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JP2008081518A - アルキレンオキシドと二酸化炭素の共重合体の製造方法、及び共重合体 - Google Patents

アルキレンオキシドと二酸化炭素の共重合体の製造方法、及び共重合体 Download PDF

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JP2008081518A
JP2008081518A JP2006259680A JP2006259680A JP2008081518A JP 2008081518 A JP2008081518 A JP 2008081518A JP 2006259680 A JP2006259680 A JP 2006259680A JP 2006259680 A JP2006259680 A JP 2006259680A JP 2008081518 A JP2008081518 A JP 2008081518A
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Yutaka Sugimoto
裕 杉本
Kazutoshi Suzuki
千登志 鈴木
Yasuyuki Sasao
康行 笹尾
Shigeru Igai
滋 猪飼
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Tokyo University of Science
AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
Tokyo University of Science
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Abstract

【課題】本発明の課題は、金属錯体の使用量を低減でき、且つ分子量を制御可能な、アルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体の製造方法を提供すること、また、分子量が制御されたアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体を提供することである。
【解決手段】ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体の存在下で、活性水素を有する連鎖移動剤を用いて、アルキレンオキシドと二酸化炭素とを共重合させる、共重合体の製造方法であり、前記活性水素を前記金属錯体に対して等モル以上用いる。また、一分子内に2個以上の活性水素を有する連鎖移動剤を用いて製造されてなり、GPC測定により得られた数平均分子量に対してOH当量が、0.8以下であることを特徴とするアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体である。
である。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルキレンオキシドと二酸化炭素との反応による共重合体の製造方法、及び共重合体に関する。
アルキレンオキシドと二酸化炭素の共重合方法は、二酸化炭素を合成樹脂の原料に利用する点で意義深い技術である。
また、この共重合により得られる脂肪族ポリカーボネートは、透明性を有し、かつ加熱により完全に分解するという特徴を有しているため、脂肪族ポリカーボネートを、一般成形物、フィルム、ファイバー等のみならず、光ファイバー、光ディスク、セラミックバインダー、ロストフォームキャスティングなどの材料に利用することも可能である。
さらに、脂肪族ポリカーボネートの一部については、生分解性という特徴も有しているので、徐放性の薬剤カプセル等の医用材料、生分解性樹脂への添加剤、あるいは生分解性樹脂の主成分としても応用可能である。
エポキシドと二酸化炭素の共重合方法としては、触媒を用いる方法が多く提案されている。例えば、ジエチル亜鉛と水の反応物による方法(例えば、特許文献1参照。)、ジエチル亜鉛とエチレングリコールの反応物による方法(例えば、非特許文献1参照。)が、開示されている。
また、無機亜鉛化合物を用いて重合する方法としては、例えば、水酸化亜鉛とジカルボン酸の反応物による方法(例えば、非特許文献2参照。)、酸化亜鉛とジカルボン酸の反応物による方法(例えば、特許文献2参照。)、酸化亜鉛、硫化亜鉛、およびジカルボン酸の反応物による方法(例えば、特許文献3参照。)等が提案されている。
更に、非亜鉛系触媒としては、アルミニウム系触媒が提案されている。
例えば、トリエチルアルミニウム−水系触媒(例えば、非特許文献3参照。)、ジエチルアルミニウムクロリドとカリックスアレーン誘導体から調製されるアルミニウム錯体(例えば、非特許文献4参照。)、トリスピラゾリルボレートを配位子に持つアルミニウム錯体(例えば、非特許文献5参照。)等である。
コバルト錯体については、例えば、コバルトポリフィリンクロリド錯体が開示されている(例えば、非特許文献6参照。)。
米国特許第3585168号明細書 特許第2,571,269号明細書 特許第2,693,584号明細書 J.ControlledRelease,1997,49,263 Polymer Journal,1981,13,407 H.Koinuma and H.Hirai, Makromol.Chem.,178,1283-1294(1977) W.Kuran, T.Listos, M.Abramczyk, and A.Dawidek, J.Macromol.Sci., Pure Appl.Chem., A35, 427-437 (1998) D.J.Darensbourg, E.L.Maynard, M.W.Holtcamp, K.K.Klausmeyer, and J.H. Reibenspies, Inorg. Chem., 35, 2682-2684 (1996) R.L.Paddock, Y.Hiyama, J.M.Mckay, and S.T. Nguyen, Tetrahedron Lett., 45, 2023-2026 (2004)
しかしながら、これまで方法ではポリマーは形成されず、1:1反応物である環状物が生成する。また、ポリマーを作製することができたとしてもポリマーの分子量を制御することが難しく、分子量分布も広いものであった。更に、触媒として用いる金属錯体は高価であるため、製造費が高くなっていた。
以上の状況から、本発明の第一の課題は、金属錯体の使用量を低減でき、且つ分子量を制御可能な、アルキレンオキシドと二酸化炭素の共重合体の製造方法を提供することである。また、本発明の第二の課題は、分子量が制御された、アルキレンオキシドと二酸化炭素の共重合体を提供することである。
かかる状況のもと、鋭意研究の結果、下記発明により課題を解決するに至った。
<1> 下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるポルフィリン系化合物が配位した金属錯体の存在下で、活性水素を有する連鎖移動剤を用い、
且つ、金属錯体に対して等モル以上の前記活性水素を含むように連鎖移動剤を用いて、アルキレンオキシドと二酸化炭素とを共重合させる、共重合体の製造方法である。
Figure 2008081518
一般式(1)及び(2)におけるRは、各々独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子を表し、nは、0〜5のいずれかの整数を表し、一般式(1)におけるMは、Co、Mnを含む金属塩を表し、一般式(2)におけるMは、Niを含む金属塩を表す。
<2> 金属錯体に対して5モル以上の前記活性水素を含むように連鎖移動剤を用いることを特徴とする前記<1>に記載の共重合体の製造方法である。
<3> 前記一般式(1)及び一般式(2)で表される金属錯体が、各々、下記構造式(1)及び構造式(2)で表される金属錯体であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の共重合体の製造方法である。
Figure 2008081518
<4> 前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体が、上記構造式(1)で表される金属錯体であることを特徴とする前記<3>に記載の共重合体の製造方法である。
<5> 前記活性水素を有する連鎖移動剤が、1分子中に1個以上の活性水素基を含有することを特徴とする前記<1>乃至<4>のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法である。
