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JP2009228530A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

内燃機関の制御装置 Download PDF

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JP2009228530A JP2008073950A JP2008073950A JP2009228530A JP 2009228530 A JP2009228530 A JP 2009228530A JP 2008073950 A JP2008073950 A JP 2008073950A JP 2008073950 A JP2008073950 A JP 2008073950A JP 2009228530 A JP2009228530 A JP 2009228530A
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Eiji Murase
栄二 村瀬
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Toyota Motor Corp
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Abstract

【課題】筒内噴射弁から噴射された燃料噴霧が低温となった吸気バルブの傘部や機関ピストンの頂面に干渉することを抑制し、PMの発生を抑制することのできる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関10は、燃焼室18内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁20と、吸気バルブ31の開弁時期を変更するバルブタイミング変更機構34とを備えている。電子制御装置100は、吸気バルブ31の傘部温度を推定し、推定される吸気バルブ31の傘部温度が判定温度未満であるときには判定温度以上であるときよりも吸気バルブ31の傘部と筒内噴射弁20から噴射された燃料噴霧とが干渉し難くなるように、吸気バルブ31の開弁時期及び筒内噴射弁20の燃料噴射態様の少なくとも一方を変更する。
【選択図】図1

Description

この発明は燃焼室内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁を備えた内燃機関の制御装置に関する。
燃焼室内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁を備える内燃機関が知られている(例えば特許文献1)。こうした内燃機関にあっては、各気筒内に設けられた筒内噴射弁から燃焼室内に直接燃料を噴射することにより、燃焼に供される燃料の量を緻密に制御するとともに、噴射された燃料が気化する際の吸気冷却作用を利用して吸気充填効率を向上させることができる。これにより、排気性状を向上させつつ、機関出力を向上させることができるようになる。
特開2004‐346852号公報
ところで、筒内噴射弁の噴口は気筒内における吸気バルブの傘部近傍に位置するため、噴射された燃料噴霧と開弁した吸気バルブの傘部とが干渉し、同傘部に多量の燃料噴霧が付着することがある。
具体的には図15の中段に斜線で示されるように吸気バルブのリフト量が所定量以上のときには、筒内噴射弁から噴射された燃料噴霧が吸気バルブの傘部に干渉するようになる。本願発明者は吸気バルブの傘部温度が低いときに、このような燃料噴霧の干渉が生じると、図15の下段に示されるように煤等の粒子状物質(以下、PMと称する)が発生しやすくなることを確認した。
また、このように燃料噴霧と吸気バルブの傘部とが干渉してPMが発生する他、燃料噴霧が機関ピストンの頂面に干渉することによっても同様にPMが発生する。すなわち、図15の上段に斜線で示されるようにピストンが上死点近傍にあり、機関ピストンの頂面と筒内噴射弁の噴口との距離が近いときには、筒内噴射弁から噴射された燃料噴霧が機関ピストンの頂面に干渉するようになる。そして、機関ピストンの頂面温度が低いときに、このような燃料噴霧の干渉が生じると、図15の下段に示されるようにPMが発生しやすくなる。
この発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、その目的は筒内噴射弁から噴射された燃料噴霧が低温となった吸気バルブの傘部や機関ピストンの頂面に干渉することを抑制し、PMの発生を抑制することのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、燃焼室内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁と、吸気バルブの開弁時期を変更するバルブタイミング変更機構とを備える内燃機関の制御装置において、前記吸気バルブの傘部温度を推定する傘部温度推定手段と、前記傘部温度推定手段によって推定される前記吸気バルブの傘部温度が判定温度未満であるときには前記吸気バルブの傘部と前記筒内噴射弁から噴射された燃料噴霧とが干渉し難くなるように前記吸気バルブの開弁時期及び前記筒内噴射弁の燃料噴射態様の少なくとも一方を変更する干渉抑制手段とを備えることをその要旨とする。
上記構成によれば、吸気バルブの傘部の温度が高いときには通常の機関運転を行う一方、吸気バルブの傘部の温度が低く、したがって吸気バルブの傘部と燃料噴霧との干渉によってPMが発生しやすい状態にあるときには、吸気バルブの開弁時期及び燃料噴射態様の少なくとも一方を変更することにより吸気バルブの傘部に対する燃料噴霧の干渉を抑制してPMの発生を抑制することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、前記干渉抑制手段は、前記吸気バルブの傘部温度が前記判定温度未満であるときには同判定温度以上であるときよりも前記吸気バルブの開弁時期が遅角されるように前記バルブタイミング変更機構を制御することをその要旨とする。
ところで、燃料噴霧が機関ピストンの頂面に干渉した場合にも吸気バルブに干渉した場合と同様にPMの発生量が増大することとなる。この点、上記構成によれば、吸気バルブの開弁時期を遅角させることにより、機関ピストンの頂面と燃料噴射弁の噴口とが近接する時期と同噴口と吸気バルブの傘部とが近接する時期との期間を長く確保することができ、その期間に燃料噴射を実行することができるようになる。そのため、機関ピストンの頂面と吸気バルブの傘部との双方に対して燃料噴霧が干渉することを抑制することができ、より好適にPMの発生を抑制することができるようになる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、前記干渉抑制手段は、機関運転状態が過渡状態にあり機関回転速度が上昇しているときには燃料噴霧が機関ピストンの頂面に干渉しないことを条件に前記筒内噴射弁の燃料噴射時期を最も進角させることをその要旨とする。
機関回転速度が上昇しているときには、筒内噴射弁から噴射される燃料噴霧が吸気バルブの傘部に干渉しない期間、すなわち吸気バルブのリフト量が燃料噴霧と吸気バルブの傘部とが干渉するリフト量になるまでの期間が次第に短くなる。このため、機関回転速度が上昇しているときには、燃料噴霧と吸気バルブの傘部との干渉が生じないように燃料噴射時期を設定して燃料噴射を開始したとしても、燃料噴射中に機関回転速度が上昇して燃料噴霧が吸気バルブの傘部に干渉してしまうおそれがある。この点、上記請求項3に記載の構成によれば、機関回転速度が上昇しているときには燃料噴霧が機関ピストンの頂面に干渉しないことを条件に燃料噴射時期が最も進角されるようになる。これにより、機関回転速度の上昇に伴って燃料噴射中に吸気バルブのリフト量が干渉の生じるリフト量になるまでの期間が短くなったとしても、干渉の生じるリフト量以上になるまでの間により多くの燃料を噴射して吸気バルブの傘部と噴射される燃料が干渉することによるPMの発生を極力抑制することができるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記干渉抑制手段は、ノッキングの発生を判定するノック判定手段と、同ノック判定手段の判定結果に基づいて燃料のオクタン価を推定するオクタン価推定手段と、同オクタン価推定手段によって推定されるオクタン価が高いときほど前記判定温度が高くなるようにこれを設定する設定手段とを含むことをその要旨とする。
一般に燃料のオクタン価を高くするためには、芳香族炭化水素を含む物質が添加される。そして、こうした芳香族炭化水素を多く含む燃料ほどPMが発生しやすい。この点、上記請求項4に記載の発明によれば、ノック判定手段の判定結果に基づいて燃料のオクタン価を推定し、推定されたオクタン価が高いときほど上記判定温度を高く設定するようにしている。したがってこうした構成によれば、燃料のオクタン価の違いによるPMの発生度合に即した態様で効果的にPMの発生を抑制することができるようになる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関はガソリンとアルコールとを混合したアルコール含有燃料を使用可能な内燃機関であり、前記干渉抑制手段は、燃料に含まれるアルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段と、同アルコール濃度推定手段によって推定されるアルコール濃度が低いときほど前記判定温度が高くなるようにこれを設定する設定手段とを含むことをその要旨とする。
ガソリンは、アルコールよりも燃焼に伴って発生するPMの量が多い。そのため、アルコール含有燃料を使用可能な内燃機関の制御装置にあっては、燃料に含まれるアルコール濃度が低いときほどPMが発生しやすくなる。この点、上記請求項5に記載の発明では、アルコール濃度推定手段によって推定されるアルコール濃度が低いときほど上記判定温度を高く設定するようにしている。こうした構成によれば、アルコールの濃度の違いによるPMの発生度合に即した態様で効果的にPMの発生を抑制することができるようになる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関は電動ウォータポンプを備え、同内燃機関の制御装置は、前記傘部温度推定手段によって推定される前記傘部温度が低いときには高いときよりも前記電動ウォータポンプによる機関冷却水の吐出量を減少させる吐出量制御手段を備えることをその要旨とする。
