JP2008081518A - アルキレンオキシドと二酸化炭素の共重合体の製造方法、及び共重合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体の存在下で、活性水素を有する連鎖移動剤を用いて、アルキレンオキシドと二酸化炭素とを共重合させる、共重合体の製造方法であり、前記活性水素を前記金属錯体に対して等モル以上用いる。また、一分子内に2個以上の活性水素を有する連鎖移動剤を用いて製造されてなり、GPC測定により得られた数平均分子量に対してOH当量が、0.8以下であることを特徴とするアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体である。
である。
【選択図】なし
Description
また、この共重合により得られる脂肪族ポリカーボネートは、透明性を有し、かつ加熱により完全に分解するという特徴を有しているため、脂肪族ポリカーボネートを、一般成形物、フィルム、ファイバー等のみならず、光ファイバー、光ディスク、セラミックバインダー、ロストフォームキャスティングなどの材料に利用することも可能である。
さらに、脂肪族ポリカーボネートの一部については、生分解性という特徴も有しているので、徐放性の薬剤カプセル等の医用材料、生分解性樹脂への添加剤、あるいは生分解性樹脂の主成分としても応用可能である。
例えば、トリエチルアルミニウム−水系触媒(例えば、非特許文献3参照。)、ジエチルアルミニウムクロリドとカリックスアレーン誘導体から調製されるアルミニウム錯体(例えば、非特許文献4参照。)、トリスピラゾリルボレートを配位子に持つアルミニウム錯体(例えば、非特許文献5参照。)等である。
且つ、金属錯体に対して等モル以上の前記活性水素を含むように連鎖移動剤を用いて、アルキレンオキシドと二酸化炭素とを共重合させる、共重合体の製造方法である。
前記連鎖移動剤のMw/Mnが1.20を超える場合には、生成した共重合体のMw/Mnが該連鎖移動剤のMw/Mnよりも小さくなることを特徴とする前記<1>乃至<18>のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法である。
前記連鎖移動剤に起因した結合部分を除いたときの交互共重合比率が、80%以上であることを特徴とするアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体である。
本発明者らは、活性水素を有する連鎖移動剤が、この反応系で得られる共重合体の分子量や分子量分布に多大な影響を与えることを明らかにし、本発明に至った。この原因は、連鎖移動剤の活性水素が金属錯体と交換反応するためであると推測されるが、本発明はこのようなメカニズムに限定されない。
なお、この反応系では、二酸化炭素とシクロヘキセンオキシドの共重合体を高収率で得ることができ、また、カルボナート結合の含有率が極めて高いため、二酸化炭素とシクロヘキセンオキシドとが交互に反応した交互共重合体であることが確認されている。
(TPP)CoORは、(TPP)CoClと同様に共重合反応を進め、片末端がORで他方の末端がコバルト触媒を有する共重合体(3)を生成させる。このときROHが存在すると、ROHの活性水素と金属錯体とが交換反応し、(TPP)CoORと、片末端がORで他方の末端がOHの共重合体(4)を生成する。
このように、ROHが存在する限り、金属錯体は巡回されて共重合反応に関与できることになる。
これに対し、活性水素を有する連鎖移動剤を用いると、得られる共重合体は、上記共重合体(2)、共重合体(3)及び共重合体(4)となり、結果、ROHの分子数から派生した共重合体の分だけ共重合体分子は多く生成し、得られる共重合体の総分子数は、金属錯体の分子数と活性水素の分子数とを合算した値となる。
また、(TPP)CoORと、(TPP)CoClとは、同等の反応性を示すため、これらに起因した共重合体の分子量はいずれも同等であり、得られた共重合体の分子量分布をGPCで測定すると、クロマトグラムは1つのピークを示す。したがって、共重合体の重合度は、仕込んだ金属錯体と活性水素の総分子数に対する、反応したモノマー(アルキレンオキシド及び二酸化炭素)の分子数となる。
スキーム1では、特定のアルキレンオキシド、金属錯体、及び活性水素を有する連鎖移動剤で説明したが、以下では、本発明の製造方法に用いことのできる材料を詳細に説明する。
本発明では、触媒として、下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるポルフィリン系化合物が配位した金属錯体の少なくとも1種を用いる。
nが2のときは、Rの置換位置はメタ位であることが好ましく、nが3のときは、Rの置換位置はオルト位及びパラ位であることが好ましく、nが5の全置換であってもよい。したがって、好適な多置換ポルフィリン系化合物の金属錯体は、一般式(5)〜(10)で表される金属錯体である。
