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JP2009204577A - 透光性部材およびこれを備えた時計 - Google Patents

透光性部材およびこれを備えた時計 Download PDF

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Abstract

【課題】反射防止機能を備え、かつ、紫外線および赤外線のカット性に優れた透光性部材およびこれを備えた時計を提供すること。
【解決手段】本発明の透光性部材10は、無機酸化物からなる透明な基材11と、その上に形成された反射防止層12とを備えている。反射防止層12は、基材11の上に形成され、屈折率の異なる無機薄膜を交互に積層して得られる多層膜であるとともに、紫外線カット機能または赤外線カット機能を備える層を含んでいる。すなわち、反射防止層12は、基材11側から順に、紫外線カット層121、赤外線カット層122、で形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、透光性部材、およびこの透光性部材を備えた時計に関する。
従来、時計用のカバーガラスには、サファイアガラス、石英ガラスおよびソーダガラス等が使用されている。しかし、これらのガラスを単体で使用すると、反射率が高いため時刻表示等の視認性が悪い。特に、屈折率の高いサファイアガラスを用いた場合に顕著である。そこで、ガラスの表面に反射防止層を設け、反射率を抑えて視認性を向上させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、地上よりも紫外線および赤外線の影響が大きい宇宙環境においては、時計に紫外線や赤外線が照射されると時計の文字板から駆動装置に熱が伝わり、駆動装置の温度変化により運針に乱れが生じるおそれがある。
そこで、例えば、光学フィルタの一方の面に赤外線カット層を形成し、他方の面に反射防止層を形成することにより紫外線または赤外線をカットする技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、20〜50層の多層構成により紫外線と赤外線を反射させる太陽電池カバーが知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2006−275526号公報 特開2006−220873号公報 特開平7−58355号公報
しかしながら、特許文献1、2および3は、反射防止機能、紫外線カット機能、および赤外線カット機能の全てを備えていない。特許文献1に記載された時計用風防ガラスは反射防止機能しかなく、特許文献2の光学フィルタでは、紫外線をカットすることができない。また、特許文献3の太陽電池カバーは紫外反射機能および赤外反射機能を発揮できるものの、積層する層が多すぎて、製造工程が複雑になってしまう。
また、反射防止層、紫外線カット層、および赤外線カット層を基材の片面に積層すると、予め光学設計された反射防止層の反射防止機能を損なってしまうという問題がある。
そこで、本発明の目的は、優れた反射防止機能を備え、かつ、紫外線および赤外線のカット性に優れた透光性部材およびこれを備えた時計を提供することにある。
本発明の透光性部材は、透光性を有する基材と、前記基材の上に形成された反射防止層と、を備え、前記反射防止層は、紫外線をカットする紫外線カット層と、赤外線をカットする赤外線カット層と、を含むことを特徴とする。
この発明によれば、基材の表面に反射防止層が形成されるので、反射防止機能を発揮でき、透光性部材の視認性を向上させることができる。
また、紫外線カット層には、紫外線を反射または吸収する材料が使用される。これにより、透光性部材を透過する紫外線を大幅に削減することができる。
さらに、赤外線カット層には、赤外線を吸収する材料が使用される。これにより、透光性部材を透過する赤外線を大幅に削減することができる。
そして、紫外線カット層および赤外線カット層は、反射防止層の一部を形成している。すなわち、反射防止層の光学設計に、紫外線カット層および赤外線カット層も組み込まれていることになる。したがって、反射防止層の光学設計にずれが生じることがないため、透光性部材の片面に反射防止機能、紫外線カット機能、および赤外線カット機能を備えた層を形成することができる。
