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JP2011089682A - エリア内環境制御システム及びエリア内環境制御方法 - Google Patents

エリア内環境制御システム及びエリア内環境制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、下記の機能を備えた環境制御システムを提案することを課題とする。(1)オフィスワーカーの業務状況をモニタリングし、状況に適応して細かい制御をすることで快適性を向上する。(2)省電力効果および快適性(生産効率)を評価する指標を定義する・その推移を画面で提示する。(3)スクリプトで制御ポリシーを設定する。
【解決手段】本発明に係る環境制御システムは、業務状況や行動状況をモニタリングし、状況に適応して細かい制御をすることで快適性を向上する環境機器を制御するシステムであって、通信手段と、環境を検知する手段と、業務状況を検知する手段と、消費電力を取得する手段と、機器の制御を決定する手段と、制御信号を送信する手段を有し、業務に適応した細かい制御を可能とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、エリア内環境制御システム及びエリア内環境制御方法に係り、特に、エリア内の人間の業務状況と空調機器や照明機器等の環境制御機器の関係を総合的に考慮した、環境制御システム及び環境制御方法に関するものである。
従来、環境制御機器の制御方法としては、居室(エリア)内の温度が常に所定の目標温度になるように空気調和機を制御する方法が一般的であるが、一定時間で運転と停止を繰り返す間欠制御など、省エネルギーのための制御方法も提案されている。さらに、特許文献1には、センサーにより人間の在/不在を認識し、存在時はテレビジョン等の機器を運転し、不在時には機器の運転を休止する制御方法が開示されている。特許文献2には、センサーにより人間の在/不在を認識し、人間の存在時はパソコンを通常モードて運転し、不在時は省エネモードすることで消費電力を低減する制御方法が開示されている。また、特許文献3には、エリア内を複数のゾーンに分割し、ゾーン毎に、人間の在/不在の認識を行い、不在ゾーンのみならず隣接ゾーンについても、温度、湿度、照明等の環境要因を個別に制御することで、快適性、作業性に配慮した環境制御を行う制御方法が開示されている。さらに、特許文献4には、省エネレベルに応じて、省エネレベルが高いときは快適度を低く設定し、省エネへレベルが低いときは快適度を高く設定すると共に、快適度は例えばPMV演算手法等を用いて演算し、設備機器を制御する環境コントロール装置が開示されている。また、特許文献5には、予め、環境制御の対象となる空間で行われる作業内容別に、空調環境、照明環境及び騒音環境毎にいくつかの快適域パターンをホストコンピュータに記憶しておき、作業内容毎に快適域パターンを変えて制御を行う方法が開示されている。
特開2000−205948号公報 特開平10−326126号公報 特開2006−234243号公報 特開平05−141743号公報 特開平10−141735号公報
一般的にオフィスでは、常に同じ業務が行われているわけではなく、複数の種類の業務が行われる。しかし、発明者等の研究によれば、業務行動の状況によって快適度の条件は異なり、従って、環境制御機器の制御方法も異なるべきものであると考えられる。しかし、従来の技術では、業務行動の状況に応じて快適度の制御方法を変えるという思想は無かった。例えば、特許文献5の例では、「単純作業と知的作業、リフレッシュのための空間等で、快適と感じる温度、照明及び騒音の適性範囲は異なる」という前提の下で、作業内容毎に快適域パターンを変えて制御を行っている。しかし、実際には、例えば同じ知的作業を行う空間であっても、個々の人間の業務内容は一律ではない。そのため、背景技術に述べた各制御方法では、以下のような問題点があった。
(1)エリア内における人間の在/不在は検知するものの、環境制御機器の制御方法が各人の業務行動状況に適応していない為、快適性が充分でなかった。
(2)エリア内に存在する各人の業務行動に応じた快適度を把握する方法や指標がなかった。
(3)快適度や省エネ度を含めた複数の観点に基づく環境制御機器の制御ポリシーを、環境制御機器の管理者等が容易に設定する方法が無かった。
本発明は、上記背景技術に係る問題点を解決するため、下記の機能を備えた環境制御システムを提案することを課題とする。
(1)エリア内における各人の在/不在及び業務状況をモニタリングし、存在する人間の業務状況に適応した制御をすることで、各人の業務に適応した快適性を向上させる。
(2)省電力効果、快適性及び生産効率を評価する指標を定義し、エリア内における各指標の推移を画面で提示できるようにする。
(3)快適度や省エネ度を含めた複数の観点に基づく環境制御機器の制御ポリシーを、スクリプトで設定できるようにする。
本発明の代表的な構成を示すと次の通りである。本発明のエリア内環境制御システムは、エリア内の環境を制御する複数の環境機器と、前記エリア内の状況をモニタリングし該エリア内の状況に応じて前記各環境機器を制御する制御装置とを備えたエリア内環境制御システムであって、前記制御装置は、所定の評価指標に基づき前記エリア内の業務状況に応じて前記各環境機器の制御ポリシーを設定する手段と、前記各環境機器の消費電力に関する情報を取得する手段と、前記エリアの環境情報を検知する手段と、前記エリア内における各人の業務状況を検知する手段と、評価指標算出・機器制御決定手段とを備え、前記エリアの環境情報と前記各環境機器の消費電力に関する情報に基づいて前記各環境機器の前記評価指標を算出し、該算出された評価指標と、前記設定された制御ポリシー及び前記エリア内における前記各人の業務状況に基づき、前記制御ポリシーに適合する前記各環境機器の制御の組み合わせを決定し、該決定された組み合わせに基づき、前記各環境機器の制御を行うことを特徴とする。
本発明によれば、オフィスワーカーの業務状況をモニタリングし、各人の業務状況に適応して環境制御機器の細かい制御をすることで、快適性を向上させることが可能となる。
