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JP2008189793A - 水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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JP2008189793A JP2007025140A JP2007025140A JP2008189793A JP 2008189793 A JP2008189793 A JP 2008189793A JP 2007025140 A JP2007025140 A JP 2007025140A JP 2007025140 A JP2007025140 A JP 2007025140A JP 2008189793 A JP2008189793 A JP 2008189793A
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Kosuke Yamazaki
康介 山▲崎▼
Junichi Sakai
淳一 酒井
Hideki Takayama
日出樹 高山
Shinichi Hakamata
慎一 袴田
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Abstract

【課題】インクの保存安定性及び吐出安定性に優れ、インクジェット記録にも用いることができ、さらに、形成した画像が、耐擦過性及びタッキング性に優れたものである水性インクの提供、また、画像の耐擦過性及びタッキング性において、共に優れた画像を安定して与える、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置の提供。
【解決手段】水不溶性色材と複数の樹脂とを含む水性インクであって、複数の樹脂が第1の樹脂及び第2の樹脂を含み、第1の樹脂は、酸価が120mgKOH/g以上180mgKOH/g以下であり、かつノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するブロック共重合体であり、第2の樹脂は、酸価が150mgKOH/gを超えて230mgKOH/g以下であり、かつ樹脂を構成するモノマーとして(メタ)アクリル酸を有する水性インク。
【選択図】なし

Description

本発明は、特にインクジェット記録に好適な複数の樹脂を含有する水性インク、並びに該水性インクを用いた、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置に関する。
近年、耐水性や耐光性などの堅牢性に優れた画像を与えるインクとして、顔料などの水不溶性色材を含有するインク(顔料インク)が広く用いられている。しかし、顔料インクで形成した画像を指などで擦ると、色材が削れる現象が生じる、すなわち、画像の耐擦過性が充分でない場合がある。
これに対して、これまでにも、画像の耐擦過性を解決する手段として樹脂を含有する顔料インクを用いることに関する提案が数多くなされている。例えば、複数の樹脂を含有するインクに関する提案がある。具体的には、ガラス転移温度が異なる2種の樹脂を含有するインクに関する提案や(特許文献1参照)、分子量が異なる2種類のスチレン−アクリル酸系共重合体を含有するインクに関する提案がある(特許文献2参照)。さらに、1種又は複数のスチレン−アクリル酸系共重合体とエーテル結合を有さない2価アルコール系溶剤とを含有するインクに関する提案がある(特許文献3参照)。
特開2000−7961号公報 特開2004−263035号公報 特開2005−320382号公報
本発明者らは、下記の課題を共に満足することを目的として、インクに用いる樹脂についての検討を行った。具体的には、インクの保存安定性及び吐出安定性、また、かかるインクを用いて形成した画像における耐擦過性とタッキング性(画像のべた付き感)の3つの課題を共に満足することができる水性インクについての検討を行った。特に、耐擦過性に関しては、表面がコーティングされた記録媒体に形成した画像を、シルボン紙などの表面が粗いもので擦っても色材が削れない、という従来に比べて高いレベルの耐擦過性を得ることを目的として検討を行った。また、一方で、表面がコーティングされた記録媒体に画像を形成した場合の画像にべた付き感(タッキング)が生じない、タッキング性に問題のない画像を得ることを目的として検討を行った。
しかしながら、本発明者らの検討の結果、前記したようないずれの従来の技術を用いても、上記した3つの課題を全て満足することはできないことがわかった。
したがって、本発明の目的は、インクの保存安定性及び吐出安定性に優れ、インクジェット記録にも用いることができ、さらに、形成した画像が、耐擦過性及びタッキング性に優れたものである水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、画像の耐擦過性及びタッキング性において、共に優れた画像を安定して与える、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、少なくとも、水不溶性色材と、複数の樹脂とを含有する水性インクであって、該複数の樹脂が、第1の樹脂及び第2の樹脂を含み、前記第1の樹脂は、酸価が120mgKOH/g以上180mgKOH/g以下であり、かつ、ノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するブロック共重合体であり、前記第2の樹脂は、酸価が150mgKOH/gを超えて230mgKOH/g以下であり、かつ、樹脂を構成するモノマーとして(メタ)アクリル酸を有することを特徴とする水性インクである。
本発明によれば、インクの保存安定性及び吐出安定性を満足する、インクジェット記録に好適な水性インクが提供される。さらに、該水性インクで形成した画像は、シルボン紙などの表面が粗いもので画像を擦っても色材が削れ落ちることがない高いレベルの耐擦過性を有し、同時にタッキング性にも問題のない画像となる。また、本発明の別の実施態様によれば、高いレベルの耐擦過性を示し、タッキング性にも優れた画像が安定して得られる、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置が提供される。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。本発明者らは、先ず、インクに添加しても保存安定性や吐出安定性に問題がなく、さらに、該インクを用いて形成した画像が、高いレベルの耐擦過性を満足するものとなる樹脂について検討を行った。ここで言う高いレベルの画像の耐擦過性とは、具体的には、表面がコーティングされた記録媒体にインクで画像を形成し、該画像をシルボン紙などの表面が粗いもので擦っても色材が削れ落ちることがないことを意味する。上記検討の結果、酸価が120mgKOH/g以上180mgKOH/g以下であり、エチレンオキサイド基を有するブロック共重合体(以下、「第1の樹脂」とする)を水不溶性色材の分散剤として用いることが有効であることがわかった。すなわち、第1の樹脂を含有するインクとすれば、該インクは保存安定性に優れたものとなる。さらに、指などで画像を擦っても色材が削れ落ちることがないレベルの耐擦過性であれば、該インクによって十分に満足できる画像を得ることができる。しかし、上記の第1の樹脂だけを含有するインクの場合には、本発明が目的とする、前記したシルボン紙などの表面が粗いもので画像を擦った場合にも色材が削れ落ちることがない、高いレベルの耐擦過性を満足する画像を得ることはできなかった。すなわち、水不溶性色材と第1の樹脂との相性、インク中における第1の樹脂の含有量、さらには、水溶性有機溶剤と第1の樹脂との相性などをいくら考慮して検討しても、上記した、より高いレベルの耐擦過性の画像は得られなかった。
本発明者らは、第1の樹脂だけを含有するインクを用いても、本発明が目的とする高いレベルの耐擦過性を有する画像が得られない理由を、下記のように推測している。本発明者らの検討によれば、画像の耐擦過性をより向上するためには、インク中の樹脂が、インク中の水性媒体と共に記録媒体の内部に浸透せずに、記録媒体上に残って造膜することが必要である。そこで、本発明者らは、樹脂が記録媒体上に残るための条件として、樹脂の酸価に着目して検討を行った。その結果、先ず、酸価が90mgKOH/g以上230mgKOH/g以下である樹脂を用いた場合には、該樹脂が記録媒体上に比較的残りやすいことを見出した。しかし、その一方で、前記した第1の樹脂のように、樹脂を構成するモノマーがエチレンオキサイド基を有する場合は、このエチレンオキサイド基の影響により記録媒体上に形成された膜の強度が弱くなることがわかった。このため、このような樹脂を含んで形成された画像では、摩擦力が大きいシルボン紙などで擦った場合に色材が削れ落ちるという現象が生じるものと考えられる。
上記した現状に対し、本発明者らは、形成した画像の耐擦過性をより向上することを目的として、前記した第1の樹脂と共にインクに含有させる第2の樹脂について検討を行った。そして、上記の検討結果に鑑み、樹脂の酸価が90mgKOH/g以上230mgKOH/g以下であり、上記したエチレンオキサイド基を有する樹脂のように膜の強度を低下させない樹脂を、第2の樹脂として選択することにした。さらに、本発明者らは、耐擦過性とは別の画像に対して要求される課題として、下記の問題をも解決する必要があるとの認識を持つに至った。すなわち、前記した酸価が120mgKOH/g以上180mgKOH/g以下である第1の樹脂を含有するインクを用いて、表面がコーティングされた記録媒体に形成した画像では、タッキングという課題が生じる。画像のタッキングについての問題は、これ迄にさほど認知されていない課題であると言える。そこで本発明者らは、画像の耐擦過性に優れ、かつタッキングを起こさない樹脂についての検討を行った。その結果、先ず、酸価が150mgKOH/gを超えて230mgKOH/g以下である樹脂を前記した第1の樹脂と組み合わせて用いることで、本発明の目的を達成できると考えた。
しかし、本発明者らの詳細な検討の結果、上記した条件を満足する樹脂であるにも関わらず、第1の樹脂と組み合わせる樹脂の種類によっては、これらの樹脂が本来有する特性が発揮されない場合があるという、新たな課題が発生することがわかった。すなわち、本発明が目的とする高いレベルの画像の耐擦過性が得られる樹脂として、酸価が150mgKOH/gを超えて230mgKOH/g以下である樹脂と、前記した第1の樹脂とを併有したインクは、場合によっては下記のような樹脂の性能低下を生じる。酸価が150mgKOH/gを超えて230mgKOH/g以下である樹脂が本来有する画像に対する耐擦過性付与の能力が失われるだけでなく、第1の樹脂の添加により得られるはずのインクの保存安定性までもが低下する場合があることがわかった。
そこで、本発明者らは、上記した現象が起こる原因についてさらに検討を行った。その結果、併用する樹脂同士の相溶性の程度によって、それぞれの樹脂の能力が十分に発揮されない場合があることがわかった。すなわち、互いの樹脂の相溶性が小さすぎると、互いの能力を打ち消し合う場合があり、それぞれの樹脂が持っている本来の性能の全てを得られない場合があることがわかった。
上記したことを踏まえて、本発明者らは、本発明のインクを構成する第2の樹脂として、本発明が目的とする高いレベルの画像の耐擦過性を実現できる特性を有し、さらに、第1の樹脂との相溶性がある樹脂を選択すべく、検討を行うことにした。具体的には、複数の樹脂における、互いの樹脂の相溶性を示す指標の1つとして、複数の樹脂を混合した際のガラス転移温度(Tg)により、樹脂同士の相溶性を判定する方法を用いることにした。この方法の概要を下記に示す。
先ず、2種類の樹脂を混合して得られるであろう樹脂のガラス転移温度を、下記のFoxの式により算出する(以下、「理論Tg」とする)。なお、第1の樹脂と組み合わせて用いる樹脂を、ここでは第2の樹脂とする。
理論Tg=Tg2×Tg1/(w1×Tg2+w2×Tg1)
