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JP2010003646A - 液晶用照明装置及びその製造方法 - Google Patents

液晶用照明装置及びその製造方法 Download PDF

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JP2010003646A
JP2010003646A JP2008163654A JP2008163654A JP2010003646A JP 2010003646 A JP2010003646 A JP 2010003646A JP 2008163654 A JP2008163654 A JP 2008163654A JP 2008163654 A JP2008163654 A JP 2008163654A JP 2010003646 A JP2010003646 A JP 2010003646A
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acid
tert
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foaming
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JP2008163654A
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English (en)
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Fumio Jinno
文夫 神野
Junya Kojima
淳也 小島
Tomoyuki Takada
知行 高田
Yuko Saito
夕子 齋藤
Yasuhiro Furusawa
康弘 古澤
Takashi Ishizumi
隆司 石住
Masao Obata
雅夫 小羽田
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New Oji Paper Co Ltd
Sharp Corp
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Sharp Corp
Oji Paper Co Ltd
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Abstract

【課題】光源からの不均一な輝度分布(あるいは照度分布)を持つ偏った出光を均一にさせるだけでなく、光利用効率の向上や、薄物化、一体化や省部材化による生産性向上も兼ね備えた液晶照明装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】気泡占有面積率にグラデーション変化を付与することにより、光線反射率(光線透過率)の分布を精密に制御できるため、光源からの入射光を均一に拡散させられ、かつ輝度低下を抑制することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射線エネルギーおよび熱エネルギーの付与により発泡した発泡体からなる光拡散体を用いた液晶用照明装置及びその製造方法に関する。
光拡散体は、光源からの光を拡散させる機能を有し、光源表面や面発光装置の光学部材として使用されている。例えば、特許文献1に記載のLED光源ユニットの表面に被覆された光拡散体、特許文献2から特許文献6に記載の直下型バックライトに搭載された光拡散体、特許文献7に記載のエッジ型バックライトに搭載された光拡散体などが挙げられる。直下型バックライトで光源自体の輝線、エッジ型バックライトでは光源近傍に発生する輝度の明暗(目玉現象)や光出射面内の輝線暗線模様における輝度むらを各々解消して、視認される出射面における輝度の均一化を図ったものである。
拡散体の構成としては、拡散剤を均一に分布させたタイプと不均一に分布させたタイプの二つのグループに大きく分けられる。前者グループは、顔料や樹脂ビーズからなる拡散剤をマトリックス樹脂に内添したものであり、光源からの光をランダムに拡散させる。一方、後者グループは光拡散剤が入ったインクによるパターン印刷や、光隠蔽性もしくは光反射性膜をパターン被覆したものが一般的に挙げられ、光源からの光を前者よりも効率よく均一化させることが可能である。
これら光拡散体を備えた面発光装置は、液晶表示装置のバックライトや照明装置の面発光装置に広く使用されている。とくに液晶表示装置が搭載される用途は、近年飛躍的に広がり、携帯電話やデジタルカメラ、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、テレビジョン、ゲーム機器などが挙げられる。
特開2006ー18261号公報 特開2004−271567号公報 特開平11−212090号公報 特開2000−162411号公報 特開平5−477号公報 特開2006−30910号公報 特開2002−22965号公報
液晶表示装置のように表示品位を最重要視する用途に用いられる照明装置、とくにバックライトでは、輝度にむらや偏りがあっては本来の品位を損ねてしまう。そのため、光源からの光を均一に出光させるための光拡散体の活用が非常に重要となっている。また、液晶表示装置は、携帯電話やデジタルカメラなどにみられるポータブル性能を付与した傾向が強まっていることからも、軽薄短小のニーズが強い。そのため、面光源装置、そして搭載される光拡散体およびその周辺光学部材において、薄物化や省部材化も強く求められている。さらには、高輝度化についても常なる要求物性となっている。
例えば、直下型バックライトにおいては光源近傍で輝度が明るくなってしまうのを防ぐため、光拡散体が使われている。しかし、その中で、従来の光拡散体は次に述べる課題を持っている。まず、顔料や樹脂ビーズからなる拡散剤をマトリックス樹脂に内添したタイプでは、均一拡散させるために光拡散体との光源との距離をある程度離さなければ均一出光とならない。照明装置自体を薄物化しようとする場合、その距離は短くする方がよいが、均一発光を考慮するとその距離を縮めるには限界があった。すなわち薄型化に限界があった。また、拡散剤とマトリクスのマッチングで拡散性能をあげても、光線透過率が低下してしまい発光利用効率が悪くなるという悪循環な傾向にあった。
もう一つの光拡散体として、光遮蔽あるいは光拡散インクによるパターン加工をしたタイプでは、前記の拡散剤内添した光拡散体に比べて発光利用効率アップや光源との距離を縮めやすい傾向にある。しかしながら、精度限界から、数100μm以上の大きいパターン加工となり、そのままではパターンが視認されやすかった。したがって、そのパターンを視認されにくく、かつ、ぼかすためには、前記の拡散剤内添した光拡散体を併用しなければならず、省部材のニーズを満足しうるものではなかった。さらには、パターン加工にはスクリーン印刷などの印刷形式が使用されていることから、印刷はがれや遮蔽インクの紫外線による劣化や色温度変化による表示性能の低下も起こっていた。
以上のことから、従来の光拡散体では、液晶表示装置のような照明装置における要求を十分に満足させるのには限度があった。
本発明は、上記事情に鑑みて、光源からの不均一な輝度分布(あるいは照度分布)を持つ偏った出光を均一にさせるだけでなく、光利用効率の向上や、薄物化、一体化や省部材化による生産性向上も兼ね備えた液晶用照明装置及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため鋭意検討した結果、光源からの偏った出光を均一にさせるだけでなく、光利用効率の向上や、薄型化も兼ね備えた光拡散体を得られることを見出した。すなわち、本発明は、以下の構成を採用した。
[1] 放射線エネルギーおよび熱エネルギーの付与により発泡した発泡体からなり、その気泡密度が光源の形状に合わせた分布パターンを有する光透過率制御拡散部を備える液晶用照明装置において、該光透過率制御拡散部が低発泡領域と高発泡領域を有し、その両領域を連結する光制御拡散部の単位面積当りの気泡占有面積率にグラデーション変化を付与することにより、低発泡領域と高発泡領域の境界近傍部の光透過不均一性を制御したことを特徴とする液晶用照明装置。
[2] 単位面積当りの気泡占有面積率にグラデーションを付与することによる低発泡領域と高発泡領域の境界近傍部の光透過率不均一性制御として、隣り合う単位面積当りの領域で直線状ないしドットエリア状にある面積率で光透過率制御拡散部を設けたことを特徴とする[1]に記載の液晶用照明装置。
[3] 前記発泡体が、放射線エネルギーの作用によって酸を発生する酸発生剤または塩基を発生する塩基発生剤と、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質を分解脱離する分解発泡性官能基を有する分解発泡性化合物とを含有する発泡性組成物を発泡させたものである[1]または[2]に記載の液晶用照明装置。
[4] [1]から[3]の何れかに記載の液晶用照明装置を製造する方法であって、放射線エネルギーの作用によって酸を発生する酸発生剤または塩基を発生する塩基発生剤と、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質を分解脱離する分解発泡性官能基を有する分解発泡性化合物とを含有する発泡性組成物を成形体とする成形工程と、前記成形体に放射線エネルギー及び熱エネルギーを付与して発泡させる発泡工程とを備え、(a)前記成形体に付与する放射線エネルギー、(b)前記成形体に付与する熱エネルギー、(c)前記成形体中の分解発泡性官能基濃度、(d)前記成形体中の酸発生剤または塩基発生剤の濃度のいずれか1以上が、所定の不均一分布とされていることを特徴とする液晶用照明装置の製造方法。
本発明によれば、光源からの不均一な輝度分布(あるいは照度分布)を持つ偏った出光を均一にさせるだけでなく、薄物化と光利用効率の向上を両立する光拡散体を用いた液晶用照明装置及びその製造方法を提供することができる。
<発泡性組成物>
(発泡性組成物の種類)
本発明における発泡体は、発泡性組成物に放射線エネルギーおよび熱エネルギーを付与して発泡させたものである。
このような発泡性組成物の具体的な例としては、(A)光照射によってガスを発生させる光発泡性化合物や、(B)光重合性化合物と熱発泡性化合物を組み合わせたもの(特許3422384号公報参照、特開平5−477)、(C)放射線エネルギーの作用によって酸を発生する酸発生剤または塩基を発生する塩基発生剤と、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質を分解脱離する分解発泡性官能基を有する分解発泡性化合物とを含有する発泡性組成物(特開2004−2812号公報参照)を含む。
とりわけ、(C)の発泡性組成物(以下「組成物(C)」という。)は、気泡の直径を10μm以下にすることができ、かつ、気泡分布パターンを広範囲に精密制御できるので好ましい。
組成物(C)は、放射線エネルギー及び熱エネルギーの作用により発泡性が発現する組成物である。その発泡性組成物は、少なくとも次の2つの成分を含有する。
その一つは、放射線エネルギーの作用によって酸を発生する酸発生剤、または塩基を発生する塩基発生剤である。他の一つは、前記発生した酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性化合物を分解脱離する分解発泡性化合物である。
(酸発生剤及び塩基発生剤)
組成物(C)に用いられる酸発生剤又は塩基発生剤には、一般的に化学増幅型フォトレジスト、及び光カチオン重合などに利用されている光酸発生剤や光塩基発生剤と呼ばれているものを用いることができる。
組成物(C)に好適な光酸発生剤としては、
(1)ジアゾニウム塩系化合物
(2)アンモニウム塩系化合物
(3)ヨードニウム塩系化合物
(4)スルホニウム塩系化合物
(5)オキソニウム塩系化合物
(6)ホスホニウム塩系化合物
などから選ばれた芳香族もしくは脂肪族オニウム化合物のPF6 、AsF6 、SbF6 、CF3SO3 塩を挙げることができる。その具体例を下記に列挙するが、これら例示したものに限定されるものではない。
ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(p−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、
ベンゾイルフェニルスルホニルジアゾメタン、
トリフルオロメタンスルホネート、
トリメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
p−トリルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウムヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウムトリフルオロメタンスルホネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
