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JP2007330585A - 眼科撮影装置 - Google Patents

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JP2007330585A JP2006167233A JP2006167233A JP2007330585A JP 2007330585 A JP2007330585 A JP 2007330585A JP 2006167233 A JP2006167233 A JP 2006167233A JP 2006167233 A JP2006167233 A JP 2006167233A JP 2007330585 A JP2007330585 A JP 2007330585A
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Abstract

【課題】異なる複数波長の眼底像を短時間に取得する。
【解決手段】まず、複数の波長の中から測定する波長を選択し(ここでは、第1波長とする)、第1波長の波面測定光源A17−1を用いて、第1波長における収差を測定する。補償光学部70は、測定結果に基づき収差を打ち消すような補正を行う。収差補正終了後、測定に用いた波面測定光源A17−1と同波長の眼底照明光源A21−1を用いて、眼底撮像素子32で受光される眼底像を取得する。眼底撮像素子32からの画像データ転送中に、第2波長の波面測定光源B17−2を用いて第2波長における収差を測定し、補償光学部70により補正する。波面測定光源B17−2と同波長の眼底照明光源B21−2を用いて、眼底像を取得する。また、各眼底像の差分画像を求め、表示又は記憶する。
【選択図】図1

Description

本発明は、眼科撮影装置に係り、特に、短時間に異なる波長の高倍率な眼底画像を取得する眼科撮影装置に関する。
従来、本出願人により次のような技術が開示されている。例えば、被測定眼の収差を補償光学部によって補償し、補償された後の微小な収差を精密に測定する眼特性測定装置が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。また、眼底画像の質を向上させるように被測定眼から反射された光束を補正し、最適な画像を取得する眼底観察装置が開示されている(例えば、特許文献4参照)。さらに、被測定眼の変位を検出し、検出したずれ位置に基づき、波面補正素子を移動して波面を補正させる眼底像観察装置が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
また、従来の眼科撮影装置で2波長以上の画像を取得するには、光源の切り替えを行ったり、別の装置で取得していた。
特開2004−113405号公報 特開2004−159779号公報 特開2004−159784号公報 特開2004−329282号公報 特開2006−006362号公報
しかしながら、2波長以上の画像を取得する従来の眼科撮影装置では、画像を比較・合成する場合には、撮影位置やフォーカス位置に再現性がなく、画像補正などを行い比較する必要が生じた。また、根本的に、波面収差を測定する光源と、眼底を観察する光源の波長が異なるため補償光学部等による色収差の除去ができず像質が悪化することがあった。仮に波面測定用の光源と眼底を照明する光源を同じ波長にすると、波面測定系の光が眼底像の撮像素子にノイズとなって影響し、S/N(Signal−to−Noise ratio、信号対雑音比)が低下することがある。
本発明は、以上の点に鑑み、複数波長の良質な画像を短時間で取得する眼科撮影装置を提供することを目的とする。また、本発明は、波面測定光源、眼底照明光源、眼底像の撮像素子及び波面補正素子を、測定された波面収差の状態により、同期・制御させる眼科撮影装置を提供することを目的とする。本発明は、眼底画像の比較による酸素飽和度の比較や、画像の合成によるカラー化により多角的に眼底の状態を詳細に表示することを目的のひとつとする。
本発明の第1の解決手段によると、
被測定眼の眼底上の所望の観察範囲を照明するための、第1波長の光束を発する第1光源と、第2波長の光束を発する第2光源とを有する第1光源部と、
上記第1波長の光束を眼底上に略点像として投影するための第3光源と、上記第2波長の光束を眼底上に略点像として投影するための第4光源とを有する第2光源部と、
上記第1光源部からの第1光束で眼底上の観察範囲を照明するための第1照明光学系と、
上記第2光源部からの第2光束を眼底上に略点像として照明するための第2照明光学系と、
測定された第1波長又は第2波長における収差に基づき、第1光束が眼底で反射された第1反射光束と、第2光束が眼底で反射された第2反射光束とに対して、少なくとも高次収差を含む収差をうちけすような補正を行う収差補正部と、
上記収差補正部で収差が補正された第2反射光束を、少なくとも17本のビームに分割する分割手段を介して受光する第2受光部を有し、該第2受光部の受光信号に基づき第2反射光束の第1波長又は第2波長における収差を測定する収差測定部と、
上記収差補正部で収差が補正された眼底からの第1反射光束を受光する第1受光部と、
上記収差補正部を介した眼底からの第1反射光束により上記第1受光部上に眼底像を形成するための受光光学系と
を備え、
上記第3光源から光束を発して上記収差補正部により第1の波長おける収差が補正された後に、上記第1光源からの光束により上記収差補正部を介して上記第1受光部に形成された第1の眼底像を取得し、
上記第4光源から光束を発して上記収差補正部により第2波長における収差が補正された後に、上記第2光源からの光束により上記収差補正部を介して上記第1受光部に形成された第2の眼底像を取得する眼科撮影装置が提供される。
本発明によると、複数波長の良質な画像を短時間で取得する眼科撮影装置を提供することができる。また、本発明によると、波面測定光源、眼底照明光源、眼底像の撮像素子及び波面補正素子を、測定された波面収差の状態により、同期・制御させる眼科撮影装置を提供することができる。本発明によると、眼底画像の比較による酸素飽和度の比較や、画像の合成によるカラー化により多角的に眼底の状態を詳細に表示することができる。
1.概略
本実施の形態は、選択波長ごとの分光測定を可能とするAdaptive Optics装置に関する。本実施の形態では、異なる数種類の波長の光源により例えば順番に被測定眼に対してパルス入力することにより、非常に近い時間の分光眼底画像を取得することができる。また、眼底像の撮像素子の転送時間中に波面測定用光源を光らせることにより、取得される眼底画像に波面測定用光源のノイズが入ることはなくなる。さらに、二つの異なる波長の高倍率の眼底画像を比較することで、網膜の活性度、LM錐体の分布等多くのことが分かる。また、赤、青、緑のような三原色に相当する波長の光源を用いればカラー画像の取得も可能となる。
