JP2008224720A - 光学フィルム、その製造方法、偏光板、その製造方法及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、光学フィルム、その製造方法、偏光板、その製造方法及び液晶表示装置に関する。
近年、ノートパソコンの薄型軽量化、大型画面化、高精細化の開発が進んでいる。
それに伴って、光学フィルム、たとえば液晶偏光板用の保護フィルムもますます薄膜化、広幅化、高品質化の要求が強くなってきている。
偏光板用保護フィルムには、一般的に光学フイルムが広く使用されている。光学フイルムは通常巻芯に巻かれて光学フィルム原反となり、保存、輸送されている。
これらの光学フイルムは、これまで、専ら溶液流延法によって製造されてきた。
溶液流延法とは、セルロースエステルを溶媒に溶解した溶液を流延して光学フィルム形状を得た後、溶媒を蒸発・乾燥させ、光学フィルムを得るといった製膜方法である。
溶液流延法で製膜した光学フィルムは平面性が高いため、これを用いてムラのない高画質な液晶ディスプレイを得ることができる。
しかし、溶液流延法は多量の有機溶媒を必要とし、環境負荷が大きいことも課題となっていた。光学フイルムは、その溶解特性から、環境負荷の大きいハロゲン系溶媒を用いて製膜されているため、特に溶剤使用量の削減が求められており、溶液流延製膜によって光学フイルムを増産することは困難となってきている。
また、光学フィルム内部に残存する溶媒を除去しなければならないため、乾燥ライン、乾燥エネルギー、及び蒸発した溶媒の回収及び再生装置等、製造ラインへの設備投資及び製造コストが膨大になっており、これらを削減することも重要な課題となっている。
また、一方、セルロースエステルにヒンダードフェノール酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸掃去剤をある添加量比で加えることによって、分光特性、機械特性の改善図った技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
可塑剤として多価アルコールエステル系可塑剤を用いる技術(例えば、特許文献2参照)、さらに多価アルコールエステル系可塑剤を特定の構造に限定した技術(例えば、特許文献3参照)も公開されている。
また、有機材料の劣化を防止する技術として、各種安定剤と亜燐酸エステル類を含有する安定剤組成物(例えば、特許文献4参照)、また、特定のフェノール誘導体が知られているが、特に光学用途に関しては、その詳細は示されていない(例えば、特許文献5参照)。
しかし、いずれにしても光学用光学フイルムについては、その製造工程での溶媒使用に伴う製造負荷、設備負荷があり、また光学特性、機械特性も不十分な状態にある。
近年、銀塩写真用あるいは偏光子保護フィルム用として、セルロースエステルを溶融製膜する試みが行われているが、セルロースエステルは溶融時の粘度が非常に高い高分子であり、かつ、ガラス転移温度も高いため、セルロースエステルを溶融してダイスから押出し、冷却ドラムまたは冷却ベルト上にキャスティングしてもレベリングがし難く、光学特性、機械特性が溶液流延光学フィルムよりも低いといった問題を有していることが判明している(例えば、特許文献6及び特許文献7参照)。
このため、溶融製膜された光学フィルムを巻芯に巻いた光学フィルム原反の状態で長期間保存すると、馬の背故障や光学フィルム原反の巻芯部分には巻芯転写と呼ばれる故障及び巻始めるときに光学フィルムにシワが発生しやすい問題があることが判明した。
馬の背故障とは、馬の背中のように光学フィルム原反がU字型に変形し、中央部付近に2〜3cm程度のピッチで帯状の凸部ができる故障で、光学フィルムに変形が残ってしまうため、偏光板に加工すると表面が歪んで見えてしまうため問題である。今まで、馬の背故障はベース同士の動摩擦係数を低くしたり、両サイドにあるナーリング加工(エンボス加工)の高さを調節することによって発生を低減させてきた。
また、巻芯転写は、巻芯や光学フィルムの凹凸によって発生する光学フィルム変形故障である。
このような光学フィルムの変形があると、偏光板に加工した場合、表面が歪んで見えてしまうため、問題である。
また液晶ディスプレイの最表面に設置する光学フイルムは、クリアハード加工やアンチグレア加工、アンチリクレクション加工が施されている。これらの加工を行うとき、光学フイルムの表面が変形していると、塗布ムラや蒸着ムラとなり、製品収率を大幅に劣化させる原因となる。
従来の溶液流延で作製した光学フィルムではこれらの故障は、大きな問題にならなかったが、溶融製膜で作製した光学フィルムでは、光学フィルムの平面性が低いため大きな問題となることが分かった。
特に、近年、大型画面化に伴って、光学フィルム原反の幅は広く、巻長は長くすることが要望されている。そのため、光学フィルム原反は幅広となり、光学フィルム原反荷重は増加する傾向にあり、これらの故障がより発生しやすい状況のため、改良が望まれている。
特開2003−192920号公報
特開2003−12823号公報
特開2003−96236号公報
特開平11−222493号公報
特表平4−341654号公報
特表平6−501040号公報
特開2000−352620号公報
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、長期間保存しても馬の背故障や凸状故障等の光学フィルム原反の変形故障が発生しない光学フィルム、その製造方法、偏光板、その製造方法及び該偏光板を用いた液晶表示装置を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.セルロースエステルを有する光学フィルムにおいて、該光学フィルムが下記一般式(I)で表される酸化防止剤を含有することを特徴とする光学フィルム。
(式中、R1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、スルホニル基を表し、R2〜R6はそれぞれ水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基を表し、R7はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシルオキシ基、複素環基、水酸基、ハロゲン原子を表し、R8は水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アニリノ基を表す)
2.前記R1が水素原子であることを特徴とする前記1に記載の光学フィルム。
2.前記R1が水素原子であることを特徴とする前記1に記載の光学フィルム。
3.前記R6が水素原子であることを特徴とする前記1又は2に記載の光学フィルム。
4.前記R7がアリール基であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
5.前記1〜4の何れか1項に記載の光学フィルムが、セルロースエステルと下記一般式(I)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含有する溶融物を用いて溶融流延法によって製造されることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
6.前記1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムまたは前記5に記載の光学フィルムの製造方法により得られた光学フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
7.前記6に記載の偏光板をロール状の長尺に巻取り、その後巻き状態から繰り出して偏光子と貼り合わせることを特徴とする偏光板の製造方法。
8.前記6に記載の偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に用いることを特徴とする液晶表示装置。
9.前記7に記載の偏光板の製造方法で製造された偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に用いることを特徴とする液晶表示装置。
本発明により、長期間保存しても馬の背故障や凸状故障等の光学フィルム原反の変形故障が発生しない光学フィルム、その製造方法、偏光板、その製造方法及び該偏光板を用いた液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定するものではない。
本発明は、セロースエステルを有する光学フィルムにおいて、該光学フイルムが前記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴としている。
まず、本発明の一般式(I)の化合物について説明する。
前記一般式(I)において、R1は水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等)を表す。
R1がアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、スルホニル基を表すとき、これらの基は置換基を有してもよく、置換基としては水素原子、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子等)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、シアノ基、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基等)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、1,3−ジメチルウレイド基等)、スルファモイルアミノ基(ジメチルスルファモイルアミノ基等)、カルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えばエチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、フェニルスルホニル基等)、アシル基(例えばアセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基等)、アミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミンオキシド基(例えばピリジン−オキシド基)、イミド基(例えばフタルイミド基等)、ジスルフィド基(例えばベンゼンジスルフィド基、ベンゾチアゾリル−2−ジスルフィド基等)、カルボキシル基、スルホ基、ヘテロ環基(例えば、ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基等)等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換されてもよい。
R2〜R6はそれぞれ水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)表す。R2〜R6がアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基を表すとき、これらの基はさらに置換基を有してもよく、置換基としては前記R1が有してもよい置換基と同様の基を挙げることができる。
R7はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、イソブチリルオキシ基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基等)、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、2〜4価の連結基を表す。
R7がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシルオキシ基、複素環基を表すとき、これらの基はさらに置換基を有してもよく、置換基としては前記R1が有しても良い置換基と同様の基を挙げることができる。
R8は水酸基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基等)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ基、クロロフェニルアミノ基、トルイジノ基、アニシジノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)を表す。R8がアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基アニリノ基を表すとき、これらの基はさらに置換基を有してもよく、置換基としては前記R1が有しても良い置換基と同様の基を挙げることができる。
前記一般式(I)において、R1は水素原子またはアシル基が好ましく、さらに水素原子が好ましい。
前記一般式(I)において、R2〜R6は水素原子またはアルキル基が好ましく、R6は水素原子が特に好ましい。
前記一般式(I)において、R7はアリール基が好ましく、その中でも特にフェニル基が好ましい。またアリール基は置換基を有してもよく、置換基としては前記R1が有しても良い置換基と同様の基を挙げることができる。
前記一般式(I)において、R8はヒドロキシル基、アミノ基、アニリノ基またはアルコキシ基が好ましく、さらにヒドロキシル基、アミノ基またはアルコキシ基が好ましく、アルコキシ基が最も好ましい。
本発明の一般式(I)で表される化合物の添加量は、セルロースエステルに対して、0.01〜10質量%添加することが好ましく、更に、0.1〜5質量%添加することが好ましく、更に、0.2〜2質量%添加することが好ましい。これらは、2種類以上を併用しても良い。
前記一般式(I)で表される本発明による化合物はそれ自体公知の方法によって製造できる。
前記一般式(I)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の一般式(I)で表される酸化防止剤として下記の酸化防止剤を併用しても良い。
本発明において併用しても良い酸化防止剤の一つとして、下記一般式(A)で表される化合物が好ましい。
(フェノール系化合物)
フェノール系化合物は既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12〜14欄に記載されており、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物が含まれる。このような化合物のうち好ましい化合物として、下記一般式(A)で表される化合物が好ましい。
フェノール系化合物は既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12〜14欄に記載されており、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物が含まれる。このような化合物のうち好ましい化合物として、下記一般式(A)で表される化合物が好ましい。
一般式(式中、R11〜R15は置換基を表す。置換基としては、水素原子、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子等)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、シアノ基、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基等)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、1,3−ジメチルウレイド基等)、スルファモイルアミノ基(ジメチルスルファモイルアミノ基等)、カルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えばエチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、フェニルスルホニル基等)、アシル基(例えばアセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基等)、アミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミンオキシド基(例えばピリジン−オキシド基)、イミド基(例えばフタルイミド基等)、ジスルフィド基(例えばベンゼンジスルフィド基、ベンゾチアゾリル−2−ジスルフィド基等)、カルボキシル基、スルホ基、ヘテロ環基(例えば、ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基等)等が挙げらる。これらの置換基はさらに置換されてもよい。
また、R11は水素原子、R12、R16はt−ブチル基であるフェノール系化合物が好ましい。フェノール系化合物の具体例としては、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオ−ドデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミドN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−l−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリトリトール−テトラキス−[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトール−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)が含まれる。上記タイプのフェノール化合物は、例えば、Ciba Specialty Chemicalsから、“IRGANOX 1076”及び“IRGANOX 1010”という商品名で市販されている。
