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JP2010145428A - 光学シートおよびその製造方法、照明装置、投影装置、看板並びに画像表示装置 - Google Patents

光学シートおよびその製造方法、照明装置、投影装置、看板並びに画像表示装置 Download PDF

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JP2010145428A
JP2010145428A JP2008319044A JP2008319044A JP2010145428A JP 2010145428 A JP2010145428 A JP 2010145428A JP 2008319044 A JP2008319044 A JP 2008319044A JP 2008319044 A JP2008319044 A JP 2008319044A JP 2010145428 A JP2010145428 A JP 2010145428A
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English (en)
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Hiroshi Shinozuka
啓 篠塚
Fumio Jinno
文夫 神野
Toshiki Okayasu
俊樹 岡安
Yasutake Fujiki
保武 藤木
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Abstract

【課題】 本発明は、ランバート拡散を与え、かつその散乱角度/強度分布の円の面積が小さくならない拡散子を含む光学シートを作製し、さらに光学シートの表面機能を付与してユニバーサルな光学シートを提供する。
【解決手段】 透明基材の片面から入射する光を拡散して該透明基材の他方の面から射出する光学シートであって、前記透明基材内部に微細発泡による光拡散構造が全面に形成され、光入射面には光取り込み機能を有する微細凹凸構造体が全面に形成される光学シートである。
【選択図】 図3

Description

本発明は、点光源または線光源による光を均一な面光源にするための拡散シートに関するもので、光入射面の反射防止機能を有する微細凹凸構造、光源からの光を均一化するための微細発泡による光拡散構造、光出射面のプリズムまたはレンズ機能を有する微細凹凸構造の技術に関する。
液晶テレビ、液晶モニター、看板、標識・表示、照明器具などに使用されるバックライトユニットのうち、光源が直下型のものは、光源の真上が明るく光源の間は相対的に暗くなる傾向があり、そのままだと輝度の面内不均一が生じる。そのため、従来のバックライトユニットでは光源からの光を拡散して均一化する工夫が行われている。
例えば、特開平6−111612号公報(特許文献1)や特開2006−30839号公報(特許文献2)には、無機顔料や有機粒子などの拡散子を樹脂板中に分散し、この樹脂板の直下に光源が配置されるようにバックライトユニットに組み込み、樹脂板に入った光を拡散して均一化を図るという技術が紹介されている。このような拡散子を練りこんだ拡散板は、バックライトユニットの基本構成として、従来広く利用されてきた。
近年の薄型液晶表示装置は、光源と拡散板の距離が近くなる傾向があり、相対的に光源の間隔が開いていることになるため、通常の拡散板では十分な光の拡散効果を得ることが難しくなってきている。具体的な難点として、光源の真上近傍は相対的に明るく、光源と光源の中間近傍は相対的に暗くなる傾向が現れるため、出射光の輝度の拡散板面内均一性が損なわれる傾向がある。
一方、拡散子を印刷によって透明板上に付与し、かつ印刷する領域の密度や大きさ、あるいは濃度を変化させることによって、光源の真上は拡散効果が高くなり光源の間は徐々に拡散効果が低くなるようにパターニングされた拡散板が提案されている。例えば、特開2004−170698号公報(特許文献3)にはドット印刷で拡散板上にグラデーションパターンを作製し、かつそのパターンは輝度分布反転像に基づいて設計されたグラデーションであるという技術が紹介されている。また、特開2003−156602号公報(特許文献4)には、インク塗布層が光源の位置に対応して厚みが変化するように形成される光拡散板が記載されている。
これらの方法は、必要なところに必要な量の拡散子を配置できるので、より効果的に光源からの光を均一化できるという利点がある。実際に、光源と拡散板の距離が極めて短い薄型液晶画像表示装置のバックライトユニットにおいても、このようなパターン印刷による光拡散手段を用いれば、ある程度効果的に光源の光を分散してほぼ均一化することが可能である。
しかしながら、実際にはパターン印刷の手法でバックライトユニットの輝度を均整化するのは、以下の理由で困難である。(1)パターン印刷の精度に限界がありムラが発生して輝度均整化が損なわれる、(2)同一バックライトユニット内に配置された複数の光源の光量の個体差で輝度均整化が損なわれる、(3)バックライトユニット間の製造ばらつきによる光量の個体差で輝度均整化が損なわれる、(4)熱膨張による光源とパターン印刷部の相対位置のずれで輝度均整化が損なわれる。実際に人間の目視評価で見分けられる輝度ムラ(輝度の差)は約0.5%程度であり、僅かな違いでも目立つため、パターン印刷による輝度均整化は不完全となってしまう。
この問題を解決するためのまったく別の手法として、光の散乱角度分布をコントロールする考え方がある。即ち、散乱角度/強度分布が真円になるランバート拡散(散乱角度/強度分布が等方になる拡散)を拡散板全面で得られるようにする。この場合、散乱角度/強度分布が真円なので、拡散板に対する入射角がいかなる角度であっても、出射光の成分のうち真上に向かう光はほぼ同じ強度になる。この方法によると、拡散層はパターニングされていないので、光源の個体差や熱膨張など上記(1)〜(4)に挙げた要素は全く影響せず、どのような場合でも輝度均整化が可能となる。
しかし、従来の酸化チタンなどを主材料とする拡散子を練りこむタイプの拡散板または拡散シートは、光の指向性が強いため、ランバート拡散を得ようとすると、拡散子の濃度を高くしなければならなかった。その結果隠蔽性が増加してしまい、ランバート拡散を得たとしても、散乱角度/強度分布の円の面積が小さくなってしまう傾向がより強いという難点がある。このことは、輝度の面内均一性が得られたとしても、拡散板から得られる光量が低下するということを意味する。
一方、微細発泡体による光拡散技術が提案されている。例えば、特開2006−276838号公報(特許文献5)には、基材としてスチレン単位を20質量%以上含む樹脂を用い、発泡倍率が1.5以下であって平均粒子径が0.5〜50μmの気泡を含む光拡散板についての記述がある。また、特開2006−24540号公報(特許文献6)に開示される光拡散板は、射出成形機によって光拡散板材料を射出成形する際に材料中に多数の微細気泡を混合するように作製し、この微細気泡によって光拡散板に入射した光が拡散されるという技術である。
これら従来技術による微細気泡を利用するタイプの拡散板は、気泡の数および密度をあまり高くすることができず、酸化チタンなどを主材料とする従来の拡散板と比べて拡散効果が不十分である。結果として、このような拡散板ではランバート拡散が得られないので、光源の真上の輝度が高くなるのは避けられなかった。
特開平6−111612号公報 特開2006−30839号公報 特開2004−170698号公報 特開2003−156602号公報 特開2006−276838号公報 特開2006−24540号公報
しかしながら、拡散子をパターン印刷する手法では輝度の均整化に限界がある。したがって、ランバート拡散を与え、かつその散乱角度/強度分布の円の面積が小さくならない拡散子を含む光学シートを作製し、さらに光学シートの表面機能を付与してユニバーサルな光拡散体を提供する。
本発明者らはかかる事情を鑑み検討を重ねた結果、放射線エネルギーの作用によって酸を発生する酸発生剤または塩基を発生する塩基発生剤と、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質を分解脱離する分解発泡性官能基を有する分解発泡性化合物とを含有する発泡性組成物を成形体とする成形工程と、前記成形体に放射線エネルギー及び熱エネルギーを付与して発泡させる発泡工程によって作製される光拡散体を用い、かつ該光拡散体の光入射面に光取り込み機能を有する微細凹凸構造を作製することで、光出射面のどの位置でもランバート拡散が得られ、かつ散乱角度/強度分布の円の面積が一定となる光学材料が得られることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明によれば以下の技術の提供が可能である。
[1] 透明基材の片面から入射する光を拡散して該透明基材の他方の面から射出する光学シートであって、前記透明基材内部に微細発泡による光拡散構造が全面に形成され、光入射面には光取り込み機能を有する微細凹凸構造体が全面に形成されることを特徴とする光学シート。
[2] 放射線エネルギーの作用によって酸を発生する酸発生剤または塩基を発生する塩基発生剤と、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質を分解脱離する分解発泡性官能基を有する分解発泡性化合物とを含有する発泡性組成物を成形体とする成形工程と、前記成形体に放射線エネルギー及び熱エネルギーを付与して発泡させる発泡工程とを備えることを特徴とする、[1]に記載の光拡散構造が全面に形成される光学シートの製造方法。
[3] 透明基材内部に形成される微細発泡による光拡散構造は、直径0.1μm〜20μmの気泡が全面に作製されることを特徴とする[1]に記載の光学シート。
[4] 透明基材内部に形成される微細発泡による光拡散は、完全ランバート分布(扁平率0.0)の等方拡散から扁平率0.1までの偽等方拡散の範囲であることを特徴とする[1]に記載の光学シート。
