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JP2016119701A - 弾性波装置、電子部品および弾性波装置の製造方法 - Google Patents

弾性波装置、電子部品および弾性波装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 振動空間の気密性を長時間にわたって保持することができる弾性波装置を提供する。【解決手段】 素子基板3と、素子基板3の主面に配置された励振電極5と、凹部を有し、凹部の内面および素子基板3の主面で囲まれた空間である振動空間21内に励振電極5が位置するようにして前記凹部の周囲が素子基板3の主面に接合されたカバー9とを備えた弾性波装置である。カバー9は、素子基板3の外周よりも内側に配置されており、素子基板3との接合部の外面側に、素子基板3の主面に沿って素子基板3の外周に向かって伸びている伸長部10を備えている。【選択図】 図3

Description

本発明は、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)装置や圧電薄膜共振器(F
BAR:Film Bulk Acoustic Resonator)などの弾性波装置およびそれを用いた電子部品ならびに弾性波装置の製造方法に関する。
小型化などを目的とした、いわゆるウェハレベルパッケージ(WLP:Wafer Level Package)型の弾性波装置が知られている。このWLP型の弾性波装置は、圧電基板と、圧
電基板に設けられた励振電極と、励振電極を封止するカバーとを有する(例えば、特許文献1参照)。
カバーは凹部を有し、この凹部の内壁と圧電基板の主面とで囲まれた空間である振動空間内に励振電極が位置するようにして圧電基板の主面にカバーが配置されている。
特開2008−227748号公報
ところで上述した構造からなる弾性波装置では、カバーと圧電基板との線膨張係数の違いなどに起因してカバーが圧電基板から剥離することがある。このようにカバーが圧電基板から剥離すると、振動空間の気密性が保持されなくなり、振動空間内に外部の水分などが入り込みやすくなる。振動空間内に外部の水分などが入り込むと励振電極の腐食を招く要因となる。励振電極が腐食すると弾性波装置の電気特性が劣化する。
弾性波装置の電気特性が劣化すると、それを搭載した電子部品の電気特性も劣化することとなる。
したがって振動空間の気密性が長期にわたって保持される弾性波装置が提供されることが望まれている。
本発明の一態様としての弾性波装置は、素子基板と、該素子基板の主面に配置された励振電極と、凹部を有し、該凹部の内面および前記素子基板の主面で囲まれた空間である振動空間内に前記励振電極が位置するようにして前記凹部の周囲が前記素子基板の主面に接合されたカバーとを備えており、前記カバーは、前記素子基板との接合部の外面が前記素子基板の外周よりも内側に位置しており、前記素子基板との接合部の外面側は、前記素子基板の主面に沿って前記素子基板の前記外周に向かって伸びる伸長部を備えたものである。
本発明の一態様としての電子部品は、実装基板と、該実装基板の主面に前記素子基板の主面を対面させた状態で導体バンプを介して実装された上記に記載の弾性波装置と、該弾性波装置を被覆する外装樹脂とを備えたものである
上記の構成からなる弾性波装置は、振動空間の気密性を長時間にわたって正常な状態に
保持することができる。
(a)は本発明の第1の実施形態に係るSAW装置の平面図であり、(b)は図1(a)のSAW装置の蓋部を外した状態の平面図である。 図1(a)のII−II線における断面図である。 図2のIIIで示した領域の拡大図である。 本発明の実施形態に係る電子部品の断面図である。 (a)から(c)は、図1に示すSAW装置の製造方法を説明する断面図である。 (a)から(c)は、図1に示すSAW装置の製造方法を説明する断面図であり、図5(c)の続きを示すものある。 (a)および(b)は、図1に示すSAW装置の製造方法を説明する断面図であり、図6(c)の続きを示すものである。 図1に示すSAW装置の伸長部の形状を説明するための拡大断面図である。 第2の実施形態に係るSAW装置を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態に係るSAW装置について図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
