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JP2011221424A - 偏光板および画像表示装置 - Google Patents

偏光板および画像表示装置 Download PDF

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JP2011221424A
JP2011221424A JP2010092821A JP2010092821A JP2011221424A JP 2011221424 A JP2011221424 A JP 2011221424A JP 2010092821 A JP2010092821 A JP 2010092821A JP 2010092821 A JP2010092821 A JP 2010092821A JP 2011221424 A JP2011221424 A JP 2011221424A
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Junichi Nagase
純一 長瀬
Ping Fang
濱 方
Seiji Umemoto
清司 梅本
Tatsuki Nagatsuka
辰樹 長塚
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Nitto Denko Corp
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Abstract

【課題】十分な紫外線防御能を有し、優れた表示品質を維持させることができる偏光板を提供すること。
【解決手段】本発明の偏光板10は、偏光子11と、バンドギャップが3.0eV以上である無機微粒子とバインダー樹脂とを含有する紫外線遮蔽層13と、保護フィルム14とを有する。紫外線遮蔽層13の無機微粒子の含有割合は40〜80vol%であり、厚みは400nm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は偏光板に関する。より詳細には、本発明は紫外線防御能を有する偏光板に関する。
代表的な画像表示装置である液晶表示装置は、その画像形成方式に起因して、液晶セルの両側に偏光板を配置することが知られている。偏光板は、通常、偏光子の両面に接着剤を用いて保護フィルムが貼り合わされて形成されている。保護フィルムとしては、代表的には、セルロース系樹脂フィルムが用いられている。
上記偏光子や液晶セルの液晶分子は、太陽光やバックライトからの紫外線により劣化する。当該劣化を防止するため、有機系の紫外線吸収剤を含むセルロース系樹脂フィルムが提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、このようなフィルムは、高温加熱や経時変化で紫外線吸収剤がブリードアウトして、層間の密着性が低下して表示品質が確保できないという問題がある。また、有機系の紫外線吸収剤では、十分な紫外線防御能が得られにくく、含有量を増やすと透明性が低下してしまう等の問題がある。
特開2007−3788号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、十分な紫外線防御能を有し、優れた表示品質を維持させることができる偏光板を提供することにある。
本発明の偏光板は、偏光子と、バンドギャップが3.0eV以上である無機微粒子とバインダー樹脂とを含有する紫外線遮蔽層と、保護フィルム14とを有する。好ましくは、紫外線遮蔽層の無機微粒子の含有割合は40〜80vol%であり、厚みは400nm以下である。
好ましい実施形態においては、上記無機微粒子が、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタンおよび窒化ガリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機微粒子である。
好ましい実施形態においては、上記無機微粒子の電子の励起が直接遷移である。
好ましい実施形態においては、上記保護フィルムの透湿度が200g/m以下である。
好ましい実施形態においては、上記無機微粒子の平均一次粒子径が1〜400nmである。
好ましい実施形態においては、上記無機微粒子の屈折率と上記バインダー樹脂の屈折率との差Δnが1.0以下である。
好ましい実施形態においては、上記バインダー樹脂がポリウレタン系樹脂である。
好ましい実施形態においては、上記保護フィルムと上記紫外線遮蔽層との積層体の可視領域(550nm)における透過率が90%以上であり、紫外領域(350nm)における透過率が5%以下である。
本発明の別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は上記偏光板を有する。
本発明によれば、無機微粒子を含有する紫外線遮蔽層を設けることにより、十分な紫外線防御能を有し、ブリードアウト等の不具合を抑制して優れた表示品質を確保可能な偏光板を提供することができる。
本発明の1つの好ましい実施形態による偏光板の概略断面図である。 実施例1で得られた単体フィルムのFE−TEM観察写真である。 比較例2で得られた単体フィルムのFE−TEM観察写真である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
A.偏光板の全体構成
図1は、本発明の好ましい実施形態による偏光板の概略断面図である。偏光板10は、偏光子11と接着剤層12と紫外線遮蔽層13と保護フィルム14とを有する。本実施形態では、紫外線遮蔽層13は偏光子11と保護フィルム14との間に配置されている。紫外線遮蔽層13は、無機微粒子とバインダー樹脂とを含有する。図示しないが、実用的には、偏光板10は、偏光子11の保護フィルム14と反対側に、接着剤層を介して積層された第2の保護フィルムをさらに有する。
A−1.偏光子
上記偏光子としては、任意の適切な偏光子が用いられる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く、特に好ましい。偏光子の厚みは、好ましくは、0.5〜80μmである。
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて一軸延伸した偏光子は、代表的には、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製される。延伸は染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよいし、延伸してから染色してもよい。延伸、染色以外にも、例えば、膨潤、架橋、調整、水洗、乾燥等の処理が施されて作製される。
A−2.紫外線遮蔽層
