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JP2008134032A - 空気調和システム - Google Patents

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健治 戸草
Teruo Kimura
照夫 木村
Masafumi Mori
政文 森
Hirokatsu Yamaya
啓克 山家
Osamu Yada
修 矢田
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Abstract

【課題】簡易かつ安価な構成で居室内に快適な環境を提供する空気調和システムを実現する。
【解決手段】圧縮機と、四方弁と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とを冷媒を循環する配管で連結して冷凍サイクルを形成して、凝縮器又は蒸発器で熱交換された空気を、送風ファンにより床スラブ23とこの床スラブ23に対向して配置した床板4とで形成された二重床の床下空間25に吹き込み、この床下空間25から居室10内に通流する。そして、熱交換された空気を床下空間25から居室10内に通流する通流口として、床板4の側縁面と居室10の壁面との間に沿って予め形成された空隙45を利用し、この空隙45を通流する空気の流速を0.1〜1.0m/sとする。
【選択図】図2

Description

本発明は、空気調和システムに係り、特に、空気調和された空気を、床スラブと床板で形成された二重床の床下空間から居室内に通流する空気調和システムに関する。
従来の空気調和システムでは、凝縮器又は蒸発器で熱交換されて空気調和された空気を天井から居室内に吹き出して、居室内を暖房又は冷房する方式が最も日常的に用いられている。
このような従来の空調方式では空気調和機の吹き出し風量の過多により、空調対象領域に居住する人がドラフトを感じたり、空調気流の未到達部が生じることにより、空調対象領域内の温度の水平分布にムラが生じたりする場合があった。また、空調対象領域内の垂直分布では、下部に冷たい空気が滞留したり、あるいは暖房時に上部に暖かい空気が滞留したりして、空調対象領域に居住する人にとって、温熱的に不快な環境になる場合があった。
特許文献1には、冷房時は、空気調和された空気を天井内の空間及び天井面を介して居室内に吹き出して二重床面から吸い込み、一方、暖房時には、空気調和された空気を二重床内の空間及び二重床面を介して居室内に吹き出して天井面から吸い込むことが記載されている。
このように冷暖房の違いに応じて空調気流の方向を変化させ、天井面や二重床面の放射熱を併用することにより、対象空調領域に居住する人に、年間を通じて常時快適な環境を提供することができるとされている。
特許第2679864号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術では、空気調和された空気を天井面から二重床面へ、あるいは二重床面から天井面へと垂直方向に均一に通流するものであるため、空気を通流する通流口が全面にわたって形成された専用の天井材及び床材を用いる必要がある。このため、空気調和システムの構築が複雑となり、また、システム構築のためのコストが増大する恐れがある。
本発明は、簡易かつ安価な構成で居室内に快適な環境を提供する空気調和システムを実現することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の空気調和システムは、圧縮機と、四方弁と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とを冷媒を循環する配管で連結して冷凍サイクルを形成し、凝縮器又は蒸発器で熱交換された空気を、送風ファンにより床スラブとこの床スラブに対向して配置した床板とで形成された二重床の床下空間に吹き込み、この床下空間から居室内に通流するものである。そして、熱交換された空気を床下空間から居室内に通流する通流口を床板の辺部に形成し、この通流口を通流する空気の流速を0.1〜1.0m/sとすることを特徴とする。
これによれば、熱交換された空気を床下空間から居室内に通流する通流口が、床板の辺部にのみ形成されていればいいので、全面にわたって通流口が形成された専用床材を用いる必要がなく、コストを低減することができ、簡易かつ安価な構成で居室内に快適な環境を提供することができる。
