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JP2007208665A - 弾性波デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

弾性波デバイスおよびその製造方法 Download PDF

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JP2007208665A JP2006025137A JP2006025137A JP2007208665A JP 2007208665 A JP2007208665 A JP 2007208665A JP 2006025137 A JP2006025137 A JP 2006025137A JP 2006025137 A JP2006025137 A JP 2006025137A JP 2007208665 A JP2007208665 A JP 2007208665A
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Abstract

【課題】モジュール化の際の圧力で変形しない中空構造を有し、接続部やその周囲の樹脂封止部に熱応力に起因したクラック等が発生することを抑制すること。
【解決手段】本発明は、圧電基板(10)または圧電膜の表面に設けられた弾性波素子(12)と、弾性波素子上に空洞(18)を有し空洞の側面および上面を覆うように圧電基板に設けられた第1封止部(20)と、弾性波素子を外部に電気的に接続する端子部(30、32)と、端子部の周囲に設けられた第2封止部(40)と、を有する。そして、第2封止部の弾性率は第1封止部の弾性率より低いことを特徴とする弾性波デバイスおよびその製造方法である。
【選択図】図6

Description

本発明は弾性波デバイスおよびその製造方法に関し、特に弾性波素子の上部に空洞を有する封止部を備えた弾性波デバイスおよびその製造方法に関する。
弾性波デバイスは、例えば45MHz〜2GHzの周波数帯における無線信号を処理する各種回路、例えば送信用バンドパスフィルタ、受信用バンドパスフィルタ、局所発振フィルタ、アンテナ共用器、中間周波数フィルタ、FM変調器等に用いられている。近年これらの信号処理機器は小型化が進み、使用される弾性波デバイス等の電子部品も小型化が求められている。弾性波素子デバイスに用いる弾性波素子としては、圧電基板上に金属膜を用いすだれ電極(IDT:Interdigital Transducer)や反射器を形成した弾性表面波(SAW)素子、圧電薄膜を金属電極で挟む圧電薄膜共振器(FBAR)素子などがある。
特に移動体電話端末等の携帯用電子機器においては、電子部品をモジュール化して用いることが多くなってきている。モジュール化は、低コスト化のため、電子部品を表面実装し樹脂封止することにより行われる。そのため、表面実装可能で、モジュール化の樹脂封止の際の圧力に耐えられる弾性波デバイスが求められる。同時に、弾性波素子の特性を維持するためには弾性波素子の機能部分(振動部分)上面に空洞を設けることが求められている。弾性波素子の機能部分としては、弾性表面波素子ではIDTの電極指であり、圧電薄膜共振器素子では圧電薄膜を挟みこむ上下電極の重なる領域である。
このような要求を満たすために、弾性波素子内の機能部分上に接する空洞を有する封止部を設けた構造(いわゆる中空構造)を形成する方法が提案されている。特許文献1には、弾性波素子上に空洞となるべき領域に溶解用樹脂を形成し、溶解用樹脂上に上部板を形成した後、溶解用樹脂を除去することにより中空構造を形成する方法(従来例1)が開示されている。特許文献2には、電気的構造素子を包囲するフレーム構造体を形成し、電気的構造素子上が空洞になるように、フレーム構造体上に補助フィルムを貼り、その上に樹脂層を形成し、フレーム構造体の屋根部分以外を除去することにより中空構造を形成する方法(従来例2)が開示されている。特許文献3には、弾性波素子を形成した圧電基板上に樹脂フィルムを貼り、弾性波素子が複数設けられた基板の機能部分上部の樹脂フィルムを開口し、樹脂フィルム上に回路基板を接着し中空構造を形成する方法(従来例3)が開示されている。特許文献4には、弾性波素子を複数設けた基板上に感光性樹脂を形成し、弾性波素子の機能部分上部の感光性樹脂を開口し、その上に配線基板集合体の基板を実装し、ダイシングで分割することにより中空構造を形成する方法(従来例4)が開示されている。特許文献5には、弾性波素子を包囲する包囲壁と、中空構造を形成するための蓋体とを異なる樹脂を用いる方法(従来例5)が開示されている。