上記構成によれば、推定される傘部温度が低く、したがって燃料噴霧が吸気バルブの傘部に干渉することによってPMが発生しやすい状態にあるときには、電動ウォータポンプによる機関冷却水の吐出量を減少させるようにしている。これにより、機関温度が上昇しやすくなり、吸気バルブの傘部温度を速やかに上昇させて筒内噴射弁から噴射される燃料噴霧が低温となった吸気バルブの傘部に干渉することを抑制し、PMの発生を抑制することができるようになる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関は、排気通路を流れる排気の一部を吸気通路に再循環させるEGR通路と、同EGR通路を通じて前記吸気通路に再循環する排気の量を調量するEGR弁とを備え、同内燃機関の制御装置は、前記傘部温度推定手段によって推定される前記吸気バルブの傘部温度が低いときには高いときよりも再循環される排気の量が多くなるように前記EGR弁を制御するEGR制御手段を備えることをその要旨とする。
上記構成によれば、推定される吸気バルブの傘部温度が低く、したがって燃料噴霧が吸気バルブの傘部に干渉することによってPMが発生しやすい状態にあるときには、吸気通路に再循環される排気の量を増大させるようにしている。そのため、吸気バルブの温度が低い場合にはより多くの排気が吸気通路に再循環されるようになり、高温の排気によって吸気バルブの傘部が暖められ、その温度が上昇しやすくなる。これにより、吸気バルブの傘部温度をより速やかに上昇させてPMの発生を好適に抑制することができるようになる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関は、排気通路を流れる排気の一部を吸気通路に再循環させるEGR通路と、機関冷却水との熱交換により前記EGR通路を通じて前記吸気通路に再循環する排気を冷却するEGRクーラと、同EGRクーラを流れる機関冷却水の流量を調量する調量弁とを備え、同内燃機関の制御装置は、前記傘部温度推定手段によって推定される前記吸気バルブの傘部温度が低いときには高いときよりも前記EGRクーラを流れる機関冷却水の流量が少なくなるように前記調量弁を制御するEGRクーラ制御手段を備えることをその要旨とする。
上記構成によれば、推定される吸気バルブの傘部温度が低く、したがって燃料噴霧が吸気バルブの傘部に干渉することによってPMが発生しやすい状態にあるときには、EGRクーラを流れる機関冷却水の量が減少されるようになる。そのため、吸気通路に再循環される排気の温度が上昇し、吸気バルブの傘部温度が上昇しやすくなる。これにより、吸気バルブの傘部温度を速やかに上昇させてPMの発生を好適に抑制することができるようになる。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関は、燃焼室に導入される吸気を冷却するインタークーラと、前記インタークーラを迂回して燃焼室に吸気を導入するバイパス通路と、同バイパス通路を流れる吸気の量を調量するバイパス量調量弁とを備え、同内燃機関の制御装置は、前記傘部温度推定手段によって推定される前記吸気バルブの傘部温度が低いときには高いときよりも前記バイパス通路を流れる吸気の量が多くなるように前記バイパス量調量弁を制御するバイパス量制御手段を備えることをその要旨とする。
上記構成によれば、推定される吸気バルブの傘部温度が低く、したがって燃料噴霧が吸気バルブの傘部に干渉することによってPMが発生しやすい状態にあるときには、バイパス通路を流れる吸気の量が増大されるようになり、インタークーラを通じて冷却される吸気の量が減少するようになる。そのため、燃焼室に導入される吸気の温度が上昇し、吸気バルブの傘部温度が上昇しやすくなる。これにより、吸気バルブの傘部温度を速やかに上昇させてPMの発生を好適に抑制することができるようになる。
請求項10に記載の発明は、シリンダヘッドに設けられ燃焼室内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁と、燃焼室の壁面の一部を構成する前記シリンダヘッドの内壁面と上死点における機関ピストンの頂面との距離を変更して圧縮比を変更する圧縮比変更機構とを備える内燃機関の制御装置において、前記機関ピストンの頂面温度を推定する頂面温度推定手段と、同頂面温度推定手段によって推定される前記機関ピストンの頂面温度が判定温度未満のときには同判定温度以上のときよりも前記シリンダヘッドの内壁面と上死点における前記ピストンの頂面との距離が長くなるように前記圧縮比変更機構を制御する干渉抑制手段を備えることをその要旨とする。
上記構成によれば、機関ピストンの頂面温度が低いときには干渉抑制手段によってシリンダヘッドの内壁面と上死点における機関ピストンの頂面との距離が長くなるように圧縮比変更機構が制御される。これにより、シリンダヘッドの内壁面と機関ピストンの頂面との距離が長くなった分だけシリンダヘッドに設けられた筒内噴射弁の噴口と機関ピストンの頂面との距離が長くなり、筒内噴射弁から噴射される燃料噴霧が機関ピストンの頂面に干渉する期間が短くなる。その結果、筒内噴射弁から噴射された燃料噴霧が低温の機関ピストンの頂面に干渉することが抑制され、PMの発生を抑制することができるようになる。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の内燃機関の制御装置において、前記干渉抑制手段は、ノッキングの発生を判定するノック判定手段と、同ノック判定手段の判定結果に基づいて燃料のオクタン価を推定するオクタン価推定手段と、同オクタン価推定手段によって推定されるオクタン価が高いときほど前記判定温度が高くなるようにこれを設定する設定手段とを含むことをその要旨とする。
上述したようにオクタン価が高く、芳香族炭化水素を多く含む燃料ほどPMが発生しやすい。この点、上記請求項11に記載の発明によれば、ノック判定手段の判定結果に基づいて燃料のオクタン価を推定し、推定されたオクタン価が高いときほど上記判定温度を高く設定するようにしている。したがってこうした構成によれば、燃料のオクタン価の違いによるPMの発生度合に即した態様でPMの発生を効果的に抑制することができるようになる。
請求項12に記載の発明は、請求項10又は請求項11に記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関はガソリンとアルコールとを混合したアルコール含有燃料を使用可能な内燃機関であり、前記干渉抑制手段は、燃料に含まれるアルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段と、同アルコール濃度推定手段によって推定されるアルコール濃度が低いときほど前記判定温度が高くなるようにこれを設定する設定手段とを含むことをその要旨とする。
上述したように燃料に含まれるアルコールの濃度が低いときほどPMが発生しやすくなる。この点、上記請求項12に記載の発明では、アルコール濃度推定手段によって推定されるアルコール濃度が低いときほど上記判定温度を高く設定するようにしている。こうした構成によれば、アルコールの濃度の違いによるPMの発生度合に即した態様でPMの発生を抑制することができるようになる。
請求項13に記載の発明は、請求項10〜12のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関は電動ウォータポンプを備え、同内燃機関の制御装置は、前記頂面温度推定手段によって推定される前記機関ピストンの頂面温度が低いときには高いときよりも前記電動ウォータポンプによる機関冷却水の吐出量を減少させる吐出量制御手段を備えることをその要旨とする。
上記構成によれば、推定される機関ピストンの頂面温度が低く、したがって燃料噴霧が機関ピストンの頂面に干渉することによりPMが発生しやすい状態であるときには、電動ウォータポンプによる機関冷却水の吐出量を減少させるようにしている。これにより、機関温度が上昇しやすくなり、機関ピストンの頂面温度を速やかに上昇させて筒内噴射弁から噴射される燃料噴霧が低温となった機関ピストンに干渉することを抑制し、PMの発生を抑制することができるようになる。
請求項14に記載の発明は、請求項10〜13のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関は、排気通路を流れる排気の一部を吸気通路に再循環させるEGR通路と、同EGR通路を通じて前記吸気通路に再循環する排気の量を調量するEGR弁とを備え、同内燃機関の制御装置は、前記頂面温度推定手段によって推定される前記機関ピストンの頂面温度が低いときには高いときよりも再循環される排気の量が多くなるように前記EGR弁を制御するEGR制御手段を備えることをその要旨とする。
上記構成によれば、推定される機関ピストンの頂面温度が低く、したがって燃料噴霧が機関ピストンの頂面に干渉することによるPMの発生が生じやすい状態であるときには、吸気通路に再循環される排気の量を増大させるようにしている。そのため、機関ピストンの頂面温度が低い場合にはより多くの排気が吸気通路に再循環されるようになり、高温の排気によって機関ピストンが暖められ、その頂面温度が上昇しやすくなる。これにより、機関ピストンの頂面温度をより速やかに上昇させてPMの発生を好適に抑制することができるようになる。
請求項15に記載の発明は、請求項10〜13のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関は、排気通路を流れる排気の一部を吸気通路に再循環させるEGR通路と、機関冷却水との熱交換により前記EGR通路を通じて前記吸気通路に再循環する排気を冷却するEGRクーラと、同EGRクーラを流れる機関冷却水の流量を調量する調量弁とを備え、同内燃機関の制御装置は、前記頂面温度推定手段によって推定される前記機関ピストンの頂面温度が低いときには高いときよりも前記EGRクーラを流れる機関冷却水の流量が少なくなるように前記調量弁を制御するEGRクーラ制御手段を備えることをその要旨とする。
上記構成によれば、推定される機関ピストンの頂面温度が低く、したがって燃料噴霧が機関ピストンの頂面に干渉することによるPMの発生が生じやすい状態であるときには、EGRクーラを流れる機関冷却水の量が減少されるようになる。そのため、吸気通路に再循環される排気の温度が上昇し、機関ピストンの頂面温度が上昇しやすくなる。これにより、機関ピストンの頂面温度を速やかに上昇させてPMの発生を好適に抑制することができるようになる。
