以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
本実施の形態は、第1測定ユニット、第2測定ユニット、検体搬送ユニット、バーコードリーダ、検体容器センサ、及び情報処理ユニットを備え、複数の検体容器を保持するサンプルラックを検体搬送ユニットによって搬送し、検体容器センサにて検体容器の有無を検出し、バーコードリーダによって検体バーコードの読み取りを行った後、サンプルラックに保持されている複数の検体容器を第1測定ユニット及び第2測定ユニットへ振り分けるために、サンプルラックを前記検体搬送ユニットによって搬送する検体処理装置である。
[検体処理装置の構成]
図1A及び図1Bは、本実施の形態に係る検体処理装置の全体構成を示す斜視図である。本実施の形態に係る検体処理装置1は、血液検体に含まれる血球を白血球、赤血球、血小板等を検出し、各血球を計数する多項目血球分析装置である。図1A及び図1Bに示すように、検体処理装置1は、第1測定ユニット2と、第2測定ユニット3と、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の前面側に配置された検体搬送ユニット4と、第1測定ユニット2、第2測定ユニット3、及び検体搬送ユニット4を制御可能な情報処理ユニット5とを備えている。
図2は、検体を収容する検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、複数の検体容器を保持するサンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。図3に移り、サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
<測定ユニットの構成>
第1測定ユニット2は、検体搬送ユニット4の検体の搬送方向(図4に示すX方向)上流側に配置され、第2測定ユニット3は、前記搬送方向下流側に配置されている。図4は、測定ユニットの構成を示すブロック図である。図4に示すように、第1測定ユニット2は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部21と、検体吸引部21により吸引した血液から血球等の血液成分の測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部22と、試料調製部22により調製された測定試料から血球を検出(測定)する検出部23とを有している。また、第1測定ユニット2は、検体搬送ユニット4のラック搬送部43によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを第1測定ユニット2の内部に取り込むための取込口24(図1A及び図1B参照)と、サンプルラックLから検体容器Tを第1測定ユニット2の内部に取り込み、検体吸引部21による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部25とをさらに有している。
図4に示すように、検体吸引部21の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部21は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
試料調製部22は、複数の反応チャンバ(図示せず)を備えている。また、試料調製部22は、図示しない試薬容器に接続されており、染色試薬、溶血剤、及び希釈液等の試薬を反応チャンバに供給することが可能である。試料調製部22は、検体吸引部21の吸引管とも接続されており、吸引管により吸引された血液検体を反応チャンバに供給することが可能である。かかる試料調製部22は、反応チャンバ内で検体と試薬とを混合撹拌し、検出部23による測定用の試料(測定試料)を調製する。
検出部23は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBC及びPLTの検出においては、検体と希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット5が解析処理することによりRBC及びPLTの数値データの取得が行われる。また、検出部23は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。この検出部23では、白血球の5分類、すなわち、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONOの検出を伴わないWBCの検出と、白血球の5分類を伴うWBCの検出とでは、検出方法が異なっている。白血球5分類を伴わないWBCの検出では、検体と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット5が解析処理することによりWBCの数値データの取得が行われる。一方、白血球5分類を伴うWBCの検出では、検体と、白血球5分類用染色試薬と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット5が解析処理することによりNEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの数値データの取得が行われる。
上記のWBC、RBC、PLT、及びHGBは、CBC項目と呼ばれる測定項目に含まれており、WBC、RBC、PLT、HGB、NEUT、LYMPH、EO、BASO、及びMONOは、CBC+DIFF項目と呼ばれる測定項目に含まれている。本実施の形態においては、CBC+DIFF項目が、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3で共通に測定可能な測定項目であり、全ての検体に対して測定される基本項目とされる。
上記の検出部23は、図示しないフローセルを有しており、フローセルに測定試料を送り込むことでフローセル中に液流を発生させ、フローセル内を通過する液流に含まれる血球に半導体レーザ光を照射して、前方散乱光、側方散乱光及び側方蛍光を検出する構成である。
光散乱は、血球のような粒子が光の進行方向に障害物として存在し、光がその進行方向を変えることによって生じる現象である。この散乱光を検出することによって、粒子の大きさや材質に関する情報を得ることができる。特に、前方散乱光からは、粒子(血球)の大きさに関する情報を得ることができる。また、側方散乱光からは、粒子内部の情報を得ることができる。血球粒子にレーザ光が照射された場合、側方散乱光強度は細胞内部の複雑さ(核の形状、大きさ、密度や顆粒の量)に依存する。したがって、側方散乱光強度のこの特性を利用することで、白血球の分類の測定その他の測定を行うことができる。
染色された血球のような蛍光物質に光を照射すると、照射した光の波長より長い波長の光を発する。蛍光の強度はよく染色されていれば強くなり、この蛍光強度を測定することによって血球の染色度合いに関する情報を得ることができる。したがって、(側方)蛍光強度の差によって、白血球の分類の測定その他の測定を行うことができる。
検体容器搬送部25の構成について説明する。検体容器搬送部25は、検体容器Tを把持可能なハンド部25aを備えている。ハンド部25aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部25は、ハンド部25aを上下方向及び前後方向(Y方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部25aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、第1検体供給位置43aに位置した検体容器Tをハンド部25aにより把持し、その状態でハンド部25aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部25aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
また、検体容器搬送部25は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部25bを備えている。上述したハンド部25aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部25bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、ハンド部25aから検体容器Tが開放され、検体容器セット部25bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部25bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y方向へ水平移動可能である。
検体容器セット部25bは、検体吸引部21による吸引位置21aへ移動可能である。検体容器セット部25bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部21により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
次に、第2測定ユニット3の構成について説明する。第2測定ユニット3の構成は、第1測定ユニット2の構成と同一であり、第2測定ユニット3は、検体吸引部31と、検体吸引部31により吸引した血液から血球等の血液成分の測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部32と、試料調製部32により調製された測定試料から血球を検出する検出部33とを有している。また、第2測定ユニット3は、検体搬送ユニット4のラック搬送部43によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを第2測定ユニット3の内部に取り込むための取込口34(図1Aおよび図1B参照)と、サンプルラックLから検体容器Tを第2測定ユニット3の内部に取り込み、検体吸引部31による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部35とをさらに有している。検体吸引部31、試料調製部32、検出部33、取込口34、及び検体容器搬送部35の構成は、それぞれ検体吸引部21、試料調製部22、検出部23、取込口24、及び検体容器搬送部25の構成と同様であるので、その説明を省略する。
かかる第2測定ユニット3は、第1測定ユニット2と同様に、上記のCBC+DIFF項目であるWBC、RBC、PLT、HGB、NEUT、LYMPH、EO、BASO、及びMONOの各測定項目について検体の測定が可能となっている。第2測定ユニット3の構成は、第1測定ユニットの構成と同様であるので、その説明を省略する。
このような第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3は、1つの検体から調製された測定試料を検出部22,32にて測定している間に、他の検体を収容する検体容器Tを内部に取り込むことが可能である。
<検体搬送ユニットの構成>
次に、検体搬送ユニット4の構成について説明する。図1A及び図1Bに示すように、検体処理装置1の第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の前方には、検体搬送ユニット4が配置されている。かかる検体搬送ユニット4は、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3へ検体を供給するために、サンプルラックLを搬送することが可能である。