特許3291046号公報 特表2003−523082号公報 特許3196693号公報 特許3225906号公報 特開平10−93383号公報
従来例1ないし4の方法で形成された弾性波デバイスは、モジュール化の際に加わる圧力に対し耐えられず、中空構造が変形してしまう。一方、従来例5の方法はモジュール化の際に中空構造が変形することを抑制することを目的としている。従来例5に対し、表面実装の要求のため弾性波デバイスの表面側(弾性表波素子が形成された側)に外部と電気的に接続するための接続部が設けた場合、蓋体を貫通して接続部が設けられる。蓋体は変形防止のため弾性率の高い材料が用いられる。このため、接続部と蓋体の熱応力等により、蓋体や接続部にクラック等が発生する。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、モジュール化の際の圧力で変形しない中空構造を有し、接続部やその周囲の樹脂封止部に熱応力に起因したクラック等の発生することを抑制することが可能な弾性波デバイスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、基板上に設けられた弾性波素子と、前記弾性波素子上に空洞を有し該空洞の側面および上面を覆うように前記基板上に設けられた第1封止部と、前記弾性波素子を外部に電気的に接続する端子部と、該端子部の周囲に設けられた第2封止部と、を具備し、前記第2封止部の弾性率は前記第1封止部の弾性率より低いことを特徴とする弾性波デバイスである。本発明によれば、モジュール化の際の圧力で変形しない中空構造を有し、接続部やその周囲の樹脂封止部に熱応力に起因したクラック等の発生することを抑制することができる。
上記構成において、前記第1封止部の150℃から200℃での弾性率が1.8GPa以上である構成とすることができる。この構成によれば、弾性波デバイスをモジュール化する際に、空洞の潰れを抑制することができる。
上記構成において、前記第2封止部の240℃から280℃の弾性率が前記第1封止部の240℃から280℃の弾性率より低い構成とすることができる。この構成によれば、ハンダリフローを行う温度において、第2封止部の弾性率が第1封止部より低いことにより、耐リフロー性を向上させることができる。
上記構成において、前記第1封止部および前記第2封止部は有機材料である構成とすることができる。また、上記構成において、前記第1封止部はエポキシ樹脂またはポリイミド樹脂を含む構成とすることができる。
上記構成において、前記第1封止部は、前記基板側が大きい階段状である構成とすることができる。この構成によれば、第2封止部と第1封止部との間に気泡が残存することを抑制することができる。
上記構成において、前記第1封止部の側面と前記基板の表面のなす角度は90°以下である構成とすることができる。この構成によれば、第2封止部と第1封止部との間に気泡が残存することを抑制することができる。
本発明は、基板上に弾性表面波素子を形成する工程と、前記弾性波素子上に空洞を有し該空洞の側面および上面を覆うように前記基板上に第1封止部を形成する工程と、前記第1封止部上および前記第1封止部を囲む前記基板上に、弾性率が第1封止部より低い第2封止部を形成する工程と、前記第2封止部を貫通し、前記弾性波素子を外部に電気的に接続する端子部を形成する工程と、を有する弾性波デバイスの製造方法である。本発明によれば、モジュール化の際の圧力で変形しない中空構造を有し、接続部やその周囲の封止部に熱応力に起因したクラック等の発生することを抑制することができる。
