JP2011032594A - オフセット印刷用新聞用紙 - Google Patents
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Abstract
印刷時のパイリングの発生を抑えたオフセット印刷用新聞用紙を提供する。
【解決手段】
原紙の両面に、接着剤とアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤を含む表面処理剤が塗工乾燥されてなるオフセット印刷用新聞用紙であって、該新聞用紙を蒸留水に浸漬して超音波処理し、超音波処理前後の質量変化が0.2g/m2以下であることを特徴とする。アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の塗工量が片面0.001〜0.02g/m2であり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤の塗工量の比率が1対4〜4対1であることが望ましい。さらに、表面処理剤に顔料を含み、顔料の塗工量が片面0.01〜0.50g/m2であることが望ましい。
【選択図】なし
Description
(1)特定の加工澱粉を含む表面処理剤の粘度と塗工量の積が特定範囲にあるオフセット印刷用新聞用紙。(特許文献1)
(2)乾燥塗工量が0.3〜3g/m2の顔料塗工層にオレフィン系サイズ剤を含有するオフセット印刷用新聞用紙。(特許文献2)
(3)原紙の含む炭酸カルシウムが2%以上5%未満であり、塗工量が3g/m2以下のサイズ剤を含む顔料塗工層を設けるオフセット印刷用新聞用紙。(特許文献3)
(4)化工澱粉、アルキルケテンダイマーおよび防滑剤を含有する塗工層を設け、動摩擦係数が0.40〜0.70の範囲にある新聞印刷用紙。(特許文献4)
(5)中性新聞用紙にケテンダイマー系サイズ剤及び紙表面加工剤をゲートロールコーターで外添した後、表面温度が50℃以上であるソフトカレンダーに通紙することによりサイズ度を発現させる中性新聞用紙の製造方法。(特許文献5)
特許文献2に記載の発明は、表面処理剤にカチオン性澱粉とスチレン系表面サイズ剤を使用して吸水抵抗性の付与と湿潤強度の向上を達成するというものであるが、吸水抵抗性が不十分であることが予想される。
特許文献3に記載の発明は、EST12表面・サイズ度テスターによる測定で最大信号強度が0.1〜1.0秒以内にあることを特徴とするものであるが、サイズ剤の成分について特定されたものではない。
特許文献4に記載の発明は、アルキルケテンダイマーと防滑剤を使用し、アルキルケテンダイマーを使用する場合の滑りの問題を解消している。ところが、化工澱粉、およびアルキルケテンダイマーの2成分の塗布量が0.5〜2.0g/m2で、これらの配合比が化工澱粉10部に対して、アルキルケテンダイマーが0.5〜3.0部とされており、アルキルケテンダイマーの塗布量が0.024〜0.46g/m2と多く、塗工装置の汚れの問題が懸念される。
特許文献5に記載の発明は、ケテンダイマー系サイズ剤を外添することが記載されているが、表面処理剤の他の成分については特定されていない。
原紙の両面に、接着剤とアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤を含む表面処理剤が塗工乾燥されてなるオフセット印刷用新聞用紙であって、該新聞用紙を蒸留水に浸漬して超音波処理した後の絶乾質量Aと、該超音波処理する前の新聞用紙の絶乾質量Bとに基づいて、下記(a)式で得られる質量変化Xが0.2g/m2以下であることを特徴とする。
(a)X[g/m2]=(B[g]−A[g])/(試験片の面積[m2]×2)
第2発明のオフセット印刷用新聞用紙は、第1発明において、
アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の塗工量が片面0.001〜0.02g/m2であり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤の塗工量の比率が1対4〜4対1であることを特徴とする。
第3発明のオフセット印刷用新聞用紙は、第1発明または第2発明において、
前記表面処理剤に顔料を含み、顔料の塗工量が片面0.01〜0.50g/m2であることを特徴とする。
第2発明によれば、表面処理剤がアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤の両方を含んでいるので、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤によって高いサイズ効果を得つつアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の塗工量を抑えることができる。すると、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤を新聞用紙に使用した場合に問題となる印刷時の滑りや、紙流れによるしわ入り、断紙等を防ぎながら、紙から脱落する填料や表面処理剤を少なくできるので、印刷時のパイリング発生を抑えることができる。
第3発明によれば、顔料を少量塗工しているので、顔料粒子が紙表面に表出して、印刷時に紙とブランケットとの密着性を弱めることができるので、パイリング発生を抑えることができる。
とくに最近では、抄造時の操業性改善のため、あるいは、中性化による抄造pHの上昇や炭酸カルシウムを填料として内添する際の抄紙系内の汚れを低減するため、内添サイズ剤を減量、または添加せずに抄紙し、表面サイズ剤の塗工によりサイズ度を向上させることが多くなってきている。
具体的には、新聞用紙を20℃の蒸留水に浸漬して超音波処理した後の絶乾質量Aと超音波処理する前の新聞用紙の絶乾質量Bに基づいて、下記(a)式で得られる質量変化Xが0.2g/m2以下となるように、表面処理剤の塗工量や成分を調整している。
(a)X[g/m2]=(B[g]−A[g])/(試験片の面積[m2]×2)
よって、新聞用紙は、質量変化Xが0.2g/m2以下となるように、表面処理剤の塗工量や成分を調整すれば、オフセット印刷時におけるパイリングの発生を抑えることが出来る。
まず、新聞用紙を20℃の蒸留水に浸漬すると、オフセット印刷において原紙に湿し水が付着した状態を再現することができる。
また、蒸留水に浸漬した状態の新聞用紙に超音波処理すると、オフセット輪転機における印刷中に、湿し水が付着した原紙にオフセット輪転機から加わる刺激を再現することができる。言い換えれば、印刷中において、原紙に対して加わる摩擦力や圧力などのエネルギが作用した状態を再現することができる。