(2−オキソ−1−シクロヘキシル)(シクロヘキシル)メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
(2−オキソ−1−シクロヘキシル)(2−ノルボルニル)メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムパーフルオロメタンスルホネート、
ジフェニル−4−tert−ブチルフェニルスルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート、
ジフェニル−4−メトキシフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート、
ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトシレート、
ジフェニル−4−メトキシフェニルスルホニウムトシレート、
ジフェニル−4−イソプロピルフェニルスルホニウムトシレート
ジフェニルヨードニウム、
ジフェニルヨードニウムトシレート、
ジフェニルヨードニウムクロライド、
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、
ジフェニルヨードニウムナイトレート、
ジフェニルヨードニウムパークロレート、
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ビス(メチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ビス(メチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、
ビス(メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、
ビス(メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート、
2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2,4,6−トリ(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−フェニル−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−ナフチル−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−ビフェニル−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−(4′−ヒドロキシ−4−ビフェニル)−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−(4′−メチル−4−ビフェニル)−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−(p−メトキシフェニルビニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ブトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリリウムトリフロオロメタンスルホネート、
トリメチルオキシニウムテトラフロオロボレート、
トリエチルオキシニウムテトラフロオロボレート、
N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート、
N−ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート、
(α−ベンゾイルベンジル)p−トルエンスルホネート、
(β−ベンゾイル−β−ヒドロキシフェネチル)p−トルエンスルホネート、
1,2,3−ベンゼントリイルトリスメタンスルホネート、
(2,6−ジニトロベンジル)p−トルエンスルホネート、
(2−ニトロベンジル)p−トルエンスルホネート、
(4−ニトロベンジル)p−トルエンスルホネート、
などが挙げられる。なかでも、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物が好ましい。
また、前記オニウム化合物以外にも、活性エネルギー線照射によりスルホン酸を光発生するスルホン化物、例えば2−フェニルスルホニルアセトフェノン、活性エネルギー線照射によりハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、例えば、フェニルトリブロモメチルスルホン、及び1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、並びに活性エネルギー線照射により燐酸を光発生するフェロセニウム化合物、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)フェロセニウムヘキサフルオロフォスフェート、及びビス(ベンジル)フェロセニウムヘキサフルオロフォスフェートなどを用いることができる。
さらには、下記に挙げる酸発生能を有するイミド化合物誘導体も使用できる。
N−(フェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフタルイミド、
N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフタルイミド。
組成物(C)に好適な光塩基発生剤としては、
(1)オキシムエステル系化合物
(2)アンモニウム系化合物
(3)ベンゾイン系化合物
(4)ジメトキシベンジルウレタン系化合物
(5)オルトニトロベンジルウレタン系化合物
などが挙げられ、これらは光エネルギーの照射により塩基としてアミンを発生する。その他にも、光の作用によりアンモニアやヒドロキシイオンを発生する塩基発生剤を用いてもよい。これらは、例えばN−(2−ニトロペンジルオキシカルボニル)ピペリジン、1,3−ビス〔N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)−4−ピペリジル〕プロパン、N,N′−ビス(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ジヘキシルアミン、及びO−ベンジルカルボニル−N−(1−フェニルエチリデン)ヒドロキシルアミンなどから選ぶことができる。さらには加熱により塩基が発生する化合物を上記光塩基発生剤と併用してもよい。
また、光酸発生剤または光塩基発生剤が活性化する光エネルギーの波長領域をシフトまたは拡大するために、適宜光増感剤を併用してもよい。例えば、オニウム塩化合物に対する光増感剤には、アクリジンイエロー、ベンゾフラビン、アクリジンオレンジなどが挙げられる。
必要な酸を生成しながらも酸発生剤または塩基発生剤の添加量や光エネルギーを最小限に抑制するために、酸増殖剤や塩基増殖剤(K.Ichimura et al.,Chemistry Letters,551−552(1995)、特開平8−248561号公報、特開2000−330270号公報参照 )を酸発生剤または塩基発生剤とともに用いることができる。酸増殖剤は、常温付近で熱力学的に安定であるが、酸によって分解し、自ら強酸を発生し、酸触媒反応を大幅に加速させる。この反応を利用することにより、酸または塩基の発生効率を向上させて、発泡生成速度や発泡構造をコントロールすることも可能である。
(分解発泡性化合物)
組成物(C)に用いられる分解発泡性化合物(以下、分解性化合物と略す)は、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質(低沸点揮発性化合物)が分解脱離する化合物である。
低沸点とは、発泡時にガス化が可能な沸点、すなわち、発泡時の温度よりも低い沸点を有することを意味する。低沸点揮発性物質の沸点は、通常100℃以下であり、常温以下であることが好ましい。
低沸点揮発性物質としては、例えばイソブテン(沸点;−7℃) 、二酸化炭素(沸点;−79℃)、窒素(沸点;−196℃)などがあげられる。
分解性化合物には、低沸点揮発性物質を発生し得る分解性官能基があらかじめ導入されていなければならない。
分解性官能基の内、酸と反応するものとしては、−O−tBuの構造式で示されるtert−ブチルオキシ基、−CO−O−tBuの構造式で示されるtert−ブチルオキシカルボニル基、−O−CO−O−tBu の構造式で示されるtert−ブチルカーボネート基、ケト酸およびケト酸エステル基などが挙げられる。このとき、−tBuは−C(CHを示す。酸と反応して、tert−ブチルオキシ基およびtert−ブチルオキシカルボニル基はイソブテンガスを、tert−ブチルカーボネート基はイソブテンガスと二酸化炭素を、ケト酸部位は二酸化炭素を、ケト酸エステルたとえばケト酸tert−ブチルオキシ基は二酸化炭素とイソブテンガスを発生する。
塩基と反応するものとしては、ウレタン基、カーボネート基などが挙げられる。塩基と反応して、ウレタン基、カーボネート基は二酸化炭素ガスを発生する。
分解性化合物の形態は、モノマー、オリゴマー、高分子化合物(ポリマー)の何れであってもよい。分解性化合物は、以下のような化合物群に分類することができる。
(1)非硬化性低分子系の分解性化合物群
(2)硬化性低分子系の分解性化合物群
(3)高分子系の分解性化合物群
(1)の非硬化性低分子系の分解性化合物群は、放射線エネルギーを付与しても、重合反応を生じない低分子系の分解性化合物群である。(2)の硬化性低分子系の分解性化合物群は、放射線エネルギーの付与により重合反応を生じて硬化するような化合物群であり、たとえばビニル基のような重合性基を含んでいる。また、(3)の高分子系の分解性化合物群は、すでに重合体となっている高分子化合物(ポリマー)である。
上記分解性化合物群は単独で用いてもよいし、異なる2種以上を混合併用してもよい。(2)の硬化性低分子系の分解性化合物群、または(3)の高分子系の分解性化合物群を用いると、均一な微細気泡の形成が容易であり、強度的に優れた発泡体を得ることが可能であり好ましい。以下に分解性化合物の具体例を列挙するが、これら例示したものに限定されるものではない。
(1)−a、非硬化性低分子系の分解性化合物群(酸分解性)
1−tert−ブトキシ−2−エトキシエタン、
2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)ナフタレン、
N−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フタルイミド、
2,2−ビス[p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル]プロパンなど
(1)−b、非硬化性低分子系の分解性化合物群(塩基分解性)
N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)ピペリジンなど
(2)−a、硬化性低分子系の分解性化合物群(酸分解性)
tert−ブチルアクリレート、
tert−ブチルメタクリレート、
tert−ブトキシカルボニルメチルアクリレート、
2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニル)フェニルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルエチル)フェニルアクリレート、
1−(tert−ブトキシカルボニルメチル)シクロヘキシルアクリレート、
4−tert−ブトキシカルボニル−8−ビニルカルボニルオキシ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、
2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フェニルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)ベンジルアクリレート、
2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチルアクリレート、
6−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキシルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ベンジルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)ベンジルアクリレート、
(2−tert−ブトキシエチル)アクリレート、
(3−tert−ブトキシプロピル)アクリレート、
(1−tert−ブチルジオキシ−1−メチル)エチルアクリレート、
3,3−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)プロピルアクリレート、
4,4−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)ブチルアクリレート、
p−(tert−ブトキシ)スチレン、
m−(tert−ブトキシ)スチレン、
