JP2008024700A - ベルベリン含有水性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、ベルベリンとアルギン酸を含んでいながら、ベルベリンの熱又は光に対する安定性が改善されている水性組成物を提供することである。
【解決手段】(A)ベルベリン及び/又はその塩、及び(B)アルギン酸及び/又はその塩と共に、(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、テトラヒドロゾリン、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合して、水性組成物を調製する。
【選択図】なし
【解決手段】(A)ベルベリン及び/又はその塩、及び(B)アルギン酸及び/又はその塩と共に、(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、テトラヒドロゾリン、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合して、水性組成物を調製する。
【選択図】なし
Description
本発明は、安定性が改善されたベルベリン含有水性組成物に関する。より詳細には、ベルベリンとアルギン酸を含んでいながら、ベルベリンの熱又は光に対する安定性が改善されている水性組成物に関する。更に、本発明は、ベルベリンとアルギン酸を含有する水性組成物を安定化する方法に関する。
ベルベリン又はその塩には、優れた抗炎症作用があることが知られており、胃腸薬等の内服剤成分としてのみならず、眼科用薬や痔疾用薬等の外用剤成分としても広く使用されている。しかしながら、ベルベリンは、塩化物イオンの存在下において、析出し易くなる性質があり、多様な製剤処方を採用できないという欠点がある(例えば、特許文献1参照)。従来、ベルベリンと塩化物イオンによる析出を抑制するための手法については、報告されていない。
また、アルギン酸には、Ca2+イオン等の二価以上の陽イオンによって部分的に架橋されてゲル化(高粘度化)する作用があり、アルギン酸を含む水性組成物を皮膚や粘膜に適用すると、皮膚や粘膜上に存在するCa2+イオンとアルギン酸が接触して、皮膚や粘膜上で水性組成物がゲル化する。皮膚や粘膜上で水性組成物がゲル化すると、他の有効成分の滞留性を高めたりすることが分かっている。このような理由から、アルギン酸は、粘膜や皮膚上で他の有効成分の薬理作用を効果的に発現させるために使用されている(例えば、特許文献2参照)。
一方、クロルフェニラミン又はその塩は、第三級アミン−ピリジン系のH1受容体遮断薬(抗ヒスタミン剤)であり、粘膜や皮膚に適用可能な抗アレルギー剤として知られている。また、テトラヒドロゾリン又はその塩は、α−アドレナリン作動薬として血管収縮作用を有し、眼粘膜において充血除去効果を奏する成分であることが知られている。しかしながら、これらの成分が、ベルベリン又はその塩の不安定化に対して、如何なる作用を及ぼすかについては知られていない。
特開昭62-25991号公報
特開2002-332248号公報
ベルベリン又はその塩の薬理作用を一層効果的に享受するには、ベルベリン又はその塩と共にアルギン酸又はその塩を粘膜や皮膚に適用できる水性組成物が有効であると考えらる。しかしながら、本発明者等の検討によって、ベルベリン又はその塩と共に、アルギン酸又はその塩を配合して水性組成物を処方すると、ベルベリン又はその塩の熱や光に対する安定性が劣悪化し、熱又は光に晒されることによりベルベリン又はその塩の分解が誘発されるという問題点が確認された。更に、ベルベリン又はその塩と塩化物イオンを含む水性組成物では、析出物の生成が起こりやすく、特に、当該水性組成物にクロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン又はそれらの塩が含まれていると、析出物の生成が顕著になることが確認された。従って、ベルベリン又はその塩と共に、アルギン酸又はその塩を配合した水性組成物を実用化するためには、ベルベリン又はその塩の安定性を改善する処方の開発が必要とされる。
そこで、本発明の目的は、ベルベリン及び/又はその塩と共に、アルギン酸及び/又はその塩を含んでいながら、ベルベリン及び/又はその塩の熱又は光に対する安定性が改善されている水性組成物を提供することである。また、ベルベリン及び/又はその塩と塩化物イオンとの共存下でも、析出物の生成が抑制されている水性組成物を提供することである。更に、本発明は、ベルベリン及び/又はその塩と、アルギン酸及び/又はその塩を含有する水性組成物を安定化する方法を提供することを目的とする。そして更に、ベルベリン及び/又はその塩の塩化物イオンによる析出を抑制する方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、(A)ベルベリン及び/又はその塩と、(B)アルギン酸及び/又はその塩を含有する水性組成物に、(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びそれらの塩よりなる群から選択される1種又は2種以上を配合することによって、(A)ベルベリン及び/又はその塩の光又は熱に対する安定性が格段に改善されることを見出した。更に、本発明の水性組成物は、ベルベリンと塩化物イオンとの共存下で生じる析出をも抑制することを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて更に改良を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる水性組成物である:
