JP2010065095A - 粘着剤、両面粘着シート及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、被着体が変形しても剥離されにくい粘着剤層を形成することができ且つ粘着剤層の厚みを10μm程度まで薄層化させても充分な粘着力を発現する粘着剤を提供する。
【解決手段】 本発明の粘着剤は、GPC法によりポリスチレン換算分子量として測定された重量平均分子量が50万〜150万であるアクリル酸エステル系樹脂、アルコール性水酸基を有し且つ軟化点が140〜170℃である粘着付与樹脂及びテルペンフェノール樹脂を含むと共に、ゲル分率が5〜40重量%であることを特徴とするので、上記粘着剤は、薄い厚みであっても被着体の変形によって発生する剥離応力によって剥離されにくい粘着剤層を形成することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の粘着剤は、GPC法によりポリスチレン換算分子量として測定された重量平均分子量が50万〜150万であるアクリル酸エステル系樹脂、アルコール性水酸基を有し且つ軟化点が140〜170℃である粘着付与樹脂及びテルペンフェノール樹脂を含むと共に、ゲル分率が5〜40重量%であることを特徴とするので、上記粘着剤は、薄い厚みであっても被着体の変形によって発生する剥離応力によって剥離されにくい粘着剤層を形成することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、被着体が変形しても剥離されにくい粘着剤層を形成することのできる粘着剤、該粘着剤からなる粘着剤層を含有してなる両面粘着シート、及び、該両面粘着シートを介して表示パネルとバックライトとが貼着されてなる表示装置に関する。
近年、テレビ、パソコン、携帯電話といった多くの電気機器に液晶表示装置(LCDモジュール)が使用されるようになっている。この液晶表示装置は、液晶パネル、液晶パネルの周辺に配置される駆動回路(ドライバーIC)、液晶パネルの裏側に貼着されるバックライトなどの部材により構成されている。
上記バックライトは、液晶表示装置の光源となる部材であり、バックライト筐体の中に冷陰極管、反射板、導光板、拡散板及びプリズムシートなどの光学シートがこの順に配置されてなる。なお、上記バックライトの表面は、バックライト筐体の開口部から光学シートが露出した状態となっている。
そして、上記液晶表示装置の製造時における液晶パネルとバックライトとの貼着には、厚みや幅を容易に制御でき、簡便に貼着させることができることから、両面粘着シートが用いられている。両面粘着シートによる液晶パネルとバックライトとの貼着方法としては、幅が0.5〜1.0mmとなるように額縁状に打ち抜いた両面粘着シートの裏面をバックライトの表面に、バックライト筐体及び光学シートの双方と接するように貼着する。更に、両面粘着シートの表面を液晶パネルの裏面に貼着する。このようにして、液晶パネルとバックライトとを両面粘着シートを介して貼着させる方法が用いられている。ここで、両面粘着シートは、液晶パネルとバックライトとを貼着させる役割だけでなく、バックライト筐体の開口部から露出している光学シートの位置を固定する役割も併せて有している。
近年、携帯電話などの液晶表示装置搭載機器の小型化、薄型化に伴って、小型・薄型の液晶表示装置が求められるようになっており、液晶表示装置を構成する両面粘着シートにも小型化や薄型化が求められている。
そして、液晶表示装置を構成する部材が、その薄型化によって反りなどの変形を受けやすくなっていることから、液晶表示装置の小型化・薄型化に対応する両面粘着シートとしては、液晶パネルやバックライトの変形に伴って発生する剥離応力に耐えうるものであることが必要である。更に、液晶表示装置の小型化によって液晶パネルとバックライトとの貼着位置の寸法に高い精度が求められていることから、打ち抜き加工の際にかかる剪断力によって変形されにくい両面粘着シートが求められている。
このような液晶表示装置の小型化・薄型化に対応可能な両面粘着シートとしては、特許文献1に、基材の両面に、重量平均分子量が80〜150万のアクリル系共重合体並びに、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル及び石油系樹脂から選択される1種以上の粘着付与樹脂を含有してなる粘着剤層を有する両面粘着テープが提案されている。
しかしながら、上記両面粘着テープは、その粘着剤層の厚みを10μm程度まで薄層化させると、液晶パネルやバックライトの変形に伴って生じる剥離応力によって、剥離され易くなる。更に、打ち抜き加工の際にかかる剪断力によって変形されるという問題も生じる。従って、近年の液晶表示装置の小型化、薄型化に十分対応できるものではなかった。
本発明は、被着体が変形しても剥離されにくい粘着剤層を形成することができ且つ粘着剤層の厚みを10μm程度まで薄層化させても充分な粘着力を発現する粘着剤、該粘着剤からなる粘着剤層を含有してなる両面粘着シート、及び、該両面粘着シートを介して表示パネルとバックライトとが貼着されてなる信頼性に優れた液晶表示装置を提供する。
本発明の粘着剤は、GPC(gel permeation chromatography)法によりポリスチレン換算分子量として測定された重量平均分子量が50万〜150万であるアクリル酸エステル系樹脂、アルコール性水酸基を有し且つ軟化点が140〜170℃である粘着付与樹脂及びテルペンフェノール樹脂を含むと共に、ゲル分率が5〜40重量%であることを特徴とする。
上記粘着剤を構成するアクリル酸エステル系樹脂としては、アクリル酸アルキルエステルモノマーを単独重合してなるアクリル酸アルキルエステル樹脂、メタクリル酸アルキルエステルモノマーを単独重合してなるメタクリル酸アルキルエステル樹脂、二種以上のアクリル酸アルキルエステルモノマーを共重合してなるアクリル酸アルキルエステル樹脂、二種以上のメタクリル酸アルキルエステルモノマーを共重合してなるメタクリル酸アルキルエステル樹脂、アクリル酸アルキルエステルモノマーとメタクリル酸アルキルエステルモノマーとの共重合体、アクリル酸アルキルエステルモノマー又はメタクリル酸アルキルエステルモノマーの何れか一方或いは双方と、これと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体などが挙げられ、アクリル酸アルキルエステルモノマー又はメタクリル酸アルキルエステルモノマーの何れか一方或いは双方と、これと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体が好ましい。
