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JP2008143472A - 電気接続構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】レイアウト設計の自由度を向上させコストの削減を図り、ワイヤハーネスのスムーズな動きを確実に支援して環境変化による影響を受けにくい構造を実現する。
【解決手段】電気接続構造を実現する給電装置1は、車体2とスライドドア3との間を電気的に接続し両端がこれらにそれぞれ固定され中間部が屈曲可能な状態で配されるワイヤハーネス6と、ワイヤハーネス6の中間部と接触しつつスライド移動と連動して移動しワイヤハーネス6をPA方向に案内するスライダ10と、スライダ10とともにワイヤハーネス6の中間部を収容する収容空間29を有しスライドドア3に配設される箱形形状のプロテクタ20とを備える。スライダ10は、支持部13に収容室21のレール28と緩衝部13gが摺接する状態で係合する凹部13a,13bを備え、引っ張りバネ部27により湾曲部11が突出する側に付勢されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、固定側部材と、この固定側部材に対して移動可能な移動側部材との間を電気的に接続するための電気接続構造に関し、特に自動車のスライドドアに適用され、このスライドドアに搭載された各種の電装部品と自動車の車体とを電気的に接続するための電気接続構造に関する。
従来より、自動車のスライドドア側と車体側とを電気的に接続するための電気接続構造の一例として、例えば下記特許文献1に開示されているものが知られている。この電気接続構造は、ワイヤハーネスを、例えば板バネによって常に上方向に屈曲させつつ収容し、スリット状の開口部から導出させる給電用ハーネスプロテクタを備えてなる。
この給電用ハーネスプロテクタは、開口部に沿って縦断面形状が湾曲状あるいは傾斜状となる形状で形成されたガイド部と、このガイド部の端部に形成され徐々に高さ方向に湾曲あるいは傾斜した形状のハーネス誘導部とを有し、このハーネス誘導部に隣接して開口部に続くように形成されたハーネス導出用の口部を備えた構造からなる。
そして、この電気接続構造では、このように構成された給電用ハーネスプロテクタをスライドドアおよび車体のいずれか一方に配置し、いずれか他方にハーネス固定部を配置して、このハーネス固定部と同じ高さに口部を位置させるようにしている。これにより、スライドドアの全閉あるいは全開位置で口部からハーネス固定部にワイヤハーネスを水平方向に導出させ、ワイヤハーネスの傷みを防ぐことができる構成とされている。
特開2003−335188号公報、段落0017〜0021、図1〜4
しかしながら、上述した従来の電気接続構造では、給電用ハーネスプロテクタ内で板バネによりワイヤハーネスを常に上方向に付勢している。このため、給電用ハーネスプロテクタの外形が大きくなり、例えばスライドドア側の電装部品の配設スペースを圧迫してしまい、電装部品のレイアウト設計の自由度を制限してしまうという問題がある。
また、上述した従来の電気接続構造では、ハーネス固定部を車体に対して、例えばブラケットの固定軸を支点にして車両の前後方向に揺動自在な状態で取り付けているため、この構造を実現するための部品点数が多くなり、製造コストや組立コストなどの各種のコストが増加してしまうという問題がある。
さらに、上述した従来の電気接続構造では、給電用ハーネスプロテクタの開口部および口部からワイヤハーネスを単純にハーネス固定部に向けて導出する構造であるため、給電用ハーネスプロテクタの内部にこれらの開口部や口部を介して異物などが入り込んでしまい、ワイヤハーネスを傷つけたり、ワイヤハーネスの動きに著しい影響を与えてしまったりするおそれがあるという問題がある。
また、上述した従来の電気接続構造では、給電用ハーネスプロテクタのプロテクタ本体やプロテクタカバーが合成樹脂からなるため、温度変化や湿度変化などの環境変化によってプロテクタ自体が撓み、寸法誤差が著しくなった場合はワイヤハーネスを付勢する弾性部材の動きを妨げてしまうおそれがあるという問題がある。