項1 以下の(A)〜(C)成分を含有することを特徴とする、水性組成物:
(A)ベルベリン及び/又はその塩、
(B)アルギン酸及び/又はその塩、
(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種。
項2. 眼科用組成物である、請求項1に記載の水性組成物。
項1 以下の(A)〜(C)成分を含有することを特徴とする、水性組成物:
(A)ベルベリン及び/又はその塩、
(B)アルギン酸及び/又はその塩、
(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種。
項2. 眼科用組成物である、請求項1に記載の水性組成物。
更に、本発明は、下記に掲げる水性組成物の安定化方法である:
項3. (A)ベルベリン及び/又はその塩、及び(B)アルギン酸及び/又はその塩を含有する水性組成物の安定化方法であって、前記水性組成物に(C)マレイン酸クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、テトラヒドロゾリンの塩、及び塩化ナトリウムよりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、安定化方法。
項3. (A)ベルベリン及び/又はその塩、及び(B)アルギン酸及び/又はその塩を含有する水性組成物の安定化方法であって、前記水性組成物に(C)マレイン酸クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、テトラヒドロゾリンの塩、及び塩化ナトリウムよりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、安定化方法。
そして更に、本発明は、下記に掲げるベルベリン及び/又はその塩の析出抑制方法である:
項4. (A)ベルベリン及び/又はその塩、及び塩化物イオンを生成する成分を含有する水性組成物において析出物の生成を抑制する方法であって、前記水性組成物に(B)アルギン酸及び/又はその塩、並びに(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、抑制方法。
項4. (A)ベルベリン及び/又はその塩、及び塩化物イオンを生成する成分を含有する水性組成物において析出物の生成を抑制する方法であって、前記水性組成物に(B)アルギン酸及び/又はその塩、並びに(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、抑制方法。
本発明によれば、水性組成物中で、ベルベリン及び/又はその塩と共に、アルギン酸及び/又はその塩を含んでいながら、ベルベリン及び/又はその塩の熱又は光に対する安定性が改善され、これらの成分を安定に保持することができる。更に、本発明によれば、ベルベリン及び/又はその塩の析出をもたらす塩化物イオンが水性組成物に含まれていても、析出物の生成を抑制できるので、処方の多様化にも対応可能である。
また、(C)成分として、クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン及び/又はこれらの塩を使用する場合には、本発明の水性組成物は、(A)成分に基づく抗炎症作用と共に、上記(C)成分に基づく抗ヒスタミン作用及び/又は充血除去作用を同時に発現できるという利点もある。更に、本発明の水性組成物は、(B)アルギン酸及び/又はその塩を含有しており、該成分は粘膜や皮膚に適用されることによってゲル化に寄与するので、適用部位において(A)成分や(C)成分を長時間滞留させて、これらの薬理作用を一層効果的に発現させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書中、w/v%は、質量対体積百分率を示し、溶液100mLに溶けている各成分(溶質)の重量gを意味するものである。また、コンタクトレンズという語句は、特記しない限り、ハード、酸素透過性ハード、ソフト等のあらゆるタイプのコンタクトレンズを包含する意味で用いる。また、本明細書において、水性組成物とは、該組成物100重量部当たり、水を少なくとも5重量部以上、好ましくは20重量部以上、更に好ましくは50重量部以上含有する組成物を意味する。
(I) 水性組成物
本発明の水性組成物は、ベルベリン及び/又はその塩を(以下、単に(A)成分と表記することもある)含有する。ベルベリンは、骨格としてベンジルイソキノリンを有する公知の化合物である。
本発明の水性組成物は、ベルベリン及び/又はその塩を(以下、単に(A)成分と表記することもある)含有する。ベルベリンは、骨格としてベンジルイソキノリンを有する公知の化合物である。
また、ベルベリンの塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されるものではない。このような塩としては、例えば、塩酸塩、塩化物、硫酸塩、タンニン酸塩等が挙げられる。これらのベルベリンの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