また、基材の片面に3つの機能を発揮する層を形成することができるので、透光性部材としてあらゆる分野に適用することができ、有用性が高い。
なお、紫外線カット層および赤外線カット層を含む反射防止層は、基材の両面に形成されていてもよい。
本発明の透光性部材は、透光性を有する基材と、前記基材の対向する面のうち一方の面上に形成された反射防止層と、前記基材の対向する面のうち他方の面上に形成された紫外線をカットする紫外線カット層と、前記基材の対向する面のうち他方の面上に形成された赤外線をカットする赤外線カット層と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、基材の一方の面に反射防止層を設け、基材の他方の面に紫外線カット層と赤外線カット層とを設けるため、反射防止機能と、紫外線カット機能と、赤外線カット機能と、を備えた透光性部材を提供することができる。
本発明の透光性部材において、前記反射防止層は、屈折率の異なる層が積層された多層であることが好ましい。
この発明では、反射防止層は、低屈折率層と高屈折率層とを交互に積層させた多層構成で形成される。このように屈折率の異なる層を積層することにより、光透過率を増大させて反射率を低減することができ、透光性部材を介して向こう側を見る場合の視認性を向上させることができる。
本発明の透光性部材において、前記紫外線カット層は、ITO(酸化インジウムスズ)、TiO(酸化チタン)およびSnO(酸化スズ)のうち、少なくともいずれかひとつを含むことが好ましい。
この発明によれば、紫外線カット層に使用する材料は、上述した特定の化合物から選択される。これらの材料は、紫外域(例えば、360〜400nm)における反射特性または吸収特性に優れているため、照射された紫外線を十分に反射または吸収する。したがって、透光性部材を透過する紫外線量が減少し、紫外線を大幅にカットすることができる。具体的には、ITOは紫外線を反射し、TiOおよびSnOは、紫外線を吸収する。
本発明の透光性部材において、前記赤外線カット層は、ITO(酸化インジウムスズ)、SiOC(酸化炭化ケイ素)およびAlN(窒化アルミニウム)のうち、少なくともいずれかひとつを含むことが好ましい。
この発明によれば、赤外線カット層に使用する材料は、上述した特定の化合物から選択される。これらの材料は、赤外域(例えば、760〜830nm)における吸収特性に優れているため、照射された赤外線を十分に吸収する。したがって、透光性部材を透過する赤外線量が減少し、赤外線を大幅にカットすることができる。
また、紫外線カット層および赤外線カット層に使用される上述の化合物はいずれも無機酸化物であるので、これらの層を積層した場合に各層間の密着性に非常に優れる。したがって、紫外線カット層および赤外線カット層で反射防止層を形成する場合に、非常に硬質でかつ安定した反射防止層を形成することができる。
本発明の透光性部材において、前記基材が無機酸化物であることが好ましい。
ここで、透光性部材としては、例えば、時計用カバー部材や計器用カバー部材あるいは眼鏡レンズ等の硬質で透明な部材が挙げられる。透光性部材の材質としては、サファイアガラス、石英ガラス、ソーダガラス等が挙げられる。
この発明によれば、透光性部材の基材として無機酸化物を用いるので、無機酸化物からなる反射防止層と基材との密着性(接着性)に非常に優れる。それ故、反射防止層と基材間における膜剥離が生じにくく、結果として耐擦傷性が向上する。
本発明の透光性部材において、前記無機酸化物がサファイアガラスであることが好ましい。
この発明によれば、基材としてサファイアガラスを用いるので、透明性や硬度に優れる。
本発明の時計は、前述の透光性部材を備えた時計であって、前記透光性部材は、時計体を収容するケースに設けられることを特徴とする。
この発明によれば、前述の透光性部材を備えることにより、前述と同様な作用および効果を享受できる。なお、透光性部材は、例えばカバーガラス(風防)としてケースに設けられる。
