JP2009024046A - 防振ゴム組成物及びそれを用いてなる防振ゴム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジエン系ゴムとキサントゲン変性クロロプレン系ゴムとの質量比15:85〜85:15の組合せからなるゴム成分を含むことを特徴とする防振ゴム組成物、及び上記防振ゴム組成物の加硫物からなる防振ゴムである。
【選択図】なし
Description
このような車輌用防振ゴムにあっては、支持する重量物の振動を吸収して抑制する防振機能と、重量物を支える強度特性が要求される。すなわち、防振ゴムには動的特性の向上、特に動倍率の低位化(低動倍率化)が必要とされており、一方で、エンジン等の振動体を支持するためにはある程度の静的弾性率を確保することが必要である。
防振ゴムには、従来より様々なゴム材が使用されているが、低動倍率を発現するものとしては、純ゴムでの動倍率の低い天然ゴムをベースとしたものが用いられてきた。
一方近年、自動車の高出力化・エンジンルーム省スペース化に伴いエンジンルーム内の温度が上昇する傾向にある。このようなエンジンルームなど高温下で使用される防振ゴムに求められる性能としては、動倍率が低いこと、耐熱性が大きいことが挙げられる。ところが、上記天然ゴムは熱に弱いために、自動車エンジンルームなどの高温環境下で長時間使用すると熱的劣化が著しいという問題を有している。
そこで、耐熱性が要求される防振ゴムとして、天然ゴムに代えて、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)などの耐熱性に優れるゴム材が用いられているが、このEPDMは架橋点が少ないために、架橋密度を上げることができず、圧縮永久歪が大きく、耐へたり性に劣るという問題があり、また、天然ゴムに比べて、引張り強度(Tb)や、伸張繰り返し耐久性が劣るという問題もあった。
他方、特許文献1〜3には、キサントゲン変性クロロプレン系ゴムなどの変性クロロプレン系ゴムを使用することにより、耐熱性が高められた防振ゴムが得られることが開示されている。しかしながら、これらの技術においては、ゴム成分として、変性クロロプレン系ゴム単味の配合に限定されており、その結果、繰り返し疲労特性が低下する、金属との接着性が悪い、加工性に劣るなどの問題が生じる。
また、防振ゴムには、良好な低動倍率化や耐疲労性などの基本特性、及び上記耐熱性以外に、圧縮永久歪が小さいことが要求される。例えば、エンジンマウント用防振ゴム組成物においては、エンジンを長期に支えるために、高温における圧縮永久歪が小さい防振ゴムが求められる。
すなわち、本発明は、
(1)ジエン系ゴムとキサントゲン変性クロロプレン系ゴムとの質量比15:85〜85:15の組合せからなるゴム成分を含むことを特徴とする防振ゴム組成物、
(2)加硫剤として、ゴム成分100質量部に対して、硫黄0.1〜0.5質量部を含む上記(1)に記載の防振ゴム組成物、
(3)充填材として、ヨウ素吸着量が10〜70g/kgであり、DBP吸油量が30〜180ml/100gであるカーボンブラック及び/又はBET比表面積が70〜230m2/gであるシリカを含む上記(1)又は(2)に記載の防振ゴム組成物、
(4)前記充填材の含有量が、ゴム成分100質量部に対して、10〜80質量部である上記(3)に記載の防振ゴム組成物、
(5)前記ゴム成分におけるジエン系ゴムが、天然ゴムである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の防振ゴム組成物、
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の防振ゴム組成物の加硫物からなる防振ゴム、
(7)車輌用である上記(6)に記載の防振ゴム、及び
(8)自動車のエンジンマウントに用いられる上記(7)に記載の防振ゴム、
を提供するものである。
[防振ゴム組成物]
本発明の防振ゴム組成物は、ジエン系ゴムとキサントゲン変性クロロプレン系ゴムとの質量比15:85〜85:15の組合せからなるゴム成分を含むことを特徴とする。
(ジエン系ゴム)
本発明の防振ゴム組成物において、ゴム成分の一方の材料として用いられるジエン系ゴムの種類に特に制限はなく、天然ゴム及びジエン系合成ゴムのいずれも用いることができる。ジエン系合成ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、スチレン−イソプレン共重合体(SIR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)などを挙げることができる。
本発明においては、当該ジエン系ゴムは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、破壊特性、低動倍率などの観点から、天然ゴムが特に好適である。