(ヒンダードアミン系化合物)
本発明において併用しても良い酸化防止剤の一つとして、下記一般式(B)で表されるヒンダードアミン系化合物が好ましい。
本発明において併用しても良い酸化防止剤の一つとして、下記一般式(B)で表されるヒンダードアミン系化合物が好ましい。
式中、R21〜R27は置換基を表す。置換基としては前記一般式(A)のR11〜R15で表される置換基と同義である。R24は水素原子、メチル基、R27は水素原子、R22、R23、R25、R26はメチル基が好ましい。
ヒンダードアミン系化合物の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)デカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
また、高分子タイプの化合物でもよく、具体例としては、N,N’,N,N’−テトラキス−[4,6−ビス−〔ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]等の、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物等の、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物等で、数平均分子量(Mn)が2,000〜5,000のものが好ましい。
上記タイプのヒンダードフェノール化合物は、例えば、Ciba Specialty Chemicalsから、“TINUVIN 144”及び“TINUVIN 770”、ADEKA工業株式会社から“ADK STAB LA−52”という商品名で市販されている。
(リン系化合物)
本発明において併用しても良い酸化防止剤の一つとして、下記一般式(C−1)、(C−2)、(C−3)、(C−4)、(C−5)で表される部分構造を分子内に有する化合物が好ましい。
本発明において併用しても良い酸化防止剤の一つとして、下記一般式(C−1)、(C−2)、(C−3)、(C−4)、(C−5)で表される部分構造を分子内に有する化合物が好ましい。
式中、Ph1及びPh’1は2価の置換基を表す。より好ましくは、Ph1及びPh’1はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子はフェニル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基または炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。
Ph1及びPh’1は互いに同一でもよく、異なってもよい。Xは単結合、硫黄原子または−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。また、これらは前記一般式(A)のR11〜R15で表される置換基と同義の置換基により置換されてもよい。
式中、Ph2及びPh’2は置換基を表す。置換基としては前記一般式(A)のR11〜R15で表される置換基と同義である。より好ましくは、Ph2及びPh’2はフェニル基またはビフェニル基を表し、該フェニル基またはビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基または炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。
Ph2及びPh’2は互いに同一でもよく、異なってもよい。また、これらは前記一般式(A)のR11〜R15で表される置換基と同義の置換基により置換されてもよい。
式中、Ph3は置換基を表す。置換基としては前記一般式(A)のR11〜R15で表される置換基と同義である。より好ましくは、Ph3はフェニル基またはビフェニル基を表し、該フェニル基またはビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基または炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。
また、これらは前記一般式(A)のR11〜R15で表される置換基と同義の置換基により置換されてもよい。
式中、Ph4は置換基を表す。置換基としては前記一般式(A)のR11〜R15で表される置換基と同義である。より好ましくは、Ph4は炭素数1〜20のアルキル基またはフェニル基を表し、該アルキル基またはフェニル基は前記一般式(A)のR11〜R15で表される置換基と同義の置換基により置換されてもよい。
式中、Ph5、Ph’5及びPh5は置換基を表す。置換基としては前記一般式(A)のR11〜R15で表される置換基と同義である。より好ましくは、Ph5、Ph’5及びPh”5は炭素数1〜20のアルキル基またはフェニル基を表し、該アルキル基またはフェニル基は前記一般式(A)のR11〜R15で表される置換基と同義の置換基により置換されてもよい。
リン系化合物の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン、トリデシルホスファイト等のモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)等のジホスファイト系化合物;トリフェニルホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト等のホスホナイト系化合物;トリフェニルホスフィナイト、2,6−ジメチルフェニルジフェニルホスフィナイト等のホスフィナイト系化合物;トリフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン系化合物;等が挙げられる。
上記タイプのリン系化合物は、例えば、住友化学から、“Sumilizer GP”、ADEKA工業株式会社から“ADK STAB PEP−24G”、“ADK STAB PEP−36”及び“ADK STAB 3010”、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社から“IRGAFOS P−EPQ”、堺化学工業株式会社から“GSY−P101”という商品名で市販されている。
また、下記化合物が挙げられる。
(イオウ系化合物)
本発明において併用しても良い酸化防止剤の一つとして、下記一般式(D)で表されるイオウ系化合物が好ましい。
本発明において併用しても良い酸化防止剤の一つとして、下記一般式(D)で表されるイオウ系化合物が好ましい。
式中、R31及びR32は置換基を表す。置換基としては前記一般式(A)のR11〜R15で表される置換基と同義である。
イオウ系化合物の具体例としては、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
上記タイプのイオウ系化合物は、例えば、住友化学から、“Sumilizer TPL−R”及び“Sumilizer TP−D”という商品名で市販されている。
耐熱加工安定剤としては、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。上記タイプの耐熱加工安定剤は、住友化学から、“Sumilizer GM”及び“Sumilizer GS”という商品名で市販されている。
酸化防止剤は、前述のセルロースエステル同様に、製造時から持ち越される、あるいは保存中に発生する残留酸、無機塩、有機低分子等の不純物を除去することが好ましく、より好ましくは純度99%以上である。残留酸及び水としては、0.01〜100ppmであることが好ましく、セルロースエステルを溶融製膜する上で、熱劣化を抑制でき、製膜安定性、光学フィルムの光学物性、機械物性が向上する。
酸化防止剤は0.1〜10質量%添加することが好ましく、さらに0.2〜5質量%添加することが好ましく、さらに0.5〜2質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
《光学フィルム》
次に、本発明の光学フィルムの詳細について説明する。
次に、本発明の光学フィルムの詳細について説明する。
本発明において光学フィルムとは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の各種表示装置に用いられる機能フィルムのことであり、詳しくは液晶表示装置用の偏光板保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、ハードコートフィルム、防眩フィルム、帯電防止フィルム、視野角拡大等の光学補償フィルム等を含む。
本発明の光学フィルムの基材となる樹脂フィルムに用いられる樹脂としては、セルロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂等)等を挙げることができる。この中で、セルロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂が好ましく、中でもセルロースエステル系樹脂が最も好ましい。
また、これらの樹脂は併用して用いても良く、例えば、セルロースエステル系樹脂の他、セルロースエーテル系樹脂、ビニル系樹脂(ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等も含む)、環状オレフイン樹脂、ポリエステル系樹脂(芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、もしくはそれらを含む共重合体)、アクリル系樹脂(共重合体も含む)等を含有させることができる。セルロースエステル以外の樹脂の含有量としては0.1〜30質量%が好ましい。
本発明の光学フィルムは、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルムに好ましく用いられ、特に、偏光板保護フィルムに好ましく用いられる。
《セルロースエステル》
次に、本発明に好ましく用いられるセルロースエステルについて、詳述する。
次に、本発明に好ましく用いられるセルロースエステルについて、詳述する。
本発明にの光学フイルムは、溶液流延法、または溶融流延法により製造される。
溶液流延法は、セルロースエステルを溶媒中に溶解した溶液(ドープ)を支持体上に流延し、溶媒を蒸発させて光学フィルムを形成する。溶融流延法では、セルロースエステルを加熱により溶融したもの(メルト)を支持体上に流延して光学フィルムを形成する。
溶液流延法は、セルロースエステルを溶媒中に溶解した溶液(ドープ)を支持体上に流延し、溶媒を蒸発させて光学フィルムを形成する。溶融流延法では、セルロースエステルを加熱により溶融したもの(メルト)を支持体上に流延して光学フィルムを形成する。
溶融流延法は光学フィルム製造時の有機溶媒使用量を、大幅に少なくすることができるため、従来の有機溶媒を多量に使用する溶液流延法に比較して、環境適性が大幅に向上した光学フィルムが得られるため、溶融流延法により、光学フイルムを製造することが好ましい。
本発明における溶融流延とは、実質的に溶媒を用いずにセルロースエステルを流動性を示す温度まで加熱溶融しこれを用いて製膜する方法であり、例えば流動性のセルロースエステルをダイスから押し出して製膜する方法である。
なお溶融セルロースエステルを調製する過程の一部で溶媒を使用してもよいが、光学フィルム状に成形を行う溶融製膜プロセスにおいては実質的に溶媒を用いずに成形加工する。
光学フィルムを構成するセルロースエステルとしては、溶融製膜可能なセルロースエステルであれば特に限定はされず、例えば芳香族カルボン酸エステル等も用いられるが、光学特性等の得られる光学フィルムの特性を鑑みると、セルロースの低級脂肪酸エステルを使用するのが好ましい。
本発明においてセルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が5以下の脂肪酸を意味し、例えばセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースピバレート等がセルロースの低級脂肪酸エステルの好ましいものとして挙げられる。
炭素原子数が6以上の脂肪酸で置換されたセルロースエステルでは、溶融製膜性は良好あるものの、得られる光学フイルムの力学特性が低く、実質的に光学フィルムとして用いることが難しいためである。
力学特性と溶融製膜性の双方を両立させるために、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレート等のように混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
本発明において、光学フイルムを構成するセルロースエステルは、炭素数2以上の脂肪族アシル基を有するセルロースエステルであり、かつ、セルロースエステルのアシル基総炭素数が6.0〜7.5であるセルロースエステルである。セルロースエステルのアシル基総炭素数は、好ましくは、6.1〜7.0であり、さらに好ましくは6.3〜6.8である。
ただし、アシル基総炭素数は、セルロースエステル中の各アシル基の置換度と炭素数の積の総和である。さらに、脂肪族アシル基の炭素数は、セルロース合成の生産性、コストの観点から、2〜6が好ましい。
なお、アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらは公知の方法で合成することができる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタネート基、ヘキサネート基等が挙げられ、セルロースエステルとしては、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースペンタネート等が挙げられる。
また、上述の側鎖炭素数を満たせば、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートペンタネート等のように混合脂肪酸エステルでもよい。
この中でも、特にセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートが好ましい。なお溶液流延製膜で一般に用いられているセルロースエステルであるトリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースについては、側鎖炭素数の条件を満たさないため、本発明には含まない。
一般に、セルロースエステルのアシル基の総置換度に対し、光学フイルムの機械物性及びケン化性と、セルロースエステルの溶融製膜性は、トレードオフの関係にある。
例えば、セルロースアセテートプロピオネートにおいて、アシル基の総置換度を上げると機械物性が低下し、溶融製膜性が向上するため、両立は困難である。
本発明では、セルロースエステルのアシル基総炭素数を6.2〜7.2とすることで、光学フィルム機械物性、ケン化性、溶融製膜性を両立できることを見出した。この機構の詳細は不明であるが、アシル基の炭素数により、光学フィルム機械物性、ケン化性、溶融製膜性への影響が異なるためと推測される。
すなわち、同置換度の場合、アセチル基よりもプロピオニル基、ブチリル基といった長鎖のアシル基の方が、より疎水性となり、溶融製膜性を向上させる。
従って、同じ溶融製膜性を達成する場合、プロピオニル基、ブチリル基の置換度はアセチル基よりも低置換度でよく、そのため機械物性、ケン化性の低下が抑えられると推測される。
本発明に好ましく用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が1.0〜5.5のものが用いられ、特に好ましくは1.4〜5.0であり、さらに好ましくは2.0〜3.0である。また、Mwは10万〜50万、中でも15万〜30万のものが好ましく用いられる。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で測定することができる。これを用いて数平均分子量、重量平均分子量を算出する。測定条件は以下の通りである。
溶媒:テトヒドロフラン
装置:HLC−8220(東ソー(株)製)
カラム:TSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
試料温度:0.1質量%
注入量:10μl
流量:0.6ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレン:PS−1(Polymer Laboratories社製)Mw=2,560,000〜580までの9サンプルによる校正曲線を使用した。
装置:HLC−8220(東ソー(株)製)
カラム:TSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
試料温度:0.1質量%
注入量:10μl
流量:0.6ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレン:PS−1(Polymer Laboratories社製)Mw=2,560,000〜580までの9サンプルによる校正曲線を使用した。
本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。
製膜の際の、剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。
これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、あるいは単独で使用することができる。
例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることができる。
