以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。なお、図1中、破線は制御信号を表す。
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係る燃料電池システム10の構成について説明する。図1は、燃料電池システム10の模式的系統図である。燃料電池システム10は、水素に富む改質ガスgを生成する改質器20と、燃焼用空気供給手段としての空気ブロワ29と、水素と酸素との電気化学的反応により発電する燃料電池30と、発電電力調節手段としてのパワーコンディショナ34と、燃料電池システム10を制御する制御装置36とを備えている。また、燃料電池システム10は、燃料電池30で発電した電力が余るときに余剰電力を消費する電力消費負荷としての電気ヒータ13と、燃料電池30で発生した熱及び電気ヒータ13で発生した熱を蓄える蓄熱槽としての貯湯槽80とを備えている。また、燃料電池システム10は、改質器20に導入される原料m1の流量の変動を検出することができるメータ15を備えている。
改質器20は、原料m1とプロセス水(不図示)とを導入し水蒸気改質反応により水素に富む改質ガスgを生成する改質部25と、原料m1の水蒸気改質反応に用いる改質熱を発生する燃焼部23とを備えている。原料m1は、典型的には、メタン、エタン等の鎖式炭化水素(天然ガスも含む)、あるいはメタノール、石油製品(灯油、ガソリン、ナフサ、LPG等)等の炭化水素を主成分とする混合物等の炭化水素系の燃料であり、加熱用の燃焼に適するものが用いられる。改質部25に導入するプロセス水(不図示)は水蒸気であってもよい。また、水素に富む改質ガスgとは、水素を主成分とするガスであり、水素を40体積%以上、典型的には70〜80体積%程度含んだ、燃料電池30に供給するガスである。改質ガスg中の水素濃度は80体積%以上でもよく、すなわち燃料電池30に供給したときに酸化剤ガスt中の酸素との電気化学的反応により発電可能な濃度であればよい。
改質部25には、改質触媒が充填されており、水蒸気改質反応を促進させるように構成されている。改質触媒としては、典型的には、ニッケル系改質触媒やルテニウム系改質触媒が用いられる。改質触媒の作用により原料m1が改質され、生成された水素に富むガスに所定量以上の一酸化炭素が含まれていると、燃料電池30の電極触媒が被毒する。そのため、改質部25は、変成触媒が充填された変成部(不図示)、及び選択酸化触媒が充填された選択酸化部(不図示)を有し、改質器20から導出される改質ガスg中の一酸化炭素濃度が約10体積ppm以下、好適には1体積ppm程度となるようにするのが好ましい。変成触媒には、典型的には、鉄−クロム系変成触媒、銅−亜鉛系変成触媒、白金系変成触媒等が用いられる。選択酸化触媒には、典型的には、白金系選択酸化触媒、ルテニウム系選択酸化触媒、白金−ルテニウム系選択酸化触媒等が用いられる。なお、改質触媒における反応は吸熱反応であるが、変成触媒を有する変成部及び選択酸化触媒を有する選択酸化部における反応は発熱反応となる。
改質部25には、原料m1を導入するための原料管55と、プロセス水(不図示)を導入するためのプロセス水管(不図示)とが接続されている。プロセス水管(不図示)は、改質部25直近の原料管55に接続されていると、原料m1とプロセス水(不図示)とが混合された状態で改質部25に導入されて好適である。しかしながら、プロセス水管(不図示)が改質部25に直接接続されていてもよい。原料管55には、原料弁65が設けられている。また、改質部25(改質ガス中の一酸化炭素濃度を低減させる部位を有する場合は当該部位)には改質ガスgを導出する改質ガス管51が接続されている。さらに改質部25には、温度を検出する温度検出器(不図示)が設けられている。
燃焼部23は、改質部25の改質触媒が設けられている位置に隣接するように、改質器20内に配設されており、改質熱を発生するための装置として、バーナー(不図示)が設けられている。燃焼部23は、炭化水素系燃料である燃焼用燃料m2、並びに水素含有ガスであるアノードオフガスp及び改質ガスgを導入すると共に、燃焼用空気aを導入し、バーナー(不図示)でこれらを燃焼させて水蒸気改質反応に用いる改質熱を得ることができるように構成されている。燃焼部23は、燃料電池システム10の状態に応じて、燃焼用燃料m2、アノードオフガスp、改質ガスgのいずれか1種類あるいは2種類以上を導入して燃焼させる。燃焼用燃料m2は、本実施の形態では、原料m1と同じものが使用される。すなわち、原料m1及び燃焼用燃料m2は、原料供給ラインとしての燃料管57を流れる燃料mが分流したものを用途に応じて呼称を変えたものであり、成分は同じものである。アノードオフガスpの成分は、典型的には、約半分が水素、残りの半分に二酸化炭素、窒素、原料あるいはその化合物(例えばメタン等)が含まれている。燃料管57には、気体の燃料mを送る燃料ブロワ28が配設されている。燃料ブロワ28は、典型的にはインバータにより回転数(rpm)を調節することができ、これにより燃料mの流量を増減することができるように構成されている。なお、燃料mが液体の場合は燃料ブロワ28に代えて燃料ポンプが配設されるが、本実施の形態では燃料ブロワ28として説明する。
