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JP5002220B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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JP5002220B2 JP2006242319A JP2006242319A JP5002220B2 JP 5002220 B2 JP5002220 B2 JP 5002220B2 JP 2006242319 A JP2006242319 A JP 2006242319A JP 2006242319 A JP2006242319 A JP 2006242319A JP 5002220 B2 JP5002220 B2 JP 5002220B2
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Description

本発明は燃料電池システムに関し、特に改質器の燃焼部における燃焼状態が不安定になることを軽減することができる燃料電池システムに関するものである。
水素と酸素とを使用して、これらの電気化学的反応により発電する燃料電池は、環境に優しい発電装置として注目されている。燃料電池は発電に水素を必要とするが、水素自体を供給するインフラが普及していないことから入手が比較的困難であるため、都市ガスや灯油等の原料を改質して燃料電池の発電に用いる水素を含む水素リッチガス(改質ガス)を生成する改質器を燃料電池に併設した燃料電池システムが構築されることが多い。改質器の一例として、水素リッチガスとなる原料を導入して改質する改質部と、燃焼用の燃料と空気とを導入して燃料を燃焼させ改質部における改質に利用される改質熱を発生する燃焼部とを有しているものがある。
ところで、改質ガスに所定の濃度以上の一酸化炭素が含まれていると燃料電池の電極が被毒されることになるため、一般に一酸化炭素の濃度を低減した改質ガスが燃料電池に供給される。一酸化炭素濃度の低減された組成が安定した改質ガスは、改質器の温度が約600℃以上となった頃に生成される。したがって、改質器の起動初期に生成される改質ガスは、水素を含んではいるが一酸化炭素濃度が高いため、燃料電池には供給せずに改質器の燃焼部に燃焼用の燃料として供給し改質熱を得るために利用して改質器の温度を保つようにし、改質器の温度が上昇して組成が安定した改質ガスが生成されるようになったところで改質ガスを燃料電池に供給している。改質ガスを燃料電池に供給したときは、燃料電池に供給した改質ガス中の水素のうち電気化学的反応に利用されなかった水素を含むアノードオフガスを燃焼用の燃料として燃焼部に供給し燃焼させて改質熱を得ることで改質器の温度を保つようにしている(例えば、特許文献1参照。)。なお、燃料電池に改質ガスを供給しないときは、燃料電池の電極が酸化により劣化することを防ぐため、原料のガス等を封入することが行われる。
特開2006−31995号公報(段落0031、図1等)
しかしながら、組成が安定した改質ガスを燃料電池に供給するように切り換えることにより、改質器の燃焼部に燃焼用の燃料として供給されるのが改質ガスからアノードオフガスとなると、燃焼部に供給されるガスの種類や圧力の違いから、燃焼部における燃焼状態が不安定になりやすかった。
本発明は上述の課題に鑑み、改質器の燃焼部における燃焼状態が不安定になることを軽減することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係る燃料電池システムは、例えば図1に示すように、原料m1を導入し改質して水素に富む改質ガスgを生成する改質部25と、燃料p(g、m2)を導入し燃焼させて改質部25における改質に用いられる改質熱を発生させる燃焼部23とを有する改質器20と;酸素を含有する酸化剤ガスtと改質ガスgとを導入し、改質ガスg中の水素と酸化剤ガスt中の酸素との電気化学的反応により発電する燃料電池30と;改質部25から燃料電池30へ改質ガスgを導く改質ガスライン51であって、改質ガスgの流れを遮断可能な改質ガス遮断弁61を有する改質ガスライン51と;改質ガスg中の水素のうち燃料電池30における電気化学的反応に利用されなかった水素を含むアノードオフガスpを燃料電池30から燃焼部23へ導くアノードオフガスライン52であって、アノードオフガスpの流れを遮断可能なアノードオフガス遮断弁62を有するアノードオフガスライン52と;改質ガス遮断弁61より上流側の改質ガスライン51とアノードオフガス遮断弁62より下流側のアノードオフガスライン52とを連通し改質ガスライン51を流れる改質ガスgをアノードオフガスライン52へ導くバイパスライン53であって、改質ガスgの流れを遮断可能なバイパス遮断弁63を有するバイパスライン53と;改質器20の起動初期は改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を閉かつバイパス遮断弁63を開とし、改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を閉から開に切り換えたときに、バイパス遮断弁63を複数回間欠的に開閉した後に閉として燃料電池30内のガスを燃焼部23へ間欠的に供給するように、改質ガス遮断弁61、アノードオフガス遮断弁62、及びバイパス遮断弁63を制御する制御装置40とを備える。
このように構成すると、改質器の起動初期は改質ガス遮断弁及びアノードオフガス遮断弁を閉かつバイパス遮断弁を開とし、改質ガス遮断弁及びアノードオフガス遮断弁を閉から開に切り換えたときに、バイパス遮断弁を複数回間欠的に開閉した後に閉として燃料電池内のガスを燃焼部へ間欠的に供給するように、改質ガス遮断弁、アノードオフガス遮断弁、及びバイパス遮断弁を制御するので、燃料電池に封入されていたガスが、間欠的にあるいは改質ガスと混合され希釈されて燃焼部へ供給されることとなり、燃焼部における燃焼状態が不安定になることを軽減することができる。
また、請求項2に記載の発明に係る燃料電池システムは、例えば図1に示すように、請求項1に記載の燃料電池システム10において、改質部25の温度を検出する温度検出器25tを備え;制御装置40が、温度検出器25tで検出した温度が所定の温度以上となったときに改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を閉から開に切り換えるように構成されている。
このように構成すると、組成が安定した改質ガスが生成される温度で改質ガス遮断弁及びアノードオフガス遮断弁を閉から開に切り換えることが可能となり、適切なタイミングで改質ガスを燃料電池に供給することができる。
また、請求項3に記載の発明に係る燃料電池システムは、例えば図1に示すように、請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム10において、燃料電池システム10の停止時に、燃料電池30の改質ガスgを導入する部分に燃料電池30の劣化を低減する劣化低減ガスを封入するガス封入手段61、62を備える。
このように構成すると、外気が燃料電池内に侵入することを防ぐことができ、これによって燃料電池の電極触媒を酸化による劣化から防ぐことができる。
本発明によれば、改質器の起動初期は改質ガス遮断弁及びアノードオフガス遮断弁を閉かつバイパス遮断弁を開とし、改質ガス遮断弁及びアノードオフガス遮断弁を閉から開に切り換えたときに、バイパス遮断弁を複数回間欠的に開閉した後に閉とするように、改質ガス遮断弁、アノードオフガス遮断弁、及びバイパス遮断弁を制御するので、燃料電池に封入されていたガスが、間欠的にあるいは改質ガスと混合され希釈されて燃焼部へ供給されることとなり、燃焼部における燃焼状態が不安定になることを軽減することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。なお、図1中、燃料電池30内を除く破線は制御信号を表す。
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係る燃料電池システム10を説明する。図1は、燃料電池システム10の模式的系統図である。燃料電池システム10は、主要な構成部材として、水素に富む改質ガスgを生成する改質器20と、水素と酸素との電気化学的反応により発電する燃料電池30と、燃料電池システム10の運転を制御する制御装置40とを備えている。