(SAW装置等の構成)
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係るSAW装置1の平面図であり、図1(b)は、SAW装置1の蓋部4を外した状態における平面図である。また、図2は図1(a)のII−II線における断面図である。
SAW装置1は、素子基板3と、素子基板3の第1主面3a上に設けられた励振電極5と、第1主面3a上に設けられ、励振電極5に接続されたパッド7と、励振電極5を覆うとともにパッド7を露出させるカバー9と、素子基板3の第2主面3bに設けられた裏面部11とを有している。
SAW装置1は、複数のパッド7のいずれかを介して信号の入力がなされる。入力された信号は、励振電極5等によってフィルタリングされる。そして、SAW装置1は、フィルタリングした信号を複数のパッド7のいずれかを介して出力する。各部材の具体的構成は以下のとおりである。
素子基板3は、圧電基板によって構成されている。具体的には、素子基板3は、タンタル酸リチウム単結晶,ニオブ酸リチウム単結晶等の圧電性を有する単結晶の基板によって構成されている。素子基板3は、例えば、直方体状に形成されており、矩形状で互いに平行かつ平坦な第1主面3aおよび第2主面3bを有している。素子基板3の大きさは適宜に設定されてよいが、例えば、厚さ(Z方向)は0.2mm〜0.5mmであり、1辺の長さ(X方向またはY方向)は0.5mm〜3mmである。
また、素子基板3は半透明である。半透明の素子基板3を使用することによって、後述の弾性波装置の製造方法において述べるようにカバー3に伸長部10を簡単に形成することができる。素子基板3の紫外光の透過率は、例えば、30%〜80%である。この透過率は、素子基板3にドープする不純物の種類および量、素子基板3の酸素含有量などを調整することによって任意の範囲に調整することができる。
励振電極5は、第1主面3a上に形成されている。励振電極5は、いわゆるIDT(Interdigital Transducer)であり、一対の櫛歯状電極を有している。各櫛歯状電極は、素
子基板3における弾性表面波の伝搬方向に延びるバスバーと、バスバーから弾性表面波の伝搬方向に直交する方向に伸びる複数の電極指とを有している。2つの櫛歯状電極同士は、それぞれの電極指が互いに噛み合うように設けられている。
なお、図1等は模式図であることから、数本の電極指を有する1対の櫛歯状電極を示しているが、実際には、これよりも多数の電極指を有する複数対の櫛歯状電極が設けられてよい。また、複数の励振電極5が直列接続や並列接続等の方式で接続されたラダー型SAWフィルタが構成されてもよいし、複数の励振電極5が弾性表面波の伝搬方向に配列された2重モードSAW共振器フィルタが構成されてもよい。
パッド7は、第1主面3a上に形成されている。パッド7の平面形状は適宜に設定されてよく、例えば、その平面形状は円形である。パッド7の数および配置位置は、励振電極5によって構成されるフィルタの構成等に応じて適宜に設定される。SAW装置1では、6つのパッド7が第1主面3aの外周に沿って配列されている場合を例示している。
励振電極5とパッド7とは配線15によって接続されている。配線15は、第1主面3a上に形成され、励振電極5のバスバーとパッド7とを接続している。なお、配線15は、第1主面3a上に形成された部分だけでなく、異なる信号が流れる2つの配線15同士を間に絶縁体を介在させた状態で立体交差させるようにしてもよい。
励振電極5、パッド7および配線15は、例えば、互いに同一の導電材料によって構成されている。導電材料は、例えば、AlまたはAl−Cu合金等のAl合金である。また、励振電極5、パッド7および配線15は、例えば、互いに同一の厚さで形成されており、これらの厚さは、例えば、100〜500nmである。また配線15同士を立体交差させる場合は、第1主面3a側の配線15を例えばAl−Cu合金で形成し、その上に絶縁体を介して配置される配線15を例えば下から順にCr/Ni/Au、あるいはCr/Alとした多層構造の配線によって形成する。なお、立体配線の上側の配線をCr/Ni/Auによって形成した場合は、最上層のAuと樹脂との密着性が比較的弱いことから、樹脂からなるカバー9がこの立体配線上に積層されないようにするとよい。これによりカバー9の剥がれを抑制することができる。一方、立体配線の上側の配線をCr/Alによって形成した場合は、この立体配線上にカバー9が積層されるようにしてもよい。
