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JP2011089140A - 発泡成形用オレフィン系樹脂組成物および発泡体 - Google Patents

発泡成形用オレフィン系樹脂組成物および発泡体 Download PDF

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JP2011089140A JP2011025919A JP2011025919A JP2011089140A JP 2011089140 A JP2011089140 A JP 2011089140A JP 2011025919 A JP2011025919 A JP 2011025919A JP 2011025919 A JP2011025919 A JP 2011025919A JP 2011089140 A JP2011089140 A JP 2011089140A
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Abstract

【課題】高発泡倍率の発泡体を与える発泡成形用オレフィン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】[1]示差走査熱量計(DSC)によって200℃から40℃まで10℃/分で降温して測定した時に得られるDSC結晶化発熱曲線において、少なくとも1個以上の結晶化発熱ピークを有し、2%結晶化する温度をTc1、98%結晶化する温度をTc2としたとき、Tc1−Tc2≧12℃を満足し、メルトテンションが0.5g以上であるオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする発泡成形用オレフィン系樹脂組成物。
[2][1]記載の樹脂組成物を溶融して溶融樹脂組成物を得、該溶融樹脂組成物に発泡剤を混合して混合物を得、該混合物を発泡成形して得られることを特徴とする発泡体。
【選択図】なし

Description

本発明は発泡成形用オレフィン系樹脂組成物に関する。
従来より、自動車部品、家電部品等には、軽量化、高剛性化や衝撃吸収などの目的でオレフィン系樹脂からなる発泡体が広く用いられており、軽量化の観点から、高発泡倍率の発泡体の開発が望まれている。
発泡性を改良して高発泡倍率の発泡体を得るためには、溶融樹脂のメルトテンションを高くすればよいことが知られている。
例えば、ポリプロピレン樹脂とペルオキシジカーボネートとを溶融混練して得られるメルトテンションが高い改質ポリプロピレン系樹脂組成物(メルトテンション:3〜20g)を用いて得られる発泡体が知られているが(特許文献1参照)、該樹脂組成物の結晶化温度幅(後述のTc1−Tc2)は10℃であるため、該発泡体の発泡倍率は2程度であり、さらに高発泡倍率の発泡体を与える樹脂組成物の開発が望まれていた。
特開2002−53714
本発明の目的は、高発泡倍率の発泡体を与える発泡成形用オレフィン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記したような問題を解決し得る発泡成形用オレフィン系樹脂組成物を見出すべく、鋭意検討を重ねた結果、結晶化温度幅が12以上のオレフィン系樹脂を含有する樹脂組成物が、高発泡倍率の発泡体を与えることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記[1]〜[6]に係るものである。
[1]示差走査熱量計(DSC)によって200℃から40℃まで10℃/分で降温して測定した時に得られるDSC結晶化発熱曲線において、少なくとも1個以上の結晶化発熱ピークを有し、2%結晶化する温度をTc1、98%結晶化する温度をTc2としたとき、Tc1−Tc2≧12℃を満足し、メルトテンションが0.5g以上であるオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする発泡成形用オレフィン系樹脂組成物。
[2]オレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂である[1]記載の樹脂組成物。
[3][1]または[2]記載の樹脂組成物を溶融して溶融樹脂組成物を得、該溶融樹脂組成物に発泡剤を混合して混合物を得、該混合物を発泡成形して得られることを特徴とする発泡体。
[4]発泡剤が、超臨界状態の二酸化炭素および/または超臨界状態の窒素である[3]記載の発泡体。
[5]射出機シリンダ内で溶融樹脂組成物と発泡剤とを混合する[3]または[4]記載の発泡体。
[6]スキン層を有し、かつ発泡倍率が1.5倍以上である[3]〜[5]記載の発泡体。
本発明によれば、高発泡倍率の発泡体を与える発泡成形用オレフィン系樹脂組成物を提供することが可能となる。