改質器20は、原料m1とプロセス水sとを導入し水蒸気改質反応により水素に富む改質ガスgを生成する改質部25と、原料m1の水蒸気改質反応に用いる改質熱を発生する燃焼部23とを備えている。原料m1は、典型的には、メタン、エタン等の鎖式炭化水素(都市ガスや天然ガス等も含む)、あるいはメタノール、石油製品(灯油、ガソリン、ナフサ、LPG等)等の炭化水素を主成分とする混合物等の炭化水素系の燃料であり、加熱用の燃焼に適するものが用いられる。改質部25に導入するプロセス水sは水蒸気であってもよい。また、水素に富む改質ガスgとは水素を主成分とするガスであり、水素を40体積%以上、典型的には70〜80体積%程度含んだ、燃料電池30に供給するガスである。改質ガスg中の水素濃度は80体積%以上でもよく、すなわち燃料電池30に供給したときに酸化剤ガスt中の酸素との電気化学的反応により発電可能な濃度であればよい。
改質部25には、改質触媒が充填されており、水蒸気改質反応を促進させるように構成されている。改質触媒としては、典型的には、ニッケル系改質触媒やルテニウム系改質触媒が用いられる。改質触媒の作用により原料m1が改質されて生成された水素に富むガスに所定量以上の一酸化炭素が含まれていると、燃料電池30の電極触媒が被毒する。そのため、改質部25は、変成触媒が充填された変成部(不図示)、及び/又は選択酸化触媒が充填された選択酸化部(不図示)を有し、改質器20から導出される改質ガスg中の一酸化炭素濃度が約10体積ppm以下、好適には1体積ppm程度となるようにするのが好ましい。以下、本実施の形態では、改質部25が変成部及び選択酸化部を有することとして説明する。変成触媒には、典型的には、鉄−クロム系変成触媒、銅−亜鉛系変成触媒、白金系変成触媒等が用いられる。選択酸化触媒には、典型的には、白金系選択酸化触媒、ルテニウム系選択酸化触媒、白金−ルテニウム系選択酸化触媒等が用いられる。なお、改質触媒における反応は吸熱反応であるが、変成触媒を有する変成部及び選択酸化触媒を有する選択酸化部における反応は発熱反応となる。
改質部25には、内部(改質触媒が充填されている部分)の温度を検出する温度検出器としての温度センサ25tが配設されている。温度センサ25tは制御装置40と信号ケーブルで接続されており、検出した温度を信号として制御装置40に送信することができるように構成されている。なお、変成部(不図示)及び/又は選択酸化部(不図示)にも温度センサを配設して温度信号を制御装置40に送信できるように構成してもよい。変成部(不図示)及び/又は選択酸化部(不図示)の温度も検出できるようにすると、改質器20のより詳しい状態を把握することができる。
改質部25には、原料m1を導入するための原料管56Aと、プロセス水sを導入するためのプロセス水管59とが接続されている。プロセス水管59は、改質部25直近の原料管56Aに接続されていると、原料m1とプロセス水sとが混合された状態で改質部25に導入されて好適である。しかしながら、プロセス水管59が改質部25に直接接続されていてもよい。原料管56Aには、原料調節弁66Aが設けられている。原料調節弁66Aは、制御装置40と信号ケーブルで接続されており、制御装置40からの信号を受信して弁の開度を調節することができるように構成されている。また、改質部25の選択酸化部には改質ガスgを導出する改質ガスライン51が接続されている。
燃焼部23は、改質部25の改質触媒が設けられている位置に隣接するように、改質器20内に配設されている。燃焼部23は、炭化水素系燃料である燃焼燃料m2、並びに水素含有ガスであるアノードオフガスp及び改質ガスgを導入すると共に、燃焼用空気aを導入し、バーナー(不図示)でこれらを燃焼させて水蒸気改質反応に用いる改質熱を得ることができるように構成されている。燃焼部23は、燃料電池システム10の状態に応じて、いずれも燃料である燃焼燃料m2、アノードオフガスp、改質ガスgのいずれか1種類あるいは2種類以上を導入して燃焼させる。燃焼燃料m2は、本実施の形態では、原料m1と同じものが使用される。すなわち、原料m1及び燃焼燃料m2は、原料燃料管56を流れる原料燃料mが分流したものを用途に応じて呼称を変えたものであり、成分は同じものである。原料燃料管56には、気体の原料燃料mを送る燃料ブロワ46が配設される。なお、原料燃料mが液体の場合は燃料ブロワ46に代えて燃料ポンプ(不図示)が配設される。
燃焼部23には、改質熱を発生するための装置として、バーナー(不図示)が設けられている。燃焼部23には、アノードオフガスp及び改質ガスgを導入可能なアノードオフガスライン52と、燃焼燃料m2を導入する燃料管56Bとが接続されている。燃料管56Bには、燃焼用空気aを導入する燃焼用空気供給ラインとしての燃焼用空気管58が接続されている。燃焼用空気管58には、燃焼用空気aを燃焼部23へ送る燃焼空気ブロワ42が配設されている。燃焼用空気管58が接続された位置よりも上流の燃料管56Bには、燃焼調節弁66Bが配設されている。燃焼調節弁66Bは、制御装置40と信号ケーブルで接続されており、制御装置40からの信号を受信して弁の開度を調節することができるように構成されている。