[5] 透明基材の光入射面に作製される光取り込み機能を有する微細凹凸構造体のピッチは、30nm〜380nmの範囲内であり、アスペクト比は0.5〜10.0であり、突起物形状が円錐または角錐、あるいは偽円錐、または偽角錐であることを特徴とする[1]に記載の光学シート。
[6] [1]〜[5]に記載の光学シートの製造方法。
[7] [1]〜[5]に記載の光学シートを一部に組み込んだことを特徴とする、照明装置、投影装置、看板、画像表示装置。
光学シートは、輝度ばらつきを抑え、輝度均整化に優れる。
以下に本発明について詳細に記述する。
(発泡性組成物の種類)
本発明の光拡散体を構成する発泡体は、発泡性組成物に放射線エネルギーおよび熱エネルギーを付与して発泡させたものである。
このような発泡性組成物の具体的な例としては、(A)光照射によってガスを発生させる光発泡性化合物や、(B)光重合性化合物と熱発泡性化合物を組み合わせたもの( 特許3422384号公報参照、特開平5−477号公報)、(C)放射線エネルギーの作用によって酸を発生する酸発生剤または塩基を発生する塩基発生剤と、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質を分解脱離する分解発泡性官能基を有する分解発泡性化合物とを含有する発泡性組成物(特開2004−2812号公報参照)を含む。
とりわけ、(C)の発泡性組成物(以下「組成物(C)」という)は、気泡の直径を10μm以下にすることができ、かつ、気泡分布パターンを広範囲に精密制御できるので好ましい。
組成物(C)は、放射線エネルギー及び熱エネルギーの作用により発泡性が発現する組成物である。その発泡性組成物は、少なくとも次の2つの成分を含有する。
その一つは、放射線エネルギーの作用によって酸を発生する酸発生剤、または塩基を発生する塩基発生剤である。他の一つは、前記発生した酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性化合物を分解脱離する分解発泡性化合物である。
(酸発生剤及び塩基発生剤)
組成物(C)に用いられる酸発生剤又は塩基発生剤には、一般的に化学増幅型フォトレジスト、及び光カチオン重合などに利用されている光酸発生剤や光塩基発生剤と呼ばれているものを用いることができる。
組成物(C)に好適な光酸発生剤としては、
(1)ジアゾニウム塩系化合物
(2)アンモニウム塩系化合物
(3)ヨードニウム塩系化合物
(4)スルホニウム塩系化合物
(5)オキソニウム塩系化合物
(6)ホスホニウム塩系化合物
などから選ばれた芳香族もしくは脂肪族オニウム化合物のPF6−、AsF6−、SbF6−、CF3SO3−塩を挙げることができる。その具体例を下記に列挙するが、これら例示
したものに限定されるものではない。
ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(p−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、
ベンゾイルフェニルスルホニルジアゾメタン、
トリフルオロメタンスルホネート、
トリメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
p−トリルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウムヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウムトリフルオロメタンスルホネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
(2−オキソ−1−シクロヘキシル) (シクロヘキシル)メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
(2−オキソ−1−シクロヘキシル)(2−ノルボルニル)メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムパーフルオロメタンスルホネート、
ジフェニル−4−tert−ブチルフェニルスルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート、
ジフェニル−4−メトキシフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート、
ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトシレート、
ジフェニル−4−メトキシフェニルスルホニウムトシレート、
ジフェニル−4−イソプロピルフェニルスルホニウムトシレート
ジフェニルヨードニウム、
ジフェニルヨードニウムトシレート、
ジフェニルヨードニウムクロライド、
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、
ジフェニルヨードニウムナイトレート、
ジフェニルヨードニウムパークロレート、
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ビス(メチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ビス(メチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、
ビス(メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、
ビス(メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート、
2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2,4,6−トリ(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−フェニル−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−ナフチル−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−ビフェニル−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−(4′−ヒドロキシ−4−ビフェニル)−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−(4 ′−メチル−4−ビフェニル)−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−(p−メトキシフェニルビニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ブトキシスチリル)− 4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリリウムトリフロオロメタンスルホネート、
トリメチルオキシニウムテトラフロオロボレート、
トリエチルオキシニウムテトラフロオロボレート、
N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート、
N−ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート、
(α−ベンゾイルベンジル)p−トルエンスルホネート、
(β−ベンゾイル−β−ヒドロキシフェネチル)p−トルエンスルホネート、
1,2,3−ベンゼントリイルトリスメタンスルホネート、
(2,6−ジニトロベンジル)p−トルエンスルホネート、
(2−ニトロベンジル)p−トルエンスルホネート、
(4−ニトロベンジル)p−トルエンスルホネート、
などが挙げられる。なかでも、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物が好ましい。
また、前記オニウム化合物以外にも、活性エネルギー線照射によりスルホン酸を光発生するスルホン化物、例えば2−フェニルスルホニルアセトフェノン、活性エネルギー線照射によりハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、例えば、フェニルトリブロモメチルスルホン、及び1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、並びに活性エネルギー線照射により燐酸を光発生するフェロセニウム化合物、例えば、ビ
ス(シクロペンタジエニル)フェロセニウムヘキサフルオロフォスフェート、及びビス(ベンジル)フェロセニウムヘキサフルオロフォスフェートなどを用いることができる。
さらには、下記に挙げる酸発生能を有するイミド化合物誘導体も使用できる。
N−(フェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフタルイミド、
N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフタルイミド。
組成物(C)に好適な光塩基発生剤としては、
(1)オキシムエステル系化合物
(2)アンモニウム系化合物
(3)ベンゾイン系化合物
(4)ジメトキシベンジルウレタン系化合物
(5)オルトニトロベンジルウレタン系化合物
などが挙げられ、これらは光エネルギーの照射により塩基としてアミンを発生する。その他にも、光の作用によりアンモニアやヒドロキシイオンを発生する塩基発生剤を用いてもよい。これらは、例えばN−(2−ニトロペンジルオキシカルボニル)ピペリジン、1,3−ビス〔N−(2− ニトロベンジルオキシカルボニル)−4−ピペリジル〕プロパン、N,N′−ビス(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ジヘキシルアミン、及びO− ベンジルカルボニル−N−(1−フェニルエチリデン)ヒドロキシルアミンなどから選ぶことができる。さらには加熱により塩基が発生する化合物を上記光塩基発生剤と併用してもよい。
また、光酸発生剤または光塩基発生剤が活性化する光エネルギーの波長領域をシフトまたは拡大するために、適宜光増感剤を併用してもよい。例えば、オニウム塩化合物に対する光増感剤には、アクリジンイエロー、ベンゾフラビン、アクリジンオレンジなどが挙げられる。
