JP2009108420A - 低抵抗ito薄膜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】低電圧スパッタリング法、酸素クラスタービーム援用蒸着法、CVD法、有機金属CVD法、有機金属CVD−原子層積層法、及びMBE(分子線エピタキシー)法のうちから選ばれる成膜法を用いて結晶性基板上に形成する低抵抗ITO薄膜の製造方法であって、
結晶性基板の最表面の結晶性配列が、In2O3の結晶構造と適合するものであることを特徴とする低抵抗ITO薄膜の製造方法。
【選択図】なし
Description
しかし、液晶ディスプレイの大型化と高精細化が進むに連れて、ITOの抵抗率を低く抑える必要性が生じている。
例えば、STN(Super Twisted Nematic)型液晶ディスプレイの場合、透明電極は信号電極を兼ねており、ストライプ状の形状をしている。ディスプレイの大型化はストライプが長くなることを意味し、高精細化はストライプが細くなることを意味する。このため、ストライプ端点間の抵抗値が大きくなり、電圧降下を生じるので、液晶分子の適切なスイッチングが困難になる。
また例えば、TFT(Thin Film Transistor)型液晶ディスプレイの場合、信号電極には金属材料を用いるのが通常であるが、素子構成の単純化により製造工程を単純化し、ひいては製造コストを低減するために、信号電極にも透明電極が用いられ始めている。しかしこの場合にもディスプレイが大型化し、または、高精細化するに連れて電極端点間の抵抗値が増大するので、現在のところ対角11インチ以下のディスプレイに対してのみ、透明電極を信号電極として用いることしかできない。
しかしながら、低電圧スパッタ法は、高エネルギー粒子数を低減するため、薄膜の損傷を小さくする点で優れているが、高エネルギー粒子を完全に取り除くことはできておらず、その結果、1×10-4Ωcm以下の低抵抗率は実現していない。
また、大電流酸素クラスターイオンビーム援用蒸着法は、酸素分子一個当たりの運動エネルギーが小さいため、薄膜に損傷が起こらず、従来の璧であった1×10-4Ωcmを下回る抵抗率を再現させる点で極めて優れているが、大面積成膜が実現しておらず、実用に至っていない。
さらに、特開平7−262829号公報記載の方法では、成膜法としてスパッタリング法を用いているので、清浄なプロセスでなくターゲット物質がチャンバー壁等に付着してダストの原因となりやすいなどの問題があり、酸素圧を高く設定できないので組成制御性に限界があり、高真空とできないので酸素欠損を有効に作りにくく、膜厚の制御性が悪いので原子層成長モードで成膜を行うことが困難である。
本発明は以下の構成を有する。
(構成1) パルス・レーザー・蒸着法を用いて結晶性基板上に基板温度500〜1000℃においてITO膜を堆積させることを特徴とする低抵抗ITO膜の製造方法。
(構成16) 低電圧スパッタリング法、酸素クラスタービーム援用蒸着法、CVD法、有機金属CVD法、有機金属CVD−原子層積層法、及びMBE(分子線エピタキシー)法のうちから選ばれる成膜法を用いて結晶性基板上に形成することを特徴とする低抵抗ITO薄膜の製造方法。
本第一発明では、パルス・レーザー・蒸着法を用い結晶性基板上に所定の基板温度でITO薄膜を形成しているので、1×10-4Ωcm未満の抵抗率を有する低抵抗ITO薄膜が得られる。パルス・レーザー・蒸着法は、極めて清浄なプロセスであり、酸素圧を高く設定することができ、膜厚の制御性が良い点で優れているので、抵抗率、移動度、キャリア密度等の特性に優れ、結晶性が高く、均一な膜厚を有する低抵抗ITO薄膜を実現できる。なお、パルス・レーザー・蒸着法においては、基板を自転させることや、レーザービームを並べる等の手段によって、大面積化が図られる。
本第一発明及び第二発明において低抵抗ITO薄膜とは、10-4Ωcmオーダー以下の低抵抗ITO薄膜であり、特に1×10-4Ωcm未満の抵抗率を有するITO膜である。ここでITOとは、酸化インジウム(In2O3)にSnO2を添加し、固溶させた系であり、Snをドープした酸化インジウム(Tin Doped Indium Oxide)のことであるが、通常はIndium Tin Oxideを略してITOと呼ばれている。In2O3はC希土型結晶構造を有する酸化物であり、SnはInのサイトに置換固溶すると言われる。本発明の低抵抗ITO薄膜中のSnO2含有率(添加量)は好ましくは5〜20wt%以下であり、より好ましくは6〜15wt%の範囲である。モル%で表すと、本発明の低抵抗ITO薄膜中のSnO2含有率は好ましくは約2.8〜10.5モル%以下であり、より好ましくは4〜8モル%の範囲である。20wt%以上又は10.5モル%以上とするとSnO2相が析出して低抵抗率が実現しない。5wt%以下又は2.8モル%以下であるとSnイオンの固溶量が少なく低抵抗率が実現しない。