一般式(5)〜(10)におけるM1及びM2は、各々、前記一般式(1)〜(2)におけるM1及びM2と同義である。
また、上記反応の模式図において円で表される部分は、固定化基板(担持体)を表し、不溶性ポリスチレンビーズ、シリカゲル等、有機または無機高分子、ガラス、マイカ、金属などで形成される粒子などを挙げることができる。なお、上記反応の模式図では、固定化基板(担持体)が円として表されているが、その形状は特に限定されず、球状、平板状などであってよい。
上記反応の模式図におけるP及びQは、結合基(結合点)を表し、Pは、XとYとが結合して形成された結合基(結合点)であり、Qは、ZとY’とが結合して形成された結合基(結合点)である。P及びQとしては、各々独立に、アルキル基、エーテル基、エステル基、アミド基、カルバメート基、シリルエーテル基などを挙げることができる。
金属錯体におけるXの個数及び置換位置は、特に限定されないが、好ましくは、4個のフェニル基にそれぞれ少なくとも1個ずつXが置換されている場合であり、さらに好ましくは、4個のフェニル基の1個又は2個にXが置換される場合である。
活性水素を有する連鎖移動剤は、1分子中に1個以上の活性水素基を有する。
このような連鎖移動剤として、具体的には、水、水酸基を有する有機化合物、SH基を有する有機化合物、カルボキシル基を有する有機化合物、アルカノールアミン類などを挙げることができる。更に、これらの化合物にアルキレンオキシドを付加重合したものも適用することができる。また、これら連鎖移動剤の複数種の反応生成物を適用することができる。
ビニルアセテートの共重合体としては、例えば、ビニルアセテート−ブタジエン共重合体、ビニルアセテート−スチレン共重合体、ビニルアセテート−アクリロニトリル又はメタクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート−ビニルクロライド共重合体、ビニルアセテート−ビニリデンクロライド共重合体、ビニルアセテートとその他モノマー(ジクロロスチレン、ビニルエチルエーテル、エチレン、プロピレン、イソブチレン、イソプレンなど)との共重合体)などを挙げることができる。
メルカプタンやチオールの具体例としては、1−ペンタンチオール、2−メチル−1−ブタンチオール、3−メチル−1−ブタンチオール、チオフェノール、o−,m−,p−チオクレゾール、1,2−エタンジチオール、エタンチオール、フルフリルメルカプタン、1−ヘキサンチオール、チオ−1−ナフトール、2−プロパンチオール、ジチオレゾルシノール、チオグリセロール、プロパントリチオール、1,4−ベンゼンジチオール、モノチオハイドロキノン、チオジグリコール、及びチオモノグリコール等を挙げることができる。
アルカノールアミン類としては、例えば、トルイレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族アミン類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を挙げることができる。
上述した全ての高分子量体のOH基当量としては、60〜10000、特に好ましくは100〜5000である。
生成した(TPP)CoOROHによって、共重合反応が進行すると、片末端がOROHで他方の末端がコバルト触媒を有する共重合体(6)を生成させる。この片末端には、OROHの活性水素が存在するので、この活性水素と金属錯体とは交換反応し得る。これにより、両末端に金属錯体を有する共重合体(7)が発生し、その結果、両末端から分子が成長する。
したがって、一分子内に2個の活性水素を有する連鎖移動剤を用いると、得られる共重合体は、一分子内に1個の活性水素を有する連鎖移動剤を用いた場合の約2倍の分子量を有する。
一分子内に2個以上の活性水素を有する多官能連鎖移動剤を使用すれば、上記効果に加え、上記スキーム3又は4に示すように、連鎖移動剤による連結や架橋を行なうことができるので、物理的物性を変えた共重合体を得ることができる。
一方で、一分子内に少なくとも1個の活性水素を有し、且つ低分子量である連鎖移動剤、例えば、水、エチレングリコール、グリセリンなど、を用いれば、カーボネート結合の含有率の高いポリマー骨格を有する共重合体となる。カーボネート結合はエーテル結合に比べ結合エネルギーが高いため、得られる共重合体は耐候性や耐酸性に優れる。
なお、共重合反応に用いる金属錯体に付着した水の残存量は、共重合反応によって得られた共重合体のGPCチャートを確認することで、仕込みの水の量と金属錯体の量とから、概算することができる。この結果を基に、所望の分子量を有する共重合体を作製することが可能である。
本発明にかかる金属錯体の仕込み量から算出する分子量は、実際に生成した分子量に近い値となる。
本発明では、ルイス塩基を、触媒としての上記金属錯体と共存させることができる。上記スキーム1に示すように、金属錯体の金属部分にルイス塩基が配位し、より触媒としての機能を高めるものと推測される。