(Tg1:第1の樹脂の実測Tg、Tg2:第2の樹脂の実測Tg、w1:第1の樹脂の質量比率、w2:第2の樹脂の質量比率)
次に、示差走査熱量計(DSC)を用いて、実際に混合した樹脂のガラス転移温度(以下、「実測Tg」とする)を測定する。このとき、上記で得られた理論Tgと実測Tgを比較する。そして、これらの値の差が小さい程、樹脂同士の相溶性が高いと判定する。
本発明者らは、詳細な検討の結果、上記のようにして得られる理論Tgと実測Tgの差が15℃以下である場合に、「互いの樹脂は比較的相溶性を有する」と判定した。そして、本発明者らは、上記した指標に基づき、酸価が150mgKOH/gを超えて230mgKOH/g以下であり、かつ、第1の樹脂と相溶性がある樹脂について検討を行った。その結果、モノマーとして(メタ)アクリル酸を有する樹脂が、前記した第1の樹脂と最も相溶性があることがわかった。そこで、本発明の水性インクでは、樹脂の酸価が150mgKOH/gを超えて230mgKOH/g以下であり、かつ、樹脂を構成するモノマーが(メタ)アクリル酸を含む樹脂を、「第2の樹脂」として使用することとした。
前記した第1の樹脂と併用する第2の樹脂を、モノマーとして(メタ)アクリル酸を有するものとすることで、第1の樹脂との相溶性が高まる理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推測している。第1の樹脂のエチレンオキサイド基は、金属イオンを捕捉する効果があると考えられる。一方、モノマーとして(メタ)アクリル酸を有する第2の樹脂は、塩基などで中和して溶解する際に、(メタ)アクリル酸のカルボキシル基の水素が、カウンターイオン(金属イオン)に置換される。この結果、かかる金属イオンを介して、第1の樹脂と第2の樹脂が接近することで、相溶性が高まるものと考えられる。
なお、上記に説明したように、本発明が、従来の技術と異なる最大のポイントは下記の2点である。1点目は、異なる特性を有する複数の樹脂を含有するインクという構成において、これらの複数の樹脂が、インク中の色材に対して異なる機能を有する、すなわち、機能分離という新たな発想に基づいていることである。2点目は、前記した機能分離を十分に作用させるために、互いの樹脂の相溶性に着目して樹脂の組み合わせを選択していることである。
本発明者らの更なる検討の結果、タッキング性に大きく関与する第2の樹脂が、さらに下記の要件を満足する場合に、より優れた効果が得られることがわかった。具体的には、樹脂を構成するモノマーの各溶解度パラメーターより算出される樹脂の水素結合項(δh)が、3.2J0.5/cm1.5より大きく5.5J0.5/cm1.5より小さいことが特に好ましいことがわかった。溶解度パラメーターより算出される第2の樹脂の水素結合項(δh)が上記した範囲であることで、タッキング性がさらに向上する理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推測している。この水素結合項は、樹脂中にある水素結合に由来するものであり、樹脂の水素結合項が大きくなれば、樹脂と水との親和性が高くなる傾向がある。このため、水素結合項が大きい樹脂を含有するインクを用いて形成した画像は、記録物を重ねて置くような場合でも、樹脂と水の相互作用が強く、クッションのような役割を果たすため、画像の剥離が起こりにくくなる。なお、上記した現象は、高温多湿(例えば、温度30℃、湿度80%)の環境に記録物を放置するような場合により顕著に表れる。一方、溶解度パラメーターより算出される樹脂の水素結合項(δh)が、5.5J0.5/cm1.5以上である場合は、水との相互作用が強くなりすぎるため、耐擦過性が低下する傾向があることがわかった。このことを考慮すると、本発明における、第2の樹脂の、溶解度パラメーターより算出される水素結合項(δh)が、3.2J0.5/cm1.5より大きく5.5J0.5/cm1.5より小さいことが好ましい。
なお、本発明における溶解度パラメーターより算出される樹脂の水素結合項(δh)は、以下の方法により求めることができる。先ず、溶解度パラメーターは、電子分布の一次的な偏りに起因する分散力項(δd)、双極子モーメントより発生する引斥力に起因する極性項(δp)、活性水素や孤立電子対により発生する水素結合に起因する水素結合項(δh)にわけられる。そして、溶解度パラメーターより算出される樹脂の水素結合項(δh)は、Krevelenの提案した、有機分子を原子団として取り扱った原子団総和法により求めることができる。(Krevelen、Properties of Polymer2nd Edition、New York,154(1976)参照。)。具体的には、先ず、モルあたりの分散力パラメーターFdi、モルあたりの極性力パラメーターFpi、モルあたりの水素結合力パラメーターFhiから、溶解度パラメーターの分散力項(δd)、極性項(δp)、水素結合項(δh)を求める。次に、これらの値を使用することで、下記式のようにして、溶解度パラメーター(δ)を求めることができる。
δd=(ΣFdi)/V
δp=(ΣFpi)/V
δh=(ΣFhi)/V
δ=(δd2+δp2+δh21/2
(Vは求める原子団のモル体積の和である。)
本発明の水性インクにおいて、第1の樹脂と第2の樹脂との相溶性をより高めるためには、下記のような構成とすることが好ましい。第1の樹脂を構成するエチレンオキサイド基の、第1の樹脂全質量を基準とした割合(エチレンオキサイド基の質量/第1の樹脂の全質量)は、10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。エチレンオキサイド基の割合が10質量%未満であると、ノニオン性基による水不溶性色材の分散への寄与の程度が下がり、保存安定性が低下する場合があるので好ましくない。一方、エチレンオキサイド基の割合が50質量%を超えると、樹脂と水との親和性が高まり、樹脂のインク中における含有量によっては耐擦過性やタッキング性が低下する場合があるので好ましくない。
また、第1の樹脂及び第2の樹脂のインク全質量を基準とした含有量(質量%)の合計が、インク中における水不溶性色材のインク全質量を基準とした含有量(質量%)に対して、0.20倍以上、さらには0.50倍以上であることが好ましい。すなわち、(第1の樹脂+第2の樹脂)/水不溶性色材=0.20以上、さらには0.50以上であることが好ましい。インク中における樹脂の含有量の合計を上記した範囲とすることで、樹脂が記録媒体上に存在する水不溶性色材の凝集体を十分包含することができるようになるため、画像の耐擦過性をより向上させることができる。ただし、インク中における樹脂の含有量が多くなり過ぎると、インクの吐出性が低下する傾向があることから、インク中における第1の樹脂及び第2の樹脂の含有量の合計は、下記のようにすることが好ましい。第1の樹脂及び第2の樹脂のインク全質量を基準とした含有量(質量%)の合計が、前記水不溶性色材のインク全質量を基準とした含有量(質量%)に対して、5.0倍以下、さらには4.4倍以下であることが好ましい。すなわち、(第1の樹脂+第2の樹脂)/水不溶性色材=5.0以下、さらには4.4以下であることが好ましい。
さらに、第1の樹脂及び第2の樹脂のインク全質量を基準とした含有量(質量%)の合計が、0.54質量%以上、さらには0.60質量%以上であることが好ましい。ただし、インク中における樹脂の含有量が大きくなり過ぎると、吐出安定性が低下する傾向がある。このことから、第1の樹脂及び第2の樹脂のインク全質量を基準とした含有量(質量%)の合計が、11.0質量%以下、さらには10.0質量%以下であることが好ましい。勿論、本発明の目的をすべて満足することができれば、上記した範囲に限られるものではない。
[水性インク]
以下、本発明の水性インク(単に「インク」と呼ぶことがある)を構成する各成分について説明する。
<第1の樹脂>
第1の樹脂は、酸価が120mgKOH/g以上180mgKOH/g以下であり、かつ、ノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するブロック共重合体であることが必要である。特に、分散剤としての安定性の観点から、第1の樹脂は、ノニオン性基の他に、カルボン酸などのアニオン性基を有するものであることが好ましい。このとき、樹脂中におけるアニオン性基の含有量は、第1の樹脂の酸価が、120mgKOH/g以上180mgKOH/g以下の範囲内となるものであることを要す。
ブロック共重合体を得る方法は、例えば、n−ブチルリチウムなどを重合開始剤とするリビングアニオン重合法、マクロモノマーと他のモノマーとの重合による方法、グループトランスファー重合などが挙げられる。勿論、本発明はこれらに限られるものではない。
第1の樹脂を構成するモノマーは、ノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有していれば、それ以外のモノマーはいずれのものも用いることができる。エチレンオキサイド基以外のモノマーは、例えば、以下のものを用いることができる。スチレン、o−メチルスチレンなどのスチレン類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;ポリオキシエチレンなどのノニオン性基を有する(メタ)アクリルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などのアニオン性基を有する不飽和基を有するモノマー、などが挙げられる。
第1の樹脂を構成するエチレンオキサイド基の、第1の樹脂全質量を基準とした割合(エチレンオキサイド基の質量/第1の樹脂の全質量)は、10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。第1の樹脂中におけるエチレンオキサイド基の割合が10質量%未満であると、樹脂中のノニオン性基による水不溶性色材の分散への寄与の程度が下がり、インクの分散安定性が低下する場合があるので好ましくない。一方、第1の樹脂中におけるエチレンオキサイド基の割合が50質量%を超えると、樹脂と水との親和性が高まり、インク中における樹脂の含有量によっては、画像の耐擦過性やタッキング性が低下する場合がある。
第1の樹脂及び第2の樹脂の、より高い相溶性を得ることを考慮すると、第1の樹脂が下記のブロック共重合体であることが好ましい。すなわち、ノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有する、スチレン−アクリル酸ブロック共重合体であることが特に好ましい。さらには、前記ブロック共重合体の酸価が150程度、エチレンオキサイド基の含有量が23.0質量%程度であることが特に好ましい。勿論、本発明はこれに限られるものではない。
本発明で用いる第1の樹脂は、その重量平均分子量が、3,000以上100,000以下のものであることが好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、十分な分散安定性が得られない場合がある。一方、重量平均分子量が100,000を超えるものであると、吐出安定性が低下する場合がある。
さらに、本発明で用いる第1の樹脂は、インクが含有する樹脂の中で、相対的に水不溶性色材の分散に寄与する特性の樹脂であることが好ましい。また、第1の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上4.5質量%以下、さらには1.0質量%以上3.5質量%以下であることが好ましい。また、水不溶性色材のインク全質量を基準とした含有量(質量%)に対する、第1の樹脂のインク全質量を基準とした含有量(質量%)(第1の樹脂の含有量/水不溶性色材の含有量)が、0.20倍以上、さらには0.50倍以上であることが好ましい。また、水不溶性色材のインク全質量を基準とした含有量(質量%)に対する、第1の樹脂のインク全質量を基準とした含有量(質量%)(第1の樹脂の含有量/水不溶性色材の含有量)が、2.0倍以下、さらには1.8倍以下であることが好ましい。これらを上記した範囲とすることで、インク中の水不溶性色材の分散安定性をより高めることができ、インクの保存安定性もより高めることができるためである。
