JP2011039196A - 表示装置用前面フィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】外光存在下の画像コントラストを向上させ、画像光の透過率が高い画像コントラスト向上層を含む表示装置用前面フィルタを提供すること。
【解決手段】少なくとも画像コントラスト向上層と、粘着剤層とを備える表示装置用前面フィルタであって、該画像コントラスト向上層が、透明基材の面内方向に沿って平行に並設された直線状でその断面形状が略台形の暗色部と、隣接する暗色部間の透光性領域とを有し、暗色部の幅は視聴者側へ向かって増加し、透光性領域の幅は減少し、前記暗色部は、略台形の溝状凹部内に、暗色粒子と透明樹脂とで充填されてなり、前記透光性領域は、その表面が透明樹脂からなる透明保護層で覆われてなり、前記暗色粒子の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、前記透明保護層の厚さtと、前記溝状凹部の最大幅W及び深さHとの間に、t<dmin<dmax<W、且つ、t<dmin<dmax<H、の関係が成り立つ。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも画像コントラスト向上層と、粘着剤層とを備える表示装置用前面フィルタであって、該画像コントラスト向上層が、透明基材の面内方向に沿って平行に並設された直線状でその断面形状が略台形の暗色部と、隣接する暗色部間の透光性領域とを有し、暗色部の幅は視聴者側へ向かって増加し、透光性領域の幅は減少し、前記暗色部は、略台形の溝状凹部内に、暗色粒子と透明樹脂とで充填されてなり、前記透光性領域は、その表面が透明樹脂からなる透明保護層で覆われてなり、前記暗色粒子の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、前記透明保護層の厚さtと、前記溝状凹部の最大幅W及び深さHとの間に、t<dmin<dmax<W、且つ、t<dmin<dmax<H、の関係が成り立つ。
【選択図】なし
Description
本発明は画像表示装置(ディスプレイ)の前面に配置するのに好適な、画像コントラスト向上機能を有するフィルタに関する。
プラズマディスプレイ装置(PDP)、液晶ディスプレイ装置(LCD)、陰極線管ディスプレイ装置(CRT)、電界発光ディスプレイ装置(EL)等の画像表示装置においては、その画像品質を向上させるための検討が行われてきた。
特に画像表示装置の前面側に機能部材を設けて画質改善を図った例として、例えば特許文献1には、画像のチラツキを防止するため、素線を縦横に編んで交叉させた網状膜を画面の前面に配置することが提案されている。この網状膜は画像のチラツキを防止する点では効果があったものと考えられるが、日光や電灯光等の外光(外来光ともいう。)が画面に入射すると、画像コントラストが低下するという問題がある。
画像コントラストを向上させるという問題を解決するため、例えば特許文献2では、画面に貼り合わされるPDP用前面フィルタを構成するコントラスト向上層として、層の面方向に沿った所定方向に直線状に連なり、その延長方向に対して垂直な断面が幅広の下底を観察者側に向ける台形となる形状を有し、且つ、光を透過するレンズ部と、そのレンズ部と平行な方向に直線状に連なり、その延長方向に対して垂直な断面が幅広の下底をPDP側に向ける楔型となる形状を有し、且つ、光を吸収する光吸収部とを、交互に多数噛み合わせて配列してなるものを提案している。この前面フィルタは、光吸収部の幅を狭くして画像光の透過率を維持しつつ同時に該光吸収部の奥行きも深くして外光を吸収できるため、画像コントラスト向上効果はある。
しかしながら、上記特許文献2で提案されたコントラスト向上層(コントラスト向上フィルタ)は、より一層の実用化と高品質化に向けて不十分な点があり、その解決が要請される。
すなわち、上記特許文献2で提案されたコントラスト向上層は、透光部幅が視聴者側に向かって増大し、遮光部幅が視聴者側に向かって減少しているため、遮光部による外光の吸収が十分ではなく、外光存在下の画像コントラストが高くない。
また、特許文献2のコントラスト向上層は、楔型の溝に暗色樹脂からなる塗料が充填されて光吸収部を形成しているが、その光吸収部は、楔型の溝部が並設された面に暗色樹脂からなる塗料を塗工した後、ドクターブレード等で掻き取って形成される。しかしながら、ドクターブレード等で掻き取る際に、溝以外の透明基材表面である透光性領域(前記の溝状凹部に対して凸部として現れる。)にも暗色樹脂が残留し、透光性領域の光透過率が低下して表示画像が暗くなるという難点がある。なお、暗色樹脂が透光性領域に残留する原因は、透光性領域の平坦性が硝子板や金属板等の平坦な剛体とは異なり不完全なこと、ドクターブレード等を押圧することにより変形や撓みが生じること、且つ暗色樹脂塗料が液状であり、僅かな隙間にも滲み出すこと、等のために完全に掻き取ることは不可能であることによる。
また、特許文献2のコントラスト向上層は、楔型の溝に暗色樹脂からなる塗料が充填されて光吸収部を形成しているが、その光吸収部は、楔型の溝部が並設された面に暗色樹脂からなる塗料を塗工した後、ドクターブレード等で掻き取って形成される。しかしながら、ドクターブレード等で掻き取る際に、溝以外の透明基材表面である透光性領域(前記の溝状凹部に対して凸部として現れる。)にも暗色樹脂が残留し、透光性領域の光透過率が低下して表示画像が暗くなるという難点がある。なお、暗色樹脂が透光性領域に残留する原因は、透光性領域の平坦性が硝子板や金属板等の平坦な剛体とは異なり不完全なこと、ドクターブレード等を押圧することにより変形や撓みが生じること、且つ暗色樹脂塗料が液状であり、僅かな隙間にも滲み出すこと、等のために完全に掻き取ることは不可能であることによる。
なお、透光性領域に残留した暗色塗料を、有機溶剤を滲み込ませた布で拭き取ったり、研磨したりして除去することも可能ではあるが、工程数が増える上に、有機溶剤により透光性領域が膨潤・溶出により白濁したり、研磨に付随して擦り傷が入ったりし、今度はこれらの要因によって表示画像が白濁するという問題が発生する。
さらに、特許文献2のコントラスト向上層は、その白濁や透過率低下を改善するために透光性領域上の残留暗色塗料を除去した場合には、該透光性領域表面は基本的には露出状態となっているため、搬送工程や保管工程の際等に、露出した透光性領域が汚染されたり傷付いたりして、その結果、表示画像の画質が低下するという問題も生じる。
本発明の目的は、上記問題点を解決した画像コントラスト向上層、すなわち、外光存在下の画像コントラストを向上させることができるとともに、画像の透過部位である透光性領域が汚染されず、画像光の透過率が高い画像コントラスト向上層を含む表示装置用前面フィルタを提供することにある。
本発明は、少なくとも画像コントラスト向上層と、表示装置に貼り付けるための粘着剤層とを備える表示装置用前面フィルタであって、該画像コントラスト向上層が、透明基材の視聴者側の面に、該透明基材の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の暗色部と、隣接する前記暗色部間の透光性領域とを有し、暗色部の幅は視聴者側へ向かって増加し、透光性領域の幅は視聴者側へ向かって減少する、画像コントラスト向上層であって、前記暗色部は、断面形状が台形又は略台形の溝状凹部内に、暗色粒子と透明樹脂とで充填されてなり、前記透光性領域は、その表面が透明樹脂からなる透明保護層で覆われてなり、前記暗色粒子の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、前記透明保護層の厚さtと、前記溝状凹部の最大幅W及び深さHとの間に、t<dmin<dmax<W、且つ、t<dmin<dmax<H、の関係が成り立つ画像コントラスト向上層であることを特徴とする表示装置用前面フィルタを提供する。
また、表示装置に貼り付けるための粘着剤層の粘着力は5〜8N/25mm幅であることが好ましい。
また、表示装置に貼り付けるための粘着剤層の粘着力は5〜8N/25mm幅であることが好ましい。
本発明で用いる画像コントラスト向上層は、遮光部幅が視聴者側に向かって増大し、透光部幅が視聴者側に向かって減少しているため、暗色部が外光を効果的に吸収し、外光存在下の画像コントラストが向上している。
また、本発明で用いる画像コントラスト向上層は、透光性領域には暗色粒子が存在せず、その透光性領域を通過する光の光透過性が低下しないので、画像光の光線透過率が高い。
さらに、本発明の表示装置用前面フィルタは、粘着剤層で表示装置等に貼り付けるため、位置ずれ、シワ存在等、接着に失敗しても、再剥離して貼り直しが可能である。また、表示装置の廃棄時に該フィルタの分別回収が容易であるという利点もある。
また、本発明で用いる画像コントラスト向上層は、透光性領域には暗色粒子が存在せず、その透光性領域を通過する光の光透過性が低下しないので、画像光の光線透過率が高い。
さらに、本発明の表示装置用前面フィルタは、粘着剤層で表示装置等に貼り付けるため、位置ずれ、シワ存在等、接着に失敗しても、再剥離して貼り直しが可能である。また、表示装置の廃棄時に該フィルタの分別回収が容易であるという利点もある。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の表示装置用前面フィルタは、図1に示すように、少なくとも画像コントラスト向上層と、表示装置に貼り付けるための粘着剤層とを備える。
本発明の表示装置用前面フィルタは、図1に示すように、少なくとも画像コントラスト向上層と、表示装置に貼り付けるための粘着剤層とを備える。
[画像コントラスト向上層]
本発明の表示装置用前面フィルタにおいて、画像コントラスト向上層は、図1に示すように、透明基材の視聴者側の面に、該透明基材の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の暗色部と、隣接する前記暗色部間の透光性領域とを有し、暗色部の幅は視聴者側へ向かって増加し、透光性領域の幅は視聴者側へ向かって減少する
本発明の表示装置用前面フィルタにおいて、画像コントラスト向上層は、図1に示すように、透明基材の視聴者側の面に、該透明基材の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の暗色部と、隣接する前記暗色部間の透光性領域とを有し、暗色部の幅は視聴者側へ向かって増加し、透光性領域の幅は視聴者側へ向かって減少する
図2は、本発明で用いる画像コントラスト向上層の一例を示す模式的な断面図(A)(暗色部10の延長方向と直交する断面を図示)と、これを暗色部が存在する側(視聴者側)から見た平面図(B)である。
