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JP2009126853A - 治療剤 - Google Patents

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JP2009126853A JP2007306445A JP2007306445A JP2009126853A JP 2009126853 A JP2009126853 A JP 2009126853A JP 2007306445 A JP2007306445 A JP 2007306445A JP 2007306445 A JP2007306445 A JP 2007306445A JP 2009126853 A JP2009126853 A JP 2009126853A
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Abstract

【課題】 葛花の処理物には、体脂肪低減効果、抗糖尿病効果、抗肥満効果、血流改善効果などの種々の活性があることが知られている。本発明の課題は、これら以外の種々の疾病に、とりわけ顕著な効果でもって有効である、葛花処理物を有効成分とする治療剤の提供にある。
【解決手段】 葛花処理物を有効成分とする、抗アレルギー剤、高尿酸血症の予防または改善剤、抗骨粗鬆症剤、リウマチ治療剤、抗鬱・抗ストレス剤、アディポネクチン産生促進剤、コレステロール低下剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、葛花の処理物を有効成分とする各種疾病に有用な治療剤に関する。
葛花の処理物には、体脂肪低減効果(特許文献1)、抗糖尿病効果(特許文献2)、抗肥満効果(特許文献3)、血流改善効果(特許文献4)などの種々の活性があることが知られている。
しかしながら、葛花の処理物が、下記で説明する本発明で適用される種々の疾病に、とりわけ顕著な効果でもって有効であるとの見地はない。
特開2007−289001号公報 特開2006−290876号公報 特開2007−137861号公報 特開2006−249071号公報
本発明の目的は、下記で説明する本発明で適用される種々の疾病に、とりわけ顕著な効果でもって有効である各種治療剤を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、葛花処理物を有効成分とすることを特徴とする抗アレルギー剤である。
請求項2に記載の発明は、葛花処理物を有効成分とすることを特徴とする高尿酸血症の予防または改善剤である。
請求項3に記載の発明は、葛花処理物を有効成分とすることを特徴とする抗骨粗鬆症剤である。
請求項4に記載の発明は、葛花処理物を有効成分とすることを特徴とするリウマチ治療剤である。
請求項5に記載の発明は、葛花処理物を有効成分とすることを特徴とする抗鬱・抗ストレス剤である。
請求項6に記載の発明は、葛花処理物を有効成分とすることを特徴とするアディポネクチン産生促進剤である。
請求項7に記載の発明は、葛花処理物を有効成分とすることを特徴とするコレステロール低下剤である。
本発明によれば、下記で説明する本発明で適用される種々の疾病に、とりわけ顕著な効果でもって有効である各種治療剤が提供される。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明で用いられる葛花処理物とは、マメ科植物に属する葛植物の花部の処理物であれば、特に制限されない。葛花には、蕾から全開した花までの段階で採集した花が含まれる。蕾を用いることが好ましい。本明細書において、「葛花処理物」は、葛花に乾燥処理、粉砕処理、および抽出処理のうちの少なくとも1種の処理を行って得られるものをいう。葛花処理物には、葛花の乾燥物、葛花破砕物、葛花の乾燥粉砕物(葛花粉末)、および葛花抽出物が含まれる。葛花抽出物には、葛花、葛花破砕物、葛花乾燥物または葛花粉末から抽出処理を行って得られる抽出物が含まれる。葛花抽出物の形状は問わず、液状、ペースト状、粉状であってもよい。
本発明で用いられる葛花処理物は、イソフラボン類などのフラボノイドの他に、サポニン、トリプトファン配糖体などを含有し、好ましくは、イソフラボン類およびサポニンを含有し得る。これらの成分の含有量は特に制限されない。好ましくは、葛花処理物中のイソフラボン類が乾燥質量換算で3質量%以上、より好ましくは5質量%〜90質量%である。サポニンは、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%〜50質量%である。このようなイソフラボン類およびサポニンを高含有する葛花処理物として、葛花抽出物が好適に用いられる。本発明における葛花処理物における各効果は、葛花中に含まれるイソフラボン類以外の成分も関与していることが考えられ、例えば、同量のイソフラボン類またはサポニンを含有する大豆抽出物などに比べて優れている。