セルロースエステルは、例えば、原料セルロースの水酸基を無水酢酸、無水プロピオン酸及び/または無水酪酸を用いて常法によりアセチル基、プロピオニル基及び/またはブチル基を上記の範囲内に置換することで得られる。
このようなセルロースエステルの合成方法は、特に限定はないが、例えば、特開平10−45804号あるいは特表平6−501040号に記載の方法を参考にして合成することができる。
アセチル基、プロピオニル基、ブチル基等のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に準じて測定することができる。
また、工業的にはセルロースエステルは硫酸を触媒として合成されているが、この硫酸は完全には除去されておらず、残留する硫酸が溶融製膜時に各種の分解反応を引き起こし、得られる光学フイルムの品質に影響を与えるため、本発明に用いられるセルロースエステル中の残留硫酸含有量は、硫黄元素換算で0.1〜40ppmの範囲である。
これらは塩の形で含有していると考えられる。残留硫酸含有量が40ppmを超えると熱溶融時のダイリップ部の付着物が増加するため好ましくない。また、熱延伸時や熱延伸後でのスリッティングの際に破断しやすくなるため好ましくない。
少ない方が好ましいが、0.1未満とするにはセルロースエステルの洗浄工程の負担が大きくなりすぎるため好ましくないだけでなく、逆に破断しやすくなることがあり好ましくない。
これは洗浄回数が増えることが樹脂に影響を与えているのかもしれないがよく分かっていない。さらに0.1〜30ppmの範囲が好ましい。残留硫酸含有量は、同様にASTM−D817−96により測定することができる。
また、その他の残留酸(酢酸等)を含めたトータル残留酸量は1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がさらに好ましく、100ppm以下がより好ましい。
合成したセルロースエステルの洗浄を、溶液流延法に用いられる場合に比べて、さらに十分に行うことによって、残留酸含有量を上記の範囲とすることができ、溶融流延法によって光学フィルムを製造する際に、リップ部への付着が軽減され、平面性に優れる光学フィルムが得られ、寸法変化、機械強度、透明性、耐透湿性、後述するRt値、Ro値が良好な光学フィルムを得ることができる。
また、セルロースエステルの洗浄は、水に加えて、メタノール、エタノールのような貧溶媒、あるいは結果として貧溶媒であれば貧溶媒と良溶媒の混合溶媒を用いることができ、残留酸以外の無機物、低分子の有機不純物を除去することができる。
さらに、セルロースエステルの洗浄は、ヒンダードアミン、亜リン酸エステルといった酸化防止剤の存在下で行うことが好ましく、セルロースエステルの耐熱性、製膜安定性が向上する。
また、セルロースエステルの耐熱性、機械物性、光学物性等を向上させるため、セルロースエステルの良溶媒に溶解後、貧溶媒中に再沈殿させ、セルロースエステルの低分子量成分、その他不純物を除去することができる。この時、前述のセルロースエステルの洗浄同様に、酸化防止剤の存在下で行うことが好ましい。
さらに、セルロースエステルの再沈殿処理の後、別のポリマーあるいは低分子化合物を添加してもよい。
また、本発明で用いられるセルロースエステルは光学フィルムにした時の輝点異物が少ないものであることが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板を直交に配置し(クロスニコル)、この間に光学フイルムを配置して、一方の面から光源の光を当てて、もう一方の面から光学フイルムを観察した時に、光源の光が漏れて見える点のことである。
このとき評価に用いる偏光板は輝点異物がない保護フィルムで構成されたものであることが望ましく、偏光子の保護にガラス板を使用したものが好ましく用いられる。
輝点異物はセルロースエステルに含まれる未酢化もしくは低酢化度のセルロースがその原因の1つと考えられ、輝点異物の少ないセルロースエステルを用いる(置換度の分散の小さいセルロースエステルを用いる)ことと、溶融したセルロースエステルを濾過すること、あるいはセルロースエステルの合成後期の過程や沈殿物を得る過程の少なくともいずれかにおいて、一度溶液状態として同様に濾過工程を経由して輝点異物を除去することもできる。溶融樹脂は粘度が高いため、後者の方法の方が効率がよい。
光学フィルム膜厚が薄くなるほど単位面積当たりの輝点異物数は少なくなり、光学フィルムに含まれるセルロースエステルの含有量が少なくなるほど輝点異物は少なくなる傾向があるが、輝点異物は、輝点の直径0.01mm以上が200個/cm2以下であることが好ましく、100個/cm2以下であることがより好ましく、50個/cm2以下であることがさらに好ましく、30個/cm2以下であることがさらにより好ましく、10個/cm2以下であることがさらに好ましいが、皆無であることが最も好ましい。
また、0.005〜0.01mm以下の輝点についても200個/cm2以下であることが好ましく、100個/cm2以下であることがより好ましく、50個/cm2以下であることがさらにより好ましく、30個/cm2以下であることがさらに好ましく、10個/cm2以下であることがさらに好ましいが、皆無であることが最も好ましい。
輝点異物を溶融濾過によって除去する場合、セルロースエステルを単独で溶融させたものを濾過するよりも可塑剤、劣化防止剤、酸化防止剤等を添加混合したセルロースエステル組成物を濾過することが輝点異物の除去効率が高く好ましい。
もちろん、セルロースエステルの合成の際に溶媒に溶解させて濾過により低減させてもよい。紫外線吸収剤、その他の添加物も適宜混合したものを濾過することができる。濾過はセルロースエステルを含む溶融物の粘度が10000P以下で濾過されることが好ましく、5000P以下がより好ましく、1000P以下がさらに好ましく、500P以下であることがさらにより好ましい。
濾材としては、ガラス繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂等の弗素樹脂等従来公知のものが好ましく用いられるが、特にセラミックス、金属等が好ましく用いられる。絶対濾過精度としては50μm以下のものが好ましく用いられ、30μm以下のものがより好ましく、10μm以下のものがさらにより好ましく、5μm以下のものがさらに好ましく用いられる。
これらは適宜組み合わせて使用することもできる。濾材はサーフェースタイプでもデプスタイプでも用いることができるが、デプスタイプの方が比較的目詰まりしにくく好ましく用いられる。
別の実施態様では、原料のセルロースエステルは少なくとも一度溶媒に溶解させた後、溶媒を乾燥させたセルロースエステルを用いてもよい。その際には可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、酸化防止剤及びマット剤の少なくとも1つ以上と共に溶媒に溶解させた後、乾燥させたセルロースエステルを用いる。
溶媒としては、メチレンクロライド、酢酸メチル、ジオキソラン等の溶液流延法で用いられる良溶媒を用いることができ、同時にメタノール、エタノール、ブタノール等の貧溶媒を用いてもよい。溶解の過程で−20℃以下に冷却したり、80℃以上に加熱したりしてもよい。このようなセルロースエステルを用いると、溶融状態にした時の各添加物を均一にしやすく、光学特性を均一にできることがある。
本発明の偏光板保護フィルムはセルロースエステル以外の高分子成分を適宜混合したものでもよい。混合される高分子成分はセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、光学フィルムにした時の透過率が80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上であることが好ましい。
《酸捕捉剤》
セルロースエステルは溶融製膜が行われるような高温環境下では酸によっても分解が促進されるため、本発明の偏光板保護フィルムにおいては安定化剤として酸捕捉剤を含有することが好ましい。本発明において有用な酸捕捉剤としては、酸と反応して酸を不活性化する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でも米国特許第4,137,201号明細書に記載されているような、エポキシ基を有する化合物が好ましい。
セルロースエステルは溶融製膜が行われるような高温環境下では酸によっても分解が促進されるため、本発明の偏光板保護フィルムにおいては安定化剤として酸捕捉剤を含有することが好ましい。本発明において有用な酸捕捉剤としては、酸と反応して酸を不活性化する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でも米国特許第4,137,201号明細書に記載されているような、エポキシ基を有する化合物が好ましい。
このような酸捕捉剤としてのエポキシ化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8〜40モルのエチレンオキシド等の縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテル等、金属エポキシ化合物(例えば、塩化ビニルポリマー組成物において、及び塩化ビニルポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(即ち、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、炭素原子数2〜22個の脂肪酸の4〜2個程度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)等)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリド等(例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等)の組成物によって代表され例示され得るエポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらはときとしてエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している)が含まれる。
また、市販のエポキシ基含有エポキシド樹脂化合物として、EPON 815C、及び下記一般式(5)の他のエポキシ化エーテルオリゴマー縮合生成物も好ましく用いることができる。
式中、nは0〜12の整数である。用いることができるその他の酸捕捉剤としては、特開平5−194788号公報の段落87〜105に記載されているものが含まれる。
酸捕捉剤は0.1〜10質量%添加することが好ましく、さらに0.2〜5質量%添加することが好ましく、さらに0.5〜2質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
なお酸捕捉剤は、酸掃去剤、酸捕獲剤、酸キャッチャー等と称されることもあるが、本発明においてはこれらの呼称による差異なく用いることができる。
《紫外線吸収剤》
紫外線吸収剤は、偏光子や表示装置の紫外線に対する劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
紫外線吸収剤は、偏光子や表示装置の紫外線に対する劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明に用いられる紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物等を挙げることができるが、ベンゾフェノン系化合物や着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号、同8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号、特開2003−113317号公報記載の高分子紫外線吸収剤を用いてもよい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3’,4’,5’,6’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェニル)ベンゾトリアゾール、6−(2−ベンゾトリアゾル)−4−t−オクチル−6’−t−ブチル−4’−メチル−2,2’メチレンビスフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(1−メチル−1−フェニルエチル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル)ベンゾトリアゾール、等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)234、チヌビン(TINUVIN)360、チヌビン(TINUVIN)928、チヌビン(TINUVIN)109(いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、LA31(ADEKA社製)、JAST−500(城北化学工業社製)、Sumisorb 250(住友化学製)が挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、紫外線吸収剤は0.1〜5質量%添加することが好ましく、さらに0.2〜3質量%添加することが好ましく、さらに0.5〜2質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
またこれらのベンゾトリアゾール構造やベンゾフェノン構造が、ポリマーの一部、あるいは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、可塑剤、酸化防止剤、酸掃去剤等の他の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
従来公知の紫外線吸収性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、RUVA−93(大塚化学製)を単独重合させたポリマー及びRUVA−93と他のモノマーとを共重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、RUVA−93とメチルメタクリレートを3:7の比(質量比)で共重合させたPUVA−30M、5:5の比(質量比)で共重合させたPUVA−50M等が挙げられる。更には、特開2003−113317号公報に記載のポリマー等が挙げられる。
《可塑剤》
本発明に係る光学フイルムの製造においては、光学フィルム形成材料中に少なくとも1種の可塑剤を添加することが好ましい。
本発明に係る光学フイルムの製造においては、光学フィルム形成材料中に少なくとも1種の可塑剤を添加することが好ましい。
可塑剤とは、一般的には高分子中に添加することによって脆弱性を改良したり、柔軟性を付与したりする効果のある添加剤であるが、本発明においては、セルロースエステル単独での溶融温度よりも溶融温度を低下させるため、また同じ加熱温度においてセルロース樹脂単独よりも可塑剤を含む光学フィルム構成材料の溶融粘度を低下させるために、可塑剤を添加する。
また、セルロースエステルの親水性を改善し、光学フイルムの透湿度改善するためにも添加されるため透湿防止剤としての機能を有する。
ここで、光学フィルム構成材料の溶融温度とは、該材料が加熱され流動性が発現された状態の温度を意味する。セルロースエステルを溶融流動させるためには、少なくともガラス転移温度よりも高い温度に加熱する必要がある。ガラス転移温度以上においては、熱量の吸収により弾性率あるいは粘度が低下し、流動性が発現される。
しかしセルロースエステルでは高温下では溶融と同時に熱分解によってセルロースエステルの分子量の低下が発生し、得られる光学フィルムの力学特性等に悪影響を及ぼすことがあるため、なるべく低い温度でセルロースエステルを溶融させる必要がある。
光学フィルム構成材料の溶融温度を低下させるためには、セルロースエステルのガラス転移温度よりも低い融点またはガラス転移温度をもつ可塑剤を添加することで達成することができる。
本発明に係る光学フイルムは、可塑剤として、下記一般式(1)で表される有機酸と3価以上20価以下のアルコールが縮合した構造を有するエステル化合物を、可塑剤として1〜25質量%含有することを特徴とする光学フイルムである。
1質量%よりも少ないと平面性改善の効果が認められず、25質量%よりも多いとブリードアウトが発生しやすくなり、光学フィルムの経時安定性が低下するために好ましくない。
より好ましくは可塑剤を3〜20質量%含有する光学フイルムであり、さらに好ましくは5〜15質量%含有する光学フイルムである。
一般式(E)中、R1〜R5はおのおの互いに独立して水素原子またはシクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、オキシカルボニルオキシ基を表し、これらはさらに置換基を有していてよい。Lは連結基を表し、置換または無置換のアルキレン基、酸素原子、または直接結合を表す。
R1〜R5で表されるシクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、具体的にはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の基である。これらの基は置換されていてもよく、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アラルキル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい)、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい)、フェノキシ基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい)、アセチル基、プロピオニル基等の炭素数2〜8のアシル基、またアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の炭素数2〜8の無置換のカルボニルオキシ基等が挙げられる。