各結晶性基板とITO(In2O3)との格子定数の適合率は、一方の格子定数の整数倍と他方の格子定数の整数倍との差が最も小さくなる値(公倍数を求めて計算した値)で表すと、ITO(100)の場合、YSZ(100)で1.8%(ITO格子1個:YSZ格子2個)、Si(100)で0.2%(ITO格子23個:Si格子25個)、3C−SiC(100)で1.0%(ITO格子41個:3C−SiC格子50個)、CaF2(100)で0.0%(ITO格子27個:CaF2格子25個)、MgO(100)で3.8%(ITO格子20個:MgO格子25個)である。ITO(111)の場合、6H−SiC(0001)で0.6%(ITO格子43個:6H−SiC格子50個)、ZnO(0001)で1.3%(ITO格子23個:ZnO格子25個)である。酸化物では共有結合性が非常に小さく、イオン性結合が主であるため、結合方向に関する限定がない。このため、格子定数の適合性は、化合物半導体等の場合に比べ、非常に広くなる。これは1格子ずつでは全く不適合に見えても、何格子か進んだときに適合することができるからである。
また、単結晶基板は、成膜前に、高温における熱処理または酸によるエッチング処理によって、基板表面を原子オーダーで超平坦化しておくことが好ましい。例えば、YSZ単結晶基板の場合、熱処理によって超平坦化することが可能であり、熱処理の温度域は1200℃以上1500℃以下とすることが好ましい。1200℃以下では、YSZの蒸気圧が低すぎて超平坦化が困難であり、1500℃以上では、YSZの蒸気圧が高すぎて基板表面に突起が形成される。好ましくは1300℃〜1400℃の範囲で処理することが適当である。基板表面を原子オーダーで超平坦化したYSZ単結晶基板における表面の平坦性を平均表面粗さRaで表すと、原子間力顕微鏡で1μm角を走査したとき、Raは10オンク゛ストローム以下である。
YSZ単結晶の面方位は、(100)面でもよく、(111)面でもよく、また他の面でもIn2O3格子と対称性と格子定数が合う面であればよい。(100)面を選ぶ場合には、立方形状のIn2O3結晶子が緻密に整列する。(111)面を選ぶ場合には、In2O3結晶子は(111)方位を基板法線方向に向け、(100)面を表面に露出した三角錐状の構造を作り、緻密に整列する。この様子は原子間力顕微鏡や走査型電子顕微鏡によって観察することができる。結晶面の対称性は重要な要件であり、ITO(100)面は4回対称であるから基板結晶面も4回対称でなくてはならず、ITO(111)面は3回対称であるから基板結晶面も3回対称でなくてはならない。
ターゲット中のSnO2含有率は好ましくは5〜20wt%以下であり、より好ましくは6〜15wt%の範囲である。20wt%以上とするとSnO2相が析出して低抵抗率が実現しない。5wt%以下であるとSnイオンの固溶量が少なく低抵抗率が実現しない。
成膜時の真空到達度(真空度)は、1×10-3〜1×10-7Torr(広いO2圧力域)とすることが好ましい。
パルスレーザー蒸着法における酸素分圧は、1×10-5Pa〜100Paの間とすることが好ましい。1×10-5Paより低くすると、膜中の酸素が少なくなりすぎ、In金属が析出する。100Paを超えると酸素圧が高くなりすぎて、レーザー光をターゲット表面に照射した際に生じるプルームが小さくなり、膜の堆積速度が著しく小さくなる。さらに酸素圧は、ITO膜中の酸素欠損量を介してキャリア密度に影響を与えるので、抵抗率が充分に小さくなるように、最適な値を選ぶことが好ましい。その値は、装置形状や基板温度によって異なるが、一般的には1×10-3Pa〜1Paの範囲である。
低抵抗ITO膜の厚みは、ターゲットに照射されるレーザー光のエネルギー密度や照射パルス数によって制御することができる。液晶ディスプレイ用透明電極膜として用いる場合には、通常100nmから500nmの範囲で膜厚を制御している。