本発明の実施例になる環境制御システムの全体的構成の一例を示す図。 図1の中央制御装置の、ハードウェア構成例を示す図。 図1の中央制御装置の、機能ブロックの例を示す図。 本実施例の環境制御システムが制御の対象とする、オフィスビル居室(エリア)の一例を示す図。 図1の中央制御装置の、環境機器制御の処理フローの一例を示す図。 中央制御装置のデータ保持部に保持される、オフィスワーカーの業務状況テーブルの一例を示す図。 本実施例における、快適度指標との一例を示す図。 本実施例における、機器の制御ポリシー設定スクリプトの記述の一例を示す図。 本実施例における、制御ポリシー設定スクリプトの入力ユーザーインタフェイスの一例を示す図。 本実施例における、制御ポリシー設定スクリプトの業務適応条件入力ユーザーインタフェイスの一例を示す図。 本実施例における、制御ポリシー設定スクリプトのエリア適応条件入力ユーザーインタフェイスの一例を示す図。 図4の処理フローにおける、機器の制御を決定する処理フローの一例を示す図。 図11の処理フローにおける、評価指標に応じた制御の組み合わせを決定する処理フローの一例を示す図。 中央制御装置のデータ保持部に保持される、機器の制御テーブルの一例を示す図。 クライアントPC(パーソナルコンピュータ)に表示する項目のテーブルの一例を示す図。 クライアントPCに表示するアラート表示ユーザーインタフェイスの一例を示す図。 本実施例における、機器ごとの電力利用状況の推移の一例を示す図。 本実施例における、快適度の実測値の分布の一例を示す図。 本実施例における、省エネ度の実測値の分布の一例を示す図。 本実施例における、生産効率の実測値の分布の一例を示す図。 本実施例における、業務状況の提示の一例を示す図。
本発明に係る環境制御システムは、オフィスビル等の居室における人間の業務状況や行動状況をモニタリングし、状況に適応して細かい制御をすることで快適性を向上する環境機器を制御するシステムであって、通信手段と、環境を検知する手段と、業務状況を検知する手段と、消費電力を取得する手段と、機器の制御を決定する手段と、制御信号を送信する手段を有し、業務に適応した細かい制御を可能とすることを特徴とする。以下の説明では、オフィスビル等の居室をエリアごとに制御する例について述べる。すなわち、本発明の環境制御システムは、エリア内において、省エネルギーと快適性を両立させた環境機器の制御を行う。環境機器とは、エリア内の環境を制御する空調機、照明器具、空気清浄機、窓のブラインド等である。
なお、本発明の環境制御システムは、オフィスビルのみでなく、学校校舎や商業施設など、少なくとも1つのエリア内で、多数のオフィスワーカーや学生、従業員等(以下、単にオフィスワーカー)が種々の業務、作業、学習等(以下、単に業務)を行う各種施設(以下、単に施設)への適用が可能である。
本発明によれば、次のような効果がある。
(1)オフィスワーカーの業務状況をモニタリングし、状況に適応して細かい制御をすることで快適性を向上させることが可能となる。
(2)省電力効果および快適性、生産効率を評価する指標を定義する・その推移を画面で提示することで、任意に評価指標の優先順位や許容範囲を制御することが可能となる。
(3)スクリプトで容易に細かい制御ポリシーを設定することが可能となる。
以下、本発明に係る環境制御システムの実施形態の一例を、図面を用いて説明する。
図1は、本実施例の環境制御システムに係るシステム概要の一例を示したものである。本実施例の環境制御システム100は、外的要因取得手段101と、室内環境検知手段102と、業務状況検知手段103と、中央制御装置(制御装置)200と、制御機器105を有する。各手段と中央制御装置200とは施設内の通信ネットワークによって接続され、データの送受信が可能である。外的要因取得手段101は気象情報取得部106と、外気温センサー107から構成される。気象情報取得部106は、インターネット等の通信ネットワーク(図示略)に接続され、外部の気象情報配信サービス業者等から気象情報を取得する。外気温センサー107は、オフィスビル設置箇所の外気温を取得する。室内環境検知手段102は、オフィスビル室内の温度を取得する温度センサー108と、湿度を取得する湿度センサー109と、CO2濃度を取得するCO2濃度センサー110から構成される。業務状況検知手段103は、カメラ111と、PC112から構成され、本実施形態ではオフィスワーカー毎に設置される。PC112は業務状況検知の対象となるオフィスワーカーが使用するものであり、カメラ111は例えばUSB等によりPCに接続され、オフィスワーカーの映像を取得する。中央制御装置200により制御される制御機器105は、オフィス室内の環境を制御する、空調113、照明114、空気清浄機115、ファン116、ブラインド117、PC112等から構成される。制御機器105には、換気用のファンや加湿器など多の機器が追加されることもある。なお、業務検知状況103を構成する要素の一部であるPC112が、制御機器105を兼用する構成としてもよい。
図2Aは、本実施例の環境制御システムに係る中央制御装置200のハードウェア構成の一例を示したものである。本例の中央制御装置は、ネットワークI/F21と、中央処理装置(制御部)22と、入力装置23と、記憶部を構成する一次記憶装置(メモリ)24と二次記憶装置25、及び、出力装置26を有する。なお、入力装置23の表示装置と出力装置26の表示装置は、GUI機能を有する共通の画面を有する単一の表示装置で構成しても良い。中央制御装置200内の各装置は、内部バス27によって接続され、各装置間で相互にデータの送受信が可能である。ネットワークI/F21は例えばLANカード等のネットワークカードであり、業務センタを構成するスタッフの業務ログをネットワーク経由で収集する。
中央処理装置22は、マイクロプロセッサを主体に構成され、一次記憶装置24や二次記憶装置25に格納されているプログラムを実行する。
指示入力装置23は、例えばキーボード、マウス等のポインティングデバイスである。これは、業務管理者による配置計画算出設定の入力や表示の指示等を受け付ける。また、指示入力は、ネットワークを介して接続されるPC等の別端末の指示入力装置から行われるとしてもよい。
表示装置26は、例えばディスプレイアダプタと液晶パネルタ等によって実現される。一次記憶装置24は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)やリードオンリーメモリ(ROM)等によって実現され、中央処理装置22によって実行されるプログラムや本装置において処理されるデータ等を格納する。
二次記憶装置25は、例えばハードディスクやDVDあるいはCDとそれらのドライブ、あるいはフラッシュメモリ等の不揮発性メモリにより構成され、中央処理装置22によって実行されるプログラムや本装置において処理されるデータ等を格納する。
図2Bは、本実施例に係る中央制御装置200が備える機能の一部を示す機能ブロック図である。これらの機能ブロックの一部あるいは全部は、図2Aで示したハードウェアに加えてハードウェアとして実現されてもよいが、中央処理装置200によって実行されるソフトウェアプログラムとして実現されてもよい。なお、以下の説明では、一例として、これらの機能ブロックの全てが中央処理装置200によって実行されるソフトウェアプログラムもしくは二次記憶装置25に保持されるデータであるものとして説明する。