ベルベリン及び/又はその塩は、公知化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
本発明の水性組成物には、これらのベルベリン及びその塩の中から、一種のものを選択して単独で使用してもよく、二種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。当該(A)成分として、好ましくは硫酸ベルベリン及び塩化ベルベリンである。
本発明の水性組成物中の(A)成分の配合割合は、特に制限されるものではなく、該組成物の用途や形態等に応じて適宜設定できる。水性組成物中の(A)成分の配合割合の一例として、該組成物の総量に対して、該成分が総量で0.0001〜0.05w/v%、好ましくは0.0005〜0.025w/v%となる割合が例示される。より具体的には、水性組成物が点眼剤であれば、更に好ましくは0.005〜0.025w/v%、特に好ましくは0.01〜0.025w/v%が例示される。また、水性組成物が洗眼剤であれば、更に好ましくは0.0005〜0.0025w/v%、特に特に好ましくは0.001〜0.0025w/v%が例示される。
本発明の水性組成物は、更にアルギン酸及び/又はその塩(以下、単に(B)成分と表記することもある)を含有する。アルギン酸及び/又はその塩を含有することによって、上記(A)成分等の粘膜又は皮膚上での滞留性を向上させることが可能になる。また、アルギン酸及び/又はその塩は、上記(A)成分、後述する(C)成分、及び塩化物イオンの共存下で誘発される析出物の生成を抑制することができる。
アルギン酸とは、D−マンヌロン酸(以下、単に「M」と表示することもある)とL−グルロン酸(以下、単に「G」と表示することもある)から構成される多糖類であり、マンヌロン酸のホモポリマー画分(MM画分)、グルロン酸のホモポリマー画分(GG画分)、及びマンヌロン酸とグルロン酸がランダムに配列した画分(MG画分)が任意に結合したブロック共重合体である。
本発明に使用されるアルギン酸において、そのグルロン酸に対するマンヌロン酸の構成比率(M/G比;モル比)については、特に制限されず、例えばM/G比が0.4〜4.0の範囲に含まれるものが広く使用される。M/G比が小さい程、水性組成物がゲル化し易い傾向があり、ベルベリン及び/又はその塩の適用部位における滞留性を向上させるという観点からは、M/G比が2.5以下、好ましくは2.0以下、更に好ましくは0.4〜2.0、より好ましくは0.5〜1.6、特に好ましくは1.0〜1.6であることが望ましい。なお、本発明において、M/G比は、アルギン酸をブロック単位で分解したものを分画し、それぞれを定量することにより算出される値であり、具体的には、A. Haug et al., Carbohyd. Res. 32(1974), p.217-225に記載の方法に従って測定される。
また、本発明に使用されるアルギン酸において、MM画分、GG画分及びMG画分の比率についても、特に制限されず、水性組成物の用途や形状に応じて適宜選択することができる。
また、本発明で使用されるアルギン酸は、低分子量のものから高分子量のものまで適宜使用することができる。
また、アルギン酸の塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されるものではない。アルギン酸の塩として、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらのアルギン酸の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明の水性組成物には、(B)成分として、上記のアルギン酸及びその塩の中から、一種のものを選択して単独で使用してもよく、二種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。特に、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムは水溶性であり、本発明において好適に使用される。
本発明の水性組成物中の(B)成分の配合割合は、特に制限されるものではなく、該組成物の用途や形態等に応じて適宜設定できる。水性組成物中の(B)成分の配合割合の一例として、該組成物の総量に対し、(B)成分が総量で0.001〜5w/v%、好ましくは0.005〜0.3w/v%となる割合が例示される。より具体的には、水性組成物が点眼剤であれば、更に好ましくは0.02〜0.1w/v%、特に好ましくは0.05〜0.1w/v%が例示される。また、水性組成物が洗眼剤であれば、更に好ましくは0.01〜0.1w/v%、特に好ましくは0.02〜0.1w/v%が例示される。
更に、本発明の水性組成物は、クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、単に(C)成分と表記することもある)を含有する。上記(B)成分が存在する水性組成物中では、ベルベリン及び/又はその塩の光又は熱に対する安定性が損なわれ、光や熱に晒されることにより、ベルベリン及び/又はその塩が分解される傾向を示すが、(C)成分を更に共存させることにより、上記(B)成分によって誘発されるベルベリン及び/又はその塩自体の不安定化を抑制することが可能になる。(C)成分の中でも、クロルフェニラミン及びその塩は、上記(B)成分共存下におけるベルベリン及び/又はその塩の光に対する安定性を向上させるのに有用である。また、テトラヒドロゾリン及びその塩は、上記(B)成分共存下におけるベルベリン及び/又はその塩の熱に対する安定性を向上させるのに有用である。