上記紫外線遮蔽層は、無機微粒子とバインダー樹脂とを含有する。無機微粒子のバンドギャップは、好ましくは3.0eV以上である。具体的には、無機微粒子としては、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタンおよび窒化ガリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種が用いられる。また、紫外線吸収効率に優れることから、電子の励起が直接遷移である無機微粒子が好ましく用いられる。直接遷移型の無機微粒子としては、例えば、酸化亜鉛、硫化亜鉛、窒化ガリウムが挙げられる。吸収端波長が400nm以下の紫外領域にあって紫外線吸収効率に優れることから、好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムが用いられ、酸化亜鉛が最も好ましく用いられる。無機微粒子は、有機系の紫外線吸収剤に比べて紫外線吸収効率が優れているため、使用量を少なくすることができる。その結果、膜厚を薄くすることができ、偏光板への影響を抑えることができる。また、このような紫外線遮蔽層を設けることにより、透明性を確保しながら、十分な紫外線防御能を付与することができる。
上記無機微粒子の平均一次粒子径は、好ましくは1〜400nm、さらに好ましくは1〜100nmである。このような粒子径の無機微粒子を用いることにより、透明性に優れ、偏光板の光学特性に与える影響が抑制される。また、平均一次粒子径が可視光波長よりも小さく、かつ小さければ小さいほど、粒子による光散乱を抑制できるので、偏光板の光学特性に与える影響をより抑制し得る。
無機微粒子の屈折率とバインダー樹脂の屈折率との差Δnは、好ましくは1.0以下であり、さらに好ましくは0.5以下である。Δnを1.0以下とすることにより、透明性に優れ、偏光板の光学特性に与える影響が抑制される。無機微粒子の屈折率は、好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下である。このような無機微粒子を用いることにより、上記Δnが満足され得る。
上記バインダー樹脂としては、任意の適切な樹脂が用いられる。好ましくは、接着性と柔軟性とを兼ね備え、上記無機微粒子を容易に分散させ得る樹脂が用いられる。例えば、無機微粒子を分散させる溶媒に相溶し得る樹脂が好ましく用いられる。バインダー樹脂の屈折率は、代表的には1.45〜1.65であり、好ましくは1.5〜1.6である。
バインダー樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、シアノアクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、優れた接着性と可とう性とを併せ持つ、ポリウレタン系樹脂である。その結果、保護フィルム、偏光子等の光学部材との密着性に優れた紫外線遮蔽層を得ることができる。
上記ポリウレタン系樹脂は、ウレタン結合を有する樹脂をいい、アクリル−ポリウレタン共重合体やポリエステル−ポリウレタン共重合体も含まれる。ポリウレタン系樹脂は、代表的には、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得られる。ポリオールとしては、分子中にヒドロキシル基を2個以上有するものであれば特に限定されず、任意の適切なポリオールが用いられる。例えば、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
上記ポリアクリルポリオールは、代表的には、(メタ)アクリル酸エステルと、水酸基を有する単量体とを共重合させることにより得られる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。水酸基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシペンチル等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸モノエステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
上記ポリアクリルポリオールは、上記単量体成分に加えて、他の単量体を共重合させていてもよい。他の単量体としては、共重合可能な限り、任意の適切な単量体が用いられる。具体的には、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸ならびにその無水物およびモノまたはジエステル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化α,β−不飽和脂肪族単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のα,β−不飽和芳香族単量体等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
上記ポリエステルポリオールは、代表的には、多塩基酸成分とポリオール成分とを反応させることにより得られる。多塩基酸成分としては、例えば、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、酒石酸、アルキルコハク酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;あるいは、これらの酸無水物、アルキルエステル、酸ハライド等の反応性誘導体等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
上記ポリオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1−メチル−1,3−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−ブチレングリコール、1−メチル−1,4−ペンチレングリコール、2−メチル−1,4−ペンチレングリコール、1,2−ジメチル−ネオペンチルグリコール、2,3−ジメチル−ネオペンチルグリコール、1−メチル−1,5−ペンチレングリコール、2−メチル−1,5−ペンチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンチレングリコール、1,2−ジメチルブチレングリコール、1,3−ジメチルブチレングリコール、2,3−ジメチルブチレングリコール、1,4−ジメチルブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
上記ポリエーテルポリオールは、代表的には、多価アルコールにアルキレンオキシドを開環重合して付加させることにより得られる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
上記ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4′−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
上記ポリウレタン系樹脂は、好ましくは、カルボキシル基を有する。カルボキシル基を有することにより、光学部材との密着性に優れた紫外線遮蔽層を得ることができる。カルボキシル基を有するポリウレタン系樹脂は、例えば、上記ポリオールと上記ポリイソシアネートとに加え、遊離カルボキシル基を有する鎖長剤を反応させることにより得られる。遊離カルボキシル基を有する鎖長剤は、例えば、ジヒドロキシカルボン酸、ジヒドロキシスクシン酸等が挙げられる。ジヒドロキシカルボン酸は、例えば、ジメチロールアルカン酸(例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロールペンタン酸)等のジアルキロールアルカン酸が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
