト方法による違いを除くことができる。
本明細書において、インクジェット要素中の層に関する用語「上」、「上方」、「上部」、「下」、「下方」、「下部」などは支持体上の層の順番を意味するが、層が直接接しているか、中間層が無いということを必ずしも表さない。
本発明の方法において、用語「画像受容層」とは印刷された画像が層全体に実質上存在する顔料保持層(pigment-trapping layer)、染料保持層(dye-trapping layer)または染料及び顔料保持層(dye-and-pigment-trapping layer)として使用される層を意味することを意図する。染料ベースのインクの場合、画像は要すれば近接する1以上の画像受容層に存在することもある。
本発明の方法において、用語「光沢層」はインクジェット記録要素中の最上被覆層であって、ベース層だけに比べて高い光沢を提供する層を意味することを意図する。それが画像受容層である。
本発明の方法において、本明細書中において用語「ベース層」(または「サンプ層(sump layer)」または「インクキャリアー液受容層」と呼ぶこともある。)は支持体や要すればサビング層(中間的なインク受容層を有さないもの)に近接する層であって、実質的な量のインクキャリアー液を吸収する層を意味する。そのような層は他のインク受容層の下にあるか、またはそれがインクジェット記録要素中の唯一の層であるならば、それは最上層でもある。使用時には、インクのキャリアー液の実質的な量、好ましくはほとんどを受容して、乾燥するまでベース層中に保持する。ベース層は、特にそれしかない場合は、画像含有層(顔料保持層または染料保持層)でありうる。例えば、より上の層、例えば光沢層が存在する場合でも、染料の場合、少量のインク着色剤が光沢層を離れてベース層、その上方部分にほとんど侵入する。好ましくは、ベース層はサビング層を除いて、支持体に一番近いインク保持層である。ベース層は、他のインク受容層、例えば光沢層があるならば、インクジェット記録要素中で一番厚い層である。
用語「サビング層」は、ベース層と支持体の間にある層であって、乾燥重量5g/m以下、好ましくは1g/m以下を有するものである。サビング層は、多孔質もしくは非多孔質であってよく、接着性を改善するか、または他の機能、例えば拡散による架橋剤の提供を果たすために使用されてもよい。
用語「インク受容層(ink-receptive layer)」または「インク保持層(ink-retaining layer)」とは、適用したインク組成物を受容し、使用された一種以上のインク組成物を吸収またはトラップする支持体の上のいくつかのまたは全ての層を含み、その結果インクキャリアー液および/または着色剤(それが後に乾燥で除去されても)を含むインクジェット記録要素内で画像を形成する。従って、インク受容層は例えばインクジェット記録要素のベース層と最上層との間で、画像が染料および/または顔料で形成される画像受容層、ベース層、サビング層または他の付加的層を含みうる。典型的には、支持体上の全ての層がインク受容性である。インク受容層が塗布される支持体もインクキャリアー液を吸収してもよい。インク受容層が支持体上に塗布された場合、支持体はインクジェット記録要素の製造時に全てのインク需要層が塗布されうる固体材料である。
発明の詳細
上述のように、本発明は支持体上に支持体に最近接して多孔質ベース層および任意の多孔質上方光沢層を有する多孔質インクジェット記録要素の製造方法に関する。支持体に最近接の多孔質インクジェット記録要素および任意の多孔質上方光沢層は必要に応じてサブ層、好ましくは最近接サブ層に分離していてもよく、その場合個々のサブ層は厚さの制限を除いて、特許請求の範囲の要件を個別にかつ全体として満足する。
一つの態様として、本発明は支持体上に単一の多孔質ベース層および単一の上方光沢層からなり、可能な例外はベース層の下に5μm以下の層、例えばサビング層を有するインクジェット記録要素の製造方法に関する。
好ましい態様では、未印刷インクジェット記録要素の60度光沢は少なくとも15ガードナー光沢ユニット、好ましくは少なくとも20ガードナー光沢ユニットである。
好ましい態様において、本発明は、順に、
(a)アニオン性のフュームドシリカの粒子および1次バインダーとしての親水性ヒドロキシル含有ポリマーを含有する多孔質ベース層であって、該ベース層は乾燥重量10〜35g/m、好ましくは15〜25g/mを有し、親水性ヒドロキシル含有ポリマーはホウ素含有化合物を含む架橋剤で架橋され、ベース層中の総固形分に対する総バインダーの重量%は5.0%以上であって、15.0以下、好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下であるもの、および
(b)アニオン性コロイダルシリカおよび親水性バインダーを含有し、乾燥重量0.2〜7.5g/mを有する前記ベース上の任意の多孔質光沢層であって、コロイダルシリカ粒子のメジアン粒径が10〜200nm、好ましくは20〜120nmであるもの、
を含むインクジェット記録要素を製造する方法に関する。
一つの態様では、染料ベースのインクを用いるインクジェット記録要素においては、多孔質光沢層はベース層上に存在し、コロイダルシリカの粒子および親水性バインダーを含有し、乾燥重量が1.0〜7.5g/mであり、コロイダルシリカの粒子のメジアン粒径が10〜45nm、好ましくは40nm以下、ある場合には有利には30nm以下、より好ましくは25nm以下である。
多くの場合、フュームドおよびコロイダルシリカ両方の粒子はゼーター電位−15mv以下を示す。
ゼーター電位は、例えば粒子の表面に付着してくる物質によってシフトしうる粒子の表面電荷の測定である。ゼーター電位は分散体中の粒子の剪断表面(shearing surface)上の電位と意味すると理解されている。粒子が表面に酸基や塩基を有する分散体において、電荷はpH値の設定によって変化しうる。ゼーター電位に関係する重要な値は粒子の等電点(IEP)であり、電荷が0の点であると考えられ得る。IEPはゼーター電位が0であるpH値を与える。二酸化シリコンのIEPはpH3.8以下である。pH値とIEPの差が大きければ大きいほど、分散体がより安定になる。
同じ材料の粒子は同じ表面電荷を有しているので、互いに反発する。しかしながら、ゼーター電位が小さすぎると、反発力が粒子間のファンデルワールス力を超えることができずに、凝集したり、ある場合には粒子の沈澱を引き起こす。
ゼーター電位は当業者に知られているいかなる方法で測定してもよいが、好ましくは分散体のコロイド振動流(CVI)の測定や電気泳動移動度(electrophoretic mobility)の測定で行われる。本発明の組成物のゼーター電位はマルバーン・インスツルメント(Malvern Instrument)ZETASIZER NANO−ZSで測定された。分散体はpHマッチングの水で希釈し、分散状態を確保するためにロールした。
任意の光沢層のコロイダルシリカ粒子は表面積BET表面測定によっても特徴付けられる。コロイダルシリカ粒子の好ましい表面積は50m/g以上である。異なるコロイダルシリカ製品の中で比較的大きな表面積は小さな粒径の粒子に存在する。本明細書中では、BET表面積の測定はS. Brunauer、P.H. EmmetおよびI. TellerによるJ. Am. Chemical Society, vol. 60, page 309 (1938)の窒素吸着法に基づく。