必要な酸を生成しながらも酸発生剤または塩基発生剤の添加量や光エネルギーを最小限に抑制するために、酸増殖剤や塩基増殖剤(K.Ichimuraetal., Chemistry Letters, 551−552(1995)、特開平8−248561号公報、特開2000−3302700号公報参照)を酸発生剤または塩基発生剤とともに用いることができる。酸増殖剤は、常温付近で熱力学的に安定であるが、酸によって分解し、自ら強酸を発生し、酸触媒反応を大幅に加速させる。この反応を利用することにより、酸または塩基の発生効率を向上させて、発泡生成速度や発泡構造をコントロールすることも可能である。
(分解発泡性化合物)
組成物(C)に用いられる分解発泡性化合物(以下分解性化合物と略す)は、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質(低沸点揮発性化合物) が分解脱離する化合物である。
低沸点とは、発泡時にガス化が可能な沸点、すなわち、発泡時の温度よりも低い沸点を有することを意味する。低沸点揮発性物質の沸点は、通常100℃以下であり、常温以下であることが好ましい。
低沸点揮発性物質としては、例えばイソブテン(沸点;−7℃)、二酸化炭素(沸点;−79℃)、窒素(沸点;−196℃)などがあげられる。
分解性化合物には、低沸点揮発性物質を発生し得る分解性官能基があらかじめ導入されていなければならない。
分解性官能基の内、酸と反応するものとしては、−O−tBuの構造式で示されるtert−ブチルオキシ基、−CO−O−tB uの構造式で示されるtert−ブチルオキシカルボニル基、−O−CO−O−tB uの構造式で示されるtert−ブチルカーボネート基、ケト酸およびケト酸エステル基などが挙げられる。このとき、−tB uは−C (CH3)3を示す。酸と反応して、tert−ブチルオキシ基およびtert−ブチルオキシカルボニル基はイソブテンガスを、tert−ブチルカーボネート基はイソブテンガスと二酸化炭素を、ケト酸部位は二酸化炭素を、ケト酸エステルたとえばケト酸tert−ブチルオキシ基は二酸化炭素とイソブテンガスを発生する。
塩基と反応するものとしては、ウレタン基、カーボネート基などが挙げられる。塩基と反応して、ウレタン基、カーボネート基は二酸化炭素ガスを発生する。
分解性化合物の形態は、モノマー、オリゴマー、高分子化合物(ポリマー)の何れであってもよい。分解性化合物は、以下のような化合物群に分類することができる。
(1)非硬化性低分子系の分解性化合物群
(2)硬化性低分子系の分解性化合物群
(3)高分子系の分解性化合物群
(1)の非硬化性低分子系の分解性化合物群は、放射線エネルギーを付与しても、重合反応を生じない低分子系の分解性化合物群である。(2)の硬化性低分子系の分解性化合物群は、放射線エネルギーの付与により重合反応を生じて硬化するような化合物群であり、たとえばビニル基のような重合性基を含んでいる。また、(3)の高分子系の分解性化合物群は、すでに重合体となっている高分子化合物(ポリマー)である。
上記分解性化合物群は単独で用いてもよいし、異なる2 種以上を混合併用してもよい。(2)の硬化性低分子系の分解性化合物群、または(3)の高分子系の分解性化合物群を用いると、均一な微細気泡の形成が容易であり、強度的に優れた発泡体を得ることが可能であり好ましい。以下に分解性化合物の具体例を列挙するが、これら例示したものに限定されるものではない。
(1)−a、非硬化性低分子系の分解性化合物群(酸分解性)
1−tert−ブトキシ−2−エトキシエタン、
2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)ナフタレン、
N−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フタルイミド、
2,2−ビス[p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル]プロパンなど
(1)−b、非硬化性低分子系の分解性化合物群(塩基分解性)
N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)ピペリジンなど
(2)−a、硬化性低分子系の分解性化合物群(酸分解性)
tert−ブチルアクリレート、
tert−ブチルメタクリレート、
tert−ブトキシカルボニルメチルアクリレート、
2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニル)フェニルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルエチル)フェニルアクリレート、
1−(tert−ブトキシカルボニルメチル)シクロヘキシルアクリレート、
4−tert−ブトキシカルボニル−8−ビニルカルボニルオキシ−トリシクロ[5.2.1.02,6] デカン、
2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フェニルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)ベンジルアクリレート、
2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチルアクリレート、
6−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキシルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ベンジルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)ベンジルアクリレート、
(2−tert−ブトキシエチル)アクリレート、
(3−tert−ブトキシプロピル)アクリレート、
(1−tert−ブチルジオキシ−1−メチル)エチルアクリレート、
3,3−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)プロピルアクリレート、
4,4−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)ブチルアクリレート、
p−(tert−ブトキシ)スチレン、
m−(tert−ブトキシ)スチレン、
p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン、
m−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン、
アクリロイル酢酸、メタクロイル酢酸、
tert−ブチルアクロイルアセテート、
tert−ブチルメタクロイルアセテートなど
N−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)マレイミド
(2)−b、硬化性低分子系の分解性化合物群(塩基分解性)
4−[(1、1−ジメチル−2−シアノ)エトキシカルボニルオキシ]スチレン、
4− [(1、1−ジメチル−2−フェニルスルホニル)エトキシカルボニルオキシ]スチレン、
4− [(1、1−ジメチル−2−メトキシカルボニル)エトキシカルボニルオキシ]スチレン、
4−(2−シアノエトキシカルボニルオキシ)スチレン、
(1、1−ジメチル−2−フェニルスルホニル)エチルメタクリレート、
(1、1−ジメチル−2−シアノ)エチルメタクリレートなど
(3)−a、高分子系の分解性化合物群(酸分解性)
ポリ(tert−ブチルアクリレート) 、
ポリ(tert−ブチルメタクリレート) 、
ポリ(tert−ブトキシカルボニルメチルアクリレート) 、
ポリ[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニル)フェニルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルエチル)フェニルアクリレート]、
ポリ[1−(tert−ブトキシカルボニルメチル)シクロヘキシルアクリレート]、
ポリ{4−tert−ブトキシカルボニル−8−ビニルカルボニルオキシ−トリシクロ[5.2.1.02,6] デカン} 、
ポリ[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フェニルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)ベンジルアクリレート]、
ポリ[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチルアクリレート]、
ポリ[6−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキシルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ベンジルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)ベンジルアクリレート]、
ポリ(2−tert−ブトキシエチルアクリレート)、
ポリ(3−tert−ブトキシプロピルアクリレート) 、
ポリ[(1−tert−ブチルジオキシ−1−メチル)エチルアクリレート]、
ポリ[3,3−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)プロピルアクリレート]、
ポリ[4,4−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)ブチルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシ)スチレン]、
ポリ[m−(tert−ブトキシ)スチレン]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン]、
ポリ[m−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン]、
ポリアクリロイル酢酸、ポリメタクロイル酢酸、
ポリ[tert−ブチルアクロイルアセテート]、
ポリ[tert−ブチルメタクロイルアセテート]