なお、パッド7には、励振電極5と同一の材料および同一厚さの層に加えて、バンプとの接続性を高める等の目的で接続強化層6が設けられている。接続強化層6は、例えば、パッド7に重ねられたニッケルの層と、ニッケルの層に重ねられた金の層とからなる。
カバー9は、例えば、隣接するパッド7の間に張り出す張出部9aを有し、張出部9aを除いた平面形状が、概略、矩形状をなしている。換言すれば、カバー9はパッド7を覆う程度の大きさを有する矩形からパッド7が露出するように切り欠いた形状と捉えることもできる。
カバー9は、第1主面3a上に設けられ、第1主面3aの平面視において励振電極5を囲む枠部2と、枠部2に重ねられ、枠部2の開口を塞ぐ蓋部4とを有している。そして、第1主面3a、枠部2および蓋部4により囲まれた空間によって励振電極5により励振されるSAWの振動を妨げないようにするための振動空間21が形成されている。
振動空間21の平面形状は、適宜に設定されてよいが、SAW装置1では、概ね矩形状である。なお、カバー9は、振動空間21を構成する凹部が下面側に形成された形状であ
ると捉えられてもよい。
枠部2は、概ね一定の厚さの層に振動空間21となる開口が1以上形成されることによって構成されている。枠部2の厚さ(振動空間21の高さ)は、例えば、数μm〜30μmである。蓋部4は、概ね一定の厚さの層により構成されている。蓋部4の厚さは、例えば、数μm〜30μmである。
蓋部は4の平面形状は、例えば、枠部2の平面形状と概ね同じであり、枠部2よりも蓋部4の方がひとまわり小さくなるように形成されている。換言すれば、枠部2は、平面視したときに枠部2の外周に沿った部分が蓋部4からわずかにはみ出るような大きさとされている。
枠部2および蓋部4は、同一の材料によって形成されていてもよいし、互いに異なる材料によって形成されていてもよい。本願では、説明の便宜上、枠部2と蓋部4との境界線を明示しているが、現実の製品においては、枠部2と蓋部4とは、同一材料によって一体的に形成されていてもよい。
カバー9(枠部2および蓋部4)は、感光性の樹脂によって形成されている。感光性の樹脂は、例えば、アクリル基やメタクリル基などのラジカル重合により硬化する、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系の樹脂である。その他、ポリイミド系の樹脂なども用いることができる。
裏面部11は、例えば、素子基板3の第2主面3bの概ね全面を覆う裏面電極と、裏面電極を覆う絶縁性の保護層とを有している。温度変化等により素子基板3表面には電荷がチャージされることがあるが、裏面電極が設けられていることによってチャージされた電荷を放電することができ、励振電極5の静電気による破壊等を抑制することができる。また、保護層は素子基板3の損傷を抑制する。なお、以下では、裏面部11は、図示や説明が省略されることがある。
図3は図2における領域IIIの拡大図である。
素子基板3の第1主面3a上には保護層8が配置されており、カバー9は、保護層8の上に配置されている。保護層8は、励振電極5を覆って励振電極5の酸化防止等に寄与するものである。保護層8は、例えば、酸化珪素(SiOなど)、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化珪素、または、シリコンによって形成されている。保護層8の厚さは、例えば、励振電極5の厚さの1/10程度(10〜30nm)、または励振電極5よりも厚く、200nm〜1500nmである。
パッド7あるいは接続強化層6は保護層8から露出している。なお、接続強化層6を露出させるための保護層8の開口は、接続強化層6と同一の形状および面積としてもよいし、接続強化層6よりも大きくてもよい。また、保護層8の開口を接続強化層6より小さくてもよく、この場合は、保護層8の開口周囲の部分が接続強化層6の外周部を覆うこととなる。
同図に示すように、SAW装置1は蓋部4が下垂部4aを有している。下垂部4aは、蓋部4のうち枠部2の内面2aの少なくとも一部を被覆している部分である。SAW装置1では、下垂部4aは枠部2の内面2aの概ね上半分を被覆している。蓋部4にこのような下垂部4aを設けることによって蓋部4と枠部2との接触面積が増加するため蓋部4と枠部2との剥がれを抑制することができる。加えて、蓋部4と枠部2と境界部分から外部の水分が浸入するときにその浸入経路が、下垂部4aが枠部2の内壁に接触している分だ