画像コントラスト向上層100は、透明基材4の一方の面に、その透明基材4の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の暗色部10と、隣接する暗色部10,10間の透光性領域20とを有している。暗色部10は、断面形状が台形又は略台形の溝状凹部3内に、暗色粒子1と透明樹脂2とで充填されて構成されている。また、透光性領域20は、透明基材4の平坦部7(溝状凹部3が形成されていない部分)の表面S1が透明樹脂2からなる透明保護層2Lで覆われて構成されている。そして、本発明の画像コントラスト向上層100は、暗色粒子1の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、透明保護層2Lの厚さtと、溝状凹部3の最大幅W及び深さHとの間に、t<dmin<dmax<W、且つ、t<dmin<dmax<H、の関係が成り立つことを特徴とする。
画像コントラスト向上層100は、透明基材4の一方の面に、その透明基材4の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の暗色部10と、隣接する暗色部10,10間の透光性領域20とを有している。暗色部10は、断面形状が台形又は略台形の溝状凹部3内に、暗色粒子1と透明樹脂2とで充填されて構成されている。また、透光性領域20は、透明基材4の平坦部7(溝状凹部3が形成されていない部分)の表面S1が透明樹脂2からなる透明保護層2Lで覆われて構成されている。そして、本発明の画像コントラスト向上層100は、暗色粒子1の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、透明保護層2Lの厚さtと、溝状凹部3の最大幅W及び深さHとの間に、t<dmin<dmax<W、且つ、t<dmin<dmax<H、の関係が成り立つことを特徴とする。
こうした構成からなる画像コントラスト向上層100は、透光性領域20には暗色粒子1が存在せず、その透光性領域を通過する、画像コントラスト向上層100の表面の法線方向から出射する画像光の光透過性が低下しないので、表示画像が暗くなって表示画像の視認性を損なうことがない。また、暗色部10では、暗色粒子1が、画像コントラスト向上層100の表面の法線方向に対して傾斜して入出射する外光を効果的に吸収するので、画像のコントラスト(画像の白部と黒部との輝度の比、差等で定義)を向上させることができる。また、透光性領域20が透明保護層2Lで覆われているので、搬送工程や保管工程の際においても、画像の透過部位である透光性領域20が汚染されたり傷が付いたりせず、表示画像の画質を低下することがなく、高品質の画像を表示することができる。
以下、本発明で用いる画像コントラスト向上層の各構成要素について詳しく説明する。
(透明基材)
透明基材4としては、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂材料、あるいは硝子等の無機透明材料が各種使用可能である。通常は、溝状凹部3を形成し易く、軽量で薄くすることが可能であり、可撓性にも優れるという点で、樹脂材料が好ましく用いられる。電離放射線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂については、後述の透明樹脂の説明箇所で例示するものと同様のものの中から選択して使用できる。また、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の含ハロゲン樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等のセルロース樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、等が使用できる。
透明基材4としては、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂材料、あるいは硝子等の無機透明材料が各種使用可能である。通常は、溝状凹部3を形成し易く、軽量で薄くすることが可能であり、可撓性にも優れるという点で、樹脂材料が好ましく用いられる。電離放射線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂については、後述の透明樹脂の説明箇所で例示するものと同様のものの中から選択して使用できる。また、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の含ハロゲン樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等のセルロース樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、等が使用できる。
この透明基材4には溝状凹部3が形成されるため、その厚さは溝状凹部3の深さHよりも厚い必要があり、通常、20μm〜5000μm程度の範囲である。即ち、透明基材4は厚さ的には、所謂フィルム、シート、或いは板の各種形態をとり得る。
(暗色部)
暗色部10は、透明基材4の一方の面S1に形成されており、透明基材4の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の形態からなるものである。そして、この暗色部10は、断面形状が台形又は略台形の溝状凹部3内に、暗色粒子1と透明樹脂2とが充填されて構成されている。
暗色部10は、透明基材4の一方の面S1に形成されており、透明基材4の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の形態からなるものである。そして、この暗色部10は、断面形状が台形又は略台形の溝状凹部3内に、暗色粒子1と透明樹脂2とが充填されて構成されている。
先ず、溝状凹部3の形状について説明する。溝状凹部3は、断面形状が台形又は略台形である。ここで、断面形状とは、直線状に延びる溝状凹部3の延長方向に直交する断面の形状をいう。また、台形の溝状凹部とは、図3(A)に示すように、透明基材4の一方の面S1側(観察者側)の辺(下底)の幅Wが広く、他方の面S2側(画像表示装置側)の辺(上底)の幅が狭い態様で構成されたものである。また、略台形の溝状凹部としては、両辺(上底と下底)の幅の差が小さい形状、すなわち長方形や正方形に近い形状を含み、また、楔型の3角形の頂点近傍をS1側の辺(下底)に平行に切断した3角形に近似する形状も含む。なお、溝状凹部3はこうした台形又は略台形に限らず、正方形、長方形等の4角形や、3角形、5角形等の多角形であってもよいが、好ましくは上記した台形又は略台形である。
溝状凹部3と透明基材4との界面からなる斜面5が出光面の法線(画像コントラスト向上層100に対する垂直入射光に平行な線P)となす角度θは、所定の角度に形成されていることが好ましく、例えばθが3°〜15°の範囲であることが好ましい。θが3°以上であると、画像表示装置からの表示光が観察者側に十分に到達し、輝度向上効果が得られる。しかも、画面に斜め方向に入射する外光については、十分な断面積を持つ暗色部10で吸収できるため、外光反射を抑止して画像コントラストを向上させることができる。一方、θが15°以下であると、外光を吸収する暗色部10の側面の断面積を維持しつつ、画像光が通過する透光性領域(暗色部非形成領域)の面積も高く保てるため、画像光の強度(輝度)を高く保つことができる。
なお、溝状凹部3の大きい方の底辺の長さ(すなわち最大幅W)は10μm〜100μm程度であることが好ましく、小さい方の底辺の長さは5μm〜50μm程度であることが好ましく、深さHは10μm〜200μm程度であることが好ましく、溝状凹部3の周期(ピッチ)は10μm〜900μm程度であることが好ましく、開口率は50%〜90%程度であることが好ましい。
次に、暗色部10を構成する材料、すなわち溝状凹部3に充填される材料について説明する。暗色部10は、可視光線波長域の大部分を吸収し、入射する可視光線(外光)を高い割合で吸収することが望ましく、その結果、暗色部10で反射する外光が目立たず、その反射光が画像光に混入しても画像コントラストの低下が目立たないようになる。したがって、暗色部10には、そうした作用を発揮する色に設定することが望ましい。暗色部10の色は完全な黒色が理想であるが、実用上は完全な黒色にする必要はなく、上記の作用を発揮するものであれば有彩色であってもよい。具体的には、黒、濃い灰色等の無彩色、褐色、臙脂色、紺色、深緑色、濃紫色等の低明度の有彩色であってもよい。
暗色部10を構成する暗色粒子1としては、所定の粒径からなる各色の粒子を用いることができる。例えば、黒色粒子としては、カーボンブラック(墨)、黒色酸化鉄等の黒色顔料や、アクリル等の透明粒子をカーボンブラック等の黒色顔料で染色した樹脂粒子等が用いられる。
また、暗色粒子1は、黒色粒子以外の、青色、紫色、黄色、赤色の各種顔料を混合して無彩色化した顔料粒子であってもよいし、それらの顔料で染色した樹脂粒子であってもよい。青色顔料としては、銅フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、コバルトブルー、群青等が用いられ、紫色顔料としては、ジオキサジンバイオレット等が用いられ、黄色顔料としては、ジスアゾイエロー、イソインドリノンイエロー、黄鉛等が用いられ、赤色顔料としては、クロモフタルレッドタイペル、キナクリドンレッド、弁柄等が用いられ、緑色顔料としては、銅フタロシアニングリーン、緑青等が用いられる。また、低明度の有彩色とした暗色粒子1であってもよく、その例としては、前記の青色、紫色、黄色、赤色、又は緑色の各種顔料を1種類又は2種類以上適宜混合分散し、必要に応じ、更に黒色顔料を混合した着色顔料、あるいは、アクリル等の透明粒子をこれら顔料で着色した樹脂粒子であってもよい。これらの暗色粒子1の中では、黒色粒子がもっとも光吸収性が高く、しかも画像コントラスト向上層自体の色相に影響を与えないので好ましい。
暗色粒子1の粒子径として、特にその最小粒径dminと最大粒径dmaxが後述する関係を満たすことが必要である。すなわち、少なくとも暗色粒子1の最大粒径dmaxは、溝状凹部3の最大幅Wよりも小さく、且つその深さHよりも小さいことが必要である。一方、暗色粒子1の最小粒径dminは透明保護層2Lの厚さよりは大きいことも必要である。したがって、暗色粒子1の粒子径はそうした条件を満たすものを任意に選択して用いられるが、通常は、0.1μm〜100μmの範囲内から任意に選択される。なお、暗色粒子1の最小粒径dminと最大粒径dmaxは、用いる暗色粒子1を電子顕微鏡観察して測定することができる。