R1〜R5で表されるアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、γ−フェニルプロピル基等の基を表し、また、これらの基は置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
R1〜R5で表されるアルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、もしくはt−ブトキシ等の各アルコキシ基である。
また、これらの基は置換されていてもよく、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アラルキル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等を置換していてもよい)、アルケニル基、フェニル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい))、アセチル基、プロピオニル基等のアシル基が、またアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の炭素数2〜8の無置換のアシルオキシ基、またベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基が挙げられる。
R1〜R5で表されるシクロアルコキシ基としては、無置換のシクロアルコキシ基としては炭素数1〜8のシクロアルコキシ基基が挙げられ、具体的には、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等の基が挙げられる。
また、これらの基は置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
R1〜R5で表されるアリールオキシ基としては、フェノキシ基が挙げられるが、このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等前記シクロアルキル基に置換してもよい基として挙げられた置換基で置換されていてもよい。
R1〜R5で表されるアラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等が挙げられ、これらの置換基はさらに置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
R1〜R5で表されるアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基等の炭素数2〜8の無置換のアシル基が挙げられ(アシル基の炭化水素基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル基を含む。)、これらの置換基はさらに置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
R1〜R5で表されるカルボニルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の炭素数2〜8の無置換のアシルオキシ基(アシル基の炭化水素基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル基を含む。)、またベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基が挙げられるが、これらの基はさらに前記シクロアルキル基に置換してもよい基と同様の基により置換されていてもよい。
R1〜R5で表されるオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、またフェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基を表す。これらの置換基はさらに置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
また、R1〜R5で表されるオキシカルボニルオキシ基としては、メトキシカルボニルオキシ基等の炭素数1〜8のアルコキシカルボニルオキシ基を表し、これらの置換基はさらに置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
R1〜R5のうちのいずれか同士で互いに連結し、環構造を形成していてもよい。
また、Lで表される連結基としては、置換または無置換のアルキレン基、酸素原子、または直接結合を表すが、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の基であり、これらの基は、さらに前記のR1〜R5で表される基に置換してもよい基としてあげられた基で置換されていてもよい。
中でも、Lで表される連結基として特に好ましいのは直接結合であり芳香族カルボン酸である。
また、これら本発明において可塑剤となるエステル化合物を構成する、前記一般式(E)で表される有機酸としては、R1〜R5が水素原子、または、少なくとも1つが前記アルコキシ基、アシル基、オキシカルボニル基、カルボニルオキシ基、またはオキシカルボニルオキシ基であることが好ましい。また複数の置換基を有する化合物も好ましい。
なお本発明においては3価以上20価以下のアルコールの水酸基を置換する有機酸は単一種であっても複数種であってもよい。
本発明において、前記一般式(E)で表される有機酸と反応して多価アルコールエステル化合物を形成する3価以上20価以下のアルコール化合物としては、好ましくは3〜20価の脂肪族多価アルコールであり、本発明おいて3価以上20価以下のアルコールは下記一般式(G)で表されるものが好ましい。
一般式(G) R’−(OH)m
一般式(G)中、R’はm価の有機基、mは3以上20以下の正の整数、OH基はアルコール性水酸基を表す。特に好ましいのは、mとしては3または4の多価アルコールである。
一般式(G)中、R’はm価の有機基、mは3以上20以下の正の整数、OH基はアルコール性水酸基を表す。特に好ましいのは、mとしては3または4の多価アルコールである。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ガラクチトール、グルコース、セロビオース、イノシトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。
特に、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが好ましい。
一般式(E)で表される有機酸と3価以上20価以下の多価アルコールのエステルは、公知の方法により合成できる。実施例に代表的合成例を示したが、前記一般式(E)で表される有機酸と、多価アルコールを例えば、酸の存在下縮合させエステル化する方法、また、有機酸を予め酸クロライドあるいは酸無水物としておき、多価アルコールと反応させる方法、有機酸のフェニルエステルと多価アルコールを反応させる方法等があり、目的とするエステル化合物により、適宜、収率のよい方法を選択することが好ましい。
前記一般式(E)で表される有機酸と3価以上20価以下の多価アルコールのエステルからなる可塑剤としては、下記一般式(F)で表される化合物が好ましい。
一般式(F)中、R6〜R20はおのおの互いに独立して水素原子またはシクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、オキシカルボニルオキシ基を表し、これらはさらに置換基を有していてよい。R6〜R20は水素原子またはアルコキシ基を表す事が好ましい。R21は水素原子またはアルキル基を表す。
R6〜R20のシクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、オキシカルボニルオキシ基については、前記一般式(E)のR1〜R5と同様の基が挙げられる。
このようにして得られる多価アルコールエステルの分子量には特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、400〜1000であることがさらに好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
以下に、本発明に係わる多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
尚、化合物例の下に記載の数字は分子量を表す。
以下に本発明に係る例示化合物の合成例を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
(合成例:化合物I−13)
テトラヒドロフラン50ml中に5、7−ジ−t−Bu−3−フェニルベンゾフラン−2−オン32.2g(0.1モル)を溶解し、28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液10mlを加えて2.5時間室温で撹拌した。次に水300mlを加え、沈殿した固体をろ過、乾燥することで29.0g(収率82%)の白色固体を得た。この得られた固体を1H−NMR及びMASSスペクトルで分析することにより、例示化合物I−13であることが確認された。
テトラヒドロフラン50ml中に5、7−ジ−t−Bu−3−フェニルベンゾフラン−2−オン32.2g(0.1モル)を溶解し、28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液10mlを加えて2.5時間室温で撹拌した。次に水300mlを加え、沈殿した固体をろ過、乾燥することで29.0g(収率82%)の白色固体を得た。この得られた固体を1H−NMR及びMASSスペクトルで分析することにより、例示化合物I−13であることが確認された。
なお出発原料の5、7−ジ−t−Bu−3−フェニルベンゾフラン−2−オンは特開平7−165745の製造方法に準じて合成することができる。
前記一般式(E)で表される有機酸と3価以上20価以下の多価アルコールからなるエステル化合物は、セルロースエステルに対する相溶性が高く、高添加率で添加することができる特徴があるため、他の可塑剤や添加剤を併用してもブリードアウトを発生することがなく、必要に応じて他種の可塑剤や添加剤を容易に併用することができる。
なお、他の可塑剤を併用する際には、上記可塑剤が、可塑剤全体の少なくとも50質量%以上含有されることが好ましい。より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上含有されることが好ましい。このような範囲で用いれば、他の可塑剤との併用によっても、溶融流延時の光学フィルムの平面性を向上させることができるという、一定の効果を得ることができる。
併用するその他の可塑剤としては、脂肪族カルボン酸−多価アルコール系可塑剤、特開2003−12823号公報段落30〜33に記載されているような、無置換の芳香族カルボン酸またはシクロアルキルカルボン酸−多価アルコールエステル系可塑剤、あるいはジオクチルアジペート、ジシクロヘキシルアジペート、ジフェニルサクシネート、ジ2−ナフチル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート、トリシクロヘキシルトリカルバレート、テトラ3−メチルフェニルテトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボキシレート、テトラブチル−1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボキシレート、トリフェニル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート、トリフェニルベンゼン−1,3,5−テトラカルボキシレート、フタル酸系可塑剤(例えばジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等)、クエン酸系可塑剤(クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等)等の多価カルボン酸エステル系可塑剤、トリフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート、ブチレンビス(ジエチルホスフェート)、エチレンビス(ジフェニルホスフェート)、フェニレンビス(ジブチルホスフェート)、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)(ADEKA製アデカスタブPFR)、フェニレンビス(ジキシレニルホスフェート)(ADEKA製アデカスタブFP500)、ビスフェノールAジフェニルホスフェート(ADEKA製アデカスタブFP600)等のリン酸エステル系可塑剤、炭水化物エステル系可塑剤、ポリマー可塑剤、例えば特開2002−22956号の段落番号49〜56に記載のポリマーポリエステル等、ポリエーテル系可塑剤、等が挙げられる。
炭水化物エステル系可塑剤について説明する。炭水化物とは、糖類がピラノースまたはフラノース(6員環または5員環)の形態で存在する単糖類、二糖類または三糖類を意味する。
炭水化物の非限定的例としては、グルコース、サッカロース、ラクトース、セロビオース、マンノース、キシロース、リボース、ガラクトース、アラビノース、フルクトース、ソルボース、セロトリオース及びラフィノース等が挙げられる。
炭水化物エステルとは、炭水化物の水酸基とカルボン酸が脱水縮合してエステル化合物を形成したものを指し、詳しくは、炭水化物の脂肪族カルボン酸エステル、或いは芳香族カルボン酸エステルを意味する。
脂肪族カルボン酸として、例えば酢酸、プロピオン酸等を挙げることができ、芳香族カルボン酸として、例えば安息香酸、トルイル酸、アニス酸等を挙げることができる。
炭水化物は、その種類に応じた水酸基の数を有するが、水酸基の一部とカルボン酸が反応してエステル化合物を形成しても、水酸基の全部とカルボン酸が反応してエステル化合物を形成してもよい。
本発明においては、水酸基の全部とカルボン酸が反応してメチルとメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの共重合体、アクリル酸とメタクリル酸メチルとメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル等のアクリル系ポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドン等のビニル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア等が挙げられる。
数平均分子量は1000〜500000程度が好ましく、特に好ましくは、5000〜200000である。1000以下では揮発性に問題が生じ、500000を超えると可塑化能力が低下し、光学フイルムの機械的性質に悪影響を及ぼす。
これらポリマー可塑剤は1種の繰り返し単位からなる単独重合体でも、複数の繰り返し構造体を有する共重合体でもよい。また、上記ポリマーを2種以上併用して用いてもよい。
しかし、リン酸系可塑剤は加水分解によって強酸を発生し、可塑剤自身及びセルロースエステルの加水分解を促進する。このため、保存安定性が悪い、セルロースエステルの溶融製膜に使用すると光学フィルムの着色が発生しやすい等の問題により、フタル酸エステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤を使用することが好ましい。
なお、本発明に係る光学フイルムは、着色すると光学用途として影響を与えるため、好ましくは黄色度(イエローインデックス、YI)が3.0以下、より好ましくは1.0以下である。黄色度はJIS−K7103に基づいて測定することができる。これらの可塑剤は、単独で用いても良く、また必要に応じて2種類以上を併用して用いてもよい。また可塑剤の添加量は、セルロースエステルに対して、1〜30質量%含有させることが好ましく、より好ましくは2〜25質量%、特に好ましくは7〜20質量%である。
《マット剤》
本発明に係る光学フイルムは、滑り性や光学的、機械的機能を付与するためにマット剤を添加することができる。マット剤としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
本発明に係る光学フイルムは、滑り性や光学的、機械的機能を付与するためにマット剤を添加することができる。マット剤としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
マット剤の形状は、球状、棒状、針状、層状、平板状等の形状のものが好ましく用いられる。マット剤としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の金属の酸化物、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることができる。
中でも、二酸化ケイ素が光学フィルムのヘイズを低くできるので好ましい。これらの微粒子は有機物により表面処理されていることが、光学フィルムのヘイズを低下できるため好ましい。