メータ15は、典型的にはマイコンメータであり、内部を流れる流体の流量の変動が所定の期間にわたって所定の変動幅の範囲内にあるときに安全装置が作動する(及び/又は安全装置を作動させる信号を発信する)ように構成されている。本実施の形態におけるメータ15は、所定の期間よりも短いスパンの一定の期間に区切って流体の流量を平均し、前後する一定の期間ごとの流量を比較して、所定の期間内に、前後する一定の期間の流量の変動が所定の変動幅を超えないときに、流体の漏洩があったと推定して安全装置を作動するように構成されている。本実施の形態における、所定の期間は例えば数時間〜十数時間程度、一定の期間は例えば数秒〜十数秒程度である。また、安全装置は、警報を発報する、流体の流れを弁で強制的に遮断する等である。
燃焼部23には、アノードオフガスp及び改質ガスgを導入可能なアノードオフガス管52と、燃焼用燃料m2を導入する燃焼燃料管56と、燃焼用空気aを導入する燃焼空気管58とが接続されている。燃焼燃料管56には、燃焼燃料弁66が設けられている。また、燃焼部23には、バーナー(不図示)で燃焼した後の排ガスeを排出する排ガス管59が接続されている。
燃料電池30は、典型的には固体高分子形燃料電池である。燃料電池30は、改質ガスgを導入するアノード31と、酸化剤ガスtを導入するカソード32と、電気化学的反応により発生した熱を奪う冷却部33とを含んで構成されている。カソード32に導入される酸化剤ガスtは、典型的には空気である。燃料電池30は、図では簡易的に示されているが、実際には、固体高分子膜をアノード31とカソード32とで挟んで単一のセルが形成され、このセルを冷却部33を介し複数枚積層して構成されている。燃料電池30では、アノード31に供給された改質ガスg中の水素が水素イオンと電子とに分解し、水素イオンが固体高分子膜を通過してカソード32に移動すると共に電子がアノード31とカソード32とを結ぶ導線を通ってカソード32に移動して、カソード32に供給された酸化剤ガスt中の酸素と反応して水を生成し、この反応の際に発熱する。この反応における、電子が導線を通ることにより、直流の電力を取り出すことができる。燃料電池30は、出力ケーブル41を介してパワーコンディショナ34と電気的に接続されている。
燃料電池30は、出力ケーブル41及び商用電源ケーブル49を介して商用電源99に接続されている。出力ケーブル41と商用電源ケーブル49との接続部には、電力負荷98につながる電力負荷ケーブル48が接続されている。すなわち、燃料電池30と、商用電源99と、電力負荷98とは電気的に接続されている。電力負荷98は、典型的には、家電や生産機械等の電気機器である。出力ケーブル41にはパワーコンディショナ34が配設されている。パワーコンディショナ34よりも商用電源ケーブル49側の出力ケーブル41には、電気ヒータ13につながるヒータ用ケーブル42が接続されている。ヒータ用ケーブル42には開閉器43が配設されている。開閉器43は、典型的には、ソリッドステートリレーである。また、商用電源ケーブル49には、商用電源99から供給を受ける電力を計測する電力計45が配設されている。電力計45は、信号ケーブルを介して制御装置36に電力値の信号を送信できるように構成されている。
パワーコンディショナ34は、燃料電池30で発電された直流電力を交流電力に変換するインバータを有している。また、パワーコンディショナ34は、燃料電池30における発電電流の大きさを、燃料電池30の出力が最低発電量(例えば定格出力の30%等)と定格出力とになる幅の間で任意に決定することができるように構成されている。つまり、パワーコンディショナ34は、燃料電池30の発電電力を調節することができるものである。燃料電池30では、パワーコンディショナ34で設定された電流を発電するだけの水素と酸素とが反応することとなる。なお、本明細書では、燃料電池30のアノード31に供給された改質ガスg中の水素量に対する電気化学的反応に利用された水素量の比を水素の利用率といい、カソード32に供給された酸化剤ガスt中の酸素量に対する電気化学的反応に利用された酸素量の比を酸素の利用率ということとする(典型的には共に百分率で表す。)。パワーコンディショナ34は、燃料電池30と連系した商用電源99の異常を検出する商用電源異常検出手段を備えていてもよい。
アノード31と改質部25とは、改質ガス管51を介して接続されている。改質ガス管51には改質ガス弁61が設けられている。また、アノード31と燃焼部23とは、アノードオフガス管52を介して接続され、燃料電池30での電気化学的反応に利用されなかった水素を含むアノードオフガスpを燃焼部23に導入することができるようになっている。アノードオフガス管52には、アノードオフガス弁62が配設されている。また、改質ガス弁61の上流側の改質ガス管51と、アノードオフガス弁62よりも下流のアノードオフガス管52とが、バイパス管53で接続されている。バイパス管53にはバイパス弁63が設けられている。カソード32には、酸化剤ガスtを導入する酸化剤ガス管54と、燃料電池30での電気化学的反応に利用されなかった酸素を含むカソードオフガスqを排出するカソードオフガス管54Qとが接続されている。酸化剤ガス管54は、空気管54Aから分岐した管の1つであり、空気管54Aから分岐した他の1つは燃焼空気管58である。空気管54Aには、カソード32に酸化剤ガスtを送ると共に燃焼部23に燃焼用空気aを送る空気ブロワ29が配設されている。空気ブロワ29は、典型的にはインバータにより回転数(rpm)を調節することができ、これにより燃焼用空気aや酸化剤ガスtの流量を増減することができるように構成されている。酸化剤ガス管54には、酸化剤ガス遮断弁64が設けられている。また、酸化剤ガス管54には、典型的には、酸化剤ガスtを加湿する加湿器(不図示)が配設される。