2.光学配置
図1に、本実施の形態の光学配置図を示す。
眼底観察装置(眼科撮影装置)は、波面補正系1と、眼底照明系(第1照明光学系)2と、眼底観察系3と、前眼部観察系4と、前眼部照明用光源45と、固視系5と、補償光学部70と、瞳移動量演算部14−2と、眼底撮像素子制御装置(眼底像形成部)14−3と、パルス発生装置25と、複数のパルス光源駆動回路26とを備える。パルス光源駆動回路26は、例えば、パルス光源駆動回路A26−1と、パルス光源駆動回路B26−2と、パルス光源駆動回路C26−3と、パルス光源駆動回路D26−4とを有する。
波面補正系(収差測定部)1は、第2照明光学系11、第2受光光学系12、第2受光部13を備える波面測定系10と、収差量測定補正量計算用演算装置(収差演算部、以下演算装置と記す)14−1と、波面補正素子制御装置15と、ダイクロイックミラーB83とを有する。なお、演算装置14−1と、瞳移動量演算部14−2と、眼底像形成部14−3は、例えばひとつ又は複数の演算部に備えることができる。被測定眼60については、図中、網膜(眼底)61、角膜(前眼部)62が示されている。
第2照明光学系(点像投影光学系)11は、例えば、第2光源部(例えば、第1波面測定光源A17−1及び第2波面測定光源B17−2)を備え、第1波面測定光源A17−1及び第2波面測定光源B17−2からの光束で被測定眼眼底上で微小な領域(又はターゲット)を照明するためのものである。また、第2照明光学系11は、例えば、集光レンズ、リレーレンズを備える。
第1波面測定光源A17−1及び第2波面測定光源B17−2は、空間コヒーレンスが高く、時間コヒーレンスは高くないものが望ましい。ここでは、一例として、第1波面測定光源A17−1には、レーザーダイオード(例えば、第1波長:532nm)、第2波面測定光源B17−2には、レーザーダイオード(例えば、第2波長:635nm)を選ぶことができる。なお、第1波面測定光源A17−1及び第2波面測定光源B17−2に、レーザーダイオードのような高コヒーレント光源を用いる場合にはスペックル対策のため拡散板など高速回転させるなどしてコヒーレントを下げてもよい。そして、LEDの様に、空間、時間ともコヒーレンスが高くないものでも、光量さえ充分であれば、ピンホール等を光路の光源の位置に挿入することで、使用可能になる。
ダイクロイックミラーB83は、第2波長(例えば、635nm)の光を反射、第1波長(例えば、532nm)の光を透過するホットミラーを選ぶことができる。
第2受光光学系(点像受光光学系)12は、例えば、被測定眼網膜から反射して戻ってきた光束を受光し、第2受光部(例えば、波面イメージセンサ)13に導くためのものである。第2受光光学系12は、リレーレンズと、ビームスプリッタ17と、反射光束を少なくとも17本のビームに変換するための変換部材(分割素子、例えばハルトマン板)とを備える。ビームスプリッタ17は、第1波面測定光源A17−1及び第2波面測定光源B17−2からの光束を反射し、被測定眼60の網膜で反射しアフォーカルレンズ81を介して戻ってくる反射光束を透過するミラー(例えば、偏光ビームスプリッタ)で構成されている。変換部材は、反射光束を複数のビームに変換する波面変換部材である。なお、変換部材には、光軸と直交する面内に配置された複数のマイクロフレネルレンズを用いることができる。眼底61からの反射光は、変換部材を介して第2受光部13上に集光する。
第2受光部13は、変換部材を通過した第2受光光学系12からの光を受光し、第1信号を生成するためのものである。
第2照明光学系11と第2受光光学系12とは、第1波面測定光源A17−1及び第2波面測定光源B17−2からの光束が集光する点で反射されたとして、その反射光による第2受光部13での信号ピークが最大となる関係を維持して、第2受光部13での信号ピークが強くなる方向にプリズム72が移動し、強度が最大となる位置で停止することができる。この結果、第1波面測定光源A17−1及び第2波面測定光源B17−2からの光束が、被測定眼上で集光することとなる。
第1照明光学系(眼底照明系)2は、例えば、第1光源部(例えば、第1眼底照明光源A21−1及び第2眼底照明光源B21−2)と、視野絞り22と、開口絞り23と、回転拡散板24と、ダイクロイックミラーA82と、集光レンズと、ビームスプリッタ84とを備え、第1眼底照明光源A21−1及び第2眼底照明光源B21−2からの第1光束で被測定眼網膜(眼底)上の所定の領域を照明するためのものである。
第1眼底照明光源A21−1は、例えば、第1波面測定光源A17−1と同じ第1波長のレーザーダイオードモジュール(例えば、532nm)を用いることができる。また、第2眼底照明光源B21−2は、第2波面測定光源B17−2と同じ第2波長のレーザーダイオード(例えば、635nm)を用いることができる。パルス幅は、数ピコ秒〜数100マイクロ秒程度が良い。また、撮像素子32のフレームが遅い場合(10Hz程度)は、光過敏性てんかんを防ぐためにデータ転送中に短パルスを出力すると良い。ダイクロイックミラーA82は、上述のダイクロイックミラーB83と同様のミラーを用いることができる。ビームスプリッタ84は、例えば、第1眼底照明光源A21−1及び第2眼底照明光源B21−2からの光束を反射し、被測定眼60で反射して戻ってくる光束を透過するようなビームスプリッタを用いることができる。
図1のように、瞳の内側から入射光を入れ、角膜及び水晶体の共役点に光を遮る板(例えば、図では穴あきミラーを使用)等を挿入し、角膜等のノイズ(有害反射)をカットできる。また、第1照明光学系2の開口絞り23は、瞳との共役点付近に配置し、ノイズ光を後述する角膜反射除去ミラーで除去できるような光学系にすることができる。視野絞り22は、眼底の共役点に配置する。これにより細胞等を観察する場合でも範囲を限定して光を当てることができ、被検者への負担が少なくできる。
なお、穴あきミラーを用いる場合は、角膜頂点での反射を防ぐため、穴あきミラーと瞳を共役関係、もしくはその付近に配置する。その他にも、リング状絞りの中心を100%透過とし、その周辺の透過率を例えば10%程度とし、周辺が眼底61の全体を照明してもよい。
回転拡散板24は、拡散板を高速に回転することで高コヒーレンス光源(例えば、パルスレーザー)のスペックルを軽減する。露光時間にもよるが、一例として概ね10000rpm以上の回転数で回転させるのが望ましい。パルス発生装置25は、眼底イメージセンサ32及び波面イメージセンサ13の露光信号に合わせパルスを作成する。なお、ピコ秒レーザーのように非常に高速なパルスレーザーの場合は、露光時間中にパルスが発生するようにする。パルス発生装置25は、発生した信号(パルス)をパルス光源駆動回路A26−1〜パルス光源駆動回路D26−4に送る。パルス光源駆動回路A26−1〜パルス光源駆動回路D26−4は、パルス発生装置25から入力された信号に従い、第1波面測定光源A17−1、第2波面測定光源B17−2、第1眼底照明光源A21−1及び第2眼底照明光源B21−2をそれぞれ駆動し、パルスに応じて発光させる。
