JP2011099128A - めっき部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ステンレス鋼上に、NiまたはCuなどの下地めっき層を介さずに、AuまたはAu合金めっき層で被覆した部材であり、ステンレス鋼とAuまたはAu合金めっき層の密着性に優れ、耐食性の高いAuまたはAu合金めっきステンレス部材とその製造方法を提供する。
【解決手段】 ステンレス鋼上に、NiまたはCuなどの下地めっき層を介さずに、pH2以下でかつAuが3価であるシアンAuイオンを含有するAuまたはAu合金めっき浴を用いて、AuまたはAu合金めっきをおこなう。
【選択図】 なし
【解決手段】 ステンレス鋼上に、NiまたはCuなどの下地めっき層を介さずに、pH2以下でかつAuが3価であるシアンAuイオンを含有するAuまたはAu合金めっき浴を用いて、AuまたはAu合金めっきをおこなう。
【選択図】 なし
Description
本発明は、めっき部材およびその製造方法に関する。
コネクタ、スイッチ、端子などの電気接点部には、Cu、Cu合金またはステンレスなどのコスト性、耐食性および機械的特性に優れる部材が基材として使用されている。また、基材を構成するこれらの金属の半田付性や耐錆性、導電性を補うために、基材の表面はSn、Ag、Auまたはこれらをベースとした合金から成るめっき層により被覆される。近年では、従来のカーボン材の代替として、ステンレス鋼に、AuめっきまたはAu合金めっき(以下、Auめっきと総称する)を施した部材が燃料電池のセパレータ部材として有望視されている。
従来、ステンレス鋼にAuめっきを施す場合、そのままでは充分な密着性を確保することが難しく、そのため一般には、ステンレス鋼にAuまたはAu合金めっきを施す場合、ステンレス鋼の素材表面にNiまたはCuめっきなどの下地めっきを施し、下地めっき層上にAuまたはAu合金めっきが施されている。
AuまたはAu合金めっき被膜には通常、ピンホールと呼ばれる微小な穴が開いている。このピンホールを通じて下地めっきに用いられるNiやCu被膜の腐食が進行する。ピンホールはAuまたはAu合金めっき被膜の膜厚を厚くすると減少するので、必要な耐食性を確保するためにAuまたはAu合金めっき被膜を厚くする必要があるが、その分コスト高となる。また、AuまたはAu合金めっきのピンホールの数を低減させる別の方法として、特許文献1および2に示すように、AuまたはAu合金めっき被膜の展延または圧縮加工する方法が提案されている。
ステンレス鋼にAuまたはAu合金めっきを施す際、ステンレス鋼の素材表面にNiまたはCuめっきなどの下地めっきを施し、下地めっき層上にAuまたはAu合金めっきを施す方法は、下地めっきの素材がステンレス鋼やAuまたはAu合金に対して、耐食性で劣るため、ステンレス鋼にAuめっきが施された部材の耐食性が低下する原因となる。AuまたはAu合金めっき層に、ピンホールがない場合でも、前記部材が使用される際にAuまたはAu合金めっき層に傷等がつくことにより、前記部材の耐食性が損なわれるおそれがある。
ステンレス鋼にAuまたはAu合金めっきを施す場合には、コスト面からAuまたはAu合金めっきの膜厚をできる限り薄くすることが望ましい。しかし、AuまたはAu合金めっきの膜厚を薄くした場合には、被膜にピンホールなどの欠陥を生じやすくなるため、耐食性が低下する。AuまたはAu合金めっき後に被膜を展延または圧縮加工することによって、ピンホールを低減させ、耐食性を向上させる方法があるが、展延または圧縮加工工程が必要な分、製造コスト高になる。また、めっきをおこなうステンレス鋼の形状によっては、展延または圧縮加工を適用することが困難である場合がある。
本発明は、ステンレス鋼上に、NiまたはCuなどの下地めっき層を介さずに、AuまたはAu合金めっき層で被覆した部材であり、ステンレス鋼とAuまたはAu合金めっき層の密着性に優れ、耐食性の高いAuまたはAu合金めっきステンレス部材とその製造方法を提供することを目的とする。
ステンレス鋼の素材表面にNiまたはCuめっきなどの下地めっきを施し、下地めっき層上にAuまたはAu合金めっきが施されたAuめっき部材の腐食は、AuまたはAu合金被膜または、ステンレス鋼が腐食されて進行するのではなく、AuまたはAu合金めっき被膜に存在するピンホールの位置で、下地めっき層が腐食されることに進行する。従って、下地めっき層を取り除くことにより、Auめっきされたステンレス部材の耐食性は向上する。
また、高温環境下では下地めっき層のNi、Cu等の原子がAuまたはAu合金めっき層中に拡散し、AuまたはAu合金めっき層表面で酸化して電気伝導性を低下させてしまう。そのため、下地めっき層を取り除くことにより、耐食性向上に加え、めっき部材を加熱した後の電気伝導率低下を抑制する効果も期待できる。