このような本発明によれば、反射防止機能を備え、かつ、紫外線および赤外線のカット性に優れた透光性部材およびこれを備えた時計を提供できる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態の透光性部材は、時計用カバーガラス(以下、単に「カバーガラス」ともいう。)であり、図1には、第1実施形態の透光性部材の断面図が示されている。
図1において、透光性部材10は、無機酸化物からなる透明な基材11と、その上に形成された反射防止層12とを備えている。
〔基材11の材質〕
基材11の材質は無機酸化物であり、例えばサファイアガラス、石英ガラス、ソーダガラス等が挙げられる。時計用カバーガラスの材質としては、硬度や透明性の観点より特にサファイアガラスが好ましい。
〔反射防止層12の構成〕
反射防止層12は、基材11の一方の面に形成され、屈折率の異なる無機薄膜を交互に積層して得られる多層膜であるとともに、紫外線カット機能または赤外線カット機能を有する層を含んでいる。ここで、反射防止層12は、基材11側から順に、高屈折率の紫外線カット層121、低屈折率の赤外線カット層122、で形成される。
なお、紫外線カット層121および赤外線カット層122の層の積層順はこれに限られず、基材11側から高屈折率、低屈折率の順で積層されれば、逆順で積層されてもよい。
紫外線カット層121には、紫外線を反射または吸収する材料が使用される。例えば、ITO、TiOおよびSnOなどが挙げられる。
また、赤外線カット層122には、赤外線を吸収する材料が使用される。例えば、ITO、SiOCおよびAlNなどが挙げられる。
これらの材料のうち、ITO、TiOおよびSnOについて紫外域および赤外域における吸収特性および反射率を測定した。図2はITOの紫外赤外吸収特性、図3はTiOの紫外吸収特性、図4はSnOの紫外吸収特性を示す。
また、反射防止層12は屈折率の異なる層で形成されることで反射防止機能を発揮するため、紫外線カット層121および赤外線カット層122に使用する材料は、屈折率の異なるものを選定する必要がある。
上述した材料について、エリプソメータを用いて屈折率を測定した結果および紫外線カット機能および赤外線カット機能の有無の評価を以下の表1に示す。
Figure 2009204577
表1より、紫外線カット層121にITOを選択する場合、赤外線カット層122にはSiOCを選択するとよい。また、紫外線カット層121にTiOまたはSnOを選択する場合、赤外線カット層122にはSiOCとAlNのどちらを選択してもよい。
このように、異なる屈折率を有する組み合わせを選択する。
〔反射防止層12の形成工程〕
基材11の表面に上述した反射防止層を形成する際には、スパッタリング法や真空蒸着法などが好適に用いられる。また真空蒸着法ではイオンビームアシストなどの手法も適宜併用することができる。これらのスパッタリング法や真空蒸着法は、無機薄膜形成の際に用いられる通常の方法が適用できる。
〔時計の構成〕
図5に、透光性部材10を備えた時計の断面図を示す。
図5に示すように、本実施形態の時計100において、透光性部材10は、時計体(ムーブメント)103を収容するケース104に、カバーガラス102として設けられる。ケース104には裏蓋105が設けられている。
ここで、本実施形態のカバーガラス102の体表面部は、前面部102A、後面部102B、および側面部102Cからなる。前面部102Aは、カバーガラス102の外側の部分に相当する。後面部102Bは、カバーガラス102の内側の部分に相当し、文字板106および指針107に対向する。
本実施形態においては、カバーガラス102の前面部102Aに、前述の反射防止層12が位置している。
〔第1実施形態による効果〕
以上の第1実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)反射防止層12は、屈折率の異なる紫外線カット層121および赤外線カット層122により形成されている。積層された層の屈折率が異なることにより、光透過率を増大させて反射率を低減することができ、透光性部材10を介して向こう側を見る場合の視認性を向上させることができる。
(2)紫外線カット層121には、紫外吸収特性に優れた材料を使用した。したがって、この材料が紫外線を十分に反射または吸収するので、透光性部材を透過する紫外線を大幅にカットすることができる。