眼底観察系3は、第1受光光学系31と、第1受光部(例えば、眼底撮像素子、眼底イメージセンサ)32とを有する。第1受光光学系(眼底画像形成用光学系)31は、例えば、アフォーカルレンズ81と、ハーフミラー35と、集光レンズと、角膜反射除去ミラー33とを備える。第1受光光学系31は、眼底61で反射した第1及び第2波長の光を、補償光学部70を介して第1受光部32に導く。第1受光部32は、第1受光光学系31で形成された眼底像を受光し、第2信号を生成する。ハーフミラー35は、被測定眼からの反射光束を分割して第1受光光学系31及び第2受光光学系12に導く。
角膜反射除去ミラー33は、瞳を共役にするため浅い角度で使用するのが望ましい。また、本実施の形態において、アフォーカルレンズ81、ハーフミラー35等は、便宜上第1受光光学系31に備えられるものとしているが、第2受光光学系12に備えられるものとしても同様である。
補償光学部(収差補正部)70は、測定光の収差を補償する適応光学系(アダプティブオプティクス、Adaptive Optics)などの波面補正素子71と、光軸方向に移動して球面成分を補正する移動プリズム(ディオプター調整用プリズム)72及び/又は球面レンズとを有する。補償光学部70は、第1及び第2受光光学系31及び12中に配置され、例えば、被測定眼60から反射して戻ってくる反射光束の収差(高次収差を含む)を補償する。また、補償光学部70は、第1波面測定光源A17−1及び第2波面測定光源B17−2から発した光束に対してそれぞれ収差を補償し、収差補償された光束で被測定眼眼底上の微小な領域を照明するようにしてもよい。
波面補正素子71としては、例えば、可変形鏡(ディフォーマブルミラー、可変鏡)や液晶等の空間光変調器を用いることができる。なお、その他、測定光の収差を補償可能な適宜の光学系を用いてもよい。可変形鏡は、鏡の内部に備えられたアクチュエイターによって鏡を変形させることで、光束の反射方向を変化させる。また、静電容量によって変形させる方法や、ピエゾを用いて変形させる方法等もあるが、これ以外にも適宜の方法を用いることができる。液晶空間光変調器は、液晶の配光性を利用して位相を変調させるもので、鏡と同様に反射させて使用する場合が多い。なお、液晶空間変調器を用いる場合、光路の途中で偏光子が必要な場合がある。また、波面補正素子71は、反射させて使用するもの以外に、透過型の光学系を用いてもよい。波面補正素子71は、波面補正素子制御装置15からの出力に従い、例えば変形等することで収差を補償する。
なお、これら波面補正素子71には、それに限られるわけではないが、平行光束を入射させるようにしたほうがよい。例えば、被測定眼60が無収差の場合、波面補正素子71には被測定眼60の網膜からの反射光束が平行光として入射する。また、例えば、第1波面測定光源A17−1及び第2波面測定光源B17−2からの光束は平行光として波面補正素子71に入射するようになっている。
移動プリズム72は、演算装置14−1からの出力に基づき光軸方向に移動する。例えば、移動プリズム72は、適宜の駆動部により駆動される。移動プリズム72が移動することで球面成分の補償を行うことができる。なお、移動プリズム72を移動させる以外にも球面レンズを用いて補償することもできる。
なお、瞳移動量演算部14−2で求められる瞳の移動量に追随して、モーター制御回路の出力に応じて波面補正素子71を移動させるモーター付きステージをさらに備えることができる。例えば、波面補正素子71を光軸に対して横切る方向、又は、法線に垂直な平面方向に移動させる。これにより、波面補正素子71のある一点(例えば中心)が、瞳のある一点(例えば瞳中心)と常に共役となり、安定した波面補正を行うことができる。
前眼部照明用光源45は、被測定眼60の前眼部を照明する。例えば、プラチドリング又はケラトリング等を用いて前眼部を所定パターンで照射してもよい。ケラトリングの場合、ケラト像により角膜の曲率中心付近だけのパターンを得ることができる。なお、前眼部照明用光源45から発せられる光束の波長は、例えば、第1波長及び第2波長(ここでは、532nm及び635nm)と異なると共に、長い波長を選択できる(例えば、940nm)。
前眼部観察系4は、集光レンズと、前眼部イメージセンサ41とを備える。前眼部観察系4は、前眼部照明用光源45から発せられ被測定眼60の角膜62から反射して戻ってくる光束を前眼部イメージセンサ41に導く。なお、光源部としては、前眼部照明用光源45以外にも被測定眼60を照明する適宜の光源を用いても良い。また、前眼部観察系4は、被測定眼60に照明された適宜のパターン(例えば、プラチドリング)が、被測定眼60の前眼部又は角膜62から反射して戻ってくる光束を、前眼部イメージセンサ41に導くこともできる。この時、前眼部イメージセンサ41は、前眼部像を得ることができる。なお、前眼部観察系4は、アライメントに用いることもできる。アライメントに使用する光束の波長は、例えば、第1波長及び第2波長(ここでは、532nm及び635nm)と異なる長い波長を選択できる(例えば、940nm)。
第3照明用光学系(固視系)5は、例えば、被測定眼60の固視や雲霧をさせる為の視標を投影する光路を含むものであって、第3光源部(例えば、ランプ)51、固視標52、リレーレンズを備える。第3光源部51からの光束で固視標52を眼底61に照射することができ、被測定眼60にその像を観察させる。
波面補正素子制御装置15は、演算装置14−1からの出力に基づいて波面補正素子71を変形させる。波面補正素子制御装置15は、例えば、演算装置14−1により測定された波面収差に基づき、又は、演算装置14−1により求められた補正量に基づき、波面補正素子71の各素子を変形させるための制御信号(例えば、電圧値など)を形成し、形成された制御信号を波面補正素子71に出力して波面を補正させる。
演算装置14−1は、第2受光部13からの出力に基づき、被測定眼60の、又は、被測定眼60で反射され補償光学部70で収差が補正された光束の、高次収差を含む光学特性を求める。なお、演算装置14−1は、第2受光部13からの出力以外にも、少なくとも被測定眼60の波面収差を示す波面測定データを受け取り、光学特性を求めても良い。また、演算装置14−1は、求められた光学特性に基づき、波面補正素子71の補正量を決定して、補正量を波面補正素子制御装置15に出力する。