p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン、
m−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン、
アクリロイル酢酸、メタクロイル酢酸、
tert−ブチルアクロイルアセテート、
tert−ブチルメタクロイルアセテートなど
N−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)マレイミド
(2)−b、硬化性低分子系の分解性化合物群(塩基分解性)
4−[(1、1−ジメチル−2−シアノ)エトキシカルボニルオキシ]スチレン、
4−[(1、1−ジメチル−2−フェニルスルホニル)エトキシカルボニルオキシ]スチレン、
4−[(1、1−ジメチル−2−メトキシカルボニル)エトキシカルボニルオキシ]スチレン、
4−(2−シアノエトキシカルボニルオキシ)スチレン、
(1、1−ジメチル−2−フェニルスルホニル)エチルメタクリレート、
(1、1−ジメチル−2−シアノ)エチルメタクリレートなど
(3)−a、高分子系の分解性化合物群(酸分解性)
ポリ(tert−ブチルアクリレート)、
ポリ(tert−ブチルメタクリレート)、
ポリ(tert−ブトキシカルボニルメチルアクリレート)、
ポリ[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニル)フェニルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルエチル)フェニルアクリレート]、
ポリ[1−(tert−ブトキシカルボニルメチル)シクロヘキシルアクリレート]、
ポリ{4−tert−ブトキシカルボニル−8−ビニルカルボニルオキシ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン}、
ポリ[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フェニルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)ベンジルアクリレート]、
ポリ[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチルアクリレート]、
ポリ[6−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキシルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ベンジルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)ベンジルアクリレート]、
ポリ(2−tert−ブトキシエチルアクリレート)、
ポリ(3−tert−ブトキシプロピルアクリレート)、
ポリ[(1−tert−ブチルジオキシ−1−メチル)エチルアクリレート]、
ポリ[3,3−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)プロピルアクリレート]、
ポリ[4,4−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)ブチルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシ)スチレン]、
ポリ[m−(tert−ブトキシ)スチレン]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン]、
ポリ[m−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン]、
ポリアクリロイル酢酸、ポリメタクロイル酢酸、
ポリ[tert−ブチルアクロイルアセテート]、
ポリ[tert−ブチルメタクロイルアセテート]
N−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)マレイミド/スチレン共重合体など
(3)−b、高分子系の分解性化合物群(塩基分解性)
ポリ{p−[(1、1−ジメチル−2−シアノ)エトキシカルボニルオキシ]スチレン}、
ポリ{p−[(1、1−ジメチル−2−フェニルスルホニル)エトキシカルボニルオキシ]スチレン}、
ポリ{p−[(1、1−ジメチル−2−メトキシカルボニル)エトキシカルボニルオキシ]スチレン}、
ポリ[p−(2−シアノエトキシカルボニルオキシ)スチレン]、
ポリ[(1、1−ジメチル−2−フェニルスルホニル)エチルメタクリレート]、
ポリ[(1、1−ジメチル−2−シアノ)エチルメタクリレート]、
分解性官能基を導入したポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、デンドリマーなどの有機系高分子化合物も酸分解性又は塩基分解性重合体系化合物として用いることができる。さらには、シリカなどの無機系化合物に分解性官能基を導入した酸分解性又は塩基分解性重合体系化合物も用いることができる。なかでも、分解性官能基は、カルボン酸基または水酸基、アミン基からなる群の中から選ばれる官能基を有する化合物群に導入されることが好ましい。
発泡体の耐水性を上げるために、少なくとも一種類以上の疎水性官能基を含む化合物に分解発泡性官能基を導入した化合物を用いることもできる。疎水性官能基は、主に脂肪族基、脂肪環族基、芳香族基、ハロゲン基、ニトリル基からなる群の中から選ばれることが好ましい。
ただし、分解発泡性官能基は、主にカルボン酸基または水酸基、アミン基からなる群の中から選ばれる親水性官能基に導入されやすいので、分解性化合物としては、親水性官能基に分解発泡性官能基を導入した分解性ユニットと、疎水性官能基を含む疎水性ユニットからなる複合化合物が好ましい。特に、ビニル系の共重合体化合物であることが好ましい。
疎水性ユニットとしては、メチル(メタ)アクリレートやエチル(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート群、スチレン、メチルスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル化合物群、(メタ)アクリロニトリル化合物群、酢酸ビニル化合物群、塩化ビニル化合物群などが挙げられる。
分解性ユニットと疎水性ユニットの複合化合物からなる分解性化合物の具体例を以下に示す。
tert−ブチルアクリレート/メチルアクリレート共重合体、
tert−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、
tert−ブチルメタクリレート/メチルアクリレート共重合体、
tert−ブチルメタアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、
tert−ブチルアクリレート/エチルアクリレート共重合体、
tert−ブチルアクリレート/エチルメタクリレート共重合体、
tert−ブチルメタクリレート/エチルアクリレート共重合体、
tert−ブチルメタクリレート/エチルメタクリレート共重合体、
tert−ブチルアクリレート/スチレン共重合体、
tert−ブチルアクリレート/塩化ビニル共重合体、
tert−ブチルアクリレート/アクリロニトリル共重合体、
p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン/スチレン共重合体。
また、分解性化合物中の分解性ユニットおよび疎水性ユニットは、一種単独でまたは2種以上併用することができる。共重合の形式は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などの任意の形式をとることができる。また、疎水性ユニットの共重合比は、分解性化合物全量に対して5〜95質量%であることが好ましく、分解性化合物の分解発泡性および発泡構造の環境保存性を勘案すると、20〜80質量%がより好ましい。上記分解性化合物は、単独で用いてもよいし、異なる2種以上を混合併用してもよい。上記分解性化合物は、分解発泡性官能基が分解脱離して気泡形成ガスを発生した後に、少なくとも一種類以上の疎水性官能基を含む化合物となる。
発泡体の耐水性を上げるために、発泡性組成物として、温度30℃相対湿度60%の環境雰囲気下においてJISK7209D法で測定した平衡吸水率が10%未満の低吸湿性化合物に分解発泡性官能基を導入した化合物を用いることもできる。分解発泡性官能基を導入しやすい構造を有する低吸湿性化合物としては、例えばp−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレンなどが挙げられる。したがって、分解性化合物は、p−(tert−ブトキシ)スチレン、m−(tert−ブトキシ)スチレン、p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン、m−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレンが挙げられる。これらは硬化性モノマーでも一種類以上を混合した重合体でもよい。
また、吸水率が10%以上の高吸湿性化合物と、吸水率10%未満の低吸湿性化合物との組合せからなる複合化合物に分解発泡性官能基を導入してもよい。ただし、複合化合物は、適切な組合せにより10%未満の吸水率を有していることが好ましい。例えば、高吸湿性化合物であるアクリル酸と低吸湿性化合物であるp−ヒドロキシスチレンの共重合体(複合化合物)は、その共重合比がアクリル酸/p−ヒドロキシスチレン=90/10〜0/100であることが好ましい。
高吸湿性化合物と低吸湿性化合物との組み合わせからなる分解性化合物の具体的な例を以下に示す。
tert−ブチルアクリレート/p−(tert−ブトキシ)スチレン共重合体、
tert−ブチルアクリレート/m−(tert−ブトキシ)スチレン共重合体、
tert−ブチルアクリレート/p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体、
tert−ブチルアクリレート/m−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体、
tert−ブチルメタクリレート/p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体。
さらには、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、デンドリマーからなる群の中から選ばれた低吸湿性高分子材料などに分解発泡性官能基を導入してもよい。上記分解性化合物は、単独で用いてもよいし、異なる2種以上を混合併用してもよい。上記分解性化合物は、分解発泡性官能基が分解脱離して気泡形成ガスを発生した後に、低吸湿性化合物となる。
(その他の樹脂)
組成物(C)には、酸発生剤または塩基発生剤と分解発泡性化合物以外に、成形体の骨格となる一般の樹脂を混合する必要がある場合がある。即ち、非硬化性低分子系の分解性化合物群を用いる場合は単独では成形できないので、下記の一般に用いられる樹脂と混合して用いる必要がある。一般の樹脂は、分解性化合物と混合した時に相溶でも非相溶でもどちらでもかまわない。
一般の樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系複合樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、アクリロイル樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリサルホン樹脂、塩化ビニル樹脂、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、及びシリコーン樹脂など一般に用いられる樹脂から適宜選択して用いることができる。
また、分解性化合物から分解してガス化する低沸点揮発性物質を成形体内に内在させることを目的として、ガスバリヤ性樹脂を用いることもできる。ガスバリヤ性樹脂は、混合しても被覆または積層してもよく、低沸点揮発性物質を成形体内により内在させるには、成形体表面に被覆または積層するのが好ましい。分解性発泡化合物のうち、硬化性低分子系の分解性化合物群および高分子系の分解性化合物群は単独で用いてもよいし、上記の一般に用いられる樹脂と混合して用いてもよい。
上記一般の樹脂を用いる場合でも、そうでない場合でも、放射線エネルギーで硬化する他の不飽和有機化合物を併用することができる。併用化合物の例としては、
(1)脂肪族、脂環族、芳香族の1〜6価のアルコール及びポリアルキレングリコールの(メタ)アクリレート類
(2)脂肪族、脂環族、芳香族の1〜6価のアルコールにアルキレンオキサイドを付加させて得られた化合物の(メタ)アクリレート類
(3)ポリ(メタ)アクリロイルアルキルリン酸エステル類
(4)多塩基酸とポリオールと(メタ)アクリル酸との反応生成物
(5)イソシアネート、ポリオール、(メタ)アクリル酸の反応生成物
(6)エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物
