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JP2011050045A - フィルタ装置 - Google Patents

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JP2011050045A JP2010166061A JP2010166061A JP2011050045A JP 2011050045 A JP2011050045 A JP 2011050045A JP 2010166061 A JP2010166061 A JP 2010166061A JP 2010166061 A JP2010166061 A JP 2010166061A JP 2011050045 A JP2011050045 A JP 2011050045A
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Abstract

【課題】 通過帯域の外側の減衰が急峻かつ減衰量の大きい、UWB用に適したフィルタ装置を提供する。
【解決手段】 誘電体層1aが積層された積層体1を挟んで対向する第1の接地電極2aおよび第2の接地電極2bと、互いに電磁界結合するように横並びに整列され、一方端が短絡端で他方端が開放端である3個以上の共振器電極3a〜3dと、共振器電極3a〜3dとの間に誘電体層1aを挟んで配置され、一端および他端がそれぞれ初段および最終段の共振器電極3a,3dの短絡端部と対向してその短絡端に電気的に接続された結合電極4と、初段および最終段の共振器電極3a,3dに電磁界結合する入力端子5および出力端子6とからなり、共振器電極3は、結合電極と入力端子電極および出力端子電極とに挟まれた部分に切欠きまたは開口8を有するフィルタ装置である。通過帯域の高域側の減衰が急峻かつ減衰量の大きいフィルタ装置となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば携帯電話,無線LAN(Local Area Network),UWB(Ultra Wide
Band)等の無線通信機器その他の各種通信機器等において使用されるフィルタ装置に関
するものである。
近年、携帯電話機や無線LAN等の様々な用途で無線通信機器が用いられるようになっており、各無線通信機器において使用される周波数が互いに近くなっていることから、これらの無線通信機器には、所望周波数帯域の信号のみを選択的に通過させるとともに、通過帯域の低周波側および高周波側に近接した信号帯域における不所望信号の混入を防止して良質の通信を行ない得るようにするために、通過周波数帯域の低周波側および高周波側の減衰帯域にそれぞれ減衰極を備えた帯域通過特性を有するフィルタ装置が搭載されている。
情報伝送容量の増加に伴い、無線通信機器は使用可能な周波数帯域において、高周波化と広帯域化とで利用帯域幅を拡張して情報伝送容量を確保するようになってきている。そのため、通過帯域が広く、かつ通過帯域の近傍に減衰極を有する(急峻な減衰特性を有する)フィルタ装置が求められるようになってきている。
例えば、新しい通信手段として着目されているUWBは、10m程度の短い距離において広い周波数帯域を使用して大容量のデータ転送を実現するものであり、例えば米国FCC(Federal Communication Commission)の規定によると3.1〜10.6GHzという非常に広
い周波数帯域を使用する計画となっている。そして、日本では、無線LANのIEEE802.11.aにおいて使用される5.15GHz〜5.25GHzを避ける形で、3.4GHz〜4.8GH
z程度の帯域を使用するローバンドと7.25GHz〜10.25GHz程度の帯域を使用するハ
イバンドとに分割された規格が立案されている。このため、ローバンド用のフィルタであれば、3.4GHz〜4.8GHz程度の広い帯域を使用する(この帯域の周波数の信号を通過させる)のに対して、わずかに0.35GHzしか離れていない5.15GHzでは減衰するという非常に急峻な減衰特性が求められている。
このような広帯域で通過帯域の両側近傍に減衰極を有するバンドパスフィルタの要求に対して、図12に示すような、複数の共振電極3a〜3dの短絡端を電気的に接続する結合電極4を備えたフィルタ装置が提案されている。このフィルタ装置においては、結合電極4を備えていることにより、複数の共振電極3a〜3d間において、容量性の結合だけでなく誘導性の結合も生じさせることができる。これにより、所定の通過帯域近傍の周波数帯域における信号を急峻に減衰させることができるというものである(特許文献1を参照。)。
特開2008−118615号公報
しかしながら、近年、所定の通過帯域を除く周波数帯域における信号をより大きく減衰させることが求められている。従来のフィルタ装置においては、結合電極によって通過帯域近傍の周波数帯域における信号を急峻に減衰させることができるが、この結合電極によ
ってλ/2共振が生じるものであった。このλ/2共振が生じると、減衰特性に跳ね上がりが生じるので、例えば、ローバンド用とハイバンド用との両方を備えたデュアルバンドのフィルタ装置とした場合には、ローバンド用フィルタにおいて発生したλ/2共振によって、ハイバンド用のフィルタによる通過帯域の外側において、減衰が急峻でなくなったり共振が発生したりしてしまう、あるいは、通過帯域においても共振によるノイズが発生してしまう場合があるという問題点があった。
本発明は上記課題に鑑みて案出されたものであり、その目的は、λ/2共振による高調波成分を小さくすることにより、所定の通過帯域を除く周波数帯域における信号をより大きく減衰することのできる、例えばUWB用途にも好適に用いることのできるフィルタ装置を提供することにある。
本発明のフィルタ装置は、複数の誘電体層が積層されてなる積層体と、該積層体を挟んで対向するように配置された第1の接地電極および第2の接地電極と、前記積層体内において互いに電磁界結合するように平面視で横並びに整列され、それぞれ一方端が短絡端で他方端が開放端である3つ以上の複数の共振器電極と、前記積層体内において前記共振器電極との間に前記誘電体層を挟んで前記第2の接地電極側に配置され、一端が初段の前記共振器電極の短絡端部と対向するとともに対向する前記共振器電極の短絡端に電気的に接続され、他端が最終段の前記共振器電極の短絡端部と対向するとともに対向する前記共振器電極の短絡端に電気的に接続された結合電極と、前記初段の共振器電極に沿った形状で、前記誘電体層を挟んで前記初段の共振器電極と対向するように前記第1の接地電極側に配置されて前記初段の共振器電極と電磁界結合する入力端子電極と、前記最終段の共振器電極に沿った形状で、前記誘電体層を挟んで前記最終段の共振器電極と対向するように前記第1の接地電極側に配置されて前記最終段の共振器電極と電磁界結合する出力端子電極とからなるフィルタ装置であって、前記共振器電極は、前記結合電極と前記入力端子電極とに挟まれた部分、および前記結合電極と前記出力端子電極に挟まれた部分のうち少なくとも一方の部分に切欠きまたは開口を有することを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、前記共振器電極を平面視した場合に、複数の前記共振器電極を取り囲むように内部接地電極が形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記各構成において、前記第2の接地電極と前記共振器電極との間において前記誘電体層を挟んで前記第2の接地電極と対向するとともに、複数の前記共振器電極の開放端にそれぞれ電気的に接