瞳移動量演算部14−2は、前眼部イメージセンサ41で形成された前眼像から被測定眼の変位(例えば、瞳の移動量)を測定する。なお、瞳移動量演算部14−2は、被測定眼の変位として瞳中心の移動量を求めることができるが、これに限らず、例えば角膜頂点等の被測定眼の適宜の位置の移動量を求めてもよい。眼底像形成部14−3は、第1受光部32で形成された眼底像を取得し、眼底像を表示又は出力する。
(共役関係)
被測定眼60の眼底61、固視系5の固視標52、第1波面測定光源A17−1、第2波面測定光源B17−2、第2受光部13が共役である。また、被測定眼60の眼の瞳(虹彩)、第2受光光学系12の変換部材(ハルトマン板)が共役である。回転拡散板24は、瞳と共役であり(瞳で結像)、眼底61の大部分を全体的に一様に照明可能である。
(アライメント調整)
次に、アライメント調整について説明する。アライメント調整は、例えば、前眼部観察系4により実施されることができる。
アライメント調整は、被測定眼60の角膜62を照明する前眼部照明用光源45(光源部)による被測定眼60の像が前眼部イメージセンサ41上に形成されるので、この像を利用して瞳中心が光軸と一致するようにするとよい。
また、前眼部観察系4に集光レンズ、ビームスプリッタ、アフォーカルレンズ81を介して被測定眼60を平行な光束で照明するような光源を追加すれば、被測定眼60の角膜62で反射した反射光束は、あたかも角膜62の曲率半径の1/2の点から射出したような発散光束として射出される。この発散光束は、アフォーカルレンズ81、ビームスプリッタ84及び集光レンズを介して、前眼部イメージセンサ41にスポット像として受光される。ここで、この前眼部イメージセンサ41上のスポット像が光軸上から外れている場合、眼底観察装置本体を、上下左右に移動調整し、スポット像を光軸上と一致させる。このように、スポット像が光軸上と一致すると、アライメント調整は完了する。
3.電気系構成
図3に、本実施の形態の電気系のブロック図を示す。図2に、本実施の形態の信号の説明図を示す。
眼科撮影装置の電気系の構成は、演算部600と、制御部610と、表示部700と、メモリ800と、第1駆動部910と、第2駆動部911と、第3駆動部912とを備える。なお、眼科撮影装置は、入力部をさらに備えてもよい。入力部としては、表示部700に表示された適宜のボタン、アイコン、位置、領域等を指示するためのポインティングデバイス、各種データを入力するためのキーボード等を備えることができる。
また、演算部600には、第1受光部32からの第2信号(12)と、前眼部観察系4からの信号(8)と、演算装置14−1からの信号とが入力される。
演算部600は、前眼部観察系4からの信号(8)を入力し、例えば、アライメントの調整等を行う。演算部600は、これらの処理に応じた信号又は他の信号・データを、電気駆動系の制御を行う制御部610と、表示部700と、メモリ800と、演算装置14−1と、パルス発生装置25とにそれぞれ適宜出力する。
制御部610は、演算部600からの制御信号に基づいて、第3光源部51及び前眼部照明用光源45の点灯、消灯を制御したり、第1駆動部910、第3駆動部912等を制御するためのものである。制御部610は、例えば、演算部600での演算結果に応じた信号に基づいて、第2受光部13に対して信号(3)を出力し、前眼部照明用光源45に対して信号(7)を出力し、第1受光部32に対して信号(12)を出力し、第3光源部51に対して信号(13)を出力し、さらに、第1駆動部910、第3駆動部912に対して信号を出力する。
収差量測定補正量計算用演算装置14−1には、第2受光部13からの第1信号(3)が入力される。演算装置14−1は、入力された信号に基づいて、被測定眼60の収差、収差量等の光学特性、波面補正素子71により補正させるための補正量等の演算を行う。演算装置14−1は、これら演算結果に応じた信号又は他の信号・データを、演算部600と、波面補正素子制御装置15と、第2駆動部911にそれぞれ適宜出力する。なお、演算装置14−1は、演算部600内に含むこともできる。また、第2駆動部911は、制御部610を介して信号を入力することもできる。
波面補正素子制御装置15は、演算装置14−1から入力された信号に基づいて、信号(4)を出力して、波面補正素子71を制御し、収差を補正させる。
パルス発生装置25には、演算部600からの信号及び第1受光部32からの信号(12)が入力される。パルス発生装置25は、入力された信号に基づいて、パルスを作成する。パルス発生装置25は、作成したパルスに応じた信号又は他の信号・データを、パルス光源駆動回路A26−1〜パルス光源駆動回路D26−4に対してそれぞれ出力する。また、パルス発生装置25から入力された信号に基づいて、パルス光源駆動回路A26−1は、第1波面測定光源A17−1に信号(1)を出力し、パルス光源駆動回路B26−2は、第2波面測定光源B17−2に信号(2)を出力し、パルス光源駆動回路C26−3は、第1眼底照明光源A21−1に信号(9)を出力し、パルス光源駆動回路D26−4は、第2眼底照明光源B21−2に信号(10)を出力する。
表示部700は、撮影結果(眼底像等)を表示する。メモリ800は、測定された収差、取り込んだ画像及び時刻等、予め設定された第1受光部32及び第2受光部13の露光時間t及びt、測定画像数P等の設定値を必要に応じて適宜記憶する。演算部600は、メモリ800から適宜データを読み出し、及び、メモリ800にデータを書込みする。
第1駆動部910は、少なくとも眼底イメージセンサ32の動作中に信号(6)を出力し、ロータリープリズム16を回転させる。第2駆動部911は、例えば、信号(5)を出力して、移動プリズム72の移動手段を駆動することで、移動プリズム72を光軸方向に移動させるものである。第3駆動部912は、例えば、信号(11)を出力して、回転拡散板24を高速に回転させる。
4.収差測定
次に、収差測定(ゼルニケ解析)について説明する。一般に知られているゼルニケ多項式からゼルニケ係数c 2j−iを算出する方法について説明する。ゼルニケ係数c 2j−iは、例えば、ハルトマン板などの変化部材を介して第2受光部13で得られた光束の傾き角に基づいて被測定眼60の光学特性を把握するための重要なパラメータである。
被測定眼60の波面収差W(X,Y)は、ゼルニケ係数c 2j−i、ゼルニケ多項式Z 2j−iを用いて次式で表される。
ただし、(X,Y)はハルトマン板の縦横の座標である。
また、波面収差W(X,Y)は、第2受光部13の縦横の座標を(x、y)、ハルトマン板と第2受光部13の距離をf、第2受光部13で受光される点像の移動距離を(△x、△y)とすると、次式の関係が成り立つ。
ここで、ゼルニケ多項式Z 2j−iは、以下の数式で表される(より具体的な式は、例えば特開2002−209854を参照)。