上記ポリウレタン系樹脂の製造において、上記の成分に加えて、他のポリオール、他の鎖長剤を反応させ得る。他のポリオールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の水酸基数が3個以上のポリオールが挙げられる。他の鎖長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール等のグリコール類;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、アミノエチルエタノールアミン等の脂肪族ジアミン;イソホロンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環族ジアミン;キシリレンジアミン、トリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
上記ポリウレタン系樹脂の製造方法は、任意の適切な方法が採用される。具体的には、上記各成分を一度に反応させるワンショット法、段階的に反応させる多段法が挙げられる。ポリウレタン系樹脂がカルボキシル基を有する場合、好ましくは、多段法である。カルボキシル基を容易に導入し得るからである。なお、上記ポリウレタン系樹脂の製造に際し、任意の適切なウレタン反応触媒が用いられる。
上記ポリウレタン系樹脂の製造に際し、好ましくは、中和剤が用いられる。中和剤を用いることにより、水中におけるポリウレタン系樹脂の安定性が向上し得る。中和剤としては、例えば、アンモニア、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
上記ポリウレタン系樹脂の製造に際し、好ましくは、上記ポリイソシアネートに対して不活性で、水と相溶する有機溶剤が用いられる。当該有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;ジオキサン、テトラハイドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
上記ポリウレタン系樹脂の数平均分子量は、好ましくは5000〜600000、さらに好ましくは10000〜400000である。上記ポリウレタン系樹脂の酸価は、好ましくは10以上、さらに好ましくは10〜50、特に好ましくは20〜45である。酸価がこのような範囲内であることにより、光学部材との密着性がより優れ得る。
上記無機微粒子の含有割合は、好ましくは40〜80vol%、さらに好ましくは50〜70vol%、である。このような範囲に設定することにより、十分な紫外線防御能と透明性とを兼ね備えた紫外線遮蔽層を得ることができる。また、紫外線遮蔽層の厚みを可視光領域の波長以下に設定することができる。その結果、十分な紫外線防御能を確保しながら、透明性に極めて優れた紫外線遮蔽層を得ることができる。具体的には、無機微粒子による光の散乱により、吸収軸が直交した2枚の偏光子により形成される偏光状態が解消されてしまう等の不具合が抑制され、表示特性(例えば、偏光解消度)に優れた偏光板を得ることができる。
上記紫外線遮蔽層の厚みは、好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。厚みを可視光領域の波長(約400〜800nm)以下に設定することにより、透明性に極めて優れた紫外線遮蔽層を得ることができ、表示特性(例えば、偏光解消度)に優れた偏光板を得ることができる。たとえ、無機微粒子の凝集等により紫外線遮蔽層において散乱が生じても、人の目には透明に見えるためと推定される。また、携帯電話等のモバイル市場等における更なる薄型化にも対応し得る。一方、紫外線遮蔽層の厚みは、好ましくは10nm以上、さらに好ましくは50nm以上である。十分な紫外線防御能を得ることができるからである。なお、紫外線遮蔽層の形成方法については、B項にて後述する。
A−3.保護フィルム
上記保護フィルムとしては、任意の適切なフィルムが用いられる。好ましくは、透湿度が200g/m以下のフィルムが用いられる。さらに好ましくは100g/m以下である。このような低透湿フィルムを用いることにより、多湿条件下においても表示ムラの発生を抑制して表示品質に優れた画像表示装置を提供することができる。ここで、「透湿度」とは、JIS Z0208の透湿度試験(カップ法)に準拠して、温度40℃、湿度92%RHの雰囲気中、面積1mの試料を24時間に通過する水蒸気量(g)を測定した値である。
保護フィルムを形成する樹脂としては、好ましくは、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂が用いられる。これらは、上記透湿度を満足し得るからである。また、紫外線遮蔽層との密着性に優れ得るからである。なお、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂をいう。
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。上記保護フィルムが、Tg(ガラス転移温度)が115℃以上である(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含むことにより、耐久性に優れたものとなり得る。上記(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂が用いられる。例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルが挙げられる。より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
上記(メタ)アクリル系樹脂の具体例としては、例えば、三菱レイヨン社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
本発明においては、高い耐熱性、高い透明性、高い機械的強度を有する点で、上記(メタ)アクリル系樹脂として、グルタル酸無水物構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。
グルタル酸無水物構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2006−283013号公報、特開2006−335902号公報、特開2006−274118号公報などに記載の、グルタル酸無水物構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2006−309033号公報、特開2006−317560号公報、特開2006−328329号公報、特開2006−328334号公報、特開2006−337491号公報、特開2006−337492号公報、特開2006−337493号公報、特開2006−337569号公報、特開2007−009182号公報などに記載の、グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