N−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)マレイミド/スチレン共重合体など
(3)−b、高分子系の分解性化合物群(塩基分解性)
ポリ{p−[(1、1−ジメチル−2−シアノ)エトキシカルボニルオキシ]スチレン}、
ポリ{p−[(1、1−ジメチル−2−フェニルスルホニル)エトキシカルボニルオキシ]スチレン} 、
ポリ{p−[(1、1−ジメチル−2−メトキシカルボニル)エトキシカルボニルオキシ]スチレン} 、
ポリ[p−(2−シアノエトキシカルボニルオキシ)スチレン]、
ポリ[(1、1−ジメチル−2−フェニルスルホニル)エチルメタクリレート]、
ポリ[(1、1−ジメチル−2−シアノ)エチルメタクリレート]、
分解性官能基を導入したポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、デンドリマーなどの有機系高分子化合物も酸分解性又は塩基分解性重合体系化合物として用いることができる。さらには、シリカなどの無機系化合物に分解性官能基を導入した酸分解性又は塩基分解性重合体系化合物も用いることができる。なかでも、分解性官能基は、カルボン酸基または水酸基、アミン基からなる群の中から選ばれる
官能基を有する化合物群に導入されることが好ましい。
発泡体の耐水性をあげるために、少なくとも一種類以上の疎水性官能基を含む化合物に分解発泡性官能基を導入した化合物を用いることもできる。疎水性官能基は、主に脂肪族基、脂肪環族基、芳香族基、ハロゲン基、ニトリル基からなる群の中から選ばれることが好ましい。
ただし、分解発泡性官能基は、主にカルボン酸基または水酸基、アミン基からなる群の中から選ばれる親水性官能基に導入されやすいので、分解性化合物としては、親水性官能基に分解発泡性官能基を導入した分解性ユニットと、疎水性官能基を含む疎水性ユニットからなる複合化合物が好ましい。特に、ビニル系の共重合体化合物であることが好ましい。
疎水性ユニットとしては、メチル( メタ) アクリレートやエチル( メタ) アクリレートなどの脂肪族( メタ) アクリレート群、スチレン、メチルスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル化合物群、( メタ) アクリロニトリル化合物群、酢酸ビニル化合物群、塩化ビニル化合物群などが挙げられる。
分解性ユニットと疎水性ユニットの複合化合物からなる分解性化合物の具体例を以下に示す。
tert−ブチルアクリレート/メチルアクリレート共重合体、
tert−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、
tert−ブチルメタクリレート/メチルアクリレート共重合体、
tert−ブチルメタアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、
tert−ブチルアクリレート/エチルアクリレート共重合体、
tert−ブチルアクリレート/エチルメタクリレート共重合体、
tert−ブチルメタクリレート/エチルアクリレート共重合体、
tert−ブチルメタクリレート/エチルメタクリレート共重合体、
tert−ブチルアクリレート/スチレン共重合体、
tert−ブチルアクリレート/塩化ビニル共重合体、
tert−ブチルアクリレート/アクリロニトリル共重合体、
p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン/スチレン共重合体。
また、分解性化合物中の分解性ユニットおよび疎水性ユニットは、一種単独でまたは2種以上併用することができる。共重合の形式は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などの任意の形式をとることができる。また、疎水性ユニットの共重合比は、分解性化合物全量に対して5〜95質量%であることが好ましく、分解性化合物の分解発泡性および発泡構造の環境保存性を勘案すると、20〜80質量%がより好ましい。上記
分解性化合物は、単独で用いてもよいし、異なる2 種以上を混合併用してもよい。上記分解性化合物は、分解発泡性官能基が分解脱離して気泡形成ガスを発生した後に、少なくとも一種類以上の疎水性官能基を含む化合物となる。
発泡体の耐水性をあげるために、発泡性組成物として、温度30℃相対湿度60%の環境雰囲気下においてJISK7209D法で測定した平衡吸水率が10%未満の低吸湿性化合物に分解発泡性官能基を導入した化合物を用いることもできる。分解発泡性官能基を導入しやすい構造を有する低吸湿性化合物としては、例えばp−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレンなどが挙げられる。したがって、分解性化合物は、p−(tert−ブトキシ)スチレン、m−(tert−ブトキシ)スチレン、p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ) スチレン、m−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレンが挙げられる。これらは硬化性モノマーでも一種類以上を混合した重合体でもよい。
また、吸水率が10%以上の高吸湿性化合物と、吸水率10%未満の低吸湿性化合物との組合わせからなる複合化合物に分解発泡性官能基を導入してもよい。ただし、複合化合物は、適切な組合わせにより10%未満の吸水率を有していることが好ましい。例えば、高吸湿性化合物であるアクリル酸と低吸湿性化合物であるp−ヒドロキシスチレンの共重合体(複合化合物) は、その共重合比がアクリル酸/p−ヒドロキシスチレン=90/10〜0/100であることが好ましい。
高吸湿性化合物と低吸湿性化合物との組合わせからなる分解性化合物の具体的な例を以下に示す。
tert−ブチルアクリレート/p−(tert−ブトキシ)スチレン共重合体、
tert−ブチルアクリレート/m−(tert−ブトキシ)スチレン共重合体、
tert−ブチルアクリレート/p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体、
tert−ブチルアクリレート/m−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体、
tert−ブチルメタクリレート/p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体。
さらには、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、デンドリマーからなる群の中から選ばれた低吸湿性高分子材料などに分解発泡性官能基を導入してもよい。上記分解性化合物は、単独で用いてもよいし、異なる2 種以上を混合併用してもよい。上記分解性化合物は、分解発泡性官能基が分解脱離して気泡形成ガスを発生した後に、低吸湿性化合物となる。
(その他の樹脂)
組成物(C)には、酸発生剤または塩基発生剤と分解発泡性化合物以外に、成形体の骨格となる一般の樹脂を混合する必要がある場合がある。即ち、非硬化性低分子系の分解性化合物群を用いる場合は単独では成形できないので、下記の一般に用いられる樹脂と混合して用いる必要がある。一般の樹脂は、分解性化合物と混合した時に相溶でも非相溶でもどちらでもかまわない。
一般の樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系複合樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、アクリロイル樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリサルホン樹脂、塩化ビニル樹脂、メチル
セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、及びシリコーン樹脂など一般に用いられる樹脂から適宜選択して用いることができる。また、分解性化合物から分解してガス化する低沸点揮発性物質を成形体内に内在させることを目的として、ガスバリヤ性樹脂を用いることもできる。ガスバリヤ性樹脂は、混合しても被覆または積層してもよく、低沸点揮発性物質を成形体内により内在させるには、成形体表面に被覆または積層するのが好ましい。分解性発泡化合物のうち、硬化性低分子系の分解性化合物群および高分子系の分解性化合物群は単独で用いてもよいし、上記の一般に用いられる樹脂と混合して用いてもよい。
上記一般の樹脂を用いる場合でも、そうでない場合でも、放射線エネルギーで硬化する他の不飽和有機化合物を併用することができる。併用化合物の例としては、
(1) 脂肪族、脂環族、芳香族の1〜6価のアルコール及びポリアルキレングリコールの(メタ)アクリレート類
(2)脂肪族、脂環族、芳香族の1〜6価のアルコールにアルキレンオキサイドを付加させて得られた化合物の(メタ)アクリレート類
(3)ポリ(メタ)アクリロイルアルキルリン酸エステル類
(4)多塩基酸とポリオールと(メタ)アクリル酸との反応生成物
(5)イソシアネート、ポリオール、(メタ)アクリル酸の反応生成物
(6)エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物
(7)エポキシ化合物、ポリオール、(メタ)アクリル酸の反応生成物
(8)メラミンと(メタ)アクリル酸の反応生成物
等を挙げることができる。
併用できる化合物の中で、硬化性モノマーや樹脂は、発泡体の強度や耐熱性といった物性の向上効果や発泡性の制御効果などが期待できる。また分解性化合物および併用化合物に硬化性モノマーを用いれば、無溶剤成形ができ、環境負荷の少ない製造方法を提供できる。たとえば特開平8−17257号公報や、特開平9−102230号公報ではこのような材料が用いられている。
併用化合物の具体的な例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、 2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロヘキシルアクリレート、イソボロニルアクリレート、イソボロニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアク
リレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、エチレンオキシド変性フェノキシアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸ダイマー、2−ヒドロ
キシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、アクリル酸−9,10−エポキシ化オレイル、マレイン酸エチレングリコールモノアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチレンアクリレート、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソランのカプロラクトン付加物のアクリレート、3−メチル−5,5−ジメチル−1,3−ジオキソランのカプロラクトン付加物のアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、エチレンオキシド変性フェノキシ化
リン酸アクリレート、エタンジオールジアクリレート、エタンジオールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−ブチル−2−エチルプロパンジオールジアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、ポ
リエチレンオキシド変性水添ビスフェノールA ジアクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリプロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ポリオキシエチレンエピクロロヒドリン変性ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリプロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレート、エチレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、ポリエチレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、プロピレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、ポリプロピレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアク
リレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を挙げることが出来るが、これらに限られるものではない。
さらに、前記の併用活性エネルギー線硬化性不飽和有機化合物の一部または全部として、分子鎖末端に(メタ) アクリロイル基を有する分子量が400〜5000程度の活性エネルギー線硬化性樹脂を組み合わせることもできる。このような硬化性樹脂として、例えば、ポリウレタン変性ポリエーテルポリ(メタ)アクリレートやポリウレタン変性ポリエステルポリ(メタ)アクリレートなどのポリウレタンポリ(メタ)アクリレートポリマー
類を用いることが好ましい。
< 発泡体の製造方法>
本発明の光拡散体を構成する発泡体は、上記発泡性組成物に放射線エネルギーおよび熱エネルギーを付与して発泡させたものである。発泡性組成物から発泡体を製造する製造方法は、発泡性組成物を成形体とする成形工程と、前記成形体に放射線エネルギー及び熱エネルギーを付与して発泡させる発泡工程とを備える。
(成形工程)
発泡性組成物の成形工程は、発泡性組成物を所望の形状の成形体に成形する工程である。成形体の形状としては、シート状物(フィルム状を含む)が好ましい。シート状物においては、支持体を用いない独立のシートであっても支持体上に密着したシート層であってもよい。
本発明における成形工程は、形状を決定するための工程である。成形工程の段階における成形体は、固体でなく流動体であってもよい。例えば、特定の型に流し込んだ液状物も、本発明における成形体に含まれる。
シート状物の成形方法は、特開2004−2812号公報や、特開2005−54176号公報、特開2005−55883号公報に記載される方法を用いることができる。一般的には、溶融押出成形や射出成形、塗工成形、プレス成形が好ましい。特に、塗工成形は、光拡散体自身の薄型化が可能となり、また透光性樹脂支持体の表面上にも容易に積層できるので好ましい。
また、バッチ式でも連続式でもかまわない。発泡性組成物が溶液の場合は、溶剤の乾燥処理を加えてもよい。また、複数の成形体を積層することも可能である。
塗工成形の場合、支持体に塗工ヘッドを用いて発泡性組成物を塗工した後、発泡性組成物が溶剤等で希釈された溶液ならば、乾燥器にて溶剤分を除去し、支持体上に発泡性組成物からなるシート層を得る。このとき、支持体からシート層を剥離することで、発泡性組成物からなる単独のシート状物を得ることもできる。塗工方法には、バーコート法、エアードクターコート法、ブレードコート法、スクイズコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、グラビアコート法、トランスファーコート法、コンマコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、マルチロールコート法、ディップコート法、ロッドコート法、キスコート法、ゲートロールコート法、落下カーテンコート法、スライドコート法、ファウンテンコート法、およびスリットダイコート法などがあげられる。
支持体の具体例としては、紙、合成紙、プラスチック樹脂シート、金属シート、金属蒸着シート等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、或は、互いに積層されていてもよい。プラスチック樹脂シートは、例えば、ポリスチレン樹脂シート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂シート、並びにポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂シート等の汎用プラスチックシートやポリイミド樹脂シート、ABS樹脂シート、ポリカーボネート樹脂シート等のエンジニアリングプラスチックシートなどが挙げられ、また金属シートを構成する金属としては、アルミニウムおよび銅などが挙げられる。金属蒸着シートとしては、アルミ蒸着シート・金蒸着シート・銀蒸着シートなどが挙げられる。このとき支持体としては、透光性支持体であることが好ましく、さらには透光性樹脂シートであることが好ましい。透光性の光透過特性は、使用により適切に
調整されたものであれば限定はされないが、可視光領域での光透過率で90%以上であることが好ましい。
また、光反射シートや導光シート(あるいは導光板 )、プリズムシートのような光学機能シートを支持体とすれば、発泡体からなる光拡散部とこれらの機能性シートとの一体化を容易に行うことができる。
押出成形の場合、スクリュー状の押出軸を用いた一般の押出成形法、ピストン状押出軸を用いたラム押出成形法などがあげられる。例えば、押出成形機から押出された発泡性組成物はダイから押出されロールなどを介してシート状物を得ることができる。
発泡性組成物は、組成によって、例えば150℃以上の加熱により分解してしまう場合もある。そのため、発泡工程の前に正味の発泡性能を失わないよう留意する必要がある。例えば、押出成形において、樹脂の溶融粘度まで加熱してしまうと発泡性能が損なわれる場合、塗工成形と同様に溶媒を用いて発泡性組成物の溶液を調整し、常温で成形する溶液キャスト法のような方法をとることもできる。
発泡工程は、成形体に放射線エネルギーと熱エネルギーとを付与して発泡させる工程である。発泡工程は、成形体に放射線を照射する放射線照射工程と、成形体を加熱する加熱工程とを含み、微細な気泡のみを作るときには、放射線照射工程後に加熱工程が行われることが好ましい。放射線照射工程と加熱工程とを順次行うことにより、安定した発泡体が形成できる。これは、組成物(c)の発泡機構が、放射線により酸又は塩基を発生させ、その酸又は塩基と加熱とにより分解発泡性化合物が分解し発泡するという機構であるためである。組成物(c) は比較的低い温度で気泡核を多数発生させ、更に温度を上げて気泡を成長させると微細な気泡が均一にできる。しかし、初めから高温にしておきそこに放射線を当てると、大きな気泡ができてしまう。
なお、各工程は、連続的に行っても不連続的に行ってもよい。
(放射線照射工程)
放射線照射工程で使用する放射線としては、電子線、紫外線、可視光線、γ線等の電離性放射線などが好ましい。これらの中では電子線又は紫外線を用いることが特に好ましい。
電子線を照射する場合は、充分な透過力を得るために、加速電圧が30〜1000kV、より好ましくは30〜300kVである電子線加速器を用い、ワンパスの吸収線量を0.5〜20Mradにコントロールすることが好ましい(1rad=0.01Gy)。加速電圧、あるいは電子線照射量が上記範囲より低いと、電子線の透過力が不充分になり、成形体の内部まで充分に透過することができない。また、この範囲より大きすぎると、エネルギー効率が悪化するばかりでなく、得られた成形体の強度が不充分になり、それに含まれる樹脂及び添加剤の分解を生じ、得られる発泡体の品質が不満足なものになることがある。
電子線加速器としては、例えば、エレクトロカーテンシステム、スキャンニングタイプ、ダブルスキャンニングタイプ等を用いることができる。電子線照射に際しては照射雰囲気の酸素濃度が高いと、酸もしくは塩基の発生、および/または硬化性分解性化合物の硬化が妨げられることがある。このため照射雰囲気の空気を、窒素、ヘリウム、二酸化炭素等の不活性ガスにより置換することが好ましい。照射雰囲気の酸素濃度は1000ppm以下であることが好ましく、さらに安定的な電子線エネルギーを得るため、500ppm以下に抑制されることがより好ましい。