DSCによる結晶化発熱曲線を示す図である。 DSCによる積算結晶化発熱量と温度の関係を示す図である。 熱可塑性樹脂発泡成形体の作成時に用いた成形体の外観図である。
本発明のオレフィン系樹脂は、示差走査熱量計(DSC)によって200℃から40℃まで10℃/分で降温して測定した時に得られるDSC結晶化発熱曲線において、少なくともひとつ以上の発熱ピークを有し、2%結晶化する温度をTc1、98%結晶化する温度をTc2としたとき、Tc1−Tc2≧12℃であることが必要であり、好ましくはTc1−Tc2≧13℃である。
オレフィン系樹脂のTc1−Tc2が12℃未満であると、発泡に適性な結晶化挙動を示す温度範囲幅が狭くなり、高発泡倍率の発泡体を得ることができない。
図1は、結晶化発熱曲線を示す図である。結晶化発熱曲線の測定には、示差走査熱量計(DSC)(パーキンエルマー社製DSC7型)を用いる。
結晶化発熱曲線は、熱プレス成形した厚さ0.2mmのシート10mg程度を用いて窒素雰囲気下で200℃、5分間溶融した後、10℃/分の降温速度で40℃まで降温させることにより得られる。
図2は、DSCによる積算結晶化発熱量と温度の関係を示す図であり、図1の結晶化発熱曲線において、完全溶融状態から結晶化が開始し発熱がスタートする温度と結晶化が完全に完了し未溶融状態となった温度との接線でベースラインを引き、この温度間での全結晶化発熱量に対し、降温側からの積算結晶化発熱量の割合を示した図である。
本発明で用いるオレフィン系樹脂は、高発泡倍率の発泡体を製造するために、メルトテンションが0.5g以上であることが必要であり、0.7g以上であることが好ましく、0.8g以上であることがより好ましい。メルトテンションが0.5g未満であると、発泡時の樹脂が発泡剤を保持できず気泡が破れたり、気泡膜が引きちぎられたりするため良好な発泡体を製造することができない。
また、メルトテンションの上限値は、特に限定されるものではないが、成形加工上、30g以下であることが好ましい。30gを超えると成形加工性が低下する傾向がある。
本発明で用いられるオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1などの炭素数が20以下のα−オレフィンの単独重合体、該α−オレフィンの中から選ばれる少なくとも2種類のモノマーを共重合してなる共重合体、該α−オレフィンと、該α−オレフィンと共重合可能な他の不飽和単量体との共重合体、これらの2種類以上の混合物などが挙げられる。
他の不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸のアルキルエステル誘導体;フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸または酸無水物;アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、マレイン酸のモノまたはジエチルエステル、N−フェニルマレイミド、N,N’−メタフェニレンビスマレイミド等の不飽和カルボン酸または不飽和ジカルボン酸の誘導体等が挙げられる。
オレフィン系樹脂の中でも、ポリプロピレン系樹脂が好ましく使用される。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、エチレン及び炭素数4〜12のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体などが挙げられる。前記の単独重合体または共重合体は、単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。ここで、炭素数4〜12のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどを挙げることができる。
エチレン及び炭素数4〜12のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体は、プロピレンから誘導される繰り返し単位(以下、「プロピレン単位」と称することがある)を、該共重合体100重量%に対して少なくとも50重量%含む共重合体であることが好ましい。
共重合体中のエチレンや炭素数4〜12のα−オレフィンから誘導される繰り返し単位の量を選択することにより、該共重合体の柔軟性や耐衝撃性を制御することができる。