以下、上記葛花処理物である、葛花の乾燥物、葛花粉末および葛花抽出物の調製方法について説明する。
葛花の乾燥物は、葛花、好ましくは蕾の段階の葛花を、日干し、熱風乾燥などの方法により乾燥したものである。好ましくは、水分含有量が10質量%またはそれ以下となるまで行われ得る。
葛花粉末は、上記葛花の乾燥物を粉砕して得られる。粉末化は、当業者が通常用いる方法、例えば、ボールミルやハンマーミル、ローラーミルなどを用いて行われる。
葛花粉末はまた、採取した葛花を、マスコロイダー、スライサー、コミトロールなどを用いて破砕して葛花破砕物を得、この葛花破砕物を乾燥することによっても得られる。
葛花抽出物は、例えば、葛花採集物、葛花破砕物、葛花の乾燥物あるいは葛花粉末(以下、単に抽出原料ということがある)に溶媒を添加して、必要に応じて加温して抽出を行い、遠心分離または濾過により抽出液を回収することによって得られる。
上記抽出に用いる溶媒としては、水、有機溶媒、含水有機溶媒などが挙げられ、最も好ましくはエタノールである。
抽出温度は、使用する溶媒の沸点以下の温度であれば特に制限はない。抽出温度は、用いる溶媒によっても異なるが、有効成分の分解などを考慮して、一般に、4℃〜130℃である。好ましくは50℃〜130℃、より好ましくは70℃〜100℃である。加温して抽出する場合は、例えば、加熱還流などの加温抽出法、超臨界抽出法などが採用され得る。加温する場合、加圧して行ってもよい。
抽出時間は、抽出原料から十分に可溶性成分が抽出される時間であればよく、抽出温度などに応じて適宜設定すればよい。好ましくは30分〜48時間である。例えば、抽出温度が50℃未満の場合は、6時間〜48時間抽出され得、50℃以上の場合は、30分〜24時間抽出され得る。
また、得られた抽出液は、必要に応じて、減圧濃縮や凍結乾燥等の当業者が用いる方法により濃縮され、液状、ペースト状、あるいは粉末とすることにより、葛花抽出物が得られる。なお、粉末状の葛花抽出物を抽出エキス末ということがある。
あるいは、この抽出物を合成吸着剤(ダイアイオンHP20やセファビースSP825、アンバーライトXAD4、MCIgelCHP20P等)やデキストラン樹脂(セファデックスLH−20など)を用いてさらに精製し、フラボノイドやサポニンなどの濃度が高い葛花抽出物を得ることができる。
葛花処理物の摂取量は、成人1日1〜数回、1回量約1〜500mg、好ましくは3〜300mg程度投与するのがよい。
また本発明では、プロアントシアニジンを併用するのも好ましい形態である。プロアントシアニジンとは、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上、好ましくは2〜10量体、さらに好ましくは2〜4量体の縮重合体からなる化合物群、誘導体およびそれらの立体異性体を指称する。プロアントシアニジンのうち、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2〜4の縮重合体をOPC(オリゴメリックプロアントシアニジン;oligomeric proanthocyanidin)という。OPCは強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果物の皮もしくは種子の部分に豊富に含有されている。具体的には、ブドウ、松の樹皮、ピーナッツの薄皮、イチョウ、ニセアカシアの果実、コケモモ、ブルーベリー、イチゴ、アボガド、大麦、小麦、大豆、黒大豆、カカオなどに含まれている。また、西アフリカのコーラナッツ、ペルーのラタニアの根にもOPCが含まれていることが知られている。OPCはヒトの体内では生成することができない物質である。
本発明の有効成分として用いられるプロアントシアニジンについては、原料の由来あるいは原料の利用部分、製造法、精製法は何ら制限されないが、上記の樹皮、果実もしくは種子の粉砕物、またはこれらの抽出物のような食品原料を使用することができる。特に松樹皮、さらに好ましくはOPCが豊富に含まれているフランス海岸松樹皮の抽出物を用いることが好ましい。フランス海岸松樹皮はプロアントシアニジンの原料として好ましく用いられる。
プロアントシアニジンは、公知の方法[例えば、特許文献1に記載の方法あるいは松の樹皮からの抽出法;アール・ダブル・ヘミングウェイ(R.W.Hemingway)ら、フィトケミストリー(Phytochemistry),1983年,第22巻、p.275−281]あるいはそれに準じた方法を採用することによって上記各種植物体から容易に得ることができる。