上記アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、特に限定されないが、アルキル基の炭素数が1〜12の一級又は二級のアルキルアルコールと、アクリル酸とのエステル化反応により得られるものが好ましく、具体的には、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルなどが挙げられ、アクリル酸エチルとアクリル酸−n−ブチルとアクリル酸−2−エチルヘキシルとを含有することが好ましい。なお、上記アクリル酸アルキルエステルモノマーは、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
上記アクリル酸エステル系樹脂中におけるアクリル酸エチル成分の含有量は、少ないと、形成される粘着剤層が、被着体の変形に伴って生じる剥離応力によって被着体から剥離し易くなることがあり、多いと、粘着剤の粘度が高くなりすぎて塗工性が低下し、或いは、形成される粘着剤層が硬くなりすぎることがあるので、5〜30重量%が好ましく、8〜25重量%がより好ましい。
上記アクリル酸アルキルエステルモノマー又はメタクリル酸アルキルエステルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーは、アクリル酸アルキルエステルモノマー又はアクリル酸アルキルエステルモノマーの何れか一方或いは双方と、これと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体を改質して、得られる粘着剤の凝集力を高める目的で添加されるものであって、例えば、アクリル酸エステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)を上昇させるもの、アクリル酸エステル系樹脂の主鎖間に架橋構造を形成するのに寄与するものなどが用いられる。
又、上記アクリル酸エステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)を上昇させるビニルモノマーとしては、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシ基含有モノマー;n−メチロールアクリルアミドなどの水酸基含有モノマー;無水マレイン酸、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。ビニルモノマーとしては、アクリル酸エステル系樹脂の分子量の制御に影響を及ぼしにくく、得られる粘着剤の粘着性に優れていることから、アクリル酸が好ましい。
ガラス転移温度を上昇させるビニルモノマー成分の総含有量は、少ないと、得られる粘着剤のガラス転移温度が低くなり過ぎて粘着剤の凝集力が低下することがあり、多いと、得られる粘着剤の粘着力やタックが低下することがあるので、アクリル酸エステル系樹脂中、0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%がより好ましい。
アクリル酸エステル系樹脂の主鎖間に架橋構造を形成するのに寄与するビニルモノマーとしては、特に限定されないが、水酸基含有アクリル酸エステル、水酸基含有メタクリル酸エステルが好ましい。
水酸基含有アクリル酸エステルモノマー又は水酸基含有メタクリル酸エステルの何れか一方或いは双方と、後述するイソシアネート架橋剤とを用いることで、粘着剤のゲル分率を5〜40重量%に調整し易く、耐反発性能と耐剥離性能に優れた粘着剤を得ることができる。
水酸基含有アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピルにカプロラクトンを付加させたものなどが挙げられる。
水酸基含有メタクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピルにカプロラクトンを付加させたものなどが挙げられる。
水酸基含有アクリル酸エステルモノマー成分及び水酸基含有メタクリル酸エステルモノマー成分の総含有量は、アクリル酸エステル系樹脂中、0.01〜0.5重量%が好ましく、0.05〜0.3重量%がより好ましい。
水酸基含有アクリル酸エステルモノマー成分及び水酸基含有メタクリル酸エステルモノマー成分の総含有量が少ないと、粘着剤のゲル分率が上がりにくくなり、粘着剤のゲル分率を適正なゲル分率に調整するのに多量の架橋剤が必要とし、粘着剤の架橋が時間の経過に従って進行し粘着剤の耐反発性が不安定となる。
水酸基含有アクリル酸エステルモノマー成分及び水酸基含有メタクリル酸エステルモノマー成分の総含有量が多いと、粘着剤のゲル分率が上がり易くなり、粘着剤のゲル分率を適正なゲル分率に調整するのに少量の架橋剤で行う必要があり、粘着剤中における架橋剤量のバラツキによるゲル分率の変動が大きくなるため、均一な架橋構造を得ることができないことがあるからである。
更に、上記アクリル酸エステル系樹脂のGPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法によりポリスチレン換算分子量として測定された重量平均分子量は、小さいと、形成される粘着剤層が、被着体の変形に伴って生じる剥離応力によって被着体から剥離し易くなる一方、大きいと、粘着剤の粘着力が低下し、更に、形成される粘着剤層が、被着体の変形に伴って生じる剥離応力によって被着体から剥離し易くなるので、50万〜150万に限定され、50万〜100万が好ましく、55万〜90万がより好ましい。
なお、上記アクリル酸エステル系樹脂のGPC法によりポリスチレン換算分子量として測定された重量平均分子量は、アクリル酸エステル系樹脂をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルターで濾過し、得られた濾液に基づいて、アクリル酸エステル系樹脂のポリスチレン換算分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフによって測定することにより得ることができる。上記ゲルパーミエーションクロマトグラフとしては、例えば、Water社から商品名「2690 Separations Model」で市販されているものなどが使用できる。