上記構成において、前記第1封止部を形成する工程は、前記空洞となるべき領域に開口部を有する第1樹脂膜を前記基板上に形成する工程と、前記第1樹脂膜上に、前記開口部を前記空洞として残存させるように第2樹脂膜を形成する工程と、前記第2樹脂膜の所定領域を除去し、前記第1樹脂膜と前記第2樹脂膜とより前記第1封止部を形成する工程と、を含み、前記第2封止部を形成する工程は、前記第1封止部上に第3樹脂膜を形成する工程と、前記第3樹脂膜より前記第2封止部を形成する工程と、を含む構成とすることができる。この構成によれば、空洞を有する第1封止部を覆う第2封止部を形成することができる。
上記構成において、前記第1封止部を形成する工程は、前記第1樹脂膜および前記第2樹脂膜を硬化させるため第1の温度で熱処理を行う工程を含み、前記第2封止部を形成する工程は、前記第3樹脂膜を硬化させるため第2の温度で熱処理する工程を含み、前記第1の温度は前記第2の温度より高い構成とすることができる。この構成によれば、第1の温度が前記第2の温度より高いことにより、第1封止部の弾性率を第2封止部より高くすることができる。
本発明によれば、モジュール化の際の圧力で変形しない中空構造を有し、接続部やその周囲の樹脂封止部に熱応力に起因したクラック等の発生することを抑制することが可能な弾性波デバイスおよびその製造方法を提供することができる。
まず、発明者が、従来例1ないし5の課題を明確にするために行った実験について説明する。図1(a)から図1(c)は実験に用いた比較例1に係る弾性波デバイスを示す図である。図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA−A断面図、図1(c)は図1(a)のB−B断面図である。なお、図1(a)は、封止部20aを透視して弾性波素子12、配線16および空洞18を図示し、弾性波素子12および配線16は実線、空洞18は破線で示している。図1(a)および図1(b)を参照に、圧電基板10表面に金属膜で形成されたIDT、反射器等からなる弾性波素子12が設けられ、さらに圧電基板10上には弾性波素子12の機能部分上に空洞18を有する封止部20aが設けられている。
図1(a)および図1(c)を参照に、圧電基板10上に配線16が形成され、配線16上に封止部20aが設けられている。封止部20aを貫通するプラグ金属30が設けられ、弾性波素子12とプラグ金属30とは配線16および配線16上の電極パッド17により接続されている。プラグ金属30上にはハンダボール32が設けられる。これにより、プラグ金属30およびハンダボール32は、弾性波デバイスを表面実装する際弾性波素子12を外部に電気的に接続する端子部として機能する。このように、弾性波素子12は中空構造を有する封止部20aに封止され、配線16、プラグ金属30を介しハンダボール32に接続される。なお、比較例1に係る弾性波デバイスは、封止部20aの高さが約90μm、空洞18の高さが約30μm、空洞18の幅が約500μmである。
図2(a)から図2(f)を参照に、比較例1に係る弾性波デバイスの封止部20aの形成工程を説明する。図2(a)から図2(c)は図1(a)のA−A断面に相当する断面図であり、図2(d)から図2(f)は図1(a)のB−B断面に相当する断面図である。図2(a)および図2(d)を参照に、弾性波素子12および配線16が形成された圧電基板10上に、感光性を有しノボラック型エポキシ樹脂を含有する第1樹脂膜19を約30μmの膜厚になるようにスピンコート法を用い塗布する。その後乾燥する。露光現像することで、弾性波素子12上、切断領域64上および電極パッド17上の第1樹脂膜19を除去する。これにより、第1樹脂膜19には弾性波素子12上に開口部60、電極パッド17上に開口部62および切断領域64上に開口部が形成される。さらに、約200℃の窒素雰囲気中で約1時間加熱し、第1樹脂膜19を硬化させる。
図2(b)および図2(e)を参照に、第1樹脂膜19上に、開口部60、62等を保持するように、厚さが約60μmのフィルム状の感光性のノボラック型エポキシ樹脂を含有する第2樹脂膜21をラミネート法を用い貼り付ける。これにより、開口部60は空洞18に開口部62は空洞66となる。図2(c)および図2(f)を参照に、露光現像することで、第1樹脂膜19に形成された切断領域64上の空洞上、空洞66上の第2樹脂膜21に開口部を設ける。これにより、弾性波素子12上に空洞18を有し、電極パッド17上にプラグ金属30を形成すべき開口部68を有する封止部20aが形成される。