また、該共重合体がプロピレン単位以外に2種以上の繰り返し単位を有する場合には、そのプロピレン単位以外の繰り返し単位の合計量は35重量%以下であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の具体例としては、(i)プロピレンの単独重合体、(ii)プロピレンとエチレンとのランダム共重合体、(iii)プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、(iv)プロピレンとエチレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、および(v)プロピレンとエチレンとのブロック共重合体などが挙げられる。ここで、α−オレフィンとしては、炭素数4〜12のα−オレフィンが挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂のJIS K6758に基づいて測定したメルトフローレート(MFR)は、1〜100g/10分であることが好ましく、成形加工性の観点から5〜100g/10分がより好ましく、8〜100g/10分であることがさらに好ましい。
本発明で用いられるオレフィン系樹脂を製造する方法は、特に限定されない。
オレフィン系樹脂の代表例であるポリプロピレン系樹脂の製造方法としては、例えば、重合の操作を2以上の多段階に分けて行なう方法などが挙げられる。該製造方法は、第一段階でプロピレンを主成分とするモノマーを重合して超高分子量成分である極限粘度が5dl/g以上の結晶性ポリプロピレン系重合体(I)を製造し、第二段階以降でプロピレンを主成分とするモノマーを重合して極限粘度が3dl/g未満の結晶性ポリプロピレン系重合体(II)を連続的に製造する方法である。かかる方法により得られる超高分子量成分が導入されたポリプロピレン系樹脂は、溶融粘度の観点から、前記重合体(I)の含量が0.05重量%以上35重量%未満、樹脂全体の極限粘度が3dl/g未満、Mw/Mnが10未満であることが好ましい。
また、ポリプロピレン系樹脂の製造方法としては、例えば、特開昭62−121704号公報に記載の低レベルの放射線による架橋によって長鎖分岐を導入させる方法、ポリプロピレン系樹脂とラジカル重合性単量体とラジカル開始剤を反応させる方法、樹脂の主鎖切断が優先的に起こらない程度の温度条件下でポリプロピレン系樹脂とラジカル開始剤とを混合させる方法などが挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂は、主としてその端部に長鎖分岐を有する枝別れ状構造を有するものであることが好ましい。
本発明においては、前記のポリプロピレン系樹脂に代表されるオレフィン系樹脂は、単独で用いられてもよいし、特定の結晶化温度幅および特定のメルトテンションを有しないオレフィン系樹脂とを混合して用いてもよい。
樹脂を混合する場合、その混合方法としては、例えば、ドライブレンド、単軸または2軸押出機による混練などの方法が挙げられる。
本発明で用いられるオレフィン系樹脂には、本発明の目的を損なわない限り、他の樹脂および/またはエラストマーを用途に応じて適宜添加してもよい。
具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、α−オレフィンの炭素数が4〜12であるエチレン−α−オレフィン共重合体、α−オレフィンの炭素数が4〜12であるプロピレン−α−オレフィン共重合体、α−オレフィンの炭素数が4〜12であるエチレン−プロピレン−α−オレフィン共重合体、スチレン−ブタジエンジブロック共重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体の水素添加物、スチレン−イソプレンジブロック共重合体の水素添加物、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体の水素添加物、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテンなどが挙げられる。これらの樹脂および/またはエラストマーは単独でも、2種以上の混合物を添加してもよい。
これらのオレフィン系樹脂以外の樹脂および/またはエラストマーは、結晶化温度幅やメルトテンションの制御を目的として添加されてもかまわない。
本発明のオレフィン系樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ワラストナイト、硫酸バリウム、ガラス繊維、カーボン繊維、シリカ、ケイ酸カルシウム、チタン酸カリウム、ウォラストナイト等の無機充填材などが含有されていてもよい。上記した無機充填剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。
また、本発明のオレフィン系樹脂組成物には、さらに、発明の目的を損なわない範囲で、各種の添加剤が含有されていてもよい。