以下、OPCを豊富に含む松樹皮の抽出物を例に挙げて、プロアントシアニジンの調製方法を説明する。
松樹皮抽出物は、松樹皮を水または有機溶媒で抽出して得られる。水を用いる場合には、温水または熱水が用いられる。抽出に用いる有機溶媒としては、食品あるいは薬剤製造に許容される有機溶媒が用いられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,2−トリクロロエテンなどが挙げられる。これらの水および有機溶媒は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。特に、熱水、含水エタノール、含水プロピレングリコールが好適に用いられる。
松樹皮からプロアントシアニジンを抽出する方法は、特に限定されないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。
超臨界流体抽出法は、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)などが用いられ、とりわけ二酸化炭素が好適に用いられる。
超臨界流体抽出法は、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程および目的成分と超臨界流体とを分離する分離工程からなる。分離工程は、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、または吸着剤、吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、超臨界流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエンなどを2〜20%程度添加し、得られた抽出流体で超臨界流体抽出を行うことによって、OPCなどの被抽出物の抽出流体に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的に松樹皮抽出物を得る方法である。
松樹皮からの抽出は、上記の方法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法などにより行ってもよい。
以上のようにして得られたプロアントシアニジンは、液状もしくは半固形状の形態で得られるが、このものから抽出溶媒を減圧留去、スプレードライ、凍結乾燥等の公知の方法によって除去すれば、そのままプロアントシアニジン含有濃縮物や乾燥物として使用することができる。さらに精製するには、カラムクロマトグラフィー、向流分配法等の公知の精製手段を採用して、目的を達成することができる。
プロアントシアニジンは、水によく溶解し、生体への吸収性が高い。酸性、中性、アルカリ性のいずれの条件においても安定性が高く、その機能を維持した状態で飲食品に配合することが容易である。また、摂取開始後短期間で効果が期待でき、少量の摂取でも十分な効果を得られるため、飲食品としての摂取許容量および摂取形態に制限のある幼児や老人等への食事素材として、利用価値が高い。
プロアントシアニジンの投与量は、その種類、その剤型、また患者の年令、体重、適応症状などによって異なるが、例えば、成人1日1〜数回、1回量約1〜500mg、好ましくは3〜300mg程度投与するのがよい。
本発明の治療剤は、錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤、液剤等の固形または溶液の形態(以下、製剤ともいう)に公知の方法により適宜調製することができる。即ち、本発明に有用な固形製剤または液状製剤は、葛花処理物、必要に応じてプロアントシアニジンと添加剤とを混合し、従来充分に確立された公知の製剤製法を用いることにより製造される。添加剤としては、例えば賦形剤、pH調整剤、清涼化剤、懸濁化剤、希釈剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤または香料などが挙げられる。
上記賦形剤としては、例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール或いはキシリトールなどの糖アルコール、ブドウ糖、白糖、乳糖或いは果糖などの糖類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、βーシクロデキストリン、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、またはメタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
上記pH調整剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、リン酸水素ナトリウムまたはリン酸二カリウムなどが挙げられる。