暗色粒子1とともに暗色部10を構成する透明樹脂2としては、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が各種使用可能である。電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波又は荷電粒子線、例えば紫外線又は電子線等を照射することにより、架橋又は重合反応にて硬化する樹脂を意味する。このような電離放射線硬化性樹脂としては、例えば電離放射線重合性プレポリマー及び/又は電離放射線重合性モノマーを挙げることができる。
電離放射線重合性プレポリマー(オリゴマーも包含する)としては、例えばポリエステ
ル(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリオール(メタ)アクリレート系、シリコーン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル系等の分子中にラジカル重合性官能基を有する重合性オリゴマー、あるいはノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等のエポキシ系樹脂等の分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等が挙げられる。これらの電離放射線重合性プレポリマーは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、ここで、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
ル(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリオール(メタ)アクリレート系、シリコーン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル系等の分子中にラジカル重合性官能基を有する重合性オリゴマー、あるいはノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等のエポキシ系樹脂等の分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等が挙げられる。これらの電離放射線重合性プレポリマーは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、ここで、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
また、電離放射線重合性モノマー(単量体)としては、分子中にラジカル重合性官能基を有する重合性モノマーである多官能性(メタ)アクリレートが好ましく、具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。カチオン重合性官能基を有するモノマーとして、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート等の脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等グリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等ビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等オキセタン類等が挙げられる。これらの電離放射線重合性モノマーは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、前記電離放射線重合性プレポリマーと併用してもよい。
電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1重量部〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されない。
分子中にラジカル重合性官能基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール等が挙げられる。また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤等を用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、フェノール−ホルマリン樹脂、尿素樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリウレタン樹脂、汎用の2液硬化型アクリル樹脂(アクリルポリオール硬化物)等を例示することができる。
(透光性領域)
透光性領域20は、隣接する暗色部10,10間に位置し、透明基材4の表面S1が透明保護層2Lで覆われて構成されている。この透明保護層2Lは、溝状凹部3に暗色粒子1とともに充填される透明樹脂2のみが、透明基材4の溝状凹部非形成部(凸部、又は透光性開口部ともいう。)、すなわち透光性領域20を被覆して構成されたものである。透明保護層2Lの厚さtは、用いる暗色粒子1の最小粒径及び最大粒径との関係で規定されるが、後述する関係を満たす範囲であれば、0.1μm〜30μmの範囲であることが好ましい。透明保護層2Lの厚さtが0.1μm未満では、通常の製法において、透明基材4の溝状凹部3以外の平坦部7である凸部上に形成した透明保護層2Lを研磨や拭き取り無しで実現することは困難であるとともに、主に透光性領域20の表面の汚染や擦り傷からの保護層としても不十分となる。また、透明保護層2Lの厚さtが30μmを超えると、表面の保護機能としては過剰品質となり、不要な価格高騰をきたすため、好ましくない。透明保護層2Lを汚染や擦り傷から保護する上では、高硬度で耐擦傷性に優れる電離放射線硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂が好ましい。
透光性領域20は、隣接する暗色部10,10間に位置し、透明基材4の表面S1が透明保護層2Lで覆われて構成されている。この透明保護層2Lは、溝状凹部3に暗色粒子1とともに充填される透明樹脂2のみが、透明基材4の溝状凹部非形成部(凸部、又は透光性開口部ともいう。)、すなわち透光性領域20を被覆して構成されたものである。透明保護層2Lの厚さtは、用いる暗色粒子1の最小粒径及び最大粒径との関係で規定されるが、後述する関係を満たす範囲であれば、0.1μm〜30μmの範囲であることが好ましい。透明保護層2Lの厚さtが0.1μm未満では、通常の製法において、透明基材4の溝状凹部3以外の平坦部7である凸部上に形成した透明保護層2Lを研磨や拭き取り無しで実現することは困難であるとともに、主に透光性領域20の表面の汚染や擦り傷からの保護層としても不十分となる。また、透明保護層2Lの厚さtが30μmを超えると、表面の保護機能としては過剰品質となり、不要な価格高騰をきたすため、好ましくない。透明保護層2Lを汚染や擦り傷から保護する上では、高硬度で耐擦傷性に優れる電離放射線硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂が好ましい。
(暗色部と透光性領域の関係)
本発明においては、暗色部10と透光性領域20の構成要素が以下の関係であるように構成する。すなわち、暗色粒子1の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、透明保護層2Lの厚さtと、溝状凹部3の最大幅W及び深さHとの間に、t<dmin<dmax<W、且つ、t<dmin<dmax<H、の関係が成り立つように構成する。
本発明においては、暗色部10と透光性領域20の構成要素が以下の関係であるように構成する。すなわち、暗色粒子1の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、透明保護層2Lの厚さtと、溝状凹部3の最大幅W及び深さHとの間に、t<dmin<dmax<W、且つ、t<dmin<dmax<H、の関係が成り立つように構成する。
画像コントラスト向上層100がこうした関係を満たすことにより、暗色粒子1は溝状凹部3内にのみ存在し、透光性領域20には存在しない。一方、透明樹脂2は暗色部10と透光性領域20の両方に渡って存在し、透光性領域20には、透明樹脂2のみからなる透明保護層2Lが被覆される。ここで、暗色粒子1が溝状凹部3内にのみ存在するとは、厳密には図2(A)に示すように、溝状凹部3内に暗色粒子1の一部が掛かっているものを含む。なお、特に最小粒径dminと厚さtの関係では、dmin/t=1.5〜10であることがより好ましく、また、最大粒径dmaxとW乃至Hとの関係では、W/dmax=2〜50であることがより好ましく、H/dmax=2〜100であることがより好ましい。なお、外光を吸収してコントラストをより向上させるという観点からは、H>Wであることがより好ましい。
(透明支持体)
透明支持体は、透明基材3の透明保護層非形成側の面S2に必要に応じて設けることができる。この透明支持体は、透明基材4を支持し、透明基材4の機械的強度を補強したり、あるいは透明基材4の層形成、透明基材4上への溝状凹部3の形成、暗色部形成用組成物の溝状凹部3内への充填と透明保護層2Lの形成、画像コントラスト向上層100の他部材への積層等の加工工程における加工適性の付与等の目的で好ましく設けられるものである。この透明支持体の材料は、上述した透明基材4のところで説明した材料から、透明支持体を設ける目的に照らして適宜選択して適用できる。また、透明支持体の厚さも透明支持体を設ける目的に照らして適宜選択すればよい。
透明支持体は、透明基材3の透明保護層非形成側の面S2に必要に応じて設けることができる。この透明支持体は、透明基材4を支持し、透明基材4の機械的強度を補強したり、あるいは透明基材4の層形成、透明基材4上への溝状凹部3の形成、暗色部形成用組成物の溝状凹部3内への充填と透明保護層2Lの形成、画像コントラスト向上層100の他部材への積層等の加工工程における加工適性の付与等の目的で好ましく設けられるものである。この透明支持体の材料は、上述した透明基材4のところで説明した材料から、透明支持体を設ける目的に照らして適宜選択して適用できる。また、透明支持体の厚さも透明支持体を設ける目的に照らして適宜選択すればよい。
[画像コントラスト向上層の製造方法]
次に、本発明で用いる画像コントラスト向上層の製造例を説明する。図3は、本発明で用いる画像コントラスト向上層の製造方法の一例を示す工程フロー図である。
次に、本発明で用いる画像コントラスト向上層の製造例を説明する。図3は、本発明で用いる画像コントラスト向上層の製造方法の一例を示す工程フロー図である。
