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JP2009257226A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置 Download PDF

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JP2009257226A JP2008108033A JP2008108033A JP2009257226A JP 2009257226 A JP2009257226 A JP 2009257226A JP 2008108033 A JP2008108033 A JP 2008108033A JP 2008108033 A JP2008108033 A JP 2008108033A JP 2009257226 A JP2009257226 A JP 2009257226A
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Taiga Hagimoto
大河 萩本
Yutaka Tauchi
豊 田内
Daisuke Shibata
大介 柴田
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Abstract

【課題】NOx選択還元触媒が活性化温度に達する前及び達した直後において高濃度のNOxの排出を抑制する内燃機関の排気浄化装置を提供する。
【解決手段】機関排気通路内にNOx選択還元触媒24を配置し、NOx選択還元触媒の上流の機関排気通路内に上流酸化触媒22を配置すると共に下流の機関排気通路内に下流酸化触媒25を配置する。これら酸化触媒は冷間始動時に流入したNOxを吸着し触媒温度の上昇に伴って吸着したNOxを脱離する。冷間始動後に上流酸化触媒が吸着しその後脱離したNOxを含む排気ガス中のNOxを下流酸化触媒が吸着し、下流酸化触媒が活性化温度以上になったとき、排気通路内に燃料を添加し下流酸化触媒に吸着したNOxを還元浄化する。
【選択図】図1

Description

本発明は内燃機関の排気浄化装置に関する。
機関排気通路内にNOx選択還元触媒を配置し、NOx選択還元触媒上流の機関排気通路内にNOx吸着触媒を配置した内燃機関において、排気ガスの温度が低いNOx選択還元触媒活性化前においては排気ガス中に含まれるNOxがNOx吸着触媒に吸着し、排気ガスの温度が高くなるとNOx吸着触媒が昇温して吸着したNOxが脱離し、NOx選択還元触媒に尿素を供給して尿素から発生するアンモニアにより排気ガス中に含まれるNOxを選択的に還元する内燃機関が公知である(特許文献1参照)。
特表2006−519332号公報
しかしながらこの内燃機関では、NOx吸着触媒が昇温して吸着したNOxの脱離開始後であって、NOx選択還元触媒がNOxを還元浄化可能な活性化温度に達する前及び達した直後において、排気ガス中のNOxに加えて脱離したNOxが加わった高濃度のNOxが、還元浄化されずに排出されてしまうという問題がある。
そこで本発明は、NOx選択還元触媒が活性化温度に達する前及び達した直後において高濃度のNOxの排出を抑制する内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために請求項1に記載の発明によれば、排気通路内に燃料を添加する燃料添加手段を具備し、機関排気通路内にNOx選択還元触媒を配置し、NOx選択還元触媒の上流の機関排気通路内に上流NOx吸着触媒を配置すると共に下流の機関排気通路内に下流NOx吸着触媒を配置し、これらNOx吸着触媒は冷間始動時に流入したNOxを吸着し触媒温度の上昇に伴って吸着したNOxを脱離し、NOx選択還元触媒に尿素を供給して該尿素から発生するアンモニアにより排気ガス中に含まれるNOxを選択的に還元する内燃機関の排気浄化装置において、冷間始動後に上流NOx吸着触媒が吸着しその後脱離したNOxを含む排気ガス中のNOxを下流NOx吸着触媒が吸着し、下流NOx吸着触媒が活性化温度以上になったとき、排気通路内に燃料を添加し下流NOx吸着触媒に吸着したNOxを還元浄化する内燃機関の排気浄化装置が提供される。
即ち、請求項1に記載の発明では、下流NOx吸着触媒が活性化温度以上になったとき、排気通路内に燃料を添加することによって、下流NOx吸着触媒からのNOxの脱離が開始する前に、吸着したNOxの還元浄化を行うことができる。これによって、高濃度のNOxの排出を抑制することが可能となる。