上述のように、インク受容層中のバインダーの量は、好ましくは特定範囲に限定されている。それは、インクがインクジェット媒体に適用されるときに、液体(典型的には水性)キャリアーがバインダーを膨潤して多孔質性を塞ぎ、ブリードや他の問題を引き起こすからである。従って、好ましくは、ベース層は所望の多孔質性を維持するためにベース層中の最大バインダー量より少なく、クラックや他の好ましくない特性を阻止するためにバインダーの最小量より多く配合する。
ホウ素含有化合物で架橋される好適な親水性ヒドロキシル含有ポリマーはインクジェット記録要素のベース層中(必要に応じて光沢層中)の一次バインダーとして使用されうる。
少なくともベース層において使用される架橋性親水性ヒドロキシル含有ポリマーは、例えばポリ(ビニルアルコール)、部分加水分解ポリ(ビニルアセテート/ビニルアルコール)、またはヒドロキシエチルメタクリレート含有共重合体、ヒドロキシエチルアクリレート含有共重合体、ヒドロキシプロピルメタクリレート含有共重合体、ヒドロキシセルロースエーテル(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)などであってよい。好ましい態様では、ヒドロキシル基含有架橋性ポリマーはポリ(ビニルアルコール)、具体的には部分加水分解ポリ(ビニルアセテート/ビニルアルコール)または変性もしくは未変性PVA、またはヒドロキシル基を含む主(50モル%以上)モノマー繰り返し単位、より好ましくはそのようなモノマー繰り返し単位ユニット70モル%以上を含有するPVAの共重合体である。
一般に、一次バインダーとしてポリ(ビニルアルコール)(以下、「PVA」とも言う。)を用いる時に特によい結果が得られる。上記のように、用語「ポリ(ビニルアルコール)」は変性または未変性ポリ(ビニルアルコール)、例えばアセトアセチル化、スルフォネート化、カルボキシル化PVA等を含む。PVAの共重合体、例えばエチレンオキシドとの共重合体も一次バインダーとして好適である。
本発明で用いられるポリ(ビニルアルコール)は一般のポリビニルアセテートを加水分解して調製されるポリ(ビニルアルコール)、および変性ポリ(ビニルアルコール)、例えばアニオン性または非カチオン性基を有するポリ(ビニルアルコール)を含む。
一つの態様において、ビニルアセテートを加水分解することにより調製されたポリ(ビニルアルコール)の平均重合度は好ましくは少なくとも300、より好ましくは1000〜10,000であり、粘度(20℃濃度4重量%水中)少なくとも30cP、より好ましくは少なくとも40cPである。ポリ(ビニルアルコール)のケン化率は好ましくは70〜100%、より好ましくは75〜95%である。
少量の追加的な非親水性(疎水性)バインダーを種々の組成物に配合してもよい。好ましいポリマーは水溶性であるが、ラテックスポリマーも種々の理由で配合してもよい。(本明細書において、「一次」とは全てのバインダーの50重量%を超えることを意味する。)
好ましい態様では、追加的なポリマーバインダーは、一次バインダーとは異なり、適合性、好ましくは水溶性親水性ポリマー、例えばポリ(ビニルピロリドン)、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(ビニルアセトアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキレンオキシド)、スルフォネート化またはフォスフェート化ポリエステルおよびポリスチレン、カゼイン、ゼイン、アルブミン、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、コラーゲン誘導体、コロジアン、寒天、アロールート、グアー、カラギーナン、トラガカント(tragacanth)、キサンタン、ラムザン(rhamsan)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(2−エチルー2−オキサゾリン)、ポリ(2−メチルー2−オキサゾリン)、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリジノン)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリウレタン、ビニルアセテートーエチレン共重合体、エチレンービニルクロリド共重合体、ビニルアセテートービニルクロリドーエチレン3元共重合体、アクリル、ポリマー、それらの共重合体または誘導体等、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
好ましい疎水性材料は、例えばポリ(スチレン−コ−ブタンジエン)、ポリウレタンラテックス、ポリエステルラテックス、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、n−ブチルアクリレートおよびエチルアクリレートの共重合体、ビニルアセテートおよびn−ブチルアクリレートの共重合体等が挙げられる。親水性およびラテックスバインダーの混合物も有用であり、ポリ(ビニルアルコール)およびポリ(スチレン−コ−ブタジエン)ラテックスの混合物が挙げられる。
ホウ素含有架橋剤に関して、もっとも好ましくはホウ素含有化合物、例えばボレートまたはボレート誘導体がサビング層に配合されて、ベース層に拡散して、少なくともベース層中の架橋性バインダーを架橋する。
インクジェット記録要素のサビング層中に用いられるボレートまたはボレート誘導体は、例えばボラックス、テトラホウ酸ナトリウムなど、好ましくは酸性のホウ素含有化合物、例えばホウ酸ではないものである。
一つの態様では、架橋性化合物はホウ酸塩、例えばテトラホウ酸ナトリウムデカハイドレート(ボラックス)、ホウ酸ナトリウム、およびホウ酸誘導体、ホウ酸無水物などであり、ベース層中でバインダー、例えばポリ(ビニルアルコール)、即ちPVAと組み合わせられる。この組み合わせは特に有用である。PVAとボラックスは相互作用して溶液中に高粘度もしくはゲル化混合物と形成し、それが乾燥時に架橋した被膜を形成することが知られている。一つの態様によれば、ボラックスをウェブ上に予め塗布して、その後PVAを含有する水性被覆組成物を塗布する。被覆組成物からの水はボラックスを溶解し、塗膜中に拡散して、すばやく組成物を濃縮する。
ホウ素含有化合物、例えばボレートやボレート誘導体はサビング層中にベース層中のバインダーの重量の20重量%までの量で使用される。そのような乾燥したサビング層上のベース層塗装時に、サビング層中の多くのボレートやボレート誘導体がベース層中に拡散して、その拡散が早いので、ベース層中のバインダーの多くを架橋する。
ベース層に機械的耐久性を付与するために、上述のバインダーに作用する一以上の追加的な非ホウ素含有架橋剤を少量で少なくともベース層用の被覆組成物に添加してもよい。そのような添加剤は層の凝集力(cohesive strength)を改善する。架橋剤、例えばカルボジイミド、ポリ官能性アジリジン、アルデヒド、イソシアネート、エポキシド、ビニルスルフォネート、ピリジニウム、ピリジリウムジカチオンエーテル、メトキシアルキルメラミン、トリアジン、ジオキサン誘導体、クロムミョウバン、ジルコニウムスルフェートなどを用いてもよい。従って、非ホウ素含有架橋剤はホウ素含有架橋剤と組み合わせて用いてもよい。