燃料電池30は、典型的には固体高分子形燃料電池である。燃料電池30は、改質ガスgを導入するアノード31と、酸化剤ガスtを導入するカソード32と、電気化学的反応により発生した熱を奪う冷却部(不図示)とを含んで構成されている。酸化剤ガスtは、典型的には所定の加湿度に加湿された空気である。燃料電池30は、図では簡易的に示されているが、実際には、固体高分子膜をアノード31とカソード32とで挟んで単一のセルが形成され、このセルを冷却部を介し複数枚積層して構成されている。燃料電池30では、アノード31に供給された改質ガスg中の水素が水素イオンと電子とに分解し、水素イオンが固体高分子膜を通過してカソード32に移動すると共に電子がアノード31とカソード32とを結ぶ導線を通ってカソード32に移動して、カソード32に供給された酸化剤ガスt中の酸素と反応して水を生成し、この反応の際に発熱する。この反応を化学式で示すと、アノード31側は以下の(1)式に示すようになり、カソード32側は以下の(2)式に示すようになる。
2H2 → 4H+ + 4e- ・・・(1)
2 + 4H+ + 4e- → 2H2O ・・・(2)
この反応における、電子が導線を通ることにより、直流の電力を取り出すことができる。燃料電池30は、典型的には、直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナ(不図示)と電気的に接続される。
燃料電池30のアノード31では、導入された改質ガスg中の水素のすべてが上述の電気化学的反応(燃料電池30における発電)に利用される訳ではなく、一部の水素が利用される。アノード31からは、燃料電池30での電気化学的反応に利用されなかった水素を含むアノードオフガスpが排出される。アノードオフガスpの成分は、典型的には、約半分が水素、残りの半分に二酸化炭素、窒素、メタンが含まれているが、発電状態に応じて組成が変化することがある。燃料電池30のカソード32では、導入された酸化剤ガスt中の酸素のすべてが上述の電気化学的反応(燃料電池30における発電)に利用される訳ではなく、一部の酸素が利用される。カソード32からは、燃料電池30での電気化学的反応に利用されなかった酸素を含むカソードオフガスqが排出される。
アノード31と改質部25とは、改質ガスライン51を介して接続されている。改質ガスライン51には、改質ガス遮断弁61が配設されている。また、アノード31と燃焼部23とは、アノードオフガスライン52を介して接続され、アノードオフガスpを燃焼部23に導入することができるようになっている。アノードオフガスライン52には、アノードオフガス遮断弁62が配設されている。また、改質ガス遮断弁61よりも上流側の改質ガスライン51とアノードオフガス遮断弁62よりも下流のアノードオフガスライン52とがバイパスライン53で接続されている。バイパスライン53には、バイパス遮断弁63が配設されている。
改質ガス遮断弁61、アノードオフガス遮断弁62、バイパス遮断弁63は、典型的には電磁弁が用いられる。電磁弁を用いることにより、電動弁に比べて急速な開閉動作を行うことができる。また、電磁弁は、一般に弁開度の調整を行うことはできないが、ノーマリクローズとすることにより電気の供給が停止されたときに改質ガスgの燃料電池30への供給を遮断することができフェールセーフとなること、電動弁に比べて安価であること、などの利点がある。改質ガス遮断弁61、アノードオフガス遮断弁62、バイパス遮断弁63は、それぞれ信号ケーブルを介して制御装置40と接続されており、制御装置40から信号を受信して弁の開閉動作が行われるように構成されている。
