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JP2008054419A - モータ制御システム - Google Patents

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JP2008054419A JP2006228024A JP2006228024A JP2008054419A JP 2008054419 A JP2008054419 A JP 2008054419A JP 2006228024 A JP2006228024 A JP 2006228024A JP 2006228024 A JP2006228024 A JP 2006228024A JP 2008054419 A JP2008054419 A JP 2008054419A
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Takashi Yonemori
敬 米盛
Nobuhide Seo
宣英 瀬尾
Masaaki Kashimoto
正章 樫本
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Abstract

【課題】発生する逆起電力を抑えつつ高出力可能なモータ制御システムを提供する。
【解決手段】モータ10に巻数の異なる複数種類のコイル19,21をそれぞれに備える複数のステータ18,20と、永久磁石17を備えるロータ16とを設け、モータ制御手段50にロータ16の回転数を検出するロータ回転数検出手段51と、ロータ16の回転数に基づいていずれのコイル19,21に通電するかを選択するコイル選択手段52と、選択されたコイルの巻数と駆動力の要求値に基づき、コイルへの通電量を演算する通電量演算手段53とを設けるとともに、前記ロータ回転数検出手段51において、ロータ16の回転数が高いほど巻数の小さいコイルを選択するよう構成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、ハイブリッド車や電気自動車等に用いられて駆動力を出力可能なモータを有するモータ制御システムに関する。
前記のようなモータとしては、一般的に、永久磁石を備えたロータとコイルを備えたステータとからなり、前記コイルに通電することでロータを回転させて出力を得るモータが使用されている。しかしながら、このような永久磁石を用いたモータでは、コイルに発生した磁界を永久磁石が通過するためコイルに逆起電力が発生してしまう。そして、この逆起電力はロータの回転数に比例して大きくなるので、ロータを高回転で回転させる場合には、発生する逆起電力によるコイルへの悪影響を抑制する手段が必要となる。この手段としては、例えば特許文献1には、磁気突極型ロータと永久磁石型ロータとを直列に結合して、リラクタンストルクとマグネットトルクとの合成によりトルクを確保しつつ永久磁石の量を減少させることで逆起電力を減少させるようにしたモータが開示されている。
特開2001−119875号公報
しかしながら、前記特許文献1に示されるモータでは、ロータに複雑なスリット等を設けて磁気突極を形成せねばならず、構造が複雑になるとともに、前記リラクタンストルクとマグネットトルクの位相角のマッチング等が必要となるため製造効率が悪いという問題がある。一方、前記逆起電力を減少させる方法としては、コイルの巻数を減少させてコイルのインダクタンスを小さくするという方法が考えられるが、コイルの巻数を単純に減少させただけでは高トルクが必要な場合にコイルに大電流を流す必要が生じるので効率が悪化するという問題がある。
本発明は、かかる事情に鑑み、簡単な構造で、コイルへの悪影響を抑制しつつ高回転および高トルクを実現することのできるモータ制御装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、車両等に設けられてこの車両等の駆動力を出力可能なモータと、このモータを制御するモータ制御手段とを有するモータ制御システムであって、前記モータは、互いに所定の間隔を置いて並べられる複数の永久磁石を有するロータと、巻数の異なる複数種類のコイルをそれぞれに備える複数種類のステータとを有し、前記モータ制御手段は、前記ロータの回転数を検出可能なロータ回転数検出手段と、当該ロータ回転数検出手段によって検出されたロータの回転数に基づいて、前記複数種類のコイルのうちいずれのコイルに通電するかを選択するコイル選択手段と、当該コイル選択手段で選択されたコイルの巻数と前記車両等の駆動力の要求値とに基づき、当該選択されたコイルへの通電量を演算する通電量演算手段とを有し、前記コイル選択手段が、前記ロータ回転数検出手段によって検出されたロータの回転数が高いほど巻数の小さいコイルを選択することを特徴とするものである(請求項1)。