(C)成分に包含される化合物はいずれも公知の化合物である。上記(C)成分の内、クロルフェニラミン及びテトラヒドロゾリンの塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されるものではない。クロルフェニラミンの塩の具体例としては、マレイン酸クロルフェニラミンが挙げられる。また、テトラヒドロゾリンの塩の具体例としては、塩酸テトラヒドロゾリン、硝酸テトラヒドロゾリンが挙げられ、好ましくは塩酸テトラヒドロゾリンが挙げられる。
上記(C)成分として、クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びこれらの塩の内、いずれか1種を単独で使用してもよいが、ベルベリン及び/又はその塩の光に対する安定性と熱に対する安定性の双方を向上させるためには、クロルフェニラミン及び/又はその塩と、テトラヒドロゾリン及び/又はその塩とを併用することが望ましい。好ましい(C)成分として、マレイン酸クロルフェニラミン及び塩酸テトラヒドロゾリンが挙げられる。
本発明の水性組成物中の(C)成分の配合割合は、特に制限されるものではなく、(C)成分の種類、該組成物の用途や形態等に応じて適宜設定できる。具体的には、(C)成分の配合割合として、以下の範囲が例示される。
クロルフェニラミン及び又はその塩の場合:水性組成物の総量に対し、クロルフェニラミン及び/又はその塩が総量で0.00005〜0.05w/v%、好ましくは0.0003〜0.03w/v%;水性組成物が点眼剤であれば、更に好ましくは0.003〜0.03w/v%、特に好ましくは0.006〜0.03w/v%;水性組成物が洗眼剤であれば、更に好ましく0.0003〜0.003w/v%、特に好ましくは0.0006〜0.003w/v%。
テトラヒドロゾリン及び/又はその塩の場合:水性組成物の総量に対し、テトラヒドロゾリン及び/又はその塩が総量で0.0001〜0.1w/v%、好ましくは0.0005〜0.05w/v%;水性組成物が点眼剤であれば、更に好ましくは0.005〜0.05w/v%、特に好ましくは0.01〜0.05w/v%;水性組成物が洗眼剤であれば、更に好ましくは0.0001〜0.005w/v%、特に好ましくは0.001〜0.005w/v%。
クロルフェニラミン及び又はその塩の場合:水性組成物の総量に対し、クロルフェニラミン及び/又はその塩が総量で0.00005〜0.05w/v%、好ましくは0.0003〜0.03w/v%;水性組成物が点眼剤であれば、更に好ましくは0.003〜0.03w/v%、特に好ましくは0.006〜0.03w/v%;水性組成物が洗眼剤であれば、更に好ましく0.0003〜0.003w/v%、特に好ましくは0.0006〜0.003w/v%。
テトラヒドロゾリン及び/又はその塩の場合:水性組成物の総量に対し、テトラヒドロゾリン及び/又はその塩が総量で0.0001〜0.1w/v%、好ましくは0.0005〜0.05w/v%;水性組成物が点眼剤であれば、更に好ましくは0.005〜0.05w/v%、特に好ましくは0.01〜0.05w/v%;水性組成物が洗眼剤であれば、更に好ましくは0.0001〜0.005w/v%、特に好ましくは0.001〜0.005w/v%。
(C)成分が上記割合を充足することにより、本発明の水性組成物中で、上記(B)成分存在下で、ベルベリン及び/又はその塩に光又は熱に対する安定性を備えさせることが可能になる。
特に、本発明の水性組成物において、上記(A)〜(C)成分がそれぞれ以下の比率を満たすことによって、ベルベリン及び/又はその塩の光又は熱に対する安定性を一層効果的に獲得することができる。
クロルフェニラミン及び/又はその塩の場合:(A)成分100重量部に対して、(B)成分が1〜30000重量部、且つ(C)成分が1〜1000重量部;好ましくは(B)成分が4〜20000重量部、且つ(C)成分が1〜500重量部;より好ましくは(B)成分が20〜10000重量部、且つ(C)成分が12〜300重量部;更に好ましくは(B)成分が20〜2000重量部、且つ(C)成分が24〜300重量部。
テトラヒドロゾリン及び/又はその塩の場合:(A)成分100重量部に対して、(B)成分が1〜30000重量部、且つ(C)成分が1〜2000重量部;好ましくは(B)成分が4〜20000重量部、且つ(C)成分が10〜1000重量部;より好ましくは(B)成分が20〜10000重量部、且つ(C)成分が20〜500重量部;更に好ましくは(B)成分が20〜2000重量部、且つ(C)成分が40〜500重量部。
クロルフェニラミン及び/又はその塩の場合:(A)成分100重量部に対して、(B)成分が1〜30000重量部、且つ(C)成分が1〜1000重量部;好ましくは(B)成分が4〜20000重量部、且つ(C)成分が1〜500重量部;より好ましくは(B)成分が20〜10000重量部、且つ(C)成分が12〜300重量部;更に好ましくは(B)成分が20〜2000重量部、且つ(C)成分が24〜300重量部。