添加剤の具体的としては、フェノール系、有機ホスファイト系、ホスナイトなどの有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の熱安定剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アルカリ土類金属塩のカルボン酸塩系等の塩素補足剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;オキシド系、ハイドロタルサイト系等の分解剤;ヒドラジン系、アミン系等の金属不活性剤;含臭素有機系、リン酸系、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、赤リン等の難燃剤;有機顔料;無機顔料;有機充填剤;金属イオン系などの無機、有機抗菌剤、有機リン酸系、ソルビトール系化合物などの結晶核剤などが挙げられる。
本発明のオレフィン系樹脂組成物は、溶融して発泡剤と混合して発泡成形することにより発泡体を得ることができる。
本発明で使用される発泡剤は、特に限定されるものではなく、化学発泡剤、物理発泡剤などの公知のものを使用することができる。
化学発泡剤は、オレフィン系樹脂の溶融温度以下では分解せず、オレフィン系樹脂の溶融温度以上で分解または反応するものであれば特に限定されず、無機化合物であっても、有機化合物であってもよく、2種以上を併用してもよい。
無機化合物としては、例えば、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩、炭酸アンモニウムなどが挙げられる。
有機化合物としては、例えば、ポリカルボン酸、アゾ化合物、スルホンヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、イソシアネート化合物などが挙げられる。
ポリカルボン酸としては、例えば、クエン酸、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸などが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)などが挙げられる。
スルホンヒドラジド化合物としては、例えば、p−メチルウレタンベンゼンスルホニルヒドラジド、2,4−トルエンジスルホニルヒドラジド、4,4´−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドなどが挙げられる。
ニトロソ化合物としては、例えば、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)などが挙げられる。
物理発泡剤としては、例えば、窒素、二酸化炭素等の不活性ガス、ブタン、ペンタン等のフロン系以外の揮発性有機化合物などが挙げられる。物理発泡剤は2種以上を併用してもよく、化学発泡剤と物理発泡剤を併用してもよい。
本発明で用いられる発泡剤は、不活性ガスであることが好ましい。不活性ガスは、対象となる樹脂に対し反応性を示さず、樹脂を劣化させる恐れのない、常温常圧でガス状の無機物質であることが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、酸素等が挙げられる。これらは、単独でも、2種類以上を併用してもよい。これらの中で、二酸化炭素、窒素、これらの混合物は安価であり安全性が高いため、好ましく用いられ、超臨界状態の二酸化炭素、超臨界状態の窒素、これらの混合物が、より好ましく用いられる。
発泡成形の方法としては、前記オレフィン系樹脂を用いる限り、特に限定されない。具体的には、例えば、射出発泡成形、プレス発泡成形、押出発泡成形、スタンパブル発泡成形、加熱発泡成形などの公知の方法を採用することができる。
発泡成形方法の中で、射出発泡成形は、射出発泡成形は、射出成形装置の金型のキャビティ内に、発泡剤として不活性ガスが溶解した溶融樹脂を充填して、金型内で同溶融樹脂を発泡させ、次いで発泡樹脂を冷却、固化して発泡成形品を得る工程の中で、溶融樹脂を射出するとともにスキン層を形成させる工程が含まれるため、容易に安定してスキン層を有する発泡体を形成することができるため好適である。
射出発泡成形による発泡方法は、特に限定されるものでなく、例えば、金型キャビティに発泡剤を含む樹脂の充填終了直後の時点で、該キャビティ容積すべてが樹脂で充填され、冷却に伴う樹脂の収縮体積分を、発泡剤のガスを膨張させて発泡させる方法(フルパック法)、金型キャビティの容積より少ない体積の発泡剤を含む樹脂を射出し、発泡剤のガスの膨張により金型キャビティに樹脂を充填させ発泡させる方法(ショートショット法)、金型キャビティに発泡剤を含む樹脂を射出し、しかる後金型のキャビティ壁面を後退させて該キャビティ容積を拡大させ、発泡剤のガスを膨張させ金型内の樹脂を発泡させる方法(コアバック法)、金型に油圧装置を取り付け金型キャビティに発泡剤を含む樹脂を射出し、樹脂充填後油圧装置により金型のキャビティ壁面を部分的に後退させ発泡剤のガスを膨張させ金型内の樹脂を発泡させる方法などが挙げられる。