ルイス塩基としては、金属錯体の金属部分に配位しやすいよう、電子共有性の高い構造を有し、且つ不対電子を有する化合物であることが好ましい。
ピリジン系化合物としては特に制限されないが、下記一般式(3)で表される化合物である。
上記反応の模式図におけるP’及びQ’は、固定化された金属錯体におけるP及びQと各々同義であり、X1、Y1、Y1’及びZ1は、固定化された金属錯体におけるX、Y、Y’及びZとそれぞれ同義である。
固定化された金属錯体と、固定化された一般式(3)で表されるルイス塩基とを併用する場合、それぞれの固定化基板(担持体)及びリンカー部分は、同一であっても異なってもよい。また、XとX1、YとY1、ZとZ1、PとP’、QとQ’はそれぞれ同一であっても異なってもよい。
本発明で使用するアルキレンオキシドは、特に限定されること無く用いることができるが、直鎖アルキレンオキシド、環状アルキレンオキシドを含む。また、アルキレンは置換基を有していてもよい。
この中でも、反応性の高さからは、置換又は無置換のシクロヘキシレンオキシドが好ましく、得られる共重合体の用途の広さからは、置換又は無置換のエチレンオキシド、及び置換又は無置換のプロピレンオキシドが好ましい。したがって、アルキレンオキシドとしては、一般式(11)で表される化合物又は一般式(12)で表される化合物であることが好ましい。
例えば、アルコキシ基を置換基に有するアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシプロピル基、イソプロポキシメチル基等である。
シロキシ基を置換基に有するアルキル基としては、トリメチルシリルオキシメチル基、トリメチルシリルオキシエチル基、トリエチルシリルオキシメチル基、トリエチルシリルオキシエチル基等である。
フロオロアルキル基としては、トリフロロメチル基、2,2,2−トリフロロエチル基、パーフロロエチル基等を挙げることができる。
なお、nが2以上の場合には、複数のR11は、それぞれ異なる官能基であっても、同じ官能基であってもよい。
一般式(12)中、R12は、水素原子又はメチル基を表す。
一般式(12)のR12で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよい。また、一般式(12)における水素原子をフッ素原子に置換してもよい。
一般式(12)で表されるエチレンオキシド又はプロピレンオキシドの具体例を下記に示すが、これらに限定されない。
本発明の製造方法では、ブレンシュテッド酸化合物を添加して、末端を水酸基に変換し、反応を停止させることができる。このようなブレンシュテッド酸化合物としては、メタノールや塩酸を含むメタノール等を挙げることができる。
本発明における第1の製造方法では、上述した本発明にかかる金属錯体と、活性水素を有する連鎖移動剤の存在下で、アルキレンオキシドと二酸化炭素とを共重合することにより、ポリカーボネートである共重合体を製造する。
アルキレンオキシドが、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの場合には、前記構造式(1)で表される金属錯体を用いることが望ましい。
また、二酸化炭素分圧は、0.1〜25MPaであることが好ましく、2〜25MPaがより好ましく、0.1〜2MPaでも反応は進行する。二酸化炭素分圧は、二酸化炭素のみを充填して調整してもよいし、窒素との共存下で二酸化炭素分圧が上記範囲内となるように調整してもよい。好ましくは、窒素との共存下により二酸化炭素圧を調整する場合である。二酸化炭素と窒素とを共存させる場合、窒素を1気圧とし、残りが二酸化炭素圧となるように調整することがより好ましい。
アルキレンオキシドとして、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを用いる場合には、反応温度は、60℃以下で行い、好ましくは20〜60℃であり、より好ましくは25〜50℃で行う場合である。
溶媒を用いる場合には、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン等のエーテル類のうち、1種類または2種類以上を用いることができる。
反応を停止させるときには、前述の通り、ブレンシュレッド酸化合物を添加することができる。
本発明の共重合体は、アルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体である。
上記共重合体の製造方法で、一分子中に2個以上の活性水素を有する連鎖移動剤を適用したとき、得られる共重合体は、GPC測定での数平均分子量Mnに対するOH当量{(OH当量)/Mn}が1未満となる。特に本発明の製造方法では、金属錯体に対する連鎖移動剤を多く使用できるので、0.8以下とすることができ、更には0.7以下とすることができる。なお、一分子中に有する活性水素の数をn個とし、金属錯体に対する連鎖移動剤のモル比をmとすると、理論上、下記式から、Mnに対するOH当量{(OH当量)/Mn}が算出できる。