テトラヒドロゾリン及び/又はその塩の場合:(A)成分100重量部に対して、(B)成分が1〜30000重量部、且つ(C)成分が1〜2000重量部;好ましくは(B)成分が4〜20000重量部、且つ(C)成分が10〜1000重量部;より好ましくは(B)成分が20〜10000重量部、且つ(C)成分が20〜500重量部;更に好ましくは(B)成分が20〜2000重量部、且つ(C)成分が40〜500重量部。
本発明の水性組成物は、上記(A)〜(C)成分に加えて、更に緩衝剤を含有していてもよい。本発明の水性組成物に配合できる緩衝剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。かかる緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、ε−アミノカプロン酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩などが挙げられる。これらの緩衝剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。本発明の効果を一層効率的に奏させる観点から、上記緩衝剤の中でも、本発明の効果をより一層向上せしめるためには、ホウ酸緩衝剤及びリン酸緩衝剤は好適であり、ホウ酸緩衝剤が特に好適である。当該ホウ酸緩衝剤の具体例として、ホウ酸及びその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂など)が例示される。特に、ホウ酸、ホウ砂が好適である。
本発明の水性組成物に緩衝剤を配合する場合、該緩衝剤の配合割合については、使用する緩衝剤の種類や期待される効果等に応じて異なり、一律に規定することはできないが、例えば、水性組成物において、該組成物の総量に対し、該緩衝剤が総量で0.01〜3w/v%、好ましくは0.1〜2w/v%、更に好ましくは0.3〜2w/v%、特に好ましくは0.5〜2w/v%となる割合が例示される。
また、本発明の水性組成物は、上記(A)〜(C)成分の化学的安定性が著しく損なわれない範囲で、生体に許容される範囲内のpHに調節することができる。適切なpHは、該水性組成物の適用部位、剤形等により異なるが、通常6〜9、好ましくは6.5〜8.5、更に好ましくは6.8〜8.2、特に好ましくは7〜8である。かかるpH範囲内であれば、本発明の効果を一層顕著ならしめることができる。pHの調節は、前記緩衝剤、或いは後述するpH調整剤、等張化剤、塩類等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。
本発明の水性組成物は、更に必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節することができる。適切な浸透圧比は適用部位、剤形等により異なるが、通常0.3〜4.2、好ましくは0.3〜2.1、更に好ましくは0.5〜1.8、より好ましくは0.6〜1.5、特に好ましくは0.8〜1.5である。かかる浸透圧比の範囲内であれば、本発明の効果を一層顕著ならしめることができる。浸透圧の調整は無機塩及び多価アルコール、糖アルコール、糖類などを用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。
本発明の水性組成物において浸透圧比は、第十四改正日本薬局方に基づき0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)に準じて測定する。浸透圧比測定用標準液は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650℃で40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム含有水溶液)を用いる。
本発明の水性組成物には、pH調整、浸透圧の調整等を目的として、水性組成物中で塩化物イオンを生成する成分が含まれていても良い。塩化物イオンは、上記(A)成分との共存下で析出物の生成を助長する作用があるが、本発明の水性組成物では、上記(A)〜(C)成分を一体として含むことにより、塩化物イオンの存在下でも、析出物の生成を抑制することができる。かかる本発明の効果に鑑みれば、塩化物イオンを生成する成分が含まれている水性組成物は、本発明の好適な一実施態様として挙げられる。水性組成物中で塩化物イオンを生成する成分として、例えば、塩酸、アルカリ金属の塩化物、アルカリ土類金属の塩化物が挙げられ、好ましくは塩化ナトリウム、塩化カリウムが挙げられる。
本発明の水性組成物に塩化物イオンを生成する成分を配合する場合、該成分の配合割合については、該成分の種類やその配合目的等に応じて異なり、一律に規定することはできないが、例えば、該組成物の総量に対して、該成分が、通常0.05〜2.0w/v%、好ましくは0.1〜1.0w/v%、更に好ましくは0.2〜0.7w/v%、特に好ましくは0.2〜0.5w/v%となる割合が例示される。また、(A)成分に対する塩化物イオンを生成する成分の比率としては、例えば、(A)成分100重量部に対して、該成分が総量で、通常100〜10000重量部、好ましくは400〜5000重量部、更に好ましくは800〜2800重量部、特に好ましくは800〜2000重量部が挙げられる。本発明の水性組成物によれば、このような配合割合や配合比で塩化物イオンを生成する成分を含有しても、析出物の生成を抑制して、水性組成物を安定に保持することができる。