表面処理は、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサン等で行うことが好ましい。微粒子の平均粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れる。
また、微粒子の一次粒子の平均粒径は0.01〜1.0μmの範囲である。好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜50nmが好ましく、さらに好ましくは、7〜14nmである。これらの微粒子は、光学フイルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させるために好ましく用いられる。
二酸化ケイ素の微粒子としては、日本アエロジル(株)製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600、NAX50等、日本触媒(株)製のKE−P10、KE−P30、KE−P100、KE−P150等を挙げることができ、好ましくはアエロジル200V、R972V、NAX50、KE−P30、KE−P100である。これらの微粒子は2種以上併用してもよい。
2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することができる。平均粒径や材質の異なる微粒子、例えば、アエロジル200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲で使用できる。
これらのマット剤の添加方法は混練する等によって行うことが好ましい。また、別の形態として予め溶媒に分散したマット剤とセルロースエステル及び/または可塑剤及び/または紫外線吸収剤を混合分散させた後、溶媒を揮発または沈殿させた固形物を得て、これをセルロースエステル溶融物の製造過程で用いることが、マット剤がセルロース樹脂中で均一に分散できる観点から好ましい。
上記マット剤は、光学フィルムの機械的、電気的、光学的特性改善のために添加することもできる。
なお、これらの微粒子を添加するほど、得られる光学フイルムの滑り性は向上するが、添加するほどヘイズが上昇するため、含有量は好ましくは0.001〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1質量%であり、さらに好ましくは0.01〜0.5質量%である。
なお、本発明に係る光学フイルムとしては、ヘイズ値が1.0%を超えると光学用材料として影響を与えるため、好ましくはヘイズ値は1.0%未満、より好ましくは0.5%未満である。ヘイズ値はJIS−K7136に基づいて測定することができる。
光学フィルム構成材料は溶融及び製膜工程において、揮発成分が少ないまたは発生しないことが求められる。これは加熱溶融時に発泡して、光学フィルム内部の欠陥や光学フィルム表面の平面性劣化を削減または回避するためである。
光学フィルム構成材料が溶融されるときの揮発成分の含有量は、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下、さらにより好ましくは0.1質量%以下であることが望まれる。
本発明においては、示差熱重量測定装置(セイコー電子工業社製TG/DTA200)を用いて、30℃から250℃までの加熱減量を求め、その量を揮発成分の含有量としている。
用いる光学フィルム構成材料は、前記水分や前記溶媒等に代表される揮発成分を、製膜する前に、または加熱時に除去することが好ましい。除去する方法は、公知の乾燥方法が適用でき、加熱法、減圧法、加熱減圧法等の方法で行うことができ、空気中または不活性ガスとして窒素を選択した雰囲気下で行ってもよい。
これらの公知の乾燥方法を行うとき、光学フィルム構成材料が分解しない温度領域で行うことが光学フィルムの品質上好ましい。
製膜前に乾燥することにより、揮発成分の発生を削減することができ、樹脂単独、または樹脂と光学フィルム構成材料の内、樹脂以外の少なくとも1種以上の混合物または相溶物に分割して乾燥することもできる。乾燥温度は70℃以上が好ましい。
乾燥する材料にガラス転移温度を有する物が存在するときには、そのガラス転移温度よりも高い乾燥温度に加熱すると、材料が融着して取り扱いが困難になることがあるので、乾燥温度は、ガラス転移温度以下であることが好ましい。
複数の物質がガラス転移温度を有する場合は、ガラス転移温度が低い方のガラス転移温度を基準とする。より好ましくは70℃以上、(ガラス転移温度−5)℃以下、さらに好ましくは110℃以上、(ガラス転移温度−20)℃以下である。
乾燥時間は、好ましくは0.5〜24時間、より好ましくは1〜18時間、さらに好ましくは1.5〜12時間である。乾燥温度が低くなりすぎると揮発成分の除去率が低くなり、また乾燥するのに時間にかかり過ぎることになる。
また、乾燥工程は2段階以上にわけてもよく、例えば、乾燥工程が、材料の保管のための予備乾燥工程と、製膜する直前〜1週間前の間に行う直前乾燥工程を含むものであってもよい。
《溶融流延法》
本発明の請求項5に記載の光学フィルムは溶融流延によって形成することを特徴としている。
本発明の請求項5に記載の光学フィルムは溶融流延によって形成することを特徴としている。
溶液流延法において用いられる溶媒(例えば塩化メチレン等)を用いずに、加熱溶融する溶融流延による成形法は、さらに詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法等に分類できる。
これらの中で、機械的強度及び表面精度等に優れる偏光板保護フィルムを得るためには、溶融押し出し法が優れている。
以下、溶融押し出し法を例にとり、本発明の光学フィルムの製造方法について説明する。
図1は、本発明に係る光学フイルムの製造方法を実施する装置の全体構成を示す概略フローシートであり、図2は、流延ダイから冷却ロール部分の拡大図である。
図1と図2において、光学フイルムの製造方法は、セルロース樹脂等の光学フィルム材料を混合した後、押出し機1を用いて、流延ダイ4から第1冷却ロール5上に溶融押し出し、第1冷却ロール5に外接させるとともに、さらに、第2冷却ロール7、第3冷却ロール8の合計3本の冷却ロールに順に外接させて、冷却固化して光学フィルム10とする。
ついで、剥離ロール9によって剥離した光学フィルム10を、ついで延伸装置12により光学フィルムの両端部を把持して幅方向に延伸した後、巻取り装置16により巻き取る。また、平面性を矯正するために溶融光学フィルムを第1冷却ロール5表面に挟圧するタッチロール6が設けられている。
このタッチロール6は表面が弾性を有し、第1冷却ロール5との間でニップを形成している。タッチロール6についての詳細は後述する。
光学フイルムの製造方法において、溶融押し出しの条件は、他のポリエステル等の熱可塑性樹脂に用いられる条件と同様にして行うことができる。材料は予め乾燥させておくことが好ましい。真空または減圧乾燥機や除湿熱風乾燥機等で水分を1000ppm以下、好ましくは200ppm以下に乾燥させることが望ましい。
例えば、熱風や真空または減圧下で乾燥したセルロースエステル系樹脂を押出し機1を用いて、押し出し温度200〜300℃程度で溶融し、リーフディスクタイプのフィルター2等で濾過し、異物を除去する。
供給ホッパー(図示略)から押出し機1へ導入する際は、真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下にして、酸化分解等を防止することが好ましい。
可塑剤等の添加剤を予め混合しない場合は、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサー3等の混合装置を用いることが好ましい。
本発明において、セルロース樹脂と、その他必要により添加される安定化剤等の添加剤は、溶融する前に混合しておくことが好ましい。セルロース樹脂と安定化剤を最初に混合することがさらに好ましい。
混合は、混合機等により行ってもよく、また、前記したようにセルロース樹脂調製過程において混合してもよい。混合機を使用する場合は、V型混合機、円錐スクリュー型混合機、水平円筒型混合機、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー等、一般的な混合機を用いることができる。
上記のように光学フィルム構成材料を混合した後に、その混合物を押出し機1を用いて直接溶融して製膜するようにしてもよいが、一旦、光学フィルム構成材料をペレット化した後、該ペレットを押出し機1で溶融して製膜するようにしてもよい。
また、光学フィルム構成材料が、融点の異なる複数の材料を含む場合には、融点の低い材料のみが溶融する温度で一旦、いわゆるおこし状の半溶融物を作製し、半溶融物を押出し機1に投入して製膜することも可能である。
光学フィルム構成材料に熱分解しやすい材料が含まれる場合には、溶融回数を減らす目的で、ペレットを作製せずに直接製膜する方法や、上記のようなおこし状の半溶融物を作ってから製膜する方法が好ましい。
押出し機1は、市場で入手可能な種々の押出し機を使用可能であるが、溶融混練押出し機が好ましく、単軸押出し機でも2軸押出し機でもよい。
光学フィルム構成材料からペレットを作製せずに、直接製膜を行う場合、適当な混練度が必要であるため2軸押出し機を用いることが好ましいが、単軸押出し機でも、スクリューの形状をマドック型、ユニメルト、ダルメージ等の混練型のスクリューに変更することにより、適度の混練が得られるので、使用可能である。
光学フィルム構成材料として、一旦、ペレットやおこし状の半溶融物を使用する場合は、単軸押出し機でも2軸押出し機でも使用可能である。
押出し機1内及び押出した後の冷却工程は、窒素ガス等の不活性ガスで置換するか、あるいは減圧することにより、酸素の濃度を下げることが好ましい。
押出し機1内の光学フィルム構成材料の溶融温度は、光学フィルム構成材料の粘度や吐出量、製造するシートの厚み等によって好ましい条件が異なるが、一般的には、光学フィルムのガラス転移温度Tgに対して、Tg以上、Tg+130℃以下、好ましくはTg+10℃以上、Tg+120℃以下である。押出し時の溶融粘度は、10〜100000ポイズ、好ましくは100〜10000ポイズである。
また、押出し機1内での光学フィルム構成材料の滞留時間は短い方が好ましく、5分以内、好ましくは3分以内、より好ましくは2分以内である。滞留時間は、押出し機1の種類、押出す条件にも左右されるが、材料の供給量やL/D、スクリュー回転数、スクリューの溝の深さ等を調整することにより短縮することが可能である。
押出し機1のスクリューの形状や回転数等は、光学フィルム構成材料の粘度や吐出量等により適宜選択される。本発明において押出し機1でのせん断速度は、1/秒〜10000/秒、好ましくは5/秒〜1000/秒、より好ましくは10/秒〜100/秒である。
本発明に使用できる押出し機1としては、一般的にプラスチック成形機として入手可能である。
押出し機1から押し出された光学フィルム構成材料は、流延ダイ4に送られ、流延ダイ4のスリットから光学フィルム状に押し出される。流延ダイ4はシートや光学フィルムを製造するために用いられるものであれば特に限定はされない。
流延ダイ4の材質としては、ハードクロム、炭化クロム、窒化クロム、炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタン、超鋼、セラミック(タングステンカーバイド、酸化アルミ、酸化クロム)等を溶射もしくはメッキし、表面加工としてバフ、#1000番手以降の砥石を用いるラッピング、#1000番手以上のダイヤモンド砥石を用いる平面切削(切削方向は樹脂の流れ方向に垂直な方向)、電解研磨、電解複合研磨等の加工を施したもの等が挙げられる。
流延ダイ4のリップ部の好ましい材質は、流延ダイ4と同様である。またリップ部の表面精度は0.5S以下が好ましく、0.2S以下がより好ましい。
この流延ダイ4のスリットは、そのギャップが調整可能なように構成されている。これを図3に示す。流延ダイ4のスリット32を形成する一対のリップのうち、一方は剛性の低い変形しやすいフレキシブルリップ33であり、他方は固定リップ34である。そして、多数のヒートボルト35が流延ダイ4の幅方向すなわちスリット32の長さ方向に一定ピッチで配列されている。
各ヒートボルト5には、埋め込み電気ヒータ37と冷却媒体通路とを具えたブロック36が設けられ、各ヒートボルト35が各ブロック36を縦に貫通している。ヒートボルト35の基部はダイ本体31に固定され、先端はフレキシブルリップ33の外面に当接している。
そしてブロック36を常時空冷しながら、埋め込み電気ヒータ37の入力を増減してブロック36の温度を上下させ、これによりヒートボルト35を熱伸縮させて、フレキシブルリップ33を変位させて光学フィルムの厚さを調整する。
ダイ後流の所要箇所に厚さ計を設け、これによって検出されたウェブ厚さ情報を制御装置にフィードバックし、この厚さ情報を制御装置で設定厚み情報と比較し、同装置から来る補正制御量の信号によってヒートボルトの発熱体の電力またはオン率を制御するようにすることもできる。ヒートボルトは、好ましくは、長さ20〜40cm、直径7〜14mmを有し、複数、例えば数十本のヒートボルトが、好ましくはピッチ20〜40mmで配列されている。
ヒートボルトの代わりに、手動で軸方向に前後動させることによりスリットギャップを調節するボルトを主体とするギャップ調節部材を設けてもよい。ギャップ調節部材によって調節されたスリットギャップは、通常200〜1000μm、好ましくは300〜800μm、より好ましくは400〜600μmである。
第1〜第3冷却ロールは、肉厚が20〜30mm程度のシームレスな鋼管製で、表面が鏡面に仕上げられている。その内部には、冷却液を流す配管が配置されており、配管を流れる冷却液によってロール上の光学フィルムから熱を吸収できるように構成されている。この第1乃至第3冷却ロールの内、第1冷却ロール5が本発明の回転支持体に相当する。
一方、第1冷却ロール5に当接するタッチロール6は、表面が弾性を有し、第1冷却ロール5への押圧力によって第1冷却ロール5の表面に沿って変形し、第1ロール5との間にニップを形成する。すなわち、タッチロール6が本発明の挟圧回転体に相当する。
図4に、タッチロール6の一実施形態(以下、タッチロールA)の概略断面を示す。図に示すように、タッチロールAは、可撓性の金属スリーブ41の内部に弾性ローラ42を配したものである。
金属スリーブ41は厚さ0.3mmのステンレス製であり、可撓性を有する。金属スリーブ41が薄すぎると強度が不足し、逆に厚すぎると弾性が不足する。これらのことから、金属スリーブ41の厚さとしては、0.1〜1.5mmが好ましい。
弾性ローラ42は、軸受を介して回転自在な金属製の内筒43の表面にゴム44を設けてロール状としたものである。そして、タッチロールAが第1冷却ロール5に向けて押圧されると、弾性ローラ42が金属スリーブ41を第1冷却ロール5に押しつけ、金属スリープ41及び弾性ローラ42は第1冷却ロール5の形状になじんだ形状に対応しつつ変形し、第1冷却ロールとの間にニップを形成する。金属スリーブ41の内部で弾性ローラ42との間に形成される空間には、冷却水45が流される。
図5、図6は挟圧回転体の別の実施形態であるタッチロールBを示している。タッチロールBは、可撓性を有する、シームレスなステンレス鋼管製(厚さ4mm)の外筒51と、この外筒51の内側に同一軸心状に配置された高剛性の金属内筒52とから概略構成されている。外筒51と内筒52との間の空間53には、冷却液54が流される。
詳しくは、タッチロールBは、両端の回転軸55a、55bに外筒支持フランジ56a、56bが取付けられ、これら両外筒支持フランジ56a、56bの外周部間に薄肉金属外筒51が取付けられている。また、一方の回転軸55aの軸心部に形成されて流体戻り通路57を形成する流体排出孔58内に、流体供給管59が同一軸心状に配設され、この流体供給管59が薄肉金属外筒51内の軸心部に配置された流体軸筒60に接続固定されている。
この流体軸筒60の両端部に内筒支持フランジ61a、61bがそれぞれ取付けられ、これら内筒支持フランジ61a、61bの外周部間から他端側外筒支持フランジ56bにわたって約15〜20mm程度の肉厚を有する金属内筒52が取付けられている。
そしてこの金属内筒52と薄肉金属外筒51との間に、例えば10mm程度の冷却液の流送空間53が形成され、また金属内筒52に両端部近傍には、流送空間53と内筒支持フランジ61a、61b外側の中間通路62a、62bとを連通する流出口52a及び流入口52bがそれぞれ形成されている。
また、外筒51は、ゴム弾性に近い柔軟性と可撓性、復元性をもたせるために、弾性力学の薄肉円筒理論が適用できる範囲内で薄肉化が図られている。この薄肉円筒理論で評価される可撓性は、肉厚t/ロール半径rで表されており、t/rが小さいほど可撓性が高まる。
このタッチロールBではt/r≦0.03の場合に可撓性が最適の条件となる。通常、一般的に使用されているタッチロールは、ロール径R=200〜500mm(ロール半径r=R/2)、ロール有効幅L=500〜1600mmで、r/L<1で横長の形状である。
r/L<1で横長の形状である。そして図6に示すように、たとえばロール径R=300mm、ロール有効幅L=1200mmの場合、肉厚tの適正範囲は150mm×0.03=4.5mm以下であるが、溶融シート幅を1300mmに対して平均線圧を100N/cmで挟圧する場合、同一形状のゴムロールと比較して、外筒51の肉厚を3mmとすることで相当ばね定数も等しく、外筒51と冷却ロールとのニップのロール回転方向のニップ幅kも約9mmで、このゴムロールのニップ幅約12mmとほぼ近い値を示し、同じような条件下で挟圧できることがわかる。なお、このニップ幅kにおけるたわみ量は0.05〜0.1mm程度である。