図5は、検体搬送ユニット4の構成を示す平面図である。図5に示すように、検体搬送ユニット4は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部41と、第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3によって検体が吸引された検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部42と、検体を第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3に供給するために、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部41から受け付けたサンプルラックLを分析後ラック保持部42へ搬送するラック搬送部43と、バーコード読取部44(図4参照)と、検体容器Tの有無を検知する検体容器センサ45(図4参照)とを備えている。
分析前ラック保持部41は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析前ラック保持部41は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前のサンプルラックLが載置される。また、分析前ラック保持部41の両側面からは、内側へ向けてラック送込部41bが突出可能に設けられている。このラック送込部41bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で後方(ラック搬送部43に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部41bは、分析前ラック保持部41の下方に設けられた図示しないステッピングモータによって駆動可能に構成されている。
ラック搬送部43は、図5に示すように、分析前ラック保持部41によって移送されたサンプルラックLを、前記X方向へと移送可能となっている。このラック搬送部43によるサンプルラックLの搬送経路上には、図4に示す第1測定ユニット2へ検体を供給するための第1検体供給位置43a及び第2測定ユニット3へ検体を供給するための第2検体供給位置43bが存在する。図4に戻り、検体搬送ユニット4は、情報処理ユニット5によって制御され、第1検体供給位置43a又は第2検体供給位置43bに検体を搬送した場合には、対応する測定ユニットのハンド部25a又は35aが搬送された検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出すことで検体を第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3へ供給する。このようにして検体容器Tを把持したハンド部25a又は35aが前述したように第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3の筐体内へと進入し、これによって第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3内に検体が取り込まれる。ラック搬送部43は、第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3に検体が取り込まれている間もサンプルラックLを搬送することが可能である。したがって、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の一方が検体を取り込み中の間は、この測定ユニットにはさらに検体を取り込ませることはできないので、他方の測定ユニットへサンプルラックLを搬送し、検体を取り込ませる。
ここで図5〜図7を参照してラック搬送部43の構成を詳細に説明する。図5に示すように、ラック搬送部43は、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト431及び第2ベルト432の2つのベルトを有している。また、第1ベルト431及び第2ベルト432の矢印Y方向の幅b1は、それぞれサンプルラックLの矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさである。かかる第1ベルト431及び第2ベルト432は、ラック搬送部43がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。図6は、第1ベルト431の構成を示す正面図であり、図7は、第2ベルト432の構成を示す正面図である。図6及び図7に示すように、第1ベルト431及び第2ベルト432は、それぞれ環状に形成されており、第1ベルト431はローラ431a〜431cを取り囲むように配置され、第2ベルト432はローラ432a〜432cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト431の外周部には、サンプルラックLのX方向の幅Wよりも若干(例えば、1mm)大きい内幅w1を有するように2つの突起片431dが設けられており、同様に、図7に示すように、第2ベルト432の外周部には、前記内幅w1と同程度の内幅w2を有するように2つの突起片432dが設けられている。第1ベルト431は、2つの突起片431dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ(図示せず)によりローラ431a〜431cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。第2ベルト432は、2つの突起片432dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ(図示せず)によりローラ432a〜432cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト431及び第2ベルト432は、互いに独立してサンプルラックLを移送可能に構成されている。これにより、ラック搬送部43は、第1検体供給位置43a、第2検体供給位置43b、及び、バーコード読取部44が検体容器TのバーコードラベルBL1に印刷されたバーコードを読み取るための読取位置43dまで検体が搬送されるようにサンプルラックLを搬送することが可能である。
図4に戻り、バーコード読取部44は、図5に示した検体容器TのバーコードラベルBL1に印刷されたバーコードを読み取り、またサンプルラックLに貼付されたバーコードラベルBL2に印刷されたバーコードを読み取るように構成されている。また、バーコード読取部44は、図示しない回転装置によって対象の検体容器TをサンプルラックLに収容したまま水平方向に回転させながら検体容器Tのバーコードを読み取るように構成されている。これにより、検体容器Tのバーコードがバーコード読取部44に対して反対側に貼付されている場合にも、検体容器Tを回転させることによって、バーコードをバーコード読取部44側に向けることが可能である。また、サンプルラックLのバーコードラベルBL2に印刷されたバーコードは、各ラックに固有に付されたものであり、検体の分析結果の管理などに使用される。ラック搬送部43によるサンプルラックLの搬送経路上には、上述した第1検体供給位置43aと第2検体供給位置43bとの間にバーコード読取位置43dが設けられており、上記のようなバーコード読取部44は、このバーコード読取位置43dの近傍に配置されている。これにより、バーコード読取部44がバーコード読取位置43dに位置した検体容器Tの検体バーコードを読み取ることができる。
検体容器センサ45は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子(図示せず)を有している。検体容器センサ45は、接触片が検出対象の被検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射するように構成されている。これにより検体容器センサ45の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲されて、検体容器Tを検出することが可能である。検体容器センサ45は、バーコード読取位置43dに設けられている。これにより、バーコード読取位置43dにおける検体容器Tの有無を検体容器センサ45で検出することができる。
ラック搬送部43の搬送方向下流側端には、後述する分析後ラック保持部42が設けられており、この分析後ラック保持部42の後方にラック送出部46が設けられている。かかるラック送出部46は、図示しないステッピングモータの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部42とラック送出部46との間の位置461(以下、「分析後ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部46を分析後ラック保持部42側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部42内に移動することが可能である。
分析後ラック保持部42は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析後ラック保持部42は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部42は、上記のラック搬送部43に連なっており、上述したように、ラック送出部46によって、ラック搬送部43からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。
上記のような構成とすることにより、検体搬送ユニット4は、分析前ラック保持部41に載置されたサンプルラックLをラック搬送部43へと移送し、さらにラック搬送部43によって検体をバーコード読取位置43dへと搬送し、検体容器の有無の検出及び検体IDの読み取りを行い、さらに検体IDを読み取った検体を第1検体供給位置43a又は第2検体供給位置43bへと搬送して、第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3に供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部43により、分析後ラック送出位置461へと移送され、ラック送出部46により分析後ラック保持部42へ送出される。複数のサンプルラックLが分析前ラック保持部41に載置された場合では、分析が完了した検体を収容するサンプルラックLが次々にラック送出部46により分析後ラック保持部42へと送出され、これらの複数のサンプルラックLが分析後ラック保持部42に貯留されることとなる。
<情報処理ユニットの構成>
次に、情報処理ユニット5の構成について説明する。情報処理ユニット5は、コンピュータにより構成されている。図8は、情報処理ユニット5の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット5は、コンピュータ5aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ5aは、本体51と、画像表示部52と、入力部53とを備えている。本体51は、CPU51a、ROM51b、RAM51c、ハードディスク51d、読出装置51e、入出力インタフェース51f、通信インタフェース51g、及び画像出力インタフェース51hを備えており、CPU51a、ROM51b、RAM51c、ハードディスク51d、読出装置51e、入出力インタフェース51f、通信インタフェース51g、及び画像出力インタフェース51hは、バス51jによって接続されている。