本発明の水性組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記成分の他に、種々の薬理活性成分や生理活性成分を組み合わせて適当量含有してもよい。かかる成分は特に制限されず、例えば、一般用医薬品製造(輸入)承認基準2000年版(薬事審査研究会監修)に記載された各種医薬における有効成分が例示できる。具体的に、眼科用薬において用いられる成分としては、次のような成分が挙げられる。
エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン、硝酸ナファゾリン、プラノプロフェン、メチル硫酸ネオスチグミン、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、アラントイン、ε−アミノカプロン酸、塩化リゾチーム、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、塩酸ジフェンヒドラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム・カリウム混合物、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソミジンナトリウム、グルコース、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン等。
また、本発明の水性組成物には、発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や形態に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択し、一種またはそれ以上を併用して適当量含有させてもよい。それらの添加物として、例えば、医薬品添加物事典2005(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
マクロゴール、ポロクサマー、ポロキサミン、ポリソルベート80,ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、アルキルジアミノエチルグリシン、塩化ベンザルコニウム、パラベン類、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ポリヘキサメチレンビグアニド又はその塩酸塩、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコール、カンフル、ゲラニオール、ボルネオール、メントール、ウイキョウ油、クールミント油、スペアミント油、ペパーミント油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油、エデト酸ナトリウム、塩化ベンゼトニウム、クエン酸、トロメタモールなど。
本発明の水性組成物は、その剤型は任意であり、その用途に応じて種々の形態をとることができる。例えば、液状であってもよく、軟膏等の半固形状であってもよい。好ましくは液状である。
また、本発明の水性組成物は、上記(A)〜(C)成分の有用な薬理作用を発現できるため、医薬品や医薬部外品等の製剤として使用できる。本発明の水性組成物の製剤形態としては、具体的には、点眼剤[但し、点眼剤にはコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む]、洗眼剤[但し、洗眼剤にはコンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤を含む]、眼軟膏剤等の眼科用組成物;コンタクトレンズ用組成物[コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用組成物(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤等)等];点鼻剤、鼻洗浄液等の鼻腔用組成物;口腔咽頭薬、含嗽薬(含嗽用剤)等の口腔用組成物;点耳薬等が挙げられる。上記(A)〜(C)成分の薬理作用を鑑みれば、中でも好ましくは眼科用組成物であり、更に好ましくは点眼剤及び洗眼剤であり、特に好ましくは点眼剤である。
なお、上記コンタクトレンズ用組成物は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズを含むあらゆるコンタクトレンズに適用できる。
本発明の水性組成物は、目的とする剤型や用途に応じた公知の方法により製造できる。
(II) 安定化方法
前述するように、(A)ベルベリン及び/又はその塩、及び(B)アルギン酸及び/又はその塩を含有する水性組成物において、(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を共存させることにより、(B)成分の存在により誘発される(A)成分の不安定化を改善することができる。故に、本発明は、別の観点から、(A)ベルベリン及び/又はその塩、及び(B)アルギン酸及び/又はその塩を含有する水性組成物に、(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、(A)及び(B)成分を含有する水性組成物の安定化方法を提供する。