そして図6に示すように、例えばロール径R=300mm、ロール有効幅L=1200mmの場合、肉厚tの適正範囲は150mm×0.03=4.5mm以下であるが、溶融シート幅を1300mmに対して平均線圧を98N/cmで挟圧する場合、同一形状のゴムロールと比較して、外筒51の肉厚を3mmとすることで相当ばね定数も等しく、外筒51と冷却ロールとのニップのロール回転方向のニップ幅kも約9mmで、このゴムロールのニップ幅約12mmとほぼ近い値を示し、同じような条件下で挟圧できることが分かる。
なお、このニップ幅kにおけるたわみ量は0.05〜0.1mm程度である。
ここで、t/r≦0.03としたが、一般的なロール径R=200〜500mmの場合では、特に2mm≦t≦5mmの範囲とすると、可撓性も十分に得られ、また機械加工による薄肉化も容易に実施でき、極めて実用的な範囲となる。肉厚が2mm以下では加工時の弾性変形で高精度な加工ができない。
この2mm≦t≦5mmの換算値は、一般的なロール径に対して0.008≦t/r≦0.05となるが、実用にあたってはt/r≦0.03の条件下でロール径に比例して肉厚も大きくするとよい。例えばロール径:R=200ではt=2〜3mm、ロール径:R=500ではt=4〜5mmの範囲で選択する。
このタッチロールA、Bは不図示の付勢手段により第1冷却ロールに向けて付勢される。その付勢手段の付勢力をF、ニップにおける光学フィルムの、第1冷却ロール5の回転軸に沿った方向の幅Wを除した値F/W(線圧)は、9.8〜147N/cmに設定される。本実施の形態によれば、タッチロールA、Bと第1冷却ロール5との間にニップが形成され、当該ニップを光学フィルムが通過する間に平面性を矯正すればよい。
従って、タッチロールが剛体で構成され、第1冷却ロールとの間にニップが形成されない場合と比べて、小さい線圧で長時間かけて光学フィルムを挟圧するので、平面性をより確実に矯正することができる。すなわち、線圧が9.8N/cmよりも小さいと、ダイラインを十分に解消することができなくなる。
逆に、線圧が147N/cmよりも大きいと、光学フィルムがニップを通過しにくくなり、光学フィルムの厚さにかえってムラができてしまう。
また、タッチロールA、Bの表面を金属で構成することにより、タッチロールの表面がゴムである場合よりもタッチロールA、Bの表面を平滑にすることができるので、平滑性の高い光学フィルムを得ることができる。なお、弾性ローラ42の弾性体44の材質としては、エチレンプロピレンゴム、ネオプレンゴム、シリコンゴム等を用いることができる。
さて、タッチロール6によってダイラインを良好に解消するためには、タッチロール6が光学フィルムを挟圧するときの光学フィルムの粘度が適切な範囲であることが重要となる。また、セルロースエステルは温度による粘度の変化が比較的大きいことが知られている。
従って、タッチロール6が光学光学フィルムを挟圧するときの粘度を適切な範囲に設定するためには、タッチロール6がセルロース光学フィルムを挟圧するときの光学フィルムの温度を適切な範囲に設定することが重要となる。
そして光学光学フィルムのガラス転移温度をTgとしたとき、光学フィルムがタッチロール6に挟圧される直前の光学フィルムの温度Tを、Tg<T<Tg+110℃を満たすように設定することが好ましい。
光学フィルム温度TがTgよりも低いと光学フィルムの粘度が高すぎて、ダイラインを矯正できなくなる。逆に、光学フィルムの温度TがTg+110℃よりも高いと、光学フィルム表面とロールが均一に接着せず、やはりダイラインを矯正することができない。好ましくはTg+10℃<T<Tg+90℃、さらに好ましくはTg+20℃<T<Tg+70℃である。
タッチロール6が光学フイルムを挟圧するときの光学フィルムの温度を適切な範囲に設定するには、流延ダイ4から押し出された溶融物が第1冷却ロール5に接触する位置P1から第1冷却ロール5とタッチロール6とのニップの、第1冷却ロール5の回転方向に沿った長さLを調整すればよい。
本発明において、第1ロール5、第2ロール6に好ましい材質は、炭素鋼、ステンレス鋼、樹脂、等が挙げられる。また、表面精度は高くすることが好ましく表面粗さとして0.3S以下、より好ましくは0.01S以下とする。
本発明においては、流延ダイ4の開口部(リップ)から第1ロール5までの部分を70kPa以下に減圧させることにより、上記、ダイラインの矯正効果がより大きく発現することを発見した。好ましくは、減圧は50〜70kPaである。
流延ダイ4の開口部(リップ)から第1ロール5までの部分の圧力を70kPa以下に保つ方法としては、特に制限はないが、流延ダイ4からロール周辺を耐圧部材で覆い、減圧する等の方法がある。
このとき、吸引装置は、装置自体が昇華物の付着場所にならないようヒータで加熱する等の処置を施すことが好ましい。本発明では、吸引圧が小さすぎると昇華物を効果的に吸引できないため、適当な吸引圧とする必要がある。
本発明において、Tダイ4から溶融状態のフィルム状のセルロースエステル系樹脂を、第1ロール(第1冷却ロール)5、第2冷却ロール7、及び第3冷却ロール8に順次密着させて搬送しながら冷却固化させ、未延伸のセルロースエステル系樹脂フィルム10を得る。
図1に示す本発明の実施形態では、第3冷却ロール8から剥離ロール9によって剥離した冷却固化された未延伸の光学フィルム10は、ダンサーロール(光学フィルム張力調整ロール)11を経て延伸機12に導き、そこで光学フィルム10を横方向(幅方向)に延伸する。この延伸により、光学フィルム中の分子が配向される。
光学フィルムを幅方向に延伸する方法は、公知のテンター等を好ましく用いることができる。特に延伸方向を幅方向とすることで、偏光光学フィルムとの積層がロール形態で実施できるので好ましい。幅方向に延伸することで、セルロースエステル系樹脂フィルムからなる光学フイルムの遅相軸は幅方向になる。
一方、偏光光学フィルムの透過軸も、通常、幅方向である。偏光光学フィルムの透過軸と光学フィルムの遅相軸とが平行になるように積層した偏光板を液晶表示装置に組み込むことで、液晶表示装置の表示コントラストを高くすることができるとともに、良好な視野角が得られるのである。
光学フィルム構成材料のガラス転移温度Tgは光学フィルムを構成する材料種及び構成する材料の比率を異ならしめることにより制御できる。光学フイルムとして位相差フィルムを作製する場合、Tgは120℃以上、好ましくは135℃以上とすることが好ましい。
液晶表示装置においては、画像の表示状態において、装置自身の温度上昇、例えば光源由来の温度上昇によって光学フィルムの温度環境が変化する。
このとき光学フィルムの使用環境温度よりも光学フィルムのTgが低いと、延伸によって光学フィルム内部に固定された分子の配向状態に由来するリタデーション値及び光学フィルムとしての寸法形状に大きな変化を与えることとなる。
光学フィルムのTgが高過ぎると、光学フィルム構成材料を光学フィルム化するとき温度が高くなるために加熱するエネルギー消費が高くなり、また光学フィルム化するときの材料自身の分解、それによる着色が生じることがあり、従って、Tgは250℃以下が好ましい。
また延伸工程には公知の熱固定条件、冷却、緩和処理を行ってもよく、目的とする光学フィルムに要求される特性を有するように適宜調整すればよい。
位相フィルムの物性と液晶表示装置の視野角拡大のための位相フィルムの機能付与するために、上記延伸工程、熱固定処理は適宜選択して行われている。このような延伸工程、熱固定処理を含む場合、加熱加圧工程は、それらの延伸工程、熱固定処理の前に行うようにする。
光学フイルムとして位相差フィルムを製造し、さらに偏光板保護フィルムの機能を複合させる場合、屈折率制御を行う必要が生じるが、その屈折率制御は延伸操作により行うことが可能であり、また延伸操作が好ましい方法である。以下、その延伸方法について説明する。
位相差フィルムの延伸工程において、セルロース樹脂の1方向に1.0〜2.0倍及びフィルム面内にそれと直交する方向に1.01〜2.5倍延伸することで、必要とされるリタデーションRo及びRtを制御することができる。
ここで、Roとは面内リタデーションを示し、面内の長手方向MDの屈折率と幅方向TDの屈折率との差に厚みを乗じたもの、Rtとは厚み方向リタデーションを示し、面内の屈折率(長手方向MDと幅方向TDの平均)と厚み方向の屈折率との差に厚みを乗じたものである。
延伸は、例えば光学フィルムの長手方向及びそれと光学フィルム面内で直交する方向、即ち幅方向に対して、逐次または同時に行うことができる。このとき少なくとも1方向に対しての延伸倍率が小さ過ぎると十分な位相差が得られず、大き過ぎると延伸が困難となり光学フィルム破断が発生してしまう場合がある。
互いに直交する2軸方向に延伸することは、光学フィルムの屈折率nx、ny、nzを所定の範囲に入れるために有効な方法である。ここで、nxとは長手MD方向の屈折率、nyとは幅手TD方向の屈折率、nzとは厚み方向の屈折率である。
例えば溶融流延方向に延伸した場合、幅方向の収縮が大き過ぎると、nzの値が大きくなり過ぎてしまう。この場合、光学フィルムの幅収縮を抑制、あるいは幅方向にも延伸することで改善できる。幅方向に延伸する場合、幅方向で屈折率に分布が生じることがある。
この分布は、テンター法を用いた場合に現れることがあり、光学フィルムを幅方向に延伸したことで、光学フィルム中央部に収縮力が発生し、端部は固定されていることにより生じる現象で、いわゆるボーイング現象と呼ばれるものと考えられる。この場合でも、流延方向に延伸することで、ボーイング現象を抑制でき、幅方向の位相差の分布を少なくできる。
互いに直行する2軸方向に延伸することにより、得られる光学フィルムの膜厚変動が減少できる。位相差光学フィルムの膜厚変動が大き過ぎると位相差のムラとなり、液晶ディスプレイに用いたとき着色等のムラが問題となることがある。
光学フイルムの膜厚変動は、±3%、さらに±1%の範囲とすることが好ましい。以上のような目的において、互いに直交する2軸方向に延伸する方法は有効であり、互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に1.0〜2.0倍、幅方向に1.01〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に1.01〜1.5倍、幅方向に1.05〜2.0倍に範囲で行うことが必要とされるリタデーション値を得るためにより好ましい。
長手方向に偏光子の吸収軸が存在する場合、幅方向に偏光子の透過軸が一致することになる。長尺状の偏光板を得るためには、位相差フィルムは、幅方向に遅相軸を得るように延伸することが好ましい。
応力に対して、正の複屈折を得るセルロースエステルを用いる場合、上述の構成から、幅方向に延伸することで、位相差フィルムの遅相軸が幅方向に付与することができる。この場合、表示品質の向上のためには、位相差フィルムの遅相軸が、幅方向にあるほうが好ましく、目的とするリタデーション値を得るためには、
式、(幅方向の延伸倍率)>(流延方向の延伸倍率)、
の条件を満たすことが必要である。
式、(幅方向の延伸倍率)>(流延方向の延伸倍率)、
の条件を満たすことが必要である。
延伸後、光学フィルムの端部をスリッター13により製品となる幅にスリットして裁ち落とした後、エンボスリング14及びバックロール15よりなるナール加工装置によりナール加工(エンボッシング加工)を光学フィルム両端部に施し、巻取り機16によって巻き取ることにより、光学フイルム(元巻き)F中の貼り付きや、すり傷の発生を防止する。
ナール加工の方法は、凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。なお、光学フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、変形しており、光学フィルム製品として使用できないので、切除されて、原料として再利用される。
次に、光学フィルムの巻取り工程は、円筒形巻き光学フィルムの外周面とこれの直前の移動式搬送ロールの外周面との間の最短距離を一定に保持しながら光学フィルムを巻取りロールに巻き取るものである。
かつ巻取りロールの手前には、光学フィルムの表面電位を除去または低減する除電ブロア等の手段が設けられている。
偏光板保護フィルムに用いる製造機は一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の巻取り方法で巻き取ることができる。
なお、偏光板保護フィルムの巻取り時の初期巻取り張力が90.2〜300.8N/mであるのが好ましい。
本発明の方法における光学フィルムの巻取り工程では、温度20〜30℃、湿度20〜60%RHの環境条件にて、光学フィルムを巻き取ることが好ましい。このように、光学フィルムの巻取り工程での温度及び湿度を規定することにより、厚み方向リタデーション(Rt)の湿度変化の耐性が向上する。
巻取り工程における温度が20〜30℃であれば、シワの発生がなく、光学フィルム巻品質劣化のため実用に耐えることができ、好ましい。
また、光学フィルムの巻取り工程における湿度が20〜60%RHであると、帯電しにくく、光学フィルム巻品質劣化のため実用に耐えることができ、好ましい。
また、光学フィルムの巻取り工程における湿度が20〜60%RHと、巻品質、貼り付き故障がなく、搬送性が良好になり、好ましい。
偏光板保護フィルムをロール状に巻き取る際の、巻きコアとしては、円筒上のコアであれは、どのような材質のものであってもよいが、好ましくは中空プラスチックコアであり、プラスチック材料としては加熱処理温度にも耐える耐熱性プラスチックであればどのようなものであってもよく、フェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
また、ガラス繊維等の充填材により強化した熱硬化性樹脂が好ましい。例えば、中空プラスチックコア:FRP製の外径6インチ(以下、インチは2.54cmを表す。)、内径5インチの巻きコアが用いられる。
これらの巻きコアへの巻き数は、100巻き以上であることが好ましく、500巻き以上であることがさらに好ましく、巻き厚は5cm以上であることが好ましく、光学フィルム基材の幅は80cm以上であることが好ましく、1m以上であることが特に好ましい。
位相差フィルムを偏光板保護フィルムとする場合、該保護フィルムの厚さは、10〜500μmが好ましい。特に、下限は20μm以上、好ましくは35μm以上である。上限は150μm以下、好ましくは120μm以下である。特に好ましい範囲は25〜90μmである。
位相差フィルムが厚いと、偏光板加工後の偏光板が厚くなり過ぎ、ノート型パソコンやモバイル型電子機器に用いる液晶表示においては、特に薄型軽量の目的に適さない。一方、位相差フィルムが薄いと、位相差フィルムとしてのリタデーションの発現が困難となり、加えて光学フィルムの透湿性が高くなり、偏光子を湿度から保護する能力が低下してしまうために好ましくない。
位相差フィルムの遅相軸または進相軸が光学フィルム面内に存在し、製膜方向とのなす角度をθ1とすると、θ1は−1〜+1°、好ましくは−0.5〜+0.5°となるようにする。
このθ1は配向角として定義でき、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器社製)を用いて行うことができる。
θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制または防止することに寄与し、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現に寄与する。
位相差フィルムがマルチドメイン化されたVAモードに用いられるとき、位相差フィルムの配置は、位相差フィルムの進相軸がθ1として上記領域に配置することで、表示画質の向上に寄与し、偏光板及び液晶表示装置としてMVAモードとしたとき、例えば図7に示される構成をとることができる。
図7において、21a、21bは保護フィルム、22a、22bは位相差フィルム、25a、25bは偏光子、23a、23bはフィルムの遅相軸方向、24a、24bは偏光子の透過軸方向、26a、26bは偏光板、27は液晶セル、29は液晶表示装置を示している。
光学フイルムの面内方向のリタデーションRo分布は、5%以下に調整することが好ましく、より好ましくは2%以下であり、特に好ましくは、1.5%以下である。また、光学フィルムの厚み方向のリタデーションRt分布を10%以下に調整することが好ましいが、さらに好ましくは、2%以下であり、特に好ましくは、1.5%以下である。
位相差フィルムにおいて、リタデーション値の分布変動が小さい方が好ましく、液晶表示装置に位相差フィルムを含む偏光板を用いるとき、該リタデーション分布変動が小さいことが色ムラ等を防止する観点で好ましい。
位相差フィルムを、VAモードまたはTNモードの液晶セルの表示品質の向上に適したリタデーション値を有するように調整し、特にVAモードとして上記のマルチドメインに分割してMVAモードに好ましく用いられるようにするには、面内リタデーションRoを30nmよりも大きく、95nm以下に、かつ厚み方向リタデーションRtを70nmよりも大きく、400nm以下の値に調整することが求められる。
上記の面内リタデーションRoは、2枚の偏光板がクロスニコルに配置され、偏光板の間に液晶セルが配置された、例えば図7に示す構成であるときに、表示面の法線方向から観察するときを基準にしてクロスニコル状態にあるとき、表示面の法線から斜めに観察したとき、偏光板のクロスニコル状態からのずれが生じ、これが要因となる光漏れを、主に補償する。
厚さ方向のリタデーションは、上記TNモードやVAモード、特にMVAモードにおいて液晶セルが黒表示状態であるときに、同様に斜めから見たときに認められる液晶セルの複屈折を主に補償するために寄与する。