(7)エポキシ化合物、ポリオール、(メタ)アクリル酸の反応生成物
(8)メラミンと(メタ)アクリル酸の反応生成物
等を挙げることができる。
併用できる化合物の中で、硬化性モノマーや樹脂は、発泡体の強度や耐熱性といった物性の向上効果や発泡性の制御効果などが期待できる。また分解性化合物および併用化合物に硬化性モノマーを用いれば、無溶剤成形ができ、環境負荷の少ない製造方法を提供できる。たとえば特開平8−17257号公報や、特開平9−102230号公報ではこのような材料が用いられている。
併用化合物の具体的な例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、 2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロヘキシルアクリレート、イソボロニルアクリレート、イソボロニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、エチレンオキシド変性フェノキシアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸ダイマー、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、アクリル酸−9,10−エポキシ化オレイル、マレイン酸エチレングリコールモノアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチレンアクリレート、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソランのカプロラクトン付加物のアクリレート、3−メチル−5,5−ジメチル−1,3−ジオキソランのカプロラクトン付加物のアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、エチレンオキシド変性フェノキシ化リン酸アクリレート、エタンジオールジアクリレート、エタンジオールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−ブチル−2−エチルプロパンジオールジアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレンオキシド変性水添ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリプロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ポリオキシエチレンエピクロロヒドリン変性ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリプロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレート、エチレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、ポリエチレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、プロピレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、ポリプロピレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を挙げることが出来るが、これらに限られるものではない。
さらに、前記の併用活性エネルギー線硬化性不飽和有機化合物の一部または全部として、分子鎖末端に(メタ)アクリロイル基を有する分子量が400〜5000程度の活性エネルギー線硬化性樹脂を組み合わせることもできる。このような硬化性樹脂として、例えば、ポリウレタン変性ポリエーテルポリ(メタ)アクリレートやポリウレタン変性ポリエステルポリ(メタ)アクリレートなどのポリウレタンポリ(メタ)アクリレートポリマー類を用いることが好ましい。
(添加物)
本発明に使用する発泡性組成物には、必要に応じて、酸発生剤又は塩基発生剤と分解性化合物以外の添加物を含ませることができる。添加物としては、無機系または有機系化合物充填剤、並びに各種界面活性剤などの分散剤、多価イソシアネート化合物、エポキシ化合物、有機金属化合物などの反応性化合物および酸化防止剤、シリコーンオイルや加工助剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、スリップ防止剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、光安定剤、滑剤、軟化剤、有色染料、その他の安定剤等を一種類以上含ませてもよい。添加剤を用いることにより、成形性や発泡性、光学的物性(とくに白色顔料の場合)、電気および磁気的特性(とくにカーボン等の導電性粒子の場合)などの向上が期待できる。
無機系化合物充填剤の具体例としては、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、クレー、タルク、シリカ等の顔料、ステアリン酸亜鉛のような金属石鹸、並びに各種界面活性剤などの分散剤、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、カオリン、珪酸白土、珪藻土、酸化亜鉛、酸化珪素、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、マイカ、アスベスト粉、ガラス粉、シラスバルーン、ゼオライトなどが遂げられる。
有機系化合物充填剤としては、例えば、木粉、パルプ粉などのセルロース系粉末、ポリマービーズなどが挙げられる。ポリマービーズとしては、例えばアクリル樹脂、スチレン樹脂又はセルロース誘導体、ポリビニル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリウレタン及びポリカーボネート、架橋用モノマーなどから製造されたものが使用できる。
これらの充填剤は、1種単独で用いることができるが、2種類以上混合したものであってもよい。
紫外線吸収剤の具体例としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、またはベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤から選ばれる。サリチル酸系紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートなどが挙げられる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
酸化防止剤の具体例としては、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。光安定剤の代表的なものとしては、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。
軟化剤は、成形性または成形体の加工性を向上させる目的で使用でき、具体的には、エステル化合物類、アミド化合物類、側鎖を有する炭化水素重合体類、鉱油類、流動パラフィン類、ワックス類などが挙げられる。軟化剤として用いるエステル化合物としては、アルコールとカルボン酸からなる構造のモノまたはポリエステルであれば特に制限はなく、ヒドロキシル基およびカルボニル基末端を分子内に残した化合物でも、エステル基の形で封鎖された化合物でもよい。具体的には、ステアリルステアレート、ソルビタントリステアレート、エポキシ大豆油、精製ひまし油、硬化ひまし油、脱水ひまし油、エポキシ大豆油、極度硬化油、トリメリット酸トリオクチル、エチレングリコールジオクタノエート、ペンタエリスリトールテトラオクタノエートなどが挙げられる。アミド化合物としては、アミンとカルボン酸からなる構造のモノまたはポリアミド化合物であれば特に制限はなく、アミノ基およびカルボニル基末端を分子内に残した化合物でも、アミド基の形で封鎖された化合物でもよい。具体的には、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、トリメチレンビスオクチル酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、トリオクタトリメリット酸アミド、ジステアリル尿素、ブチレンビスステアリン酸アミド、キシリレンビスステアリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、ジステアリルフタル酸アミド、ジステアリルオクタデカ二酸アミド、イプシロンカプロラクタム、およびこれらの誘導体が挙げられる。
側鎖を有する炭化水素重合体としては、ポリα−オレフィン類で、炭素数4以上の側鎖を有する通常オリゴマーに分類されるものが好ましい。具体的には、エチレン−プロピレンの共重合体やそのマレイン酸誘導体、イソブチレンの重合体、ブタジエン、イソプレンのオリゴマーおよびその水添物、1−ヘキセンの重合物、ポリスチレンの重合物およびこれらから誘導される誘導体、ヒドロキシポリブタジエンやその水添物、末端ヒドロキシポリブタジエン水添物などが挙げられる。
(光散乱性微粒子)
組成物(C)等の発泡性組成物には、輝度向上や輝度ムラ抑制のために、補助的に光散乱性微粒子を添加しても良い。光散乱性微粒子としては、例えば、アクリル系、スチレン−アクリル系、ポリエチレン系の有機架橋ポリマービーズや、シリコンビーズ、中空粒子などが挙げられる。また、光散乱微粒子をナノスケールで相分離させてもよく、その場合、発泡性組成物から形成される気泡の微小化や数密度増加の効果が得られる。
組成物(C)等の発泡性組成物は、一般的な混練機を用いて調製することができる。混練機としては、例えば、二本ロール、三本ロール、カウレスデゾルバー、ホモミキサー、サンドグラインダー、プラネタリーミキサー、ボールミル、ニーダー、高速ミキサー、ホモジナイザーなどが挙げられる。また超音波分散機などを使用することもできる。
<発泡体の製造方法>
本発明における発泡体は、上記発泡性組成物に放射線エネルギーおよび熱エネルギーを付与して発泡させたものである。発泡性組成物から発泡体を製造する製造方法は、発泡性組成物を成形体とする成形工程と、前記成形体に放射線エネルギー及び熱エネルギーを付与して発泡させる発泡工程とを備える。
(成形工程)
発泡性組成物の成形工程は、発泡性組成物を所望の形状の成形体に成形する工程である。成形体の形状としては、シート状物(フィルム状を含む)が好ましい。シート状物においては、支持体を用いない独立のシートであっても、支持体上に密着したシート層であってもよい。
本発明における成形工程は、形状を決定するための工程である。成形工程の段階における成形体は、固体でなく流動体であってもよい。例えば、特定の型に流し込んだ液状物も、本発明における成形体に含まれる。
シート状物の成形方法としては、特開2004−2812号公報や、特開2005ー54176号公報、特開2005−55883号公報に記載される方法を用いることができる。一般的には、溶融押出成形や射出成形、塗工成形、プレス成形が好ましい。特に、塗工成形は、光拡散体自身の薄型化が可能となり、また透光性樹脂支持体の表面上にも容易に積層できるので好ましい。
また、バッチ式でも連続式でもかまわない。発泡性組成物が溶液の場合は、溶剤の乾燥処理を加えてもよい。また、複数の成形体を積層することも可能である。
塗工成形の場合、支持体に塗工ヘッドを用いて発泡性組成物を塗工した後、発泡性組成物が溶剤等で希釈された溶液ならば、乾燥器にて溶剤分を除去し、支持体上に発泡性組成物からなるシート層を得る。このとき、支持体からシート層を剥離することで、発泡性組成物からなる単独のシート状物を得ることもできる。塗工方法には、バーコート法、エアードクターコート法、ブレードコート法、スクイズコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、グラビアコート法、トランスファーコート法、コンマコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、マルチロールコート法、ディップコート法、ロッドコート法、キスコート法、ゲートロールコート法、落下カーテンコート法、スライドコート法、ファウンテンコート法、およびスリットダイコート法などがあげられる。
支持体の具体例としては、紙、合成紙、プラスチック樹脂シート、金属シート、金属蒸着シート等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、或は、互いに積層されていてもよい。プラスチック樹脂シートは、例えば、ポリスチレン樹脂シート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂シート、並びにポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂シート等の汎用プラスチックシートやポリイミド樹脂シート、ABS樹脂シート、ポリカーボネート樹脂シート等のエンジニアリングプラスチックシートなどが挙げられ、また金属シートを構成する金属としては、アルミニウムおよび銅などが挙げられる。金属蒸着シートとしては、アルミ蒸着シート・金蒸着シート・銀蒸着シートなどが挙げられる。このとき支持体としては、透光性支持体であることが好ましく、さらには透光性樹脂シートであることが好ましい。透光性の光透過特性は、使用により適切に調整されたものであれば限定はされないが、可視光領域での光透過率で90%以上であることが好ましい。