CPU51aは、RAM51cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体分析用並びに第1測定ユニット2、第2測定ユニット3及び検体搬送ユニット4の制御用のコンピュータプログラム54aを当該CPU51aが実行することにより、コンピュータ5aが情報処理ユニット5として機能する。
ROM51bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU51aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
RAM51cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM51cは、ハードディスク51dに記録されているコンピュータプログラム54aの読み出しに用いられる。また、CPU51aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU51aの作業領域として利用される。
RAM51cには、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の状態をそれぞれ示す測定ユニット状態データ領域S1及びS2が設けられている。かかる測定ユニット状態データ領域S1,S2には、「検体取込可」、「検体取込/返却不可」、及び「検体返却可」の何れかのデータが保持される。ここで、測定ユニットが検体の取込及び測定を行っておらず、検体の取込を待機しているスタンバイ状態のときには、その測定ユニットの状態は「検体取込可」とされる。また、測定ユニットが検体の取込を行っているときには、その測定ユニットの状態は「検体取込/返却不可」とされる。さらに、測定ユニットが取り込んだ検体の吸引を終了し、検体容器TのサンプルラックLへの返却を待機している状態のときには、その測定ユニットの状態は「検体返却可」とされる。測定ユニットが検出部23,33によって測定試料を測定しており(つまり、血球を検出しており)、検体容器Tの返却が完了した後には、その測定ユニットの状態は新たな検体の取込が可能な「検体取込可」とされる。
また、RAM51cには、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の状態データを蓄積する状態キューQ1及びQ2の領域が設けられている。かかる状態キューQ1及びQ2は、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の状態データをリアルタイムに受け付け、状態データを先入れ先出し形式のリスト構造で保持する。
ハードディスク51dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU51aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム54aも、このハードディスク51dにインストールされている。
読出装置51eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体54に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体54には、コンピュータを情報処理ユニット5として機能させるためのコンピュータプログラム54aが格納されており、コンピュータ5aが当該可搬型記録媒体54からコンピュータプログラム54aを読み出し、当該コンピュータプログラム54aをハードディスク51dにインストールすることが可能である。
なお、前記コンピュータプログラム54aは、可搬型記録媒体54によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ5aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム54aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ5aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク51dにインストールすることも可能である。
また、ハードディスク51dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム54aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
入出力インタフェース51fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース51fには、キーボード及びマウスからなる入力部53が接続されており、ユーザが当該入力部53を使用することにより、コンピュータ5aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース51fは、第1測定ユニット2、第2測定ユニット3、及び検体搬送ユニット4に接続されている。これにより、情報処理ユニット5は、第1測定ユニット2、第2測定ユニット3、及び検体搬送ユニット4のそれぞれを制御可能となっている。
通信インタフェース51gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース51gはLANを介してホストコンピュータ6に接続されている。コンピュータ5aは、通信インタフェース51gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたホストコンピュータ6との間でデータの送受信が可能である。
画像出力インタフェース51hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部52に接続されており、CPU51aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部52に出力するようになっている。画像表示部52は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
[検体処理装置1の動作]
以下、本実施の形態に係る検体処理装置1の動作について説明する。
<検体搬送制御処理>
図9A及び図9Bは、検体処理装置1の情報処理ユニット5による検体搬送制御処理の流れを示すフローチャートである。オペレータは、検体を収容した検体容器Tを複数保持するサンプルラックLを分析前ラック保持部41に載置する。この状態で、オペレータは入力部53を操作し、情報処理ユニット5に検体測定の実行を指示する。情報処理ユニット5のCPU51aは、検体測定の実行指示を受け付けた後、以下の検体搬送制御処理を実行する。まずCPU51aは、図示しないセンサにより分析前ラック保持部41に載置されたサンプルラックLを検出すると(ステップS101)、RAM51cに検体の測定に用いられる検体処理テーブルの領域を確保する(ステップS102)。図10は、検体処理テーブルの構造を示す模式図である。検体処理テーブルPTは、サンプルラックL毎に、各検体のサンプルラックLでの保持位置、検体容器の有無、測定オーダ、検体の測定状況の各情報を保持するテーブルである。図10に示すように、検体処理テーブルPTには、10個の行が設けられており、各行はサンプルラックLに収容されている検体にそれぞれ対応している。かかる検体処理テーブルPTには、サンプルラックLでの保持位置のフィールド(列)F1と、検体の有無のフィールドF2と、測定オーダのフィールドF3と、測定状況のフィールドF4とが設けられている。フィールドF1には、検体のサンプルラックLでの保持位置を示す「1」〜「10」の情報が格納される。フィールドF2には、対応する保持位置に検体容器Tが存在する場合には「1」が格納され、対応する保持位置に検体容器Tが存在しない場合には「0」が格納される。、フィールドF3には、測定オーダに示される測定項目の情報が格納される。なお、上述したように、CBC+DIFF項目は、WBC、RBC、PLT、HGB、NEUT、LYMPH、EO、BASO、及びMONOの各測定項目を含んでいるため、これらの測定項目の情報をそれぞれ個別にフィールドF3に格納してもよいし、図10に示すように「CBC+DIFF」を示す情報をフィールドF3に格納してもよい。フィールドF4には、測定状況を示す情報として、「未測定」、「検体取込中(第1測定ユニット)」、「検体取込中(第2測定ユニット)」、「測定済」の4種類の情報の何れかが格納される。ステップS102では、検体処理テーブルPTのフィールドF1を除く各セルは全て空欄(NULLが格納されている)状態である。また、検体処理テーブルPTが2つ存在する場合には、一方の検体処理テーブルPTに対応するサンプルラックLの全ての検体が処理され、分析後ラック保持部42へ搬送されるまで、当該一方の検体処理テーブルPTを対象として以下の処理を行い、その後、他方の検体処理テーブルPTを対象として以下の処理を行う。
次に、CPU51aは、状態キューQ1,Q2を参照し、その時点における第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の状態を示すデータを測定ユニット状態データ領域S1,S2に格納する(ステップS103)。ここで、状態キューQ1,Q2には複数の状態データが蓄積されている場合がある。このような場合には、CPU51aは、状態キューQ1,Q2から状態データを順次取り出し、最後に取り出されたデータを測定ユニット状態データ領域S1,S2に格納する。状態キューQ1,Q2から最後に取り出されたデータは、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の最新の状態を示すものであり、つまり、その時点における第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の状態を示している。なお、状態キューQ1,Q2の初期値は「検体取込可」である。
次に、CPU51aは、サンプルラックLを排出可能であるか否かを判定する(ステップS104)。この処理では、CPU51aが検体処理テーブルPTを参照し、全ての保持位置についてフィールドF2に「0」及び「1」の何れかが格納されており(つまり「NULL」のセルが存在せず)、且つ、フィールドF2に「1」が格納されている全てのレコードにおいて、フィールドF4に「測定済」が格納されている場合、当該サンプルラックLに保持されている検体容器Tには、処理を行う必要があるものが存在せず、当該サンプルラックLは排出可能とされる。他方、少なくとも1つの保持位置に対して、フィールドF2に「NULL」が格納されていたり、フィールドF4に「未測定」又は「検体取込中」が格納されている場合には、まだそのサンプルラックLは処理を行う必要がある検体容器Tが残っているため、当該サンプルラックLは排出可能でないとされる。
ステップS104においてサンプルラックLが排出不可の場合には(ステップS104においてNO)、CPU51aは、検体処理テーブルPTを参照して要処理検体が存在するか否かを判定する(ステップS105)。この「要処理検体」とは、測定オーダが確定済であり、且つ、未測定の検体のことを指している。つまり、検体処理テーブルPTにおいて、フィールドF3に測定オーダの情報が格納されており、フィールドF4に「未測定」の情報が格納されている検体が「要処理検体」である。