なお、本発明において、インク中の第1の樹脂が、併用する他の樹脂よりも相対的に水不溶性色材の分散に寄与するか否かの判断は、以下の方法によって行うことができる。先ず、インクを遠心分離することで、沈降分として水不溶性色材を含む成分と、上澄み分である水溶性の成分とに分け、水不溶性色材を含む成分中に存在する樹脂の分析を下記のようにして行う。遠心分離により分離された水不溶性色材を含む成分を再度、水に分散して、これに塩酸などを加えて酸析を行う。析出物を遠心分離やろ過などにより分離して、固形物を得る。この固形物について、テトラヒドロフラン(THF)などの有機溶剤でソックスレー抽出を行い、樹脂を得る。そして、得られた樹脂をNMR測定などにより分析する。このような方法により、どの樹脂が水不溶性色材に相対的に多く吸着していたかを決定し、どの樹脂が相対的に水不溶性色材の分散に寄与していたかを判断することができる。
<第2の樹脂>
本発明で使用する第2の樹脂は、酸価が150mgKOH/gを超えて230mgKOH/g以下であり、かつ、モノマーが(メタ)アクリル酸を含む樹脂であることが必要である。前記した条件を満たせば、第2の樹脂を構成するモノマー及びモノマーの比率などは特に制限なく、適宜決定することができる。
(メタ)アクリル酸以外のモノマーは、具体的には、以下のものを用いることができる。芳香族モノマー、アクリル酸エステル系モノマー、メタクリル酸エステル系モノマー、アニオン性基含有モノマー、ポリエチレンオキサイド基含有モノマー、炭化水素系モノマーなどが挙げられる。中でも特に、スチレン、ベンジルメタクリレート;メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート;アクリル酸、メタクリル酸などを用いることが好ましい。
先述したように、第2の樹脂の、該樹脂を構成するモノマーの溶解度パラメーターより算出される水素結合項(δh)は、3.2J0.5/cm1.5より大きく5.5J0.5/cm1.5より小さいことが好ましい。水素結合項を上記した範囲とすることで、画像の剥離が起こりにくく、優れた耐擦過性を得ることができる。
なお、本発明における、溶解度パラメーターより算出される樹脂の水素結合項(δh)は、下記のようにして求めた値である。先ず、前記したようにして、対象とする樹脂を構成する各モノマーについて、それぞれ固有の溶解度パラメーターより算出される水素結合項(δh)を求める。次に、得られた各モノマーについての水素結合項(δh)の値に、樹脂を構成する各モノマーの組成(質量)比(合計を1とした組成比)をかけた値をそれぞれ求める。そして最後に、得られた値を足し合わせることで、樹脂の溶解度パラメーターより算出される水素結合項(δh)を求める。
本発明で使用する第2の樹脂の重量平均分子量は、3,000以上20,000以下であることが好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、十分な耐擦過性が得られない場合がある。一方、重量平均分子量が20,000を超えると、インクジェット用インクとして用いる場合に、インクの粘度が高くなるため、インクの吐出安定性が低下する場合があるので好ましくない。
第1の樹脂及び第2の樹脂がより高い相溶性を得ること、さらには、画像の耐擦過性をより向上させることを考慮すると、第2の樹脂がモノマーとして、スチレン、n−ブチルアクリレート、又はアクリル酸を有することが好ましい。このとき、第2の樹脂を構成するモノマーの中で、スチレンの、第2の樹脂全質量を基準とした含有量(スチレン/第2の樹脂)が、5質量%以上70質量%未満、さらには20質量%以上70質量%未満であることが好ましい。また、第2の樹脂を構成するモノマーの中で、n−ブチルアクリレートの含有量が、第2の樹脂全質量を基準として(n−ブチルアクリレート/第2の樹脂)、10質量%以上65質量%未満、さらには20質量%以上40質量%未満であることが好ましい。また、第2の樹脂を構成するモノマーの中で、アクリル酸の含有量が、第1の樹脂全質量を基準として(アクリル酸/第2の樹脂)、15質量%以上40質量%未満、さらには25質量%以上40質量%未満であることが好ましい。勿論、本発明はこれに限られるものではない。
さらに、第2の樹脂は、インクが含有する樹脂の中で、相対的に水不溶性色材分散への寄与が第1の樹脂よりも低い、すなわち、第2の樹脂がインクの水性媒体中に多く存在し、画像の耐擦過性向上への寄与が大きいことが好ましい。
第2の樹脂のインク中における含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上5.5質量%以下、さらには2.0質量%以上3.0質量%であることが好ましい。第2の樹脂の含有量を上記した範囲とすることで、水不溶性色材の分散破壊やインクの粘度の上昇による保存安定性や吐出安定性の低下を抑制することができる。また、水不溶性色材のインク中におけるインク全質量を基準とした含有量(質量%)に対する、第2の樹脂のインク全質量を基準とした含有量(質量%)(第2の樹脂の含有量/水不溶性色材の含有量)が、0.10倍以上であることが好ましい。さらには、(第2の樹脂の含有量/水不溶性色材の含有量)が、0.30倍以上であることが好ましい。また、水不溶性色材のインク全質量を基準とした含有量(質量%)に対する、第2の樹脂のインク全質量を基準とした含有量(質量%)(第2の樹脂の含有量/水不溶性色材の含有量)が、2.4倍以下、さらには2.2倍以下であることが好ましい。
<水性媒体>
本発明の水性インクには、上記した樹脂及び水不溶性色材に加えて、これらを溶解又は分散させる目的で、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、以下に挙げるようなものを用いることができる。これらの水溶性有機溶剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなどの炭素数1乃至4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基の炭素数2乃至6のアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。
水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
<水不溶性色材>
本発明の水性インクに含有させる水不溶性色材としては、分散剤を用いて分散することができる水不溶性色材を使用することができる。例えば、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機顔料、フタロシアニン、キナクドリンなどの有機顔料、カーボンブラックなどを用いることができる。水性インク中の水不溶性色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには0.2質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
ブラックインクには、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラックを顔料として用いることが好ましい。具体的には、例えば、以下の市販品などを用いることができる。
レイヴァン:1170、1190ULTRA−II、1200、1250、1255、1500、2000、3500、5000ULTRA、5250、5750、7000(以上、コロンビア製);ブラックパールズL、リーガル:330R、400R、660R、モウグルL、モナク:700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、2000、ヴァルカンXC−72R(以上、キャボット製);カラーブラック:FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリンテックス:35、U、V、140U、140V、スペシャルブラック:6、5、4A、4(以上、デグッサ製);No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学製)などである。
また、新たに調製したカーボンブラックを用いることもできる。勿論、本発明はこれらに限定されるものではなく、従来のカーボンブラックをいずれも用いることができる。また、カーボンブラックに限定されず、マグネタイト、フェライトなどの磁性体微粒子や、チタンブラックなどを顔料として用いてもよい。
カラーインクには、有機顔料を顔料として用いることが好ましい。具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの水不溶性アゾ顔料;リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの水溶性アゾ顔料;アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料;ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料;イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料;ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッドなどのイミダゾロン系顔料;ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料;インジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料;フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットなどである。勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで示すと、例えば、以下のものを用いることができる。C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、97、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、150、151、153、154、166、168、180、185など;C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61、71など;C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272など;C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50など;C.I.ピグメントブルー:15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64など;C.I.ピグメントグリーン:7、36など;C.I.ピグメントブラウン:23、25、26などが挙げられる。勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
<分散剤>
顔料を水性媒体に分散するための分散剤には、高分子分散剤を用いることが好ましい。高分子分散剤には、先に説明した第1の樹脂を用いることが好ましい。しかし、これらを用いることによる効果が得られ、かつ本発明の効果を損なわない範囲で、先に説明した第2の樹脂や、それ以外の樹脂を用いてもよい。先に説明したもの以外の樹脂を高分子分散剤として用いる場合、該高分子分散剤の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下、さらには3,000以上7,000以下であることが好ましい。高分子分散剤を構成するモノマーとしては、具体的には、以下のものが挙げられるが、これらのうち少なくとも2つのモノマーで構成される樹脂が挙げられる。このとき、少なくともモノマーの1つが親水性のモノマーであることが好ましい。高分子分散剤を構成するモノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルナフタレン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル;アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール酸、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、又はこれらの誘導体などが挙げられる。また、樹脂の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩などが挙げられる。さらに、ロジン、シェラック、デンプンなどの天然樹脂を用いてもよい。これらの樹脂は、塩基を溶解した水溶液に可溶であり、アルカリ可溶型樹脂である。