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、レイアウト設計の自由度を向上させつつコストの削減を図り、ワイヤハーネスの動きを確実に支援して環境変化による影響を受けにくくスムーズに動かすことが可能な電気接続構造を提供することを目的とする。
本発明に係る電気接続構造は、固定側部材と、この固定側部材に対してスライド移動可能な移動側部材との間を電気的に接続するための電気接続構造であって、一端が前記固定側部材に固定されるとともに他端が前記移動側部材に固定され、且つこれらの中間部が屈曲可能な状態で配されるワイヤハーネスと、このワイヤハーネスの前記中間部と接触しつつ前記移動側部材のスライド移動と連動して前記移動側部材に対してスライド移動方向と平行な方向に移動するとともに、前記ワイヤハーネスが有する最小曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げられた形状の湾曲部が前記平行な方向のいずれか一方に向かって突出するように形成されたハーネス接触部と、このハーネス接触部を前記平行な方向に移動可能な状態で支持するとともに、前記スライド移動方向と平行な方向に延在する凹状溝を有する支持部と、前記凹状溝の延在方向の少なくとも一部に設けられた緩衝部と、を有し、前記ハーネス接触部と前記支持部とがクランク状断面となるように曲げられた形状からなる連結部によって連結された構造からなり、前記ワイヤハーネスを案内するスライダと、このスライダの前記ハーネス接触部とともに前記ワイヤハーネスの前記中間部を収容する第1収容室と前記スライダの前記支持部が前記平行な方向に沿って摺動自在に収容される第2収容室とを仕切る隔離部と、この隔離部の前記第2収容室形成側と反対側に前記第1収容室から前記ワイヤハーネスを導出するための開口部と、前記スライダの移動範囲全域にわたって前記第2収容室に設けられ、前記スライド移動方向と平行な方向に延在し、先端が前記緩衝部を圧接しながら前記凹状溝内に介在されることにより前記スライダの移動を規制する金属製のレールと、前記スライダを復元力によって前記湾曲部が突出する側に引っ張るように付勢する付勢手段とを有し、前記移動側部材に配されて前記平行な方向に沿って延びる箱形形状のプロテクタとを備えたことを特徴とする。
本発明に係る電気接続構造は、以上のように構成することにより、プロテクタの第2収容室に設けられた金属製のレールの先端がスライダの支持部の緩衝部を圧接しながら凹状溝に介在されることによって、スライダの移動を規制する構造を実現するため、レイアウト設計の自由度を向上させつつコストの削減を図り、ワイヤハーネスの動きを確実に支援して環境変化による影響を受けにくくスムーズに動かすことが可能となる。
また、凹状溝は、支持部の両側面にそれぞれ形成され、それぞれに緩衝部が設けられており、金属製のレールは、上方に開口を有する断面C字状に形成され、C字を形成する一対の先端がいずれも緩衝部を圧接しながら凹状溝内にそれぞれ介在されることによりスライダの移動を規制するように構成されていてもよい。
また、付勢手段は、プロテクタの第2収容室のスライド移動方向に存する内壁面に一端が固定され、この内壁面と対向配置されるスライダの支持部の外周表面に他端が固定された引っ張りバネ部により構成されていてもよい。また、スライダの緩衝部は、フェルト材からなるものでもよい。
さらに、プロテクタは、第2収容室が形成された筐体本体部と、この筐体本体部に対して着脱可能な隔離部が形成された筐体カバー部とを備えて構成されていてもよい。ここで、ワイヤハーネスは、複数の電線を束ねてこれらを保護部材により覆った構造からなるとよい。また、保護部材は、コルゲート材からなるとよい。なお、固定側部材は自動車の車体であり、移動側部材は自動車の車体に取り付けられたスライドドアであるとよい。
本発明によれば、固定側部材と移動側部材とを電気的に接続する屈曲可能なワイヤハーネスの中間部が、このワイヤハーネスを移動側部材のスライド移動方向に案内するために付勢手段によって付勢されたスライダとともに、固定側部材あるいは移動側部材に配設されスライド移動方向に沿って延びる箱形形状のプロテクタに収容される。このため、プロテクタの外形を小さくすることができ、電装部品などのレイアウト設計の自由度を向上させることができる。