本発明の防振ゴム組成物において、ゴム成分のもう一つの材料として用いられるキサントゲン変性クロロプレン系ゴム(以下、キサントゲン変性CRと略記することがある。)としては特に制限はなく、従来公知のキサントゲン変性CRの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。
キサントゲン変性CRとしては、例えば2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体単独又は2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体と共重合可能な他の単量体を含む単量体混合物を、一般式(I)
で表されるジアルキルキサントゲンジスルフィドの存在下、乳化重合して得られたものを用いることができる。なお、2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体単独、又は2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体と共重合可能な他の単量体を含む単量体混合物をクロロプレン系単量体と称し、また該クロロプレン系単量体の重合体(単独重合体、共重合体)をクロロプレン系重合体又はクロロプレン系ゴムと称する。
上記2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、硫黄、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタジエン、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらのエステル類などが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、クロロプレン系重合体が本来もつ特性を損なわない範囲で適宜用いることができる。
このジアルキルキサントゲンジスルフィドの具体例としては、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジイソブチルキサントゲンジスルフィドなどがある。ジアルキルキサントゲンジスルフィドの使用量は、クロロプレン系重合体の分子量(あるいは、重合体を単離して得られるクロロプレン系ゴムのムーニー粘度)が適正となるように選定される。また、アルキル基の構造や目標とする分子量によってもその使用量は異なるが、一般にはクロロプレン系単量体100質量部に対して0.05〜5.0質量部程度、好ましくは0.3〜1.0質量部の範囲で選定される。
重合開始剤としては、公知の過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物類が用いられる。
重合は転化率が40〜95%程度、好ましくは50〜80%の範囲となるまで実施され、次いで重合禁止剤を少量添加して重合を停止させる。重合禁止剤としては、例えば、チオジフェニルアミン、4−tert−ブチルカテコール、2,2−メチレンビス−4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノールなどが用いられる。
未反応の単量体は、例えばスチームストリッピング法などによって除去し、その後ラテックスのpHを5.5〜7.5程度に調整し、常法の凍結凝固、水洗、熱風乾燥などにより重合体を単離することにより、目的とするキサントゲン変性クロロプレン系ゴムを得ることができる。
本発明においては、当該キサントゲン変性CRは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(加硫剤)
本発明の防振ゴム組成物においては、加硫剤として、前記ゴム成分100質量部に対し、硫黄を0.1〜0.5質量部の割合で含有させることが好ましい。この硫黄の含有量が0.1質量部以上であれば、加硫ゴムは良好な破壊特性を維持することができ、一方0.5質量部以下であれば、所望の耐熱性及び圧縮永久歪を得ることができる。
本発明の防振ゴム組成物においては、充填材としてカーボンブラック及び/又はシリカを含むことができる。
上記カーボンブラックとしては、ヨウ素吸着量が10〜70g/kg及びDBP吸油量が30〜180ml/100gの範囲にあるものが好ましく用いられる。このようなカーボンブラックとしては、SRF級グレード、GPF級グレード及びFEF級グレードなどを挙げることができる。また、チッ素吸着比表面積(N2SA)は、10〜75m2/g程度である。
上記カーボンブラックの粒径よりも小さな粒径のカーボンブラックを用いると、得られる防振ゴムの動倍率が高くなるおそれがあり、一方上記カーボンブラックの粒径よりも大きな粒径のカーボンブラックを用いると、得られる防振ゴムの補強性が低下するおそれがある。上記性状を有するカーボンブラックを用いることにより、補強性及び低動倍率のバランスした防振ゴムを与えるゴム組成物を得ることができる。