また、このように流速を設定することにより、床下空間から通流口を介して居室内に通流した空気の一部は、居室内を水平方向に流れる気流となり、居室内には水平方向の層流が形成される。一方で対流などにより居室内の空気は序々に天井方向へ上昇していく。このようにして、居室内には水平方向と垂直方向の緩やかな気流が形成されるので温度ムラを抑制することができ、その結果、居室内に快適な環境を提供することができる。
また、特に通流口として、床板の熱膨張吸収及び振動遮断の少なくとも一方のために、床板の側縁面と居室の壁面との間に沿って予め形成されてなる空隙を利用することが望ましい。
すなわち、床スラブとこの床スラブに対向して配置した床板とで二重床を形成する場合において、床板の熱膨張の吸収や、床板を伝播する振動などの遮断の目的で、床板の側縁面と居室の壁面との間に沿って空隙を予め形成することが知られている。そこで、この空隙を空気の通流口としても利用すれば、全面にわたって通流口が形成された専用床板を用いる必要がなく、汎用の床板を用いればよいのでコストを抑制することができる。
また、居室内に通流された空気を凝縮器又は蒸発器に還流する吸い込み口を、居室の天井面及び壁面上部のいずれか一方、又は居室外の天井面及び壁面のいずれか一方に形成することが好ましい。これによれば、居室内の水平方向の層流が除々に上昇して吸い込み口から還流されるので、居室内の特に人間が活動する床面から2メートル程度の範囲に重点的に空気調和された空気を通流させることができる。
また、通流口を通流する空気の温度と、居室内の温度との差が0〜15℃になるように圧縮機、送風ファン及び膨張弁の少なくとも1つを制御することができる。
つまり、上述したように、床下空間から床板の辺部の通流口を介して居室内に空気調和された空気を設定流速で通流させることにより、水平方向の層流を形成しつつ、除々に上昇させることができる。これにより、居室内の人間の主な活動領域を重点的に効率よく温度制御することができるので、通流口を通流する空気の温度と、居室内の温度との差、言い換えれば設定温度に対する居室内への吹き出し空気温度の差を、従来の空気調和システムに比べて小さくすることができる。したがって、圧縮機の仕事を抑制して省エネルギーを図ることができる。
本発明によれば、簡易かつ安価な構成で居室内に快適な環境を提供する空気調和システムを実現することができる。
以下、本発明を適用してなる空気調和機システムの実施形態を図1〜図3を用いて説明する。なお、以下の説明では、同一機能部品については同一符号を付して重複説明を省略する。
図1は、本発明の空気調和システムを適用した住宅の平面図であり、図2は、図1におけるII−II線での縦断面図である。本実施形態は、空気調和システムを例えばマンションなどの一般的な住宅に適用した例を示すものであり、図1、2に示すように、住宅空間は、外壁1と、窓2a〜2dと、天井3と、床板4などによって形成されている。
また、各種の内壁6及び各種の扉7によって、居室10a〜10d、押し入れ11、浴室12、納戸13、洗面所14、便所15、クローゼット16、廊下17、機械室18、玄関19などが仕切られて形成されている。なお、居室10aを形成する内壁6には、空気調和システムの各種設定をするためのコントロールスイッチ26が設けられている。
また、図2に示すように、本実施形態では、天井3は天井スラブ20に対向して距離をあけて配置されており、天井スラブ20と天井3との間には天井空間21が形成されている。また、床板4は床スラブ23に対向してスペーサ24を介して距離をあけて配置され、床板4と床スラブ23とで二重床が形成されている。そして、床スラブ23と床板4との間には床下空間25が形成されている。
そして、空気調和システムは、機械室18に設置される室内機30と、例えば屋上やベランダなどの室外に設置される室外機31とを、冷媒を循環する配管32で連結して構成されている。室内機30は、室内熱交換器34と、室内膨張弁35と、室内送風ファン36などで構成されており、室外機31は、圧縮機40と、四方弁41と、室外熱交換器42と、室外送風ファン43などで構成されている。ただし、本実施形態のように、室内機30と室外機31で構成されるセパレート型には限定されず、一体型の空気調和機を用いることも可能である。また、空気調和機には、空気清浄用フィルタや加湿器などを適宜配設してもよい。