また、本発明によれば、固定側部材および移動側部材にそれぞれ固定されるワイヤハーネスの両端部に、従来のようないわゆる揺動機構を設ける必要がなく、電気接続構造を実現するための部品店数を削減してコストの低減を図ることが可能となる。さらに、本発明によれば、スライダの支持部が収容されるプロテクタの第2収容室に対し、ワイヤハーネスの中間部およびスライダのハーネス接触部を隔離部によって第1収容室内に隔離する。このため、プロテクタの開口部から第1収容室内に異物などが混入した場合であっても第2収容室へのさらなる混入を効果的に防ぐことができ、スライダの動作不良を防いでワイヤハーネスをスムーズに動かすことが可能となる。
また、本発明によれば、第2収容室に設けられた金属製のレールの先端がスライダの支持部における複数の凹状溝内に緩衝部を圧接する状態で介在されるため、スライダの動きを妨げる環境変化による影響を受けにくい構造を実現しつつプロテクタ内でのスライダの移動時にガタつきなどを抑えて確実にスライダを移動させることができる。
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電気接続構造を示す分解斜視図、図2および図3は、この電気接続構造におけるスライダを示す外観斜視図、図4は、この電気接続構造におけるスライダとプロテクタとの配置関係を示す分解斜視図、図5は、この電気接続構造によってワイヤハーネスを配した後の図4におけるA−A’断面図である。
また、図6は、この電気接続構造を自動車のスライドドアに適用した状態を示す斜視図、図7〜図15は、この電気接続構造を適用したスライドドアの全開位置から全閉位置までの動きを示す動作説明図である。なお、図7〜図9は、電気接続構造を上方から簡易的に見た状態の動作説明図であり、図10〜図12は、電気接続構造における各部の動きを簡易的に見た状態の動作説明図であり、図13〜図15は、電気接続構造を車内側から簡易的に見た状態の動作説明図である。
図1に示すように、本実施形態に係る電気接続構造を実現する給電装置1は、固定側部材としての自動車の車体2(図7〜図9参照、以下同じ)と、この車体2に対してスライド移動方向である図7〜図15中矢印PA方向(以下、「PA方向」という)にスライド移動可能な移動側部材としてのスライドドア3(図6〜図9参照、以下同じ)との間を電気的に接続するものである。なお、本例では給電装置1の電源回路などは省略して説明するとともに、スライドドア3は、車体2の左側に取り付けられていることとする。
この給電装置1は、ワイヤハーネス6と、このワイヤハーネス6を案内するスライダ10と、このスライダ10を収容するプロテクタ20とを備えて構成されている。ワイヤハーネス6は、例えば一端が車体2にハーネス固定部4(図6〜図9および図13〜図15参照、以下同じ)およびコネクタ5(図7〜図9参照、以下同じ)を介して固定される。また、ワイヤハーネス6は、他端がスライドドア3に固定されるとともに両端部間の中間部が屈曲可能な状態で車体2およびスライドドア3に配される。
このワイヤハーネス6は、具体的には、一端がコネクタ5を介して車体2側の図示しない配線と接続された状態でハーネス固定部4により固定されている。そして、他端がスライドドア3側のパワーウィンドウ装置などの各電装部品(図示せず)と図示しないコネクタを介して接続され固定されている。このように、本例の電気接続構造では、ワイヤハーネス6の各固定端は、従来のようないわゆる揺動機構によって揺動自在に固定されている必要はない。
ワイヤハーネス6は、例えば複数の電線を束ねてこれらの外周部をコルゲート材からなる保護部材で覆った構造からなり、屈曲可能となるように適度な可撓性および弾性を備えて構成されている。ここで、上記PA方向は、車体2の前後方向を指すこととし、以降においては特に明記しない限り「前後」とは車体2の前後と一致する方向を示すこととする。