一つの好ましい態様では、ベース層は乾燥重量少なくとも10g/m、好ましくは15〜25g/m、より好ましくは17〜24g/mを有する。ベース層の乾燥重量が低いときには、凝集が増大して、ベース層の吸収能を増加し、かつ受容体の濡れ性を改善するためにベース層組成物を調整することにより補ことをようする。例えば、ベース層にフルオロ界面活性剤を添加して、低いベース層被覆面積で凝集性を減少することができる。また、凝集性は中間層の形で吸収性能を付加することによって減少する。ベース層の組成物の他の可能な調整は粒子の表面積の変更および/または他の粒状材料の添加が包含される。
本発明のインクジェット記録要素の一つの態様では、ベース層は上層の光沢層の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも6倍、もっとも好ましくは少なくとも9倍の厚さである。
ベース層中の無機粒子は個別に製造された2種の異なるフュームドシリカを異なる割合で含む混合物を包含する。
好ましくは、ベース層中のアニオン性フュームドシリカ(またはシリコンを含む混合酸化物フュームド粒子)がベース層中の無機粒子の総重量の少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%含有する。
ベース層はフュームドシリカに加えて、必要に応じてさらに一以上の他の非カチオン性無機粒子、例えばコロイダルシリカ、酸化チタン、酸化亜鉛などおよび/またはそれらの混合物を少量含んでもよい。他の有用な非カチオン性無機粒子の例としては、上記の多孔質光沢層で記載したが、粒径を除いて、アニオン性コロイダル(非凝集)シリカを包含する。
上記の無機粒子に加えて、ベース層は独立的に非カチオン性無機粒子またはビーズ、例えばポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリ(ブチルアクリレート)などを含んでもよい。好ましくは、ベース層中の実質的に全ての粒子がメジアン一次および二次粒径300nm以下を有する。
好ましくは、ベース層中の一以上の非カチオン性無機材料は、酸素や他の非金属または金属原子と組み合わせて、金属やシリコン原子の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%がシリコンであるシリコン‐酸化物含有材料の粒子を包含する。
好ましい態様では、ベース層はバインダーを5〜15.0重量%含有する。ベース層は親水性および疎水性バインダーの両方を含んでもよい。最も好ましくはベース層中のバインダーはポリ(ビニルアルコール)を含む。また、ベース層はさらにポリ(ビニルアルコール)を架橋する架橋剤を含むのが好ましい。
一つの態様では、ベース層はさらにフルオロ界面活性剤を組成物の総重量の0.1〜5%、好ましくは0.8〜2%の量で含む。好ましいフルオロ界面活性剤は米国特許出願公開2005/0013947号に記載されている非イオン性線状パーフルオロ化ポリエトキシル化アルコールである。ある態様では、それらのフルオロ界面活性剤が光沢と凝集性を改善する。
インクジェット記録要素は、好ましくはベース層中に、平均一次粒径50nm以下、好ましくは5〜40nmを有するフュームドシリカを含むが、それらは凝集してメジアン二次粒径300nm以下、好ましくは150〜250nmを有する。
ベース層は本発明においてアニオン性シリカ粒子の表面電荷やゼーター電位に影響を与えるカチオン材料、例えばカチオン性ポリマー、ヒドロキシル含有多価金属塩、例えばアルミニウムクロロハイドレートまたはシランカップリング剤を含まないことが特徴である。「含まない」とはアニオン性シリカ粒子のゼーター電位を変更し、ゼーター電位を−15mvより正にするのに十分なカチオン性基が存在する限度より下であると定義される。用語「カチオン性」は例えば少なくとも一つの第4級アンモニウム基、ホスホニウム基を有するポリマー、第1級、第2級または第3級アミン基の酸付加物、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミンまたはポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミン濃縮物、ジシアンジアミド‐ポリアミン共濃縮物またはポリアミド‐ホルムアルデヒド濃縮物などが挙げられる。
好ましくは、フュームドシリカは、任意の光沢層中のコロイダルシリカと同様、酸素または他の非金属非シリコン原子と組み合わせてシリコンである粒子中に金属またはシリコン原子を少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%であることを特徴としている。例えば、結果的に表面がアニオン性である限りは、製造時にシリコン酸化物中に限定された量で、種々のドーパント、不純物、出発材料の組成の変化物、表面剤および他の変性剤を加えてもよい。フュームドシリカは、ゼーター電位が要求を満足する限り、混合金属酸化物を含んでよい。Scharfe等による米国特許7,015,270号およびBatz-Sohn等による米国特許6,808,769号を参考にする。シリコン酸化物−混合−酸化物粒子は、例えばチタン、アルミニウム、セリウム、ランタンまたはジルコニウム原子を含んでもよい。混合酸化物は混合酸素−金属/非金属結合の形成時に原子レベルで酸化物粉の緊密な混合を含む。
シリコン−酸化物粒子は、湿式法で形成される粒子と乾式法(蒸気相法)で形成される粒子とに大きく分けることができる。後者の粒子は、フュームドまたは熱分解法粒子とも呼ばれる。蒸気相法では、火炎熱分解およびアーク法が一般に用いられている。用語「火炎熱分解」とは、燃料ガス、好ましくは水素と酸素の反応によって生じる炎のガス相中で金属または非金属化合物を加水分解することを意味する。高分散、非多孔質一次粒子をまず形成し、反応を継続して、凝集して、凝集物を形成し、更に凝集して凝集塊を形成する。好適な態様では、これらの一次粒子のBET表面積は5〜600m/gである。フュームドシリカは蒸気相法で製造され、コロイダルシリカは蒸気相法では製造されず、乾燥法によって製造されたフュームドシリカや湿式法で形成された他のシリカ(例えば、比較的より多孔質のシリカゲル)とは区別されうる。
フュームド粒子は非フュームドシリカまたは湿式法粒子(以下、本明細書中では「コロイダルシリカ」と呼ぶ。)とは異なる特性を示す。フュームドシリカの場合、これは表面のシラノール基の濃度の違いによると思われる。フュームドシリカは高い空隙率を有する三次元構造を形成するのに好適である。
フュームドまたは熱分解粒子はより小さな一次粒子の凝集物である。一次粒子は多孔質ではないが、凝集物は高い空隙率を有し、高い溶液吸収能を有している。これらの空隙含有凝集体は、凝集体粒子が緊密充填されて被膜中で粒子間空隙体積を減少したとしても、被膜を形成して高い溶液吸収能を保持する。例えば、本発明における選択的任意の使用について、フュームドシリカはBatz-Sohnによる米国特許6,808.769号、Morris等による米国特許6,964,992号およびReganによる米国特許5,472,493に記載されている。フュームドシリカの例は、下記の実施例に提供されているが、市販もされていて、キャボット社のCAB−O−SILシリカやデグサ社のAEROSILシリカが知られている。
比較的低い表面積のフュームドシリカは低バインダーの要求には好ましいが、あまりに低い表面積を有するフュームドシリカは光沢を減少する。一つの態様では、150〜350m/gが好ましく、170〜270m/gがより好ましい。