このように、本実施形態の空気調和システムは、圧縮機40、四方弁41、室外熱交換器42、室内膨張弁35、室内熱交換器34などで冷凍サイクルを形成して、室内熱交換器34で熱交換された空気を、室内送風ファン36により床スラブ23と床スラブ23に対向して配置した床板4とで形成された二重床の床下空間25に吹き込み、床下空間25から居室10a〜10d、洗面所14及び便所15などの主に人間が活動する領域へ通流するものである。
次に、本実施形態の空気調和システムの特徴部について説明する。まず、図1に示すように、居室10a〜10d、洗面所14及び便所15における床板4と、外壁1との間には、周囲を沿って囲むように空隙45が形成されている。この空隙45は、床スラブ23と床板4とで二重床を形成するような場合において、床板4の熱膨張の吸収や、床板4を伝播する振動などの遮断の目的で、床板4の側縁面と外壁面との間に沿って予め形成されている空隙である。また、図2に示すように、居室10aと廊下17とを隔てる扉7の上部には空気孔49が形成されており、廊下17と機械室18を隔てる内壁6の上部には、還気吸い込み口47が形成されている。
空隙45が形成されているため、図2の一点鎖線矢印で示すように、室内熱交換器34で熱交換された空気は、室内送風ファン36によって空気吹出口46を介して床下空間25へ吹き込まれ、床下空間25から空隙45を介して居室10aに通流する。そして、居室10aに通流された空気は、居室内を冷房又は暖房した後、還気吸い込み口47及び吸い込みダクト48を介して再び室内熱交換器34に戻る。
このように、本実施形態では、床下空間25をプレナンチャンバとして利用し、かつ予め形成されている空隙45を、空気通流口として利用するので、床板の全面に空気通流口が形成されているような専用部材ではなく、汎用の床材を用いることができる。また、例えば、既に汎用の床材で二重床を形成している住宅に対して、専用床材に交換することなく空気調和システムを導入することができる。したがって、簡易かつ安価な構成で居室内に快適な環境を提供することができる。
なお、室内熱交換器34で熱交換された空気は、床下空間25を通流する間に床板4を冷却又は加熱するので、居室10a内は、通流空気によって冷房又は暖房されるだけでなく、床板4からの冷放射又は温放射によっても冷房又は暖房される。
次に、空隙45を通流する空気の風速を変化させ、一方で空隙45における通流空気の温度と居室内の例えば高さ約50cmから2mの範囲内の代表的な場所での温度の差を変化させて居室内の快適性試験をおこなった結果を図3に示す。図3に示すように、風速が0.1〜1.0m/sで、かつ、温度差が0〜15℃の時(図3において、結果が概ね二重丸となる範囲)に、温度分布差が小さく、温度ムラが抑制されるので居室内は快適であるといえる。
ここで、居室内の代表的な温度は、例えばコントロールスイッチ26に設けた温度検出器で検出された温度としてもよいし、コントロールスイッチ26とは別の場所に設けた温度検出器を用いてもよい。また、図3における温度分布差とは、居室10内の高さ約50cm〜2mの範囲内における複数計測点での最高温度と最低温度との差を表している。
このような結果に基づいて、空気調和システムを導入する際に、室内送風ファン36の回転数は空隙45から居室10内へ通流する空気の流速が、0.1〜1.0m/sになるように設定される。なお、床板4の膨張や収縮などに伴う空隙45の空気通流面積の変化に応じて、コントロールスイッチ26で室内送風ファン36の回転数を制御することも可能である。
また、通常運転時に、空隙45における通流空気の温度と、居室10内の代表的な場所における温度との差が0〜15℃の範囲になるように、圧縮機40の回転数及び室内膨張弁35の弁開度の少なくとも一方が制御される。
このように空隙45における風速を0.1〜1.0m/sと微風に設定することにより、床下空間25から空隙45を介して居室10内に通流した空気の一部は、図2の点線矢印で示すように居室10内を水平方向に流れる気流となり、居室10内には水平方向の層流が形成される。一方で、還気吸い込み口47が内壁6の上部に形成されており、また、対流なども発生するため、居室10内の空気は実線矢印のように序々に天井3の方向へ上昇していく。
つまり、居室10内の水平方向の層流が足元から除々に上昇して還気吸い込み口47から還流されるので、空気調和された空気が足元に次々と置き換えられていくこととなり、居室10内の特に人間が活動する床面から高さ約2メートル程度の範囲に重点的に空気調和された空気を通流させることができる。