<その他の成分>
本発明の水性インクには、上記した成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの保湿性固形分を含有してもよい。水性インク中の保湿性固形分の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下、さらには3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
さらに、本発明のインクを調製する場合には、所望の物性値を有する水性インクとするために、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。特に、前記界面活性剤には、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤などの界面活性剤を用いることができる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノール類、アセチレングリコール化合物類、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物類などを用いることができる。本発明においては、界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物類を用いることが特に好ましい。
[インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置]
本発明のインクを使用することができるインクジェット記録装置の一例について以下に説明するが、本発明のインクは、いずれの方式のインクジェット記録方法にも適用できる。先ず、熱エネルギーを利用したインクジェット記録方式のインクジェット記録装置について説明する。該装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図1及び図2に示した。図1は、インク流路に沿った記録ヘッド13の断面図であり、図2は図1のA−B線での切断面図である。記録ヘッド13はインク流路(ノズル)14を有する部材と発熱素子基板15とで構成される。発熱素子基板15は、保護層16、電極17−1及び17−2、発熱抵抗体層18、蓄熱層19、基板20で構成される。
記録ヘッド13の電極17−1及び17−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているインク21に気泡が発生する。そして、気泡の圧力でメニスカス23が突出し、インク21はインク滴24として、ノズル14の吐出口22から記録媒体25に向かって吐出される。
図3は、図1に示した記録ヘッドを多数並べたマルチヘッドの一例の外観図である。マルチヘッドは、マルチノズル26を有するガラス板27と、図1と同様の記録ヘッド28で構成される。
図4は、上記で説明したような記録ヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。ブレード61はワイピング部材であり、その一端はブレード保持部材によって保持されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
62は記録ヘッド65の吐出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様に、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。吐出回復部64は、ブレード61、キャップ62、及びインク吸収体63で構成される。ブレード61及びインク吸収体63によって吐出口面の水分、塵埃などの除去が行われる。
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びそれに隣接した領域の移動が可能となる。
51は記録媒体を挿入する紙給部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。これらの構成により記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ記録媒体が給紙され、記録の進行につれて排紙ローラー53を有する排紙部へ排紙される。記録ヘッド65による記録が終了して、記録ヘッドがホームポジションへ戻る際に、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。このようにして、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。
キャップ62が記録ヘッド65の吐出口面に当接してキャッピングを行う際には、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する際には、キャップ62及びブレード61は、上記したワイピングの際と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間にも、所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴ってもワイピングが行われる。
図5は、記録ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジの一例を示す図である。ここで40は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクを記録ヘッドに供給可能にする。44は廃インクを受容するインク吸収体である。
本発明のインクは、記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図6に示すように、それらが一体になったインクジェット記録装置にも好適に用いることができる。図6において、70は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、インク吸収体中のインクが複数の吐出口を有する記録ヘッド部71からインク滴として吐出される。また、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネなどを仕込んだインク袋であるような構造でもよい。72はカートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は図4に示す記録ヘッド65に換えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
本発明のインクは、上記で説明したインクジェット記録方式の記録装置に限らず、インクの吐出に力学的エネルギーを利用した記録ヘッドを有するインクジェット記録装置にも好ましく用いることができる。次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置について説明する。該装置は、複数のノズルを有するノズル形成基板、圧電材料と導電材料で構成される圧力発生素子、圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インク滴を吐出口から吐出する記録ヘッドを有することが特徴である。図7は記録ヘッドの構成の一例を示す模式図である。記録ヘッドは、インク室に連通するインク流路80、オリフィスプレート81、インクに圧力を作用させる振動板82、振動板82に接合されて電気信号により変位する圧電素子83、オリフィスプレート81や振動板82などを支持固定する基板84で構成される。この記録方式では、圧電素子83にパルス状の電圧を与えることで発生した歪み応力は、圧電素子83に接合された振動板を変形させ、インク流路80内のインクを加圧することで、オリフィスプレート81の吐出口85からインク滴を吐出する。このような記録ヘッドは、図2と同様のインクジェット記録装置に組み込んで用いることができる。
以下、実施例、比較例及び参考例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<インクの調製>
下記に示す手順で、実施例、比較例、及び参考例の各インクを調製した。なお、カーボンブラックは、平均粒子径95nmのものを用いた。使用したアセチレノールEHは、川研ファインケミカル製の界面活性剤であり、その具体的な構造はアセチレングリコールエチレンオキサイド付加物である。また、BC20は、日本サーファクタント工業製のポリオキシエチレンアルキルエーテル系の界面活性剤である。また、δhは、樹脂の、該樹脂を構成するモノマー固有の溶解度パラメーターより算出される水素結合項(単位:J0.5/cm1.5)を示す。また、樹脂の酸価の単位は特に断りのない限り「mgKOH/g」である。
[実施例1]
本実施例では、第1の樹脂として、ノニオン性基としてエチレンオキサイド(EO)基を有するスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体を用いた。該ブロック共重合体は、酸価150、重量平均分子量6,500、エチレンオキサイド基の含有量19質量%である。なお、メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレートは、モノマー1つ当たりにエチレンオキサイド基を3つ有するものを用い、表中、MA(EO)と略記した。
また、第2の樹脂として、スチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体を固形分濃度15質量%として含む樹脂溶液を用いた。該共重合体は、酸価175、スチレン/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=55/20/25(質量比)、δh=2.1、重量平均分子量8,200である。
上記第1の樹脂でカーボンブラックを分散した顔料分散液を16.7質量%、上記第2の樹脂を16.7質量%、グリセリン5.0質量%、エチレン尿素9.0質量%、BC20を1.5質量%、アセチレノールEH0.5質量%をインク成分とした。そして、残部は水を加えて全量が100質量%になるように調整した。上記で用いた顔料分散液は、顔料濃度15質量%、第1の樹脂の固形分濃度7.5質量%である。さらに、上記の成分をよく混合した後、濾過を行って、インク1を得た。なお、該インク中における色材(カーボンブラック)の含有量は2.5質量%である。また、該インク中における第1の樹脂の含有量は1.25質量%である。また、該インクを構成する色材(カーボンブラック)と、第1の樹脂の比は、第1の樹脂/色材=0.50である。さらに、該インク中における第2の樹脂の含有量は2.5質量%であり、色材と第2の樹脂の比は、第2の樹脂/色材=1.0である。本実施例のインクを構成する色材(カーボンブラック)と、第1及び第2の樹脂の合計量との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
なお、上記で用いた樹脂は、あらかじめ水酸化カリウムでカルボン酸に対して当量で中和したものを使用した。また、以下の実施例、比較例、及び参考例において、インク中における樹脂の含有量の変更は、顔料分散液又は樹脂溶液中の樹脂の固形分濃度を変えることで行った。