一つの態様において、上方の光沢層が存在し、その層の総固形分に基づいてバインダーを10重量%以下の量で含む。光沢層のバインダーはベース層のバインダーと同じものから選択されうる。ポリ(ビニルアルコール)がやはり好ましいバインダーである。
光沢層は本発明におけるアニオン性シリカ粒子の表面電荷やゼーター電位に影響を与えるカチオン材料、例えばカチオン性ポリマー、ヒドロキシル含有多価金属塩、例えばアルミニウムクロロハイドレートまたはシランカップリング剤を含まないことが特徴である。ここで「含まない」とはアニオン性シリカ粒子のゼーター電位を変更し、ゼーター電位を−15mvより正にするのに十分なカチオン性基が存在する限度より下であると定義される。
好ましくは、光沢層中のコロイダルシリカは光沢層中に無機粒子を少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%含有する。
用語「コロイダルシリカ」は、二酸化シリコンを含む粒子であって、分散されてコロイド状になる。そのようなコロイダルシリカは実質的に球状の一次粒子である。より大きな粒子、数や凝集において限定された一次粒子の凝集物は、その粒状材料や、モノ分散度または多分散度によって少量存在してもよいが、より大きな粒子は数重量メジアン粒径に少し影響を与える。コロイダルシリカの例としては下記の実施例に記載されている場、多くの製造者から市販されていて、ニッサン化学工業、デグサ、Grace Davison(例えば、SYLOJETやLUDOXの商標)、ナルコ化学社などが挙げられる。典型的には、コロイダルシリカは粒子表面上に存在するシラノール基からプロトンを失って、アニオン電荷を本質的に有している。そのような粒子は、粒子が長時間分散体から沈澱しない分散体やゾルでえられる。多くの市販のコロイダルシリカゾルは、コロイダルシリカを製造するときに使用されるナトリウムシリケートから少なくとも部分的に来る水酸化ナトリウムを含んでいる。
コロイダルシリカの平均金属組成はシリコンを少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%含む。この場合、シリコンはベース層のフュームドシリカで説明したように、この計算の場合、金属原子と考える。
光沢層は、必要に応じて、少量の一種以上の非カチオン性無機粒子、例えばフュームドシリカ、酸化チタン及び/又はそれらの混合物を含んでもよい。好ましくは、任意の凝集粒子は、多孔質ベース層で述べたように、粒径を除いて、アニオン性フュームドシリカを含んでもよい。また、酸化亜鉛、酸化錫などのアニオン性コロイダル粒子が好適である。
上記の無機粒子に他に、光沢層は個別にベース層でも述べたような非カチオン性有機粒子やビーズを含んでもよい。好ましくは、ベース層中の実質的に全ての粒子が、マットビーズとして使用される粒子を除いて、45nm以下の平均一次粒子径を有する。
好ましくは、光沢層中の1以上の他の無機材料は、金属又はシリコンの少なくとも80%が、酸素や他の非金属又は金属原子と共にシリコンである、シリコン酸化物含有材料の粒子を含む。
常套の添加剤を本発明のインク受容層に配合してもよいが、記録要素の特定の用途に依存する。インクジェット記録要素のインク受容層に配合されうる展開剤は、架橋剤、レオロジー変性剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、潤滑剤、染料、蛍光増白剤、および一般の添加剤が挙げられる。添加剤は、インクジェット記録要素が他の画像記録物品、画像記録装置のドライブや移送手段に接触する場合に添加されてもよく、マット粒子等の添加剤はそれらの添加が特性を劣化しない限りインクジェット記録要素に添加してもよい。また、添加剤はアニオン性シリカと適合性を有するべきである。
インクジェット記録要素は特に顔料インク、染料ベースインクまたはその両方に適合しうる。顔料ベースインクの場合、上方の光沢層は顔料保持層として作用しうる。染料ベースインクの場合、上方の光沢層や下層のベース層、または更にその上方部が特定の態様、層の厚さ、粒子組成、バインダーなどに応じて、画像を有してもよい。
用語「顔料保持層(pigment-trapping layer)」は、本明細書中では、使用時に画像を印刷するのに用いられるインクジェットインク組成物中の顔料着色剤の少なくとも75重量%、好ましくは実質全量が顔料保持層に残ることを意味する。
被覆インク保持層の支持体は、紙や樹脂被覆紙から選択されて良い。好ましくは樹脂被覆紙が両側にポリオレフィン被膜、より好ましくはポリエチレン被膜を有する。本発明の支持体に用いられる支持体の厚さは12〜500μm、好ましくは75〜300μmであり得る。
所望により、ベース層と支持体の接着性を改善するために、支持体またはサビング層の表面を支持体にベース層を適用する前に、コロナ放電処理してもよい。
特に好ましい態様では、サビング層は一層で一カ所塗りで塗装されてもよく、ベースや光沢層を含むインクジェット記録要素の1以上のインク受容層を同時に一カ所で塗装してもよい。一つの態様では、全てのインクジェット記録要素が一回の塗装で塗装される。
用語「一回塗装」または「一回塗り」は、インクジェット記録要素がロールに巻き取られる前に、1以上の層が、要すれば1以上の場所で塗装される塗装操作をいう。インクジェット記録要素がロールに巻き取られた後で、2回目にインクジェット記録要素が巻き取られる間に塗装が行われる操作を2回塗り塗装という。
一つの態様では、二つのインク受容層が存在する場合に、層を同時に、好ましくはカーテン塗装で塗装される。他の方法は、押出ホッパー塗装、スライドホッパー塗装などから選択される。
一つの態様では、インクジェット記録要素を製造する方法は、
(a)支持体を提供する工程、
(b)該支持体を、ホウ素含有架橋化合物を含有するサビング組成物で処理する工程、および
(c)該支持体上にインク受容層用第1の被覆組成物(i)および要すれば光沢層用第2の被覆組成物(ii)を順に同時に塗布する工程からなり、
インク受容層用第1の被覆組成物(i)がアニオン性フュームドシリカ粒子および第1の組成物に含まれていない架橋化合物によって実質的に架橋されうる主バインダーとしての親水性ヒドロキシル含有ポリマーを含有し、かつ
光沢層用でインクジェット記録要素の最上層の第2の被覆組成物(ii)がアニオン性コロイダルシリカの粒子およびバインダーを含有し、コロイダルシリカが10〜45nmのメジアン粒径を有するものであるインクジェット記録要素を製造する方法において、
該アニオン性ヒュームドシリカおよびアニオン性コロイダルシリカの粒子がゼーター電位−15mv以下を示し、第1及び第2被覆組成物中の総固形分に対するバインダーの量が5〜30%であり、それによりホウ素含有架橋化合物が少なくともインク受容層に拡散して少なくともインク受容層中で親水性バインダーを架橋することを特徴とする。従って、ホウ素含有架橋化合物は少なくともインク受容層に拡散して、少なくともベース層中の親水性バインダーを架橋する。
任意の光沢層中のバインダーは第2の組成物中に含まれていないホウ素含有架橋化合物によって実質的に架橋されるものであってよい。その場合、サビング層中の架橋化合物は光沢層に拡散して、実質的に光沢層中のバインダーを架橋する。換言すれば、ホウ素含有架橋化合物がベース層の厚さなどの種々の要因に依存して、上方の光沢層にある程度移行してもよい。
別の態様では、一つのインク受容層が存在する場合、インクジェット記録要素を製造する方法は、(a)樹脂被覆支持体を提供する工程、
(b)該支持体を、ホウ素含有架橋化合物を含有するサビング組成物で処理する工程、および