スライダ10は、ワイヤハーネス6の中間部と接触しつつスライドドア3のスライド移動方向と連動してPA方向と平行な相対方向(以下、「平行方向」という)に移動し、ワイヤハーネス6を前後方向に案内する。このスライダ10は、例えば樹脂成形部材からなり、図1〜図4に示すように、ハーネス接触部12と、このハーネス接触部12を支持する支持部13と、これらを連結する連結部14とを備えて構成されている。ハーネス接触部12は、平行方向のいずれか一方として、例えば後方向に向かって突出するように、ワイヤハーネス6が有する最小曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げられた曲面を有する湾曲部11を備えている。
支持部13は、ハーネス接触部12をプロテクタ20に対して平行方向に移動可能な状態で支持するとともに、例えば平行方向と直交する方向に開口を有し平行方向に沿って形成(延在)された凹状溝である一対の凹部13a,13bおよびこれらの凹部13a,13bと外周表面から連通するように形成された複数の孔部13c〜13fを有する。この支持部13の複数の孔部13c〜13fには、凹部13a,13bの一部(平行方向の両端近傍)をそれぞれ閉塞するように、例えばフェルト材からなる緩衝部13gがそれぞれ挿入されている。なお、支持部13の一対の凹部13a,13bは、後述する金属製のレールに緩衝部13gが摺接する状態で係合する。
連結部14は、クランク状断面となるように曲げられた形状からなり、ハーネス接触部12と支持部13とを連結する。スライダ10のこのような構造により、本例の電気接続構造を実現する給電装置1の実際の使用に際して、ワイヤハーネス6の中間部は、ハーネス接触部12と支持部13との間の連結部14における凹状部分を必ず通るように配される。そして、ワイヤハーネス6の中間部は、最も屈曲した状態のときには、ハーネス接触部12の湾曲部11の曲面に沿って曲げられた状態となる。
プロテクタ20は、例えばスライドドア3に配設され、その長手方向が前後方向にそって延びる箱形形状に形成されている。このプロテクタ20は、スライダ10と同様に樹脂成形部材からなり、図1、図4および図5に示すように、スライダ10のハーネス接触部12とワイヤハーネス6の中間部とを収容する第1収容室である収容空間29およびスライダ10の支持部13を収容する第2収容室である収容室21を仕切る隔離部22と、ワイヤハーネス6を外部に導出するための開口部23と、収容室21に設けられスライダ10の支持部13の凹部13a,13bにそれぞれ緩衝部13gと摺接するように係合する金属製のレール28と、スライダ10を付勢する付勢手段である引張りバネ部27とを備えて構成されている。
また、プロテクタ20は、例えば収容室21が形成された筐体本体部20aと、この筐体本体部20aに対して着脱可能であり、且つ隔離部22が形成された筐体カバー部20bとによって分割可能に形成されている。このように分割可能な構造を備えることにより、給電装置1では、例えばワイヤハーネス6やスライダ10のメンテナンス時などにおけるプロテクタ20内へのアクセス性を向上させることができる。また、隔離部22を備えることにより、確実に収容室21と収容空間29とを空間的に仕切ることができる。
ここで、収容空間29は、スライダ10のハーネス接触部12とともにワイヤハーネス6の中間部を平行方向に移動可能に収容するものであり、収容室21には、例えばC字状断面形状を有する金属製のレール28が、図示しないネジなどを用いて収容室21に直接ネジ止めされ収容されたうえで、このレール28のスリットを挟んだ対向端部にスライダ10の支持部13の一対の凹部13a,13bが嵌められて、この支持部13が平行方向に沿って摺動可能に係合され収容される。
なお、レール28は、C字状断面の他、凹部13a,13bに係合する対向端部が形成されるような断面形状をもって形成されていればよい。また、レール28は、アルミニウム(Al)や鉄(Fe)、ステンレス(SUS)などの金属部材からなるものである。隔離部22(図5参照、以下同じ)は、例えばプロテクタ20の長手方向に沿って延び、且つ筐体本体部20aと筐体カバー部20bとを結ぶ方向(以下、「水平方向」という)に突出形成された突条などの仕切板からなる。