図2Bに示す通り、中央制御装置200はその機能の一部として、通信部201、入力受付部202、消費電力部203、環境取得部204、制御信号送信部205、外的要因検知部206、室内環境検知部207、解析部208、データ保持部209、評価指標算出・機器制御決定部210および機器制御部240を有する。ネットワークを介したデータの送受信は、全て通信部201を通して行われる。オフィスビル外の外的要因を検知する外的要因取得部は、外部気象情報サービス等からの気象情報を検知する気象情報検知部211、屋外の温度センサー等によりセンシングされた外気温を検知する外気温検知部212を有する。オフィスビルの室内環境を検知する室内環境検知部207は、室内の温度センサー等によりセンシングされた室内の温度を検知する温度検知部213、湿度センサー等によりセンシングされた湿度を検知する湿度検知部214、CO2センサー等によりセンシングされたCO2濃度検知部215を有する。業務検知部208は、業務状況の解析対象となるオフィスワーカーの撮影したカメラ映像を取得するカメラ映像取得部216、オフィスワーカーが操作するPCのPC操作ログ取得部217、カメラ映像とPC操作ログからオフィスワーカーの業務状況を解析する解析部218を有する。データ保持部209は図2Aの一次記憶装置24、二次記憶装置25に相当し、環境ログ219、業務状況テーブル220、消費電力ログ221、機器の制御テーブル222、制御ポリシー設定スクリプト223、PCアラートテーブル224を有する。
外的要因検知部206、室内環境検知部207により検知された情報および業務状況テーブル220を用いて解析部208により解析された情報は、データ保持部209の環境ログ219に保持される。消費電力取得部203により取得された機器の電力消費情報は、消費電力ログ221に保持される。入力受付部202が受け付けた、システム管理者等により入力された制御ポリシーは制御ポリシー設定スクリプト223に保持される。
評価指標算出・機器制御決定部210は、エリアの環境情報と各環境機器の消費電力に関する情報に基づいて各環境機器の評価指標を算出し、該算出された評価指標と、設定された制御ポリシー及びエリア内における前記各人の業務状況に基づき、制御ポリシーに適合する各環境機器の制御の組み合わせ等を決定し、その結果を機器の制御テーブル222やPCアラートテーブル224に記録する。機器制御部240は、評価指標算出・機器制御決定部210の決定に基づき、居室の空調の設定温度等の制御を決定する空調制御決定部225、照明機器の照度や色温度等の制御を決定する照明制御決定部226、ブラインドの開閉等の制御を決定するブラインド制御決定部227、空気清浄機のON/OFF等の制御を決定する空気清浄機制御決定部228、ファンのON/OFF等の制御を決定するファン制御決定部229、PCのCPU等の制御を決定するPC制御決定部230、オフィスワーカーのPC画面に表示されるアラートを制御するPCアラート決定部231を有する。
機器制御部240は、機器の制御テーブル222から各機器の制御を、PCアラートテーブル224からオフィスワーカーのPC画面に表示するアラートを選択し、制御信号送信部205に制御信号の送信を指示する。
図3は、本環境制御システム100が制御の対象とするエリア、すなわちオフィスビル居室のレイアウトの一例を示す。本システムは、居室301の省エネルギーと快適性を両立させた機器の制御を行う。居室301は、窓302、ブラインド303、ファン304、天井部の空気清浄機305、天井部の空調機306を有する。居室には、オフィスワーカーが業務を行うディスク307が配置され、各ディスクには業務用のPC308と、PCにUSB等で接続したカメラ309が設置される。また、居室内に温度センサー310、湿度センサー311、CO2センサー312を設置する。各センサーは、廊下側、窓側の適所等に設置してもよく、また、各ディスク307にそれぞれ1台ずつ設置してもよい。各制御機器(303〜306)と各センサー(310〜312)、PC及びカメラ(業務状況検知手段)は、図1に示したように、ネットワークを介して中央制御装置200に接続される。
図4は、中央制御装置200の処理フローを示す。中央制御装置200は処理を開始すると(S401)、環境情報を取得する(S402)。環境情報とは、外的要因取得手段101が取得する気象情報・外気温、室内環境検知手段102が検知する居室内の温度・湿度・二酸化炭素濃度等である。続いて、業務状況を取得する(S403)。業務状況とは、業務状況検知手段103が取得するオフィスワーカーの業務状況等である。続いて、空調や照明等の各環境機器の設定ポリシーを保持する、制御ポリシー設定スクリプト223を取得する(S404)。続いて、評価指標算出・機器制御決定部210において、取得した環境情報と業務状況を、制御ポリシー設定スクリプト223に当てはめ、各機器の制御を決定する(S405)。続いて、各機器に、決定した制御を指示する制御信号を送信する(S406)。制御を終了しないならば処理を繰り返し(S407)、もしくは終了する(S408)。
繰り返しの時間間隔は、処理は、中央制御装置200の制御部22が処理可能な最速値としてもよいし、またシステム管理者等が制御ポリシー設定スクリプト701(図7参照)において任意に指摘できるとしてもよい。終了は、図示しないタイマー等によって指示してもよいし、またはシステム管理者等が指示入力装置23から指示を入力してもよい。
図5は、解析部218によって解析される、オフィスワーカーの業務状況テーブル(図2Bの220)の例であり、データ保持部209が保持する。解析部218は、オフィスワーカーのカメラ映像とPC操作ログから業務状況を解析し、業務状況を業務状況解析テーブル501に示されるいずれかの業務に分類する。PC操作ログの解析により、PC作業中502や、PCの操作アプリケーションによる特定業務503、504を分類する。また、カメラの映像解析により、電話中505、机上業務中506、他のオフィスワーカーとの対話中507などを分類する。さらに映像解析により、寝ている508等の仕草やジェスチャを解析し分類してもよい。また、不在509も検知する。また、制御対象としているエリア内のオフィスワーカーに割り当てられたPCやディスクまわりだけでなく、エリア外の他の会議室や応接室の業務状況を解析することで、会議中510や接客中511を分類してもよい。
式1は、機器制御の評価指標のひとつである、「省エネ度指標」を算出する式の一例である。
Figure 2011089682
「省エネ度指標」は、本環境制御システムが制御対象とする居室内のp個すべての環境機器の、単位時間あたりの総消費電力量に関係し、最大が10、最小が0となるよう正規化する。数値が大きいほど省エネルギーなシステムであるといえる。
式2は、機器制御の評価指標のひとつである、「快適度指標」を算出する式の一例である。
Figure 2011089682