先ず、図3(A)に示すように、一方の面S1の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の溝状凹部3が形成されてなる透明基材4を準備する。溝状凹部3は各種の方法で加工することができる。例えば、加熱した賦形金型を熱可塑性樹脂に押圧する熱プレス法(エンボス法)、熱可塑性樹脂組成物を賦形金型上に注入して固化させるキャスティング法、射出成形法、紫外線硬化型樹脂組成物を成形型内に注入して紫外線硬化させるUVキャスティング法、等の方法を任意に選択して形成することができる。これらの方法の中では、量産性に優れたUVキャスティング法がより好ましい。UVキャスティング法は、ロール状の金型を使用し、連続シートを供給しながら溝状凹部3を連続的に型押しして生産することができる。ロール状の金型は、例えば中空鉄円筒の表面に銅層を積層し、その銅層に形成すべき溝状凹部3の反転形状を賦形したものを例示できる。
次に、図3(B)に示すように、溝状凹部3が形成された側の面S1に、暗色粒子1と透明樹脂2とを有する液状樹脂組成物6を塗布する。塗布は、ノズル61等を用いて行うことができる。液状樹脂組成物は、既述の暗色粒子1と透明樹脂2を任意に選択し、必要に応じて溶剤を配合して所定の粘度となるように調製したものである。なお、液状樹脂組成物には、製造上の容易さを向上させるため、必要に応じて脱泡剤やレベリング剤等の添加剤を添加してもよい。
次に、図3(C)に示すように、塗布された液状樹脂組成物6を掻き取って、溝状凹部3内には暗色粒子1と透明樹脂2とを充填し、溝状凹部以外の平坦部7には暗色粒子1は存在させずに透明樹脂2のみを所定厚さt’で残す。掻き取りは、例えばドクターブレード62等を用いたワイピング法により行うことができるが、その際、ドクターブレード62等と平坦部7との間に所定の隙間を形成して行う。このときの所定の隙間としては、掻き取った後に平坦部7上に残る透明樹脂2の厚さt’が、次の固化工程によって形成される透明保護層2Lの厚さt以上となるように形成するとともに、後述の関係を満たすように形成する。
最後に、図3(D)に示すように、透明樹脂2を固化して、溝状凹部3を暗色部10とし、平坦部7を所定厚さtの透明保護層2Lで覆われた透光性領域20とする。こうして本発明で用いる画像コントラスト向上層100を製造できる。
こうした各工程を経て画像コントラスト向上層100を製造するが、本発明では、得られた画像コントラスト向上層100が以下の関係を有するように製造条件を設定する。すなわち、暗色粒子1の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、平坦部7に残った透明樹脂2の厚さt’と、溝状凹部3の最大幅W及び深さHとの間に、t’<dmin<dmax<W、且つ、t’<dmin<dmax<H、の関係が成り立つようにする。したがって、準備する透明基材4に形成される溝状凹部3の最大幅Wと深さHの仕様については上記関係を満たすようにするとともに、液状樹脂組成物の調製にあたっても上記関係を満たすような暗色粒子1を選定し、ドクターブレード等で液状樹脂組成物を掻き落とす際にも上記厚さt’になるようにドクターブレード等と平坦部7との隙間を調製する。
以上、本発明に係る画像コントラスト向上層の製造方法によれば、ドクターブレードと透明基材4表面(S1)との隙間t’が、t’<dminと設定されるため、透明基材表面(S1)上の液状組成物6中からは暗色粒子がドクターブレード62によって排除される。一方、溝状凹部3内には、t<t’<H、且つt<t’<Wであるため、溝状凹部3内には暗色粒子1は残留する。そのため、液状樹脂組成物6を掻き取った後の平坦部7に残った所定厚さt’の中には暗色粒子1が存在せず、透明樹脂2のみが存在する。そして、その後に透明樹脂2を固化することにより、溝状凹部3を暗色部10とし、平坦部7を所定厚さtの透明保護層2Lで覆われた透光性領域10とした画像コントラスト向上層を製造できる。なお、通常は、液状樹脂組成物は固化する際に体積(厚み)収縮するため、t<t’(<dmin)となる。こうして製造された画像コントラスト向上層100は、透光性領域20には暗色粒子1が存在しないことから、その透光性領域10を通過する光の光透過性が低下せず、表示画像が暗くなって表示画像の視認性を損なうことがない。しかも、暗色部10が外光を効果的に吸収するので、画像のコントラストを向上させることができる。さらに、透光性領域20が透明保護層2Lで覆われるので、搬送工程や保管工程の際等に、画像の透過部位である透光性領域20が汚染されたり傷が付いたりしない。その結果、表示画像の画質を低下することがなく、高品質の画像を表示することができる。
[粘着剤層]
粘着剤層200は、本発明の表示装置用前面フィルタを画像表示装置本体又は画像表示装置基板に接着する役割を有する層である。位置ずれ、シワ存在等、接着に失敗しても、再剥離して貼り直しが可能である。また、表示装置の廃棄時に該フィルタの分別回収が容易であるという利点もある。
粘着剤層200は、本発明の表示装置用前面フィルタを画像表示装置本体又は画像表示装置基板に接着する役割を有する層である。位置ずれ、シワ存在等、接着に失敗しても、再剥離して貼り直しが可能である。また、表示装置の廃棄時に該フィルタの分別回収が容易であるという利点もある。
粘着剤層200に用いる粘着剤としては、基本的には特に制限はなく、公知の粘着剤の中から、粘着性(接着力)、透明性、塗工適性などを有し、またそれ自体好ましくは無着色のものを適宜選択する。
保管、搬送、画像表示装置の通常の使用条件下において、自然剥離、脱落することのない程度の十分な接着力を有し、且つ、貼り直しができる再剥離性を有するために、粘着剤層200の粘着力は5〜8N/25mm幅(JIS Z0237に準拠し、180℃剥離試験により測定した粘着力)であることが好ましい。
このような粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などが挙げられる。
保管、搬送、画像表示装置の通常の使用条件下において、自然剥離、脱落することのない程度の十分な接着力を有し、且つ、貼り直しができる再剥離性を有するために、粘着剤層200の粘着力は5〜8N/25mm幅(JIS Z0237に準拠し、180℃剥離試験により測定した粘着力)であることが好ましい。
このような粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などが挙げられる。
本発明の粘着剤層200は、前記粘着剤を適当な溶剤に溶解させた粘着剤溶液からなる塗工液を、後述する任意の機能層400の裏面又は(それがない場合は)画像コントラスト向上層100の裏面(S2面)上に塗工し、塗膜を形成させた後、乾燥させることにより形成される。
これら粘着剤層200の厚さとしては、5〜800μmの範囲が好ましい。厚さが5μm以上であると、粘着剤としての機能を十分に果たし、硝子基板又は画像表示装置等との十分な接着を得ることができるとともに、所定の吸収剤を添加することによって近赤外線等の所定の不要輻射を十分に吸収することができる。粘着剤層200の厚さは10〜500μmの範囲がさらに好ましく、20〜300μmの範囲が特に好ましい。
なお、粘着剤層200の厚さを200μm以上とすることにより、画像表示装置に加わる衝撃力を吸収緩和する耐衝撃層としての機能を持たせることもできる。
なお、粘着剤層200の厚さを200μm以上とすることにより、画像表示装置に加わる衝撃力を吸収緩和する耐衝撃層としての機能を持たせることもできる。
[その他の層構成]
本発明の表示装置用前面フィルタは、少なくとも画像コントラスト向上層100、粘着剤層200を含むが、図1に示すように、これらの層に加えて、画像コントラスト向上層100の上(S1面の上)に必要に応じて任意の機能層300、画像コントラスト向上層100と粘着剤層200の間に必要に応じて任意の機能層400を適宜積層することができる。機能層300、400は単数又は複数の層よりなる。
任意の機能層300、400を構成する各種(個別)機能層としては、反射防止層、防眩層、耐擦傷機能(ハードコート)層、電磁波遮蔽層、近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、調色(着色)層、紫外線吸収層、耐衝撃層、帯電防止層、耐汚染層等が挙げられる。また、任意の機能層300、400には、前述の画像コントラスト向上層100のための透明支持体や、各種機能層を支持したり、接着したりするための透明基材層、粘接着層等も含まれる。
なお、反射防止層、防眩層、耐擦傷機能(ハードコート)層は、通常、任意の機能層300中の上方に位置させ、耐衝撃層は、任意の機能層400中の下方に位置させる。他の機能層は、任意の機能層300、400のいずれにも位置させることができる。
また、近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、調色(着色)層、紫外線吸収層は、粘着剤層200、他の粘接着剤層等のいずれか1層以上に、当該吸収剤を含有させることにより、形成することができる。
以下、任意の各種機能層、各種吸収剤について、主なものの概要を説明する。
本発明の表示装置用前面フィルタは、少なくとも画像コントラスト向上層100、粘着剤層200を含むが、図1に示すように、これらの層に加えて、画像コントラスト向上層100の上(S1面の上)に必要に応じて任意の機能層300、画像コントラスト向上層100と粘着剤層200の間に必要に応じて任意の機能層400を適宜積層することができる。機能層300、400は単数又は複数の層よりなる。
任意の機能層300、400を構成する各種(個別)機能層としては、反射防止層、防眩層、耐擦傷機能(ハードコート)層、電磁波遮蔽層、近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、調色(着色)層、紫外線吸収層、耐衝撃層、帯電防止層、耐汚染層等が挙げられる。また、任意の機能層300、400には、前述の画像コントラスト向上層100のための透明支持体や、各種機能層を支持したり、接着したりするための透明基材層、粘接着層等も含まれる。
なお、反射防止層、防眩層、耐擦傷機能(ハードコート)層は、通常、任意の機能層300中の上方に位置させ、耐衝撃層は、任意の機能層400中の下方に位置させる。他の機能層は、任意の機能層300、400のいずれにも位置させることができる。
また、近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、調色(着色)層、紫外線吸収層は、粘着剤層200、他の粘接着剤層等のいずれか1層以上に、当該吸収剤を含有させることにより、形成することができる。