また、請求項2に記載の発明によれば請求項1に記載の発明において、前記燃料の添加が、下流NOx吸着触媒が、吸着したNOxの脱離が完了する予め定められた温度に達するまで行われる内燃機関の排気浄化装置が提供される。即ち、請求項2に記載の発明では、下流NOx吸着触媒に吸着したNOxの脱離が完了するまで燃料を添加することによって、下流NOx吸着触媒のNOxの吸着能力を回復させることができ、次の冷間始動時のNOxの流入に備えることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば請求項2に記載の発明において、NOx選択還元触媒が活性化した後において、上流NOx吸着触媒の触媒温度及びNOx選択還元触媒の触媒温度に基づき下流NOx吸着触媒から排出されるNOx量を最小にする燃料添加量を算出する最適燃料量算出手段を具備する内燃機関の排気浄化装置が提供される。即ち、請求項3に記載の発明では、後述するような、燃料添加量の増加に伴う、NOx選択還元触媒のNOx浄化率の低下と下流NOx吸着触媒のNOxの還元浄化能力の向上との関係を考慮し、排出されるNOx量が最小とすることが可能となる。
また、請求項4に記載の発明によれば請求項1から3のいずれか1つに記載の発明において、前記燃料添加手段が、燃料添加弁からの燃料添加又は排気行程後半における燃焼室内への燃料噴射である内燃機関の排気浄化装置が提供される。
また、請求項5に記載の発明によれば請求項1から4のいずれか1つに記載の発明において、NOx選択還元触媒に付着した燃料量を推定する付着燃料量推定手段及びNOx選択還元触媒を昇温させるNOx選択還元触媒昇温手段を更に具備し、付着した燃料量が予め定められた値以上のときNOx選択還元触媒を昇温させ、付着した燃料を酸化除去する内燃機関の排気浄化装置が提供される。即ち、請求項5に記載の発明では、下流NOx吸着触媒に吸着したNOxの還元浄化の目的等で排気通路内に流入した燃料が、NOx選択還元触媒に付着することによって低下したNOx浄化率を、酸化除去することによって回復させることが可能となる。
また、請求項6に記載の発明によれば請求項1から5のいずれか1つに記載の発明において、上流NOx吸着触媒の劣化度合を推定する劣化度合推定手段及び触媒暖機制御手段を更に具備し、上流NOx吸着触媒の劣化度合に応じて下流NOx吸着触媒を触媒を昇温する内燃機関の排気浄化装置が提供される。即ち、請求項6に記載の発明では、長期間に亘る使用によって、上流NOx吸着触媒が下流NOx吸着触媒よりも劣化するが、後述するように、劣化によって増加する下流NOx吸着触媒からのNOxの排出を、抑制することが可能となる。
各請求項に記載の発明によれば、NOx選択還元触媒が活性化温度に達する前及び達した直後において高濃度のNOxの排出を抑制するすることができるという共通の効果を奏する。
図1に圧縮着火式内燃機関の全体図を示す。図1を参照すると、1は機関本体、2は各気筒の燃焼室、3は各燃焼室2内にそれぞれ燃料を噴射するための電子制御式燃料噴射弁、4は吸気マニホルド、5は排気マニホルドをそれぞれ示す。吸気マニホルド4は吸気ダクト6を介して排気ターボチャージャ7のコンプレッサ7aの出口に連結され、コンプレッサ7aの入口は吸入空気量を検出するためのエアフローメータ8を介してエアクリーナ9に連結される。吸気ダクト6内にはステップモータにより駆動されるスロットル弁10が配置され、更に吸気ダクト6周りには吸気ダクト6内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置11が配置される。図1に示す実施例では機関冷却水が冷却装置11内に導かれ、機関冷却水によって吸入空気が冷却される。
一方、排気マニホルド5は排気ターボチャージャ7の排気タービン7bの入口に連結され、排気タービン7bの出口は後述する排気後処理装置20に連結される。排気マニホルド5と吸気マニホルド4とは排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路12を介して互いに連結され、EGR通路12内には電気制御式EGR制御弁13が配置される。また、EGR通路12周りにはEGR通路12内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置14が配置される。図1に示す実施例では機関冷却水が冷却装置14内に導かれ、機関冷却水によってEGRガスが冷却される。一方、各燃料噴射弁3は燃料供給管15を介してコモンレール16に連結される。このコモンレール16内へは電子制御式の吐出量可変な燃料ポンプ17を用いて燃料タンク18から燃料が供給され、コモンレール16内に供給された燃料は各燃料供給管15を介して燃料噴射弁3に供給される。