本発明によれば、モータに巻数の異なる複数種類のコイルをそれぞれに備えた複数種類のステータを設け、ロータの回転数が高い場合には巻数の小さいコイルに通電するという構成により、コイルに発生する逆起電力を減少させることができる一方、ロータの回転数が低い場合には巻数の大きいコイルに通電することで、通電電流を抑えて効率よく高トルクを出力することが可能になる。すなわち、本発明によれば、高回転時の逆起電力によるコイルの損傷を抑制しつつ高トルクを実現することができる。特に、コイルに発生する逆起電力に比例するロータの回転数をロータ回転数検出手段によって検出し、コイル選択手段においてこのロータの回転数に基づきコイルの選択を行っているので、逆起電力によるコイルへの悪影響をより確実に抑制することができる。また、前記通電量演算手段においてコイルの巻数に応じた通電量の演算を行っており、通電するコイルの巻数が変更された場合でも最適な通電量を供給することができる。
また本発明において、前記ロータ回転数検出手段が、前記車両の車速に基づいてロータの回転数を検出するのが好ましい(請求項2)。
このようにすれば、モータにロータの回転数を検出するためのセンサ等を設ける必要がなくコスト面で有利となる。
また本発明において、前記複数種類のステータが当該ステータに設けられた前記コイルの巻数毎に、モータの軸方向に並設されるのが好ましい(請求項3)。
このようにすれば、ステータの取り付けを容易に行うことが可能になる。
また本発明において、前記コイルの巻数が異なる2種類のステータを有し、当該ステータのうち一方のステータが前記ロータの径方向外側に設けられるとともに、他方のステータが前記ロータの径方向内側に設けられるのが好ましい(請求項4)。
このようにすれば、モータの軸方向の長さを大きくすることなく複数種類のステータを設けることが可能になり、省スペース化を図ることができる。
また本発明において、前記ロータの径方向内側に設けられるステータのコイルの巻数の方が、前記ロータの径方向外側に設けられるステータのコイルの巻数よりも大きいのが好ましい(請求項5)。
このようにすれば、ロータの内側に巻数の小さいコイルを配置する場合に比べて、モータの大きさを変えることなくロータをより径方向外側に設けることが可能になる。従って、ロータの回転モーメントを大きくすることができるので高トルクを得ることが可能になる。
以上説明したように、本発明によれば、簡単な構成でコイルに発生する逆起電力を抑制しつつ高トルクを出力可能なモータ制御装置を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。特に、ここでは、本発明のモータ制御システムをモータのみで車輪を駆動するシリーズハイブリッド車に用いた場合について説明する。
図1は本発明にかかるモータ制御システム1を用いた車両の概略システムブロック図、図2はモータ制御システム1に設けられるモータ制御手段50の概略ブロック図、図3はモータ制御手段50の制御手順を示すフローチャート、図4はモータ制御システム1に設けられるモータ10の軸方向断面図、図5は図4に示されるモータ10の径方向断面図である。
図1に示すように前記車両には、モータ10、モータ10にデファレンシャルギア35を介して接続される駆動輪37、エンジン30、発電機31、高電圧バッテリ33、インバータ・コンバータ32,34、車速センサ38、アクセル開度センサ39、ブレーキセンサ40およびPCM(Powertrain Control Module)41が搭載されている。
先ず、この車両において駆動輪37が駆動されるまでの流れを簡単に説明する。
前記エンジン30が駆動され、エンジン30に設けられたクランクシャフトが回転する。このクランクシャフトは発電機31に連結されており、前記クランクシャフトの回転に伴って発電機31が発電する。発電機31で発生した電気はインバータ・コンバータ32により直流に変換された後、高電圧バッテリ33に蓄電される。高電圧バッテリ33に蓄電された電気はインバータ・コンバータ34によって再度交流に変換されてモータ10に供給され、モータ10が駆動される。そして、モータ10が回転駆動力を出力し、この回転駆動力がデファレンシャルギア35を介して駆動輪37に伝達されることで駆動輪37が駆動されるようになっている。