以下、任意の各種機能層、各種吸収剤について、主なものの概要を説明する。
(反射防止層)
反射防止層としては、例えば、低屈性率層と高屈折率層とを交互に積層し最表面が低屈折率層となるようにした多層構成が一般的であり、蒸着やスパッタ等の乾式法で、或いは塗工等の湿式法も利用して形成することができる。なお、低屈折率層はケイ素酸化物、フッ化マグネシウム、フッ素含有樹脂等が用いられ、高屈折率層には、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ等の無機材料、或いは熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂等の有機材料が用いられる。
反射防止層としては、例えば、低屈性率層と高屈折率層とを交互に積層し最表面が低屈折率層となるようにした多層構成が一般的であり、蒸着やスパッタ等の乾式法で、或いは塗工等の湿式法も利用して形成することができる。なお、低屈折率層はケイ素酸化物、フッ化マグネシウム、フッ素含有樹脂等が用いられ、高屈折率層には、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ等の無機材料、或いは熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂等の有機材料が用いられる。
(防眩層)
防眩層としては、樹脂バインダ中にシリカなどの無機フィラーを添加した塗膜形成や、或いは賦形シートや賦形版等を用いた賦形加工により、層表面に外光を乱反射する微細凹凸を設けた層として形成することができる。樹脂バインダの樹脂としては、表面層として表面強度が望まれる関係上、硬化性アクリル樹脂や、電離放射線硬化性樹脂(前述の透明樹脂の説明箇所で例示したものと同様のもの)等が好適には使用される。
防眩層としては、樹脂バインダ中にシリカなどの無機フィラーを添加した塗膜形成や、或いは賦形シートや賦形版等を用いた賦形加工により、層表面に外光を乱反射する微細凹凸を設けた層として形成することができる。樹脂バインダの樹脂としては、表面層として表面強度が望まれる関係上、硬化性アクリル樹脂や、電離放射線硬化性樹脂(前述の透明樹脂の説明箇所で例示したものと同様のもの)等が好適には使用される。
(耐擦傷機能層)
耐擦傷機能(ハードコート)層は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものであることが好ましく、このような硬度と十分な透明性を実現できるものであれば、材料は特に限定されない。
耐擦傷機能(ハードコート)層は、通常樹脂硬化層として形成される。
用いる硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂などを要求性能などに応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、前述の透明樹脂の説明箇所で例示したものと同様のものの中から選択して使用できる。
耐擦傷機能層の厚みは特に限定されるものではないが、1.0μm以上20μm以下が好ましく、より好ましくは3.0μm以上5μm以下である。
耐擦傷機能(ハードコート)層は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものであることが好ましく、このような硬度と十分な透明性を実現できるものであれば、材料は特に限定されない。
耐擦傷機能(ハードコート)層は、通常樹脂硬化層として形成される。
用いる硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂などを要求性能などに応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、前述の透明樹脂の説明箇所で例示したものと同様のものの中から選択して使用できる。
耐擦傷機能層の厚みは特に限定されるものではないが、1.0μm以上20μm以下が好ましく、より好ましくは3.0μm以上5μm以下である。
(電磁波遮蔽層)
電磁波遮蔽層は、所定の電気伝導率を有する材料の層であれば、特に限定はない。
たとえば、透明基材上の全面に、ITO(酸化インジウム錫)膜、銀膜などを真空蒸着、スパッタリング、CVD(化学気相堆積法)、電解又は無電解メッキ(鍍金)等により、厚みが可視光線の最低波長未満の薄膜に形成したもの、透明基材上に銅、アルミニウム等の金属厚膜(乃至は箔)を全面連続被覆した後、フォトリソグラフィー等の手法により、不要部分を除去して、所望のパターンに形成したもの、WO2008/149969A1記載の如き、(所謂「引抜プライマー法」と我々が俗称する)凹版印刷法により、プライマーを形成した透明基材上に導電性組成物層を所望のパターン状に形成したもの等が挙げられる。
導電性組成物は、金、銀、白金、銅、ニッケルなどの高導電率の金属粒子、グラファイト粒子、カーボンブラック粒子などから選ばれる導電性粒子と、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂或いは熱可塑性樹脂であるバインダー樹脂からなり、凹版印刷のためには、一般的に印刷インキに用いられる溶剤を使用して流動性のあるインキとする(電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤を必要としない)。
WO2008/149969A1記載の凹版印刷法では、透明基材シート上に形成した未硬化の電離放射線硬化性樹脂である液状プライマー層を介在させることで、凹版凹部内の導電性組成物との密着、及びプライマー層固化後の透明基材シートの離版により、高いインキ転移性を得ることができる。
なお、導電性組成物からなるパターン層のみでは所望の導電率に不足する場合に、導電率を更に向上せしめるために、必要に応じ、銅、銀、金、クロム、ニッケル、錫などの金属層をめっきにより形成する。
電磁波遮蔽層は、所定の電気伝導率を有する材料の層であれば、特に限定はない。
たとえば、透明基材上の全面に、ITO(酸化インジウム錫)膜、銀膜などを真空蒸着、スパッタリング、CVD(化学気相堆積法)、電解又は無電解メッキ(鍍金)等により、厚みが可視光線の最低波長未満の薄膜に形成したもの、透明基材上に銅、アルミニウム等の金属厚膜(乃至は箔)を全面連続被覆した後、フォトリソグラフィー等の手法により、不要部分を除去して、所望のパターンに形成したもの、WO2008/149969A1記載の如き、(所謂「引抜プライマー法」と我々が俗称する)凹版印刷法により、プライマーを形成した透明基材上に導電性組成物層を所望のパターン状に形成したもの等が挙げられる。
導電性組成物は、金、銀、白金、銅、ニッケルなどの高導電率の金属粒子、グラファイト粒子、カーボンブラック粒子などから選ばれる導電性粒子と、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂或いは熱可塑性樹脂であるバインダー樹脂からなり、凹版印刷のためには、一般的に印刷インキに用いられる溶剤を使用して流動性のあるインキとする(電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤を必要としない)。
WO2008/149969A1記載の凹版印刷法では、透明基材シート上に形成した未硬化の電離放射線硬化性樹脂である液状プライマー層を介在させることで、凹版凹部内の導電性組成物との密着、及びプライマー層固化後の透明基材シートの離版により、高いインキ転移性を得ることができる。
なお、導電性組成物からなるパターン層のみでは所望の導電率に不足する場合に、導電率を更に向上せしめるために、必要に応じ、銅、銀、金、クロム、ニッケル、錫などの金属層をめっきにより形成する。
(近赤外線吸収剤)
近赤外線吸収剤は、本発明の光学フィルタの代表的な用途であるPDPに適用する場合、PDPがキセノンガス放電を利用して発光する際に生じる近赤外線領域、即ち、800nm〜1100nmの波長領域を吸収し、且つ可視光領域、即ち、380nm〜780nmの波長領域では吸収が少なくて十分な光線透過率を有する色素が好ましい。そして、粘着剤層200或いは他の粘接着剤層に添加する場合、上記近赤外線領域での近赤外線の吸収量が、透過率でいえば20%以下、更に好ましくは10%以下となるように、近赤外線吸収剤の種類、近赤外線吸収剤の粘接着剤層中での含有量、及び粘接着剤層の厚み等を設定するのが好ましい。
このような近赤外線吸収剤としては、具体的には、フタロシアニン系、イモニウム系、ジイモニウム系、ジチオール金屬錯体、シアニン系化合物、アゾ化合物、ポリメチン系化合物、キノン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物系等の有機系化合物からなる有機系近赤外線吸収剤、或いは金属酸化物、金属ホウ(硼)化物、金属窒化物などの無機系化合物から成る無機系近赤外線吸収剤が挙げられ、耐久性の面から、無機系近赤外線吸収剤が好ましい。
このうち、金属酸化物としては、例えば、酸化タングステン系化合物、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化ルテニウム、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、酸化セシウムなどの微粒子が挙げられる。
これらの中で、近赤外線の高吸収率と可視光線の高透過率との両立性、及び高湿高湿度条件下における分光透過率特性の変化に対する耐久性の点から、酸化タングステン系化合物が好ましく、特にセシウム含有酸化タングステンが、近赤外線吸収能が高いことから特に好適である。
上記近赤外線吸収剤の含有量は、吸収層中に0.1〜15質量%程度であることが好ましい。
近赤外線吸収剤は、本発明の光学フィルタの代表的な用途であるPDPに適用する場合、PDPがキセノンガス放電を利用して発光する際に生じる近赤外線領域、即ち、800nm〜1100nmの波長領域を吸収し、且つ可視光領域、即ち、380nm〜780nmの波長領域では吸収が少なくて十分な光線透過率を有する色素が好ましい。そして、粘着剤層200或いは他の粘接着剤層に添加する場合、上記近赤外線領域での近赤外線の吸収量が、透過率でいえば20%以下、更に好ましくは10%以下となるように、近赤外線吸収剤の種類、近赤外線吸収剤の粘接着剤層中での含有量、及び粘接着剤層の厚み等を設定するのが好ましい。