燃料電池30の冷却部33の冷却水導入口には冷却水管75が、冷却水導出口には冷却水管74が、それぞれ接続されている。冷却水管74、75により、燃料電池30から導出された冷却水cが熱交換器70を通過し、熱交換器70を通過して温度が下がった冷却水cが燃料電池30に導入されるように循環流路が形成されている。冷却水管75には内部を流れる冷却水cを循環させる冷却水ポンプ73が配置されている。冷却水ポンプ73は、典型的にはインバータにより回転数(rpm)を調整し、燃料電池30の発熱量に応じて冷却水cの流量を調整することができるように構成されている。冷却水ポンプ73のインバータと制御装置36とは信号ケーブルで接続されている。
冷却水管74には電気ヒータ13が配置されている。電気ヒータ13は、燃料電池30で発電された電力のうち電灯や電気機器等の電力負荷98で消費されない余剰電力を熱に変換し、変換した熱を冷却水管74を流れる冷却水cに伝達するように構成されている。電気ヒータ13は、典型的には、発熱部を絶縁材料で被覆したケーブル型の電気ヒータであり、冷却水管74の外周に巻きつけられテープで固定される。また、電気ヒータ13は発熱部を収容したケーシングに冷却水cを導入し、発熱部と冷却水cとが接触して冷却水cの温度を上昇させるように構成されていてもよい。電気ヒータ13で発熱がある場合、冷却部33で温度が上昇した冷却水cは、電気ヒータ13でさらに温度が上昇して熱交換器70に流入することになる。
ここで図2を参照して(各部材の符号については図1参照)、電気ヒータ13の容量について説明する。図2は、電力消費負荷(電気ヒータ13)の容量を、燃料電池30の容量との比較において説明するグラフである。電気ヒータ13の容量は、燃料電池30の定格出力FCrよりも小さくなっている。燃料電池30における発電電力が商用電源99に逆潮流することを確実に防ぐ観点からは電気ヒータ13の容量を燃料電池30の最大出力FCmaxと同程度の容量にすることが好ましいと考えられるが、本実施の形態では、重量、容積、コストを低減する観点から電気ヒータ13の容量を燃料電池30の定格出力FCrよりも小さくしている。他方、電気ヒータ13の容量の下限は、燃料電池30の最大出力FCmaxから最大減少幅Dmaxを引いた値の電力消費負荷下限値HTRminである。つまり、電気ヒータ13の容量は、電力消費負荷下限値HTRmin以上、定格出力FCr未満のものが用いられる。ここで、最大減少幅Dmaxは、燃料電池30の発電電力を最大出力FCmaxから急減させることができる最大の範囲である。例えば、燃焼部23に供給される、燃焼用空気aの量のアノードオフガスp中の可燃成分の量に対する燃焼比(「燃焼用空気aの量」/「アノードオフガスp中の可燃成分の量」)の許容範囲が1.2〜1.6の場合、燃料電池30の最大出力FCmaxから急減して燃焼比が1.2となるときの燃料電池30の発電電力が電力消費負荷下限値HTRminとなる。電気ヒータ13の容量は、重量、容積、コストを低減する観点からは電力消費負荷下限値HTRminとすることが好ましいが、典型的には、安全をみて、電力消費負荷下限値HTRminに余裕分を加えた値とする。なお、最大減少幅Dmaxは、急減を開始するときの燃焼比の値によって変動しうるが、定常運転時の値として設定される燃焼比を基準としてよい。例えば、定常運転時の燃焼比が1.4に設定される場合、燃料電池30の発電電力の急減が許容される最大の範囲は、燃焼部23における燃焼比が1.4から1.2となるまでアノード31における水素の利用率を減少したときの燃料電池30の発電電力となる。また、燃焼比の基準としては、モル比や体積比等の燃料電池システム10に適合する基準を用いればよい。
燃料電池30の発電電力を急減させた場合は、アノード31における水素の利用率が減少することに伴ってアノードオフガスp中の水素の量が急減容量に応じて増加することとなり、燃焼用空気aの量に対して水素が多すぎるとアノードオフガスp中に含まれる水素以外の可燃成分(原料m1等)が燃焼するための空気が不足することとなる。通常、水素以外の可燃成分よりも水素の方が燃焼しやすいため、アノードオフガスp中の水素の量が急増すると水素以外の可燃成分が不完全燃焼して排ガスe中の一酸化炭素濃度が許容量以上となる等の不具合が生じる場合がある。なお、燃焼部23における燃焼用空気aの供給量が多すぎると燃焼部23のバーナー(不図示)の失火の原因となるため、最大減少幅Dmaxを大きくする目的で定常運転時から燃焼用空気aの供給量を大きくすることは難しい。そのため、上記の燃焼比に上限が設けられている。