そして、上記アクリル酸エステル系樹脂を得るには、アクリル酸アルキルエステルモノマー又はメタクリル酸アルキルエステルモノマーの何れか一方或いは双方を、必要に応じてアクリル酸アルキルエステルモノマー又はメタクリル酸アルキルエステルモノマーの何れか一方或いは双方と共重合可能な他のビニルモノマーと共に、重合開始剤の存在下にてラジカル反応させればよい。なお、重合方法としては、従来公知の方法が用いられ、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などが挙げられる。
そして、上記重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレートなどが挙げられ、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシピバレートが好ましい。なお、上記重合開始剤は単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
本発明の粘着剤には、粘着剤を被着体が変形しても剥離されにくい粘着剤層を形成できるものとするために、アルコール性水酸基を有し且つ軟化点が140〜170℃である粘着付与樹脂が含有される。
上記アルコール性水酸基を有する粘着付与樹脂としては、特に限定されず、例えば、ロジンエステル系樹脂、水素化テルペンフェノール樹脂などが挙げられ、ロジンエステル系樹脂が好ましく、重合ロジンエステル樹脂がより好ましい。
そして、上記ロジンエステル系樹脂とは、アビエチン酸を主成分とするロジン樹脂、不均化ロジン樹脂及び水添ロジン樹脂や、アビエチン酸などの樹脂酸の二量体(重合ロジン樹脂)などを、アルコール類によってエステル化させて得られる樹脂であって、エステル化に用いたアルコール類の水酸基の一部がエステル化に使用されずに樹脂内に含有されてなるものである。ロジン樹脂をエステル化したものがロジンエステル樹脂、不均化ロジン樹脂をエステル化したものが不均化ロジンエステル樹脂、水添ロジン樹脂をエステル化したものが水添ロジンエステル樹脂、重合ロジン樹脂をエステル化したものが重合ロジンエステル樹脂である。
又、上記エステル化に使用されるアルコール類としては、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールが挙げられる。
更に、上記水素化テルペンフェノール樹脂としては、例えば、フェノールの存在下においてテルペンを重合させて得られたテルペンフェノール樹脂を水添処理することによって得られる樹脂が挙げられる。
上記粘着付与樹脂の軟化点は140〜170℃に限定され、145〜165℃が好ましい。粘着付与樹脂の軟化点が140〜170℃であると、本発明の粘着剤を用いた粘着剤層の厚みが薄い場合にあっても、粘着剤層は、優れた粘着力、耐反発性、及び、被着体への変形追従性を発揮する。粘着付与剤の軟化点は、低いと、粘着剤に熱が加わった場合や粘着剤を長時間に亘って使用した場合に、粘着剤の流動性が大きくなり、被着体から剥離し易くなり、高いと、粘着剤が硬くなり、被着体が変形した場合に、本発明の粘着剤を用いた粘着剤層が被着体から剥離し易くなる。なお、粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K2207に準拠して測定されたものをいう。
上記粘着付与樹脂の水酸基価は35以上が好ましく、35〜60がより好ましく、40〜58が特に好ましい。これは、上記粘着付与樹脂の水酸基価が、小さいと、形成される粘着剤層が、被着体の変形に伴って生じる剥離応力によって被着体から剥離し易くなり、大きすぎると、後述のように、イソシアネート系架橋剤を添加して粘着剤を架橋させる場合において、架橋不良が発生することがあるからである。なお、上記粘着付与樹脂の水酸基価はJIS K0070に準拠して測定された値をいう。
そして、上記粘着剤中における粘着付与樹脂の含有量は、少ないと、形成される粘着剤層が、被着体の変形に伴って生じる剥離応力によって被着体から剥離し易くなることがあり、多いと、粘着剤が硬くなって粘着力やタックが低下することがあるので、アクリル酸エステル系樹脂100重量部に対して、5〜40重量部が好ましく、8〜35重量部がより好ましい。
更に、本発明の粘着剤には、粘着力、特にポリカーボネート樹脂に対する粘着力を向上させる目的で、テルペンフェノール樹脂が含有される。上記テルペンフェノール樹脂とは、フェノールの存在下においてテルペンを重合させて得られる樹脂であり、テルペンフェノール樹脂に水添化処理を施してなる水素化テルペンフェノール樹脂は除かれる。これは、上記テルペンフェノール樹脂中の芳香族性を有する環が、粘着力の向上、特にポリカーボネート樹脂に対する相互作用の向上に寄与していると推測されるからである。
なお、上記のように、テルペンフェノール中の芳香族性を有する環が、粘着力の向上、特にポリカーボネート樹脂に対する相互作用の向上に寄与していると推測される。よって、芳香族性を有する環を含有する他の化合物を上記テルペンフェノール樹脂に代替して使用できる可能性も示唆される。
上記テルペンフェノール樹脂の軟化点は、低いと、粘着剤の耐熱性が低下してしまうことがあるので、140℃以上が好ましく、高すぎると、粘着剤が硬くなって粘着力やタックが低下し、更に、形成される粘着剤層が、被着体の変形に伴って生じる剥離応力によって被着体から剥離し易くなることがあるので、145〜170℃がより好ましい。なお、上記テルペンフェノール樹脂の軟化点は、JIS K2207に準拠して測定されたものをいう。
そして、上記粘着剤中におけるテルペンフェノール樹脂の含有量は、少ないと、粘着剤の耐熱性や粘着力が低下することがある一方、多いと、粘着剤が硬くなって粘着力やタックが低下し、更に、形成される粘着剤層が、被着体の変形に伴って生じる剥離応力によって被着体から剥離し易くなることがあるので、アクリル酸エステル系樹脂100重量部に対して、3〜20重量部が好ましく、5〜15重量部がより好ましい。
又、上記粘着剤では、架橋剤を添加して粘着剤を構成する樹脂の主鎖間に架橋構造を形成するのが好ましい。架橋剤の種類や量を適宜、調整することによって、粘着剤のゲル分率を所望の範囲に調整することが容易になる。上記架橋剤としては、特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤などが挙げられ、イソシアネート系架橋剤が好ましい。これは、イソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基と、上述の粘着付与樹脂中のアルコール性水酸基とが反応してウレタン結合が形成される。従って、粘着剤により形成される粘着剤層を、被着体の変形に伴って生じる剥離応力により被着体から剥離されにくいものにすることができるからである。又、上記粘着剤を用いて後述するように両面粘着シートを作製した場合、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤を用いた粘着剤は、基材との密着性に優れているので好ましい。