紫外線を照射する場合は、半導体・フォトレジスト分野や紫外線硬化分野などで一般的に使用されている紫外線ランプを用いることができる。一般的な紫外線ランプとしては、例えば、ハロゲンランプ、ハロゲンヒーターランプ、キセノンショートアークランプ、キセノンフラッシュランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、ディープU V ランプ、メタルハライドランプ、希ガス蛍光ランプ、クリプトンアークランプ、エキシマランプなどがあり、近年では、極短波長(214nmにピーク)を発光するY線ランプもある。これらのランプには、オゾン発生の少ないオゾンレスタイプもある。これらの紫外線は、散乱光であっても、直進性の高い平行光であってもよい。
気泡分布の位置制御を精度よく行うためには、放射線として平行光を用いることが好ましい。紫外線照射には、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザーや、非線形光学結晶を含む高調波ユニットを介したYAGレーザーなどに挙げられる種々のレーザーや、紫外発光ダイオードを用いることもできる。紫外線ランプやレーザー、紫外発光ダイオードの発光波長は、発泡性組成物の発泡性を妨げないものであれば限定はないが、好ましくは、光酸発生剤または光塩基発生剤が酸または塩基を効率よく発生させられる発光波長がよい。すなわち、使用する光酸発生剤または光塩基発生剤の感光波長領域と重なる発光波長が好ましい。さらには、それら発生剤の感光波長領域における極大吸収波長または最大吸収波長と重なる発光波長が、発生効率が高くなるためより好ましい。紫外線のエネルギー照射強度は、発泡性組成物によって適宜決められる。
種々の水銀ランプやメタルハライドランプなどに代表される照射強度が高い紫外線ランプを使用する場合は、生産性を高めることができ、その照射強度(ランプ出力)は30W/cm以上が好ましい。紫外線の積算照射光量(J/cm2) は、エネルギー照射強度に照射時間を積算したものであり、発泡性組成物および所望の気泡分布によって適宜決められる。酸発生剤や塩基発生剤の吸光係数に応じて設定することもある。安定かつ連続的に
製造する上では、1.0mJ/cm2〜20J/cm2の範囲が好ましい。
紫外線ランプを使用する場合は、照射強度が高いため、照射時間を短縮することができる。エキシマランプやエキシマレーザーを使用する場合は、その照射強度は弱いが、ほぼ単一光に近いため、発光波長が発生剤の感光波長に最適化したものであれば、より高い発生効率および発泡性が可能となる。照射光量を多くした場合、紫外線ランプによっては熱の発生が発泡性を妨げる場合がある。そのときは、コールドミラーなどの冷却処置を
行なうことができる。
(加熱工程)
加熱工程で用いることのできる加熱器に特に制限はないが、接触加熱、誘導加熱、抵抗加熱、誘電加熱(およびマイクロ波加熱 、赤外線加熱により加熱ができるもの等が例示できる。具体的には、放射熱を利用した電気あるいはガス式の赤外線ドライヤーや、電磁誘導を利用したロールヒーター、油媒を利用したオイルヒーター、電熱ヒーター、およびこれらの熱風を利用した熱風ドライヤーなどが挙げられる。成形体に加熱体を接触させて加熱する接触加熱では、金属ブロック、金属板、金属ロールなどの加熱体が使用できる。接触加熱では加圧しながら加熱してもよい。この場合、プレス成形の際に使用する加熱プレス機を用いることができる。
誘電加熱や赤外線加熱の場合, 材料内部を直接加熱する内部加熱方式なので, 熱風ドライヤーなどの外部加熱法よりも瞬時に均一な加熱を行うのに好ましい。誘電加熱の場合,周波数1MHz〜300MHz(波長30m〜1m)の高周波エネルギーを用いる。6MHz〜40MHzの周波数が用いられることが多い。誘電加熱のうち特にマイクロ波加熱では周波数が300MHz〜300GHz(波長が1m〜1mm)のマイクロ波をもちいるが、2450MHz、915MHz(電子レンジと同じ)を使うことが多い。
赤外線加熱の場合、赤外領域の波長0.76〜1000μmの電磁波を利用する。ヒーター表面温度および被加熱材料の赤外吸収スペクトルなどから、状況により選択される波長の最適帯は変化するが、好ましくは1.5〜25μm、さらに好ましくは2〜15μmの波長帯を用いることができる。
さらに、一般の熱記録用プリンターに使用されている加熱方式も利用できる。例えば、電流を流すことで発熱する感熱ヘッドやレーザー熱転写が挙げられ、熱の書き込みによって同パターンの発泡体を得ることができる。高精細や高解像度を得るときは、感熱ヘッドよりもレーザー熱転写の方が好ましい。
(光拡散体としての性質)
以上のようにして作製される、微細発泡による光拡散体は、以下の性質を備える。即ち、光拡散を行う気泡は、0.1〜20μmの範囲の気泡径で構成されることが好ましく、0.3〜10μmの範囲の気泡径で構成されることがより好ましい。光拡散部における具体的な気泡分布は、光源もしくは輝線暗線の形状や位置、光拡散体の面積などに拠らず均一になるように作製する。実際には、光拡散体が透明基材上に作製される場合には、透明基材と光拡散体層の界面近傍に比較的大きな粒径の気泡が集まる傾向があるが、面内ばらつきはないため、直下型光源の拡散体としては均質であるといえる。
微細発泡体の気泡成分はイソブテンガスや二酸化炭素なので、屈折率は約1.00であり、拡散板に進入した光の一部は気泡/樹脂界面で全反射するという特徴を持つ。一方、酸化チタンなど顔料による通常の拡散子は、屈折率が周囲のマトリックス樹脂よりも高いため、粒子/樹脂界面で全反射は起こらない。その結果、同一サイズの拡散成分が同一密度で含有される拡散体中に一定方向から光を入射した場合、気泡による拡散体の散乱角度分布はより真円形(ランバート拡散)に近づき、顔料による拡散体の散乱角度分布はより紡錘形(指向性拡散)に近づく傾向が現れる。散乱角度分布がランバート拡散であるほうが、本発明の目的である均一な拡散を与えるために好ましい。
前述のように微細発泡体の作製法は他にもあるが、本発明の方法によれば発泡密度を非常に高くすることが可能である。所定の発泡密度を有する微細発泡体を作製するためには、露光条件を操作することによって発泡密度を制御するのが最も簡便であるが、酸発生剤または塩基発生剤の選択、分解発泡性官能基を有する化合物の種類、加熱工程の条件によっても操作は可能である。発泡密度のより高い微細発泡体のほうが散乱角度分布がランバート拡散に近づく傾向がある。一方、慣用の化学発泡剤を用い発泡体シートは気泡サイズが大きくなり、気泡/樹脂界面の総面積が減少するので光の拡散性が低下し、結果としてランバート拡散が得られなくなる。以上の本発明の微細発泡体と慣用の化学発泡剤による発泡体の比較は、両者の全光線透過率を一定にした場合の測定に基づく。全光線透過率は、どの様な光学機器によって測定してもよいが、簡便に測定するにはJIS-K7105に準拠したヘーズメーターで行うのが好ましい。
作製した微細発泡体が光を拡散する能力は、気泡の大きさ、発泡密度、発泡体の厚さ等によって決まり、その光学散乱特性は散乱角度/強度分布の円グラフ面積と扁平率で評価することができる。散乱角度分布はどの様な光学機器によって測定してもよいが、例えばシンチレーションカウンターがゴニオメーターによって方位角および仰角を可変駆動する全球測定型の輝度測定装置で行うことができる。
<光取り込み機能をもつ微細凹凸構造体>
次に、本発明の光学シートの光入射面に付与することのできる光取り込み構造体について述べる。
高分子樹脂の表面反射率は垂直入射(0°入射)光の場合おおよそ4〜5%程度である。光入射面が平坦である場合、4〜5%以上の光量が反射により光源側に方向を変えてしまい、有効利用されない。拡散板に光源から光が直接入射する場合はさらに0°〜±90°の入射角があり、入射角が±90°に近いほど反射率は高くなるため、トータルでは失われる光量はより多くなり、約15〜16%となる。しかし実際には、バックライトユニットの一般的な構成として、光源の後方には反射シートが付けられているため、前述の一度反射して拡散板に入れなかった一部の光は反射シートで反射して再び拡散板に向かい再利用される。その結果、最終的に失われる光量は5〜7%程度になる。
本発明では、光取り込み機能を有する微細凹凸構造体と反対側の表面に光源の輝度に応じてパターンを形成した印刷面を付与することによって、表面反射率を低減させ、光の透過率を大幅に向上することができる。微細凹凸構造体は具体的には、ピッチ30nm〜380nm、アスペクト比0.5〜10.0の突起物であり、該突起物形状が円錐または角錐、あるいは偽円錐、または偽角錐であることを特徴とする屈折率傾斜構造である。このような微細突起で表面を被覆すると、屈折率が傾斜する空間を人工的に表面に作り出すことができる。即ち、外側の空気の屈折率(約1.0)から拡散板材料の屈折率(約1.4〜1.6程度)まで、屈折率の徐々に変化する領域(屈折率傾斜構造)を微細突起によって作製する。光は通過する空間の屈折率の変化に応じて一部もしくは全部のエネルギーを反射する。例えばポリエチレンテレフタレート等の一般的な透明高分子樹脂の平坦な表面では、空気/樹脂界面で屈折率が急激に変化するため約4%〜7%程度の反射光が発生する。ところが、このような微細突起により屈折率が徐々に変化する界面は0.1〜0.5%の極めて低い反射率になることが知られており、入射面における反射で失われる光量をほぼゼロにすることができる。
本発明の微細突起構造のピッチは、30nm〜380nmの範囲内であり、アスペクト比は0.5〜10.0であり、突起物形状が円錐または角錐、あるいは偽円錐、または偽角錐である。ピッチが30nmより小さいと反射防止効果を得るのに十分な高さを持つ突起構造を作製するのが困難になり、380nmより大きいと可視光の散乱が起きるため屈折率傾斜構造として機能しなくなるため好ましくない。また、アスペクト比が0.5より小さいと、屈折率の傾斜が急激になりすぎて反射率が増大し、アスペクト比が10.0より大きいと後述する形状転写工程においてモールドへの樹脂の充填率およびモールドの離型が困難になるため好ましくない。
(屈折率傾斜構造原盤の作製法)
微細突起の形成方法の1つとして、樹脂、金属、無機物などの粒子からなる単粒子膜をエッチングマスクとして基板上に配置し、基板表面をドライエッチングする方法がある。この方法によれば、単粒子膜はエッチングマスクとして作用しつつそれ自身もエッチングされて最終的には削り取られる。その結果、各粒子に対応する位置に微細凹凸突起が形成された基板を得ることができる。