排気後処理装置20は上流NOx吸着触媒22とNOx選択還元触媒24と下流NOx吸着触媒25とを有する。上流NOx吸着触媒22及び下流NOx吸着触媒25は、排気ガスの温度が低いときに排気ガス中に含まれるNOxを吸着し、排気ガスの空燃比がリーンのもとで排気ガスの温度が高くなると吸着したNOxをそのまま脱離する。ここで排気ガスの空燃比とは、燃焼室5及び排気通路内に供給された空気及び燃料(炭化水素)の比をいう。
上流NOx吸着触媒22は、図1に示す実施例では白金Pt等の貴金属を担持した酸化触媒からなるが、酸化触媒を担持したパティキュレートフィルタ、又はその他貴金属を担持した触媒であってもよい。一般に貴金属を担持した触媒は所定温度以下である場合にNOxをその表面に吸着し、排気ガスの空燃比がリーンのもとで所定温度以上になると、吸着したNOxをそのまま脱離する性質を有する。脱離は、吸着可能な量である吸着容量が温度上昇と共に低下し、吸着容量を超えた分の吸着していたNOxが放出されることをいう。上流酸化触媒22は、その下流に配置されたNOx選択還元触媒24が、NOxを還元浄化し易いように、流入したNOを酸化してNO2に変換する役割も果たす。この役割については後述する。
NOx選択還元触媒24は、排気ガスの空燃比がリーンのもとでアンモニアによって排気ガス中のNOxを選択的に還元することができる。NOx選択還元触媒24は、図1に示す実施例では、チタニアを担体とし、この担体上に酸化バナジウムを担持した触媒V25/TiO2、又はゼオライトを担体とし、この担体上に銅を担持した触媒Cu/ZSM5が用いられている。
下流NOx吸着触媒25は、図1に示す実施例では上流酸化触媒22と同様の酸化触媒からなる。従って、流入したNOxをその表面に吸着し脱離する性質を有する。当該下流酸化触媒25は、その上流に配置されたNOx選択還元触媒24と反応せずに流出したアンモニアを酸化する役割も果たす。
排気タービン7bの出口が排気通路21を介して上流酸化触媒22の入口に連結される。また、上流酸化触媒22の出口が排気管23を介してNOx選択還元触媒24の入口に連結される。そして、NOx選択還元触媒24の出口が下流酸化触媒25の入口に連結され、下流酸化触媒25の出口が排気管26に連結される。また、排気管23内には上流酸化触媒22から流出した排気ガスの温度を検出するための温度センサ27が配置され、排気管26内には下流酸化触媒25から流出した排気ガスの温度を検出するための温度センサ28が配置される。上流酸化触媒22から流出した排気ガスの温度は上流酸化触媒22の温度Taを表し、下流酸化触媒25から流出した排気ガスの温度はNOx選択還元触媒24及び下流酸化触媒25の温度Tbを表す。
NOx選択還元触媒24上流の排気管23内には尿素水供給弁29が配置され、この尿素水供給弁29は供給管、供給ポンプ30を介して尿素水タンク31に連結される。尿素水を供給すべきときには尿素水タンク31内に貯蔵されている尿素水が供給ポンプ30によって尿素水供給弁29から排気管23内を流れる排気ガス中に噴射され、このとき尿素から発生したアンモニア((NH2)2CO+H2O→2NH3+CO2)によって排気ガス中に含まれるNOxがNOx選択還元触媒24において還元される。
電子制御ユニット(ECU)40はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス41によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)42、RAM(ランダムアクセスメモリ)43、CPU(マイクロプロセッサ)44、入力ポート45及び出力ポート46を具備する。エアフローメータ8、及び温度センサ27,28の出力信号はそれぞれ対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。また、アクセルペダル49にはアクセルペダル49の踏み込み量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ50が接続され、負荷センサ50の出力電圧は対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。更に入力ポート45にはクランクシャフトが例えば15°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ51が接続される。CPU44ではクランク角センサ51からの出力パルスに基づいて機関回転数Nが算出される。一方、出力ポート46は対応する駆動回路48を介して燃料噴射弁3、スロットル弁10駆動装置、EGR制御弁13、燃料ポンプ17、尿素水供給弁30及び供給ポンプ31に接続される。
図2に単位時間当たりに排気通路内を通過するNOx量と時間の関係を示す。図2において、NOXaはNOx選択還元触媒24上流の排気管23内を単位時間当たりに通過するNOx量を示し、NOXbは下流酸化触媒25下流の排気管26内を単位時間当たりに通過するNOx量を示す。そして、NOX0は排気後処理装置20に流入するNOx量、即ち、上流酸化触媒22上流の排気通路21内を単位時間当たりに通過するNOx量を示し、図2に示す期間において一定とする。