快適度は個々のオフィスワーカーの、ある室内環境での快適性を示す。「快適度指標」には、一般に使用される温度と湿度から判定する不快指数Cmと、式3で後述する二酸化炭素濃度加重値とから算出する。不快指数Cmは、60〜75が多くの人間が不快を感じない範囲とされ、それ以下だと寒く、以上だと暑く感じるとされる。そこで、中間値の67.5を境界とし、それより大きい二酸化炭素濃度加重値を加え、小さい場合は減じることで快適度指標を算出する。快適度指標も、60〜75が不快を感じない範囲であり、それより大きい、または小さいほど不快となる。また、不快指数でなく、空気温度、平均輻射温度、気流速度、湿度、着衣量、代謝量の6要素の組み合わせから算出するPMV(Predicted Mean Vote)を快適度指標の算出に用いてもよい。この場合、図1の室内環境検知手段102の機能に加えて、平均輻射温度、気流速度、着衣量、代謝量の情報も取得できるようにすることは言うまでも無い。
図6は、式2における「快適度指標」と不快指数Cm及び二酸化炭素濃度加重値との関係の一例を示す図である。縦軸に不快指数(Cm)601、横軸に二酸化炭素濃度加重値602をとる。もっとも多くの人が快適と感じる不快指数67.5、二酸化炭素濃度加重値=0のとき、快適度指標は67.5となり(603)、快適さを感じる環境は最良であると判断できる。快適度指標はこれより大きくなるほど、また小さくなるほど、不快となる。例えば、快適度指標75.0の境界(604)、快適度指標60.0の境界(605)を閾値として、快適度指標67.5を含む範囲を「快適」(606)、含まない範囲を「不快」(607)と判定してもよい。あるいは、「快適」、「不快」の領域をさらに複数に分割し、快適度を多段階に判定するようにしても良い。
式3は、式2で説明した快適度指数の算出に用いる二酸化炭素濃度加重値を算出する式の一例である。
Figure 2011089682
二酸化炭素濃度Cの単位はppmで示され、1ppmは0.0001%である。日本のビル管理法においては、二酸化炭素濃度は1000ppm以下と規定される。そこで1000ppmを基準とし、それ以下は快適度への影響を考慮しない。それ以上の場合は、二酸化炭素の濃度Cに応じて適宜重み付けし(重み係数の乗算)、二酸化炭素加重値として快適度の算出に加味する。
式4は、機器制御の評価指標のひとつである、「生産効率指標」を算出する式の一例である。
Figure 2011089682
業務が定型作業であれば、単位時間に完了した、目標対応件数に対する完了対応件数から、生産効率を算出できる。対応件数は、業務状況検知手段103から取得した業務情報から解析可能である。生産効率指標は10を基準とし、値が大きいほど、生産効率が優れていることを示す。非提携作業であれば、目標値に対する達成率で生産効率指標を定義してもよい。定型作業の一例として、コールセンターにおける顧客への電話対応業務を挙げることができる。
図7は、データ保持部209が保持する環境機器の制御ポリシー設定スクリプト323の記述例である。本例の制御ポリシー設定スクリプト701は、まずスクリプト中に使う数値を定義702する。評価指標定義703では、式1で示した省エネ度指標(5行)、式2で示した快適度指標(6行)、式3で示した生産効率指標(7行)を定義する。各指標の式は記憶装置25が予め保持しているとしてもよいし、またはスクリプト中でシステム管理者等が任意に設定・変更できるとしてもよい。なお、評価指標定義では、「省エネ度指標」、「快適度指標」、「生産効率指標」の3つの評価指標を設定する例を示したが、用途や状況によっては、これらの少なくとも1つを設定する、あるいは、これらと他の評価指標とを組み合わせて設定しても良いことは言うまでも無い。
変数定義704では、センサー等の外的要因取得手段101、室内環境検知手段102が取得した実測値(11〜15行)、実測値を元に算出した各指標の実測値(17〜19行)、解析した業務内容(21行)、時刻(23行)やエリア制御方法(24行)を定義する。制御値定義705では、温度や湿度等、室内環境の制御の目標値等を定義する(28〜31行)。
次に、各環境機器の制御ポリシー706を記述する。まず、評価指標条件707を記述する。式1で示した「省エネ度指標」、式2で示した「快適度指標」、式3で示した「生産効率指標」の優先順位(37〜39行)と、それぞれの許容する制御範囲(41〜43行)を記述する。
次に、業務適応条件708を記述する。ここでは、オフィスワーカー個人の業務に適応した制御条件を各々記載するものとする。この場合、業務適応条件とは、個々のオフィスワーカーが現在の業務を効率よく遂行する上で最適の環境を与える機器の制御条件を意味する。47〜48行は、業務検知手段103により検知したオフィスワーカーの業務状況がCADアプリケーション使用中の場合には、その業務に使用されるCPUの速度を最大にするという制御条件を示す。PC業務において、CADや画像処理のような計算量(データ処理量)の多い業務を行う場合はCPUの速度を最大として使うのが望ましいが、テキスト処理のような計算量の少ない業務の場合は、CPUの速度は最大である必要はないためその業務に使用されるCPUの速度を低速に設定し、これにより省エネルギーに配慮した制御が可能である。また、複数のアプリケーションを並行して実行中の場合は状況に応じてCPUの速度を早くする必要がある。このように同じPC業務であっても実行中のアプリケーションの種類や数に応じて、CPUの速度を変更する業務適応条件708を記述する。50〜51行は、業務検知手段103により検知したオフィスワーカーの業務状況が「寝ている」であれば、温度を下げることでリフレッシュを促すという制御条件を示す。53〜54行は、オフィスワーカーが不在であれば、省エネ度が最大になるように、全ての機器を省エネモードに切り替える、または運転を停止するような制御条件を示す。56〜57行は、昼休みである11時45分から12時45分までの時間内は、一定以下ならば居室内温度の上昇を許容するという制御条件を示す。
次に、エリア適応条件709を記述する。業務適応条件708ではオフィスワーカー個人の業務に適応した制御条件を記載したが、一般にオフィス居室では1人に1台の空調機等環境機器が設置されているわけではないので、エリアに応じた制御を行う必要がある。そこで、61行で、ある一定エリア内に存在するオフィスワーカーに適応する制御の平均値をとる、という制御条件を記載できる。または重要なオフィスワーカーに重みをつけた制御条件とすると記載してもよい。
また、オフィス居室内では、例えば室内の制御温度を一定に設定しても廊下側と窓側で実測温度がことなるといった、環境のばらつきが起こりうる。そこで、63〜64行に記載するように、ある居室内の別のエリアにおいて快適度の最大値と最小値にばらつきが大きい場合は、制御値の再算出を行うといった制御条件を記載してもよい。また、本実施例ではある居室をエリアごとに制御するが、例えば、あるフロアを居室ごとに制御し、フロア全体の評価指標に応じた制御を行うとしてもよい。