比較例1に係る弾性波デバイスは、弾性波素子12の機能部分上に空洞18を有する封止部20aで保護されているため、モジュール化のため樹脂封止した際、弾性波素子12の機能部分は中空構造により保護される。また、封止部20aにプラグ金属30を設けられており、プラグ金属30が封止部20a上に形成されたハンダボール32と弾性波素子12とを接続している。プラグ金属30は封止部20aで囲まれた開口部68に金属を充填し形成するため、容易にプラグ金属30の形成ができる。ハンダボール32は封止部20a上に設けられているため、ハンダボール32は封止部20aの上面より高くすることができ、表面実装を行うことができる。
このような弾性波デバイスがモジュール化の樹脂封止に耐えられるかを実験した。まず、図3(a)を参照に、圧電基板10上の封止部20aを有する弾性波デバイスをプリント板70に取り付けた。通常、モジュール化する際は封止部20aの方をプリント板70に取り付けるが、この実験では中空構造の変形を確認しやすくするため圧電基板10の方をプリント板70に取り付けた。図3(b)を参照に、弾性波デバイスを取り付けたプリント板70をトランスファーモールド金型72内に取り付けた。封止樹脂注入用金型74に175℃に加熱したフィラーを含有する熱硬化型エポキシ樹脂80を封入した。熱硬化型エポキシ樹脂80にプランジャー76を用い70kg/cmの圧力を加え、トランスファーモールド金型72内に押し込んだ。モジュール化の樹脂封止の際、樹脂80の温度は一般的に150℃から200℃が用いられ、封止する樹脂80の圧力は一般的に30から100Kg/cmが用いられる。今回の実験はこれらの値のほぼ中心の値を用いている。このようにして、弾性波デバイスにモジュール化の際加わる圧力を印加した。
図4は、上記実験後の弾性波デバイスの断面SEM写真の模式図である。フィラー82を含有するエポキシ樹脂80により圧電基板10上に設けられた封止部20aは、空洞18が潰れ封止部20aが変形している。これは、封止部20aは空洞18を有しているため、エポキシ樹脂80の圧力に封止部20aが耐えられず塑性変形したものと考えられる。比較例1に係る弾性波デバイスで用いた第1樹脂膜19および第2樹脂膜21の弾性率は室温では2.4GPaに対し、モジュール化する際に加わる温度である150℃から200℃では900MPaに低下してしまう。このように、一般的な樹脂では弾性率が高温になると低下してしまう。このため、モジュール化の樹脂封止の際、その温度および圧力により封止部20aが塑性変形してしまうのではないかと考えた。
そこで、比較例1に係る弾性波デバイスの中空構造の変形状態を調査した。図5(a)を参照に、比較例1に係る弾性波デバイスの天井部にダイナミック微小硬度計(島津製作所製)の圧子を押し込んだ。このときの天井部の凹み量をDとした。このように、天井部の凹み量Dを変えて調べたところ、天井部の凹み量Dが10μmを越えると変形が元に戻らなくなり、12μmを越えると完全に塑性変形することがわかった。
さらに、比較例1の封止部20aと同じ寸法のモデルを用い、封止部20aの天井部に70Kg/cm2の圧力を印加したときの、封止部20aの弾性率に対する天井の凹み量Dを計算した。図5(b)はその結果を示す図である。なお、計算は有限要素を用いたシミュレーションソフトANSYS(商品名)を用い封止部20aは完全弾性体と仮定した。樹脂の温度が150℃から200℃の弾性率である900MPaでは天井部の凹み量は22μmとなる(図5(b)のA点)。このように、樹脂の弾性率が900MPaのときは、天井部の凹み量は天井部の弾性限界である12μmを大きく越えている。以上を勘案すると、トランスファーモールドの成形時に、過熱により封止部20aの天井部の弾性率が低下し、圧力により天井部の凹み量が弾性限界を越え、図4のように、封止部20aが塑性変形に至ったものと考えられる。封止部20aの天井部が弾性限界を超えないためには、図5(b)より、封止部20aの天井部の150℃から200℃の弾性率は1.8GPa以上が好ましい。
