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JP2011252662A - 冷媒用伝熱管及び熱交換器 - Google Patents

冷媒用伝熱管及び熱交換器 Download PDF

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JP2011252662A JP2010126871A JP2010126871A JP2011252662A JP 2011252662 A JP2011252662 A JP 2011252662A JP 2010126871 A JP2010126871 A JP 2010126871A JP 2010126871 A JP2010126871 A JP 2010126871A JP 2011252662 A JP2011252662 A JP 2011252662A
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賢 堀口
Mamoru Hofuku
守 法福
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寛規 北嶋
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Abstract

【課題】二酸化炭素を冷媒としたヒートポンプ式給湯機の水熱交であって、圧力損失の増大を抑制できると共に、伝熱性能を効果的に向上させることができる冷媒用伝熱管及び熱交換器を提供する。
【解決手段】冷媒として二酸化炭素を用いたヒートポンプ給湯機10の熱交換器に用いられる冷媒用伝熱管20であって、内周面20aを有する主管と、内周面20aに設けられる複数のフィン200と、複数のフィン200の間の複数の溝部とを備え、複数の溝部が、第1の幅WAを有する第1の溝部210と、第1の幅WAとは異なる幅の第2の幅WBを有する第2の溝部212とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、冷媒用伝熱管及び熱交換器に関する。特に、本発明は、冷媒として二酸化炭素を用いたヒートポンプ給湯機が備える熱交換器用の冷媒用伝熱管及び当該冷媒用伝熱管を有する熱交換器に関する。
ヒートポンプとは、外部の大気、地下水、海水等の安価かつ豊富に存在する資源である熱源からの熱を、圧縮機(すなわち、コンプレッサ)を利用して移動させるシステムをいう。例えば、電動ヒートポンプでは、電気エネルギーを熱エネルギーに直接変換するのではなく、熱を移動させる動力源として電気エネルギーを利用することにより、消費電力(消費エネルギー)の3倍近くの熱エネルギーが利用できる。これは、石油等の化石燃料を燃焼させて熱エネルギーにするシステムに比べて効率がよく、環境への負荷が小さいシステムである。このことから、ヒートポンプ式熱交換機器が近年広く利用されている。
一方、冷凍サイクルを利用した一般的な熱交換機器(空調機、冷蔵庫、冷凍機、給湯機等)には、旧来、フロン系の冷媒が使用されていた。しかし、フロン系の冷媒は地球温暖化への影響が懸念される等の理由から、環境への負荷が小さい自然冷媒、特に二酸化炭素が代わりに利用されている。そして、経済的、環境的理由により、例えば、エコキュート及びカーエアコン用として、上述のヒートポンプと組み合わせた自然冷媒(特に、二酸化炭素)ヒートポンプ式熱交換機器への期待が急速に高まっている。
二酸化炭素冷媒を用いたヒートポンプ式熱交換機器には、一般的に、熱交換器として、ガスクーラ(放熱器)と蒸発器(吸熱器)とが用いられており、それら熱交換器に使用される冷媒用伝熱管として、ガスクーラ用冷媒管及び蒸発器用冷媒管が使用されている。特に二酸化炭素冷媒を用いたヒートポンプ式給湯機においては、上記2種類の伝熱管に加え、冷媒と熱媒体との間で熱交換をさせる別の伝熱管(ガスクーラ用水管)も利用される。そして、これら伝熱管(ガスクーラ用水管、ガスクーラ用冷媒管、及び蒸発器用冷媒管)に要求される技術的仕様はそれぞれで異なっている。以下、二酸化炭素冷媒を用いたヒートポンプ式給湯機のガスクーラを水熱交換器と称する。このような水熱交換器用冷媒管としては、特許文献1及び特許文献2に示す内面溝付管が知られている。