次に、本実施形態で用いるモータ10の詳細について図4および図5を用いて説明する。
このモータ10は、前記のようにインバータ・コンバータ34を介して高電圧バッテリ33から交流電流を供給されることにより回転駆動力を出力する同期型電動機である。このモータ10は、ハウジング11に覆われており、軸方向の一方端に設けられたモータ固定用軸14により車両のアンダーボディー等に固定されている。また、このモータ10には、ロータ16と、第一ステータ18と、第二ステータ20と、駆動軸12とが設けられており、第一ステータ18あるいは第二ステータ20に加えられた前記交流電流によりロータ16が軸周りに回転するものである。
ロータ16はその内部に複数の永久磁石17が周方向に等間隔に並設された鉄心である。永久磁石17は径方向に着磁されており、その極性が周方向に交互になるように並べられている。このロータ16の端部のうち、前記モータ固定用軸14と反対側の一端には前記駆動軸12がロータ16とともに軸方向周りに回転可能なように取り付けられている。駆動軸12は、前記デファレンシャルギア35等に連結されて、ロータ16の回転駆動力が駆動輪37に伝達されるように構成されている。
ロータ16の周囲には第一ステータ18と第二ステータ20とが軸方向に並設されている。各ステータ18,19はそれぞれ周方向に複数設けられている。そして、第一ステータ18には高回転用コイル19が巻きつけられており、第二ステータ20には低回転用コイル21が巻きつけられている。高回転用コイル19の巻数と低回転用コイル21の巻数とは異なっており、高回転用コイル19の巻数の方が低回転用コイル21の巻数よりも小さくなっている。すなわち、高回転用コイル19のインダクタンスは低回転用コイル21のインダクタンスに比べて十分に小さい。従って、高回転用コイル19が通電された場合にはコイルに発生する逆起電力を十分に小さくすることができる。一方、低回転用コイル21が通電された場合には高回転用コイル19に比べて高トルクを得ることができる。
各コイル19および21は、図示しない切換スイッチを介してそれぞれ前記インバータ・コンバータ34に接続されている。そして、後述するモータ制御手段50から出力されるコイル選択結果に基づいてこの切換スイッチが操作されることで、高回転用コイル19あるいは低回転用コイル21のいずれかのコイルに通電されるよう構成されている。
前記PCM41は車両制御を行うモジュールである。このPCM41には要求駆動力演算手段42と、モータ制御手段50とが設けられている。図1および図2に示すように、前記要求駆動力演算手段42とは、前記車速センサ38、アクセル開度センサ39、ブレーキセンサ40の検出値から車両の要求駆動力を演算するものである。また、モータ制御手段50とは、前記モータ10および高電圧バッテリ33からモータ10に供給する電力を制御するものである。このPCM41では、その他にも種々の制御手段が設けられている。例えば、前記要求駆動力演算手段42と高電圧バッテリ33の蓄電量に応じて必要な発電量を演算し、エンジン30および発電機31を制御する制御手段等が設けられている。ここで、アクセル開度センサ39とは、アクセルペダルの開度を検出するセンサであり、ブレーキセンサ40とはブレーキペダルの開度を検出するセンサであり、車速センサ38とは車両の速度を検出するセンサである。
前記モータ制御手段50には、さらに、ロータ回転数検出手段51と、コイル選択手段52と、通電量演算手段53とが設けられている。
このロータ回転数検出手段51とは、前記ロータ16の回転数を検出するものである。ロータ16は、駆動軸12およびデファレンシャルギア35等を介して駆動輪37に連結されており、ロータ16の回転数と駆動輪37の回転数とには一定の関係がある。従って、ロータ回転数検出手段51では、まず車速センサ38の検出値を基に駆動輪37の回転数を演算し、その後前記ロータ16の回転数と駆動輪37の回転数との関係からロータ16の回転数を検出している。