しかしながら、比較例1の封止部20aの弾性率を高くした場合、または従来例5のように蓋体の弾性率を高くした場合、以下の課題が生じる。接続部であるハンダボール32を用いプリント基板と電気的に接続させ、ハンダのリフローを行う。ハンダのリフローは、通常用いられる鉛フリーハンダ(SnAgCu)の場合、240℃から280℃で行われる。このとき、封止部20aとプラグ金属30およびハンダボール32との熱応力が加わる。封止部20aの弾性率が高いと、ハンダボール32やプラグ金属30にクラックが発生してしまう。このように、耐リフロー性が悪いという課題がある。そこで、上記課題を解決するための実施例を以下に説明する。
図6(a)は実施例1に係る弾性波デバイスの平面図である。第1封止部20および第2封止部40を透視し弾性波素子12、配線16および空洞18を図示し、弾性波素子12および配線16は実線、空洞18および第1封止部20は破線で示している。図6(b)および図6(c)はそれぞれ図6(a)のA−AおよびB−B断面図である。図6(a)から図6(c)を参照に、比較例1の封止部20aの代わりに第1封止部20および第2封止部40が形成されている。圧電基板10上の空洞18の周囲には第1封止部20が形成されている。つまり、空洞18の側面および上面を覆うように圧電基板10上に第1封止部20が設けられている。第1封止部20は上(圧電基板10の反対方向)にいくに従い小さくなる階段状の形状をしている。圧電基板10上で第1封止部20を覆うように第2封止部40が設けられている。第2封止部40にはプラグ金属30が貫通し、プラグ金属30にはハンダボール32が形成されている。その他の構成は比較例1と同じであり、同じ部材は同じ符号を付し説明を省略する。
次に、図7(a)から図10(f)を用い実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法について説明する。図7(a)ないし図7(c)、図8(a)ないし図8(c)、図9(a)ないし図9(c)並びに図10(a)ないし図10(c)は図6(a)のA−A断面に相当する断面の製造工程を示した図である。一方、図7(d)ないし図7(f)、図8(d)ないし図8(f)、図9(d)ないし図9(f)並びに図10(d)ないし図10(f)は図6(a)のB−B断面に相当する断面の製造工程を示した図である。また、図7(a)ないし図10(f)は、ウェハ状態の圧電基板10を用いで行われる製造工程であり、複数の弾性波デバイスとなるべき領域がウェハ上に存在するが、1つの複数の弾性波デバイスとなるべき領域を図示して説明する。そして、図10(c)および図10(f)において、切断領域64をダイシングで分離することにより、複数の弾性波デバイスに分離される。
図7(a)および図7(d)を参照に、圧電基板10(LiTaO3、LiNbO3等)上にAlを用い金属膜を形成し、弾性波素子12および配線16を形成する。配線16上のプラグ金属30を形成すべき領域に電極パッド17を形成する。図7(b)および図7(e)を参照に、圧電基板10、弾性波素子12および配線16上に照射部が現像されなくなるネガ型の感光性を有するノボラック型のエポキシ樹脂である第1樹脂膜19を30μm程度塗布しポストベークする。図7(c)および図7(f)を参照に、マスクを用い紫外線(UV光)を、第1樹脂膜19の弾性波素子12の機能部分上の空洞18を形成すべき領域および周辺領域以外の領域に照射する。
図8(a)および図8(d)を参照に、第1樹脂膜19を現像することで、紫外線(UV光)を照射していない領域の第1樹脂膜19を除去する。これにより、第1樹脂膜19に空洞となるべき開口部60が形成され、開口部60の周囲に第1樹脂膜19が残存する。窒素雰囲気中の300℃で1時間熱処理することで第1樹脂膜19を硬化させる。通常、エポキシ樹脂を硬化させる場合は、200℃程度で熱処理を行う。実施例1では、300℃で熱処理することにより第1樹脂膜19は一層硬化し弾性率が高くなる。これにより、第1樹脂膜19の150℃から200℃の弾性率を1.8GPa以上とすることができる。図8(b)および図8(e)を参照に、保護フィルム52に塗られたフィルム状のネガ型感光性樹脂である第2樹脂膜21をラミネータ等の押し付けロール50を用い、第1樹脂膜19上に押し付け貼り付ける。図8(c)および図8(f)を参照に、周辺領域以外の領域に紫外線を照射する。