このような近赤外線吸収剤としては、具体的には、フタロシアニン系、イモニウム系、ジイモニウム系、ジチオール金屬錯体、シアニン系化合物、アゾ化合物、ポリメチン系化合物、キノン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物系等の有機系化合物からなる有機系近赤外線吸収剤、或いは金属酸化物、金属ホウ(硼)化物、金属窒化物などの無機系化合物から成る無機系近赤外線吸収剤が挙げられ、耐久性の面から、無機系近赤外線吸収剤が好ましい。
このうち、金属酸化物としては、例えば、酸化タングステン系化合物、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化ルテニウム、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、酸化セシウムなどの微粒子が挙げられる。
これらの中で、近赤外線の高吸収率と可視光線の高透過率との両立性、及び高湿高湿度条件下における分光透過率特性の変化に対する耐久性の点から、酸化タングステン系化合物が好ましく、特にセシウム含有酸化タングステンが、近赤外線吸収能が高いことから特に好適である。
上記近赤外線吸収剤の含有量は、吸収層中に0.1〜15質量%程度であることが好ましい。
(ネオン光吸収剤)
ネオン光吸収剤は、本発明の光学フィルタの代表的な用途であるPDPに適用する場合、PDPから放射されるネオン光を吸収させる色素である。該ネオン光は、ネオン原子の発光スペクトル帯域、即ち550〜640nmの波長領域(ネオン光領域)を吸収し、且つ該波長領域を除いた可視光領域380nm〜780nmの波長領域中ではなるべく吸収が少なくて十分な光線透過率を有する色素が好ましい。
そして、粘接着剤層に添加する場合、上記Ne光領域の中心波長を590nmとすれば、該590nmにおける光線の透過率が50%以下になるように、ネオン光吸収剤、ネオン光吸収剤の粘接着剤層中での含有量、及び粘接着剤層の厚み等を設定するのが好ましい。
このようなネオン光吸収剤としては、具体的には、シアニン系、オキソノール系、メチン系、サブフタロシアニン系もしくはポルフィリン系等が挙げられる。これらの中でもポルフィリン系が好ましく、中でも、テトラアザポルフィリン系色素が、分散性が良好で、且つ耐熱性、耐湿性、耐光性が良好な点から好ましい。
ネオン光吸収剤の含有量は、ネオン光吸収層中に、0.05〜5質量%であることが好ましい。含有量が0.05質量%以上であれば充分なネオン光吸収機能を発現でき、5質量%以下であれば、充分な量の可視光線を透過できる。
ネオン光吸収剤は、本発明の光学フィルタの代表的な用途であるPDPに適用する場合、PDPから放射されるネオン光を吸収させる色素である。該ネオン光は、ネオン原子の発光スペクトル帯域、即ち550〜640nmの波長領域(ネオン光領域)を吸収し、且つ該波長領域を除いた可視光領域380nm〜780nmの波長領域中ではなるべく吸収が少なくて十分な光線透過率を有する色素が好ましい。
そして、粘接着剤層に添加する場合、上記Ne光領域の中心波長を590nmとすれば、該590nmにおける光線の透過率が50%以下になるように、ネオン光吸収剤、ネオン光吸収剤の粘接着剤層中での含有量、及び粘接着剤層の厚み等を設定するのが好ましい。
このようなネオン光吸収剤としては、具体的には、シアニン系、オキソノール系、メチン系、サブフタロシアニン系もしくはポルフィリン系等が挙げられる。これらの中でもポルフィリン系が好ましく、中でも、テトラアザポルフィリン系色素が、分散性が良好で、且つ耐熱性、耐湿性、耐光性が良好な点から好ましい。
ネオン光吸収剤の含有量は、ネオン光吸収層中に、0.05〜5質量%であることが好ましい。含有量が0.05質量%以上であれば充分なネオン光吸収機能を発現でき、5質量%以下であれば、充分な量の可視光線を透過できる。
(調色光吸収剤)
調色光吸収剤は、表示画像を好みの色調(天然色、或いは天然色から多少偏移した色)に補正するための色素である。このような調色光吸収剤としては、有機系色素、無機系色素などを1種単独使用、又は2種以上併用することができる。具体的には、アントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の色素が挙げられる。
調色光吸収剤の含有量は、補正すべき色に合わせて適宜調整され、特に限定されない。通常、調色層中に0.01〜10質量%程度含有する。
調色光吸収剤は、表示画像を好みの色調(天然色、或いは天然色から多少偏移した色)に補正するための色素である。このような調色光吸収剤としては、有機系色素、無機系色素などを1種単独使用、又は2種以上併用することができる。具体的には、アントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の色素が挙げられる。
調色光吸収剤の含有量は、補正すべき色に合わせて適宜調整され、特に限定されない。通常、調色層中に0.01〜10質量%程度含有する。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、例えば、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、トリアジン系等の有機系化合物、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどを微粒子化した粉体、あるいは二酸化チタン微粒子を酸化鉄で複合化処理してなるハイブリッド無機粉体、酸化セリウム微粒子の表面を非結晶性シリカでコーティングしてなるハイブリッド無機粉体等の無機系化合物からなる公知の化合物を用いることができる。
なお、紫外線吸収剤を添加する場合、他の吸収剤(色素)を外来光から保護するために、他の吸収剤(色素)を添加した層と同じ層か、或いはその層よりも観察者側に近い層に添加する。また、耐光性が堅牢な色素を使用する場合は、紫外線吸収剤の添加は不要である。
紫外線吸収剤としては、例えば、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、トリアジン系等の有機系化合物、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどを微粒子化した粉体、あるいは二酸化チタン微粒子を酸化鉄で複合化処理してなるハイブリッド無機粉体、酸化セリウム微粒子の表面を非結晶性シリカでコーティングしてなるハイブリッド無機粉体等の無機系化合物からなる公知の化合物を用いることができる。
なお、紫外線吸収剤を添加する場合、他の吸収剤(色素)を外来光から保護するために、他の吸収剤(色素)を添加した層と同じ層か、或いはその層よりも観察者側に近い層に添加する。また、耐光性が堅牢な色素を使用する場合は、紫外線吸収剤の添加は不要である。
本発明のフィルタは、各種用途に使用可能である。特に、各種の、テレビジョン受像装置、測定機器や計器類、事務用機器、医療機器、電算機器、電話機、遊戯機器等の表示部に用いられるプラズマディスプレイ(PDP)、ブラウン管ディスプレイ(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、電場発光ディスプレイ(EL)などの画像表示装置の前面フィルタ用として好適であり、特にプラズマディスプレイ用として好適である。また、その他、住宅、学校、病院、事務所、店舗等の建築物の窓、車両、航空機、船舶等の乗物の窓、電子レンジの窓等の各種家電製品の窓等の電磁波遮蔽及び反射防止(或いは視野角規制)用途にも使用可能である。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<画像コントラスト向上層の作製>
先ず、透明支持体として、両面易接着処理された厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート(東洋紡績社製;品名A4300)を準備し、その上に、ウレタンアクリレートプレポリマーからなる紫外線硬化性樹脂を厚さ300μmとなるように塗布し、未硬化状態の透明基材を形成した。この未硬化状態の透明基材表面に、ピッチが70μmで溝状凹部3を形成した側の開口幅が20μmで深さが120μmの溝状凹部3を形成できる金属製賦形型ロールを押し当て、所望の溝状凹部形状を刻設しながら背面から紫外線を照射して透明基材4を硬化させた。こうして、ピッチが70μmで溝状凹部3を形成した側の開口幅が20μmで深さが120μmの溝状凹部3を形成した。なお、賦形型ロールは、その円周方向に溝状凹部3が賦形されているので、シート部材上で回転させることにより、シート部材の長手方向に延びるように溝状凹部3を形成することができる。
次に、透明アクリル系の紫外線硬化性プレポリマー100質量部中に、最小粒径が2μmで最大粒径が3μmの黒い球状ビーズ状粒子50質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(物質名:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)2質量部を混合して液状の紫外線硬化性樹脂組成物6を調製した。この液状樹脂組成物6を、上記のようにして得られた溝状凹部形成済みの透明基材4の該溝状凹部形成面側上に塗工し、その後、ドクターブレード62でワイピングした。ワイピングに際しては、同時に背面から紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂である透明樹脂2を硬化させた。ワイピングでは、透明基材4の平坦部7とドクターブレード62との隙間を1.5μmとして行い、そのワイピングを2回繰り返した。その結果、溝状凹部3には透明樹脂2である紫外線硬化性樹脂と暗色粒子1である黒い球状ビーズが充填され、一方、平坦部7の上には透明樹脂2のみを厚さ1.5μmで残留させることができ、同時に行った水銀灯からの紫外線(UV)照射によりその透明樹脂2を硬化させて厚さ1μmの透明保護層2Lを形成した。こうして、実施例1の画像コントラスト向上層100を得た。なお、上記において、[透明樹脂の屈折率]−[球状ビーズの屈折率]=−0.003であった。
<画像コントラスト向上層の作製>
先ず、透明支持体として、両面易接着処理された厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート(東洋紡績社製;品名A4300)を準備し、その上に、ウレタンアクリレートプレポリマーからなる紫外線硬化性樹脂を厚さ300μmとなるように塗布し、未硬化状態の透明基材を形成した。この未硬化状態の透明基材表面に、ピッチが70μmで溝状凹部3を形成した側の開口幅が20μmで深さが120μmの溝状凹部3を形成できる金属製賦形型ロールを押し当て、所望の溝状凹部形状を刻設しながら背面から紫外線を照射して透明基材4を硬化させた。こうして、ピッチが70μmで溝状凹部3を形成した側の開口幅が20μmで深さが120μmの溝状凹部3を形成した。なお、賦形型ロールは、その円周方向に溝状凹部3が賦形されているので、シート部材上で回転させることにより、シート部材の長手方向に延びるように溝状凹部3を形成することができる。