カソード32には、酸化剤ガスtを導入する酸化剤ガスライン54と、カソードオフガスqを排出するカソードオフガスライン55とが接続されている。酸化剤ガスライン54には酸化剤ガスブロワ44が配設されている。カソードオフガスライン55には、カソードオフガス遮断弁65が配設されている。カソードオフガス遮断弁65は制御装置40と信号ケーブルで接続されており、制御装置40から信号を受信して弁の開閉動作が行われるように構成されている。また、カソードオフガス遮断弁65よりも下流のカソードオフガスライン55と酸化剤ガスライン54とがバイパスライン55bで接続されている。酸化剤ガスライン54からバイパスライン55bが分岐する分岐部には、酸化剤ガス三方弁64が設けられている。酸化剤ガス三方弁64は制御装置40と信号ケーブルで接続されており、制御装置40から信号を受信して酸化剤ガスtの流路を切り換えることができるように構成されている。なお、酸化剤ガス三方弁64を設ける代わりに、バイパスライン55bが分岐する分岐部より下流側の酸化剤ガスライン54に二方弁を設けると共にバイパスライン55bに二方弁を設け、各二方弁の開閉動作により酸化剤ガスtの流路を切り換えるようにしてもよい。酸化剤ガスライン54には、燃料電池30の固体高分子膜(段落0021参照)の導電率を維持するために酸化剤ガスtを所定の加湿度まで加湿するための加湿装置(不図示)が配設される。
制御装置40は、改質ガス遮断弁61、アノードオフガス遮断弁62、バイパス遮断弁63、酸化剤ガス三方弁64、カソードオフガス遮断弁65に各々信号を送信し、各弁の切り換え動作あるいは開閉動作をさせることができる。また、制御装置40は、温度センサ25tから信号を受信して、検出した状況に基づいて上記の各バルブを制御することにより燃料電池システム10の制御を行う。また、制御装置40は、時間を計測するタイマーを有している。また、制御装置40は、原料調節弁66A及び燃焼調節弁66Bの各々に信号を送信し、各弁の開度(全閉を含む)を調節することができるように構成されている。また、制御装置40は、各ブロワ42、44、46を制御する。なお、制御装置40からの信号により、改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を閉じることで、改質ガス遮断弁61とアノードオフガス遮断弁62との間の燃料電池30の改質ガスgを導入する部分に劣化低減ガスを封入することができる。このように、改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62でガス封入手段を構成する。
次に図2を参照して、燃料電池システム10の起動時の作用を説明する。図2は、燃料電池システム10の起動方法のフローチャートである。なお、以下の説明における部材の符号については適宜図1を参照するものとする。燃料電池システム10の停止中は、燃料電池30のアノード31に原料m1のガスが劣化低減ガスとして封入され、アノード31が大気圧よりもやや正圧に保たれて、アノード31に外気が侵入することによる電極の劣化を防いでいる。アノード31への劣化低減ガスの封入は、改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を閉にすることにより行われる。すなわち燃料電池システム10の停止中は、改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62が閉になっている。なおカソード32は、燃料電池システム10の停止中、酸化剤ガス三方弁64がバイパスライン55b側に開いており、酸化剤ガスtがカソード32に供給されないようになっている。これにより、燃料電池30の固体高分子膜の乾燥を防ぐと共に触媒の酸化を防いで、燃料電池30の性能低下を防いでいる。
上記のような燃料電池システム10を停止中の状態から起動したとき、制御装置40は、改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を引き続き閉に、バイパス遮断弁63を開にする(ST1)。この状態で、燃料ブロワ46及び燃焼空気ブロワ42を起動して燃焼部23で燃焼燃料m2を燃焼させると共に、プロセス水ポンプ(不図示)及び改質部25の選択酸化部へ選択酸化空気を供給する選択酸化空気ブロワ(不図示)を起動して、改質部25に原料m1、プロセス水s、選択酸化空気を供給する(ST2)。なお、選択酸化空気ブロワ(不図示)の機能は、燃焼空気ブロワ42又は酸化剤ガスブロワ44が兼ねることとしてもよい。改質器20を低温(典型的には周囲環境温度)の状態から立ち上げたときの起動初期は、改質部25で生成される改質ガスgに許容量以上の一酸化炭素が含まれており組成が安定していないため、改質部25で生成された改質ガスgを燃料電池30には供給せずに燃焼部23へと導いて燃焼させる。改質ガスgが燃焼部23に供給されるようになると燃焼調節弁66Bを閉にし、燃焼部23への燃焼燃料m2の供給を停止する。改質器20は、組成が安定していない改質ガスgが燃焼部23で燃焼されることにより昇温される(ST3)。