請求項16に記載の発明は、請求項10〜15のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関は、燃焼室に導入される吸気を冷却するインタークーラと、前記インタークーラを迂回して燃焼室に吸気を導入するバイパス通路と、同バイパス通路を流れる吸気の量を調量するバイパス量調量弁とを備え、同内燃機関の制御装置は、前記頂面温度推定手段によって推定される前記機関ピストンの頂面温度が低いときには高いときよりも前記バイパス通路を流れる吸気の量が多くなるように前記バイパス量調量弁を制御するバイパス量制御手段を備えることをその要旨とする。
上記構成によれば、推定される機関ピストンの頂面温度が低く、したがって燃料噴霧が機関ピストンの頂面に干渉することによるPMの発生が生じやすい状態であるときには、バイパス通路を流れる吸気の量が増大されるようになり、インタークーラを通じて冷却される吸気の量が減少するようになる。そのため、燃焼室に導入される吸気の温度が上昇し、機関ピストンの頂面温度が上昇しやすくなる。これにより、機関ピストンの頂面温度を速やかに上昇させてPMの発生を好適に抑制することができるようになる。
(第1の実施形態)
以下、この発明にかかる内燃機関の制御装置を、筒内噴射弁を備える内燃機関の電子制御装置に具体化した第1の実施形態について、図1〜6を参照して説明する。
図1は本実施形態にかかる電子制御装置100とその制御対象である内燃機関10の概略構成を示している。図1に示されるように内燃機関10のシリンダブロック11に形成された気筒12には、ピストン13が摺動可能に収容されている。そして、ピストン13はコネクティングロッド15を介してクランクシャフト16と連結されている。また、シリンダブロック11には各気筒12を取り囲むように機関冷却水が循環するウォータジャケット14が形成されている。尚、内燃機関10は、電動ウォータポンプ50を備えており、この電動ウォータポンプ50から吐出された機関冷却水がウォータジャケット14内を循環する。
シリンダブロック11の上部にはシリンダヘッド17が組み付けられており、気筒12の内周面、ピストン13の上面及びシリンダヘッド17の内壁面によって燃焼室18が区画形成されている。シリンダヘッド17には、燃焼室18内に突出するように点火プラグ19が設けられているとともに、燃焼室18と連通する吸気ポート21及び排気ポート22が形成されている。そして、吸気ポート21の開口部近傍には燃焼室18内にその先端部が突出するように筒内噴射弁20が設けられている。
吸気ポート21は、図示しない吸気マニホルドと接続されて吸気通路30の一部を形成している。また、排気ポート22は、図示しない排気マニホルドと接続されて排気通路40の一部を形成している。尚、図1に示されるように吸気通路30には、モータ33aによって駆動されて燃焼室18に導入される吸気の量を調量するスロットルバルブ33が設けられている。
図1に示されるようにシリンダヘッド17には、吸気通路30と燃焼室18とを連通・遮断する吸気バルブ31と、排気通路40と燃焼室18とを連通・遮断する排気バルブ41とが設けられている。各バルブ31,41は図示しないバルブスプリングの付勢力によって閉弁方向に常に付勢されている。また、シリンダヘッド17の内部には吸気バルブ31を駆動する吸気カムシャフト32と、排気バルブ41を駆動する排気カムシャフト42がそれぞれ回動可能に支持されている。これら吸気カムシャフト32及び排気カムシャフト42は、図示しないタイミングベルトによりクランクシャフト16と連結されており、クランクシャフト16が1回転するのに伴ってそれぞれ2回転するようになっている。これにより、機関運転時にクランクシャフト16が回転すると、吸気カムシャフト32及び排気カムシャフト42が回転し、吸気カムシャフト32の作用により吸気バルブ31が開弁方向にリフトされ、排気カムシャフト42の作用により排気バルブ41が開弁方向にリフトされる。
また、吸気カムシャフト32には、バルブタイミング変更機構34が設けられている。このバルブタイミング変更機構34は、クランクシャフト16の回転位相に対する吸気カムシャフト32の回転位相を変更することにより、吸気バルブ31の開閉時期を進角又は遅角させるものである。
図1の中央に示されるように吸気通路30には燃焼室18に導入される吸気を冷却するインタークーラ35が設けられている。インタークーラ35には、電動ウォータポンプ50から吐出される機関冷却水の一部が供給され、その内部を流れる吸気と機関冷却水との熱交換により吸気が冷却される。尚、図1に示されるように吸気通路30にはインタークーラ35を迂回するバイパス通路36が設けられている。バイパス通路36には、バイパス量調量弁37が設けられており、機関冷間時等にはこのバイパス量調量弁37を開弁することにより、インタークーラ35を迂回させて吸気を燃焼室18に導入することができるようになっている。
また、図1の左側に示されるように本実施形態の内燃機関10には排気通路40を流れる排気の一部を吸気通路30に再循環させるEGR通路43が設けられている。EGR通路43には吸気通路30に再循環させる排気の量を調量するEGR弁44と、再循環される排気を機関冷却水との熱交換により再循環される排気を冷却するEGRクーラ45とが設けられている。EGRクーラ45には、インタークーラ35と同様に電動ウォータポンプ50から吐出される機関冷却水の一部が供給され、EGRクーラ45の内部を流れる排気と機関冷却水との熱交換により排気が冷却される。
更に内燃機関10には、機関運転状態を検出する各種のセンサが設けられている。例えば、シリンダブロック11に設けられた水温センサ60はウォータジャケット14内の機関冷却水の温度である機関冷却水温THWを検出する。クランクシャフト16の近傍に設けられたクランク角センサ61は機関回転速度NE及びクランク角CAを検出する。図示しないアクセルペダルに設けられたアクセルポジションセンサ62はアクセル操作量ACCPを検出する。スロットルポジションセンサ63はスロットルバルブ33の開度であるスロットル開度TAを検出する。吸気通路30に設けられるエアフロメータ64は燃焼室18に導入される吸入空気量GAを検出する。吸気カムシャフト32の近傍に設けられたカムポジションセンサ65は、吸気カムシャフト32の回転位相に対応した信号を出力する。シリンダブロック11に設けられたノックセンサ66は内燃機関10の振動を検出する。
電子制御装置100は、これら各種センサ60〜66の検出信号を読み込み、各種演算処理を実行し、その結果に基づいて内燃機関10を統括的に制御する。具体的には、クランク角センサ61及びカムポジションセンサ65から入力される検出信号に基づき気筒判別を実行するととともに、クランク角CAに基づいて、各気筒12に対する燃料噴射及び点火を実行する。
また、機関回転速度NE及びアクセル操作量ACCPに基づいてモータ33aを制御することによりスロットルバルブ33を駆動して吸入空気量GAを調量する。また、これと併せて燃料噴射量を設定し、筒内噴射弁20を開弁駆動して燃料噴射量を調量する。また、電子制御装置100は機関回転速度NEや機関負荷KLに基づいてEGR弁44を制御し、燃焼室18に再循環させる排気の量を調量する。更には、機関冷却水温THWに基づいて機関運転に適した機関温度、吸気温度となるように電動ウォータポンプ50の駆動量やバイパス量調量弁37の開弁量を制御する。
ところで、図1に示されるように筒内噴射弁20は気筒12の上部に設けられており、その噴口が吸気バルブ31近傍に位置している。そのため、燃料を噴射する時期によっては筒内噴射弁20から噴射された燃料噴霧が開弁した吸気バルブ31の傘部や上死点近傍にあるピストン13の頂面に干渉してしまう場合がある。
本願発明者は、吸気バルブ31の傘部やピストン13の頂面の温度が低いときにこうした干渉が発生すると、燃焼に伴って煤等の粒子状物質(以下、PMと称する)が発生しやすくなることを確認した。
そこで本実施形態の内燃機関10にあっては、吸気バルブ31の傘部温度THVを推定し、推定される傘部温度THVが低いときには、こうした干渉が発生することを抑制するように吸気バルブ31の開閉時期及び燃料噴射時期を変更する干渉抑制制御を実行する。
以下、この干渉抑制制御について図2を参照して説明する。図2は本実施形態にかかる干渉抑制制御の一連の処理の流れを示すフローチャートである。尚、この処理は機関運転中に電子制御装置100によって所定の制御周期で繰り返し実行される。
図2に示されるように、この処理が開始されると電子制御装置100は、まずステップS100において機関冷却水温THW及び吸入空気量GAを読み込む。そして、ステップS110においてこれら機関冷却水温THW及び吸入空気量GAに基づいて吸気バルブ31の傘部温度THVを推定する。具体的には、機関温度を代表する機関冷却水温THWに基づいて基本温度を算出するとともに、吸入空気量GAに基づいて燃焼室18内の燃焼熱を推定し、この燃焼熱による温度変化を考慮した補正を行うことによって傘部温度THVを推定する。
こうして傘部温度THVを推定すると、ステップS120へと進み、ノックセンサ66によって検出される内燃機関10の振動強度とその発生頻度に基づいて行われているノック判定の結果に基づいて燃料のオクタン価を推定する。具体的には、ノック判定に伴って積算されている内燃機関10の振動強度の統計分布を参照してノッキングの発生頻度を推定し、このノッキングの発生頻度に基づいて図3に示されるような演算マップを参照して燃料のオクタン価を推定する。この演算マップは、予め行う実験等の結果に基づいて図3に示されるようにノッキングの発生頻度が高いときほどオクタン価が低い旨の推定がなされるよう設定されている。
ステップS120において、燃料のオクタン価を推定すると、ステップS130へと進み、推定された燃料のオクタン価に基づいて判定温度THVjdgを設定する。ここでは、オクタン価の値に対応する判定温度THVjdgの値が設定された演算マップを参照して判定温度THVjdgを算出する。この演算マップにあっては、図4に示されるようにオクタン価が高いときほど判定温度THVjdgが低い値に設定されるようになっている。尚、判定温度THVjdgは、筒内噴射弁20から噴射される燃料噴霧が吸気バルブ31の傘部に干渉することによってPMが発生するようになる傘部温度THVの最高値に基づいて設定されている。そのため、傘部温度THVがこの判定温度THVjdg未満であることに基づいて筒内噴射弁20から噴射される燃料噴霧が吸気バルブ31の傘部に干渉することによってPMが発生しやすい状態である旨を判断することができる。