<6> 前記活性水素を有する連鎖移動剤が、1分子中に1個以上のOH基又はCOOH基を有することを特徴とする前記<5>に記載の共重合体の製造方法である。
<7> 前記活性水素を有する連鎖移動剤が、1分子中に2個以上の活性水素基を含有することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の共重合体の製造方法である。
<8> 前記活性水素を有する連鎖移動剤が、水であることを特徴とする前記<7>に記載の共重合体の製造方法である。
<9> ルイス塩基を用いることを特徴とする前記<1>乃至<8>のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法である。
<10> 前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体1モルに対し、前記ルイス塩基を0.1〜5モル用いることを特徴とする前記<9>に記載の共重合体の製造方法である。
<11> 前記ルイス塩基が、電子共有性の高い構造を有し、且つ不対電子を有する化合物であることを特徴とする前記<9>又は<10>に記載の共重合体の製造方法である。
<12> 前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体として、前記構造式(1)で表される金属錯体を用いたときに、前記ルイス塩基として、ピリジン系化合物又はイミダゾール系化合物を用いることを特徴とする前記<11>に記載の共重合体の製造方法である。
<13> 前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体として、前記構造式(2)で表される金属錯体を用いたときに、前記ルイス塩基として、トリフェニルホスフィンを用いることを特徴とする前記<11>に記載の共重合体の製造方法である。
<14> 前記ピリジン系化合物が、下記一般式(3)で表されることを特徴とする前記<12>に記載の共重合体の製造方法である。
Figure 2008081518
一般式(3)中、Rは、メチル基、ホルミル基、置換アミノ基を表し、mは、0〜5の整数を表す。
<15> 前記ピリジン系化合物が、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンであることを特徴とする前記<14>に記載の共重合体の製造方法である。
<16> 前記イミダゾール系化合物が、下記一般式(4)で表されることを特徴とする前記<12>に記載の共重合体の製造方法である。
Figure 2008081518
一般式(4)中、Rは、置換又は無置換のアルキル基を表す。
<17> 前記イミダゾール系化合物が、N−メチルイミダゾールであることを特徴とする前記<16>に記載の共重合体の製造方法である。
<18> 二酸化炭素分圧が0.1〜25MPaであることを特徴とする前記<1>乃至<17>のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法である。
<19> 前記連鎖移動剤のGPCにより得られた数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比率Mw/Mnが1.20以下の場合には、生成した共重合体のMw/Mnが1.01〜1.20の範囲であり、
前記連鎖移動剤のMw/Mnが1.20を超える場合には、生成した共重合体のMw/Mnが該連鎖移動剤のMw/Mnよりも小さくなることを特徴とする前記<1>乃至<18>のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法である。
<20> GPC測定により得られた数平均分子量に対してOH当量が0.8以下であることを特徴とするアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体である。
<21> 一分子内に2個以上の活性水素を有する連鎖移動剤を用いて製造されてなり、
前記連鎖移動剤に起因した結合部分を除いたときの交互共重合比率が、80%以上であることを特徴とするアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体である。
<22> GPC測定により得られた数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが、1.01〜1.20であることを特徴とする前記<20>又は<21>に記載のアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体である。
<23> GPC測定により得られた数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが、1.01〜1.10であることを特徴とする前記<20>又は<21>に記載のアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体である。
<24> 全末端数に対するハロゲン末端の数の割合が、0.25以下であることを特徴とする前記<20>乃至<23>のいずれか1項に記載のアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体である。
本発明では、金属錯体の使用量を低減でき、且つ分子量を制御可能な、アルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体の製造方法を提供することができ、また、分子量が制御されたアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体を提供することができる。
本発明の共重合体の製造方法は、アルキレンオキシドと二酸化炭素とを共重合させるのに、ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体を用い、且つその共重合の際に、活性水素を有する連鎖移動剤を用いる。このとき、前記金属錯体に対して等モル以上の前記活性水素を含むように連鎖移動剤を用いる。
本発明者らは、活性水素を有する連鎖移動剤が、この反応系で得られる共重合体の分子量や分子量分布に多大な影響を与えることを明らかにし、本発明に至った。この原因は、連鎖移動剤の活性水素が金属錯体と交換反応するためであると推測されるが、本発明はこのようなメカニズムに限定されない。
以下では、上記推測のメカニズムについて、活性水素を有する連鎖移動剤として水酸基を有する化合物(ROH)を用い、金属錯体としてテトラフェニルポルフィナトコバルトクロリド[(TPP)CoCl]を用いて、シクロヘキシレンオキシドと二酸化炭素を共重合させる場合を例に説明する。
なお、この反応系では、二酸化炭素とシクロヘキセンオキシドの共重合体を高収率で得ることができ、また、カルボナート結合の含有率が極めて高いため、二酸化炭素とシクロヘキセンオキシドとが交互に反応した交互共重合体であることが確認されている。
Figure 2008081518
上記スキーム1に示すように、共重合反応が進むと、片末端に金属錯体由来のClを有し、他方の末端にコバルト触媒を有する共重合体(1)が生成する。ここで、ROHが存在すると、金属錯体とROHの活性水素とが交換し、コバルトにORが結合した金属錯体〔(TPP)CoOR〕と、片末端がClで他方の末端がOHの共重合体(2)を生成する。
(TPP)CoORは、(TPP)CoClと同様に共重合反応を進め、片末端がORで他方の末端がコバルト触媒を有する共重合体(3)を生成させる。このときROHが存在すると、ROHの活性水素と金属錯体とが交換反応し、(TPP)CoORと、片末端がORで他方の末端がOHの共重合体(4)を生成する。
このように、ROHが存在する限り、金属錯体は巡回されて共重合反応に関与できることになる。
なお、活性水素を有する連鎖移動剤を用いない場合には、上記共重合体(1)のみが得られるので、生成した共重合体の分子数は、金属錯体の分子数と同等である。
これに対し、活性水素を有する連鎖移動剤を用いると、得られる共重合体は、上記共重合体(2)、共重合体(3)及び共重合体(4)となり、結果、ROHの分子数から派生した共重合体の分だけ共重合体分子は多く生成し、得られる共重合体の総分子数は、金属錯体の分子数と活性水素の分子数とを合算した値となる。
また、(TPP)CoORと、(TPP)CoClとは、同等の反応性を示すため、これらに起因した共重合体の分子量はいずれも同等であり、得られた共重合体の分子量分布をGPCで測定すると、クロマトグラムは1つのピークを示す。したがって、共重合体の重合度は、仕込んだ金属錯体と活性水素の総分子数に対する、反応したモノマー(アルキレンオキシド及び二酸化炭素)の分子数となる。