上記で調製したインク1について、下記の試験を行った。インク1を遠心分離(20,000rpm、2時間)して色材を分離し、沈降分を回収し、水中に該沈降分を再分散し、顔料を含む分散液を得た。該分散液に、pHが2以下となるまで塩酸水溶液を加えて、凝集物を回収した。該凝集物をテトラヒドロフラン(THF)でソックスレー抽出を行い、THFを留去し、樹脂成分を得た。得られた樹脂成分についてNMR測定を行った。その結果、スチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体と比較して、ノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するスチレン−アクリル酸ブロック共重合体が多く検出された。このことから、インク1には、2種類の樹脂が含有されているが、顔料分散液の構成成分に用いたエチレンオキサイド基を有するスチレン−アクリル酸ブロック共重合体(第1の樹脂)が主に顔料に吸着した状態にあったことが確認された。
なお、実施例1で第1の樹脂として用いたブロック共重合体は、下記のようにしてリビングラジカル重合法により合成した。先ず、メタノールを十分に脱気して、水分を除去したのち、液体窒素で冷却し、これに、スチレン、ナトリウムの順に添加し、続いてメトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート、アクリル酸の順に加えて、ブロック共重合体を得た。合成に用いたモノマー組成は、スチレン/メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート/アクリル酸=46/35/19(質量比)である。得られた共重合体は、酸価150、重量平均分子量6,500、エチレンオキサイド基の含有量19質量%である。
[実施例2]
実施例1で用いた第1の樹脂を、下記のノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のインクを得た。本実施例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体は、酸価120、重量平均分子量6,500、エチレンオキサイド基の含有量19質量%である。インク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、インク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例3]
実施例1で用いた第1の樹脂を、下記のノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のインクを得た。本実施例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体は、酸価180、重量平均分子量7,000、エチレンオキサイド基の含有量19質量%である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例4]
実施例1で用いた第1の樹脂を下記のノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するブロック共重合体に代え、第2の樹脂を下記のスチレン−メタクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4のインクを得た。本実施例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体は、酸価150、重量平均分子量7,000、エチレンオキサイド基の含有量9質量%である。インク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−メタクリル酸共重合体は、酸価181、スチレン/メタクリル酸=70/30(質量比)、重量平均分子量5,000、δh=1.6である。また、インク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例5]
実施例4で用いた第1の樹脂を、下記のノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例5のインクを得た。本実施例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体は、酸価150、重量平均分子量8,000、エチレンオキサイド基の含有量10質量%である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例6]
実施例4で用いた第1の樹脂を、下記のノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例6のインクを得た。本実施例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体は、酸価150、重量平均分子量6,800、エチレンオキサイド基の含有量20質量%である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例7]
実施例4で用いた第1の樹脂を、下記のノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例7のインクを得た。本実施例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体は、酸価150、重量平均分子量5,500、エチレンオキサイド基の含有量40質量%である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例8]
実施例4で用いた第1の樹脂を、下記のノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例8のインクを得た。本実施例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体は、酸価150、重量平均分子量5,500、エチレンオキサイド基の含有量44質量%である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例9]
実施例1で用いた第1の樹脂を下記のノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体に代え、第2の樹脂を下記のスチレン−アクリル酸共重合体に代えた。これ以外は、実施例1と同様にして、実施例9のインクを得た。本実施例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体は、酸価150、重量平均分子量2,700、エチレンオキサイド基の含有量19質量%である。また、インク中における第1の樹脂の含有量は実施例1の場合と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−アクリル酸共重合体は、酸価214、スチレン/アクリル酸=68/32(質量比)、重量平均分子量10,200、δh=1.9である。また、インク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例10]
実施例9で用いた第1の樹脂を、下記のノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体に代えたこと以外は、実施例9と同様にして、実施例10のインクを得た。本実施例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体は、酸価150、重量平均分子量3,000、エチレンオキサイド基の含有量19質量%である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例11]
実施例9で用いた第1の樹脂を、下記のノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体に代えたこと以外は、実施例9と同様にして、実施例11のインクを得た。本実施例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体は、酸価150、重量平均分子量100,000、エチレンオキサイド基の含有量19質量%である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例12]
実施例9で用いた第1の樹脂を、下記のノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体に代えたこと以外は、実施例9と同様にして、実施例12のインクを得た。本実施例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体は、酸価150、重量平均分子量110,000、エチレンオキサイド基の含有量19質量%である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例13]
実施例1で用いた第1の樹脂の含有量を0.090質量%に変え、第2の樹脂を下記のスチレン−n−ブチルアクリレート−メタクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例13のインクを得た。本実施例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体は、実施例1で使用したと同様に、酸価150、重量平均分子量6,500、エチレンオキサイド基の含有量19質量%である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は0.090質量%であり、第1の樹脂/色材=0.036である。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−n−ブチルアクリレート−メタクリル酸共重合体は、酸価162、スチレン/n−ブチルアクリレート/メタクリル酸=30/40/30(質量比)、重量平均分子量7,800、δh=3.0である。また、インク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.036である。
[実施例14]
実施例13で用いた第1の樹脂のインク中における含有量を0.10質量%に変えたこと以外は、実施例13と同様にして、実施例14のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は0.10質量%であり、第1の樹脂/色材=0.040である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.040である。
[実施例15]
実施例13で用いた第1の樹脂のインク中における含有量を4.5質量%に変えたこと以外は、実施例13と同様にして、実施例15のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は4.5質量%であり、第1の樹脂/色材=1.8である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=2.8である。
[実施例16]
実施例13で用いた第1の樹脂のインク中における含有量を5.0質量%に変えたこと以外は、実施例13と同様にして、実施例16のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は5.0質量%であり、第1の樹脂/色材=2.0である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=3.0である。
[実施例17]
実施例1で使用した第2の樹脂を、下記のスチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例17のインクを得た。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体は、酸価153、スチレン/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=59/20/21(質量比)、重量平均分子量8,200、δh=1.9である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例18]