低抵抗ITO薄膜中のSnO2添加量、低抵抗ITO薄膜の結晶構造、及び結晶性基板に関しては、上述したとおりである。成膜条件等は、成膜方法に応じて適宜調整される。なお、本第二発明においても、ITO膜をヘテロエピタキシャル成長させることが好ましく、原子層成長モードで一格子単位でITO膜の成膜を行うことが好ましい。
これらの方法において、基板温度(実測温度)は500℃〜1000℃の範囲にすることが好ましく、500〜800℃の範囲にすることがより好ましい。基板温度を500℃以上とすることにより、ITO膜の結晶性を高め、ドーパントであるSnイオンをIn2O3格子中に効率良く固溶させることによって低抵抗率を実現できる。なお、500℃より低いと充分に固溶が進行しない。1000℃以上では酸化インジウムの気化が進行して膜質が悪化するとともに、抵抗値が減少する傾向がある。この温度範囲内では、基板温度を高くするほど、酸化インジウム薄膜の結晶性は向上し、粒子径が大きくなる傾向がある。粒子形状は、200℃〜500℃の領域では球形であるが、500℃以上とすると、次第に酸化インジウムの結晶構造を反映して立方形に変化する。基板は自転させたり、基板ホルダーを回転させたりすることができる。
CVD法は、SnやInなどの金属塩などを原料として、これを気化し、反応室内に導入して、昇温した基板上に堆積させる方法である。適当なIn系原料を用いることによって、高品質のITO膜を安価に製造できる。
InやSnの原料としてIn(CH3)3やSn(H3)4などの有機金属を用いる有機金属CVD法では、原料ガスを反応室内に導入するタイミングを制御することによって、基板上に1原子層ずつ積層させることが可能になるため、高品質のITO膜を得ることができる。
MBE(分子線エピタキシー)法は、蒸着法の一種で、超高真空容器中の原料源から蒸発物質を分子線状にして基板表面に衝突させ、堆積させる方法である。例えば二つのKnudsenセル中のInとSnをそれぞれ加熱蒸発させ、O2ガスを分圧1.2×10-3Paまで容器中に導入して、基板上で反応させることにより、高品質が得られる。なお、MBE法では、基板温度は700℃〜1000℃の範囲にすることが低抵抗率実現のために好ましい。
以下、実施例により、本発明を説明する。
レーザーアブレーション用超高真空容器(日本真空技術(株)社製)に、YSZ単結晶基板(001)面(フルウチ化学(株)社製、10mm角)を設置し、IRランプヒーターによって200〜800℃に加熱した。容器中に1.2×10-3Paの酸素を導入し、KrFエキシマーレーザー光(ラムダフィジクス(株)社製レーザー発光装置)を高純度ITO夕一ゲット(東ソー(株)社製、SnO2含有率10wt%)に照射、ターゲットから30mm離して対向させた基板上にITOを堆積させた。膜厚は200nmとした。
X線回折装置(理学電機製:ATX−E)により、試料の回折パターンを測定し、高配向性の薄膜(結晶性の高い薄膜)となっていることが明かとなった。ファンデアパウ法により電気特性を測定した結果、基板温度を上げるに従い移動度が増大し、600℃で極大となった。抵抗率は7.7×10-5Ωcm、移動度は42cm/Vs、キャリア密度は1.9×1021/cm3であった(試料1〜4)。
比較のために石英ガラス基板を用い、同じ実験条件でITO膜を積層したが、最も低い抵抗率は2×10-2Ωcmにすぎなかった(試料5〜8)。
以上の条件及び結果を表1及び図1に示す。
夕一ゲット中のSn濃度を表2に示すように変化させ、基板温度を600℃としたこと以外は実施例1と同じ条件でYSZ単結晶基板(試料9〜13)及び石英ガラス基板(試料14〜17)上にITOを堆積させた。なお、レーザーパワー密度は5J/cm2とし、レーザーのパルス周波数は10Hzとした。また、石英ガラス基板として溶融石英ガラス基板(日本石英(株)社製:NP)を用いた。
膜中のSn濃度(モル%)、抵抗率、移動度、キャリア密度の測定結果を表2に示す。なお、膜中のSn濃度は蛍光X線分析法で測定した。また、抵抗率及びキャリア密度の測定はファン・デア・パウ(van der Pauw)法(河東田隆等、「半導体評価技術」、222〜225頁、産業図書(株)、1994年)で行った。なお、ファン・デア・パウ法は、エピタキシャル層のような薄膜状あるいは薄片状の半導体のホール効果を測定するのに適した方法である。具体的には、基板上に形成した10mm角の正方形のITO膜の四隅の各端部近傍にオーム性電極A,B,C,DをA−C、B−Dが対角に位置するように形成し、まず、磁界を印加しないで電極A−B間に電流IABを流し電極C−D間の電圧VCDを測定する。このとき抵抗RAB,CDを、抵抗RAB,CD=VCD/IABのように定義する。次に、電極B−C間に電流IBCを流し電極D−A間の電圧VDAを測定する。このとき抵抗RBC,DAを、抵抗RBC,DA=VDA/IBCのように定義する。次に、電極A−C間に電流IACを流し、試料面に垂直に磁束密度Bの磁界を印加する。この時電極B−D間に生じる電圧をVBDとし、ΔRAC,BD=VBD/IACとすると、抵抗率ρ、キャリア密度n、キャリア移動度μは、それぞれ以下のように与えられる。