特許文献1に記載の内面溝付管は、空調機で実績のある内面溝付管を水熱交換器用冷媒管として用いることで、水熱交換器の性能を向上させ得る。
特開2006−105525号公報 特開2007−178115号公報
しかしながら、特許文献1に記載の内面溝付管においては、冷媒管内を流れる二酸化炭素冷媒に、冷凍サイクルの圧縮機用の潤滑剤である圧縮機潤滑油が混入することにより、伝熱管の熱交換が阻害される重大な問題がある。これは、二酸化炭素冷媒と圧縮機潤滑油との相溶性が良くないためと考えられている。また、このような問題は、従来のフロン系冷媒にはなかった課題である。
また、特許文献2に記載の内面溝付管においては、放熱性能、すなわち熱伝達率の向上に対し、圧力損失の増加については検討されていない。特に、水熱交換器においては、二酸化炭素冷媒の圧力損失が増大すると同じ熱交換量でも冷媒温度が低下するので、水と冷媒との温度差が確保できず、熱交換ができない領域(すなわち、ピンチポイント)が発生する。この現象は、フロン系冷媒を用いた空調機で発生することはなく、超臨界域でガスクールする二酸化炭素の熱と水の熱とを熱交換することで生じるものであり、特に冷媒の圧損が大きい場合に発生する。
また、冷媒の温度は冷媒の圧力とエンタルピーとで決定され、伝熱管の熱交換量は冷媒流量とエンタルピー差との積で算出される。ここで、エンタルピーが同じであれば、冷媒の圧力が小さいほど温度は低くなる。すなわち、冷媒の圧力損失が増大すると冷媒の温度が低下するので、伝熱管の熱交換量が低下する。
以上より、水熱交換器においては、冷媒管の圧力損失増大が伝熱性能の向上に見合う程度に抑制される必要がある。
したがって、本発明の目的は、二酸化炭素を冷媒としたヒートポンプ式給湯機の水熱交であって、圧力損失の増大を抑制できると共に、伝熱性能を効果的に向上させることができる冷媒用伝熱管及び熱交換器を提供することにある。
(1)本発明は、上記目的を達成するため、冷媒として二酸化炭素を用いたヒートポンプ給湯機の熱交換器に用いられる冷媒用伝熱管であって、内周面を有する主管と、前記内周面に設けられる複数のフィンと、前記複数のフィンの間の複数の溝部とを備え、前記複数の溝部が、第1の幅を有する第1の溝部と、前記第1の幅とは異なる幅の第2の幅を有する第2の溝部とを有する冷媒用伝熱管が提供される。
(2)また、上記冷媒用伝熱管において、前記第2の溝部が、前記内周面に周期的に設けられることが好ましい。
(3)また、上記冷媒用伝熱管において、前記複数のフィンそれぞれが0.15mm以上の高さを有することが好ましい。
(4)また、上記冷媒用伝熱管において、前記複数のフィンそれぞれが、0°以上3°以下のねじれ角を有することが好ましい。
(5)また、本発明は、上記目的を達成するため、上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の冷媒用伝熱管を備える熱交換器が提供される。
本発明に係る冷媒用伝熱管及び熱交換器によれば、二酸化炭素を冷媒としたヒートポンプ式給湯機の水熱交であって、圧力損失の増大を抑制できると共に、伝熱性能を効果的に向上させることができる冷媒用伝熱管及び熱交換器を提供できる。
本発明の第1の実施の形態に係るヒートポンプ式給湯機の構成の概要図である。 本発明の第2の実施の形態に係る冷媒用伝熱管の断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る冷媒用伝熱管の断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る水熱交換器の構造の概要図である。 本発明の第5の実施の形態に係る水熱交換器の構造の概要図である。 伝熱性能を評価するための二重管式熱交換器の模式図である。 油濃度が5.0%のとき、実施例1、比較例1(内面溝付管)について平均冷媒温度と、管内熱伝達率平滑管比(比較例4に対する比)と圧力損失平滑管比との比(以下性能圧損比と称する)との関係を示した評価結果を示す図である。
[実施の形態の要約]
冷媒として二酸化炭素を用いたヒートポンプ給湯機の熱交換器に用いられる冷媒用伝熱管において、内周面を有する主管と、前記内周面に設けられる複数のフィンと、前記複数のフィンの間の複数の溝部とを備え、前記複数の溝部が、第1の幅を有する第1の溝部と、前記第1の幅とは異なる幅の第2の幅を有する第2の溝部とを有する冷媒用伝熱管が提供される。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る冷媒用伝熱管を用いて構成されるヒートポンプ式給湯機の構成の概要を示す。