改質器20で生成される改質ガスgは、改質部25の温度が所定の温度に達すると組成が安定する(燃料電池30に改質ガスgを供給しても電極触媒が被毒しない程度に一酸化炭素濃度が低減される)ようになる。そこで、制御装置40は、温度センサ25tから温度信号を受信して、改質部25の温度が所定の温度以上か否かを判断する(ST4)。制御装置40は、温度センサ25tが検出する温度が所定の温度以上となるまでこの判断を続ける。なお、改質部25が有する変成部(不図示)及び/又は選択酸化部(不図示)にも温度センサ25tを配設し、各部のそれぞれに配設された温度センサ25tが検出する温度が、各部のそれぞれについてあらかじめ決められた所定の温度以上か否かを判断するようにしてもよい。改質器20で安定した改質ガスgが生成されるときの温度は、改質触媒で約600℃以上、変成触媒で約200〜300℃、選択酸化触媒で約100〜150℃である。したがって、各部のそれぞれについてあらかじめ決められた所定の温度は、例えば、改質部25は650℃、変成部(不図示)は250℃、選択酸化部(不図示)は120℃とすることができる。
改質部25の温度が所定の温度以上となったら(あるいは、すべての部位の温度が所定の温度以上となったら)、制御部40は、改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を開にする(ST5)。改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を開にすると、アノード31側の圧力損失とバイパスライン53側の圧力損失とに応じた配分となるように、一部の改質ガスgがアノード31に供給される。改質ガスgの一部がアノード31に供給されると、燃料電池システム10の停止時に封入されていた劣化低減ガスが追い出されるように燃焼部23に向かって流れることとなる。仮に、改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を開にすると同時にバイパス遮断弁を閉にして改質ガスgの全量をアノード31に供給することとすると、アノード31に封入されていた劣化低減ガスが一斉に燃焼部23に供給されることとなる。すると、それまで燃焼部23に供給されていた改質ガスgとの種類の違い、圧力の違いにより、燃焼部23における燃焼が不安定になる。そこで、以下のような制御をすることにより、燃焼部23における燃焼状態が不安定になることを軽減する。なお、改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を開にした後のある時間、燃焼部23のバーナーに設置されたイグナイタを作動させて劣化低減ガスの導入に起因する失火を防ぐこととしてもよい。
制御装置40は、改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を開にした後、所定時間が経過したか否かを判断する(ST6)。一般に、アノード31側の圧力損失の方がバイパスライン53側の圧力損失よりも大きいため、改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62が開になってアノード31側の圧力がバイパスライン53側の圧力まで低下すると、改質部25から導出された改質ガスgの大半はバイパスライン53を通って燃焼部23へと導入されることとなり、アノード31側には劣化低減ガスが滞留することとなる。本工程(ST6)における所定時間は、典型的には、改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を開にしてから、アノード31側の圧力とバイパスライン53側の圧力とがバランスして燃焼部23に流入するガスの成分が安定するまでの時間であり、例えば30秒程度である。制御装置40は、所定時間が経過するまでこの判断を続ける。