本発明者らの検討によると、溶剤中に粒子が分散した分散液を水槽内の液面に滴下し、その後溶剤を揮発させることにより、粒子が精度よく2次元に最密充填した単粒子層を形成でき、ついで、予め水中に配置した基板をゆっくりと引上げることで、水面の単粒子層を基板上に移し取ることにより、高精度な単粒子膜エッチングマスクを製造できる(図1)。さらに単粒子膜エッチングマスクが片面に設けられた基板をドライエッチング法で加工することにより、基板の片面に微細凹凸突起を多数形成することができる。具体的には、ドライエッチングを開始すると、まず図2(a)に示すように、単粒子膜を構成している各粒子の隙間をエッチングガスが通り抜けて基板の表面に到達し、その部分に溝が形成され、各粒子に対応する位置にそれぞれ円柱が現れる。引き続きドライエッチングを続けると、各円柱上の粒子も徐々にエッチングされて小さくなり、同時に、基板の溝もさらに深くなっていく(図2(b))。そして、最終的には各粒子はエッチングにより消失し、それとともに基板の片面に多数の微細凹凸突起が形成される(図2(c))。特願2006−181274号公報による微細突起構造の配列は6方最密充填配列となることが特徴である。
微細凹凸突起構造の作製方法は特に限定せず、その他の方法を用いることも可能である。即ち、特開2001−155623号公報、特開2005−99707号公報、特開2005−279807号公報等にある粒子マスクを用いる他の方法、Thin Solid Films 351 (1999) 73-78 にあるホログラム・リソグラフィーを用いる方法、特開2003−4916号公報にある電子線描画やレーザー描画を用いる方法等を採用することができるが、特にこれらに限定されるものではない。
(屈折率傾斜構造を発泡体シート表面に付与する方法)
次に、微細構造体を原盤として微細構造体のモールドを作製し、このモールドを用いて、ナノインプリント法、熱プレス法、射出成型法、UVエンボス法等の手法で微細凹凸突起を備えた樹脂板または樹脂シートを製造する。微細構造のモールドを製造するには、例えば、微細凹凸突起(ポジ型)が形成された面に金属層を形成した後、この金属層を剥離することにより、微細凹凸突起を金属層に転写する。その結果、表面に微細凹凸突起のネガ型を備えた金属層が得られ、これをナノインプリント法、熱プレス法、射出成型法、UVエンボス法等に用いられるモールドとして使用することができる。
微細凹凸突起が形成された面に金属層を形成する方法としては、めっき法が好ましく、具体的には、まず、ニッケル、銅、金、銀、白金、チタン、コバルト、錫、亜鉛、クロム、金・コバルト合金、金ニッケル合金、はんだ、銅・ニッケル・クロム合金、錫ニッケル合金、ニッケル・パラジウム合金、ニッケル・コバルト・りん合金などから選ばれる1種以上の金属により無電解めっきまたは蒸着を行い、ついで、これらの金属から選ばれる1種以上の金属により電解めっきを行って、10〜3000μmの厚さに金属層を増加させる方法が好ましい。
無電解めっきまたは蒸着により形成する金属層の厚みは、10nm以上が好ましく、より好ましくは100nm以上である。ただし、導電層には、一般的には50nmの厚さが必要とされる。膜厚をこのようにすると、次に行われる電解めっきの工程で、被めっき面内電流密度の偏りを抑制でき、均一な厚さのナノインプリントまたは射出成型用モールドが得られやすくなる。
次に行う電解めっきでは、金属層の厚さを最終的にまで厚くし、その後、金属層を原版から剥がし取ることが好ましい。電解めっきにおける電流密度には特に制限はないが、ブリッジを抑制して均一な金属層を形成でき、かつ、このような金属層を比較的短時間で形成できることから、0.03〜10A/mが好ましい。
また、モールドとしての耐摩耗性、剥離・貼合時のリワーク性などの観点からは、金属層の材質はニッケルが好ましく、最初に行う無電解めっきまたは蒸着、その後に行う電解めっきの両方について、ニッケルを採用することが好ましい。
こうして製造されたモールドを具備するナノインプリント法、熱プレス法、射出成型法、UVエンボス法の装置によれば、高精度に微細凹凸突起が形成され、反射防止体に好適な微細構造体を再現性よく安定に大量生産することができる。ナノインプリント法、熱プレス法、射出成型法、UVエンボス法の装置の方式には特に制限はない。
ナノインプリント法の場合、熱可塑性樹脂製の基材に対してナノインプリント用モールドを押圧しながら加熱することで、軟化した樹脂をモールドの微細形状に押入し、その後、基材を冷却してからナノインプリン用モールドを基材から離すことによって、ナノインプリント用モールドに形成されている微細パターンを基材に転写する熱インプリント方式、未硬化の光硬化性樹脂の基材に対してナノインプリント用モールドを押圧し、その後、紫外線を照射して光硬化性樹脂を硬化してからナノインプリン用モールドを基材から離すことによって、ナノインプリント用モールドに形成されている微細パターンを基材に転写する光(UV)インプリント方式が可能である。
熱プレス法の場合、熱可塑性樹脂製の基材に対して熱プレス用モールドを押圧し加熱して樹脂を軟化しモールドの微細形状に樹脂を押入し、その後熱板ごと基材を冷却してから熱プレス用モールドを基材から離型することによって、微細パターンを基材表面に転写した成型品を作製することが可能である。
射出成型法の場合、高温で溶融した樹脂をモールドを備えた射出成型用金型に高圧で射出流入し、その後金型の温度により冷却する工程を経て金型を離型し、モールドに形成されている微細パターンを成型物表面に転写することで成型品を作製できる。
UVエンボス法の場合、微細パターンを表面に持つエンボスロール(モールドを巻きつけるなどで作製)を用意し、UV硬化樹脂を樹脂フィルム基材上に塗工しながら送り、塗工面をエンボスロールに抱かせながらロールを回転しつつUV照射を行うことでUV硬化樹脂を硬化し、硬化後にエンボスロールから樹脂フィルム基材ごとUV硬化樹脂層も離型することによって微細パターンの形状を表面に賦形したフィルムを作製することが可能である。
以上のような手法を用いることで、屈折率傾斜構造となる微細凹凸突起を樹脂板もしくは樹脂フィルム基材の一方の表面に作製することが可能である。本発明の微細発泡拡散体は、光入射面に微細凹凸構造を持つようにするため、実際には微細発泡体表面に光インプリント法またはUVエンボス法で直接樹脂を塗工しながら表面賦形するか、或いは熱インプリント法、熱プレス法、射出成型法で表面賦形した樹脂フィルムまたは樹脂板を独立して作製し、別途作製した微細発泡拡散体と光学用粘着剤などで貼合する方法を用いる。この際、微細発泡拡散体、表面賦形シート、および光学用粘着剤の屈折率は、できるだけ近いものを選択するようにする。
上記いずれの方法によっても、本発明の光学シートは、微細発泡拡散体を主体とし、その片面に光取り込み構造である微細凹凸突起を全面にもつ構成を有し、かつ、該微細発泡拡散層と微細凹凸突起層の間に空気層(ギャップ)がないように作製する。
<光学シート全体の構成>
バックライトユニットの光源と光源の中間点付近は、空気/樹脂界面における光の入射角が大きくなるため、強度反射率が高くなって光の取り込み効率が低下し、散乱角度/強度分布の円の面積が小さくなってしまうという難点がある。しかし、本発明の光学シートは、微細発泡拡散体によって光の散乱角度分布を完全ランバート分布(扁平率0.0)の等方拡散もしくはランバート分布から扁平率0.1までの範囲の偽等方拡散であることを特徴とする拡散特性を備え、かつ光入射面における微細凹凸突起によって入射角の大きな光も取り込めるように工夫してある。その結果、光源と光源の中間点付近でも光の取り込み効率が低下しないため、光源と光源の中間点付近の出射光に関して散乱角度/強度分布の円の面積が小さくなってしまう現象が緩和され、出射面上のどの場所においても散乱角度/強度分布の円の面積を均等にすることができる。このことは、該光学シートによってバックライトユニット光源より発する光の拡散が良好に行われ、光出射面において等方散乱分布の均一な光量が得られることを意味する。なお、屈折率傾斜構造による反射防止構造の特徴の一つとして、反射防止能に入射角依存性がないことを付記する。即ち、通常の塗工式または蒸着式で作製される光学干渉を利用した反射防止層では、反射防止能に入射角依存性があるため、本発明の光学シートの光入射面に施工しても、効果を発揮できないことになる。
以上の構成を採用することにより、(1)同一バックライトユニット内に配置された複数の光源の光量の個体差で輝度均整化が損なわれる、(2)バックライトユニット間の製造ばらつきによる光量の個体差で輝度均整化が損なわれる、(3)熱膨張による光源とパターン印刷部の相対位置のずれで輝度均整化が損なわれる、といった要因による輝度ばらつきを抑えることができる。
<実施例1>
(発泡体シートの作製)
(1)塗布層の形成
分解性化合物として用いられたポリ(tert−ブチルアクリレート)100部に対して、ヨードニウム塩系酸発生剤としてビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート(ミドリ化学製BBI−109)3部を混合し、これを酢酸エチルに溶解して固形分含有量:25%の溶液を調製し、これを塗布液として用いた。この塗布液を、厚さ75μmの透明ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製ルミラーU36)からなる支持体の片面上に、塗布用ギャップ幅150μmのアプリケーターバーを用いてコーティングした。その後、すぐに、温度80℃ の恒温乾燥機内に10分間放置して溶媒を蒸発除去した。薄膜状の無色透明な塗布層がポリエチレンテレフタレート支持体上に形成された。
(2)電子線照射
前記工程(1)により形成された塗布層に、電子線を加速電圧175kV、吸収線量8Mrad、酸素濃度500ppm以下の条件下で照射した。得られた塗布層は、工程(1)後の塗布層と同様に無色透明であった。
(3)熱処理による発泡
工程(2)によって得られた塗布層を、100℃の温度に保持された恒温器内に2分間放置してこれに熱処理を施すことにより発泡した。このとき、塗布層は無色透明から白色に変化して、発泡樹脂層が形成された。すなわち微細気泡を有する薄膜状の発泡樹脂層が形成された。この発泡樹脂層の厚さは35μmであり、これを支持体から剥離して、単独の発泡体シートを得た。