また、光反射シートや導光シート(あるいは導光板)、プリズムシートのような光学機能シートを支持体とすれば、発泡体からなる光拡散部とこれらの機能性シートとの一体化を容易に行うことができる。
押出成形の場合、スクリュー状の押出軸を用いた一般の押出成形法、ピストン状押出軸を用いたラム押出成形法などがあげられる。例えば、押出成形機から押出された発泡性組成物はダイから押出されロールなどを介してシート状物を得ることができる。
発泡性組成物は、組成によって、例えば150℃以上の加熱により分解してしまう場合もある。そのため、発泡工程の前に正味の発泡性能を失わないよう留意する必要がある。
例えば、押出成形において、樹脂の溶融粘度まで加熱してしまうと発泡性能が損なわれる場合、塗工成形と同様に溶媒を用いて発泡性組成物の溶液を調整し、常温で成形する溶液キャスト法のような方法をとることもできる。
(発泡工程)
発泡工程は、成形体に放射線エネルギーと熱エネルギーとを付与して発泡させる工程である。発泡工程は、成形体に放射線を照射する放射線照射工程と、成形体を加熱する加熱工程とを含み、微細な気泡のみを作るときには、放射線照射工程後に加熱工程が行われることが好ましい。放射線照射工程と加熱工程とを順次行うことにより、安定した発泡体が形成できる。これは、組成物(c)の発泡機構が、放射線により酸又は塩基を発生させ、その酸又は塩基と加熱とにより分解発泡性化合物が分解し発泡するという機構であるためである。組成物(c)は比較的低い温度で気泡核を多数発生させ、更に温度を上げて気泡を成長させると微細な気泡が均一にできる。しかし、初めから高温にしておきそこに放射線を当てると、大きな気泡ができてしまう。
なお、各工程は、連続的に行っても不連続的に行ってもよい。
(放射線照射工程)
放射線照射工程で使用する放射線としては、電子線、紫外線、可視光線、γ線等の電離性放射線などが好ましい。これらの中では電子線又は紫外線を用いることが特に好ましい。
電子線を照射する場合は、充分な透過力を得るために、加速電圧が30〜1000kV、より好ましくは30〜300kVである電子線加速器を用い、ワンパスの吸収線量を0.5〜20Mradにコントロールすることが好ましい(1rad=0.01Gy)。加速電圧、あるいは電子線照射量が上記範囲より低いと、電子線の透過力が不充分になり、成形体の内部まで充分に透過することができない。また、この範囲より大きすぎると、エネルギー効率が悪化するばかりでなく、得られた成形体の強度が不充分になり、それに含まれる樹脂及び添加剤の分解を生じ、得られる発泡体の品質が不満足なものになることがある。
電子線加速器としては、例えば、エレクトロカーテンシステム、スキャンニングタイプ、ダブルスキャンニングタイプ等を用いることができる。電子線照射に際しては照射雰囲気の酸素濃度が高いと、酸もしくは塩基の発生、および/または硬化性分解性化合物の硬化が妨げられることがある。このため照射雰囲気の空気を、窒素、ヘリウム、二酸化炭素等の不活性ガスにより置換することが好ましい。照射雰囲気の酸素濃度は1000ppm以下であることが好ましく、さらに安定的な電子線エネルギーを得るため、500ppm以下に抑制されることがより好ましい。
紫外線を照射する場合は、半導体・フォトレジスト分野や紫外線硬化分野などで一般的に使用されている紫外線ランプを用いることができる。一般的な紫外線ランプとしては、例えば、ハロゲンランプ、ハロゲンヒーターランプ、キセノンショートアークランプ、キセノンフラッシュランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、ディープUVランプ、メタルハライドランプ、希ガス蛍光ランプ、クリプトンアークランプ、エキシマランプなどがあり、近年では、極短波長(214nmにピーク)を発光するY線ランプもある。これらのランプには、オゾン発生の少ないオゾンレスタイプもある。これらの紫外線は、散乱光であっても、直進性の高い平行光であってもよい。
気泡分布の位置制御を精度よく行うためには、放射線として平行光を用いることが好ましい。紫外線照射には、ArFエキシマーレーザー、KrFエキシマーレーザーや、非線形光学結晶を含む高調波ユニットを介したYAGレーザーなどに挙げられる種々のレーザーや、紫外発光ダイオードを用いることもできる。紫外線ランプやレーザー、紫外発光ダイオードの発光波長は、発泡性組成物の発泡性を妨げないものであれば限定はないが、好ましくは、光酸発生剤または光塩基発生剤が酸または塩基を効率よく発生させられる発光波長がよい。すなわち、使用する光酸発生剤または光塩基発生剤の感光波長領域と重なる発光波長が好ましい。さらには、それら発生剤の感光波長領域における極大吸収波長または最大吸収波長と重なる発光波長が、発生効率が高くなるためより好ましい。紫外線のエネルギー照射強度は、発泡性組成物によって適宜決められる。
種々の水銀ランプやメタルハライドランプなどに代表される照射強度が高い紫外線ランプを使用する場合は、生産性を高めることができ、その照射強度(ランプ出力)は30W/cm以上が好ましい。紫外線の積算照射光量(J/cm2)は、エネルギー照射強度に照射時間を積算したものであり、発泡性組成物および所望の気泡分布によって適宜決められる。酸発生剤や塩基発生剤の吸光係数に応じて設定することもある。安定かつ連続的に製造する上では、1.0mJ/cm2〜20J/cm2の範囲が好ましい。
紫外線ランプを使用する場合は、照射強度が高いため、照射時間を短縮することができる。エキシマーランプやエキシマーレーザーを使用する場合は、その照射強度は弱いが、ほぼ単一光に近いため、発光波長が発生剤の感光波長に最適化したものであれば、より高い発生効率および発泡性が可能となる。照射光量を多くした場合、紫外線ランプによっては熱の発生が発泡性を妨げる場合がある。そのときは、コールドミラーなどの冷却処置を行なうことができる。
(加熱工程)
加熱工程で用いることのできる加熱器に特に制限はないが、接触加熱、誘導加熱、抵抗加熱、誘電加熱(およびマイクロ波加熱)、赤外線加熱により加熱ができるもの等が例示できる。具体的には、放射熱を利用した電気あるいはガス式の赤外線ドライヤーや、電磁誘導を利用したロールヒーター、油媒を利用したオイルヒーター、電熱ヒーター、およびこれらの熱風を利用した熱風ドライヤーなどが挙げられる。成形体に加熱体を接触させて加熱する接触加熱では、金属ブロック、金属板、金属ロールなどの加熱体が使用できる。接触加熱では加圧しながら加熱してもよい。この場合、プレス成形の際に使用する加熱プレス機を用いることができる。
誘電加熱や赤外線加熱の場合,材料内部を直接加熱する内部加熱方式なので,熱風ドライヤーなどの外部加熱法よりも瞬時に均一な加熱を行うのに好ましい。誘電加熱の場合、周波数1MHzから300MHz(波長30m〜1m)の高周波エネルギーを用いる。6MHz〜40MHzの周波数が用いられることが多い。誘電加熱のうち特にマイクロ波加熱では周波数が300MHzから300GHz(波長が1m〜1mm)のマイクロ波をもちいるが、2450MHz、915MHz(電子レンジと同じ)を使うことが多い。
赤外線加熱の場合、赤外領域の波長0.76〜1000μmの電磁波を利用する。ヒータ表面温度および被加熱材料の赤外吸収スペクトルなどから、状況により選択される波長の最適帯は変化するが、好ましくは1.5〜25μm、さらに好ましくは2〜15μmの波長帯を用いることができる。
さらに、一般の熱記録用プリンターに使用されている加熱方式も利用できる。例えば、電流を流すことで発熱する感熱ヘッドやレーザー熱転写が挙げられ、熱の書き込みによって同パターンの発泡体を得ることができる。高精細や高解像度を得るときは、感熱ヘッドよりもレーザー熱転写の方が好ましい。
<不均一発泡>
本発明に用いる発泡体は、光拡散体としての機能を備えさせるため、気泡占有面積率が位置によって異なる不均一発泡体である。本発明において気泡占有面積率(%)とは、気泡密度を評価するための指標であり、発泡体断面の観察画像から画像解析して、最大気泡径が1μm未満の場合は100μmの断面中、最大気泡径が1μm以上5μmの場合は2500μmの断面中、最大気泡径が5μm以上の場合は10000μmの断面中に、気泡断面が占める面積の割合である。
所望の気泡占有面積率の分布(以下「気泡分布」という場合がある。)は、(a)前記成形体に付与する放射線エネルギー、(b)前記成形体に付与する熱エネルギー、(c)前記成形体中の分解発泡性官能基濃度、(d)前記成形体中の酸発生剤または塩基発生剤の濃度のいずれか1以上を、所定の不均一分布とすることにより得られる。
(放射線エネルギーの不均一化)
成形体に付与する放射線エネルギーを、所定の不均一分布とする手法を説明する。
放射線エネルギーの分布は、電子線または紫外線照射用のフォトマスクの使用により、照射エネルギー強度を調整することにより制御できる。また、紫外線レーザーや電子線を用いた描画装置により照射エネルギー分布を与えることもできる。
フォトマスクのパターン種類は、放射線エネルギーの透過性が、連続的に変化する傾斜パターンや、ある一定間隔で段階的に変化する階調パターン、透過性の有無で区分けされた区分パターンなど様々であり、これらは所望の気泡分布パターンに適したものを設計し使用する。
フォトマスクの材質は、クロムマスクやメタルマスク、銀塩ガラスマスク、銀塩フィルム、スクリーンマスクなどが使用できる。ガラスをイオンエッチングしたマスクや、集光機能を有する平面レンズの干渉縞を電子線描画したマスクなどが利用できる。波長300nm以下の紫外線を照射する場合は、フォトマスクの基材は石英ガラスを使用することが好ましい。
フォトマスクを使用して照射する場合、密着照射、投影照射など方式が採用できる。フォトマスクのパターンを精度良く転写させるためには、照射する光が均一平行光であることが好ましい。
平行光を照射するための露光システムとしては、例えば、インテグレーターと放物鏡を利用した光学系、フレネルレンズを利用した光学系、ハニカムボードと拡散板を利用した光学系などが挙げられる(http://www.kuranami.co.jp/toku_guide01.htm参照)。高い均一性を得るには、インテグレーターと放物鏡を利用した光学系が一般的に好ましく、この光学系に用いる光源としては、ショートアークランプが好ましい。ショートアークランプには、メタルハライドランプや超高圧水銀ランプ、水銀キセノンランプ、ナトリウムランプ、Y線ランプが挙げられる。発泡性組成物からなる成形体にフォトマスクを密着させた後、紫外線の平行光を照射して加熱発泡することで、数μm幅のライン&スペースパターンを持つ部分発泡が得られる。そのときのエッジも鮮明に転写することができる。また、干渉縞を発生させた放射線を照射する方法も可能である。
(熱エネルギーの不均一化)
成形体に付与する熱エネルギーを、所定の不均一分布とするためには、加熱工程において、熱エネルギーの強度分布が生じるように加熱処理を施す。具体的には、加熱温度により制御することが好ましい。例えば、熱記録用プリンターを用いて印加熱エネルギーが連続的な勾配となるように加熱する方法が挙げられる。
(発泡性組成物の不均一化)
成形体中の分解発泡性官能基濃度、及び/又は成形体中の酸発生剤(あるいは塩基発生剤)の濃度分布は、組成の異なる複数の発泡性組成物を用いることによって調整することが好ましい。
たとえば、分解性化合物と光酸発生剤の混合比が異なる発泡性組成物を、支持体上に並列塗工して成形する方法が挙げられる。
(3次元の気泡分布)
気泡分布の不均一化のための手法として上述した放射線エネルギーの不均一化、熱エネルギーの不均一化、及び発泡性組成物の不均一化の各手法は、各々他の手法と互いに独立して気泡分布に影響を与えることができる。したがって、これらの手法の2以上を組み合わせることにより、同一発泡体内でその気泡分布の方向を3次元に制御することが可能である。もちろん、これらの各手法のうちどれか一つだけを活用して気泡分布の方向を3次元に制御することも可能である。例えば、各々異なったパターンに放射線を照射した複数の発泡性組成物の成形体を、積層しながら加熱発泡させることで、気泡分布が3次元的にパターン化された発泡体を得ることができる。
(気泡径)
上記の手法により、気泡分布を制御することができる。この場合、気泡占有面積率で評価される気泡密度と共に、気泡径も変化することは差し支えない。気泡密度が増加するときは気泡径も増加し、気泡密度が減少すると気泡径も減少する傾向にある。
しかし、発泡性組成物の組成を調整すること等により、気泡密度を重点的に変化させることも可能である。たとえば、発泡性組成物のガラス転移点を高めにすることにより、気泡径を比較的小さく保ったままで、主として気泡密度を変化させることも可能である。また、3次元架橋性の発泡性組成物を用いることにより、気泡径を比較的小さく保ったままで、主として気泡密度を変化させることも可能である。すなわち、気泡径と気泡数密度を発泡性組成物の組成調整から制御することも可能である。