実施例1で使用した第2の樹脂を、下記のスチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例18のインクを得た。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体は、酸価230、スチレン/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=46/20/34(質量比)、重量平均分子量13,000、δh=2.7である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例19]
実施例1で使用した第2の樹脂を、下記のスチレン−エチルアクリレート−アクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例19のインクを得た。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−エチルアクリレート−アクリル酸共重合体は、酸価198、スチレン/エチルアクリレート/アクリル酸=36/32/32(質量比)、重量平均分子量12,300、δh=3.1である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例20]
実施例1で使用した第2の樹脂を、下記のスチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例20のインクを得た。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体は、酸価200、スチレン/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=30/35/35(質量比)、重量平均分子量11,800、δh=3.2である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例21]
実施例1で使用した第2の樹脂を、下記のシクロヘキシルアクリレート−アクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例21のインクを得た。本実施例で使用した第2の樹脂であるシクロヘキシルアクリレート−アクリル酸共重合体は、酸価220、シクロヘキシルアクリレート/アクリル酸=65/35(質量比)、重量平均分子量9,000、δh=4.2である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例22]
実施例1で使用した第2の樹脂を、下記のスチレン−ヒドロキシエチルアクリレート−アクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例22のインクを得た。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−ヒドロキシエチルアクリレート−アクリル酸共重合体は、酸価189、スチレン/ヒドロキシエチルアクリレート/アクリル酸=20/40/40(質量比)、重量平均分子量4,200、δh=5.5である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例23]
実施例1で使用した第2の樹脂を、下記のベンジルメタクリレート−ヒドロキシエチルアクリレート−アクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例23のインクを得た。本実施例で使用した第2の樹脂であるベンジルメタクリレート−ヒドロキシエチルアクリレート−アクリル酸共重合体は、酸価210である。また、ベンジルメタクリレート/ヒドロキシエチルアクリレート/アクリル酸=36/32/32(質量比)、重量平均分子量8,700、δh=5.6である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例24]
実施例1で使用した第2の樹脂を、下記のスチレン−アクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例24のインクを得た。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−アクリル酸共重合体は、酸価172、スチレン/アクリル酸=72/28(質量比)、重量平均分子量1,700、δh=1.6である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例25]
実施例1で使用した第2の樹脂を、下記のスチレン−アクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例25のインクを得た。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−アクリル酸共重合体は、酸価172、スチレン/アクリル酸=72/28(質量比)、重量平均分子量3,000、δh=1.6である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例26]
実施例1で使用した第2の樹脂を、下記のスチレン−アクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例26のインクを得た。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−アクリル酸共重合体は、酸価172、スチレン/アクリル酸=72/28(質量比)、重量平均分子量20,000、δh=1.6である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例27]
実施例1で使用した第2の樹脂を、下記のスチレン−アクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例27のインクを得た。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−アクリル酸共重合体は、酸価172、スチレン/アクリル酸=72/28(質量比)、重量平均分子量22,000、δh=1.6である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例28]
実施例1で使用した第2の樹脂を、下記のスチレン−n−ブチルメタクリレート−アクリル酸共重合体に代え、その含有量を0.45質量%に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例28のインクを得た。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−n−ブチルメタクリレート−アクリル酸共重合体は、酸価184、スチレン/n−ブチルメタクリレート/アクリル酸=40/30/30(質量比)、重量平均分子量7,700、δh=2.7である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は0.45質量%であり、第2の樹脂/色材=0.18である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=0.68である。
[実施例29]
実施例28で用いた第2の樹脂のインク中における含有量を0.50質量%に変えたこと以外は、実施例28と同様にして、実施例29のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は0.50質量%であり、第2の樹脂/色材=0.20である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=0.70である。
[実施例30]
実施例28で用いた第2の樹脂のインク中における含有量を5.5質量%に変えたこと以外は、実施例28と同様にして、実施例30のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は5.5質量%であり、第2の樹脂/色材=2.2である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=2.7である。
[実施例31]
実施例28で用いた第2の樹脂のインク中における含有量を6.0質量%に変えたこと以外は、実施例28と同様にして、実施例31のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は6.0質量%であり、第2の樹脂/色材=2.4である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=2.9である。
[実施例32]
実施例1で用いた第1の樹脂の含有量を0.090質量%に変え、第2の樹脂を下記のスチレン−エチルアクリレート−アクリル酸共重合体に代え、その含有量を0.45質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例32のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は0.090質量%であり、第1の樹脂/色材=0.036である。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−エチルアクリレート−アクリル酸共重合体は、酸価179、スチレン/エチルアクリレート/アクリル酸=45/30/25(質量比)、重量平均分子量7,400、δh=2.6である。また、インク中における第2の樹脂の含有量は0.45質量%であり、第2の樹脂/色材=0.18である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=0.22である。
[実施例33]
実施例1で用いた第1の樹脂の含有量を0.10質量%に変え、第2の樹脂として実施例32で用いたスチレン−エチルアクリレート−アクリル酸共重合体を用い、その含有量を0.50質量%とした。これ以外は、実施例1と同様にして、実施例33のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は0.10質量%であり、第1の樹脂/色材=0.040である。また、インク中における第2の樹脂の含有量は0.50質量%であり、第2の樹脂/色材=0.20である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=0.24である。
[実施例34]
実施例1で用いた第1の樹脂の含有量を4.5質量%に変え、第2の樹脂として実施例32で用いたスチレン−エチルアクリレート−アクリル酸共重合体を用い、その含有量を5.5質量%とした。これ以外は、実施例1と同様にして、実施例34のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は4.5質量%であり、第1の樹脂/色材=1.8である。また、インク中における第2の樹脂の含有量は5.5質量%であり、第2の樹脂/色材=2.2である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=4.0である。
[実施例35]
実施例1で用いた第1の樹脂の含有量を4.95質量%に変え、第2の樹脂として実施例32で用いたスチレン−エチルアクリレート−アクリル酸共重合体を用い、その含有量を6.05質量%とした。これ以外は、実施例1と同様にして、実施例35のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は4.95質量%であり、第1の樹脂/色材=1.98である。また、インク中における第2の樹脂の含有量は6.05質量%であり、第2の樹脂/色材=2.4である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=4.4である。
