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JP2010220359A - ロータコアの製造方法と、ロータコア、およびロータとこのロータを有する埋込磁石型回転電機 - Google Patents

ロータコアの製造方法と、ロータコア、およびロータとこのロータを有する埋込磁石型回転電機 Download PDF

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JP2010220359A JP2009063416A JP2009063416A JP2010220359A JP 2010220359 A JP2010220359 A JP 2010220359A JP 2009063416 A JP2009063416 A JP 2009063416A JP 2009063416 A JP2009063416 A JP 2009063416A JP 2010220359 A JP2010220359 A JP 2010220359A
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Abstract

【課題】 高出力化と低コスト化を両立させ得る、埋込磁石型回転電機のロータコアの安価な製造方法と、該製造方法により製造されたロータコア、該ロータコアを用いたロータ、該ロータを有する埋込磁石型回転電機を提供できるようにする。
【解決手段】 前記埋込磁石型回転電機のロータコアは、同一部材中に強磁性部と弱磁性部とを有する複合磁性材の板状部材を積層してなり、前記複合磁性材を予め強磁性材として設定の形状に加工し、積層した後、設定の部分を加熱処理することにより弱磁性部となすことを特徴とするロータコアの製造方法とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ロータコア内部にマグネットを装着するロータを有する埋込磁石型回転電機に関するものである。
従来の、ロータコア内部にマグネットを装着するロータを有する埋込磁石型回転電機は、常に高出力化と低コスト化の改良がなされてきた。高出力化の手段の1つに高速回転化と高トルク化があり、低コスト化の手段の1つに高価なマグネットの使用量の低減がある。
一般的に、高出力化と低コスト化を両立させることは困難な課題であるが、マグネット装着孔周りのブリッジ部の透磁率を低下させることにより、マグネットの洩れ磁束を低減し、耐遠心力強度を損なうことなしに、高トルク化、またはマグネット使用量の低減を図る技術がある(例えば、特許文献1参照)。
図18は、特許文献1における図1に示されている、従来の埋込磁石型回転電機のロータの構造図である。
従来の一般的な電磁鋼板を用いたロータコアの、マグネット装着孔5周りのブリッジ部10の透磁率を、機械的または熱的処理により低下させようとするものである。従来の電磁鋼板を用いることで材料費の上昇がなく、耐遠心力を損なうことなしに、強磁性材である電磁鋼板のブリッジ部のみの磁性を、ある程度低下させることができる。
このように、従来の埋込磁石型回転電機のロータコアは、洩れ磁束低減による高出力化と低コスト化の改良が図られてきたのである。
実開平5−4742号公報
従来の埋込磁石型回転電機において、一般的な電磁鋼板を用いたロータコアでは、特殊な鋼板を用いないため、材料費の上昇を避けることは容易であるが、洩れ磁束の低減による高トルク化が十分でない。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、複合磁性材をロータに用い、高出力化と低コスト化を両立させ得る、埋込磁石型回転電機のロータコアの安価な製造方法と、該製造方法により製造されたロータコア、該ロータコアを用いたロータ、該ロータを有する埋込磁石型回転電機を提供することを目的とするものである。
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したものである。
請求項1に記載の発明は、