上記清涼化剤としては、例えばl−メントールまたはハッカ水などが挙げられる。
上記懸濁化剤としては、例えば、カオリン、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、メチルセルロースまたはトラガントなどが挙げられる。
上記希釈剤としては、例えば精製水、エタノール、植物油または乳化剤等が挙げられる。
上記消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサンまたはシリコン消泡剤などが挙げられる。
上記粘稠剤としては、例えばキサンタンガム、トラガント、メチルセルロースまたはデキストリンなどが挙げられる。
上記溶解補助剤としては、例えばエタノール、ショ糖脂肪酸エステルまたはマクロゴールなどが挙げられる。
上記崩壊剤としては、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチまたは部分アルファー化デンプンなどが挙げられる。
上記結合剤としては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、アルファー化デンプン、カンテン、トラガント、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。
上記滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、セタノール、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、ミツロウまたはサラシミツロウなどが挙げられる。
上記抗酸化剤としては、例えばアスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、アスコルビン酸またはクエン酸などが挙げられる。
上記コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタートジエチルアミノアセテートまたはセラックなどが挙げられる。
上記着色剤としては、例えばウコン抽出液、リボフラビン、酸化チタンまたはカロチン液などが挙げられる。
上記矯味矯臭剤としては、例えばクエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、果糖、D−ソルビトール、ブドウ糖、サッカリンナトリウム、単シロップ、白糖、ハチミツ、アマチャ、カンゾウ、クエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、オレンジ油、トウヒチンキ、ウイキョウ油、ハッカまたはメントールなどが挙げられる。
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、ポリソルベート類、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール類またはショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
上記可塑剤としては、例えばクエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、トリアセチンまたはセタノールなどが挙げられる。
上記香料としては、例えば、動物性香料或いは植物性香料等の天然香料、または単離香料或いは純合成香料等の合成香料などが挙げられる。
本発明の葛花処理物は、飲食品材料に配合してもよい。このような材料としては、例えば、パン、チューインガム、クッキー、チョコレート、シリアル等の固形食品、ジャム、アイスクリーム、ヨーグルト、ゼリー等のジャム状、クリーム状またはゲル状食品、ジュース、コーヒー、ココア、緑茶、ウーロン茶、紅茶等の飲料等が挙げられる。また、調味料、食品添加物等に配合することもできる。
さらに本発明においては、例えば、ローヤルゼリー、プロポリス、ビタミン類(A、C、D、E、K、葉酸、パントテン酸、ビオチン、これらの誘導体等)、ミネラル(鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等)、セレン、レシチン、カロテノイド(リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテイン等)、サポニン(ギムネマ酸、大豆サポニン、人参サポニン等)、脂肪酸、タンパク質(コラーゲン、エラスチン等)、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、環状オリゴ糖等)、リン脂質及びその誘導体(フォスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、セラミド等)、含硫化合物(アリイン、セパエン、タウリン、グルタチオン、メチルスルホニルメタン等)、糖アルコール、リグナン類(セサミン等)、これらを含有する動植物抽出物、根菜類(ウコン、ショウガ等)、麦若葉末等のイネ科植物の緑葉、ケール等のアブラナ科植物の緑葉、サボテンの乾燥葉、ターミナリアベリリカ抽出物、サツマイモの茎葉をまるごと粉砕した素材、大豆から抽出したセラミド様成分含有物、チャンカピエドラのようなハーブ類、などを使用することもできる。