[実施例36]
実施例1で用いた第1の樹脂の含有量を0.225質量%に変え、第2の樹脂を下記のスチレン−メタクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例36のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は0.225質量%であり、第1の樹脂/色材=0.090である。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−メタクリル酸共重合体は、酸価181、スチレン/メタクリル酸=70/30(質量比)、重量平均分子量5,000、δh=1.6である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.09である。
[実施例37]
実施例1の第2の樹脂を、実施例36で使用したと同様のスチレン−メタクリル酸共重合体として、その含有量を1.125質量%に変えた以外は実施例1と同様にして実施例37のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.125質量%であり、第2の樹脂/色材=0.45である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=0.95である。
[実施例38]
実施例1で用いた第1の樹脂の含有量を0.25質量%に変え、第2の樹脂を、実施例36で使用したと同様のスチレン−メタクリル酸共重合体とした以外は実施例1と同様にして実施例38のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は0.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.10である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.1である。
[実施例39]
実施例1の第2の樹脂を、実施例36で使用したと同様のスチレン−メタクリル酸共重合体として、その含有量を1.25質量%に変えた以外は実施例1と同様にして実施例39のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は1.25質量%であり、第2の樹脂/色材=0.50である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.0である。
[実施例40]
実施例1で用いた第1の樹脂の含有量を0.225質量%に変え、第2の樹脂を下記のスチレン−エチルメタクリレート−アクリル酸共重合体として、その含有量を1.125質量%に変えた以外は実施例1と同様にして実施例40のインクを得た。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−エチルメタクリレート−アクリル酸共重合体は、酸価199、スチレン/エチルメタクリレート/アクリル酸=40/29/31(質量比)、重量平均分子量7,300、δh=2.9である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は0.225質量%であり、第1の樹脂/色材=0.090である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は1.125質量%であり、第2の樹脂/色材=0.45である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=0.54である。
[実施例41]
実施例1で用いた第1の樹脂の含有量を0.25質量%に変え、第2の樹脂を、実施例40で使用したと同様のスチレン−エチルメタクリレート−アクリル酸共重合体として、その含有量を1.25質量%に変えた。これ以外は実施例1と同様にして実施例41のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は0.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.10である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は1.25質量%であり、第2の樹脂/色材=0.50である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=0.60である。
[実施例42]
実施例1で用いた第1の樹脂の含有量を4.5質量%に変え、第2の樹脂を、実施例40で使用したと同様のスチレン−エチルメタクリレート−アクリル酸共重合体として、その含有量を5.5質量%に変えた。これ以外は実施例1と同様にして実施例42のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は4.5質量%であり、第1の樹脂/色材=1.8である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は5.5質量%であり、第2の樹脂/色材=2.2である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=4.0である。
[実施例43]
実施例1で用いた第1の樹脂の含有量を4.95質量%に変え、第2の樹脂を、実施例40で使用したと同様のスチレン−エチルメタクリレート−アクリル酸共重合体として、その含有量を6.05質量%に変えた。これ以外は実施例1と同様にして実施例43のインクを得た。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は4.95質量%であり、第1の樹脂/色材=1.98である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は6.05質量%であり、第2の樹脂/色材=2.4である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=4.4である。
[実施例44]
実施例1で使用した第2の樹脂を、下記のスチレン−2−エチルヘキシルアクリレート−アクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例44のインクを得た。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−2−エチルへキシルアクリレート−アクリル酸共重合体は、酸価206、スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸=45/23/32(質量比)である。また、重量平均分子量10,000、δh=2.5である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[実施例45]
実施例1で使用した第2の樹脂を、下記のスチレン−マレイン酸−アクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例44のインクを得た。本実施例で使用した第2の樹脂であるスチレン−マレイン酸−アクリル酸共重合体は、酸価201、スチレン/マレイン酸/アクリル酸=58/34/8(質量比)、重量平均分子量4,500、δh=3.0である。本実施例のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本実施例のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[比較例1]
実施例1で使用した第1の樹脂を、下記のスチレン−アクリル酸ブロック共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のインクを得た。本比較例で使用した第1の樹脂であるスチレン−アクリル酸ブロック共重合体は、酸価150、重量平均分子量7,500である。比較例1のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、比較例1のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[比較例2]
実施例1で使用した第1の樹脂を、下記のノニオン性基としてプロピレンオキサイド基を有するスチレン−メトキシポリプロピレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2のインクを得た。本比較例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリプロピレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体は、酸価150、重量平均分子量7,000である。また、スチレン/メトキシポリプロピレンオキサイドモノメタクリレート/アクリル酸=46/35/19(質量比)である。なお、メトキシポリプロピレンオキサイドモノメタクリレートは、表中、MA(PO)と略記した。比較例2のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、比較例2のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[比較例3]
実施例1で使用した第1の樹脂を、下記のノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3のインクを得た。本比較例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸共重合体は、酸価110、重量平均分子量6,500、エチレンオキサイド基の含有量19質量%である。比較例3のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、比較例3のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[比較例4]
実施例1で使用した第1の樹脂を、下記のノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4のインクを得た。本比較例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体は、酸価190、重量平均分子量8,000、エチレンオキサイド基の含有量19質量%である。比較例4のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、比較例4のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[比較例5]
実施例1で使用した第1の樹脂を、下記のノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ランダム共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5のインクを得た。本比較例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ランダム共重合体は、酸価150、重量平均分子量7,000、エチレンオキサイド基の含有量19質量%である。比較例5のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、比較例5のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[比較例6]
実施例1で使用した第2の樹脂を、下記のスチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例6のインクを得た。本比較例で使用した第2の樹脂であるスチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体は、酸価150、スチレン/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=60/20/20(質量比)、重量平均分子量6,800、δh=1.9である。比較例6のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、比較例6のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[比較例7]