ロータコア内部にマグネットを装着するロータを有する埋込磁石型回転電機において、前記埋込磁石型回転電機のロータコアは、同一部材中に強磁性部と弱磁性部とを有する複合磁性材の板状部材を積層してなり、前記複合磁性材を予め強磁性材として設定の形状に加工し、積層した後、設定の部分を加熱処理することにより弱磁性部となすことを特徴とするロータコアの製造方法とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、
前記ロータコアの設定の部分の加熱処理は、マグネット装着孔に高温ガスを通じてなされることを特徴とする、請求項1記載のロータコアの製造方法とするものである。
また、請求項3に記載の発明は、
前記高温ガスは、火炎であることを特徴とする、請求項1記載のロータコアの製造方法とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、
ロータコア内部にマグネットを装着するロータを有する埋込磁石型回転電機において、 前記埋込磁石型回転電機のロータコアは、同一部材中に強磁性部と弱磁性部とを有する複合磁性材の板状部材を積層して構成したことを特徴とするロータコアとするものである。
また、請求項5に記載の発明は、
積層された前記複合磁性材は、設定の形状に形成された強磁性材であり、所定の部分に弱磁性部を有することを特徴とする、請求項4に記載のロータコアとするものである。
また、請求項6に記載の発明は、
前記ロータコアは、マグネット装着孔周りのブリッジ部の少なくとも一部分が弱磁性部であり、その他の部分が強磁性部であることを特徴とする、請求項5記載に記載のロータコアとするものである。
また、請求項7に記載の発明は、
前記板状部材は、積層する各々の積層面に、非導電性の皮膜または表面処理による非導電性の化合層を有することを特徴とする、請求項4に記載のロータコアとするものである。
また、請求項8に記載の発明は、
前記弱磁性部を有するブリッジ部は、ロータコアの外形状に接する外接円に接しない、該外接円より内側に設けられたことを特徴とする、請求項6に記載のロータコアとするものである。
また、請求項9に記載の発明は、
請求項3ないし請求項8のいずれかの項に記載のロータコアの内部にマグネットを装着して構成したことを特徴とするロータとするものである。
また、請求項10に記載の発明は、
ステータとロータを備えた埋め込み磁石型回転電機において、前記ロータが請求項9に記載のロータで構成されたことを特徴とする埋め込み磁石型回転電機とするものである。
また、請求項11に記載の発明は、
1極に対し2個のマグネットを略V字状に配置するロータコアを有する埋め込み磁石型回転電機において、マグネット装着孔の外側のブリッジ部と内側のブリッジ部の少なくとも一部分を弱磁性部とし、その他の部分を強磁性部としたことを特徴とするロータコアとするものである。
また、請求項12に記載の発明は、
1極に対し1個のマグネットを放射状に配置するロータコアを有する埋め込み磁石型回転電機において、マグネット装着孔の外側のブリッジ部と内側のブリッジ部の少なくとも一部分を弱磁性部とし、その他の部分を強磁性部としたことを特徴とするロータコアとするものである。
また、請求項13に記載の発明は、
1極に対し1個のマグネットを放射状に配置し、前記マグネットの間の内周側に、別に各1個のマグネットを、磁極を径方向に向けて配置するロータコアを有する埋め込み磁石型回転電機において、 マグネット装着孔の外側のブリッジ部と内側のブリッジ部の大部分、またはブリッジ部の一部分を弱磁性部とし、その他の部分を強磁性部としたことを特徴とするロータコアとするものである。
また、請求項14に記載の発明は、
1極に対し2個のマグネットを、磁極を径方向に向けて並べて配置するロータコアを有する埋め込み磁石型回転電機において、
マグネット装着孔の磁極の境部のブリッジ部と、並んだマグネット装着孔の間のブリッジ部の大部分、またはブリッジ部の一部分を弱磁性部とし、その他の部分を強磁性部としたことを特徴とするロータコアとするものである。
また、請求項15に記載の発明は、
1極に対し1個のマグネットを、磁極を径方向に向けて並べて配置するロータコアを有する埋め込み磁石型回転電機において、マグネット装着孔の磁極の境部のブリッジ部の大部分、またはブリッジ部の一部分を弱磁性部とし、その他の部分を強磁性部としたことを特徴とするロータコアとするものである。
請求項1、請求項4、および請求項5に記載の発明によると、