(c)該支持体上にインク受容層用被覆組成物を塗布する工程からなり、
インク受容層用被覆組成物がアニオン性フュームドシリカ粒子および組成物に含まれていない架橋化合物によって実質的に架橋されうる主バインダーとしての親水性ヒドロキシル含有ポリマーを含有し、インク受容層が支持体とサビング層上のインク受容要素中のたった一つの層であるインクジェット記録要素を製造する方法において、
該アニオン性ヒュームドシリカの粒子がゼーター電位−15mv以下を示し、被覆組成物中の総固形分に対するバインダーの量が15%以下であり、それによりホウ素含有架橋化合物が少なくともインク受容層に拡散して少なくともインク受容層中で親水性バインダーを架橋することを特徴とする。
サビング組成物は要すればバインダーを含んでもよく、また単純に液体キャリアー、例えば水を含んでもよい。
本発明の記録用要素を画像形成する為に用いられるインクジェットインクは、当業者に公知である。インクジェット印刷に用いられるインク組成物は典型的には溶媒やキャリアー液、染料または顔料、湿潤剤、有機溶媒、洗浄剤、保湿剤などを含有する液状組成物である。溶媒やキャリアーは単独では水であってよく、水と他の水混和性溶媒(例えば、多価アルコール)との混合であってよい。有機材料、例えば多価アルコールが主キャリアーまたは溶媒液であるインクを用いてもよい。染料をそのような組成物に使用する場合には、それらは典型的には水溶性直接または酸型染料である。そのような液状組成物は従来技術に詳しく説明されており、例えば米国特許4,381,946号、同4,239,543号および同4,781,758号である。
典型的にはインクジェット印刷に用いられる着色剤はアニオン性である。染料ベースの印刷システムにおいて、染料分子はアニオン残基を有する。顔料ベースの印刷システムにおいて、分散顔料はアニオン残基と共に機能する。着色剤は最大の画像濃度を提供するために、インクジェット受容体の表面付近に固定されるべきである。顔料ベースの印刷システムの場合、インクジェット受容体は表面近くでインク顔料粒子を有効にトラップするために、トップ層に適切な孔径を有すようにする。当業者に知られている染料ベースの印刷システムは、受容体の最上層または層中に固定剤または媒染剤を必要とする。多価金属イオンや不溶性カチオン性ポリマーラテックス粒子はアニオン性染料の効果的な媒染剤である。顔料および染料ベース印刷システムの両方が広く知られている。使用者の要求に応じて、従来に公知の一般の多孔質インクジェット受容体は最上層や複数の層に染料固定剤を含む。
上述のように記録要素は主としてインクジェットプリンターに有用であると述べられているが、それらはペンプロット式アッセンブリ用の記録媒体として用いてもよい。ペンプロッターはインク溜めと連絡したキャピラリーチューブの束からなるペンを用いて記録媒体の表面上に直接記載することによって操作される。
本発明を以下の実施例により更に説明する。
実施例1
紙とその両側にポリエチレン樹脂被膜を有する支持体の一方の側に、ポリ(ビニルアルコール)(PVA、CELVOL103)、スチレンーブタジエンラテックス(DOW CP692NA)およびテトラほう酸ナトリウムを1:1:2の割合で含む水性組成物を総固形分0.6%で塗装し、乾燥して乾燥被覆量0.32g/mを得た。
ベース層用の第1水性被覆組成物(アニオン性フュームドシリカ(AEROSIL200)、7.5%PVA(NIPPON GOHSEI KH20)の分散液(DEGSSA W7520)、0.75%1,4−ジオキサン−2,3−ジオール(DHD)、1%フルオロ界面活性剤(ZONYL FS300)を含有する:固形分17,9%)および光沢層用の第2水性被覆組成物(アニオン性コロイダルシリカ(Grace Davison SYLOJET4000AおよびLUDOX TM−50の1:1混合物)の分散液、8%スクシニル化ゼラチン(GELITA IMAGEL MS)、架橋剤(0.8%1,4−ジオキサン−2,3−ジオール(DHD))および被覆助剤(1%ZONYL FS300)を含有する:10%固形分)を同時にサビング層上に塗装して、乾燥重量がそれぞれ21.5g/mおよび2.2g/mの層を提供し、乾燥して発明サンプルI−1を形成した。
比較サンプルC1〜C5は上記と同じ処理支持体を用いた。ベース層用の第1水性被覆組成物(カチオン性フュームドシリカ(カチオン変性AEROSIL130)の分散液(DEGSSA WK7330)、PVA(NIPPON GOHSEI KH20)、2.5%1,4−ジオキサン−2,3−ジオール(DHD)、0.5%ホウ酸および1.85%被覆助剤を含有する:固形分17.9%)および光沢層用の第2水性被覆組成物(カチオン性コロイダルシリカ(Grace Davison SYLOJET4000C)の分散液、3.5%ポリビニルアルコール(NIPPON GOHSEI GH23)、1%1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、および1%ZONL FS300を含有する:10%固形分)を同時にサビング層上に塗装して、乾燥重量がそれぞれ21.5g/mおよび2.2g/mの層を提供した。フュームドシリカ含有層はPVAレベルによって変え、フュームドシリカレベルをその代わり調整した。比較サンプルC1〜C5に用いたPVAの量は下記表1に示す。
被覆サンプルのクラッキングは目視評価した。非印刷サンプルの光沢は20度と60度で測定した。サンプルはKODAK EASYSHARE5100インクジェットプリンターでドライバーセッティングをプリントスピードとインクレイダウンを最大に(KODAK ULTRA PREMIUM STUDIO GLOSS PAPERセレクション)するように選択して印刷を行った。凝集、またはソリッドカラーパッチ中の局所濃度非均一性を目視で評価し、1(視認無い)〜5(選択したプリンターモードが非常に高いインクフラックスをフラッディングまでだがフラッディングではないもの提供する条件下で、凝集が観察された。)で評価した。4までの判定である種の印刷用途で許容しうると考えてよい。インクが漏れてかつ凝集したサンプルは5より高いランクだった。サンプルを次にEPSON R320染料ベースプリンターで印刷し、ソリッドカラーパッチの濃度を測定した。シアン、マジェンタ、イエローの濃度の平均を比較し、同様にレッド、グリーンおよびブルーパッチの平均値および純ブラックのパッチの平均値も比較した。結果は下記表1に示す。
Figure 2011502823
表1の結果を見れば、本発明者等は、インク受容層中にアニオン性フュームドシリカおよび光沢層中にアニオン性コロイダルシリカを含有する本発明の記録要素がインク受容層中に低いバインダー含有量でクラッキング無しで塗布することができることを発見した。結果として、顔料ベースのインクで凝集性が低減する。驚くべきことに、染料ベースのインクの色濃度も改善された。従来技術では、インクジェット受容体の一般的な態様では、受容体表面近くに標準的なアニオン性着色剤を最大の色濃度で固定するためには、カチオン性粒子、例えばアルミナやカチオン変性シリカを用いて、カチオン性粒子に適合するカチオン性媒染剤を必要に導入することであった。本発明では、実質的にカチオン性の粒子や添加剤を受容体に用いないで、優れた結果が標準のアニオン性着色剤を用いるインクでの印刷でえられる。
実施例2
本発明はコロイダルシリカを含有する最上光沢層を含む。サンプルI−2は、光沢層の塗装に代えて、インク受容層の乾燥被膜量が乾燥重量を制御して増加すること以外、サンプルI−1と同様に調製した。サンプルは実施例1と同様に評価し、結果を表2に示す。