上記ステップS105において要処理検体が存在する場合には(ステップS105においてYES)、CPU51aは、検体搬送先決定処理を実行する(ステップS106)。図11は、検体搬送先決定処理の手順を示すフローチャートである。検体搬送先決定処理においては、まずCPU51aは、検体処理テーブルPTを参照して、保持位置の番号が最も小さい要処理検体を選択する(ステップS201)。次にCPU51aは、RAM51cの測定ユニット状態データ領域S1を参照し、第1測定ユニット2の状態が「検体取込可」であるか否かを判別する(ステップS202)。ステップS202において、第1測定ユニット2の状態が「検体取込可」である場合には(ステップS202においてYES)、CPU51aは、第1測定ユニット2を搬送先に決定し(ステップS203)、処理を検体搬送先決定処理の呼出アドレスへリターンする。
一方、ステップS202において、第1測定ユニット2の状態が「検体取込/返却不可」又は「検体返却可」である場合には(ステップS202においてNO)、CPU51aは、RAM51cの測定ユニット状態データ領域S2を参照し、第2測定ユニット3の状態が「検体取込可」であるか否かを判別する(ステップS204)。ステップS204において、第2測定ユニット3の状態が「検体取込可」である場合には(ステップS204においてYES)、CPU51aは、第2測定ユニット3を搬送先に決定し(ステップS205)、処理を検体搬送先決定処理の呼出アドレスへリターンする。
ステップS204において、第2測定ユニット3の状態が「検体取込/返却不可」又は「検体返却可」である場合には(ステップS204においてNO)、CPU51aは、搬送先を「なし」と決定し(ステップS206)、処理を検体搬送先決定処理の呼出アドレスへリターンする。
以上のような検体搬送先決定処理の後、CPU51aは、決定された搬送先が第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3であるか否かを判定し(ステップS107)、決定された搬送先が第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3の場合には(ステップS107においてYES)、検体搬送先決定処理において選択された検体をその搬送先へ搬送する(ステップS108)。なお、この処理においては、CPU51aは、搬送先が第1測定ユニット2の場合には、選択された検体を第1検体供給位置43aに位置させるよう検体搬送ユニット4を制御し、搬送先が第2測定ユニット3の場合には、選択された検体を第2検体供給位置43bに位置させるよう検体搬送ユニット4を制御する。
次にCPU51aは、搬送先の測定ユニットに対応する状態キューに「検体取込/返却不可」を入力する(ステップS109)。また、CPU51aは、この検体を要処理検体から除外するために、当該検体の検体処理テーブルPTにおける測定状況を「検体取込中(第1測定ユニット)」へ変更することにより、検体処理テーブルPTを更新する(ステップS110)。
さらにCPU51aは、搬送先の測定ユニットの検体容器搬送部を制御し、検体供給位置にある検体容器TをサンプルラックLから抜き出す(ステップS111)。この後、CPU51aは、後述する検体取込処理、及び検体測定処理を実行する。これにより、選択された検体容器Tが第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3の内部に取り込まれ、当該検体容器Tから検体が吸引される。この検体取込処理には数十秒を要するため、上記のステップS111の処理が終了した後には、CPU51aはステップS103へ処理を戻し、検体取込処理と並行してステップS103以降の処理を実行する。
ステップS105において要処理検体が存在しない場合(ステップS105においてNO)、又はステップS107において検体搬送先決定処理によって決定された搬送先が「なし」の場合には(ステップS107においてNO)、CPU51aは、測定ユニット状態データ領域S1,S2を参照して、装置状態が「検体返却可」の測定ユニットが存在するか否かを判別する(ステップS112)。測定ユニット状態データ領域S1,S2に格納されている状態情報の少なくとも何れか一方が「検体返却可」である場合には(ステップS112においてYES)、CPU51aは、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3のうち「検体返却可」である一方へサンプルラックLを搬送する(ステップS113)。この処理では、測定ユニット状態データ領域S1に「検体返却可」が格納されている場合には、CPU51aは検体処理テーブルPTを参照し、フィールドF4に「検体取込中(第1測定ユニット)」が格納されているレコードに対応する保持位置を、第1検体供給位置43aへ位置させるようにサンプルラックLを搬送する。また、測定ユニット状態データ領域S2に「検体返却可」が格納されている場合には、CPU51aは検体処理テーブルPTを参照し、フィールドF4に「検体取込中(第2測定ユニット)」が格納されているレコードに対応する保持位置を、第2検体供給位置43bへ位置させるようにサンプルラックLを搬送する。第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の両方が「検体返却可」の状態である場合には、CPU51aは第1測定ユニット2を搬送先としてサンプルラックLを搬送する。
次にCPU51aは、検体返却処理を実行する(ステップS114)。この検体返却処理では、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3のうち「検体返却可」の状態である一方が制御され、取り込まれた検体容器Tが測定ユニットから排出され、サンプルラックLへと返還される。また、検体返却処理では、返却された検体の検体処理テーブルPTにおける測定状況を「測定済」へ変更することにより、検体処理テーブルPTが更新される。かかる検体返却処理の詳細については後述する。CPU51aは、このような検体返却処理が終了した後には、ステップS103へ処理を戻す。
また、ステップS112において、測定ユニット状態データ領域S1,S2の両方に「検体返却可」が格納されていない場合には(ステップS112においてNO)、CPU51aは、検体処理テーブルPTを参照して、測定オーダが未確定の保持位置、即ち、検体処理テーブルPTにおいてフィールドF2に検体なしを示す情報「0」が格納されておらず、且つ、フィールドF3に測定オーダの情報が格納されていない保持位置が存在するか否かを判定する(ステップS115)。
ステップS115において測定オーダが未確定の保持位置が存在する場合には(ステップS115においてYES)、CPU51aは、検体搬送ユニット4を制御してサンプルラックLを搬送し、当該サンプルラックLの保持位置の内、測定オーダが未確定の保持位置の1つを、バーコード読取部44の前側の読取位置43dに位置させる(ステップS116)。ここで、読取位置43dに位置されるのは、検体処理テーブルPTにおいてフィールドF2に「0」が格納されておらず、且つ、フィールドF3に測定オーダの情報が格納されていない保持位置の内、最も番号が小さい保持位置(サンプルラックLの搬送方向において最も下流側の保持位置)とされる。つまり、測定オーダが確定している検体が全くない場合は、保持位置「1」が選択され、この保持位置「1」が読取位置43dに位置するようにサンプルラックLが搬送される。また、保持位置が「1」の検体以外の全ての検体の測定オーダが未確定の場合は、保持位置「2」が選択され、この保持位置「2」が読取位置43dに位置するようにサンプルラックLが搬送される。このように、番号が小さい保持位置から順に読取位置43dに位置することになる。
CPU51aは、選択された保持位置が読取位置43dに位置するようにサンプルラックLを搬送すると、検体容器センサ45によって検体容器Tが検出されたか否かを判別する(ステップS117)。ここで、検体容器Tが検出された場合には(ステップS117においてYES)、当該検体容器Tの検体バーコードから検体IDをバーコード読取部44により読み取らせる(ステップS118)。
その後、CPU51aは、後述するような測定オーダ取得処理を実行する。この処理により、CPU51aはその検体の測定オーダを取得する。また、この測定オーダ取得処理は、マルチタスク処理により検体搬送制御処理と並行的に実行される。これにより、測定オーダ取得処理を実行しながら、サンプルラックLの搬送が可能となる。
一方、ステップS117において検体容器Tが検出されなかった場合には(ステップS117においてNO)、CPU51aは、検体処理テーブルPTのフィールドF2の当該保持位置に対応するセルに、「0」を格納し(ステップS119)、処理をステップS115へと戻す。
また、ステップS115において、測定オーダが未確定の保持位置が存在しない場合には(ステップS115においてNO)、CPU51aは新たなサンプルラックLのラック搬送部43への送り込みが可能か否かを判定する(ステップS120)。このステップS120においては、CPU51aは、図示しないセンサにより分析前ラック保持部41に載置されたサンプルラックLが検出され、且つ、現在ラック搬送部43により搬送中のサンプルラックLに関する検体処理テーブルPTにおいて、所定の保持位置(例えば、保持位置「7」)以前の全ての保持位置についてフィールドF2に「0」及び「1」の何れかが格納されており(つまり「NULL」のセルが存在せず)、しかもフィールドF2に「1」が格納されている全てのレコードにおいてフィールドF4に「測定済」が格納されている場合、新たなサンプルラックLの搬送が可能とされる。つまり、分析前ラック保持部41に新たなサンプルラックLが載置されており、且つ、現在搬送中のサンプルラックLの所定の保持位置以前の各保持位置の検体において、検体の取り込み及び返却が完了している場合には、新たなサンプルラックLの搬送が可能とされる。したがって、所定の保持位置以前の保持位置の1つにでも、フィールドF2に「NULL」が格納されていたり、フィールドF4に「未測定」又は「検体取込中」が格納されている場合には、新たなサンプルラックLは搬送不可とされる。
ステップS120において、新たなサンプルラックLが搬送可能な場合には(ステップS120においてYES)、CPU51aはRAM51cに新たに検体処理テーブルの領域を確保する(ステップS121)。さらにCPU51aは、ラック送込部41bを制御して、新たなサンプルラックLを分析前ラック保持部41で移送し、ラック搬送部43へ送り込む(ステップS122)。この際、現在搬送中のサンプルラックLと、新たに送り込まれるサンプルラックLとが干渉しないように、搬送部43の搬送制御が行われた上で、新たなサンプルラックLがラック搬送部43に送り込まれる。ステップS122の処理を終了した後、CPU51aは、処理をステップS103へと戻す。
一方、ステップS120において、新たなサンプルラックLが搬送不可の場合には(ステップS120においてNO)、CPU51aは、所定時間(例えば1秒間)待機し(ステップS123)、その後ステップS103へと処理を戻し、状態キューQ1及びQ2を参照し、その時点における第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の状態を示すデータを測定ユニット状態データ領域S1,S2に格納する(ステップS103)。