前記埋込磁石型回転電機のロータコアは、同一部材中に強磁性部と弱磁性部とを有する複合磁性材の板状部材を積層してなり、積層した後、一括して加熱処理するため、生産効率が大変よく、高出力化と低コスト化を両立させ得る、埋込磁石型回転電機を実現できる。
また、請求項2に記載の発明によると、
前記ロータコアの設定の部分の加熱処理は、マグネット装着孔に高温ガスを通じてなされるため、マグネット装着孔周りのブリッジ部を効率よく加熱処理することができる。
また、請求項3に記載の発明によると、
前記高温ガスは、火炎であるため、汎用的な可燃ガスを用いて、安価に、十分な加熱を行うことができる。
また、請求項6に記載の発明によると、
前記ロータコアは、マグネット装着孔周りのブリッジ部の大部分、またはブリッジ部の一部分を弱磁性部とし、その他の部分を強磁性部としたため、高出力化と低コスト化を両立させ得る、埋込磁石型回転電機を実現できる。
また、請求項7に記載の発明によると、
前記ロータコアを構成する板状部材は、積層する各々の積層面に、非導電性の皮膜または表面処理による非導電性の化合層を有するため、従来の電磁板状部材と同様に渦電流による鉄損の増加を防止できる。
また、請求項8に記載の発明によると、
前記弱磁性部を有するブリッジ部は、ロータコアの外形状に接する外接円に接しない、該外接円より内側に設けられたことを特徴とする、請求項1記載の製造方法により製造されたロータコアため、弱磁性部の位置誤差が、コギングトルクの増大に与える影響を小さく留め得る。
また、請求項9に記載の発明によると、
請求項1記載の製造方法により製造されたロータコア内部にマグネットを装着するロータとするため、洩れ磁束が小さく、安価なロータコアを製造することができる。
また、請求項10に記載の発明によると、
請求項7記載のロータを有する埋め込み磁石型回転電機とするため、高出力化と低コスト化を両立させ得る、埋込磁石型回転電機を製造することができる。
また、請求項11に記載の発明によると、
1極に対し2個のマグネットを略V字状に配置する埋め込み磁石型回転電機において、マグネット装着孔の外側のブリッジ部と内側のブリッジ部の大部分、またはブリッジ部の一部分を弱磁性部とし、その他の部分を強磁性部としたため、従来の、ブリッジ部を細く設け洩れ磁束を低減するロータ設計に比べ、高トルク化を向上できる。
また、請求項12に記載の発明によると、
1極に対し1個のマグネットを放射状に配置する埋め込み磁石型回転電機において、マグネット装着孔の外側のブリッジ部と内側のブリッジ部の大部分、またはブリッジ部の一部分を弱磁性部とし、その他の部分を強磁性部としたため、従来の、ブリッジ部を細く設け洩れ磁束を低減するロータ設計に比べ、高トルク化を向上できる。
また、請求項13に記載の発明によると、
1極に対し1個のマグネットを放射状に配置し、前記マグネットの間の内周側に、別に各1個のマグネットを磁極を径方向に向けて配置する埋め込み磁石型回転電機において、マグネット装着孔の外側のブリッジ部と内側のブリッジ部の大部分、またはブリッジ部の一部分を弱磁性部とし、その他の部分を強磁性部としたため、従来の、ブリッジ部を細く設け洩れ磁束を低減するロータ設計に比べ、高トルク化を向上できる。
また、請求項14に記載の発明によると、
1極に対し2個のマグネットを、磁極を径方向に向けて並べて配置する埋め込み磁石型回転電機において、マグネット装着孔の磁極の境部のブリッジ部と、並んだマグネット装着孔の間のブリッジ部の大部分、またはブリッジ部の一部分を弱磁性部とし、その他の部分を強磁性部としたため、従来の、ブリッジ部を細く設け洩れ磁束を低減するロータ設計に比べ、高トルク化を向上できる。
また、請求項15に記載の発明によると、
1極に対し1個のマグネットを、磁極を径方向に向けて並べて配置する埋め込み磁石型回転電機において、マグネット装着孔の磁極の境部のブリッジ部の大部分、またはブリッジ部の一部分を弱磁性部とし、その他の部分を強磁性部としたため、従来の、ブリッジ部を細く設け洩れ磁束を低減するロータ設計に比べ、高トルク化を向上できる。