Figure 2011502823
表2の結果は光沢層がインク受容層の最上層に提供された時に光沢の改善が見られる。光沢層が存在する場合、光沢層は染料ベースのインクで印刷されても全ての色で色濃度の改善を提供した。
実施例3
本発明はアニオン性フュームドシリカの粒子を含有する多孔質ベース層を包含する。本発明のサンプルI−3、I−4およびI−5は、トップコート被覆量を3.2g/mに増加し、かつアニオン性コロイダルシリカ(Grace Davison SYLOJET4000A)を表3に記載する量で最下層においてフュームドシリカと部分的に置換する以外、サンプルI−1と同様に調製した。サンプルは実施例1と同様に評価した。
Figure 2011502823
表3の結果は、アニオン性フュームドシリカを含有するベース層が、他の適合性アニオン性無機粒子を添加しても、顔料ベースのインクの許容されない凝集が無く、染料ベースのインクで優れた印刷色濃度を提供することを、示す。
実施例4
光沢層の被覆組成物を固形分15%に変更してレイダウンを変更する以外、実施例1のサンプルI−1を塗装する方法で塗装して、一連の塗膜を調製した。塗膜サンプルを実施例1と同様に評価し、試験結果を表4に示す。
Figure 2011502823
表4から明らかなように、低い光沢層の被覆量で、印刷の色濃度が減少する。凝集における小さな増加は光沢層の乾燥重量が5g/m以上で見られる。
実施例5
光沢層のアニオン性コロイダルシリカの型の混合物を単一成分(Grace Davison SYLOJET4000A)に置き換えて、光沢層中のゼラチンバインダーをポリ(ビニルアルコール)に置き換える以外、実施例1のサンプルI−1を塗装する方法で塗装して、一連の塗膜を調製した。光沢層中のポリ(ビニルアルコール)のレベルは4重量%〜10重量%の幅に調節した。光沢層中の架橋剤のレベルはバインダーの10重量%に調節した。ベース層をバインダーレベル6重量%に調節した。
ブロンズ化が、印刷された黒色領域でブロンズカラーの外観を有する高い光沢を示す場合に、起こる。ブロンズ化の外観評価はEPSON R260プリンターを用いて染料ベースのインクで印刷された画像化黒色領域を目視観察することにより行われた。
Figure 2011502823
表5のデーターは光沢層のバインダー量が10%までで高い印刷染料濃度がえられる。ブロンズ化しやすいインクにとって、低いバインダーレベルが光沢層に好適である。
実施例6
インク受容層のバインダーレベルを7重量%にする以外、実施例5と同様に一連の塗膜を調製した。光沢層とインク受容層の被膜量を下記表6に示すように変更した。
Figure 2011502823
表6に示す結果は本発明のいくつかの例での好ましい範囲を示し、少なくとも17g/mを有するインク受容層がより乾燥重量の低い層に比べて凝集を低下することを示している。低いベース層乾燥重量で見られる凝集の増加はベース層組成物を吸収能や湿潤性を増大するように調整することによって補うことができる。例えば、以下の実施例17に示されているように、ベース層中のフルオロ界面活性剤の量の増加は低いベース層被覆量での凝集を減少しうる。ベース層と光沢層との組み合わせた層乾燥重量が25g/mを超えると、受容体が製造時にクラッキングを起こす傾向が高くなる。光沢層被覆量はクラッキングには比較的大きな影響を与えるが、インク受容層の乾燥重量は画質に比較的大きな影響を与える。
実施例7
光沢層のアニオン性コロイダルシリカの型の混合物を単一成分(Grace Davison SYLOJET4000A)に置き換えて、光沢層乾燥重量を3.2g/mにすること以外、実施例1のサンプルI−1を塗装する方法で塗装して、一連の塗膜を調製した。インク受容層中のバインダーレベルを下記表7に示すように調整した。
Figure 2011502823
表7の結果はベース層乾燥重畳が24g/mを超える場合にクラッキングが増加し、バインダー含有量の増加は凝集を増加する傾向にあることを示す。
実施例8
ボラックス含有処理層がポリビニルピロリドン(K−90、ISP社)とテトラホウ酸ナトリウムの1:1混合物からなること以外は、実施例1のサンプルI−1を塗装する方法で処理支持体を調製した。一連の被膜をインク受容層用のカチオン性フュームドシリカの分散液を用いて調製した。水性カチオン性被覆組成物A(総固形分17.9%)を市販の分散体WK7330(デグサ、アエロジル130の分散液);12.5%ポリ(ビニルアルコール)(KH−20);2.5%ジヒドロキシジオキサン;0.5%ホウ酸;および1.9%10G界面活性剤から調製して82.6%カチオン性シリカと得た。
カチオン性被覆組成物Bは、WK7525(デグサからアエロジル200のカチオン性分散液)をWK7330の代わりに用いることを除いて、組成物Aと同じ配合に従って調製し、カチオン性組成物Cは、ポリ(ビニルアルコール)バインダーレベルを15%に上げ、シリカのレベルを10%固形分に調節すること以外は組成物Bと同じ配合を用いて調製した。光沢層用の水性カチオン性被覆組成物は83.8%カチオン性コロイダルシリカ(Grace DavisonからSYLOJET4000C分散液);10%カチオン性フュームドシリカ(デグサ、WK7330);4%ポリ(ビニルアルコール)(KH20);1.1%ジヒドロキシジオキサンおよび1.1%ZONYL FS300界面活性剤を含有し、固形分10%に調整することにより得た。
一連の被膜サンプルC−6〜C−8を、インク受容層用のカチオン性被覆組成物および光沢層用カチオン性被覆組成物を組み合わせて同時に塗装し、乾燥重畳でインク受容層21.5g/mおよび光沢層2.2g/mになるように調整した。また、実施例1と同じ組成のアニオン性被膜を、光沢層中のバインダーをポリ(ビニルアルコール)に代えて、層をカチオン性比較例用に使用した同じボラックス処理層上に塗布することを除いて、調製して、被膜サンプルI−29を得た。サンプルを実施例1と同様に評価し、結果を表8に示す。
Figure 2011502823
表8の結果は、アニオン性シリカを用いる配合に対してバインダーの量が増えるに従って、より大きな粒径がカチオン性シリカ含有インク受容層について、アニオン性シリカ含有層より好ましいことが解る。凝集とクラッキングレベルが本発明に用いられるアニオン性層に見られるものに近づくが、染料濃度はそれほど高くない。
実施例9
この実施例は、本発明の種々の実施例と比較例で用いられているシリカ粒子のゼーター電位を示す。ゼーター電位はMalvern Zetasizer Nano-ZSを用いて測定した。結果を下記表9に示す。
Figure 2011502823
表9の結果に見られるように、本発明に用いられるアニオン性シリカ分散液はゼーター電位−15mVよりマイナスを有する。カチオン性シリカ分散液は+15mVより大きいゼーター電位を有する。
実施例10
ベース層および光沢層用のアニオン性被覆組成物を実施例5で用いたものに従って調製した。ベース層および光沢層用のカチオン性被覆組成物は実施例8で用いられたものに従って調製した。溶融物を室温で撹拌して組み合わせて適合性を確認した。目視結果を表10に示す。
Figure 2011502823
上記結果は被覆組成物中の粒子が電荷を有していて、同時に被膜にも適合しうることを示す。
実施例11