(3)赤外線カット層122には、赤外吸収特性に優れた材料を使用した。したがって、この材料が赤外線を十分に吸収するので、透光性部材を透過する赤外線を大幅にカットすることができる。
(4)紫外線カット層121と赤外線カット層122との屈折率が異なるようにそれぞれの材料を選定した。すなわち、紫外線カット層121と赤外線カット層122を反射防止層12の光学設計に組み込むことができる。
したがって、透光性部材10は、各層の屈折率の違いで透光性部材10の表面の屈折率を十分に低減させ、良好な反射防止効果が得られるとともに、紫外線カット層121による紫外線カット機能、および赤外線カット層122による赤外線カット機能をも発揮させることができる。
(5)透光性部材10は、無機酸化物からなる基材11と、無機酸化物の多層膜からなる反射防止層12とを含んで構成されている。したがって、反射防止層12内部で層間剥離を起こすことがほとんどない。また、反射防止層12と基材11との密着性にも優れるため、反射防止層12と基材11間の剥離もほとんど生じない。すなわち、反射防止効果を長期に渡って維持できる透光性部材10を提供できる。
(6)反射防止層12を構成する無機酸化物層をスパッタリングにより形成することで、単なる蒸着により無機酸化物層を形成する場合にくらべて、反射防止層12全体の硬度をより向上させることができるだけでなく、反射防止層12と基材11との密着性や、反射防止層12内における層間密着性も向上させることができる。したがって、結果として、耐擦傷性の向上に寄与できる。
(7)時計100において、透光性部材10が、カバーガラス102としてケース104に設けられているので、透光性部材10の反射防止機能によって情報の視認性が向上する。また、紫外線カット層121および赤外線カット層122がカバーガラス102の前面部102Aに位置しているので、紫外線および赤外線を大幅にカットすることができ、時計100の文字板および駆動装置の温度変化を抑制することができるため、運針が乱れず、正確な時間を長期にわたって刻むことができる。
[第2実施形態]
第2実施形態の透光性部材は、第1実施形態と同様に、時計用カバーガラスであり、図6には、第2実施形態の透光性部材の断面図が示されている。
図6において、透光性部材20は、無機酸化物からなる透明な基材21と、基材21の一方の面21Aに形成された反射防止層22と、基材21の他方の面21Bに形成された紫外線カット層23と、紫外線カット層23の上に形成された赤外線カット層24と、を備えている。
〔基材21の材質〕
基材21の材質は無機酸化物であり、例えばサファイアガラス、石英ガラス、ソーダガラス等が挙げられる。時計用カバーガラスの材質としては、硬度や透明性の観点より特にサファイアガラスが好ましい。
〔反射防止層22の構成〕
反射防止層22は、基材21の一方の面21A上に形成され、低屈折率と高屈折率の無機薄膜を交互に積層して得られる多層膜である。
反射防止層22は、221(高屈折率層)、222(低屈折率層)、223(高屈折率層)、224(低屈折率層)の4層から構成される。
無機薄膜の材料としては、SiO、HfO、Ta、TiO、Al、MgO、Gd、La、Pr11、ZnO、ZrO、In、Nd、ThO、SnO、Sb、CeOおよびBiなどの無機酸化物が挙げられる。特に、前記反射防止層の最表層部を構成する低屈折率層がAlからなることが耐擦傷性の点でより好ましい。
〔紫外線カット層23の構成〕
紫外線カット層23は、基材21の他方の面21B上に形成される。紫外線カット層23に使用される材料は、紫外線を反射または吸収する材料が選択される。例えば、ITO、TiOおよびSnOなどが挙げられる。
〔赤外線カット層24の構成〕
赤外線カット層24は、紫外線カット層23上に形成される。赤外線カット層24に使用される材料は、赤外線を吸収する材料が選択され、例えば、ITO、SiOCおよびAlNなどが挙げられる。
〔各層の形成工程〕
基材21の表面に、上述した反射防止層、紫外線カット層および赤外線カット層を形成する際には、スパッタリング法や真空蒸着法などが好適に用いられる。また真空蒸着法ではイオンビームアシストなどの手法も適宜併用することができる。これらのスパッタリング法や真空蒸着法は、無機薄膜形成の際に用いられる通常の方法が適用できる。