再び図1に戻って燃料電池システム10の説明を続ける。熱交換器70は、冷却水cと蓄熱水hとの間で熱交換を行なう機器であり、典型的にはプレート型熱交換器が用いられる。熱交換器70は、燃料電池30から受熱して温度が上昇した冷却水cと冷却水cよりも温度が低い蓄熱水hとがカウンターフローにより熱交換し、燃料電池30の排熱を冷却水cから蓄熱水hに伝達するように構成されている。熱交換器70は、燃料電池30から受熱して温度が上昇した冷却水cを導入する冷却水導入口と蓄熱水hとの熱交換により温度が下がった冷却水cを導出する冷却水導出口と、温度が低い蓄熱水hを導入する蓄熱水導入口と冷却水cとの熱交換により温度が上昇した蓄熱水hを導出する蓄熱水導出口とを有している。熱交換器30の冷却水導入口には冷却水管74が、冷却水導出口には冷却水管75が、それぞれ接続されている。
熱交換器70の蓄熱水導出口には蓄熱水管84が、蓄熱水導入口には蓄熱水管85が、それぞれ接続されている。蓄熱水管84は、熱交換器70から導出された蓄熱水hが貯湯槽80の上部に流入するように貯湯槽80の上部に接続されており、好適には頂部に接続される。蓄熱水管85は、熱交換器70に導入される蓄熱水hが貯湯槽80の下部から採水されるように貯湯槽80の下部に接続されており、好適には底部に接続される。蓄熱水管84、85は熱交換器70及び貯湯槽80と接続されて循環流路を形成している。蓄熱水管85には内部を流れる蓄熱水hを循環する蓄熱水ポンプ83が配置されている。蓄熱水ポンプ83は、典型的にはインバータにより回転数(rpm)を調整し、熱交換器70での交換熱量に応じて蓄熱水hの流量を調整することができるように構成されている。蓄熱水ポンプ83のインバータと制御装置36とは信号ケーブルで接続されている。
貯湯槽80は、頂部に温度が高い蓄熱水hを導入する蓄熱水導入口が、底部に温度が低い蓄熱水hを導出する蓄熱水導出口が形成されている。上述のように、貯湯槽80の蓄熱水導入口には蓄熱水管84が、蓄熱水導出口には蓄熱水管85が接続されている。熱交換器70で燃料電池30の排熱を受熱した蓄熱水hは蓄熱水管84を通って貯湯槽80に流入し、貯湯槽80に燃料電池30の排熱が蓄熱されるように構成されている。流入して貯湯槽80に貯留された蓄熱水hは、上部の温度が高く下部の温度が低い温度成層が形成されている。さらに貯湯槽80の上部には、温水w1を導出する熱負荷温水導出口が設けられており、この熱負荷温水導出口から給湯や暖房等の熱需要で利用されるために温水w1が導出される。また、貯湯槽80の下部には熱需要で利用されて減少した水量を補う補給水導入口が設けられている。補給水導入口からは補給水w2が導入される。
蓄熱水管84にはバイパス管86が接続されており、バイパス管86の他端は蓄熱水ポンプ83よりも上流側で蓄熱水管85に接続されている。バイパス管86は、蓄熱水管84を流れる蓄熱水hを貯湯槽80に流入させずに蓄熱水管85に導く管である。バイパス管86には蓄熱水hの温度を下げることができる冷却装置としてのラジエータ81が配設されている。ラジエータ81は、燃料電池30を冷却するのに必要な冷却水cの温度となるまでに冷却水cから熱を奪うことができないほど貯湯槽80から導出される蓄熱水hの温度が高いときに、熱交換器70に導入される蓄熱水hの温度を冷却水cから熱を奪うことができる温度になるまで冷却できるように構成されている。ラジエータ81は冷却板としてのフィンを備えており、フィンに蓄熱水hを導入して空気と熱交換することにより蓄熱水hの温度を低下させることができるように構成されている。さらに、ラジエータ81はより多くの空気をフィンに供給して交換熱量を増加するために、強制的にフィンに空気を送る送気ファン(不図示)を備えている。
蓄熱水管84とバイパス管86との分岐部には、蓄熱水hの流れ方向を切り替える三方弁82が配設されている。三方弁82と制御装置36とは信号ケーブルで接続されており、三方弁82は制御装置36からの信号を受信して切替動作をするように構成されている。また、三方弁82の設置位置は、貯湯槽80及びラジエータ81の上流側に限られず、貯湯槽80及びラジエータ81の下流側であってもよい。また、三方弁82に代えて二方弁を2個用いることにより、蓄熱水hの流れ方向を切り替え、あるいは貯湯槽80に流入する蓄熱水hの流量とラジエータ81に流入する蓄熱水hの流量との配分を調整することができるように構成してもよい。
制御装置36は、燃料電池システム10の運転を制御する。制御装置36は、燃料ブロワ28及び空気ブロワ29に信号を送信して発停を制御すると共に、燃料ブロワ28及び空気ブロワ29から吐出される流体の流量を制御する。また、制御装置36は、冷却水ポンプ73及び蓄熱水ポンプ83に信号を送信して発停を制御すると共に、冷却水ポンプ73及び蓄熱水ポンプ83から吐出される流体の流量を制御する。なお、各ブロワ28、29及び各ポンプ73、83に信号を送信することには、これらに送電する動力盤(不図示)に信号を送信することも含む。また、制御装置36は、パワーコンディショナ34に信号を送信して燃料電池30における発電電流を設定する。また、制御装置36は、各弁61〜66とそれぞれ信号ケーブルで接続されており、開閉信号を送信して弁の開閉動作をさせることができるように構成されている。また、制御装置36は、三方弁82と信号ケーブルで接続されており、信号を送信して蓄熱水hの流路を切り替えることができるように構成されている。また、制御装置36は、開閉器43に信号を送信して電気ヒータ13への通電の有無を制御する。また、制御装置36は、メータ15から信号を受信して、安全装置を作動させることができるように構成されている。また、制御装置36は、改質部25の温度を検出する温度検出器(不図示)と信号ケーブルで接続されており、温度信号を受信することができるように構成されている。