こうして推定されたオクタン価に基づいて判定温度THVjdgを設定すると、ステップS140へと進み、ステップS110において推定された傘部温度THVが、ステップS130において設定された判定温度THVjdg未満であるか否かを判定する。
ステップS140において、傘部温度THVが判定温度THVjdg未満である旨の判定がなされた場合(ステップS140:YES)には、ステップS150へと進み、バルブタイミング変更機構34を駆動して、クランクシャフト16の回転位相に対する吸気カムシャフト32の回転位相を変更し、吸気バルブ31の開閉時期を遅角させる。
こうして吸気バルブ31の開閉時期を遅角させると、ステップS160へと進み、機関回転速度NEが上昇中であるか否かを判定する。ここでは、前回の制御周期における機関回転速度NE(i−1)と今回の制御周期における機関回転速度NE(i)とを比較し、今回の制御周期における機関回転速度NE(i)が前回の制御周期における機関回転速度NE(i−1)よりも所定量以上大きいことに基づいて機関回転速度NEが上昇中である旨を判定する。ステップS160において、機関回転速度NEが上昇中ではない旨の判定がなされた場合(ステップS160:NO)には、ステップS170へと進む。
ステップS170では、筒内噴射弁20の噴口とピストン13の頂面とが燃料噴霧が干渉しない程度まで離間する時期と、吸気行程において吸気バルブ31のリフト量が燃料噴霧の干渉が生じ始めるリフト量になる時期とを算出し、これらに基づいて燃料噴射時期を設定する。尚、これらの時期の算出は燃料噴射圧等によって決まる燃料噴霧の貫徹力と、筒内噴射弁20の向き等の内燃機関10の諸元に基づいて算出することができる。また、筒内噴射弁20の噴口とピストン13の頂面とが燃料噴霧が干渉しない程度まで離間する時期と、吸気行程において吸気バルブ31のリフト量が燃料噴霧の干渉が生じ始めるリフト量になる時期との間の期間にあっては、燃料噴霧がピストン13及び吸気バルブ31のいずれとも干渉しないため、以下の説明ではこの期間を非干渉期間と称する。
このステップS170では、この非干渉期間の中央で燃料噴射が実行されるように、燃料噴射時期を設定する。こうした態様で燃料噴射時期を設定することにより、ピストン13の頂面及び吸気バルブ31の傘部が筒内噴射弁20の噴口から最も離間した状態で燃料噴射が実行されるようになる。
こうして非干渉期間の中央に燃料噴射時期を設定すると、電子制御装置100はこの処理を一旦終了する。
一方、ステップS160において、機関回転速度NEが上昇中である旨の判定がなされた場合(ステップS160:YES)には、ステップS180へと進み、燃料噴射時期を上記非干渉期間における最進角時期に設定する。すなわち、燃料噴霧とピストン13の頂面とが干渉しない範囲で燃料噴射時期を最も進角させ、燃料噴射開始時期を非干渉期間における最進角時期に設定する。こうして燃料噴射時期を非干渉期間における最進角時期に設定すると、電子制御装置100はこの処理を一旦終了する。
一方で、ステップS140において、傘部温度THVが判定温度THVjdg以上である旨の判定がなされた場合(ステップS140:NO)には、ステップS150〜180をスキップして吸気バルブの開弁時期の遅角、燃料噴射時期の変更を行わずにそのままこの処理を終了し、通常の機関運転を行う。
上記干渉抑制制御の作用について図5を参照して説明する。尚、図5はピストン13の位置及び吸気バルブ31のリフト量と、燃料噴射時期との関係を示すタイミングチャートである。
上記干渉抑制制御において、推定される吸気バルブ31の傘部温度THVが判定温度THVjdg未満である旨の判定がなされた場合には、図5の中段に示されるように吸気バルブ31の開閉時期が遅角される。そのため、吸気バルブ31のリフト量が燃料噴霧と吸気バルブ31の傘部とが干渉し始めるリフト量Yになる時期がクランク角CA2まで遅角される。これにより、ピストン13の位置が燃料噴霧とピストン13の頂面とが干渉しなくなる位置Xまで降下する時期に対応するクランク角CA1からこのクランク角CA2までの期間すなわち非干渉期間が長くなる。
そして、機関回転速度NEが上昇中ではない旨の判定がなされているときには、図5の下段に矢印Aで示されるように燃料噴射時期がこの非干渉期間の中央に設定される。一方で、機関回転速度NEが上昇中である旨の判定がなされているときには、矢印Bで示されるように燃料噴霧とピストン13の頂面とが干渉しない範囲で燃料噴射時期が最進角されてクランク角CA1に設定される。
このように上記干渉抑制制御を実行することにより、推定される傘部温度THVが判定温度THVjdg未満である旨の判定がなされた場合には吸気バルブ31の開閉時期が遅角されて非干渉期間が延長され、この非干渉期間において燃料噴射が実行されるようになる。
また、本実施形態の内燃機関10にあっては、こうした干渉抑制制御と並行して吸気バルブ31の傘部温度THVを速やかに上昇させるための昇温制御を実行するようにしている。
以下、この昇温制御について図6を参照して説明する。尚、図6は昇温制御の一連の処理の流れを示すフローチャートである。この処理は上述したように機関運転中に干渉抑制制御と並行して電子制御装置100によって繰り返し実行される。
図6に示されるようにこの処理が開始されると電子制御装置100はまずステップS200において、上述した干渉抑制制御におけるステップS140と同様に推定された傘部温度THVが判定温度THVjdg未満であるか否かを判定する。
ステップS200において、傘部温度THVが判定温度THVjdg未満である旨の判定がなされた場合(ステップS200:YES)には、ステップS210へと進む。
ステップS210では、電動ウォータポンプ50の駆動量を傘部温度THVが判定温度THVjdg以上であるときの駆動量よりも所定量だけ小さい値に設定し、電動ウォータポンプ50の吐出量を減少させる。そして、ステップS220へと進み、EGR弁44の開度を機関回転速度NE及び機関負荷KLに基づいて設定される値よりも所定量だけ大きい値に設定し、燃焼室18に再循環させる排気の量を増大させる。
そして、ステップS230では、バイパス量調量弁37の開度を傘部温度THVが判定温度THVjdg以上であるときの開度よりも所定量だけ大きい値に設定し、インタークーラ35を迂回して燃焼室18に供給される吸気の量、すなわち吸気のバイパス量を増大させる。こうして吸気のバイパス量を増大させると、電子制御装置100はこの処理を一旦終了する。
一方、ステップS200において、傘部温度THVが判定温度THVjdg以上である旨の判定がなされた場合(ステップS200:NO)には、ステップS210〜230をスキップしてこの処理を一旦終了する。
こうした昇温制御を実行することにより、推定される吸気バルブ31の傘部温度THVが判定温度THVjdg未満のときには、ステップS210〜230の処理が実行され、このステップS210〜230の処理を通じて吸気バルブ31の傘部温度THVが昇温されるようになる。
以上説明した第1の実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)推定される吸気バルブ31の傘部温度THVが判定温度THVjdg未満であり、吸気バルブ31の傘部と燃料噴霧との干渉によってPMが発生しやすい状態にある旨推定されるときには、干渉抑制制御を通じて吸気バルブ31の傘部と筒内噴射弁20から噴射された燃料噴霧とが干渉し難くなるように吸気バルブ31の開弁時期及び燃料噴射態様が変更される。これにより、吸気バルブ31の傘部に対する燃料噴霧の干渉を抑制してPMの発生を抑制することができるようになる。
(2)吸気バルブ31の開弁時期を遅角させることにより、ピストン13の頂面と筒内噴射弁20の噴口とが近接する時期(図5におけるクランク角CA1)と同噴口と吸気バルブ31の傘部とが近接する時期(図5におけるクランク角CA2)との期間、すなわち図5に示される非干渉期間を長く確保することができる。そして、この期間に燃料噴射を実行することができるようになる。そのため、ピストン13の頂面と吸気バルブ31の傘部との双方に対して燃料噴霧が干渉することを抑制することができ、より好適にPMの発生を抑制することができるようになる。
(3)機関回転速度NEが上昇しているときには、筒内噴射弁20から噴射される燃料噴霧が吸気バルブ31の傘部に干渉しない期間、すなわち吸気バルブ31のリフト量が燃料噴霧と吸気バルブ31の傘部とが干渉するリフト量Yになるまでの期間(図5におけるクランク角CA2までの期間)が次第に短くなる。このため、機関回転速度NEが上昇しているときには、燃料噴霧と吸気バルブ31の傘部との干渉が生じないように燃料噴射時期を設定して燃料噴射を開始したとしても、燃料噴射中に機関回転速度NEが上昇して燃料噴霧が吸気バルブ31の傘部に干渉してしまうおそれがある。この点、上記第1の実施形態の内燃機関10では、機関回転速度NEが上昇しているときには燃料噴霧がピストン13の頂面に干渉しないことを条件に燃料噴射時期が最も進角されてクランク角CA1に設定されるようになる。これにより、機関回転速度NEの上昇に伴って燃料噴射中に吸気バルブ31のリフト量が干渉の生じるリフト量Yになるまでの期間が短くなったとしても、干渉の生じるリフト量以上になるまでの間により多くの燃料を噴射して吸気バルブ31の傘部と噴射される燃料が干渉することによるPMの発生を極力抑制することができる。
(4)一般に燃料のオクタン価を高くするためには、芳香族炭化水素を含む物質が添加される。そして、こうした芳香族炭化水素を多く含む燃料ほどPMが発生しやすい。この点、上記第1の実施形態の内燃機関10では、ノック判定の判定結果を参照してノッキングの発生頻度から燃料のオクタン価を推定し、推定されたオクタン価が高いときほど判定温度THVjdgを高く設定するようにしている。したがってこうした構成によれば、燃料のオクタン価の違いによるPMの発生度合に即した態様で効果的にPMの発生を抑制することができるようになる。
(5)推定される傘部温度THVが判定温度THVjdg未満であり、燃料噴霧が吸気バルブ31の傘部に干渉することによってPMが発生しやすい状態にあるときには、電動ウォータポンプ50による機関冷却水の吐出量を減少させるようにしている。これにより、機関温度が上昇しやすくなり、吸気バルブ31の傘部温度THVを速やかに上昇させて筒内噴射弁20から噴射される燃料噴霧が低温となった吸気バルブ31の傘部に干渉することを抑制し、PMの発生を抑制することができるようになる。