続された複数の容量電極を有することを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、前記共振器電極を平面視した場合に、複数の前記共振器電極を取り囲むように内部接地電極が形成され、前記容量電極の一部が前記誘電体層を挟んで前記内部接地電極と対向するように配置されていることを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、前記共振器電極は前記切欠きを有しており、前記切欠きは前記共振電極の一対の側辺のうち片側側辺にのみ設けられており、前記入力端子電極または前記出力端子電極の幅と前記結合電極の幅とが前記切欠きの幅より狭いとともに、前記入力端子電極または前記出力端子電極の一対の側辺と前記結合電極の一対の側辺とが平面視において前記切欠き内に位置していることを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、前記共振電極は前記開口を有しており、前記入力端子電極または前記出力端子電極の幅と前記結合電極の幅とが前記開口の幅より狭いとともに、前記入力端子電極または前記出力端子電極の一対の側辺と前記結合電極の一対の側辺とが平面視において前記開口内に位置していることを特徴とするものである。
本発明のフィルタ装置によれば、共振器電極は、結合電極と入力端子電極とに挟まれた部分、および結合電極と出力端子電極に挟まれた部分のうち少なくとも一方の部分に切欠きまたは開口を有することから、結合電極と入力端子電極および出力端子電極の少なくとも一方とが切欠きまたは開口を通して容量結合することで電磁界結合が強まるので、結合電極を通る信号の位相を変えることができる。これにより、結合電極によるλ/2共振を低減することができ、所定の通過帯域を除く周波数帯域において減衰特性の跳ね上がりが抑えられたフィルタ装置とすることができる。
また、本発明のフィルタ装置によれば、上記構成において、共振器電極を平面視した場合に、複数の共振器電極を取り囲むように内部接地電極が形成されているときには、内部接地電極が複数の共振器電極の周囲を環状に取り囲むことによって、共振器電極から発生する電磁波の周囲への漏洩を低減することができる。この効果は、モジュール基板の中の一部の領域に本発明のフィルタ装置が形成される場合に、モジュール基板の他の領域への悪影響を防止する上で特に有用である。
また、本発明のフィルタ装置によれば、上記各構成において、第2の接地電極と共振器電極との間において誘電体層を挟んで第2の接地電極と対向するとともに、複数の共振器電極の開放端にそれぞれ電気的に接続された複数の容量電極を有するときには、容量電極と第2の接地電極との距離は共振器電極と第2の接地電極との距離より短くなり、これにより共振器電極と第2の接地電極との間の結合がより強くなり、共振器電極の容量結合が強化されるので、各共振器電極の長さを短縮することができ、より小型のフィルタ装置を提供することができる。
また、本発明のフィルタ装置によれば、上記構成において、共振器電極を平面視した場合に、複数の前記共振器電極を取り囲むように内部接地電極が形成され、容量電極の一部が誘電体層を挟んで内部接地電極と対向するように配置されているときには、内部接地電極は共振器電極が形成された誘電体層間と同じ誘電体層間に形成されており、容量電極を内部接地電極と結合させるように対向させると共振器電極と容量電極との電気的接続を行なう貫通導体等の配線長を短くすることができるので、この配線による不要なインダクタンスを減らすことができ、電極間の配線のインダクタンスによる副次的な共振のない優れたフィルタ特性を有するフィルタ装置とすることができる。
また、本発明のフィルタ装置によれば、上記構成において、共振器電極は切欠きを有しており、切欠きは共振電極の一対の側辺のうち片側側辺にのみ設けられており、入力端子電極または出力端子電極の幅と結合電極の幅とが切欠きの幅より狭いとともに、入力端子電極または出力端子電極の一対の側辺と結合電極の一対の側辺とが平面視において切欠き内に位置しているときには、結合電極と共振器電極との容量結合を小さくするとともに、入力端子電極または出力端子電極と共振器電極との容量結合を小さくすることができ、結合電極と入力端子電極または出力端子電極との容量結合を増大させることができる。これによって、結合電極によるλ/2共振を低減させることができ、所定の通過帯域を除く周波数帯域において減衰特性の跳ね上がりが抑えられたフィルタ装置とすることができる。
また、本発明のフィルタ装置によれば、上記構成において、共振電極は開口を有してお
り、入力端子電極または出力端子電極の幅と結合電極の幅とが開口の幅より狭いとともに、入力端子電極または出力端子電極の一対の側辺と結合電極の一対の側辺とが平面視において開口内に位置しているときには、結合電極と共振器電極との容量結合を小さくするとともに、入力端子電極または出力端子電極と共振器電極との容量結合を小さくすることができ、結合電極と入力端子電極または出力端子電極との容量結合を増大させることができる。これによって、結合電極によるλ/2共振を低減させることができ、所定の通過帯域を除く周波数帯域において減衰特性の跳ね上がりが抑えられたフィルタ装置とすることができる。
本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を模式的に示す分解斜視図である。 (a)は図1に示すフィルタ装置の共振器電極を示す平面図であり、(b)〜(d)は、それぞれ本発明のフィルタ装置の共振器電極の他の例を示す平面図である。 (a)は図1に示すフィルタ装置の要部を拡大して示す平面図であり、(b)〜(e)は、それぞれ本発明のフィルタ装置の他の例の要部を拡大して示す平面図である。 本発明のフィルタ装置の実施の形態の他の一例を模式的に示す分解斜視図である。 図4に示すフィルタ装置のA−A断面の一例を示す断面図である。 本発明のフィルタ装置の実施の形態の他の一例を模式的に示す分解斜視図である。 本発明のフィルタ装置の実施の形態の他の一例を模式的に示す分解斜視図である。 本発明のフィルタ装置の実施の形態の他の一例を模式的に示す分解斜視図である。 本発明のフィルタ装置の伝送特性のシミュレーション結果を示す図である。 本発明の他のフィルタ装置の伝送特性のシミュレーション結果を示す図である。 本発明のさらに他のフィルタ装置の伝送特性のシミュレーション結果を示す図である。 従来のフィルタ装置を示す分解斜視図である。
本発明のフィルタ装置について以下に詳細に説明する。図1〜図8において、1aは誘電体層、1は誘電体層1aが積層されてなる積層体、2aは第1の接地電極、2bは第2の接地電極、2cは内部接地電極、3a〜3dは共振器電極、3aは初段の共振器電極、3dは最終段の共振器電極、4は結合電極、5は入力端子電極、5aは外部入力端子電極、5bは内部入力端子電極、6は出力端子電極、6aは外部出力端子電極、6bは内部出力端子電極、7は容量電極、8は切欠きまたは開口、9は第2容量電極である。また、図1,図4および図6〜8において、破線は、誘電体層1aの上下に位置する導体層(例えば初段の共振器電極3aと入力端子電極5)を電気的に接続するための誘電体層1aを貫通する貫通導体があることを示している。
図1に示す例では、積層体1は4層の誘電体層1aが積層されて構成されており、4つの共振器電極3a〜3dが、短絡端と開放端とが交互に入れ替わるように配置された、いわゆるインターデジタル型に配置された例を示している。誘電体層1aの層数は、誘電体層1aの厚みや比誘電率等によって適宜変えることができる。結合電極4は、4つの共振器電極3a〜3dがインターデジタル型に配置されているので、一端が初段の共振器電極3aの短絡端部と対向し、他端が最終段の共振器電極3dの短絡端部と対向するには、図