第1の実施の形態に係るヒートポンプ式給湯機10は、二酸化炭素を冷媒として用いる二酸化炭素冷媒ヒートポンプ式給湯機としてのヒートポンプ式給湯機10である。ヒートポンプ式給湯機10は、圧縮機11と、後述する冷媒用伝熱管20を有する熱交換器としての水熱交換器12と、膨張弁13と、吸熱器(蒸発器)14とを備える。そして、圧縮機11と水熱交換器12とが配管15で互いに接続され、水熱交換器12と膨張弁13とが配管15aで互いに接続され、膨張弁13と吸熱器14とが配管15bで互いに接続され、吸熱器14と圧縮機11とが配管15cで互いに接続されることにより冷凍サイクルが構成される。二酸化炭素の冷媒は、当該冷凍サイクル内に封入されている。ここで、圧縮機11の吐出部から水熱交換器12を経て膨張弁13の入口部までの領域は、冷媒が超臨界状態(すなわち、臨界圧力を超える状態)になっている。なお、圧縮機11の潤滑油としては、例えば、ポリアルキレングリコール油(PAG油)を用いることができる。
(ヒートポンプ式給湯機10の動作)
次に、ヒートポンプ式給湯機10の動作について説明する。まず、圧縮機11において冷媒としての二酸化炭素冷媒が圧縮される。そして、圧縮された二酸化炭素冷媒は、臨界圧力(約7.4MPa)を超える状態(超臨界状態)で圧縮機11からガスクーラ(水熱交換器)12に導入される。なお、本実施の形態では、圧縮機11において、例えば、約10MPaに冷媒は圧縮される。
超臨界状態の二酸化炭素冷媒は液化せず(つまり、気液二相状態にならず)、高温高圧の状態になる。そして、超臨界状態の二酸化炭素冷媒は、ガスクーラ(水熱交換器)12において水等との間で熱交換する(すなわち、冷媒から放熱される)。その後、二酸化炭素冷媒は膨張弁(減圧器)13で減圧されて低圧の気液二相状態になり、吸熱器14に導入される。なお、本実施の形態では、膨張弁13において二酸化炭素冷媒は、例えば、約3.5MPa程度の圧力にまで減圧される。
気液二相状態になった二酸化炭素冷媒は、吸熱器14において、空気(大気)から吸熱してガス状態(つまり、気相の単相状態)になり、圧縮機11に再び吸入される。このようなサイクルを繰り返すことにより、水熱交換器12における冷媒からの放熱による加熱作用、及び吸熱器14における冷媒の吸熱による冷却作用が継続される。
[第2の実施の形態]
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る冷媒用伝熱管の断面の概要を示す。
第2の実施の形態に係る冷媒用伝熱管20は、銅等の金属材料から形成され、内周面20a及び外周面20bを有する主管と、内周面20aに設けられる複数のフィン200と、複数のフィン200の間に複数の溝部とを備える。そして、複数の溝部は、第1の幅「WA」を有する第1の溝部210と、第1の幅「WA」とは異なる幅の第2の幅「WB」を有する第2の溝部212とを有する。本実施の形態においては、第1の幅「WA」より第2の幅「WB」の方が幅が広く形成される。
冷媒用伝熱管20は以下のようにして製造することができる。まず、銅管を準備する。そして、銅管の内部の引き抜き側(前方)に溝付プラグを配すると共に後方にフローティングプラグを配する。続いて、溝付プラグが位置する銅管の外面に、自公転するボールを押圧しつつ銅管を引き抜く。これにより、銅管の内表面に溝付プラグの溝が転造され、内面に複数の溝が形成された内面溝付管である冷媒用伝熱管が製造される。ここで、本実施の形態に係る冷媒用伝熱管20は、円周方向に所定の間隔ごとに溝が設けられていない形態の溝付プラグを用いることにより製造することができる。例えば、円周方向に4個置きに溝が設けられていない形態の溝付プラグを用いることができる。
また、内表面20aに形成される複数のフィン200のねじれ角を0°以上3°以下、好ましくは概略0°にする。なお、「ねじれ角」とは、内面溝付管における管中心軸方向と溝方向とのなす角である。
(第1及び第2の実施の形態の効果)