(6)推定される傘部温度THVが判定温度THVjdg未満であり、燃料噴霧が吸気バルブ31の傘部に干渉することによってPMが発生しやすい状態にあるときには、EGR弁44の開度を増大させて吸気通路30に再循環される排気の量を増大させるようにしている。そのため、吸気バルブ31の傘部温度THVが低い場合にはより多くの排気が吸気通路30に再循環されるようになり、高温の排気によって吸気バルブ31の傘部が暖められ、傘部温度THVが上昇しやすくなる。これにより、吸気バルブ31の傘部温度THVをより速やかに上昇させてPMの発生を好適に抑制することができるようになる。
(7)推定される傘部温度THVが判定温度THVjdg未満であり、燃料噴霧が吸気バルブ31の傘部に干渉することによってPMが発生しやすい状態であるときには、バイパス量調量弁37の開度が増大されてバイパス通路36を流れる吸気の量が増大されるようになり、インタークーラ35を通じて冷却される吸気の量が減少するようになる。そのため、燃焼室18に導入される吸気の温度が上昇し、吸気バルブ31の傘部温度THVが上昇しやすくなる。これにより、吸気バルブ31の傘部温度THVを速やかに上昇させてPMの発生を好適に抑制することができるようになる。
尚、上記第1の実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第1の実施形態では、傘部温度推定手段として機関冷却水温THWと吸入空気量GAとに基づいて傘部温度THVを推定する方法を例示したが、傘部温度THVを推定する方法は適宜変更することができる。例えば、吸気バルブ31に温度センサを設け、これによって検出される温度に基づいて傘部温度THVを推定する構成を採用することもできる。
・図6を参照して説明した昇温制御にあっては、ステップS200において判定温度THVjdgを閾値として、傘部温度THVが判定温度THVjdg未満であるか否かを判定し、傘部温度THVが判定温度THVjdg未満であるときに傘部温度THVを昇温させる各種の処理を実行することとした。これに対して、傘部温度THVを昇温させるための各種処理を実行するための閾値は、判定温度THVjdgに限定されるもではない。すなわち、昇温制御は、傘部温度THVが低く、したがって燃料噴霧が吸気バルブ31の傘部に干渉することによってPMが発生しやすい状態であるときに傘部温度THVを昇温させる各種制御を実行するものであればよい。そのため、上記閾値は燃料噴霧が傘部に干渉することによってPMが発生しやすい状態であることを推定することのできる値であればよい。
・また上記昇温制御は、吸気バルブ31の傘部温度THVを昇温させる昇温制御の一例であり、吸気バルブ31の傘部温度THVを昇温させるための各種の処理、すなわちステップS210〜230に相当する処理は適宜変更することができる。例えば、EGRクーラ45を流れる機関冷却水の流量を調量する調量弁を設け、推定される吸気バルブ31の傘部温度THVが低いときには高いときよりもEGRクーラ45を流れる機関冷却水の流量が少なくなるようにこの調量弁を制御する構成を更に追加することもできる。こうした構成によれば、推定される吸気バルブ31の傘部温度THVが低く、したがって燃料噴霧が吸気バルブ31の傘部に干渉することによってPMが発生しやすい状態にあるときには、EGRクーラ45を流れる機関冷却水の量が減少されるようになる。そのため、吸気通路30に再循環される排気の温度が上昇し、吸気バルブ31の傘部温度THVが上昇しやすくなる。これにより、吸気バルブ31の傘部温度THVを速やかに上昇させてPMの発生を好適に抑制することができるようになる。
・また、上記昇温制御におけるステップS210、S220、S230の処理をそれぞれ省略する等してその内容を変更することもできる。
・更には上記昇温制御を省略し、干渉抑制制御のみを実行する構成を採用することもできる。こうした構成を採用した場合には、吸気バルブ31の傘部温度THVを速やかに昇温させてPMの発生を抑制する効果を得ることはできないが、少なくとも干渉抑制制御によって燃料噴霧とピストン13の頂面及び吸気バルブ31の傘部とが干渉することを抑制し、PMの発生を抑制することができる。
・干渉抑制制御において機関回転速度NEが上昇中であるときには、燃料噴射時期を燃料噴霧とピストン13の頂面とが干渉しない範囲で最も進角させる構成を示したが、こうした構成を省略することもできる。
・また、上記第1の実施形態では、機関回転速度NEが上昇中でないときには、燃料噴射時期を非干渉期間の中央に設定する構成を示した。これに対して、非干渉期間中に燃料を噴射するように燃料噴射時期を設定する構成であればピストン13の頂面及び吸気バルブ31の傘部の双方との干渉を抑制することができるため、燃料噴射時期の設定は非干渉期間中であれば任意の時期に設定することができる。例えば、機関回転速度NEが上昇中であるか否かにかかわらず、常に燃料噴射時期を燃料噴霧とピストン13の頂面とが干渉しない範囲で最も進角側の時期に設定する構成を採用することもできる。
・上記第1の実施形態では干渉抑制制御において、燃料のオクタン価を推定し、オクタン価が高いときほど判定温度THVjdgが高くなるように同判定温度THVjdgを設定する構成を示した。これに対して、例えば、ガソリンとアルコールとを混合したアルコール含有燃料を使用可能な内燃機関にあっては、燃料に含まれるアルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段を設け、推定されるアルコール濃度が低いときほど判定温度THVjdgが高くなるようにこれを設定する構成を採用することもできる。
ガソリンは、アルコールよりも燃焼に伴って発生するPMの量が多い。そのため、アルコール含有燃料を使用可能な内燃機関にあっては、燃料に含まれるアルコール濃度が低いときほどPMが発生しやすくなる。この点、上記のように推定されるアルコール濃度が低いときほど判定温度THVjdgを高く設定する構成によれば、アルコールの濃度の違いによるPMの発生度合に即した態様で効果的にPMの発生を抑制することができるようになる。尚、アルコール濃度を推定する手段としては、燃料に含まれるアルコール濃度を直接検出するアルコール濃度センサを設ける構成の他、アルコールを燃焼させる場合とガソリンを燃焼させる場合との空燃比の違いを利用して空燃比フィードバック制御の結果に基づいてアルコール濃度を推定する構成等を採用することができる。
・上記実施形態では、非干渉期間内に燃料噴射時期を設定して1回の燃料噴射を実行する構成を示したが、2回以上に分割して燃料噴射を実行する構成を採用することもできる。こうした構成を採用する場合には、分割された燃料噴射のうち少なくとも1回の燃料噴射が非干渉期間内において実行されるものであればよい。また、燃料噴霧と吸気バルブ31の傘部との干渉を極力抑制する上では、吸気バルブ31のリフト量が燃料噴霧と干渉するリフト量Y以上になる期間を避けて燃料噴射時期を設定し、非干渉期間以降に行う燃料噴射の時期を図5におけるクランク角CA3以降に設定することが望ましい。
・上記実施形態では、非干渉期間(クランク角CA1〜CA2の期間)において燃料噴射が実行されるように燃料噴射時期を設定し、ピストン13の頂面及び吸気バルブ31の傘部の双方と燃料噴霧とが干渉することを抑制する構成を示した。これに対して、少なくとも吸気バルブ31のリフト量がリフト量Y以上になるまでの期間、すなわちピストン13の頂面と燃料噴霧とが干渉する期間(クランク角CA1以前の期間)を含むクランク角CA2以前の期間に燃料噴射時期を設定する構成を採用することもできる。こうした構成を採用した場合であっても、燃料噴霧が吸気バルブ31に干渉することは抑制することができる。
・上記実施形態では、吸気バルブ31の開弁時期を変更するバルブタイミング変更機構としてクランクシャフト16の回転位相に対する吸気カムシャフト32の回転位相を変更することにより吸気バルブ31の開閉時期を変更するバルブタイミング変更機構34を例示した。これに対して、こうしたバルブタイミング変更機構34に加え、吸気バルブ31のリフト量及びリフト期間を変更するリフト量変更機構を更に備え、これらを協働させることにより吸気バルブ31の開弁時期、閉弁時期、リフト量、リフト期間をそれぞれ変更することのできる構成を採用することもできる。こうした構成を採用した場合には、開弁時期のみを変更することもできるようになる。また、バルブタイミング変更機構34に換えて、吸気バルブ31のリフト量及びリフト期間を変更するリフト量変更機構のみを設け、リフト期間を短くすることにより、開弁時期を遅角させて燃料噴霧と吸気バルブ31の傘部との干渉を抑制する構成を採用することもできる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、図7〜14を参照して説明する。尚、本実施形態にかかる内燃機関10は、第1の実施形態にかかる内燃機関10に圧縮比変更機構200を追加したものであり、その基本的な構成は第1の実施形態にかかる内燃機関10と同様であるため、以下では同様の構成については同一の符号を付すのみとしてその説明を割愛し、圧縮比変更機構200の構成を中心に説明する。
図7は、本実施形態にかかる内燃機関10のシリンダブロック11に設けられる圧縮比変更機構200の分解斜視図である。図7に示されるように本実施形態にかかる内燃機関10のシリンダブロック11は、アッパケース11aとロアケース11bとに分割されている。アッパケース11aの下部にはそれぞれにカム収容孔202が形成された複数の隆起部201が形成されている。
ロアケース11bには、ロアケース11bとアッパケース11aとを組み合わせた際に隆起部201の間に位置するように複数の立壁部203が形成されている。各立壁部203の表面には半円形の凹部が形成されており、各立壁部203には、キャップ204がボルトによって取り付けられる。このキャップ204には立壁部203と同様の半円形の凹部が形成されており、各立壁部203にキャップ204を取り付けると、これら半円形の凹部によって円形の軸受収容孔205が形成される。尚、軸受収容孔205の形状は、上述したカム収容孔202と同一である。
アッパケース11aとロアケース11bとを組み合わせることによって、カム収容孔202と軸受収容孔205とが連結されて一対の連通孔となる。こうして連結されたカム収容孔202及び軸受収容孔205には、カム軸206が挿入される。カム軸206は、図7に示されるように軸部206aと、これに交互に外挿されるカム部206b及び可動軸受部206cとによって構成されている。円形のカム部206bは軸部206aの中心軸に対して偏心された状態で軸部206aに固定されており、可動軸受部206cはカム部206bと同一の形状を有し軸部206aに対して回動自在に取り付けられている。尚、シリンダブロック11の左右両端に配設される各カム軸206は鏡像の関係を有している。