保護フィルム中の上記(メタ)アクリル系樹脂および/またはポリエステル系樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。
保護フィルムは、上記(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂以外に、他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系重合体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩素化ビニル樹脂等のハロゲン化ビニル系重合体;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系重合体;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体等が挙げられる。
保護フィルムにおける上記他の熱可塑性樹脂の含有割合は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜40重量%、さらに好ましくは0〜30重量%、特に好ましくは0〜20重量%である。
保護フィルムは、添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;位相差低減剤等が挙げられる。
保護フィルムにおける添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0〜2重量%、さらに好ましくは0〜0.5重量%である。
保護フィルムの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル系樹脂および/またはポリエステル系樹脂と、その他の重合体や添加剤等を、任意の適切な混合方法で充分に混合し、予め熱可塑性樹脂組成物としてから、これをフィルム成形することができる。あるいは、(メタ)アクリル系樹脂および/またはポリエステル系樹脂と、その他の重合体や添加剤等を、それぞれ別々の溶液にしてから混合して均一な混合液とした後、フィルム成形してもよい。
上記熱可塑性樹脂組成物を製造するには、例えば、オムニミキサー等、任意の適切な混合機で上記のフィルム原料をプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練する。この場合、押出混練に用いられる混合機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機や加圧ニーダー等、任意の適切な混合機を用いることができる。
上記フィルム成形の方法としては、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法等、任意の適切なフィルム成形法が挙げられる。これらのフィルム成形法のうち、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が好ましい。
上記溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチエルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーター等が挙げられる。
上記溶融押出法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法等が挙げられる。成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
上記Tダイ法でフィルム成形する場合は、公知の単軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出されたフィルムを巻取って、ロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出方向に延伸を加えることで、1軸延伸することも可能である。また、押出方向と垂直な方向にフィルムを延伸することにより、同時2軸延伸、逐次2軸延伸等を行うこともできる。
保護フィルムは、未延伸フィルムまたは延伸フィルムのいずれでもよい。延伸フィルムである場合は、1軸延伸フィルムまたは2軸延伸フィルムのいずれでもよい。2軸延伸フィルムである場合は、同時2軸延伸フィルムまたは逐次2軸延伸フィルムのいずれでもよい。2軸延伸した場合は、機械的強度が向上し、フィルム性能が向上する。保護フィルムは、他の熱可塑性樹脂を含有することにより、延伸しても位相差の増大を抑制することができ、光学的等方性を保持することができる。
延伸温度は、フィルム原料である熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度近傍であることが好ましく、具体的には、好ましくは(ガラス転移温度−30℃)〜(ガラス転移温度+100℃)、より好ましくは(ガラス転移温度−20℃)〜(ガラス転移温度+80℃)の範囲内である。延伸温度が(ガラス転移温度−30℃)未満であると、充分な延伸倍率が得られないおそれがある。逆に、延伸温度が(ガラス転移温度+100℃)を超えると、樹脂組成物の流動(フロー)が起こり、安定な延伸が行えないおそれがある。
面積比で定義した延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍、より好ましくは1.3〜10倍である。延伸倍率が1.1倍未満であると、延伸に伴う靭性の向上につながらないおそれがある。延伸倍率が25倍を超えると、延伸倍率を上げるだけの効果が認められないおそれがある。
延伸速度は、一方向で、好ましくは10〜20,000%/min、より好ましくは100〜10,000%/minである。延伸速度が10%/min未満であると、充分な延伸倍率を得るために時間がかかり、製造コストが高くなるおそれがある。延伸速度が20,000%/minを超えると、延伸フィルムの破断等が起こるおそれがある。
保護フィルムは、その光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、上記延伸処理後に熱処理(アニーリング)等が施され得る。熱処理の条件は、任意の適切な条件が採用される。
保護フィルムの厚みは、好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは10〜100μm、特に好ましくは10〜50μmである。厚みが5μm未満であると、強度が低下するだけでなく、偏光板の耐久性試験を行うと捲縮が大きくなるおそれがある。厚みが200μmを超えると、透明性が低下するおそれがある。
保護フィルムの表面の濡れ張力は、好ましくは40mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上、さらに好ましくは55mN/m以上である。表面の濡れ張力が少なくとも40mN/m以上であると、保護フィルムと偏光子との接着強度がさらに向上する。表面の濡れ張力を調整するために、任意の適切な表面処理を施すことができる。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン吹き付け、紫外線照射、火炎処理、化学薬品処理が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、コロナ放電処理、プラズマ処理である。