本発明の第1実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータコアの形状を示す拡大図 本発明の第1実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータコアの外観図 本発明の第1実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータの径方向断面の拡大図 本発明の第1実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータの径方向断面図と軸方向断面図 本発明の第1実施例を示す埋込磁石型回転電機の径方向断面図 本発明の第1実施例を示す埋込磁石型回転電機の軸方向断面図 ブリッジ部に設けられる弱磁性部の範囲を明確にする説明図 本発明の埋込磁石型回転電機のロータコアを構成する板状部材の加熱処理方法を示す説明図 本発明の埋込磁石型回転電機のロータコアの製造方法を含む、ロータの製造工程図 本発明の第2実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータの径方向断面図 本発明の第2実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータコアの形状を示す拡大図 本発明の第3実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータの径方向断面図 本発明の第3実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータコアの形状を示す拡大図 本発明の第4実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータの径方向断面図 本発明の第4実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータコアの形状を示す拡大図 本発明の第5実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータの径方向断面図 本発明の第5実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータコアの形状を示す拡大図 従来の埋込磁石型回転電機のロータの構造図
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図5及び図6は、本発明の第1実施例を示す埋込磁石型回転電機の径方向断面図と軸方向断面図である。
図において、前記埋込磁石型回転電機は、ロータコア32内部にマグネット33を装着するロータを有し、ロータは、シャフト31に設置された負荷側ベアリング26と反負荷側ベアリング27を介して、負荷側ブラケット24と反負荷側ブラケット25に回転自在に支持されている。
ステータは、ステータコア21とステータコイル22よりなり、フレーム23に保持され、フレームは負荷側ブラケットに、反負荷側ブラケットとともに、締結ボルト30で固締結されている。ステータコイルへの通電はステータコイルのリード線28を通して行われ、ロータの反負荷側には、回転位置検出のためのエンコーダ部29が設置されている。
図4は、本発明の第1実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータの径方向断面図と軸方向断面図である。
図において、前記ロータは、ロータコア32のマグネット装着孔にマグネット33を装着し、ロータコアはシャフト31に嵌合し、負荷側側板34と反負荷側側板35により軸方向を固定されている。
本実施例のロータは、ロータコアの1極に対し2個のマグネットを略V字状に配置する構造であり、2個のマグネットの挟角を充分狭く設計し、マグネットより発生する磁束をロータ表面に集中させることにより、高いギャップ磁束密度を得る設計としている。
図3は、本発明の第1実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータの径方向断面の拡大図である。
図において、マグネット33は、ロータコア32の略V字状のマグネット装着孔に、一部示すように、同じ磁極を向かい合わせに装着され、本ロータは、外周にN極とS極の磁極が交互に配置される10極の埋込磁石型ロータとなっている。
図2は、本発明の第1実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータコアの外観図である。