その結果、活性水素を有する連鎖移動剤を用いた反応系では、(1)金属錯体よりも分子数の多い共重合体を生成することができる、(2)分子量分布の狭い共重合体を得ることができる、(3)原料の配合比を調整することで、所望の分子量を有する共重合体を得ることができる。上記(1)の結果より、高価な金属錯体の使用量を低減することもできる。
スキーム1では、特定のアルキレンオキシド、金属錯体、及び活性水素を有する連鎖移動剤で説明したが、以下では、本発明の製造方法に用いことのできる材料を詳細に説明する。
<金属錯体>
本発明では、触媒として、下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるポルフィリン系化合物が配位した金属錯体の少なくとも1種を用いる。
Figure 2008081518
一般式(1)及び(2)におけるRは、各々独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子を表す。特に、一般式(1)におけるRは、水素原子であることが好ましく、一般式(2)におけるRは、メチル基であることが好ましい。
一般式(1)におけるMは、Co、Mnを含む金属塩を表し、Co(III)−Cl、Mn(III)−OAcであることが好ましく、Co(III)−Clであることがより好ましい(括弧内の数字は価数を表す。)。
一般式(2)におけるMは、Niを含む金属塩を表し、Ni(II)−Cl、Ni(II)−OAcであることが好ましく、Ni(II)−Clであることがより好ましい(括弧内の数字は価数を表す。)。
一般式(1)及び(2)におけるnは0〜5のいずれかの整数を表し、nが1のときには、Rの置換位置はパラ位であることが好ましい。
一般式(1)及び(2)で表される金属錯体としては、共重合反応速度が速く、交互共重合比率が高くかつ狭い分子量分布を有する共重合体が得られる観点からは、下記構造式(1)又は構造式(2)で表される金属錯体であることが好ましく、その中でも下記構造式(1)で表される金属錯体が最も好適である。
Figure 2008081518
一方で、触媒としての活性の高さや、超臨界二酸化炭素に対する溶解性の観点からは、一般式(1)又は(2)におけるnが2以上の多置換ポルフィリン系化合物の金属錯体であることが好適である。なお、nが2以上の場合には、複数のRは、それぞれ異なる置換基であっても、同じ置換基であってもよいが、製造のし易さからは、同じ置換基であることが好ましい。
nが2のときは、Rの置換位置はメタ位であることが好ましく、nが3のときは、Rの置換位置はオルト位及びパラ位であることが好ましく、nが5の全置換であってもよい。したがって、好適な多置換ポルフィリン系化合物の金属錯体は、一般式(5)〜(10)で表される金属錯体である。
Figure 2008081518

Figure 2008081518
一般式(5)〜(10)におけるRは、各々独立に、前記一般式(1)〜(2)におけるRと同義である。更に、一般式(5)及び(8)のRは、メトキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子であることがより好ましく、一般式(6)及び(9)のRは、tert−ブチル基であることがより好ましく、一般式(7)及び(10)のRは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子であることがより好ましい。
一般式(5)〜(10)におけるM及びMは、各々、前記一般式(1)〜(2)におけるM及びMと同義である。
多置換のフェニル基を有するポルフィリン系化合物が配位した金属錯体の具体例を下記に示すが、これらの金属錯体に限定されない。
Figure 2008081518
Figure 2008081518
また、本発明の一般式(1)又は(2)で表される金属錯体は、担持体などに固定化されていてもよい。このような固定化された金属錯体の模式図を下記に示す。下記反応の模式図では、本発明に係る金属錯体として、前記一般式(1)で表される金属錯体で説明を行なっているが、前記一般式(2)で表される金属錯体であってもよい。
Figure 2008081518
上記反応の模式図において、M、R、nは、前記一般式(1)におけるM、R、nと同義である。
また、上記反応の模式図において円で表される部分は、固定化基板(担持体)を表し、不溶性ポリスチレンビーズ、シリカゲル等、有機または無機高分子、ガラス、マイカ、金属などで形成される粒子などを挙げることができる。なお、上記反応の模式図では、固定化基板(担持体)が円として表されているが、その形状は特に限定されず、球状、平板状などであってよい。
上記反応の模式図において、楕円はリンカー部分を表し、炭化水素鎖、ポリエーテル鎖、ポリエステル鎖、ポリアミド鎖、ポリシリルエーテル鎖などを挙げることができる。
上記反応の模式図におけるP及びQは、結合基(結合点)を表し、Pは、XとYとが結合して形成された結合基(結合点)であり、Qは、ZとY’とが結合して形成された結合基(結合点)である。P及びQとしては、各々独立に、アルキル基、エーテル基、エステル基、アミド基、カルバメート基、シリルエーテル基などを挙げることができる。
固定化基板上のZ、リンカー部分のY及びY’、金属錯体上のXは、上記P及びQの結合基(結合点)を形成し得る官能基であればよく、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イソシアナート基、トリアルコキシシリル基、トリハロシリル基などを挙げることができる。
金属錯体におけるXの個数及び置換位置は、特に限定されないが、好ましくは、4個のフェニル基にそれぞれ少なくとも1個ずつXが置換されている場合であり、さらに好ましくは、4個のフェニル基の1個又は2個にXが置換される場合である。
固定化基板上のZの総数、密度は、特に限定されない。また、固定化基板上のZは、ランダムに又は規則的に存在する。Zの個数は、固定化する金属錯体の個数に準ずる。
本発明にかかる金属錯体は、1種類のみを用いて、あるいは2種類以上を併用してもよいが、単一種を用いることが、反応に好適な溶媒、触媒濃度、ルイス塩基、温度、圧力を調節しやすい観点から好ましい。
<活性水素を有する連鎖移動剤>
活性水素を有する連鎖移動剤は、1分子中に1個以上の活性水素基を有する。
このような連鎖移動剤として、具体的には、水、水酸基を有する有機化合物、SH基を有する有機化合物、カルボキシル基を有する有機化合物、アルカノールアミン類などを挙げることができる。更に、これらの化合物にアルキレンオキシドを付加重合したものも適用することができる。また、これら連鎖移動剤の複数種の反応生成物を適用することができる。
水酸基を有する有機化合物としては、例えば、1級、2級、3級の1価アルコール、2価アルコール、多価アルコール、フェノール類、ポリビニルアルコール、一部又は実質的に完全加水分解のポリビニルアセテート、及びこれら水酸基を有する有機化合物に由来する反応生成物を挙げることできる。
1価アルコールとしては、分子量32から10000の脂肪族、芳香族、脂環式アルコール、セロソルブ化合物、ポリエーテルモノール、ポリエステルエーテルモノオールなどのエーテル結合、または、およびエステル結合を有するモノアルコールを好ましく用いることができる。具体的には、例えば、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、セチルアルコール、イソプロパノール、2−メチル2−プロパノール、ベンジルアルコール、シクロヘキシルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルを挙げることができる。
2価アルコール以上の多価アルコールとしては、具体的には、例えば、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ピナコール、カテコール、トリエチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリト−ル、トリペンタエリトリト−ル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、ヘキサントリオール、グリコール類、ポリエーテルトリオール類、ポリエステルエーテルトリオール、糖類を挙げることができる。