A−4.接着剤層
上記接着剤層を形成する接着剤としては、任意の適切な接着剤が用いられる。好ましくは、接着剤層は、ポリビニルアルコール系樹脂を含む接着剤組成物から形成される。
上記ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。好ましくは、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール樹脂である。偏光子と保護フィルムとの密着性に優れ、耐久性に優れ得るからである。
上記ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニルのケン化物、当該ケン化物の誘導体;酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコールが挙げられる。前記単量体としては、例えば、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N-メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N-ビニルピロリドン、N-ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらの樹脂は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、接着性の点から、好ましくは100〜5000程度、さらに好ましくは1000〜4000である。平均ケン化度は、接着性の点から、好ましくは85〜100モル%程度、さらに好ましくは90〜100モル%である。
上記アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンとを任意の方法で反応させることにより得られる。具体例として、酢酸等の溶媒中にポリビニルアルコール系樹脂を分散させた分散体に、ジケテンを添加する方法;ジメチルホルムアミドまたはジオキサン等の溶媒にポリビニルアルコール系樹脂を溶解させた溶液に、ジケテンを添加する方法;ポリビニルアルコール系樹脂にジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させる方法が挙げられる。
上記アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度は、代表的には0.1モル%以上であり、好ましくは0.1〜40モル%程度、さらに好ましくは1〜20%、特に好ましくは2〜7モル%である。0.1モル%未満では耐水性が不充分となるおそれがある。40モル%を超えると、耐水性向上効果が小さい。なお、アセトアセチル基変性度はNMRにより測定した値である。
上記接着剤組成物は、架橋剤を含み得る。架橋剤としては、任意の適切な架橋剤が用いられる。好ましくは、上記ポリビニルアルコール系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物である。例えば、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類;トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等のイソシアネート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン、アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロール化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂;ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、または三価金属の塩及びその酸化物が挙げられる。これらの中でもアミノ−ホルムアルデヒド樹脂やジアルデヒド類が好ましい。アミノ−ホルムアルデヒド樹脂としてはメチロール基を有する化合物が好ましく、ジアルデヒド類としてはグリオキザールが好適である。中でもメチロール基を有する化合物が好ましく、メチロールメラミンが特に好適である。
上記架橋剤の配合量は、上記ポリビニルアルコール系樹脂の種類等に応じて適宜設定される。代表的には、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、10〜60重量部程度、好ましくは20〜50重量部である。このような配合量にすることにより、接着性に優れ得るからである。なお、架橋剤の配合量が多い場合、架橋剤の反応が短時間で進行し、接着剤がゲル化する傾向がある。その結果、接着剤としての可使時間(ポットライフ)が極端に短くなり、工業的な使用が困難になるおそれがある。
上記接着剤組成物は、金属化合物コロイドを含み得る。金属化合物コロイドは、金属化合物微粒子が分散媒中に分散しているものであり、微粒子の同種電荷の相互反発に起因して静電的安定化し、永続的に安定性を有し得るものである。このような金属化合物コロイドを含むことにより、例えば、上記架橋剤の配合量が多い場合であっても、安定性に優れた接着剤組成物が得られ得る。
上記金属化合物コロイドを形成する微粒子の平均粒子径は、透明性、偏光特性等の光学特性に悪影響を及ぼさない限り、任意の適切な値に設定される。好ましくは1〜100nm、さらに好ましくは1〜50nmである。微粒子を接着剤層中に均一に分散させ得、接着性を確保し、かつクニック欠陥の発生を抑え得るからである。なお、「クニック欠陥」とは、光抜けを生じるような欠陥を意味する。
上記金属化合物としては、任意の適切な化合物が用いられる。例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物;ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、リン酸カルシウム等の金属塩;セライト、タルク、クレイ、カオリン等の鉱物が挙げられる。後述するが、本発明では正電荷を有する金属化合物コロイドが好ましく用いられる。当該金属化合物としては、アルミナ、チタニア等が挙げられ、特に好ましくはアルミナである。
上記金属化合物コロイドは、代表的には、分散媒に分散してコロイド溶液の状態で存在している。分散媒としては、例えば、水、アルコール類が挙げられる。コロイド溶液中の固形分濃度は、代表的には1〜50重量%程度であり、好ましくは1〜30重量%である。コロイド溶液は、安定剤として硝酸、塩酸、酢酸などの酸を含有し得る。
上記金属化合物コロイド(固形分)配合量は、好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して200重量部以下であり、より好ましくは10〜200重量部、さらに好ましくは20〜175重量部、最も好ましくは30〜150重量部である。接着性を確保しながら、クニック欠陥の発生を抑え得るからである。
上記接着剤組成物は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤、各種粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤等を含み得る。