図8は、制御ポリシー設定スクリプトの「評価指標条件」入力ユーザーインタフェイスを示す図の一例である。図7で示した制御ポリシー設定スクリプトはシステム管理者等が手入力で設定してもよいが、入力には慣れを必要とする。そこで、スクリプトを容易に記述するために、入力受付部202が備える制御ポリシー設定スクリプトの入力インターフェイス801からシステム管理者等が入力を行うようにしてもよい。例えば、システム管理者等が入力インターフェイス801から、業務関数条件タブ802、業務適応条件タブ803、エリア適応条件804のメニューを順次プルダウンし、それぞれの条件を入力する。評価指標条件タブ802を選択すると、優先順位選択ボタン805をクリックして評価指標807に優先順位806を付与できる。また、各評価指標の制御範囲808を数値で入力する。OKボタン809、もしくはキャンセルボタン810により入力を完了する。この評価指標条件入力インターフェイスにより、スクリプトを直接記述することが困難な者も、評価指標条件を容易に入力することが可能となる。
図9は、制御ポリシー設定スクリプトの「業務適応条件」入力ユーザーインタフェイスを示す図の一例である。図8で示した制御ポリシー設定スクリプトの入力インターフェイス801の業務適応条件タブ803を選択すると、業務状況901に応じた制御対象902と制御値903の条件を設定できる。各条件は、条件選択ボタン904で変更できる。制御対象は、追加ボタン905と削除ボタン906で追加削除が可能である。また、制御対象も、追加ボタン907と削除ボタン908で追加削除が可能である。911は時刻ボタンである。OKボタン909、もしくはキャンセルボタン910により入力を完了する。この業務適応条件入力ユーザーインタフェイスにより、スクリプトを直接記述することが困難な者も、業務適応条件を容易に入力することが可能となる。
図10は、制御ポリシー設定スクリプトの「エリア適応条件」入力ユーザーインタフェイスを示す図の一例である。図8で示した制御ポリシー設定スクリプトの入力インターフェイス801のエリア適応条件タブ804を選択すると、エリア適応方法1001を、選択ボタン1002より選択できる。また、エリア状況1001に応じた制御対象1004を設定できる。エリア状況は、追加ボタン1005と削除ボタン1006で追加削除が可能である。制御は、追加ボタン1007と削除ボタン1008で追加削除が可能である。OKボタン1009、もしくはキャンセルボタン1010により入力を完了する。このエリア適応条件入力ユーザーインタフェイスにより、スクリプトを直接記述することが困難な者も、エリア適応条件を容易に入力することが可能となる。
図11は、環境を制御する各制御機器(113〜116)の制御を決定する処理フローであり、図4に示した中央制御装置200の処理フローのS405に相当する。評価指標算出・機器制御決定部210では、まず、環境取得部204が取得した情報より、現在の居室の評価指標を算出する(S1101)。評価指標は、省エネ度(式1)、各オフィスワーカーの快適度(式2)、業務の生産効率を示す生産効率(式3)の3つである。次に、個々のオフィスワーカーの業務適応条件を満たす制御目標値を算出する。(S1102)。ここでは、図7に示した制御ポリシー設定スクリプト701に記述された業務適応条件を満たす各環境制御機器の制御の組み合わせを全て算出する。次に、エリア適応条件を満たす制御の組み合わせを全て算出する(S1103)。次に、S1103で算出した全ての制御の組み合わせに対し、評価指標算出・機器制御決定部210では、それぞれの評価指標の推定値を算出し(S1104)、最後に、全ての制御の中から評価指標に応じた制御の組み合わせを選択し、決定する(S1105)。
図12は、評価指標に応じた制御の組み合わせを選択し、決定する処理フローの一例であり、図11に示す、評価指標に応じた制御の組み合わせを選択し、決定する(S1105)に相当する。まず、設定スクリプト701から評価指標条件706を取得する(S1201)。ここでは図11で例示した評価指標条件に従う処理フローを示す。算出された全ての制御の組み合わせから、快適度が基準値以上となる制御の組み合わせを算出する(S1202)。もし快適度が基準値以上となる制御の組み合わせが存在しない場合は(S1203)、基準値を下げ(S1204)、最算出する。同様に、S1202で算出された全ての制御の組み合わせから、業務効率が基準値以上となる制御の組み合わせを算出する(S1205)。もし業務効率が基準値以上となる制御の組み合わせが存在しない場合は(S1206)、基準値を下げ(S1207)、最算出する。最後に、S1205で算出された全ての制御の組み合わせから、総消費電力が最も少ない制御の組み合わせを決定する(S1208)。なお、図12のフローは、制御ポリシー設定スクリプトで設定された優先順位が、図8に示したように、「省エネ度」、「快適度」、「生産効率」の順になっている場合あり、優先順位がこれと異なる場合、各指標を満たすか否の判定の順序や基準値の変更対象もそれに応じて変わることは言うまでも無い。
図13は、各環境機器の制御テーブル(図2Bの222)の一例を示す。環境機器の制御テーブル1301は、データ保持部209が保持し、制御対象となるオフィス居室に設置された環境機器それぞれの制御ステイタス(オン、オフなど)を持つ。制御される環境機器は、例えば、空調1302、照明1303、ブラインド1304、PC/モニタ1305、空気清浄機1306、ファン1307である。なお、制御テーブルの構成は上記例に限定されるものではない。例えば、空調1302の制御ステイタスに除湿を含め、照明1303の制御ステイタスはオン、オフに加えて中間レベルへの切替えを加えても良い。中央制御装置200は本制御テーブルから各環境機器の制御の組み合わせを算出して、決定する(S405)。なお、中央制御部200は、中央制御部200が自動で制御できる機器以外で環境に影響をあたえる要素、例えば居室の気温を下げるためにオフィスワーカー自身が手動で「窓を開ける」等の要素を、制御の組み合わせに含めてもよい。
図14は、クライアントPCに表示する項目のテーブル(図2Bのアラートテーブル224)の一例である。このクライアントPCの表示項目テーブル1401はデータ保持部209が保持する。中央制御部200が自動で制御できる機器以外で環境に影響を与える要素、例えば居室の気温を下げるためにオフィスワーカー自身が手動で「窓を開ける」等を制御の組み合わせに含めた場合は、PCアラート決定部231は、アラート表示テーブル1402からアラートを選択してユーザに提示する。また、業務検知部208が解析した業務解析結果から、「休憩をとる」「帰宅する」等の行動を促すアラートを表示してもよい。また、快適な室内の気温の設定には、オフィスワーカー個人の嗜好が影響する。そこで、「温度を上げる/下げる」等の嗜好を入力するメニューを、入力画面提示テーブル1403が保持してもよい。この場合、オフィスワーカーは中央制御装置にネットワークを介して接続されるクライアントPC102の入力指示装置より入力を行うとしてもよい。