なお、ゼルニケ係数c 2j−iは、以下の数式で表される自乗誤差を最小にすることにより具体的な値を得ることができる。
ただし、W(X、Y):波面収差、(X、Y):ハルトマン板座標、(△x、△y):第2受光部13で受光される点像の移動距離、f:ハルトマン板と第2受光部13との距離。
演算装置14−1は、ゼルニケ係数c 2j−iを算出し、これを用いて球面収差、コマ収差、非点収差等の眼光学特性を求める。また、演算装置14−1は、ゼルニケ係数c 2j−iを用いて次式により収差量RMS 2j−iを算出する。
5.動作
図4に、各光源と各撮像素子露光のタイミングチャートを示す。
まず、図4を参照して、動作の概略を説明する。
図示のように、第1波面測定光源A17−1から第1波長のパルスを出力し、及び、波面イメージセンサ13を露光する。なお、このタイミングを同期させることもできる。波面イメージセンサ13の露光終了後、演算装置14−1は、波面イメージセンサ13の受光信号を読み出し、読み出された受光信号を基に収差を測定する。また、補償光学系70により測定された収差を打ち消すように収差を補正する。収差補正終了後、第1眼底照明光源A21−1から第1波長のパルスを出力し、及び、眼底撮像素子32の露光を開始する。なお、これらのタイミングを同期させることができる。眼底撮像素子32の露光終了後、眼底撮像素子制御装置14−3は、眼底撮像素子32の受光信号を読み出し、メモリ800に保存する。
例えば、眼底撮像素子32からのデータ転送中及びメモリ800への保存中に、第2波面測定光源B17−2から第2波長のパルスを出力し、及び、波面イメージセンサ13を露光する。なお、このタイミングを同期させることもできる。なお、メモリ800に保存後であってもよい。波面イメージセンサ13の露光終了後、演算装置14−1は、波面イメージセンサ13の受光信号を読み出し、読み出された受光信号を基に収差を測定する。また、補償光学系70により測定された収差を打ち消すように収差をさらに補正する。収差補正終了後、第2眼底照明光源B21−2から第2波長のパルスを出力し、及び、眼底撮像素子32の露光を開始する。なお、これらのタイミングを同期させることもできる。眼底撮像素子32の露光終了後、眼底撮像素子制御装置14−3は、眼底撮像素子32の受光信号を読み出し、メモリ800に保存する。
受光信号の転送中又は転送後に、上述と同様に第1波長の波面収差測定のための露光を行う。なお、収差が予め定められた閾値よりも多い場合には補正を繰り返し、収差が小さくなってから眼底撮像素子32の露光を開始する。以上に説明したタイミングで所定の測定画像数Pが得られるまで繰り返し処理を行う。
図5に、本実施の形態の全体フローチャートを示す。
まず、演算部600は、波面イメージセンサ13の露光時間t、眼底撮像素子32の露光時間t及び測定画像数Pを設定する(S101)。例えば、演算部600は、なお、波面イメージセンサ13の露光時間t、眼底撮像素子32の露光時間t及び測定画像数Pは、適宜の入力装置等より入力してもよいし、予めメモリ800に記憶された値を読み出してもよい。
次に、演算部600は、眼のアライメントをする(S103)。眼のアライメントには、別光源でアライメント用のスポットを用いても良い。本実施の形態では、例えば、前眼部に投影した光束の反射光束を前眼部イメージセンサ41に入射させ、前眼部の中心が前眼部イメージセンサ41の原点となるように、操作者により装置全体又は眼を移動させ、眼のアライメントを行うことができる。なお、眼のアライメントは、適宜のタイミングで行ってもよい。
次に、演算部600は、波面収差補正処理を行う(S200)。例えば、演算装置14−1は、波面イメージセンサ13の受光信号に基づいて収差を測定し、補償光学系70により、測定された収差を打ち消すような補正をする。波面収差補正処理の詳細は、波面収差補正フローチャートを参照して後述する。なお、ステップS200の波面収差補正処理は、ここでは省略して後述する2光源パルス発振処理の中で行ってもよい。
次に、演算部600は、2光源パルス発振処理を行う(S300)。なお、2光源パルス発振処理の詳細は、2光源パルス発振フローチャートを参照して後述する。例えば、演算部600は、第1波長のパルス光に対する眼底像データMAと、第2波長のパルス光に対する眼底像データMBとを得て、メモリ800に記憶する。
演算部600は、2光源パルス発振処理で得られた画像データMA、MBをメモリ800から読み出し、画像として表示部700に表示する(S107)。また、演算部600は、各画像データの差分画像(MA−MB)を求めて表示部700に表示する。なお、適宜のデータをメモリ800に保存してもよい。
図6に、波面収差補正処理のフローチャートを示す。上述のステップS200の詳細フローチャートである。
まず、演算部600は、第1波面測定光源A17−1又は第2波面測定光源B17−2のいずれかを選択する(S201)。例えば、操作者の操作により入力部から入力してもよいし、2光源パルス発振処理で最初に撮影するときに用いる光源を予め設定しておき、これを選択してもよい。演算部600は、制御部610により波面イメージセンサ13の露光を開始させる(S203)。パルス発生装置25は、例えば、設定された波面イメージセンサ13の露光時間tのパルスを作成し、ステップS201で選択した光源17−1又は17−2に対応するパルス光源駆動回路A26−1又はパルス光源駆動回路B26−2に、作成したパルスを出力する(S205)。選択された波面測定光源17−1又は17−2は、パルス光源駆動回路A26−1又はB26−2により制御されて、入力されたパルスに応じたパルス光を発する。
演算部600は、波面イメージセンサ13の露光終了を待つ(S207)。例えば、設定された露光時間t待機する。演算装置14−1は、波面イメージセンサ13の露光終了後、波面イメージセンサ13から画像を読み出し、読み出した画像に基づき波面収差計算処理を行う(S209)。例えば、演算装置14−1は、収差測定の測定結果(例えば、ゼルニケ係数c 2j−i)を基に眼球の収差量Rを計算し、計算結果をメモリ800に記憶する。収差量Rは測定結果の理想波面(無収差)との標準偏差として計算できるが、例えば、ゼルニケ係数を用いれば、次式で簡易的に求めることができる。式中のorderはゼルニケ係数の次数を表しており、例えばorder=4やorder=6などと設定する。
次に、演算装置14−1は、収差量Rが十分に小さいか否かの判断をする(S211)。例えば、収差量Rが予め定められた閾値よりも小さいか否かを判断する。収差量Rが十分に小さくない場合(S211)、演算装置14−1は、収差補正処理を行う(S213)。例えば、演算装置14−1により第2駆動部911を介して移動プリズム72を移動させ、及び、波面補正素子制御装置15を介して波面補正素子71を制御することで、測定された収差を打ち消すように収差を補正する。その後、ステップS203へ戻る。