被膜は、光沢層の乾燥重量が3.2g/mに増加する以外、実施例1と同様に調製した。比較被膜C−9を連続塗装法で調製した。即ち、画像受容層を塗布して、乾燥し、次いで光沢層をその上に塗装して乾燥した。印刷光沢性をKODAK EASYSHARE5100プリンターを用いて評価した。シアン、マジェンタ、イエローのパッチおよび保護インクを印刷し、次いで各パッチの20度光沢を測定し評価した。結果を下記表11に示す。
Figure 2011502823
表11に示されるアニオン性シリカ被覆組成物についての同時及び連続塗装の結果は、非印刷光沢および印刷光沢が好ましい同時塗装で優れていて、凝集も少ないことを示す。特定の理論に限定されたくないが、本発明者等は、同時塗装方法が受容体の光沢及びベース層の層間で微細構造に変化を与えて、それが印刷光沢を大きく改善し、かつ顔料インクの凝集を減少すると考える。
実施例12
ベースおよび光沢層用のアニオン性被覆組成物を実施例5と同様に調製し、カチオン性被覆組成物は実施例8から調製した。ベース層を各々ボラックス含有サビング層上に実施例1と同様に塗装して乾燥した。乾燥したアニオン性ベース層を次いでカチオン性光沢組成物で被覆して乾燥し、一方カチオン性ベース層はアニオン性光沢組成物で塗装して乾燥した。比較のために、アニオン性ベースおよび光沢層組成物をまた同時に塗装して乾燥し、またカチオン性ベース及び光沢層組成物も同様にした。サンプルを実施例1と同様に評価し、結果を表12に示す。
Figure 2011502823
表12の結果は、本発明のアニオン性構造I−30がカチオン変性シリカを含有する構造C−10〜C−12に比べて、最も優れた複合色濃度と一番少ない凝集を優れた光沢と共に得ることができることを示す。
実施例13
一連の被膜を、異なる表面積のアニオン性フュームドシリカからの別のアニオン性フュームドシリカ分散液を用いることを除いて、サンプルI−29と同様に調製し、最も高い表面積のシリカ(サンプルI−35)ではベース層のバインダーレベルを10%に上昇したこと以外同様に調製した。分散液は全てデグサ社のもので、W7525(アエロジル90)、W7330N(アエロジル130)およびW7622(アエロジル300)であり、()内は対応するシリカ粒子を示す。サンプルをクラクキングと非印刷光沢について評価し、結果を表13に示す。
Figure 2011502823
表13の結果は、インク受容層に有用なアニオン性フュームドシリカの好ましい特定表面積は150m/g〜350m/gの間であることを示す。サンプル1−35の悪いクラッキング挙動と低い光沢はバインダーレベルを増加することにより解決するが、このことは粘度が上昇して組成物の固形分量を減少し、塗装を遅くして乾燥速度も遅くなるので、製造の観点から好ましくない。
実施例14
一連の被膜を、インク受容層中のバインダーの相対重量を7.5から7.0%に低下し、市販のアニオン性コロイダルシリカ粒子のシリーズを光沢層用の被覆組成物に代えること以外、実施例1のサンプルI−1と同様に調製した。製造元から提供された特性および粒径は下記表14に記載する。ある場合、市販のコロイダルシリカ分散体は1種以上の粒径が含まれている。
Figure 2011502823
表14に示された結果は、メジアン粒径37nm以下のコロイダルシリカ粒子は非印刷光沢と印刷色濃度を改善する。異なるメジアン粒径37nm以下のコロイダルシリカ分散体の組合せは、許容しうる光沢を有するより高い多孔質性(低い凝集性)および染料濃度性能のバランスを提供するので、より好ましい。しかしながら、大きな粒径はインクジェット受容体が顔料インクで画像の印刷をするときにより大きな粒径が凝集を改善するので、好ましいかもしれない。
実施例15
一連の被膜を、実施例14にあるようにベース層のバインダーを7.5から7%に低下して、被覆組成物のコロイダルシリカを異なるメジアン粒径のコロイダルシリカ粒子型の混合物の等量によって置き換える以外は、実施例1と同様に形成した。テストの組合せを下記表16に示す。被膜のサンプルをEpsonが勧める染料型インクを用いてEPSON R320プリンターで印刷した。非印刷光沢と印刷色濃度を測定し、結果を表15に示す。
Figure 2011502823
表15の結果は、光沢層中のアニオン性コロイダルシリカ粒子が、メジアン粒径がサンプル1−45〜I−47に見られるように、37nm以下にある時に非印刷光沢と印刷色濃度が優れていることを示し、メジアン粒径が37nmのときには、非印刷光沢と印刷色濃度が減少することも示す。しかしながら、比較的大きな粒径が、顔料インクで画像を印刷することが行われるインクジェット受容体の場合に、それらが凝集性を改善するので、好ましい。
実施例16
この実施例はベース層および光沢層中のバインダーの架橋がサビング層から架橋剤が拡散することによって行われうることを示す。フュームドシリカベース層および光沢層を、ベース層バインダーレベルが8%であり、光沢総バインダーレベルも8%である以外は、実施例5と同様に調製した。サビング層は、実施例8と同様に調製されるが、サビング層のボラックス濃度がテトラホウ酸ナトリウムの変化量が付着するように調整された。被膜品質と光沢が評価された。
Figure 2011502823
表16の結果はバインダーの好ましいホウ酸塩レベル0.14〜0.27g/mが改善された非印刷光沢と低いクラッキングを提供することを示す。したがって、好ましいホウ酸塩レベルはバインダーの6〜20%である。
実施例17
一連の被膜を、PVA、フルオロ界面活性剤ZONYL FS300および総重量の値を変化させて、実施例8のサンプルI−29と同様に調製した。光沢を測定し、凝集はKODAK EASYSHARE 5100プリンターで印刷することにより評価した。
Figure 2011502823
このデーターはバインダーレベル、フルオロ界面活性剤レベル、光沢および凝集の間の複雑な関係、を示す。バインダーレベルが上昇すると、光沢がフルオロ界面活性剤の存在下に減少するが、フルオロ界面活性剤が無いと、少ししか減少しない。フルオロ界面活性剤は凝集を常に改善するが、あるバインダーレベルでは凝集や光沢がフルオロ界面活性剤が無い場合でもいくつかの用途に十分であり得る。
実施例18
ベース層の被覆量を23.7g/mにし、光沢層の被覆量を3.2g/mにし、インク受容層中に使用されるポリ(ビニルアルコール)を加水分解度および分子量によって変化させる以外は、実施例1の通り行って、一連の被膜が調製された。分子量は典型的には20℃水中4%溶液の粘度によって特徴付けられ、その値は製造者から提供される。クラッキング度は目視評価し、非印刷光沢を測定した。結果を下記表18に示す。
Figure 2011502823
表18の結果は、被覆組成物の他の変化、即ちベース層の厚さの限定またはバインダー層の量の増加、を行わないで、好ましいクラッキングレジスタンス、光沢およびアニオン性フュームドシリカの分散体との適合性を提供する為には、好ましいポリ(ビニルアルコール)バインダーが20℃水中で4%溶液において粘度30cPおよび加水分解度約90以下を提供するのに十分な分子量を有することを、示す。
実施例19