図7に示すように、液晶表示装置において、液晶セルの上下に偏光板が二枚配置された構成である場合、図中の22a及び22bは、厚み方向リタデーションRtの配分を選択することができ、上記範囲を満たしかつ厚み方向リタデーションRtの両者の合計値が140nmよりも大きくかつ500nm以下にすることが好ましい。
このとき22a及び22bの面内リタデーションRo、厚み方向リタデーションRtが両者同じであることが、工業的な偏光板の生産性向上において好ましい。特に好ましくは面内リタデーションRoが35nmよりも大きくかつ65nm以下であり、かつ厚み方向リタデーションRtが90nmよりも大きく180nm以下で、図7の構成でMVAモードの液晶セルに適用することである。
液晶表示装置において、一方の偏光板に例えば市販の偏光板保護フィルムとして面内リタデーションRo=0〜4nm及び厚み方向リタデーションRt=20〜50nmで厚さ35〜85μmのTACフィルムが、例えば図7の22bの位置で使用されている場合、他方の偏光板に配置される偏光フィルム、例えば、図7の22aに配置する位相差フィルムは、面内リタデーションRoが30nmよりも大きく95nm以下であり、かつ厚み方向リタデーションRtが140nmよりも大きく400nm以下であるものを使用するようにする。
表示品質が向上し、かつ光学フィルムの生産面からも好ましい。
《液晶表示装置》
本発明の偏光板保護フィルム(位相差フィルムを兼ねる)を含む偏光板は、通常の偏光板と比較して高い表示品質を発現させることができ、特にマルチドメイン型の液晶表示装置、より好ましくは複屈折モードによってマルチドメイン型の液晶表示装置への使用に適している。
本発明の偏光板保護フィルム(位相差フィルムを兼ねる)を含む偏光板は、通常の偏光板と比較して高い表示品質を発現させることができ、特にマルチドメイン型の液晶表示装置、より好ましくは複屈折モードによってマルチドメイン型の液晶表示装置への使用に適している。
本発明の偏光板は、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、CPA(Continuous Pinwheel Alignment)モード、OCB(Optical Compensated Bend)モード等に用いることができ、特定の液晶モード、偏光板の配置に限定されるものではない。
液晶表示装置はカラー化及び動画表示用の装置としても応用されつつあり、本発明により表示品質が改良され、コントラストの改善や偏光板の耐性が向上したことにより、疲れにくく忠実な動画像表示が可能となる。
位相差フィルムを含む偏光板を少なくとも含む液晶表示装置においては、本発明の偏光板保護フィルムを含む偏光板を、液晶セルに対して、一枚配置するか、あるいは液晶セルの両側に二枚配置する。
このとき偏光板に含まれる本発明の偏光板保護フィルム側が液晶表示装置の液晶セルに面するように用いることで表示品質の向上に寄与できる。図7においては22a及び22bのフィルムが液晶表示装置の液晶セルに面することになる。
このような構成において、本発明の偏光板保護フィルムは、液晶セルを光学的に補償することができる。本発明の偏光板を液晶表示装置に用いる場合は、液晶表示装置の偏光板内の少なくとも一つの偏光板を、本発明の偏光板とすればよい。
本発明の偏光板を用いることで、表示品質が向上し、視野角特性に優れた液晶表示装置が提供できる。
本発明の偏光板において、偏光子からみて本発明の偏光板保護フィルムとは反対側の面には、セルロース誘導体の偏光板保護フィルムが用いられ、汎用のTACフィルム等を用いることができる。
液晶セルから遠い側に位置する偏光板保護フィルムは、表示装置の品質を向上する上で、他の機能性層を配置することも可能である。
例えば、反射防止、防眩、耐キズ、ゴミ付着防止、輝度向上のためにディスプレイとしての公知の機能層を構成物として含む光学フィルムや、または本発明の偏光板表面に貼付してもよいがこれらに限定されるものではない。
一般に位相差フィルムでは、上述のリタデーション値としてRoまたはRtの変動が少ないことが安定した光学特性を得るために求められている。特に複屈折モードの液晶表示装置は、これらの変動が画像のムラを引き起こす原因となることがある。
本発明において、光学フイルムを有する偏光板保護フィルムを、ロール状の長尺に巻き取って、巻き状態から繰り出すとは、溶液流延法または溶融流延法で形成された光学フイルムを、巻きコア(円筒状のコア)を軸として、該巻きコアの外周面に10m以上の長尺に光学フイルム巻き回して、ロール状の巻物としたのち、巻き状態から繰り出して偏光板加工に供した光学フイルムを有する偏光板保護フィルムのことをさす。
ロール状の長尺に巻取り、巻き状態から繰り出した光学フイルムを用いた場合、本発明により得られる効果が大きい。
本発明において製造された偏光板保護フィルムは、セルロースエステルを主体として構成されるため、セルロースエステル固有のケン化を活用してアルカリ処理工程を活用することができる。これは、偏光子を構成する樹脂がポリビニルアルコールであるとき、従来の偏光板保護フィルムと同様に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて偏光板保護フィルムと貼合することができる。
このために本発明は、従来の偏光板加工方法が適用できる点で優れており、特に長尺状であるロール偏光板が得られる点で優れている。
本発明により得られる製造的効果は、特に100m以上の長尺の巻物においてより顕著となり、1500m、2500m、5000mとより長尺化する程、偏光板製造の製造的効果を得る。
例えば、偏光板保護フィルム製造において、ロール長さは、生産性と運搬性を考慮すると、10〜5000m、好ましくは50〜4500mであり、このときの光学フィルムの幅は、偏光子の幅や製造ラインに適した幅を選択することができる。
0.5〜4.0m、好ましくは0.6〜3.0mの幅で光学フィルムを製造してロール状に巻取り、偏光板加工に供してもよく、また、目的の倍幅以上の光学フィルムを製造してロールに巻き取った後、断裁して目的の幅のロールを得て、このようなロールを偏光板加工に用いるようにしてもよい。
偏光板保護フィルム製造に際し、延伸の前及び/または後で帯電防止層、ハードコート層、易滑性層、接着層、防眩層、バリアー層等の機能性層を塗設してもよい。この際、コロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて施すことができる。
製膜工程において、カットされた光学フィルム両端のクリップ把持部分は、粉砕処理された後、あるいは必要に応じて造粒処理を行った後、同じ品種の光学フィルム用原料としてまたは異なる品種の光学フィルム用原料として再利用してもよい。
前述の可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等の添加物濃度が異なるセルロースエステルを含む組成物を共押出しして、積層構造の光学フイルムを作製することもできる。
例えば、スキン層/コア層/スキン層といった構成の光学フイルムを作ることができる。例えば、マット剤は、スキン層に多く、またはスキン層のみに入れることができる。可塑剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多く入れることができ、コア層のみに入れてもよい。
また、コア層とスキン層で可塑剤、紫外線吸収剤の種類を変更することもでき、例えば、スキン層に低揮発性の可塑剤及び/または紫外線吸収剤を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤、あるいは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することもできる。
スキン層とコア層のガラス転移温度が異なっていてもよく、スキン層のガラス転移温度よりコア層のガラス転移温度が低いことが好ましい。
このとき、スキンとコアの両者のガラス転移温度を測定し、これらの体積分率より算出した平均値を上記ガラス転移温度Tgと定義して同様に扱うこともできる。
また、溶融流延時のセルロースエステルを含む溶融物の粘度もスキン層とコア層で異なっていてもよく、スキン層の粘度>コア層の粘度でも、コア層の粘度>スキン層の粘度でもよい。
本発明の光学フイルムは、寸度安定性が、23℃、55%RHに24時間放置した光学フィルムの寸法を基準としたとき、80℃、90%RHにおける寸法の変動値が±2.0%未満であり、好ましくは1.0%未満であり、さらに好ましくは0.5%未満である。
本発明の光学フイルムを位相差フィルムとして偏光板保護フィルムに用いる際に、位相差フィルム自身に上記の範囲以上の変動を有すると、偏光板としてのリタデーションの絶対値と配向角が当初の設定とずれるために、表示品質の向上能の減少あるいは表示品質の劣化を引き起こすことがある。
本発明に係る光学フイルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。
得られた光学フイルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全鹸化ポリビニルアルコール水溶液を用いて、偏光子の両面に偏光板保護フィルムを貼り合わせる方法があり、少なくとも片面に本発明の偏光板保護フィルムが偏光子に直接貼合する。
上記アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、同6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施して偏光板加工を行ってもよい。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、さらに該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することができる。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。
この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。
なお、偏光板の主たる構成要素である偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系光学フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。
偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。該偏光子の面上に、本発明の偏光板保護フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。
好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。偏光子の膜厚は10〜30μmのものが好ましく用いられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
実施例1
(光学フイルム1−1の作製)
上記合成例で作製した各種化合物、また市販の各種化合物を可塑剤として用いて、溶融流延により光学フイルム1−1を作製した。使用したセルロースエステルはアセチル基による置換度が2.08、プロピオニル基による置換度が0.72であった。また下記の条件でGPCを測定したところ、重量平均分子量は20万であった。
(光学フイルム1−1の作製)
上記合成例で作製した各種化合物、また市販の各種化合物を可塑剤として用いて、溶融流延により光学フイルム1−1を作製した。使用したセルロースエステルはアセチル基による置換度が2.08、プロピオニル基による置換度が0.72であった。また下記の条件でGPCを測定したところ、重量平均分子量は20万であった。
セルロースエステルのアシル基総炭素数は6.32であった。
〈GPC測定条件〉
溶媒:テトヒドロフラン
装置:HLC−8220(東ソー(株)製)
カラム:TSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
試料温度:0.1質量%
注入量:10μl
流量:0.6ml/min
校正曲線:標準ポリスチレン:PS−1(Polymer Laboratories社製)Mw=2,560,000〜580までの9サンプルによる校正曲線を使用した。
溶媒:テトヒドロフラン
装置:HLC−8220(東ソー(株)製)
カラム:TSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
試料温度:0.1質量%
注入量:10μl
流量:0.6ml/min
校正曲線:標準ポリスチレン:PS−1(Polymer Laboratories社製)Mw=2,560,000〜580までの9サンプルによる校正曲線を使用した。
セルロースエステル 100質量部
GTB 10質量部
IRGANOX 1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.5質量部
例示化合物 I−13 0.3質量部
TINUVIN 928 1.8質量部
セルロースエステルを70℃、3時間減圧下で乾燥を行い室温まで冷却した後、添加剤を混合した。
GTB 10質量部
IRGANOX 1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.5質量部
例示化合物 I−13 0.3質量部
TINUVIN 928 1.8質量部
セルロースエステルを70℃、3時間減圧下で乾燥を行い室温まで冷却した後、添加剤を混合した。
以上の混合物を2軸式押出し機を用いて230℃で溶融混合しペレット化した。
このペレットを用いて窒素雰囲気下、250℃にて溶融して流延ダイ4から第1冷却ロール5上に押し出し、第1冷却ロール5とタッチロール6との間に光学フィルムを挟圧して成形した。また押出し機1中間部のホッパー開口部から、滑り剤としてシリカ粒子200V(日本アエロジル社製)を0.5質量部となるよう添加した。
流延ダイ4のギャップの幅が光学フィルムの幅方向端部から30mm以内では0.5mm、その他の場所では1mmとなるようにヒートボルトを調整した。タッチロールとしては、タッチロールAを使用し、その内部に冷却水として80℃の水を流した。
流延ダイ4から押し出された樹脂が第1冷却ロール5に接触する位置P1から第1冷却ロール5とタッチロール6とのニップの第1冷却ロール5回転方向上流端の位置P2までの、第1冷却ローラ5の周面に沿った長さLを20mmに設定した。
その後、タッチロール6を第1冷却ロール5から離間させ、第1冷却ロール5とタッチロール6とのニップに挟圧される直前の溶融部の温度Tを測定した。
第1冷却ロール5とタッチロール6とのニップに挟圧される直前の溶融部の温度Tは、ニップ上流端P2よりもさらに1mm上流側の位置で、温度計(安立計器株式会社製HA−200E)により測定した。
本実施例では測定の結果、温度Tは146℃であった。タッチロール6の第1冷却ロール5に対する線圧は14.7N/cmとした。
さらに、テンターに導入し、巾方向に160℃で1.3倍延伸した後、巾方向に3%緩和しながら30℃まで冷却し、その後クリップから開放し、クリップ把持部を裁ち落とし、光学フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施し、巻取り張力220N/m、テーパー40%で巻芯に巻き取った。
なお、光学フィルムは、厚さが80μmとなるように、押出し量及び引き取り速度を調整し、仕上がりの光学フィルム幅は、1430mm幅になるようにスリットし、巻き取った。巻芯の大きさは、内径152mm、外径165mm、長さ1550mmであった。
この巻芯母材として、エポキシ樹脂をガラス繊維、カーボン繊維に含浸させたプリプレグ樹脂を用いた。巻芯表面にはエポキシ導電性樹脂をコーティングし、表面を研磨して、表面粗さRaは0.3μmに仕上げた。なお、巻長は2500mとした。この本発明の光学フィルム原反試料をNo.1−1とする。
さらに、表1に記載の添加剤、添加量に変更する以外は、光学フィルム原反試料をNo.1−1と同様な方法で、本発明の光学フイルム原反試料1−2〜1−14、比較の光学フイルム原反試料1−15〜1−16を作製した。
ただし、常温で液体の添加剤については、2軸押出し機に入る直前でフィーダーによって添加した。
得られた光学フイルム原反試料に対して、下記方法で評価を行った。評価の結果を表1に示す。
(馬の背故障、巻芯転写)
巻き取った光学フイルム原反試料をポリエチレンシートで2重に包み、図8に示すような保存方法で、25℃、50%の条件下で30日間保存した。その後、箱から取り出し、ポリエチレンシートを開け、光学フィルム原反試料表面に点灯している蛍光灯の管を反射させて映し、その歪みあるいは細かい乱れを観察し、馬の背故障を下記レベルにランク分けした。
巻き取った光学フイルム原反試料をポリエチレンシートで2重に包み、図8に示すような保存方法で、25℃、50%の条件下で30日間保存した。その後、箱から取り出し、ポリエチレンシートを開け、光学フィルム原反試料表面に点灯している蛍光灯の管を反射させて映し、その歪みあるいは細かい乱れを観察し、馬の背故障を下記レベルにランク分けした。
A:蛍光灯が真っすぐに見える
B:蛍光灯が部分的に曲がって見える
C:蛍光灯がまだらに映って見える
また、保存後の光学フィルム原反試料を巻き返して、50μm以上の点状の変形、または幅手方向の帯状の変形がはっきり見える巻芯転写が、巻芯部分より何mまで発生しているかを測定し、下記レベルにランク分けを行った。
B:蛍光灯が部分的に曲がって見える
C:蛍光灯がまだらに映って見える