開口部23は、隔離部22の収容室21形成側と反対側に、収容空間29から外部にワイヤハーネス6を確実に導出するために形成されている。この開口部23は、例えばプロテクタ20の後方向側壁部の一部と下方側壁部とを連続的に開口状態とすることによって形成されている。なお、プロテクタ20の前方向側壁部の一部には、ワイヤハーネス6をスライドドア3の固定側へ導出するための導出穴24が形成されている。
引張りバネ部27は、プロテクタ20の収容室21の平行方向に存する後方向内壁面にその一端が固定され、この内壁面と対向配置されるスライダ10の支持部13の外周表面に他端が固定されて、例えばスライダ10を復元力によって湾曲部11が突出する側に引っ張るように付勢するものである。
そして、この引っ張りバネ部27は、例えばスライダ10の収容室21の後方向内壁面に対する平行方向の距離が所定量以上離れた場合に、スライダ10の移動量に対する荷重(すなわち、後方向内壁面側に対する引張り力)がほぼ一定となるような、いわゆる定荷重の荷重特性を備えているとよい。
引っ張りバネ部27が定荷重の荷重特性を備えることにより、スライダ10はプロテクタ20内でスムーズに移動することができる。このため、スライドドア3の動きに応じてワイヤハーネス6を確実に案内することができる。
このように構成された電気接続構造を備える給電装置1では、ワイヤハーネス6の中間部がスライダ10とともに前後方向にその長手方向が沿って延びる箱形形状のプロテクタ20に収容される構造を実現する。また、このスライダ10を付勢する引っ張りバネ部27がプロテクタ20の収容室21内に収容された構造を実現する。このため、プロテクタ20の外形を小さく構成することができる。
したがって、例えば図6に示すように、スライドドア3側に給電装置1を配設した場合などに各種の電装部品の配設スペースを広く確保することができる。これにより、レイアウト設計の自由度を向上させることが可能となる。この場合、ワイヤハーネス6の余分な長さであるいわゆる余長は、引っ張りバネ部27によって実現するプロテクタ20内におけるスライダ10の最大移動時から最小移動時までのスムーズな動作に連動して、プロテクタ20の収容空間29内において吸収される。
このように構成された給電装置1によれば、図7、図10および図13に示すように、スライドドア3が前後方向における後方向にて車体2に対して全開位置となっている場合は、ワイヤハーネス6は次のような状態となる。すなわち、収容空間29内のワイヤハーネス6の中間部は、スライダ10のハーネス接触部12および連結部14と接触したまま引っ張りバネ部27によってほぼ一定の張力が掛かった状態で屈曲する。しかし、湾曲部11により最小曲率よりも折れ曲がってしまうことはない。このため、ワイヤハーネス6の中間部に無理な引っ張りや圧縮などの余計なストレスが掛かることはない。
そして、図8、図11および図14に示すように、スライドドア3を全開位置から全閉位置に向けて前後方向における前方向に途中までスライド移動させた場合は、ワイヤハーネス6は次のような状態となる。すなわち、収容空間29内のワイヤハーネス6の中間部は、上記と同様にスライダ10のハーネス接触部12および連結部14と接触したまま引っ張りバネ部27によってほぼ一定の張力が掛かった状態で屈曲する。しかし、上述したように湾曲部11によって折れ曲がる形状は規制されたままとなる。
最後に、図9、図12および図15に示すように、スライドドア3が前後方向における前方向にて全閉位置となっている場合には、ワイヤハーネス6は次のような状態となる。すなわち、収容空間29内のワイヤハーネス6の中間部は、スライダ10のハーネス接触部12および連結部14と接触している状態ではあるが、湾曲部11とは接触していない状態でほぼ直線状に配される。なお、この状態のまま、ワイヤハーネス6の中間部に対して前後方向への何らかの引っ張り力が発生した場合であっても、収容空間29に設けられた規制壁26によりワイヤハーネス6の中間部の形状は維持される。