け長くなるため振動空間21内に水分が入り込みにくくなる。よって、振動空間内の励振電極5等の腐食を抑制することができ、長期にわたってSAW装置1の電気特性を安定化させることができる。
下垂部4aは、平面視したときに例えば環状に形成されている。すなわち、枠部2の内面2aに沿って一回りするように内面2aを被覆している。これによって蓋部4と枠部2との境界からの水分の浸入抑制効果をより高めることができる。
下垂部4aは、例えば、蓋部4を枠部2に貼り付ける際の温度等の条件を調整することによって形成することができる。例えば、樹脂製の蓋部4と樹脂製の枠部2と貼り付けるためにある程度高い温度で加熱を行うことがあるがその際の温度を通常より若干高めにし、その温度の保持時間を通常より若干長めにするなど温度や保持時間を調整することによって樹脂製の蓋部4の一部が枠部2の内面2aに沿って垂れてその部分が固まることによって下垂部4aとすることができる。なお、下垂部4aが形成されるのに伴って蓋部4の上面のうち下垂部4aの直上領域には微小凹部4bが形成されることがある。
枠部2の外面2bは素子基板3の第1主面3a側ほど外側に向かうように傾斜している。枠部2の外面2bの第1主面3aに対する角度は、例えば、80°程度である。
蓋部4の外面4cは、枠部2の外面2bと同様に素子基板3の第1主面3a側ほど外側に向かうように傾斜していてもよいし、傾斜していなくてもよい。蓋部4の外壁4cの主面3aに対する角度は、例えば、枠部2の外面2bの第1主面3aに対する角度と同じであってもよいし、大きくしても小さくしてもよい。また、蓋部4の外側面4cは枠部2の外面2bよりも若干内側に位置している。換言すれば、平面視したときに蓋部4は枠部2より一回り小さくされている。例えば、蓋部4の外側面4cは、枠部2の外面2bよりも数μmから数十μm内側に位置している。
またカバー9(枠部2)の下端部には伸長部10が設けられている。伸長部10は、カバー9の素子基板3との接合部の外面側および内面側に素子基板3の第1主面3aに沿って伸びている。換言すれば、伸長部10は、枠部2の内面2a側においては、この内面2aから振動空間21に向かって伸び、枠部2の外面2b側においては、この外面2bから圧電基板3の外周に向かって伸びている。また、伸長部10は、カバー9の下端部のほぼ全周にわたって設けられているが、配線15の近傍には設けられていない。
このような伸長部10が形成されていることによって、伸長部10の分だけ振動空間21への水分などの浸入経路が長くなるため、振動空間21の気密性を長時間にわたって正常な状態に保持することができる。よって、振動空間内の励振電極5等の腐食を抑制することができ、長期にわたってSAW装置1の電気特性を安定化させることができる。
伸長部10は、例えば、カバー9と同一材料からなり、カバー9と一体的に形成されている。このように伸長部10をカバー9と一体的に形成すれば、カバー9の第1主面3a側への接触面積が伸長部10の分だけ大きくなるとみなすことができるため、カバー9の素子基板3への密着性が向上し、カバー9の素子基板3からの剥離を抑制することができる。なお、伸長部10はカバー9とは別の材料によって形成してもよい。
外部からの水分等の浸入経路を長くするという観点からすれば、枠部2の幅をそのまま大きくすることも考えられる。しかし、枠部2のように厚みの大きいものは、励振電極5および圧電基板3に対し所定の距離だけ離しておく必要があるため単純に大きくすることはできない。これは、励振電極5側においては、励振電極5に枠部2のように厚みの大きいものが触れると励振電極5の振動に大きな影響を与えてしまい電気特性の劣化を招くた
めであり、素子基板3の外周側では、その部分がウエハのダイシングラインになっていることから、ダイシングライン上に厚みの大きい枠部2が存在していると、ウエハの切断時に素子基板3等に欠けが発生しやすくなることによるものである。さらには後述するようにSAW装置1を他の実装基板に実装し、そのSAW装置1全体を外装樹脂によって被覆するような場合には、カバー9の外壁が素子基板2の外周付近まできていると、SAW装置1と実装基板の主面との間に外装樹脂が入りこみにくくなり、その部分に空隙ができやすくなるという不具合も発生する。