引き続き図1を参照して、燃料電池システム10の作用を説明する。停止している燃料電池システム10の運転を開始するには、燃料ブロワ28を起動して燃焼部23に燃焼用燃料m2を供給すると共に空気ブロワ29を起動して燃焼部23に燃焼用空気aを供給する。このとき、燃焼燃料弁66は開、その他の弁61〜65は閉となっている。燃焼部23で燃焼用燃料m2が燃焼して改質熱が発生し、改質部25が昇温したら、原料弁65を開にして原料m1を改質部25に導入する。改質部25の温度は温度検出器(不図示)で検出する。改質部25にはプロセス水(不図示)も導入され、燃焼部23から改質熱を得て原料m1が水蒸気改質反応を起こし、改質ガスgが生成される。改質器20では、上述のように改質ガスgが生成されるが、運転開始当初は改質ガスgの組成が安定していないため、改質ガス弁61及びアノードオフガス弁62を閉にし、バイパス弁63を開にして、組成が安定していない改質ガスgを燃料電池30に供給せずに燃焼部23に導いて燃焼させる。このとき、燃焼部23に導入した組成が安定していない改質ガスgを主として燃焼させ、不足分の燃焼用燃料m2を燃焼燃料弁66の開度を調節して燃焼部23に導入する。組成が安定していない改質ガスgで足りる場合は燃焼燃料弁66を閉とする。
改質器20で生成される改質ガスgの組成が安定し、改質ガスg中の一酸化炭素濃度が所定の値まで低減するようになると、制御装置36が改質ガス弁61及びアノードオフガス弁62を開に、バイパス弁63を閉にして、改質ガスgが燃料電池30に導入されるようにする。これにより、燃料電池30のアノード31に改質ガスgが導入される。他方、制御装置36は、酸化剤ガス遮断弁64を開にし、これによって燃料電池30のカソード32に酸化剤ガスtが導入される。典型的には、アノード31に供給される改質ガスgの量が、水素の利用率が70〜80%程度、好ましくは75%程度となるように、改質器20で改質ガスgが生成される(これに合わせて原料m1が改質部25に導入される)。また、酸素の利用率が45〜60%程度、好ましくは50%程度となる量の酸化剤ガスtがカソード32に供給されるように空気ブロワ29の回転数や流量調整弁(不図示)が調節される。
燃料電池30ではアノード31に導入された改質ガスg中の水素と、カソード32に導入された酸化剤ガスt中の酸素とによる電気化学的反応が行われる。電気化学的反応は、アノード31側では以下の(1)式に示す反応が行われ、カソード32側では以下の(2)式に示す反応が行われる。
2H2 → 4H+ + 4e− ・・・(1)
O2 + 4H+ + 4e− → 2H2O ・・・(2)
この電気化学的反応によって発電し、発熱すると共に水分が生成される。さらに説明を加えると、アノード31側の電子が外部電気回路を通ってカソード32側に移動する際に電力を得ることができる。アノード31側の水素イオンは固体高分子膜を通過してカソード32側に移動し、酸素と結合して水分が発生する。この電気化学的反応は発熱反応である。
燃料電池30によって得られる電力は直流電力であるため、パワーコンディショナ34で交流電力に変換されて電力負荷98に、及び各ブロワ28、29、各ポンプ73、83に送電される。燃料電池30で発電される電力は、電力負荷及び各ブロワ28、29、各ポンプ73、83の消費電力の合計に対して所定の値(例えば合計消費電力の90%)となるように、パワーコンディショナ34で設定される。この設定値に対して適切な供給量となるように、制御装置36により燃料電池30に供給される改質ガスg及び酸化剤ガスtの量が調節される。不足分の電力は、商用電源99から交流電力の供給を受ける。
燃料電池30の作動中、アノード31からはアノードオフガスpが排出される。排出されたアノードオフガスpは、アノードオフガス管52を介して改質器20の燃焼部23に導かれて燃焼される。燃焼部23におけるアノードオフガスpの燃焼により、改質部25における改質に用いる改質熱を発生させることができる。燃焼部23へ導入されるアノードオフガスpの燃焼だけでは発生する改質熱が不足する場合は、燃焼燃料弁66の開度を調節して燃焼用燃料m2を燃焼部23に導入する。燃焼部23における燃焼によって生じた排ガスeは、排ガス管59を介して系外に排出される。他方、カソード32からはカソードオフガスqが排出され、カソードオフガス管54Qを介して系外に排出される。
上述のように、燃料電池30における電気化学的反応は発熱反応であるため、燃料電池30の運転を継続するために発生した熱を冷却水cで除去する。燃料電池30に改質ガスg及び酸化剤ガスtが導入されて発電が行われるようになると、制御装置36は、冷却水ポンプ73及び蓄熱水ポンプ83を起動して冷却水c及び蓄熱水hを循環させる。冷却部33に導入された冷却水cは、燃料電池30における電気化学的反応で発生した熱によって温度が上昇する。燃料電池30は冷却水cによって発熱が除去されて、運転に適した温度(約60℃〜80℃程度)に維持される。冷却部33から導出された冷却水cは熱交換器70に向かって流れ、熱交換器70に導入される。なお、電気ヒータ13が作動しているときは、冷却部33から導出されたときの温度からさらに温度が上昇して熱交換器70に導入される。熱交換器70に導入された冷却水cは、蓄熱水hと熱交換して温度が低下し、再び冷却部33に導入され、以降は上述のサイクルを続ける。