樹脂被覆紙支持体を、ボラックス(0.16g/m)およびPVP(K−90)ポリ(ビニルピロリドン)バインダー(0.16g/m)を含有するサビング層で塗装した。アニオン性フュームドシリカ(アエロジル200)の分散液(デグサW7520)、PVA(日本合成KH20)、DHD(0.8%)、フルオロ界面活性剤ZONYL FS300(1%)を含有する水性被覆組成物を、サビング層を有する支持体上に塗布した。層乾燥量は19.4g/mであった。組成物中のPVAの相対比は表1に示し、シリカ分散液は乾燥重量の残りで埋めた。アニオン性フュームドシリカの代わりに、カチオン性フュームドシリカ(アエロジル200)の分散体(デグサWK7525)を含有する比較用水性被覆組成物を、フルオロ界面活性剤を用いないで調製し、同じサビング層を有する支持体上に塗布した。表19には、グロスP(20度)のカラムはKODAK EASYSHAREプリンターを用いて色のない保護インクで印刷されたパッチの20度での光沢を意味し、光沢Yは同様にKODAK EASYSHAREプリンターを用いて黄色の顔料ベースのインクで印刷したパッチを意味する。
Figure 2011502823
表1に示す評価の結果は、総乾燥重量19g/mを提供するクラックのない単層被膜はバインダーの相対量が8〜12.5%の時に、アニオン性フュームドシリカの被覆組成物から得られることを示す。同じ表面積のカチオン変性フュームドシリカを有するクラックフリーの被覆組成物を提供するには、バインダーの相対比率が少なくとも20%に増大しなければならない。驚くべきことに、非印刷領域、並びに保護インクで印刷された領域または黄色の顔料ベースのインクで印刷された領域の光沢は、アニオン性シリカ配合で著しく高くなる。また、カチオン変性フュームドシリカを用いた高いバインダーレベルは製造スケールでは組成物の固形分の減少を必要とする。

Claims (18)

  1. (a)支持体を提供する工程、
    (b)該支持体をホウ素含有架橋化合物を含有するサビング組成物(subbing composition)で処理する工程、および
    (c)該支持体上にインク受容層用第1の被覆組成物(i)および要すれば光沢層用第2の被覆組成物(ii)をこの順に塗布する工程からなり、
    インク受容層用第1の被覆組成物(i)がアニオン性フュームドシリカ粒子および第1の組成物に含まれていない架橋化合物によって実質的に架橋されうる主バインダーとしての親水性ヒドロキシル含有ポリマーを含有し、かつ
    光沢層用第2の被覆組成物(ii)がアニオン性コロイダルシリカの粒子およびバインダーを含有するものであるインクジェット記録要素を製造する方法において、
    該アニオン性ヒュームドシリカおよびアニオン性コロイダルシリカの粒子がゼーター電位−15mv以下を示し、第1及び第2被覆組成物中の総固形分に対するバインダーの量が5〜30%であり、それによりホウ素含有架橋化合物が少なくともインク受容層に拡散して少なくともインク受容層中で親水性バインダーを架橋することを特徴とするインクジェット記録要素を製造する方法。
  2. 前記インク受容層用第1被覆組成物が被覆状態で10〜35g/mの乾燥重量を提供し、該インク受容層中の総固形分に対する総バインダーの重量%が5〜15%である請求項1記載の製造方法。
  3. 前記光沢層用第2被覆組成物が被覆状態で0.2〜7.5g/mの乾燥重量を提供し、アニオン性コロイダルシリカの粒子のメジアン粒径が10〜200nmである請求項1記載の製造方法。
  4. 前記アニオン性フュームドシリカ粒子のメジアン一次粒径が40nm以下である請求項1記載の製造方法。
  5. 前記光沢層用第2被覆組成物が存在し、前記インク受容層用第1被覆組成物が塗膜状態で光沢層用第2被覆組成物の乾燥重量の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも6倍、最も好ましくは少なくとも9倍で提供される請求項1記載の製造方法。
  6. 光沢用第1被覆組成物が別々に製造され2種類の異なるコロイダルシリカを混合した混合物を含有する請求項5記載の製造方法。
  7. 前記インク受容層用第1被覆組成物中のアニオン性フュームドシリカ粒子はインク受容層中の総無機粒子の少なくとも70重量%で含有する請求項1記載の製造方法。
  8. 前記インク受容層用第1被覆組成物がバインダーを12重量%より少なく含有する請求項1記載の製造方法。
  9. 前記インク受容層用第1被覆組成物中のバインダーが変性若しくは非変性ポリ(ビニルアルコール)またはそれらの共重合体を含有する請求項8記載の製造方法。
  10. 前記バインダーがポリ(ビニルアルコール)である請求項8記載の製造方法。
  11. ポリ(ビニルアルコール)が少なくとも70%の加水分解度を有する請求項10記載の製造方法。
  12. 前記インク受容層用第1被覆組成物がフルオロ界面活性剤を更に含有する請求項1記載の製造方法。
  13. 前記光沢層用第2被覆組成物が存在し、カチオン性ポリマーを含まないことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  14. 前記光沢層用第2被覆組成物中のアニオン性コロイダルシリカが光沢層中の無機粒子の総重量の少なくとも70重量%で含有する請求項1記載の製造方法。
  15. 前記支持体が樹脂被覆セルロース紙を包含する請求項1記載の製造方法。
  16. 前記インクジェット記録要素が支持体上のインク受容層および上層の光沢層、および任意のサビング層からなる請求項1記載の製造方法。
  17. (a)支持体を提供する工程、
    (b)該支持体をホウ素含有架橋化合物を含有するサビング組成物で処理する工程、および
    (c)該支持体上にインク受容層用第1の被覆組成物(i)および要すれば光沢層用第2の被覆組成物(ii)を同時にこの順番で塗布する工程からなり、
    インク受容層用第1の被覆組成物(i)がアニオン性フュームドシリカ粒子および第1の組成物に含まれていない架橋化合物によって実質的に架橋されうる主バインダーとしての親水性ヒドロキシル含有ポリマーを含有し、かつ
    光沢層用でインクジェット記録要素の最上層の第2の被覆組成物(ii)がアニオン性コロイダルシリカの粒子およびバインダーを含有し、コロイダルシリカが10〜45nmのメジアン粒径を有するものであるインクジェット記録要素を製造する方法において、
    該アニオン性ヒュームドシリカおよびアニオン性コロイダルシリカの粒子がゼーター電位−15mv以下を示し、第1及び第2被覆組成物中の総固形分に対するバインダーの量が5〜30%であり、それによりホウ素含有架橋化合物が少なくともインク受容層に拡散して少なくともインク受容層中で親水性バインダーを架橋することを特徴とするインクジェット記録要素を製造する方法。
  18. (a)樹脂被覆支持体を提供する工程、
    (b)該支持体をホウ素含有架橋化合物を含有するサビング組成物で処理する工程、および
    (c)該支持体上にインク受容層用被覆組成物を塗布する工程からなり、
    インク受容層用被覆組成物がアニオン性フュームドシリカ粒子および組成物に含まれていない架橋化合物によって実質的に架橋されうる主バインダーとしての親水性ヒドロキシル含有ポリマーを含有し、インク受容層が支持体とサビング層上のインク受容要素中のたった一つの層であるインクジェット記録要素を製造する方法において、
    該アニオン性ヒュームドシリカの粒子がゼーター電位−15mv以下を示し、被覆組成物中の総固形分に対するバインダーの量が15%以下であり、それによりホウ素含有架橋化合物が少なくともインク受容層に拡散して少なくともインク受容層中で親水性バインダーを架橋することを特徴とするインクジェット記録要素を製造する方法。
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