グリコール類としては、具体的には、グリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−、1,3−、および1,4−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリエチレン−プリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエステルグリコール(アジピン酸とエチレングリコール)などを挙げることができる。
糖類としては、例えば、α−メチルグルコシド、ヒドロキシメチルグルコシド、ヒドロキシエチルグルコシド、ヒドロキシプロピルグルコシド、ブルコース、フルクトース、スクロース、ラフィノース、ソルビトール、マンニトールなどを挙げることができる。
フェノール類としては、例えば、フェノール、p−モノクロロフェノール、p−クレゾール、チモール、キシレノール、ハイドロキノン、レゾルシノール、レゾルシノール残油、フロログルシノール、o−,m−,p−ヒドロキシスチレン、サリゲニン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジハイドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジハイドロキシジフェニルスルホン、4,6,4−トリハイドロキシジフェニルジメチルメタン、長鎖ビスフェノールを挙げることができる。
ポリビニルアルコール及びポリビニルアセテートは、コポリマーであってもホモポリマーであってもよい。ビニルアルコールのコポリマー(共重合体)は、下記ビニルアセテートの共重合体を加水分解して得られたものを挙げることができる。
ビニルアセテートの共重合体としては、例えば、ビニルアセテート−ブタジエン共重合体、ビニルアセテート−スチレン共重合体、ビニルアセテート−アクリロニトリル又はメタクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート−ビニルクロライド共重合体、ビニルアセテート−ビニリデンクロライド共重合体、ビニルアセテートとその他モノマー(ジクロロスチレン、ビニルエチルエーテル、エチレン、プロピレン、イソブチレン、イソプレンなど)との共重合体)などを挙げることができる。
SH基を有する有機化合物としては、例えば、メルカプタン、チオール、ポリチオール等をあげることができる。
メルカプタンやチオールの具体例としては、1−ペンタンチオール、2−メチル−1−ブタンチオール、3−メチル−1−ブタンチオール、チオフェノール、o−,m−,p−チオクレゾール、1,2−エタンジチオール、エタンチオール、フルフリルメルカプタン、1−ヘキサンチオール、チオ−1−ナフトール、2−プロパンチオール、ジチオレゾルシノール、チオグリセロール、プロパントリチオール、1,4−ベンゼンジチオール、モノチオハイドロキノン、チオジグリコール、及びチオモノグリコール等を挙げることができる。
芳香族アミン類としては、例えば、エチレンジアミン、ジ(2−アミノエチル)アミン、ヘキサメチレンジアミン等を挙げることができる。
アルカノールアミン類としては、例えば、トルイレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族アミン類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を挙げることができる。
これらの活性水素を有する連鎖移動剤に、アルキレンオキシドを付加重合した物質であってもよい。アルキレンオキシドの付加重合は、アルカリ金属重合触媒、カチオン重合触媒、または配位重合触媒などの存在下で行うことができる。このような付加重合体は具体的にはポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンエチレングリコールなどの高分子ジオールを挙げることができる。ポリエーテルトリオール類としては、ポリプロピレントリオール、ポリエチレントリオール、ポリプロピレンエチレントリオールなどの高分子量トリオールなどの多官能ポリエーテルポリオール類、ならびに、エポキシアルコール類(たとえば、グリシドール、1,2−エポキシ−4−ブタノール、1,2−エポキシ−5−ペンタノール)の自己開環付加重合高分子量体を挙げることができる。さらに、一般的な高分子量ポリオールとしては、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルポリオール類、ポリエステルエーテル類、ポリカプロラクトン類などの高分子量ポリオールを挙げることができる。
上述した全ての高分子量体のOH基当量としては、60〜10000、特に好ましくは100〜5000である。
また、これら活性水素を有する連鎖移動剤の反応性生物であってもよく、例えば、多官能ポリエステルポリオール(例えば、脂肪族ジカルボン酸と過剰のグリコールと少量のグリセリンとの反応物)などを挙げることができる。
活性水素を有する連鎖移動剤は、1分子に2つ以上の同一または及び異なる官能基種を持つことが可能である。異なる種類の官能基を含有する化合物としては、具体的には、ヒドロキシカルボン酸類、アミノ酸類、ポリエステルポリオール類でカルボン酸含有物などが挙げられる。さらに、これらの活性水素を有する連鎖移動剤は、2種以上を併用することも可能である。
ここで、1分子中に2個以上の活性水素基を有する連鎖移動剤を用いたときの反応スキームを考察する。下記スキーム2では、1分子中に2個以上の活性水素基を有する連鎖移動剤として、HO−R−OHを例に説明する。
Figure 2008081518
HO−R−OHが存在すると、金属錯体とHO−R−OHの活性水素とが交換し、コバルトに−O−R−OHが結合した金属錯体〔(TPP)CoOROH〕と、片末端がClで他方の末端がOHの共重合体(5)を生成する。
生成した(TPP)CoOROHによって、共重合反応が進行すると、片末端がOROHで他方の末端がコバルト触媒を有する共重合体(6)を生成させる。この片末端には、OROHの活性水素が存在するので、この活性水素と金属錯体とは交換反応し得る。これにより、両末端に金属錯体を有する共重合体(7)が発生し、その結果、両末端から分子が成長する。
したがって、一分子内に2個の活性水素を有する連鎖移動剤を用いると、得られる共重合体は、一分子内に1個の活性水素を有する連鎖移動剤を用いた場合の約2倍の分子量を有する。
両末端に金属錯体を有する共重合体(7)は、HO−R−OHと交換反応すると、コバルトに−O−R−OHが結合した金属錯体〔(TPP)CoOROH〕が発生するので、金属錯体は巡回されて共重合反応に関与できることになる。
なお、片末端がClで他方の末端がOHの共重合体(5)は、金属錯体の分子数と同量生成するが、金属錯体の量を連鎖移動剤の量に比べて著しく少なくなるように仕込めば、得られる共重合体の多くが共重合体(8)となり、共重合体(5)の占める割合は極めて少なくなる。よって、金属錯体と連鎖移動剤との配合比を調整することで、得られた共重合体の分子量分布を、共重合体(8)の分子量分布に近似させることができ、分子量分布を狭めることができる。
スキーム2では、一分子内に2個の活性水素を有する連鎖移動剤(2官能連鎖移動剤)として、HO−R−OHを例に説明したが、HOOC−R−COOH等その他の2官能連鎖移動剤であっても、同様に反応が進行すると推測される。
一分子内に2個の活性水素を有する連鎖移動剤の具体的一例として、水を適用した場合のスキームを下記に示す。
Figure 2008081518
一分子内に3個の活性水素を有する連鎖移動剤を用いた場合には、下記スキーム4の共重合体(9)に示すように、一分子内に1個の活性水素を有する連鎖移動剤を用いた場合の約3倍の分子量となるものと推測される。
Figure 2008081518
上述のように、一分子内に少なくとも1個の活性水素を有する連鎖移動剤を使用すると、(1)金属錯体よりも分子数の多い共重合体を生成することができる(つまり触媒量を減らすことができる)、(2)分子量分布の狭い共重合体を得ることができる、(3)原料の配合比を調整することで、所望の分子量を有する共重合体を得ることができる、(4)末端基を変性できる、などの効果がある。
一分子内に2個以上の活性水素を有する多官能連鎖移動剤を使用すれば、上記効果に加え、上記スキーム3又は4に示すように、連鎖移動剤による連結や架橋を行なうことができるので、物理的物性を変えた共重合体を得ることができる。
また、一分子内に少なくとも1個の活性水素を有し、且つ高分子量である連鎖移動剤を用いると、その高分子連鎖移動剤の特性によって、様々な物理的物性を有する共重合体を得ることができる。