また、カム軸206の端部には、ギア207が取り付けられる取付部206dが形成されている。軸部206aの中心軸と取付部206dの中心軸とは偏心しており、全てのカム部206bの中心軸と取付部206dの中心軸とは一致している。
可動軸受部206cも、軸部206aに対して偏心されておりその偏心量はカム部206bと等しくなっている。カム軸206を構築する際には、先端側に位置する一つのカム部206bが予め一体的に結合された状態でカム軸206が製造され、これに可動軸受部206cと他のカム部206bとが外挿される。そして、カム部206bのみがビスなどで軸部206aに固定される。
各カム軸206において、複数のカム部206bの偏心方向は同一であり、可動軸受部206cの外形状はカム部206bと同一の円形であるため、可動軸受部206cを回転させることで、複数のカム部206bの外周面と複数の可動軸受部206cの外周面とを一致させることができる。
そして、アッパケース11aとロアケース11bとを組み合わせて複数のカム収容孔202と複数の軸受収容孔205とを連結させることにより形成される連通孔にこのカム軸206を挿入することにより、アッパケース11aとロアケース11bとが連結される。尚、カム軸206をアッパケース11a及びロアケース11bに対して配置させた後にキャップ204を取り付けるようにすることもできる。
アッパケース11aは、ロアケース11bに対して気筒12の中心軸延伸方向にスライド可能であるが、両者の摺動面には、気筒12とピストン13との間の気密を確保するピストンリングのような部材を設け、気密性を確保するようにしている。
図7の左側に示されるように各カム軸206の取付部206dにはギア207がボルトで固定されている。一対のカム軸206の端部に固定された一対のギア207には、それぞれウォームギア208a,208bが噛み合っている。そして、このウォームギア208a,208bはモータ209の出力軸に取り付けられている。ウォームギア208a,208bは、互いに逆方向の螺旋溝を有しているため、モータ209を回転させることにより、一対のカム軸206はギア207を介して互いに逆方向に回転する。
このように構成された圧縮比変更機構200を図8に示す。図8に示されるように本実施形態の内燃機関10にあっては、シリンダブロック11をアッパケース11aとロアケース11bとによって構成し、これらアッパケース11aとロアケース11bとの間に圧縮比変更機構200を設けている。本実施形態の内燃機関10にあっては、この圧縮比変更機構200を駆動することにより、アッパケース11aとロアケース11bとを気筒12の中心軸延伸方向にスライドさせてアッパケース11aの上部に取り付けられるシリンダヘッド17と上死点におけるピストン13との距離Dを変更することによって圧縮比を変更する。
以下、圧縮比を変更する方法について図9〜11を参照して詳しく説明する。尚、図9〜11は、圧縮比変更機構200による圧縮比の変更態様を示すシリンダブロック11の断面図である。図9〜11にあっては、説明の便宜上、点火プラグ19や吸気バルブ31,排気バルブ41等を図示していない。
尚、図9は上死点におけるピストン13の頂面と、燃焼室18の壁面を構成するシリンダヘッド17の内壁面との距離Dが最も短い状態、すなわち圧縮比が最も大きい状態を示している。図11は上死点におけるピストン13の頂面と、シリンダヘッド17の内壁面との距離Dが最も長い状態、すなわち圧縮比が最も小さい状態を示している。そして図10はこれらの中間の状態を示している。また、図9〜11にあっては軸部206aの中心軸を「a」、カム部206bの中心軸を「b」、可動軸受部206cの中心軸を「c」としてそれぞれ示している。
図9に示されるように圧縮比が最も大きくなる状態にあっては、軸部206aの中心軸aはカム収容孔202及び軸受収容孔205内において気筒12から離間した位置にある。図9の状態から、モータ209を駆動してカム部206bを回動させると、図10に示されるようにこの回動に伴ってカム収容孔202及び軸受収容孔205内における軸部206aの中心軸aの位置が変位する。そして、これに併せてカム収容孔202及び軸受収容孔205内でカム部206b及び可動軸受部206cが回動し、カム部206bの中心軸bと可動軸受部206cの中心軸cとが互いに離間するようにアッパケース11aとロアケース11bとがスライドする。尚、このスライド量は、図11に示されるようにカム部206bの中心軸bと可動軸受部206cの中心軸cとが、軸部206aの中心軸aを挟んで最も離間した状態となるときに最大となる。
このようにモータ209を駆動することによってアッパケース11aをロアケース11bに対して、気筒12の軸線方向にスライドさせることが可能となる。これにより、図9〜11に示されるように上死点におけるピストン13の頂面とシリンダヘッド17の内壁面との距離Dを変更し、圧縮比を変更することができる。また、この圧縮比の変更に伴って、図9〜11に示されるように上死点におけるピストン13の頂面と筒内噴射弁20の噴口との距離dも変化するようになる。
ところで、ピストン13が上死点近傍にあるときに筒内噴射弁20から燃料を噴射すると燃料噴霧がピストン13の頂面に干渉する。特に、ピストン13の頂面温度THPが低いときにこうした干渉が発生すると、機関燃焼に伴ってPMが発生しやすくなる。
そこで、本実施形態の内燃機関10にあっては、ピストン13の頂面温度THPが低いときには、こうした干渉が発生することを抑制するように圧縮比変更機構200を制御して上死点におけるピストン13と筒内噴射弁20の噴口との距離dを長くする干渉抑制制御を実行する。
以下、この干渉抑制制御について図12を参照して説明する。図12は本実施形態にかかる干渉抑制制御の一連の処理の流れを示すフローチャートである。尚、この処理は図2を参照して説明した第1の実施形態にかかる干渉抑制制御の一部を変更したものであるため、同様の処理については同じ符号を付して以下では相違点を中心に説明する。また、この処理は第1の実施形態にかかる干渉抑制制御と同様に機関運転中に電子制御装置100によって所定の制御周期で繰り返し実行される。
図12に示されるように、この処理が開始されると電子制御装置100は、まずステップS100において機関冷却水温THW及び吸入空気量GAを読み込む。そして、ステップS115においてこれら機関冷却水温THW及び吸入空気量GAに基づいてピストン13の頂面温度THPを推定する。具体的には、機関温度を代表する機関冷却水温THWに基づいて基本温度を算出するとともに、吸入空気量GAに基づいて燃焼室18内の燃焼熱を推定し、この燃焼熱による温度変化を考慮した補正を行うことによって頂面温度THPを推定する。
こうして頂面温度THPを推定すると、ステップS120へと進み、ノックセンサ66によって検出される内燃機関10の振動強度とその発生頻度に基づいて行われているノック判定の結果に基づいて燃料のオクタン価を推定する。ここでは、第1の実施形態と同様に図3に示されるような演算マップを参照して燃料のオクタン価を推定する。
ステップS120において、燃料のオクタン価を推定すると、ステップS135へと進み、推定された燃料のオクタン価に基づいて判定温度THPjdgを設定する。ここでは、オクタン価の値に対応する判定温度THPjdgの値が設定された演算マップを参照して判定温度THPjdgを算出する。この演算マップにあっては、図13に示されるようにオクタン価が高いときほど判定温度THPjdgが低い値に設定されるようになっている。尚、判定温度THPjdgは、筒内噴射弁20から噴射される燃料噴霧がピストン13の頂面に干渉することによってPMが発生するようになる頂面温度THPの最高値に基づいて設定されている。そのため、頂面温度THPがこの判定温度THPjdg未満であることに基づいて筒内噴射弁20から噴射される燃料噴霧がピストン13の頂面に干渉することによってPMが発生しやすい状態である旨を判断することができる。
こうして推定されたオクタン価に基づいて判定温度THPjdgを設定すると、ステップS145へと進み、ステップS115において推定された頂面温度THPが、ステップS135において設定された判定温度THPjdg未満であるか否かを判定する。
ステップS145において、頂面温度THPが判定温度THPjdg未満である旨の判定がなされた場合(ステップS145:YES)には、ステップS190へと進み、圧縮比変更機構200を駆動して圧縮比を小さくし、上死点におけるピストン13の頂面とシリンダヘッド17の内壁面との距離Dを長くする。
こうして上死点におけるピストン13の頂面と、シリンダヘッド17の内壁面との距離Dを長くすると、電子制御装置100は、この処理を一旦終了する。
一方、ステップS145において、頂面温度THPが判定温度THPjdg以上である旨の判定がなされた場合(ステップS14P:YES)には、ステップS190をスキップして圧縮比変更機構200による圧縮比の変更を行わずにそのままこの処理を終了し、通常の機関運転を行う。
本実施形態の内燃機関10にあっては、上記のような干渉抑制制御を実行することにより、推定されるピストン13の頂面温度THPが判定温度THPjdg未満であるときには、圧縮比変更機構を制御して圧縮比を小さくし、上死点におけるピストン13の頂面と、シリンダヘッド17の内壁面との距離Dを長くする。これにより、推定されるピストン13の頂面温度THPが判定温度THPjdg未満であるときには、上死点におけるピストン13の頂面と筒内噴射弁20の噴口との距離dが長くなる。
また、第1の実施形態と同様に本実施形態の内燃機関10にあっても、この干渉抑制制御と並行して図14で示される昇温制御を実行する。
以下、この昇温制御について図14を参照して説明する。図14は本実施形態にかかる昇温制御の一連の処理の流れを示すフローチャートである。尚、この昇温制御は第1の実施形態にかかる昇温制御と同様に機関運転中に上述した干渉抑制制御と並行して電子制御装置100によって繰り返し実行される。
図14に示されるようにこの処理が開始されると電子制御装置100はまずステップS205において、上述した干渉抑制制御におけるステップS145と同様に推定された頂面温度THPが判定温度THPjdg未満であるか否かを判定する。
ステップS205において、頂面温度THPが判定温度THPjdg未満である旨の判定がなされた場合(ステップS205:YES)には、ステップS215へと進む。