これに対し、伸長部10はカバー9の下端部から伸びるようにして薄く形成されていることから、仮に伸長部10が励振電極5に触れたり、あるいは素子基板3の外周付近まで伸びていたとしても上記の不具合が抑制される。特に伸長部10を外方に向かうにつれて漸次厚みが小さくなるように形成しておけば、その先端が励振電極5に触れても電気特性に大きな影響を与えることがなく、また、素子基板3の外周付近まで伸びていたとしてもウエハのダイシング時に素子基板3等に欠けが発生するのをより効果的に抑制することができる。さらには、SAW装置1を他の実装基板に実装して、外装樹脂によって被覆するような場合には、SAW装置1と実装基板との間に空隙が形成されるのを抑制することができる。伸長部10の最も厚みの厚い部分、すなわちカバー9との接続部分における厚みは、例えば、枠部2の厚みの1/30〜1/10となっている。具体的には、枠部2の厚みが30μmである場合に伸長部10の最も厚みの厚い部分の大きさは1.5μmである。なお、伸長部10の水平方向の幅は例えば40μm程度である。
伸長部10の断面形状は、図3に示した三角形状のものに限らず、図8に示すように外周が円弧状のもの(図7(a))、台形状のもの(図7(b))、矩形状のもの(図7(c))等も可能である。
図4は、SAW装置1が実装された電子部品51の一部を示す断面図である。なお、図4のSAW装置1の断面図は、図1のIV−IV線で切断したときの断面に相当する。
電子部品51は、実装基板53と、実装基板53の実装面53a上に設けられたパッド55と、パッド55上に配置された導体バンプ57と、導体バンプ57を介して実装面53aに実装されたSAW装置1と、SAW装置1を封止する外装樹脂59とを有している。
なお、電子部品51は、例えば、この他に、実装基板53に実装され外装樹脂59によってSAW装置1とともに封止されたIC等を有し、モジュールを構成している。
実装基板53は、例えば、プリント配線板により構成されている。プリント配線板は、リジッド基板であってもよいし、フレキシブル基板であってもよい。また、プリント配線板は、1層板であってもよいし、2層板であってもよいし、2層以上の多層板であってもよい。また、プリント配線板の基材、絶縁材料および導電材料は適宜な材料から選択されてよい。
導体バンプ57は、SAW装置1のパッド7および実装基板53のパッド55の両方に当接している。導体バンプ57は、加熱によって溶融してパッド7に接着される金属によって形成されている。導体バンプ57は、例えば、はんだからなる。はんだは、Pb−Sn合金はんだ等の鉛を用いたはんだであってもよいし、Au−Sn合金はんだ、Au−Ge合金はんだ、Sn−Ag合金はんだ、Sn−Cu合金はんだ等の鉛フリーはんだであってもよい。
外装樹脂59は、例えば、エポキシ樹脂、硬化材およびフィラーを主成分としている。
外装樹脂59は、SAW装置1を裏面部11側および側方から覆うだけでなく、SAW装置1と実装基板53との間にも充填されている。具体的には、外装樹脂59は、カバー9の上面と実装基板53の実装面53aとの間および導体バンプ57の周囲にも充填されている。
導体バンプ57は、概ね球がパッド7とパッド55とによって潰された形状である。すなわち、導体バンプ57はパッド7およびパッド55に接する2平面と、2平面を接続する外周面とを有し、その2平面および外周面は平面視において円形であり、外周面は側面視において中央側が外側に突出する曲面状となっている。
導体バンプ57のパッド7およびパッド55に接する平面の面積は、好適には、パッド7およびパッド55の面積と同じかそれ以下である。
枠部2の側壁2bおよび蓋部4の側壁4bは、その全体に亘って、導体バンプ57に接していない。従って、カバー9(枠部2および蓋部4)の外壁と導体バンプ57との隙間は、カバー9の上面から下面に亘るまで形成され、その隙間に外装樹脂59が充填されている。
このように枠部2の側壁2bおよび蓋部4の側壁4bが、その全体に亘って導体バンプ57に接しておらず、それらの側壁と導体バンプ57との間に外装樹脂が充填されていることから、導体バンプ57は、カバー9の外壁の形状の影響を受けにくい。その結果、例えば、カバー9の外壁とカバーの上面との角部等によって、導体バンプ57に応力集中が生じやすい形状が形成されることが抑制され、導体バンプ57のクラックの発生が抑制される。これらの効果は、特に、実施形態のように、外装樹脂59が、カバー9の上面から下面に亘って、導体バンプ57とカバー9の外壁との間に充填されているときに顕著となる。