架橋剤の配合量は、少ないと、粘着剤の架橋が不充分となることがあり、多いと、粘着剤の粘着力やタックが低下することがあるので、アクリル酸エステル系樹脂100重量部に対して0.5〜1.7重量部が好ましく、0.7〜1.5重量部がより好ましい。
即ち、上記粘着剤のゲル分率は、高くても低くても、形成される粘着剤層が被着体の変形に伴って生じる剥離応力によって被着体から剥離し易くなるので、5〜40重量%に限定され、10〜40重量%が好ましく、15〜35重量%がより好ましい。
ここで、上記粘着剤のゲル分率の測定方法としては、後述のようにして得られる両面粘着シートを50mm×100mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製し、この試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、試験片を酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させる。そして、乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式を用いてゲル分率を算出する。なお、上記試験片には、後述のような離型フィルムは積層されていないものとする。
ゲル分率(重量%)=100×(W2−W0)/(W1−W0)
(W0:基材の重量、W1:浸漬前の試験片の重量、W2:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
ゲル分率(重量%)=100×(W2−W0)/(W1−W0)
(W0:基材の重量、W1:浸漬前の試験片の重量、W2:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
又、本発明の粘着剤には、必要に応じて、可塑剤、乳化剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料などの添加剤を添加してもよい。
次に、基材の両面に、上述の粘着剤からなる粘着剤層が積層一体化されてなる両面粘着シートについて説明する。上記基材としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステル系樹脂フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルムなどが挙げられ、ポリエステル系樹脂フィルムが好ましい。なお、上記基材としては、光透過防止のために黒色印刷されたものや、光反射性向上のために白色印刷されたもの、金属蒸着されたものなども用いることができる。
そして、上記基材の厚みは、薄いと、両面粘着シートの機械的強度が低下したり、取扱い性が低下することがある一方、厚いと、両面粘着シートの腰が強くなりすぎて、被着体の形状に沿って密着して貼着させるのが困難になることがあるので、3〜30μmが好ましく、5〜25μmがより好ましい。
又、上記基材の両面に積層一体化されている両側の粘着剤層の厚みは、厚いと、粘着剤層に対して該粘着剤層の面方向に剪断応力が加わった場合に、粘着剤層が変形して、両面粘着シートを用いた接合部位にズレを生じることがあるので、両面の粘着剤層の厚みが共に30μm以下であることが好ましく、薄すぎると、両面粘着シートが、被着体の変形に伴って生じる剥離応力によって被着体から剥離し易くなることがあるので、両面の粘着剤層の厚みが共に10〜25μmであることがより好ましい。
そして、上記両面粘着シートは、その使用前に粘着剤層が別の部材に貼着したり、或いは、粘着剤層に塵埃が付着したりするのを防止するために、通常、粘着剤層の表面には離型フィルムが剥離可能に積層される。上記離型フィルムとしては、上述の基材と同様のフィルムが使用でき、粘着剤層と接する面には離型処理が施されている。
次に、両面粘着シートの製造方法について説明する。両面粘着シートの製造方法としては、例えば、粘着剤に溶剤を加えて粘着剤溶液を作製して、この粘着剤溶液を基材の表面に塗布し、粘着剤溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して粘着剤層を形成する。次に、形成された粘着剤層の上に離型フィルムをその離型処理面が粘着剤層に対向した状態に重ね合わせる。続いて、上記離型フィルムとは別の離型フィルムを用意し、この離型フィルムの離型処理面に上記粘着剤溶液を塗布し、粘着剤溶液中の溶剤を完全に乾燥除去することにより、離型フィルムの表面に粘着剤層が形成された積層フィルムを作製する。この積層フィルムを上記基材の裏面に、粘着剤層が基材の裏面に対向した状態に重ね合わせて積層体を作製する。そして、上記積層体をゴムローラなどによって加圧することによって、基材の両面に粘着剤層が積層一体化され且つ粘着剤層の表面に離型フィルムが剥離可能に積層されてなる両面粘着シートを得る方法が挙げられる。
又、上記と同様の要領で積層フィルムを2組作製し、これらの積層フィルムを基材の両面のそれぞれに、積層フィルムの粘着剤層を基材に対向させた状態に重ね合わせて積層体を作製し、この積層体をゴムローラなどによって加圧することによって、基材の両面に粘着剤層が積層一体化され且つ粘着剤層の表面に離型フィルムが剥離可能に積層されてなる両面粘着シートを製造してもよい。
又、上記粘着剤溶液を基材の表面に塗布し、粘着剤溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して粘着剤層を形成した後、この粘着剤層の上に離型フィルムをその離型処理面が粘着剤層に対向した状態に重ね合わせ、続いて、基材の裏面にも同様の要領で粘着剤層を形成し、粘着剤層の上に離型フィルムをその離型処理面が粘着剤層に対向した状態に重ね合わせることにより、基材の両面のそれぞれに粘着剤層と離型フィルムが積層された積層体を作製し、この積層体をゴムローラなどによって加圧することによって、基材の両面に粘着剤層が積層一体化され且つ粘着剤層の表面に離型フィルムが剥離可能に積層されてなる両面粘着シートを製造してもよい。