しかし、ステンレス鋼の素材表面にNiまたはCuめっきなどの下地めっきを施さずに、従来の方法でAuまたはAu合金めっきが施した場合には、ステンレス鋼とAuまたはAu合金めっき層の密着性が不十分であった。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ステンレス鋼上に、NiまたはCuなどの下地めっき層を介さずに、pH2以下でかつAuが3価であるシアンAuイオンを含有するAuまたはAu合金めっき浴を用いて、AuまたはAu合金めっきをおこなうことにより、ステンレス鋼とAuまたはAu合金めっき層の密着性に優れ、耐食性の高いAuまたはAu合金めっきステンレス部材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によるめっき部材は、
<1>
ステンレス鋼上に、下地めっき層を介さずに、AuまたはAu合金めっき層で被覆した部材であり、そのAuまたはAu合金めっき層が、JIS−H8504のクロスカットテープピーリングによる試験で、剥離を発生しない密着性を有することを特徴とするめっき部材、
<2>試験温度30℃、その他の条件はJIS−H8620の条件で硝酸曝気試験した後のAuまたはAu合金めっき層の腐食点数が、10/cm2以下であることを特徴とする<1>に記載のめっき部材、
<3>試験温度30℃、その他の条件はJIS−H8620の条件で硝酸曝気試験後のAuまたはAu合金めっき層の腐食点数が、0/cm2であることを特徴とする<2>に記載のめっき部材。
<4>260℃、3時間の熱処理をおこなった後のAuまたはAu合金めっき層の接触抵抗が10mΩ以下であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載のめっき部材、
<5>AuまたはAu合金めっき層の厚さが、0.005μm〜1μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のめっき部材、である。
<1>
ステンレス鋼上に、下地めっき層を介さずに、AuまたはAu合金めっき層で被覆した部材であり、そのAuまたはAu合金めっき層が、JIS−H8504のクロスカットテープピーリングによる試験で、剥離を発生しない密着性を有することを特徴とするめっき部材、
<2>試験温度30℃、その他の条件はJIS−H8620の条件で硝酸曝気試験した後のAuまたはAu合金めっき層の腐食点数が、10/cm2以下であることを特徴とする<1>に記載のめっき部材、
<3>試験温度30℃、その他の条件はJIS−H8620の条件で硝酸曝気試験後のAuまたはAu合金めっき層の腐食点数が、0/cm2であることを特徴とする<2>に記載のめっき部材。
<4>260℃、3時間の熱処理をおこなった後のAuまたはAu合金めっき層の接触抵抗が10mΩ以下であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載のめっき部材、
<5>AuまたはAu合金めっき層の厚さが、0.005μm〜1μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のめっき部材、である。
また、本発明によるめっき部材の製造方法は、
<6>ステンレス鋼上に、下地めっき層を介さずに、pH2以下でかつAuが3価であるシアンAuイオンを含有するAuまたはAu合金めっき浴を用いて、AuまたはAu合金めっきをおこなうことを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載のめっき部材の製造方法。
<7>めっき浴に、第二シアン金カリウムを含有することを特徴とする、<6>に記載のめっき部材の製造方法。
<8><5>または<6>の方法で形成されるAuまたはAu合金めっき層の厚さが、0.005μm〜1μmであることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載のめっき部材の製造方法、である。
<6>ステンレス鋼上に、下地めっき層を介さずに、pH2以下でかつAuが3価であるシアンAuイオンを含有するAuまたはAu合金めっき浴を用いて、AuまたはAu合金めっきをおこなうことを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載のめっき部材の製造方法。
<7>めっき浴に、第二シアン金カリウムを含有することを特徴とする、<6>に記載のめっき部材の製造方法。
<8><5>または<6>の方法で形成されるAuまたはAu合金めっき層の厚さが、0.005μm〜1μmであることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載のめっき部材の製造方法、である。
本発明によれば、ステンレス鋼上に、NiまたはCuなどの下地めっき層を介さずに、AuまたはAu合金めっき層で被覆した部材であり、ステンレス鋼とAuまたはAu合金めっき層の密着性に優れ、耐食性の高いAuまたはAu合金めっきステンレス部材を得ることができる。これにより、耐食性と密着性に優れたAuまたはAu合金めっきステンレス部材を低コストで製造することができる。
AuまたはAu合金めっきを施す部材としては、部材の材質がステンレス鋼であるものを用いることができる。前記材質は、ステンレス鋼であればよく、ステンレス鋼の種類は問わない。ステンレス部材は、例えば、車載用・民生用の電気配線に使用されるコネクタ、スイッチ、リレー等の接点・端子用の部材、燃料電池のセパレータとして形成されたものを使用することができる。