ヨウ素吸着量のより好ましい範囲は、12〜60g/kgであり、DBP吸油量のより好ましい範囲は60〜180ml/100gである。
なお、上記のヨウ素吸着量は、JIS K 6217−1:2001に準拠して測定した値であり、DBP吸油量は、JIS K 6217−4:2001に準拠して測定した値である。また、窒素吸着比表面積(N2SA)は、ASTM D3037に準拠して測定した値である。
本発明においては、カーボンブラックとして、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上記BET比表面積は、「アメリカ化学会誌(J.Am.Chem.Soc.)」、第60巻、第309頁に記載されているブルナウアー、エメット及びテラー(“BET”)法により、測定される値である。
当該シリカとしては、BET比表面積が70〜230m2/gの各種の市販されているものを使用することができる。なお、本発明における「シリカ」の用語は、SiO2を組成式中に含む、二酸化珪素、珪酸、珪酸塩を包含する広義の概念であるが、無水珪酸である二酸化珪素が、上述の作用効果の点から好ましく、特にシリカゲルなどの湿式法で製造されたシリカが好適である。
本発明においては、シリカとして、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の防振ゴム組成物においては、充填材のカーボンブラック及び/又はシリカの含有量は、前述のゴム成分100質量部に対して、通常10〜80質量部程度、好ましくは15〜60質量部である。上記充填材の含有量が10質量部以上であれば、得られる防振ゴムの破壊特性が良好となると共に、動倍率も低くなり、80質量部以下であれば、加工性の低下及び動倍率の上昇を抑えることができる。
また、カーボンブラックとシリカを比較した場合、同じ動倍率では、シリカの方が補強性が高い。
本発明において、充填材としてシリカを用いる場合、当該シリカのゴム組成物への分散性を向上させるために、ゴム組成物にシランカップリング剤を含有させることができる。
本発明のゴム組成物に、前記シリカと共に含有させるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びγ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド類などを挙げることができる。
このシランカップリング剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、使用するシリカに対して、1〜10質量%が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。当該シランカップリング剤の配合量が1質量%以上であれば、配合効果が発揮され、得られる防振ゴムの動倍率は良好となり、10質量%より多く配合しても、その量の割には効果の向上があまり認められず、経済的にむしろ不利となる。
本発明の防振ゴム組成物には、前述したジエン系ゴムとキサントゲン変性CRとの組合せからなるゴム成分、加硫剤の硫黄、充填材のカーボンブラック及び/又はシリカ、及びシランカップリング剤以外に、必要に応じ各種添加剤、例えば加硫促進剤、ステアリン酸、亜鉛華、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、加工助剤などを含有させることができる。
本発明で使用できる加硫促進剤としては、ジエン系ゴム及びクロロプレン系ゴムに対して有効なもの、例えばグアニジン系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系などの中から選ばれる一種又は二種以上の混合物を挙げることができる。この加硫促進剤の使用量は、ゴム成分100質量部に対し、通常0.1〜3質量部程度、好ましくは0.5〜2質量部である。
また、老化防止剤としては、例えば4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、ポリメライズド2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(RD)、N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C)などを用いることができる。この老化防止剤の使用量は、ゴム成分100質量部に対し、通常0.5〜10質量部程度、好ましくは1〜5質量部である。
本発明で使用できる軟化剤としては、例えばプロセスオイル、パラフィン、流動パラフィン、ワセリン、石油アスファルトなどの石油系軟化剤、ナタネ油、アマニ油、ヒマシ油、ヤシ油などの植物系軟化剤等の一般的な軟化剤を挙げることができる。可塑剤としては、ジオクチルフタレートやジオクチルアジペートなどの一般的なエステル系可塑剤、エーテル・チオエーテル系可塑剤、エーテル・エステル系可塑剤などを用いることができる。
