JP2011040223A - 色素増感型太陽電池、電解質層形成用の塗工液、及び太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の色素増感型太陽電池は、導電性基材と、前記導電性基材上に形成され、増感色素を細孔表面に担持させた多孔質半導体層と、前記多孔質半導体層に対向して配置された対向電極と、前記導電性基材と前記対向電極の間に形成され、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と、アニオンがB(CN)4 -、Al(CN)4 -、C(CN)3 -、Si(CN)3 -、P(CN)2 -、OCN-、又はSCN-であるイオン性液体とを含む電解質層と、から構成される。
【選択図】図1
Description
第1の発明は、 導電性基材と、前記導電性基材上に形成され、増感色素を細孔表面に担持させた多孔質半導体層と、前記多孔質半導体層に対向して配置された対向電極と、前記導電性基材と前記対向電極の間に形成され、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と、アニオンがB(CN)4 -、Al(CN)4 -、C(CN)3 -、Si(CN)3 -、P(CN)2 -、OCN-、又はSCN-であるイオン性液体とを含む電解質層と、から構成される色素増感型太陽電池である。
図1は、本発明の色素増感型太陽電池の一実施形態を示す断面図である。この色素増感型太陽電池1は、導電性基材10と、導電性基材10上に形成され増感色素を細孔表面に担持させた多孔質半導体層20と、多孔質半導体層20に対向して配置された対向電極40と、導電性基材10及び対向電極40の間に形成された電解質層30とから概略構成されている。電解質層30は少なくとも、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を成分とする酸化還元対、及びアニオンがB(CN)4 -、Al(CN)4 -、C(CN)3 -、Si(CN)3 -、P(CN)2 -、OCN-、又はSCN-であるイオン性液体で構成されている。
導電性基材10としては、各種の金属箔や金属板等の一般的な導電性基材を用いることができ、あるいは、ガラスやプラスチック等の基板上に導電層を形成することによって得ることができる。基板は、透明であっても不透明であっても良いが、光の受光面側に位置する場合には、光の透過性に優れた透明基板であることが好ましい。さらに、耐熱性、耐候性、及び水蒸気等に対するガスバリア性に優れたものであることが好ましい。具体的には、石英ガラス、パイレックス(登録商標)、及び合成石英ガラス等の可撓性のない透明なリジット材、あるいはエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のプラスチックフィルムを挙げることができる。
次に、多孔質半導体層20について説明する。多孔質半導体層は、金属酸化物の微粒子を有し、これに増感色素が担持され、光照射により増感色素から生じた電荷を伝導する機能を有している。
(対向電極)
対向電極40としては、各種の金属箔や金属板等、あるいはガラスやプラスチック等の基板の表面上に導電層が形成されたものを用いることができる。基板は、透明であっても不透明であっても良いが、光の受光面側に位置する場合には、光の透過性に優れた透明基板であることが好ましい。さらに、耐熱性、耐候性、及び水蒸気等に対するガスバリア性に優れたものであることが好ましい。具体的には、石英ガラス、パイレックス(登録商標)、及び合成石英ガラス等の可撓性のない透明なリジット材、あるいはエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のプラスチックフィルムを挙げることができる。
次に、電解質層30について説明する。電解質層30は、多孔質半導体層20を形成した導電性基材10と対向電極40との間に形成され、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を成分とする酸化還元対、アニオンがB(CN)4 -、Al(CN)4 -、C(CN)3 -、Si(CN)3 -、P(CN)2 -、OCN-、又はSCN-であるイオン性液体を少なくとも含むものである。
なお、ヨウ化物系イオン性液体のように、酸化還元対としても機能するイオン性液体については、上記の電解質層30中のイオン性液体の濃度を決するにあたってイオン性液体ではなく酸化還元対として含有させることとし、上記の酸化還元対について述べた濃度とすることが好ましく、すなわち電解質層30中に0.1〜5mol/l含有させることが好ましい。その場合、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のヨウ化物又は臭化物とヨウ化物系イオン性液体との合計濃度が0.1〜5mol/lであれば良いが、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のヨウ化物又は臭化物は、少なくとも、0.2mol/l以上を占めることが好ましい。
(太陽電池モジュール)
上述のようにして得られた二以上の色素増感型太陽電池1を、直列または並列に接続することにより色素増感型太陽電池モジュールを得ることができる。具体的には、例えば、複数個の色素増感型太陽電池を平面状または曲面状に配列させ、各電池の間には非導電性の隔壁を設けて仕切りをし、それぞれの電池を導電性の部材を用いて電気的に接続するとともに、端部から正極または負極の電極リードを引き出してモジュール化することができる。モジュールを構成する色素増感型太陽電池の個数は任意であり、所望の電圧が得られるように自由に設計することができる。
(実施例1)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(EMIm−TCB)6.67gに、ヨウ化リチウムを0.13g加え、撹拌して溶解させた。続いて、その溶液に、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド(PMIm−I)2.74g、及びヨウ素(I2)を0.24g加えて、攪拌して溶解させた。これにより、電解質層形成用塗工液を調整した。このとき、塗工液(電解質層)中におけるEMIm−TCBの濃度は約26重量%である。