AuまたはAu合金めっきを施す前に、前記ステンレス部材に前処理を施すことができる。前記前処理としては、各種のステンレス鋼部材のめっき前処理として公知の方法を用いることができ、脱脂および酸洗をおこなうことが好ましい。脱脂処理としては、アルカリ浸漬脱脂、アルカリ電解脱脂、あるいはその両方を併用することができる。酸洗としては、硫酸または塩酸の水溶液などを用いた方法でおこなうことができる。
AuまたはAu合金めっき層は、電気めっき法で形成する。電気めっきは、Auが3価であるシアンAuイオンをAuとして0.5〜10g/L含み、pH2以下であるめっき浴を用いておこなう。前記めっき浴を用いることにより、耐食性と密着性に優れたAuまたはAu合金めっきステンレス部材を得ることができる。前記めっき浴は、Au源として、Auが3価であるシアンAuイオンを生成するシアン化合物を用いることができる。具体的には、第二シアン金カリウムを用いることができる。めっき浴のpHは、塩酸やスルファミン酸、または水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどを添加することにより調整することができる。前記めっき液には、添加剤として、Co、Fe、Niなどの元素を含む化合物を添加することができる。また、前記めっき浴には、公知の添加剤を添加することができる。
前記電気めっきの電解電流密度は、0.1〜20A/dm2とすることが好ましく、生産性を考慮した場合、2.0〜20A/dm2とすることがさらに好ましい。電解電流密度が0.1A/dm2未満である場合には充分な密着性を確保できないことがあり、20A/dm2を超える場合にはめっきヤケ等の不具合を生ずることがある。
前記の条件で、厚さ0.005μm以上のAuまたはAu合金めっき層を形成した後に、公知のAuが1価であるシアンAuイオンを含有した中性のAuまたはAu合金めっき浴を用いてめっきをおこなうことにより、AuまたはAu合金めっき層を形成してもよい。Auが3価であるシアンAuイオンをAuとして0.5〜10g/L含み、pH2以下であるめっき液を用いて電気めっきしたAuまたはAu合金めっき層の厚さが、0.005μm以上であれば、本願の効果である耐食性と密着性と得ることができるので好ましい。前記厚さが0.005μm未満の場合には、十分な耐食性が得られない場合がある。
本発明によるAuまたはAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材は、AuまたはAu合金めっき層の厚さが0.01μm〜1μmであるにもかかわらず、優れた耐食性と密着性を併せ持つ優れた特性を有する。AuまたはAuめっき層の厚さは、0.01μm〜1μmであることが好ましい。0.01μm未満の場合、十分な耐食性が得られないおそれがあり、1μm以上の場合には、コストが上昇してしまう。コストを考慮すると、AuまたはAuめっき層の厚さは、0.01μm〜0.5μmであることが更に好ましく、0.01μm〜0.2μmであることが一層好ましい。
本発明によるAuまたはAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材は、JIS−H8504に準拠したクロスカットテープピーリングによる密着性評価において、剥離を生じないという高い密着性を有する。
本発明によるAuまたはAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材は、試験温度30℃で、その他の条件はJIS−H8620に準拠した硝酸曝気試験実施後に、倍率4倍の実体顕微鏡で観察した腐食点の密度が10個/cm2以下である優れた耐食性を有する。
前記腐食点の密度が10個/cm2を超える場合には高い耐食性を要求される用途には適さない場合がある。前記腐食点の密度は、1個/cm2以下であれば一層好ましい。
前記腐食点の密度が10個/cm2を超える場合には高い耐食性を要求される用途には適さない場合がある。前記腐食点の密度は、1個/cm2以下であれば一層好ましい。
以下に、本発明の実施例について詳述するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
ステンレス鋼部材として、SUS304材を使用した。この部材にAuまたはAu合金めっき層を形成する前に、前処理として、アルカリ電解脱脂を行った。水洗後、ステンレス鋼部材を、温度30℃の10質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬させた。その後、水洗をおこなったステンレス鋼部材に対し、以下の条件で電気めっきをおこない、表面にAu合金めっき層を形成した。Auとして2g/L、およびFeとして0.2g/Lを含有したpH0.6のシアン系Au合金めっき浴を用いて、電解電流密度は5A/dm2の条件で、厚さ0.02μmのAu合金めっき層を形成することにより、Au合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得た。前記めっき浴は、純水に、第二シアン金カリウムと鉄化合物とスルファミン酸を添加することにより得た。スルファミン酸の添加量は、めっき浴のpHが0.6になる量とした。