前述するように、(A)ベルベリン及び/又はその塩、及び(B)アルギン酸及び/又はその塩を含有する水性組成物において、(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を共存させることにより、(B)成分の存在により誘発される(A)成分の不安定化を改善することができる。故に、本発明は、別の観点から、(A)ベルベリン及び/又はその塩、及び(B)アルギン酸及び/又はその塩を含有する水性組成物に、(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、(A)及び(B)成分を含有する水性組成物の安定化方法を提供する。
当該方法において、(C)成分として、クロルフェニラミン及び/又はその塩を選択する場合、光の曝露に対して水性組成物中の(A)成分を安定化する方法として有用である。また、(C)成分として、テトラヒドロゾリン及び/又はその塩を選択する場合、熱曝露に対して水性組成物中の(A)成分を安定化する方法として有用である。
当該安定化方法において、使用する(A)〜(C)成分の種類及び濃度、その他の配合成分の種類や濃度、水性組成物の用途や形態等については、前記「(I)水性組成物」の場合と同様である。
(III) 析出抑制方法
前述するように、(A)ベルベリン及び/又はその塩、及び塩化物イオンを生成する成分を含有する水性組成物において、(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を共存させることにより、塩化物イオンの存在により助長される析出物の生成を抑制することができる。故に、本発明は、別の観点から、(A)ベルベリン及び/又はその塩、及び塩化物イオンを生成する成分を含有する水性組成物に、(B)アルギン酸及び/又はその塩、並びに(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、(A)成分及び塩化物イオンを生成する成分を含有する水性組成物において、析出物の生成を抑制する方法を提供する。
前述するように、(A)ベルベリン及び/又はその塩、及び塩化物イオンを生成する成分を含有する水性組成物において、(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を共存させることにより、塩化物イオンの存在により助長される析出物の生成を抑制することができる。故に、本発明は、別の観点から、(A)ベルベリン及び/又はその塩、及び塩化物イオンを生成する成分を含有する水性組成物に、(B)アルギン酸及び/又はその塩、並びに(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、(A)成分及び塩化物イオンを生成する成分を含有する水性組成物において、析出物の生成を抑制する方法を提供する。
当該安定化方法において、使用する(A)〜(C)成分の種類及び濃度、塩化物イオンを生成する成分の種類及び濃度、その他の配合成分の種類や濃度、水性組成物の用途や形態等については、前記「(I)水性組成物」の場合と同様である。
以下、実施例、試験例等に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。以下の実施例等では、アルギン酸は、M/G比の規格が1.0〜1.6のLessonia nigrescens由来のものを使用した。
試験例1 マレイン酸クロルフェニラミンを用いた光安定性試験
表1に記載の処方に従い、硫酸ベルベリン含有水性組成物を調製した(実施例1及び比較例1−2)。これらの硫酸ベルベリン含有水性組成物を用いて、以下の光安定性評価試験を行った。
表1に記載の処方に従い、硫酸ベルベリン含有水性組成物を調製した(実施例1及び比較例1−2)。これらの硫酸ベルベリン含有水性組成物を用いて、以下の光安定性評価試験を行った。
各々の硫酸ベルベリン含有水性組成物を透明ガラス製スクリューバイアル(容量10mL)に8mLずつ充填し、これらを試験サンプルとした(n=2)。この試験サンプルに対して、光安定性試験装置(「Light-Tron LT-120 D3CJ型」、ナガノ科学株式会社製)を用いて、D65ランプを光源として、25℃の下、0.5万lxの光を240時間連続照射し、試験溶液を積算照射量120万lx・hrの光に曝光した。光曝露前と後の試験サンプル中の硫酸ベルベリン濃度を高速液体クロマトグラフィーにより測定した。測定した各試験サンプルの硫酸ベルベリン濃度から、下記式に従って、硫酸ベルベリンの残存率(%)を算出した。
得られた結果を表1に示す。本結果から、硫酸ベルベリンとアルギン酸を併用した比較例2の水性組成物では、硫酸ベルベリンが光に対して不安定になったが、硫酸ベルベリン及びアルギン酸と共にマレイン酸クロルフェニラミンを配合した実施例1の水性組成物では、硫酸ベルベリンの光安定性が顕著に向上していることが明らかとなった。
試験例2 塩酸テトラヒドロゾリンを用いた熱安定性試験
表2に記載の処方に従い、硫酸ベルベリン含有水性組成物を調製した(実施例2及び比較例3−4)。これらの硫酸ベルベリン含有水性組成物を用いて、以下の熱安定性評価試験を行った。