図において、マグネット装着孔32aの外周側には、外側ブリッジ部38が設けられ、内周側には、内側ブリッジ部39が設けられている。
ロータコアは、同一部材中に強磁性部と弱磁性部とを有する複合磁性材の板状部材を積層してなり、前記複合磁性材を予め強磁性材として設定の形状に加工し、積層した後、設定の部分を加熱処理することにより弱磁性部とする。
図1は、本発明の第1実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータコアの形状を示す拡大図である。
加熱処理するロータコアの設定の部分は、マグネット装着孔32a周りの外側ブリッジ部38と内側ブリッジ部39の大部分、またはブリッジ部の一部分であり、図において、外側弱磁性部38aと、内側弱磁性部39aで示されている。ロータコアを構成する複合磁性材は、単一組成でありながら強磁性と弱磁性の両方の磁気特性を実現できる材料である。
複合磁性材を用いることで、従来の強磁性材である電磁鋼板を用いた、ブリッジ部を設け洩れ磁束を低減するロータ設計に比べ、弱磁性化したことでブリッジ部を従来ほど細く設ける必要が無く、耐遠心力強度及び耐高トルク強度を向上でき、高速回転化と高トルク化をなし得る。マグネット磁極面より発生した磁束は、ブリッジ部に洩れ磁束となりにくく、殆どがロータ外周面へ導かれるため、従来ブリッジ部での洩れ磁束を補うためのマグネット使用量の追加分が不要になることが、複合磁性材という特殊な鋼板を用いる材料費の上昇分を相殺し、ロータを安価のまま製造できる。また、電機子反作用に対するギャップ磁束の減磁も小さいため、最大トルクを向上できる。
前記外側弱磁性部32bは、ロータコアの外形状に接する外接円に接しない、該外接円より内側に設けられるため、弱磁性部の位置誤差が、コギングトルクの増大に与える影響を小さく留め得る。弱磁性部の位置誤差に対しコギングトルクの大きさは敏感であるため、弱磁性部をステータコアより遠ざけることで、コギングトルクの増大に与える影響をより小さく留め得るのである。
ロータコアを構成する板状部材には、予め非導電性の無機皮膜が施されている。そのため、ロータコアに積層されても、従来の電磁板状部材と同様に渦電流による鉄損の増加を防止できる。
図7は、本発明の埋込磁石型回転電機のロータコアのブリッジ部の形状について、ブリッジ部に設けられる弱磁性部の範囲を明確にする説明図である。
ブリッジ部は、従来マグネットのN極からS極へ、洩れ磁束として、磁束がショートカットすることを防ぐために、磁束の隘路とするため細く設けられてきた。
本発明は、ブリッジ部の大部分、またはブリッジ部の一部分を弱磁性部とすることで、図中、洩れ磁束のイメージとして示された、磁束のショートカットを、激減させるものである。
図は、ロータコアの形状によって、ブリッジ部の大部分と、一部分の意味を、単一のブリッジ部の場合と、連結したブリッジ部の場合について説明している。
図8は、本発明の埋込磁石型回転電機のロータコアの加熱処理方法を示す説明図である。
ロータコアは、複合磁性材板材を設定の形状に加工して積層後、マグネット装着孔に高温ガスを通じて、前記ブリッジ部の大部分、またはブリッジ部の一部分を加熱処理する。本実施例では、高温ガスとして酸素アセチレンガスの燃焼火炎を用いている。
図において、ロータコア32を、入口側導風治具36と出口側導風治具37との間に装着し、火炎を入口側導風治具からロータコアのマグネット装着孔32aに通過させる。入口側導風治具は、ロータコアに接する側で火炎の通路をロータコアの全てのマグネット装着孔に分岐し、火炎がマグネット装着孔32以外の部分に極力接しない構造となっている。出口側導風治具も同様である。
火炎をマグネット装着孔に通過させ、1200℃程度に加熱した後、熱の拡散を利用し自然急冷する。火炎による加熱は、図1に示したロータコアの外側ブリッジ部38、内側ブリッジ部39のような熱容量の小さい局部に適した加熱方法であり、マグネット装着孔を導風孔に兼ねることで、焼入れ処理に要する熱量が最小でよい。また、外側ブリッジ部と内側ブリッジ部を同時に加熱処理できるため、処理に要する手間も少なく、ロータコアを構成する板状部材を、個々に加熱処理するのではなく、積層後に一括して加熱処理できるため、ロータコアを安価に製造できる。また、加熱時間の加減により、ブリッジ部の弱磁性化する範囲を、調整し易い加熱方法でもある。