つまり、新聞用紙を20℃の蒸留水に浸漬し超音波処理するのは、実機印刷機に近い状態における接着剤等の溶出量を求めるためであり、かかる方法を利用すれば、新聞用紙を単に蒸留水に浸漬して得られる接着剤等の溶出量を求める場合に比べて、質量変化Xの値は実機印刷機で生じる湿し水への接着剤等の溶出量に近いものとなる。
よって、上記方法で得られた質量変化Xの値に基づいて新聞用紙を評価すれば、その新聞用紙のパイリングに対する耐性を適切に評価することができる。
そして、蒸留水に浸漬されている新聞用紙には、超音波処理に代えて、撹拌、ブラッシング等の方法やこれらの方法を組み合わせて、その表面にエネルギを加えることもできる。つまり、オフセット輪転機による印刷時において湿し水が付着した原紙に加わる摩擦力・圧力などのエネルギや刺激が作用した状態を再現でき、かかるエネルギや刺激を新聞用紙表面に加えることができる方法であれば、超音波処理に代えて採用することができる。
アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤は少量でサイズ効果が高いが、滑りの問題があり、新聞用紙に使用すると、印刷時に紙流れによるシワ入りや断紙が発生するおそれがあり、使用が限られていた。また、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤は機械的安定性が低いので、高添加量になりやすく、しかも反応性が高いので、他の物質と凝集物を作り、塗工装置の汚れが発生しやすいという問題があった。
本発明では、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の塗工量を抑えて、滑りと塗工装置の汚れを防止し、必要なサイズ度は、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤と併用することにより、サイズ効果を発現させ、質量変化を所定の範囲としている。
本発明で使用するアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤としては、下記一般式化1であらわされるAKDが用いられる。
本発明で使用する高分子系表面サイズ剤としては、スチレンマレイン酸系共重合体、スチレンアクリル酸系共重合体、オレフィンマレイン酸系共重合体、スチレン系ポリマーなどの高分子化合物がある。
ここで、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の塗工量が片面0.001〜0.02g/m2であり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤の塗工量の比率が1対4〜4対1であることが好ましい。
また、印刷時のパイリング発生を抑える目的で接着剤を使用する。接着剤としては、澱粉系接着剤やポリアクリルアミド系接着剤を使用できる。澱粉系接着剤としては、酸化澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉等を使用することができる。ポリアクリルアミド系接着剤としては、ノニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド(例えば、第3級アミン基及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する水溶性ポリアクリルアミド)、アニオン性ポリアクリルアミド、あるいは両性ポリアクリルアミドなどが使用できる。
本発明では、表面処理剤に顔料を使用するのも好ましい実施形態である。顔料を使用することにより、インキ着肉性、裏抜けの改善、白色度アップが見込める。使用する顔料としては、例えば、二酸化チタン、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、焼成カオリン、カオリンなどがあるが、二酸化チタン、ホワイトカーボンは高価であり、炭酸カルシウム、焼成カオリン、カオリンを単独あるいは併用で用いるのが好ましい。
表面処理剤には、その他、防滑剤、滑剤、増粘剤、消泡剤、染料など公知の薬品を使用することができる。
また、表面処理剤を塗工された紙は乾燥工程を経てカレンダー処理を施される。ここで使用されるカレンダー装置としては両面が金属ロールで処理されるマシンカレンダー、弾性ロールと金属ロールから構成されるソフトカレンダー、シューカレンダー等が使用される。以上のようにして本発明のオフセット印刷用新聞用紙が製造される。
パルプ原料としてDIP(カナダ標準濾水度190ml)を90質量%、TMP(カナダ標準濾水度110ml)を10質量%の割合で混合したパルプ原料100質量部に対し、歩留まり向上剤(製品名:ND260/ハイモ株式会社製)を0.020質量部、カオリンを5.0質量部添加し、硫酸バンドでpHを5.5に調整して、ハイブリッドフォーマー型抄紙機で抄紙した。次に、ゲートロールサイズプレスを用いて、顔料と接着剤と表面サイズ剤を含む表面処理剤を下記のように塗工した。
(表面処理剤塗工条件)
顔料として焼成カオリンを使用し、接着剤として酸化澱粉(製品名:MS9000/日本食品化工株式会社製)を使用し、表面サイズ剤としてアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤(製品名:SE2395/星光PMC株式会社製)と高分子系表面サイズ剤(オレフィン系表面サイズ剤、製品名:ポリマロンOM−25/荒川化学工業株式会社製)を使用した。
顔料の片面当りの塗工量が0.010g/m2、接着剤の片面当りの塗工量が0.50g/m2、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.010g/m2、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.010g/m2となるように、原紙両面に同じ塗工量で塗工した。
塗工後に、乾燥、カレンダー処理を経て、坪量43.0g/m2のオフセット印刷用新聞用紙を得た。
接着剤の片面当りの塗工量が0.30g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にオフセット印刷用新聞用紙を得た。
顔料の片面当りの塗工量が0.40g/m2、接着剤の片面当りの塗工量が0.90g/m2、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.020g/m2、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.040g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にオフセット印刷用新聞用紙を得た。