中でも、麦若葉末等のイネ科植物の緑葉、ケール等のアブラナ科植物の緑葉、サボテンの乾燥葉、ターミナリアベリリカ抽出物、サツマイモの茎葉をまるごと粉砕した素材、大豆から抽出したセラミド様成分含有物、チャンカピエドラのようなハーブ類を併用した場合は、上記の葛花処理物とプロアントシアニジンとを併用した形態と同等の治療効果を奏する。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明で使用される葛花処理物は、抗アレルギー剤、高尿酸血症の予防または改善剤、抗骨粗鬆症剤、リウマチ治療剤、抗鬱・抗ストレス剤、アディポネクチン産生促進剤、コレステロール低下剤としてきわめて有用である。以下、上記各種薬効について実施例でもって説明する。
実施例1(抗アレルギー剤としての有用性)
葛花破砕物の乾燥品に対し、20倍量の熱水(80℃)を加え、2時間攪拌し、熱水抽出物1を得た。該熱水抽出物1を減圧濃縮および凍結乾燥し、粉末を得た。
RAST法による食物アレルゲン陽性の慢性じんま疹の患者20名(20〜22歳の男性10名及び女性10名)に、1回の食事と共に前記粉末を300mg、1カ月投与した。結果を以下の表1に示す。
Figure 2009126853
実施例2
RAST法によるアトピー性皮膚炎患者20名(20〜22歳の男性10名及び女性10名)に、1回の食事と共に実施例1の粉末を300mg、1カ月投与した。結果を以下の表2に示す。
Figure 2009126853
実施例3
松樹皮900gに精製水7.2Lを加え、ブレンダー(Waring Blender)で破砕した後、100℃で10分間加熱抽出した。次いで、直ちに濾過して濾液を得た。濾過後の残渣を精製水1.8Lで洗浄し、濾液と洗浄液とを合わせて9Lの松樹皮の熱水粗抽出液を得た。この抽出液1mLを凍結乾燥したところ、乾燥重量は8mgであった。
上記粗抽出液1L(粉末乾燥重量8g)を25℃まで放冷し、塩化ナトリウムを100%飽和濃度となるまで添加してよく攪拌した後、4℃で24時間静置した。静置後、この溶液を濾過し、910mLの濾液を得た。この濾液を以下に示す工程によりさらに精製した。まず、水で膨潤させた芳香族系合成樹脂(ダイアイオンHP−20:三菱化学株式会社製)を100mL充填した30×300mmのカラムに上記濾液を通液し、さらに1Lの精製水で洗浄した。次いで、カラムから15%(V/V)のエタノール−水混合溶媒で溶出し、200mLの松樹皮の熱水抽出精製物を得た(以下、松樹皮の熱水抽出物2とする)。得られた精製物を凍結乾燥して粉末化した。本操作を繰り返して、9Lの松樹皮の熱水抽出液から松樹皮の熱水抽出物2の乾燥粉末7.51gを得た。
上記乾燥粉末中のプロアントシアニジンおよびOPCの含有量を、特開2005−23032号公報に記載の方法により測定した結果、プロアントシアニジンは、上記乾燥粉末中に40重量%含有されていた。また、OPCは、2〜4量体として、上記乾燥粉末中に20重量%含有されていた。
実施例2において、実施例1の粉末を300mg、および、実施例3の乾燥粉末を300mg、1カ月投与した。それ以外は実施例2と同様である。その結果を以下の表3に示す。
Figure 2009126853
実施例4(高尿酸血症の改善効果)
実験方法
供試動物はWistar系ラット雌(8週令、体重約180g)を1群6匹で用いた。
試験飼料に0.75%の濃度でアデニンを加えてラットに給与し、腎臓からの尿中への尿酸排泄阻害を起こさせて高尿酸血症のモデル動物とした。
対照群は、上記の0.75%アデニン飼料のみ、薬剤投与群は、0.75%アデニンと実施例1の熱水抽出物1由来の粉末含有飼料とした。飼料は自由摂取としたが、薬剤投与群の試験飼料中の上記熱水抽出物1の乾燥粉末の濃度を、摂取量が1mg/kg体重となるように調整した。試験開始日及び24日目に血中の尿酸値を測定した。
その結果、対照群の試験開始日の血中尿酸濃度は、0.57mg/mlであり、24日目が2.33mg/mlであったのに対し、薬剤投与群の24日目の血中尿酸濃度は0.72mg/mlであった。
この結果から明らかなように、対照群では血中尿酸濃度が大幅に増加するのに対し、薬剤投与群ではいずれもその濃度は増加しなかった。したがって、葛花処理物を有効成分として含有する薬剤は、高尿酸血症の予防または改善剤として有用であることが示された。