又、上記では、シート状に形成された基材の両面に粘着剤層が積層一体化されてなる両面粘着シートについて説明したが、上記両面粘着シートを短冊状に切断することにより、両面粘着テープとして使用することもできる。
本発明の両面粘着シートは、表示装置製造用の両面粘着シートとして使用することができ、具体的には、表示装置の表示パネルとバックライトとを貼着させるのに使用される。次に、本発明の両面粘着シートを用いて表示パネルとバックライトとを一体化させて表示装置を製造する方法について説明する。先ず、バックライト筐体の中に反射板、冷陰極管、導光板、拡散板、プリズムシートをこの順に配置してバックライトを製造する。なお、バックライトのバックライト筐体の開口部からはプリズムシートが露出した状態となっている。なお、表示パネルとしては、液晶表示パネルなどが挙げられる。
そして、額縁状に打ち抜いた両面粘着シートを用意し、この両面粘着シートの裏面をバックライトの表面のバックライト筐体及びプリズムシートの少なくとも一方、好ましくは双方と接するように貼着させる。そして、駆動回路が設けられた表示パネルを用意し、上記両面粘着シートの表面を上記表示パネルの裏面に貼着させることにより、表示パネルとバックライトとが両面粘着シートを介して貼着された表示装置を製造することができる。
本発明の粘着剤は、GPC法によりポリスチレン換算分子量として測定された重量平均分子量が50万〜150万であるアクリル酸エステル系樹脂、アルコール性水酸基を有し且つ軟化点が140〜170℃である粘着付与樹脂及びテルペンフェノール樹脂を含むと共に、ゲル分率が5〜40重量%であることを特徴とする。従って、上記粘着剤は、薄い厚みであっても被着体の変形によって発生する剥離応力によって剥離されにくい粘着剤層を形成することができる。
そして、本発明の両面粘着シートは、その粘着剤層を薄くすることができるので、シートの打ち抜き加工の際に打ち抜き部分に糸曳きが生じて、作業性が低下することがほとんどなく、両面粘着シートを例えば額縁状に打ち抜いて使用する表示装置の製造に好適に使用することができる。
そして、本発明の両面粘着シートは、その粘着剤層が粘着力に優れており粘着剤層を薄くすることができ、両面粘着シート全体の厚みも薄くなっているので、小型の表示装置や、薄型の表示装置を製造する用途に好適に使用することができる。
更に、本発明の表示装置は、その表示パネルとバックライトとの貼着に使用されている両面粘着シートが、表示パネルやバックライトの変形に伴って生じる剥離応力にもかかわらず両者を強固に一体化しており、長期間に亘って優れた品質を維持する。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
〔実施例1〜3、6〜22、比較例1〜6、8〜14〕
(アクリル酸エステル系樹脂の調製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器を用意し、この反応器内に、表1、2に示す所定量のアクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル及びアクリル酸と、表1、2に示す所定量の酢酸エチルとを加えた後、反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤として1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.01重量部を添加し、還流下で重合を開始させた。次に、重合開始から1時間後及び2時間後にも、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを0.01重量部ずつ添加し、更に、重合開始から4時間後にt−ヘキシルパーオキシピバレートを0.05重量部添加して重合反応を継続させた。そして、重合開始から8時間後に、反応器内に酢酸エチルを加えて希釈しながら冷却することにより、固形分30重量%のアクリル酸エステル系樹脂溶液を得た。
(アクリル酸エステル系樹脂の調製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器を用意し、この反応器内に、表1、2に示す所定量のアクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル及びアクリル酸と、表1、2に示す所定量の酢酸エチルとを加えた後、反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤として1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.01重量部を添加し、還流下で重合を開始させた。次に、重合開始から1時間後及び2時間後にも、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを0.01重量部ずつ添加し、更に、重合開始から4時間後にt−ヘキシルパーオキシピバレートを0.05重量部添加して重合反応を継続させた。そして、重合開始から8時間後に、反応器内に酢酸エチルを加えて希釈しながら冷却することにより、固形分30重量%のアクリル酸エステル系樹脂溶液を得た。
〔実施例4、5、比較例7〕
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器を用意し、この反応器内に、表1、2に示す所定量のアクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル及びアクリル酸と、表1、2に示す所定量の酢酸エチルとを加えた後、反応器内に窒素を30分間に亘って吹き込んで、反応器内の空気を窒素置換した。
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器を用意し、この反応器内に、表1、2に示す所定量のアクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル及びアクリル酸と、表1、2に示す所定量の酢酸エチルとを加えた後、反応器内に窒素を30分間に亘って吹き込んで、反応器内の空気を窒素置換した。