以上のように製造された透光性部材20は、第1実施形態と同様に、時計のカバーガラスとして使用される。
〔第2実施形態による効果〕
以上の第2実施形態によれば、前述の第1実施形態の作用効果(1)〜(3)、(5)〜(7)のほか、次のような作用効果が得られる。
(8)第2実施形態では、基材21の一方の面に反射防止層22を形成し、他方の面に紫外線カット層23および赤外線カット層24を形成した。また、反射防止層22には、従来使用されていた無機酸化物を積層した多層構成とした。
反射防止層22に使用可能な材料が多数あるため、その中から最適な反射防止機能を有する層を形成することができる。したがって、反射防止機能に優れた透光性部材20を提供することができる。
[本発明の変形例]
本発明は、以上述べた実施形態には限定されず、本発明の目的を達成できる範囲で種々の改良および変形を行うことが可能である。
例えば、本発明の透光性部材は、時計に使用されるカバー部材に限らず、携帯電話、携帯情報機器、計測機器、ディジタルカメラ、プリンタ、ダイビングコンピュータ、脈拍計等の各種機器における情報表示部のカバー部材として好適に使用できる。
また、透光性部材の基材としては、高硬度のサファイアガラスが好適であるが、このほか、石英ガラス、ソーダガラス等の使用も検討してよい。
さらに、前記実施形態では、紫外線カット層と赤外線カット層を1層ずつ形成したが、積層する層の数は任意に選択することができる。
特に、前記第1実施形態では、反射防止層の中に紫外線カット層と赤外線カット層が少なくとも1層ずつ含まれていれば、その他の層は、上記の材料に限られない。すなわち、従来の反射防止層に使用されていた材料を使用してもよい。具体的には、第2実施形態で例示した材料を使用することもできる。
また、第1実施形態では、基材11の片面に紫外線カット層121と赤外線カット層122からなる反射防止層12を形成したが、基材11の両面に形成してもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<試験1>
以下の実施例1および2に示す反射防止層を基材の片面に形成してカバーガラスを作製し、このカバーガラスの反射率、紫外線カット率、および赤外線カット率の評価を行った。
[実施例1]
基材の片面に、ITO層およびSiOC層からなる反射防止層を形成した。
(反射防止層の形成)
(1)まず、紫外線カット機能および赤外線カット機能を有するITOを基材の表面に積層する。
基材としてのサファイアガラスを120℃の熱硫酸中に10分間浸漬し、純水で20分間リンスした後、120℃に設定した大気中オーブンで30分間乾燥した。
次に、この基材をスパッタ装置内部にセットした後、真空引きを行い、10−6Torrの圧力とした。続いて、装置内にAr(アルゴン)ガスを導入し、0.2mTorrとした。そして、RF200WをITOターゲットに印加してITOスパッタを行った。膜厚が477nmになるようにスパッタ時間を設定した。
(2)次に、赤外線カット機能を有するSiOCをITO層の上に積層する。
装置内の真空引きを行い、10−6Torrの圧力とした。続いて、装置内にArガスとOガスを導入し、0.2mTorrとした。続いて、RF200WをSiOCターゲットに印加してSiOCスパッタを行った。SiOC層の膜厚が100nmになるようにスパッタ時間を設定した。
[実施例2]
基材の片面に、TiO層およびSiOC層からなる反射防止層を形成した。
TiO層の膜厚が103nm、SiOC層の膜厚が99nmとなるようにスパッタ時間を調整し、実施例1と同様に形成した。
[比較例1]
実施例1および実施例2で用いたサファイアガラスを未処理のまま使用した。
実施例1、2および比較例1の透光性部材を、以下の方法により評価した。
(1)反射率(%)
基材表面に対して90°の入射角で入射する標準光の反射率を求め、この反射率と、入射角90°の場合の視感感度とを可視光領域の各波長において掛け合わせた値の積算値に基づいて算出した。
(2)紫外線カット率(%)
240nmから400nmの波長において紫外線カット層の有り無しで光透過率を測定し、各波長の透過率の総和の差を紫外線カット層の無い透過率の総和で除した値を紫外線カット率とした。なお、透過率の測定には日立ハイテクノロジーズU−4100を用いた。