このような一連のスライドドア3の動きの中で、この給電装置1では、スライダ10の支持部13がプロテクタ20の収容室21内で一対の凹部13a,13bとレール28の対向端部とが緩衝部13gを介して平行方向に摺動自在に係合される、換言すれば、収容室21に設けられたレール28の先端が支持部13の緩衝部13gを圧接しながら凹部13a,13bに介在されることによってガタつくことなく移動する。これとともに、スライダ10が引っ張りバネ部27によってスムーズに移動する。
また、隔離部22によって収容室21が収容空間29から空間的に隔離されたような状態でのスライド移動を実現することができる。ここで、筐体本体部20aに設けられた収容室21の収容空間29との境界位置の壁部25は、例えば隔離部22を第1の隔離壁とした場合、収容室21へのさらなる異物などの混入を防ぐための第2の隔離壁としての役割を果たすように構成されている。このため、スライダ10をスムーズ且つ確実に移動させることができるとともに、開口部23から収容空間29内に異物などが混入してもスライダ10の動きを妨げないでワイヤハーネス6を確実に案内することが可能となる。
さらに、スライダ10の支持部13が、収容室21に設けられた金属製のレール28と係合された状態で平行方向に移動する構造を実現するため、プロテクタ20を構成する筐体本体部20aや筐体カバー部20bが温度変化や湿度変化などの環境変化によってその形状が変化したり、その寸法に誤差が生じるような場合があっても、レール28に影響が生じることはなく、スライダ10の動きを確実に継続しつつワイヤハーネス6の案内を行うことが可能となる。
なお、上述した実施形態の電気接続構造を実現する給電装置1は、自動車の車体2とスライドドア3との間を電気的に接続するものとして適用した場合について説明したが、その他、列車や航空機などの移動体、あるいは各種アトラクションなどを有する施設などにおいて、固定側部材と移動側部材との間を電気的に接続する場合においても適用することができる。
また、上述した実施形態の電気接続構造を実現する給電装置1は、車体2の左側に取り付けられるスライドドア3に設置されるものとして説明したが、車体2の右側に取り付けられるスライドドアに設置される給電装置としても適用することは可能である。
さらに、上述した実施形態の電気接続構造を実現する給電装置1は、スライダ10の支持部13に一対の凹部13a,13bを形成し、レール28の対向端部と係合する構造を説明したが、この構造に加えて、例えば支持部13においてこれらの凹部13a,13bを結ぶ方向と直交する方向に開口する新たな凹部を設け、筐体カバー部20bの収容室21を塞ぐ位置にこの凹部と係合可能な突条などを形成し、さらにこれらを係合する構造としてもよい。
本発明の一実施形態に係る電気接続構造を示す分解斜視図である。 同電気接続構造におけるスライダを示す外観斜視図である。 同電気接続構造におけるスライダを示す外観斜視図である。 同電気接続構造におけるスライダとプロテクタとの配置関係を示す分解斜視図である。 同電気接続構造によってワイヤハーネスを配した後の図4におけるA−A’断面図である。 同電気接続構造を自動車のスライドドアに配設した状態を示す斜視図である。 同電気接続構造を上方から簡易的に見た状態の動作説明図である。 同電気接続構造を上方から簡易的に見た状態の動作説明図である。 同電気接続構造を上方から簡易的に見た状態の動作説明図である。 同電気接続構造における各部の動きを簡易的に見た状態の動作説明図である。 同電気接続構造における各部の動きを簡易的に見た状態の動作説明図である。 同電気接続構造における各部の動きを簡易的に見た状態の動作説明図である。 同電気接続構造を車内側から簡易的に見た状態の動作説明図である。 同電気接続構造を車内側から簡易的に見た状態の動作説明図である。 同電気接続構造を車内側から簡易的に見た状態の動作説明図である。
符号の説明
1…給電装置、2…車体、3…スライドドア、4…ハーネス固定部、5…コネクタ、6…ワイヤハーネス、10…スライダ、11…湾曲部、12…ハーネス接触部、13…支持部、13a,13b…凹部、13c〜13f…孔部、13g…緩衝部、14…連結部、20…プロテクタ、20a…筐体本体部、20b…筐体カバー部、21…収容室、22…隔離部、23…開口部、24…導出穴、27…引っ張りバネ部、28…レール、29…収容空間。