図9(a)および図9(d)を参照に、保護フィルム52を剥がし、現像することにより紫外線を照射していない領域の第2樹脂膜21を除去する。窒素雰囲気中の300℃で1時間熱処理することで第2樹脂膜21を硬化させる。これにより、第1樹脂膜19と第2樹脂膜21とから圧電基板10上の弾性波素子12上に空洞18有する第1封止部20が形成される。第1封止部20は例えば300℃で熱処理されているため、150℃から200℃の弾性率を1.8GPa以上とすることができる。図9(b)および図9(e)を参照に、第1封止部20を覆うように、ネガ型の感光性を有するノボラック型のエポキシ樹脂である第3樹脂膜41を形成する。第3樹脂膜41は例えばフィルム状であり、真空ラミネートまたは真空プレス法を用い形成する。これらの方法を用いることにより、第1封止部20と第3樹脂膜41との間に気泡が入ることを防止することができる。図9(c)および図9(f)を参照に、電極パッド17上の領域および切断領域64以外の領域に紫外線を照射する。
図10(a)および図10(d)を参照に、現像することにより紫外線を照射していない電極パッド17の上の領域および切断領域64の第3樹脂膜41を除去する。窒素雰囲気中の200℃で1時間熱処理することで第3樹脂膜41を硬化させる。これにより、第3樹脂膜41より第1封止部20上および第1封止部20を囲む圧電基板10の表面上に、第2封止部40が形成される。熱処理温度が図8(a)および図8(d)並びに図9(a)および図9(d)で説明した第1封止部20の場合に比べ低いため、第2封止部40の弾性率は第1封止部20より低くなる。第2封止部40は電極パッド17上に開口部68を有している。また、切断領域64には第2封止部40は形成されていない。図10(b)および図10(e)を参照に、開口部68内にNi、CuまたはAu等を無電解メッキし導電性のプラグ金属30を形成する。プラグ金属30は銀ペースト等の導電性物質を印刷で開口部42内に充填する方法で形成しても良い。図10(c)および図10(f)を参照に、プラグ金属30上に、プラグ金属30に接続するハンダボール32を形成する。以上により、弾性波素子12と電気的に接続するプラグ金属30(接続部)およびハンダボール32が形成される。その後、切断領域64の圧電基板10をダイシングにより切断する。以上により、実施例1に係る弾性波デバイスが完成する。
実施例1に係る弾性波デバイスは、弾性波素子12上の空洞18の側面および上面を覆うように第1封止部20が設けられ、端子部であるプラグ金属30およびハンダボール32の周辺に第2封止部40が設けられている。そして、第2封止部40の弾性率は第1封止部20の弾性率より低い。第1封止部20の弾性率を高くすることにより、弾性波デバイスをモジュール化する際に、空洞18が潰れてしまうことを抑制することができる。また、プラグ金属30およびハンダボール32の周辺の第2封止部40の弾性率は低いため、ハンダリフローや温度サイクル試験時に、第2封止部40とプラグ金属30およびハンダボール32との熱応力により、ハンダボール32や第2封止部40にクラックが発生することを抑制することができる。
図5(a)および図5(b)で説明したように、第1封止部20の150℃から200℃での弾性率は1.8GPa以上であることが好ましい。これにより、弾性波デバイスをモジュール化する際に、空洞18の潰れを抑制することができる。
第2封止部40の240℃から280℃の弾性率が第1封止部20の240℃から280℃の弾性率より低いことが好ましい。ハンダリフローを行う温度である240℃から280℃において、第2封止部40の弾性率が第1封止部20より低いことにより、耐リフロー性を向上させることができる。
第1封止部20および第2封止部40は有機材料であることが好ましい。また、特に、第1封止部20はエポキシ樹脂またはポリイミド樹脂を含むことが好ましい。第1封止部20としてポリイミド樹脂を含む場合、図8(a)および図8(d)並びに図9(a)および図9(d)を用い説明した熱処理は300℃より高温で行うことが好ましい。ポリイミド樹脂は耐熱性が高く、弾性率の高い封止部を形成するためには、より高温で硬化させることが求められるためである。