ステップS104において、検体処理テーブルPTにおいて全ての検体の測定状況が「測定済」である場合には(ステップS104においてYES)、CPU51aは、ラック搬送部43によってサンプルラックL(2つのサンプルラックLがラック搬送部43上に存在する場合には、左側のサンプルラックL)を分析後ラック保持部42へと搬送するよう、検体搬送ユニット4を制御し(ステップS124)、RAM51cにおける、そのサンプルラックLに対応する検体処理テーブルPTの領域を開放し(ステップS125)、処理をステップS103へと戻す。
<測定オーダ取得処理>
次に、情報処理ユニット5による測定オーダ取得処理について説明する。図12は、検体処理装置1の情報処理ユニット5による測定オーダ取得処理の流れを示すフローチャートである。
測定オーダ取得処理において、まずCPU51aは、当該検体IDに対応する測定オーダをホストコンピュータ6へ問い合わせる(ステップS301)。これは、ネットワークを通じて接続されているホストコンピュータ6へ検体IDを含む測定オーダ要求データを送信することにより行われる。CPU51aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS302においてNO)、測定オーダを受信すると(ステップS302においてYES)、検体処理テーブルPTにおいて、その保持位置に対応する検体容器の有無のフィールドF2のセルに「1」を格納し、測定オーダのフィールドF3のセルにその測定オーダを格納し、測定状況のフィールドF4に「未測定」の情報を格納することにより、検体処理テーブルPTを更新し(ステップS303)、測定オーダ取得処理を終了する。
上記の測定オーダ取得処理は、マルチタスク処理により検体搬送制御処理と並行的に実行される。これにより、測定オーダ取得処理を実行しながら、サンプルラックLの搬送が可能となる。
<検体取込処理>
次に、情報処理ユニット5による検体取込処理について説明する。図13は、検体処理装置1の情報処理ユニット5による検体取込処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは第1測定ユニット2による検体取込処理について説明するが、第2測定ユニット3による検体取込処理も同様の処理である。
上述のように、第1検体供給位置43aにある検体容器TをサンプルラックLから抜き出された後、CPU51aにより第1測定ユニット2による検体取込処理が実行される。第1測定ユニット2による検体取込処理において、まずCPU51aは、ハンド部25aを制御して検体容器Tを揺動させ、内部の検体を所定時間撹拌する(ステップS401)。この検体の撹拌には数十秒程度の時間を要する。次に、CPU51aは、ハンド部25aを制御して、検体容器セット部25bに検体容器Tをセットし(ステップS402)、さらに検体容器搬送部25を制御して、検体容器Tを吸引位置へ搬送する(ステップS403)。さらにCPU51aは、取り込まれた検体の測定オーダを参照し、測定項目から測定に必要な検体量を算出する(ステップS404)。次にCPU51aは、検体吸引部21を制御し、測定に必要な量の検体を検体容器Tから吸引する(ステップS405)。ステップS405の処理を完了した後、CPU51aは、第1測定ユニット2が検体返却可能な状態となるので、状態キューQ1に「検体返却可」の情報を入力し(ステップS406)、処理を終了する。
上記の検体取込処理は、マルチタスク処理により検体搬送制御処理と並行的に実行される。これにより、検体取込処理を実行しながら、サンプルラックLの搬送が可能となる。
<検体測定処理>
次に、情報処理ユニット5による検体測定処理について説明する。図14は、検体処理装置1の情報処理ユニット5による検体測定処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは第1測定ユニット2による検体測定処理について説明するが、第2測定ユニット3による検体測定処理も同様の処理である。
上記の検体取込処理が終了した後、CPU51aは、検体測定処理を実行する。検体測定処理において、まずCPU51aは、試料調製部22を制御し、測定項目に対応した測定用試料を調製する(ステップS501)。次にCPU51aは、検出部23に測定試料を供給して、検出部23により測定オーダに含まれる各測定項目について検体の測定を行う(ステップS502)。これにより、CPU51aは、検出部23から出力される測定データを取得する。その後、CPU51aは、測定に使用した流路又は反応チャンバ等を洗浄する洗浄動作を実行する(ステップS503)。
また、CPU51aは、測定データの解析処理を実行し(ステップS504)、RBC、PLT、HGB、WBC、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONOの数値等を含む分析結果を得る。ステップS504の処理を完了した後、CPU51aは、処理を終了する。
上記の検体測定処理は、マルチタスク処理により検体搬送制御処理と並行的に実行される。これにより、検体測定処理を実行しながら、サンプルラックLの搬送が可能となる。
<検体返却処理>
次に、情報処理ユニット5による検体返却処理について説明する。図15は、検体処理装置1の情報処理ユニット5による検体返却処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは第1測定ユニット2による検体返却処理について説明するが、第2測定ユニット3による検体返却処理も同様の処理である。
検体返却処理において、まずCPU51aは、検体容器搬送部25を制御し、吸引位置から検体容器セット部25bを移動させ、検体容器Tをハンド25aによって把持可能な位置まで搬送する(ステップS601)。次にCPU51aは、ハンド部25aを制御し、ハンド部25aによって検体容器Tを把持して、検体容器セット部25aから検体容器Tを抜き出す(ステップS602)。さらにCPU51aは、ハンド部25aを制御し、把持した検体容器Tを第1検体供給位置43aのサンプルラックLの保持位置へと挿入する(ステップS603)。
ここで第1測定ユニット2が検体取込可能な状態となるため、CPU51aは、RAM51cの状態キューQ1に「検体取込可」を入力する(ステップS604)。さらにCPU51aは、サンプルラックLに返却した検体の検体処理テーブルPTにおける測定状況を「測定済」に変更する(ステップS605)。ステップS605の処理を完了した後、CPU51aは、処理を検体返却処理の呼出アドレスへリターンする。
次に、具体的な例を用いて、上記の検体処理装置1の動作を説明する。以下では、保持位置1〜10のそれぞれにCBC+DIFF項目を測定項目に含む検体を保持しているサンプルラックLが検体処理装置1に投入された場合における検体処理装置1の動作を説明する。
図16は、当該サンプルラックLが検体処理装置1に投入されたときの検体処理装置1の第1測定ユニット2、及び第2測定ユニット3の動作を示すタイミングチャートである。まず、サンプルラックLが分析前ラック保持部41に投入され、オペレータから情報処理ユニット5に検体測定の実行が指示されると、分析前ラック保持部41に載置されたサンプルラックLが検出され(図9AにおけるステップS101)、情報処理ユニット5において検体処理テーブルPTの領域が確保される(ステップS102)。図17A〜図17Iは、検体処理テーブルPTの状態を模式的に示す図である。この時点における検体処理テーブルPTの状態を図17Aに示す。この時点では、検体処理テーブルPTはフィールドF1以外の全てのセルにNULLのデータが格納された状態となっている。
次に、CPU51aによって状態キューQ1,Q2が参照され、状態キューQ1,Q2のそれぞれに最後に入力されたデータが測定ユニット状態データ領域S1,S2に格納される(ステップS103)。ここでは、状態キューQ1,Q2には初期値の「検体取込可」のみがいずれも入力されているため、測定ユニット状態データ領域S1,S2にはそれぞれ「検体取込可」が格納される。
次に、CPU51aによってサンプルラックLを排出可能であるか否かが判定されるが(ステップS104)、検体処理テーブルPTの検体容器の有無のフィールドF2の全てに「NULL」が格納されているため(ステップS104においてNO)、CPU51aの処理がステップS105へと進む。また、ステップS105において要処理検体が存在するか否かを判定されるが、検体処理テーブルPTには、要処理検体は1つもないため(ステップS105においてNO)、CPU51aの処理がステップS112へと進む。
次に、CPU51aによって装置状態が「検体返却可」の測定ユニットが存在するか否かが判別される(ステップS112)。ここで、測定ユニット状態データ領域S1,S2には何れも「検体取込可」が格納されているため(ステップS112においてNO)、CPU51aの処理がステップS115へと進む。
CPU51aによって測定オーダが未確定の保持位置が存在するか否かが判定される(ステップS115)。ここで、検体処理テーブルPTには、測定オーダのフィールドF3に測定オーダの情報が格納されているレコードが1つも存在しない。つまり、測定オーダが未確定の検体しか存在しない(ステップS115においてYES)。よって、CPU51aは、処理をステップS116へ進める。
次に、当該サンプルラックLに収容されている検体の内、測定オーダが未確定の保持位置の1つが、バーコード読取部44の前側の読取位置43dまで搬送される(ステップS116)。ここでは、測定オーダが確定している検体が全くないため、保持位置1が読取位置43dに位置するまでサンプルラックLが搬送される。当該サンプルラックLの保持位置1には検体容器Tが保持されているため、検体容器センサ45によって検体容器Tが検出される(ステップS117においてYES)。したがって、保持位置1の検体のバーコードから検体IDがバーコード読取部44により読み取られ(ステップS118)、測定オーダ取得処理が実行される。
測定オーダ取得処理において、保持位置1の検体の測定オーダ、即ち、CBC+DIFF項目を含む測定オーダがCPU51aによりホストコンピュータ6から取得される(ステップS301,S302)。そして、検体処理テーブルPTが更新される(ステップS303)。このときの検体処理テーブルPTの状態を図17Bに示す。図に示すように、このときには、検体処理テーブルPTの保持位置1の行における検体容器Tの有無のフィールドF2に「1」が格納され、測定オーダのフィールドF3に「CBC+DIFF」を示す情報が格納され、測定状況のフィールドF4に「未測定」を示す情報が格納される。
図16に示すように、上記の測定オーダ取得処理と並行して、検体搬送制御処理が継続して実行される。つまり、CPU51aによって、再度ステップS103の処理が実行され、CPU51aによって状態キューQ1,Q2が参照され、状態キューQ1,Q2のそれぞれに最後に入力されたデータが測定ユニット状態データ領域S1,S2に格納される(ステップS103)。ここでは、状態キューQ1,Q2にはデータが存在しないため、測定ユニット状態データ領域S1,S2のデータは変更されない。つまり、測定ユニット状態データ領域S1,S2にはそれぞれ「検体取込可」が格納されている。
次に、ステップS104の処理が実行され、サンプルラックLを排出可能であるか否かが判定されるが、サンプルラックLは排出不可であるため(ステップS104においてNO)、ステップS105において要処理検体が存在するか否かが判定される。ここで、保持位置1の検体は、検体処理テーブルPTにおいて測定オーダの情報が存在し、且つ、測定状況が「未測定」であるため、要処理検体である。したがって、検体搬送先決定処理S106がCPU51aにより実行される。