他方、熱交換器70に導入された蓄熱水hは、冷却水cと熱交換して温度が上昇する。温度が上昇した蓄熱水hは熱交換器70から導出されて貯湯槽80に向かって流れ、典型的には上部から貯湯槽80に流入する。貯湯槽80に流入した蓄熱水hは、給湯や暖房等の熱需要(不図示)で使用することができる程度の温度になっている。貯湯槽80内は、蓄熱水hの密度差により、上部に温度が高い水が、下部に温度が低い水が貯留されて温度成層が形成される。このため、形成された温度成層を極力崩さないという観点から、貯湯槽80に流入する蓄熱水hの動圧が低い(流速が小さい)方が好ましい。ただし動圧が低すぎると蓄熱水管84の径が太くなり設置スペース及び設置コストが大になるので、許容範囲内で動圧を低くする。
貯湯槽80内に貯留された蓄熱水hは、上部の温度の高い水が温水w1として熱需要(不図示)に供給され、温水w1の熱が消費される。このように燃料電池30で発生した熱を有効利用することにより、燃料電池システム10の効率が向上することとなる。熱需要(不図示)に供給された温水w1は、熱が利用されて温度が低下した後に貯湯槽80の下部に戻される。あるいは、温水w1の熱だけでなく温水w1自体が消費される場合は、減少した分の水を補給水w2として外部(例えば市水等)から貯湯槽80の下部に導入する。これにより、貯湯槽80の下部に温度が低い水が貯留される。貯湯槽80下部の温度が低い蓄熱水hは、蓄熱水管85を流れて熱交換器70に導入される。熱交換器70に導入された蓄熱水hは、冷却水cと熱交換して温度が上昇し、熱交換器70から導出される。
熱需要(不図示)における熱の消費がなく、貯湯槽80の下部に貯留された水(熱交換器70に向けて導出される水)の温度が、燃料電池30を冷却するために求められる温度(燃料電池30の運転を継続できる温度)にまで冷却水cを冷却できない温度となった場合(いわゆる満蓄となった場合)、そのまま貯湯槽80内の蓄熱水hを熱交換器70に導入すると燃料電池30の運転を継続することができなくなる。このような場合、制御装置36は三方弁82を切り替えて、熱交換器70から導出された蓄熱水hを貯湯槽80ではなくラジエータ81に導く。蓄熱水管84からラジエータ81に導入された蓄熱水hは大気に放熱し、温度が低下して蓄熱水管85に流入し、熱交換器70に導入される。消費できない熱をラジエータ81で放熱することで、燃料電池30の運転を継続することができる。
ところで、前述のように、燃料電池30における発電電力は、電力負荷及び燃料電池システム10の消費電力の合計に対して所定の値に制御される(段落0040参照)。商用電源99から購入する電力をできるだけ抑制しつつ商用電源99に悪影響を及ぼさないようにする観点から、燃料電池システム10における燃料電池30の最適な運転は、燃料電池システム10の消費電力を含む電力負荷に対し所定の割合で供給する電力が釣り合っていることが望ましい。燃料電池30における発電電力に対して燃料電池30に供給する改質ガスgは、前述のように水素の利用率が70〜80%程度、好ましくは75%程度となる量であることが好ましい。なお、燃料電池における発電に適した水素の利用率は、燃料電池の個性や種類あるいは構築する燃料電池システムによって変動する場合があり、本実施の形態では70〜80%程度であるとして説明しているが、例えば改質器の燃焼部における燃焼が不安定になること(未燃、失火等)を防ぐことができ、燃料電池の劣化を防ぐことができれば、70〜80%程度以外の値であってもよい。
できるだけ燃料電池30における発電に適した水素の利用率となるように改質ガスgが燃料電池30に供給されることが好ましいが、燃料電池30に供給される改質ガスgの量は、改質部25に導入される原料m1の量に基づいているため、燃料電池30に導入する改質ガスg量を増減する指令を出してから実際に反映されるまでにタイムラグが生じる。このタイムラグは、およそ原料m1を改質部25に導入し改質ガスgが生成されて燃料電池30まで到達するのに要する時間分である。電力負荷98は、上述のタイムラグに相当する時間よりも短時間で消費電力が変動する場合がある(以下、この短時間を「急激」と表現することもある。)。電力負荷98の消費電力が急激に増加した場合は、商用電源99から不足分の電力供給を受ければよい。逆に電力負荷98の消費電力が急激に減少した場合は、電気ヒータ13で余剰電力(燃料電池30の発電電力から電力負荷98の消費電力を差し引いた値)を消費する。ところが、本実施の形態では、重量、容積、コストを低減する観点から電気ヒータ13の容量を燃料電池30の定格出力未満の容量ととしたため(段落0029参照)、余剰電力を電気ヒータ13で消費しきれない場合が生じうる。余剰電力を電気ヒータ13で消費しきれない場合でも余剰電力を逆潮流しないようにするため、燃料電池システム10では以下のような制御を行う。
図3は、電力負荷98における消費電力が変動したときの燃料電池システム10の制御を説明するフローチャートである。燃料電池システム10は、定常運転(燃料電池30から電力負荷98に対し所定の割合(例えば合計消費電力の90%)で供給する電力が燃料電池30の発電電力と釣り合っている状態の運転)をしているときに(ST1)、電力計45で検出した商用電源99から供給される電力とパワーコンディショナ34で設定された燃料電池30で発電される電力とから、電力負荷98の消費電力を把握し、電力負荷98の消費電力が急減したか否かを判断する(ST2)。急減していない場合は、燃料電池システム10を定常運転する工程(ST1)に戻る。