以上のように、演算部600は、ステップS203〜S213の処理を収差量Rが十分に小さくなるまで繰り返し行う。ステップS211で収差量Rが十分に小さいと判断されると(S211)、演算部600は、波面収差補正処理を終了する。
図7に、2光源パルス発振のフローチャートを示す。上述のステップS300の詳細フローチャートである。
まず、演算部600は初期設定をする(S301)。例えば、演算部600は、パラメータiをi=1とする。ここでiは、例えば、測定画像数又は撮像回数を示す。次に、演算部600は、異なる2つの波長のいずれを用いて測定するかの判断をする(S303、S305)。ここでは、一例として、第1波長と第2波長を交互に選択するようにしているが、これに限られない。本実施の形態では、一例として、パラメータiを基に(i+2)/2 を計算し、計算結果の商をc、余りをdとする(S303)。演算部600は、ステップS303の計算結果の余りが1(d=1)の場合(S305:Yes)に、ステップS307Aへ移り、一方、d=1でない場合(S305:No)に、ステップS307Bへ移る。なお、異なる2つの波長のいずれを用いて測定するかの判断処理は、上述の処理以外にも適宜の手法を用いてもよい。
ステップS307Aでは、演算部600は、制御部610により波面イメージセンサ13の露光を開始する(S307A)。パルス発生装置25は、設定された波面イメージセンサ13の露光時間t秒間のパルスを作成し、パルス光源駆動回路A26−1に作成したパルスを出力する(S309A)。第1波面測定光源A17−1は、パルス光源駆動回路A26−1により制御されて、ステップS309Aで作成されたパルスに応じたパルス光を発する。
演算部600は、波面イメージセンサ13の露光終了を待つ(S311A)。例えば、ステップS101で設定された露光時間t秒間待機する。演算装置14−1は、波面イメージセンサ13の露光終了後、波面イメージセンサ13から画像を読み出し、読み出した画像より波面収差を計算する(S313A)。波面収差の計算については、上述の波面収差補正フローチャートのステップS209と同様である。
次に、演算装置14−1は、収差量Rが十分に小さいか否かの判断をする(S315A)。例えば、求められた収差量Rが予め定められた閾値よりも小さいか否かを判断する。収差量Rが十分に小さくない場合(S315A)、演算装置14−1は、収差補正処理を行う(S316A)。例えば、演算装置14−1により第2駆動部911を介して移動プリズム72を移動させ、及び、波面補正素子制御装置15を介して波面補正素子71を制御することで、測定された収差を打ち消すように収差を補正する。その後、ステップS307Aへ戻る。
一方、収差量Rが十分に小さい場合(S315A)、演算部600は、制御部610により眼底撮像素子32の露光を開始する(S317A)。パルス発生装置25は、設定された眼底撮像素子32の露光時間t秒間のパルスを作成し、パルス光源駆動回路C26−3に作成したパルスを出力する(S319A)。第1眼底照明光源A21−1は、パルス光源駆動回路C26−3により制御されて、ステップS319Aで作成されたパルスに応じたパルス光を発する。
演算部600は、眼底撮像素子32の露光終了を待つ(S321A)。例えば、ステップS101で設定された露光時間t秒間待機する。演算部600は、露光終了後、眼底撮像素子32から画像を読み出して、画像データMAとしてメモリ800に保存する(S323A)。例えば、第1波長を識別する情報に対応して記憶する。さらに、時刻、データ番号等に対応してもよい。データ番号としては、ステップS303の商cを用いてもよい。
演算部600は、パラメータiが測定画像数Pより小さいか否か判断をする(S325)。すなわち、測定画像数Pに達したか否かの判断を行う。演算部600は、パラメータiがPより小さい場合(S325)、iの値を加算し(例えば、i=i+1)(S327)、ステップS303へ戻る。次に、ステップS303では、i=2となっているため計算結果がc=2、d=0となる。よってステップS305でd=1ではないと判断され(S305:No)、ステップS307Bへ移る。
ステップS307Bでは、演算部600は、制御部610により波面イメージセンサ13露光を開始する(S307B)。パルス発生装置25は、設定された波面イメージセンサ13の露光時間t秒間のパルスを作成し、パルス光源駆動回路B26−2に作成したパルスを出力する(S309B)。第2波面測定光源B17−2は、パルス光源駆動回路B26−2により制御されて、ステップS309Bで作成されたパルスに応じたパルス光を発する。
演算部600は、波面イメージセンサ13の露光終了を待つ(S311B)。例えば、ステップS101で設定された露光時間t秒間待機する。演算装置14−1は、露光終了後、波面イメージセンサ13から画像を読み出し、読み出した画像より波面収差を計算する(S313B)。波面収差の計算については、上述の波面収差補正フローチャートのステップS209と同様である。
次に、演算装置14−1は、収差量Rが十分に小さいか否かの判断をする(S315B)。例えば、求められた収差量Rが予め定められた閾値よりも小さいか否かを判断する。収差量Rが十分に小さくない場合(S315B)、演算装置14−1は、収差補正処理を行う(S316B)。例えば、演算装置14−1により第2駆動部911を介して移動プリズム72を移動させ、及び、波面補正素子制御装置15を介して波面補正素子71を制御することで、測定された収差を打ち消すように収差を補正する。その後、ステップS307Bへ戻る。
一方、収差量Rが十分に小さい場合(S315B)、演算部600は、制御部610により眼底撮像素子32の露光を開始する(S317B)。パルス発生装置25は、設定された眼底撮像素子32の露光時間t秒間のパルスを作成し、パルス光源駆動回路D26−4に作成したパルスを出力する(S319B)。第2眼底照明光源B21−2は、パルス光源駆動回路26−4により制御されて、ステップS319Bで作成されたパルスに応じたパルス光を発する。
演算部600は、眼底撮像素子32の露光終了を待つ(S321B)。例えば、ステップS101で設定された露光時間t秒間待機する。演算部600は、露光終了後、眼底撮像素子32から画像を読み出して、画像データMBとしてメモリ800に保存する(S323B)。例えば、第2波長を識別する情報に対応して記憶する。さらに、時刻、データ番号等に対応してもよい。データ番号としては、ステップS303の商cを用いてもよい。
なお、ステップS307B〜S316Bの処理は、ステップS323Aにおける画像の転送中、保存中に並行して行ってもよい。同様にステップS307A〜S316Aの処理は、ステップS323Bにおける画像の転送中、保存中に行ってもよい。