上記接着剤組成物の形態は、好ましくは水溶液(樹脂溶液)である。樹脂濃度は、塗工性や放置安定性等の点から、好ましくは0.1〜15重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。樹脂溶液の粘度は、好ましくは1〜50mPa・sである。上記金属化合物コロイドを含む場合、1〜20mPa・sの低粘度の範囲においても、クニック欠陥の発生を効果的に抑制し得る。樹脂溶液のpHは、好ましくは2〜6、より好ましくは2.5〜5、さらに好ましくは3〜5、最も好ましくは3.5〜4.5である。通常、上記金属化合物コロイドの表面電荷は、pHを調整することにより制御され得る。当該表面電荷は、好ましくは正電荷である。正電荷を有することにより、クニック欠陥の発生をさらに抑制し得る。なお、当該表面電荷は、例えば、ゼータ電位測定機でゼータ電位を測定することにより確認し得る。
上記樹脂溶液の調製方法は、任意の適切な方法が採用される。上記架橋剤および金属化合物コロイドを含む場合、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂と架橋剤とを予め混合して適切な濃度に調整したものに、金属化合物コロイドを配合する方法が挙げられる。また、ポリビニルアルコール系樹脂と金属化合物コロイドを混合した後に、架橋剤を、使用時期等を考慮しながら混合することもできる。なお、樹脂溶液の濃度は、樹脂溶液を調製した後に調整してもよい。
上記接着剤組成物から形成された接着剤層の厚みは、接着剤組成物の組成等に応じて、任意の適切な値に設定される。好ましくは10〜300nm、さらに好ましくは10〜200nm、特に好ましくは20〜150nmである。このような厚みにすることによって、十分な接着力が得られ得るからである。
A−5.その他
上記第2の保護フィルムとしては、任意の適切なフィルムが用いられる。具体例としては、上記A−3項に記載の材料以外にも、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが挙げられる。上記偏光子と第2の保護フィルムとの間に設けられる接着剤層は、任意の適切な接着剤で形成される。例えば、上記A−4項に記載の接着剤組成物が用いられる。
B.製造方法
本発明の偏光板の製造方法としては、任意の適切な方法が採用される。以下、1つの実施形態について説明する。上記紫外線遮蔽層は、予め、保護フィルムの片側に形成される。紫外線遮蔽層は、代表的には、上記無機微粒子と上記バインダー樹脂とを含む樹脂組成物を、保護フィルムの片側に塗布・乾燥させることにより形成される。樹脂組成物は、好ましくは、水系である。水系は、溶剤系に比べて環境面に優れ、作業性にも優れ得るからである。
無機微粒子は、好ましくは、分散体の状態で樹脂組成物に配合される。無機微粒子はそれ自体が凝集しやすいため、予め、無機微粒子単独で十分に分散させておくことが好ましい。こうすることにより、紫外線防御能および透明性に極めて優れた紫外線遮蔽層を形成することができる。分散体の分散溶媒としては、例えば、水、アルコール類、ケトン類、エステル類等が挙げられる。好ましくは、樹脂組成物の溶剤に応じて、適切な分散溶媒が選択される。分散体の調製に際し、任意の適切な分散剤が用いられる。分散剤としては、例えば、高分子分散剤が用いられ、市販品としては、日本ルーブリゾール社製のsolsperseシリーズが挙げられる。無機微粒子の分散体として、市販品をそのまま用いることができる。酸化亜鉛分散体の市販品としては、例えば、シーアイ化成社製のZNW−G0、住友大阪セメント社製のZW733T,ZW−143、BYK社製のナノBYK20等が挙げられる。酸化チタン分散体の市販品としては、例えば、石原産業社製のTTO−W−5、堺化学社製のSRD−01W,SRD−02W等が挙げられる。酸化セリウム分散体の市販品としては、例えば、BYK社製のナノBYK−3810等が挙げられる。
樹脂組成物は、好ましくは、架橋剤を含む。当該架橋剤は、任意の適切な架橋剤が用いられる。具体的には、上記バインダー樹脂がカルボキシル基を有するポリウレタン系樹脂である場合、架橋剤としては、好ましくは、カルボキシル基と反応し得る基を有するポリマーが挙げられる。カルボキシル基と反応し得る基としては、例えば、有機アミノ基、オキサゾリン基、エポキシ基、カルボジイミド基等が挙げられる。好ましくは、架橋剤は、オキサゾリン基を有する。これらの中でも、オキサゾリン基を有する架橋剤は、上記ポリウレタン系樹脂と混合したときの室温でのポットライフが長く、加熱することによって架橋反応が進行するため、作業性が良好である。
上記ポリマーとしては、任意の適切なポリマーが用いられる。例えば、アクリル系ポリマー、スチレン・アクリル系ポリマー等が挙げられる。好ましくは、アクリル系ポリマーである。アクリル系ポリマーを用いることにより、光学部材との密着性がさらに向上し得る。また、水系の樹脂組成物に安定的に相溶し得、上記ポリウレタン系樹脂と良好に架橋し得る。
樹脂組成物は、任意の適切な添加剤をさらに含み得る。添加剤としては、例えば、ブロッキング防止剤、分散安定剤、揺変剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、触媒、フィラー、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。
樹脂組成物の塗布方法としては、任意の適切な方法が採用される。例えば、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、スロットオリフィスコート法、カーテンコート法、ファウンテンコート法等が挙げられる。
上述したように、樹脂組成物は、好ましくは水系である。樹脂組成物におけるバインダー樹脂の濃度は、好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。このような濃度にすることにより、紫外線遮蔽層形成時の作業性に優れ得るからである。樹脂組成物中の架橋剤(固形分)の含有量は、バインダー樹脂(固形分)100重量部に対して、好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは3〜20重量部である。1重量部以上とすることにより、光学部材との密着性に優れ得る。一方、30重量部以下とすることにより、紫外線遮蔽層に位相差が発現するのを抑制し得る。
上記乾燥温度としては、代表的には50〜200℃、好ましくは90〜200℃、さらに好ましくは110〜180℃である。乾燥温度をこのような範囲とすることにより、耐色性(特に、高温高湿下における)に優れた偏光板を提供し得る。
上述のように、保護フィルムの少なくとも片側(例えば、紫外線遮蔽層が形成される側)に、表面処理が施され得る。この場合、紫外線遮蔽層を形成する前に、表面処理を施す。表面処理の具体例は、上記A−3項で説明したとおりである。表面処理としては、好ましくは、コロナ放電処理、プラズマ処理である。コロナ放電処理を施すことにより、偏光子と保護フィルムとの接着性および密着性がさらに向上し得る。コロナ放電処理は、任意の適切な条件で施される。例えば、コロナ放電電子照射量は、好ましくは50〜150W/m/min、さらに好ましくは70〜100W/m/minである。