顔料の片面当りの塗工量が0.40g/m2、接着剤の片面当りの塗工量が0.90g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にオフセット印刷用新聞用紙を得た。
アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.0040g/m2、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.016g/m2となるように塗工した以外は実施例4と同様にオフセット印刷用新聞用紙を得た。
アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.016g/m2、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.0040g/m2となるように塗工した以外は実施例4と同様にオフセット印刷用新聞用紙を得た。
顔料の片面当りの塗工量が0.20g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にオフセット印刷用新聞用紙を得た。
顔料の片面当りの塗工量が0.020g/m2、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.020g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にオフセット印刷用新聞用紙を得た。
顔料の片面当りの塗工量が0.020g/m2、接着剤の片面当りの塗工量が1.0g/m2、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.020g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にオフセット印刷用新聞用紙を得た。
接着剤の片面当りの塗工量が0.20g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にオフセット印刷用新聞用紙を得た。
顔料を塗工せず、接着剤の片面当りの塗工量が0.20g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にオフセット印刷用新聞用紙を得た。
顔料の片面当りの塗工量が0.55g/m2、接着剤の片面当りの塗工量が0.90g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にオフセット印刷用新聞用紙を得た。
アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.025g/m2、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.0050g/m2としたこと以外は比較例3と同様にオフセット印刷用新聞用紙を得た。
アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.0040g/m2、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.020g/m2となるように塗工した以外は実施例4と同様にオフセット印刷用新聞用紙を得た。
アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤を塗工せず、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.060g/m2となるように塗工した以外は実施例4と同様にオフセット印刷用新聞用紙を得た。
(超音波処理前後の質量変化)
各オフセット印刷用新聞用紙を縦(MD方向)250mm、横(CD方向)1,626mmの長方形に断裁した試験片を使用した。試験片は2枚準備し、1枚は超音波処理前の絶乾質量Bを求め、他の1枚は超音波処理前の絶乾質量Aを求めた。
超音波処理後の絶乾質量A(g)は、試験片をガラス容器に入れて20℃の蒸留水1000cm3を注いで超音波洗浄機に入れて10分間処理した後、試験片を水から取り出して乾燥後測定した。
これら超音波処理後の絶乾質量A(g)と超音波処理前の絶乾質量B(g)との差から、次式により単位面積当り(水と接触した単位面積当り)の質量変化X(g/m2)を求めた。
X=(B−A)/(1.626m×0.250m×2)
超音波洗浄機は、新明台工業株式会社製UA150(150W、26kHz)を使用した。なお、超音波処理時間は、10分間に設定しているが、これは10分間を超えても質量変化が増加しなかったためであり、10分間の超音波処理により、試験片から溶出する接着剤や、試験片から流出する紙粉、顔料、填料が無くなったことを示している。
実施例、比較例の各オフセット印刷用新聞用紙を、オフセット輪転機にかけ、5万部印刷後のブランケットと印刷面を観察し、次の4段階でパイリングを評価した。
◎:ブランケットにパイリングの発生がなく良好であった。
○:ブランケットにややパイリングの発生があるが、印刷面に問題のないレベルであった。
△:ブランケットにパイリングが発生し、印刷面にカスレがみられた。
×:ブランケットにパイリングが発生し、印刷面のカスレがひどかった。
Claims (3)
- 原紙の両面に、接着剤とアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤を含む表面処理剤が塗工乾燥されてなるオフセット印刷用新聞用紙であって、該新聞用紙を蒸留水に浸漬して超音波処理した後の絶乾質量Aと、該超音波処理する前の新聞用紙の絶乾質量Bとに基づいて、下記(a)式で得られる質量変化Xが0.2g/m2以下であることを特徴とするオフセット印刷用新聞用紙。
(a)X[g/m2]=(B[g]−A[g])/(試験片の面積[m2]×2) - アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤の塗工量が片面0.001〜0.02g/m2であり、アルキルケテンダイマー系表面サイズ剤と高分子系表面サイズ剤の塗工量の比率が1対4〜4対1であることを特徴とする請求項1に記載のオフセット印刷用新聞用紙。
- 前記表面処理剤に顔料を含み、顔料の塗工量が片面0.01〜0.50g/m2であることを特徴とする請求項1又は2に記載のオフセット印刷用新聞用紙。
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