上流酸化触媒22のNOx量NOXaは、機関始動直後である吸着区間Iaにおいて略ゼロである。これは、NOx量NOX0で上流酸化触媒22に流入したNOxの略全量が上流酸化触媒22に吸着し、その下流の排気管23内には流出していないことを表している。
その後の脱離区間IIaにおいては、NOx量NOXaが徐々に上昇している。これは、上流酸化触媒22の温度Taの上昇で吸着容量が低下することにより発生する脱離又は吸着容量の低下によるNOx吸着の飽和によって、上流酸化触媒22からNOxが流出しているためである。その後NOx量NOXaはNOX0を超えて増加する。NOx量NOXaがNOX0を超えているのは、上流酸化触媒22から脱離したNOxと、NOX0の一定量で上流酸化触媒22に流入するが吸着されずにそのまま流出したNOxとが合算されている状態を表す。このとき、高濃度のNOxが流出していることとなる。その後NOx量NOXaはNOX0に収束し、脱離区間IIaが終了する。NOx量NOXaがNOX0に収束するということは、吸着区間Iaで吸着したNOxが全て脱離したことを表している。
ここで、最初に述べたように、NOx選択還元触媒24が活性化する前に上流酸化触媒22から脱離分を含む高濃度のNOxが流出したとしても、下流酸化触媒25によって吸着されるので、上流酸化触媒22からの流出後しばらくの間はNOxの排出が抑制される。
次に下流酸化触媒25のNOx量NOXbについて説明する。実線は本発明による燃料添加制御を行わない場合を示す。吸着区間Ibにおいては、上流酸化触媒22の吸着区間Iaと同様に、下流酸化触媒25に流入するNOxの略全量が吸着している。下流酸化触媒25は上流酸化触媒22よりも排気通路下流に配置されているため、触媒温度Tbの昇温が遅く、従って、下流酸化触媒25吸着区間Ibは、上流酸化触媒22吸着区間Iaよりも遅くまで継続する。
その後の脱離区間IIbにおいては、上流酸化触媒22の脱離区間IIaと同様に、触媒温度Tbの上昇と共にNOxが流出し、最終的にNOx量NOX0に収束する。従って、このままだと、高濃度のNOxが排出されてしまう。そこで、本発明による燃料添加制御を実行することによって、高濃度のNOxが還元浄化されずに排出されることを抑制する。
次に、本発明による燃料添加制御について説明する。その前に、まず、下流酸化触媒25の還元反応について説明する。下流酸化触媒25は、還元剤、例えば燃料HCが添加されるとそれを酸化するが、このときNOxが吸着している場合、NOx中の酸素によって燃料HCを酸化する。そのため、NOx自体は還元浄化される。従って、本発明による燃料添加制御によれば、この性質を利用して、下流酸化触媒25に吸着したNOxを還元浄化することができる。
ここで下流酸化触媒25が活性化し、吸着したNOxを還元浄化可能となる酸化触媒活性化温度Tkは、脱離区間IIbが開始する温度よりも低い。従って、下流酸化触媒25が酸化触媒活性化温度Tkに達したとき、即ち、下流酸化触媒25からNOxが流出する前に、下流酸化触媒25に燃料の添加を開始すると、吸着したNOxが前述のように還元浄化され、高濃度のNOxが還元浄化されずに排出されることを抑制することができる。即ち、図2の脱離区間IIbにおいて破線で示されるように、排出されるNOxはNOx量NOX0以下に抑えることができる。更にこの間にNOx選択還元触媒24が活性化温度Tnに達した後は、NOx選択還元触媒24を用いて排気ガス中のNOxを還元浄化することもできる。
そして、下流酸化触媒25に吸着しているNOxの還元浄化が全て完了したとき、即ち、下流酸化触媒25の脱離区間IIbが終了する脱離完了温度Teに達したときには、下流酸化触媒25に対してこれ以上燃料の添加を継続する必要はないので、燃料添加制御を終了する。図2の一番下に、燃料添加制御を実行している区間をON、実行していない区間をOFFで表す。
下流酸化触媒25に燃料を添加するための方法として、本実施例では排気行程後半で燃焼室2内に燃料を噴射することによって、未燃燃料を排気後処理装置20に添加する。なお、そのときの噴射量については、上流酸化触媒22上における酸化反応で使用される分を考慮し、噴射量を調整する。即ち、上流酸化触媒22の温度Taが高いほど、上流酸化触媒22上で燃料が使用されるため、噴射量によっては下流酸化触媒25に到達する前に燃料が無くなってしまう。従って、上流酸化触媒22の温度Taとそこで使用される燃料量との関係を予め実験又は計算によって求め、それに基づいて噴射量を決定する。