一方で、一分子内に少なくとも1個の活性水素を有し、且つ低分子量である連鎖移動剤、例えば、水、エチレングリコール、グリセリンなど、を用いれば、カーボネート結合の含有率の高いポリマー骨格を有する共重合体となる。カーボネート結合はエーテル結合に比べ結合エネルギーが高いため、得られる共重合体は耐候性や耐酸性に優れる。
特に、活性水素を有する連鎖移動剤として水を適用する場合、前記構造式(1)で表される金属錯体を合成する際に使用した水が残存していてもよく、水の除去工程が簡略化でき、製造工程上の作業の煩雑さが解消されるという更なる利点を有する。また、このような状態で、連鎖移動剤としての水を更に添加しても、1種類の連鎖移動剤を用いたのと同様の効果を得ることができる。
なお、共重合反応に用いる金属錯体に付着した水の残存量は、共重合反応によって得られた共重合体のGPCチャートを確認することで、仕込みの水の量と金属錯体の量とから、概算することができる。この結果を基に、所望の分子量を有する共重合体を作製することが可能である。
高価な金属錯体の使用量を低減しつつ所望の分子数及び分子量を得る観点から、活性水素を有する連鎖移動剤は、1モルの前記金属錯体に対して1モル以上の活性水素が存在するように用い、好ましくは、5モル以上の活性水素が存在する場合であり、より好ましくは、10モル以上の活性水素が存在する場合である。
なお、ポルフィリン系化合物が配位したAl塩(下記構造物)は、その調製に有機Al化合物を用いるため乾燥不活性雰囲気下で反応を行う必要がある。また、水に接すると触媒として極めて活性の低い下記のμ−オキソダイマーを生成しやすい。したがって、ポルフィリン系化合物が配位したAl塩は、大気雰囲気で調製することができず、また、水を適用して共重合反応を進める際の水の添加量は、触媒の質量に対して5倍程度が限界である。水の添加量が多くなると反応速度が著しく低下すると推測される。更に、ポルフィリン系化合物が配位したAl塩はμ−オキソダイマーが生成するために、仕込んだAl錯体から算出する分子量と実際に生成した分子量との値が乖離してしまう。
Figure 2008081518
これに対し、本発明にかかる金属錯体(一般式(1)又は(2)で表される金属錯体)は、水に接してもμ−オキソダイマーを生成せず、触媒としての活性が低下しないので、大気雰囲気で調製できる。また、本発明にかかる金属錯体を適用する場合には、水の添加量を触媒に対して5モル倍以上としても、反応速度を低下させないので、共重合反応に用いる触媒量を低減させることができる。更に、本発明の方法を採用しない場合に比べて、
本発明にかかる金属錯体の仕込み量から算出する分子量は、実際に生成した分子量に近い値となる。
<ルイス塩基>
本発明では、ルイス塩基を、触媒としての上記金属錯体と共存させることができる。上記スキーム1に示すように、金属錯体の金属部分にルイス塩基が配位し、より触媒としての機能を高めるものと推測される。
ルイス塩基としては、金属錯体の金属部分に配位しやすいよう、電子共有性の高い構造を有し、且つ不対電子を有する化合物であることが好ましい。
ルイス塩基としては、ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体として、前記構造式(1)で表される金属錯体を用いたときには、ピリジン系化合物又はイミダゾール系化合物を用いることがこのましい。
ピリジン系化合物としては特に制限されないが、下記一般式(3)で表される化合物である。
Figure 2008081518
一般式(3)中、Rは、置換又は無置換のメチル基、ホルミル基、置換アミノ基を表し、より好ましくは、ジメチルアミノ基、メチル基、ホルミル基であり、更に好ましくは、ジメチルアミノ基である。
の置換位置は、好ましくは4−位、3−位であり、より好ましくは、4−位である。
mは、0〜5の整数を表し、好ましくは、0〜1の整数である。
本発明で使用するピリジン系化合物のうち、好ましくは、ピリジン、4−メチルピリジン、4−ホルミルピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンであり、より好ましくは、ピリジン、4−メチルピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンであり、特に好ましくは、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)である。
ルイス塩基として、一般式(3)で表される化合物を用いる場合、固定化したルイス塩基としてもよい。固定化した一般式(3)で表される化合物を説明する模式図を下記に示す。
Figure 2008081518
上記模式図において、R及びmは各々一般式(3)におけるR及びmと同義であり、円で表されるのは、固定化基板(担持体)を表し、固定化された金属錯体における固定化基板(担持体)と同義であり、楕円はリンカー部分を表し、固定化された金属錯体におけるリンカー部分と同義である。
上記反応の模式図におけるP’及びQ’は、固定化された金属錯体におけるP及びQと各々同義であり、X、Y、Y’及びZは、固定化された金属錯体におけるX、Y、Y’及びZとそれぞれ同義である。
固定化された金属錯体と、固定化された一般式(3)で表されるルイス塩基とを併用する場合、それぞれの固定化基板(担持体)及びリンカー部分は、同一であっても異なってもよい。また、XとX、YとY、ZとZ、PとP’、QとQ’はそれぞれ同一であっても異なってもよい。
ルイス塩基としてのイミダゾール系化合物は特に制限されないが、下記一般式(4)で表される化合物である。
Figure 2008081518
一般式(4)中、Rは、置換又は無置換のアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基を表す。より好ましくは、メチル基である。すなわち、一般式(4)中、特に好ましい化合物は、N−メチルイミダゾールである。
一方、ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体として、前記構造式(2)で表される金属錯体を用いたときには、ルイス塩基として、トリフェニルホスフィンを用いることが好ましい。
ルイス塩基の使用量は、前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体1モルに対して、0.1〜5モル用いることが好ましい。当該範囲での使用であれば、収率を低下させず、環状カーボナート(エポキシドと二酸化炭素が1モルずつ反応した化合物)を生成させ難く交互共重合体を生成する。また、反応速度の観点や、二酸化炭素を取り込みやすいので、エポキシドのみが反応したポリエーテルを生成し難い。
<アルキレンオキシド>
本発明で使用するアルキレンオキシドは、特に限定されること無く用いることができるが、直鎖アルキレンオキシド、環状アルキレンオキシドを含む。また、アルキレンは置換基を有していてもよい。
この中でも、反応性の高さからは、置換又は無置換のシクロヘキシレンオキシドが好ましく、得られる共重合体の用途の広さからは、置換又は無置換のエチレンオキシド、及び置換又は無置換のプロピレンオキシドが好ましい。したがって、アルキレンオキシドとしては、一般式(11)で表される化合物又は一般式(12)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2008081518
一般式(11)中、R11は、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基、を表し、好ましくは、アルキル基、アリール基である。
一般式(11)におけるR11として、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基である。
一般式(11)のR11で表されるアルキル基は、更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルコキシ基、又はシロキシ基等を挙げることができる。
例えば、アルコキシ基を置換基に有するアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシプロピル基、イソプロポキシメチル基等である。
シロキシ基を置換基に有するアルキル基としては、トリメチルシリルオキシメチル基、トリメチルシリルオキシエチル基、トリエチルシリルオキシメチル基、トリエチルシリルオキシエチル基等である。
一般式(11)のR11で表されるアルキル基は、水素原子をフッ素原子に置換することができ、例えば、パーフロロアルキル基を含むフルオロアルキル基とすることもできる。