本発明においては、容易にスキン層を有する発泡体が得られるとともに、発泡体全体の発泡倍率が容易に制御できるという観点から、射出成形装置の金型のキャビティ内に、発泡剤が混合・溶解した溶融樹脂を充填し、溶融樹脂の充填後、金型キャビティ容積を拡大することで同溶融樹脂を発泡せしめ、次いで発泡樹脂を冷却、固化して発泡体を得るコアバック法が好ましい。
また、金型キャビティに発泡剤を含む樹脂の射出終了直後の時点で、該キャビティ容積すべてが樹脂で充填され、冷却に伴う樹脂の収縮体積分を、発泡剤のガスを膨張させ発泡させる低発泡層を形成した後、さらに金型キャビティ容積を拡大することで発泡倍率を高くする方法や、金型キャビティに発泡剤を含む樹脂を射出し、しかる後金型のキャビティ壁面を目的の発泡体よりも小さな容積となるように、金型壁面を微少量後退させて該キャビティ容積を拡大させ、発泡剤のガスを膨張させ金型内の樹脂を発泡させた後、さらに金型キャビティ容積を拡大することで発泡倍率を高くする方法なども好適に用いられる。
金型キャビティに発泡剤を含む樹脂の充填中の金型キャビティ容積の縮小/拡大については特に限定されるものでなく、例えば、溶融樹脂の充填開始から充填完了まで金型キャビティ容積を一定としていてもよいし、溶融樹脂の充填開始と充填完了時の金型キャビティ容積が異なっていてもよい。
該射出発泡成形法は、ガスアシスト成形、メルトコア成形、インサート成形、2色成形等の如何なる方法と組み合わされて実施されてもよい。
本発明におけるオレフィン系樹脂と発泡剤との混合方法は、公知の如何なる方法を用いてもよいが、発泡剤として、窒素および/または二酸化炭素を超臨界状態で射出成形装置のシリンダ内に注入して、溶融樹脂と窒素および/または二酸化炭素を混合、分散、溶解させる方法が、発泡体が全体的に均一な発泡状態となり、また成形サイクル短縮の観点からも好ましい。
発泡剤として超臨界状態の窒素および/または二酸化炭素を用いると、ガスの樹脂への溶解性速度が高く、短時間で物理発泡剤を樹脂中に均一に拡散させることが可能で、発生する発泡セル数を増加させる効果があるため、良好な発泡セル構造をもつ発泡体が得られる。さらには発泡剤としての超臨界状態の窒素および/または二酸化炭素は、樹脂への溶解度が高いので、樹脂中へ多量の発泡剤を含むことが可能となり、高発泡倍率の発泡体を得られるため好ましく用いられる。
このようにして得られる発泡体は、上記オレフィン系樹脂を用いる限り、特に限定されず、その形状も、特に限定されず、公知の如何なる形状のものであってもよい。
該発泡体は、軽量かつ剛性に優れ、さらには衝撃吸収等の高付加価値をもつためにスキン層を有することが好ましい。スキン層を有さない場合、特に軽量化と高剛性を両立することが困難となる傾向がある。
該発泡体は、軽量化と高剛性化の両立の観点から、スキン層と低発泡層と高発泡層の3種の層から構成されていることがより好ましい。
該発泡体の発泡倍率は、発泡体の比重計で比重を測定し、未発泡体の比重を発泡体の比重で割った値として求められ、1.5倍以上であることが好ましく、更なる軽量化のためには2.0倍以上であることがより好ましい。
該発泡体は、成形体全体が前記したようなスキン層を有し、かつ発泡倍率が1.5倍以上である必要はなく、成形体としての主要部分が前記したような部分で構成されていればよい。また、発泡体の使用目的によってはこのような発泡部分あるいは非発泡部分には、同一材料または金属や木材等の異種材料からなる別部品が一体的に取り付けられていてもよい。さらには、発泡体表面の所望の位置にオレフィン系樹脂からなるシートやフィルム、あるいは織布、不職布棟の表皮材が貼合されていてもよい。
本発明の発泡成形用オレフィン系樹脂組成物は、幅広い成形温度範囲と高発泡倍率に必要な溶融張力を兼ね備え、成形加工性に優れており、軽量かつ剛性に優れ、さらには衝撃吸収等の高付加価値をもつ発泡体を提供することが可能である。
該発泡体は、その特性を生かして、自動車部品、家電部品、その他工業部品、日用品などの用途に好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明が実施例により限定されるものでないことは言うまでもない。
[評価方法]
メルトフローレート(MFR)(単位:g/10分)
実施例中の分析値は以下の方法で求めた。
JIS K7210に準拠して、プロピレンから誘導される繰り返し単位を主成分とする樹脂については温度230℃、荷重2.16kgfなる条件で測定した。
メルトテンション(単位:g)
東洋精機社製溶融張力測定機を用い、オリフィス:L/D=5 (D=2mm)、押出速度:10mm/分、引取速度:3m/分、測定温度:230℃、なる条件にて測定した。ただし、引取速度が3m/分未満でひも状ストランドが切断する場合は、切断直前の張力を測定し、これをメルトテンションとした。
発泡倍率
発泡体の発泡倍率は、比重計(ミラージュ貿易株式会社製、電子比重計 EW−200SG)で比重を測定し、未発泡体の比重を発泡体の比重で割った値で示した。
最大発泡倍率