ρ=(πd/ln2)・[(RAB,CD+RBC,DA)/2]・f(RAB,CD/RBC,DA)
n=B/(e・d・ΔRAC,BD)
μ=(d/B)・(ΔRAC,BD/ρ)
ただし、eは電子の電荷、dはエピタキシャル層の厚さである。fはエピタキシャル層や試料の形状、電極の位置などから生じる不均一性を補正するための係数で、RAB,CD及びRBC,DAの次のような関数である。
(RAB,CD−RBC,DA)/(RAB,CD+RBC,DA)=(f/ln2)・arccosh[exp(ln2/f)/2]
fの値はこの式を解けば得られるが、この式は解析的には解けず、実際には、RAB,CD/RBC,DA(=R)の関数として計算機を用いて求められた数表(上記「半導体評価技術」、巻末付表3に掲載)があるので、本実施例ではそれを使用した。
本発明のITO膜は、YSZ単結晶基板上にヘテロエピタキシャル成長しているという特徴を有する。このことはX線回折法及び透過型電子顕微鏡像により確認した。また、本発明のITO膜では、添加したSnドーパントのほぼ100%が有効にキャリアを生成しているという特徴がある。Snドーパントの活量が見かけ上100%を超える場合があるのは、結晶中に存在する酸素欠損もキャリア密度に寄与するためである。Snによる寄与と、酸素欠損による寄与を分離することはできないので、Snによる寄与と酸素欠損による寄与とを示す指標としてSnドーパントの活量は有益である。表2から、本発明方法によって結晶性基板上に形成された低抵抗ITO膜においては、Snドーパントの活量は、80%以上が好ましく、100%を超えるとさらに好ましいことがわかる(試料10〜12)。Snドーパントの活量が80%未満であると、格子内に固溶しないSnドーパントの数が増えて、キャリア電子を散乱しやすくなり、移動度低下の原因となる(試料13)。
低電圧スパッタ法を用い、スパッタ電圧330V、基板温度300〜800℃の条件の下、石英ガラス基板上にITO膜を成膜したが、1×10-4Ωcm以下の低抵抗率は得られなかった。
また、特開平7−262829号公報記載の方法(直流スパッタリング法)を用い、ArとO2の混合ガス圧:5×10-3Torr、直流320Wのスパッタ電力の条件の下、石英ガラス基板上にITO膜を成膜したが、清浄なプロセスでなく真空チャンバー壁にITOが付着し、酸素圧を低く設定できないので酸素欠損を有効に導入できず、膜厚の制御性が悪いので原子層成長モードが実現できる見込みがなかった。
c軸配向したZnO膜を表面に形成したガラス基板を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてITO膜を成膜した。抵抗率は9×10-5Ωcm、移動度は 35cm/Vs、キャリア密度は2.0×1021/cm3であった。
なお、実施例3では、スパッタリング法を用い、石英ガラス基板上にc軸配向したZnO膜を作製した。この際、基板温度は350℃、O2/Ar混合比は0.2、全圧は4mTorrとした。作製した膜の結晶性をX線回折法により解析し、基板に対してc軸を垂直に立てた配向をしていることを確認した。
レーザー光のエネルギー密度やターゲット基板間距離を30mmに制御し堆積速度を十分に小さくして、いわゆる原子層成長モードで成膜したこと以外は、実施例1と同様にしてITO膜を成膜した。抵抗率は7.5×10-5Ωcm、移動度は45cm/Vs、キャリア密度は1.8×1021/cm3であった。成長途中の薄膜の表面モフォロジーを、原子間力顕微鏡で観察して、原子層成長モードが実際に実現していることを確認した。また、基板全域にわたって、極めて良い精度で、ITO膜の結晶性が高く、均一な膜厚を実現することができた。さらに、大きさ20mm角の基板上に均一に成膜できた。
サファイア基板上にコランダム型結晶構造のITO膜を成膜した。その結果、1×10-4Ωcm未満の抵抗率を有する低抵抗ITO薄膜が得られることを確認した。