所定時間が経過したら、制御装置40はバイパス遮断弁63を所定回数間欠的に開閉させる(ST7)。バイパス遮断弁63を閉にすると改質ガスgがアノード31に供給されるので、アノード31側に滞留している劣化低減ガスが排出されることとなる。また、バイパス遮断弁63を間欠的に開閉させるので、アノード31側に滞留している劣化低減ガスが一斉に燃焼部23に流入することがなく、燃焼部23における不安定な燃焼が発生することを回避することができる。本工程(ST7)における所定回数は、燃焼部23における不安定な燃焼を生じさせることなくアノード31側に滞留している劣化低減ガスを排出できる回数であり、例えば5回の開閉動作を、例えば閉にする時間を5秒間、開にする時間を3秒間として行う。なお、バイパス遮断弁63を開閉させる回数やバイパス遮断弁63を開あるいは閉にしている時間は、燃焼部23における燃焼が不安定にならずに劣化低減ガスをアノード31側から排出させることができように適宜調整することができる。
バイパス遮断弁63を所定回数間欠的に開閉させたら、バイパス遮断弁63を閉にして、改質ガスgの全量をアノード31に供給する(ST8)。そして酸化剤ガスブロワ44を起動して酸化剤ガスtをカソード32に供給する(ST9)。燃料電池30に改質ガスg及び酸化剤ガスtが供給されると、燃料電池30では上述の(1)式及び(2)式に示したような電気化学的反応により発電が行われる(ST10)。燃料電池30によって得られる電力は直流電力であるため、パワーコンディショナ(不図示)で交流電力に変換されて電力負荷(不図示)に送電される。また、燃料電池30で発生した熱は、例えば貯湯タンク(不図示)に蓄えられ、必要に応じて給湯や暖房等の熱負荷において消費される。燃料電池30で発生した熱を有効利用することにより、燃料電池システム10の効率が向上することとなる。
なお、定常運転時の燃料電池システム10は以下のように作用する。燃料電池30の作動中、アノード31からはアノードオフガスpが排出される。排出されたアノードオフガスpは、アノードオフガスライン52を介して改質器20の燃焼部23に導かれて燃焼される。燃焼部23におけるアノードオフガスpの燃焼により、改質部25における改質に用いる改質熱を発生させることができる。燃焼部23における燃焼によって生じた排ガスは、排ガス管(不図示)を介して系外に排出される。他方、カソード32からはカソードオフガスqが排出され、カソードオフガスライン55を介して系外に排出される。
なお、燃料電池システム10の停止時は、アノード31及びカソード32に空気が流入することにより燃料電池30が劣化することを防ぐため、改質ガス遮断弁61、アノードオフガス遮断弁62、酸化剤ガス三方弁64、カソードオフガス遮断弁65を閉にして、改質ガス遮断弁61とアノードオフガス遮断弁62との間、及び酸化剤ガス三方弁64とカソードオフガス遮断弁65との間をそれぞれ密閉空間とする。燃料電池システム10の停止時に燃料電池30が冷えることによってアノード31の内部圧力が所定の圧力よりも低下したら、アノード31が周囲環境の圧力よりも負圧になるのを防ぐため、アノード31に原料m1のガスを劣化低減ガスとして封入する。
以上で説明したように、本実施の形態に係る燃料電池システム10によれば、改質器20の起動初期は改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を閉かつバイパス遮断弁63を開とし、改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を閉から開に切り換えたときに、バイパス遮断弁63を複数回間欠的に開閉した後に閉とするように制御するので、燃料電池システム10の停止時にアノード31側に封入されていた劣化低減ガスが、間欠的にあるいは改質ガスgと混合され希釈されて燃焼部23へ供給されることとなり、燃焼部23における燃焼状態が不安定になることを軽減することができる。なお、このような本発明に係る燃料電池システム10の制御は、アノード31側に劣化低減ガスが封入されている状態から起動する場合に限らず、例えば凍結防止対策として、アノード31を窒素や空気でパージした次に起動する場合等においても利用することができる。この場合は、パージに使用した窒素や空気が、間欠的にあるいは改質ガスgと混合され希釈されて燃焼部23へ供給されることとなり、燃焼部23における燃焼状態が不安定になることを軽減することができる。