演算部600は、上述と同様にパラメータiが測定画像数Pより小さいか否か判断をする(S325)。すなわち、測定画像数Pに達したか否かの判断を行う。演算部600は、パラメータiがPより小さい場合(S325)、iの値を加算し(例えば、i=i+1)(S327)、ステップS303へ戻る。
以上のように、演算部600は、ステップS305〜S327の処理を繰り返し行う。所定の測定画像数Pの取得終了後、ステップS325でパラメータiがPより大きいと判断され(S325)、演算部600は、2光源パルス発振処理を終了する。
上述のフローチャートは、第2照明光学系11が眼底上に点像を形成するタイミングと、第1照明光学系2が観察領域を照明するタイミングとを異なるように制御している。なお、第2照明光学系11が眼底上に点像を形成する位置を第1照明光学系2の観察領域以外に形成することで、波面測定光源のノイズが入ることがなくなるようにすることもできる。また、上述の処理は、2光源を用いるものとして説明したが、3光源、n光源(nは整数)を用いる場合も適宜修正すればよい。
図8は、本実施の形態の結果の表示例を示した図である。一例として、図8(a)に、第1波長(波長A、例えば、532nm)を用いて得られた眼底像を示す。図8(b)に、第2波長(波長B、例えば、635nm)を用いて得られた眼底像を示す。また、図8(c)に、波長A、波長Bで得られた眼底像の差分画像を示す。
人間の網膜にある光を感じる細胞の中に錐体があり、錐体は、波長感度の差でL錐体、M錐体、S錐体とがある。大まかには、L錐体は赤(長波長)に反応が強く、M錐体は緑(中波長)に反応が強く、S錐体は青(短波長)に反応が強い。これらを脳で処理することで色を判断している。
従って、眼球に入射する波長により反応する錐体が変わってくるので、例えば、赤と緑の区別がつかない被測定眼の原因が錐体の種類の分布にある場合に、波長の異なる光に対する画像を取得して表示し、正常人の対応する画像と比較されることで原因を特定することに応用できる。
また、図8(a)と図8(b)は、非常に近い時間で撮影されているため、異なる波長でほぼ同時間の眼底像を取得することができる。これらを利用して、図8(c)が示すような差分画像を得ることができ、分光測定等を行うことができる。分光測定を行うことにより細胞が波長によって異なる反応をしているのがわかる。
図8(c)で図示する差分画像は、へモグロビン観察の一例である。図8(c)から酸素飽和度の違いにより活性化している部分を詳細に表示できる。例えば、変化のない(例えば、黒い)部分は、活性化していないので細胞が働かなくなっていることを示す。また、例えば、人工網膜の検査に用いることで、この部分は上手く働いていないことを示すことができる。
図9は、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸収度の波長特性を示す図である。横軸に波長、縦軸に吸光濃度を示す。
例えば、波長700nmと波長800nmそれぞれの波長で画像を取得し、それぞれを画像A、画像Bとする。波長により酸化ヘモグロビン(a)と還元ヘモグロビン(b)の光の吸収に差があるので、画像Bの各画素値と画像Aの各画素値の差を求めることで酸化ヘモグロビンか還元ヘモグロビンかがわかる。例えば、図9が示すように、波長700nmと波長800nmでの吸光濃度の比較を行うことで、吸光濃度の値が増えたところは酸化ヘモグロビンが多く、一方、吸光濃度の値が減ったところは還元ヘモグロビンが多いという推測ができる。
なお、ここで、ヘモグロビンの吸光濃度が大きければ、眼底撮像素子32の受光量が小さくなるので、ヘモグロビンがある場所の画素値は小さくなり、一方、吸光濃度が小さければ、眼底撮像素子32の受光量が大きくなるので、ヘモグロビンがある場所の画素値は大きくなる。また、画像Aと画像Bの差を求めることで、例えば、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビン以外の部分は打ち消され、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの部分を抽出することもできる。なお、異なる波長を使うことでの利点の一例として、ここでは、へモグロビンのグラフを挙げたが、これに限らず、適宜のものに応用可能である。
6.変形例
(概略)
上述の実施の形態の変形として、例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)の3光源を用いて、眼底のカラー画像を取得することも可能である。カラー画像の作り方としては、例えば、LEDを使って青(例えば、波長が430nm)、緑(例えば、波長が565nm)、赤(例えば、波長が700nm)を光源に使い、それぞれの光で得られた画像を青情報、緑情報、赤情報として合成することで眼底のカラー画像を作成できる。
(光学配置)
図10は、眼底照明光源を3個(3波長)用いたパターンの光学配置の一部を示す図である。
図では、第1照明光学系2について示しているが、第2照明光学系11についても同様に3つの光源を用いるように変形する。なお、他の構成については図1と同様であるので省略する。
第1照明光学系(眼底照明系)2は、例えば、第1光源部(例えば、眼底照明光源21−3、眼底照明光源21−4及び眼底照明光源21−5を含む)と、ダイクロイックミラー(例えば、ダイクロイックミラー82−1及びダイクロイックミラー82−2)とを備える。
眼底照明光源21−3は、例えば、第3波長のLED(例えば、青(430nm))を用いることができる。また、眼底照明光源21−4は、第4波長のLED(例えば、緑(565nm))を用いることができる。さらに、眼底照明光源21−5は、第5波長のLED(例えば、赤(700nm))を用いることができる。
なお、この変形例では、波面測定光源17も眼底照明光源21と同様に3個用いる。それぞれの波面測定光源17は、対応する眼底照明光源21と同じ波長を用いる。例えば、波面測定に用いる光源のひとつは、眼底照明光源21−3と同じ第3波長である。同様に、波面測定に用いる光源の他のふたつは、それぞれ第4波長、第5波長である。また、各眼底照明光源21、各波面測定光源17に対応する複数のパルス光源駆動回路26を備える。
ダイクロイックミラー82−1は、第3波長(例えば、430nm)の光を反射し、第4波長(例えば、565nm)の光を透過するホットミラーを選ぶことができる。ダイクロイックミラー82−2は、第5波長(例えば、700nm)の光を反射、第3波長(例えば、430nm)及び第4波長(例えば、565nm)の光を透過するホットミラーを選ぶことができる。なお、波面補正系1に設置されるダイクロイックミラーも同様なダイクロイックミラーがそれぞれ用いられる。なお、上述の実施の形態と同様の構成については、説明を省略する。