第1封止部20は、圧電基板10側の幅が大きい階段状である形状とすることが好ましい。または、図11のように、第1封止部20bの側面と圧電基板の表面のなす角度θは90°以下であることが好ましい。図9(b)および図9(e)を参照に、第3樹脂膜41を形成する際、第1封止部20bの側面と圧電基板の表面のなす角度θが90°より大きいと、第1封止部20と第3樹脂膜41の間に気泡が残ってしまう。そこで、第1封止部20の形状を階段状とすること、または角度θを90°以下とすることにより、第1封止部20と第3樹脂膜41の間に気泡が残存することを抑制することができる。
実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法において、第1封止部20を形成する工程は、図8(a)および図8(d)のように、空洞18となるべき領域に開口部60を有する第1樹脂膜19を圧電基板10上に形成する。図8(b)および図8(e)のように、第1樹脂膜19上に、開口部60を空洞18として残存させるように第2樹脂膜21を形成する。図9(a)および図9(d)のように、第2樹脂膜21の所定領域を除去し、第1樹脂膜19と第2樹脂膜21とより第1封止部20を形成する。また、第2封止部40を形成する工程は、図9(b)および図9(e)のように、第1封止部20上に第3樹脂膜41を形成する。そして第3樹脂膜41より第2封止部40を形成する。このように、第1封止部20および第2封止部40を形成することができる。
さらに、第1封止部20を形成する際は、図8(a)および図8(d)並びに図9(a)および図9(d)で説明したように、第1樹脂膜19および第2樹脂膜21を硬化させるため300℃(第1の温度)で熱処理を行う。一方、第2封止部40を形成する際は、第3樹脂膜41を硬化させるため200℃(第2の温度)で熱処理を行う。このように、第1の温度が前記第2の温度より高いことにより、第1封止部20の弾性率を第2封止部40より高くすることができる。
実施例1においては、弾性波素子は、圧電基板10上に形成された弾性表面波(SAW)素子の例であった。弾性波素子は、例えばシリコン基板等の基板上に形成した圧電膜に形成された弾性表面波素子であってもよい。また、弾性波素子として圧電薄膜共振器(FBAR)素子を用いることもできる。FBAR素子を用いる場合、基板は圧電基板ではなく、例えばシリコン基板、ガラス基板、サファイア基板等を用い、FBARは基板上の圧電膜を用い形成される。
実施例1では、弾性波素子12および空洞18はそれぞれ2つづつ形成されているが、これらの数に限られるものではない。第1封止部20および第2封止部40として、エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂の例を示したが、これらに限られず、弾性波素子12を保護する樹脂であれば良い。また、第1封止部20の弾性率を向上させるため、樹脂硬化のための熱処理温度を高くしている。この方法以外であっても、例えば樹脂の弾性率が異なる樹脂を用いて、第1封止部20の弾性率を第2封止部40の弾性率より大きくしても良い。また、第1封止部20にフィラーを添加し、弾性率を大きくしても良い。実施例1においては、接続部としてプラグ金属30およびハンダボール32の例を説明したが、接続部は、表面実装のために外部と電気的に接続するためのものであれば良く、例えばAu、Cu等の金属を用いたバンプであっても良い。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
図1(a)は比較例1に係る弾性波デバイスの平面図である。図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。図1(c)は図1(a)のB−B断面図である。 図2(a)から図2(f)は比較例1に係る弾性波デバイスの製造工程を示す断面図である。 図3(a)および図3(b)は比較例1に係る弾性波デバイスのモジュール化を想定した実験を説明するための模式図である。 図4は比較例1のモジュール化を想定した実験後の断面SEM写真の模式図である。 図5(a)は比較例1の樹脂部の天井部の凹みを示す図である。図5(b)は樹脂部の天井部の弾性率に対する天井部の凹み量をシミュレーションした結果を示す図である。 