発泡体における気泡は、20μm以下の気泡径で構成されることが好ましく、10μm以下の気泡径で構成されることがより好ましい。さらには、液晶表示装置や照明装置に一般的に使用される光源の波長に近い1μm以下の気泡径で構成されることがより好ましい。20μm以下にすることで、光学機能を十分に発揮させるだけでなく、光拡散体自身の薄型化も可能となる。
<光拡散体>
本発明では、少なくとも光拡散部を備え、必要に応じて光反射部、導光部、プリズム部を適宜組み合わせてなる光拡散体を有する。本発明における光拡散部は、気泡占有面積率が所定の分布パターンを有している。好ましくは、気泡占有面積率が0.5%以下である低発泡領域と1%以上である高発泡領域とを有する。その分布パターンに伴って光線反射率あるいは光線透過率を分布させた光拡散体を得ることができる。具体的には気泡占有面積率が低くなるほど光線反射率は低く(あるいは光線透過率が高く)なり、気泡占有面積率が高くなるほど光線反射率は高く(あるいは光線透過率が低く)なる。例えば、直下型バックライトであれば、光拡散体の光線反射率が光源直上で一番高く、光源直上から遠ざかるにつれて段階的または漸次的に低くなることが輝度均一化にとって望ましい。そのような光学物性を発泡により付与するには、気泡占有面積率が光源直上で一番高く、光源直上から遠ざかるにつれて段階的または漸次的に低くさせるようにすればよい。
低発泡領域の気泡占有面積率は0%であってもよい。低発泡領域の気泡占有面積率を低くすれば、光拡散部全体の気泡占有面積率の変化量を大きくすることができるので、光拡散部から出光する輝度分布をコントロールして輝度均一化することが容易となる。
高発泡領域の気泡占有面積率は、15%(発泡倍率約1.1倍に相当)以上であることがより好ましく、30%(発泡倍率約1.2倍に相当)以上であることがさらに好ましい。高発泡領域の気泡占有面積率を高くすれば、光拡散部全体の気泡占有面積率の変化量を大きくすることができるので、導光部から出射する光の分布を充分にコントロールして均一化することが容易となる。ただし、高発泡領域であっても、65%(発泡倍率約2倍に相当)以下の気泡占有面積率を有することが好ましい。これにより、光拡散部の強度を維持しやすくなる。
低発泡領域と高発泡領域との間には、両領域の間をつなぐように低発泡領域に隣接する側から高発泡領域に隣接する側に向かって単位面積当りの気泡占有面積率がグラデーション(階調)変化する中発泡領域を備える。すなわち、この中発泡領域は、低発泡領域から高発泡領域まで気泡占有面積率が直線状に変化する。
低発泡領域と高発泡領域は、交互に複数配置されても良い。例えば、光源が複数あるような直下型バックライトや、輝線暗線が複数発生しているエッジ型バックライトにおいて有効となる。複数の光源を備えた直下型バックライトは、ある一つの光源からもう一方の光源に向かって、高発泡領域・低発泡領域・高発泡領域と順に配置させることが好ましい。
各発泡領域内の気泡分布は、微細気泡群からなるドット状部が点在するような構成でも構わない。ドット状部を点在させる場合、点在の密度を小さくすれば低発泡領域となり、点在の密度を大きくすれば高発泡領域となる。この場合、低発泡領域から高発泡領域にかけてドット状部の点在する密度を直線状に変化させることでグラデーション(階調)変化を付与する。或いは、点在する密度の小さいドットエリアと点在する密度の大きいドットエリアとを千鳥配列のように交互に配列することにより点在するドット密度変化を緩和する。
本発明における光拡散体の使用時において、光拡散部の高発泡領域は光源により近い場所もしくは明部に、低発泡領域は光源から離れたところもしくは暗部に適切に配置される。すなわち、光源に最も近い場所は占有面積率が最大であり、最も遠い場所で気泡占有面積率が最小になるような配置で使用される。また、微細気泡群からなるドット状部が点在するような構成においては、そのドットの数密度は、光源により近い方が密で、より遠くなるほど疎になるような配置で使用される。
光拡散部における気泡は、0.1〜20μmの範囲の気泡径で構成されることが好ましく、0.1〜10μmの範囲の気泡径で構成されることが好ましい。気泡径を可視光の波長以下とすることにより、気泡やドット状部を視認されにくくなる。そのため、他の光拡散体を併用しなくてもよくなる。
光拡散部における具体的な気泡分布は、光源もしくは明部暗部の形状や位置、光拡散体の面積などの関するパラメーターを設定して、幾何光学やMie散乱、多重散乱を考慮した光学シミュレーションや光線追跡法を駆使することで最適化することができる。
本発明における光反射部は、気泡占有面積率が15%以上、好ましくは30%以上である。光反射部の気泡占有面積率を高くすれば、光線反射率を高くすることができる。ただし、光反射部であっても、65%以下の気泡占有面積率を有することが好ましい。これにより、光反射部の強度を維持しやすくなる。
光反射部の気泡分布は、光反射むらを防ぐため均一であることが好ましい。また、光反射部における気泡は、0.1〜10μmの範囲の気泡径で構成されることが好ましく、0.2〜1μmの範囲の気泡径で構成されることがより好ましい。
気泡占有面積率が30〜65%、気泡径が0.2〜1μmの範囲の場合、50μm以下の厚みで、全光線反射率を80%以上とすることが可能となる。
本発明におけるプリズム部は、プリズム機能を奏するように、一方の面にV溝が刻まれた層として構成される。プリズム部には、気泡は不要であり、一般の樹脂で形成される。ただし、発泡性組成物を発泡させずに用いることも可能である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の第1実施形態(光拡散体)を示す断面図である。本実施形態の光拡散体は光拡散部10のみで構成されている。光拡散部10は、マトリクスM内に気泡Bが多数形成された発泡体からなり、線状光源200に近い中央位置から遠ざかる端面方向にかけて気泡占有面積率がグラデーション(階調)変化するような気泡分布パターンとなっている。すなわち、端面近傍が低発泡領域13、中央位置近傍が高発泡領域14、低発泡領域13と高発泡領域14との間が中発泡領域15となっており、高発泡領域14から低発泡領域13にかけて、気泡占有面積率を直線状に低減させる。なお、中央から端面にかけて気泡占有面積率と共に気泡径も漸減しても良い。
本実施形態の光拡散体は、かかる気泡分布パターンを備えることにより、入射面11に対して不均一な輝度分布を持つ偏った入射光を、出射面16から略均一な光として出射されるようになっている。
従来の拡散板のみでの輝度分布(図13(a))に対し、本発明を用いた照明装置の輝度分布は、図13(b)に示すとおり、均一化された良好な輝度分布が得られる。
本発明で用いる光源は、線状光源に限らず、発泡体の気泡占有面積率を2次元的に変化させることにより、点光源にも適用可能である。点光源300を用いた照明装置の輝度分布においても図14(a)で示す従来の拡散板での輝度分布に対して、本発明における発泡体を、2次元的に気泡占有面積率をグラデーション変化させることにより、図14(b)に示す通り、均一化された良好な輝度分布が得られる。
図2は、図1の導光体の製造方法の一例である。図2に示すように、発泡性組成物を予め成形した成形体1に、エネルギー透過性が階調パターンとなっているフォトマスク2を使用して階調パターンの放射線を照射することにより、マトリクスM中に傾斜的な分布で気泡Bを有する光拡散部10を得ることができる。
図3は、図1の光拡散体の製造方法の他の例である。図3に示すように、放射線照射中に、三角形状の開口部3を設けたフォトマスク2を成形体1上でスライドさせると、三角形状の頂点側3aがスライドした方は照射時間が短く、底辺側3bは照射時間が長くなる。また、成形体1の方をスライドさせても同じ効果がある。このフォトマスク形状では、図1の光拡散体の中央位置から端面までの傾斜的な気泡分布パターンが得られる。すなわち、開口部の三角形状を開口部3に対して対称的にもう一つ配置させたフォトマスクを用いることで、傾斜した気泡分布を持つ光拡散部10を得ることができる。このように階調パターンのフォトマスクを用いたときと同様に、放射線エネルギーの分布をつくり、気泡分布パターンを得ることができる。
図4は、本発明の第2実施形態(光拡散体)を示す断面図である。本実施形態の光拡散体は光拡散部10のみで構成されている。光拡散部10は、マトリクスM内にドット状部Dが多数形成された発泡体からなり、光源200に近い中央位置から遠ざかる端面方向にかけてドット状部Dの分布がグラデーション(階調)変化するようになっている。各ドット状部Dは、多数の気泡Bの集合体なので、光拡散部10全体を気泡分布の観点で見ると、光源200に近い中央位置から遠ざかる端面方向にかけて気泡占有面積率がグラデーション(階調)変化する気泡分布パターンとなっている。すなわち、端面近傍が低発泡領域13、中央位置近傍が高発泡領域14、低発泡領域13と高発泡領域14との間が中発泡領域15となっており、高発泡領域14から低発泡領域13にかけて、ドット状部の粗密分布を漸減させる。
本実施形態の光拡散体は、かかる気泡分布パターンを備えることにより、入射面11に対して不均一な輝度分布を持つ偏った入射光を、出射面16から略均一な光として出射されるようになっている。
図5は、本発明の第3実施形態(光拡散体)を示す断面図である。本実施形態の光拡散体も光拡散部10のみで構成されているが、光拡散部10は、発泡体10aと透明樹脂10bの積層体とされている。このようにすると、発泡体10aが極めて薄い場合に、透明樹脂10bが支持体として機能する。
発泡体10aは第1実施形態の光拡散部10とほぼ同等である。すなわち、マトリクスM内に気泡Bが多数形成された発泡体からなり、光源200に近い中央位置から遠ざかる端面方向にかけて気泡占有面積率が漸減するような気泡分布パターンとなっている。
一方の透明樹脂10bは気泡を有しないが効果を阻害しない範囲で、他の成分が含まれていても構わない。透明樹脂10bの材質としては、例えばポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂やメタクリル樹脂、ノルボルネンなどの環状オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、三酢酸セルロールなどのセルロース類、スチレン系樹脂およびこれらの材料を2種以上ブレンドした混合樹脂が好ましい。
本実施形態では、端面近傍が低発泡領域13、中央位置近傍が高発泡領域14、低発泡領域13と高発泡領域14との間が中発泡領域15となっている。なお、第1実施形態の光拡散部10と同様に、光源200に近い中央位置から遠ざかる端面方向にかけて、気泡占有面積率と共に気泡径も漸減していてもよい。
本実施形態の光拡散体は、かかる気泡分布パターンを備えることにより、入射面11に対して不均一な輝度分布を持つ偏った入射光を、出射面16(透明樹脂10bの上面)全体から、略均一な光が出射されるようになっている。
図5の光拡散体は、第1実施形態の導光体と同様にして得た発泡体10aと、透明樹脂10bとを貼り合わせることによって製造することができる。また、図6に示すように、インモールド射出成形方法を用いて製造することができる。
図6に示すように、インモールド射出成形方法では、まず、ロール状の透明樹脂製シート4を射出成型用の金型5a、5bの間に通す(工程(1))。次に、透明樹脂製シート4を金型5a、5bで挟み込み、金型5a、5b内に発泡性組成物6を射出充填し、透明樹脂製シート4と発泡性樹脂組成物とを一体化させる(工程(2))。そして、充填した発泡性組成物6を固化させた後に、金型5a、5bをはずす(工程(3))。そして、透明樹脂製シート4を送る(工程(4))。以下、工程(1)〜(4)を繰り返すことにより、透明樹脂製シート4と発泡性樹脂組成物とが一体化した積層体を多数得ることができる。この積層体に対し、放射線エネルギー及び熱エネルギーを付与して所定のパターンで発泡させることにより、図5の光拡散体を得ることができる。なお、発泡工程の前又は後に、ロール状に連結した積層体を個別にカットすることが必要である。
図7は、本発明の第4実施形態(光拡散体)を示す断面図である。本実施形態の光拡散体も光拡散部10のみで構成されているが、光拡散部10は、発泡体10aと透明樹脂10bの積層体とされている。
発泡体10aは第2実施形態の光拡散部10とほぼ同等である。すなわち、発泡体10aは、マトリクスM内にドット状部Dが多数形成された発泡体からなり、光源200に近い中央位置から遠ざかる端面方向にかけて、ドット状部Dの分布が漸減するようになっている。各ドット状部Dは、多数の気泡Bの集合体である。一方の透明樹脂10bは気泡を有しないが効果を阻害しない範囲で、他の成分が含まれていても構わない。透明樹脂10bの材質としては、第3実施形態の透明樹脂10bと同等のものが使用できる。光拡散部10全体を気泡分布の観点で見ると、光源200に近い中央位置から遠ざかる端面方向にかけて、気泡占有面積率が漸減するような気泡分布パターンとなっている。本実施形態でも、端面近傍が低発泡領域13、中央位置近傍が高発泡領域14、低発泡領域13と高発泡領域14との間が中発泡領域15となっている。なお、第1実施形態の光拡散部10と同様に、光源200に近い中央位置から遠ざかる端面方向にかけて、気泡占有面積率と共に気泡径も漸減していてもよい。本実施形態の光拡散体は、かかる気泡分布パターンを備えることにより、入射面11に対して不均一な輝度分布を持つ偏った入射光を、出射面16(透明樹脂10bの上面)全体から、略均一な光が出射されるようになっている。