表2に記載の処方に従い、硫酸ベルベリン含有水性組成物を調製した(実施例2及び比較例3−4)。これらの硫酸ベルベリン含有水性組成物を用いて、以下の熱安定性評価試験を行った。
各々の硫酸ベルベリン含有水性組成物を透明ガラス製アンプル管(容量10mL)に8mLずつ充填し、これらを試験サンプルとした(n=2)。この試験サンプルを70℃の恒温器内で21日間、遮光下で保存した。保存前と後の試験サンプル中の硫酸ベルベリン濃度を高速液体クロマトグラフィーにより測定した。測定した各試験サンプルの硫酸ベルベリン濃度から、上記試験例1と同様の算出方法で、硫酸ベルベリンの残存率(%)を算出した。
結果を表2に示す。硫酸ベルベリン及びアルギン酸を併用することによって引き起こされる硫酸ベルベリンの熱に対する不安定化は、塩酸テトラヒドロゾリンの配合によって改善できることが確認された。
試験例3 光又は熱安定性試験
表3及び4に記載の処方に従い、硫酸ベルベリン又は塩化ベルベリン含有水性組成物(実施例3−19;全て点眼剤)を調製した。
表3及び4に記載の処方に従い、硫酸ベルベリン又は塩化ベルベリン含有水性組成物(実施例3−19;全て点眼剤)を調製した。
実施例3−7、10−14及び16の水性組成物を用いて、上記試験例1と同様の方法で、光安定性試験を行ったところ、いずれの組成物においても、硫酸ベルベリン又は塩化ベルベリンの安定化が確認された。即ち、この結果からも、マレイン酸クロルフェニラミンを使用することによって、アルギン酸との共存下で引き起こされる硫酸ベルベリン又は塩化ベルベリンの光に対する不安定化を抑制できることが確認された。
また、実施例8−19の水性組成物を用いて、上記試験例2と同様の方法で、熱安定性試験を行ったところ、いずれの組成物においても、硫酸ベルベリン又は塩化ベルベリンの安定化が確認された。従って、この結果からも、塩酸テトラヒドロゾリンを使用することによって、アルギン酸との共存下で引き起こされる硫酸ベルベリン又は塩化ベルベリンの熱に対する不安定化を抑制できることが明らかとなった。
試験例4 使用感及び析出物の生成抑制の評価試験
表5及び6に記載の処方に従い、硫酸ベルベリン以外の配合成分を溶解、混合した水溶液に、硫酸ベルベリンを加えることにより、硫酸ベルベリン含有水性組成物(実施例20−23、比較例5−10;全て点眼剤)を調製した。
表5及び6に記載の処方に従い、硫酸ベルベリン以外の配合成分を溶解、混合した水溶液に、硫酸ベルベリンを加えることにより、硫酸ベルベリン含有水性組成物(実施例20−23、比較例5−10;全て点眼剤)を調製した。
調製直後の硫酸ベルベリン含有水性組成物を用いて、3名の健常人が点眼し、使用感を評価した。その結果、実施例20−23では、比較例5−10に比べて、点眼後に感じられる心地よい収斂感(ひきしまる感じ)があり、潤い感についてもより有効に感受され、また総合的な効き目感に優れていた。
また、上記で調製した硫酸ベルベリン含有水性組成物50mLを用いて、25℃の遮光条件下で1時間撹拌を続けた。撹拌1時間後の各硫酸ベルベリン含有水性組成物の状態を目視により観察し、下記の判定基準に従って性状を評価した。
<判定基準>
○:析出が発生しない
△:析出が明らかに発生する
×:析出が液全体が濁るほど発生する。
<判定基準>
○:析出が発生しない
△:析出が明らかに発生する
×:析出が液全体が濁るほど発生する。
性状評価の結果を表5及び6に併せて示す。この結果から、塩化物イオンを生成する成分と硫酸ベルベリンの存在下では、析出物が発生し易くなる傾向が認められた(比較例5−10)。特に、塩化物イオン及び硫酸ベルベリンの存在下で発生する析出物は、塩酸テトラヒドロゾリン又はマレイン酸クロルフェニラミンの存在下では、より顕著になった(比較例6−7及び9−10)。一方、硫酸ベルベリン、アルギン酸、及び塩酸テトラヒドロゾリン又はマレイン酸クロルフェニラミンを配合した場合には、析出物の発生が抑制されており、実用に耐えうる水性組成物が得られることが確認された(実施例20−23)。
実施例24−56
下表7−10に記載の処方で、点眼剤(実施例24−41及び50−53)、コンタクトレンズ装用中に使用可能な点眼剤(実施例42−44及び54)、洗眼剤(実施例45−47及び55−56)、及びコンタクトレンズ用保存液(実施例48−49)を調製した。
下表7−10に記載の処方で、点眼剤(実施例24−41及び50−53)、コンタクトレンズ装用中に使用可能な点眼剤(実施例42−44及び54)、洗眼剤(実施例45−47及び55−56)、及びコンタクトレンズ用保存液(実施例48−49)を調製した。
Claims (3)
- 以下の(A)〜(C)成分を含有することを特徴とする、水性組成物:
(A)ベルベリン及び/又はその塩、
(B)アルギン酸及び/又はその塩、
(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種。 - 眼科用組成物である、請求項1に記載の水性組成物。
- (A)ベルベリン及び/又はその塩、及び(B)アルギン酸及び/又はその塩を含有する水性組成物の安定化方法であって、前記水性組成物に(C)クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、安定化方法。
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