検体搬送先決定処理では、まず、CPU51aにより検体処理テーブルPTにおいて保持位置の番号が最も小さい要処理検体が選択される(ステップS201)。これにより保持位置1の検体が選択され、RAM51cの測定ユニット状態データ領域S1により第1測定ユニット2が検体取込可能な状態か否かが判定される(ステップS202)。ここで、測定ユニット状態データ領域S1,S2には何れも「検体取込可」の情報が保持されている。したがって、第1測定ユニット2が検体取込可能であると判定され(ステップS202においてYES)、第1測定ユニット2が搬送先として決定され(ステップS203)、処理が検体搬送先決定処理S106の呼出アドレスへリターンされる。
次に、CPU51aにより、決定された搬送先が第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3であるか否かが判定され(ステップS107)、搬送先が第1測定ユニット2と決定されているため(ステップS107においてYES)、保持位置1の検体が第1検体供給位置43aへ搬送される(ステップS108)。
次に、CPU51aにより、RAM51cの状態キューQ1に「検体取込/返却不可」が入力され(ステップS109)、検体処理テーブルPTの保持位置1の測定状況が「検体取込中(第1測定ユニット)」に変更される(ステップS110)。そして、第1検体供給位置43aにある保持位置1の検体容器TがサンプルラックLから抜き出される(ステップS111)。このときの検体処理テーブルPTの状態を図17Cに示す。その後、第1測定ユニット2による検体取込処理が実行され、第1測定ユニット2の内部に当該検体容器Tが取り込まれる(ステップS401〜S405)。
保持位置1の検体容器Tが引き抜かれた状態でもサンプルラックLは搬送可能である。そこでCPU51aは、検体容器Tが第1測定ユニット2の内部に取り込まれている数十秒の間に、ステップS103以降の処理を再度実行する。この時点では、状態キューQ1に最後に入力されたデータが「検体取込/返却不可」であるため、測定ユニット状態データ領域S1には「検体取込/返却不可」の情報が格納される(ステップS103)。また、図17Cに示すように、保持位置2〜10のフィールドF2に「NULL」が格納されているためサンプルラックLは排出不可であり(ステップS104においてNO)、要処理検体が存在せず(ステップS105においてNO)、装置状態が「検体返却可」の測定ユニットは存在しない(ステップS112においてNO)。ここで測定オーダが未確定の保持位置が存在するため(ステップS115においてYES)、測定オーダが未確定の保持位置のうちで番号が最小の保持位置2が読取位置43dに位置され(ステップS116)、保持位置2には検体容器Tが保持されているため、検体容器センサ45によって検体容器Tが検出される(ステップS117においてYES)。したがって、保持位置2の検体のバーコードから検体IDがバーコード読取部44により読み取られ(ステップS118)、測定オーダ取得処理が実行される。
測定オーダ取得処理では、保持位置2の検体の測定オーダ、即ち、CBC+DIFF項目を含む測定オーダがCPU51aによりホストコンピュータ6から取得される(ステップS301,S302)。そして、検体処理テーブルPTが更新される(ステップS303)。このときの検体処理テーブルPTの状態を図17Dに示す。図に示すように、このときには、検体処理テーブルPTの保持位置2の行における検体容器Tの有無のフィールドF2に「1」が格納され、測定オーダのフィールドF3に「CBC+DIFF」を示す情報が格納され、測定状況のフィールドF4に「未測定」を示す情報が格納される。
図16に示すように、上記の測定オーダ取得処理と並行して、検体搬送制御処理が継続して実行される。つまり、CPU51aによって、再度ステップS103の処理が実行される。この時点では状態キューQ1,Q2にはデータが存在しないため、ステップS103の処理では測定ユニット状態データ領域S1,S2のデータは変更されない。つまり、測定ユニット状態データ領域S1には「検体取込/返却不可」が格納されており,測定ユニット状態データ領域S2には「検体取込可」が格納されている。
また、図17Dに示すように、保持位置3〜10のフィールドF2に「NULL」が格納されているためサンプルラックLは排出不可であり(ステップS104においてNO)、ステップS105において要処理検体が存在するか否かを判定される。ここで、保持位置2の検体は、検体処理テーブルPTにおいて測定オーダの情報が存在し、且つ、測定状況が「未測定」であるため、要処理検体である。したがって、検体搬送先決定処理S106がCPU51aにより実行される。
検体搬送先決定処理において、まず、CPU51aにより検体処理テーブルPTにおいて保持位置の番号が最も小さい要処理検体が選択される(ステップS201)。これにより保持位置2の検体が選択され、RAM51cの測定ユニット状態データ領域S1により第1測定ユニット2が検体取込可能な状態か否かが判定される(ステップS202)。ここで、測定ユニット状態データ領域S1には「検体取込/返却不可」の情報が保持されている。したがって、第1測定ユニット2が検体取込不可であると判定され(ステップS202においてNO)、RAM51cの測定ユニット状態データ領域S2により第2測定ユニット2が検体取込可能な状態か否かが判定される(ステップS204)。ここで、測定ユニット状態データ領域S2には「検体取込可」の情報が保持されている。したがって、第2測定ユニット3が検体取込可能であると判定され(ステップS204においてYES)、第2測定ユニット3が搬送先として決定され(ステップS205)、処理が検体搬送先決定処理S106の呼出アドレスへリターンされる。
次に、CPU51aにより、決定された搬送先が第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3であるか否かが判定され(ステップS107)、搬送先が第2測定ユニット3と決定されているため(ステップS107においてYES)、保持位置2の検体が第2検体供給位置43bへ搬送される(ステップS108)。
次に、CPU51aにより、RAM51cの状態キューQ2に「検体取込/返却不可」が入力され(ステップS109)、検体処理テーブルPTの保持位置2の測定状況が「検体取込中(第2測定ユニット)」に変更される(ステップS110)。そして、第2検体供給位置43bにある保持位置2の検体容器TがサンプルラックLから抜き出される(ステップS111)。このときの検体処理テーブルPTの状態を図17Eに示す。その後、第2測定ユニット3による検体取込処理が実行され、第2測定ユニット3の内部に当該検体容器Tが取り込まれる(ステップS401〜S405)。なお、図16に示すように、上記の保持位置1の検体容器Tの検体取込処理も平行して実行されている。
上記の検体容器Tの取込が完了するまでには、数十秒程度の時間を要する。そこで、保持位置1及び2の検体について、上記の検体取込処理が実行されている間に、CPU51aは、検体搬送制御処理を続行する。また、検体取込が完了すると、検体測定処理が実行される。この検体測定処理も、検体搬送制御処理とは並行して実行される。
CPU51aは、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3による検体取込処理が実行されている間に、ステップS103以降の処理を再度実行する。この時点では、状態キューQ2に最後に入力されたデータが「検体取込/返却不可」であるため、測定ユニット状態データ領域S2には「検体取込/返却不可」の情報が格納される。一方、状態キューQ1にはデータが入力されていないため、測定ユニット状態データ領域S1に格納されたデータは「検体取込/返却不可」のまま変更されない(ステップS103)。
図17Eに示すように、検体処理テーブルPTにおいて保持位置3〜10の検体容器Tの有無を示す情報が「NULL」となっているためサンプルラックLは排出不可であり(ステップS104においてNO)、要処理検体が存在せず(ステップS105においてNO)、保持位置3〜10の検体の測定オーダは未確定であるため(ステップS115においてYES)、測定オーダが未確定の保持位置のうちで番号が最小の保持位置3が読取位置43dに位置され(ステップS116)、保持位置3には検体容器Tが保持されているため、検体容器センサ45によって検体容器Tが検出される(ステップS117においてYES)。したがって、保持位置3の検体のバーコードから検体IDがバーコード読取部44により読み取られ(ステップS118)、測定オーダ取得処理が実行される。
測定オーダ取得処理では、保持位置3の検体の測定オーダ、即ち、CBC+DIFF項目を含む測定オーダがCPU51aによりホストコンピュータ6から取得される(ステップS301,S302)。そして、検体処理テーブルPTが更新される(ステップS303)。このときの検体処理テーブルPTの状態を図17Fに示す。図に示すように、このときには、検体処理テーブルPTの保持位置3の行における検体容器Tの有無のフィールドF2に「1」が格納され、測定オーダのフィールドF3に「CBC+DIFF」を示す情報が格納され、測定状況のフィールドF4に「未測定」を示す情報が格納される。
図16に示すように、上記の測定オーダ取得処理と並行して、検体搬送制御処理が継続して実行される。つまり、CPU51aによって、再度ステップS103の処理が実行される。この時点では状態キューQ1,Q2にはデータが存在しないため、ステップS103の処理では測定ユニット状態データ領域S1,S2のデータは変更されない。つまり、測定ユニット状態データ領域S1,S2には「検体取込/返却不可」がそれぞれ格納されている。
図17Fに示すように、保持位置4〜10の検体容器Tの有無情報が「NULL」となっているため(ステップS104においてNO)、ステップS105において要処理検体が存在するか否かを判定される。ここで、保持位置3の検体は、検体処理テーブルPTにおいて測定オーダの情報が存在し、且つ、測定状況が「未測定」であるため、要処理検体である。したがって、検体搬送先決定処理S106がCPU51aにより実行される。
検体搬送先決定処理において、まず、CPU51aにより検体処理テーブルPTにおいて保持位置の番号が最も小さい要処理検体が選択される(ステップS201)。これにより保持位置3の検体が選択され、RAM51cの測定ユニット状態データ領域S1により第1測定ユニット2が検体取込可能な状態か否かが判定される(ステップS202)。ここで、測定ユニット状態データ領域S1には「検体取込/返却不可」の情報が保持されている。したがって、第1測定ユニット2が検体取込不可であると判定され(ステップS202においてNO)、RAM51cの測定ユニット状態データ領域S2により第2測定ユニット2が検体取込可能な状態か否かが判定される(ステップS204)。ここで、測定ユニット状態データ領域S2には「検体取込/返却不可」の情報が保持されている。したがって、CPU51aは、第2測定ユニット3が検体取込不可であると判定し(ステップS204においてNO)、搬送先を「なし」と決定し(S206)、処理を検体搬送先決定処理の呼出アドレスへリターンする。