また先に述べたようにカバー9を構成する枠部2の外面2bは、素子基板3の主面3aに向かうほど広がるように傾斜しており、この傾斜した外面2bに外装樹脂59が接している。
従って、例えば、傾斜した外面2bと導体バンプ57との間において、外装樹脂59がカバー9の上面側から下面側へ流れ込みやすくなり、外装樹脂59に空洞ができることが抑制される。外装樹脂59に空洞が存在すると、リフロー時に熱が印加された際にその空洞が膨張し、SAW装置1の実装不良の要因となることがあるが、空洞の形成が抑制されるためそのような実装不良等の発生が抑制される。
また蓋部4の外壁4cが枠部2の外面2bよりも内側に位置しているため、上述した枠部2の外面2bが傾斜していることによる効果と同様の効果が期待される。すなわち、カバー9の外壁と導体バンプ57との間において、外装樹脂59がカバー9の上面側から下面側へ流れ込みやすくなる。
(SAW装置の製造方法)
図5(a)〜図7(b)は、SAW装置1の製造方法を説明する断面図(図1のIII−III線に対応)である。製造工程は、図5(a)から図7(b)まで順に進んでいく。
SAW装置1の製造方法に対応する図5(a)〜図7(b)の工程は、いわゆるウエハプロセスにおいて実現される。すなわち、分割されることによって素子基板3となる母基板を対象に、薄膜形成やフォトリソグラフィー法などが行われ、その後、ダイシングされることにより、複数個のSAW装置1が並行して形成される。ただし、図5(a)〜図7
(b)では、2つのSAW装置1に対応する部分のみを図示する。また、導電層や絶縁層は、プロセスの進行に伴って形状が変化するが、変化の前後で共通の符号を用いることがあるものとする。
図5(a)に示すように、まず、素子基板3となるウエハ33の第1領域41および第2領域42の各領域には励振電極5が形成される。具体的には、まず、スパッタリング法、蒸着法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法によって、第1
主面3a上に金属層が形成される。次に、金属層に対して、縮小投影露光機(ステッパー)とRIE(Reactive Ion Etching)装置とを用いたフォトリソグラフィー法等によりパターニングが行われる。金属層をパターニングすることによって励振電極5が形成される。なお、励振電極5と同じプロセスにて配線15およびパッド7も同時に各領域に形成される。
ここで使用されるウエハ33は半透明状のものである。このように半透明のウエハ33を用いることによって、後述するようにカバー9を形成する際のフォトリソグラフィー法の工程において、露光時の照射光がウエハ33を透過することとなる。また、ウエハ33の第1主面33aは鏡面加工が施されているのに対し、第1主面33a反対側の主面である第2主面33bは粗面化されている。このように第2主面33bが粗面化されていることによって、ウエハ33を透過した照射光が第2主面33bにおいて乱反射するようになる。
ウエハ33の透過率は、紫外光で測定したときに30%〜80%である。この透過率は、ウエハ33にドープする不純物の種類および量、ウエハ33の酸素含有量などを調整することによって任意の範囲に調整することができる。なお、ウエハ33にドープされる不純物は例えばFeである。
また、ウエハ33の第2主面33bの粗面化は、例えば、第2主面33bを粗い研磨材によって研磨したり、あるいは第2主面33bにホーニング加工を施すことによって行われる。粗面化された第2主面33bの算術平均粗さRaは、例えば、175nm以上500nm以下である。第2主面33bのRaをこの範囲にすることによって、伸長部10を形成するのに適した乱反射をさせることができるとともにウエハ33の割れの発生を抑制することができる。
また、粗面化された第2主面33bには金属層34が形成されている。この金属層34は、Alなどの金属からなる。このような金属層34を設けておくことによって、ウエハ33を透過した光が第2主面33bにおいて第1主面側33a側に反射しやすくなる。なお、金属層34は領域ごとに切断されることによって裏面電極となる。
励振電極5等が形成されると、図5(b)に示すように、保護層8が形成される。具体的には、まず、適宜な薄膜形成法により保護層8となる薄膜が形成される。薄膜形成法は、例えば、スパッタリング法もしくはCVDである。次に、パッド7が露出するように、RIE等によって薄膜の一部が除去される。これにより、保護層8が形成される。