1に示す例のようなクランク型となる。同じ4つの共振器電極3a〜3dであっても、短絡端および開放端の向きが同じ、いわゆるコムライン型に配置されている場合であれば、結合電極4はコの字型(C字型)となる。同様に、共振器電極の配置が同じインターデジタル型の配置の場合でも、その数が5つ等の奇数である場合にも、結合電極4はコの字型(C字型)となる。このように、結合電極4の形状は共振器電極の配置と数に応じた形状となる。そして、初段の共振器電極3aおよび最終段の共振器電極3dには、それぞれ結合電極4と入力端子電極5とで挟まれる位置および結合電極4と出力端子電極6とで挟まれる位置に開口8が設けられている。
共振器電極3a〜3dは、積層体1の1つの誘電体層1a・1a間に横並びに整列させて配置されて、相互に電磁界結合(エッジ結合)している。隣り合う共振器電極3a・3b,3b・3c,3c・3d同士の間隔は、小さい方が強い結合が得られ、容易に通過帯域を広くできるので好ましいが、短絡端から開放端までの間において互いに短絡しないようにして等間隔に良好に形成するには、例えば0.05〜0.5mm程度に設定される。横並び
に配置されて相互に電磁界結合するためには、共振器電極3a〜3dの形状は細長い帯状のものであるのが好ましい。
共振器電極3a〜3dは、積層体1内において互いに電磁界結合するように平面視で横並びに整列されていればよい。通常は、例えば図1に示すように、4つの共振器電極3a〜3dが1つの誘電体層1a・1a間に配置されるが、共振器電極3a,3cを1つの誘電体層1a・1a間に配置し、共振器電極3b,3dを誘電体層1aを1層介した別の誘電体層1a・1a間に配置してもよい。ただし、このように配置すると、隣り合う共振器電極間における短絡がないのでその形成は容易になるので好ましいが、誘電体層1aの層数が増加してフィルタ装置の厚みは厚いものとなる。
また、図1,図2,図4および図6〜8に示す例のように、共振器電極3a〜3dをインターデジタル型に配置したときには、共振器電極3a〜3d間の結合は、磁界による結合と電界による結合とが加算されることによって各共振器電極3a〜3d間においてより強い結合が生じることによって、それぞれの共振モードにおける共振周波数の間の周波数間隔を、従来の1/4波長共振器を利用したフィルタで実現可能であった帯域を超えて調整することができ、広帯域な通過帯域を有するフィルタ装置とすることができる。また、インターデジタル型に配置された共振器電極3a〜3d間の結合は強い磁界結合となり、共振器電極3a〜3dのパターン幅を小さくして磁界を強める必要がないので、共振器電極3a〜3dのパターン幅を大きくすることによって、共振器電極3a〜3dの電気抵抗を小さくし、共振器の急峻性共振の鋭さを示すQ値(quality factor)を高くすることができる。その結果、広い通過帯域を有し急峻な減衰特性を有する、例えばUWB用途のバンドパスフィルタに適したフィルタ装置とすることができる。
また、共振器電極3a〜3dをコムライン型に配置したときは、インターデジタル型と比べて共振器電極3a〜3d間の結合が弱いことから、通過帯域が狭く急峻な特性が得られ、また各共振器電極3a〜3dのパターン幅を小さくできることによってより小型化できるため、携帯電話用や無線LAN等の比較的小型の無線機器に適したフィルタ装置となる。
図1,図2,図4および図6〜8に示す例では4つの共振器電極3a〜3dが設けられているが、共振器電極は5つ以上を設けてもよく、損失が大きくならない程度の個数であればよい。UWBのローバンド用途では、損失と減衰特性のバランスから、共振器電極は4つが好ましい。
共振器電極3a〜3dは、それぞれ上下に位置する第1の接地電極2aおよび第2の接
地電極2b(以下、第1の接地電極2aおよび第2の接地電極2bをまとめて接地電極2a,2bともいう)と共にストリップライン共振器を構成しており、短絡端が上下の接地電極2a,2bに接続されて接地電位に接続されることによって1/4波長共振器として機能する。共振器電極3a〜3dと上下の接地電極2a,2bとの接続は、図1,図2,図4および図6〜8に示すように、共振器電極3a〜3dを形成した層間に共振器電極3a〜3dの短絡端同士を接続するための導体層を設けて、この導体層と貫通導体(図示せず。)とによって接続したり、この導体層を誘電体層1aの端部まで延ばして誘電体層1aの端面(積層体1の側面)に形成した端面導体(図示せず)によって接続したりすればよい。共振器電極3a〜3dの短絡端同士を接続するための導体層を設けない場合は、共振器電極3a〜3dのそれぞれを貫通導体によって接地電極2a,2bに接続してもよいし、共振器電極3a〜3dの短絡端を誘電体層1aの端部まで延ばして、誘電体層1aの端面(積層体1の側面)に形成した端面導体によって接地電極2a,2bに接続してもよい。端面導体で接続すると、共振器電極3a〜3dから発生する電磁波の周囲への漏洩を低減するシールド層として端面導体を機能させることができ、貫通導体の場合でも、その間隔を小さくしたり、共振器電極3a〜3dの周りに二重以上に配列し、側面から見てできるだけ貫通導体を隙間なく配置したりすれば、同様にシールドの機能がより顕著になるので好ましい。図1,図2,図4および図6〜8に示す例のように、共振器電極3a〜3dの短絡端同士を接続するための導体層を設けると、共振器電極3a〜3dの短絡端を接地電極2a,2bに接続するのが容易となるので好ましい。
本発明のフィルタ装置では、このような共振器電極3a〜3dのうち、初段の共振器電極3aおよび最終段の共振器電極3dの少なくとも一方には、切欠きまたは開口8が設けられている。初段の共振器電極3aの切欠きまたは開口8は、結合電極4と入力端子電極5とが電磁界結合しやすいように、結合電極4と入力端子電極5とで挟まれる位置に形成して、これらが誘電体層1aを挟んで対向するように形成する。同様に、最終段の共振器電極3dの切欠きまたは開口8は、結合電極4と出力端子電極6とが電磁界結合しやすいように、結合電極4と出力端子電極6とで挟まれる位置に形成して、これらが誘電体層1aを挟んで対向するように形成する。
このような切欠きまたは開口8を設けると、結合電極4と入力端子電極5および出力端子電極6の少なくとも一方とが切欠きまたは開口8を通して容量結合することで電磁界結合が強まるので、結合電極4を通る信号の位相を変えることができる。
図2(a)は、図1に示す例のフィルタ装置の共振器電極3a〜3dおよび内部接地電極2cが形成された絶縁層1aを上面視した平面図であり、図2(b)〜図2(d)は、それぞれ他の例を示す同様の平面図である。
切欠きまたは開口8は、結合の弱い結合電極4と入力端子電極5または出力端子電極6との間の結合を強めるために設けるものであり、図2(a)に示す例のような開口8であってもよいし、図2(b)〜図2(d)に示す例のような切欠き8であってもよい。例えば図2(c)および(d)に示す例のように、初段の共振器電極3aの第2段の共振器電極3b側または最終段の共振器電極3dの第3段の共振器電極3c側に切欠き8を設けると、初段の共振器電極3aと第2段の共振器電極3bとの結合または最終段の共振器電極3dと第3段の共振器電極3cとの結合が減少することから、共振器電極3a〜3dと接地電極2a,2bとで形成される基本的なフィルタの中心周波数がずれたり、反射特性が変わったりするなどして通過帯域内のフィルタ特性が変わって、切欠き8を形成することによるフィルタ設計が複雑になってしまう場合がある。このことから、切欠き8を設ける場合は、図2(b)に示す例のように、隣り合う共振器電極3b,3bの側とは反対側に、すなわち横並びに配列された共振器電極3a〜3dの外側に設けることが好ましい。