図3は、燃料添加制御操作を示すフローチャートである。この操作は電子制御ユニット(ECU)40によって予め定められた所定時間毎の割り込みによって実行されるルーチンとして行われる。
まず、ステップ101において、温度センサ28によって下流酸化触媒25の温度Tbが検出される。次いで、ステップ102では、触媒温度Tbが酸化触媒活性化温度Tkより大きく、且つ、脱離完了温度Teよりも小さいか否かが判定される。触媒温度Tbが酸化触媒活性化温度Tkよりも小さい場合には、燃料を添加しても還元反応が起きないので、燃料添加を行わず、ルーチンを終了する。同様に、触媒温度Tbが脱離完了温度Teよりも大きい場合には、前述のように、還元すべきNOxは下流酸化触媒25には吸着しておらず、燃料を添加する必要がないので、燃料添加を行うことなく、ルーチンを終了する。
一方、ステップ102において、触媒温度Tbが酸化触媒活性化温度Tkより大きく、且つ、脱離完了温度Teよりも小さい場合には、次いでステップ103に進み、燃料添加を行って、ルーチンを終了する。
次に、本発明による別の燃料添加制御について説明する。本実施例による燃料添加制御は、前述の燃料添加制御中においてNOx選択還元触媒24が活性化温度Tnに達してから脱離完了温度Teに達するまでの温度域における制御に関し、より効率的にNOxの排出を抑制することができる。
当該温度域では、NOx選択還元触媒24を利用して排気ガス中のNOxを還元浄化することも可能である。しかしながら、NOx選択還元触媒24のNOx浄化率を高めようとすると、逆に下流酸化触媒25の吸着したNOxの浄化能力が低下し、下流酸化触媒25の吸着したNOxの浄化能力を向上しようとすると、逆にNOx選択還元触媒24のNOx浄化率が低下する。これに関して、以下に詳述する。
NOx選択還元触媒24によってNOxを選択的に還元浄化する場合、排気ガス中にNOxに対するNO2の比率が50パーセントのときにNOx浄化率が高く、最も良好にNOxを還元浄化することができる。ところで排気ガス中に含まれるNOxの大部分はNOである。従ってこの内燃機関では上流酸化触媒22によってNOをNO2に変換し、NOとNO2との比率が1:1に近づけるようにしている。そして、尿素水供給弁29から排気管23内に噴射された尿素から発生したアンモニアNH3によって、排気ガス中に含まれるNOxが次式に示されるように選択的に還元される。
NO+NO2+2NH3→2N2+3H2
しかし、ここで前述のように下流酸化触媒25に吸着したNOxを還元浄化するために燃料HCを添加すると、上流酸化触媒22において、排気ガス中のNOxが燃料HCの酸化よってNOを生成することなく還元され、NO2を十分に発生させることができない。その結果、NOとNO2との比率が1:1に近づけることができず、NOx選択還元触媒24のNOx浄化率はその分低下してしまう。よって、下流酸化触媒25のNOxの浄化能力とNOx選択還元触媒24のNOx浄化率とは、いわばトレードオフの関係にある。
下流酸化触媒25のNOxの浄化能力及びNOx選択還元触媒24のNOx浄化率は、燃料添加量と触媒温度Ta,Tbに応じて変化するので、触媒温度Ta,Tbに応じて燃料添加量を調整することによって、最終的に排出されるNOx量が最も少なくなるように制御することが可能となる。
次に、最終的に排出されるNOx量を推定するための方法について説明する。上流酸化触媒22によって酸化された後のNOxに対するNO2の比率NRは、上流酸化触媒22の温度Ta及び燃料添加量VFの関数で表すことができ、図4に示されるようなマップの形で予めROM42内に記憶されている。更に、NOx選択還元触媒24のNOx浄化率NCが、上流酸化触媒22によって酸化された後のNOxに対するNO2の比率NR及びNOx選択還元触媒24の温度Tbの関数で表すことができ、図5に示されるようなマップの形で予めROM42内に記憶されている。これらマップは、予め実験又は計算によって求める。
従って、これらマップをもとに、或る触媒温度Ta,Tbにおいて燃料を添加しない場合、即ち燃料添加量がゼロのときに最終的に排出されるNOx量NOXoffと、最適量の燃料を添加した場合に最終的に排出されるNOx量NOXonとをそれぞれ算出し、これらを比較することによって、燃料を添加すべきか否かを判断するようにしている。即ち、NOx量NOXonがNOx量NOXoffよりも小さい場合、この場合には、燃料を添加することによって排出されるNOx量を減らす。これは、燃料を添加することによって低下するNOx選択還元触媒24のNOx浄化率の影響よりも、それによって向上する下流酸化触媒25のNOx浄化能力の影響の方が、排出されるNOx量の低減に寄与するからである。