ステンレス鋼部材として、SUS304材を使用した。この部材にAuまたはAu合金めっき層を形成する前に、前処理として、アルカリ電解脱脂を行った。水洗後、ステンレス鋼部材を、温度30℃の10質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬させた。その後、水洗をおこなったステンレス鋼部材に対し、以下の条件で電気めっきをおこない、表面にAu合金めっき層を形成した。Auとして2g/L、およびFeとして0.2g/Lを含有したpH0.6のシアン系Au合金めっき浴を用いて、電解電流密度は5A/dm2の条件で、厚さ0.02μmのAu合金めっき層を形成することにより、Au合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得た。前記めっき浴は、純水に、第二シアン金カリウムと鉄化合物とスルファミン酸を添加することにより得た。スルファミン酸の添加量は、めっき浴のpHが0.6になる量とした。
上記で得られたAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材について、クロスカットテープピーリングにより密着性評価を行った。試験条件はJIS−H8504に準じて行った。結果を以下の基準で表1に示した。
○・・・剥離なし
△・・・一部剥離
×・・・全部剥離
○・・・剥離なし
△・・・一部剥離
×・・・全部剥離
上記で得られたAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材について、硝酸曝気試験を行った。硝酸曝気試験の温度は30℃とし、その他の条件はJIS−H8620に準じて行った。試験後、倍率4倍の実体顕微鏡で腐食点数を観察し、1cm2あたりの腐食点数に換算し、結果を表1に示した。
上記で得られたAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材について、中性塩水噴霧試験を行った。中性塩水噴霧試験条件はJIS−H8502に準じて行った。試験時間は24h、72h、288hとした。結果を以下の基準で表1に示した。
○・・・腐食なし
△・・・一部腐食
×・・・一部剥離
○・・・腐食なし
△・・・一部腐食
×・・・一部剥離
上記で得られたAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材について、耐熱試験を行った。試験方法はサンプルを熱処理後、接触抵抗を測定して評価した。熱処理条件は温度260℃、処理時間3hとした。接触抵抗測定は荷重100gfの条件でおこなった。結果を表1に示した。この熱処理後の接触抵抗値は、10mΩ以下であることが好ましい。
[実施例2]
電気めっきをおこなう時間を変更して、Au合金めっき層の厚さを0.02μmから、0.05μmに変更した以外は実施例1と同様の方法でAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得て、その評価をおこなった。その結果を、表1に示した。
電気めっきをおこなう時間を変更して、Au合金めっき層の厚さを0.02μmから、0.05μmに変更した以外は実施例1と同様の方法でAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得て、その評価をおこなった。その結果を、表1に示した。
[実施例3]
使用するめっき浴を、Auとして2g/LおよびFeとして0.2g/Lを含有したpH0.6のシアン系Au合金めっき浴から、Auとして2g/LおよびCoとして0.2g/Lを含有したpH0.6のシアン系Au合金めっき浴に変更した以外は実施例1と同様の方法でAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得て、その評価をおこなった。その結果を、表1に示した。なお、前記めっき浴は、純水に、第二シアン金カリウムとコバルト化合物とスルファミン酸とを添加することにより得た。スルファミン酸の添加量は、めっき浴のpHが0.6になる量とした。
使用するめっき浴を、Auとして2g/LおよびFeとして0.2g/Lを含有したpH0.6のシアン系Au合金めっき浴から、Auとして2g/LおよびCoとして0.2g/Lを含有したpH0.6のシアン系Au合金めっき浴に変更した以外は実施例1と同様の方法でAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得て、その評価をおこなった。その結果を、表1に示した。なお、前記めっき浴は、純水に、第二シアン金カリウムとコバルト化合物とスルファミン酸とを添加することにより得た。スルファミン酸の添加量は、めっき浴のpHが0.6になる量とした。
[実施例4]