本実施例のロータコアは、ブリッジ部に比較して、大きな熱容量を有するため、熱の拡散を利用し自然急冷却したが、比較的小さな熱容量のロータコアでは、火炎による加熱後、冷却風を通じて急冷しても良い。
ロータコアの洩れ磁束が生じる部分を弱磁性部とした、本実施例のロータコアの設計においては、ロータコア全てが強磁性部である従来のブリッジ部のように、洩れ磁束を低減するために、ブリッジ部を細く設ける必要がない。本発明においては、マグネット装着孔に、高温ガスを通じて加熱処理する方法とマッチングさせることによって、高温ガスの吹付け箇所を特定化させるなどの面倒な処理をすることなく、細いブリッジ形状であるがゆえ、他のマグネット装着孔周りの箇所よりも早く高温にして、ブリッジ部のみを弱磁性部とすることができるようにしたのである。
図9は、本発明の埋込磁石型回転電機のロータコアの製造方法を含む、ロータの製造工程図である。
ロータコアの製造方法としては、予め強磁性材とした複合磁性材板材を、設定の形状に打抜き加工し、積層し、加熱処理する。
加熱処理は、積層後に一括して短時間で行われるため、例えば特許文献2に示されているような、板状部材を、個々に、レーザ照射により加熱する方法に比べ、十分に、量産可能なレベルとなし得るのである。
その後、ロータコアは、負荷側側板が圧入されたシャフトに組付けられ、ロータコアのマグネット装着孔にマグネットを接着し、反負荷側側板を圧入して、ロータは完成する。
図10は、本発明の第2実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータの径方向断面図である。
図において、ロータコア42は、1極に対し1個のマグネット43を放射状に配置するマグネット装着孔を備え、マグネットは、マグネット装着孔に、一部示すように、同じ磁極を向かい合わせに装着される。そのため、ロータコアとマグネットにより構成させるロータは、N極とS極の磁極が交互に配置される12極の埋込磁石型ロータとなる。
図11は、本発明の第2実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータコアの形状を示す拡大図である。
埋込磁石型回転電機のロータコア42は、第1実施例と同じ複合磁性材からなる。
本実施例では、加熱処理するロータコアの設定の部分は、マグネット装着孔42a周りの外側ブリッジ部48と内側ブリッジ部49の大部分、またはブリッジ部の一部分であり、図において、外側弱磁性部48aと、内側弱磁性部49aで示されている。
前記外側弱磁性部48aは、ロータコアの外形状に接する外接円に接しない、該外接円より内側に設けられるため、弱磁性部の位置誤差が、コギングトルクの増大に与える影響を小さく留め得る。
本実施例のロータコアの設計においては、ロータコア全てが強磁性部である従来のブリッジ部のように、洩れ磁束を低減するために、ブリッジ部を細く設ける必要がなく、空隙42bも、必要はない。マグネット装着孔に、高温ガスを通じて加熱処理する方法を可能とするために、空隙42bを、敢えて設けているのである。
本実施例の前記板状部材のレイアウトは、第1実施例に比べ、多極でシャフト径が小さくて良い場合の、本発明の製造方法によってなるロータコア内部にマグネットを装着するロータの設計例を示すものである。
図12は、本発明の第3実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータの径方向断面図である。
図において、ロータコア52は、1極に対し1個のマグネットを放射状に配置し、前記マグネットの間の内周側に、別に各1個のマグネットを磁極を径方向に向けて配置するマグネット装着孔52aを備え、マグネット53は、マグネット装着孔に、一部示すように、同じ磁極を向かい合わせに装着される。そのため、ロータコアとマグネットにより構成させるロータは、N極とS極の磁極が交互に配置される8極の埋込磁石型ロータとなる。
図13は、本発明の第3実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータコアの形状を示す拡大図である。
埋込磁石型回転電機のロータコア52は、第1実施例と同じ複合磁性材からなる。