(加熱発泡工程での評価)
得られた発泡樹脂層の平均気泡径を確認するために、その断面を観察した。すなわち、発泡部樹脂層を支持体から剥離し、そのサンプルを液体窒素中で凍結割断し、得られた樹脂層の断面上に金蒸着処理を施し、この金蒸着面を、走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−510)を用いて、100〜50000倍の拡大倍率で観察した。平均気泡径については、発泡樹脂層断面の観察画像から無作為に100個の気泡を選び出し、それらの直径の平均を算出して求めた。
(屈折率傾斜構造のモールドの作製)
ピッチ約230nm、アスペクト比約2.5の偽円錐構造の突起物を6方最密配列で多数配置した構造である屈折率傾斜構造を、マスターウェハ(シリコン製、直径200mm)上に作製し、Ni電鋳法により厚さ150μmのNiモールドを作製した。このようなNiモールドを複数作製しておき、これらを正方形に切断、断面を精密研磨した後、複数のNiモールドを同一面内にタイル状に並べて接合し、屈折率傾斜構造の実効面積を拡大した大型Niモールドを作製した。
(UVエンボス工程による発泡体シートへの屈折率傾斜構造の付与)
この大型Niモールドをロール上に巻きつけてロール金型を作製した。続いて、上述の発泡体シートにUV硬化型アクリル系モノマーを主成分とする樹脂を塗布しながら送り、塗工面がロール金型側になるようにしながらロール金型と接触させ、ロールとUV硬化樹脂が接している間1.5J/cm2の紫外線照射によってモノマーを重合・硬化させた後、発泡体シートをロール金型から剥離し、図3に示す光学シートを得た。このシートの表面には、ピッチ約230nm、アスペクト比2.5の偽円錐構造が形成されていることを走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−510)にて確認した。ピッチおよびアスペクト比については、電子顕微鏡画像から無作為に100個の微細突起を選び出し、それらの直径の平均を算出して求めた。また、UV硬化樹脂の塗工層厚さは、約70μmであった。偽円錐突起による屈折率傾斜構造面の垂直入射光の反射率を反射率測定装置(オーシャンオプティクス社製USB−2000分光計)で測定したところ、可視光波長域(380〜800nm)においてほぼ一定の値が得られ、0.25%以下であった。
(光学シートの光学性能評価)
散乱・光源測定装置(株式会社ジェネシア製、GENESIA/GONIO)を改造して、散乱・光源測定装置内に冷陰極管光源を2箇所設けたバックライトユニット(光源間距離20.5mm、光源と光学シートの距離3.0mm)を作製した。このバックライトユニットは散乱・光源測定装置内で平面方向の位置の微調整が可能で、バックライトユニット上のどの点も散乱・光源測定装置の中心(測定点)に来るようにでき、散乱角度/強度分布を測定することが可能である。
次に、得られた光学シートを微細凹凸突起が光源に対向するように該バックライトユニット上に設置し、該光学シート上に直径1.0mmの穴の開いた黒色シートを被せて、一箇所から出射する光の散乱角度/強度分布を測定できるようにした。
以上の光学測定系を用いて、作製した光学シート上の5箇所(図4に図示)について散乱角度/強度分布を評価した。結果を表1に示す。表1における「散乱角度/強度分布の円グラフの扁平率」は数学楕円の式を実測グラフのカーブに最小二乗法でフィッティングしたのち、該数学楕円の式から求められる扁平率(扁平率=楕円の長軸長さ/楕円の短軸長さ)で算出した。また、表1における「散乱角度/強度分布の円グラフの面積」は該数学楕円の式から求められる面積(面積=円周率×楕円の長軸長さ×楕円の短軸長さ)で算出した。
なお、散乱・光源測定装置の輝度測定単位はADU(Analog to Digital Unit)である。ADUとはCCDのピクセルに溜まった電子の量をデジタル量に変換する際に、電子何個分を1カウントにとるかという係数で、ADU=Ns/Ncで定義される。ただし、CCDで検出された光電子数をNs、AD変換された後のカウント数をNcとする。
<比較例1>
比較例1は、実施例1の発泡体シートの代わりに酸化チタンを含有する拡散シートを用いることを除いて、実施例1と全く同じである。
(拡散シートの作製)
MEK中にPMMA樹脂(分子量15000)100重量部を溶解し、さらにルチル型酸化チタン粒子(平均一次粒子径2.0μm)を2.21重量部混合し、均一に分散して塗布液を作製した。この塗布液を、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製ルミラーU36)からなる支持体の片面上に、塗布用ギャップ幅150μmのアプリケーターバーを用いてコーティングした。その後、すぐに、温度80℃ の恒温乾燥機内に30分間放置して溶媒を蒸発除去した。薄膜状の白色塗布層がポリエチレンテレフタレート支持体上に形成された。塗布層の厚さは34μmであった。溶媒除去後の樹脂層をポリエチレンテレフタレート支持体から剥離して、拡散シートを得た。該拡散シートの片面に、実施例1と同様にして屈折率傾斜構造を付与した。光学性能を評価した結果を表1に示す。
<比較例2>
比較例2は、実施例1の発泡体シートの表面に屈折率傾斜構造を付与しないことを除いて、実施例1と全く同じである。光学性能を評価した結果を表1に示す。
<比較例3>
比較例3は、比較例1の発泡体シートの表面に屈折率傾斜構造を付与しないことを除いて、比較例1と全く同じである。光学性能を評価した結果を表1に示す。
<比較例4>
比較例1は、実施例1の発泡体シート作製で用いる発泡剤の代わりに慣用の発泡剤を用いることを除いて、実施例1と全く同じである。
(発泡体シートの作製)
分解性化合物として用いられたポリ(tert−ブチルアクリレート)100部に対して、化学発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)3部を混合して塗布液を調製し、これを透明ポリエチレンテレフタレートシートからなる支持体上にコーティングした。その後、これを155℃で2分間加熱することによって厚さ35μmの発泡体シートを得た。拡散シートの片面に、実施例1と同様にして屈折率傾斜構造を付与した。光学性能を評価した結果を表1に示す。
Figure 2010145428
実施例1の光学シートは、微細発泡拡散体によって光の散乱角度分布をほぼ完全なランバート分布の等方拡散を備え、かつ光入射面における微細凹凸突起によって入射角の大きな光も取り込めるように工夫してあるため、その散乱角度/強度分布の円の面積が光源と光源の中間点の真上でも小さくならない性質を有することが示された。即ち、本発明の光学シートは、出射面上のどの場所においても散乱角度/強度分布の円の面積を均等にすることができるので、バックライトユニット出射面における輝度均整化に有効であることが分かった。
水面上の単粒子層を基板上に移し取ることで単粒子膜エッチングマスクを作製する工程を表す模式図である。 粒子マスクをドライエッチングして基板上に微細凹凸突起を作製する工程を表す模式図である。 微細発泡体と屈折率傾斜構造による実施例1の光学シートの構成を表す模式図である。 散乱・光源測定装置内に設置した、冷陰極管光源を2箇所有するバックライトユニットと、光学シートの設置位置および光学測定位置を表す模式図である。
符号の説明
1 下層水
2 粒子
3 基板
4 粒子
5 基板
6 発泡体シート
7 屈折率傾斜構造
8 光学シート
9 光源
10 測定位置1
11 測定位置2
12 測定位置3
13 測定位置4
14 測定位置5

Claims (7)

  1. 透明基材の片面から入射する光を拡散して該透明基材の他方の面から射出する光学シートであって、前記透明基材内部に微細発泡による光拡散構造が全面に形成され、光入射面には光取り込み機能を有する微細凹凸構造体が全面に形成されることを特徴とする光学シート。
  2. 放射線エネルギーの作用によって酸を発生する酸発生剤または塩基を発生する塩基発生剤と、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質を分解脱離する分解発泡性官能基を有する分解発泡性化合物とを含有する発泡性組成物を成形体とする成形工程と、前記成形体に放射線エネルギー及び熱エネルギーを付与して発泡させる発泡工程とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の光拡散構造が全面に形成される光学シートの製造方法。
  3. 透明基材内部に形成される微細発泡による光拡散構造は、直径0.1μm〜20μmの気泡が全面に作成されることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
  4. 透明基材内部に形成される微細発泡による光拡散は、完全ランバート分布(扁平率0.0)の等方拡散から扁平率0.1までの偽等方拡散の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
  5. 透明基材の光入射面に作成される光取り込み機能を有する微細凹凸構造体のピッチは、30nm〜380nmの範囲内であり、アスペクト比は0.5〜10.0であり、突起物形状が円錐または角錐、あるいは偽円錐、または偽角錐であることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
  6. 請求項1〜請求項5に記載の光学シートの製造方法。
  7. 請求項1〜請求項5に記載の光学シートを一部に組み込んだことを特徴とする、照明装置、投影装置、看板、画像表示装置。
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KR101246588B1 (ko) 2011-09-02 2013-03-25 도레이첨단소재 주식회사 고차폐 발포성 광학필름, 그의 제조방법 및 그를 구비한 lcd tv용 백라이트 유닛
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