次に、透明アクリル系の紫外線硬化性プレポリマー100質量部中に、最小粒径が2μmで最大粒径が3μmの黒い球状ビーズ状粒子50質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(物質名:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)2質量部を混合して液状の紫外線硬化性樹脂組成物6を調製した。この液状樹脂組成物6を、上記のようにして得られた溝状凹部形成済みの透明基材4の該溝状凹部形成面側上に塗工し、その後、ドクターブレード62でワイピングした。ワイピングに際しては、同時に背面から紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂である透明樹脂2を硬化させた。ワイピングでは、透明基材4の平坦部7とドクターブレード62との隙間を1.5μmとして行い、そのワイピングを2回繰り返した。その結果、溝状凹部3には透明樹脂2である紫外線硬化性樹脂と暗色粒子1である黒い球状ビーズが充填され、一方、平坦部7の上には透明樹脂2のみを厚さ1.5μmで残留させることができ、同時に行った水銀灯からの紫外線(UV)照射によりその透明樹脂2を硬化させて厚さ1μmの透明保護層2Lを形成した。こうして、実施例1の画像コントラスト向上層100を得た。なお、上記において、[透明樹脂の屈折率]−[球状ビーズの屈折率]=−0.003であった。
<メッシュパターン状電磁波遮蔽層の形成>
透明基材シートとして、片面に易接着処理がされた幅1000mmで厚さ100μmの長尺ロール巻の無色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。供給部にセットしたPETフィルムを繰り出し、易接着処理面にプライマー層用の光硬化性樹脂組成物を厚さ5μmとなるように塗布形成した。塗布方式は、通常のグラビアリバースコート法を採用し、紫外線硬化性樹脂組成物としては、エポキシアクリレートプレポリマー35質量部、ウレタンアクリレートプレポリマー12質量部、フェノキシエチルアクリレートからなる単官能アクリレートモノマー44質量部、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレートからなる3官能アクリレートモノマー9質量部、さらに光開始剤としてイルガキュア184を3質量部添加したものを使用した。このときの粘度は約1300mPa・s(25℃、B型粘度計)であり、塗布後のプライマー層は触ると流動性を示すものの、PETフィルム上から流れ落ちることはなかった。
次に、プライマー層が形成されたPETフィルムを転写工程を行う凹版ロールに供するが、それに先だって、開口部の線幅が20μmで線ピッチが300μm、版深10μmの正方格子状のメッシュパターンとなる凹部が形成された凹版ロールの版面に、導電性組成物をピックアップロールで塗布し、ドクターブレードで凹部内以外の導電性組成物を掻き取って凹部内のみに導電性組成物を充填させた。なお、用いた導電性組成物は、以下の組成の銀ペーストを用いた。
導電性粉末として平均粒径約2μmの鱗片状銀粉末93質量部、バインダー樹脂として熱可塑性のポリエステルウレタン樹脂7質量部、溶剤としてブチルカルビトールアセテート25質量部を配合し、十分に攪拌混合した後、3本ロールで混練りして導電性組成物を作製した。
次いで行われる転写工程は以下の通りである。先ず、プライマー層が形成されたPETフィルムを、そのプライマー層が凹版ロールの版面側に対向した状態で、凹版ロールとニップロールとの間に挟む。その凹版ロールとニップロールとの間でPETフィルムのプライマー層は版面に押し付けられる。プライマー層は流動性を有しているので、版面に押し付けられたプライマー層は、導電性組成物が充填された凹部内にも流入し、凹部内で生じた導電性組成物の凹みを充填する。こうしてプライマー層は導電性組成物に対して隙間なく密着した状態となる。その後、さらに凹版ロールが回転して高圧水銀灯からなるUVランプによって紫外線が照射され、光硬化性樹脂組成物からなるプライマー層が硬化する。プライマー層の硬化により、凹版ロールの凹部内の導電性組成物はプライマー層と密着し、その後、出口側のニップロールによってフィルムが凹版ロールから剥離され、プライマー層上には導電性組成物層が転写形成される。このようにして得られた電磁波遮蔽シートを、110℃の乾燥ゾーンを通過させて銀ペーストの溶剤を蒸発させて固化せしめ、プライマー層上にメッシュパターンからなる導電パターン層を形成した。このときの導電パターン層が存在するパターン部分の厚さ(導電パターン層が形成されているメッシュパターン部分とそれ以外の部分との厚さの差)は9.5μmで、版の深さとほぼ同等の厚さで転移しており、版の凹部内の銀ペーストが高い転移率(版深に対する転移した銀ペーストの比として定義する転移率は、(9.5/10)×100=95%)で転移していた。転移後の凹部内を目視で観察したところ、ペーストの版凹部内での残りは見られず、また、メッシュパターンの断線や形状不良も見られなかった。
次いで、得られた転写シートを硫酸銅めっき液に浸漬し、その表面に形成されたメッシュ状の導電性パターン層を陰極として、銅板を陽極として、2A/dm2の電流を流して電解銅めっきを行った。銅めっき膜(金属層)は、導電性組成物からなるパターン層上に選択的に、厚さ2μmで形成された。
透明基材シートとして、片面に易接着処理がされた幅1000mmで厚さ100μmの長尺ロール巻の無色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。供給部にセットしたPETフィルムを繰り出し、易接着処理面にプライマー層用の光硬化性樹脂組成物を厚さ5μmとなるように塗布形成した。塗布方式は、通常のグラビアリバースコート法を採用し、紫外線硬化性樹脂組成物としては、エポキシアクリレートプレポリマー35質量部、ウレタンアクリレートプレポリマー12質量部、フェノキシエチルアクリレートからなる単官能アクリレートモノマー44質量部、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレートからなる3官能アクリレートモノマー9質量部、さらに光開始剤としてイルガキュア184を3質量部添加したものを使用した。このときの粘度は約1300mPa・s(25℃、B型粘度計)であり、塗布後のプライマー層は触ると流動性を示すものの、PETフィルム上から流れ落ちることはなかった。
次に、プライマー層が形成されたPETフィルムを転写工程を行う凹版ロールに供するが、それに先だって、開口部の線幅が20μmで線ピッチが300μm、版深10μmの正方格子状のメッシュパターンとなる凹部が形成された凹版ロールの版面に、導電性組成物をピックアップロールで塗布し、ドクターブレードで凹部内以外の導電性組成物を掻き取って凹部内のみに導電性組成物を充填させた。なお、用いた導電性組成物は、以下の組成の銀ペーストを用いた。
導電性粉末として平均粒径約2μmの鱗片状銀粉末93質量部、バインダー樹脂として熱可塑性のポリエステルウレタン樹脂7質量部、溶剤としてブチルカルビトールアセテート25質量部を配合し、十分に攪拌混合した後、3本ロールで混練りして導電性組成物を作製した。
次いで行われる転写工程は以下の通りである。先ず、プライマー層が形成されたPETフィルムを、そのプライマー層が凹版ロールの版面側に対向した状態で、凹版ロールとニップロールとの間に挟む。その凹版ロールとニップロールとの間でPETフィルムのプライマー層は版面に押し付けられる。プライマー層は流動性を有しているので、版面に押し付けられたプライマー層は、導電性組成物が充填された凹部内にも流入し、凹部内で生じた導電性組成物の凹みを充填する。こうしてプライマー層は導電性組成物に対して隙間なく密着した状態となる。その後、さらに凹版ロールが回転して高圧水銀灯からなるUVランプによって紫外線が照射され、光硬化性樹脂組成物からなるプライマー層が硬化する。プライマー層の硬化により、凹版ロールの凹部内の導電性組成物はプライマー層と密着し、その後、出口側のニップロールによってフィルムが凹版ロールから剥離され、プライマー層上には導電性組成物層が転写形成される。このようにして得られた電磁波遮蔽シートを、110℃の乾燥ゾーンを通過させて銀ペーストの溶剤を蒸発させて固化せしめ、プライマー層上にメッシュパターンからなる導電パターン層を形成した。このときの導電パターン層が存在するパターン部分の厚さ(導電パターン層が形成されているメッシュパターン部分とそれ以外の部分との厚さの差)は9.5μmで、版の深さとほぼ同等の厚さで転移しており、版の凹部内の銀ペーストが高い転移率(版深に対する転移した銀ペーストの比として定義する転移率は、(9.5/10)×100=95%)で転移していた。転移後の凹部内を目視で観察したところ、ペーストの版凹部内での残りは見られず、また、メッシュパターンの断線や形状不良も見られなかった。
次いで、得られた転写シートを硫酸銅めっき液に浸漬し、その表面に形成されたメッシュ状の導電性パターン層を陰極として、銅板を陽極として、2A/dm2の電流を流して電解銅めっきを行った。銅めっき膜(金属層)は、導電性組成物からなるパターン層上に選択的に、厚さ2μmで形成された。
<表示装置用前面フィルタの作製>
観察者側の最表面である反射防止層は東レ(株)製ルミクリアSF−V/3000を用いた。ルミクリアSF−V/3000は紫外線吸収剤を含んだPETフィルム基材に反射防止機能を持った液体材料をコーティングして硬化したものであり、反射特性に優れている。
この反射防止層を、上記で作製したコントラスト向上層の遮光部形成側面に接着するために、アクリル系樹脂の透明粘着剤tomoegawa(株)製TD06Aを用いた。
コントラスト向上層の遮光部形成側の反対面と、上記で作製した電磁波遮蔽シートのメッシュパターン形成面を接着するのに、変性ジインモニウム系色素の近赤外線吸収剤、合成スメクタイトを含んだ以下の構成のアクリル樹脂系粘着剤層を用いた。
観察者側の最表面である反射防止層は東レ(株)製ルミクリアSF−V/3000を用いた。ルミクリアSF−V/3000は紫外線吸収剤を含んだPETフィルム基材に反射防止機能を持った液体材料をコーティングして硬化したものであり、反射特性に優れている。
この反射防止層を、上記で作製したコントラスト向上層の遮光部形成側面に接着するために、アクリル系樹脂の透明粘着剤tomoegawa(株)製TD06Aを用いた。