本実施例では、加熱処理するロータコアの設定の部分は、マグネット装着孔52a周りの外側ブリッジ部48と内側ブリッジ部49の大部分、またはブリッジ部の一部分であり、図において、外側弱磁性部48aと、内側弱磁性部49aで示されている。
前記外側弱磁性部48aは、ロータコアの外形状に接する外接円に接しない、該外接円より内側に設けられるため、弱磁性部の位置誤差が、コギングトルクの増大に与える影響を小さく留め得る。
本実施例の前記板状部材のレイアウトは、第1実施例に比べ、やや少極でシャフト径がやや大きい場合の、本発明の製造方法によってなるロータコア内部にマグネットを装着するロータの設計例を示すものである。
図14は、本発明の第4実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータの径方向断面図である。
図において、ロータコア62は、1極に対し2個のマグネット63を、磁極を径方向に向けて並べて配置するマグネット装着孔62aを備え、マグネットは、マグネット装着孔に、一部示すように、磁極を交互に外側に向けて装着される。そのため、前記板状部材とマグネットにより構成させるロータは、N極とS極の磁極が交互に配置される6極の埋込磁石型ロータとなる。
図15は、本発明の第4実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータコアの形状を示す拡大図である。
埋込磁石型回転電機のロータコア62は、第1実施例と同じ複合磁性材からなる。
本実施例では、加熱処理するロータコアの設定の部分は、マグネット装着孔62a周りの境部のブリッジ部68と間のブリッジ部69の大部分、またはブリッジ部の一部分であり、図において、境部の弱磁性部68aと、間の弱磁性部69aで示されている。
前記境部の弱磁性部68aは、ロータコアの外形状に接する外接円に接しない、該外接円より内側に設けられるため、弱磁性部の位置誤差が、コギングトルクの増大に与える影響を小さく留め得る。
本実施例の前記板状部材のレイアウトは、第1実施例に比べ、より少極でシャフト径が大きい場合の、本発明の製造方法によってなる前記板状部材を積層してなるロータコア内部にマグネットを装着するロータの設計例を示すものである。
図16は、本発明の第5実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータの径方向断面図である。
図において、ロータコア72は、1極に対し1個のマグネット73を、磁極を径方向に向けて並べて配置するマグネット装着孔を備え、マグネットは、マグネット装着孔に、一部示すように、磁極を交互に外側に向けて装着される。そのため、前記板状部材とマグネットにより構成させるロータは、N極とS極の磁極が交互に配置される16極の埋込磁石型ロータとなる。
図17は、本発明の第2実施例を示す埋込磁石型回転電機のロータコアの形状を示す拡大図である。
埋込磁石型回転電機のロータコア72は、第1実施例と同じ複合磁性材からなる。
本実施例では、加熱処理するロータコアの設定の部分は、マグネット装着孔72a周りの境部のブリッジ部78の大部分、またはブリッジ部の一部分であり、図において、境部の弱磁性部78aで示されている。
前記境部の弱磁性部78aは、ロータコアの外形状に接する外接円に接しない、該外接円より内側に設けられるため、弱磁性部の位置誤差が、コギングトルクの増大に与える影響を小さく留め得る。
本実施例の前記板状部材のレイアウトは、第1実施例に比べ、非常に多極でシャフト径が特に大きい場合の、本発明の製造方法によってなる前記板状部材を積層してなるロータコア内部にマグネットを装着するロータの設計例を示すものである。
本発明が、特許文献1と異なる部分は、ロータコアの材質として、従来の一般的な電磁鋼板ではなく、複合磁性材を用いていた部分である。
本発明が、特許文献2と異なる部分は、積層後に一括して、高温ガスを用いて行う、ロータコアの製造方法である。
本発明の埋込磁石型回転電機は、高速回転化と高トルク化が可能となるため、工作機主軸や電気自動車用モータという用途にも適用できる。
21 ステータコア
22 ステータコイル
23 フレーム
24 負荷側ブラケット
25 反負荷側ブラケット
26 負荷側ベアリング