前記コイル選択手段52とは、前記ロータ回転数検出手段51で検出されたロータ16の回転数に応じて、前記モータ10の第一ステータ18と第二ステータ20のうちいずれのステータのコイルに通電するかを選択するものである。ロータ16の回転数が予め設定した所定値以上であれば巻数の小さい第一ステータ18の高回転用コイル19を選択し、ロータ16の回転数が前記所定値未満であれば巻数の大きい第二ステータ20の低回転用コイル21を選択するようになっている。このコイル選択手段52での選択結果はモータ10に送信される。そして、この選択結果に基づいて前記切換スイッチが操作され、高回転用コイル19あるいは低回転用コイル21のいずれかのコイルとインバータ・コンバータ34が接続される。インバータ・コンバータ34と接続されたコイルは高電圧バッテリ33から電力を受けて、ロータ16を回転させる。
前述のように、巻数の小さい高回転用コイル19では発生する逆起電力を小さくすることができる。従って、前記のようにロータ16の回転数が所定値以上で、コイルに発生する逆起電力が大きくなるような場合にこの高回転用コイル19を選択すれば、ロータ16の回転数が高い場合であっても確実に前記逆起電力を抑えることが可能になる。一方、巻数の大きい低回転用コイル21では効率よく高トルクを出力することができる。従って、前記のようにロータ16の回転数が所定値未満であり、逆起電力の影響が小さい場合にこの低回転用コイル21に通電するようにすれば、効率よく高トルクを得ることが可能になる。
前記通電量演算手段53とは、前記コイル選択手段52で選択されたコイルに通電する通電量を演算するものである。前記要求駆動力演算手段42において演算された車両の要求駆動力に基づき、この要求駆動力を得るのに必要なモータ10への通電量を演算している。具体的には、この通電量演算手段53には、高回転用コイル19、低回転用コイル21にそれぞれ通電した際に、その通電量と得られる駆動力との関係を各ロータ16の回転数毎に予め求めた高回転用通電量マップおよび低回転用通電量マップとが設けられている。そして、前記コイル選択手段の選択結果に応じていずれかのマップを選択した後、選択されたマップに基づき前記要求駆動力から通電量を演算している。
この通電量演算手段53で演算された結果は高電圧バッテリ33に出力されて、この通電量に応じた電圧がインバータ・コンバータ34を介して前記コイル選択手段において選択されたコイルに供給されることになる。
次に、以上のように構成されたモータ制御システム1の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
まずステップS1で、車速センサ38、アクセル開度センサ39、ブレーキセンサ40の値を読み込む。次に、ステップS2で、これらセンサの検出値に基づき要求駆動力を決定する(要求駆動力演算手段42)。次に、ステップS3で前記車速センサ38により検出された車速に基づきロータ16の回転数を検出する(ロータ回転数検出手段51)。そして、ステップS4において、ステップS3で検出されたロータ16の回転数が所定値以上であるかどうかを判定する。この判定結果が「NO」の場合、つまりロータ16の回転数が所定値未満である場合には、ステップS5に進み、低回転用コイル21への通電を決定するとともに低回転用通電量マップを選択する。一方、判定結果が「YES」の場合、つまりロータ16の回転数が所定値以上である場合には、ステップS6に進み、高回転用コイル19への通電を決定するとともに高回転用通電量マップを選択する(コイル選択手段52)。次にステップS7では、前記選択された通電量マップから、ステップS2で演算された要求駆動力とステップS3で算出されたロータ16の回転数とに対応する通電量を算出する。最後にステップS7で、この通電量に基づく電流を、前記ステップS4〜S6で選択された低回転用コイル21あるいは高回転用コイル19のいずれかに通電して一連の演算を終了する。
以上のように、本モータ制御システム1では、ロータ16の周囲に巻数の異なる高回転用コイル19と低回転用コイル21とをそれぞれに有する第一ステータ18と第二ステータ20とを設け、モータ制御手段50においてロータ16の回転数により通電するコイルを変更しているので、運転条件に応じて最適なモータ制御を行うことができる。具体的には、コイル選択手段51において、ロータ16の回転数が所定値未満であり発生する逆起電力がコイルに与える影響が小さい場合には、巻数の大きい低回転用コイル19が選択されるので、効率よく高トルクを得ることが可能になる。一方、ロータ16の回転数が所定値以上に上がり、低回転用コイル19でロータ16を駆動してしまうと逆起電力が大きくなってしまいコイルに悪影響を及ぼす場合には、巻数の小さい高回転用コイル21が選択されるので、発生する逆起電力によるコイルの破損等を確実に抑制することが可能になる。すなわち、本モータ制御システム1によれば、ロータ16の高回転時のモータ10の損傷を抑制しつつ効率のよい運転が可能になる。