電力負荷98の消費電力が急減した場合、制御装置36はパワーコンディショナ34に信号を送信して燃料電池30の発電電力を急減させると共に、改質部25に供給される原料m1及びプロセス水(不図示)の量を減少させる(ST3)。このとき制御装置36は、燃焼部23に供給される燃焼用空気aの流量を急減前の流量に固定する(ST4)。工程ST3、ST4において、燃料電池30の発電電力の減少幅は、アノードオフガスpが流入した燃焼部23における燃焼比(「燃焼用空気aの量」/「アノードオフガスp中の可燃成分の量」)が所定の比率の範囲内となる最小値を限度とする。また、原料m1及びプロセス水(不図示)の量は、急減した電力を発電する際に燃料電池30に供給されるべき改質ガスgを生成するのに要する流量に減少させる。燃焼用空気aの流量を急減前の流量に固定するのは、原料m1等を減少させた効果がアノードオフガスp中に現れるまでにタイムラグがある反面、燃料電池30の発電電力を急激に低下させると水素の利用率が低下することに伴ってアノードオフガスp中の水素含有量が増加するため、仮に燃料電池30の発電電力の減少に追随させて燃焼部23への燃焼用空気aの供給量を減らすとアノードオフガスpを燃焼させるための酸素が不足してアノードオフガスp中の可燃成分が不完全燃焼となって排ガスe中に許容量を超える一酸化炭素が含まれうるからである。なお、燃料電池30の発電電力を急減させてもなお余剰電力があるときは、制御装置36は開閉器43を開にさせて電気ヒータ13で余剰電力を消費させる。このようにすると、確実に商用電源99への逆潮流を防ぐことができる。
燃焼用空気aの流量を急減前の状態に固定したままの状態(ST4)で燃料電池30の発電電力を急減(ST3)したら、制御装置36は燃料電池30の発電電力を急減してから設定期間が経過したか否かを判断する(ST5)。ここで「設定期間」とは、典型的には、原料m1等を減少させた効果がアノードオフガスp中に現れるまでの時間であり、アノードオフガスp中の水素の量が定常運転時の水素の利用率の際にアノードオフガスp中に含まれる水素の量に戻るまでの時間である。工程ST5において、設定期間が経過していないときは、燃焼用空気aの流量を急減前の流量に固定する工程(ST4)に戻る。設定期間が経過したときは、燃焼用空気aの流量を定常運転時の燃焼比の流量まで予め定められた勾配で徐々に減少させる(ST6)。燃焼用空気aの流量を予め定められた勾配で減少させることで、比較的安定した状態で燃料部23における燃焼を定常運転時の燃焼比に戻すことができる。制御装置36は、燃焼用空気aの流量の減少が完了したか否か(燃焼用空気aの流量が定常運転時の燃焼比の流量まで減少したか否か)を判断し(ST7)、完了していなければ燃焼用空気aの流量を減少させる工程(ST6)に戻り、完了していれば燃料電池システム10が定常運転している工程(ST1)に戻る。
図4に、時間経過に対する、燃料電池30の発電電力並びに原料m1及びプロセス水を減少させたときの燃焼用空気aの流量変化と、燃焼部23からの排ガスeに含まれる一酸化炭素濃度の関係のグラフを示す。図4(a)は本発明に係る実施の形態のように燃料電池30の発電電力を急減させてから設定期間経過後に燃焼用空気aの流量を減少させた場合、図4(b)は燃料電池30の発電電力の急減と共に燃焼用空気aの流量を減少させた場合のグラフである。図4(a)に示す本発明に係る実施の形態の場合は排ガスeに含まれる一酸化炭素濃度は僅か(例えば、排ガスe中の一酸化炭素濃度が10ppmまで許容される、あるいは、排ガスe中の一酸化炭素濃度が50ppmまで許容される等、大気に放出しても問題ない程度)であるのに対し、図4(b)に示す場合は高濃度の一酸化炭素が含まれることとなる。このように、本発明に係る実施の形態(図4(a)のグラフ)では、燃料電池30の発電電力を急減させても燃焼部23における燃焼を安定に行うことができる。
以上で説明したような制御をすることで、電気ヒータ13の容量が燃料電池の定格発電電力よりも小さい場合でも、余剰電力が逆潮流することを防ぎつつ、改質器20の燃焼部23における燃焼が不安定となることを回避することができる。
なお、上述の燃料電池30の発電電力を急減させる制御を利用することで、メータ15を備えた燃料電池システム10において、所定の期間を超えて燃料電池30からほぼ一定の出力を得ることができる。上述のように、メータ15は、内部を流れる原料m1が所定の期間にわたって所定の変動幅の範囲内にあるときは、たとえ一定の電力需要が継続してあったとしても、原料m1の漏洩があったと推定して安全装置が作動してしまうが、以下に説明する制御をすることでメータ15の安全装置の誤作動を回避することができる。