次に、上記反応器内に、重合開始剤として1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.01重量部を添加し、70℃で重合を開始した。次に、重合開始から1時間後及び2時間後にも、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを0.01重量部ずつ添加し、更に、重合開始から4時間後にt−ヘキシルパーオキシピバレートを0.05重量部添加して重合反応を継続させた。なお、重合反応中に反応液の粘度が高くなり過ぎた場合には、必要に応じて、反応器内に酢酸エチルを少量添加して反応液を希釈した。そして、重合開始から8時間後に、反応器内に酢酸エチルを加えて希釈しながら冷却することにより、固形分30重量%のアクリル酸エステル系樹脂溶液を得た。
(両面粘着シートの製造)
上記のようにして得られたアクリル酸エステル系樹脂溶液に、アクリル酸エステル系樹脂固形分100重量部に対して、表1、2に示す所定量の、重合ロジンエステル樹脂A(水酸基価:46、軟化点:152℃)、水添ロジンエステル樹脂B(荒川化学社製 商品名「パインクリスタルKE359」、水酸基価:40、軟化点:100℃)、不均化ロジンエステル樹脂C(荒川化学社製 商品名「スーパーエステルA125」、水酸基価:15、軟化点:125℃)、重合ロジンエステル樹脂D(荒川化学社製 商品名「ペンセルD125」、水酸基価:32、軟化点:125℃)、重合ロジンエステル樹脂E(荒川化学社製 商品名「ペンセルD135」、水酸基価:40、軟化点:135℃)、重合ロジンエステル樹脂F(荒川化学社製 商品名「ペンセルD160」、水酸基価:41、軟化点:160℃)、テルペンフェノール樹脂G(ヤスハラケミカル社製 商品名「マイティーエースG150」、軟化点:150℃)、テルペンフェノール樹脂H(ヤスハラケミカル社製 商品名「YSポリスターT130」、軟化点:130℃)、及び、石油樹脂(三井石油化学社製 商品名「FTR6100」、軟化点:100℃)を添加し、酢酸エチルを加えて攪拌し、更に、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製 商品名「コロネートL45」)を表1、2に示す所定量添加して攪拌することにより、固形分20重量%の粘着剤溶液を得た。なお、表1、2中におけるイソシアネート系架橋剤の量は、イソシアネート系架橋剤の固形分の重量部を示す。
上記のようにして得られたアクリル酸エステル系樹脂溶液に、アクリル酸エステル系樹脂固形分100重量部に対して、表1、2に示す所定量の、重合ロジンエステル樹脂A(水酸基価:46、軟化点:152℃)、水添ロジンエステル樹脂B(荒川化学社製 商品名「パインクリスタルKE359」、水酸基価:40、軟化点:100℃)、不均化ロジンエステル樹脂C(荒川化学社製 商品名「スーパーエステルA125」、水酸基価:15、軟化点:125℃)、重合ロジンエステル樹脂D(荒川化学社製 商品名「ペンセルD125」、水酸基価:32、軟化点:125℃)、重合ロジンエステル樹脂E(荒川化学社製 商品名「ペンセルD135」、水酸基価:40、軟化点:135℃)、重合ロジンエステル樹脂F(荒川化学社製 商品名「ペンセルD160」、水酸基価:41、軟化点:160℃)、テルペンフェノール樹脂G(ヤスハラケミカル社製 商品名「マイティーエースG150」、軟化点:150℃)、テルペンフェノール樹脂H(ヤスハラケミカル社製 商品名「YSポリスターT130」、軟化点:130℃)、及び、石油樹脂(三井石油化学社製 商品名「FTR6100」、軟化点:100℃)を添加し、酢酸エチルを加えて攪拌し、更に、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製 商品名「コロネートL45」)を表1、2に示す所定量添加して攪拌することにより、固形分20重量%の粘着剤溶液を得た。なお、表1、2中におけるイソシアネート系架橋剤の量は、イソシアネート系架橋剤の固形分の重量部を示す。
次に、基材となる厚み23μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に上記粘着剤溶液を塗布し、100℃で5分間乾燥させて粘着剤溶液中の酢酸エチルを除去して、表1、2に示した厚みの粘着剤層Aを形成した後、この粘着剤層A上に離型フィルムとなる厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをその離型処理面が粘着剤層Aに対向した状態に剥離可能に重ね合わせた。
続いて、上記粘着剤層A上に重ね合わせたポリエチレンテレフタレートフィルムとは別の、離型フィルムとなる厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、このフィルムの離型処理面に上記粘着剤溶液を塗布し、100℃で5分間乾燥させて粘着剤溶液中の酢酸エチルを除去することにより、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面に表1、2に示した厚みの粘着剤層Bが形成されてなる積層フィルムを作製した。
そして、上記積層フィルムの粘着剤層を、上記基材となるポリエチレンテレフタレートフィルムの裏面に対向させた状態に重ね合わせて積層体を作製し、この積層体上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させた後、23℃で7日間養生することにより、基材の両面に表1、2に示した厚みの粘着剤層A、Bが積層一体化されてなる両面粘着シートを製造した。なお、両面粘着シートの粘着剤層A、B上には厚み50μmの離型フィルムが剥離可能に積層されていた。
次に、上記のようにして得られた粘着剤のゲル分率を上述の要領で測定すると共に、アクリル酸エステル系樹脂の重量平均分子量、並びに、両面粘着シートの粘着力、耐剥離応力、耐反発力、打ち抜き性及び耐剪断力について下記の要領で測定して、その結果を表1、2に示した。
(アクリル酸エステル系樹脂の重量平均分子量)
得られたアクリル酸エステル系樹脂をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過することにより、測定サンプルを調製した。次に、この測定サンプルをゲルパーミエーションクロマトグラフ(Water社製 商品名「2690 Separations Model」)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、アクリル酸エステル系樹脂のポリスチレン換算分子量を測定して、この値をアクリル酸エステル系樹脂の重量平均分子量とした。なお、上記GPC測定において、カラムとして昭和電工社から商品名「GPC LF−804」で市販されているカラムを用い、検出器として示差屈折計を用いた。