フロオロアルキル基としては、トリフロロメチル基、2,2,2−トリフロロエチル基、パーフロロエチル基等を挙げることができる。
一般式(11)のR11で表されるアリール基及びシクロヘキシル基は、更に置換基を有することができ、該置換基としては、メチル基、エチル基を挙げることができる。置換基を有するアリール基及びシクロヘキシル基の場合、該置換位置は特に限定されず、また、置換基の数も特に限定されない。
一般式(11)におけるnは、0〜4の整数を表し、さらに好ましくは、0〜2の整数であり、より好ましくは、0又は1である。
なお、nが2以上の場合には、複数のR11は、それぞれ異なる官能基であっても、同じ官能基であってもよい。
一般式(11)で表される化合物の具体例を下記に示すが、これらに限定されない。
Figure 2008081518
Figure 2008081518
次に、前記一般式(12)で表される化合物について説明する。
一般式(12)中、R12は、水素原子又はメチル基を表す。
一般式(12)のR12で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよい。また、一般式(12)における水素原子をフッ素原子に置換してもよい。
一般式(12)で表されるエチレンオキシド又はプロピレンオキシドの具体例を下記に示すが、これらに限定されない。
Figure 2008081518
<ブレンシュテッド酸化合物>
本発明の製造方法では、ブレンシュテッド酸化合物を添加して、末端を水酸基に変換し、反応を停止させることができる。このようなブレンシュテッド酸化合物としては、メタノールや塩酸を含むメタノール等を挙げることができる。
<製造方法>
本発明における第1の製造方法では、上述した本発明にかかる金属錯体と、活性水素を有する連鎖移動剤の存在下で、アルキレンオキシドと二酸化炭素とを共重合することにより、ポリカーボネートである共重合体を製造する。
ここで、アルキレンオキシドが、シクロヘキセンオキシドの場合には、用いる金属錯体は、前記一般式(1)及び一般式(2)のいずれであってもよいが、収率や交互共重合体の生成率の観点からは、前記一般式(1)で表される金属錯体であることが好適であり、特に、構造式(1)で表される金属錯体が好適である。
アルキレンオキシドが、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの場合には、前記構造式(1)で表される金属錯体を用いることが望ましい。
コバルトポルフィリンクロリド錯体などの本発明にかかる金属錯体は、アルキレンオキシドに対し、0.1モル%〜1モル%で存在させれば充分である。より好ましくは、0.2モル%〜0.5モル%で存在させる場合である。
反応時の圧力は、2〜26MPaが好ましく、0.1〜2MPaでも反応は進行する。
また、二酸化炭素分圧は、0.1〜25MPaであることが好ましく、2〜25MPaがより好ましく、0.1〜2MPaでも反応は進行する。二酸化炭素分圧は、二酸化炭素のみを充填して調整してもよいし、窒素との共存下で二酸化炭素分圧が上記範囲内となるように調整してもよい。好ましくは、窒素との共存下により二酸化炭素圧を調整する場合である。二酸化炭素と窒素とを共存させる場合、窒素を1気圧とし、残りが二酸化炭素圧となるように調整することがより好ましい。
なお、7.38MPa以上の圧力下では二酸化炭素は超臨界状態となっており、本発明ではこのような超臨界の状態でも反応させることができる。超臨界二酸化炭素の場合には、後述の反応溶媒を用いなくとも共重合反応できるので、反応溶媒の除去という後処理の工程を省くことができ、また不要な溶媒が共重合体中に残存しない。
アルキレンオキシドとして、シクロヘキセンオキシドを用いる場合には、反応温度は、100℃以下で行うことが好ましく、より好ましくは室温〜80℃である。特に80℃前後で行うことが好ましい。
アルキレンオキシドとして、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを用いる場合には、反応温度は、60℃以下で行い、好ましくは20〜60℃であり、より好ましくは25〜50℃で行う場合である。
アルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合反応は、溶媒中で行ってもよいし、無溶媒で行ってもよい。
溶媒を用いる場合には、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン等のエーテル類のうち、1種類または2種類以上を用いることができる。
溶媒として、好ましくは、ジクロロメタン、トルエン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランであり、より好ましくは、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランであり、更に好ましくは、ジクロロメタン、テトラヒドロフランである。
本発明においては、ジクロロメタンを溶媒として用いるか、無溶媒で行うことが好ましいが、前記構造式(1)の金属錯体を用いてシクロヘキシレンオキシドと二酸化炭素を共重合する場合には、ジクロロメタンを溶媒として用いることが好適である。
ジクロロメタンを溶媒として用いる場合、アルキレンオキシドに対して、容積比(溶媒:エポキシド)で0:100〜90:10であることが好ましく、より好ましくは0:100〜70:30の範囲である(溶媒が0のときは、無溶媒の場合を示す。)。
本発明の方法に用いる金属錯体、アルキレンオキシド、ルイス塩基、活性水素を有する連鎖移動剤、更には溶媒について、添加の順は特に制限が無いが、溶媒を用いる場合には、予め該溶媒に金属錯体を溶かした溶液を調製しておくことが好ましい。
反応を停止させるときには、前述の通り、ブレンシュレッド酸化合物を添加することができる。
また、共重合反応終了の後、共重合体中に取り込まれた金属錯体は、金属錯体および共重合体が溶解している液から一方のみを析出させる方法、金属錯体および共重合体の固体状混合物から一方のみを抽出する方法のいずれの方法で、金属錯体を取り除くことができる。
この場合、金属錯体を溶解可能な共重合体の貧溶媒、共重合体を溶解可能な金属錯体の貧溶媒、あるいは金属錯体の塩基性部位と反応して塩を形成する酸性物質、のいずれかを用いることができる。例えばこのような貧溶媒としては、メタノール、ヘキサン等を用いることができる。
<共重合体>
本発明の共重合体は、アルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体である。
上記共重合体の製造方法で、一分子中に2個以上の活性水素を有する連鎖移動剤を適用したとき、得られる共重合体は、GPC測定での数平均分子量Mnに対するOH当量{(OH当量)/Mn}が1未満となる。特に本発明の製造方法では、金属錯体に対する連鎖移動剤を多く使用できるので、0.8以下とすることができ、更には0.7以下とすることができる。なお、一分子中に有する活性水素の数をn個とし、金属錯体に対する連鎖移動剤のモル比をmとすると、理論上、下記式から、Mnに対するOH当量{(OH当量)/Mn}が算出できる。
(OH当量)/Mn=(1+m)/(1+n×m)
例えば、金属錯体1モルに対して水を5モル用いると、Mnに対するOH当量の理論値は、(1+5)/(1+2×5)=0.545となる。
また、本発明の製造方法では、本発明に係る金属錯体を用い、且つ前記連鎖移動剤を用いるので、得られる共重合体は、狭い分子量分布を有する。
連鎖移動剤として、単分子の連鎖移動剤あるいは分子量分布Mw/Mnが1.20以下の高分子量体を用いれば、GPC測定により得られた数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが、1.01〜1.20の共重合体とすることができ、更には、Mw/Mnを1.01〜1.15とすることも可能であり、製造条件によっては、Mw/Mnを1.01〜1.10とすることもできる。
このように、本発明の製造方法では、狭い分子量分布を有する共重合体を製造することができるので、高分子量の多官能ポリマーを連鎖移動剤として用い、この連鎖移動剤のMw/Mnが1.2を超える場合には、生成した共重合体のMw/Mnは連鎖移動剤のMw/Mnよりも小さくすることができる。
本発明の製造方法では、アルキレンオキシドと金属錯体と連鎖移動剤の種類を適宜組み合わせて、それらの使用量を適宜選択することで、二酸化炭素とアルキレンオキシドとが交互に反応した交互共重合比率の高い共重合体を得ることができる。