第1及び第2の実施の形態によれば、二酸化炭素を冷媒として用いるヒートポンプ給湯機10の水熱交換器12において、性能圧損比に優れた冷媒用伝熱管20を提供することができ、水熱交換器12の熱交換効率を向上させることができる。すなわち、冷媒用伝熱管20内に設ける複数のフィン200の間に第1の溝部210より幅広である複数の第2の溝部212を周期的に設けたので、圧縮機11の潤滑油が配管15内に混入したとしても、混入した潤滑油を冷媒用伝熱管20内において溝部212に沿って管外へ流れやすくすることができる。これにより、潤滑油の冷媒用伝熱管20内への混入に起因する圧力損失を減少させることができる。したがって、潤滑油の混入に起因する冷媒用伝熱管20の圧力損失の増大及び伝熱阻害の影響より、冷媒用伝熱管20内の熱伝達率向上の効果の方を増大させることができる。
[第3の実施の形態]
図3は、本発明の第3の実施の形態に係る冷媒用伝熱管の断面の概要を示す。
第3の実施の形態に係る冷媒用伝熱管30は、複数のフィン300の間隔を除き、第2の実施の形態に係る冷媒用伝熱管20と略同一の構成、機能を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
冷媒用伝熱管30においては、第1の幅「WA」より幅広である第2の幅「WB」を有する溝部が内表面の一部に設けられる。また、冷媒用伝熱管30は、第2の実施の形態に係る冷媒用伝熱管20と同様に、溝が部分的に形成されていない溝付プラグを用いて製造される。
[第4の実施の形態]
図4は、本発明の第4の実施の形態に係る水熱交換器の構造の概要を示す。
第4の実施の形態に係る熱交換器400は、水用伝熱管に第2の実施の形態に係る冷媒用伝熱管20が巻き付けられて構成される。なお、必要に応じて、水用伝熱管外面と冷媒用伝熱管20とをろう付け等で固着することもできる。熱交換器400においては、水用伝熱管41内を流れる水と、伝熱管41の外周に接触する冷媒用伝熱管20内を流れる冷媒との間で熱交換される。なお、第4の実施の形態においては、水用伝熱管41に巻き付ける冷媒用伝熱管20が1本の例を示したが、使用条件に応じて冷媒用伝熱管20を複数本にすることもできる。また、水用伝熱管41はコルゲート管の例を示した。図示したコルゲート管は、平滑管の外周面にコルゲート溝としての螺旋状の凹溝を形成することにより、内周面に螺旋状の凸部を設ける。より具体的には、コルゲート溝は、コルゲート形成用の円盤状のディスクを、平滑管すなわち管軸に対して垂直に切ったときの内周面の断面が真円である管からなる平滑管の中心軸に垂直な方向に対して傾斜をつけた状態で、平滑管に連続的に押し付けながら回転させつつ、平滑管の周囲に公転させるとともに、平滑管を所定の速度で移動させることにより形成する。すなわち、例示したコルゲート管は、管外へ向けて若干凸の形状とはなっているものの、実質平滑な部分が多く残っており、第1の冷媒用伝熱管をコルゲート溝に沿って巻きつけたのち、第2の冷媒用伝熱管を第1の冷媒用伝熱管に沿って、巻きつけることができる。なお、コルゲート溝の幅は、製造方法に用いた円盤状ディスクの幅と略同一であり、平滑管の表面での測定において、0.5mm〜1.5mmである。また、水用伝熱管41はコルゲート管の例を示したが、使用条件に応じて平滑管、内面溝付管、又は内面溝付コルゲート管にすることもできる。
[第5の実施の形態]
図5は、本発明の第5の実施の形態に係る水熱交換器の構造の概要を示す。
第5の実施の形態に係る熱交換器500は、水用伝熱管と、第3の実施の形態の冷媒用伝熱管30とを平行に接触させて構成される。なお、必要に応じて、水用伝熱管外面と冷媒用伝熱管30とをろう付け等で固着することもできる。熱交換器500においては、水用伝熱管51内を流れる水と、伝熱管51の外周に接触する冷媒用伝熱管30内を流れる冷媒との間で熱交換される。なお、水用伝熱管と冷媒用伝熱管30とを平行に接触させた状態のまま、円筒形状、楕円形状、概略四角形形状に巻くことでコンパクトにすることができる。また、第5の実施の形態においては、水用伝熱管41に接触させる冷媒用伝熱管30が1本の例を示したが、使用条件に応じて冷媒用伝熱管30を複数本にすることもできる。更に、水用伝熱管51はコルゲート管の例を示したが、使用条件に応じて平滑管、内面溝付管、又は内面溝付コルゲート管を用いることもできる。なお、図示したような、実質的に平滑な部分を多く有する管の場合、接触面積を大きくすること、あるいは、管同士の距離を短くすることができ、熱交換率を高めることができる。
図6は、伝熱性能を評価するための二重管式熱交換器の模式図を示す。