一方、NOx量NOXonがNOx量NOXoffよりも大きい場合、この場合には、燃料を添加しないことによって排出されるNOx量を減らす。これは、燃料を添加しないことによって向上するNOx選択還元触媒24のNOx浄化率の影響の方が、それによって低下する下流酸化触媒25のNOx浄化能力の影響よりも、排出されるNOx量の低減に寄与するからである。
図6は、本実施例による燃料添加制御操作を示すフローチャートである。この操作は電子制御ユニット(ECU)40によって予め定められた所定時間毎の割り込みによって実行されるルーチンとして行われる。
まず、ステップ201において、温度センサ27,28によって上流酸化触媒22の温度Ta、NOx選択還元触媒24及び下流酸化触媒25の温度Tbがそれぞれ検出される。次いで、ステップ202では、図3のステップ101と同様に、触媒温度Tbが酸化触媒活性化温度Tkより大きく、且つ、脱離完了温度Teよりも小さいか否かが判定される。触媒温度Tbが酸化触媒活性化温度Tkよりも小さい場合には、燃料を添加しても還元反応が起きないので、燃料添加を行わず、ルーチンを終了する。同様に、触媒温度Tbが脱離完了温度Teよりも大きい場合には、前述のように、還元すべきNOxは下流酸化触媒25には吸着しておらず、燃料を添加する必要がないので、燃料添加を行うことなく、ルーチンを終了する。
一方、ステップ202において、触媒温度Tbが酸化触媒活性化温度Tkより大きく、且つ、脱離完了温度Teよりも小さい場合には、次いでステップ203へと進む。次いで、ステップ203では、触媒温度TbがNOx選択還元触媒活性化温度Tnより大きいか否かが判定される。触媒温度TbがNOx選択還元触媒活性化温度Tnより小さい場合には、NOx選択還元触媒24の選択還元機能を利用することができない。従って、図3に示す燃料添加制御と同様に、ステップ208へと進み、下流酸化触媒25に吸着したNOxの還元浄化のために燃料添加を行い、ルーチンを終了する。
一方、ステップ203において、触媒温度TbがNOx選択還元触媒活性化温度Tnより大きい場合には、ステップ204へと進む。次いで、ステップ204では、触媒温度Taに基づいてマップにより燃料添加量VFに応じた、上流酸化触媒22によって酸化された後のNOxに対するNO2の比率NRが算出され、ステップ205へと進む。次いで、ステップ205では、ステップ204で算出したNOxに対するNO2の比率NR及び触媒温度Tbに基づいてマップによりNOx選択還元触媒24のNOx浄化率NCが算出され、ステップ206へと進む。
次いで、ステップ206では、燃料添加量がゼロのときに最終的に排出されるNOx量NOXoffと、燃料を添加した場合に最終的に排出されるNOx量NOXonとをそれぞれ算出し、ステップ207へと進む。次いで、ステップ207では、ステップ206で算出したNOx量NOXon及びNOx量NOXoffを比較し、NOx量NOXonがNOx量NOXoffよりも小さいか否かが判定される。NOx量NOXonがNOx量NOXoffよりも小さい場合には、燃料を添加しない方が排出されるNOx量が少ないため燃料を添加することなくルーチンを終了する。
一方、ステップ207において、NOx量NOXonがNOx量NOXoffよりも大きい場合には、燃料を添加した方が排出されるNOx量が少ないため、ステップ208へと進む。次いで、ステップ208で最適量の燃料を添加し、ルーチンを終了する。
図7に別の実施例を示す。この実施例は、図1に示す圧縮着火式内燃機関と略同様であるが、排気通路21内には、排気ガス中に燃料を供給するための燃料添加弁32が取付けられている点において異なる。燃料添加弁32は、駆動回路48を介して出力ポート46に接続される。なお、燃料添加弁32は排気マニホルド5に取り付けることもできる。
図1に示す内燃機関は、排気後処理装置20に燃料を添加するため、排気行程後半で燃焼室2内に燃料を噴射していた。しかし、この方法では、燃料中のHCにおいて比較的分子量の小さい組成を有するHCは、燃焼室2内で燃焼してしまい、比較的分子量の大きい組成を有するHCのみが排気後処理装置20に流入する。流入した分子量の大きいHCは触媒に付着し、特にNOx選択還元触媒24に付着するとNOx浄化率の低下を招くという問題がある(以下、「HC被毒」という)。
従って、本実施例では、排気通路21内に燃料添加弁32を配置することによって、比較的分子量の小さい組成を有するHCを含む燃料を添加することが可能となり、HC被毒が図1に示す内燃機関に比べて軽減される。
なお、本実施例は、図1に示す実施例と燃料の添加方法が異なるだけであるので、図3及び図6に示す燃料添加制御を同様に実行することができる。