(3)赤外線カット率(%)
800nmから2600nmの波長において赤外線カット層の有り無しで光透過率を測定し、各波長の透過率の総和の差を赤外線カット層の無い透過率の総和で除した値を赤外線カット率とした。なお、透過率の測定には日立ハイテクノロジーズ製U−4100を用いた。
Figure 2009204577
表2に示すように、実施例1および2は、比較例1に比べて反射率が非常に低いため、視認性が良好であることがわかる。
また、紫外線カット率および赤外線カット率についても、比較例1に比べて非常に高いことがわかる。
<試験2>
以下の実施例3および比較例2および3のカバーガラスを、日光下の環境に置き、所定の時間経過後の駆動装置の温度を測定した。
[実施例3]
上記実施例1で用いたカバーガラスを使用した。
[比較例2]
上記実施例1で用いたサファイアガラスを未処理のまま使用した。
[比較例3]
従来の反射防止層が形成されたカバーガラスを使用した。なお、反射防止層は、SiOからなる層とSiNからなる層が交互に積層された構成とした。
測定結果を以下の表3に示す。
Figure 2009204577
表3に示すように、実施例3では、長時間経過した後でも、温度変化を抑えることができた。一方、比較例2および3では、時間の経過とともに温度変化が大きくなった。
本発明の第1実施形態にかかる透光性部材の断面を示す模式図。 ITOの紫外赤外吸収特性を示すグラフ。 TiOの紫外吸収特性を示すグラフ。 SnOの紫外吸収特性を示すグラフ。 本発明の第1実施形態にかかる透光性部材を備えた時計の断面図。 本発明の第2実施形態にかかる透光性部材の断面を示す模式図。
符号の説明
10・・・透光性部材、11・・・基材、12・・・反射防止層、121・・・紫外線カット層、122・・・赤外線カット層

Claims (8)

  1. 透光性を有する基材と、
    前記基材の上に形成された反射防止層と、を備え、
    前記反射防止層は、紫外線をカットする紫外線カット層と、赤外線をカットする赤外線カット層と、を含む
    ことを特徴とする透光性部材。
  2. 透光性を有する基材と、
    前記基材の対向する面のうち一方の面上に形成された反射防止層と、
    前記基材の対向する面のうち他方の面上に形成された紫外線をカットする紫外線カット層と、
    前記基材の対向する面のうち他方の面上に形成された赤外線をカットする赤外線カット層と、を備える
    ことを特徴とする透光性部材。
  3. 請求項1または請求項2に記載の透光性部材において、
    前記反射防止層は、屈折率の異なる層が積層された多層である
    ことを特徴とする透光性部材。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の透光性部材において、
    前記紫外線カット層は、ITO(酸化インジウムスズ)、TiO(酸化チタン)およびSnO(酸化スズ)のうち、少なくともいずれかひとつを含む
    ことを特徴とする透光性部材。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の透光性部材において、
    前記赤外線カット層は、ITO(酸化インジウムスズ)、SiOC(酸化炭化ケイ素)およびAlN(窒化アルミニウム)のうち、少なくともいずれかひとつを含む
    ことを特徴とする透光性部材。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の透光性部材において、
    前記基材が無機酸化物である
    ことを特徴とする透光性部材。
  7. 請求項6に記載の透光性部材において、
    前記無機酸化物がサファイアガラスである
    ことを特徴とする透光性部材。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の透光性部材を備えた時計であって、
    前記透光性部材は、時計体を収容するケースに設けられる
    ことを特徴とする時計。
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