次に、CPU51aは、決定された搬送先が第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3であるか否かを判定するが(ステップS107)、決定された搬送先は「なし」であるので(ステップS107においてNO)、装置状態が「検体返却可」の測定ユニットが存在するか否かを判別する(ステップS112)。ここで、測定ユニット状態データ領域S1,S2には何れも「検体取込/返却不可」が格納されているため(ステップS112においてNO)、CPU51aは、検体処理テーブルPTを参照して、測定オーダが未確定の保持位置が存在するか否かを判定する(ステップS115)。ここで保持位置4〜10の測定オーダは未確定であるため(ステップS115においてYES)、測定オーダが未確定の保持位置のうちで番号が最小の保持位置4が読取位置43dに位置され(ステップS116)、保持位置4には検体容器Tが保持されているため、検体容器センサ45によって検体容器Tが検出される(ステップS117においてYES)。したがって、保持位置4の検体のバーコードから検体IDがバーコード読取部44により読み取られ(ステップS118)、測定オーダ取得処理が実行される。
測定オーダ取得処理では、保持位置4の検体の測定オーダ、即ち、CBC+DIFF項目を含む測定オーダがCPU51aによりホストコンピュータ6から取得される(ステップS301,S302)。そして、検体処理テーブルPTが更新され(ステップS303)、検体処理テーブルPTの保持位置4の行における検体容器Tの有無のフィールドF2に「1」が格納され、測定オーダのフィールドF3に「CBC+DIFF」を示す情報が格納され、測定状況のフィールドF4に「未測定」を示す情報が格納される。
図16に示すように、上記の測定オーダ取得処理と並行して、検体搬送制御処理が継続して実行される。ステップS103以降の処理が繰り返し実行され、残りの保持位置5〜10の検体の測定オーダが取得される(ステップS103〜S118、S301〜S303)。これによって更新された検体処理テーブルPTの状態を図17Gに示す。
また、上記の保持位置3〜10の検体についての検体バーコードの読み取り及び測定オーダの取得の途中に、保持位置1(又は2)の検体容器Tに係る検体取込処理が終了すると、状態キューQ1(又はQ2)に「検体返却可」の情報が入力される(ステップS406)。したがって、即座にCPU51aにより、測定ユニット状態データ領域S1(又はS2)に「検体返却可」の情報が格納され、サンプルラックLが第1測定ユニット2(又は第2測定ユニット3)へ搬送されて(ステップS113)、第1測定ユニット2(又は第2測定ユニット3)による検体返却処理が実行される(ステップ114)。これによりサンプルラックLの保持位置1(又は2)に検体容器Tが戻される。サンプルラックLに検体容器Tが戻された後は、検体バーコード読み取りが再開され、残りの保持位置の検体に係る検体バーコードが読み取られる。
なお、本例においては、保持位置1、2の検体取込処理が完了する前に、保持位置3〜10の検体バーコードの読み取り及び測定オーダの取得が完了したものとする。
その後、保持位置1の検体容器Tに対するステップS405の処理が完了すると、CPU51aにより、状態キューQ1に「検体返却可」の情報が入力される(ステップS406)。さらにCPU51aは、最後に状態キューQ1に入力された「検体返却可」の情報を、測定ユニット状態データ領域S1に格納する(ステップS103)。また、図17Gに示すように、保持位置1,2に対応する測定状況のデータが「検体取込中」であり、保持位置3〜10の測定状況のデータが「未測定」であるためサンプルラックLは排出不可である(ステップS104においてNO)。また、保持位置3〜10の検体は、検体処理テーブルPTにおいて測定オーダの情報が存在し、且つ、測定状況が「未測定」であるため、要処理検体である(ステップS105においてYES)。したがって、検体搬送先決定処理S106がCPU51aにより実行される。
検体搬送先決定処理において、まず、ステップS201において、CPU51aにより保持位置3の検体が選択される。次に、RAM51cの測定ユニット状態データ領域S1には「検体返却可」の情報が格納されており,測定ユニット状態データ領域S2には「検体取込/返却不可」の情報が格納されている。したがって、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の両方が検体取込不可であると判定され(ステップS202及びS204においてNO)、搬送先として「なし」が決定され(ステップS206)、処理が検体搬送先決定処理S106の呼出アドレスへリターンされる。
次に、CPU51aは、決定された搬送先が第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3であるか否かを判定するが(ステップS107)、決定された搬送先は「なし」であるので(ステップS107においてNO)、装置状態が「検体返却可」の測定ユニットが存在するか否かを判別する(ステップS112)。ここで、測定ユニット状態データ領域S1には「検体返却可」が格納されているため(ステップS112においてYES)、CPU51aは検体処理テーブルPTを参照し、フィールドF4に「検体取込中(第1測定ユニット)」が格納されているレコードに対応する保持位置1を、第1検体供給位置43aへ位置させるようにサンプルラックLを搬送する(ステップS113)。
次にCPU51aは、第1測定ユニット2による検体返却処理を実行する(ステップS114)。これにより、第1測定ユニット2が制御され、取り込まれた検体容器Tが第1測定ユニット2から排出され、サンプルラックLへと返還される(ステップS601〜S603)。また、CPU51aは、RAM51cの状態キューQ1に「検体取込可」を入力し(ステップS604)、検体処理テーブルPTにおける保持位置1に対応する測定状況のデータを「測定済」に変更する(ステップS605)。この後、CPU51aは、処理を検体返却処理の呼出アドレスへリターンする。
CPU51aによって、再度ステップS103の処理が実行される。この時点では状態キューQ1,に最後に入力されたデータが「検体取込可」であるため、ステップS103の処理では測定ユニット状態データ領域S1に「検体取込可」の情報が格納される。つまり、測定ユニット状態データ領域S1には「検体取込可」が格納されており,測定ユニット状態データ領域S2には「検体取込/返却不可」が格納されている。
この時点では、保持位置2に対応する測定状況のデータが「検体取込中」であり、保持位置3〜10の測定状況のデータが「未測定」であるためサンプルラックLは排出不可である(ステップS104においてNO)。また、保持位置3〜10の検体は、検体処理テーブルPTにおいて測定オーダの情報が存在し、且つ、測定状況が「未測定」であるため、要処理検体である(ステップS105においてYES)。したがって、検体搬送先決定処理S106がCPU51aにより実行される。
検体搬送先決定処理において、まず、ステップS201において、CPU51aにより保持位置3の検体が選択される。ここで、測定ユニット状態データ領域S1には「検体取込可」の情報が保持されている。したがって、第1測定ユニット2が検体取込可能であると判定され(ステップS202においてYES)、第1測定ユニット2が搬送先として決定され(ステップS203)、処理が検体搬送先決定処理S106の呼出アドレスへリターンされる。
次に、CPU51aにより、決定された搬送先が第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3であるか否かが判定され(ステップS107)、搬送先が第1測定ユニット2と決定されているため(ステップS107においてYES)、保持位置3の検体が第1検体供給位置43aへ搬送される(ステップS108)。
次に、CPU51aにより、RAM51cの状態キューQ1に「検体取込/返却不可」が入力され(ステップS109)、検体処理テーブルPTの保持位置3の測定状況が「検体取込中(第1測定ユニット)」に変更される(ステップS110)。そして、第1検体供給位置43aにある保持位置3の検体容器TがサンプルラックLから抜き出される(ステップS111)。その後、第1測定ユニット2による検体取込処理が実行され、第1測定ユニット2の内部に当該検体容器Tが取り込まれる(ステップS401〜S405)。なお、図16に示すように、上記の保持位置2の検体容器Tの検体取込処理も平行して実行されている。
その後、保持位置2の検体容器Tに対するステップS405の処理が完了すると、CPU51aにより、状態キューQ2に「検体返却可」の情報が入力され(ステップS406)、検体測定処理が実行される。さらにCPU51aは、最後に状態キューQ2に入力された「検体返却可」の情報を、測定ユニット状態データ領域S1に格納する(ステップS103)。また、保持位置2,3に対応する測定状況のデータが「検体取込中」であり、保持位置4〜10の測定状況のデータが「未測定」であるためサンプルラックLは排出不可である(ステップS104においてNO)。また、保持位置4〜10の検体は、検体処理テーブルPTにおいて測定オーダの情報が存在し、且つ、測定状況が「未測定」であるため、要処理検体である(ステップS105においてYES)。したがって、検体搬送先決定処理S106がCPU51aにより実行される。
検体搬送先決定処理において、まず、ステップS201において、CPU51aにより保持位置4の検体が選択される。次に、RAM51cの測定ユニット状態データ領域S1には「検体取込/返却不可」の情報が格納されており,測定ユニット状態データ領域S2には「検体返却可」の情報が格納されている。したがって、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の両方が検体取込不可であると判定され(ステップS202及びS204においてNO)、搬送先として「なし」が決定され(ステップS206)、処理が検体搬送先決定処理S106の呼出アドレスへリターンされる。
次に、CPU51aは、決定された搬送先が第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3であるか否かを判定するが(ステップS107)、決定された搬送先は「なし」であるので(ステップS107においてNO)、装置状態が「検体返却可」の測定ユニットが存在するか否かを判別する(ステップS112)。ここで、測定ユニット状態データ領域S2には「検体返却可」が格納されているため(ステップS112においてYES)、CPU51aは検体処理テーブルPTを参照し、フィールドF4に「検体取込中(第2測定ユニット)」が格納されているレコードに対応する保持位置2を、第2検体供給位置43bへ位置させるようにサンプルラックLを搬送する(ステップS113)。
次にCPU51aは、第2測定ユニット3による検体返却処理を実行する(ステップS114)。これにより、第2測定ユニット3が制御され、取り込まれた検体容器Tが第2測定ユニット3から排出され、サンプルラックLへと返還される(ステップS601〜S603)。また、CPU51aは、RAM51cの状態キューQ2に「検体取込可」を入力し(ステップS604)、検体処理テーブルPTにおける保持位置2に対応する測定状況のデータを「測定済」に変更する(ステップS605)。この後、CPU51aは、処理を検体返却処理の呼出アドレスへリターンする。