一分子内に1個の活性水素を有する1官能の連鎖移動剤を用いた場合には、交互共重合比率を90%以上とすることができ、更に、95%以上とすることもできる。一分子内に2個以上の活性水素を有する多官能の連鎖移動剤を用いた場合であっても、交互共重合比率を80%以上とすることができ、更に、90%以上とすることもできる。
ここで、交互共重合比率とは、共重合体中の全結合のうち、連鎖移動剤に起因した結合部分を除いたときの二酸化炭素とアルキレンオキシドの反応によるカルボナート結合の割合をいう。
更に、本発明に係る金属錯体は、ポルフィリン系化合物が配位したAl塩などに比べて、水などの活性水素を有する連鎖移動剤を触媒に対して多く使用することができる。その結果、例えば、前記構造式(1)や構造式(2)のような塩素原子を有する金属錯体を用いても、得られる共重合体ではハロゲン末端の占める割合を低く抑えることができる。ハロゲンの少ない共重合体は、廃棄処理などの観点から開発が熱望されている。
本発明の共重合体では、全末端数に対するハロゲン末端の数の割合を、0.25以下(即ち1/4以下)とすることができ、活性水素を有する連鎖移動剤を触媒に対して5モル倍使用すれば0.083以下(即ち1/12以下)とすることができ、活性水素を有する連鎖移動剤を触媒に対して10モル倍使用すれば0.045以下(即ち1/22以下)とすることも可能である。
なお、前述のように、本発明の製造方法では、活性水素を有する連鎖移動剤を触媒に対して5モル倍以上としても、反応速度を低下させない。したがって、共重合反応に用いる触媒量を低減することができ、結果、残存する触媒量が少ない共重合体を得ることができる。
また、本発明に係る金属触媒の一部は超臨界二酸化炭素にも溶解するので、反応時の二酸化炭素分圧を高くして超臨界二酸化炭素とすることで、溶剤を使用せずに反応させることができる。その結果、不要な溶剤の含有量が少ない共重合体となる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
内部を窒素で満たしたステンレス性耐圧容器に、金属錯体としてテトラフェニルポルフィナトコバルトクロリド[(TPP)CoCl](前記構造式(1))と、連鎖移動剤としてシクロヘキサノールと、アルキレンオキシドとしてシクロヘキセンオキシドを用い、これらの配合モル比が、1//10/300となるようにして、(TPP)CoClと等モル量の4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を含むジクロロメタンに添加し、圧力をかけて二酸化炭素を注入し、反応初期の圧力が5MPaとなるように調整した。
80℃で3時間加熱反応させた後、これを室温まで冷却した。過剰の二酸化炭素を解放し、少量のメタノール(または5%程度の塩酸を含むメタノール)を加え、生成物を得た。この反応生成物について、1H−NMRにより分析を行った。
1H−NMRの結果から、得られた反応生成物の転換率は100%であった。また、クロロホルムとメタノールからの沈殿物を分離した収率は99%であった。更に、カルボナート結合の割合は99%であった。カーボネート結合の割合は、δ4.7ppm付近に現れるカーボネート結合に隣接するメチン水素由来のシグナルとδ3.4ppm付近に現れるエーテル結合に隣接するメチン水素由来のシグナルの強度比から算出される。
さらに得られた反応生成物をGPCで分析したところ、標準ポリスチレン基準の数平均分子量Mnは1600であり、Mw/Mnは1.13であった。
また、IRにより、CC(環状カーボネート又はシクロヘキセンカーボネート)を測定した。PC(ポリカーボネート)とCCの生成比は予め作成しておいた検量線を用いIRから求めた。
配合比及び反応条件を表1に、分析結果を表2に示す。
[実施例2〜6]
実施例1において、金属錯体、ルイス塩基、連鎖移動剤、アルキレンオキシドを表1に示すように変更し、更に、配合比及び反応条件を表1に示すように変更して、反応を行なった。その結果を表2に示す。
Figure 2008081518
Figure 2008081518
実施例5においては、金属錯体の40倍当量のエタノールを連鎖移動剤に用い,金属錯体の500倍当量のシクロヘキシレンオキシドと二酸化炭素は、反応時間が6時間経過した時点で既にモノマーの消費は完結していた。
また、実施例5では、計算上、金属錯体とエタノールの分子の総和から、錯体1分子当たり41個のポリマーが生成し、そのときの計算上の分子量は1700となる。これに対し、実施例7で得られたポリカルボナートの実際の数平均分子量は、表2に示すように1600であり、計算値に近似していた。また、その分子量分布M/Mは1.13であり、非常に狭いものであった。
[実施例7]
エチレングリコール2mmolと、テトラフェニルポルフィナトコバルトクロリド[(TPP)CoCl](前記構造式(1))0.1mmolと、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)0.075mmolを、500ml重合反応器に仕込み密閉後、室温にて100rpmで攪拌しながら窒素置換を行なった。このときに反応器の重量を0.1g単位まで計量した。
0.5MPaでの加圧と0.01MPaでの除圧を3回繰り返した後、0.01MPaにて所定量のプロピレンオキシドを100mmol加えた。この状態で容器の重量を0.1g単位まで計量した。
この容器をオイルバスに投入して40℃まで加温後、炭酸ガス(CO)を液化炭酸ガスボンベより導入して、重合反応器の内圧が3MPaになるように調整して、21.5時間反応させた。反応条件を表3に示す。その後、炭酸ガスとプロピレンオキシドを減圧にて除去した。このときの反応器の重量を測定した。反応器を開放し、反応生成物を取り出した。得られた反応生成物の外観は、粘着物であった。
この反応生成物について、1H−NMR、13C−NMR、GPCにより分析を行った。その結果を表4に示す。
分析結果から、二酸化炭素とシクロヘキセンオキシドとが交互に反応したポリカルボナートであり、二酸化炭素とシクロヘキセンオキシドとが1モルずつ反応した環状カルボナートは生成していないことがわかった。
さらに、1H−NMRで詳細に測定を行ったところ、カルボナート結合の割合が96%であり、生成物は交互共重合体であることが分かった。転化率は62%であった。
得られた反応生成物をGPC(標準ポリスチレン基準)で分析したところ、数平均分子量Mnは2800であり、仕込み量から計算した数平均分子量3360に近似していた。Mw/Mnは1.06であり、狭い分子量分布を示した。
また、13C−NMRによってOH当量を確認したところ1025であり、数平均分子量2800に対して、0.37であった。
[実施例8]
実施例7において、連鎖移動剤として用いたエチレングリコールをポリプロピレングリコール(旭硝子ウレタン社製、商品名EXCENOL EL−1020(水酸基価より算出する分子量:1000))に変更し、反応条件を表3に示すように変更した以外は、実施例7と同様にして、反応を行なった。1H−NMR、13C−NMR、GPCによる分析結果を表4に示す。
このとき得られた反応生成物の生成物は交互共重合体であることが分かった。転化率は52%であった。カルボナート結合の割合(選択率)(%)は、連鎖移動剤として用いたEL−1020の骨格をなすエーテル結合のノイズが大きく、同定することができなかった。
得られた反応生成物をGPC(標準ポリスチレン基準)で分析したところ、数平均分子量Mnは3000であり、仕込み量から計算した数平均分子量3708に近似していた。Mw/Mnは1.08であり、狭い分子量分布を示した。
13C−NMRによってOH当量を確認したところ1810であり、数平均分子量3000に対して、0.60であった。
[実施例9]
実施例7において、連鎖移動剤として用いたエチレングリコールをヘキサン酸に変更し、反応条件を表3に示すように変更した以外は、実施例7と同様にして、反応を行なった。1H−NMR、13C−NMR、GPCによる分析結果を表4に示す。
このとき得られた反応生成物は、カルボナート結合の割合が98%であり、生成物は交互共重合体であることが分かった。転化率は66%であった。
得られた反応生成物をGPC(標準ポリスチレン基準)で分析したところ、数平均分子量Mnは3100であり、仕込み量から計算した数平均分子量3450に近似していた。Mw/Mnは1.11であり、狭い分子量分布を示した。
13C−NMRによってOH当量を確認したところ4174であり、数平均分子量3100に対して、1.35であった。
Figure 2008081518
Figure 2008081518
[実施例10]