本発明の防振ゴム組成物の調製方法に特に制限はないが、例えば以下に示す方法により、調製することができる。
バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、インターナルミキサーなどの混練り機により、ジエン系ゴムとキサントゲン変性CRとの組合せからなるゴム成分と、充填材としてのカーボンブラック及び/又はシリカと、さらに必要に応じて、シランカップリング剤や前記のその他添加成分の中で、加硫関与成分を除いた成分とを混練りすることによって、本発明の防振ゴム組成物を調製することができる。
(1)ゴム成分として、特定の割合のジエン系ゴムとキサントゲン変性CRとの組合せを含むことにより、耐熱性、低動倍率、圧縮永久歪、破壊特性及び金属との接着性のいずれもが良好な防振ゴムを与えることができ、また、ゴム組成物の加工性も良好である。
(2)加硫剤として硫黄を、少ないレベルにて特定の割合で含有させることにより、得られる防振ゴムの耐熱性、圧縮永久歪、破壊特性の低下を抑えることができる。硫黄が多すぎると、耐熱性及び圧縮永久歪が悪くなり、少なすぎると、補強効果に劣り、破壊特性が低下する。
(3)充填材として、特定の性状を有するカーボンブラック及び/又はシリカを、特定の割合で含有させることにより、低動倍率及び圧縮永久歪の良好な防振ゴムを与えることができる。
(4)ゴム成分におけるジエン系ゴムとして、天然ゴムを用いることにより、上記(1)の効果のバランスに優れたものとすることができる。
本発明の防振ゴムは、前述した本発明の防振ゴム組成物の加硫物からなるものであって、本発明の防振ゴム組成物を所定形状に成形加工後、通常140〜180℃程度、好ましくは150〜170℃の温度で加硫処理することにより、製造することができる。
本発明の防振ゴムは、耐熱性、低動倍率、圧縮永久歪、破壊特性及び金属との接着性のいずれもが良好であるものにすることができ、防振部材への用途に用いることができる。
上記防振部材に特に制限はないが、要求性能が一段と厳しい車輌用、特に自動車用防振部材として好ましく用いられる。
自動車用防振部材としては、例えばエンジンマウント、トーショナルダンパー、ラバーブッシュ、ストラットマウント、バウンドバンパー、ヘルパーラバー、メンバマウント、スタビブッシュ、空気ばね、センターサポート、ゴム入りプロペラシャフト、防振レバー、コンパニヨンダンパー、ダンピングラバー、アイドラーアームブッシュ、ステアリングコラムブッシュ、カップリングラバー、ボデーマウント、マフラーサポート、ダイナミックダンパー、パイピングラバー等が挙げられる。これらの中で、特にエンジンマウント用として好適である。
また、本発明の防振ゴムは、耐オゾン性も良好であり、したがって、耐オゾン性が要求されるセンターサポートに好適に用いられる。
なお、各例で得られたゴム組成物の加工性及び金属との加硫接着性を評価すると共に、加硫ゴムの諸特性を求めた。
<ゴム組成物の加工性、金属との加硫接着性>
(1)加工性
下記の方法によりミル収縮を求め、加工性を評価した。
未加硫ゴムをロールにてシート化し、収縮具合、表面肌、エッジ切れを目視にて評価した。これら評価項目に対して問題ないものを○で評価し、収縮が大きい、表面肌が悪い、又はエッジ切れを起こす場合には×とした。
(2)金属との加硫接着性
加硫接着は、油圧プレスにて160℃で10分間行い、加硫接着性の評価は、JIS K 6256の金属片とゴムの90度剥離試験に基づき実施し、下記の判定基準に従って評価した(N=3)。
○:剥離試験の際にゴムが破壊される。
×:ゴムと接着剤の界面で剥離が生じる。
なお、金属片は鋼材を使用した。
ゴム組成物を160℃で10分間加硫処理したのち、下記試験方法により評価を行った。
(3)常態物性
破断強度Tb:JIS K 6251に準拠して測定した。
破断伸びEb:JIS K 6251に準拠して測定した。
ゴム硬度Hs:JIS K 6253(タイプA)に準拠して測定した。
(4)熱老化特性
破断強度変化率ΔTb−I:100℃、96hrの熱老化条件で、下記式によ
り、上記破断強度Tbの変化率を算出し、ΔTb−Iとした。ΔTb−Iが−1
5%以上を合格とした。
破断強度変化率ΔTb−II:120℃、96hrの熱老化条件で、下記式によ
り、上記破断強度Tbの変化率を算出し、ΔTb−IIとした。ΔTb−IIが−3
5%以上を合格とした。
破断強度変化率ΔTb(%)={[Tb(耐熱老化後)−Tb(耐熱老化前)
]/Tb(耐熱老化前)}×100
(5)動特性
静バネ定数Es:JIS K 6385(引張方法)に準拠して測定した。