図15は、クライアントPCに表示するアラート表示ユーザーインタフェイスを示す図の一例である。図14でPCアラート決定部231が決定したアラートは、制御信号送信部205がネットワークを配してクライアントPC102に送信され、クライアントPC102ではアラート表示ユーザーインタフェイス1501によりアラートを表示する。クライアントPC102には、PCアラートテーブル1401より選択された単数または複数のアラートを表示する。例えば、特定のエアコンすなわち空調の電源OFF等の機器制御決定部203が決定した制御と、オフィスワーカー自身が手動で「窓を開ける」等の要素のアラートを「おすすめ省エネ」画面1504に提示する。この際、アラートを提示するきっかけとなる実測値を提示してもよい1502。また、本画面から、本環境制御システム100の動作をモニタできるとしてもよい。例えば、「電力利用状況を確認する」ボタン1503をクリックすると、該当日の電力利用状況の推移を提示して確認できるとしてもよい。オフィスワーカーがアラートを確認すれば、OKボタン1505をクリックして画面を閉じてもよい。
図16は、本環境制御システム100を採用したオフィスおける、ある日の機器ごとの電力利用状況の推移を示す図の一例である。図15で示した「電力利用状況を確認する」ボタン1503をクリックすると、該当日における機器毎の電力利用状況の推移を示すグラフ1601が表示される。縦軸に消費電力1602、横軸に時刻1603を示し、時刻ごとの総消費電力を棒グラフで提示する。機器毎、例えば照明1604、PC等のOA機器1605、空調1606毎の消費電力を、色別に示してもよい。この電力利用状況の推移画面により、管理者または各オフィスワーカー等が電力利用状況の推移の情報を得たい際に、可視化された電力利用状況を提示することで、管理者または各オフィスワーカー等の理解を容易にすることが可能となる。例えば、昼休み時間における空調や照明による省エネの状況を可視化することで、管理者は関係者の理解、協力が得られやすくなる。
図17は、本環境制御システム100を採用したオフィスおける、「快適度」の実測値の分布を示す図の一例である。図15で示したクライアントPCに表示するアラート表示ユーザーインタフェイスからモニタできる本環境制御システムの動作として、評価指標の実測値の分布1701を提示してもよい。評価指標の実測値の分布1701は、モニタリングの対象居室1702、実測日の日時1703を提示する。また、快適度分布タブ1705、省エネ度分布タブ1706、生産効率分布タブ1707を持ち、タブのクリックによってそれぞれの表示を切り替える。例えば対適度分布タブ1705を選択すると、モニタリング対象の居室の配置図1708に重畳して、居室内のエリアごとの快適度の分布を色別に表示し1709、それぞれの快適度の実測値1710を示す。また、居室内に配置されたセンサーが取得した温度、湿度、二酸化炭素濃度を、チェックボックス1711の選択により表示できるとしてもよい。この快適度の実測値の分布を表す画面により、管理者または各オフィスワーカー等が快適度の実測値の分布情報を得たい際に、可視化された快適度の実測値の分布を提示することで、管理者または各オフィスワーカー等の理解を容易にすることが可能となる。
図18は、本環境制御システム100を採用したオフィスおける、「省エネ度」の実測値の分布を示す図の一例である。評価指標の実測値の分布1701において省エネ度分布タブ1706を選択すると、モニタリング対象の居室の配置図1708に重畳して、居室内のエリアごとの省エネ度の分布を色別に表示し1801、それぞれの分布エリアの省エネ度1802を示す。数値が大きいほど省エネ度は高い。または、単位時間あたりの消費電力を示してもよい。この省エネ度の実測値の分布を示す画面により、管理者または各オフィスワーカー等が省エネ度の実測値の分布の情報を得たい際に、可視化された省エネ度の実測値の分布を提示することで、管理者または各オフィスワーカー等の理解を容易にし、関係者の理解、協力を得ることが可能となる。例えば、管理者は、この画面に表示された省エネ度が、目標とする範囲にあるかを判定し、必要な場合、制御ポリシー設定スクリプトによる機器の制御ポリシーを見直し、評価指標条件を再設定し、各オフィスワーカーの理解を得つつ所望の省エネ度が得られるようにすることができる。
図19は、本環境制御システム100を採用したオフィスおける、「生産効率」の実測値の分布を示す図の一例である。評価指標の実測値の分布1701において生産効率タブ1707を選択すると、モニタリング対象の居室の配置図1708に重畳して、オフィスワーカーを特定するIDもしくは氏名1901と、生産効率を示すアイコン1902を提示する。生産効率を示すアイコンは、生産効率の凡例1903が示すように生産効率の値ごとに色分けして表示する。この生産効率の実測値の分布を示す画面により、管理者または各オフィスワーカー等が生産効率の実測値の分布の情報を得たい際に、可視化された生産効率の実測値の分布を提示することで、管理者または各オフィスワーカー等の理解を容易にすることが可能となる。例えば、管理者は、この画面に表示された生産効率が、目標とする範囲にあるかを判定し、必要な場合、制御ポリシー設定スクリプトによる機器の制御ポリシーを見直し、評価指標条件を再設定し、各オフィスワーカーの理解を得つつ所望の生産効率が得られるようにすることができる。
図20は、本環境制御システム100を採用したオフィスおける、「業務状況」を提示する図の一例である。評価指標の実測値の分布1701において、業務状況を提示する業務状況タブ2001を提示してもよい。業務状況タブ2001を選択すると、モニタリング対象の居室の配置図1708に重畳して、オフィスワーカーを特定するIDもしくは氏名1901と、解析部218が取得した各オフィスワーカーの業務状況2003を提示する。時刻は単位時間でなくある一定の時刻2002としてもよい。業務状況は、業務状況の凡例2004が示すように業務ごとに色分けして表示してもよいし、または業務を表す絵柄のアイコンで表示してもよい。この業務状況を提示する画面により、管理者または各オフィスワーカー等が各オフィスワーカーの業務状況の情報を得たい際に、可視化された各オフィスワーカーの業務状況を提示することで、管理者または各オフィスワーカー等の理解を容易にすることが可能となる。例えば、管理者は、前回スクリプトを設定してからの各オフィスワーカーの状況の変化を把握し、「快適度」が高いにもかかわらず「生産効率」の低いオフィスワーカーに対しては空調の条件をスクリプトにより変更して様子を見ることなどが考えられる。
本実施例によれば、次のような効果がある。
(1)エリア内のオフィスワーカーの在/不在及びその業務状況をモニタリングし、オフィスワーカーの業務状況に適応して環境制御機器の細かい制御をすることで、快適性を向上することが可能となる。
