JP4386199B2 - 可変バルブタイミング装置 - Google Patents
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Description
吸気管噴射式エンジンを例に挙げると、吸気ポートに噴射された燃料は冷態始動直後には吸気バルブの裏側や吸気ポートに付着し、開弁期間中に自重により下方のバルブシート付近に液状となって溜まる。排気行程のとき吸気バルブが開く(オーバラップが排気行程にある)と、各気筒の初爆の行程ではそのまま筒内に流入する。又、初爆以降でも筒内の排気が吸気管に逆流するが、燃料は液状となっているため自重により一部は筒内に流入する。
本発明の目的は、吸排気バルブの開弁オーバラップを適切に制御し、もって、冷態始動時の未燃HCの排出を確実に抑制することができる可変バルブタイミング装置を提供することにある。
また、請求項3の発明では、請求項1の発明において、バルブタイミング制御手段は、冷態時には、クランキング開始から初爆後規定時間経過するまでオーバラップをほぼ0とすることを特徴とする。
本発明の請求項4の可変バルブタイミング装置によれば、排気行程範囲のオーバラップを増大させるときに吸気行程範囲のオーバラップを減少させるので、オーバラップのほとんどが排気行程範囲に位置することになり、排気バルブの早期開弁により筒内温度のピーク付近の排ガスが排出される。これにより、例えば排気通路に触媒を設けた場合において、後燃え効果により触媒の早期活性化を実現することができる。
以下、本発明を吸気バルブの開閉タイミングを可変する可変バルブタイミング装置に具体化した第1実施形態を説明する。
図1は第1実施形態の可変バルブタイミング装置を示す全体構成図である。この図に示すように、エンジン1は吸気管噴射型エンジンとして構成されており、その動弁機構としてはDOHC4弁式が採用されている。シリンダヘッド2上の吸気カム軸3a及び排気カム軸3bの前端にはタイミングプーリ4a,4bが接続され、これらのタイミングプーリ4a,4bはタイミングベルト5を介してクランク軸6に連結されている。クランク軸6の回転に伴ってタイミングプーリ4a,4bと共にカム軸3a,3bが回転駆動され、これらのカム軸3,3bにより吸気バルブ7a及び排気バルブ7bが開閉駆動される。
又、シリンダヘッド2の排気ポート17には排気通路18が接続され、点火プラグ19により点火されて燃焼後の排ガスは、排気バルブ7bの開弁時にピストン16の上昇に伴って排気ポート17から排気通路18に案内され、触媒20及び図示しない消音器を経て外部に排出される。
吸気バルブ7aの開閉タイミングは、タイミング可変機構8により図中の(1)〜(3)の範囲内で調整され、一方、排気バルブ7bの開閉タイミングは図に示す位置に固定されている。まず、エンジン停止時において、吸気バルブ7aの開閉タイミングは、図中の(1)に示す最も遅角した最遅角位置に保持され、吸気上死点TDC以降に吸気バルブ7aが開弁し始めるようになっている。この開弁のタイミングは、排気バルブ7bが閉弁されるタイミングとほぼ一致しているため、吸気バルブ7aと排気バルブ7bとの開弁オーバラップはほぼ0である。
このときの排気バルブ7bが閉弁するタイミングは上死点TDC以降であり、且つ、初爆から数行程を経たこの時点では、エンジン回転速度Neの上昇に伴って吸気ポート11側に十分な負圧が発生することから、内部EGRが増大して、一旦排気側に排出された排ガス(排気行程の終期に排出された未燃HCを多く含む排ガス)が吸気ポート11内に逆流する。逆流した排ガスは次回の燃焼行程で燃焼されると共に、排ガスからの受熱により吸気ポート11が昇温されて次回の噴射燃料の蒸化を促進することから、液状燃料の排気側への排出が確実に防止される。
このように本実施形態の可変バルブタイミング装置では、冷態始動の開始直後において、吸排気バルブ7a,7bの開弁オーバラップを吸気行程範囲に形成することにより(図2中の(2))、吸気ポート7a内の液状燃料をピストン16の下降に伴って筒内に流入させて確実に燃焼させ、液状燃料がそのまま排出される事態を防止している。従って、オーバラップ期間を排気行程に形成する従来技術のように、筒内に流入した液状燃料がそのまま排出される事態を未然に防止でき、もって、冷態始動時の未燃HCの排出を確実に抑制することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明を別の可変バルブタイミング装置に具体化した第2実施形態を説明する。本実施形態の可変バルブタイミング装置は、吸気バルブ7aに加えて排気バルブ7bの開閉タイミングも可変可能としたものであり、その他の構成は第1実施形態と同一である。従って、共通の構成部分の説明は省略し、相違点を重点的に説明する。
この位相位置でエンジン1のクランキングが開始され、2secほど経過後に、吸気バルブ7aの開閉タイミングが図中の(5)に示すように進角側に制御されると共に、排気バルブ7bの開閉タイミングが図中の(8)に示すように遅角側に制御される。結果として両者の間にはオーバラップが形成され、第1実施形態の場合(図2中の(2))と同じく、オーバラップ期間のほとんどは吸気行程範囲に位置する。よって、吸気ポート11内に溜まった液状の燃料は、ピストン16の下降に伴って筒内に流入して確実に燃焼され、液状のまま排出される事態が防止される。
又、吸気バルブ7aに加えて排気バルブ7bの開閉タイミングを可変可能としたため、オーバラップ期間の長さや位置を自由に設定できる。その結果、例えば、第1実施形態では吸気バルブ7aの進角に伴って必然的にオーバラップが増大したが(図2中の(2)から(3))、本実施形態ではオーバラップを増大することなく吸気行程範囲から排気行程範囲に移動可能となり(図3中の(5),(8)から(6),(7))、結果として、その時々の運転状態に最適なオーバラップ量、即ち内部EGR量を達成して、安定した燃焼を実現できるという効果もある。
7b 排気バルブ
31 ECU(バルブタイミング制御手段)
Claims (4)
- 吸気管噴射型内燃機関の吸気バルブと排気バルブとの開弁期間のオーバラップを制御する可変バルブタイミング装置において、
冷態時には、初爆後規定時間経過後はオーバラップを温態時における初爆後規定時間経過後アイドル運転継続時のオーバラップよりも増大させて上死点の前側となる排気行程範囲より上死点の後側となる吸気行程範囲を多く含むオーバラップを形成させてから上記排気行程範囲のオーバラップを増大させるバルブタイミング制御手段を備えたことを特徴とする可変バルブタイミング装置。 - 上記バルブタイミング制御手段は、上記増大されたオーバラップで且つ上記吸気行程範囲を多く含むオーバラップを形成する状態を所定時間継続させることを特徴とする請求項1記載の可変バルブタイミング装置。
- 上記バルブタイミング制御手段は、上記冷態時には、クランキング開始から初爆後規定時間経過するまでオーバラップをほぼ0とすることを特徴とする請求項1記載の可変バルブタイミング装置。
- 上記バルブタイミング制御手段は、上記排気行程範囲のオーバラップを増大させるに際して吸気行程範囲のオーバラップを減少させることを特徴とする請求項1記載の可変バルブタイミング装置。
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