実施例7において、アルキレンオキシドとして用いたプロピレンオキシドをエチレンオキシド150mmolに変更し、反応条件を表5に示すように変更した以外は、実施例7と同様にして、反応を行なった。得られた反応生成物の外観は、高粘度液体であった。1H−NMR、13C−NMR、GPCによる分析結果を表6に示す。
このとき得られた反応生成物は、カルボナート結合の割合が41%であり、転化率は50%であった。また、得られた反応生成物をGPC(標準ポリスチレン基準)で分析したところ、数平均分子量Mnは1961であった。Mw/Mnは1.06であった。
また、13C−NMRによってOH当量を確認したところ966であり、数平均分子量1961に対して、0.49であった。
Figure 2008081518
Figure 2008081518
表5に示すように、アルキレンオキシドとしてエチレンオキシドを用いたときであっても、Mw/Mnが1.2以下の狭い分子量分布を有する共重合体を得ることができた。
なお、実施例では、全末端数に対するハロゲン末端の数の割合を確認していないが、測定したOH当量の値から、ハロゲン末端の数が低減していることが推測できる。本発明では、理論上、全末端数に対するハロゲン末端の数の割合は0.25以下とすることが可能であり、実施例で得られた共重合体もこの数値範囲に該当するものが存在していると考える。

Claims (24)

  1. 下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるポルフィリン系化合物が配位した金属錯体の存在下で、活性水素を有する連鎖移動剤を用い、
    且つ、金属錯体に対して等モル以上の前記活性水素を含むように連鎖移動剤を用いて、アルキレンオキシドと二酸化炭素とを共重合させる、共重合体の製造方法。
    Figure 2008081518

    〔一般式(1)及び(2)におけるRは、各々独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子を表し、nは、0〜5のいずれかの整数を表し、一般式(1)におけるMは、Co、Mnを含む金属塩を表し、一般式(2)におけるMは、Niを含む金属塩を表す。〕
  2. 金属錯体に対して5モル以上の前記活性水素を含むように連鎖移動剤を用いることを特徴とする請求項1に記載の共重合体の製造方法。
  3. 前記一般式(1)及び一般式(2)で表される金属錯体が、各々、下記構造式(1)及び構造式(2)で表される金属錯体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の共重合体の製造方法。
    Figure 2008081518
  4. 前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体が、前記構造式(1)で表される金属錯体であることを特徴とする請求項3に記載の共重合体の製造方法。
  5. 前記活性水素を有する連鎖移動剤が、1分子中に1個以上の活性水素基を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法。
  6. 前記活性水素を有する連鎖移動剤が、1分子中に1個以上のOH基又はCOOH基を有することを特徴とする請求項5に記載の共重合体の製造方法。
  7. 前記活性水素を有する連鎖移動剤が、1分子中に2個以上の活性水素基を含有することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の共重合体の製造方法。
  8. 前記活性水素を有する連鎖移動剤が、水であることを特徴とする請求項7に記載の共重合体の製造方法。
  9. ルイス塩基を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法。
  10. 前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体1モルに対し、前記ルイス塩基を0.1〜5モル用いることを特徴とする請求項9に記載の共重合体の製造方法。
  11. 前記ルイス塩基が、電子共有性の高い構造を有し、且つ不対電子を有する化合物であることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の共重合体の製造方法。
  12. 前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体として、前記構造式(1)で表される金属錯体を用いたときに、前記ルイス塩基として、ピリジン系化合物又はイミダゾール系化合物を用いることを特徴とする請求項11に記載の共重合体の製造方法。
  13. 前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体として、前記構造式(2)で表される金属錯体を用いたときに、前記ルイス塩基として、トリフェニルホスフィンを用いることを特徴とする請求項11に記載の共重合体の製造方法。
  14. 前記ピリジン系化合物が、下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項12に記載の共重合体の製造方法。
    Figure 2008081518

    〔一般式(3)中、Rは、メチル基、ホルミル基、置換アミノ基を表し、mは、0〜5の整数を表す。〕
  15. 前記ピリジン系化合物が、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンであることを特徴とする請求項14に記載の共重合体の製造方法。
  16. 前記イミダゾール系化合物が、下記一般式(4)で表されることを特徴とする請求項12に記載の共重合体の製造方法。
    Figure 2008081518

    〔一般式(4)中、Rは、置換又は無置換のアルキル基を表す。〕
  17. 前記イミダゾール系化合物が、N−メチルイミダゾールであることを特徴とする請求項16に記載の共重合体の製造方法。
  18. 二酸化炭素分圧が0.1〜25MPaであることを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法。
  19. 前記連鎖移動剤のGPCにより得られた数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比率Mw/Mnが1.20以下の場合には、生成した共重合体のMw/Mnが1.01〜1.20の範囲であり、
    前記連鎖移動剤のMw/Mnが1.20を超える場合には、生成した共重合体のMw/Mnが該連鎖移動剤のMw/Mnよりも小さくなることを特徴とする請求項1乃至請求項18のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法。
  20. 一分子内に2個以上の活性水素を有する連鎖移動剤を用いて製造されてなり、
    GPC測定により得られた数平均分子量に対してOH当量が、0.8以下であることを特徴とするアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体。
  21. 一分子内に2個以上の活性水素を有する連鎖移動剤を用いて製造されてなり、
    前記連鎖移動剤に起因した結合部分を除いたときの交互共重合比率が、80%以上であることを特徴とするアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体。
  22. GPC測定により得られた数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが、1.01〜1.20であることを特徴とする請求項20又は請求項21に記載のアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体。
  23. GPC測定により得られた数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが、1.01〜1.10であることを特徴とする請求項20又は請求項21に記載のアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体。
  24. 全末端数に対するハロゲン末端の数の割合が、0.25以下であることを特徴とする請求項19乃至請求項23のいずれか1項に記載のアルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合体。
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