連鎖移動剤として、単分子の連鎖移動剤あるいは分子量分布Mw/Mnが1.20以下の高分子量体を用いれば、GPC測定により得られた数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが、1.01〜1.20の共重合体とすることができ、更には、Mw/Mnを1.01〜1.15とすることも可能であり、製造条件によっては、Mw/Mnを1.01〜1.10とすることもできる。
このように、本発明の製造方法では、狭い分子量分布を有する共重合体を製造することができるので、高分子量の多官能ポリマーを連鎖移動剤として用い、この連鎖移動剤のMw/Mnが1.2を超える場合には、生成した共重合体のMw/Mnは連鎖移動剤のMw/Mnよりも小さくすることができる。
一分子内に1個の活性水素を有する1官能の連鎖移動剤を用いた場合には、交互共重合比率を90%以上とすることができ、更に、95%以上とすることもできる。一分子内に2個以上の活性水素を有する多官能の連鎖移動剤を用いた場合であっても、交互共重合比率を80%以上とすることができ、更に、90%以上とすることもできる。
ここで、交互共重合比率とは、共重合体中の全結合のうち、連鎖移動剤に起因した結合部分を除いたときの二酸化炭素とアルキレンオキシドの反応によるカルボナート結合の割合をいう。
本発明の共重合体では、全末端数に対するハロゲン末端の数の割合を、0.25以下(即ち1/4以下)とすることができ、活性水素を有する連鎖移動剤を触媒に対して5モル倍使用すれば0.083以下(即ち1/12以下)とすることができ、活性水素を有する連鎖移動剤を触媒に対して10モル倍使用すれば0.045以下(即ち1/22以下)とすることも可能である。
内部を窒素で満たしたステンレス性耐圧容器に、金属錯体としてテトラフェニルポルフィナトコバルトクロリド[(TPP)CoCl](前記構造式(1))と、連鎖移動剤としてシクロヘキサノールと、アルキレンオキシドとしてシクロヘキセンオキシドを用い、これらの配合モル比が、1//10/300となるようにして、(TPP)CoClと等モル量の4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を含むジクロロメタンに添加し、圧力をかけて二酸化炭素を注入し、反応初期の圧力が5MPaとなるように調整した。
1H−NMRの結果から、得られた反応生成物の転換率は100%であった。また、クロロホルムとメタノールからの沈殿物を分離した収率は99%であった。更に、カルボナート結合の割合は99%であった。カーボネート結合の割合は、δ4.7ppm付近に現れるカーボネート結合に隣接するメチン水素由来のシグナルとδ3.4ppm付近に現れるエーテル結合に隣接するメチン水素由来のシグナルの強度比から算出される。
また、IRにより、CC(環状カーボネート又はシクロヘキセンカーボネート)を測定した。PC(ポリカーボネート)とCCの生成比は予め作成しておいた検量線を用いIRから求めた。
配合比及び反応条件を表1に、分析結果を表2に示す。
実施例1において、金属錯体、ルイス塩基、連鎖移動剤、アルキレンオキシドを表1に示すように変更し、更に、配合比及び反応条件を表1に示すように変更して、反応を行なった。その結果を表2に示す。
また、実施例5では、計算上、金属錯体とエタノールの分子の総和から、錯体1分子当たり41個のポリマーが生成し、そのときの計算上の分子量は1700となる。これに対し、実施例7で得られたポリカルボナートの実際の数平均分子量は、表2に示すように1600であり、計算値に近似していた。また、その分子量分布Mw/Mnは1.13であり、非常に狭いものであった。
エチレングリコール2mmolと、テトラフェニルポルフィナトコバルトクロリド[(TPP)CoCl](前記構造式(1))0.1mmolと、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)0.075mmolを、500ml重合反応器に仕込み密閉後、室温にて100rpmで攪拌しながら窒素置換を行なった。このときに反応器の重量を0.1g単位まで計量した。
0.5MPaでの加圧と0.01MPaでの除圧を3回繰り返した後、0.01MPaにて所定量のプロピレンオキシドを100mmol加えた。この状態で容器の重量を0.1g単位まで計量した。
この容器をオイルバスに投入して40℃まで加温後、炭酸ガス(CO2)を液化炭酸ガスボンベより導入して、重合反応器の内圧が3MPaになるように調整して、21.5時間反応させた。反応条件を表3に示す。その後、炭酸ガスとプロピレンオキシドを減圧にて除去した。このときの反応器の重量を測定した。反応器を開放し、反応生成物を取り出した。得られた反応生成物の外観は、粘着物であった。