無線LANやUWB用のフィルタ装置のような、高周波信号が共振器電極3a〜3dを伝送する場合では、電極の端部に電流が集中しやすくなる縁端効果がある。このことから、共振器電極3a〜3dの幅方向の端部に切欠き8があると、端部が屈曲するのでインピーダンスの不整合が起こりやすくなり、また共振器電極3a〜3dのインダクタンス成分が増加することから、フィルタの損失が増えることとなる。このため、図2(a)に示す例のように、共振器電極3a,3dには切欠き8よりも開口8を設けるのが好ましい。
図1,図2,図4および図6〜8に示す例では、いずれも切欠きまたは開口8は初段の共振器電極3aおよび最終段の共振器電極3dの両方に設けられているが、切欠きまたは開口8は少なくとも1つあれば上述したような効果は得られる。入力端子電極5と初段の共振器電極3aとの間の結合量と出力端子電極6と最終段の共振器電極3dとの間の結合量は、フィルタの入出力の電流のバランスを考えると同程度がよく、また、結合電極4と初段の共振器電極3aとの間の結合量と結合電極4と最終段の共振器電極3dとの間の結合量は、結合電極4に流れる電流のバランスを考えると同程度がよいことから、初段の共振器電極3aおよび最終段の共振器電極3dの両方に切欠きまたは開口8を設けるのが好ましい。また、同様の理由から、共振器電極3a,3dの切欠きまたは開口8の面積は同程度にするのが好ましく、切欠きまたは開口8の位置は、共振器電極3a,3dの一端および他端から同じ距離の位置に設けるのが好ましい。
共振器電極3a,3dにおいて線路の幅が大きく変わると、インピーダンスの不整合が大きくなり、抵抗成分が大きくなるので、切欠きまたは開口8を形成した残りの共振器電極3a,3dの幅があまり小さくならないように、切欠きまたは開口8の幅は小さい方がよい。具体的には、共振器電極3a,3dの幅に対する切欠きまたは開口8の幅は、50%程度以下であると上記のような影響が小さいのでよい。
また、線路の幅が急激に変わるとインピーダンスの変化が急激になるので、切欠きまたは開口8の形状は、切欠きまたは開口8を形成した残りの共振器電極3a,3dの幅が、段階的に、あるいは徐々に変化するような形状にするのが好ましい。開口の場合であれば、例えば、図3(a)に示す例のような長方形よりも、図3(b)や図3(d)に示す例のような六角形、あるいは図3(c)に示す例のような八角形、図3(e)に示す例のような楕円形、あるいはひし形や長円形等で共振器電極3a,3dの長さ方向に沿った形状がよい。また、切欠きの場合であれば、その形状は、上記形状の開口を長さ方向に平行な中心線で1/2とした形状、例えば三角形や台形とすればよい。このように、切欠きまたは開口8の形状を共振器電極3a,3dの長さ方向に沿った細長い形状とすることで、切欠きまたは開口8を形成した残りの共振器電極3a,3dの幅をあまり小さくすることなく、結合電極4と入出力電極5または出力端子電極6との結合を大きくすることができる。
さらに、開口8は、図3(a)〜(e)に示す例のように、共振器電極3a,3dの長さ方向に平行な中心線に対して対称な形状で、幅方向の中心に位置するように形成すると、開口8を挟んだ共振器電極3a,3dの両縁端部の幅が同じになるので、両縁端部に流れる電流分布が同等となり好ましい。
また、図1,図2,図4および図6〜8に示す例では、初段の共振器電極3aおよび最終段の共振器電極3dのそれぞれに1つの開口8を設けている。切欠きまたは開口8を複数設けてもかまわないが、共振器電極3a,3dの長さ方向に複数個の切欠きまたは開口8を並べて配置すると、共振器電極3a,3dのストリップ線路における信号の伝送方向に複数の不連続部ができてインピーダンスの不整合が生じてしまう。また、共振器電極3a,3dの幅方向に複数個の開口8または複数個の切欠き8と開口8を並べて配置すると、信号が伝送する線路の幅が小さくなりすぎて損失が大きくなる。よって、切欠きまたは
開口8は、共振器電極3a,3dにそれぞれ1つずつ設けるのがより好ましい。
切欠きまたは開口8の面積が大きいほど結合電極4と入力端子電極5または出力端子電極6との結合を強めることができるが、結合電極4と初段の共振器電極3aおよび最終段の共振器電極3dとの結合、入力端子電極5と初段の共振器電極3aとの結合、および出力端子電極6と最終段の共振器電極3dとの結合は弱まってしまい、フィルタ特性の通過帯域の両側の減衰特性が劣化(急峻性が損なわれる)するとともに通過帯域内の反射特性が悪くなるので、結合が大きく損なわれないように設定すればよい。
また、本発明のフィルタ装置は、図1,図2,図4および図6〜8に示す例のように、上記構成において、共振器電極3a〜3dが形成された誘電体層1a間に、平面視で複数の共振器電極3a〜3dを取り囲むように内部接地電極2cが形成されていることが好ましい。このようにすることにより、内部接地電極2cが共振器電極3a〜3dの周囲を取り囲むことによって、共振器電極3a〜3dから発生する電磁波の周囲への漏洩を低減することができる。この効果はモジュール基板の中の一部の領域にフィルタ装置が形成される場合に、モジュール基板の他の領域への悪影響を防止する上で特に有用である。内部接地電極2cは、上述した共振器電極3a〜3dの短絡端同士を接続するための導体層と、共振器電極3a〜3dの並びの両側に形成された導体層とからなる環状のものである。接地電極2a,2bと共振器電極3a〜3dとの接続を、内部接地電極2cの共振器電極3a〜3dの並びの両側に位置する部分でも行なえば、共振器電極3a〜3dから発生する電磁波の周囲への漏洩をより効果的に低減することができる。
内部接地電極2cと共振器電極3a,3dとの距離は、共振器電極3a,3dによる磁界に影響を与えてフィルタのQ値が低下して通過帯域の損失が大きくなってしまわないように、共振器電極3a,3dによる磁束が通過できる距離があればよく、共振器電極3a,3dと接地電極2a,2bとの間の距離より大きいことが好ましい。
結合電極4は、結合の弱い初段の共振器電極3aと最終段の共振器電極3dとの間の結合を強めるために設けるものであり、例えば図1に示す例において、第2段の共振器電極3bと第3段の共振器電極3cとの結合が増えると、共振器電極3a〜3dと接地電極2a,2bとで形成される基本的なフィルタの中心周波数がずれるなど通過帯域内のフィルタ特性が変わることととなり、結合電極4を加えることによる減衰特性の設計が複雑になってしまう。また、結合電極4において初段の共振器電極3aに対向する部分と最終段の共振器電極3dに対向する部分とを接続するパターンの線幅が大きいと、結合電極4自身が接地電極のように機能することから、共振器電極3a〜3dによる磁界に影響を与えることにより、フィルタのQ値が低下して通過帯域の損失が大きくなってしまう。そのため、初段の共振器電極3aに対向する部分と最終段の共振器電極3dに対向する部分とを接続する部分は、第2段および第3段の共振器電極3b,3cと対向する面積を小さくして結合をできるだけ小さくするために、小さい幅のパターンで、第2段および第3段の共振器電極3b,3cと直交するように設けるとよい。また、初段の共振器電極3aおよび最終段の共振器電極3dに対向する部分までの距離を大きくすることによって結合を小さくするために、この直交する部分をさらに1層以上の誘電体層1aを挟んだ位置に形成して、貫通導体によって初段の共振器電極3aに対向する部分および最終段の共振器電極3dに対向する部分に接続してもよい。