27 反負荷側ベアリング
28 ステータコイルのリード線
29 エンコーダ部
30 締結ボルト
31 シャフト
32 ロータコア
32a マグネット装着孔
33 マグネット
34 負荷側側板
35 反負荷側側板
36 入口側導風治具
37 出口側導風治具
38 外側ブリッジ部
38a 外側弱磁性部
39 内側ブリッジ部
39a 内側弱磁性部

Claims (15)

  1. ロータコア内部にマグネットを装着するロータを有する埋込磁石型回転電機において、
    前記埋込磁石型回転電機のロータコアは、同一部材中に強磁性部と弱磁性部とを有する複合磁性材の板状部材を積層してなり、前記複合磁性材を予め強磁性材として設定の形状に加工し、積層した後、設定の部分を加熱処理することにより弱磁性部となすことを特徴とするロータコアの製造方法。
  2. 前記ロータコアの設定の部分の加熱処理は、マグネット装着孔に高温ガスを通じてなされることを特徴とする、請求項1に記載のロータコアの製造方法。
  3. 前記高温ガスは、火炎であることを特徴とする、請求項2に記載のロータコアの製造方法。
  4. ロータコア内部にマグネットを装着するロータを有する埋込磁石型回転電機において、
    前記埋込磁石型回転電機のロータコアは、同一部材中に強磁性部と弱磁性部とを有する複合磁性材の板状部材を積層して構成したことを特徴とするロータコア。
  5. 積層された前記複合磁性材は、設定の形状に形成された強磁性材であり、所定の部分に弱磁性部を有することを特徴とする、請求項4に記載のロータコア。
  6. 前記ロータコアは、マグネット装着孔周りのブリッジ部の少なくとも一部分が弱磁性部であり、その他の部分が強磁性部であることを特徴とする、請求項5記載に記載のロータコア。
  7. 前記板状部材は、積層する各々の積層面に、非導電性の皮膜または表面処理による非導電性の化合層を有することを特徴とする、請求項4に記載のロータコア。
  8. 前記弱磁性部を有するブリッジ部は、ロータコアの外形状に接する外接円に接しない、該外接円より内側に設けられたことを特徴とする、請求項6に記載のロータコア。
  9. 請求項4ないし請求項8のいずれかの項に記載のロータコアの内部にマグネットを装着して構成したことを特徴とするロータ。
  10. ステータとロータを備えた埋め込み磁石型回転電機において、前記ロータが請求項9に記載のロータで構成されたことを特徴とする埋め込み磁石型回転電機。
  11. 1極に対し2個のマグネットを略V字状に配置するロータコアを有する埋め込み磁石型回転電機において、
    マグネット装着孔の外側のブリッジ部と内側のブリッジ部の少なくとも一部分を弱磁性部とし、その他の部分を強磁性部としたことを特徴とするロータコア。
  12. 1極に対し1個のマグネットを放射状に配置するロータコアを有する埋め込み磁石型回転電機において、
    マグネット装着孔の外側のブリッジ部と内側のブリッジ部の少なくとも一部分を弱磁性部とし、その他の部分を強磁性部としたことを特徴とするロータコア。
  13. 1極に対し1個のマグネットを放射状に配置し、前記マグネットの間の内周側に、別に各1個のマグネットを、磁極を径方向に向けて配置するロータコアを有する埋め込み磁石型回転電機において、
    マグネット装着孔の外側のブリッジ部と内側のブリッジ部の大部分、またはブリッジ部の一部分を弱磁性部とし、その他の部分を強磁性部としたことを特徴とするロータコア。
  14. 1極に対し2個のマグネットを、磁極を径方向に向けて並べて配置するロータコアを有する埋め込み磁石型回転電機において、
    マグネット装着孔の磁極の境部のブリッジ部と、並んだマグネット装着孔の間のブリッジ部の大部分、またはブリッジ部の一部分を弱磁性部とし、その他の部分を強磁性部としたことを特徴とするロータコア。
  15. 1極に対し1個のマグネットを、磁極を径方向に向けて並べて配置するロータコアを有する埋め込み磁石型回転電機において、
    マグネット装着孔の磁極の境部のブリッジ部の大部分、またはブリッジ部の一部分を弱磁性部とし、その他の部分を強磁性部としたことを特徴とするロータコア。
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