コントラスト向上層の遮光部形成側の反対面と、上記で作製した電磁波遮蔽シートのメッシュパターン形成面を接着するのに、変性ジインモニウム系色素の近赤外線吸収剤、合成スメクタイトを含んだ以下の構成のアクリル樹脂系粘着剤層を用いた。
<粘着剤層の形成>
アクリル系粘着剤に(東洋インキ(株)、感圧性粘着剤「オリバイン」(商品名:BPS6271)、固形分27%)及び硬化剤BXX5627(東洋インキ製造(株))に、近赤外線吸収化合物として、フタロシアニン系化合物「IR12」(商品名、日本触媒(株))を0.05質量%、フタロシアニン系化合物「IR14」(商品名、日本触媒(株))を0.02質量%及びジインモニウム系化合物「IRG−068」(商品名、日本化薬(株))を0.03質量%それぞれ配合した。更に、ネオン光吸収化合物「TAP2」(商品名、山田化学(株))を0.01質量%配合した。更に、紫外線吸収剤として、CyasorbUV24(サイテック社)を4質量%、光安定剤としてTINUVINN144を2質量%、調色色素(KAYASET(日本化薬(株)製)、及び粘土鉱物としてクニピアD36(クニミネ工業株式会社製)を0.05質量%配合したアクリル系樹脂粘着剤を十分攪拌させて粘着剤層用組成物を作製した。
この粘着剤層用組成物を厚さ38μmの離型フィルム上に厚さ25μmになるように塗布し、100℃で2分間乾燥した後、38μm離型フィルムで塗工面をラミネートし、粘着剤層を離型フィルム間に設けた粘着剤層形成フィルムを作製した。
該粘着剤層形成用フィルムの一方の離型フィルムを剥離し、露出した粘着剤層を上記で作製したコントラスト向上層の遮光部形成側の反対面上に接着した後、残りの離型フィルムのみを剥離し、コントラスト向上層の遮光部形成側の反対面上に該粘着剤層を形成した。
次いで、該粘着剤層上に上記で作製した電磁波遮蔽シートのメッシュパターン形成面を接着した。
そして、電磁波遮蔽シートのメッシュパターンが形成されていない側の透明基材シート面に塗工する再剥離性(リワーク性)透明粘着剤として、tomoegawa(株)製TX48Aを用いた。リワーク性透明粘着剤層はプラズマディスプレイパネル面と接触し、パネル面への貼合失敗による歩留り低下を防止するため、貼合後も剥離可能であり、さらに、再度貼合が可能であることが望まれる。TX48Aはこの要求性能を満たし、かつ耐環境性にも優れている。なお、TX48Aの粘着力は5N/25mm幅(JIS Z0237に準拠し、180℃剥離試験により測定した粘着力)であった。
アクリル系粘着剤に(東洋インキ(株)、感圧性粘着剤「オリバイン」(商品名:BPS6271)、固形分27%)及び硬化剤BXX5627(東洋インキ製造(株))に、近赤外線吸収化合物として、フタロシアニン系化合物「IR12」(商品名、日本触媒(株))を0.05質量%、フタロシアニン系化合物「IR14」(商品名、日本触媒(株))を0.02質量%及びジインモニウム系化合物「IRG−068」(商品名、日本化薬(株))を0.03質量%それぞれ配合した。更に、ネオン光吸収化合物「TAP2」(商品名、山田化学(株))を0.01質量%配合した。更に、紫外線吸収剤として、CyasorbUV24(サイテック社)を4質量%、光安定剤としてTINUVINN144を2質量%、調色色素(KAYASET(日本化薬(株)製)、及び粘土鉱物としてクニピアD36(クニミネ工業株式会社製)を0.05質量%配合したアクリル系樹脂粘着剤を十分攪拌させて粘着剤層用組成物を作製した。
この粘着剤層用組成物を厚さ38μmの離型フィルム上に厚さ25μmになるように塗布し、100℃で2分間乾燥した後、38μm離型フィルムで塗工面をラミネートし、粘着剤層を離型フィルム間に設けた粘着剤層形成フィルムを作製した。
該粘着剤層形成用フィルムの一方の離型フィルムを剥離し、露出した粘着剤層を上記で作製したコントラスト向上層の遮光部形成側の反対面上に接着した後、残りの離型フィルムのみを剥離し、コントラスト向上層の遮光部形成側の反対面上に該粘着剤層を形成した。
次いで、該粘着剤層上に上記で作製した電磁波遮蔽シートのメッシュパターン形成面を接着した。
そして、電磁波遮蔽シートのメッシュパターンが形成されていない側の透明基材シート面に塗工する再剥離性(リワーク性)透明粘着剤として、tomoegawa(株)製TX48Aを用いた。リワーク性透明粘着剤層はプラズマディスプレイパネル面と接触し、パネル面への貼合失敗による歩留り低下を防止するため、貼合後も剥離可能であり、さらに、再度貼合が可能であることが望まれる。TX48Aはこの要求性能を満たし、かつ耐環境性にも優れている。なお、TX48Aの粘着力は5N/25mm幅(JIS Z0237に準拠し、180℃剥離試験により測定した粘着力)であった。
反射防止フィルムと透明粘着剤層、コントラスト向上層と近赤外線吸収剤添加の粘着剤層、メッシュパターン状電磁波遮蔽シートとリワーク性透明粘着剤層のラミネートはロールtoロールでの連続ラミネートを行い、製作した。
反射防止フィルムが積層されたコントラスト向上層に近赤外線吸収剤添加の粘着剤層をラミネートしたものは、指定寸法で作成したトムソン抜き型を用いてロールからシートに落とされ、そのシートは、メッシュパターン状電磁波遮蔽シートとリワーク性透明粘着剤をラミネートしたロールと、ロールtoシートのラミネート装置により、色粘着剤面とメッシュパターン層面とがゴムニップによりラミネートされ、ラミネート後にはインライン、またはオフラインで大断ちされる。大断ちされたシートは、指定寸法で作成したトムソン抜き型(前記とは別物)により外周四辺をトリミングし、本発明の表示装置用前面フィルタを完成させた。
反射防止フィルムが積層されたコントラスト向上層に近赤外線吸収剤添加の粘着剤層をラミネートしたものは、指定寸法で作成したトムソン抜き型を用いてロールからシートに落とされ、そのシートは、メッシュパターン状電磁波遮蔽シートとリワーク性透明粘着剤をラミネートしたロールと、ロールtoシートのラミネート装置により、色粘着剤面とメッシュパターン層面とがゴムニップによりラミネートされ、ラミネート後にはインライン、またはオフラインで大断ちされる。大断ちされたシートは、指定寸法で作成したトムソン抜き型(前記とは別物)により外周四辺をトリミングし、本発明の表示装置用前面フィルタを完成させた。
[比較例1]
実施例1において、上記球状ビーズ状粒子に代えて、最小粒径が0.2μmで最大粒径が3μmの黒い球状ビーズ状粒子を用いた他は、実施例1と同様にして画像コントラスト向上層を得、さらに実施例1と同様にして比較例1の表示装置用前面フィルタを得た。
実施例1において、上記球状ビーズ状粒子に代えて、最小粒径が0.2μmで最大粒径が3μmの黒い球状ビーズ状粒子を用いた他は、実施例1と同様にして画像コントラスト向上層を得、さらに実施例1と同様にして比較例1の表示装置用前面フィルタを得た。
<評価>
実施例1と比較例1で得た画像コントラスト向上層の平坦部7を顕微鏡で拡大して観察した結果、実施例1の画像コントラスト向上層は、透光性領域20である平坦部7上に黒い球状ビーズは無かったが、比較例1の画像コントラスト向上層は、平坦部7上に黒い球状ビーズが載っていた。
実施例1と比較例1で得た画像コントラスト向上層の平坦部7を顕微鏡で拡大して観察した結果、実施例1の画像コントラスト向上層は、透光性領域20である平坦部7上に黒い球状ビーズは無かったが、比較例1の画像コントラスト向上層は、平坦部7上に黒い球状ビーズが載っていた。
1 暗色粒子
2 透明樹脂
2L 透明保護層
3 溝状凹部
4 透明基材
5 斜面
6 液状樹脂組成物
7 平坦部
10 暗色部
20 透光性領域
61 ノズル
62 ドクターブレード
100 画像コントラスト向上層
200 粘着剤層
300 機能層
400 機能層
dmin 暗色粒子の最小粒径
dmax 暗色粒子の最大粒径
t 透明保護層の厚さ
t’ 平坦部上の透明樹脂の厚さ
H 溝状凹部の深さ
W 溝状凹部の最大幅
P 法線
θ 斜面と法線との角度
2 透明樹脂
2L 透明保護層
3 溝状凹部
4 透明基材
5 斜面
6 液状樹脂組成物
7 平坦部
10 暗色部
20 透光性領域
61 ノズル
62 ドクターブレード
100 画像コントラスト向上層
200 粘着剤層
300 機能層
400 機能層
dmin 暗色粒子の最小粒径
dmax 暗色粒子の最大粒径
t 透明保護層の厚さ
t’ 平坦部上の透明樹脂の厚さ
H 溝状凹部の深さ
W 溝状凹部の最大幅
P 法線
θ 斜面と法線との角度
Claims (2)
- 少なくとも画像コントラスト向上層と、表示装置に貼り付けるための粘着剤層とを備える表示装置用前面フィルタであって、
該画像コントラスト向上層が、
透明基材の視聴者側の面に、該透明基材の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の暗色部と、隣接する前記暗色部間の透光性領域とを有し、暗色部の幅は視聴者側へ向かって増加し、透光性領域の幅は視聴者側へ向かって減少する、画像コントラスト向上層であって、
前記暗色部は、断面形状が台形又は略台形の溝状凹部内に、暗色粒子と透明樹脂とで充填されてなり、
前記透光性領域は、その表面が透明樹脂からなる透明保護層で覆われてなり、
前記暗色粒子の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、前記透明保護層の厚さtと、前記溝状凹部の最大幅W及び深さHとの間に、t<dmin<dmax<W、且つ、t<dmin<dmax<H、の関係が成り立つ画像コントラスト向上層
であることを特徴とする表示装置用前面フィルタ。 - 表示装置に貼り付けるための粘着剤層の粘着力が5〜8N/25mm幅である請求項1に記載の表示装置用前面フィルタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009185117A JP2011039196A (ja) | 2009-08-07 | 2009-08-07 | 表示装置用前面フィルタ |
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JP2009185117A JP2011039196A (ja) | 2009-08-07 | 2009-08-07 | 表示装置用前面フィルタ |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2009
- 2009-08-07 JP JP2009185117A patent/JP2011039196A/ja active Pending
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