分析結果から、二酸化炭素とシクロヘキセンオキシドとが交互に反応したポリカルボナートであり、二酸化炭素とシクロヘキセンオキシドとが1モルずつ反応した環状カルボナートは生成していないことがわかった。
さらに、1H−NMRで詳細に測定を行ったところ、カルボナート結合の割合が96%であり、生成物は交互共重合体であることが分かった。転化率は62%であった。
得られた反応生成物をGPC(標準ポリスチレン基準)で分析したところ、数平均分子量Mnは2800であり、仕込み量から計算した数平均分子量3360に近似していた。Mw/Mnは1.06であり、狭い分子量分布を示した。
また、13C−NMRによってOH当量を確認したところ1025であり、数平均分子量2800に対して、0.37であった。
実施例7において、連鎖移動剤として用いたエチレングリコールをポリプロピレングリコール(旭硝子ウレタン社製、商品名EXCENOL EL−1020(水酸基価より算出する分子量:1000))に変更し、反応条件を表3に示すように変更した以外は、実施例7と同様にして、反応を行なった。1H−NMR、13C−NMR、GPCによる分析結果を表4に示す。
このとき得られた反応生成物の生成物は交互共重合体であることが分かった。転化率は52%であった。カルボナート結合の割合(選択率)(%)は、連鎖移動剤として用いたEL−1020の骨格をなすエーテル結合のノイズが大きく、同定することができなかった。
得られた反応生成物をGPC(標準ポリスチレン基準)で分析したところ、数平均分子量Mnは3000であり、仕込み量から計算した数平均分子量3708に近似していた。Mw/Mnは1.08であり、狭い分子量分布を示した。
13C−NMRによってOH当量を確認したところ1810であり、数平均分子量3000に対して、0.60であった。
実施例7において、連鎖移動剤として用いたエチレングリコールをヘキサン酸に変更し、反応条件を表3に示すように変更した以外は、実施例7と同様にして、反応を行なった。1H−NMR、13C−NMR、GPCによる分析結果を表4に示す。
このとき得られた反応生成物は、カルボナート結合の割合が98%であり、生成物は交互共重合体であることが分かった。転化率は66%であった。
得られた反応生成物をGPC(標準ポリスチレン基準)で分析したところ、数平均分子量Mnは3100であり、仕込み量から計算した数平均分子量3450に近似していた。Mw/Mnは1.11であり、狭い分子量分布を示した。
13C−NMRによってOH当量を確認したところ4174であり、数平均分子量3100に対して、1.35であった。
実施例7において、アルキレンオキシドとして用いたプロピレンオキシドをエチレンオキシド150mmolに変更し、反応条件を表5に示すように変更した以外は、実施例7と同様にして、反応を行なった。得られた反応生成物の外観は、高粘度液体であった。1H−NMR、13C−NMR、GPCによる分析結果を表6に示す。
このとき得られた反応生成物は、カルボナート結合の割合が41%であり、転化率は50%であった。また、得られた反応生成物をGPC(標準ポリスチレン基準)で分析したところ、数平均分子量Mnは1961であった。Mw/Mnは1.06であった。
また、13C−NMRによってOH当量を確認したところ966であり、数平均分子量1961に対して、0.49であった。
なお、実施例では、全末端数に対するハロゲン末端の数の割合を確認していないが、測定したOH当量の値から、ハロゲン末端の数が低減していることが推測できる。本発明では、理論上、全末端数に対するハロゲン末端の数の割合は0.25以下とすることが可能であり、実施例で得られた共重合体もこの数値範囲に該当するものが存在していると考える。
Claims (24)
- 下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるポルフィリン系化合物が配位した金属錯体の存在下で、活性水素を有する連鎖移動剤を用い、
且つ、金属錯体に対して等モル以上の前記活性水素を含むように連鎖移動剤を用いて、アルキレンオキシドと二酸化炭素とを共重合させる、共重合体の製造方法。
〔一般式(1)及び(2)におけるRは、各々独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子を表し、nは、0〜5のいずれかの整数を表し、一般式(1)におけるM1は、Co、Mnを含む金属塩を表し、一般式(2)におけるM2は、Niを含む金属塩を表す。〕 - 金属錯体に対して5モル以上の前記活性水素を含むように連鎖移動剤を用いることを特徴とする請求項1に記載の共重合体の製造方法。
- 前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体が、前記構造式(1)で表される金属錯体であることを特徴とする請求項3に記載の共重合体の製造方法。