動倍率Ed(15Hz、0.2%)/Es:JIS K 6385(引張方法)に準拠して測定した。なお、動倍率Ed(15Hz、0.2%)/Esは小さい方が好ましく、特に2以下が好ましい。
(6)圧縮永久歪:JIS K 6262に準拠し、100℃、72hrの条件で測定した。なお、圧縮永久歪は小さい方が好ましく、特に30%以下が好ましい。
表1に示す配合割合の各成分を混練りして、11種のゴム組成物を調製した。
この11種のゴム組成物について、加工性及び金属との加硫接着性を評価すると共に、加硫ゴムの諸特性を求めた。
その結果を表1に示す。
1)キサントゲン変性CR:電気化学工業(株)製「DCR−66」
2)天然ゴム:「RSS#1」
3)EPDM:エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、住友化学(株)製「エスプレン586」
4)カーボンブラック(N550):FEF;ヨウ素吸着量=43g/kg、DBP吸油量=121ml/100g、N2SA(窒素吸着比表面積)=42m2/g、旭カーボン(株)製「旭#65」
5)カーボンブラック(N326):HAF−LS;ヨウ素吸着量=82g/kg、DBP吸油量=72ml/100g、N2SA=84m2/g、旭カーボン(株)製「旭#70L」
6)カーボンブラック(N220):ISAF−HM;ヨウ素吸着量=121g/kg、DBP吸油量=114ml/100g、N2SA=119m2/g、旭カーボン(株)製「旭#80N」
7)シリカ;東ソー・シリカ(株)製「ニップシールVN3」、BET比表面積175m2/g
8)シランカップリング剤;DEGUSSA社製「Si69」
9)プロセスオイル;パラフィン系オイル
10)ワックス;Rhein Chemie社製「Antilux654」
11)老化防止剤(I);精工化学(株)製「ノンフレックスRD」
12)老化防止剤(II);精工化学(株)製「オゾノン6C」
13)加硫促進剤(I);三新化学工業(株)製「サンセラーCZ」
14)加硫促進剤(II);三新化学工業(株)製「サンセラーTT」
ゴム成分として、天然ゴム単独を用いた比較例1においては、加硫ゴムの常態物性及び動倍率は良好であるものの、熱老化特性が悪く、また圧縮永久歪もよくない。ゴム成分として、キサントゲン変性CR単独を用いた比較例2においては、加硫ゴムの熱老化特性、動倍率及び圧縮永久歪は良好であるものの、ゴム組成物の加工性及び金属との加硫接着性が不良である。ゴム成分として、天然ゴムとEPDMの組合せを用いた比較例3においては、加硫ゴムの熱老化特性は良好であるものの、破断強度、動倍率及び圧縮永久歪が悪い。
ゴム成分として、天然ゴム80質量%とキサントゲン変性CR20質量%との組合せを用いた実施例1と、天然ゴム20質量%とキサントゲン変性CR80質量%との組合せを用いた実施例4とを比較した場合、動倍率はあまり変わらないが、熱老化特性及び圧縮永久歪については、実施例4の方が良く、また常態物性は実施例4の方が若干劣る。
充填材として、カーボンブラック(N550)とシリカとの質量比1:1の混合物を用いた実施例5と、カーボンブラック(N550)のみを用いた実施例2とを比較した場合、実施例5の方が、常態物性、熱老化特性及び動倍率が良好である。
加硫剤の硫黄を0.8質量部用いた実施例6と、硫黄0.4質量部を用いた実施例3とを比較した場合、実施例6の方が熱老化特性及び圧縮永久歪に劣る。
カーボンブラックとして、粒径が小さなカーボンブラック(N326)及びカーボンブラック(N220)を、それぞれ用いた実施例7及び実施例8は、粒径が大きなカーボンブラック(N550)を用いた実施例1、2に比べて、常態特性は良好であるものの、動倍率に劣る。
Claims (8)
- ジエン系ゴムとキサントゲン変性クロロプレン系ゴムとの質量比15:85〜85:15の組合せからなるゴム成分を含むことを特徴とする防振ゴム組成物。
- 加硫剤として、ゴム成分100質量部に対して、硫黄0.1〜0.5質量部を含む請求項1に記載の防振ゴム組成物。
- 充填材として、ヨウ素吸着量が10〜70g/kgであり、DBP吸油量が30〜180ml/100gであるカーボンブラック及び/又はBET比表面積が70〜230m2/gであるシリカを含む請求項1又は2に記載の防振ゴム組成物。
- 前記充填材の含有量が、ゴム成分100質量部に対して、10〜80質量部である請求項3に記載の防振ゴム組成物。
- 前記ゴム成分におけるジエン系ゴムが、天然ゴムである請求項1〜4のいずれかに記載の防振ゴム組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の防振ゴム組成物の加硫物からなる防振ゴム。
- 車輌用である請求項6に記載の防振ゴム。
- 自動車のエンジンマウントに用いられる請求項7に記載の防振ゴム。
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