図6に示すように、冷媒用伝熱管60を内管とし、該内管の外側に冷媒から熱を除去する水を環状(ジャケット状)に流すための水管61を有した二重管式熱交換器62を構成した。なお、図6において、「Gr」は冷媒質量流量(kg/h)、「Pr1」は冷媒入口圧力(MPa)、「Tr1」は冷媒入口温度(℃)、「Pr2」は冷媒出口圧力(MPa)、「Tr2」は冷媒出口温度(℃)、「G」は水質量流量(m/s)、「Tw1」は水出口温度(℃)、「Tw2」は水入口温度(℃)を示す。
表1に、評価した冷媒用伝熱管の仕様を示す。
Figure 2011252662
実施例1及び実施例2においては、第2の実施の形態に係る伝熱管を用い、実施例3においては、第3の実施に係る伝熱管を用いた。
具体的に、実施例1及び実施例2において用いた伝熱管は、第2の実施の形態に係る冷媒用伝熱管20のように、3つのフィン200により2つの第1の溝部210(いずれも、第1の幅WAを有する)が形成され、当該3つのフィンをフィン領域とした場合に、当該フィン領域に続き第2の幅の第2の溝部212が形成されている。そして、フィン領域と第2の溝部212とをペアとして、当該ペアが繰り返し伝熱管の内表面に形成されている。実施例3において用いた伝熱管は、第3の実施の形態に係る冷媒用伝熱管30のように、複数のフィン200が均等の間隔(つまり、第1の幅WA)で内表面に配置されており、内表面の一か所にのみ第2の幅の第2の溝部212が形成されている。
一方、比較例1〜3は、従来の溝付プラグを用いて転造加工により作製した内面溝付管を用いた。比較例1〜3において用いた伝熱管は、第2の溝部212を有しておらず、各伝熱管の内表面に第1の幅WAの間隔で複数のフィンが均等に配列されている。また、比較例4に係る伝熱管としては平滑管を用いた。なお、溝部幅WAは、フィンとフィンとの間の溝部の幅のうち狭い方を示し、溝部幅WBは、溝部の幅の広い方を示す。
表1に示した各冷媒用伝熱管の伝熱性能を測定した。表2に、伝熱性能測定における測定条件を示す。なお、伝熱性能として管内熱伝達率を評価した。
Figure 2011252662
ここで、熱流束による影響を抑制するために、冷媒温度範囲(測定温度範囲)を調整しながら測定した(すなわち、冷媒入口温度から冷媒出口温度までを3領域に分割し、各領域での熱流束が同等になるように水の流量を調整して測定した)。
また、冷媒中の潤滑油濃度(PAG油濃度)は、サイクルを流通している冷媒を二重管式熱交換器の冷媒入口の手前でサンプリング容器に採取し、サンプリング容器の容積と採取した冷媒の質量とから、いわゆる重量法により算出した。なお、測定条件における精度(制御・測定誤差)は、それぞれ表2の数値(数値は平均値)に対して、温度が±0.3℃程度、圧力が±0.1%程度、冷媒質量速度が±0.4%程度、PAG油濃度が±0.1質量%程度である。
次に、管内熱伝達率αは、以下のようにして算出した。
まず、二重管式熱交換器における冷媒温度範囲ごとの冷媒入口温度Tr2[単位:K]、冷媒出口温度Tr1[単位:K]、水管の入口温度Tw1[単位:K]、水管の出口温度Tw2[単位:K]、及び水の質量流量G[単位:kg/s]を計測した。そして、水の入口/出口温度から算出される代表温度(平均温度T[単位:K])から測定区間の水の定圧比熱Cpを算出し、次式(1)、(2)の関係から熱流速q[単位:kW/m]及び対数平均温度差ΔT[単位:K]を算出した。
Figure 2011252662
式(1)において「A」は熱交換面積(すなわち、二重管式熱交換器において、水に接する冷媒用伝熱管の表面積)[単位:m2]である。
Figure 2011252662
ここで、式(3)及び式(4)は以下のとおりである。
Figure 2011252662
Figure 2011252662
また、熱流速qを対数平均温度差ΔTで除すことにより、二重管式熱交換器の熱通過率K[単位:kW/(mK)]を次式(5)から算出した。
Figure 2011252662
一方、水管の入口/出口温度から算出した代表温度(平均温度T)から、その温度における水の各物性値(密度、比熱、粘度、熱伝導率λ)を定め、プラントル数Prを算出した。また、水の物性値と質量流量とによりレイノルズ数Reを算出し、次式(6)の関係により、水の熱伝達率α[単位:kW/(mK)]を算出した。
Figure 2011252662