次に、図1及び図7に示す内燃機関において、NOx選択還元触媒24がHC被毒してしまった場合の回復処理について説明する。本実施例では、HC被毒を回復すべきときに、以下に説明するHC被毒回復制御を実行することによって、付着したHCを酸化除去する。ここで、HC被毒を回復すべきときとは、NOx選択還元触媒24に付着した推定HC量ΣHCが予め定められた値MAXを超えたときをいう。
ここでNOx選択還元触媒24に付着したHC量ΣHCを推定する方法について説明する。燃料添加はNOxを還元浄化するために行われるので、NOx選択還元触媒24に付着するHC量ΣHCは、排気後処理装置20に流入するNOx量に比例する。排気後処理装置20に流入するNOx量は、要求トルクTQ及び機関回転数Nの関数で表すことができ、従ってNOx選択還元触媒24に付着するHC量も要求トルクTQ及び機関回転数Nの関数となる。本発明による実施例では、NOx選択還元触媒24に単位時間当りに付着するHC量HCが、要求トルクTQ及び機関回転数Nの関数として図8に示されるようなマップの形で予めROM42内に記憶されている。従って、HC量HCを積算することによってNOx選択還元触媒24に付着しているHC量ΣHCが推定される。
なお、昇温制御については、排気行程後半で燃焼室2内に燃料を噴射することによって排気ガスの温度を上昇させると共に未燃燃料の酸化反応熱によって昇温させる方法や、図7に示す内燃機関においては、上流酸化触媒22に燃料を添加することによって得られる酸化反応熱によって昇温させる方法等が考えられる。
図9は、HC被毒回復制御操作を示すフローチャートである。この操作は電子制御ユニット(ECU)40によって予め定められた所定時間毎の割り込みによって実行されるルーチンとして行われる。
まず、ステップ301において、図8に示すマップから、それぞれ単位時間当たりに付着するHC量HCが算出される。次いで、ステップ302では、ステップ301において算出されたHCがΣHCに加算され、ステップ303へと進む。次いで、ステップ303では、HC量ΣHCが許容値MAXを超えたから否かが判定され、HC量ΣHCが許容値MAXよりも小さい場合、昇温制御を行わずにルーチンを終了する。
一方、ステップ303において、HC量ΣHCが許容値MAXを超えている場合には、ステップ304へと進む。次いで、ステップ304では、昇温制御が実行され、NOx選択還元触媒24の温度Tbが昇温される。次いで、ステップ305では、ステップ304において付着したHCが酸化除去されたので、HC量ΣHCをリセットし、ルーチンを終了する。
ところで、図1及び図7に示す内燃機関は、長期間に亘って使用することにより、排気後処理装置20に配置された触媒の劣化が進行する。特に上流酸化触媒22は、下流酸化触媒25に比べてより高温の排気ガスに曝されるため、劣化度合が大きくなる。
図10は、上流酸化触媒22及び下流酸化触媒25の劣化について説明するための図である。図10を参照すると、破線は図2において実線で示す状態と同じであり劣化前の状態を示す。それが時間の経過と共に、上流酸化触媒22のNOXaのピークを迎える時間がRaだけ早まり、下流酸化触媒25のNOXbのピークを迎える時間がRbだけ早まる。これは、触媒が劣化することによって各酸化触媒22,25からNOxが流出を開始する時間が早まったことを意味し、これは即ち、脱離が開始するまでの温度が低くなったことを意味する。更に、前述のように上流酸化触媒22の方が下流酸化触媒25よりも劣化度合が大きいため、Raの方がRbよりも大きくなる。
劣化度合が異なることによって、図10に示されるように、上流酸化触媒22からNOxの流出が開始する時間から、下流酸化触媒25が活性化温度Tkに達するまでの時間がTM1からTM2へと長くなる。即ち、この長くなった時間分、劣化前に比べて下流酸化触媒25に多くのNOx流入し、従ってより多量のNOxを吸着しなければならない。そして、下流酸化触媒25が活性化温度Tkまで昇温しNOxを還元浄化可能になる前に、下流酸化触媒25の吸着容量が飽和してしまうと、前述のように高濃度のNOxが排出されてしまう。
そこで、本実施例では、劣化度合を推定し、劣化度合に応じた触媒暖機制御を行うことで、時間TM1及びTM2の差が小さくなるようにしている。即ち、触媒暖機制御を実行することによって、特に下流酸化触媒25を早期に昇温させれば、早期に下流酸化触媒25が活性化温度Tkに達し、結果として時間TM2が短くなることから時間TM1との差が小さくなる。従って、劣化度合が大きければ大きいほど、それに応じて触媒暖機制御による昇温速度も大きくする。
劣化度合については、本実施例では劣化度合が大きい上流酸化触媒22を基に判断するが、それと併せて下流酸化触媒25の劣化度合について考慮してもよい。劣化度合を推定する手段としては、今までの触媒温度Taの履歴から所定温度以上にどれくらいの時間曝されたか、所定量の燃料添加を行ったときの温度上昇の割合、又は実際に排気管23内にNOxセンサを取り付け、NOxの流出を検出するまでの時間を測定する等によって行われる。