実施例5
実施例4において、薬剤投与群の試験飼料中に、さらに実施例3の乾燥粉末を添加し、該乾燥粉末の濃度を、摂取量が1mg/kg体重となるように調整したこと以外は、実施例4を繰り返した。その結果、薬剤投与群の24日目の血中尿酸濃度は0.62mg/mlであった。
実施例6(抗骨粗鬆症効果)
骨粗鬆症改善効果試験
SD系ラット(22週齢)メスの卵巣を外科的に取り除き、骨粗鬆症のモデルラットを作成した。卵巣摘出ラットを7匹ずつ6群に分け、35日間の試験期間中、1日置きに(計17回)、前記熱水抽出物1の粉末の摂取量が1mg/kgとなるように、生理食塩水溶解した液体を2ml経口投与した。飼料はオリエンタル酵母株式会社のマウス・ラット・ハムスター用固形飼料CRF−1を用い、給餌および給水方法は自由摂取とした。試験期間中、各群間で、餌の摂取量に差は認められなかった。試験開始後35日目にラットの体重を測定した後、大腿骨を取り出した。大腿骨は、接着組織および筋肉を取り除いて分析に使用した。大腿骨の体積を測定した後、エタノールで3回洗浄し、次にアセトンで3回洗浄したのち、一晩乾燥し、その後、重量を測定して大腿骨の乾燥重量を求めた。体積および乾燥重量から、骨密度(乾燥重量g/体積mm3 )を測定した。なお対照実験として、前記熱水抽出物1の粉末を含まない生理食塩水をラットに投与したこと以外は、上記実験を繰り返した例(比較例)も併せて、その結果を表4に示す。
Figure 2009126853
実施例1と比較例とを対比したところ、実施例1はp<0.05の危険率で有意差が認められた。
実施例7
実施例6において、前記熱水抽出物1の粉末に加え、実施例3の乾燥粉末の摂取量が1mg/kgとなるように、生理食塩水溶解した液体を2ml経口投与した。それ以外は、実施例6を繰り返した。その結果、骨密度は1.076(mg/mm3 )であった。
実施例8(抗リウマチ効果)
ヒト慢性リウマチ患者の滑膜から樹立された繊維芽細胞株であるDSEK細胞を10%FBS(バイオウイタッカー社製)を含むIscov−MEM培地(IMDM:ギブコBRL社製)にて、5%CO存在下、37℃で細胞が培養器に飽和になるまで培養し、トリプシン−EDTA溶液(バイオウイタッカー社製)で細胞を3×10細胞/mlとなるように上記培地に懸濁し、96ウェルマイクロタイタープレート(FALCON社製)の各ウェルに200μlずつ分注した。培養5〜7日後、ほぼ細胞が80%飽和になった時で培地を交換し、前記熱水抽出物1の粉末濃度が500μg/mlの濃度である200μlの上記培地を加えた。
24時間、72時間経過時に10μlのプレミックスWST−1(宝酒造社製、MK400)を加えて37℃で3.5時間反応させ、450nmにおける吸光度(A450)から650nmにおける吸光度(A650)を差し引いた値を細胞増殖度とした。その結果、24時間後の細胞増殖度は0.80、72時間後は0.35であり、抗リウマチ活性が認められた。なお、前記熱水抽出物1の粉末を加えない対照区では、24時間、72時間経過時の細胞増殖度が3.90であった。
実施例9
実施例8において、培地を交換する際に、前記熱水抽出物1の粉末濃度が500μg/mlの濃度である100μlの上記培地と、実施例3の乾燥粉末の濃度が500μg/mlの濃度である100μlの上記培地とを混合し、合計200μlの交換培地としたこと以外は、実施例8を繰り返した。その結果、24時間後の細胞増殖度は0.70、72時間後は0.30であり、抗リウマチ活性が認められた。
実施例10(抗鬱・抗ストレス効果)
上記熱水抽出物1の粉末の治療効果を調べた。
マウス強制水泳試験による精神安定作用の評価
本発明の治療剤の評価は、1977年にPorsoltにより開発されたマウス強制水泳試験を採用した。本試験は鬱病の動物モデル実験として最も多用される方法のひとつである。本試験では、マウスをある限られたスペースの中で強制的に泳がせて「無動状態」を惹起させる。この無動状態は、ストレスを負荷された動物が水からの逃避を放棄した一種の「絶望状態」を反映するものと考えられ、ヒトにおける鬱状態、ストレス状態と関連づけられている。事実、抗鬱薬は特異的にこの状況下における無動状態の持続時間を短縮させることがわかっており、この短縮作用は臨床力価との間に有意な相関を有することが認められている。
本試験方法は次のとおりである。