- 前記活性水素を有する連鎖移動剤が、1分子中に1個以上の活性水素基を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法。
- 前記活性水素を有する連鎖移動剤が、1分子中に1個以上のOH基又はCOOH基を有することを特徴とする請求項5に記載の共重合体の製造方法。
- 前記活性水素を有する連鎖移動剤が、1分子中に2個以上の活性水素基を含有することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の共重合体の製造方法。
- 前記活性水素を有する連鎖移動剤が、水であることを特徴とする請求項7に記載の共重合体の製造方法。
- ルイス塩基を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法。
- 前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体1モルに対し、前記ルイス塩基を0.1〜5モル用いることを特徴とする請求項9に記載の共重合体の製造方法。
- 前記ルイス塩基が、電子共有性の高い構造を有し、且つ不対電子を有する化合物であることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の共重合体の製造方法。
- 前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体として、前記構造式(1)で表される金属錯体を用いたときに、前記ルイス塩基として、ピリジン系化合物又はイミダゾール系化合物を用いることを特徴とする請求項11に記載の共重合体の製造方法。
- 前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体として、前記構造式(2)で表される金属錯体を用いたときに、前記ルイス塩基として、トリフェニルホスフィンを用いることを特徴とする請求項11に記載の共重合体の製造方法。
- 前記ピリジン系化合物が、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンであることを特徴とする請求項14に記載の共重合体の製造方法。
- 前記イミダゾール系化合物が、N−メチルイミダゾールであることを特徴とする請求項16に記載の共重合体の製造方法。
- 二酸化炭素分圧が0.1〜25MPaであることを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法。
- 前記連鎖移動剤のGPCにより得られた数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比率Mw/Mnが1.20以下の場合には、生成した共重合体のMw/Mnが1.01〜1.20の範囲であり、
前記連鎖移動剤のMw/Mnが1.20を超える場合には、生成した共重合体のMw/Mnが該連鎖移動剤のMw/Mnよりも小さくなることを特徴とする請求項1乃至請求項18のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法。 - 一分子内に2個以上の活性水素を有する連鎖移動剤を用いて製造されてなり、
GPC測定により得られた数平均分子量に対してOH当量が、0.8以下であることを特徴とするアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体。 - 一分子内に2個以上の活性水素を有する連鎖移動剤を用いて製造されてなり、
前記連鎖移動剤に起因した結合部分を除いたときの交互共重合比率が、80%以上であることを特徴とするアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体。 - GPC測定により得られた数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが、1.01〜1.20であることを特徴とする請求項20又は請求項21に記載のアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体。
- GPC測定により得られた数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが、1.01〜1.10であることを特徴とする請求項20又は請求項21に記載のアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体。
- 全末端数に対するハロゲン末端の数の割合が、0.25以下であることを特徴とする請求項19乃至請求項23のいずれか1項に記載のアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体。
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