以上では、温度センサ25tで改質部25の温度を検出して改質部25の温度が所定の温度以上となったら改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を開にすることとして説明したが、温度センサ25tに代えて改質ガスライン51に一酸化炭素濃度計を配設し、改質ガスg中の一酸化炭素濃度が所定の濃度(例えば10体積ppm)以下になったときに改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を開にするようにしてもよい。このようにすると、一酸化炭素濃度が所定の濃度以下の改質ガスgのみがアノード31に供給されることとなり、燃料電池30の電極触媒の被毒を確実に防ぐことができる。あるいは、温度センサ25tに代えて制御装置40が有するタイマーを用いて燃焼部23における燃焼を開始してから所定の時間が経過したときに改質ガス遮断弁61及びアノードオフガス遮断弁62を開にするようにしてもよい。このようにすると、燃料電池システム10の構成を簡略化することができる。
以上では、アノード31に封入する劣化低減ガスとして原料m1のガスを用いることとして説明したが、劣化低減ガスは不活性ガス等であってもよい。しかしながら、劣化低減ガスとして原料m1のガスを用いると、特別な装置を用意しなくてもよいのでシステムが複雑になることを回避することができる。
以上の説明では、燃料電池30が固体高分子形燃料電池であるとして説明したが、りん酸形燃料電池等の固体高分子形燃料電池以外の燃料電池であってもよい。しかしながら、固体高分子形燃料電池とすると、比較的低温で運転することができ、装置を小型化できるので、一般家庭等に設置するのに適している。
本発明の実施の形態に係る燃料電池システムの模式的系統図である。 本発明の実施の形態に係る燃料電池システムの起動方法を説明するフローチャートである。
符号の説明
10 燃料電池システム
20 改質器
23 燃焼部
25 改質部
25t 温度検出器
30 燃料電池
40 制御装置
51 改質ガスライン
52 アノードオフガスライン
53 バイパスライン
61 改質ガス遮断弁
62 アノードオフガス遮断弁
63 バイパス遮断弁
g 改質ガス
p アノードオフガス
t 酸化剤ガス
m1 原料
m2 燃焼燃料

Claims (3)

  1. 原料を導入し改質して水素に富む改質ガスを生成する改質部と、燃料を導入し燃焼させて前記改質部における改質に用いられる改質熱を発生させる燃焼部とを有する改質器と;
    酸素を含有する酸化剤ガスと前記改質ガスとを導入し、前記改質ガス中の水素と前記酸化剤ガス中の酸素との電気化学的反応により発電する燃料電池と;
    前記改質部から前記燃料電池へ前記改質ガスを導く改質ガスラインであって、前記改質ガスの流れを遮断可能な改質ガス遮断弁を有する改質ガスラインと;
    前記改質ガス中の水素のうち前記燃料電池における電気化学的反応に利用されなかった水素を含むアノードオフガスを前記燃料電池から前記燃焼部へ導くアノードオフガスラインであって、前記アノードオフガスの流れを遮断可能なアノードオフガス遮断弁を有するアノードオフガスラインと;
    前記改質ガス遮断弁より上流側の前記改質ガスラインと前記アノードオフガス遮断弁より下流側の前記アノードオフガスラインとを連通し前記改質ガスラインを流れる改質ガスを前記アノードオフガスラインへ導くバイパスラインであって、前記改質ガスの流れを遮断可能なバイパス遮断弁を有するバイパスラインと;
    前記改質器の起動初期は前記改質ガス遮断弁及び前記アノードオフガス遮断弁を閉かつ前記バイパス遮断弁を開とし、前記改質ガス遮断弁及び前記アノードオフガス遮断弁を閉から開に切り換えたときに、前記バイパス遮断弁を複数回間欠的に開閉した後に閉として前記燃料電池内のガスを前記燃焼部へ間欠的に供給するように、前記改質ガス遮断弁、前記アノードオフガス遮断弁、及び前記バイパス遮断弁を制御する制御装置とを備える;
    燃料電池システム。
  2. 前記改質部の温度を検出する温度検出器を備え;
    前記制御装置が、前記温度検出器で検出した温度が所定の温度以上となったときに前記改質ガス遮断弁及び前記アノードオフガス遮断弁を閉から開に切り換えるように構成された;
    請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記燃料電池システムの停止時に、前記燃料電池の前記改質ガスを導入する部分に前記燃料電池の劣化を低減する劣化低減ガスを封入するガス封入手段を備える;
    請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。

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