ここで、還気吸い込み口47が居室10外の廊下17の如く、空隙45からの距離を確保できる場合においては、還気吸い込み口47を内壁6の下部に形成することも可能である。
これによれば、居室10内であっても、温度制御が特段必要のない上層領域(例えば、図2における二点鎖線55より天井方向の領域)を除いて、人間の主な活動領域のみを効率よく温度制御することができる。したがって、空隙を通流する空気の温度と、居室10内の温度との差、言い換えれば設定温度に対する居室10内への吹き出し空気温度の差を、従来の空気調和システムに比べて小さくすることができ、圧縮機の仕事を抑制して省エネルギーを図ることも可能となる。
なお、本実施形態では、床板と外壁との間に予め空隙が形成されている場合を例に説明したが、これに限られることはなく、例えば空隙が予め形成されていない場合には汎用の床材の辺部に適宜空気の通流口を形成することで、同様に低コストで快適な環境を提供することができる。また、例えば、居室が大空間の場合は、辺部だけでなくその他の箇所に適宜に通流口を形成してもよい。
また、本発明は、実施形態のような一般住宅に限らず様々な建物空間に適用可能である。要するに、二重床などによって床下空間が形成されるよう建物であれば、その床下空間に空気調和された空気を吹き込み、床板の辺部に形成された通流口を介して居室内に通流することができるので、本発明を適用可能である。
また、本実施形態では、還気吸い込み口47を内壁の上部に設ける例を示したが、これに限らず、例えば図2に示すように、居室内の天井3に天井還気吸い込み口50を形成して、点線で示すように天井空間21にダクト等を通して室内熱交換器へ還流してもよいし、天井空間21をダクトとして利用してもよい。さらに、居室内の空気を吸い込み循環するのではなく、室外の新鮮な空気を取り入れることも可能である。
また、室内機30の設置場所は、機械室18のような部屋に限られず、例えば床下空間25や天井空間21などでもよい。
本発明の空気調和システムを適用した住宅の平面図である。 図1におけるII−II線での縦断面図である。 空隙における風速と温度を変化させた時の居室内の快適性の試験結果を示す図である。
符号の説明
1 外壁
2 窓
3 天井
4 床板
6 内壁
7 扉
10 居室
11 押し入れ
12 浴室
13 納戸
14 洗面所
15 便所
16 クローゼット
17 廊下
18 機械室
19 玄関
20 天井スラブ
21 天井空間
23 床スラブ
24 スペーサ
25 床下空間
26 コントロールスイッチ
30 室内機
31 室外機
32 配管
34 室内熱交換器
35 室内膨張弁
36 室内送風ファン
40 圧縮機
41 四方弁
42 室外熱交換器
43 室外送風ファン
45 空隙
46 空気吹出口
47 還気吸い込み口
48 吸い込みダクト
49 空気孔
50 天井還気吸い込み口

Claims (4)

  1. 圧縮機と、四方弁と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とを冷媒を循環する配管で連結して冷凍サイクルを形成してなり、前記凝縮器又は蒸発器で熱交換された空気を、送風ファンにより床スラブと該床スラブに対向して配置した床板とで形成された二重床の床下空間に吹き込み、該床下空間から居室内に通流する空気調和システムにおいて、
    前記熱交換された空気を前記床下空間から前記居室内に通流する通流口は、前記床板の辺部に形成されてなり、
    該通流口を通流する空気の流速は0.1〜1.0m/sであることを特徴とする空気調和システム。
  2. 前記通流口は、前記床板の熱膨張吸収及び振動遮断の少なくとも一方のために、前記床板の側縁面と居室の壁面との間に沿って予め形成されてなる空隙であることを特徴とする請求項1に記載の空気調和システム。
  3. 前記居室内に通流された空気を前記凝縮器又は蒸発器に還流する吸い込み口は、前記居室の天井面及び壁面上部のいずれか一方、又は前記居室外の天井面及び壁面のいずれか一方に形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の空気調和システム。
  4. 前記通流口を通流する空気の温度と、前記居室内の温度との差が0〜15℃になるように前記圧縮機、送風ファン及び膨張弁の少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項1に記載の空気調和システム。
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