低電圧スパッタリング法、酸素クラスタービーム援用蒸着法、CVD法、有機金属CVD法、有機金属CVD−原子層積層法、MBE(分子線エピタキシー)法を用い、YSZ単結晶基板上にITO膜を成膜した。その結果、1×10-4Ωcm以下の低抵抗率が得られることを確認した。なお、MBE法以外のCVD法では大面積成膜を実現できた。
低電圧スパッタリング法を用い、300〜800℃の基板温度で、YSZ単結晶基板上(試料18〜20)又は石英基板上(試料21〜23)に、ITO膜を成膜した。その際、O2/Ar混合比は0.2、全圧は4mTorrとした。ITO膜の抵抗率を表3に示す。
また、得られた透明電極はエッチングなどによって任意のパターニングを施こすことができる。
YSZ単結晶基板及びサファイヤ基板は、投写型液晶ディスプレイ、小型高精細液晶ディスプレイ、などの用途に適する。YSZ単結晶基板及びサファイヤ基板は、特殊用途の有機ELディスプレイなどの用途に利用できる。
表面にc軸配向性のあるZnO等の結晶膜を形成したガラス基板は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、などの用途に適する。
SiC単結晶基板は、In2O3との格子整合性が高く、発光デバイス等の電極付き基板、酸化物レーザー用電極付き基板、などの用途に適する。
シリコン単結晶基板は、デバイス展開上の可能性が広く、他の結晶性基板に比べ格段に大きい基板が得られているといった特徴を有し、発光デバイス等の電極付き基板、酸化物レーザー用電極付き基板、などの用途に適する。
本第一及び第二発明の低抵抗ITO薄膜及びその製造方法によれば、1×10-4Ωcm未満の抵抗率を有する低抵抗ITO薄膜が得られる。特にパルス・レーザー・蒸着法を用いた場合、極めて清浄なプロセスであり、酸素圧を高く設定することができ、膜厚の制御性が良い点で優れているので、抵抗率、移動度、キャリア密度等の特性に優れ、結晶性が高く、均一な膜厚を有する低抵抗ITO薄膜を実現できる。
本発明の低抵抗ITO薄膜は、液晶ディスプレイの大型化や高精細化に寄与するばかりでなく、太陽電池の高効率化にも寄与し、社会の情報化と省エネルギー化を進める上で重要な技術を提供する。
Claims (9)
- 低電圧スパッタリング法、酸素クラスタービーム援用蒸着法、CVD法、有機金属CVD法、有機金属CVD−原子層積層法、及びMBE(分子線エピタキシー)法のうちから選ばれる成膜法を用いて結晶性基板上に形成する低抵抗ITO薄膜の製造方法であって、
前記結晶性基板が、YSZ単結晶、表面にc軸配向性のZnO薄膜を形成した基板、及びサファイア基板のうちから選ばれる一であることを特徴とする低抵抗ITO薄膜の製造方法。 - 基板温度500〜1000℃においてITO膜を堆積させることを特徴とする請求項1記載の低抵抗ITO膜の製造方法。
- 結晶性基板として、1200℃以上1500℃以下の温度域で熱処理することによって基板表面を原子オーダーで超平坦化したYSZ単結晶基板を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の低抵抗ITO薄膜の製造方法。
- ITO膜をヘテロエピタキシャル成長させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の低抵抗ITO薄膜の製造方法。
- 1×10-4Ωcm未満の抵抗率を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の低抵抗ITO薄膜の製造方法。
- ITO薄膜中のSnO2の含有率が2.8〜10.5モル%以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の低抵抗ITO薄膜の製造方法。
- ITO薄膜の結晶構造が、C希土型In2O3結晶又はコランダム型In2O3結晶であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の低抵抗ITO薄膜の製造方法。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載のITO薄膜の製造方法を用いて、結晶性基板上にITO膜を堆積させたITO膜付き基板。
- ITO膜にパターニングが施されている請求項8記載のITO膜付き基板。
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