実施例1で得たAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材に対し、Auが1価であるシアンAuイオンをAuとして10g/LおよびCoとして0.2g/Lを含有した中性のシアン系Au合金めっき浴を用いて、電解電流密度5A/dm2で電気めっきをおこない、厚さ0.08μmのAu−Co合金めっき層を表面に形成した。その後、実施例1と同様の方法で評価をおこなった。結果を表1に示した。
実施例1で得たAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材に対し、Auが1価であるシアンAuイオンをAuとして10g/LおよびCoとして0.2g/Lを含有した中性のシアン系Au合金めっき浴を用いて、電解電流密度5A/dm2で電気めっきをおこない、厚さ0.08μmのAu−Co合金めっき層を表面に形成した。その後、実施例1と同様の方法で評価をおこなった。結果を表1に示した。
[実施例5]
電気めっきをおこなう時間を変更して、Au―Co合金めっき層の厚さを0.08μmから、0.18μmに変更した以外は実施例4と同様の方法でAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得て、その評価をおこなった。その結果を、表1に示した。
電気めっきをおこなう時間を変更して、Au―Co合金めっき層の厚さを0.08μmから、0.18μmに変更した以外は実施例4と同様の方法でAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得て、その評価をおこなった。その結果を、表1に示した。
[実施例6]
実施例2で得たAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材に対し、実施例4の中性のシアン系Au合金めっき浴を用いて、電解電流密度5A/dm2で電気めっきをおこない、厚さ0.15μmのAu−Co合金めっき層を表面に形成した。その後、実施例1と同様の方法で評価をおこなった。結果を表1に示した。
実施例2で得たAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材に対し、実施例4の中性のシアン系Au合金めっき浴を用いて、電解電流密度5A/dm2で電気めっきをおこない、厚さ0.15μmのAu−Co合金めっき層を表面に形成した。その後、実施例1と同様の方法で評価をおこなった。結果を表1に示した。
[実施例7]
ステンレス鋼部材の材質を、SUS304からSUS316に変更した以外は、実施例1と同様の方法でAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得て、その評価をおこなった。その結果を、表1に示した。
ステンレス鋼部材の材質を、SUS304からSUS316に変更した以外は、実施例1と同様の方法でAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得て、その評価をおこなった。その結果を、表1に示した。
[実施例8]
ステンレス鋼部材の材質を、SUS304からSUS316に変更した以外は、実施例2と同様の方法でAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得て、その評価をおこなった。その結果を、表1に示した。
ステンレス鋼部材の材質を、SUS304からSUS316に変更した以外は、実施例2と同様の方法でAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得て、その評価をおこなった。その結果を、表1に示した。
[比較例1]
使用するめっき浴を、Auとして2g/LおよびFeとして0.2g/Lを含有したpH0.6のシアン系Au合金めっき浴から、実施例4で用いたAuとして10g/Lおよび0.2g/LのCoイオンを含有した中性のシアン系Au合金めっき浴に変更し、電気めっきで形成するAu合金めっき層の厚さを0.02μmから0.2μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法でAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得て、その評価をおこなった。その結果を、表1に示した。なお、密着性評価では、10%以上の領域で剥離を生じ、実施例と比較して、密着性が劣っていた。
使用するめっき浴を、Auとして2g/LおよびFeとして0.2g/Lを含有したpH0.6のシアン系Au合金めっき浴から、実施例4で用いたAuとして10g/Lおよび0.2g/LのCoイオンを含有した中性のシアン系Au合金めっき浴に変更し、電気めっきで形成するAu合金めっき層の厚さを0.02μmから0.2μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法でAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得て、その評価をおこなった。その結果を、表1に示した。なお、密着性評価では、10%以上の領域で剥離を生じ、実施例と比較して、密着性が劣っていた。
[比較例2]