図7の光拡散体は、第2実施形態の光拡散体と同様にして得た発泡体10aと、透明樹脂10bとを貼り合わせることによって製造することができる。また、第3実施形態と同様に、インモールド射出成形方法を用いて製造することができる。
図8は、本発明の第5実施形態(光拡散体)を示す断面図である。本実施形態の光拡散体は、光拡散部10とその四方の端面に接して設けられた光反射部20とで構成されている。図8における光拡散部10としては、第1〜第4実施形態における光拡散部10を適宜採用できる。光拡散部10の端面周囲に光反射部20を設けることで、端面からの洩れ光を防ぎ、光利用効率を高めることができる。
本実施形態の光拡散体の製造方法としては、発泡性組成物の板状成形物に、光拡散部10を形成させたい領域にのみフォトマスク(傾斜パターン等)を被せて放射線を照射し、その後加熱して発泡させる方法が挙げられる。すなわち、フォトマスクを介した部分は放射線エネルギー量が制御されて気泡分布パターンを有する光拡散部10となり、フォトマスクからはみ出した周囲は放射線量が均一かつ十分に照射されることで多数の微細気泡群を高密度に均一内在させた光反射部20となる。あるいは、発泡性組成物の板状成形物以上のサイズのフォトマスク基材(例えば、石英ガラス)において、光拡散部10を形成させたい領域に放射線エネルギー分布パターンをつくり、その領域以外は高発泡するために必要な放射エネルギー量を透過させうる光線透過率に設定させることでも、光拡散部10を得ることができる。
図9は、本発明の第6実施形態(光拡散体)を示す断面図である。本実施形態の光拡散体は、光拡散部10と、その光源側の表面に接して設けられた導光部40とで構成されている。図9における光拡散部10としては、第1〜第4実施形態における光拡散部10を適宜採用できる。導光部40を設けることで、入射面11に対して不均一な輝度分布を持つ偏った入射光を導光させて、あらかじめ輝度分布の偏りをやわらげておくことで、輝度均一性をさらに効率よく高めることができる。光源200は導光部の外側に配置させた実施形態であるが、光源200は導光部の内部にはめ込まれた実施形態であってもよい。
本実施形態の光拡散体の製造方法としては、発泡性組成物の板状成形物を用意し、フォトマスク(傾斜パターン等)を介して放射線を照射した後に、導光部40とともに導光部40の形状を変えないようなスタンパーや金型などを併用して一体化させ、かつその一体化と同時に加熱発泡させて製造する方法が挙げられる。すなわち、フォトマスクを介した部分は放射線量が制御され気泡分布パターンを有する光拡散部10が導光部40に接したような本実施形態の光拡散体が得られる。一体化と発泡は同時でなくてもよい。すなわち、あらかじめ発泡性組成物の板状成形物と導光部40を一体化した後に、フォトマスク(傾斜パターン等)を介して放射線を照射し、加熱発泡させた製造方法でも同様に光拡散体が得られる。
また、第3実施形態において説明したインモールド射出成形方法を用いることができる。この場合、図6における透明樹脂製シート4に代えて、導光シートあるいは導光板を用いればよい。
図10は、本発明の第7実施形態(光拡散体)を示す断面図である。本実施形態の光拡散体は、光拡散部10と、その光源と対向する表面に接して設けられたプリズム部30とで構成されている。光拡散部10としては、第1実施形態から第4実施形態における光拡散部10を適宜採用できる。
本実施形態の光拡散体の製造方法としては、あらかじめプリズムとなるV溝が刻まれた金型に透光性樹脂を成形した後、それを金型から取り出さずに、さらにフォトマスク(傾斜パターン)を介して光照射した発泡性組成物の板状成形物を入れて加温加圧して、積層と同時に発泡させて製造する方法が挙げられる。発泡後に金型から取り出すと、気泡分布パターンを有する光拡散部とその表面にV溝のプリズム層が一体化された光拡散体が得られる。
また、第3実施形態において説明したインモールド射出成形方法を用いることができる。この場合、図6における透明樹脂製シート4に代えて、プリズムシートを用いればよい。
本発明における光拡散体は、上記第5〜7実施形態を適宜組み合わせたものであってもよい。例えば光拡散部10の四方の端面とその光源側の表面に接して導光部40を有する構成としてもよい。また、これに更にプリズム部30を加えた構成としてもよい。
また、導光部は、従来の透明導光体や本発明における発泡組成物を発泡させた導光体(導光機能として気泡分布にパターンが施されていてもよい)でもよい。プリズム部も本発明における発泡組成物を発泡させずに用いることもできる。
<液晶用照明装置>
本発明の液晶用照明装置は、上記光拡散体と当該光拡散体の直下に近接ないし接触して配置された光源とを備えた直下型バックライトである。直下型バックライトの照明装置は、第1〜第7実施形態における照明装置100が代表的に採用できる。
また、本発明の照明装置は、図11の断面図に示すように、上記光拡散部10と当該光拡散部10の直下に近接ないし接触して配置された導光部40と、かつ導光部40の少なくとも一側面に光源200および下面に光反射シート21とを備えたエッジ型バックライトである。
エッジ型バックライトの照明装置は、図11の断面図に示す照明装置100が代表的に採用できる。
本発明の照明装置における直下型バックライトでは、上記光拡散体が、当該光拡散体の直下に配置された光源から入射される不均一な輝度分布を持つ偏った入射光を輝度均一化して出射させるため、輝度均一性の高い面発光が得られる。
また、本発明の照明装置におけるエッジ型バックライトでは、上記光散乱体が、エッジに配置された光源近傍での輝度むら(目玉現象)や、導光部から出射された時点で発生する輝線暗線の輝度むらを、最終的に輝度均一化して出射させるため、輝度均一性の高い面発光が得られる。
照明装置に用いられる光源200としては、冷陰極管などの線光源や、発光ダイオード(LED)などの点光源を適宜採用できる。光源は1灯でも複数灯でもよく、複数の場合は各種異なる光源を組合せたものでもよい。
<実施例1>
・単一傾斜発泡の光拡散体
(1)発泡性組成物のシート化
分解性化合物であるtert−ブチルアクリレート(60質量%)とメチルメタクリレート(30質量%)とメチルメタクリル酸(10質量%)の共重合体100部に対して、ヨードニウム塩系酸発生剤としてビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート(BBI−109、ミドリ化学製)3部を混合し、それらを溶解させた酢酸エチル溶液を調製した(固形分含有量:25質量%)。この溶液を、シリコーンPETシート(ルミラーSP−PET−01−75BU、パナック製)のシリコーン処理表面上に塗布厚200μmのアプリケーターバー(ドクターブレードTD型、ヨシミツ精機製)を用いてコーティングした後、温度110℃の恒温乾燥機内で溶媒を蒸発除去し、無色透明な塗布層を得た。この塗布層を、シリコーンPETシートから剥離させて、厚さ35μmの発泡性シートを得た。
(2)平板成形
前記工程(1)で作成した発泡性シートSを、縦50mm・横50mmの寸法に切り出し、それを3枚重ねて、図12の(a)、(b)に示すように、表面平滑な平押し金型61,62(寸法;縦50mm・横35mm)に挟み、ハンドプレス機(東洋精機製 Mini TEST PRESS−10)を用いて加熱プレスした(プレス圧力;6MPa、プレス温度;150℃3分)。その後、図12の(c)に示すように、常圧に戻して、40℃まで空冷したところで、金型を取り去り、無色透明な発泡性シートSを得た。
(3)紫外線照射
前記工程(2)で得られた発泡性シートSの上面に、図12の(d)に示すように、石英ガラス製のフォトマスクF(寸法:縦50mm、横50mm)を全面覆うように被せ、その上から紫外線照射した。フォトマスクは、その光線透過率が中央位置から対向する端面に向かう2方向に沿って各々45%から0%(測定波長254nm)まで直線状に漸減するグラデーションパターンを用いた。2方向において漸減する変化は同一とした。
紫外線は、メタルハライドランプ(紫外線硬化用マルチメタルランプM03−L31、アイグラフィック(株)製)を光源として用い、照射線量2000mJ/cm2となるように照射した。照射後にフォトマスクを取り去り、工程(1)と同様の無色透明な発泡性シートを得た。
(4)加熱発泡
前記工程(3)で紫外線照射した発泡性シートSを、図12の(e)に示すように、前記工程(2)と同様に平押し金型61,62に挟みハンドプレス機で加熱プレスしながら発泡させた(プレス圧力;4MPa、プレス温度;130℃2分)。その後、図12の(f)に示すように、加圧したまま直ちに金型61,62内部に冷却水を循環させて50℃にまで急冷した。続いて、図12の(g)に示すように、常圧に戻し40℃まで空冷したところで、金型61を取り去り、図12の(h)に示すように、発泡体10aからなる光拡散体を得た。得られた光拡散体は、厚さが均一な平板シート状であり、その厚さは100μmであった。厚さ測定はマイクロメーター(Mitutoyo製 MCD−25M)を用いた。また、このシート状光拡散体、その光線反射性が中央位置から対向する端面に向かう2方向に沿って各々連続的に漸減する傾斜パターンとなった。
(5)発泡構造の評価
前記工程(4)で得られたシート状光拡散体の気泡径(気泡直径の平均値)および気泡占有面積率(最大気泡径が1μm未満の場合は100μmの断面中、最大気泡径が1μm以上5μmの場合は2500μmの断面中、最大気泡径が5μm以上の場合は10000μmの断面中に、気泡断面が占める面積の割合)を、走査電子顕微鏡による断面の観察画像から算出した。
断面の観察画像は、液体窒素中に浸したシート状光拡散体を、光線反射性が傾斜変化する方向(中央位置から対向する端面に向かう2方向)に沿って凍結割断し、その割断面を金属蒸着処理した後、走査型電子顕微鏡(S−510、日立製作所製、拡大倍率5000倍)にて観察することにより得た。そして、観察画像中の気泡とマトリックスとを2値化処理した後、画像解析装置(イメージアナライザーV10、東洋紡績製)を用いて気泡径および気泡占有面積率を算出した。
得られたシート状光拡散体は、光源に近い中央位置から遠ざかる端面方向にかけて気泡径および気泡占有面積率が漸減する傾斜分布となっていた。最大気泡径は0.4μmであった。また、気泡占有面積率は0%〜9%(光線反射率で0%〜57%)まで変化していた。
(6)照明装置と発光評価
前記工程(4)で得られたシート状光拡散体を、冷陰極管が中央に1灯配置された直方形箱型のランプハウス(縦50mm・横50mm・厚さ10mm)の上面に隙間ができないように配置することで、直下型バックライトとなる照明装置を得た。このとき、シート状光拡散体の配置は、冷陰極管の長軸方向とシート状光拡散体の光線反射性が傾斜変化する方向が直交するように合わせた。すなわち光源近傍から遠ざかる方向に沿って、光線反射率が低く(気泡占有面積率が低く)なるようにシート状光拡散体を配置した。
輝度均一性は、以下の式より算出した輝度ばらつきから評価した。
輝度ばらつきの大きさ(%)=(輝度最大値−輝度最小値)/輝度平均値×100
良好○:ばらつきが10%未満
不良×:ばらつきが10%以上
輝度最大値、輝度最小値、輝度平均値は、照明装置の出射面において5×5の合計25等分の区画を想定し、その各区画について測定した輝度値(冷陰極管が安定発光しているときの輝度値)をもとにした。
発光利用効率は、前記ランプハウスの上面に隙間なくPMMA透明シートを設置したときの輝度平均値に対して、前記の光拡散体を設置したときの輝度平均値の比から評価した。
良好○:70%以上
不良×:70%未満
得られた照明装置の厚さは全体で20mm程度であり、輝度均一性、発光利用効率ともに良好であった。さらに、各区画内における輝度分布のむらについても目視で確認した。
(7)光拡散体の四方端面部の光反射部一体化
前記工程(3)のフォトマスクが、そのフォトマスクの四方端部の数mm幅分において光線透過率100%となるようなパターンを追加させたフォトマスクであるものに代えて、前記工程(1)から(4)を行い、光拡散体を得た。そのとき、光拡散体の四方端面に光反射部が一体化されるかどうかを目視で確認した。
得られたシート状光拡散体の四方端面には、白い発泡体からなる光反射部が備えられ一体化できた。
<実施例2>
・単一ドット発泡の光拡散体