結合電極4と共振器電極3a,3dとの間の誘電体層1aの層数によって結合電極4と共振器電極3a,3dとの間の距離を変更したり、結合電極4のパターン幅や長さ等のパターン形状や平面視での位置によって結合電極4と共振器電極3a,3dとが重なる面積を変更したりすることで、結合電極4と共振器電極3a,3dとの間の電磁界結合度の強弱を調整でき、減衰極が生じる周波数を任意に設定できる。共振器電極3a,3dとの間
で十分な結合が得られ、フィルタ装置を作製する際の位置ずれによって初段の共振器電極3aおよび最終段の共振器電極3d以外の共振器電極3b,3cとの結合が発生してしまうことがないように、結合電極4の初段の共振器電極3aに対向する部分および最終段の共振器電極3dに対向する部分は、共振器電極3a,3dの形状に沿った帯状で、共振器電極3a,3dより幅の小さい形状とするのがよい。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、図4に示す例のように、第2の接地電極2bと共振器電極3a〜3dとの間において誘電体層1aを挟んで第2の接地電極2bと対向するとともに、複数の共振器電3a〜3dの開放端にそれぞれ電気的に接続された複数の容量電極7を有することが好ましい。これにより、容量電極7と第2の接地電極2bとの距離は共振器電極3a〜3dと第2の接地電極2bとの距離より短く、これにより共振器電極3a〜3dと第2の接地電極2bとの間の結合がより強くなり、共振器電極3a〜3dと第2の接地電極2bとのC結合が強化されるので、各共振器電極3a〜3dの長さを短縮することができ、より小型なフィルタ装置を提供することができる。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、図4に示す例のように、容量電極7の一部が誘電体層1aを挟んで内部接地電極2cと対向するように配置されていることが好ましい。図5は図4に示すフィルタ装置のA−A断面の一例を示す断面図である。内部接地電極2cは、共振器電極3a〜3dが形成された誘電体層1a・1a間と同じ誘電体層1a・1a間に形成されており、容量電極7を内部接地電極2cと結合させるように対向させると、容量電極7を第2の接地電極2bのみと結合させるように対向させた場合(図5に破線で示した容量電極7aの場合)と比較して、共振器電極3a〜3dと容量電極7との電気的接続を行なう貫通導体等の配線長を短くすることができるので、この配線による不要なインダクタンスを減らすことができ、インダクタンスによる副次的な共振のない優れたフィルタ特性を有するフィルタ装置とすることができる。また、共振器電極3a〜3dと容量電極7との電気的接続を行なう貫通導体等の配線長が同じ場合であっても、容量電極7と内部接地電極2cとの間の静電容量が加わるので、共振器電極3a〜3dの開放端と接地電位との間の静電容量がさらに増加し、共振器電極3a〜3dの長さを短縮することができるので、より小型のバンドパスフィルタとしてのフィルタ装置を得ることができる。
容量電極7と共振器電極3a〜3dとは、貫通導体で電気的に接続される。容量電極7と共振器電極3a〜3dとが平面視で重なると、その重なった面積分だけ共振器電極3a〜3dと接地電極2a,2bとの結合が小さくなってしまい、また、例えば共振器電極3aに接続された容量電極7と他の共振器電極3b〜3dとが平面視で重なると、初段の共振器電極3aと他の共振器電極3b〜3dとの結合量が変わってしまうので、図4に示す例のように、容量電極7を長方形や楕円形のような細長い形状とし、共振器電極3a〜3dの開放端と容量電極7の一方端とを接続し、容量電極7の他方端を共振器電極3a〜3dの開放端を延長する方向に向けるとよい。
容量電極7は、図4に示す例では、共振器電極3a〜3dに対して誘電体層1aを挟んで下方にそれぞれ1つずつ設けられているが、共振器電極3a〜3dの上下に設けてもよいし、共振器電極3a〜3dの上方にそれぞれ1つずつあるいは上方または下方のいずれかにそれぞれ1つずつ設けてもよい。
入力端子電極5および出力端子電極6は、図1,図4および図6〜8に示す例のように、それぞれ共振器電極3a,3dと電磁界結合するように誘電体層1aを挟んで共振器電極3a,3dと対向するように配置されている。この場合、図1,図4および図6〜8に示す例のように、入力端子電極5は、初段の共振器電極3aに沿った形状で、誘電体層1aを挟んで初段の共振器電極3aと対向するように配置されて初段の共振器電極3aと電
磁界結合する内部入力端子電極5bと、積層体1の外表面に形成され、内部入力端子電極5bに初段の共振器電極3aの開放端側で接続された外部入力端子電極5aとを具備し、出力端子電極6は、最終段の共振器電極3dに沿った形状で、誘電体層1aを挟んで共振器電極3の最終段3dと対向するように配置されて最終段の共振器電極3dと電磁界結合する内部出力端子電極6bと、積層体1の外表面に形成され、内部出力端子電極6bに最終段の共振器電極3dの開放端側で接続された外部出力端子電極6aとを具備している。このような構成により、入力端子電極5と初段の共振器電極3aとの間および出力端子電極6と最終段の共振器電極3dとの間において、磁界による結合と電界による結合とが加算されて強い結合が生じるので、従来の1/4波長共振器を利用したフィルタで実現可能だった帯域よりも広い通過帯域であっても、それぞれの共振モードの共振周波数の間に位置する周波数における挿入損失が大きく増加することのない、広い通過帯域の全域に渡って平坦で低損失な通過特性を有するフィルタ装置を提供することができる。この結果、広い通過帯域を有し、かつ急峻な減衰特性を有する、例えばUWB用途のバンドパスフィルタに適したフィルタ装置となる。
内部入力端子電極5bと外部入力端子電極5aとの接続、および内部出力端子電極6bと外部出力端子電極6aとの接続は、図1,図4および図6〜8に示す例のように、誘電体層1aを貫通する貫通導体で行なえばよい。また、内部入力端子電極5b,外部入力端子電極5a,内部出力端子電極6bおよび外部出力端子電極6aをそれぞれ誘電体層1aの端部まで延ばして、端面導体で接続することもできる。共振器電極3a〜3dと接地電極2a,2bとの接続を端面導体で行なう場合は、端面導体の形成が導体ペーストの印刷等により他の電極と同時に行なえるので、製造上で都合がよい。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、図6に示す例のように、共振器電極3a,3dは切欠き8を有しており、切欠き8は共振電極3aおよび3dそれぞれの一対の側辺のうち片側側辺にのみ設けられており、入力端子電極5bまたは出力端子電極6bの幅と結合電極4の幅とが切欠き8の幅より狭いとともに、入力端子電極5bまたは出力端子電極6bの一対の側辺と結合電極4の一対の側辺とが平面視において切欠き8内に位置していることが好ましい。このようにすることによって、結合電極4と共振器電極3a,3dとの容量結合を小さくするとともに、入力端子電極5bおよび出力端子電極6bと共振器電極3a,3dとの容量結合を小さくすることができ、結合電極4と入力端子電極5bまたは出力端子電極6bとの切欠き8を通して結合する容量結合を増大させることができる。この結果は、共振器電極3a,3dの切欠き8を大きくすることなく、結合電極4と入力端子電極5、または結合電極4と出力端子電極6との電磁界結合を強めることができることから、通過帯域内の損失が小さく、所定の通過帯域を除く周波数帯域において減衰特性の跳ね上がりが抑えられたフィルタ装置を実現することができる。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、図7に示す例のように、共振電極3a,3dは開口8を有しており、入力端子電極5bまたは出力端子電極6bの幅と結合電極4の幅とが開口8の幅より狭いとともに、入力端子電極5bまたは出力端子電極6bの一対の側辺と結合電極4の一対の側辺とが平面視において開口8内に位置していることが好ましい。このようにすることによって、結合電極4と共振器電極3a,3dとの容量結合を小さくするとともに、入力端子電極5bおよび出力端子電極6bと共振器電極3a,3dとの容量結合を小さくすることから、結合電極4と入力端子電極5bまたは出力端子電極6bとの開口8を通して結合する容量結合をより効率的に増大することができる。この結果は、共振器電極3a,3dの開口8を大きくすることなく、結合電極4と入力端子電極5、または結合電極4と出力端子電極6との電磁界結合が強めることができることから、通過帯域内の損失が小さく、所定の通過帯域を除く周波数帯域において減衰特性の跳ね上がりが抑えられたフィルタ装置とすることができる。