また触媒暖機制御については、前述のように触媒の酸化反応を利用する方法や、排気通路に配置された排気絞り弁を調整することによって負荷を上げ、それによって排気ガスの温度を上昇させる方法、更に、グロープラグ等の予備加熱装置を用いて排気ガスの温度を上昇させる方法によって行う。
図11は、本実施例による触媒暖機制御操作を示すフローチャートである。この操作は電子制御ユニット(ECU)40によって予め定められた所定時間毎の割り込みによって実行されるルーチンとして行われる。
まず、ステップ401において、上流酸化触媒22の劣化度合を推定し、ステップ402へと進む。次いで、ステップ402では、ステップ401で推定した劣化度合に基づいて触媒暖機制御を行い、ルーチンを終了する。
なお、前述の実施例では、予め実験等によってNOx量NOXa、NOXbと触媒温度Ta、Tbの関係から、酸化触媒活性化温度Tk及び脱離完了温度Te、更に、NOx選択還元触媒活性化温度Tnを求めておく。そして、触媒温度に基づいて各種制御操作を行ったが、排気管23及び排気管26にそれぞれNOxセンサを取り付け、その出力に基づいて同様の制御を行うようにしてもよい。
圧縮着火式内燃機関の全体図である。 単位時間当たりに排気通路内を通過するNOx量と時間の関係を示す図である。 燃料添加制御操作を示すフローチャートである。 NOxに対するNO2の比率のマップを示す図である。 NOx浄化率のマップを示す図である。 別の実施例による燃料添加制御操作を示すフローチャートである。 圧縮着火式内燃機関の別の実施例を示す全体図である。 単位時間当たりに付着する燃料のマップを示す図である。 HC被毒回復制御操作を示すフローチャートである。 酸化触媒の劣化について説明するための図である。 触媒暖機制御操作を示すフローチャートである。
符号の説明
4 吸気マニホルド
5 排気マニホルド
7 排気ターボチャージャ
22 上流酸化触媒
24 NOx選択還元触媒
24 下流酸化触媒
27,28 温度センサ

Claims (6)

  1. 排気通路内に燃料を添加する燃料添加手段を具備し、機関排気通路内にNOx選択還元触媒を配置し、NOx選択還元触媒の上流の機関排気通路内に上流NOx吸着触媒を配置すると共に下流の機関排気通路内に下流NOx吸着触媒を配置し、これらNOx吸着触媒は冷間始動時に流入したNOxを吸着し触媒温度の上昇に伴って吸着したNOxを脱離し、NOx選択還元触媒に尿素を供給して該尿素から発生するアンモニアにより排気ガス中に含まれるNOxを選択的に還元する内燃機関の排気浄化装置において、冷間始動後に上流NOx吸着触媒が吸着しその後脱離したNOxを含む排気ガス中のNOxを下流NOx吸着触媒が吸着し、下流NOx吸着触媒が活性化温度以上になったとき、排気通路内に燃料を添加し下流NOx吸着触媒に吸着したNOxを還元浄化する内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記燃料の添加が、下流NOx吸着触媒が、吸着したNOxの脱離が完了する予め定められた温度に達するまで行われる請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. NOx選択還元触媒が活性化した後において、上流NOx吸着触媒の触媒温度及びNOx選択還元触媒の触媒温度に基づき下流NOx吸着触媒から排出されるNOx量を最小にする燃料添加量を算出する最適燃料量算出手段を具備する請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記燃料添加手段が、燃料添加弁からの燃料添加又は排気行程後半における燃焼室内への燃料噴射である請求項1から3のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. NOx選択還元触媒に付着した燃料量を推定する付着燃料量推定手段及びNOx選択還元触媒を昇温させるNOx選択還元触媒昇温手段を更に具備し、付着した燃料量が予め定められた値以上のときNOx選択還元触媒を昇温させ、付着した燃料を酸化除去する請求項1から4のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 上流NOx吸着触媒の劣化度合を推定する劣化度合推定手段及び触媒暖機制御手段を更に具備し、上流NOx吸着触媒の劣化度合に応じて下流NOx吸着触媒を触媒を昇温する請求項1から5のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
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