その後、保持位置1〜3と同様にして、第2測定ユニット3による保持位置4の検体容器Tの取り込み、第1測定ユニット2による保持位置3の検体の測定、第1測定ユニット2からの保持位置3の検体容器Tの返却、第1測定ユニット2による保持位置5の検体容器Tの取り込み、第2測定ユニット3による保持位置4の検体の測定、第2測定ユニット3からの保持位置4の検体容器Tの返却、第2測定ユニット3による保持位置6の検体容器Tの取り込み、第1測定ユニット2による保持位置5の検体の測定、第1測定ユニット2からの保持位置5の検体容器Tの返却、第1測定ユニット2による保持位置7の検体容器Tの取り込み、第2測定ユニット3による保持位置6の検体の測定、第2測定ユニット3からの保持位置6の検体容器Tの返却、第2測定ユニット3による保持位置8の検体容器Tの取り込み、第1測定ユニット2による保持位置7の検体の測定、第1測定ユニット2からの保持位置7の検体容器Tの返却、第1測定ユニット2による保持位置9の検体容器Tの取り込み、第2測定ユニット3による保持位置8の検体の測定、第2測定ユニット3からの保持位置8の検体容器Tの返却、第2測定ユニット3による保持位置10の検体容器Tの取り込み、第1測定ユニット2による保持位置9の検体の測定、第1測定ユニット2からの保持位置9の検体容器Tの返却、第2測定ユニット3による保持位置10の検体の測定、及び第2測定ユニット3からの保持位置10の検体容器Tの返却がこの順で、互いに一部重複しながら実行される。
上記のような構成とすることにより、検体搬送ユニット4によりサンプルラックLを搬送して当該サンプルラックLの一つの保持位置をバーコード読取位置43dに位置させ、この保持位置において検体容器Tの有無の検出、及び検体バーコードの読み取りを行い、その後、検体バーコードの読み取りを行った検体容器Tを第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3へ振り分けるために、第1検体供給位置43a又は第2検体供給位置43bへサンプルラックLを搬送する。これにより、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3で共通のバーコードリーダ44を1つ設ければよく、装置構成を簡略化することができる。また、サンプルラックLに保持されている複数の検体容器Tを、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3に振り分け、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3によって検体の測定を平行して行うことができるため、検体を効率的に処理(測定)することができる。
また、本実施の形態に係る検体処理装置1にあっては、サンプルラックLに保持されている全ての検体容器Tに対して、検体容器Tの有無の検出及び検体バーコードの読み取りを完了する前に、当該サンプルラックLに保持されており、検体容器Tの有無検出及び検体バーコードの読み取りが完了した検体容器Tを第1検体供給位置43a又は第2検体供給位置43bに搬送するので、検体の測定を早期に開始することが可能となり、検体の処理効率が向上する。
また、本実施の形態に係る検体処理装置1にあっては、第1検体供給位置43aと第2検体供給位置43bとの間にバーコード読取位置43dが設けられており、検体容器センサ45がバーコード読取位置43dに位置する検体容器Tの有無を検出し、バーコード読取部44がバーコード読取位置43dに位置する検体容器Tの検体バーコードの読み取りを行う。このため、バーコード読取位置43dが第1検体供給位置43a及び第2検体供給位置43bの間の領域の外にある場合に比べ、バーコード読取位置43dから第1検体供給位置43aまでの距離と、バーコード読取位置43dから第2検体供給位置43bまでの距離との合計が小さくなる。したがって、上記の場合に比べ、サンプルラックLに保持されている複数の検体容器Tを第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3に分配する場合の搬送距離を短縮することができ、ひいては検体搬送ユニット4の寿命を延ばすことができる。
また、本実施の形態に係る検体処理装置1にあっては、第1測定ユニット2(又は第2測定ユニット3)において検体の取り込みを行っている間に、サンプルラックLを搬送し、検体バーコードの読み取り対象となる検体容器Tの有無の検出、及びバーコードリーダ44による検体バーコードの読み取りを実行することができる。したがって、検体容器Tの取り込みと、検体容器Tの有無の検出及び検体バーコードの読み取りとを平行して行うことができ、装置全体の動作理効率が高い。図16に示すように、第1測定ユニット2が保持位置1の検体の取り込みを開始した後、第2測定ユニット3が保持位置10の検体の測定を終了するまでの間、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3共に、検体の取り込み、検体容器Tの返却、検体容器Tの検出、検体バーコードの読み取り、又は検体の測定をしていない時間は殆んどなく、効率的に検体の測定を行えていることが分かる。
また、検体処理装置1は、第1測定ユニット2(又は第2測定ユニット3)による1つの検体の取り込みを行っている間に、サンプルラックLの複数の保持位置に対して検体容器Tの検出及び検体バーコードの読み取りを行うことができる構成となっている。これにより、従来のように1つの検体を取り込んでいる間に、その検体の位置から所定の位置にある検体容器に対してのみ識別情報(検体ID)の読み取りを行う構成に比べ、効率よく検体の処理を行うことが可能となる。
また、検体分析装置1では、第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3が検体取込可能な状態にあるか否かを情報処理ユニット5が判断した後、検体取込可能な状態の測定ユニットへサンプルラックLを搬送し、この測定ユニットに検体容器Tを取り込ませる構成としている。これにより、サンプルラックLを測定ユニットへ搬送した後、この測定ユニットが検体取込可能な状態となるまで待機する必要がなく、より効率的に検体を処理することができる。
また、検体分析装置1では、検体容器Tを第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3の内部に取り込んでいる間に、第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3において検体容器を揺動させて検体を撹拌する構成としている。この検体の撹拌には数十秒程度の時間を要するため、当該検体処理装置1では、このような検体の撹拌処理を含む検体取込処理を第1測定ユニット2又は第2測定ユニット3で実行している間に、サンプルラックLを搬送し、そのサンプルラックLに保持されている他の検体容器Tに対して処理を実行することにより、効率よく検体の処理を行うことができる。
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、サンプルラックLに保持されている複数の検体容器Tの一部に対して、検体容器Tの有無の検出及び検体バーコードの読み取りを行い、その後検体容器Tの有無検出及び検体バーコードの読み取りが完了した検体容器Tを第1検体供給位置43a又は第2検体供給位置43bに搬送する構成について述べたが、これに限定されるものではない。バーコード読取部44を設けず、検体容器Tの有無の検出のみを行った後、その検体容器Tを第1検体供給位置43a又は第2検体供給位置43bに搬送する構成としてもよいし、検体容器センサ45を設けず、検体バーコードの読み取りのみを行った後、その検体容器Tを第1検体供給位置43a又は第2検体供給位置43bに搬送する構成としてもよい。また、検体容器Tの有無の検出及び検体バーコードの読み取りに代えて、検体容器T中に所定量の検体が収容されているかを検出し、その検体容器Tを第1検体供給位置43a又は第2検体供給位置43bに搬送する構成としてもよい。さらに、検体容器Tの有無の検出及び検体バーコードの読み取りのいずれか、又は両方と共に、検体容器T中に所定量の検体が収容されているかを検出し、その検体容器Tを第1検体供給位置43a又は第2検体供給位置43bに搬送する構成としてもよい。
また、サンプルラックLに保持されている複数の検体容器Tの全部に対して、検体容器Tの有無の検出及び検体バーコードの読み取りを行い、その後これらの検体容器Tを第1検体供給位置43a又は第2検体供給位置43bに搬送する構成としてもよい。
また、上述した実施の形態においては、第1検体供給位置43aと第2検体供給位置43bとの間にバーコード読取位置43dが設けられており、検体容器センサ45がバーコード読取位置43dに位置する検体容器Tの有無を検出し、バーコード読取部44がバーコード読取位置43dに位置する検体容器Tの検体バーコードの読み取りを行う構成について述べたが、これに限定されるものではない。バーコード読取位置を第1検体供給位置及び第2検体供給位置の間の領域の外に設け、このバーコード読取位置に位置する検体容器Tの有無を検出し、バーコード読取位置に位置する検体容器Tの検体バーコードの読み取りを行い、その後検体容器Tの有無検出及び検体バーコードの読み取りが完了した検体容器Tを第1検体供給位置又は第2検体供給位置に搬送する構成としてもよい。
また、上述した実施の形態においては、第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3が、それぞれ検体容器Tをユニット内部に取り込み、ユニット内部において検体容器Tから検体を吸引する構成について述べたが、これに限定されるものではない。第1測定ユニットが第1検体供給位置にある検体容器Tから直接検体を吸引する構成としてもよいし、第2測定ユニットが第2検体供給位置にある検体容器Tから直接検体を吸引する構成としてもよい。
また、上述した実施の形態においては、検体処理装置1が第1測定ユニット2及び第2測定ユニット3の2つの測定ユニットを備える構成としたが、これに限定されるものではない。検体処理装置が3つ以上の測定ユニットを備え、サンプルラックLに保持されている検体容器Tに対して、検体容器Tの有無の検出及び検体バーコードの読み取りを行い、その後検体容器Tの有無検出及び検体バーコードの読み取りが完了した検体容器Tを前記3つ以上の測定ユニットのいずれかに供給するために、サンプルラックLを搬送する構成としてもよい。
また、上述した実施の形態においては、検体処理装置1を多項目血球分析装置としたが、これに限定されるものではない。血液凝固測定装置、免疫分析装置、尿中有形成分分析装置、尿定性分析装置、又は血液塗抹標本作製装置のような多項目血球分析装置以外の検体処理装置において、サンプルラックに保持されている検体容器に対して所定の検知処理を行った後に、検体容器に収容された検体の処理を行う構成としてもよい。
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ5aによりコンピュータプログラム54aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム54aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
また、上述した実施の形態においては、単一の検体処理装置1内に設けられた2つの測定ユニット2,3に、検体搬送ユニット4により検体を搬送する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、それぞれに検体搬送ユニットが設けられた2つの独立した測定装置を設け、検体搬送ユニット同士を接続して一つの搬送ラインを形成し、搬送ラインにより各測定装置にサンプルラックを搬送し、少なくとも1つの測定装置に検体容器が取り込まれている間に、そのサンプルラックLを搬送して他の検体容器に処理を行う構成としてもよい。