後述する方法を用いて、オレフィン系樹脂の発泡成形可能な発泡体の最大の発泡倍率を示した。
3倍発泡倍率
後述した方法を用いて、発泡倍率3倍の発泡体の発泡状態を光学顕微鏡にて観察し、
◎ 気泡の状態が均一で、気泡の破れ、裂け等が見られない。
○ 気泡の状態が一部不均一であるが、気泡の破れ、裂け等が見られない。
△ 気泡の状態が不均一であり、気泡の破れ、裂け等が一部見られる。
× 気泡の破れ、裂け等が激しい、若しくは膨れが発生し、評価不可能である。
として評価した。
実施例1
オレフィン系樹脂として、直鎖状ホモポリプロピレン Z101S(三井住友ポリオレフィン社製 MFR 20g/10分)と長鎖分岐を有するホモポリプロピレン PF814(BASELL社製 MFR 2.2g/10分)を80/20の割合で混合して得られたポリプロピレン系樹脂の、メルトテンション、結晶化特性、MFRの測定を行った。結果を表1に示す。上記ポリプロピレン系樹脂を用い、射出成形機として、エンゲル社製ES2550/400HL−MuCell(型締力400トン)、金型として図3に示した、成形品部寸法が290mm×370mm、高さ45mm、厚み2mmtの箱型形状(ゲート構造:バルブゲート、成形体中央部分)を有するものを用いて発泡成形を実施した。発泡剤として超臨界状態の窒素を用い、成形機のシリンダ内に20MPaに加圧して供給した(発泡剤注入量 1.2%)。オレフィン系樹脂と発泡剤の混合物を成形温度200℃、型温60℃で、金型内にフル充填するように射出し、ついで、発泡樹脂が破断する、またはそれ以上発泡しなくなるまで金型のキャビティ壁面を後退させて該キャビティ容積を拡大させ発泡樹脂を冷却、固化させる方法で最大発泡倍率の評価を行った。また、金型のキャビティ壁面を3.9mm後退させて該キャビティ容積を拡大させ発泡樹脂を冷却、固化させ、発泡倍率3倍の発泡体を得、発泡状態の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
オレフィン系樹脂として、直鎖状ホモポリプロピレン Z101S(三井住友ポリオレフィン社製 MFR 20g/10分)と長鎖分岐を有するホモポリプロピレン PF814(BASELL社製 MFR 2.2g/10分)を90/10の割合で混合して得られたポリプロピレン系樹脂を用いた以外は実施例1と同様の方法で最大発泡倍率の評価を実施し、発泡倍率3倍の樹脂発泡体を得て発泡状態の評価を実施した。結果を表1に示す。
比較例1
オレフィン系樹脂として、直鎖状ホモポリプロピレン Y101(三井住友ポリオレフィン社製 MFR 13g/10分)を用いた以外は実施例1と同様の方法で最大発泡倍率の評価を実施した。発泡倍率3倍の系樹脂発泡体の成形は不可能であった。結果を表1に示す。
比較例2
オレフィン系樹脂として、直鎖状プロピレン−エチレンランダムコポリマー Z144(三井住友ポリオレフィン社製 MFR 20g/10分)を用いた以外は実施例1と同様の方法で最大発泡倍率の評価を実施した。発泡倍率3倍の樹脂発泡体を得て発泡状態の評価を実施した。結果を表1に示す。
比較例3
オレフィン系樹脂として、直鎖状ホモポリプロピレン Z101S(三井住友ポリオレフィン社製 MFR 20g/10分)と直鎖状ホモポリプロピレン D101(三井住友ポリオレフィン社製 MFR 1g/10分)を80/20の割合で混合して得られたポリプロピレン系樹脂を用いた以外は実施例1と同様の方法で最大発泡倍率の評価を実施し、発泡倍率3倍の樹脂発泡体を得て発泡状態の評価を実施した。結果を表1に示す。
Figure 2011089140

Claims (6)

  1. 示差走査熱量計(DSC)によって200℃から40℃まで10℃/分で降温して測定した時に得られるDSC結晶化発熱曲線において、少なくとも1個以上の結晶化発熱ピークを有し、2%結晶化する温度をTc1、98%結晶化する温度をTc2としたとき、Tc1−Tc2≧12℃を満足し、メルトテンションが0.5g以上であるオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする発泡成形用オレフィン系樹脂組成物。
  2. オレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1または2記載の樹脂組成物を溶融して溶融樹脂組成物を得、該溶融樹脂組成物に発泡剤を混合して混合物を得、該混合物を発泡成形して得られることを特徴とする発泡体。
  4. 発泡剤が、超臨界状態の二酸化炭素および/または超臨界状態の窒素である請求項3記載の発泡体。
  5. 射出機シリンダ内で溶融樹脂組成物と発泡剤とを混合する請求項3または4記載の発泡体。
  6. スキン層を有し、かつ発泡倍率が1.5倍以上である請求項3〜5記載の発泡体。
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