保護層8が形成されると、図5(c)に示すように枠部層35が形成される。枠部層35は、ネガ型の感光性樹脂からなる。枠部層35は、保護層8と同様の薄膜形成法によって形成されてもよいし、その他、スピンコート法などによって形成してもよい。その後、枠部層35が形成されたウエハ33を加熱処理する。これにより、枠部層35とウエハ33との密着強度を高めることができる。
次に枠部層35を所定の形状にパターニングすることによって枠部2とする。
具体的には、まず、図6(a)に示すようにフォトマスク40を介して紫外線などの光Lが枠部層35に照射される。フォトマスク40は、透明基板43に遮光部39が形成されることにより構成されている。遮光部44は、フォトマスク40をウエハ33上にセットしたときに、振動空間21となる部分、第1領域41と第2領域42の境界部分(ダイシングラインとなる部分)など、枠部層35を除去すべき部分に対応する位置に形成されている。すなわち、図1(b)において素子基板3の第1主面3aのうち、枠部2から露出する部分に対応する位置に遮光部44が形成されている。
この露光工程において、ウエハ33は半透明であることから露光用の光Lの一部はウエハ33を厚み方向に透過し、ウエハ33の第2主面33bまで到達する。第2主面33bまで到達した光Lは、粗面化された第2主面33bによって乱反射され、そのうちの一部がウエハ33の第1主面33aまで到達し、枠部層35の第1主面33a側の面を露光する。第2主面33bで反射されて枠部層35まで到達した光Lの光量は、最初の光Lの光量よりも少ない。よって、第2主面33bで反射して第1主面33aまで到達した光Lは枠部層35を厚み方向全体にわたっては露光せず、枠部形成層5の下面側だけ露光したような状態となる。また、第2主面33bで反射して第1主面33aまで到達する光Lは、フォトマスク40側から直接露光された部分から外方に向かうにつれて徐々に弱くなる。したがって、続く現像処理において枠部層35のうち露光されなかった部分が残る結果、枠部2の下端部に図3で示した伸長部10を形成することができる。
第2主面33bで反射されて枠部層35の下面まで到達する光Lの光量は、ウエハ33の透過率、光Lの照度、第2主面33bの粗さ、金属層34の種類等を変えることによって調整することができるため、これらを調整することによって伸長部10の形状および寸法も変えることができる。
その後、図6(b)に示すように、現像処理を行い、枠部層35のうち、光Lが照射された部分を残し、光Lが照射されなかった部分を除去する。これにより、枠部層35には、振動空間21となる開口部36が形成され、第1領域41と第2領域42との境界部には溝部37が形成される。すなわち、伸長部10を有する枠部2が形成される。
枠部2が形成されると、図6(c)に示すように、蓋部4となる蓋部層38が形成される。蓋部層38は、例えば、枠部層35と同じ材料からなる。蓋部層38は、ベースフィルム39に貼り付けられた状態で枠部2に置かれる。そしてベースフィルム39が張り付けられた状態の蓋部層38を加熱することによって蓋部層38と枠部2とを接着する。蓋部層38と枠部2との接着は、例えば、ウエハ33を40℃から50℃程度に加熱したステージ45に置き、その状態で同じく40℃から50℃程度に加熱したローラー46を回転させながらベースフィルム39が張り付けられた蓋部層38に押し当てることによって行う。このときにステージ45およびローラー46の温度、ローラーの回転速度等を所定の条件に設定すると、軟化した蓋部層38を枠部2の内面2aに沿って垂れるようにすることができ、この垂れた部分が下垂部4aとなる。下垂部4aの形状は、ステージ45およびローラー46の温度、ステージ45への保持時間、ローラー46の回転速度等を調整することによって制御することができる。例えば、枠部2および蓋部層38の材料としてエポキシアクリレートを使用し、枠部2および蓋部層38の厚みがともに30μmである場合に、ステージ45およびローラー46を通常の接着時の温度よりも数℃高い42℃から45℃程度にすることによって枠部2の内面2aのおおよそ上半分を被覆する下垂部4aを形成することができる。
その後、ベースフィルム39を剥がし、図7(a)に示すようにフォトリソグラフィー法等により、蓋部層38の第1領域41と第2領域42の境界部分が除去され蓋部4が形