特に、シリーズハイブリッド車では、モータ10のみによって駆動輪37を駆動するためコイルに発生する逆起電力の影響により高回転域の運転が困難になる場合がある。従って、本実施形態のようにこのモータ制御システム1をシリーズハイブリッド車に用いれば、より高回転域の運転が可能な車両を実現することが可能になる。
また、前記のように、ロータ回転数検出手段51において、車速センサ38の検出値に基づいてロータ16の回転数を検出するよう構成すれば、ロータ16の回転数を検出するために別途センサを設ける必要がないのでコスト面で有利となる。
また、前記のように本モータ10では、巻数の異なる高回転用コイル19および低回転用コイル21を有する第一ステータ18、第二ステータ20をロータ16の軸方向に並設するだけでよいので、モータ10の組み付けが容易になる。
ここで、前記実施形態では、高回転用コイル19を有する第一ステータ18と、低回転用コイル21を有する第二ステータ20との二種類のコイルおよびステータを用いた場合について示したが、コイルおよびステータの種類はこの二種類に限らない。すなわち、巻数の異なる3以上のコイルおよびステータを設け、より多段階にコイルの使い分けを行ってもよい。ここで、このように3以上の種類のコイルを設ける場合には、前記コイル選択手段においても、いずれのコイルを選択するかを決定する判定基準値(所定値)を複数設定するようにすればよい。
また、前記実施形態では、ロータ16の回転数を車速センサ38の検出値に基づいて検出する場合について示したが、ロータ16の近傍に角度センサ等を設けてロータ16の回転数を直接検出するようにしてもよい。
さらに、前記実施形態では、本モータ制御システム1をシリーズハイブリッド車に用いる場合について示したが、これに限らず、エンジン出力とモータ出力とを併用して駆動輪を駆動するハイブリッド車等に用いてもよい。
次に、前記モータ制御システム1に用いられるモータの変形例を図6および図7を用いて説明する。
図6はモータ10の変形例であるモータ110の軸方向断面図、図7は図6に示されるモータ110の径方向断面図である。
このモータ110は、前記モータ10と同様に、インバータ・コンバータ34を介して高電圧バッテリ33から交流電流を供給されることにより回転駆動力を出力する同期型電動機である。そして、その構成要素は前記モータ10とほぼ同等である。具体的には、このモータ110は、前記モータ10と同様にハウジング111に覆われておりモータ固定用軸114により車両のアンダーボディー等に固定されている。さらに、モータ110には、前記モータ10と同様に、複数の永久磁石117を有するロータ116と、巻数の小さい高回転用コイル119を有する第一ステータ118と、巻数の大きい低回転用コイル121を有する第二ステータ120と、駆動軸112とが設けられている。
しかし、このモータ110では、前記モータ10と異なり、ロータ116の内外周に各ステータ118,120が配置されている。具体的には、径方向中心側に第二ステータ120が設けられており、その外周にロータ116が設けられており、さらにこのロータ116の外周に第一ステータ118が設けられている。そして、径方向中心側、すなわちロータ116の径方向内側に設けられた第二ステータ120の低回転用コイル121の巻数の方が、径方向外側に設けられた第一ステータ118の高回転用コイル119の巻数よりも大きくなるよう構成されている。ここで、デファレンシャルギア35等を介して回転駆動力を駆動輪37に伝える駆動軸112は、前記ロータ116に連結部125を介して接続されている。
各コイル119,121は前記モータ10と同様に図示しないスイッチを介して前記インバータ・コンバータ34に接続されており、前記モータ制御手段50のコイル選択手段での選択結果に基づいてスイッチが操作され、どちらか一方のコイルに通電されるようになっている。すなわち、前述のようにロータ116の回転数が所定値以上の場合には第一ステータ118の高回転用コイル119に通電されることで、コイルに発生する逆起電力を抑えてモータ110の破損が抑止される一方、ロータ16の回転数が所定値未満の場合には第二ステータ120の低回転用コイル121に通電されることで、低電流で高トルクを出力できるようになっている。