得られたアクリル酸エステル系樹脂をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過することにより、測定サンプルを調製した。次に、この測定サンプルをゲルパーミエーションクロマトグラフ(Water社製 商品名「2690 Separations Model」)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、アクリル酸エステル系樹脂のポリスチレン換算分子量を測定して、この値をアクリル酸エステル系樹脂の重量平均分子量とした。なお、上記GPC測定において、カラムとして昭和電工社から商品名「GPC LF−804」で市販されているカラムを用い、検出器として示差屈折計を用いた。
(粘着力)
得られた両面粘着シートを25mm幅の短冊状に裁断して試験片を作製し、この試験片の粘着剤層A上の離型フィルムを剥離除去して粘着剤層を露出させた。続いて、上記試験片をポリカーボネート樹脂板に、その粘着剤層がポリカーボネート樹脂板に対向した状態となるように載せた後、試験片上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより、試験片とポリカーボネート樹脂板とを貼着させ、その後23℃で30分静置して試験サンプルを作製した。そして、この試験サンプルについて、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、粘着力(N/25mm)を測定した。
得られた両面粘着シートを25mm幅の短冊状に裁断して試験片を作製し、この試験片の粘着剤層A上の離型フィルムを剥離除去して粘着剤層を露出させた。続いて、上記試験片をポリカーボネート樹脂板に、その粘着剤層がポリカーボネート樹脂板に対向した状態となるように載せた後、試験片上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより、試験片とポリカーボネート樹脂板とを貼着させ、その後23℃で30分静置して試験サンプルを作製した。そして、この試験サンプルについて、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、粘着力(N/25mm)を測定した。
(耐剥離応力)
図1に示したように、得られた両面粘着シートを20mm幅の短冊状に裁断して試験片1を作製し、この試験片1の表面から離型フィルムを剥離除去して粘着剤層を露出させ、ポリカーボネート樹脂板2上に粘着剤層が対向した状態となるように載せた。
図1に示したように、得られた両面粘着シートを20mm幅の短冊状に裁断して試験片1を作製し、この試験片1の表面から離型フィルムを剥離除去して粘着剤層を露出させ、ポリカーボネート樹脂板2上に粘着剤層が対向した状態となるように載せた。
続いて、上記試験片1の裏面から離型フィルムを剥離除去して、露出した粘着剤層上に厚み23μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した後、上記試験片1の裏面上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより、試験片1とポリカーボネート樹脂板2とを貼着させ、23℃、相対湿度50%の条件下で24時間静置することにより試験サンプル3を作製した。
次に、この試験サンプル3を85℃のオーブンに入れ、図1に示したように、試験サンプル3の試験片1の一端に、この試験片1に貼着面に対して垂直方向に負荷がかかるように50g錘4を取り付けて24時間に亘って静置した後、試験片1がポリカーボネート樹脂板2から剥離した部分の最大長さL(mm)を測定した。
(耐反発力)
図2に示したように、得られた両面粘着シートを横25mm×縦150mmの平面長方形状に裁断して試験片5を作製し、試験片5の両面に設けられている離型フィルムを剥離除去して粘着剤層を露出させた。
図2に示したように、得られた両面粘着シートを横25mm×縦150mmの平面長方形状に裁断して試験片5を作製し、試験片5の両面に設けられている離型フィルムを剥離除去して粘着剤層を露出させた。
しかる後、試験片5の表面に横25mm×縦150mm×厚み0.3mmのアルミニウム板6を、試験片5の裏面に横25mm×縦200mm×厚み1mmのポリカーボネート樹脂板7を重ね合わせた。なお、試験片5がポリカーボネート樹脂板7の長さ方向の中央部に位置するように調整した。
次に、ポリカーボネート樹脂板7上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させて、ポリカーボネート樹脂板7とアルミニウム板6とを試験片5を介して一体化させ、23℃で24時間に亘って静置することにより、試験片5を介してアルミニウム板6がポリカーボネート樹脂板7の縦方向の中央部に貼着一体化されてなる試験サンプル8を作製した。
続いて、図2に示したように、上記試験サンプル8を冶具9にセットし、試験サンプル8の縦方向に曲げ応力を加えることによって試験サンプル8をそのポリカーボネート樹脂板7の長さ方向の両端間の距離が180mmとなるように円弧状に反った状態に変形させ、この状態にて試験サンプル8を85℃のオーブンに入れて24時間に亘って静置した。
しかる後、試験サンプル8を円弧状に反った状態のままオーブンから取り出し、アルミニウム板6とポリカーボネート樹脂板7との間の浮きの高さH(mm)をノギスで測定し、この値を耐反発力の評価の値とした。
ここで、上記試験サンプル8のアルミニウム板6とポリカーボネート樹脂板7との間の浮きの高さH(mm)とは、冶具9の上面に対して垂直方向におけるアルミニウム板6とポリカーボネート樹脂板7との対向面間の間隔が最大値をとる位置を特定し、この位置にて、冶具9の上面に対して垂直方向において、アルミニウム板6とポリカーボネート樹脂板7との対向面間の間隔から試験片5の厚みを減じた値をいう。
(打ち抜き性)
得られた両面粘着シートをカッターナイフで切断し、この切断面同士を突き合わせた状態のまま23℃で3時間に亘って静置した後、切断面同士を手で引き離した。この切断面同士を引き離した際に切断面間で生じた糸曳きの状況を目視観察し、糸曳きが認められなかった場合を○、少し糸曳きが認められた場合を△、糸曳きがひどかった場合を×と評価した。
得られた両面粘着シートをカッターナイフで切断し、この切断面同士を突き合わせた状態のまま23℃で3時間に亘って静置した後、切断面同士を手で引き離した。この切断面同士を引き離した際に切断面間で生じた糸曳きの状況を目視観察し、糸曳きが認められなかった場合を○、少し糸曳きが認められた場合を△、糸曳きがひどかった場合を×と評価した。