実施例1で使用した第2の樹脂を、下記のスチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例7のインクを得た。本比較例で使用した第2の樹脂であるスチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体は、酸価240、スチレン/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=44/20/36(質量比)、重量平均分子量10,000、δh=2.8である。比較例6のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、比較例7のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
[参考例1]
実施例1で使用した第1の樹脂を、下記のエチレンオキサイド基を有するスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体に代えた。また、実施例で使用した第2の樹脂を、下記のスチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体に代えた。これ以外は、実施例1と同様にして、参考例1のインクを得た。本参考例で使用した第1の樹脂であるスチレン−メトキシポリエチレンオキサイドモノメタクリレート−アクリル酸ブロック共重合体は、酸価140、重量平均分子量6,500、エチレンオキサイド基の含有量24質量%である。参考例1のインク中における第1の樹脂の含有量は実施例1と同様に1.25質量%であり、第1の樹脂/色材=0.50である。また、本参考例で使用した第2の樹脂であるスチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体は、酸価125、スチレン/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=66/18/16(質量比)、重量平均分子量7,000、δh=1.5である。参考例1のインク中における第2の樹脂の含有量は実施例1と同様に2.5質量%であり、第2の樹脂/色材=1.0である。さらに、第1及び第2の樹脂の合計量と色材との比は、樹脂の合計/色材=1.5である。
<樹脂の溶解度パラメーターより算出される水素結合項>
樹脂の溶解度パラメーターより算出される水素結合項は、下記のようにして求める。先ず、対象とする樹脂を構成する各モノマー固有の溶解度パラメーターより、各モノマーの水素結合項(δh)をそれぞれ算出する。これに、樹脂を構成する各モノマーの組成比(合計を1とした組成比)をそれぞれかけ、得られた値を足し合わせることにより、溶解度パラメーターより算出される樹脂の水素結合項を求める。表1に、上記で用いた各樹脂を構成する各モノマーの、固有の溶解度パラメーターより算出される水素結合項(δh)の値を示す。
以下に、実施例1で用いた第2の樹脂である、スチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸[組成(質量)比=0.55:0.20:0.25]の共重合体を例に挙げて、溶解度パラメーターより算出される水素結合項の求め方を説明する。下記表1より、スチレン、n−ブチルアクリレート、及びアクリル酸の溶解度パラメーターより算出される水素結合項はそれぞれ、0.00、3.44、及び5.81である。したがって、実施例1で用いた第2の樹脂の、溶解度パラメーターより算出される水素結合項は下記式のように求められる。
Figure 2008189793
Figure 2008189793
<実施例、比較例及び参考例で用いた、第1の樹脂及び第2の樹脂の物性など>
実施例、比較例及び参考例で用いた、第1の樹脂及び第2の樹脂の組成や物性、インク中の色材、樹脂の含有量などの値を表2〜9に示した。なお、表2〜9中のモノマー略称は表1に示した。
Figure 2008189793
Figure 2008189793
Figure 2008189793
Figure 2008189793
Figure 2008189793
Figure 2008189793
Figure 2008189793
Figure 2008189793
<評価>
(樹脂の物性:ガラス転移温度)
それぞれの(混合)樹脂を、テトラヒドロフラン(THF)で一度溶解したものを乾燥させて、DSCQ1000(TA Instuments-Waters LLC製)を用いて、ガラス転移温度(実測Tg)を測定した。結果は、表10及び表11中に示した。これらの値を用いて、当該組成比で混合した樹脂の理論Tgを求め、さらに、DSCによって実際に混合した樹脂の実測Tgを求め、その差を算出した。得られた結果を表10及び表11に示した。なお、表10及び表11には、インク中における、第1の樹脂、第2の樹脂、及び色材の含有量などの値を併せて示した。
(耐擦過性)
上記で得られた各インクを、インクジェット記録装置(商品名:BJF900;キヤノン製)に搭載して、UF120(キヤノン製)に、1インチ×0.5インチのベタ画像及び文字を記録した。得られた記録物のベタ画像の上にシルボン紙を置き、さらにその上に面圧40g/cm2の分銅を置き、記録物をシルボン紙で擦った。その後、ベタ画像の汚れ具合や白地部への転写を目視で確認して、耐擦過性の評価を行った。耐擦過性の評価基準は下記の通りである。結果を表12及び表13に示した。
AA:10回以上擦っても、白地部の汚れ及びベタ部の削れがなかった。
A:1回〜9回擦っても、白地部の汚れ及びベタ部の削れがなかった。
B:白地部の汚れ又はベタ部の削れが若干見られる。
C:白地部の汚れ又はベタ部の削れが多く見られる。
(保存安定性)
上記で得られた各インクをテフロン(登録商標)容器に入れ、温度60℃で1ヶ月保存した。保存前後のインクの粒径を、レーザーゼータ電位計(商品名:ELS8000;大塚電子製)でそれぞれ測定し、保存安定性の評価を行った。保存安定性の評価基準は下記の通りである。結果を表12及び表13に示した。
A:保存後の粒径の増加率が、保存前の粒径と比較して10%未満であった。
B:保存後の粒径の増加率が、保存前の粒径と比較して10以上20%未満であった。
C:保存後の粒径の増加率が、保存前の粒径と比較して20%以上であったか、又は保存後に凝集物が認められた。
(タッキング性)
上記で得られた各インクを、インクジェット記録装置(商品名:BJF900;キヤノン製)に搭載して、UF120(キヤノン製)に、ベタ画像を記録した。得られた記録物の上に無地の記録媒体を置き、さらにその上に面圧500g/cm2の分銅を置き、温度30℃、湿度80%の環境で1日放置した。その後、分銅を取り除き、無地の記録媒体を一定のスピードで剥がしたときに、記録物における画像の剥離の度合いを確認して、タッキング性の評価を行った。タッキング性の評価基準は下記の通りである。結果を表12及び表13に示した。
A:力を全くかけずに、無地の記録媒体を剥がすことができた。
B:力をかけないと、無地の記録媒体を剥がすことができないか、又は、画像の剥離が若干見られた。
C:大きな力をかけないと、無地の記録媒体を剥がすことができないか、又は、画像の大きな剥離が見られた。
(吐出安定性)
上記で得られた各インクを、インクジェット記録装置(商品名:BJF900;キヤノン製)に搭載して、A4の記録媒体(商品名:オフィスプランナー;キヤノン製)300枚に、19cm×26cmのベタ画像を記録した。200枚目及び300枚目の記録後に、BJF900のノズルチェックパターンを記録した。得られたノズルチェックパターンを目視で観察して、吐出安定性の評価を行った。吐出安定性の評価基準は下記の通りである。結果を表12及び表13に示した。
A:ノズルチェックパターンに乱れがなく正常に記録できた。
B:ノズルチェックパターンに若干の乱れがあったが、不吐出はなかった。
C:ノズルチェックパターンにはっきりとした不吐出や乱れがあり、正常に記録できなかった。
Figure 2008189793
Figure 2008189793
Figure 2008189793
Figure 2008189793
記録ヘッドの縦断面図である。 記録ヘッドの縦横面図である。 図1に示した記録ヘッドをマルチ化した記録ヘッドの斜視図である。 インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。 インクカートリッジの縦断面図である。 記録ユニットの一例を示す斜視図である。 記録ヘッドの構成の一例を示す模式図である。
符号の説明
13:記録ヘッド
14:ノズル
15:発熱素子基板
16:保護層
17−1、17−2:電極
18:発熱抵抗体層
19:蓄熱層
20:基板
21:インク
22:吐出口
23:メニスカス
24:インク滴
25:記録媒体
26:マルチノズル
27:ガラス板
28:記録ヘッド
40:インク袋
42:栓
44:インク吸収体
45:インクカートリッジ
51:紙給部
52:紙送りローラー
53:排紙ローラー
61:ブレード
62:キャップ
63:インク吸収体
64:吐出回復部
65:記録ヘッド
66:キャリッジ
67:ガイド軸
68:モーター
69:ベルト
70:記録ユニット
71:記録ヘッド
72:大気連通口
80:インク流路
81:オリフィスプレート
82:振動板
83:圧電素子
84:基板
85:吐出口

Claims (8)

  1. 少なくとも、水不溶性色材と、複数の樹脂とを含有する水性インクであって、
    前記複数の樹脂が、第1の樹脂及び第2の樹脂を含み、
    前記第1の樹脂は、酸価が120mgKOH/g以上180mgKOH/g以下であり、かつ、ノニオン性基としてエチレンオキサイド基を有するブロック共重合体であり、
    前記第2の樹脂は、酸価が150mgKOH/gを超えて230mgKOH/g以下であり、かつ、樹脂を構成するモノマーが(メタ)アクリル酸を含むことを特徴とする水性インク。
  2. 前記第2の樹脂は、溶解度パラメーターより算出される前記第2の樹脂の水素結合項(δh)が、3.2J0.5/cm1.5より大きく、5.5J0.5/cm1.5より小さい請求項1に記載の水性インク。
  3. 前記第1の樹脂を構成するエチレンオキサイド基の、第1の樹脂の全質量を基準とした割合が、10質量%以上50質量%以下である請求項1又は2に記載の水性インク。
  4. 前記第1の樹脂及び前記第2の樹脂の水性インク全質量を基準とした含有量(質量%)の合計が、前記水不溶性色材の水性インク全質量を基準とした含有量(質量%)に対して、0.50倍以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
  5. インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  6. インクを収容するインク収容部を備えてなるインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  7. インクを収容するインク収容部と、インクを吐出する記録ヘッドとを備えてなる記録ユニットであって、
    前記インクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とする記録ユニット。
  8. インクを収容するインク収容部と、インクを吐出する記録ヘッドとを備えてなるインクジェット記録装置であって、
    前記インクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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