ここで、前記第二ステータ120は、巻数の大きい低回転用コイル121を保持せねばならないため、その径方向の厚さは第一ステータ118に比べて大きい。従って、この第二ステータ120をロータ116の径方向内側に配置すれば、第一ステータ118をロータ116の径方向内側に配置する場合に比べて、ロータ116をより径方向外側に配置することが可能になる。このように、ロータ116を径方向外側に配置することができれば、ロータ116の回転モーメントをより大きくすることができ、より高トルクを得ることが可能になる。
以上のように、このモータ110によれば、ロータ116の内外周に巻数の異なるコイルを有する第一ステータ118と第二ステータ120とをそれぞれ設けることで、モータ110を軸方向に大型化することなく、複数のステータを有するモータを構築することができる。さらに、巻数の大きい低回転用コイル121を有する第二ステータ120をロータ116の径方向内側に配置すれば、モータ110の大きさを変えることなくロータ116をより径方向外側に設けることができる。従って、ロータ116の回転モーメントを高めて高出力を得ることが可能になる。
ここで、この実施例では、ロータ116の径方向内側に巻数の大きい低回転用コイル121を有する第二ステータ120を設けた場合について示したが、巻数の小さい高回転用コイル119を有する第一ステータ118をロータ16の内側に設けるようにしてもよい。
本発明の実施形態に係るモータ制御システムを有する車両の概略システムブロック図である。 図1に示すモータ制御システムに設けられるモータ制御手段の概略ブロック図である。 図1に示すモータ制御システムに設けられるモータ制御手段の制御手順を示すフローチャートである。 図1に示すモータ制御システムに設けられるモータの軸方向断面図である。 図4に示すモータの径方向断面図である。 図1に示すモータ制御システムに設けられるモータの変形例を示す軸方向断面図である。 図6に示すモータの変形例の径方向断面図である。
符号の説明
1 モータ制御システム
10 モータ
12 駆動軸
16 ロータ
17 永久磁石
18 第一ステータ
19 高回転用コイル
20 第二ステータ
21 低回転用コイル
37 駆動輪
38 車速センサ
41 PCM
50 モータ制御手段
51 ロータ回転数検出手段
52 コイル選択手段
53 通電量演算手段
110 モータ変形例
116 ロータ
117 永久磁石
118 第一ステータ
119 高回転用コイル
120 第二ステータ
121 低回転用コイル

Claims (5)

  1. 車両等に設けられてこの車両等の駆動力を出力可能なモータと、このモータを制御するモータ制御手段とを有するモータ制御システムであって、
    前記モータは、互いに所定の間隔を置いて並べられる複数の永久磁石を有するロータと、巻数の異なる複数種類のコイルをそれぞれに備える複数種類のステータとを有し、
    前記モータ制御手段は、
    前記ロータの回転数を検出可能なロータ回転数検出手段と、
    当該ロータ回転数検出手段によって検出されたロータの回転数に基づいて、前記複数種類のコイルのうちいずれのコイルに通電するかを選択するコイル選択手段と、
    当該コイル選択手段で選択されたコイルの巻数と前記車両等の駆動力の要求値とに基づき、当該選択されたコイルへの通電量を演算する通電量演算手段とを有し、
    前記コイル選択手段が、前記ロータ回転数検出手段によって検出されたロータの回転数が高いほど巻数の小さいコイルを選択することを特徴とするモータ制御システム。
  2. 請求項1に記載のモータ制御システムであって、
    前記ロータ回転数検出手段が、前記車両の車速に基づいてロータの回転数を検出することを特徴とするモータ制御システム。
  3. 請求項1または2に記載のモータ制御システムであって、
    前記複数種類のステータが当該ステータに設けられた前記コイルの巻数毎に、モータの軸方向に並設されることを特徴とするモータ制御システム。
  4. 請求項1または2に記載のモータ制御システムであって、
    前記コイルの巻数が異なる2種類のステータを有し、
    当該ステータのうち一方のステータが前記ロータの径方向外側に設けられるとともに、他方のステータが前記ロータの径方向内側に設けられることを特徴とするモータ制御システム。
  5. 請求4に記載のモータ制御システムであって、
    前記ロータの径方向内側に設けられるステータのコイルの巻数の方が、前記ロータの径方向外側に設けられるステータのコイルの巻数よりも大きいことを特徴とするモータ制御システム。
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