(2)エリアの環境制御機器の制御ファクターとして、省電力効果および快適性、生産効率を評価する指標を定義すると共に、任意に各評価指標の優先順位や許容範囲を設定可能とし、かつ、それら各指標の推移やエリア内の分布を画面で提示することで、管理者または各オフィスワーカー等がエリアの環境制御に関する理解を深め、それに基づくフィードバックを容易にすることが可能となる。
(3)ビルの管理者等の関係者が、環境制御システムに関して詳細な知識を有していなくても、表示画面からスクリプトで容易に、省電力効果、快適性、生産効率を評価する各指標に基づく制御ポリシーを設定することが可能となる。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、室内の環境を、省エネ度、快適性、及び生産効率の観点で制御できる環境制御機器を備えた分野に広く適用できることは言うまでも無い。
例えば、本実施例では、1つのエリア内の環境制御を対象として述べたが、複数のエリアにまたがる環境制御についても、同様に適用できる。この場合、「省エネ度指標」、「快適度指標」、「生産効率指標」の優先順位と、それぞれの許容する制御範囲は、エリア毎に個別に最適条件を設定しても良く、あるいは、複数のエリア単位で最適条件を設定できるようにしてもよい。後者の場合、例えば業務状況により、1つのエリアの「生産効率指標」を最優先とし、そのかわりに他のエリアは「省エネ度」を最優先としてそれぞれの許容制御範囲で制御し、オフィスビルの全体としては、「省エネ度指標」、「快適度指標」、「生産効率指標」が所定の範囲になるように管理することも考えられる。
100…環境制御システム、101…外的要因取得手段、102…室内環境検知手段、103…業務状況検知手段、105…制御機器、106…気象情報取得部、107…外気温センサー、108…温度センサー、109…湿度センサー、110…CO2濃度センサー、111…カメラ、PC…112、空調機…113、照明器具…114、115…空気清浄機、116…ファン、117…ブラインド、200…中央制御装置(制御装置)、21…ネットワークI/F、22…中央処理装置(制御部)、23…入力装置、24…一次記憶装置(メモリ)、25…二次記憶装置、26…出力装置(表示装置)、201…通信部、202…入力受付部、203…消費電力部、204…環境取得部、205…制御信号送信部、206…外的要因検知部、207…室内環境検知部、208…解析部、209…データ保持部、210…評価指標算出・機器制御決定部、211…気象情報検知部、212…外気温検知部、213…温度検知部、214…湿度検知部、215…CO2濃度検知部、216…カメラ映像取得部、217…PC操作ログ取得部、218…解析部、219…環境ログ、…、220…業務状況テーブル、221…消費電力ログ、222…機器の制御テーブル、223…制御ポリシー設定スクリプト、225…空調制御決定部、226…照明制御決定部、230…PC制御決定部、231…PCアラート決定部、232…評価指標算出部、240…機器制御部、301…居室、306…空調機、307…ディスク、308…業務用のPC、309…カメラ、310…温度センサー、311…湿度センサー、312…CO2センサー、601…不快指数(Cm)、602…二酸化炭素濃度加重値、603…快適度指標、701…制御ポリシー設定スクリプト、702…定義、703…評価指標定義、704…変数定義、705…制御値定義、706…制御ポリシー、707…評価指標条件、708…業務適応条件、709…エリア適応条件。

Claims (20)

  1. エリア内の環境を制御する複数の環境機器と、前記エリア内の状況をモニタリングし該エリア内の状況に応じて前記各環境機器を制御する制御装置とを備えたエリア内環境制御システムであって、
    前記制御装置は、
    所定の評価指標に基づき前記エリア内の業務状況に応じて前記各環境機器の制御ポリシーを設定する手段と、
    前記各環境機器の消費電力に関する情報を取得する手段と、
    前記エリアの環境情報を検知する手段と、
    前記エリア内における各人の業務状況を検知する手段と、
    評価指標算出・機器制御決定手段とを備え、
    前記エリアの環境情報と前記各環境機器の消費電力に関する情報に基づいて前記各環境機器の前記評価指標を算出し、該算出された評価指標と、前記設定された制御ポリシー及び前記エリア内における前記各人の業務状況に基づき、前記制御ポリシーに適合する前記各環境機器の制御の組み合わせを決定し、該決定された組み合わせに基づき、前記各環境機器の制御を行うことを特徴とするエリア内環境制御システム。
  2. 請求項1において、
    前記業務状況を検知する手段は、前記エリア内における各人の業務用のPCと、該PCに接続されたカメラを有しており、該カメラの映像と前記PCの操作ログとから前記各人の業務状況を解析し、該業務状況を予め定義されたいずれかの業務に分類することを特徴とするエリア内環境制御システム。
  3. 請求項2において、
    前記エリア内における人の業務状況を検知する手段は、前記PC操作ログの解析により、PC作業中か否かを判定し、PC作業中の場合は操作アプリケーションにより業務内容を特定すると共に、作業中でない場合は映像解析により業務状況を解析することを特徴とするエリア内環境制御システム。
  4. 請求項1において、
    前記制御装置は、前記環境機器の制御ポリシーとして、前記各人が業務を効率よく遂行するのに適した環境を与える業務適応条件を設定する機能と、該業務適応条件を満たす前記各環境機器の制御目標値を算出する機能とを備えており、
    前記算出された評価指標に基づき、前記エリア内における前記業務適応条件を満たす前記各環境機器の制御の組み合わせを行うことを特徴とするエリア内環境制御システム。
  5. 請求項4において、
    前記業務状況を検知する手段により検知された前記業務状況がPC業務である場合、前記環境機器の制御ポリシーは、実行中のアプリケーションの種類に応じてCPUの速度を変更することを特徴とするエリア内環境制御システム。
  6. 請求項1において、
    前記評価指標は、快適度、省エネ度及び生産効率の各評価指標を含み、該各評価指標に対する制御の優先順位と、該各評価指標に対して許容する制御範囲を設定可能であり、
    前記評価指標算出・機器制御決定手段は、前記エリアの環境情報と前記各環境機器の消費電力に関する情報に基づいて前記各環境機器の現在の前記各評価指標を算出し、該算出された現在の評価指標と、前記設定された制御ポリシー及び前記エリア内における前記各人の業務状況に基づき、前記制御ポリシーに適合する前記各環境機器の制御の組み合わせを決定することを特徴とするエリア内環境制御システム。
  7. 請求項6において、
    前記評価指標算出・機器制御決定手段は、前記エリア内における前記業務適応条件を満たす前記各環境機器の制御の組み合わせを、全て算出することを特徴とするエリア内環境制御システム。