(耐剪断力)
得られた両面粘着シートを一辺20mmの平面正方形状に裁断して試験片を作製し、この試験片の表面から離型フィルムを剥離除去して粘着剤層を露出させ、試験片をポリカーボネート樹脂板上に粘着剤層が対向した状態となるように載せた。
得られた両面粘着シートを一辺20mmの平面正方形状に裁断して試験片を作製し、この試験片の表面から離型フィルムを剥離除去して粘着剤層を露出させ、試験片をポリカーボネート樹脂板上に粘着剤層が対向した状態となるように載せた。
続いて、上記試験片の裏面から離型フィルムを剥離除去して、露出した粘着剤層上に厚み23μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した後、上記試験片の裏面上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより、試験片とポリカーボネート樹脂板とを貼着させ、23℃で24時間に亘って静置することにより試験サンプルを作製した。
次に、上記試験サンプルの試験片に錘を取り付け、試験片に該試験片の貼着面に沿った方向に200gの荷重がかかるようにして23℃で3時間に亘って静置した。しかる後、試験片に錘を取り付ける前後において、ポリカーボネート樹脂板上における試験片のずれ長さをルーペを用いて測定した。
実施例1〜5は、アクリル酸エステル系樹脂のモノマー成分の組成が同一であるが、アクリル酸エステル系樹脂の重量平均分子量が異なっている。実施例1は、アクリル酸エステル系樹脂の重量平均分子量が、より好ましい範囲の下限を下回っているため、実施例2〜4と比較して耐剥離応力の値が大きくなっている。実施例3〜5は、より好ましい範囲の上限を上回っているため、実施例1、2と比較して粘着力が劣り、耐反発力の値が大きくなっている。
実施例6、7は、互いにアクリル酸−2−ヒドロキシエチルの量が異なっている。実施例6は、アクリル酸−2−ヒドロキシエチルの量が、より好ましい範囲の下限である。そのため、実施例7よりも架橋剤を多く配合しているにもかかわらず、粘着剤のゲル分率が小さくなっており、好ましい範囲の下限を下回っている。
実施例11〜15は、アクリル酸エチルの量が異なっている。実施例11では、アクリル酸エチルの量が、好ましい範囲を下回っているため、耐剥離応力が大きな値になっている。実施例14、15は、アクリル酸エチルの量が、より好ましい範囲の上限を上回っているため、耐反発力が大きな値になっている。これは、粘着剤層が硬くなっているためと推察される。
実施例16〜18では、ロジンエステルの配合量が異なっている。実施例16、18は、ロジンエステル系樹脂の量が、より好ましい範囲から外れているため、耐反発力の値が大きくなっている。
比較例1、12は、粘着剤のゲル分率が高すぎ、耐反発力の値が大きくなっている。比較例2、6では、アクリル酸エステル系樹脂の重量平均分子量が小さ過ぎて、耐剥離応力が大きな値になっている。
比較例3、4、8、9、13、14は、軟化点が140〜170℃の粘着付与樹脂が配合されていないため、耐剥離応力が大きな値になっている。比較例7は、アクリル酸エステル系樹脂の重量平均分子量が大きすぎて、粘着剤の粘着力が低下し、耐剥離応力が大きな値になっている。比較例11は、ゲル分率が小さすぎ、耐剥離応力が大きな値になっている。比較例10も軟化点が140〜170℃の粘着付与樹脂が配合されていないが、粘着剤層A、Bの厚みが35μmと厚いので、応力分散領域が大きくなるために剥離応力の吸収性が向上し、耐剥離応力が比較例3、4、8、9、13、14と比較して改善されている。
1 ポリカーボネート樹脂板
2 試験片
3 試験サンプル
4 50g錘
5 試験片
6 アルミニウム板
7 ポリカーボネート樹脂板
8 試験サンプル
9 冶具
L 剥離した部分の最大長さ(mm)
H アルミニウム板とポリカーボネート樹脂板との間の浮きの高さ(mm)
2 試験片
3 試験サンプル
4 50g錘
5 試験片
6 アルミニウム板
7 ポリカーボネート樹脂板
8 試験サンプル
9 冶具
L 剥離した部分の最大長さ(mm)
H アルミニウム板とポリカーボネート樹脂板との間の浮きの高さ(mm)
本発明の粘着剤は、薄い厚みであっても被着体の変形によって発生する剥離応力によって剥離されにくい粘着剤層を形成することができる。従って、本発明の粘着剤は、表示装置、特に、小型の表示装置や薄型の表示装置の製造に好適に使用することができる。
Claims (9)
- GPC法によりポリスチレン換算分子量として測定された重量平均分子量が50万〜150万であるアクリル酸エステル系樹脂と、アルコール性水酸基を有し且つ軟化点が140〜170℃である粘着付与樹脂と、テルペンフェノール樹脂とを含み、ゲル分率が5〜40重量%であることを特徴とする粘着剤。
- 粘着付与樹脂がロジンエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤。
- アクリル酸エステル系樹脂のGPC法によりポリスチレン換算分子量として測定された重量平均分子量が50万〜100万であり、且つ、ゲル分率が10〜40重量%であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤。
- アクリル酸エステル系樹脂が、アクリル酸エチル成分を5〜30重量%含有してなることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤。
- アクリル酸エステル系樹脂100重量部に対して、ロジンエステル系樹脂5〜40重量部及びテルペンフェノール樹脂3〜20重量部を含有してなることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤。
- 基材の両面に、請求項1に記載の粘着剤からなる粘着剤層が積層一体化されてなることを特徴とする両面粘着シート。
- 基材の両面に積層一体化された粘着剤層の厚みが共に30μm以下であることを特徴とする請求項6に記載の両面粘着シート。
- 表示装置の製造に使用されることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の両面粘着シート。
- 請求項8に記載の両面粘着シートを介して、表示パネルとバックライトとが貼着されてなることを特徴とする表示装置。
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