ステップS215では、電動ウォータポンプ50の駆動量を頂面温度THPが判定温度THPjdg以上であるときの駆動量よりも所定量だけ小さい値に設定し、電動ウォータポンプ50の吐出量を減少させる。そして、ステップS225へと進み、EGR弁44の開度を機関回転速度NE及び機関負荷KLに基づいて設定される値よりも所定量だけ大きい値に設定し、燃焼室18に再循環させる排気の量を増大させる。
そして、ステップS235では、バイパス量調量弁37の開度を頂面温度THPが判定温度THPjdg以上であるときの開度よりも所定量だけ大きい値に設定し、インタークーラ35を迂回して燃焼室18に供給される吸気の量、すなわち吸気のバイパス量を増大させる。こうして吸気のバイパス量を増大させると、電子制御装置100はこの処理を一旦終了する。
一方、ステップS205において、頂面温度THPが判定温度THPjdg以上である旨の判定がなされた場合(ステップS205:NO)には、ステップS215〜235をスキップしてこの処理を一旦終了する。
こうした昇温制御を実行することにより、推定されるピストン13の頂面温度THPが判定温度THPjdg未満のときには、ステップS215〜235の処理が実行され、このステップS215〜235の処理を通じてピストン13の頂面温度THPが昇温されるようになる。
以上説明した第2の実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)ピストン13の頂面温度THPが判定温度THPjdg未満であるときには干渉抑制手段によってシリンダヘッド17の内壁面と上死点におけるピストン13の頂面との距離Dが長くなるように圧縮比変更機構200が制御される。これにより、シリンダヘッド17の内壁面とピストン13の頂面との距離Dが長くなった分だけシリンダヘッド17に設けられた筒内噴射弁20の噴口とピストン13の頂面との距離dが長くなり、筒内噴射弁20から射される燃料噴霧がピストン13の頂面に干渉する期間が短くなる。その結果、筒内噴射弁20から噴射された燃料噴霧が低温のピストン13の頂面に干渉することが抑制され、PMの発生を抑制することができるようになる。
(2)上述したようにオクタン価が高く、芳香族炭化水素を多く含む燃料ほどPMが発生しやすい。この点、上記第2の実施形態における内燃機関10では、ノック判定の判定結果に基づいて燃料のオクタン価を推定し、推定されたオクタン価が高いときほど判定温度THPjdgを高く設定するようにしている。したがってこうした構成によれば、燃料のオクタン価の違いによるPMの発生度合に即した態様でPMの発生を効果的に抑制することができるようになる。
(3)推定されるピストン13の頂面温度THPが判定温度THPjdg未満であり、燃料噴霧がピストン13の頂面に干渉することによりPMが発生しやすい状態であるときには、電動ウォータポンプ50による機関冷却水の吐出量を減少させるようにしている。これにより、機関温度が上昇しやすくなり、ピストン13の頂面温度THPを速やかに上昇させて筒内噴射弁20から噴射される燃料噴霧が低温となったピストン13の頂面に干渉することを抑制し、PMの発生を抑制することができるようになる。
(4)推定されるピストン13の頂面温度THPが判定温度THPjdg未満であり、燃料噴霧がピストン13の頂面に干渉することによるPMの発生が生じやすい状態であるときには、EGR弁44の開度を増大させて吸気通路30に再循環される排気の量を増大させるようにしている。そのため、ピストン13の頂面温度THPが低い場合にはより多くの排気が吸気通路30に再循環されるようになり、高温の排気によってピストン13が暖められ、その頂面温度THPが上昇しやすくなる。これにより、ピストン13の頂面温度THPをより速やかに上昇させてPMの発生を好適に抑制することができるようになる。
(5)推定されるピストン13の頂面温度THPが判定温度THPjdg未満であり、燃料噴霧がピストン13の頂面に干渉することによるPMの発生が生じやすい状態であるときには、バイパス量調量弁37の開度が増大されてバイパス通路36を流れる吸気の量が増大されるようになる。そのため、インタークーラ35を通じて冷却される吸気の量が減少するようになり、燃焼室18に導入される吸気の温度が上昇してピストン13の頂面温度THPが上昇しやすくなる。これにより、ピストン13の頂面温度THPを速やかに上昇させてPMの発生を好適に抑制することができるようになる。
尚、上記第2の実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第2の実施形態では、頂面温度推定手段として機関冷却水温THWと吸入空気量GAとに基づいて頂面温度THPを推定する方法を例示したが、頂面温度THPを推定する方法は適宜変更することができる。例えば、ピストン13に温度センサを設け、これによって検出される温度に基づいて頂面温度THPを推定する構成を採用することもできる。
・図14を参照して説明した昇温制御にあっては、ステップS205において判定温度THPjdgを閾値として、頂面温度THPが判定温度THPjdg未満であるか否かを判定し、頂面温度THPが判定温度THPjdg未満であるときに頂面温度THPを昇温させる各種の処理を実行することとした。これに対して、頂面温度THPを昇温させるための各種処理を実行するための閾値は、判定温度THPjdgに限定されるもではない。すなわち、昇温制御は、頂面温度THPが低く、したがって燃料噴霧がピストン13の頂面に干渉することによってPMが発生しやすい状態であるときに頂面温度THPを昇温させる各種制御を実行するものであればよい。そのため、上記閾値は燃料噴霧がピストン13の頂面に干渉することによってPMが発生しやすい状態であることを推定することのできる値であればよい。
・また上記昇温制御は、ピストン13の頂面温度THPを昇温させる昇温制御の一例であり、ピストン13の頂面温度THPを昇温させるための各種の処理、すなわちステップS215〜235に相当する処理は適宜変更することができる。例えば、EGRクーラ45を流れる機関冷却水の流量を調量する調量弁を設け、推定されるピストン13の頂面温度THPが低いときには高いときよりもEGRクーラ45を流れる機関冷却水の流量が少なくなるようにこの調量弁を制御する構成を更に追加することもできる。こうした構成によれば、推定されるピストン13の頂面温度THPが低く、したがって燃料噴霧がピストン13の頂面に干渉することによってPMが発生しやすい状態にあるときには、EGRクーラ45を流れる機関冷却水の量が減少されるようになる。そのため、吸気通路30に再循環される排気の温度が上昇し、ピストン13の頂面温度THPが上昇しやすくなる。これにより、ピストン13の頂面温度THPを速やかに上昇させてPMの発生を好適に抑制することができるようになる。
・また、上記昇温制御におけるステップS215、S225、S235の処理をそれぞれ省略する等してその内容を変更することもできる。
・更には上記昇温制御を省略し、干渉抑制制御のみを実行する構成を採用することもできる。こうした構成を採用した場合には、ピストン13の頂面温度THPを速やかに昇温させてPMの発生を抑制する効果を得ることはできないが、少なくとも干渉抑制制御によって燃料噴霧とピストン13の頂面とが干渉することを抑制し、PMの発生を抑制することができる。
・上記第2の実施形態では干渉抑制制御において、燃料のオクタン価を推定し、オクタン価が高いときほど判定温度THPjdgが高くなるように同判定温度THPjdgを設定する構成を示した。これに対して、例えば、ガソリンとアルコールとを混合したアルコール含有燃料を使用可能な内燃機関にあっては、燃料に含まれるアルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段を設け、推定されるアルコール濃度が低いときほど判定温度THPjdgが高くなるようにこれを設定する構成を採用することもできる。
上述したようにアルコール含有燃料を使用可能な内燃機関にあっては、燃料に含まれるアルコール濃度が低いときほどPMが発生しやすくなる。この点、上記のように推定されるアルコール濃度が低いときほど判定温度THPjdgを高く設定する構成によれば、アルコールの濃度の違いによるPMの発生度合に即した態様で効果的にPMの発生を抑制することができるようになる。
・上記実施形態では、シリンダブロック11をアッパケース11aとロアケース11bとに分割し、アッパケース11aとロアケース11bとを気筒12の中心軸延伸方向にスライドさせることによって圧縮比を変更する圧縮比変更機構200を示したが、圧縮比変更機構の構成は、適宜変更することができる。例えば、クランクシャフト16とコネクティングロッド15との間に仲介機構を設け、この仲介機構を制御することにより上死点におけるピストン13の頂面とシリンダヘッド17の内壁面との距離Dを変更して圧縮比を変更する圧縮比変更機構を採用することもできる。
尚、上記第1及び第2の実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・第1の実施形態にかかる干渉抑制制御と第2の実施形態にかかる干渉抑制制御とを組み合わせ、吸気バルブ31の開弁時期及び燃料噴射時期を変更するとともに、圧縮比変更機構200を制御して上死点におけるピストン13の頂面と、シリンダヘッド17の内壁面との距離Dを長くすることによって燃料噴霧の干渉を抑制する干渉抑制制御を採用することもできる。
・筒内噴射弁20に加え、吸気ポート21内に燃料を噴射するポート噴射弁を更に備えている内燃機関に適用することもできる。尚、こうした内燃機関に本願発明を適用する場合には、傘部温度THVや頂面温度THPが低いときにポート噴射弁から噴射する燃料の比率を増大させて、筒内噴射弁20からの燃料噴射量を減少させ、筒内噴射弁20から噴射される燃料噴霧の干渉を抑制してPMの発生を抑制することもとできるようになる。
この発明の第1の実施形態にかかる電子制御装置とその制御対象である内燃機関の概略構成を示す模式図。 同実施形態にかかる干渉抑制制御の一連の処理の流れを示すフローチャート。 ノッキング発生頻度と燃料のオクタン価との関係を示すマップ。 燃料のオクタン価と判定温度との関係を示すマップ。 ピストン位置及び吸気バルブのリフト量と燃料噴射時期との関係を示すタイミングチャート。 第1の実施形態にかかる昇温制御の一連の処理の流れを示すフローチャート。 第2の実施形態にかかる内燃機関の圧縮比変更機構の分解斜視図。 同実施形態にかかる内燃機関のシリンダブロックの斜視図。 圧縮比の変更態様を示すシリンダブロックの断面図。 圧縮比の変更態様を示すシリンダブロックの断面図。 圧縮比の変更態様を示すシリンダブロックの断面図。 第2の実施形態にかかる干渉抑制制御の一連の処理の流れを示すフローチャート。 燃料のオクタン価と判定温度との関係を示すマップ。 第2の実施形態にかかる昇温制御の一連の処理の流れを示すフローチャート。 燃料噴霧の干渉とPM発生量との関係を示すグラフ。