ここで、dは水の環状流通部分の相当直径(流路面積の4倍を濡れ縁長さで除したもの)[単位:m]、dは水管の内径[単位:m]、ODは冷媒用伝熱管の外径[単位:m]である。
管内熱伝達率α[単位:kW/(mK)]は、熱通過率Kと水の熱伝達率α及び冷媒用伝熱管の外径OD、冷媒用伝熱管の内径ID[単位:m]を用いて、次式(7)のように算出した。
Figure 2011252662
図7は、油濃度が5.0%のとき、実施例1、比較例1(内面溝付管)について平均冷媒温度と、管内熱伝達率平滑管比(比較例4に対する比)と圧力損失平滑管比との比(以下性能圧損比と称する)との関係を示した評価結果を示す。
図7において、平均冷媒温度とは、表2に示した冷媒入口温度から冷媒出口温度までを3領域に分割した各温度領域における平均温度(つまり、当該温度領域の冷媒入口温度と冷媒出口温度との平均)である。
実施例1〜3、比較例1〜3について、図7のように平均冷媒温度と性能圧損比とを算出し、各油濃度において、平均冷媒温度ごとの性能圧損比を平均した結果を表3に示す。
Figure 2011252662
実施例1及び比較例1は、内表面積増加率が同一であるだけではなく、フィン高さ、及びフィン数も同一である。このとき、油濃度が0.3%、5.0%のいずれにおいても、本発明の第2の実施の形態に係る伝熱管(つまり、実施例1の伝熱管)は性能圧損比が高いことが示された。
実施例2及び比較例2は、フィン高さは互いに同一であるものの、フィン数が異なる(すなわち、実施例2に係る伝熱管の方が少ない)ため、内表面積増加率が比較例2の方が大きい。油濃度が0.3%では本発明の第2の実施の形態に係る伝熱管(つまり、実施例2の伝熱管)は性能圧損比が高いが、油濃度が5.0%では比較例2と同等であった。
実施例3及び比較例3は、内表面積増加率は同一であるものの、フィン高さとフィン数とが互いに異なる。油濃度が0.3%では本発明の第3の実施の形態の伝熱管(つまり、実施例3の伝熱管)は性能圧損比が高いが、油濃度が5.0%では比較例3より低くなった。
フィン高さが同一である実施例1と比較例3とを比較すると、内表面積は比較例3の方が大きいが、油濃度が0.3%、5.0%のいずれも実施例1の性能圧損比の方が大きくなった。また、実施例1は比較例3に対してフィン数が3/4しかないため、重量低減の効果も大きいことが示された。
以上より、油濃度が0.3%のときは、実施例1〜3のいずれも効果があることから、フィン高さを0.15mm以上にすることが好ましい。なお、フィン高さが0.15mm未満の場合、油がフィンの表面を覆うので、伝熱管の熱交換率は平滑管程度になる。一方、油濃度5.0%のときは、実施例2及び実施例3における結果から、フィン高さを0.24mm以上にすることが好ましい。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
10 ヒートポンプ式給湯機
11 圧縮機
12 水熱交換器
13 膨張弁
14 吸熱器
15、15a、15b、15c 配管
20 冷媒用伝熱管
20a 内表面
20b 外表面
30 冷媒用伝熱管
41 水管
51 水管
60 冷媒用伝熱管
61 水管
62 二重管熱交換器
200 フィン
210 第1の溝部
212 第2の溝部
300 フィン
400 熱交換器
500 熱交換器

Claims (5)

  1. 冷媒として二酸化炭素を用いたヒートポンプ給湯機の熱交換器に用いられる冷媒用伝熱管であって、
    内周面を有する主管と、
    前記内周面に設けられる複数のフィンと、
    前記複数のフィンの間の複数の溝部と
    を備え、
    前記複数の溝部が、第1の幅を有する第1の溝部と、前記第1の幅とは異なる幅の第2の幅を有する第2の溝部とを有する冷媒用伝熱管。
  2. 前記第2の溝部が、前記内周面に周期的に設けられる請求項1に記載の冷媒用伝熱管。
  3. 前記複数のフィンそれぞれが0.15mm以上の高さを有する請求項2に記載の冷媒用伝熱管。
  4. 前記複数のフィンそれぞれが、0°以上3°以下のねじれ角を有する請求項3に記載の冷媒用伝熱管。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷媒用伝熱管を備える熱交換器。
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