3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを用いてカチオン化したカチオン性ヒドロキシエチルセルロース(ダイセル化学社製;ジェルナーQH200;置換度m=1.3、カチオン化の割合は−CH2CH2OH基の35%)2.9gをメタノール57gに溶解させた溶液に、ヨウ化リチウムを0.86g加え、攪拌して溶解させた。続いて、その溶液に1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(EMIm−TCB)3.6g、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド(PMIm−I)5.0g、及びヨウ素(I2)を0.5g加えて、攪拌して溶解させた。これにより、塗布可能な電解質層形成用の塗工液を調製した。このとき、塗工液を塗布後に乾燥させてメタノールを除去した後の電解質層中におけるEMIm−TCBの濃度は約28重量%であり、カチオン性セルロースの濃度は約22重量%である。
実施例1にて、ヨウ化リチウムを用いなかった以外は、実施例1と同様にして電解質層形成用塗工液を調整した。
実施例1にて、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(EMIm−TCB)に代えて、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロスルフォニルイミド(EMIm−TFSI)を用いた以外は、実施例1と同様にして電解質層形成用塗工液を調整した。
比較例2にて、ヨウ化リチウムを用いなかった以外は、比較例2と同様にして電解質層形成用塗工液を調整した。
実施例2にて、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(EMIm−TCB)に代えて、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロスルフォニルイミド(EMIm−TFSI)を用いた以外は、実施例1と同様にして電解質層形成用塗工液を調整した。
酸化チタン(日本アエロジル社製;P25)をエタノール中に分散させた酸化チタンインキを用意した。続いて、導電性基材としてガラス板上にフッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜が形成された透明導電ガラス(日本板硝子社製)を用意し、その導電ガラス上に、上記酸化チタンインキをスクリーン印刷法で塗布し、550℃で焼成し、膜厚10μmの多孔質の酸化チタン層を形成した。次いで、ルテニウム錯体(Solaronix社製;RuI2(NCS)2)を無水エタノール中に3.0×10-4mol/lの濃度となるように溶解させた色素溶液に、上述の酸化チタン層を20時間浸漬させた。浸漬後に色素溶液から引き上げ、酸化チタン層に付着した色素溶液をアセトニトリルで洗浄し、風乾した。これにより、導電性基材上に多孔質半導体層を形成した。
(対向電極の作製)
ガラス板上にフッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜が形成された透明導電ガラス(日本板硝子社製)上に白金を厚み150Åで積層することにより対向電極を作製した。
(色素増感型太陽電池の作製)
A.実施例1、比較例1〜3
導電性基材上の多孔質半導体層(4mm×4mm)と対向電極の白金膜とを向かい合わせて、厚さ30μmのアイオノマー樹脂を用いて貼り合わせた。そして、貼り合せたものを実施例1、比較例1〜2における各電解質層形成用塗工液に浸漬させることで、アイオノマー樹脂に電解質層形成用塗工液を含浸させ、電解質層を形成させた。これにより、所望の色素増感型太陽電池を作製した。
B.実施例2、比較例3
導電性基材上の多孔質半導体層(4mm×4mm)上に、実施例2、比較例3における各電解質形成塗工液をドクターブレードで塗布し、100℃で乾燥して厚さ4μmの電解質層を形成した。次いで、その電解質層及び多孔質半導体層を形成した導電性基材と対向電極とを貼り合わせ、クリップで圧着した。これにより、所望の色素増感型太陽電池を作製した。
太陽電池の発電性能の評価は、擬似太陽光(AM1.5、入射光強度100mW/cm2)を光源として、増感色素を吸着させた多孔質半導体層を有する導電性基材側から入射させ、ソースメジャーユニット(ケースレー社製、2400型)を用いて電圧を印加して、太陽電池の電流電圧特性を測定し、光電変換効率を求めた。なお、測定に用いた多孔質半導体層の面積は0.16cm2(4mm×4mm)である。
太陽電池の耐久性は、加速劣化試験及び熱安定性試験により評価した。加速劣化試験では、温度を60℃に設定し湿度を無制御としたオーブン内に、500時間及び1000時間保存した後の太陽電池について、上記の発電性能の評価方法と同様の方法で、光電変換効率を求めた。一方、熱安定性試験では、温度を120℃又は150℃に設定し湿度を無制御としたオーブン内に、太陽電池を15分間保存した後、液漏れの有無を目視で調べ、また、上記の発電性能の評価方法と同様の方法で、光電変換効率を求めた。
表1、表2に上記の実施例及び比較例で作製した色素増感型太陽電池の評価結果を示す。
10 導電性基材
20 多孔質半導体層
30 電解質層
40 対向電極
Claims (5)
- 導電性基材と、
前記導電性基材上に形成され、増感色素を細孔表面に担持させた多孔質半導体層と、
前記多孔質半導体層に対向して配置された対向電極と、
前記導電性基材と前記対向電極の間に形成され、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と、アニオンがB(CN)4 -、Al(CN)4 -、C(CN)3 -、Si(CN)3 -、P(CN)2 -、OCN-、又はSCN-であるイオン性液体とを含む電解質層と、
から構成されることを特徴とする色素増感型太陽電池。 - アニオンがB(CN)4 -であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
- 電解質層に熱可塑性のセルロース系樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の色素増感型太陽電池。
- 色素増感型太陽電池の電解質層形成用の塗工液であって、
アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と、アニオンがB(CN)4 -、Al(CN)4 -、C(CN)3 -、Si(CN)3 -、P(CN)2 -、OCN-、又はSCN-であるイオン性液体とを含むことを特徴とする塗工液。 - 二以上の請求項1から請求項3のいずれかに記載の色素増感型太陽電池を、直列又は並列に接続してなる色素増感型太陽電池モジュール。
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