平面視で共振器電極3a・3dの切欠き8または開口部8と平面視で重なり合う結合電極4と入力端子電極5および出力端子電極6の線幅は、それぞれ容量結合する必要があることから100um以上であることが望ましい。
図8に示す例のように、結合電極4と共振器電極3a,3dの切欠きまたは開口8との間あるいは入力端子電極5と初段の共振器電極3aの切欠きまたは開口8との間または出力端子電極6と最終段の共振器電極3dの切欠きまたは開口8との間に第2容量電極9を配置して、第2容量電極9と結合電極4,入力端子電極5,出力端子電極6とを接続してもよい。このようにすると、切欠きまたは開口8を小さいものとして、初段の共振器電極3aまたは最終段の共振器電極3dのインピーダンスの不整合を少なくするとともに、抵抗成分を小さくした場合であっても、結合電極4と入力端子電極5または出力端子電極6との間の容量結合を大きくすることができ、結合電極4と入力端子電極5との電磁界結合、または結合電極4と出力端子電極6との電磁界結合をより大きくすることができる。また、切欠きまたは開口8を形成することによって、結合電極4と共振器電極3a,3dとの結合、入力端子電極5と初段の共振器電極3aとの結合、出力端子電極6と最終段の共振器電極3dとの結合が小さくなるが、第2容量電極9によってこれを補うこともできる。
図8に示す例では、結合電極4の両端部、入力端子電極5および出力端子電極6に接続する第2容量電極9を設けているが、これらのうちの少なくとも1つに設ければよい。第2容量電極9によって結合電極4、入力端子電極5および出力端子電極6と共振器電極3a,3dとの結合も少なからず大きくなるので、これにより周波数特性を調整してもよい。入力端子電極5と初段の共振器電極3aとの間の結合量と出力端子電極6と最終段の共振器電極3dとの間の結合量は、フィルタの入出力の電流のバランスを考えると同程度がよいことから、第2容量電極9は入力端子電極5と出力端子電極6との両方に接続して設けるのが好ましい。また、結合電極4と初段の共振器電極3aとの間の結合量と結合電極4と最終段の共振器電極3dとの間の結合量は、結合電極4に流れる電流のバランスを考えると同程度がよいことから、第2容量電極9は結合電極4の両端部に接続して設けるのが好ましい。
第2容量電極9の形状は切欠きまたは開口8の形状に応じて、長方形や長円形とするのがよく、その大きさも切欠きまたは開口8の大きさと同程度とすればよい。切欠きまたは開口8の大きさより大きくすると、上記のような結合を補う効果が効果的に得られるが、例えば、結合電極4と共振器電極3a,3dとの結合が強くなりすぎると、初段の共振器電極3aと最終段の共振器電極3dの間の(電磁界)結合が強くなりすぎ、フィルタ特性が変わってしまう(通過帯域の高域側の減衰極が低域側へシフトする)とともに、共振器電極3a・3dと入力端子電極5および出力端子電極6の結合が弱くなることからフィルタ特性が変わる(フィルタ特性の反射特性が悪化)ので、フィルタ特性を考慮して設定するとよい。
共振器電極3a〜3dに対する、結合電極4,入力端子電極5,出力端子電極6および容量電極7の平面視の配置やそれぞれとの距離(間に介在する誘電体層1aの厚みまたは層数)は、特に制限はなく、所望の減衰特性となるように各電極と共振器電極3a〜3dとの結合を調整するように設定すればよい。
誘電体層1aとしては、例えば、アルミナ,ムライト,窒化アルミニウム,BaO−TiO2系,CaO−TiO2系,MgO−TiO2系およびガラスセラミックス等のセラミック材料、あるいは四ふっ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン:PTFE),四ふっ化エチレン−エチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合樹脂:ETFE),四ふっ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(テト
ラフルオロエチレン−パーフルテロアルキルビニルエーテル共重合樹脂:PFA)等のフッ素樹脂やガラスエポキシ樹脂,ポリイミド等の有機樹脂材料が用いられる。これらの材料による誘電体層1aの形状や寸法(厚みや幅,長さ)は、使用される周波数や用途等に応じて設定される。セラミック材料の場合は、より高周波の信号を伝送することが可能な、Au,Ag,Cu等の低抵抗金属からなる導体材料と同時焼成が可能な低温焼成セラミックスが好ましい。
第1の接地電極2a,第2の接地電極2b,内部接地電極2c,共振器電極3a〜3d,結合電極4,入力端子電極5,出力端子電極6,容量電極7および第2容量電極9は、誘電体層1aがセラミック材料からなる場合は、W,Mo,Mo−Mn,Au,Ag,Cu等の金属を主成分とするメタライズ層により形成される。また、誘電体層1aが樹脂系材料からなる場合は、厚膜印刷法,各種の薄膜形成方法,めっき法あるいは箔転写法等により形成した金属層や、このような金属層上にめっき層を形成したもの、例えばCu層,Cr−Cu合金層またはCr−Cu合金層上にNiめっき層およびAuめっき層を被着させたもの,TaN層上にNi−Cr合金層およびAuめっき層を被着させたもの,Ti層上にPt層およびAuめっき層を被着させたもの,Ni−Cr合金層上にPt層およびAuめっき層を被着させたもの等が挙げられる。その厚みや幅は、伝送される高周波信号の周波数や用途等に応じて設定される。
誘電体層1a,第1の接地電極2a,第2の接地電極2b,内部接地電極2c,共振器電極3a〜3d,結合電極4,入力端子電極5,出力端子電極6および容量電極7の形成は、周知の方法を用いればよい。例えば誘電体層1aがガラスセラミックスから成る場合であれば、まずそれら誘電体層1aとなるガラスセラミックスのグリーンシートを準備し、グリーンシート上にスクリーン印刷法によりAg等の導体ペーストを所定形状で印刷塗布して第1の接地電極2a,第2の接地電極2b,内部接地電極2c,共振器電極3a〜3d,結合電極4,入力端子電極5,出力端子電極6,容量電極7および第2容量電極9の各電極パターンを形成する。次に、これらの電極パターンが形成されたグリーンシートを重ねて圧着するなどして積層体を作製し、この積層体を850〜1000℃で焼成することに
より形成する。その後、外表面に露出している導体層上には、NiめっきおよびAuめっき等のめっき皮膜を形成する。誘電体層1aが有機樹脂材料から成る場合であれば、例えば有機樹脂シート上に第1の接地電極2a,第2の接地電極2b,内部接地電極2c,共振器電極3a〜3d,接地強化部4a,入力端子電極5,出力端子電極6,結合電極4,容量電極7および第2容量電極9の各電極パターン形状に加工したCu箔を転写し、Cu箔が転写された有機樹脂シートを積層して接着剤で接着することによって形成する。