保護フィルムと紫外線遮蔽層との積層体(単体フィルム)の可視領域(波長550nm)における透過率は、好ましくは90%以上である。単体フィルムの紫外領域(波長350nm)における透過率は、好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。
次に、紫外線遮蔽層が形成された保護フィルムと上記偏光子とを接着剤層を介して積層する。好ましくは、形成された紫外線遮蔽層が偏光子側となるように保護フィルムを積層する。具体的には、偏光子または保護フィルムのいずれか一方の片側に上記接着剤組成物を塗布した後、偏光子と保護フィルムとを貼り合わせて乾燥させる方法が挙げられる。接着剤組成物の塗布方法としては、例えば、ロール法、噴霧法、浸漬法等が挙げられる。また、接着剤組成物が金属化合物コロイドを含む場合、乾燥後の厚みが金属化合物コロイドの平均粒子径よりも大きくなるように塗布する。乾燥温度は、代表的には5〜150℃、好ましくは30〜120℃である。乾燥時間は、代表的には120秒以上、好ましくは180秒以上である。
C.画像表示装置
本発明の画像表示装置は、本発明の偏光板を有する。画像表示装置の具体例としては、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)のような自発光型表示装置、液晶表示装置が挙げられる。液晶表示装置は、液晶セルと、当該液晶セルの少なくとも片側に配置された上記偏光板とを有する。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、厚みおよび透湿度の測定方法は以下の通りである。
<厚み>
厚みは、FE−SEM(HITACHI社製、製品名:SEM EDX typeN S−3000N)で断面観察を行い、測定した。
<透湿度>
JIS Z0208の透湿度試験(カップ法)に準拠して、温度40℃、湿度92%RHの雰囲気中で測定した。
[実施例1]
(偏光子の作製)
厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、28℃温水中に60秒間浸漬して膨潤させた。次に、ヨウ素およびヨウ化カリウム(重量比1:10)を含む水溶液に浸漬して、3.3倍まで延伸しながら、所定の単体透過率となるように染色した。その後、3重量%のホウ酸および2重量%のヨウ化カリウムを含む水溶液中に10秒間浸漬し、60℃の4重量%のホウ酸および3重量%のヨウ化カリウムを含む水溶液中で延伸倍率が計6.0倍となるように延伸した。その後、得られた延伸フィルムを、5重量%のヨウ化カリウムを含む水溶液に10秒間浸漬し、40℃のオーブンで3分間乾燥して、厚み30μmの偏光子を得た。
(保護フィルムの作製)
[下記一般式(1)中、Rは水素原子、RおよびRはメチル基であるラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂{共重合モノマー重量比=メタクリル酸メチル/2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル=8/2、ラクトン環化率約100%、ラクトン環構造の含有割合19.4%、重量平均分子量133000、メルトフローレート6.5g/10分(240℃、10kgf)、Tg131℃}90重量部と、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂{トーヨーAS AS20、東洋スチレン社製}10重量部との混合物;Tg127℃]のペレットを二軸押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出しして、厚み110μmのラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂シートを得た。この未延伸シートを、160℃の温度条件下、縦2.0倍、横2.4倍に延伸して(メタ)アクリル系樹脂フィルム(透湿度:20g/m、厚み:40μm)を得た。
(バインダー樹脂溶液の調製)
ポリエステルウレタン(第一工業製薬製、商品名:スーパーフレックス210、固形分:33%)40重量部、架橋剤(オキサゾリン含有ポリマー、日本触媒製、商品名:エポクロスWS−700、固形分:25%)10重量部および純水185.7重量部を混合し、固形分濃度7重量%に調整したバインダー樹脂溶液を得た。
(樹脂組成物の調製)
得られたバインダー樹脂溶液100重量部と酸化亜鉛分散液(シーアイ化成社製、商品名:ZNW15WT%−G0、平均一次粒子径:50nm、固形分:15重量%)180重量部とを混合し、超音波分散機(NIRO−SOAVI社製、製品名:PANDA 2K)にて10分間分散処理を行い、樹脂組成物を調製した。
(紫外線遮蔽層の形成)
得られた樹脂組成物を、保護フィルムに、ワイヤーバー3番で塗工し、120℃で10分間加熱乾燥することにより、紫外線遮蔽層を形成した。得られた紫外線遮蔽層の厚みは0.3μmであった。また、酸化亜鉛の含有割合は45vol%であった。
(接着剤組成物の調製)
アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度:1200、ケン化度:98.5モル%,アセトアセチル基変性度:5モル%)100重量部に対し、メチロールメラミン20重量部を30℃の温度条件下で純水に溶解し、固形分濃度0.5%の水溶液を得た。得られた水溶液を接着剤組成物として、30℃の温度条件下で用いた。
(偏光板の作製)
上記接着剤組成物を調製から30分後に、保護フィルムに形成された紫外線遮蔽層上に、乾燥後の厚みが50nmとなるように接着剤組成物を塗布して偏光子を貼り合わせ、70℃で3分間加熱乾燥することにより、偏光板を作製した。
[実施例2]
酸化亜鉛分散液の添加量を300重量部としたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。得られた紫外線遮蔽層の厚みは0.3μmであり、酸化亜鉛の含有割合は58vol%であった。
[実施例3]
酸化亜鉛分散液の添加量を670重量部としたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。得られた紫外線遮蔽層の厚みは0.3μmであり、酸化亜鉛の含有割合は75vol%であった。
[実施例4]
樹脂組成物の調製に際し、酸化亜鉛分散液のかわりに酸化チタン分散液(石原産業社製、商品名:TTO−W−5、平均一次粒子径:50nm、固形分:30重量%)を用いたこと、および、バインダー樹脂溶液100重量部と酸化チタン分散液66重量部とを混合したこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。得られた紫外線遮蔽層の厚みは0.3μmであり、酸化チタンの含有割合は45vol%であった。
[実施例5]
酸化チタン分散液の添加量を115重量部としたこと以外は実施例4と同様にして偏光板を作製した。得られた紫外線遮蔽層の厚みは0.3μmであり、酸化チタンの含有割合は58vol%であった。
[実施例6]
酸化チタン分散液の添加量を250重量部としたこと以外は実施例4と同様にして偏光板を作製した。得られた紫外線遮蔽層の厚みは0.3μmであり、酸化チタンの含有割合は75vol%であった。
[実施例7]