図6(a)は実施例1に係る弾性波デバイスの平面図である。図6(b)は図6(a)のA−A断面図である。図6(c)は図6(a)のB−B断面図である。 図7(a)から図7(f)は実施例1に係る弾性波デバイスの製造工程を示す断面図(その1)である。 図8(a)から図8(f)は実施例1に係る弾性波デバイスの製造工程を示す断面図(その2)である。 図9(a)から図9(f)は実施例1に係る弾性波デバイスの製造工程を示す断面図(その3)である。 図10(a)から図10(f)は実施例1に係る弾性波デバイスの製造工程を示す断面図(その4)である。 図11は実施例1の変形例に係る弾性波フィルタの平面図である。
符号の説明
10 圧電基板
12 弾性波素子
16 配線
17 電極パッド
18 空洞
19 第1樹脂膜
20a 封止部
20、20b 第1封止部
21 第2樹脂膜
30 プラグ金属
32 ハンダボール
40 第2封止部
41 第3樹脂膜
60 空洞となるべき開口部

Claims (10)

  1. 基板上に設けられた弾性波素子と、
    前記弾性波素子上に空洞を有し該空洞の側面および上面を覆うように前記基板上に設けられた第1封止部と、
    前記弾性波素子を外部に電気的に接続する端子部と、
    該端子部の周囲に設けられた第2封止部と、を具備し、
    前記第2封止部の弾性率は前記第1封止部の弾性率より低いことを特徴とする弾性波デバイス。
  2. 前記第1封止部の150℃から200℃での弾性率が1.8GPa以上であることを特徴とする請求項1記載の弾性波デバイス。
  3. 前記第2封止部の240℃から280℃の弾性率が前記第1封止部の240℃から280℃の弾性率より低いことを特徴とする請求項1記載の弾性波デバイス。
  4. 前記第1封止部および前記第2封止部は有機材料であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  5. 前記第1封止部はエポキシ樹脂またはポリイミド樹脂を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  6. 前記第1封止部は、前記基板側が大きい階段状である請求項1から5のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  7. 前記第1封止部の側面と前記基板の表面のなす角度は90°以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の弾性波デバイス。
  8. 基板上に弾性表面波素子を形成する工程と、
    前記弾性波素子上に空洞を有し該空洞の側面および上面を覆うように前記基板上に第1封止部を形成する工程と、
    前記第1封止部上および前記第1封止部を囲む前記基板上に、弾性率が第1封止部より低い第2封止部を形成する工程と、
    前記第2封止部を貫通し、前記弾性波素子を外部に電気的に接続する端子部を形成する工程と、を有する弾性波デバイスの製造方法。
  9. 前記第1封止部を形成する工程は、前記空洞となるべき領域に開口部を有する第1樹脂膜を前記基板上に形成する工程と、前記第1樹脂膜上に、前記開口部を前記空洞として残存させるように第2樹脂膜を形成する工程と、前記第2樹脂膜の所定領域を除去し、前記第1樹脂膜と前記第2樹脂膜とより前記第1封止部を形成する工程と、を含み、
    前記第2封止部を形成する工程は、前記第1封止部上に第3樹脂膜を形成する工程と、前記第3樹脂膜より前記第2封止部を形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項8記載の弾性波デバイスの製造方法。
  10. 前記第1封止部を形成する工程は、前記第1樹脂膜および前記第2樹脂膜を硬化させるため第1の温度で熱処理を行う工程を含み、
    前記第2封止部を形成する工程は、前記第3樹脂膜を硬化させるため第2の温度で熱処理する工程を含み、
    前記第1の温度は前記第2の温度より高いことを特徴とする請求項9記載の弾性波デバイスの製造方法。
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