ステンレス鋼部材として、SUS304材を使用した。この部材にAuまたはAu合金めっき層を形成する前に、前処理として、アルカリ電解脱脂を行った。水洗後、ステンレス鋼部材を、温度30℃の10質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬させた。その後、水洗をおこなったステンレス鋼部材に対し、電気めっきをおこない、表面に厚さ1μmの無光沢Niめっき層を形成した。その後、以下の条件で電気めっきをおこない、表面にAu合金めっき層を形成した。実施例4で用いた中性のシアン系Au合金めっき浴を用いて、電解電流密度は5A/dm2の条件で、厚さ0.1μmのAu合金めっき層を形成して、Au合金めっき層が形成されたステンレス鋼部材を得た。実施例1と同様の方法でこの部材の評価をおこなった。結果を表1に示した。
ステンレス鋼部材として、SUS304材を使用した。この部材にAuまたはAu合金めっき層を形成する前に、前処理として、アルカリ電解脱脂を行った。水洗後、ステンレス鋼部材を、温度30℃の10質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬させた。その後、水洗をおこなったステンレス鋼部材に対し、電気めっきをおこない、表面に厚さ1μmの無光沢Niめっき層を形成した。その後、以下の条件で電気めっきをおこない、表面にAu合金めっき層を形成した。実施例4で用いた中性のシアン系Au合金めっき浴を用いて、電解電流密度は5A/dm2の条件で、厚さ0.1μmのAu合金めっき層を形成して、Au合金めっき層が形成されたステンレス鋼部材を得た。実施例1と同様の方法でこの部材の評価をおこなった。結果を表1に示した。
[比較例3]
電気めっきをおこなう時間を変更して、Au合金めっき層の厚さを0.1μmから、0.2μmに変更した以外は比較例3と同様の方法でAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得て、その評価をおこなった。その結果を、表1に示した。
電気めっきをおこなう時間を変更して、Au合金めっき層の厚さを0.1μmから、0.2μmに変更した以外は比較例3と同様の方法でAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得て、その評価をおこなった。その結果を、表1に示した。
表1に示すように、実施例1〜8のように、上述した実施の形態の方法を用いることにより、優れた耐食性と密着性を併せ持つAuまたはAu合金めっき層を形成したステンレス鋼部材を得ることが可能となった。
本発明によれば、ステンレス鋼上に、NiまたはCuなどの下地めっき層を介さずに、AuまたはAu合金めっき層で被覆した部材であり、ステンレス鋼とAuまたはAu合金めっき層の密着性に優れ、耐食性の高いAuまたはAu合金めっきステンレス部材を得ることができる。これにより、低コストで製造することができる耐食性と密着性に優れたAuまたはAu合金めっきステンレス部材、およびその製造方法を提供することができる。前記めっき部材は、燃料電池のセパレータ部材、コネクタ、スイッチ、端子などの電気接点部等に使用することができる。
Claims (8)
- ステンレス鋼上に、下地めっき層を介さずに、AuまたはAu合金めっき層で被覆した部材であり、そのAuまたはAu合金めっき層が、JIS−H8504のクロスカットテープピーリングによる試験で、剥離を発生しない密着性を有することを特徴とするめっき部材。
- 試験温度30℃、その他の条件はJIS−H8620の条件で硝酸曝気試験した後のAuまたはAu合金めっき層の腐食点数が、10/cm2以下であることを特徴とする請求項1に記載のめっき部材。
- 試験温度30℃、その他の条件はJIS−H8620の条件で硝酸曝気試験後のAuまたはAu合金めっき層の腐食点数が、0/cm2であることを特徴とする請求項2に記載のめっき部材。
- 260℃、3時間の熱処理をおこなった後のAuまたはAu合金めっき層の接触抵抗が10mΩ以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のめっき部材。
- AuまたはAu合金めっき層の厚さが、0.005μm〜1μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のめっき部材。
- ステンレス鋼上に、下地めっき層を介さずに、pH2以下でかつAuが3価であるシアンAuイオンを含有するAuまたはAu合金めっき浴を用いて、AuまたはAu合金めっきをおこなうことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のめっき部材の製造方法。
- めっき浴に、第二シアン金カリウムを含有することを特徴とする、請求項6に記載のめっき部材の製造方法。
- 請求項5または6の方法で形成されるAuまたはAu合金めっき層の厚さが、0.005μm〜1μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のめっき部材の製造方法。
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