接地電極2a,2bと共振器電極3a〜3dの短絡端とを接続する接続導体は、それらの間に位置する誘電体層1a内に形成された貫通導体または誘電体層1aの端面に形成された端面導体の形態で形成することによって、積層されたそれら誘電体層1aの内部に形成するフィルタ装置の設計自由度が向上するとともに、より小型で高性能なフィルタ装置とすることができる。
このような接続導体となる貫通導体や側面導体は、誘電体層1aがガラスセラミックス等のセラミックスから成る場合には、貫通導体は、例えば前述の製造方法において第1の接地電極2a,第2の接地電極2b,内部接地電極2c,共振器電極3a〜3d,結合電極4,入力端子電極5,出力端子電極6および容量電極7の各電極パターンを形成する前に、グリーンシートに金型加工やレーザー加工によりあらかじめ形成しておいた貫通孔内に同様の導体ペーストを印刷法等によって充填することで形成することができ、端面導体は、例えば共振器電極3a〜3dの電極パターンの短絡端を端面に露出させたグリーンシート積層体を形成した後、同様の導体ペーストをグリーンシート積層体の側面に印刷することによって形成することができる。また、端面導体は、グリーンシートに共振器電極3
a〜3dの列の幅程度の貫通孔を形成しておき、共振器電極3a〜3dの電極パターンの短絡端をこの貫通孔に接するように形成した後、グリーンシートの積層前または積層後に導体ペーストを貫通孔の内面に印刷し、または貫通穴に充填して、貫通孔の部分で切断することによっても形成することができる。誘電体層1aが樹脂系材料から成る場合も同様に、グリーンシートに代えて有機樹脂シートを用い、導体ペーストの印刷やめっきによって貫通孔内に貫通導体を形成したり、薄膜法等によって側面導体を形成したりすればよい。共振器電極3a〜3dの電極パターンの短絡端を積層体の側面に露出させるには、共振器電極3a〜3dの電極パターンの短絡端がグリーンシート(あるいは有機樹脂シート)の端部に位置するように形成したり、共振器電極3a〜3dの電極パターンを形成したグリーンシート(有機樹脂シート)を積層した後に、共振器電極3a〜3dの電極パターンの短絡端が側面に露出するように積層体を切断したりすればよい。
具体的には、UWBのローバンド規格に用いられるような、通過帯域の中心周波数が3.9GHzのバンドパスフィルタとしてのフィルタ装置は、図4に示すような形態であれば
、例えば誘電体層1aとして比誘電率が9.4のガラスセラミックスを用い、第1の接地電
極2a,第2の接地電極2b,内部接地電極2c,共振器電極3a〜3d,結合電極4,入力端子電極5,出力端子電極6,容量電極7および貫通導体にAgメタライズを用いることにより得られる。比誘電率が9.4のガラスセラミックスは、例えば、ガラス成分とし
てPbO,B2O3,SiO2,Al2O3,ZnOおよびアルカリ土類金属酸化物を主成分とする結晶化ガラスが50質量%と、フィラー成分としてアルミナが50質量%とからなるものを用いればよい。
このとき、誘電体層1aは、厚みを上から順に、400μm,75μm,75μm,350μmとする。接地電極2a,2bは、寸法を3.35mm×5.0mmとし、内部接地電極2cは外寸
を3.35mm×5.0mmで内寸(開口の寸法)を2.945mm×3.5mmとする。この開口内に
寸法が0.4mm×3.35mmの共振器電極3a,3b,3c,3dを順に0.155mm,0.135
mm,0.155mmの間隔で横並びに整列し、各短絡端を内部接地電極2cに接続して、各
開放端と内部接地電極2cとの間隔が0.15mmとなり、共振器電極3aおよび3dと内部接地電極2cとの間隔が0.45mmとなるように配置する。内部接地電極2cと積層体1の上下面の接地電極2a,2bとは、外周部に配列した直径0.1mmの貫通導体で接続する
。入力端子電極5は、0.3mm×3.35mmの内部入力端子電極5bを初段の共振器電極3
aの開放端側と平面視で0.3mm×3.35mmの範囲で重なるように配置し、0.2mm×0.2
mmの外部入力端子電極5aと直径0.1mmの貫通導体で接続する。出力端子電極6も同
様に、0.3mm×3.35mmの内部出力端子電極6bを最終段の共振器電極3dの開放端側
と平面視で0.3mm×3.35mm重なるように配置し、0.2mm×0.2mmの外部出力端子電
極6aと直径0.1mmの貫通導体で接続する。結合電極4は、2つの0.1mm×2.0mmの
対向部を1.545mm×0.1mmの接続部で接続したクランク形とし、2つの対向部がそれぞれ初段の共振器電極3aおよび最終段の共振器電極3dの短絡端側と平面視で0.1mm×1.8mmの範囲で重なるように配置し、内部接地電極2cと重なる部分の中心で直径0.1m
mの貫通導体により内部接地電極2cに接続する。容量電極7は0.2mm×0.4mmおよび0.4mm×0.6mmの2つの矩形を接続した凸型で、内部接地電極2cと0.4mm×0.6mmの範囲で重なり、共振器電極3a〜3dの開放端部と平面視で0.2mm×0.25mmの範囲
で重なるように配置し、重なる部分の中心で直径0.1mmの貫通導体により接続する。開
口部8・8は、初段の共振器電極3aおよび最終段の共振器電極3dのそれぞれの短絡端側からの距離が0.1mmで、共振器電極3a,3dの幅の中心に、共振器電極3a,3d
の長さ方向に平行な長さが0.3mmで幅が0.2mmの長方形状のものを配置する。
このような例の本発明のフィルタ装置のフィルタ特性は、図9の線図に実線の特性曲線で示すようなものとなる。(実施例1)また、このような例の本発明のフィルタ装置によるフィルタ特性に対して、共振器電極3a,3dが切欠きまたは開口8を有さないフィル
タ装置(比較例)において得られるフィルタ特性は、図9に破線の特性曲線で示すようなものとなる。図に示す線図において、縦軸は挿入損失(単位:dB)を、横軸は周波数(単位:GHz)を示す。
図9に示すフィルタ特性から、本発明のフィルタ装置のフィルタ特性は、通過帯域より高周波側の減衰量が大きい減衰特性を有することが分かる。
実施例1のフィルタ装置に対し、図8に示す例のように第2容量電極9を配置した第2の例(実施例2)のフィルタ特性は、図9と同様の図10の線図に実線の特性曲線で示すようなものとなる。破線の特性曲線は図9と同様に比較例のフィルタ特性を示す。実施例2のフィルタ装置は、具体的には、実施例1のフィルタに対して、誘電体層1aを、厚みが上から順に400μm,25μm,50μm,50μm,25μm,350μmである6層として、0.15mm×0.15mmの第2容量電極9を、上から2層目と3層目の誘電体層1a・1aの間において、平面視で初段の共振器電極3aの開口部8および最終段の共振器電極3dの開口部8それぞれの中心と中心を一致させてそれぞれ1つずつ配置して、それぞれ第2容量電極9の中心で入力端子電極5および出力端子電極6に直径0.1mmの貫通導体で接続し
、また、上から4層目と5層目の誘電体層1a・1aの間において、同様に平面視で共振器電極3a,3dの開口部8・8の中心と中心を一致させてそれぞれ1つずつ配置して、同様に結合電極4の両端部にそれぞれ接続する。実施例1では、結合電極4と入力端子電極5および出力端子電極6とは、開口8を通して150μmの距離を置いて結合しているの
に対して、実施例2では、開口8を挟んで一対の第2容量電極9・9が100μmの距離を
置いて対向して結合電極4と入力端子電極5および出力端子電極6とが結合している。