符号の説明
10…内燃機関、11…シリンダブロック、12…気筒、13…ピストン、14…ウォータジャケット、15…コネクティングロッド、16…クランクシャフト、17…シリンダヘッド、18…燃焼室、19…点火プラグ、20…筒内噴射弁、21…吸気ポート、22…排気ポート、30…吸気通路、31…吸気バルブ、32…吸気カムシャフト、33…スロットルバルブ、34…バルブタイミング変更機構、35…インタークーラ、36…バイパス通路、37…バイパス量調量弁、40…排気通路、41…排気バルブ、42…排気カムシャフト、43…EGR通路、44…EGR弁、45…EGRクーラ、50…電動ウォータポンプ、60…水温センサ、61…クランク角センサ、62…アクセルポジションセンサ、63…スロットルポジションセンサ、64…エアフロメータ、65…カムポジションセンサ、66…ノックセンサ、100…電子制御装置、200…圧縮比変更機構、201…隆起部、202…カム収容孔、203…立壁部、204…キャップ、205…軸受収容孔、206…カム軸、206a…軸部、206b…カム部、206c…可動軸受部、206d…取付部、207…ギア、208a,208b…ウォームギア、209…モータ。

Claims (16)

  1. 燃焼室内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁と、吸気バルブの開弁時期を変更するバルブタイミング変更機構とを備える内燃機関の制御装置において、
    前記吸気バルブの傘部温度を推定する傘部温度推定手段と、前記傘部温度推定手段によって推定される前記吸気バルブの傘部温度が判定温度未満であるときには前記吸気バルブの傘部と前記筒内噴射弁から噴射された燃料噴霧とが干渉し難くなるように前記吸気バルブの開弁時期及び前記筒内噴射弁の燃料噴射態様の少なくとも一方を変更する干渉抑制手段とを備える
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記干渉抑制手段は、前記吸気バルブの傘部温度が前記判定温度未満であるときには同判定温度以上であるときよりも前記吸気バルブの開弁時期が遅角されるように前記バルブタイミング変更機構を制御する
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記干渉抑制手段は、機関運転状態が過渡状態にあり機関回転速度が上昇しているときには燃料噴霧が機関ピストンの頂面に干渉しないことを条件に前記筒内噴射弁の燃料噴射時期を最も進角させる
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記干渉抑制手段は、ノッキングの発生を判定するノック判定手段と、同ノック判定手段の判定結果に基づいて燃料のオクタン価を推定するオクタン価推定手段と、同オクタン価推定手段によって推定されるオクタン価が高いときほど前記判定温度が高くなるようにこれを設定する設定手段とを含む
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  5. 前記内燃機関はガソリンとアルコールとを混合したアルコール含有燃料を使用可能な内燃機関であり、
    前記干渉抑制手段は、燃料に含まれるアルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段と、同アルコール濃度推定手段によって推定されるアルコール濃度が低いときほど前記判定温度が高くなるようにこれを設定する設定手段と含む
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記内燃機関は電動ウォータポンプを備え、
    前記傘部温度推定手段によって推定される前記傘部温度が低いときには高いときよりも前記電動ウォータポンプによる機関冷却水の吐出量を減少させる吐出量制御手段を備える
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記内燃機関は、排気通路を流れる排気の一部を吸気通路に再循環させるEGR通路と、同EGR通路を通じて前記吸気通路に再循環する排気の量を調量するEGR弁とを備え、
    前記傘部温度推定手段によって推定される前記吸気バルブの傘部温度が低いときには高いときよりも再循環される排気の量が多くなるように前記EGR弁を制御するEGR制御手段を備える
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記内燃機関は、排気通路を流れる排気の一部を吸気通路に再循環させるEGR通路と、機関冷却水との熱交換により前記EGR通路を通じて前記吸気通路に再循環する排気を冷却するEGRクーラと、同EGRクーラを流れる機関冷却水の流量を調量する調量弁とを備え、
    前記傘部温度推定手段によって推定される前記吸気バルブの傘部温度が低いときには高いときよりも前記EGRクーラを流れる機関冷却水の流量が少なくなるように前記調量弁を制御するEGRクーラ制御手段を備える
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  9. 前記内燃機関は、燃焼室に導入される吸気を冷却するインタークーラと、前記インタークーラを迂回して燃焼室に吸気を導入するバイパス通路と、同バイパス通路を流れる吸気の量を調量するバイパス量調量弁とを備え、
    前記傘部温度推定手段によって推定される前記吸気バルブの傘部温度が低いときには高いときよりも前記バイパス通路を流れる吸気の量が多くなるように前記バイパス量調量弁を制御するバイパス量制御手段を備える
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  10. シリンダヘッドに設けられ燃焼室内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁と、燃焼室の壁面の一部を構成する前記シリンダヘッドの内壁面と上死点における機関ピストンの頂面との距離を変更して圧縮比を変更する圧縮比変更機構とを備える内燃機関の制御装置において、
    前記機関ピストンの頂面温度を推定する頂面温度推定手段と、同頂面温度推定手段によって推定される前記機関ピストンの頂面温度が判定温度未満のときには同判定温度以上のときよりも前記シリンダヘッドの内壁面と上死点における前記ピストンの頂面との距離が長くなるように前記圧縮比変更機構を制御する干渉抑制手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  11. 請求項10に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記干渉抑制手段は、ノッキングの発生を判定するノック判定手段と、同ノック判定手段の判定結果に基づいて燃料のオクタン価を推定するオクタン価推定手段と、同オクタン価推定手段によって推定されるオクタン価が高いときほど前記判定温度が高くなるようにこれを設定する設定手段とを含む
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  12. 前記内燃機関はガソリンとアルコールとを混合したアルコール含有燃料を使用可能な内燃機関であり、
    前記干渉抑制手段は、燃料に含まれるアルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段と、同アルコール濃度推定手段によって推定されるアルコール濃度が低いときほど前記判定温度が高くなるようにこれを設定する設定手段とを含む
    請求項10又は請求項11に記載の内燃機関の制御装置。
  13. 前記内燃機関は電動ウォータポンプを備え、
    前記頂面温度推定手段によって推定される前記機関ピストンの頂面温度が低いときには高いときよりも前記電動ウォータポンプによる機関冷却水の吐出量を減少させる吐出量制御手段を備える
    請求項10〜12のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  14. 前記内燃機関は、排気通路を流れる排気の一部を吸気通路に再循環させるEGR通路と、同EGR通路を通じて前記吸気通路に再循環する排気の量を調量するEGR弁とを備え、
    前記頂面温度推定手段によって推定される前記機関ピストンの頂面温度が低いときには高いときよりも再循環される排気の量が多くなるように前記EGR弁を制御するEGR制御手段を備える
    請求項10〜13のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  15. 前記内燃機関は、排気通路を流れる排気の一部を吸気通路に再循環させるEGR通路と、機関冷却水との熱交換により前記EGR通路を通じて前記吸気通路に再循環する排気を冷却するEGRクーラと、同EGRクーラを流れる機関冷却水の流量を調量する調量弁とを備え、
    前記頂面温度推定手段によって推定される前記機関ピストンの頂面温度が低いときには高いときよりも前記EGRクーラを流れる機関冷却水の流量が少なくなるように前記調量弁を制御するEGRクーラ制御手段を備える
    請求項10〜13のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  16. 前記内燃機関は、燃焼室に導入される吸気を冷却するインタークーラと、前記インタークーラを迂回して燃焼室に吸気を導入するバイパス通路と、同バイパス通路を流れる吸気の量を調量するバイパス量調量弁とを備え、
    前記頂面温度推定手段によって推定される前記機関ピストンの頂面温度が低いときには高いときよりも前記バイパス通路を流れる吸気の量が多くなるように前記バイパス量調量弁を制御するバイパス量制御手段を備える
    請求項10〜15のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
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