図5は、メータ15の安全装置の誤作動を回避する制御を説明するフローチャートである。燃料電池システム10は、定常運転をしているときに(ST11)、メータ15で原料m1の流量変動を検出している。制御装置36は、今回のスパンの原料m1の平均流量を前回のスパンの平均流量と比較し、流量差が所定の変動幅内にあるか否かを判断する(ST12)。この工程ST12における判断は、メータ15自体でも行われており、原料m1の流量の変動なく所定の期間が経過したときにメータ15の安全装置が作動するが、本実施の形態では各スパンの平均流量の信号が制御装置36に送信もされている。所定の変動幅内にないとき(すなわち、実質的に流量変動があったとき)は、メータ15の所定の期間の計測がリセットされるため、フローは燃料電池システム10を定常運転する工程(ST11)に戻る。他方、所定の変動幅内にあるとき(すなわち、実質的に流量変動がないとき)は、メータ15が所定の期間の計測を開始してから(実質的に流量変動がなくなってから)「所定の期間−α」が経過したか否かを判断する(ST13)。ここで、時間αを減じているのは、メータ15の安全装置が作動する前に対処するためである。したがって、時間αは、少なくとも以下に説明する誤作動回避措置に要する時間を確保する。
「所定の期間−α」が経過していなければ、流量差が所定の変動幅内にあるか否かを判断する工程(ST12)に戻る。他方、「所定の期間−α」が経過していれば、制御装置36はパワーコンディショナ34に信号を送信して燃料電池30の発電電力を急減させると共に、改質部25に供給される原料m1及びプロセス水(不図示)の量を減少させる(ST14)。このとき、燃焼部23に供給される燃焼用空気aの流量は、急減前の流量に固定したままとする(ST14)。また、ここでの燃料電池30の発電電力の減少幅は、アノードオフガスpが流入した燃焼部23における燃焼比(「燃焼用空気aの量」/「アノードオフガスp中の可燃成分の量」)が所定の比率の範囲内となる最小値を限度とする。また、原料m1及びプロセス水(不図示)の量は、急減した電力を発電する際に燃料電池30に供給されるべき改質ガスgを生成するのに要する流量に減少させる。燃焼用空気aの流量を急減前の流量に固定するのは、燃焼部23における不完全燃焼を回避するためである。なお、燃料電池30の発電電力を急減させると継続した一定の需要がある電力負荷98への供給電力が不足することとなるが、このときの不足分は商用電源99から供給される電力を増加させることで賄う。
制御装置36は、燃料電池30の発電電力の急減及び原料m1の流量の減少等(ST14)を行ったら、一定の期間が経過したか否かを判断する(ST15)。一定の期間は、メータ15が原料m1の流量を平均する基準となるスパンである。一定の期間が経過していないときは、燃料電池30の発電電力を急減した状態及び原料m1の流量の減少等(ST14)を維持する。他方、一定の期間が経過したときは、メータ15の所定の期間の計測がリセットされるため、燃料電池30の発電電力を電力負荷98の消費電力に応じた出力に増加させる(ST16)。燃料電池30の発電電力の増加に伴って、改質部25への原料m1の供給量及びプロセス水の供給量も増加させる。燃料電池30の発電電力の増加等(ST16)を行ったら、燃料電池システム10は、定常運転の状態に戻る(ST11)。
以上で説明したような制御をすることで、メータ15の安全装置の誤作動を回避して、所定の期間を超えて燃料電池30からほぼ一定の出力を得ることができる。この間、一定の期間(1スパン)だけ燃料電池30の発電電力が減少することとなるが、減少した電力は商用電源99から供給される電力で賄うことができる。この制御により、メータ15が誤作動してリセットするために燃料電池システム10を一旦停止する場合に比べて、燃料電池システム10を有効利用することができる。なお、以上の説明では、各スパンの平均流量の信号がメータ15から制御装置36に送信され、制御装置36からパワーコンディショナ34に燃料電池30の発電電力を急減させる信号が送信されることとして説明したが、メータ15自体が「所定の期間−α」が経過したか否かを判断(ST13)して、メータ15からパワーコンディショナ34に燃料電池30の発電電力を急減させる信号が送信されることとしてもよい。この場合、メータ15が制御装置を内蔵していることとなる(すなわち、メータ15が制御装置を兼ねていることとなる)。
また、以上の説明では、電気ヒータ13を冷却水管74に設けることとしたが、蓄熱水管84に設けてもよく、あるいは冷却水管74及び蓄熱水管84に設けてもよい。また、以上の説明では、電力消費負荷が電気ヒータ13であるとしたが、余剰電力を消費することができれば電気ヒータ13以外の公知の電力消費機器(キャパシタ、抵抗器、冷却ファン等)であってもよい。例えば電力消費負荷をキャパシタとした場合は、蓄えた電力を任意の時間に有効に利用することができる。電力消費負荷を電気ヒータ13とすると、余剰電力を変換した熱を貯湯槽80に蓄えて、有効に利用することが可能となる。
以上の説明では、電気ヒータ13が交流電力を受電することとしたが、パワーコンディショナ34から直流電力を受電することとしてもよい。
以上の説明では、改質器20の燃焼部23で発生する排ガスeをそのまま系外へ排出することとしたが、排ガスeの熱を回収して貯湯槽80に蓄えることとしてもよい。この場合、例えば、排ガス管59を流れる排ガスeの熱と蓄熱水管84を流れる蓄熱水hの熱(あるいは冷却水管74を流れる冷却水cの熱)とで熱交換を行わせる熱交換器を設けるとよい。
以上の説明では、燃料電池30が固体高分子形燃料電池であるとして説明したが、りん酸形燃料電池等の固体高分子形燃料電池以外の燃料電池であってもよい。しかしながら、固体高分子形燃料電池とすると、比較的低温で運転することができ、装置を小型化できるので、一般家庭等に設置するのに適している。