図10に示すフィルタ特性から、実施例2のフィルタ装置のフィルタ特性は、実施例1のフィルタ装置のフィルタ特性と比較して、第2容量電極9によって結合電極4と入力端子電極5および出力端子電極6との結合がさらに強まるとともに、開口8によって弱まった結合電極4と共振器電極3a,3dとの結合も強まることで、結合電極4に流れる信号の位相が反転して大きな減衰極を形成することとなり、これにより通過帯域の高域側の周波数帯の減衰量がさらに増大していることが分かる。
実施例1のフィルタ装置に対し、図7に示す例のように共振器電極3a,3dの開口部8と対向する入力端子電極5bおよび出力端子電極6bの部位の線幅を、それぞれ開口8の幅以下とし、同様に共振器電極3a,3dの開口部8と対向する結合電極4・4の部位の線幅を、それぞれ開口8の幅以下とした第3の例(実施例3)のフィルタ特性は、図9と同様の図11の線図に実線の特性曲線で示すようなものとなる。破線の特性曲線は図9と同様に比較例のフィルタ特性を示す。実施例3のフィルタ装置は、具体的には、実施例1のフィルタに対して、入力端子電極5は、平面視で初段の共振器電極3aの開口部8と重なるように0.2mm×0.3mmの細線幅部(線幅0.2mm)とし、出力端子電極6は、平
面視で最終団の共振器電極3dの開口部8と重なるように0.2mm×0.3mmの細線幅部(線幅0.2mm)としている。
図11に示すフィルタ特性から、実施例3のフィルタ装置のフィルタ特性は、実施例1のフィルタ装置のフィルタ特性と比較して、結合電極4と入力端子電極5および出力端子電極6の幅を開口8の幅以下にすることにより結合電極4と入力端子電極5および出力端子電極6との結合がさらに強まることによって、通過帯域の高域側の周波数帯の減衰量がさらに増大していることが分かる。
以上のことから、本発明のフィルタ装置は、共振器電極3a,3dが、結合電極4と入力端子電極5とに挟まれた部分、および結合電極4と出力端子電極6とに挟まれた部分のうち少なくとも一方の部分に切欠きまたは開口8を有することから、結合電極4と入力端
子電極5および出力端子電極6の少なくとも一方とが切欠きまたは開口8を通して容量結合することで電磁界結合が強まるので、結合電極4を通る信号の位相を変えることができることから、結合電極4によるλ/2共振を低減することができ、所定の通過帯域を除く周波数帯域において減衰特性の跳ね上がりが抑えられたフィルタ装置とすることができる。
そして、第2容量電極9が、入力端子電極5と初段の共振器電極3aの開口部8との間に配置されるとともに入力端子電極5に接合され、出力端子電極6と最終段の共振器電極3dの開口部8との間に配置されるとともに出力端子電極6に接合され、また、結合電極4の短絡端側と共振器電極3a,3dの開口部8・8との間に配置されるとともに結合電極4の両短絡端部にそれぞれ接続されているときは、入力端子電極5および出力端子電極6と結合電極4との結合が大きくなるので、開口部8の大きさを小さくすることができる。このようにすると、共振器電極3a,3dの抵抗成分をあまり増大させることがないので、低損失なフィルタ特性とすることができるとともに、共振器電極3a,3dと入力端子電極5および出力端子電極6との間の結合を弱めることなく、結合電極4と入力端子電極5および出力端子電極6の結合を強めることができるので、フィルタの反射特性を劣化させることがなく、フィルタの通過帯域の高域側の減衰極の減衰量がさらに増大するとともに、通過帯域の高域側の減衰極よりさらに高域側に減衰極を形成することによって、通過帯域の高域側の周波数帯の減衰量がさらに増大した優れた減衰特性を有するものであることが分かる。
なお、従来のフィルタ装置は、比較例に対してさらに容量電極7を有さない構造である。このような従来のフィルタ装置において、本発明のフィルタ装置(および比較例のフィルタ装置)と同様の周波数に減衰極を有するものとするには、共振器電極3a〜3dを長くしなければならず、フィルタ装置の大きさが大きくなってしまうばかりでなく、減衰極よりさらに高周波側に減衰特性の跳ね上がりがあり、無線LANで使用する帯域に対する減衰帯域において十分に減衰していないフィルタ特性となってしまう。
1・・・積層体
1a・・・誘電体層
2a・・・第1の接地電極
2b・・・第2の接地電極
2c・・・内部接地電極
3a,3b,3c,3d・・・共振器電極
3a・・・初段の共振器電極
3d・・・最終段の共振器電極
4・・・結合電極
5・・・入力端子電極
5a・・・外部入力端子電極
5b・・・内部入力端子電極
6・・・出力端子電極
6a・・・外部出力端子電極
6b・・・内部出力端子電極
7・・・容量電極
8・・・切欠きまたは開口
9・・・第2容量電極

Claims (6)

  1. 複数の誘電体層が積層されてなる積層体と、
    該積層体を挟んで対向するように配置された第1の接地電極および第2の接地電極と、
    前記積層体内において互いに電磁界結合するように平面視で横並びに整列され、それぞれ一方端が短絡端で他方端が開放端である3つ以上の複数の共振器電極と、
    前記積層体内において前記共振器電極との間に前記誘電体層を挟んで前記第2の接地電極側に配置され、一端が初段の前記共振器電極の短絡端部と対向するとともに対向する前記共振器電極の短絡端に電気的に接続され、他端が最終段の前記共振器電極の短絡端部と対向するとともに対向する前記共振器電極の短絡端に電気的に接続された結合電極と、
    前記初段の共振器電極に沿った形状で、前記誘電体層を挟んで前記初段の共振器電極と対向するように前記第1の接地電極側に配置されて前記初段の共振器電極と電磁界結合する入力端子電極と、
    前記最終段の共振器電極に沿った形状で、前記誘電体層を挟んで前記最終段の共振器電極と対向するように前記第1の接地電極側に配置されて前記最終段の共振器電極と電磁界結合する出力端子電極と
    からなるフィルタ装置であって、前記共振器電極は、前記結合電極と前記入力端子電極とに挟まれた部分、および前記結合電極と前記出力端子電極に挟まれた部分のうち少なくとも一方の部分に切欠きまたは開口を有することを特徴とするフィルタ装置。
  2. 前記共振器電極を平面視した場合に、複数の前記共振器電極を取り囲むように内部接地電極が形成されていることを特徴とする請求項1記載のフィルタ装置。
  3. 前記第2の接地電極と前記共振器電極との間において前記誘電体層を挟んで前記第2の接地電極と対向するとともに、複数の前記共振器電極の開放端にそれぞれ電気的に接続された複数の容量電極を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィルタ装置。
  4. 前記共振器電極を平面視した場合に、複数の前記共振器電極を取り囲むように内部接地電極が形成されており、前記容量電極の一部が前記誘電体層を挟んで前記内部接地電極と対向するように配置されていることを特徴とする請求項3記載のフィルタ装置。
  5. 前記共振器電極は前記切欠きを有しており、前記切欠きは前記共振電極の一対の側辺のうち片側側辺にのみ設けられており、前記入力端子電極または前記出力端子電極の幅と前記結合電極の幅とが前記切欠きの幅より狭いとともに、前記入力端子電極または前記出力端子電極の一対の側辺と前記結合電極の一対の側辺とが平面視において前記切欠き内に位置していることを特徴とする請求項1記載のフィルタ装置。
  6. 前記共振電極は前記開口を有しており、前記入力端子電極または前記出力端子電極の幅と前記結合電極の幅とが前記開口の幅より狭いとともに、前記入力端子電極または前記出力端子電極の一対の側辺と前記結合電極の一対の側辺とが平面視において前記開口内に位置していることを特徴とする請求項1記載のフィルタ装置。
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