樹脂組成物の調製に際し、酸化亜鉛分散液のかわりに酸化セリウム分散液(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名:NANOBYK−3810、平均一次粒子径:10nm、固形分:18重量%)を用いたこと、および、バインダー樹脂溶液100重量部と酸化セリウム分散液190重量部とを混合したこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。得られた紫外線遮蔽層の厚みは0.3μmであり、酸化セリウムの含有割合は45vol%であった。
[実施例8]
酸化セリウム分散液の添加量を330重量部としたこと以外は実施例7と同様にして偏光板を作製した。得られた紫外線遮蔽層の厚みは0.3μmであり、酸化セリウムの含有割合は58vol%であった。
[実施例9]
酸化セリウム分散液の添加量を700重量部としたこと以外は実施例7と同様にして偏光板を作製した。得られた紫外線遮蔽層の厚みは0.3μmであり、酸化セリウムの含有割合は75vol%であった。
(比較例1)
上記保護フィルムに、実施例1で調製したバインダー樹脂溶液をワイヤーバー3番で塗工し、120℃で10分間加熱乾燥して厚み0.3μmの樹脂層を形成した。その後、実施例1と同様にして、保護フィルムに形成された樹脂層上に偏光子を貼り合わせて偏光板を作製した。
(比較例2)
樹脂組成物の調製に際し、バインダー樹脂溶液100重量部と酸化亜鉛分散液16.7重量部とを混合したこと、および、樹脂組成物をワイヤーバー20番で塗工したこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。得られた紫外線遮蔽層の厚みは3μmであり、酸化亜鉛の含有割合は7vol%であった。
(比較例3)
樹脂組成物の調製に際し、酸化亜鉛分散液のかわりにアルミナ分散液(川研ファインケミカル社製、商品名:アルミナゾル10A、平均一次粒子径:10nm、固形分:10重量%)を用いたこと、および、バインダー樹脂溶液100重量部とアルミナ分散液320重量部とを混合したこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。得られた紫外線遮蔽層の厚みは0.3μmであり、アルミナの含有割合は58vol%であった。
各実施例および比較例について、以下に示す評価を行った。評価結果を表1にまとめる。
1.透過率
単体フィルム(保護フィルムと紫外線遮蔽層との積層体)について、紫外領域(350nm)および可視領域(波長:550nm)における透過率を測定した。測定装置は、分光光度計(日立製作所社製「U4100」)を用いた。
(評価基準)
紫外領域:5%以下であれば良好
可視領域:90%以上であれば良好
2.偏光解消度
各実施例および比較例において偏光板を2枚用意し、2枚の偏光板を重ね合わせた状態で、波長550nmにおける透過率を測定した。この際、互いの偏光子の吸収軸が直交するように、また、互いの保護フィルムが対向するように重ね合わせた。測定装置は、分光光度計(日立製作所社製「U4100」)を用いた。得られた透過率の値が大きいと、散乱が大きいことを意味し、例えば、液晶パネル上でコントラスト低下を引き起こし得る。
評価基準:0.01以下であれば良好
3.黒輝度
液晶テレビ(SONY社製、商品名:BRAVIA KDL−46 V1)から液晶セルを取り出して、作製した偏光板を実装し、黒画像を表示させた場合のXYZ表示系のY値を、輝度計(トプコン社製「BM−5」)を用いて測定した。
評価基準:0.2以下であれば良好
4.耐久性
得られた偏光板を、紫外線ロングライフフェードメーター(スガ試験機株式会社製、形式:U48HB)に投入し、250時間、保護フィルム側から紫外線を照射し、紫外線照射前後における可視領域の偏光板透過率の変化率を測定することにより評価した。変化率(%)は、以下の式により算出される。
変化率=(紫外線照射後の透過率−紫外線照射前の透過率)/紫外線照射前の透過率×100
評価基準:1.5以下であれば良好
表1に示すとおり、実施例1から9は、膜厚が薄いにも関わらず、紫外領域における透過率が極めて低く、優れた紫外線防御能を有していた。また、可視領域における透過率が高く、透明性に優れていた。また、実施例1から9は、耐久性変化率は低い値を示し、耐久性に優れていた。一方、比較例1および3は、紫外領域における透過率は高く、紫外線防御能を有していなかった。
実施例1から9は、偏光解消度、黒輝度共に低い値を示し、表示特性に優れていた。一方、比較例2は、紫外線防御能に優れるものの、表示特性に劣っていた。
実施例1および比較例2について、試料をカーボン支持膜付き銅メッシュ上に分散し、FE−TEM(HITACHI製「HF−2000」)で、加速電圧200kVにて観察を行った。観察結果を図2および図3に示す。
(参考例1)
アクリル樹脂95重量部、酸化亜鉛(堺化学社製、商品名:FINEX−50)5重量部および分散剤(日本ルーブリゾール社製、商品名:solsperse46000)0.5重量部を、ラボプラストミル(東洋精機社製、No.655)にて、260℃、20rpmの条件で10分間混練したが、凝集体が多数生成してしまい、透明なフィルムを作製することができなかった。
本発明の偏光板は、液晶表示装置や自発光型表示装置などの画像表示装置に好適に使用され得る。
10 偏光板
11 偏光子
12 接着剤層
13 紫外線遮蔽層
14 保護フィルム

Claims (9)

  1. 偏光子と、
    バンドギャップが3.0eV以上である無機微粒子とバインダー樹脂とを含有する紫外線遮蔽層と、
    保護フィルムとを有し、
    前記紫外線遮蔽層の無機微粒子の含有割合が40〜80vol%であり、厚みが400nm以下である、偏光板。
  2. 前記無機微粒子が、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタンおよび窒化ガリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機微粒子である、請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記無機微粒子の電子の励起が直接遷移である、請求項1または2に記載の偏光板。
  4. 前記保護フィルムの透湿度が200g/m以下である、請求項1から3のいずれかに記載の偏光板。
  5. 前記無機微粒子の平均一次粒子径が1〜400nmである、請求項1から4のいずれかに記載の偏光板。
  6. 前記無機微粒子の屈折率と前記バインダー樹脂の屈折率との差Δnが1.0以下である、請求項1から5のいずれかに記載の偏光板。
  7. 前記バインダー樹脂がポリウレタン系樹脂である、請求項1から6のいずれかに記載の偏光板。
  8. 前記保護フィルムと前記紫外線遮蔽層との積層体の可視領域(550nm)における透過率が90%以上であり、紫外領域(350nm)における透過率が5%以下である、請求項1から7のいずれかに記載の偏光板。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の偏光板を有する、画像表示装置。
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