  8. 請求項1において、
    前記制御装置は、各環境機器の制御テーブルを有するデータ保持部を備えており、
    該制御テーブルは、制御対象となる前記エリアに設置された前記環境機器それぞれの制御ステイタスを持つことを特徴とするエリア内環境制御システム。
  9. 請求項1において、
    前記制御装置は、
    環境ログを保持するデータベースと、消費電力ログを保持するデータベースを有し、
    前記評価指標算出・機器制御決定手段は前記評価指標として、
    前記エリア内の環境情報に基づいて快適度を算出する機能と、
    前記環境機器の消費電力に関する情報に基づいて省エネ度を算出する機能と、
    前記エリア内における各人の業務状況に関する情報に基づいて生産効率を算出する機能と有することを特徴とするエリア内環境制御システム。
  10. 請求項9において、
    前記評価指標算出・機器制御決定手段は前記省エネ度を、式1により算出する
    Figure 2011089682
    ことを特徴とするエリア内環境制御システム。
  11. 請求項9において、
    前記評価指標算出・機器制御決定手段は前記快適度の指標を、式2により算出する
    Figure 2011089682
    ことを特徴とするエリア内環境制御システム。
  12. 請求項9において、
    前記評価指標算出・機器制御決定手段は前記生産効率を、式4により算出する
    Figure 2011089682
    ことを特徴とするエリア内環境制御システム。
  13. エリア内の環境を制御する複数の環境機器と、前記エリア内の状況をモニタリングし該エリア内の状況に応じて前記各環境機器を制御する制御装置とを備えたエリア内環境制御システムであって、
    所定の評価指標に基づき前記エリア内の業務状況に応じて前記各環境機器の制御ポリシーを設定する手段と、
    前記各環境機器の消費電力に関する情報を取得する手段と、
    前記エリアの環境情報を検知する手段と、
    前記エリア内における各人の業務状況を検知する手段と、
    評価指標算出・機器制御決定手段と、
    表示装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記制御ポリシーをスクリプトにより設定し、
    前記エリアの環境情報と前記各環境機器の消費電力に関する情報に基づいて前記各環境機器の前記評価指標を算出し、
    該算出された評価指標と、前記設定された制御ポリシー及び前記エリア内における前記各人の業務状況に基づき、前記制御ポリシーに適合する前記各環境機器の制御の組み合わせを決定し、前記各環境機器の制御を行うと共に、
    前記各環境機器の制御ポリシーを設定するスクリプト及び前記算出された評価指標を前記表示装置に呈示する、ことを特徴とするエリア内環境制御システム。
  14. 請求項13において
    前記表示装置は、前記制御ポリシーを設定するスクリプトの評価指標条件入力ユーザーインタフェイスと、業務適応条件入力ユーザーインタフェイスと、エリア適応条件入力ユーザーインタフェイスとを備えていることを特徴とするエリア内環境制御システム。
  15. 請求項13において
    前記表示装置に呈示される前記スクリプトは、定義として、
    省エネ度指標、快適度指標、生産効率指標を定義する評価指標定義と、
    前記エリアの環境情報を検知する手段が取得した実測値を元に算出した各指標の実測値等を定義する変数定義と、
    温度や湿度等、室内環境の制御の目標値等を定義する制御値定義とを含み、
    前記スクリプトには、各環境機器の制御ポリシーとして、評価指標の条件と業務適応条件及びエリア適応条件が記述され、
    前記評価指標の条件には、省エネ度指標、快適度指標、生産効率指標の各優先順位と、それぞれの許容する制御範囲が記述され、
    前記業務適応条件には、各人の業務状況に適応した制御条件が記載され、
    前記エリア適応条件には、当該エリア内に存在する全員に適応される制御条件が記載されることを特徴とするエリア内環境制御システム。
  16. 請求項15において、
    前記エリア内における各人の配置図に重畳して、前記快適度、前記省エネ度及び前記生産効率の各指標の前記実測値を前記表示装置に表示することを特徴とするエリア内環境制御システム。
  17. エリア内環境制御システムによりエリア内の環境を制御する方法であって、
    前記エリア内環境制御システムは、エリア内の環境を制御する複数の環境機器と、前記エリア内の状況をモニタリングし該エリア内の状況に応じて前記各環境機器を制御する制御装置とを備えており、
    所定の評価指標に基づき前記エリア内の業務状況に応じて前記各環境機器の制御ポリシーが設定され、
    前記各環境機器の消費電力に関する情報を取得し、
    前記エリアの環境情報を検知し、
    前記エリア内における各人の業務状況を検知し、
    前記エリアの環境情報と前記各環境機器の消費電力に関する情報に基づいて前記各環境機器の前記評価指標を算出し、
    該算出された評価指標と、前記設定された制御ポリシー及び前記エリア内における前記各人の業務状況に基づき、前記制御ポリシーに適合する前記各環境機器の制御の組み合わせを決定し、
    該決定された組み合わせに基づき、前記各環境機器の制御を行うことを特徴とするエリア内環境制御方法。
  18. 請求項17において、
    前記環境機器の制御ポリシーとして、前記各人が業務を効率よく遂行するのに適した環境を与える業務適応条件が設定され、
    該業務適応条件を満たす前記各環境機器の制御目標値を算出し、
    前記算出された評価指標に基づき、前記エリア内における前記業務適応条件を満たす前記各環境機器の制御の組み合わせを行うことを特徴とするエリア内環境制御方法。
  19. 請求項17おいて、
    前記評価指標は、快適度、省エネ度及び生産効率の各評価指標を含み、
    該各評価指標に対する制御の優先順位が設定され、
    該各評価指標に対して許容する制御範囲が設定され、
    前記エリア内の環境情報に基づいて快適度を算出し、
    前記環境機器の消費電力に関する情報に基づいて前記省エネ度を算出し、
    前記エリア内における人の業務状況に適応した快適性前記エリア内における各人の業務状況に関する情報に基づいて前記生産効率を算出し、
    前記快適度、前記省エネ度及び前記生産効率を表示装置に表示することを特徴とするエリア内環境制御方法。
  20. 請求項19において、
    前記エリア内における各人の配置図に重畳して、前記快適度、前記省エネ度及び前記生産効率の各指標の前記実測値を表示装置に表示することを特徴とするエリア内環境制御方法。
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