上述の実施の形態と同様にして、各波長での波面を補正し、及び、各波長での眼底像を取得する。例えば、眼底撮像素子制御装置14−3は、これら3波長の眼底像を合成することでカラーの眼底像を得る。また、求められたカラーの眼底像を表示部700に表示及び/又はメモリ800に記憶する。
本発明は、例えば、眼科用の眼底像の撮影装置等に利用可能である。
本実施の形態の光学配置図。 本実施の形態の信号の説明図。 本実施の形態の電気系のブロック図。 各光源と各撮像素子露光のタイミングチャート。 本実施の形態の全体フローチャート。 波面収差補正処理のフローチャート。 2光源パルス発振処理のフローチャート。 本実施の形態の結果の表示例を示した図。 酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸収度の波長特性を示す図。 眼底照明光源を3個(3波長)用いた光学配置図。
符号の説明
1 波面補正系
2 眼底照明系(第1照明光学系)
3 眼底観察系
4 前眼部観察系
5 固視系
11 第2照明光学系
12 第2受光光学系
13 第2受光部(波面イメージセンサ)
14−1 収差量測定補正量計算用演算装置(演算装置)
14−2 瞳移動量演算部
14−3 眼底撮像素子制御装置(眼底像形成部)
15 波面補正素子制御装置
16 ロータリープリズム
17−1〜5 波面測定光源
21−1〜5 眼底照明光源
22 視野絞り
23 開口絞り
24 回転拡散板
25 パルス発生装置
26−1 パルス光源駆動回路A
26−2 パルス光源駆動回路B
26−3 パルス光源駆動回路C
26−4 パルス光源駆動回路D
31 第1受光光学系
32 第1受光部(眼底撮像素子)
33 角膜反射除去ミラー
41 前眼部イメージセンサ
45 前眼部照明用光源
51 第3光源部(ランプ)
52 固視標
60 被測定眼
61 網膜(眼底)
62 角膜(前眼部)
70 補償光学部
71 可変形鏡(波面補正素子)
72 移動プリズム
82 ダイクロイックミラーA
83 ダイクロイックミラーB
600 演算部
610 制御部
700 表示部
800 メモリ
910 第1駆動部
911 第2駆動部
912 第3駆動部

Claims (10)

  1. 被測定眼の眼底上の所望の観察範囲を照明するための、第1波長の光束を発する第1光源と、第2波長の光束を発する第2光源とを有する第1光源部と、
    上記第1波長の光束を眼底上に略点像として投影するための第3光源と、上記第2波長の光束を眼底上に略点像として投影するための第4光源とを有する第2光源部と、
    上記第1光源部からの第1光束で眼底上の観察範囲を照明するための第1照明光学系と、
    上記第2光源部からの第2光束を眼底上に略点像として照明するための第2照明光学系と、
    測定された第1波長又は第2波長における収差に基づき、第1光束が眼底で反射された第1反射光束と、第2光束が眼底で反射された第2反射光束とに対して、少なくとも高次収差を含む収差をうちけすような補正を行う収差補正部と、
    上記収差補正部で収差が補正された第2反射光束を、少なくとも17本のビームに分割する分割手段を介して受光する第2受光部を有し、該第2受光部の受光信号に基づき第2反射光束の第1波長又は第2波長における収差を測定する収差測定部と、
    上記収差補正部で収差が補正された眼底からの第1反射光束を受光する第1受光部と、
    上記収差補正部を介した眼底からの第1反射光束により上記第1受光部上に眼底像を形成するための受光光学系と
    を備え、
    上記第3光源から光束を発して上記収差補正部により第1の波長おける収差が補正された後に、上記第1光源からの光束により上記収差補正部を介して上記第1受光部に形成された第1の眼底像を取得し、
    上記第4光源から光束を発して上記収差補正部により第2波長における収差が補正された後に、上記第2光源からの光束により上記収差補正部を介して上記第1受光部に形成された第2の眼底像を取得する眼科撮影装置。
  2. 上記第2照明光学系が眼底上に点像を形成する位置は、上記第1照明光学系の観察範囲以外に形成されることを特徴とする請求項1に記載の眼科撮影装置。
  3. 上記第2光源部及び上記第2照明光学系が眼底上に点像を形成するタイミングは、上記第1光源部及び上記第1照明光学系が観察領域を照明するタイミングと異なるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の眼科撮影装置。
  4. 上記第1受光部に形成された眼底像データを読み出し、記憶部に記憶又は表示部に表示する演算部
    をさらに備え、
    上記演算部が、上記第1光源からの光束により上記第1受光部に形成された第1の眼底像を読み出し及び記憶若しくは表示する間に、上記第4光源から第2波長の光束を発して第2波長における収差を補正する請求項1に記載の眼科撮影装置。
  5. 上記第4光源からの第2波長の光束により、上記収差補正部で第2波長における収差が補正され、かつ、上記演算部による上記第1受光部からの第1の眼底像の読み出しが終了すると、上記第2光源から第2波長の光束を発して上記第1受光部により第2の眼底像を得る請求項4に記載の眼科撮影装置。
  6. 取得された第1の眼底像と第2の眼底像との差分画像を求める演算部と
    取得された第1の眼底像、第2の眼底像及び求められた差分画像のいずれか又は複数を表示する表示部と
    をさらに備えた請求項1に記載の眼科撮影装置。
  7. 上記第1光源及び第2光源は、上記第1受光部の露光時間に応じたパルス光を発する請求項1に記載の眼科撮影装置。
  8. 上記第3光源及び第4光源は、上記第2受光部の露光時間に応じたパルス光を発する請求項1に記載の眼科撮影装置。
  9. 上記第1乃至第4光源の発光のタイミング、及び、上記第1及び第2の受光部の露光のタイミングを制御する演算部
    をさらに備えた請求項1に記載の眼科撮影装置。
  10. 上記第1光源部は、被測定眼の眼底上の所望の観察範囲を照明するための、第3波長の光束を発する第5光源をさらに有し、
    上記第2光源部は、上記第3波長の光束を眼底上に略点像として投影するための第6光源をさらに有し、
    上記第1乃至第3波長は、三原色に応じた波長であり、さらに、
    上記第6光源から光束を発して上記収差補正部により第3の波長おける収差が補正された後に、上記第5光源からの光束により上記収差補正部を介して上記第1受光部に形成された第3の眼底像を取得し、
    取得された第1乃至第3の眼底像に基づき、カラーの眼底像を求める請求項1に記載の眼科撮影装置。
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