Claims (8)

  1. 固定側部材と、この固定側部材に対してスライド移動可能な移動側部材との間を電気的に接続するための電気接続構造であって、
    一端が前記固定側部材に固定されるとともに他端が前記移動側部材に固定され、且つこれらの中間部が屈曲可能な状態で配されるワイヤハーネスと、
    このワイヤハーネスの前記中間部と接触しつつ前記移動側部材のスライド移動と連動して前記移動側部材に対してスライド移動方向と平行な方向に移動するとともに、前記ワイヤハーネスが有する最小曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げられた形状の湾曲部が前記平行な方向のいずれか一方に向かって突出するように形成されたハーネス接触部と、このハーネス接触部を前記平行な方向に移動可能な状態で支持するとともに、前記スライド移動方向と平行な方向に延在する凹状溝を有する支持部と、前記凹状溝の延在方向の少なくとも一部に設けられた緩衝部と、を有し、前記ハーネス接触部と前記支持部とがクランク状断面となるように曲げられた形状からなる連結部によって連結された構造からなり、前記ワイヤハーネスを案内するスライダと、
    このスライダの前記ハーネス接触部とともに前記ワイヤハーネスの前記中間部を収容する第1収容室と前記スライダの前記支持部が前記平行な方向に沿って摺動自在に収容される第2収容室とを仕切る隔離部と、この隔離部の前記第2収容室形成側と反対側に前記第1収容室から前記ワイヤハーネスを導出するための開口部と、前記スライダの移動範囲全域にわたって前記第2収容室に設けられ、前記スライド移動方向と平行な方向に延在し、先端が前記緩衝部を圧接しながら前記凹状溝内に介在されることにより前記スライダの移動を規制する金属製のレールと、前記スライダを復元力によって前記湾曲部が突出する側に引っ張るように付勢する付勢手段とを有し、前記移動側部材に配されて前記平行な方向に沿って延びる箱形形状のプロテクタとを備えた
    ことを特徴とする電気接続構造。
  2. 前記凹状溝は、前記支持部の両側面にそれぞれ形成され、それぞれに前記緩衝部が設けられており、
    前記金属製のレールは、上方に開口を有する断面C字状に形成され、C字を形成する一対の先端がいずれも前記緩衝部を圧接しながら前記凹状溝内にそれぞれ介在されることにより前記スライダの移動を規制するよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の電気接続構造。
  3. 前記付勢手段は、前記プロテクタの前記第2収容室の前記スライド移動方向に存する内壁面に一端が固定され、この内壁面と対向配置される前記スライダの前記支持部の外周表面に他端が固定された引っ張りバネ部により構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電気接続構造。
  4. 前記スライダの前記緩衝部は、フェルト材からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の電気接続構造。
  5. 前記プロテクタは、前記第2収容室が形成された筐体本体部と、この筐体本体部に対して着脱可能な前記隔離部が形成された筐体カバー部とを備えて構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の電気接続構造。
  6. 前記ワイヤハーネスは、複数の電線を束ねてこれらを保護部材により覆った構造からなるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の電気接続構造。
  7. 前記保護部材は、コルゲート材からなることを特徴とする請求項6記載の電気接続構造。
  8. 前記固定側部材は自動車の車体であり、前記移動側部材は前記自動車の車体に取り付けられたスライドドアであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の電気接続構造。
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