成される。蓋部4が形成されることによって、保護層8、枠部2および蓋部4により囲まれた空間からなる振動空間21が形成されることとなる。
その後、図7(c)に示すように、第1領域41と第2領域42の境界線に沿って、ウエハ33をダイシングブレード47で切断することにより、SAW装置1が形成される。
<第2の実施形態>
図10は、第2の実施形態のSAW装置201を示す断面図である。なお、この断面は図1(a)のIV−IV線で切断したときの断面に相当する。
SAW装置201は、端子25を有している。この端子25はパッド7と電気的に接続された状態でパッド7の上に位置している。また端子25はカバー9を縦方向に貫通し、パッド7と接続されない方の端部はカバー9の上面から露出している。端子7は例えば銅等を用いてめっき法によって形成される。
また、SAW装置201は、カバー9の上面に配置された補強層22を有している。補強層22は、カバー9(特に蓋部4)の強度を補強するためのものである。補強層22は、カバー9の比較的広い範囲に亘って形成されている。例えば、補強層22は、カバー9の上面の概ね全面に亘って形成されている。従って、補強層22は、平面視において、振動空間21の概ね全体を覆うとともに振動空間21の外側に延出し、蓋部4とともに枠部2に支持されている。
補強層22は、カバー9の材料よりもヤング率が高い材料によって構成されている。例えば、カバー9がヤング率0.5〜1GPaの樹脂によって形成されているのに対し、補強層22はヤング率100〜250GPaの金属によって形成されている。補強層22の厚さは、例えば、1〜50μmである。
またこのようなカバー9を貫通する端子25を設けた上、補強層22も設けている場合には補強層22全体を絶縁膜24によって覆っておくことが好ましい。これによりSAW装置201を実装基板に実装した際に補強層22と端子25とが短絡するのを抑制することができる。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよく、また上述した実施形態は、適宜に組み合わされてよい。
弾性波装置は、SAW装置に限定されない。例えば、弾性波装置は、圧電薄膜共振器であってもよい。
また、弾性波装置において、保護層8および裏面部11は必須の要件ではなく、省略されてもよい。
1・・・SAW装置
2・・・枠部
3・・・素子基板
4・・・蓋部
5・・・励振電極
6・・・接続強化層
7・・・パッド
8・・・保護層
9・・・カバー
10・・・伸長部
11・・・裏面部

Claims (7)

  1. 素子基板と、
    該素子基板の主面に配置された励振電極と、
    凹部を有し、該凹部の内面および前記素子基板の主面で囲まれた空間である振動空間内に前記励振電極が位置するようにして前記凹部の周囲が前記素子基板の主面に接合されたカバーとを備えており、
    前記カバーは、前記素子基板との接合部の外面が前記素子基板の外周よりも内側に位置しており、前記素子基板との接合部の外面側は、前記素子基板の主面に沿って前記素子基板の前記外周に向かって伸びる伸長部を備えている弾性波装置。
  2. 前記カバーの前記外面は、前記素子基板の前記外周に向かって伸びるように傾斜している、請求項1に記載の弾性波装置。
  3. 前記カバーは、前記励振電極を囲むようにして前記素子基板の主面上に位置した枠部と、該枠部に重なって該枠部を塞ぐ蓋部とを含んでいる請求項1または2に記載の弾性波装置。
  4. 前記伸長部は、前記カバーの下端部のほぼ全周に設けられている、請求項1乃至3のいずれかに記載の弾性波装置。
  5. 前記蓋部の外面は、前記枠部の側面よりも内側に位置している請求項3に記載の弾性波装置。
  6. 前記素子基板の前記主面において前記カバーの前記外面の外側に形成された、前記励振電極に電気的に接続されたパッドをさらに含み、
    前記カバーは前記パッドに沿って前記パッドを露出させるように切り欠いた形状となっている、請求項1乃至5のいずれかに記載の弾性波装置。
  7. 実装基板と、
    該実装基板の主面に前記素子基板の主面を対面させた状態で導体バンプを介して実装された請求項1乃至6のいずれか1項に記載の弾性波装置と、
    該弾性波装置を被覆する外装樹脂とを備えた電子部品。
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