25℃の水を深さ15cmまで入れたプラスチック円筒中でマウスを強制水泳させる。5分間の強制水泳後、30℃の乾燥機中で15分間乾燥し、ホームケージに戻す。翌日マウスに試験試料を腹腔内投与して、その1時間後に再び5分間の強制水泳を課し、現れた無動状態の持続時間をストップウォッチを用いて測定する。マウスが水に浮かんで静止している状態を無動状態と判定する。無動状態持続時間については有意差検定を行い、統計学的に有意差を検定する。実験には雄のddYマウスを使用し、1群6匹とする。なお、試験は全て午後1時から午後6時の間に行う。また、ポジティブコントロールとして抗鬱薬であるイミプラミンを用いた試験も行う。
その結果、熱水抽出物1の粉末を30mg/kg投与したマウスの無動状態持続時間は、174.8±6.7秒であった。コントロール(生理食塩水のみ)は220.0±2.2秒であった。ポジティブコントロール(30mg/kg投与)のマウスの無動状態持続時間は、176.5±4.0秒であった。本実施例およびポジティブコントロールの無動状態持続時間は、危険率1%で有意差を有する。なお、熱水抽出物1の粉末を2〜3倍量使用しても、同様の結果を得た。
実施例11
実施例10において、熱水抽出物1の粉末を30mg/kg投与したのに加え、実施例3の乾燥粉末を30mg/kgさらに投与したこと以外は、実施例10を繰り返した。その結果、マウスの無動状態持続時間は、164.2±5.8秒であった。
実施例12
アディポネクチン産生上昇確認試験
正常ヒト前駆脂肪細胞を使用し、1.0×10個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはヒト前駆脂肪細胞基礎培地を用いた。24時間後に分化誘導添加剤と熱水抽出物1の粉末を加えた増殖培地に交換し、さらに1週間培養した。その後、培養上清中に産生されたアディポネクチン量をELISA法により定量した。各試料の評価結果を、ブランク(試料未添加)のアディポネクチン量を100とした場合の相対値にて下記に示す。なお、添加した熱水抽出物1の粉末濃度は、10μg/mlであった。
上記試験結果:相対値=376。この数値は、危険率1%で有意差を有する。
実施例13
実施例12において、熱水抽出物1の粉末を10μg/ml添加したのに加え、実施例3の乾燥粉末を10μg/mlさらに添加したこと以外は、実施例12を繰り返した。その結果、相対値は388であった。
実施例14(コレステロール低下作用)
体重20g前後のICR系雄性マウス(1群5匹)に、高コレステロール−コール酸食餌(71.9%標準餌、15%ショ糖、2%食塩、10%ココナッツオイル、0.6%コレステロール、0.2%コール酸、0.3%塩化コリン)を試験第1日目から第7日目まで給餌(自由摂取)した。試験第6日目と第7日目に、上記熱水抽出物1の粉末5mgを蒸留水に溶解し、経口投与した。その後、24時間の絶食を行い、試験第8日目にマウスから血液を採取し、血清を分離した。
また、採取した血清の一部にヘパリンを添加し沈降させ、低比重リポタンパク(LDL)としてヘパリン沈降リポタンパクを得た。血清中の総コレステロール値及びLDL中のコレステロール値を、シー・シー・アライン(C.C.Allain et al.)らの報告(クリニカル ケミストリイ(Clinical Chemistry)、1974年、20巻、470−475頁)に従って、測定した。
血清中の総コレステロール値からLDLコレステロール値を引いた値を、高比重リポタンパク(HDL)コレステロール値として算出した。なお対照群は、上記熱水抽出物1の粉末を投与していない群である。
その結果を表5に示した。表5から明らかなように、血清中総コレステロールを低下させる明らかな作用が認められた。
Figure 2009126853
実施例15
実施例14において、上記熱水抽出物1の粉末5mgに加え、実施例3の熱水抽出物2の乾燥粉末5mgをさらに投与したこと以外は、実施例14を繰り返した。その結果、血清総コレステロールは約244mg/dl、LDLコレステロールは約132mg/dl、HDLコレステロールは約112mg/dlであった。
本発明の治療剤は、医薬、食品、飼料の形態として有用である。なお、上記各例において、実施例1の熱水抽出物1の調製の際に、熱水を用いずに50容量%エタノール水溶液を用いて抽出物を調製した場合においても、上記と同様の結果を得た。

Claims (7)

  1. 葛花処理物を有効成分とすることを特徴とする抗アレルギー剤。
  2. 葛花処理物を有効成分とすることを特徴とする高尿酸血症の予防または改善剤。
  3. 葛花処理物を有効成分とすることを特徴とする抗骨粗鬆症剤。
  4. 葛花処理物を有効成分とすることを特徴とするリウマチ治療剤。
  5. 葛花処理物を有効成分とすることを特徴とする抗鬱・抗ストレス剤。
  6. 葛花処理物を有効成分とすることを特徴とするアディポネクチン産生促進剤。
  7. 葛花処理物を有効成分とすることを特徴とするコレステロール低下剤。
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