また、保存後の光学フィルム原反試料を巻き返して、50μm以上の点状の変形、または幅手方向の帯状の変形がはっきり見える巻芯転写が、巻芯部分より何mまで発生しているかを測定し、下記レベルにランク分けを行った。
A:巻芯部分より15m未満
B:巻芯部分より15〜30m未満
C:巻芯部分より30〜50m未満
D:巻芯部分より50m以上
(巻始めシワ)
巻芯に原反光学フィルムを巻き取る作業を行い、巻始めでシワが発生して不良となった場合は巻芯から原反光学フィルムを取り外して、再度巻き取る作業を行った。この時の不良回数をカウントした。この作業を10回行い平均値を求め、下記レベルにランク分けを行った。
B:巻芯部分より15〜30m未満
C:巻芯部分より30〜50m未満
D:巻芯部分より50m以上
(巻始めシワ)
巻芯に原反光学フィルムを巻き取る作業を行い、巻始めでシワが発生して不良となった場合は巻芯から原反光学フィルムを取り外して、再度巻き取る作業を行った。この時の不良回数をカウントした。この作業を10回行い平均値を求め、下記レベルにランク分けを行った。
A:0回以上1回未満
B:1回以上3回未満
C:3回以上5回未満
D:5回以上
B:1回以上3回未満
C:3回以上5回未満
D:5回以上
表1より、本発明に係る一般式(I)で表される化合物を含有する光学フイルム原反試料No.1−1〜1−12は、長期間保存しても馬の背故障、巻芯転写が少なく、巻始めシワ等の光学フィルム原反の変形故障が発生しにくい光学フイルムであることが分かる。
実施例2
表2に記載の添加剤、添加量に変更する以外は、実施例1の光学フイルム原反試料1−1と同様な方法で、本発明の光学フイルム原反試料2−1〜2−34、比較の光学フイルム原反試料2−35、2−36を作製した。
表2に記載の添加剤、添加量に変更する以外は、実施例1の光学フイルム原反試料1−1と同様な方法で、本発明の光学フイルム原反試料2−1〜2−34、比較の光学フイルム原反試料2−35、2−36を作製した。
表2の化合物は以下のものを用いた。
GSY−P101(堺化学工業株式会社)、IrgafosPEPQ、Irgafos168、TINUVIN120、TINUVIN144、CHIMASORB944LD、CHIMASORB2020FDL(以上、チバスぺシャリティケミカルズ株式会社)Sumilizer BP76(住友化学)、ADK STAB LA−52、ADK STAB LA−63−P(以上、株式会社ADEKA)
作製した光学フイルム原反試料に対して、実施例1と同様な評価を行った。評価の結果を表2に示す。
作製した光学フイルム原反試料に対して、実施例1と同様な評価を行った。評価の結果を表2に示す。
表2、3より、可塑剤や酸化防止剤を併用した、本発明に係る一般式(I)で表される化合物を含有する光学フイルム原反試料2−1〜2−32は、長期間保存しても馬の背故障、巻芯転写が少なく、巻始めシワ等の光学フィルム原反の変形故障が発生しにくい光学フイルムであることが分かる。
実施例3
表4、5に記載の添加剤、添加量に変更する以外は、実施例1の光学フイルム原反試料をNo.1−1と同様な方法で、本発明の光学フイルム原反試料3−1〜3−33、比較の光学フイルム原反試料3−34、3−35を作製した。
表4、5に記載の添加剤、添加量に変更する以外は、実施例1の光学フイルム原反試料をNo.1−1と同様な方法で、本発明の光学フイルム原反試料3−1〜3−33、比較の光学フイルム原反試料3−34、3−35を作製した。
表3の化合物は以下のものを用いた。
HP−136(チバスぺシャリティケミカルズ株式会社)
Sumilizer GS(住友化学)
作製した光学フイルム原反試料に対して、実施例1と同様な評価を行った。評価の結果を表に示す。
Sumilizer GS(住友化学)
作製した光学フイルム原反試料に対して、実施例1と同様な評価を行った。評価の結果を表に示す。
本発明の一般式(I)で表される化合物を含有する光学フイルム原反試料3−1〜3−33は、長期間保存しても馬の背故障、巻芯転写が少なく、巻始めシワ等の光学フィルム原反の変形故障が発生しにくい光学フイルムであることが分かる。
実施例5
下記の組成物を調製した。
下記の組成物を調製した。
(帯電防止層塗布組成物(1))
ポリメチルメタアクリレート(重量平均分子量55万、Tg:90℃) 0.5部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 60部
メチルエチルケトン 16部
乳酸エチル 5部
メタノール 8部
導電性ポリマー樹脂P−1(0.1〜0.3μm粒子) 0.5部
ポリメチルメタアクリレート(重量平均分子量55万、Tg:90℃) 0.5部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 60部
メチルエチルケトン 16部
乳酸エチル 5部
メタノール 8部
導電性ポリマー樹脂P−1(0.1〜0.3μm粒子) 0.5部
(ハードコート層塗布組成物(2))
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20部
ジエトキシベンゾフェノン光反応開始剤 6部
シリコーン系界面活性剤 1部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 75部
メチルエチルケトン 75部
(カール防止層塗布組成物(3))
アセトン 35部
酢酸エチル 45部
イソプロピルアルコール 5部
ジアセチルセルロース 0.5部
超微粒子シリカ2%アセトン分散液(アエロジル:200V、日本アエロジル(株)製) 0.1部
下記に従って、機能付与した偏光板保護フィルムを作製した。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20部
ジエトキシベンゾフェノン光反応開始剤 6部
シリコーン系界面活性剤 1部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 75部
メチルエチルケトン 75部
(カール防止層塗布組成物(3))
アセトン 35部
酢酸エチル 45部
イソプロピルアルコール 5部
ジアセチルセルロース 0.5部
超微粒子シリカ2%アセトン分散液(アエロジル:200V、日本アエロジル(株)製) 0.1部
下記に従って、機能付与した偏光板保護フィルムを作製した。
(偏光板保護フィルム)
実施例で作製した光学フイルム原反試料1−1をポリエチレンシートで2重に包み、図8に示すような保存方法で25℃、50%RHの条件下で30日間、この後、40℃、80%RHの条件下で保存した。
実施例で作製した光学フイルム原反試料1−1をポリエチレンシートで2重に包み、図8に示すような保存方法で25℃、50%RHの条件下で30日間、この後、40℃、80%RHの条件下で保存した。
その後、それぞれポリエチレンシートを外して、それぞれの原反試料から巻き出した光学フイルムの片面に、カール防止層塗布組成物(3)をウェット膜厚13μmとなるようにグラビアコートし、乾燥温度80±5℃にて乾燥させた。これを試料1−1Aとする。
この光学フイルムのもう1方の面に帯電防止層塗布組成物(1)を28℃、82%RHの環境下でウェット膜厚で7μmとなるように光学フィルムの搬送速度30m/minで塗布幅1mで塗布し、次いで80±5℃に設定された乾燥部で乾燥して乾燥膜厚で約0.2μmの樹脂層を設け、帯電防止層付き光学フイルムを得た。これを試料1−1Bとする。
さらに、この帯電防止層の上にハードコート層塗布組成物(2)をウェット膜厚で13μmとなるように塗設し、乾燥温度90℃にて乾燥させた後、紫外線を150mJ/m2となるように照射して、乾燥膜厚で5μmのクリアハードコート層を設けた。これを試料1−1Cとする。
得られた本発明の光学フイルム試料1−1A、試料1−1B、試料1−1Cはともにブラッシングを起こすこともなく、乾燥後の亀裂の発生も認められず、塗布性は良好であった。
光学フイルム原反試料1−1に代えて、光学フイルム原反試料2−4、2−27、2−30、3−9、3−10、3−17に変更した以外は同様の方法で塗布を行った。その結果、何れも良好な塗布性が確認された。
比較として、比較の光学フイルム原反試料2−33及び2−34について、上記と同様な方法で塗布を行った。
カール防止層塗布組成物(3)を塗布したものを試料2−33A及び2−34A、さらに帯電防止層塗布組成物(1)を塗布したものを試料2−33B及び2−34B、さらにこの帯電防止層の上にハードコート層塗布組成物(2)を塗布したものを試料2−33C及び2−34Cとした。
その結果、高湿度環境で塗布したとき、試料2−33A及び2−34Aでブラッシングが起こった。また、試料2−33B及び2−34Bでは乾燥後微細な亀裂が認められることがあり、試料2−33C及び2−34Cでは乾燥後微細な亀裂が明確に認められた。
(偏光板の作製と評価)
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、沃化カリウム2質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液に浸漬し50℃で4倍に延伸し偏光子を作製した。
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、沃化カリウム2質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液に浸漬し50℃で4倍に延伸し偏光子を作製した。
実施例1、2および3で作製した本発明の光学フイルム原反試料1−1、2−4、2−27、2−30、3−9、3−10、3−17及び比較の光学フイルム原反試料2−33及び2−34をポリエチレンシートで2重に包み、図8に示すような保存方法で25℃、50%RHの条件下で30日間、この後、40℃、80%RHの条件下で保存した。
その後、それぞれポリエチレンシートを外して、それぞれの原反試料から巻き出したセルロースエステルフィルムを40℃の2.5mol/L水酸化ナトリウム水溶液で60秒間アルカリ処理し、さらに水洗乾燥して表面をアルカリ処理した。
前記偏光子の両面に、本発明の試料1−1、2−4、2−27、2−30、3−9、3−10、3−17及び、比較の試料の2−33及び2−34のアルカリ処理面を、完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として両面から貼合し、保護フィルムが形成された本発明の偏光板2−4、2−27、2−30、3−9、3−10、3−17及び、比較の偏光板の2−33及び2−34を作製した。
得られた本発明の偏光板2−4、2−27、2−30、3−9、3−10、3−17は比較の偏光板の2−33及び2−34に対して、平面性、物理的に優れている保護フィルムで両面が保護されているため、非常に良好な偏光板の特性を有するという顕著に優れた効果を奏する。
(液晶表示装置としての特性評価)
15型TFT型カラー液晶ディスプレイLA−1529HM(NEC製)の偏光板を剥がし、上記で作製した各々の偏光板を液晶セルのサイズに合わせて断裁した。液晶セルを挟むようにして、前記作製した偏光板2枚を偏光板の偏光軸が元と変わらないように互いに直交するように貼り付け、15型TFT型カラー液晶ディスプレイを作製し、光学フイルムの偏光板としての特性を評価した。
15型TFT型カラー液晶ディスプレイLA−1529HM(NEC製)の偏光板を剥がし、上記で作製した各々の偏光板を液晶セルのサイズに合わせて断裁した。液晶セルを挟むようにして、前記作製した偏光板2枚を偏光板の偏光軸が元と変わらないように互いに直交するように貼り付け、15型TFT型カラー液晶ディスプレイを作製し、光学フイルムの偏光板としての特性を評価した。
本発明の偏光板2−4、2−27、2−30、3−9、3−10、3−17は、比較の偏光板2−33及び2−34に対してコントラストも高く、優れた表示性を示した。これにより、液晶ディスプレイ等の画像表示装置用の偏光板として優れていることが確認された。
1 押出し機
2 フィルター
3 スタチックミキサー
4 流延ダイ
5 回転支持体(第1冷却ロール)
6 挟圧回転体(タッチロール)
7 回転支持体(第2冷却ロール)
8 回転支持体(第3冷却ロール)
9、11、13、14、15 搬送ロール
10 光学フィルム
16 巻取り装置
21a、21b 保護フィルム
22a、22b 位相差フィルム
23a、23b 光学フィルムの遅相軸方向
24a、24b 偏光子の透過軸方向
25a、25b 偏光子
26a、26b 偏光板
27 液晶セル
29 液晶表示装置
31 ダイ本体
32 スリット
41 金属スリーブ
42 弾性ローラ
43 金属製の内筒
44 ゴム
45 冷却水
51 外筒
52 内筒
53 空間
54 冷却液
55a、55b 回転軸
56a、56b 外筒支持フランジ
60 流体軸筒
61a、61b 内筒支持フランジ
62a、62b 中間通路
110 巻芯本体
117 支え板
118 架台
120 光学フイルム原反
2 フィルター
3 スタチックミキサー
4 流延ダイ
5 回転支持体(第1冷却ロール)
6 挟圧回転体(タッチロール)
7 回転支持体(第2冷却ロール)
8 回転支持体(第3冷却ロール)
9、11、13、14、15 搬送ロール
10 光学フィルム
16 巻取り装置
21a、21b 保護フィルム
22a、22b 位相差フィルム
23a、23b 光学フィルムの遅相軸方向
24a、24b 偏光子の透過軸方向
25a、25b 偏光子
26a、26b 偏光板
27 液晶セル
29 液晶表示装置
31 ダイ本体
32 スリット
41 金属スリーブ
42 弾性ローラ
43 金属製の内筒
44 ゴム
45 冷却水
51 外筒
52 内筒
53 空間
54 冷却液
55a、55b 回転軸
56a、56b 外筒支持フランジ
60 流体軸筒
61a、61b 内筒支持フランジ
62a、62b 中間通路
110 巻芯本体
117 支え板
118 架台
120 光学フイルム原反
Claims (9)
- 前記R1が水素原子であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
- 前記R6が水素原子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルム。
- 前記R7がアリール基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムまたは請求項5に記載の光学フィルムの製造方法により得られた光学フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
- 請求項6に記載の偏光板をロール状の長尺に巻取り、その後巻き状態から繰り出して偏光子と貼り合わせることを特徴とする偏光板の製造方法。
- 請求項6に記載の偏光板又は請求項7に記載の偏光板の製造方法で製造された偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に用いることを特徴とする液晶表示装置。
- 請求項7に記載の偏光板の製造方法で製造された偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に用いることを特徴とする液晶表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007058503A JP2008224720A (ja) | 2007-03-08 | 2007-03-08 | 光学フィルム、その製造方法、偏光板、その製造方法及び液晶表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007058503A JP2008224720A (ja) | 2007-03-08 | 2007-03-08 | 光学フィルム、その製造方法、偏光板、その製造方法及び液晶表示装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008224720A true JP2008224720A (ja) | 2008-09-25 |
JP2008224720A5 JP2008224720A5 (ja) | 2009-05-28 |
Family
ID=39843472
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007058503A Pending JP2008224720A (ja) | 2007-03-08 | 2007-03-08 | 光学フィルム、その製造方法、偏光板、その製造方法及び液晶表示装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008224720A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016021315A1 (ja) * | 2014-08-05 | 2016-02-11 | 株式会社Adeka | 熱可塑性樹脂用酸化防止剤及びそれを含有してなる熱可塑性樹脂組成物 |
-
2007
- 2007-03-08 JP JP2007058503A patent/JP2008224720A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016021315A1 (ja) * | 2014-08-05 | 2016-02-11 | 株式会社Adeka | 熱可塑性樹脂用酸化防止剤及びそれを含有してなる熱可塑性樹脂組成物 |
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