実施例1の工程(1)において、分解性化合物であるtert−ブチルアクリレート(60質量%)とメチルメタクリレート(30質量%)とメチルメタクリル酸(10質量%)の共重合体100部に代わり、tert−ブチルメタクリレート(62質量%)とメチルメタクリレート(38質量%)の共重合体100部を用い、かつ、塗布厚200μmのアプリケーターバーの変わりに塗布厚300μmのアプリケーターバーを用いることで、厚さ50μmの発泡性シートを得た。この得られた発泡性シートに、実施例1の工程(3)においてドットパターンのフォトマスクを介して紫外線照射した(照射線量200mJ/cm2)。このとき、このとき、ドット状部の密度分布が、フォトマスクの中央位置から対向する端面に向かう2方向に沿って徐々に漸減する2次元的な粗密パターン(面積階調)を用いた。また、光照射で使用する紫外線はDeep−UV光源の平行光を用いた。紫外線照射後に、実施例1の工程(4)を同様に行うことで、シート状光拡散体を得た。シート状光拡散体の厚さは50μmであった。
得られたシート状光拡散体の気泡径および気泡占有面積率を実施例1と同様にして求めたところ、発泡体からなる部分については、光源に近い中央位置から遠ざかる端面方向にかけてドット状部が漸減する傾斜分布となっていた。ドット状部における最大気泡径は0.4μm、気泡占有面積率は52%(光線反射率で約90%)でドット内ではほぼ均一であった。ドット以外には気泡は見られなかったことから、光拡散体全体としての気泡占有面積率は0%から52%まで変化していた。
得られたシート状光拡散体を備えた照明装置の輝度均一性や発光利用効率は、実施例1の工程(6)とほぼ同様にして評価したところ、得られた照明装置の厚さは全体で20mm程度であり、輝度均一性、発光利用効率ともに良好であった。
また、得られたシート状光拡散体の光反射部一体化は、実施例1の工程(7)とほぼ同様にして評価したところ、得られた光拡散体の四方端面には、白い発泡体からなる光反射部が備えられ一体化できた。
<実施例3>
・透明樹脂にドット発泡積層した光拡散体
実施例1の工程(1)において、塗布厚200μmのアプリケーターバーの変わりに塗布厚300μmのアプリケーターバーを用いることで、厚さ50μmの発泡性シートを得た。この得られた発泡性シートに、実施例1の工程(3)においてドットパターンのフォトマスクを介して紫外線照射した(照射線量2000mJ/cm2)。このとき、ドット径および密度が、フォトマスクの中央位置から対向する端面に向かう2方向に沿って徐々にする漸減するドットパターンを用いた。また、光照射で使用する紫外線はDeep−UV光源の平行光を用いた。紫外線照射した後、次に実施例2の工程(4)の加熱プレス時において、発泡性シートと同寸法の透光性支持体である透明樹脂シート(厚さ50μm、樹脂組成はポリメチルメタクリレート)を発泡性シートに重ね揃えたものを加熱プレスすることで、透明樹脂シート上に光拡散部を密着させたシート状光拡散体を得た。シート状光拡散体の厚さは100μmであった。
得られたシート状光拡散体の気泡径および気泡占有面積率を実施例1と同様にして求めたところ、発泡体からなる部分については、光源に近い中央位置から遠ざかる端面方向にかけてドット状部が漸減する傾斜分布となっていた。ドット状部における最大気泡径は0.4μm、気泡占有面積率は52%(光線反射率で約90%)でドット内ではほぼ均一であった。ドット以外には気泡は見られず、透明樹脂自体にも気泡がなかったことから、光拡散体全体としての気泡占有面積率は0%から26%まで変化していた。
得られたシート状光拡散体を備えた照明装置の輝度均一性や発光利用効率は、実施例1の工程(6)とほぼ同様にして評価した。このとき、シート状光拡散体は、光源側に光拡散部を向けて、ランプハウスに設置した。得られた照明装置の厚さは全体で20mm程度であり、輝度均一性、発光利用効率ともに良好であった。
また、得られたシート状光拡散体の光反射部一体化は、実施例1の工程(7)とほぼ同様にして評価したところ、得られた光拡散体の光拡散部の四方端面に白い発泡体からなる光反射部が備えられ一体化できた。
<比較例1>
・拡散剤分散した光拡散体
メタクリル樹脂(三菱レイヨン社製)にシリコーン粒子(東芝シリコーン社、平均粒径12μm)0.1質量%を均一混合したペレットをTダイから押出成形することでシート状光拡散体を得た。シート状光拡散体の厚さは145μmであった。
得られたシート状光拡散体には気泡は存在せず、それを備えた照明装置の輝度均一性や発光利用効率は、実施例1の工程(6)とほぼ同様にして評価した。その結果、得られた照明装置の厚さは全体で20mm程度であり、輝度均一性、発光利用効率ともに不良であった。
すなわち光源近傍の中央位置において光源の輝線が目視で見えてしまい、さらにその中央位置から端面方向にかけて輝度が低くなる現象がおこった。
また、得られたシート状光拡散体の光反射部一体化は、シリコーン粒子を混合するだけでは光反射性が不十分であり一体化は困難であった。
<比較例2>
・中空粒子を分散させた光拡散体
アクリル高架橋ポリマーを外殻とした中空粒子(直径5〜30μm)を、アクリル樹脂に溶融分散させ、それをTダイから押出成形することでシート状光拡散体を得た。シート状光拡散体の厚さは200μmであった。
得られたシート状光拡散体は、気泡径および気泡占有面積率ともに均一分布となっていた。気泡径は約10μmであり、気泡占有面積率は42〜43%(光線反射率で60%)と均一分布で光源に近い中央位置から遠ざかる端面方向にかけて気泡分布パターンはみられなかった。
得られたシート状光拡散体を備えた照明装置の輝度均一性や発光利用効率は、実施例1の工程(6)とほぼ同様にして評価した。その結果、得られた照明装置の厚さは全体で20mm程度であり、輝度均一性、発光利用効率ともに不良であった。すなわち光源近傍の中央位置において光源の輝線が目視で見えてしまい、さらにその中央位置から端面方向にかけて輝度が低くなる現象がおこった。光線反射率が高いために、発光利用効率も低下してしまった。さらには、内在するほとんどの中空粒子が気泡径10μm以上となってしまうため、他の光拡散シートを併用しないと中空粒子の分散パターンが視認されてしまい、この欠点もふまえて不均一な輝度分布を持つ面発光となった。また、得られたシート状光拡散体の光反射部一体化は、中空粒子により白い光反射部が備えられ一体化できた。
<比較例3>
・ドット印刷した光拡散体
透明樹脂シート(縦50mm・横50mm・厚さ100μm、樹脂組成はポリメチルメタクリレート)に白色インキ(二酸化チタン、硫酸バリウムが含まれる)でドットパターンを印刷(スクリーン印刷)したシート状光拡散体を得た。このとき、ドット径および密度が、透明樹脂シートの中央位置から対向する端面に向かう2方向に沿って徐々にする漸減するドットパターンを用いた。ドット径は最小直径でも200μmであった。シート状光拡散体の厚さは100μmであった。
得られたシート状光拡散体には気泡は存在せず、それを備えた照明装置の輝度均一性や発光利用効率は、実施例1の工程(6)とほぼ同様にして評価した。その結果、得られた照明装置の厚さは全体で20mm程度であり、輝度均一性、発光利用効率ともに良好であった。しかし、印刷したドットの大きさが200μm以上と目視できてしまうため、そのドットパターンが視認されてしまい、結局のところこの欠点により不均一な輝度分布を持つ面発光となった。
微細気泡群を内在させ、かつ気泡分布を有する実施例1および実施例3においては、光源からの不均一な輝度分布(あるいは照度分布)を持つ偏った出光を均一化することができるだけでなく、光利用効率も良好で、かつ薄物化や一体化も両立することが容易にできた。
一方、拡散剤や中空粒子を分散させた比較例1や比較例2は、不均一な輝度分布となり、また発光利用効率も悪かった。白色インクをドットパターン印刷した比較例3は、輝度均一性や巨視的には良好となるもの、ドットパターンが数100μmとなってしまい目視できるため、微視的には、輝度均一性は悪かった。実施例で得られた光拡散体の特性を表1に、比較例で得られた光拡散体の特性を表2に示す。
Figure 2010003646
Figure 2010003646
本発明の液晶用照明装置は、様々な表示装置に用いることが可能である。例えば、テレビジョンや携帯電話、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、携帯電話、PDA、デジタルカメラ、ビデオカメラ、各種ゲーム機、自動車等のディスプレイに使用される液晶表示装置のバックライトまたはフロントライトとして用いることができる。また、駅や公共施設などにおける案内標示板や看板や交通標識、ライトボックス、投影用スクリーン、シャーカステン、複写機、プロジェクター等に使用される表示装置の内照式照明としても用いることができる。さらに、オフィスや家庭で使用される一般照明用としても用いることが可能である。
(a)は、本発明の第1実施形態における照明装置の一例を示す断面図であり、(b)は、(a)を光拡散体の上方から見た上面図である。 本発明の第1実施形態の光拡散体の製造方法における放射線エネルギー照射の一態様を示す図である。 本発明の第1実施形態の光拡散体の製造方法における放射線エネルギー照射の一態様を示す図である。 (a)は、本発明の第2実施形態における照明装置の一例を示す断面図であり、(b)は、(a)を光拡散体の上方から見た上面図である。 本発明の第3実施形態における照明装置の一例を示す断面図である。 本発明の第3実施形態における照明装置の製造過程の一例を示す図である。 本発明の第4実施形態における照明装置の一例を示す断面図である。 本発明の第5実施形態における照明装置の一例を示す断面図である。 本発明の第6実施形態における照明装置の一例を示す断面図である。 本発明の第7実施形態における照明装置の一例を示す断面図である。 本発明の第8実施形態における照明装置の一例を示す断面図である。 本発明の実施例における導光体の製造過程を示す図である。 (a)は、従来拡散板のみでの線状光源を用いた照明装置置の輝度分布例であり、(b)は、本発明における光拡散体を用いた線状光源での照明装置の輝度分布例であり、(c)は、本発明における光拡散体を用いた線状光源での照明装置の上面図である。 (a)は、従来拡散板のみでの点光源を用いた照明装置の輝度分布例であり、(b)は、本発明における光拡散体を用いた点光源での照明装置の輝度分布例であり、(c)は、本発明における光拡散体を用いた点光源での照明装置の上面図である。
符号の説明
1・・・成形体、2・・・フォトマスク、3・・・開口部、3a・・・開口部の頂点側、3b・・・開口部の底辺側、4・・・透明樹脂製シート、5a、5b・・・金型、6・・・発泡性組成物、10・・・光拡散部、10a・・・発泡体、10b・・・透明樹脂、11・・・入射面、13・・・低発泡領域、14・・・高発泡領域、15・・・中発泡領域、16・・・出射面、20・・・光反射部、30・・・プリズム部、40・・・導光板、50・・・拡散板、100・・・照明装置、200・・・線状光源、300・・・点光源、B・・・気泡、D・・・ドット状部、M・・・マトリクス

Claims (4)

  1. 放射線エネルギーおよび熱エネルギーの付与により発泡した発泡体からなり、その気泡密度が光源の形状に合わせた分布パターンを有する光透過率制御拡散部を備える液晶用照明装置において、
    該光透過率制御拡散部が低発泡領域と高発泡領域を有し、その両領域を連結する光透過率制御拡散部の単位面積当りの気泡占有面積率にグラデーション変化を付与することにより、低発泡領域と高発泡領域の境界近傍部の光透過不均一性を制御したことを特徴とする液晶用照明装置。
  2. 単位面積当りの気泡占有面積率にグラデーションを付与することによる低発泡領域と高発泡領域の境界近傍部の光透過率不均一性制御として、隣り合う単位面積当りの領域で直線状ないしドットエリア状にある面積率で光透過率制御拡散部を設けたことを特徴とする請求項1の液晶用照明装置。
  3. 前記発泡体が、放射線エネルギーの作用によって酸を発生する酸発生剤または塩基を発生する塩基発生剤と、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質を分解脱離する分解発泡性官能基を有する分解発泡性化合物とを含有する発泡性組成物を発泡させたものである請求項1または請求項2に記載の液晶用照明装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れかに記載の液晶用照明装置を製造する方法であって、
    放射線エネルギーの作用によって酸を発生する酸発生剤または塩基を発生する塩基発生剤と、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質を分解脱離する分解発泡性官能基を有する分解発泡性化合物とを含有する発泡性組成物を成形体とする成形工程と、前記成形体に放射線エネルギー及び熱エネルギーを付与して発泡させる発泡工程とを備え、
    (a)前記成形体に付与する放射線エネルギー、(b)前記成形体に付与する熱エネルギー、(c)前記成形体中の分解発泡性官能基濃度、(d)前記成形体中の酸発生剤または塩基発生剤の濃度のいずれか1以上が、所定の不均一分布とされていることを特徴とする液晶用照明装置の製造方法。
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